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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021690
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20250206BHJP
【FI】
E02F9/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125591
(22)【出願日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 浩太郎
(57)【要約】
【課題】バッテリユニットを備える作業機械において、配線部材を適切に配置することができる技術を提供する。
【解決手段】例示的な作業機械は、前方に作業装置が配置される旋回体を備える作業機械であって、前記旋回体の底部を構成する旋回フレームと、前記旋回フレーム上に配置されるバッテリユニットと、前記バッテリユニットへ電力を入力、または、前記バッテリユニットの電力を出力する第1接続部と、前記バッテリユニットの上方に配置され、電力を分配する第2接続部と、前記バッテリユニットの下方を通って前記第1接続部と前記第2接続部とを接続する配線部材と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に作業装置が配置される旋回体を備える作業機械であって、
前記旋回体の底部を構成する旋回フレームと、
前記旋回フレーム上に配置されるバッテリユニットと、
前記バッテリユニットへ電力を入力、または、前記バッテリユニットの電力を出力する第1接続部と、
前記バッテリユニットの上方に配置され、電力を分配する第2接続部と、
前記バッテリユニットの下方を通って前記第1接続部と前記第2接続部とを接続する配線部材と、
を備える、作業機械。
【請求項2】
前記第1接続部は、前記バッテリユニットの一の側面側に設けられ、
前記第2接続部は、前記バッテリユニットの前記一の側面側と異なる他の側面側に設けられる、請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記第1接続部は、前記バッテリユニットに隣接して配置される箱状の第1電気機器に含まれる、請求項1又は2に記載の作業機械。
【請求項4】
前記第2接続部は、前記バッテリユニットの上方に配置される箱状の第2電気機器に含まれる、請求項1又は2に記載の作業機械。
【請求項5】
前記旋回フレーム上に配置され、前記バッテリユニットの電力を電源とする電動モータにより駆動される油圧ポンプと、
前記旋回フレーム上に配置され、前記油圧ポンプと配管部材を介して接続されるコントロールバルブと、
を備え、
前記配管部材は、前記配線部材と交差する、請求項1に記載の作業機械。
【請求項6】
前記配管部材は、前記配線部材の下を通る、請求項5に記載の作業機械。
【請求項7】
前記配線部材は、前記配管部材と前記バッテリユニットとの間を通る、請求項6に記載の作業機械。
【請求項8】
前記旋回フレーム上で前方から後方に延び、左右に間隔をあけて配置される第1縦板および第2縦板を備え、
前記油圧ポンプは、前記第1縦板に対して前記第2縦板側と反対側となる機体外方に配置され、
前記コントロールバルブは、前記第2縦板に対して前記第1縦板側と反対側となる機体外方に配置される、請求項5から7のいずれか1項に記載の作業機械。
【請求項9】
前記第1縦板および前記第2縦板のそれぞれは、前記配管部材を通す切欠き又は貫通孔を有する、請求項8に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バッテリユニットを備える旋回作業機が知られる(例えば特許文献1参照)。特許文献1に開示される旋回作業機においては、旋回台に搭載されるバッテリユニットの上方後側に、ジャンクションボックス等の電装品が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-80704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のような旋回作業機においては、ジャンクションボックスは、通常、ケーブル等の配線部材を介してバッテリユニットへ接続される。例えばバッテリユニットの前面側にケーブルの接続部がある場合等においては、バッテリユニットの上方にケーブルを通すと、ケーブルの長さが長くなることを抑制して、バッテリユニットの上方にあるジャンクションボックスと接続部とを接続することができる。
【0005】
しかしながら、例えば小型の作業機械等においては、バッテリユニットの上方にカバーを介して運転座席が配置されることがある。このような構成の場合、バッテリユニットとカバーとの間が狭くなる傾向がある。このために、バッテリユニットとカバーとの間の空間にケーブルを通すことが困難となる可能性がある。
【0006】
以上の点に鑑みて、本発明は、バッテリユニットを備える作業機械において、配線部材を適切に配置することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の例示的な作業機械は、前方に作業装置が配置される旋回体を備える作業機械であって、前記旋回体の底部を構成する旋回フレームと、前記旋回フレーム上に配置されるバッテリユニットと、前記バッテリユニットへ電力を入力、または、前記バッテリユニットの電力を出力する第1接続部と、前記バッテリユニットの上方に配置され、電力を分配する第2接続部と、前記バッテリユニットの下方を通って前記第1接続部と前記第2接続部とを接続する配線部材と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
例示的な本発明によれば、バッテリユニットを備える作業機械において、配線部材を適切に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】作業機械の概略の構成を示す斜視図
図2】旋回体の内部の概略の構成を示す斜視図
図3図2から一部の部材を除外して示した概略斜視図
図4】作業機械における配線および配管の一部の概略の構成を示す斜視図
図5】配管部材と、第1縦板および第2縦板との概略の関係を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付し、特に説明の必要がない場合には、その説明を繰り返さない。
【0011】
<1.作業機械の概略構成>
図1は、本発明の実施形態に係る作業機械100の概略の構成を示す斜視図である。作業機械100は、詳細には油圧ショベルである。作業機械100は、例えば小型油圧ショベルであってよい。なお、本発明の作業機械は、油圧ショベルに限定されない。本発明は、旋回体を備える作業機械(旋回作業機)に広く適用可能である。
【0012】
図1に示すように、作業機械100は、旋回体1と、走行体2と、作業装置3と、を備える。
【0013】
なお、本明細書においては、旋回体1に対して作業装置3がある側が「前」として、前後方向を定義する。また、前後方向に垂直な重力方向を上下方向とし、重力方向の上流側が「上」、下流側が「下」とする。前後方向および上下方向に垂直な方向を左右方向とし、後方から前方に向かって左となる側を「左」、右となる側を「右」とする。また、前後方向および左右方向と平行な面を水平面、水平面と直交する面を鉛直面とする。なお、旋回体1は旋回するために、その向きは一定ではないが、旋回体1は図1に示す向きで一定であることを前提として方向の表現を用いる。また、ここで定義する方向は単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定する意図はない。
【0014】
旋回体1は、その中央部で上下方向に延びる軸線回りに旋回可能に設けられる。なお、本実施形態では、旋回体1は、その下方に配置される走行体2に旋回可能に支持される。旋回体1は、油圧モータとして構成される不図示の旋回モータにより駆動されて旋回する。旋回体1は、右旋回と左旋回とを可能に設けられる。旋回体1の前方には、作業装置3が配置される。すなわち、作業機械100は、前方に作業装置3が配置される旋回体1を備える。
【0015】
旋回体1には、作業機械100を操作するオペレータが座る運転座席11が設けられる。運転座席11に座るオペレータは、前方を向き、運転座席11の周囲に設けられる各種の操作装置を操作する。本実施形態では、操作装置には、操作レバー12が含まれる。運転座席11は、旋回体1の内部(機関室)に配置される各種の部材を覆うカバー(不図示)に支持される。旋回体1の内部に配置される各種の部材については、後述する。旋回体1には、その他、後端部にカウンタウェイト13が配置される。
【0016】
走行体2は、作業機械100を自走可能とする。詳細には、走行体2は、走行体フレーム21の左右に配置される一対のクローラ22を有する。各クローラ22は、油圧モータで構成される走行モータ23により駆動される。走行体2は、左右一対のクローラ22が同時に同方向に駆動されると、前方または後方に直進する。前方か後方かは、走行モータ23の回転方向により決まる。走行体2は、左右一対のクローラ22が独立して駆動されることにより、左旋回または右旋回を行う。
【0017】
なお、本実施形態の走行体2はクローラ式であるが、走行体は、クローラ式に限らず、ホイール式等であってもよい。また、走行体2の前部又は後部には、整地作業を行うためのブレードが設けられてよい。
【0018】
作業装置3は、ブーム31と、アーム32と、バケット33とを有する。作業装置3は、これらを同時に、又は、独立して動かすことで、土砂等の掘削作業を行う。なお、バケット33は、例えば解体作業を行う際に利用されるブレーカー等の他の作業具に変更されてよい。
【0019】
ブーム31は、その一端部がブームブラケット34に支持され、鉛直面内で回動可能(上下回動可能)である。ブームブラケット34は、旋回体1に支持される。ブーム31は、中間部分で折れ曲がり、側面視においてV字状である。ブーム31は、一端がブームブラケット34に連結され、他端がブーム31の中間部に連結されるブームシリンダ35の伸縮により回動する。
【0020】
アーム32は、その一端部がブーム31の他端部に、鉛直面内で回動可能に支持される。アーム32は、一端がブーム31の中間部に連結され、他端がアーム32の一端部に連結されるアームシリンダ36の伸縮により回動する。バケット33は、その一端部がアーム32の他端部に、鉛直面内で回動可能に支持される。バケット33は、一端がアーム32の一端部に連結され、他端がバケット33に連結されるバケットシリンダ37の伸縮により回動する。なお、図1において、ブーム31、アーム32、および、バケット33は、それぞれ左右方向に延びる軸線(不図示)を中心として回動可能に設けられる。
【0021】
ブームブラケット34は、詳細には、旋回体1に、水平面内で回動可能(水平回動可能)に支持される。換言すると、ブームブラケット34は、上下方向に延びる軸線(不図示)を中心として回動可能である。ブームブラケット34は、一端が旋回体1に連結され、他端がブームブラケット34に連結されるスイングシリンダ38の伸縮により左回り又は右回りに回動する。すなわち、スイングシリンダ38を動作させることにより、作業装置3を左回り又は右回りにスイングさせることができる。
【0022】
ブームシリンダ35、アームシリンダ36、バケットシリンダ37、および、スイングシリンダ38は、いずれも油圧式のシリンダであり、作業機械100が有する油圧アクチュータに含まれる。作業機械100が有する油圧アクチュータには、その他、上述の走行モータ23や旋回モータ(不図示)も含まれる。運転座席11に座るオペレータは、上述の操作レバー12を操作することにより油圧アクチュエータの制御を行って、作業装置3を用いた作業を行うことができる。
【0023】
<2.旋回体の構成>
[2-1.旋回体の内部の概要]
図2は、旋回体1の内部の概略の構成を示す斜視図である。図2に示すように、旋回体1は、その底部に旋回フレーム14を備える。換言すると、作業機械100は、旋回体1の底部を構成する旋回フレーム14を備える。旋回フレーム14は、平板状の部材で構成される。旋回フレーム14には、各種の部材が搭載される。
【0024】
図2に示すように、旋回フレーム14上には、バッテリユニット4、電動モータ5、油圧ポンプ6、および、コントロールバルブ7が配置される。すなわち、作業機械100は、バッテリユニット4と、電動モータ5と、油圧ポンプ6と、コントロールバルブ7と、を備える。作業機械100は、旋回フレーム14上に配置される、バッテリユニット4と、電動モータ5と、油圧ポンプ6と、コントロールバルブ7と、を備える。
【0025】
その他、旋回フレーム14には、上述したスイングシリンダ38の一端を連結可能とする連結部141が設けられる。
【0026】
(2-1-1.旋回フレーム)
図3は、図2から一部の部材を除外して示した概略斜視図である。一部の部材には、電動モータ5、油圧ポンプ6,および、コントロールバルブ7が含まれる。図2および図3に示すように、旋回フレーム14は、第1縦板142および第2縦板143を備える。すなわち、作業機械100は、第1縦板142および第2縦板143を備える。第1縦板142および第2縦板143が設けられることにより、旋回フレーム14の強度を高めることができる。
【0027】
第1縦板142および第2縦板143は、板状に設けられ、旋回フレーム14の上面の左右方向中央部に立設される。第1縦板142および第2縦板143は、旋回フレーム14上で前方から後方に延び、左右方向に間隔をあけて配置される。詳細には、第1縦板142が右側に配置され、第2縦板143が左側に配置される。ただし、これは例示であり、第1縦板142が左側、第2縦板143が右側であってもよい。第1縦板142および第2縦板143は、前側に比べて後側の上下方向高さが低くなる傾斜構造を有する。第1縦板142および第2縦板143は、旋回フレーム14と一体化された同一部材である。
【0028】
旋回フレーム14の前端部の左右方向中央部には、ブームブラケット34を水平回動可能に支持するブラケット支持部144が設けられる。第1縦板142および第2縦板143の前端部は、ブラケット支持部144に固定される。すなわち、作業機械100は、第1縦板142および第2縦板143の前方で旋回フレーム14に水平回動可能に支持され、作業装置3を支持するブームブラケット34(揺動体)を備える。
【0029】
(2-1-2.バッテリユニット)
バッテリユニット4は、少なくとも1つのバッテリ41を含んで構成される。バッテリ41は、例えば、リチウムイオン電池等の二次電池で構成される。本実施形態では、図2および図3に示すように、バッテリユニット4は、複数のバッテリ41を含む。複数のバッテリ41は、直列に接続されても、並列に接続されてもよい。また、例えば、複数のバッテリ41は、それらの一部が直列に接続され、直列に接続された一部同士が並列に接続される構成であってもよい。本実施形態では、バッテリ41の数は4つである。4つのバッテリ41は、2つずつが直列に接続され、直列に接続された2つのバッテリ41同士が並列に接続される構成となっている。
【0030】
作業機械100は、作業機械100の外部にある交流電源(商用電源等)から供給される電力を交流電力から直流電力に変換する給電器(不図示)を備える。バッテリユニット4は、給電器から電力を供給されることにより充電可能である。また、バッテリユニット4は、電動モータ5等、作業機械100が備える各種の負荷へ電力を供給可能である。
【0031】
図2および図3に示すように、旋回フレーム14の上面には、バッテリユニット支持台145が設けられる(図5も参照)。バッテリユニット支持台145は、旋回フレーム14と一体化された同一部材である。本実施形態では、バッテリユニット支持台145は、複数のパーツに分れているが、単一のパーツで構成されてもよい。バッテリユニット4は、バッテリユニット支持台145に防振部材146を介して支持される。防振部材146は、例えばゴム部材で構成される。バッテリユニット支持台145に支持されるバッテリユニット4は、旋回フレーム14の左右方向の中央部、且つ、旋回フレーム14の前後方向後側寄りに配置される。
【0032】
なお、運転座席11とバッテリユニット4とは、平面視において、少なくとも一部が重なる。運転座席11とバッテリユニット4との上下方向間には、不図示のカバーが配置される。
【0033】
(2-1-3.電動モータ)
電動モータ5は、バッテリユニット4の電力を電源とする。すなわち、電動モータ5は、バッテリユニット4から供給される電力により駆動される。本実施形態では、電動モータ5は、回転磁界により回転速度が決定される三相交流モータである。詳細には、バッテリユニット4から不図示のインバータ装置に電力が供給される。インバータ装置は、バッテリユニット4から供給された直流電力を交流電力に変換して、電動モータ5に交流電力を供給する。
【0034】
図2に示すように、旋回フレーム14の上面には、モータ支持台147が設けられる。本実施形態では、モータ支持台147は、複数のパーツに分れているが、単一のパーツで構成されてもよい。電動モータ5は、モータ支持台147に支持される。モータ支持台147は、防振部材146を介して旋回フレーム14に支持される。モータ支持台147に支持された電動モータ5は、バッテリユニット4の左右方向の一方側(本実施形態では右側)、且つ、旋回フレーム14の前後方向の中央部に配置される。
【0035】
(2-1-4.油圧ポンプ)
油圧ポンプ6は、電動モータ5により駆動される。電動モータ5により駆動された油圧ポンプ6は、上述の油圧アクチュータ(油圧シリンダ35~38および油圧モータ23等)に作動油を圧送する。
【0036】
油圧ポンプ6は、詳細には、電動モータ5の右方に隣接して配置される。油圧ポンプ6は、電動モータ5の右端部に設けられる連結体5aに連結される。なお、モータ支持台147は、詳細には、連結体5aを支持する。油圧ポンプ6は、第1縦板142に対して第2縦板143側と反対側(本実施形態では右側)となる機体外方に配置される。バッテリユニット4等の重量物に比べて軽い部材を機体外方に配置して、作業機械100のバランスを良くすることができる。
【0037】
(2-1-5.コントロールバルブ)
コントロールバルブ7は、油圧ポンプ6と油圧アクチュータ(油圧シリンダ35~38および油圧モータ23等)との間に介装される。コントロールバルブ7は、操作レバー12によって操作され、油圧ポンプ6から油圧アクチュータへ向けて供給される作動油の流れを制御する制御弁である。コントロールバルブ7は、詳細には、作動油の流れる方向および流量を制御する。
【0038】
より詳細には、コントロールバルブ7は、複数の油圧切替弁の集合体である。コントロールバルブ7は、油圧アクチュエータに含まれる油圧シリンダ35~38および油圧モータ23等のそれぞれに対する作動油の供給と排出を切り替えることにより、それらの動作を制御する。コントロールバルブ7は、第2縦板143に対して第1縦板142側と反対側(本実施形態では左側)となる機体外方に配置される。バッテリユニット4等の重量物に比べて軽い部材を機体外方に配置して、作業機械100のバランスを良くすることができる。
【0039】
[2-2.配線および配管]
次に、作業機械100における配線および配管について説明する。図4は、作業機械100における配線および配管の一部の概略の構成を示す斜視図である。図4は、旋回体1の内部を、旋回フレーム14を取り除いて斜め下方から見た図である。以下、主に図4を参照しながら配線および配管について説明する。
【0040】
(2-2-1.配線)
図4に示すように、作業機械100は、配線部材9と、第1接続部91と、第2接続部92とを備える。
【0041】
配線部材9は、バッテリユニット4へ電力を入力したり、バッテリユニット4から電力を出力したりするために利用される。配線部材9は、ケーブルやハーネス等の電線を広く含む。本実施形態では、配線部材9はケーブルであり、より詳細には高圧ケーブルである。
【0042】
第1接続部91は、バッテリユニット4へ電力を入力、または、バッテリユニット4の電力を出力する接続部である。本実施形態では、第1接続部91は、バッテリユニット4に隣接して配置される箱状の第1電気機器93(図2も参照)に含まれる。ただし、このような構成は例示にすぎず、例えば、第1接続部91はバッテリユニット4自体に設けられてもよい。すなわち、第1電気機器93は必須の構成要素ではない。第1接続部91を有する第1電気機器93がバッテリユニット4とは別に設けられることにより、例えば、複数のバッテリ41を含むバッテリユニット4を利用し易くすることができる。
【0043】
第1電気機器93は、詳細には、PDU(Power Distribution Unit)である。PDU93は、バッテリユニット4が備える複数のバッテリ41に対する電力の出力および入力を一纏めとする機能を有する。PDU93は、内部のバッテリリレーを制御してバッテリユニット4における電力の入出力を制御する。本実施形態においては、PDU93は、バッテリユニット4の前方に隣接して配置される。第1接続部91は、PDU93の右側面の上部に配置される。
【0044】
第2接続部92は、バッテリユニット4の上方に配置され、電力を分配する接続部である。第2接続部92は、作業機械100内で消費する電力、および、バッテリユニット4で充電される電力の分配を行う。第2接続部92は、例えば、電動モータ5を駆動するインバータ装置や、電圧を降下させるコンバータ装置等へ、バッテリユニット4から出力された電力を供給する。また、第2接続部92は、給電器(不図示)から出力された電力をバッテリユニット4や、コンバータ装置等へ供給する。
【0045】
本実施形態では、第2接続部92は、バッテリユニット4の上方に配置される箱状の第2電気機器94に含まれる。ただし、このような構成は例示にすぎず、第2接続部92は、箱状の電気機器でなくてもよく、例えば、バッテリユニット4の上方に配置される少なくとも1つのリレーで構成されてもよい。すなわち、第2電気機器94は必須の構成要素ではない。箱状の第2電気機器94を設けることにより、例えば、電線を纏めて美観を良くしたり、電線を保護したりすることができる。第2電気機器94は、詳細にはジャンクションボックスである。ジャンクションボックス94は、バッテリユニット4の後部の上方に配置される。第2接続部92は、ジャンクションボックス94の後面に配置される。
【0046】
配線部材9は、バッテリユニット4の下方を通って第1接続部91と第2接続部92とを接続する。配線部材9は、第1接続部91と第2接続部92とを電気的に接続する。バッテリユニット4は、上述のように、旋回フレーム14の上面に設けられるバッテリユニット支持台145を用いて支持される。このために、バッテリユニット4の底面と、旋回フレーム14の上面との間には元来隙間が存在する。配線部材9がバッテリユニット4の下方を通る構成とした場合、当該隙間を有効利用して配線部材9を配置することができる。
【0047】
なお、本実施形態では、ジャンクションボックス94は、運転座席11よりも後方に位置する。このために、バッテリユニット4の上下方向高さを高くしても、ジャンクションボックス94は、運転座席11とは干渉しない。また、本実施形態の構成によれば、バッテリユニット4の上方に配線部材9を配線するためのスペースは、必ずしも必要でなくなる。このために、運転座席11の下方に配置されるバッテリユニット4の高さを、運転座席11(詳細には運転座席11を支持するカバー)と干渉しない範囲で高くすることができる。すなわち、機関室内にできるだけ容量の大きなバッテリ41を配置することができる。
【0048】
また、本実施形態では、第1接続部91は、バッテリユニット4の前面側に配置され、第2接続部92は、バッテリユニット4の後面側に配置される。ただし、これは例示にすぎず、第1接続部91および第2接続部92は、バッテリユニット4の、上述した側面側と異なる側面側に設けられてもよい。すなわち、第1接続部91は、バッテリユニット4の一の側面側に設けられ、第2接続部92は、バッテリユニット4の前記一の側面側と異なる他の側面側に設けられてよい。一の側面と他の側面とは、互いに対向する面であっても、互いに対向しない面であってもよい。バッテリユニット4の側面側に第1接続部91および第2接続部92が設けられる構成とすることで、配線部材9がバッテリユニット4の上面を全く横切らないように構成することができる。
【0049】
(2-2-2.配管)
図4に示すように、作業機械100は配管部材10を備える。配管部材10は、油圧ポンプ6から吐出された作動油をコントロールバルブ7へ圧送するために利用される。すなわち、コントロールバルブ7は、油圧ポンプ6と配管部材10を介して接続される。配管部材10は、可撓性を有する部材であることが好ましく、本実施形態では油圧ホースである。なお、コントロールバルブ7が複数の油圧切替弁の集合体であるために、油圧ポンプ6とコントロールバルブ7とを接続する配管部材10の数は複数である。
【0050】
配管部材10は、配線部材9と交差する。このような構成とすると、配管部材10の一部と、配線部材9の一部とを同一の空間に纏めて配置して、旋回体1内部(機関室)のスペースを効率良く利用することができる。
【0051】
詳細には、配管部材10は、配線部材9の下を通ることが好ましい。本実施形態では、配管部材10と配線部材9とが交差する位置において、配管部材10が配線部材9の下に位置する。このように構成すると、仮に配管部材10から油が垂れるようなことが生じても、当該垂れた油が配線部材9にかかるといった事態が生じることを避けられる。
【0052】
より詳細には、本実施形態では、好ましい形態として、配線部材9は、配管部材10とバッテリユニット4との間(上下方向の間)を通る。本構成によれば、配線部材9と配管部材10とがバッテリユニット4の下方の空間において交差することになる。すなわち、バッテリユニット4の下方の空間を有効利用して配線部材9と配管部材10とを旋回体1内に配置することができる。
【0053】
図5は、配管部材10と、第1縦板142および第2縦板143との概略の関係を示す斜視図である。図5に示すように、第1縦板142および第2縦板143のそれぞれは、後部に、下端から上方に向けて凹む切欠き142a、143aを有する。当該切欠き142a、143aが設けられることにより、配管部材10は、第1縦板142および第2縦板143のそれぞれを貫通するように配置される。
【0054】
なお、2つの切欠き142a、143aは、左右方向からの側面視において、互いに重なる。すなわち、配管部材10を2つの切欠き142a、143aを通すに際して、配管部材10を無理に曲げる必要がない。また、本実施形態では、第1縦板142および第2縦板143の左方には、旋回フレーム14を構成する要素(バッテリユニット支持台145等)が隣接配置される。ただし、これらは、逆U字状に構成されたり、切欠きを有したりするために、配管部材10は、これらを貫通するように配置することができる。
【0055】
本実施形態では、第1縦板142および第2縦板143のそれぞれに、切欠き142a、143aが設けられるが、これは例示にすぎない。第1縦板142および第2縦板143のそれぞれに、配管部材10を通すための、左右方向に貫通する貫通孔が設けられてもよい。すなわち、第1縦板142および第2縦板143のそれぞれは、配管部材10を通す切欠き又は貫通孔を有する構成とすることが好ましい。このような構成とすると、配管部材10を、第1縦板142および第2縦板143を避けて配置する必要がなく配管部材10を効率良く配置することができる。また、仮に、配管部材10が第1縦板142および第2縦板143を避けてこれらの上方を通ると、バッテリユニット4を小さくする必要が生じる可能性があるが、本実施形態の構成によれば、このような事態の発生を避けられる。
【0056】
なお、第1縦板142と第2縦板143とのうち、一方に配管部材10を通すための切欠きが設けられ、他方に配管部材10を通すための貫通孔が設けられてもよい。
【0057】
<3.留意事項等>
本明細書中に開示される種々の技術的特徴は、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。また、本明細書中に示される複数の実施形態および変形例は可能な範囲で組み合わせて実施されてよい。
【0058】
<4.付記>
例示的な本発明の作業機械は、前方に作業装置が配置される旋回体を備える作業機械であって、前記旋回体の底部を構成する旋回フレームと、前記旋回フレーム上に配置されるバッテリユニットと、前記バッテリユニットへ電力を入力、または、前記バッテリユニットの電力を出力する第1接続部と、前記バッテリユニットの上方に配置され、電力を分配する第2接続部と、前記バッテリユニットの下方を通って前記第1接続部と前記第2接続部とを接続する配線部材と、を備える構成(第1の構成)であってよい。
【0059】
上記第1の構成の作業機械において、前記第1接続部は、前記バッテリユニットの一の側面側に設けられ、前記第2接続部は、前記バッテリユニットの前記一の側面側と異なる他の側面側に設けられる構成(第2の構成)であってよい。
【0060】
上記第1又は第2の構成の作業機械において、前記第1接続部は、前記バッテリユニットに隣接して配置される箱状の第1電気機器に含まれる構成(第3の構成)であってよい。
【0061】
上記第1から第3のいずれかの構成の作業機械において、前記第2接続部は、前記バッテリユニットの上方に配置される箱状の第2電気機器に含まれる構成(第4の構成)であってよい。
【0062】
上記第1から第4のいずれかの構成の作業機械は、前記旋回フレーム上に配置され、前記バッテリユニットの電力を電源とする電動モータにより駆動される油圧ポンプと、前記旋回フレーム上に配置され、前記油圧ポンプと配管部材を介して接続されるコントロールバルブと、を備え、前記配管部材は、前記配線部材と交差する構成(第5の構成)であってよい。
【0063】
上記第5の構成の作業機械において、前記配管部材は、前記配線部材の下を通る構成(第6の構成)であってよい。
【0064】
上記第6の構成の作業機械において、前記配線部材は、前記配管部材と前記バッテリユニットとの間を通る構成(第7の構成)であってよい。
【0065】
上記第5から第7のいずれかの構成の作業機械は、前記旋回フレーム上で前方から後方に延び、左右に間隔をあけて配置される第1縦板および第2縦板を備え、前記油圧ポンプは、前記第1縦板に対して前記第2縦板側と反対側となる機体外方に配置され、前記コントロールバルブは、前記第2縦板に対して前記第1縦板側と反対側となる機体外方に配置される構成(第8の構成)であってよい。
【0066】
上記第8の構成の作業機械において、前記第1縦板および前記第2縦板のそれぞれは、前記配管部材を通す切欠き又は貫通孔を有する構成(第9の構成)であってよい。
【符号の説明】
【0067】
1・・・旋回体
3・・・作業装置
4・・・バッテリユニット
5・・・電動モータ
6・・・油圧ポンプ
7・・・コントロールバルブ
9・・・配線部材
10・・・配管部材
14・・・旋回フレーム
91・・・第1接続部
92・・・第2接続部
93・・・第1電気機器
94・・・第2電気機器
100・・・作業機械
142・・・第1縦板
142a・・・切欠き
143・・・第2縦板
143a・・・切欠き
図1
図2
図3
図4
図5