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特開2025-21686制御方法、プログラム、制御システム、および、作業機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021686
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】制御方法、プログラム、制御システム、および、作業機械
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20250206BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125584
(22)【出願日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今村 詩穂
(72)【発明者】
【氏名】八坂 賢史
(72)【発明者】
【氏名】鬼束 講介
【テーマコード(参考)】
5G503
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB01
5G503DA04
5G503FA06
5G503GB03
(57)【要約】
【課題】並列に接続される複数のバッテリを適切に利用することができる技術を提供する。
【解決手段】例示的な制御方法は、並列に接続される複数のバッテリを、前記バッテリごとに設けられるリレーを介して制御装置により制御する方法であって、前記バッテリに放電させることが可能な放電モードであることを検出することと、前記放電モードである場合に、前記複数のバッテリのうちの一部について前記リレーをオフからオンへ切り替えて前記複数のバッテリ間における電圧差の最大値を電圧閾値内とする放電処理を行うことと、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に接続される複数のバッテリを、前記バッテリごとに設けられるリレーを介して制御装置により制御する方法であって、
前記バッテリに放電させることが可能な放電モードであることを検出することと、
前記放電モードである場合に、前記複数のバッテリのうちの一部について前記リレーをオフからオンへ切り替えて前記複数のバッテリ間における電圧差の最大値を電圧閾値内とする放電処理を行うことと、
を備える、制御方法。
【請求項2】
前記放電モードであって前記電圧差の最大値が前記電圧閾値内である場合に、前記放電処理を行うことなく、前記複数のバッテリ全ての前記リレーをオフからオンに切り替えることを備える、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記放電処理においては、前記複数のバッテリのうち、最大電圧を有するバッテリとの電圧差が前記電圧閾値外となる低電圧バッテリ以外のバッテリの前記リレーがオンとされる、請求項1又は2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記放電処理においては、前記低電圧バッテリから前記低電圧バッテリでなくなったバッテリの前記リレーが、オフからオンへと切り替えられる、請求項3に記載の制御方法。
【請求項5】
前記複数のバッテリの充電残量に基づき前記放電処理を実行するか否かを判定することを備える、請求項1又は2に記載の制御方法。
【請求項6】
前記放電処理における前記バッテリの放電は、電圧を降圧変換するDC/DCコンバータを利用して行われる、請求項1又は2に記載の制御方法。
【請求項7】
前記複数のバッテリ全ての前記リレーがオンとされた場合、前記複数のバッテリは、前記DC/DCコンバータを介することなく電動モータへ電力を供給可能に設けられる、請求項6に記載の制御方法。
【請求項8】
並列に接続される複数のバッテリを、前記バッテリごとに設けられるリレーを介して制御装置により制御する方法であって、
前記バッテリに放電させることが可能な放電モードである場合に、前記複数のバッテリのうちの一部について前記リレーをオフからオンへ切り替えて前記複数のバッテリ間における電圧差の最大値を電圧閾値内とする放電処理を行うことと、
前記バッテリの充電を行う充電モードである場合に、前記複数のバッテリのうちの一部について前記リレーをオフからオンへ切り替えて前記電圧差の最大値を前記電圧閾値内とする充電処理を行うことと、
を備える、制御方法。
【請求項9】
前記放電モードであって前記電圧差の最大値が前記電圧閾値内である場合に、前記放電処理を行うことなく、前記複数のバッテリ全ての前記リレーをオフからオンに切り替えることを備える、請求項8に記載の制御方法。
【請求項10】
前記放電処理においては、前記複数のバッテリのうち、最大電圧を有するバッテリとの電圧差が前記電圧閾値外となる低電圧バッテリ以外のバッテリの前記リレーがオンとされる、請求項8又は9に記載の制御方法。
【請求項11】
前記放電処理においては、前記低電圧バッテリから前記低電圧バッテリでなくなったバッテリの前記リレーが、オフからオンへと切り替えられる、請求項10に記載の制御方法。
【請求項12】
前記複数のバッテリの充電残量に基づき前記放電処理を実行するか否かを判定することを備える、請求項8又は9に記載の制御方法。
【請求項13】
前記放電処理における前記バッテリの放電は、電圧を降圧変換するDC/DCコンバータを利用して行われる、請求項8又は9に記載の制御方法。
【請求項14】
前記複数のバッテリ全ての前記リレーがオンとされた場合、前記複数のバッテリは、前記DC/DCコンバータを介することなく電動モータへ電力を供給可能に設けられる、請求項13に記載の制御方法。
【請求項15】
並列に接続される複数のバッテリを、前記バッテリごとに設けられるリレーを介して制御装置により制御する方法であって、
前記バッテリの充電を行う充電モードであることを検出することと、
前記充電モードである場合に、前記複数のバッテリのうちの一部について前記リレーをオフからオンへ切り替えて前記複数のバッテリ間における電圧差の最大値を電圧閾値内とする充電処理を行うことと、
を備える、制御方法。
【請求項16】
並列に接続される複数のバッテリを、前記バッテリごとに設けられるリレーを介して制御する制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記コンピュータを、
前記バッテリに放電させることが可能な放電モードであることを検出することと、
前記放電モードである場合に、前記複数のバッテリのうちの一部について前記リレーをオフからオンへ切り替えて前記複数のバッテリ間における電圧差の最大値を電圧閾値内とする放電処理を行うことと、
を実行する手段として機能させる、プログラム。
【請求項17】
並列に接続される複数のバッテリと、
前記バッテリごとに設けられるリレーと、
前記リレーを介して前記複数のバッテリを制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、前記バッテリに放電させることが可能な放電モードである場合に、前記複数のバッテリのうちの一部について前記リレーをオフからオンへ切り替え、前記複数のバッテリ間における電圧差の最大値を電圧閾値内とする放電処理を行う、制御システム。
【請求項18】
前記放電処理による待機中であることを表示する表示装置を備える、請求項17に記載の制御システム。
【請求項19】
請求項17又は18に記載の制御システムと、
前記複数のバッテリから電力を供給される電動モータと、
前記電動モータの駆動により動かされる作業装置と、
を備える、作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、並列に接続される複数のバッテリを制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動モータを駆動することにより作業装置を動作させることができる電動式の作業機械が知られる(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、電動作業機が、電動モータと、電動モータに電力を供給するバッテリユニットとを備えることが開示される。特許文献1においては、バッテリユニットは、互いに並列に接続される複数のバッテリを備える。また、電動作業機は、バッテリから電動モータへの電力供給経路をバッテリ毎に接続状態と遮断状態とに切り換える接続切換部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-80703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
互いに並列に接続される複数のバッテリを備える電動作業機においては、バッテリ間に電圧差があると、バッテリ毎に備えられる接続切換部を同時に接続状態とした場合に、意図しない電流が生じる可能性がある。そして、意図しない電流が生じた場合に、機器の破損が生じる可能性がある。
【0006】
本発明は、並列に接続される複数のバッテリを適切に利用することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的な制御方法は、並列に接続される複数のバッテリを、前記バッテリごとに設けられるリレーを介して制御装置により制御する方法であって、前記バッテリに放電させることが可能な放電モードであることを検出することと、前記放電モードである場合に、前記複数のバッテリのうちの一部について前記リレーをオフからオンへ切り替えて前記複数のバッテリ間における電圧差の最大値を電圧閾値内とする放電処理を行うことと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
例示的な本発明によれば、並列に接続される複数のバッテリを適切に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】作業機械の概略の構成を示す側面図
図2】作業機械の概略の構成を示すブロック図
図3】制御システムの回路構成を示す概略図
図4】電動モータが利用される際の制御システムの状態を示す模式図
図5】並列間バランスをとる放電処理時における制御システムの状態を示す模式図
図6】並列間バランスをとる充電処理時における制御システムの状態を示す模式図
図7A】制御システムによって実行される制御処理の流れの一部を示すフローチャート
図7B】制御システムによって実行される制御処理の流れの他の一部を示すフローチャート
図7C】制御システムによって実行される制御処理の流れの図7Bとは異なる他の一部を示すフローチャート
図8】並列間バランスをとる放電処理について説明するための模式図
図9】制御システムが備える表示装置の画面例を示す模式図
図10】並列間バランスをとる充電処理について説明するための模式図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0011】
<1.作業機械>
図1は、本発明の実施形態に係る作業機械100の概略の構成を示す側面図である。なお、図1において、X方向は前後方向、Y方向は左右方向、Z方向は上下方向である。X方向については、矢印が向く側が前側で、その反対側が後側である。Y方向については、紙面手前側が左側、紙面奥側が右側である。Z方向については、矢印が向く側が上側であり、その反対側が下側である。
【0012】
作業機械100は、詳細にはバックホーである。作業機械100は、クローラ式の走行体101と、走行体101の上側に配置される旋回体102と、旋回体102に取り付けられる作業装置103とを備える。
【0013】
走行体101は、左右一対のクローラ101aと、左右一対の走行モータ102bと、を備える。各走行モータ102bは、油圧モータである。なお、走行モータ102bは電動モータとされてもよい。左右の走行モータ102bが、左右のクローラ101aをそれぞれ駆動することにより、作業機械100を前後進させることができる。
【0014】
旋回体102は、上下方向に延びる中心軸を中心として回転可能に、走行体101に搭載される。旋回体102は、油圧モータとして構成される不図示の旋回モータにより駆動される。なお、旋回モータは電動モータとされてもよい。旋回体102は、右旋回と左旋回とを可能に設けられる。
【0015】
ここで、旋回体102が図1に示す前方を向いた状態であることを前提として、作業装置103の説明を行う。作業装置103は、ブーム103a、アーム103b、および、バケット103cを備える。ブーム103a、アーム103b、および、バケット103cは、独立して動作可能に設けられ、これにより、土砂等の掘削作業を行うことができる。
【0016】
ブーム103aは、伸縮可能に設けられるブームシリンダ103dによって前後方向に揺動可能に設けられる。アーム103bは、伸縮可能に設けられるアームシリンダ103eによって鉛直面内で回動可能に設けられる。バケット103cは、伸縮可能に設けられるバケットシリンダ103fによって鉛直面内で回動可能に設けられる。作業装置103は、不図示のスイングシリンダによって左右方向に揺動可能に設けられる。ブームシリンダ103d、アームシリンダ103e、バケットシリンダ103f、および、スイングシリンダは、油圧シリンダにより構成される。
【0017】
図2は、作業機械100の概略の構成を示すブロック図である。図2に示すように、作業機械100は制御システム1を備える。また、作業機械100は、インバータ装置2と、電動モータ3と、パイロットポンプ4と、メインポンプ5と、電磁弁6と、リモコン弁7と、コントロールバルブ8と、油圧アクチュエータ9と、をさらに備える。なお、図2おける符号200は、交流電源である。本実施形態において、交流電源200は商用電源である。交流電源200は、本実施形態において作業機械100を構成する要素ではない。
【0018】
制御システム1は、詳細は後述するバッテリ121(図3等参照)に関わる制御を行うシステムである。制御システム1は、給電器11と、バッテリユニット12と、制御装置13と、を備える。
【0019】
給電器11は、交流電源200から電力を供給可能に設けられる。給電器11は、例えば、不図示のケーブルにより交流電源200に接続可能に設けられ、ケーブルの接続により交流電源200から電力を供給される。給電器11は、交流電源200の交流電圧を直流電圧に変換し、例えばバッテリユニット12へ電力を供給する。なお、給電器11は、インバータ装置2に電力を供給してもよい。
【0020】
バッテリユニット12は、詳細は後述するように、充電および放電を可能に設けられる複数のバッテリ121(図3等参照)を含む。各バッテリ121は、給電器11から電力を供給されて充電可能に設けられる。また、各バッテリ121は、蓄積した電力を電動モータ3へ供給可能に設けられる。バッテリ121は、例えば、リチウムイオン電池や鉛蓄電池等の二次電池で構成される。
【0021】
制御装置13は、給電器11およびバッテリユニット12の制御を行う。本実施形態では、制御装置13は、これらの他に、各種の制御要素を制御する。制御装置13は、例えば、インバータ装置2および電磁弁6を制御する。
【0022】
制御装置13は、いわゆるコンピュータ装置であり、コントローラ131とメモリ132とを含んで構成される。コントローラ131は、プロセッサ又はマイクロプロセッサ等の演算装置を含んで構成される。メモリ132は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)のような主記憶装置である。メモリ132は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)のような補助記憶装置をさらに含んでもよい。メモリ132は、各種のプログラム132aやデータを記憶する。制御装置13を構成するコントローラ131は、プログラム132aをメモリ132から読み出し、プロフラムに従った演算処理を実行することによって、各種の機能を発揮する。
【0023】
なお、制御装置13は、1つのハードウェアで構成されてもよいが、互いに通信可能な複数のハードウェアで構成されてもよい。コントローラ131の機能は、プログラムにしたがった演算処理を実行すること、すなわちソフトウェアにより実現されてよいが、他の手法により実現されてもよい。制御装置13の少なくとも一部の機能は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いて実現されてもよい。すなわち、制御装置13の少なくとも一部の機能は、専用のIC等を用いてハードウェアにより実現されてもよい。また、制御装置13の少なくとも一部の機能は、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現されてもよい。
【0024】
インバータ装置2は、バッテリユニット12から供給された電力を直流から交流に変換し、電動モータ3へ供給する。すなわち、作業機械100は、複数のバッテリ121から電力を供給される電動モータ3を備える。なお、インバータ装置2は、給電器11を介して交流電源200から電力を供給されてもよい。インバータ装置2を介して駆動される電動モータ3は、回転磁界により回転速度が決定される三相交流モータである。電動モータ3が油圧ポンプ4、5を作動させることにより、油圧アクチュエータ9に圧油が供給される。
【0025】
電動モータ3は、パイロットポンプ4とメインポンプ5との2つの油圧ポンプを駆動する。パイロットポンプ4は、容量型ポンプであり、各油圧アクチュエータ9に対応する作業操作レバーに設けられたリモコン弁7に向けて作動油を供給する。メインポンプ5は、可変容量型ポンプであり、油圧アクチュエータ9に向けて作動油を供給する。メインポンプ5と油圧アクチュエータ9との間には、リモコン弁7から供給されるパイロット圧により作動油流路を切り換えるコントロールバルブ8が介装される。また、パイロットポンプ4とリモコン弁7との間には、電磁弁6が介装される。
【0026】
なお、油圧アクチュエータ9は、上記油圧ポンプ4、5から圧送された作動油を動力源とするアクチュエータの総称として用いている。本実施形態では、油圧アクチュエータ9には、ブームシリンダ103d、アームシリンダ103e、バケットシリンダ103f、および、スイングシリンダ(不図示)が含まれる。すなわち、作業機械100は、電動モータ3の駆動により動かされる作業装置103を備える。また、本実施形態では、油圧アクチュエータ9には、上述の走行モータ(不図示)および旋回モータ(不図示)も含まれる。
【0027】
制御装置13は、インバータ装置2を介して電動モータ3の回転速度を制御することで、油圧ポンプ4、5による作動油の吐出量を制御する。さらに、電動モータ3の回転速度がエンコーダで検出され、制御装置13へフィードバックされる。これにより、制御装置13は、電動モータ3の高精度な運転を実現する。また、制御装置13は、電磁弁6の開閉を制御することにより、油圧アクチュエータ9の動作を制御する。例えば、制御装置13は、電磁弁6を閉弁状態とすることにより、リモコン弁7を介してコントロールバルブ8のパイロットポートへ送られる作動油の供給を阻止し、油圧アクチュエータ9の駆動を停止する。
【0028】
なお、本実施形態では、本発明の制御システムを備える作業機械100を、バックホーとしているが、これは例示である。本発明の制御システムを備える作業機械100は、バックホー以外の建設機械や、農作業機械等であってもよい。また、本発明の制御システムは、作業機械以外にも適用可能であり、例えば自動車、鉄道車両、船舶等、並列に接続される複数のバッテリを備える装置に広く適用可能である。
【0029】
<2.制御システム>
次に、本実施形態の制御システム1について、詳細に説明する。
【0030】
図3は、本発明の実施形態に係る制御システム1の回路構成を示す概略図である。なお、制御システム1の構成について理解を容易とするために、図3には、制御システム1の構成要素以外の要素も含まれている。制御システム1の構成要素以外の要素には、交流電源200、インバータ装置2、電動モータ3、および、補機類10が含まれる。ただし、これらのうちの少なくとも一部は、制御システム1に含まれてもよい。補機類10は、一つの装置で構成されても、複数の装置で構成されてもよい。例えば、補機類10には、上述の電磁弁6や、不図示の表示装置等が含まれる。表示装置は、作業機械100のオペレータに対して各種の案内を示すモニタを有する装置である。
【0031】
なお、図3において、太い実線L1は高電圧用の送電線(以下、高圧電線と表現する)を示す。また、細い実線L3は、制御信号を送信するための制御信号線を示す。また、太い実線と細い実線との間の太さの実線L3(中間線L3)は、低電圧用の送電線(以下、低電圧線と表現する)を示す。
【0032】
図3に示すように、バッテリユニット12が備える複数のバッテリ121は、互いに並列に接続される。すなわち、制御システム1は、並列に接続される複数のバッテリ121を備える。なお、図3に示す例では、バッテリ121の数は2つであるが、3つ以上であってもよい。
【0033】
バッテリユニット12は、複数のバッテリ121の他に、リレー122およびバッテリマネージメントユニット(BMU:Battery Management Unit)123を備える。
【0034】
リレー122は、バッテリ121ごとに設けられる。すなわち、制御システム1は、バッテリ121ごとに設けられるリレー122を備える。各リレー122は、各バッテリ121に直列で接続される。リレー122は、バッテリ121を充放電経路に対して接続する状態(オン状態)と、バッテリ121を充放電経路に対して遮断する状態(オフ状態)との切り替えを行う。すなわち、リレー122は、オンオフされる。図3に示す例では、第1リレー122aは、第1バッテリ121aに直列に接続される。また、第2リレー122bは、第2バッテリ121bに直列に接続される。なお、リレー122は、有接点リレー(メカニカルリレー)であっても、無接点リレー(MOS FETリレー等)であってもよい。
【0035】
BMU123は、複数のバッテリ121の監視および制御を行う。BMU123は、例えば、各バッテリ121の温度および電圧等を管理する。なお、各バッテリ121には、温度や電圧を測定する測定手段(不図示)が設けられる。BMU123は、必要に応じて、各リレー122のオンオフの切り替えを行う。本実施形態では、BMU123は、制御装置13からの指示に応じてリレー122のオンオフを行うことがある。すなわち、制御装置13は、リレー122のオンオフを制御する。リレー122のオンオフの制御により、バッテリ121の充放電を制御することができる。したがって、本実施形態の制御システム1は、リレー122を介して複数のバッテリ121を制御する制御装置13を備えると言える。
【0036】
図3に示すように、制御システム1は、上述した給電器11、バッテリユニット12、および、制御装置13の他に、DC/DCコンバータ14と、制御用バッテリ15とを備える。DC/DCコンバータ14は、高電圧の直流電圧を低電圧の直流電圧に変換する。制御用バッテリ15は、制御基板に電源電力を供給する。制御用バッテリ15は、例えば、鉛蓄電池やリチウムイオン電池等の二次電池で構成される。
【0037】
高電圧線L1は、給電器11と各バッテリ121とをリレー122を介して接続する。また、高電圧線L1は、給電器11とインバータ装置2とを接続する。また、高電圧線L1は、各バッテリ121とインバータ装置2とをリレー122を介して接続する。また、高電圧線L1は、各バッテリ121とDC/DCコンバータ14とをリレー122を介して接続する。
【0038】
低電圧線L3は、制御用バッテリ15と、インバータ装置2、補機類10、制御装置13、DC/DCコンバータ14、および、BMU123とを接続する。すなわち、制御用バッテリ15は、これら低電圧線L3で接続される複数の要素に電源電力を供給する。また、低電圧線L3は、給電器11と、制御装置13およびBMU123とを接続する。給電器11は、交流電源200への接続時において、制御装置13およびBMU123へ電源電力を供給可能に設けられる。なお、給電器11が交流電源200へ接続される場合においても、制御用バッテリ15が、制御装置13およびBMU123へ電源電力を供給する構成であってもよい。
【0039】
制御信号線L2は、制御装置13と、インバータ装置2、給電器11、および、BMU123とを接続する。すなわち、制御装置13は、これら制御信号線L2で接続される複数の要素を制御可能に設けられる。
【0040】
図4は、電動モータ3が利用される際の制御システム1の状態を示す模式図である。なお、電動モータ3の利用は、例えば、作業機械100が作業装置103を用いた作業を行う場合等が想定される。また、図4において、破線で示す部分は利用されないことを示す。
【0041】
図4に示すように、電動モータ3の利用時には、複数のバッテリ121の各リレー122がオンとされ、各バッテリ121からインバータ装置2へ電力が供給される。インバータ装置2が、供給された直流電力を交流電力に変換して電動モータ3へ供給することにより、電動モータ3が駆動する。電動モータ3の利用時には、制御装置13が、制御用バッテリ15から電源電力を供給されて、インバータ装置2およびBMU123を制御する。制御用バッテリ15は、インバータ装置2、補機類10、および、BMU123へも電源電力を供給する。
【0042】
なお、電動モータ3の駆動は、交流電源200からインバータ装置2へ電力を供給することによっても可能であるが、本実施形態では、通常時には、そのような利用方法は想定していない。また、複数のバッテリ121のうちの一部のみを用いて、電動モータ3を駆動させることも可能であるが、本実施形態では、通常時には、そのような利用方法は想定していない。
【0043】
その他、図示は省略するが、複数のバッテリ121の充電時には、複数のバッテリ121の各リレー122がオンとされ、給電器11から各バッテリ121へ電力が供給される。これにより、各バッテリ121は充電される。充電時には、給電器11から電力を供給される制御装置13が、給電器11およびBMU123の制御を行う。給電器11は、BMU123へも電力を供給する。
【0044】
なお、複数のバッテリ121(バッテリユニット12)の充電時に、制御用バッテリ15も充電されてよい。ただし、制御用バッテリ15は、別の手法により充電される構成であってもよい。例えば、制御用バッテリ15は、作業機械100が電動モータ3とエンジンとを備えるハイブリッド式の作業機械である場合、エンジンによって駆動される発電機から供給される電力を蓄電する構成であってもよい。また、制御用バッテリ15は、回生エネルギーを利用して充電される構成であってもよい。
【0045】
ところで、並列接続される複数のバッテリ121の中に、互いの電圧差が電圧閾値(所定の電圧幅)を超えるバッテリ121同士が存在すると、全てのバッテリ121のリレー122を同時にオンした場合に、電流が生じる。なお、電圧差が電圧閾値を超えるとは、電圧差が電圧閾値外となることに相当する。電圧差が電圧閾値以下であるとは、電圧差が電圧閾値以内であることに相当する。リレー122をオンした場合における電流の発生は、機器の故障の原因となり得る。電圧閾値は、バッテリ121およびその周辺の回路構成に応じて決まる。バッテリユニット12においては、バッテリ121の内部抵抗や周辺回路の抵抗が小さくなる傾向にあり、電圧閾値は比較的小さくなる傾向がある。すなわち、並列に接続される複数のバッテリ121を有するバッテリユニット12において、上記の電圧差に基づく電流が生じ易く、その対策が重要となる。以下、この対策について説明する。
【0046】
なお、本実施形態においては、通常使用を行っている場合、複数のバッテリ121の中に、互いの電圧差を電圧閾値外とする(電圧閾値を超えさせる)バッテリ121は生じ難い。このようなバッテリ121は、例えば、リレー122をオフとした状態で長期間放置した場合に生じる。また、このようなバッテリ121は、例えば、複数のバッテリ121のうち一部のみのリレー122をオンとし、一部のバッテリ121のみを利用して電動モータ3が駆動させるといった通常とは異なる使用状態が実行された場合にも生じる。
【0047】
本実施形態においては、制御装置13は、バッテリ121に放電させることが可能な放電モードである場合に、複数のバッテリ121のうちの一部について、リレー122をオフからオンへ切り替える。そして、制御装置13は、複数のバッテリ121間における電圧差の最大値を電圧閾値内とする放電処理を行う。複数のバッテリ121間における電圧差の最大値は、複数のバッテリ121において電圧値が最大のバッテリ121と、電圧値が最小のバッテリ121との間で電圧値の差し引き(最大値-最小値)を行うことにより得られる。電圧差の最大値を電圧閾値内とするとは、電圧差の最大値を電圧閾値以下とすることに相当する。複数のバッテリ121内に、電圧値が最大となるバッテリ121は、1つだけでもよいが複数あってもよい。複数のバッテリ121内に、電圧値が最小となるバッテリ121は、1つだけでもよいが複数あってもよい。
【0048】
なお、詳細には、放電処理は、複数のバッテリ121間における電圧差の最大値を電圧閾値外とするバッテリ121が存在すると判定される場合に実行される。ここで言う放電処理は、並列接続されるバッテリ121間の電圧のバランスをとって、互いの電圧差を小さくする処理(並列間バランスをとる処理)である。なお、放電が可能な放電モード(放電可能モード)は、バッテリ121の充電を行う充電モードでない場合が該当する。また、放電処理の開始前には、全てのリレー122がオフとなっている。
【0049】
このような並列間バランスをとる放電処理が行われることにより、並列に接続される複数のバッテリ121間における電圧差を小さくしてから、全てのバッテリ121のリレー122をオンにすることができる。すなわち、全てのバッテリ121のリレー122をオンとした場合に、意図しない電流が生じて機器の故障が生じるといった事態が発生することを防止できる。
【0050】
図5は、並列間バランスをとる放電処理時における制御システム1の状態を示す模式図である。図5に示す例では、複数のバッテリ121間における電圧差の最大値は、2つのバッテリ121間における電圧差に相当する。そして、図5に示す例では、第1バッテリ121aの電圧と、第2バッテリ121bの電圧との差は、電圧閾値を超える(電圧閾値外)である。
【0051】
図5に示すように、放電処理においては、複数のバッテリ121a、121bのうちの一部である第1バッテリ121aについて、リレー122aがオンとされる。すなわち、複数のバッテリ121a、121bのうち、電圧が高い方の第1バッテリ121aのリレー122aがオンとされ、電圧の低い方の第2バッテリ121bのリレー122bはオフとされる。これにより、電圧の高い方の第1バッテリ121aのみが放電される。放電により第1バッテリ121aの電圧が低下して第2バッテリ121bの電圧に近づくことにより、第1バッテリ121aと第2バッテリ121bとの電圧差が電圧閾値内(電圧閾値以下)となる。電圧差が電圧閾値内となった時点で、第1バッテリ121aの放電が停止される。
【0052】
そして、本実施形態では、放電処理におけるバッテリ121の放電は、電圧を降圧変換するDC/DCコンバータ14を利用して行われる。詳細には、第1バッテリ121aの放電により、DC/DCコンバータ14と接続される他の用途のバッテリへ電力が供給される。他の用途のバッテリは、当該電力供給により充電される。本実施形態では、他の用途のバッテリは、制御用バッテリ15である。
【0053】
このような構成によれば、他の用途のバッテリ(制御用バッテリ15)に充電を行いながら並列間バランスをとる処理を行うことができる。この結果、他の用途のバッテリ(制御用バッテリ15)が過放電状態に陥る可能性を低減することができる。また、並列間バランスをとるための放電がDC/DCコンバータ14を利用して行われるために、放電処理の制御を小さな電流で制御できる。この結果、精度良く並列間バランスをとることができる。
【0054】
なお、本実施形態では、放電された電力の一部は、制御装置13およびBMU123の電源電力としても利用される。
【0055】
また、本実施形態においては、制御装置13は、バッテリ121の充電を行う充電モードである場合に、複数のバッテリ121の一部について、リレー122をオフからオンへ切り替える。そして、制御装置13は、複数のバッテリ121間における電圧差の最大値を電圧閾値内(電圧閾値以下)とする充電処理を行う。なお、詳細には、充電処理は、複数のバッテリ121間における電圧差の最大値を電圧閾値外とするバッテリ121が存在すると判定される場合に実行される。ここで言う充電処理は、並列接続されるバッテリ121間の電圧のバランスをとって、互いの電圧差を小さくする処理(並列間バランスをとる処理)である。なお、充電処理の開始前には、全てのリレー122がオフとなっている。また、充電モードにおける充電は、交流電源200を用いた給電器11による充電である。
【0056】
このような並列間バランスをとる充電処理が行われることにより、並列に接続される複数のバッテリ121間における電圧差を小さくしてから、全てのバッテリ121のリレー122をオンにすることができる。すなわち、全てのバッテリ121のリレー122をオンとした場合に、意図しない電流が生じて機器の故障が生じるといった事態が発生することを防止できる。
【0057】
図6は、並列間バランスをとる充電処理時における制御システム1の状態を示す模式図である。図6に示す例では、複数のバッテリ121間における電圧差の最大値は、2つのバッテリ121間における電圧差に相当する。そして、図6に示す例では、第1バッテリ121aの電圧と、第2バッテリ121bの電圧との差は、電圧閾値を超える(電圧閾値外)である。
【0058】
図6に示すように、充電処理においては、複数のバッテリ121a、121bのうちの一部である第2バッテリ121bについて、リレー122bがオンとされる。すなわち、複数のバッテリ121a、121bのうち、電圧が低い方の第2バッテリ121bのリレー122bがオンとされ、電圧の高い方の第1バッテリ121aのリレー122aはオフとされる。これにより、電圧の低い方の第2バッテリ121bのみが、給電器11から供給される電力により充電される。充電により第2バッテリ121bの電圧が上昇して第1バッテリ121aの電圧に近づくことにより、第1バッテリ121aと第2バッテリ121bとの電圧差が電圧閾値内(電圧閾値以下)となる。電圧差が電圧閾値内となった時点で、第2バッテリ121bの充電が停止される。
【0059】
このような構成によれば、給電器11から電力を供給しながら並列間バランスをとる処理が行われるために、バッテリユニット12を構成するバッテリ121や、制御用バッテリ15の充電容量を減らさずに、並列間バランスをとる処理を行うことができる。なお、並列間バランスをとる充電処理時においては、給電器11が制御装置13およびBMU123へ電力を供給する。
【0060】
<3.制御方法の具体例>
次に、制御システム1によって実行される制御方法(制御処理)について、具体例を挙げて説明する。なお、以下で説明する制御方法は、並列に接続される複数のバッテリ121を、バッテリ121ごとに設けられるリレー122を介して制御装置13により制御する方法である。
【0061】
図7Aは、制御システム1によって実行される制御処理の流れの一部を示すフローチャートである。図7Bは、制御システム1によって実行される制御処理の流れの他の一部を示すフローチャートである。図7Cは、制御システム1によって実行される制御処理の流れの図7Bとは異なる他の一部を示すフローチャートである。
【0062】
なお、図7A図7Cに示すフローチャートは、コンピュータ装置がコンピュータプログラムにしたがった演算処理を実行することで実現可能である。本実施形態において、当該コンピュータプログラムは、並列に接続される複数のバッテリ121を、バッテリ121ごとに設けられるリレー122を介して制御する制御方法をコンピュータ(コントローラ131)に実行させるプログラムである。また、当該コンピュータプログラムは、コンピュータにより読み取り可能な各種不揮発性記録媒体に記憶されて提供される。当該コンピュータプログラムは、1つのプログラムのみで構成されても良いが、協働する複数のプログラムによって構成されてもよい。
【0063】
ステップS1(図7A参照)では、制御装置13が、キースイッチがキーオンとなったか否かを監視する。キースイッチは、作業機械100に備えられる。キースイッチは、例えば、いわゆるキーシリンダに鍵を差し込み、回転動作によって電気信号(キーオン信号およびキーオフ信号)を発する構成であってよい。ただし、キースイッチは、イモビライザを備えた電子キーを用いて認証を得られた場合に電気信号を発する構成や、押ボタンによって電気信号を発する構成であってもよい。キーオンは、電動モータ3の起動指示であり、作業機械100のオペレータの動作により実現される。キーオンとなった場合(ステップS1でYes)、次のステップS2へ処理が進められる。キーオンとなっていない場合(ステップS1でNo)、ステップS7(図7B参照)へ処理が進められる。
【0064】
なお、本実施形態では、キーオンとなった状態は、バッテリ121の充電を行う充電モードでなく、バッテリ121に放電させることが可能な放電モードの一形態である。このことから、ステップS1の処理は、放電モードを検出する処理と言える。すなわち、本実施形態の制御方法は、放電モードであることを検出することを備える。また、本実施形態のプログラムは、コンピュータを放電モードであることを検出することを実行する手段として機能させる。
【0065】
ステップS2では、制御装置13が、複数のバッテリ121のそれぞれが残量閾値内であるか否かを判定する。残量閾値内とは、バッテリ121の充電残量が残量閾値以上であることを意味する。残量閾値は、例えば、バッテリ121のSOC(State Of Charge)または電圧(セル電圧)に対して設定することができる。残量閾値は、例えば、バッテリ121が放電すべきでない状態である場合のSOC等の値に、マージンを加えた値とされる。バッテリ121が放電すべきでない状態は、例えばバッテリの規格等により決定される。本実施形態では、複数のバッテリ121のうちのいずれか一つでも、SOC或いは電圧の値が残量閾値よりも小さい場合に、残量閾値内でないと判定される。残量閾内でない場合(ステップS2でNo)、ステップS3へ処理が進められる。残量閾値内である場合(ステップS2でYes)、ステップS4へ処理が進められる。
【0066】
ステップS3では、制御装置13が、オペレータに向けてバッテリ121の充電を要求する通知処理を行う。当該通知処理は、例えば、表示装置(モニタ)に充電を要求する通知を表示させる処理であってよい。また、通知処理は、表示装置に表示させる処理に代えて、或いは、加えて、音声出力装置(スピーカ)に音声を出力させる処理であってもよい。バッテリ121への充電を要求する通知処理が完了すると、ステップS1へ処理が戻される。この場合には、通常、オペレータは、充電要求に従ってバッテリ121の充電を行う。このために、ステップS1において、キーオフとなり、ステップS7(図7B参照)へ処理が進められることになる。
【0067】
ステップS4では、制御装置13が、複数のバッテリ121の中に、複数のバッテリ121間における電圧差の最大値を電圧閾値外とするバッテリがあるか否かの存否判定を行う。詳細には、複数のバッテリ121のうち、電圧値が最大のバッテリ121と、電圧値が最小のバッテリ121との間で電圧値の差分(最大値-最小値)を求める。そして、当該差分値が、電圧閾値より大きければ、複数のバッテリ121間における電圧差の最大値を電圧閾値外とするバッテリが存在することになる。存否判定により存在すると判定された場合(ステップS4でYes)、ステップS5へ処理が進められる。存否判定により存在しないと判定された場合(ステップS4でNo)、ステップS6へ処理が進められる。
【0068】
ステップS4の処理内容から次のことが言える。本実施形態の制御方法は、放電モードである場合に、複数のバッテリ121間における電圧差の最大値を電圧閾値外とするバッテリの存否を判定することを備える。また、本実施形態のプログラムは、コンピュータを、複数のバッテリ121間における電圧差の最大値を電圧閾値外とするバッテリの存否を判定することを実行する手段として機能させる。
【0069】
ステップS5では、制御装置13が、上述の並列間バランスをとる処理(放電処理)を実施する。すなわち、本実施形態の制御方法は、放電モードである場合に、複数のバッテリ121のうちの一部についてリレー122をオフからオンへ切り替えて、複数のバッテリ121間における電圧差の最大値を電圧閾値内とする放電処理を行うことを備える。また、本実施形態のプログラムは、コンピュータを、放電モードである場合に、複数のバッテリ121のうちの一部についてリレー122をオフからオンへ切り替えて、複数のバッテリ121間における電圧差の最大値を電圧閾値内とする放電処理を行うことを実行する手段として機能させる。このような構成により、並列に接続される複数のバッテリ121間における電圧差を小さくしてから、全てのバッテリ121のリレー122をオンとした放電を行うことができる。すなわち、全てのバッテリ121のリレー122をオンとした放電を行う場合に、意図しない電流が生じて機器の故障が生じるといった事態が発生することを防止できる。
【0070】
図5を用いて説明した、上述の並列間バランスをとる放電処理においては、バッテリ121の数が2つであった。バッテリ121の数が2つより多い場合における並列間バランスをとる放電処理の一例について、図8を参照しながら説明する。なお、図8は、並列間バランスをとる放電処理について説明するための模式図である。
【0071】
図8においては、一例として、複数のバッテリ121は、第1~第9バッテリ121a~121iの9個である。図8の左側は、放電処理の開始時における複数のバッテリ121a~121iの電圧関係を示す。図8の右側は、放電処理の途中における複数のバッテリ121a~121iの電圧関係を示す。
【0072】
複数のバッテリ121a~121iのうち、最大電圧を有するバッテリ(最大電圧バッテリ)の電圧値から電圧閾値Vthを差し引いた電圧値が電圧値Vaである。電圧閾値Vthは、ステップS4の処理で用いた電圧閾値と同じであり、一定の値である。最大電圧バッテリの電圧値が変動すると電圧値Vaは変動する。電圧値Vaよりも電圧値が低いバッテリが、最大電圧バッテリとの電圧差が電圧閾値外となる(電圧閾値を超える)低電圧バッテリに該当する。電圧値Va以上の電圧値を有するバッテリは、最大電圧バッテリとの電圧差が電圧閾値内(電圧閾値以下)となるバッテリ(図8に関わる説明において閾値内バッテリと表現することがある)に該当する。
【0073】
なお、最大電圧バッテリの数は、1つでなく、複数であることもあり得る。また、最大電圧バッテリは、放電処理の途中で、放電開始時と異なるバッテリとなることもあり得るが、図8においては、第1バッテリ121aが常に最大電圧バッテリであることとしている。
【0074】
並列間バランスをとる放電処理においては、複数のバッテリ121a~121iのうち、閾値内バッテリのリレー122がオンとされる。これらリレー122がオンとされた閾値内バッテリは、DC/DCコンバータ14を介して制御用バッテリ15へ電力を供給する。なお、低電圧バッテリのリレー122はオフされたままである。図8に示す例では、放電処理の開始時には、第1~第4バッテリ121a~121dが閾値内バッテリであり、それらのリレー122がオンされて放電が行われる。第5~第9バッテリ121e~121iは、低電圧バッテリであり、それらのリレー122はオフされたままである。
【0075】
放電を開始した第1~第4バッテリ121a~121dは、放電により電圧値が低下する。当該電圧の低下に応じて、電圧値Vaも下がるために、放電処理の開始時点で低電圧バッテリであったバッテリが閾値内バッテリとなる(すなわち、低電圧バッテリでなくなる)。放電処理の開始時(図8の左側図参照)において低電圧バッテリであった第5~第7バッテリ121e~121gが、図8の右側図においては、閾値内バッテリとなっている(低電圧バッテリでなくなっている)。低電圧バッテリでなくなったバッテリは、そのリレー122がオフからオンに切り替えられて放電を行う。当該放電は、低電圧バッテリでなくなった時点で開始されてもよいが、低電圧バッテリでなくなった時点から所定時間の経過後に開始されてもよい。以上のような放電処理を行うことで、第1~第9バッテリ121a~121iの全てを閾値内バッテリとすることができる。すなわち、複数のバッテリ121間における電圧差の最大値を、電圧閾値内とすることができる。並列間バランスをとる放電処理は、第1~第9バッテリ121a~121iの全てを閾値内バッテリとすることができた時点(低電圧バッテリがなくなった時点)で終了される。
【0076】
以上の説明からわかるように、本実施形態の放電処理においては、複数のバッテリ121のうち、最大電圧を有するバッテリとの電圧差が電圧閾値外となる低電圧バッテリ以外のバッテリのリレー122がオンとされる。また、本実施形態の放電処理においては、低電圧バッテリから低電圧バッテリでなくなったバッテリのリレー122が、オフからオンへと変更される。放電処理は、例えば、電圧の高いバッテリ121から順番に1つずつ、放電を行って、並列接続される複数のバッテリ121間における電圧差の最大値が電圧閾値内に収まるようにしてもよい。ただし、上述した本実施形態のように、低電圧バッテリ以外を同時に放電させながら低電圧バッテリを無くす構成とすれば、並列間バランスをとる処理を、複雑化することなく効率良く行うことができる。
【0077】
図7Aに戻って、ステップS5における並列間バランスをとる放電処理が完了すると、ステップS1へ処理が戻される。並列間バランスをとる放電処理が完了した後においては、ステップS4において電圧差の最大値を電圧閾値外とするバッテリ121が存在する可能性は低く、通常は、ステップS6へ処理が進められる。
【0078】
ステップS6では、制御装置13が、全てのリレー122をオンとする処理を行う。すなわち、全てのバッテリ121が並列状態で電気的に接続された状態となる。この際、複数のバッテリ121間の電圧差の最大値が電圧閾値内に収まっているために意図しない電流が流れることはない。全てのリレー122がオンとされることにより、電動モータ3の起動が行われる。
【0079】
以上の説明からわかるように、本実施形態の制御方法は、放電モードであって複数のバッテリ121間の電圧差の最大値が電圧閾値内である場合に、放電処理を行うことなく、複数のバッテリ121全てのリレー122をオフからオンに切り替えることを備える。そして、複数のバッテリ121全てのリレー122がオンとされた場合、複数のバッテリ121は、DC/DCコンバータ14を介することなく電動モータ3へ電力を供給可能に設けられる。並列間バランスをとる放電処理が必要ない場合に、そのことを適切に判定して、バッテリ121から高電圧の電力を負荷に供給することができる。
【0080】
また、上述のステップS2の処理内容からわかるように、本実施形態の制御方法は、複数のバッテリ121の充電残量に基づき放電処理(並列間バランスをとる放電処理)を実行するか否かを判定することを備える。詳細には、充電残量が少ない状態で放電処理が行われないようになっている。これにより、バッテリ121を保護することができる。
【0081】
上述のステップS4において、電圧差の最大値を電圧閾値外とするバッテリ121が存在すると判定された場合、並列間バランスをとるための放電処理(ステップS5処理)が行われるために、キーオンがされているにもかかわらず、直ぐに電動モータ3が起動しないことになる。この場合、オペレータが不安に感じる虞がある。そこで、本実施形態では、図9に示すように、制御システム1は、放電処理による待機中であることを表示する表示装置10aを備える。図9は、制御システム1が備える表示装置10aの画面例を示す模式図である。なお、待機中であることは、表示に加えて、或いは、表示に代えて、音声により通知されてもよい。
【0082】
図7Bを参照して、ステップS7では、制御装置13が、例えば作業機械100に設けられる充電スイッチがオンとなったか否かを判定する。充電スイッチは、オペレータが操作するスイッチであってよく、このようなスイッチは、操作ボタン等のハードスイッチや、タッチパネルに表示されるソフトスイッチ等であってよい。また、充電スイッチは、交流電源200を供給するケーブルを給電器11に接続することによって自動的にオン状態となるスイッチであってもよい。充電スイッチがオンである場合(ステップS7でYes)、次のステップS8へ処理が進められる。充電スイッチがオフである場合(ステップS7でNo)、ステップS11(図7C参照)へ処理が進められる。
【0083】
なお、本実施形態では、充電スイッチがオンとなった状態は、バッテリ121の充電を行う充電モードに該当する。このことから、ステップS7の処理は、充電モードを検出する処理と言える。すなわち、本実施形態の制御方法は、充電モードであることを検出することを備える。
【0084】
ステップS8では、制御装置13が、複数のバッテリ121の中に、複数のバッテリ121間における電圧差の最大値を電圧閾値外とするバッテリがあるか否かの存否判定を行う。当該処理は、上述のステップS4と同様である。存否判定により存在すると判定された場合(ステップS8でYes)、ステップS9へ処理が進められる。存否判定により存在しないと判定された場合(ステップS8でNo)、ステップS10へ処理が進められる。
【0085】
ステップS8の処理内容から次のことが言える。本実施形態の制御方法は、充電モードである場合に、複数のバッテリ121間における電圧差の最大値を電圧閾値外とするバッテリの存否を判定することを備える。また、本実施形態のプログラムは、コンピュータを、充電モードである場合に、複数のバッテリ121間における電圧差の最大値を電圧閾値外とするバッテリの存否を判定することを実行する手段として機能させる。
【0086】
ステップS9では、制御装置13が、上述の並列間バランスをとる処理(充電処理)を実施する。すなわち、本実施形態の制御方法は、充電モードである場合に、複数のバッテリ121のうちの一部についてリレー122をオフからオンへ切り替えて、複数のバッテリ121間における電圧差の最大値を電圧閾値内とする充電処理を行うことを備える。また、本実施形態のプログラムは、コンピュータを、充電モードである場合に、複数のバッテリ121のうちの一部についてリレー122をオフからオンへ切り替えて、複数のバッテリ121間における電圧差の最大値を電圧閾値内とする充電処理を行うことを実行する手段として機能させる。このような構成により、並列に接続される複数のバッテリ121間における電圧差を小さくしてから、全てのバッテリ121のリレー122をオンとした充電を行うことができる。すなわち、全てのバッテリ121のリレー122をオンとした充電を行う場合に、意図しない電流が生じて機器の故障が生じるといった事態が発生することを防止できる。
【0087】
図6を用いて説明した、上述の並列間バランスをとる充電処理においては、バッテリ121の数が2つであった。バッテリ121の数が2つより多い場合における並列間バランスをとる充電処理の一例について、図10を参照しながら説明する。なお、図10は、並列間バランスをとる充電処理について説明するための模式図である。
【0088】
図10においては、一例として、複数のバッテリ121は、第1~第9バッテリ121a~121iの9個である。図10の左側は、充電処理の開始時における複数のバッテリ121a~121iの電圧関係を示す。図10の右側は、充電処理の途中における複数のバッテリ121a~121iの電圧関係を示す。
【0089】
複数のバッテリ121a~121iのうち、最小電圧を有するバッテリ(最小電圧バッテリ)の電圧値に電圧閾値Vthを加算した電圧値が電圧値Vbである。電圧閾値Vthは、ステップS4やステップS8の処理で用いた電圧閾値と同じであり、一定の値である。最小電圧バッテリの電圧値が変動すると電圧値Vbは変動する。電圧値Vbよりも電圧値が高いバッテリが、最小電圧バッテリとの電圧差が電圧閾値外となる(電圧閾値を超える)高電圧バッテリに該当する。電圧値Vb以下の電圧値を有するバッテリは、最小電圧バッテリとの電圧差が電圧閾値内(電圧閾値以下)となるバッテリ(図10に関わる説明において閾値内バッテリと表現することがある)に該当する。
【0090】
なお、最小電圧バッテリの数は、1つでなく、複数であることもあり得る。また、最小電圧バッテリは、充電処理の途中で、充電開始時と異なるバッテリとなることもあり得るが、図10においては、第9バッテリ121iが常に最小電圧バッテリであることとしている。
【0091】
並列間バランスをとる充電処理においては、複数のバッテリ121a~121iのうち、閾値内バッテリのリレー122がオンとされる。これらリレー122がオンとされた閾値内バッテリは、給電器11から電力を供給されて充電される。なお、高電圧バッテリのリレー122はオフされたままである。図10に示す例では、充電処理の開始時には、第7~第9バッテリ121g~121iが閾値内バッテリであり、それらのリレー122がオンされて充電が行われる。第1~第6バッテリ121a~121fは、高電圧バッテリであり、それらのリレー122はオフされたままである。
【0092】
充電を開始した第7~第9バッテリ121g~121iは、充電により電圧値が上昇する。当該電圧の上昇に応じて、電圧値Vbも上がるために、充電処理の開始時点で高電圧バッテリであったバッテリが閾値内バッテリとなる(すなわち、高電圧バッテリでなくなる)。充電処理の開始時(図10の左側図参照)において高電圧バッテリであった第5、第6バッテリ121e、121fが、図10の右側図においては、閾値内バッテリとなっている(高電圧バッテリでなくなっている)。高電圧バッテリでなくなったバッテリは、そのリレー122がオフからオンに切り替えられて充電を行う。当該充電は、高電圧バッテリでなくなった時点で開始されてもよいが、高電圧バッテリでなくなった時点から所定時間の経過後に開始されてもよい。以上のような充電処理を行うことで、第1~第9バッテリ121a~121iの全てを閾値内バッテリとすることができる。すなわち、複数のバッテリ121間における電圧差の最大値を、電圧閾値内とすることができる。並列間バランスをとる充電処理は、第1~第9バッテリ121a~121iの全てを閾値内バッテリとすることができた時点(高電圧バッテリがなくなった時点)で終了される。
【0093】
以上の説明からわかるように、本実施形態の充電処理においては、複数のバッテリ121のうち、最小電圧を有するバッテリとの電圧差が電圧閾値外となる高電圧バッテリ以外のバッテリのリレー122がオンとされる。また、本実施形態の充電処理においては、高電圧バッテリから高電圧バッテリでなくなったバッテリのリレー122が、オフからオンへと変更される。充電処理は、例えば、電圧の低いバッテリ121から順番に1つずつ、充電を行って、並列接続される複数のバッテリ121間の電圧差の最大値が電圧閾値内に収まるようにしてもよい。ただし、上述した本実施形態のように、高電圧バッテリ以外を同時に充電させながら高電圧バッテリを無くす構成とすれば、並列間バランスをとる処理を、複雑化することなく効率良く行うことができる。
【0094】
ステップS9における並列間バランスをとる充電処理が完了すると、ステップS1(図7A参照)へ処理が戻される。並列間バランスをとる充電処理が完了した後においては、ステップS8(図7B参照)において電圧差の最大値を電圧閾値外とするバッテリ121が存在する可能性は低く、通常は、ステップS10へ処理が進められる。
【0095】
ステップS10では、制御装置13が、全てのリレー122をオンとする処理を行う。すなわち、全てのバッテリ121が並列状態で電気的に接続された状態となる。この際、複数のバッテリ121間の電圧差の最大値が電圧閾値内に収まっているために意図しない電流が流れることはない。全てのリレー122がオンとされることにより、全てのバッテリ121の、給電器11を用いた充電が同時に行われる。
【0096】
以上の説明からわかるように、本実施形態の制御方法は、充電モードであって複数のバッテリ121間の電圧差の最大値が電圧閾値内である場合に、並列間バランスをとる充電処理を行うことなく、複数のバッテリ121全てのリレー122をオフからオンに切り替えることを備える。そして、複数のバッテリ121全てのリレー122がオンとされた場合、複数のバッテリ121は、給電器11からの電力の供給により充電される。並列間バランスをとる充電処理が必要ない場合に、そのことを適切に判定して、複数のバッテリ121の同時充電を開始することができる。
【0097】
図7Cを参照して、ステップS11では、各バッテリ121のリレー122がオフとされてから一定時間が経過したか否かを判定する。一定時間は、予め実験等により決定された時間であってよく、例えば数十日等であってよい。一定時間が経過している場合(ステップS11でYes)、次のステップS12へ処理が進められる。一定時間が経過していない場合(ステップS11でNo)、ステップS1(図7A参照)へ処理が戻される。
【0098】
なお、本実施形態では、ステップS11の処理が実行される状態は、バッテリ121の充電を行う充電モードでないために、バッテリ121に放電させることが可能な放電モードの一形態である。このことから、ステップS11の処理には、放電モードであることを検出する処理が含まれていると言える。
【0099】
ステップS12では、制御装置13が、並列間バランスをとるための処理を行うプログラムをバックグラウンドで起動する。バックグラウンド起動が行われると、次のステップS13へ処理が進められる。
【0100】
ステップS13では、制御装置13が、複数のバッテリ121のそれぞれが残量閾値内であるか否かを判定する。当該処理は、上述したステップS2と同様の処理である。残量閾内でない場合(ステップS13でNo)、図7A図7Cで示す制御処理が終了する。残量閾値内である場合(ステップS13でYes)、ステップS14へ処理が進められる。
【0101】
ステップS14では、制御装置13が、複数のバッテリ121の中に、複数のバッテリ121間における電圧差の最大値を電圧閾値外とするバッテリがあるか否かの存否判定を行う。当該処理は、上述のステップS4と同様である。存否判定により存在すると判定された場合(ステップS14でYes)、ステップS15へ処理が進められる。存否判定により存在しないと判定された場合(ステップS14でNo)、ステップS1へ処理が戻される。
【0102】
ステップS15では、制御装置13が、並列間バランスをとる処理(放電処理)を実施する。当該処理は、上述のステップS5と同様の処理である。本実施形態では、作業機械100がキーオフであって、充電指示も行われていない場合に、自動的に、並列間バランスをとる放電処理が行われる。このために、キーオン時において、並列間バランスをとる処理が行われる可能性を低減することができる。すなわち、キーオン時における電動モータ3の起動時間を短縮することができる。
【0103】
本実施形態では、ステップS15の処理が完了すると、ステップS14へ処理が戻される。ただし、ステップS15の処理が完了すると、ステップS1へ処理が戻されてもよい。
【0104】
<4.留意事項等>
本明細書中に開示される種々の技術的特徴は、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。また、本明細書中に示される複数の実施形態および変形例は可能な範囲で組み合わせて実施されてよい。
【0105】
<5.付記>
例示的な本発明の制御方法は、並列に接続される複数のバッテリを、前記バッテリごとに設けられるリレーを介して制御装置により制御する方法であって、前記バッテリに放電させることが可能な放電モードであることを検出することと、前記放電モードである場合に、前記複数のバッテリのうちの一部について前記リレーをオフからオンへ切り替えて前記複数のバッテリ間における電圧差の最大値を電圧閾値内とする放電処理を行うことと、を備える構成(第1の構成)であってよい。
【0106】
上記第1の構成の制御方法は、前記放電モードであって前記電圧差の最大値が前記電圧閾値内である場合に、前記放電処理を行うことなく、前記複数のバッテリ全ての前記リレーをオフからオンに切り替えることを更に備える構成(第2の構成)であってよい。
【0107】
上記第1又は第2の構成の制御方法における前記放電処理においては、前記複数のバッテリのうち、最大電圧を有するバッテリとの電圧差が前記電圧閾値外となる低電圧バッテリ以外のバッテリの前記リレーがオンとされる構成(第3の構成)であってよい。
【0108】
上記第3の構成の制御方法における前記放電処理においては、前記低電圧バッテリから前記低電圧バッテリでなくなったバッテリの前記リレーが、オフからオンへと切り替えられる構成(第4の構成)であってよい。
【0109】
上記第1から第4のいずれかの構成の制御方法は、前記複数のバッテリの充電残量に基づき前記放電処理を実行するか否かを判定することを更に備える構成(第5の構成)であってよい。
【0110】
上記第1から第5のいずれかの構成の制御方法において、前記放電処理における前記バッテリの放電は、電圧を降圧変換するDC/DCコンバータを利用して行われる構成(第6の構成)であってよい。
【0111】
上記第6の構成の制御方法において、前記複数のバッテリ全ての前記リレーがオンとされた場合、前記複数のバッテリは、前記DC/DCコンバータを介することなく電動モータへ電力を供給可能に設けられる構成(第7の構成)であってよい。
【0112】
また、例示的な本発明の制御方法は、並列に接続される複数のバッテリを、前記バッテリごとに設けられるリレーを介して制御装置により制御する方法であって、前記バッテリに放電させることが可能な放電モードである場合に、前記複数のバッテリのうちの一部について前記リレーをオフからオンへ切り替えて前記複数のバッテリ間における電圧差の最大値を電圧閾値内とする放電処理を行うことと、前記バッテリの充電を行う充電モードである場合に、前記複数のバッテリのうちの一部について前記リレーをオフからオンへ切り替えて前記電圧差の最大値を前記電圧閾値内とする充電処理を行うことと、を備える構成(第8の構成)であってよい。
【0113】
上記第8の構成の制御方法は、前記放電モードであって前記電圧差の最大値が前記電圧閾値内である場合に、前記放電処理を行うことなく、前記複数のバッテリ全ての前記リレーをオフからオンに切り替えることを更に備える構成(第9の構成)であってよい。
【0114】
上記第8又は第9の構成の制御方法における前記放電処理においては、前記複数のバッテリのうち、最大電圧を有するバッテリとの電圧差が前記電圧閾値外となる低電圧バッテリ以外のバッテリの前記リレーがオンとされる構成(第10の構成)であってよい。
【0115】
上記第10の構成の制御方法における前記放電処理においては、前記低電圧バッテリから前記低電圧バッテリでなくなったバッテリの前記リレーが、オフからオンへと切り替えられる構成(第11の構成)であってよい。
【0116】
上記第8から第11のいずれかの構成の制御方法は、前記複数のバッテリの充電残量に基づき前記放電処理を実行するか否かを判定することを更に備える構成(第12の構成)であってよい。
【0117】
上記第8から第12のいずれかの構成の制御方法において、前記放電処理における前記バッテリの放電は、電圧を降圧変換するDC/DCコンバータを利用して行われる構成(第13の構成)であってよい。
【0118】
上記第13の構成の制御方法において、前記複数のバッテリ全ての前記リレーがオンとされた場合、前記複数のバッテリは、前記DC/DCコンバータを介することなく電動モータへ電力を供給可能に設けられる構成(第14の構成)であってよい。
【0119】
また、例示的な本発明の制御方法は、並列に接続される複数のバッテリを、前記バッテリごとに設けられるリレーを介して制御装置により制御する方法であって、前記バッテリの充電を行う充電モードであることを検出することと、前記充電モードである場合に、前記複数のバッテリのうちの一部について前記リレーをオフからオンへ切り替えて前記複数のバッテリ間における電圧差の最大値を電圧閾値内とする充電処理を行うことと、を備える構成(第15の構成)であってよい。
【0120】
また、例示的な本発明のプログラムは、並列に接続される複数のバッテリを、前記バッテリごとに設けられるリレーを介して制御する制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、前記コンピュータを、前記バッテリに放電させることが可能な放電モードであることを検出することと、前記放電モードである場合に、前記複数のバッテリのうちの一部について前記リレーをオフからオンへ切り替えて前記複数のバッテリ間における電圧差の最大値を電圧閾値内とする放電処理を行うことと、を実行する手段として機能させる構成(第16の構成)であってよい。
【0121】
また、例示的な本発明の制御システムは、並列に接続される複数のバッテリと、前記バッテリごとに設けられるリレーと、前記リレーを介して前記複数のバッテリを制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記バッテリに放電させることが可能な放電モードである場合に、前記複数のバッテリのうちの一部について前記リレーをオフからオンへ切り替え、前記複数のバッテリ間における電圧差の最大値を電圧閾値内とする放電処理を行う構成(第17の構成)であってよい。
【0122】
上記第17の構成の制御システムは、前記放電処理による待機中であることを表示する表示装置を備える構成(第18の構成)であってよい。
【0123】
また、例示的な本発明の作業機械は、上記第17又は第18の構成の制御システムと、前記複数のバッテリから電力を供給される電動モータと、前記電動モータの駆動により動かされる作業装置と、を備える構成(第19の構成)であってよい。
【符号の説明】
【0124】
1・・・制御システム
10a・・・表示装置
13・・・制御装置
3・・・制御装置
5・・・記憶装置
14・・・DC/DCコンバータ
100・・・作業機械
103・・・作業装置
121・・・バッテリ
122・・・リレー
132a・・・プログラム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10