(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021660
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
B41J 15/04 20060101AFI20250206BHJP
B41J 11/00 20060101ALI20250206BHJP
B65H 16/06 20060101ALI20250206BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20250206BHJP
B41J 29/13 20060101ALN20250206BHJP
【FI】
B41J15/04
B41J11/00 Z
B65H16/06 B
G03G21/16 195
B41J29/13
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125534
(22)【出願日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】324012246
【氏名又は名称】ローランドディー.ジー.株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121500
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 高志
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100189887
【弁理士】
【氏名又は名称】古市 昭博
(74)【代理人】
【識別番号】100218084
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊光
(72)【発明者】
【氏名】奥田 美沙輝
(72)【発明者】
【氏名】野中 亮佑
(72)【発明者】
【氏名】山村 奈穂美
【テーマコード(参考)】
2C058
2C060
2C061
2H171
3F052
【Fターム(参考)】
2C058AE04
2C058AF06
2C060BA04
2C060BA06
2C061AP01
2C061AQ04
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AS06
2C061AS13
2C061BB02
2C061BB10
2C061BB11
2C061BB35
2C061CC01
2C061CF06
2C061HJ03
2C061HJ04
2H171FA22
2H171GA06
2H171JA17
2H171KA12
3F052AA01
3F052AB05
3F052BA17
(57)【要約】
【課題】ロール紙を保持させる作業を容易にしつつ、媒体の搬送を円滑に行うことができる。
【解決手段】プリンタ10は、帯状の媒体5が円筒状に捲回されたロール紙6を保持するロール紙ホルダ70と、ロール紙ホルダ70から後方に引き出された媒体5を支持する支持台55とを備えている。ロール紙ホルダ70は、左右方向Yに延び、ロール紙6に挿入される回転軸部材71と、回転軸部材71の一端部に設けられたフランジ部材72とを有する。回転軸部材71の中心軸71aは、支持台55の前端64Fよりも後方に配置されている。フランジ部材72の前端72Fは、支持台55の前端64Fよりも前方に配置されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の媒体が円筒状に捲回されたロール紙を保持するロール紙ホルダと、
前記ロール紙ホルダから後方に引き出された前記媒体を支持する支持台と、を備え、
前記ロール紙ホルダは、
左右方向に延び、前記ロール紙に挿入される回転軸部材と、
前記回転軸部材の一端部に設けられたフランジ部材と、
を有し、
前記回転軸部材の中心軸は、前記支持台の前端よりも後方に配置され、
前記フランジ部材の前端は、前記支持台の前端よりも前方に配置されている、プリンタ。
【請求項2】
前記ロール紙ホルダと前記支持台との間に設けられ、前後方向に延びた隔壁を備え、
側面視において、前記隔壁と前記フランジ部材との間には、作業空間が形成され、
前記隔壁から前記フランジ部材の上下方向の最も高い位置までの前記作業空間における上下方向の上下空間長さは、前記フランジ部材の上下方向の長さの1/2よりも長い、請求項1に記載されたプリンタ。
【請求項3】
前記作業空間の前記上下空間長さは、前記フランジ部材の上下方向の長さよりも短い、請求項2に記載されたプリンタ。
【請求項4】
前記支持台に支持された前記媒体を、搬送方向の上流側から下流側、または下流側から上流側に搬送する搬送機構と、
床面に設置され、前記ロール紙ホルダおよび前記支持台を支持するプリンタ本体と、
を備え、
前記床面から、前記フランジ部材の前記床面に最も近い部分までの上下方向の距離は、前記支持台の前端から前記回転軸部材の前記中心軸までの前後方向の距離よりも長い、請求項1に記載されたプリンタ。
【請求項5】
前記支持台に支持された前記媒体が後方に引き戻されたとき、引き戻された前記媒体が通過する引き戻り経路と、
前記引き戻り経路の少なくとも一部を形成し、前記ロール紙ホルダの後方かつ前記支持台の下方に配置され、前記フランジ部材の前記床面に最も近い部分と前記床面との間に向かって下方に傾斜する引き戻りガイド部材と、
を備えた、請求項4に記載されたプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、本体と、本体に支持され、かつ、記録媒体を支持するプラテンと、プラテンの前方に配置されたエプロンとを備えた記録装置が開示されている。この記録装置では、記録媒体がロール状に巻かれたロール紙を保持する保持装置が、本体の前部に設けられている。保持装置に保持されたロール紙から展開された記録媒体は、本体の後部を通り、後方からプラテンに到達してプラテンに支持される。プラテンに支持された記録媒体は、エプロン上を通り、エプロンの前方に搬送される。
【0003】
特許文献1に開示された記録装置では、ロール紙を保持する保持装置が本体の前部に設けられているため、作業者は、本体の前方からロール紙を保持装置に手動で保持させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示された記録装置では、保持装置に保持されたロール紙の前端は、エプロンの前端よりも後方に配置されている。作業者がロール紙を保持装置に保持させる作業を容易にする観点から、保持装置に保持されたロール紙は、できるだけ前方に配置されていることが好ましい。しかしながら、ロール紙をより前方に配置し過ぎると、エプロンから前方に搬送された記録媒体が、保持装置に保持されたロール紙の回転時に、ロール紙よりも後方に入り込む。その結果、エプロンから前方に搬送された記録媒体が、ロール紙よりも後方の空間に溜まることにより、記録媒体が傷付くおそれがある。また、記録媒体がロール紙よりも後方の空間に溜まることで、記録媒体の搬送を円滑に行えないおそれがある。
【0006】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ロール紙を保持させる作業を容易にしつつ、ロール紙から展開された媒体の搬送を円滑に行うことが可能なプリンタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るプリンタは、帯状の媒体が円筒状に捲回されたロール紙を保持するロール紙ホルダと、前記ロール紙ホルダから後方に引き出された前記媒体を支持する支持台とを備えている。前記ロール紙ホルダは、左右方向に延び、前記ロール紙に挿入される回転軸部材と、前記回転軸部材の一端部に設けられたフランジ部材と、を有している。前記回転軸部材の中心軸は、前記支持台の前端よりも後方に配置されている。前記フランジ部材の前端は、前記支持台の前端よりも前方に配置されている。
【0008】
例えば支持台に支持された媒体が前方に搬送されると、支持台の前方において下方に移動する。ここで、回転軸部材の中心軸が支持台の前端よりも後方に配置されていることで、支持台よりも前方に搬送された媒体が、支持台とフランジ部材との間から、回転軸部材よりも後方に入り込み難くすることができる。そのため、媒体が回転軸部材よりも後方に入り込んで溜まり難く、かつ、傷つき難くすることができる。よって、媒体を円滑に搬送させることができる。また、前記プリンタによれば、フランジ部材の前端が、支持台の前端よりも前方に配置されていることで、ロール紙ホルダを出来るだけ前方の位置に配置することができる。よって、ロール紙ホルダの前方からロール紙ホルダにロール紙を保持させる作業を容易に行うことができる。したがって、媒体を円滑に搬送させつつ、ロール紙ホルダの前方からロール紙ホルダにロール紙を保持させる作業を容易に行うことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ロール紙を保持させる作業を容易にしつつ、ロール紙から展開された媒体の搬送を円滑に行うことが可能なプリンタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係るプリンタを示す斜視図である。
【
図2】実施形態に係るプリンタを示す正面図である。
【
図3】インクジェットヘッドおよびカッティングヘッドを示す正面図である。
【
図4】実施形態に係るプリンタを示す右側面断面図である。
【
図6】媒体が引き戻された状態を示す
図4相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の一形態について説明する。なお、ここで説明される実施形態は、当然ながら本発明を特に限定することを意図したものではない。また、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は適宜省略または簡略化する。
【0012】
図1は、実施形態に係るプリンタ10を示す斜視図である。
図2は、実施形態に係るプリンタ10を示す正面図である。以下の説明では、左、右、上、下とは、プリンタ10の正面にいるユーザから見た左、右、上、下をそれぞれ意味することとする。また、プリンタ10から上記ユーザに近づく方を前方、上記ユーザから遠ざかる方を後方とする。図面中の符号F、Rr、L、R、U、Dは、それぞれ前、後、左、右、上、下を表している。図面中の符号Yは主走査方向を示している。本実施形態では、主走査方向Yは左右方向である。図面中の符号Xは副走査方向を示している。副走査方向Xは、平面視において主走査方向Yと交差(詳しくは直交)している。本実施形態では、副走査方向Xは前後方向である。副走査方向Xは、搬送方向の一例である。図面中の符号Zは上下方向を示している。本実施形態では、上下方向Zは、主走査方向Yおよび副走査方向Xと直交している。ただし、これら方向は便宜的に定めたものに過ぎず、限定的に解釈すべきものではない。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係るプリンタ10は、帯状の媒体5に対して印刷および切断(カッティング)が可能なプリント&カット機である。ただし、プリンタ10は、印刷機能を有し、切断機能を有していなくてもよい。プリンタ10は、いわゆるインクジェット方式のプリンタであり、インクジェットプリンタである。ただし、プリンタ10の印刷の方式は、インクジェット方式に限定されず、例えばドットインパクト方式のプリンタであってもよいし、レーザプリンタやサーマルプリンタであってもよい。
【0014】
本実施形態では、媒体5は、例えば記録紙である。ただし、媒体5は、記録紙に限定されない。例えば媒体5は、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステルなどの樹脂材料から形成されたシートや、台紙と台紙上に積層されかつ粘着剤が塗布された剥離紙とからなるシール材であってもよい。本明細書において「切断」、「カッティング」には、媒体5の厚み方向の全体を切断する場合(例えば、シール材の台紙および剥離紙の両方を切断する場合)と、媒体5の厚み方向の一部を切断する場合(例えば、シール材の台紙は切断せず、剥離紙のみを切断する場合)とが含まれる。本実施形態では、帯状の媒体5が円筒状に捲回された状態でプリンタ10に保持される。以下、円筒状に捲回された帯状の媒体5のことをロール紙6という。
【0015】
図1に示すように、プリンタ10は、箱状に形成されたプリンタ本体10aを備えている。プリンタ本体10aには、内部空間12Sが形成されている。プリンタ本体10aは、フロントカバー23を含む。ここでは、フロントカバー23は、上端を軸に回転可能に、プリンタ本体10aに支持されている。フロントカバー23を上方に回転させることによって、プリンタ本体10aの内部空間12Sと外部空間とが連通される。内部空間12Sは、後述するインクジェットヘッド21(
図2参照)によって媒体5に印刷が行われたり、後述のカッティングヘッド31(
図2参照)によって媒体5が切断されたりする空間である。このように、内部空間12Sがフロントカバー23によって覆われていることによって、印刷中などにおいて外部の塵や埃が内部空間12Sに入り込み難い。
【0016】
図1に示すように、フロントカバー23の下部には、窓23Aが設けられている。窓23Aは、例えば透明または半透明のアクリル板によって形成されている。窓23Aには、外部からの光(例えば紫外線)が内部空間12Sに到達し難いように処理が施されている。ユーザは、窓23Aを通じてプリンタ本体10aの内部(ここでは内部空間12S)を視認することが可能である。
【0017】
次に、プリンタ10の内部の構成について説明する。
図3は、インクジェットヘッド21およびカッティングヘッド31を示す正面図である。
図4は、プリンタ10を示す右側面断面図である。
図4に示すように、プリンタ10は、支持台55を備えている。支持台55は、媒体5を支持するものである。ここでは、支持台55は、プラテン60と、上流側エプロン62と、下流側エプロン64とを備えている。
【0018】
プラテン60は、媒体5への印刷、および、媒体5を切断する際、媒体5を支持するものである。プラテン60は、媒体5を支持する支持面61を有している。支持面61は、プラテン60の上面を構成しており、主走査方向Yおよび副走査方向Xに広がった平らな面である。ここでは、支持面61に媒体5が載置される。媒体5への印刷、および、媒体5の切断は、支持面61で行われる。
【0019】
本実施形態では、媒体5は、印刷時において、プラテン60上を副走査方向Xの上流側から下流側に向かって搬送される。ここで、副走査方向Xの上流側とは、プラテン60の後方側のことをいう。搬送方向Xの下流側とは、プラテン60の前方側のことをいう。ここでは、媒体5は、印刷時、プラテン60に対して後方から前方に向かって搬送される。
【0020】
上流側エプロン62は、プラテン60における副走査方向Xの上流側、ここではプラテン60の後方に配置されている。上流側エプロン62は、例えば横断面円弧状に形成されている。上流側エプロン62は、プラテン60から後方に離れるほど下方に向かうように湾曲した上流側湾曲面63を有している。上流側湾曲面63は、上流側エプロン62の上面を構成している。下流側エプロン64は、プラテン60における副走査方向Xの下流側、ここではプラテン60の前方に配置されている。下流側エプロン64は、例えば横断面円弧状に形成されている。下流側エプロン64は、本発明のエプロンの一例である。下流側エプロン64は、プラテン60から前方に離れるほど下方に向かうように湾曲した下流側湾曲面65を有している。下流側湾曲面65は、下流側エプロン64の上面を構成している。本実施形態では、下流側エプロン64の少なくとも前端部は、内部空間12S(
図1参照)から外部(ここでは前方)に突出している。
【0021】
図2に示すように、プリンタ10は、ガイドレール15と、キャリッジ17と、インクジェットヘッド21と、カッティングヘッド31と、ヘッド移動機構40と、搬送機構50と、ロール紙ホルダ70と、支持ホルダ80と、を備えている。ガイドレール15は、プラテン60および下流側エプロン64よりも上方に配置されている。図示は省略するが、ガイドレール15は、上流側エプロン62よりも上方に配置されている。ガイドレール15は、主走査方向Yに延びている。ガイドレール15は、例えばプリンタ本体10a内において主走査方向Yに延びた本体フレーム19に固定されている。
【0022】
図2に示すように、キャリッジ17は、ガイドレール15に支持され、ガイドレール15に対して主走査方向Yに摺動可能に構成されている。ここでは、キャリッジ17は、プラテン60の真上であって、平面視においてプラテン60と副走査方向Xに重なる位置に配置されている。ここでは、キャリッジ17は、インクヘッドキャリッジ20と、カッティングキャリッジ30とを有している。インクヘッドキャリッジ20には、インクジェットヘッド21が設けられている。カッティングキャリッジ30には、カッティングヘッド31が設けられている。ここでは、キャリッジ17が主走査方向Yに移動すると、インクジェットヘッド21およびカッティングヘッド31が主走査方向Yに移動する。本実施形態では、カッティングキャリッジ30は、インクヘッドキャリッジ20の左方に配置されているが、インクヘッドキャリッジ20の右方に配置されていてもよい。ここでは、
図3に示すように、インクヘッドキャリッジ20とカッティングキャリッジ30とは、連結部材29を介して相互に連結されている。そのため、インクヘッドキャリッジ20とカッティングキャリッジ30とは、同時に主走査方向Yに移動する。
【0023】
インクジェットヘッド21は、プラテン60に支持された媒体5に印刷を行う。インクジェットヘッド21は、主走査方向Yに移動可能に構成されている。インクジェットヘッド21は、インクを吐出する複数のノズル(図示せず)を有する記録ヘッド22を有している。なお、記録ヘッド22の数は特に限定されない。本実施形態では、記録ヘッド22の数は5つであり、5つの記録ヘッド22が、インクヘッドキャリッジ20に支持されている。5つの記録ヘッド22は、主走査方向Yに並んで配置されている。5つの記録ヘッド22は、互いに異なる色のインクを吐出する。ここでは、各記録ヘッド22は、シアンインク、マゼンタインク、イエローインクおよびブラックインクなどのプロセスカラーインク、ならびに、クリアインク、ホワイトインクなどのプロセスカラーインクとは異なる特色インクのうちの何れかの色のインクを吐出する。
【0024】
カッティングヘッド31は、プラテン60に支持された媒体5を切断する。カッティングヘッド31は、主走査方向Yに移動可能に構成されている。
図3に示すように、カッティングヘッド31は、ソレノイド32と、カッター33とを備えている。カッター33は、ソレノイド32を介してカッティングキャリッジ30に取り付けられている。ここでは、ソレノイド32がON/OFFされると、カッター33は、上下方向Zに移動して媒体5に接触し、あるいは媒体5から離反する。本実施形態では、カッター33は、例えばカットデータに基づいて媒体5を切断するものであり、直線状の他に曲線状に媒体5を切断することが可能である。
【0025】
ヘッド移動機構40は、プラテン60に支持された媒体5に対して、キャリッジ17(言い換えると、インクジェットヘッド21およびカッティングヘッド31)を相対的に主走査方向Yに移動させる。ヘッド移動機構40は、キャリッジ17を主走査方向Yに移動させる。なお、ヘッド移動機構40の構成は特に限定されない。
図2に示すように、ヘッド移動機構40は、左右のプーリ41、42と、ベルト43と、キャリッジモータ44とを備えている。左のプーリ41は、ガイドレール15の左端部の周囲に設けられている。右のプーリ42は、ガイドレール15の右端部の周囲に設けられている。ベルト43は、例えば無端状であり、左右のプーリ41、42に巻き掛けられている。ベルト43は、キャリッジ17の背面上部に固定されている。ここでは、左のプーリ41にキャリッジモータ44が接続されている。本実施形態では、キャリッジモータ44が駆動して、左のプーリ41が回転することによって、左右のプーリ41、42の間においてベルト43が走行する。このことによって、キャリッジ17は主走査方向Yに移動する。キャリッジ17が主走査方向Yに移動することによって、インクヘッドキャリッジ20およびカッティングキャリッジ30が主走査方向Yに移動し、インクジェットヘッド21(ここでは5つの記録ヘッド22)、および、カッティングヘッド31(ここではカッター33)が主走査方向Yに移動する。
【0026】
搬送機構50は、プラテン60に支持された媒体5をキャリッジ17に対して副走査方向Xに移動させるものである。ここでは、搬送機構50は、プラテン60に支持された媒体5を副走査方向Xに移動させる。なお、搬送機構50の構成は特に限定されない。本実施形態では、搬送機構50は、グリットローラ51と、ピンチローラ52と、フィードモータ53とを備えている。グリットローラ51は、プラテン60に設けられている。ここでは、
図4に示すように、グリットローラ51は、グリットローラ51の上部が外部に露出するように、プラテン60に埋設されている。
図2に示すように、グリットローラ51は主走査方向Yに並列している。なお、グリットローラ51の数は特に限定されない。ピンチローラ52は、グリットローラ51の上方に配置されている。ピンチローラ52は、グリットローラ51と共に媒体5を挟むものであり、媒体5を押さえ付けるものである。フィードモータ53は、グリットローラ51に接続されている。ここでは、グリットローラ51とピンチローラ52との間に媒体5が挟まれた状態で、フィードモータ53が駆動することで、グリットローラ51が回転する。グリットローラ51が回転することで、プラテン60に支持された媒体5は、搬送方向Xに搬送される。プラテン60に支持された媒体5は、搬送機構50によって、プラテン60に対して前方から後方、または後方から前方に向かって搬送される。
【0027】
次に、ロール紙ホルダ70について説明する。
図2に示すように、ロール紙ホルダ70は、帯状の媒体5が円筒状に捲回されたロール紙6を保持するものである。ロール紙ホルダ70に保持されたロール紙6が展開された後の媒体5は、支持台55に供給される。支持台55は、ロール紙ホルダ70から後方に引き出された媒体5を支持するように構成されている。
【0028】
図4に示すように、ロール紙ホルダ70は、プリンタ本体10aの前部かつ下部に配置されている。ロール紙ホルダ70は、プラテン60、上流側エプロン62および下流側エプロン64よりも下方に配置されている。また、ロール紙ホルダ70の少なくとも一部は、プラテン60および下流側エプロン64よりも前方に配置され、ロール紙ホルダ70の全体は、上流側エプロン62よりも前方に配置されている。更に、ロール紙ホルダ70の少なくとも一部は、インクジェットヘッド21およびカッティングヘッド31よりも前方に配置される。ここでは、作業者は、プリンタ10の前方から、ロール紙ホルダ70にロール紙6を保持させる作業を行うことができる。
【0029】
ロール紙ホルダ70に保持されたロール紙6から展開された媒体5は、プリンタ本体10aを通り(プラテン60の下方を通り)、上流側エプロン62において上流側湾曲面63上を通過し、プラテン60に支持される(支持面61に載置される)。プラテン60に支持された媒体5は、下流側エプロン64に向かって搬送され、下流側エプロン64において下流側湾曲面65上を通過し、その後、下流側エプロン64の前方に搬送される。
【0030】
図5は、ロール紙ホルダ70を示す正面図である。
図5では、ロール紙6が省略されている。
図5に示すように、ロール紙ホルダ70は、回転軸部材71と、フランジ部材72と、位置決めフランジ部材76とを備えている。
図2に示すように、回転軸部材71は、主走査方向Yに延び、ロール紙6に挿入される。回転軸部材71は、支持ホルダ80に支持される部分である。回転軸部材71の主走査方向Yの長さは、プラテン60の主走査方向Yの長さよりも長い。ここでは、回転軸部材71の中心軸71aは主走査方向Yに延びている。ロール紙6は、回転軸部材71が挿入された状態において中心軸71a周りに回転可能である。
【0031】
フランジ部材72は、回転軸部材71の一端部に設けられ、ロール紙6の主走査方向Yの一端部がフランジ部材72に当接可能である。本実施形態では、フランジ部材72の数は2つであり、回転軸部材71の左右の両端部に設けられている。ただし、フランジ部材72は、1つであってもよく、回転軸部材71の左方および右方の何れか一方に設けられてもよい。ここでは、フランジ部材72は、回転軸部材71の右端部に設けられ、ロール紙6の右端部6Rが当接可能な右フランジ部材72Rと、回転軸部材71の左端部に設けられ、ロール紙6の左端部6Lが当接可能な左フランジ部材72Lとを有している。
【0032】
右フランジ部材72Rは、回転軸部材71に固定されている。右フランジ部材72Rは、ロール紙6が右方に移動することを規制する部材である。
図4に示すように、右フランジ部材72Rは、円盤状に形成されている。本実施形態では、右フランジ部材72Rには、主走査方向Yに貫通する貫通孔72RHが形成されている。ここでは、右フランジ部材72Rには、右フランジ部材72Rの周方向に沿って3つの貫通孔72RHが形成されている。貫通孔72RHは、等間隔に並んでいる。貫通孔72RHは、右フランジ部材72Rの周方向に延びる長円形状に形成されている。
【0033】
本実施形態では、
図5に示すように、右フランジ部材72Rの左方には、右保持部73Rが設けられている。右フランジ部材72Rの右方には、右円筒部74Rが設けられている。ここでは、右フランジ部材72R、右保持部73Rおよび右円筒部74Rは、一体的に形成されている。右保持部73Rは、ロール紙6の右端部6R(
図2参照)を保持する。ここでは、右保持部73Rは、ロール紙6の右端部6Rに挿入され、かつ、嵌め込まれる。右保持部73Rは、円筒状に形成されており、右保持部73Rの直径は、右フランジ部材72Rの直径よりも小さい。右円筒部74Rには、固定ピン75が周方向から挿入される。この固定ピン75によって、右円筒部74Rは、回転軸部材71に固定されている。右円筒部74Rは、円筒状に形成されており、右円筒部74Rの直径は、右保持部73Rの直径よりも小さい。
【0034】
図5に示すように、左フランジ部材72Lは、回転軸部材71の左端部に設けられている。ここでは、左フランジ部材72Lは、回転軸部材71に沿って主走査方向Yに移動可能に設けられている。左フランジ部材72Lは、回転軸部材71に固定されていない。左フランジ部材72Lは、ロール紙6が左方に移動することを規制する部材である。左フランジ部材72Lは、円盤状に形成されている。図示は省略するが、左フランジ部材72Lには、右フランジ部材72Rと同様の貫通孔が形成されている。本実施形態では、左フランジ部材72Lの直径と、右フランジ部材72Rの直径は同じである。
【0035】
本実施形態では、左フランジ部材72Lの右方には、左保持部73Lが設けられている。左フランジ部材72Lの左方には、左円筒部74Lが設けられている。ここでは、左フランジ部材72L、左保持部73Lおよび左円筒部74Lは、一体的に形成されている。左保持部73Lは、ロール紙6の左端部6L(
図2参照)を保持する。ここでは、左保持部73Lは、ロール紙6の左端部6Lに挿入され、かつ、嵌め込まれる。左保持部73Lは、円筒状に形成されている。左保持部73Lの直径は、左フランジ部材72Lの直径よりも小さい。左保持部73Lの直径は、右保持部73Rの直径と同じである。左円筒部74Lは円筒状に形成されており、左円筒部74Lの直径は、左保持部73Lの直径よりも小さい。
【0036】
図5に示すように、位置決めフランジ部材76は、右フランジ部材72Rよりも右方に配置されている。位置決めフランジ部材76は、回転軸部材71に固定されている。ここでは、位置決めフランジ部材76と、右フランジ部材72Rとの相対的な位置関係は変化しない。位置決めフランジ部材76は、円盤状に形成されている。ここでは、位置決めフランジ部材76の直径は、右フランジ部材72Rの直径よりも小さく、かつ、左フランジ部材72Lの直径よりも小さい。位置決めフランジ部材76は、後述する位置決め決定部材83に収容されるものである。
【0037】
支持ホルダ80は、ロール紙ホルダ70を着脱可能かつ回転可能に支持する。支持ホルダ80は、プリンタ本体10aに設けられている。図示は省略するが、支持ホルダ80は、プラテン60、上流側エプロン62および下流側エプロン64よりも下方に配置されている。支持ホルダ80は、プラテン60よりも前方に配置されている。
図5に示すように、支持ホルダ80は、左支持部材81Lと、右支持部材81Rと、位置決め決定部材83とを備えている。
【0038】
左支持部材81Lおよび右支持部材81Rは、回転軸部材71を着脱可能かつ回転可能に支持する。左支持部材81Lおよび右支持部材81Rは、プリンタ本体10aに設けられている。
図2に示すように、左支持部材81Lおよび右支持部材81Rは、プラテン60よりも下方に設けられている。ここでは、左支持部材81Lは、プラテン60よりも左方に設けられ、右支持部材81Rは、プラテン60よりも右方に設けられている。本実施形態では、
図1に示すように、右支持部材81Rには、後斜め下方に凹んだ右凹部82Rが形成されている。左支持部材81Lには、後斜め下方に凹んだ左凹部82Lが形成されている。左凹部82Lおよび右凹部82Rには、回転軸部材71が回転可能に配置される。ここでは、左凹部82Lおよび右凹部82Rの前方から、回転軸部材71を左凹部82Lおよび右凹部82R内に配置することができる。
【0039】
図5に示すように、位置決め決定部材83は、右支持部材81Rに設けられている。位置決め決定部材83は、右支持部材81Rの左方に配置されている。位置決め決定部材83は、左支持部材81Lおよび右支持部材81Rに回転軸部材71が支持された状態において、位置決めフランジ部材76の一部を収容する。位置決め決定部材83は、位置決めフランジ部材76の主走査方向Yの位置を決定する。すなわち、位置決め決定部材83に位置決めフランジ部材76の一部が収容されることで、ロール紙ホルダ70の支持ホルダ80に対する位置が一義的に定まる。本実施形態では、位置決め決定部材83には、挿入孔83Hが形成されている。挿入孔83Hは、位置決め決定部材83の上面から下方に向かって形成されており、位置決めフランジ部材76の一部が挿入される。このように、挿入孔83Hに位置決めフランジ部材76の一部が挿入されることで、支持ホルダ80に対するロール紙ホルダ70の位置が決定する。
【0040】
本実施形態では、
図4に示すように、プリンタ本体10aには、ロール紙ホルダ70から供給された媒体5(すなわち、ロール紙ホルダ70に保持されたロール紙6から展開された媒体5)が通過する搬送経路90が形成されている。搬送経路90は、ロール紙ホルダ70からプラテン60の後方に亘って形成されている。より詳しくは、搬送経路90は、ロール紙ホルダ70から後方に延び、かつ、上流側エプロン62の後端に向かうように後斜め上方に延びている。その後、搬送経路90は、上流側エプロン62の上流側湾曲面63上を通過して、プラテン60の後方に到達する。
【0041】
本実施形態では、プリンタ本体10aには、搬送経路90の一部をガイドするガイド部材91が設けられている。ガイド部材91は、上流側エプロン62の上方において、上流側湾曲面63と離間し、かつ、上流側湾曲面63に沿うような板状の形状である。本実施形態では、ガイド部材91は、上流側エプロン62の上方において、前斜め下方に延びた第1ガイド部分91aと、第1ガイド部分91aの下端から後斜め下方に延びた第2ガイド部分91bと、第2ガイド部分91bの下端から下方に延びた第3ガイド部分91cと、第3ガイド部分91cの下端から後斜め下方に延びた第4ガイド部分91dとを有している。ここでは、第3ガイド部分91cは、上流側エプロン62から所定の間隔だけ離れるように、上流側エプロン62の後方に配置されている。このように、ガイド部材91と上流側エプロン62の上流側湾曲面63との間の隙間が、搬送経路90の一部となる。
【0042】
本実施形態では、
図4に示すように、印刷時、媒体5は、搬送経路90を通って、プラテン60の後方から前方に向かって搬送方向Xに搬送される。
図6は、媒体5が引き戻された状態を示す
図4相当図である。一方、媒体5への切断時、媒体5は、プラテン60の後方から前方に向かって搬送されたり、
図6に示すように、プラテン60の前方から後方に引き戻されたりする。切断時に媒体5が引き戻されると、媒体5は、プラテン60から上流側エプロン62に搬送され、その後、上流側エプロン62の後端から下方に搬送されることになる。本実施形態では、プリンタ本体10aには、支持台55(例えばプラテン60)に支持された媒体5が後方に引き戻されたとき、引き戻された媒体5が通過する引き戻り経路95が形成されている。この引き戻り経路95は、一部が搬送経路90と重なっている。ここでは、引き戻り経路95は、プラテン60の後方から上流側エプロン62の上流側湾曲面63上を沿うように延び、かつ、上流側エプロン62の後端から下方に延びる。その後、引き戻り経路95は、前斜め下方に延び、かつ、ロール紙ホルダ70の下方を通過する。
【0043】
本実施形態では、プリンタ本体10aには、引き戻り経路95の一部をガイドする引き戻りガイド部材96が設けられている。引き戻りガイド部材96は板状の部材である。引き戻りガイド部材96は、引き戻り経路95の少なくとも一部(ここでは、前斜め下方に延びた引き戻り経路95の下縁に沿うように)を形成している。引き戻りガイド部材96は、ロール紙ホルダ70の後方、かつ、支持台55の下方に配置され、フランジ部材72の床面F1に最も近い部分と床面F1との間に向かって下方に傾斜している。引き戻りガイド部材96は、ロール紙ホルダ70の後方であって、プラテン60および上流側エプロン62の下方に配置されている。引き戻りガイド部材96は、前斜め下方に向かって傾斜している。本実施形態では、引き戻りガイド部材96の下端は、ロール紙ホルダ70(詳しくは側面視におけるフランジ部材72)よりも下方に位置している。
【0044】
本実施形態では、
図4に示すように、ロール紙ホルダ70に保持されたロール紙6から媒体5を後方に引き出し、搬送経路90を通過して、プラテン60に支持させる一連の作業を作業者が手動で行う。そこで、正面視において、ロール紙ホルダ70の上方には、作業者が上記の一連の作業を行うための作業空間100が形成されている。ここでは、ロール紙ホルダ70と支持台55(例えばプラテン60)との間には、隔壁101が設けられている。隔壁101は、主走査方向Yおよび副走査方向Xに延びた板状のものである。作業空間100は、側面視においてフランジ部材72と隔壁101との間に形成された空間である。作業空間100は、搬送経路90と連通している。そのため、作業者は、前方から作業空間100内に手を伸ばして、搬送経路90に到達することができる。
【0045】
次に、ロール紙ホルダ70の配置位置について説明する。本実施形態では、
図4に示すように、ロール紙ホルダ70は、プリンタ本体10aの前部に配置されている。ここでは、ロール紙ホルダ70において、回転軸部材71の中心軸71aは、下流側エプロン64の前端64Fよりも後方に配置されている。回転軸部材71の前端は、下流側エプロン64の前端64Fよりも後方に配置されている。ここでは、下流側エプロン64の前端64Fから回転軸部材71の中心軸71aまでの副走査方向X(ここでは前後方向)の距離D11は、45mm以上である。また、本実施形態では、ロール紙ホルダ70において、フランジ部材72(ここでは左フランジ部材72Lおよび右フランジ部材72R)の前端72Fは、下流側エプロン64の前端64Fよりも前方に配置されている。すなわち、側面視において、下流側エプロン64の前端64Fは、フランジ部材72の前端72Fと、回転軸部材71の中心軸71aとの間に位置している。また、ここでは、ロール紙ホルダ70に保持されたロール紙6が最大径(すなわち、ロール紙6が新品であり、使用されていない状態)のときにおけるロール紙6の前端は、下流側エプロン64の前端64Fよりも前方に配置されている。なお、本実施形態では、下流側エプロン64の前端64Fとは、支持台55の前端64Fと同じ意味である。
【0046】
上述のように、作業空間100は、正面視において隔壁101とフランジ部材72との間の空間である。ここで、隔壁101からフランジ部材72の上下方向Zの最も高い位置までの作業空間100における上下方向Zの上下空間長さL11は、作業者が手を入れることができる程度の長さである。ここでは、作業空間100における上下空間長さL11は、フランジ部材72の上下方向Zの長さの1/2(言い換えると、フランジ部材72の半径L21)よりも長い。ここで、フランジ部材72とは、左フランジ部材72Lのことであり、かつ、右フランジ部材72Rのことでもある。例えば作業空間100における上下空間長さL11は、90mm以上である。また、作業空間100における上下空間長さL11は、フランジ部材72の上下方向Zの長さ(言い換えると、フランジ部材72の直径L22)よりも短い。なお、ここでの作業空間100における上下空間長さL11とは、作業空間100の前方の開口部分の上下方向Zの大きさのことをいう。
【0047】
本実施形態では、プリンタ本体10aは、床面F1に設置されている。ロール紙ホルダ70は、床面F1から上方に離間するように配置されている。ここで、床面F1から、フランジ部材72の床面F1に最も近い部分(例えばフランジ部材72の下端)までの上下方向Zの距離のことを距離D12という。ここでは、床面F1からフランジ部材72までの上下方向Zの距離D12は、作業空間100の上下空間長さL11よりも短い。また、床面F1からフランジ部材72までの上下方向Zの距離D12は、下流側エプロン64の前端64Fから回転軸部材71の中心軸71aまでの前後方向(副走査方向X)の距離D11よりも長い。例えば床面F1から、フランジ部材72の床面F1に最も近い部分までの上下方向Zの距離D12は、65mm以上である。
【0048】
本実施形態では、
図2に示すように、回転軸部材71にロール紙6が挿入された状態のロール紙ホルダ70を支持ホルダ80に支持させる。このとき、回転軸部材71の左右の両端部を、支持ホルダ80の左支持部材81Lの左凹部82L、および、右支持部材81Rの右凹部82Rに配置し、位置決めフランジ部材76の一部を位置決め決定部材83の挿入孔83Hに挿入する。このことによって、ロール紙ホルダ70を支持ホルダ80に支持させることができる。
【0049】
次に、作業者は、ロール紙6から展開された媒体5をプラテン60に支持させる。ここでは、
図4に示すように、ロール紙ホルダ70に保持されたロール紙6から後方に向けて媒体5を展開させる。このとき、作業者は、作業空間100内に手を入れた状態で、プリンタ本体10aの前方から、ロール紙6から展開された媒体5を手で掴む。その後、上流側エプロン62の上流側湾曲面63とガイド部材91との間に形成された搬送経路90に、手で掴んだ媒体5を差し込む。上流側エプロン62とガイド部材91との間の搬送経路90に差し込まれた媒体5は、ガイド部材91に沿ってプラテン60に移動し、プラテン60の支持面61上においてプラテン60に支持される。その後、プラテン60の支持面61上においてグリットローラ51とピンチローラ52とで媒体5を挟むことで、媒体5を搬送することができる。
【0050】
以上、本実施形態では、
図4に示すように、プリンタ10は、帯状の媒体5が円筒状に捲回されたロール紙6を保持するロール紙ホルダ70と、ロール紙ホルダ70から後方に引き出された媒体5を支持する支持台55とを備えている。
図2に示すように、ロール紙ホルダ70は、主走査方向Yに延び、ロール紙6に挿入される回転軸部材71と、回転軸部材71の一端部に設けられたフランジ部材72とを有している。
図4に示すように、回転軸部材71の中心軸71aは、支持台55(ここでは下流側エプロン64)の前端64Fよりも後方に配置されている。フランジ部材72の前端72Fは、支持台55(ここでは下流側エプロン64)の前端64Fよりも前方に配置されている。本実施形態によれば、例えば下流側エプロン64に支持された媒体5が前方に搬送されると、下流側エプロン64の前方において下方、すなわちフランジ部材72の上方に移動する。ここで、回転軸部材71の中心軸71aが下流側エプロン64の前端64Fよりも後方に配置されていることで、下流側エプロン64よりも前方に搬送された媒体5が、下流側エプロン64とフランジ部材72(またはロール紙6)の間から、回転軸部材71よりも後方に入り込み難くすることができる。そのため、下流側エプロン64とフランジ部材72(またはロール紙6)の間から回転軸部材71よりも後方に入り込み、ロール紙6よりも後方の空間に媒体5が溜まり難く、かつ、傷付け難くすることができる。よって、媒体5を円滑に搬送させることができる。また、本実施形態では、フランジ部材72の前端72Fが、下流側エプロン64の前端64Fよりも前方に配置されていることで、ロール紙ホルダ70を出来るだけ前方の位置に配置することができる。よって、プリンタ10の前方からフランジ部材72を掴んでロール紙ホルダ70にロール紙6を保持させる際に、下流側エプロン64に干渉せずに、ロール紙ホルダ70の前方からロール紙ホルダ70にロール紙6を保持させる作業を容易に行うことができる。したがって、媒体5を円滑に搬送させつつ、ロール紙ホルダ70の前方からロール紙ホルダ70にロール紙6を保持させる作業を容易に行うことができる。
【0051】
本実施形態では、
図4に示すように、下流側エプロン64の前端64Fから回転軸部材71の中心軸71aまでの前後方向(副走査方向X)の距離D11は、45mm以上である。このように距離D11を45mm以上にすることで、回転軸部材71の中心軸71aの位置をより後方にすることができる。よって、下流側エプロン64よりも前方に搬送された媒体5が、下流側エプロン64とフランジ部材72(またはロール紙6)の間から回転軸部材71より後方に入り込み難くすることができる。
【0052】
本実施形態では、
図4に示すように、ロール紙ホルダ70は、支持台55よりも下方に配置されている。プリンタ10は、ロール紙ホルダ70と支持台55との間に設けられ、前後方向(副走査方向X)に延びた隔壁101を備えている。側面視において、隔壁101とフランジ部材72との間には、搬送経路90と連通した作業空間100が形成されている。ここで、隔壁101からフランジ部材72の上下方向Zの最も高い位置までの作業空間100における上下方向Zの上下空間長さL11は、フランジ部材72の上下方向Zの長さの1/2(言い換えると、フランジ部材72の半径L21)よりも長い。このことによって、作業空間100における上下空間長さL11を長くすることができる。よって、作業者は、前方から作業空間100内に手を伸ばして、ロール紙ホルダ70に保持されたロール紙6から展開された媒体5を、プラテン60に支持させる作業を行い易くすることができる。
【0053】
本実施形態では、作業空間100における上下空間長さL11は、90mm以上である。このことによって、作業者は、前方から作業空間100内に容易に手を入れることができる。よって、作業者は、前方から作業空間100内に手を伸ばして、ロール紙ホルダ70に保持されたロール紙6から展開された媒体5を、プラテン60に支持させる作業をより行い易くすることができる。
【0054】
本実施形態では、作業空間100における上下空間長さL11は、フランジ部材72の上下方向Zの長さ(言い換えると、フランジ部材72の直径L22)よりも短い。このことによって、作業空間100における上下空間長さL11を大きくし過ぎることを抑えることができる。よって、プリンタ10が大型化することを抑制しつつ、ロール紙ホルダ70に保持されたロール紙6から展開され媒体5を、プラテン60に支持させる作業者の作業を行い易くすることができる。
【0055】
本実施形態では、搬送機構50は、支持台55に支持された媒体5を、搬送方向(ここでは副走査方向X)の上流側から下流側、または下流側から上流側に搬送する。プリンタ本体10aは、床面F1に設置され、ロール紙ホルダ70、支持台55(ここでは、プラテン60、上流側エプロン62および下流側エプロン64)を支持する。床面F1から、フランジ部材72の床面F1に最も近い部分までの上下方向Zの距離D12は、下流側エプロン64の前端64Fから回転軸部材71の中心軸71aまでの前後方向(副走査方向X)の距離D11よりも長い。よって、床面F1からフランジ部材72の床面F1に最も近い部分までの上下方向Zの距離D12を長くすることができる。例えばプラテン60に支持された媒体5は後方に引き戻されることがあり得る。プラテン60から引き戻された媒体5は、側面視において床面F1とフランジ部材72の床面F1に最も近い部分との間に入り込むことがあり得る。側面視において床面F1と、フランジ部材72の床面F1に最も近い部分との間の距離が十分ではない場合、媒体5が引き戻された際に、ロール紙ホルダ70に保持され、かつ、捲回された媒体5が撓んで床面F1に垂れる。そして、支持台55から引き戻された媒体5が、床面F1に垂れた媒体5と床面F1の間に挟まれることによって紙詰まりを引き起こすことがあり得る。本実施形態では、床面F1からフランジ部材72の床面F1に最も近い部分との間の上下方向Zの距離D12を長くすることができるため、引き戻された媒体5が、床面F1とフランジ部材72の床面F1に最も近い部分との間の隙間を通り易くなり、媒体5が詰まり難くすることができる。
【0056】
本実施形態では、床面F1からフランジ部材72までの上下方向Zの距離D12は、65mm以上である。このことによって、床面F1とフランジ部材72との間の隙間の大きさを確保することができるため、引き戻された媒体5が、床面F1とフランジ部材72との間の隙間でより詰まり難くすることができる。
【0057】
本実施形態では、
図6に示すように、プリンタ10は、支持台55に支持された媒体5が後方に引き戻されたとき、引き戻された媒体5が通過する引き戻り経路95と、引き戻り経路95の少なくとも一部を形成し、ロール紙ホルダ70の後方かつ支持台55の下方に配置され、フランジ部材72の床面F1に最も近い部分と床面F1との間に向かって下方に傾斜する引き戻りガイド部材96と、を備えている。支持台55に支持された媒体5が後方に引き戻されたとき、後方に引き戻された媒体5が、引き戻り経路95を通り、かつ、引き戻り経路95の少なくとも一部を形成する引き戻りガイド部材96であって、フランジ部材72のうち床面F1に最も近い部分と、床面F1との間に向かって下方に傾斜する引き戻りガイド部材96に沿って移動される。よって、引き戻された媒体5は、支持台55の後方から引き戻りガイド部材96に沿って、床面F1と、フランジ部材72の床面F1に最も近い部分との間の隙間に導かれ易い。ここで、床面F1とフランジ部材72の床面F1に最も近い部分との間の隙間は確保されているため、引き戻された媒体5が、当該隙間に導かれ易くなった場合であっても、床面F1とフランジ部材72の床面F1に最も近い部分との間の隙間で詰まり難くすることができる。
【符号の説明】
【0058】
5 媒体
6 ロール紙
10 プリンタ
10a プリンタ本体
55 支持台
60 プラテン
64 下流側エプロン(エプロン)
64F 下流側エプロンの前端
70 ロール紙ホルダ
71 回転軸部材
71a 中心軸
72 フランジ部材
72F フランジ部材の前端
72L 左フランジ部材
72R 右フランジ部材
90 搬送経路
91 ガイド部材
95 引き戻り経路
96 引き戻りガイド部材
100 作業空間
101 隔壁