(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021692
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/08 20060101AFI20250206BHJP
B62D 55/02 20060101ALI20250206BHJP
B62D 55/06 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
E02F9/08 Z
B62D55/02
B62D55/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125595
(22)【出願日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北原 訓
(57)【要約】
【課題】油圧シリンダを利用したスイング機能を備える作業機械において、油圧リンダを適切にレイアウトすることができる技術を提供する。
【解決手段】例示的な作業機械は、前方に作業装置が配置される旋回体を備える作業機械であって、前記旋回体の底部を構成する旋回フレームと、前記旋回フレーム上で前方から後方に延び、左右に間隔をあけて配置される第1縦板および第2縦板と、前記第1縦板及び前記第2縦板の前方で前記旋回フレームに水平回動可能に支持され、前記作業装置を支持する揺動体と、前記旋回フレーム上で前記第1縦板に対して前記第2縦板側の反対側となる機体外方に配置され、一端部が前記揺動体に連結される油圧シリンダと、前記旋回フレーム上で前記第1縦板と前記油圧シリンダとの間に配置され、前記油圧シリンダの他端部に連結される補助縦板と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に作業装置が配置される旋回体を備える作業機械であって、
前記旋回体の底部を構成する旋回フレームと、
前記旋回フレーム上で前方から後方に延び、左右に間隔をあけて配置される第1縦板および第2縦板と、
前記第1縦板および前記第2縦板の前方で前記旋回フレームに水平回動可能に支持され、前記作業装置を支持する揺動体と、
前記旋回フレーム上で前記第1縦板に対して前記第2縦板側の反対側となる機体外方に配置され、一端部が前記揺動体に連結される油圧シリンダと、
前記旋回フレーム上で前記第1縦板と前記油圧シリンダとの間に配置され、前記油圧シリンダの他端部に連結される補助縦板と、
を備える、作業機械。
【請求項2】
前記補助縦板は、前記油圧シリンダの他端部を連結する連結構造を有する連結部を備え、
左右方向の側面視において、前記連結部は、前記第1縦板に対して上方に突出する、請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記補助縦板の前端部は、前記第1縦板と接続される、請求項1又は2記載の作業機械。
【請求項4】
平面視において前記第2縦板と重なるバッテリユニットと、
前記バッテリユニットの電力を電源とし、平面視において前記第1縦板と重なる電動モータと、
前記電動モータにより駆動され、平面視において前記補助縦板と重なる油圧ポンプと、
を備える、請求項1に記載の作業機械。
【請求項5】
前記油圧ポンプの前方に前記油圧シリンダが配置される、請求項4に記載の作業機械。
【請求項6】
前記油圧ポンプの前方に、前記油圧ポンプが吐出する作動油を貯蓄する作動油タンクを備え、
前記油圧シリンダは、前記作動油タンクに設けられる切欠き部を通る、請求項5に記載の作業機械。
【請求項7】
前記油圧シリンダは、前記補助縦板と、前記作動油タンクの前記切欠き部が設けられる部分の側壁との間に配置される、請求項6に記載の作業機械。
【請求項8】
前記補助縦板は、前記作動油タンクの前記切欠き部が設けられる部分の底壁を支持する、請求項7に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、作業機を上下回動可能に支持する支持部が水平回動する、いわゆるスイング機能を装備した旋回作業車が知られる(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に開示される旋回作業車は、下部走行体と、下部走行体の上方で旋回可能に設けられた上部旋回体とを備える。上部旋回体の底部を構成する旋回フレームの前部に、水平回動可能に支持された揺動体が設けられる。揺動体は、作業機を上下回動可能に支持する。旋回フレームの底板上には、左右に間隔をあけて位置し、前後方向に延びるように立設された第1縦板及び第2縦板が配置される。油圧式のスイングシリンダが、第2縦板を挟んで第1縦板の反対側に設けられ、旋回フレームと揺動体とを連結する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、スイングシリンダ等の油圧式のアクチュエータへ油を圧送する油圧ポンプを、電動モータで駆動することがある。このような構成では、旋回フレーム上に、電動モータへ電力を供給するバッテリユニットが搭載される。バッテリユニットの蓄電容量を大きくしようとすると、バッテリユニットが旋回フレーム上の広い領域を占めることになる。
【0006】
バッテリユニットは、その重量が大きいために、上述の第1縦板および第2縦板が配置されることにより強度が向上された旋回フレームの中央寄りに配置することが有利と考えられる。このような構成では、電動モータや油圧ポンプ等の部材がバッテリユニットの側方に配置されることになり、これらの部材の少なくとも一部と、スイングシリンダとの干渉が問題となる可能性がある。
【0007】
以上の点に鑑みて、本発明は、油圧シリンダを利用したスイング機能を備える作業機械において、油圧リンダを適切にレイアウトすることができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の例示的な作業機械は、前方に作業装置が配置される旋回体を備える作業機械であって、前記旋回体の底部を構成する旋回フレームと、前記旋回フレーム上で前方から後方に延び、左右に間隔をあけて配置される第1縦板および第2縦板と、前記第1縦板及び前記第2縦板の前方で前記旋回フレームに水平回動可能に支持され、前記作業装置を支持する揺動体と、前記旋回フレーム上で前記第1縦板に対して前記第2縦板側の反対側となる機体外方に配置され、一端部が前記揺動体に連結される油圧シリンダと、前記旋回フレーム上で前記第1縦板と前記油圧シリンダとの間に配置され、前記油圧シリンダの他端部に連結される補助縦板と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
例示的な本発明によれば、油圧シリンダを利用したスイング機能を備える作業機械において、油圧リンダを適切にレイアウトすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図4】補助縦板と、スイングシリンダおよび第1縦板との概略の関係を示す側面図
【
図5】旋回フレーム上におけるスイングシリンダと作動油タンクとの概略の関係を示す斜視図
【
図6】旋回フレーム上におけるスイングシリンダと作動油タンクとの概略の関係を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付し、特に説明の必要がない場合には、その説明を繰り返さない。
【0012】
<1.作業機械の概略構成>
図1は、本発明の実施形態に係る作業機械100の概略の構成を示す斜視図である。作業機械100は、詳細には油圧ショベルである。作業機械100は、例えば小型油圧ショベルであってよい。なお、本発明の作業機械は、油圧ショベルに限定されない。本発明は、旋回体を備える作業機械(旋回作業機)に広く適用可能である。
【0013】
図1に示すように、作業機械100は、旋回体1と、走行体2と、作業装置3と、を備える。
【0014】
なお、本明細書においては、旋回体1に対して作業装置3がある側が「前」として、前後方向を定義する。また、前後方向に垂直な重力方向を上下方向とし、重力方向の上流側が「上」、下流側が「下」とする。前後方向および上下方向に垂直な方向を左右方向とし、後方から前方に向かって左となる側を「左」、右となる側を「右」とする。また、前後方向および左右方向と平行な面を水平面、水平面と直交する面を鉛直面とする。なお、旋回体1は旋回するために、その向きは一定ではないが、旋回体1は
図1に示す向きで一定であることを前提として方向の表現を用いる。また、ここで定義する方向は単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定する意図はない。
【0015】
旋回体1は、その中央部で上下方向に延びる軸線回りに旋回可能に設けられる。なお、本実施形態では、旋回体1は、その下方に配置される走行体2に旋回可能に支持される。旋回体1は、油圧モータとして構成される不図示の旋回モータにより駆動されて旋回する。旋回体1は、右旋回と左旋回とを可能に設けられる。旋回体1の前方には、作業装置3が配置される。すなわち、作業機械100は、前方に作業装置3が配置される旋回体1を備える。
【0016】
旋回体1には、作業機械100を操作するオペレータが座る運転座席11が設けられる。運転座席11に座るオペレータは、前方を向き、運転座席11の周囲に設けられる各種の操作装置を操作する。本実施形態では、操作装置には、操作レバー12が含まれる。運転座席11は、旋回体1の内部(機関室)に配置される各種の部材を覆うカバー(不図示)に支持される。旋回体1の内部に配置される各種の部材については、後述する。旋回体1には、その他、後端部にカウンタウェイト13が配置される。
【0017】
走行体2は、作業機械100を自走可能とする。詳細には、走行体2は、走行体フレーム21の左右に配置される一対のクローラ22を有する。各クローラ22は、油圧モータで構成される走行モータ23により駆動される。走行体2は、左右一対のクローラ22が同時に同方向に駆動されると、前方または後方に直進する。前方か後方かは、走行モータ23の回転方向により決まる。走行体2は、左右一対のクローラ22が独立して駆動されることにより、左旋回または右旋回を行う。
【0018】
なお、本実施形態の走行体2はクローラ式であるが、走行体は、クローラ式に限らず、ホイール式等であってもよい。また、走行体2の前部又は後部には、整地作業を行うためのブレードが設けられてよい。
【0019】
作業装置3は、ブーム31と、アーム32と、バケット33とを有する。作業装置3は、これらを同時に、又は、独立して動かすことで、土砂等の掘削作業を行う。なお、バケット33は、例えば解体作業を行う際に利用されるブレーカー等の他の作業具に変更されてよい。
【0020】
ブーム31は、その一端部がブームブラケット34に支持され、鉛直面内で回動可能(上下回動可能)である。ブームブラケット34は、旋回体1に支持される。ブーム31は、中間部分で折れ曲がり、側面視においてV字状である。ブーム31は、一端がブームブラケット34に連結され、他端がブーム31の中間部に連結されるブームシリンダ35の伸縮により回動する。
【0021】
アーム32は、その一端部がブーム31の他端部に、鉛直面内で回動可能に支持される。アーム32は、一端がブーム31の中間部に連結され、他端がアーム32の一端部に連結されるアームシリンダ36の伸縮により回動する。バケット33は、その一端部がアーム32の他端部に、鉛直面内で回動可能に支持される。バケット33は、一端がアーム32の一端部に連結され、他端がバケット33に連結されるバケットシリンダ37の伸縮により回動する。なお、
図1において、ブーム31、アーム32、および、バケット33は、それぞれ左右方向に延びる軸線(不図示)を中心として回動可能に設けられる。
【0022】
ブームブラケット34は、詳細には、旋回体1に、水平面内で回動可能(水平回動可能)に支持される。換言すると、ブームブラケット34は、上下方向に延びる軸線(不図示)を中心として回動可能である。ブームブラケット34は、一端が当該ブームブラケットに連結され、他端が旋回体1に連結されるスイングシリンダ38の伸縮により左回り又は右回りに回動する。すなわち、スイングシリンダ38を動作させることにより、作業装置3を左回り又は右回りにスイングさせることができる。
【0023】
ブームシリンダ35、アームシリンダ36、バケットシリンダ37、および、スイングシリンダ38は、いずれも油圧式のシリンダであり、作業機械100が有する油圧アクチュータに含まれる。作業機械100が有する油圧アクチュータには、その他、上述の走行モータ23や旋回モータ(不図示)も含まれる。運転座席11に座るオペレータは、上述の操作レバー12を操作することにより油圧アクチュエータの制御を行って、作業装置3を用いた作業を行うことができる。
【0024】
<2.旋回体の構成>
[2-1.旋回体の内部の概要]
図2は、旋回体1の内部の概略の構成を示す斜視図である。
図2に示すように、旋回体1は、その底部に旋回フレーム14を備える。換言すると、作業機械100は、旋回体1の底部を構成する旋回フレーム14を備える。旋回フレーム14は、平板状の部材で構成される。旋回フレーム14には、各種の部材が搭載される。
【0025】
図2に示すように、旋回フレーム14上には、バッテリユニット4、電動モータ5、油圧ポンプ6、および、コントロールバルブ7が配置される。すなわち、作業機械100は、バッテリユニット4と、電動モータ5と、油圧ポンプ6と、コントロールバルブ7と、を備える。作業機械100は、旋回フレーム14上に配置される、バッテリユニット4と、電動モータ5と、油圧ポンプ6と、コントロールバルブ7と、を備える。
【0026】
その他、旋回フレーム14には、上述したスイングシリンダ38の他端部が連結され、スイングシリンダ38が配置される構成となっているが、これについては後述する。
【0027】
(2-1-1.旋回フレーム)
図3は、
図2に示す構成を上から見た概略平面図である。
図2および
図3に示すように、旋回フレーム14は、第1縦板142および第2縦板143を備える。すなわち、作業機械100は、第1縦板142および第2縦板143を備える。第1縦板142および第2縦板143が設けられることにより、旋回フレーム14の強度を高めることができる。
【0028】
第1縦板142および第2縦板143は、板状に設けられ、旋回フレーム14の上面の左右方向中央部に立設される。第1縦板142および第2縦板143は、旋回フレーム14上で前方から後方に延び、左右方向に間隔をあけて配置される。詳細には、第1縦板142が右側に配置され、第2縦板143が左側に配置される。ただし、これは例示であり、第1縦板142が左側、第2縦板143が右側であってもよい。第1縦板142および第2縦板143は、前側に比べて後側の上下方向高さが低くなる傾斜構造を有する。第1縦板142および第2縦板143は、旋回フレーム14と一体化された同一部材である。
【0029】
旋回フレーム14の前端部の左右方向中央部には、ブームブラケット34を水平回動可能に支持するブラケット支持部144が設けられる。第1縦板142および第2縦板143の前端部は、ブラケット支持部144に固定される。また、作業装置3のブーム31を回動可能に支持するブームブラケット34は、本発明の揺動体の一例である。すなわち、作業機械100は、第1縦板142および第2縦板143の前方で旋回フレーム14に水平回動可能に支持され、作業装置3を支持する揺動体34を備える。
【0030】
(2-1-2.バッテリユニット)
バッテリユニット4は、少なくとも1つのバッテリ41を含んで構成される。バッテリ41は、例えば、リチウムイオン電池等の二次電池で構成される。本実施形態では、
図2に示すように、バッテリユニット4は、複数のバッテリ41を含む。複数のバッテリ41は、直列に接続されても、並列に接続されてもよい。また、例えば、複数のバッテリ41は、それらの一部が直列に接続され、直列に接続された一部同士が並列に接続される構成であってもよい。本実施形態では、バッテリ41の数は4つである。4つのバッテリ41は、2つずつが直列に接続され、直列に接続された2つのバッテリ41同士が並列に接続される構成となっている。
【0031】
作業機械100は、作業機械100の外部にある交流電源(商用電源等)から供給される電力を交流電力から直流電力に変換する給電器(不図示)を備える。バッテリユニット4は、給電器から電力を供給されることにより充電可能である。また、バッテリユニット4は、電動モータ5等、作業機械100が備える各種の負荷へ電力を供給可能である。
【0032】
図2および
図3に示すように、旋回フレーム14の上面には、バッテリユニット支持台145が設けられる(
図6等も参照)。バッテリユニット支持台145は、旋回フレーム14と一体化された同一部材である。本実施形態では、バッテリユニット支持台145は、複数のパーツに分れているが、単一のパーツで構成されてもよい。バッテリユニット4は、バッテリユニット支持台145に防振部材146を介して支持される。防振部材146は、例えばゴム部材で構成される。
【0033】
バッテリユニット支持台145に支持されるバッテリユニット4は、旋回フレーム14の左右方向において、ほぼ中央部に配置され、詳細には、中央から少し左側にずれて配置される。また、バッテリユニット支持台145に支持されるバッテリユニット4は、旋回フレーム14の前後方向において、中央から少し後側寄りに配置される。また、
図3に示すように、バッテリユニット4は、平面視において第2縦板143と重なる。なお、バッテリユニット4は、第2縦板143に対して上側である。以上からわかるように、バッテリユニット4は、旋回フレーム14の、第1縦板142および第2縦板143が配置されて強度が増した中央寄りに配置される。
【0034】
(2-1-3.電動モータ)
電動モータ5は、バッテリユニット4の電力を電源とする。すなわち、電動モータ5は、バッテリユニット4から供給される電力により駆動される。本実施形態では、電動モータ5は、回転磁界により回転速度が決定される三相交流モータである。詳細には、バッテリユニット4から不図示のインバータ装置に電力が供給される。インバータ装置は、バッテリユニット4から供給された直流電力を交流電力に変換して、電動モータ5に交流電力を供給する。
【0035】
図2および
図3に示すように、旋回フレーム14の上面には、モータ支持台147が設けられる。本実施形態では、モータ支持台147は、複数のパーツに分れているが、単一のパーツで構成されてもよい。電動モータ5は、モータ支持台147に支持される。モータ支持台147は、防振部材146を介して旋回フレーム14に支持される。モータ支持台147に支持された電動モータ5は、バッテリユニット4の左右方向の一方側(本実施形態では右側)に隣接して配置される。また、
図3に示すように、電動モータ5は、平面視において第1縦板142と重なる。なお、電動モータ5は、第1縦板142に対して上側である。以上からわかるように、重量が重たい電動モータ5は、旋回フレーム14の、第1縦板142および第2縦板143が配置されて強度が増した左右方向の中央部に比較的近い位置に配置される。
【0036】
(2-1-4.油圧ポンプ)
油圧ポンプ6は、電動モータ5により駆動される。電動モータ5により駆動された油圧ポンプ6は、上述の油圧アクチュータ(油圧シリンダ35~38および油圧モータ23等)に作動油を圧送する。
【0037】
油圧ポンプ6は、詳細には、電動モータ5の右方に隣接して配置される。油圧ポンプ6は、電動モータ5の右端部に設けられる連結体5aに連結される。なお、モータ支持台147は、詳細には、連結体5aを支持する。油圧ポンプ6は、第1縦板142に対して第2縦板143側と反対側(本実施形態では右側)となる機体外方に配置される。バッテリユニット4等の重量物に比べて軽い部材を機体外方に配置して、作業機械100のバランスを良くすることができる。
【0038】
(2-1-5.コントロールバルブ)
コントロールバルブ7は、油圧ポンプ6と油圧アクチュータ(油圧シリンダ35~38および油圧モータ23等)との間に介装される。コントロールバルブ7は、操作レバー12によって操作され、油圧ポンプ6から油圧アクチュータへ向けて供給される作動油の流れを制御する制御弁である。コントロールバルブ7は、詳細には、作動油の流れる方向および流量を制御する。
【0039】
より詳細には、コントロールバルブ7は、複数の油圧切替弁の集合体である。コントロールバルブ7は、油圧アクチュエータに含まれる油圧シリンダ35~38および油圧モータ23等のそれぞれに対する作動油の供給と排出を切り替えることにより、それらの動作を制御する。コントロールバルブ7は、第2縦板143に対して第1縦板142側と反対側(本実施形態では左側)となる機体外方に配置される。バッテリユニット4等の重量物に比べて軽い部材を機体外方に配置して、作業機械100のバランスを良くすることができる。
【0040】
[2-2.スイングシリンダのレイアウト]
次に、作業機械100に含まれる油圧シリンダの一つであるスイングシリンダ38のレイアウトについて説明する。
【0041】
図3に示すように、スイングシリンダ38は、旋回フレーム14上で第1縦板142に対して第2縦板143側の反対側(本実施形態では右側)となる機体外方に配置される。また、上述のように、スイングシリンダ38は、その一端部(前端部)がブームブラケット(揺動体)34に連結される。すなわち、作業機械100は、旋回フレーム14上で第1縦板142に対して第2縦板143側の反対側となる機体外方に配置され、一端部が揺動体34に連結される油圧シリンダ38を備える。なお、スイングシリンダ38の一端部は、水平回動可能にブームブラケット34に連結される。
【0042】
また、
図3に示すように、作業機械100は、旋回フレーム14上で第1縦板142とスイングシリンダ(油圧シリンダ)38との間に配置される補助縦板148を備える。詳細には、補助縦板148は、第1縦板142の右側、且つ、スイングシリンダ38の左側に配置される。補助縦板148は、第1縦板142に対して機体外方に配置され、スイングシリンダ38に対して機体内方に配置される。
【0043】
補助縦板148は、板状に設けられ、旋回フレーム14の上面に立設される。補助縦板148は、旋回フレーム14と一体化された同一部材である。補助縦板148は、旋回フレーム14上で前方から後方に延びる。補助縦板148は、同じく前方から後方に延びる第1縦板142に対して傾いて配置される。補助縦板148は、前方から後方に向かうにつれて、第1縦板142から機体外方(本実施形態では右側)へ離れる。補助縦板148の前側は、機体内方(左側)に向けて曲がり、第1縦板142に向かう。詳細には、補助縦板148の前端部は、第1縦板142と接続される。これにより、補助縦板148の強度を増すことができる。
【0044】
補助縦板148は、スイングシリンダ(油圧シリンダ)38の他端部(後端部)に連結される。換言すると、スイングシリンダ38は、その他端部を補助縦板148に支持される。なお、スイングシリンダ38の他端部は、水平回動可能に補助縦板148に連結される。このような構成とすれば、第1縦板142よりも機体外方に配置される補助縦板148の更に機体外方でスイングシリンダ38を支持することができる。このために、旋回フレーム14上において、スイングシリンダ38を他の機器との干渉を避けて配置し易くすることができる。
【0045】
特に、本実施形態では、平面視において電動モータ5が第1縦板142と重なる位置に配置されるが、本実施形態の構成によれば、スイングシリンダ38を電動モータ5との干渉を避けて配置することができる。
【0046】
なお、本実施形態では、
図3に示すように、油圧ポンプ6が、平面視において補助縦板148と重なる。油圧ポンプ6が、補助縦板148に対して上側である。油圧ポンプ6は、電動モータ5に比べてサイズが小さく、更に、旋回フレーム14に直接支持されない。このような機器の下方にスイングシリンダ38を支持する補助縦板148を配置することにより、重量が大きくしっかりした支持が必要なバッテリユニット4や電動モータ5を、強度が高い旋回フレーム14の中央側の広い範囲で支持することができる。この結果、蓄電容量の大きなバッテリユニット4の設置を可能とすることができる。
【0047】
図4は、補助縦板148と、スイングシリンダ38および第1縦板142との概略の関係を示す側面図である。
図4は、旋回フレーム14を右方から見た図である。
図4に示すように、補助縦板148は、スイングシリンダ(油圧シリンダ)38の他端部(後端部)を連結する連結構造1481を有する連結部148aを備える。補助縦板148は、その後端部に連結部148aを備える。
【0048】
連結構造1481は、詳細には、上板状体1481aと、上板状体1481aに対して下方に配置される下板状体1481bとを有する。上板状体1481aと下板状体1481bとは、連結部148a(補助縦板148)から機体外方に突出する。詳細には、上板状体1481aと下板状体1481bとは、連結部148aの右側面から右方に突出し、水平方向に広がる。上板状体1481aと下板状体1481bとは、上下方向に間隔をあけて配置される。スイングシリンダ38の後端部38aは、上板状体1481aと下板状体1481bとの上下方向間に配置される。スイングシリンダ38の後端部38aは、上板状体1481aおよび下板状体1481bに、これらを上下方向に貫くピン部材149を介して水平回動可能に連結される。
【0049】
図4に示すように、左右方向の側面視において、連結部148aは、第1縦板142に対して上方に突出する。スイングシリンダ38の他端部(後端部)を連結する連結部148aは、連結構造1481が設けられるために、上下方向の高さが高くなり易い。このために、仮に、機体内方に存在する第1縦板142に連結構造を有する連結部を設けると、電動モータ5等との干渉が問題となる。この点、本実施形態では、連結部148aが、第1縦板142よりも機体外方に配置される補助縦板148に設けられる。このために、機体内方に配置される電動モータ5等のサイズの大きな機器との干渉を避けて、スイングシリンダ38を旋回フレーム14上に配置することができる。
【0050】
本実施形態では、
図3に示すように、油圧ポンプ6の前方にスイングシリンダ(油圧シリンダ)38が配置される。これにより、油圧ポンプ6よりも機体内方(本実施形態では左側)に配置される電動モータ5やバッテリユニット4を避けてスイングシリンダ38を配置することができる。
【0051】
図5および
図6は、旋回フレーム14上におけるスイングシリンダ38と作動油タンク9との概略の関係を示す斜視図である。
図5は、左斜め前方から見た図である。
図6は、左斜め後方から見た図である。
図3、
図5、および、
図6を参照してわかるように、作動油タンク9は、油圧ポンプ6の前方に配置される。作動油タンク9は、油圧ポンプ6が吐出する作動油を貯蓄するタンクである。すなわち、作業機械100は、油圧ポンプ6の前方に、油圧ポンプ6が吐出する作動油を貯蓄する作動油タンク9を備える。
【0052】
なお、作動油タンク9内の作動油は、油圧ポンプ6を駆動させることにより、コントロールバルブ7へ送られる。コントロールバルブ7へ送られた作動油は、コントロールバルブ7による制御のもと、油圧アクチュータ(油圧シリンダ35~38および油圧モータ23等)へ送られる。コントロールバルブ7へ送られた作動油のうち、油圧アクチュータへ送られなかった一部の作動油は、作動油タンク9へ戻される。また、油圧アクチュータへ送られた作動油は、油圧アクチュエータから不図示のオイルクーラを介して作動油タンク9へ戻される。
【0053】
図5および
図6に示すように、スイングシリンダ(油圧シリンダ)38は、作動油タンク9に設けられる切欠き部91を通る。このように構成することにより、旋回フレーム14上におけるスペースを効率良く利用することができる。切欠き部91は、詳細には、作動油タンク9の下部に設けられる。切欠き部91は、作動油タンク9の下側の一部分において、左側壁の位置を右方に位置させると共に、底壁の位置を上方に位置させることにより構成される。
【0054】
スイングシリンダ(油圧シリンダ)38は、補助縦板148と、作動油タンク9の切欠き部91が設けられる部分の側壁9aとの間に配置される。なお、側壁9aは、作動油タンク9の下部において左側壁に該当し、補助縦板148に対して機体外方(右方)に位置する。スイングシリンダ38は、補助縦板148の右面と、側壁9aとの左右方向間に配置される。
【0055】
補助縦板148は、作動油タンク9の切欠き部91が設けられる部分の底壁9bを支持する。詳細には、補助縦板148は、底壁9bの左端部を支持する。このような構成とすることで、補助縦板148に対して、スイングシリンダ38を支持する機能だけでなく、作動油タンク9を支持する機能を付与することができる。すなわち、このように構成することで、旋回フレーム14上に配置する要素(支持部材)を減らすことができ、旋回フレーム14上に効率良く機器を配置することができる。
【0056】
<3.留意事項等>
本明細書中に開示される種々の技術的特徴は、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。また、本明細書中に示される複数の実施形態および変形例は可能な範囲で組み合わせて実施されてよい。
【0057】
<4.付記>
例示的な本発明の作業機械は、前方に作業装置が配置される旋回体を備える作業機械であって、前記旋回体の底部を構成する旋回フレームと、前記旋回フレーム上で前方から後方に延び、左右に間隔をあけて配置される第1縦板および第2縦板と、前記第1縦板および前記第2縦板の前方で前記旋回フレームに水平回動可能に支持され、前記作業装置を支持する揺動体と、前記旋回フレーム上で前記第1縦板に対して前記第2縦板側の反対側となる機体外方に配置され、一端部が前記揺動体に連結される油圧シリンダと、前記旋回フレーム上で前記第1縦板と前記油圧シリンダとの間に配置され、前記油圧シリンダの他端部に連結される補助縦板と、を備える構成(第1の構成)であってよい。
【0058】
上記第1の構成の作業機械において、前記補助縦板は、前記油圧シリンダの他端部を連結する連結構造を有する連結部を備え、左右方向の側面視において、前記連結部は、前記第1縦板に対して上方に突出する構成(第2の構成)であってよい。
【0059】
上記第1又は第2の構成の作業機械において、前記補助縦板の前端部は、前記第1縦板と接続される構成(第3の構成)であってよい。
【0060】
上記第1から第3のいずれかの構成の作業機械は、平面視において前記第2縦板と重なるバッテリユニットと、前記バッテリユニットの電力を電源とし、平面視において前記第1縦板と重なる電動モータと、前記電動モータにより駆動され、平面視において前記補助縦板と重なる油圧ポンプと、を備える構成(第4の構成)であってよい。
【0061】
上記第4の構成の作業機械において、前記油圧ポンプの前方に前記油圧シリンダが配置される構成(第5の構成)であってよい。
【0062】
上記第5の構成の作業機械は、前記油圧ポンプの前方に、前記油圧ポンプが吐出する作動油を貯蓄する作動油タンクを備え、前記油圧シリンダは、前記作動油タンクに設けられる切欠き部を通る構成(第6の構成)であってよい。
【0063】
上記第6の構成の作業機械において、前記油圧シリンダは、前記補助縦板と、前記作動油タンクの前記切欠き部が設けられる部分の側壁との間に配置される構成(第7の構成)であってよい。
【0064】
上記第7の構成の作業機械において、前記補助縦板は、前記作動油タンクの前記切欠き部が設けられる部分の底壁を支持する構成(第8の構成)であってよい。
【符号の説明】
【0065】
1・・・旋回体
3・・・作業装置
4・・・バッテリユニット
5・・・電動モータ
6・・・油圧ポンプ
9・・・作動油タンク
14・・・旋回フレーム
34・・・ブームブラケット(揺動体)
38・・・スイングシリンダ(油圧シリンダ)
91・・・切欠き部
100・・・作業機械
142・・・第1縦板
148・・・補助縦板
148a・・・連結部
1481・・・連結構造