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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021693
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】固体電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0562 20100101AFI20250206BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20250206BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20250206BHJP
【FI】
H01M10/0562
H01M10/058
H01M4/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125597
(22)【出願日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河野 羊一郎
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ02
5H029AJ14
5H029AK01
5H029AL02
5H029AM12
5H029CJ02
5H029HJ02
5H029HJ13
5H029HJ14
5H029HJ17
5H029HJ18
5H050AA02
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA01
5H050CB02
5H050GA02
5H050HA02
5H050HA13
5H050HA14
5H050HA17
5H050HA18
(57)【要約】
【課題】耐酸化性に優れた固体電解質を含む固体電池を実現する。
【解決手段】固体電池1は、正極層11及び負極層12並びにそれらの間に設けられる電解質層13を含み、これらの少なくも1つには固体電解質が用いられる。固体電池1の製造方法は、NASICON型構造を有する非晶質固体電解質材料を準備する工程と、その非晶質固体電解質材料を600℃以上800℃未満の温度範囲で焼成し、当該非晶質固体電解質材料から結晶相と非晶質相とを含む固体電解質を形成する工程と、を含む。このようにして形成される固体電解質は、正極側電圧の下での酸化分解が効果的に抑えられる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
NASICON型構造を有する非晶質固体電解質材料を準備する工程と、
前記非晶質固体電解質材料を600℃以上800℃未満の温度範囲で焼成し、前記非晶質固体電解質材料から結晶相と非晶質相とを含む固体電解質を形成する工程と、
を含む、固体電池の製造方法。
【請求項2】
前記非晶質固体電解質材料は、Li1+xAlGe2-x(PO(0<x≦1)を含む、請求項1に記載の固体電池の製造方法。
【請求項3】
前記非晶質固体電解質材料を600℃以上780℃以下の温度範囲で焼成する、請求項1に記載の固体電池の製造方法。
【請求項4】
前記固体電解質は、5V以上6V以下の電圧範囲における電流密度が1.5×10-4mA/cm以下である、請求項1に記載の固体電池の製造方法。
【請求項5】
前記固体電解質は、X線回折測定時のX線回折ピークが、結晶質固体電解質材料のX線回折ピークを示し、ラマン分光測定時のラマンシフトが、0cm-1以上1000cm-1以下の範囲において、前記結晶質固体電解質材料のラマンシフトのピークよりもブロードなピークを示す、請求項1に記載の固体電池の製造方法。
【請求項6】
正極活物質と接した状態の前記非晶質固体電解質材料を600℃以上800℃未満の温度範囲で焼成する、請求項1に記載の固体電池の製造方法。
【請求項7】
前記正極活物質は、LiCoPを含む、請求項6に記載の固体電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
全固体リチウム電池の電解質として、硫化物を主体とするリチウムイオン伝導性固体電解質を用い、正極活物質の表面を非晶質のリチウムイオン伝導性酸化物で被覆する技術が知られている(特許文献1)。
【0003】
また、全固体型リチウム電池の電解質として、Li(リチウム)、P(リン)、S(硫黄)、O(酸素)を含有し、非晶質でも熱力学的に安定した結晶質でもなく、その中間に位置する熱力学的に非平衡状態の結晶質である固体電解質を用いる技術が知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2007/004590号パンフレット
【特許文献2】特開2007-305552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、固体電池として、NASICON(Na super ionic conductor)型構造を有する酸化物系の固体電解質を用いるものが知られている。NASICON型構造を有する固体電解質では、焼成による結晶化によってリチウムイオン伝導性が発現する。一方、NASICON型構造を有する固体電解質では、固体電池の正極側電圧の下で酸化分解が生じる場合がある。固体電解質の酸化分解は、固体電池の特性劣化を招く恐れがある。
【0006】
1つの側面では、本発明は、耐酸化性に優れた固体電解質を含む固体電池を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様では、NASICON型構造を有する非晶質固体電解質材料を準備する工程と、前記非晶質固体電解質材料を600℃以上800℃未満の温度範囲で焼成し、前記非晶質固体電解質材料から結晶相と非晶質相とを含む固体電解質を形成する工程と、を含む、固体電池の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0008】
1つの側面では、耐酸化性に優れた固体電解質を含む固体電池を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】固体電池の製造方法の一例について説明する図である。
図2】LSV測定結果の一例を示す図である。
図3】X線回折測定結果の一例を示す図である。
図4】ラマン分光測定結果の一例を示す図である。
図5】外観観察結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
はじめに、固体電池の製造方法の一例について説明する。
図1は固体電池の製造方法の一例について説明する図である。図1(A)には、電池要素形成工程の一例の要部断面図を模式的に示している。図1(B)には、外部電極形成工程の一例の要部断面図を模式的に示している。
【0011】
まず、図1(A)に示すような電池要素10が形成される。電池要素10は、リチウムイオン二次電池の発電要素の一例である。電池要素10は、正極層11、負極層12、電解質層13及びカバー層14を含む。正極層11と負極層12とは、電解質層13を介して、互いに部分的に重複するように、積層される。正極層11及び負極層12とそれらの間に設けられる電解質層13とを備える積層体を覆うように、カバー層14が設けられる。正極層11は、その側面の一部が電池要素10の一方の端面10aに露出するように設けられ、負極層12は、その側面の一部が電池要素10の他方の端面10bに露出するように設けられる。尚、図1(A)に示す電池要素10の正極層11、負極層12及び電解質層13の層数は一例であって、図1(A)に示したような層数に限定されるものではない。
【0012】
電解質層13は、固体電解質を含む。電解質層13の固体電解質には、例えば、NASICON型構造を有する酸化物系の固体電解質が用いられる。例えば、電解質層13の固体電解質として、一般式Li1+xAlGe2-x(PO(0<x≦1)で表されるLAGPが用いられる。LAGPの一例として、x=0.5の組成を有するLi1.5Al0.5Ge1.5(POが、電解質層13の固体電解質に用いられる。
【0013】
正極層11には、正極活物質、導電助剤及び固体電解質が含まれる。正極層11の固体電解質には、例えば、NASICON型構造を有する酸化物系の固体電解質が用いられる。正極層11の固体電解質としては、例えば、電解質層13の固体電解質と同種の材料、ここでは、上記のようなLAGPが用いられる。正極層11の正極活物質には、例えば、LiCoP(ピロリン酸コバルトリチウム、「LCPO」とも言う)が用いられる。正極層11の導電助剤には、例えば、カーボン等の導電性材料が用いられる。
【0014】
負極層12には、負極活物質、導電助剤及び固体電解質が含まれる。負極層12の固体電解質には、例えば、NASICON型構造を有する酸化物系の固体電解質が用いられる。負極層12の固体電解質としては、例えば、電解質層13の固体電解質と同種の材料、ここでは、上記のようなLAGPが用いられる。負極層12の負極活物質には、例えば、TiO(酸化チタン)又はNb(五酸化ニオブ)が用いられる。負極層12の導電助剤には、例えば、カーボン等の導電性材料が用いられる。
【0015】
電池要素10において、その充電時には、正極層11から電解質層13を介して負極層12にリチウムイオンが伝導して取り込まれ、放電時には、負極層12から電解質層13を介して正極層11にリチウムイオンが伝導して取り込まれる。電池要素10では、このようなリチウムイオン伝導によって充放電動作が実現される。
【0016】
カバー層14としては、例えば、正極層11、負極層12及び電解質層13に用いられる固体電解質よりも高い硬度を有し、水分等の透過性が低く、良好な密閉性を実現できる、絶縁性のカバー層14が用いられる。尚、カバー層14の絶縁性とは、電池要素10内のリチウムイオン伝導、電子伝導に対する影響が無いか或いは十分に低い性質を言う。カバー層14には、固体電解質、ガラス又はセラミックス等が用いられる。
【0017】
電池要素10の形成では、上記のような材料成分を含む正極層11、負極層12、電解質層13及びカバー層14の各々を形成するためのペーストが準備される。そして、各ペーストが図1(A)に示すような構造となるように印刷により積層され、或いは、各ペーストから印刷により形成されるシートが図1(A)に示すような構造となるように積層される。積層後には、熱圧着、裁断等が行われてよい。その後、所定の熱処理、即ち、ペースト中の有機成分を除去するための熱処理(「脱脂」とも言う)、更に、固体電解質やガラス等を焼結させるための熱処理(「焼成」とも言う)が行われる。これにより、図1(A)に示すような構造を有する電池要素10、即ち、正極層11、負極層12、電解質層13及びカバー層14を含む電池要素10が形成される。
【0018】
電池要素10の形成後、図1(B)に示すように、外部電極20及び外部電極30が形成される。外部電極20は、電池要素10の一方の端面10aに、当該端面10aに露出する正極層11と接続されるように、形成される。外部電極20は、固体電池1の正極として機能する。また、外部電極30は、電池要素10の他方の端面10bに、当該端面10bに露出する負極層12と接続されるように、形成される。外部電極30は、固体電池1の負極として機能する。外部電極20及び外部電極30には、各種導体材料が用いられる。例えば、外部電極20及び外部電極30には、Ag(銀)、Cu(銅)等の金属やカーボン等の導電性粒子を含有したペーストを塗布して焼き付けたもの、或いは、更にその表面にメッキ法等を用いてNi(ニッケル)、Sn(スズ)等の金属を形成したものが用いられる。
【0019】
以上のような方法により、正極層11、負極層12、電解質層13及びカバー層14を含む電池要素10、並びに、その端面10a及び端面10bにそれぞれ設けられた外部電極20及び外部電極30を備える、固体電池1が製造される。
【0020】
ところで、上記固体電池1に用いられるLAGPのようなNASICON型構造を有する固体電解質は、結晶質になると高いリチウムイオン伝導性が得られ易く、通常、焼成により結晶化されることで一定レベル以上のリチウムイオン伝導性が発現される。また、上記固体電池1に用いられるLCPOのような正極活物質は、正極側の動作電圧を高め、固体電池1の動作電圧(正負極側の動作電圧差)を高めることのできる材料の1つとして知られている。但し、固体電池1にこのようなLCPO等の正極活物質と共に含まれる、上記LAGPのようなNASICON型構造を有する固体電解質は、固体電池1の比較的高い正極側電圧の下では、酸化分解が生じる場合がある。
【0021】
そこで、固体電池1に用いられる固体電解質について、その結晶性、リチウムイオン伝導性、酸化分解性等を評価した。より具体的には、NASICON型構造を有する非晶質固体電解質材料を準備し、それを各種条件で焼成した際の、イオン伝導率等の物性、酸化分解挙動、材料構造(結晶化度)等を評価した。評価に当たり、焼成前の非晶質固体電解質材料には、非晶質LAGP(Li1.5Al0.5Ge1.5(PO)を用いた。以下、この評価について説明する。
【0022】
〔非晶質LAGPの準備〕
まず、LAGPの原料となるLiCO(炭酸リチウム)、Al(酸化アルミニウム)、GeO(酸化ゲルマニウム)、NHPO(リン酸二水素アンモニウム)の粉末を所定の組成比となるように秤量し、磁性乳鉢やボールミルで混合した。混合によって得られた混合物を、アルミナルツボ等に入れ、300℃から400℃の温度で3時間から5時間かけて仮焼成した。仮焼成によって得られた粉体を、1200℃から1400℃の温度で1時間から2時間熱処理することで溶解した。溶解によって得られた材料を、急冷しガラス化することで、非晶質LAGP粉体を得た。
【0023】
得られた非晶質LAGP粉体を、200μm以下の粒子径となるように粗解砕し、更にボールミル等の粉砕装置を用いて粉砕することで、目的の粒径d(メジアン径)に調整した。一例として、非晶質LAGP粉体の粒径pを2μm≦d≦5μmの範囲に調整した。
【0024】
〔非晶質LAGPペースト及びシートの作製〕
まず、PVDF(ポリフッ化ビニリデン)等のバインダーを、上述した非晶質LAGP粉体に対し20wt%から30wt%添加すると共に、溶媒として無水イソプロパノール等の無水アルコールを非晶質LAGP粉体に対し30wt%から50wt%添加した。これにより、非晶質LAGP粉体を含むペースト状の原料を得た。更に、得られたその原料をボールミルで20時間混合して均一化した。これにより、非晶質LAGP粉体を含む非晶質LAGPペーストを得た。
【0025】
得られた非晶質LAGPペーストを真空中で脱泡した後、その非晶質LAGPペーストをドクターブレード法にてPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に塗工し、シート状に成形した。その際、所定のシート厚が得られれば、塗工は1回でもよく、或いは、所定のシート厚が得られるように、塗工は複数回繰り返されてもよい。また、所定のシート厚が得られるように、1回又は複数回の塗工で得られるシートが複数枚積層されてもよい。所定のシート厚とされたシートを熱圧着し、その熱圧着後のシートを所定の平面サイズに裁断し、非晶質LAGP粉体を含む非晶質LAGPシートを得た。
【0026】
一例として、非晶質LAGP粉体:PVDF:無水イソプロパノール=20wt%:30wt%:50wt%の配合比とした非晶質LAGPペーストを用い、シート厚300μm、平面サイズ20mm×20mmの非晶質LAGPシートを得た。
【0027】
〔焼成〕
得られた非晶質LAGPシートを、ハニカム状の焼成板の上に載置し、所定の焼成温度(保持温度)、焼成雰囲気及び焼成時間(保持時間)の条件で焼成することにより、LAGP焼結体を得た。ここでは、次に示すような試料No.1-7のLAGP焼結体を得た。
【0028】
試料No.1として、600℃、窒素雰囲気、2時間の条件で焼成したLAGP焼結体を得た。
試料No.2として、600℃、大気雰囲気、2時間の条件で焼成したLAGP焼結体を得た。
【0029】
試料No.3として、700℃、大気雰囲気、2時間の条件で焼成したLAGP焼結体を得た。
試料No.4として、700℃、大気雰囲気、20時間の条件で焼成したLAGP焼結体を得た。
【0030】
試料No.5として、800℃、大気雰囲気、2時間の条件で焼成したLAGP焼結体を得た。
試料No.6として、900℃、大気雰囲気、2時間の条件で焼成したLAGP焼結体を得た。
【0031】
また、試料No.7として、780℃、大気雰囲気、2時間の条件で焼成したLAGP焼結体を得た。
得られたLAGP焼結体は、後述の試験セル、X線回折測定、ラマン分光測定、外観観察等に用いた。
【0032】
〔試験セルの作製〕
得られたLAGP焼結体の一方の面にAu(金)コートを施して電極を形成した。グローブボックスの乾燥機で150℃、12時間の真空乾燥を行った後、LAGP焼結体の他方の面に、ポリマー電解質を介してLi金属を設け、対極にLi金属を22mm角で切り出しCu箔を貼り付けた。これを、ラミネートフィルム外装体内に封入し、試験セルとした。試験セルは、後述のインピーダンス測定、LSV(リニアスイープボルタンメトリー)測定等に用いた。
【0033】
〔インピーダンス測定〕
得られた試験セルを23℃に設定した恒温槽に設置し、インピーダンス測定装置を用い、周波数域を0.1Hzから1MHzの範囲とし、振幅を0.5mVとして、インピーダンス測定を行った。
【0034】
〔LSV測定〕
得られた試験セルを23℃に設定した恒温槽に設置し、インピーダンス測定装置を用い、掃引速度を1mV/秒とし、電圧範囲を3Vから6Vとして、LSV測定を行った。
【0035】
〔X線回折測定〕
得られたLAGP焼結体について、X線回折装置により、CuのKα線(Cu-Kα)を用いて、10°から50°の回折角度2θの範囲について、X線回折測定を行った。
【0036】
〔ラマン分光測定〕
得られたLAGP焼結体について、顕微レーザーラマン分光測定装置により、波長453nmのレーザーを用いて、露光時間1秒、積算回数4回、減光フィルタ50%、測定時間40分の条件でラマン分光測定を行った。
【0037】
〔外観観察〕
得られたLAGP焼結体について、マイクロスコープを用いて、外観観察を行った。
〔評価〕
シート厚300μm、平面サイズ20mm×20mmの非晶質LAGPシートを各種条件で焼成することによって得られた試料No.1-6のLAGP焼結体について、それらを用いた試験セルのインピーダンス測定の結果から、LAGP焼結体のバルク抵抗Rs[Ω]及び界面抵抗Rp[Ω]並びにイオン伝導率[S/cm]を求めた。また、試料No.1-6のLAGP焼結体について、焼結密度[%]を求めた。結果を表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
まず、表1に示す試料No.1-6のうち、焼成温度が900℃未満の試料No.1-5に着目する。尚、試料No.6については後述する。
表1より、試料No.1-5のLAGP焼結体については、焼成温度の上昇、及び、焼成時間の長時間化に伴い、イオン伝導率が高くなる傾向が認められる。また、試料No.1-5のLAGP焼結体については、焼成温度の上昇、及び、焼成時間の長時間化に伴い、焼結密度が上昇する傾向が認められる。また、試料No.1-5のLAGP焼結体のバルク抵抗Rs及び界面抵抗Rpのうち、界面抵抗Rpについては、焼成温度の上昇、及び、焼成時間の長時間化に伴い、低下する傾向が認められる。
【0040】
試料No.1-5のLAGP焼結体については、焼成温度の上昇、及び、焼成時間の長時間化に伴い、LAGP焼結体の結晶化が進み、イオン伝導率が高くなるものと考えられる。試料No.1-5のLAGP焼結体のイオン伝導率は、いずれも10-5S/cmのオーダーであり、焼成温度を最も低い600℃とした試料No.1-2でも、10-5S/cmのオーダーのイオン伝導率が得られる。
【0041】
イオン伝導率がこのようなオーダーのLAGPは、上記固体電池1の電解質層13に用いる固体電解質、或いは、正極層11又は負極層12に用いる固体電解質として十分に利用できるものである。従って、固体電池1の製造の際に行われる、LAGP(それを含む電池要素10)の焼成時の焼成温度は、例えば、試料No.1-5のような焼成温度600℃以上800℃以下の範囲に設定することができる。
【0042】
ここで、固体電池1に用いられるLAGPは、正極層11と電解質層13との配置上或いは正極層11の構成上、正極層11の正極活物質であるLCPOと接した状態となり得る。そして、LAGPは、そのようにLCPOと接した状態では、固体電池1の製造の際に行われる焼成時に、LCPOと反応し得る。このような焼成時のLAGP及びLCPOの反応、それによるLAGP及びLCPOの分解を抑える観点、及び、後述のような固体電池1の動作時におけるLAGPの酸化分解を抑える観点では、LAGP(それとLCPOとを含む電池要素10)の焼成温度は低い方が好ましく、試料No.1-4のような焼成温度600℃や700℃といった、800℃未満の比較的低い焼成温度に設定することがより好ましい。
【0043】
続いて、試料No.6について述べる。
表1より、焼成温度を900℃とした試料No.6のLAGP焼結体では、焼成温度を800℃とした試料No.5のLAGP焼結体よりも、焼成温度が高いにも関わらずイオン伝導率が低下する。これは、試料No.6のLAGP焼結体のように、焼成温度が900℃まで上がると、LAGPが結晶化されるほか、LAGPの溶融や空隙の形成等が発生し、リチウムイオンの伝導パスが減少してしまうためと考えられる。表1に示す結果では、試料No.6のLAGP焼結体のように焼成温度が900℃まで上がると、焼成温度を800℃とした試料No.5のLAGP焼結体よりも、焼結密度が低下しており、また、バルク抵抗Rs及び界面抵抗Rpが上昇している。試料No.6のLAGP焼結体のように、焼成温度が900℃まで上がると、固体電池1の製造の際に行われる焼成時にLAGP及びLCPOの反応、それによるLAGP及びLCPOの分解が起こり易くなることも懸念される。
【0044】
従って、固体電池1を製造する際の焼成時の焼成温度は、900℃未満の温度範囲とし、600℃以上800℃以下の温度範囲とすることが好ましく、600℃以上800℃未満の温度範囲とすることがより好ましい。
【0045】
ここで、焼成温度が600℃と低い試料No.1-2のLAGP焼結体と、焼成温度が800℃と高い試料No.5のLAGP焼結体との比較を行った。比較により、それらLAGP焼結体についての酸化分解挙動、材料構造(結晶化度)の違いについての知見を得た。以下、比較及び知見に関し、図2及び表2、並びに、図3及び図4を参照して述べる。
【0046】
まず、LSV測定結果及びそれから得られる酸化分解挙動の知見について述べる。
図2はLSV測定結果の一例を示す図である。図2には、試料No.1-2、5のLAGP焼結体のLSV測定結果を示している。図2において、横軸は電圧(vs.Li/Li)[V]を表し、縦軸は電流密度[mA/cm]を表している。また、LSV測定における電圧5V時、5.5V時及び6V時の電流密度を表2に示す。
【0047】
【表2】
【0048】
図2のLSV測定結果より、焼成温度を800℃とした試料No.5のLAGP焼結体では、焼成温度を600℃とした試料No.1-2のLAGP焼結体に比べて、電圧が高くなるにつれて、即ち、固体電池1の正極側電圧寄りになるにつれて、電流密度が高くなる傾向が認められる。
【0049】
表2より、焼成温度を800℃とした試料No.5のLAGP焼結体では、焼成温度を600℃とした試料No.1-2のLAGP焼結体に比べて、固体電池1の正極側電圧の例である5V時、5.5V時及び6V時のいずれにおいても、電流密度が高くなる。焼成温度を600℃とした試料No.1-2のLAGP焼結体については、焼成雰囲気が窒素か大気かによらず、同程度の電流密度となる。
【0050】
焼成温度を800℃とした試料No.5のLAGP焼結体では、固体電池1の正極側電圧の例である5V以上6V以下の電圧範囲における電流密度が、4.1×10-4mA/cm以下となる。一方、焼成温度を600℃とした試料No.1-2のLAGP焼結体では、固体電池1の正極側電圧の例である5V以上6V以下の電圧範囲における電流密度が、試料No.5よりも低い、1.5×10-4mA/cm以下に抑えられる。
【0051】
図2及び表2より、焼成温度を800℃とした試料No.5のLAGP焼結体では、焼成温度を600℃とした試料No.1-2のLAGP焼結体に比べて、正極側電圧の下でより多くの電流が流れると言える。このことから、焼成温度を600℃とした試料No.1-2のLAGP焼結体の方が、焼成温度を800℃とした試料No.5のLAGP焼結体よりも、正極側電圧の下での酸化分解を抑えることができると言える。
【0052】
続いて、X線回折測定結果及びラマン分光測定結果並びにそれらから得られる材料構造(結晶化度)の知見について述べる。
図3はX線回折測定結果の一例を示す図である。図3には、試料No.1-2、5のLAGP焼結体のX線回折測定結果、及び、リファレンスとして非晶質固体電解質材料である焼成前の非晶質LAGP(Li1.5Al0.5Ge1.5(PO)のX線回折測定結果を示している。また、図4はラマン分光測定結果の一例を示す図である。図4には、試料No.1-2、5のLAGP焼結体のラマン分光測定結果、及び、リファレンスとして非晶質固体電解質材料である焼成前の非晶質LAGP(Li1.5Al0.5Ge1.5(PO)のラマン分光測定結果を示している。
【0053】
図3のX線回折測定結果より、焼成温度を600℃とした試料No.1-2のLAGP焼結体、及び、焼成温度を800℃とした試料No.5のLAGP焼結体のいずれにおいても、結晶質固体電解質材料である結晶質LAGP(Li1.5Al0.5Ge1.5(PO)に由来するX線回折ピークが現れる。よって、試料No.1-2、5のいずれのLAGP焼結体も、結晶質LAGPを含んでいると言える。但し、焼成温度を600℃とした試料No.1-2のLAGP焼結体では、焼成温度を800℃とした試料No.5のLAGP焼結体に比べて、結晶質LAGPに由来するX線回折ピークの強度が弱くなっている。尚、GeOは、非晶質LAGPの焼成時に生じる異相である。
【0054】
また、図4のラマン分光測定結果より、焼成温度を600℃とした試料No.1-2のLAGP焼結体では、焼成雰囲気が窒素か大気かによらず、0cm-1から1000cm-1のラマンシフト範囲に、非晶質固体電解質材料である焼成前の非晶質LAGP(Li1.5Al0.5Ge1.5(PO)に由来するブロードなラマンシフトのピークが現れる。これに対し、焼成温度を800℃とした試料No.5のLAGP焼結体では、非晶質固体電解質材料である焼成前の非晶質LAGP(Li1.5Al0.5Ge1.5(PO)に由来するブロードなラマンシフトのピークは消え、結晶質固体電解質材料である結晶質LAGP(Li1.5Al0.5Ge1.5(PO)に由来するラマンシフトのピークのみが現れる。よって、試料No.1-2のLAGP焼結体は、非晶質LAGPを含んでいると言える一方、試料No.5のLAGP焼結体は、非晶質LAGPを含んでいないか又は殆ど含んでいないと言える。尚、GeOは、非晶質LAGPの焼成時に生じる異相である。
【0055】
図3のX線回折測定結果及び図4のラマン分光測定結果より、焼成温度を600℃とした試料No.1-2のLAGP焼結体は、焼成によって完全に結晶化されず、LAGPの結晶相と非晶質相とが混在した材料構造になると言うことができる。
【0056】
焼成温度を800℃とした試料No.5のLAGP焼結体では、焼成によって非晶質LAGPの結晶化が進み(図3及び図4)、結晶化によって比較的高いイオン伝導率が実現される(表1)。但し、焼成温度を800℃とした試料No.5のLAGP焼結体では、正極側電圧の下で比較的酸化分解が生じ易い(図2及び表2)。
【0057】
これに対し、焼成温度を600℃とした試料No.1-2のLAGP焼結体では、焼成によってLAGPの結晶相と非晶質相とが混在した材料構造になる(図3及び図4)。焼成温度を600℃とした試料No.1-2のLAGP焼結体では、固体電池1の固体電解質に利用可能なレベルのイオン伝導率が実現される(表1)。更に、焼成温度を600℃とした試料No.1-2のLAGP焼結体では、正極側電圧の下で比較的酸化分解が生じ難い(図2及び表2)。
【0058】
従って、試料No.1-2のように、非晶質LAGPを焼成温度600℃で焼成することによってLAGPの結晶相と非晶質相とが混在した材料構造を得ることで、耐酸化性に優れた固体電解質及びそのような固体電解質を含む固体電池1が実現される。
【0059】
ここでは、焼成によってLAGPの結晶相と非晶質相とが混在した材料構造になるものとして、焼成温度を600℃とし、焼成時間を2時間とした試料No.1-2のLAGP焼結体を例示した。このほか、焼成温度をより高くしたもの、或いは、焼成時間をより長くしたものでも、焼成によってLAGPの結晶相と非晶質相とが混在した材料構造を得ることは可能である。例えば、焼成温度を600℃超800℃未満の温度範囲とした場合や、焼成時間を2時間超とした場合でも、焼成によってLAGPの結晶相と非晶質相とが混在した材料構造を得ることは可能である。
【0060】
ここで、各種条件で焼成することによって得られたLAGP焼結体について外観観察を行った結果について述べる。
図5は外観観察結果の一例を示す図である。図5には、上記試料No.1-6に、更に試料No.7を加えた、7種のLAGP焼結体について、マイクロスコープで外観観察を行った結果を示している。尚、試料No.1は、600℃、窒素雰囲気、2時間の条件で焼成したLAGP焼結体である。試料No.2は、600℃、大気雰囲気、2時間の条件で焼成したLAGP焼結体である。試料No.3は、700℃、大気雰囲気、2時間の条件で焼成したLAGP焼結体である。試料No.4は、700℃、大気雰囲気、20時間の条件で焼成したLAGP焼結体である。試料No.7は、780℃、大気雰囲気、2時間の条件で焼成したLAGP焼結体である。試料No.5は、800℃、大気雰囲気、2時間の条件で焼成したLAGP焼結体である。試料No.6は、900℃、大気雰囲気、2時間の条件で焼成したLAGP焼結体である。
【0061】
上記のように焼成温度を600℃、焼成時間を2時間とした試料No.1-2は、LAGPの結晶相と非晶質相とが混在した材料構造を有するLAGP焼結体である。試料No.1-2では、図5に示すように、焼成雰囲気が窒素か大気かによらず、外観は均一な状態として観察される。
【0062】
これに対し、焼成時間は同じ2時間で、焼成温度を700℃とより高めた試料No.3では、図5に示すように、外観観察で認識可能なレベルでドット状の結晶相が現れ始める。そして、焼成温度は700℃のまま、焼成時間を20時間に延ばした試料No.4では、図5に示すように、外観観察で明瞭に認識可能なレベルまでドット状の結晶相が成長する様子が見て取れる。焼成時間は2時間で、焼成温度を780℃とより高めた試料No.7では、図5に示すように、結晶相が成長し、結晶相が大部分を占めるようになり、代わりに非晶質相がドット状に残るようになる。焼成温度を780℃とした試料No.7は、LAGPの結晶相と非晶質相とが混在した材料構造を有するLAGP焼結体である。
【0063】
一方、上記のように焼成温度を800℃、焼成時間を2時間とした試料No.5は、LAGPの結晶相を有するLAGP焼結体である。試料No.5では、焼成温度が700℃の試料No.3-4及び焼成温度が780℃の試料No.7に比べて、結晶相の成長が更に進み、図5に示すように、外観が均一な結晶相の状態として観察される。焼成温度を900℃とより高めた試料No.6は、図5に示すように、外観は均一な状態として観察される。
【0064】
図5並びに上記図3及び図4より、焼成温度800℃では、非晶質LAGPが結晶質LAGPに変化する。図5より、焼成温度800℃未満では、LAGPの結晶相と非晶質相とが混在した材料構造が得られる。前述の通り、LAGP焼結体が、LAGPの結晶相と非晶質相とが混在した材料構造を有すると、固体電池1の固体電解質として利用可能なイオン伝導率を確保しつつ、正極側電圧の下での酸化分解を抑えることが可能になる。また、800℃未満の比較的低い焼成温度であれば、固体電池1を製造する際に行われる焼成時に、LAGP及びLCPOの反応、それによるLAGP及びLCPOの分解を抑えることも可能になる。
【0065】
従って、固体電池1を製造する際に行われる焼成時の焼成温度は、600℃以上800℃未満の温度範囲、一例として、600℃以上780℃以下の温度範囲とすることが望ましい。
【0066】
例えば、固体電池1の製造は、次のように行うことができる。
NASICON型構造を有する非晶質固体電解質材料の1つである非晶質LAGPが準備される。このような非晶質LAGPを含む電解質層13形成用のペーストが準備される。また、非晶質LAGP、正極活物質であるLCPO、導電助剤であるカーボン材料等を含む正極層11形成用のペーストが準備される。更にまた、非晶質LAGP、負極活物質であるTiO又はNb、導電助剤であるカーボン材料等を含む負極層12形成用のペーストが準備される。尚、電解質層13形成用、正極層11形成用及び負極層12形成用の各ペーストには、非晶質LAGPに加え、結晶質LAGPが含まれてもよい。また、低融点ガラス等の絶縁材料を含むカバー層14形成用のペーストが準備される。
【0067】
そして、電解質層13形成用、正極層11形成用、負極層12形成用及びカバー層14形成用の各ペーストが、図1(A)に示したような構造となるように、印刷により積層される。或いは、電解質層13形成用、正極層11形成用、負極層12形成用及びカバー層14形成用の各ペーストから印刷により形成されるシートが、図1(A)に示したような構造となるように、積層される。積層後には、熱圧着、裁断等が行われてよい。その後、所定の熱処理、即ち、ペースト中の有機成分を除去するための熱処理(脱脂)、更に、固体電解質やガラス等を焼結させるための熱処理(焼成)が行われる。これにより、図1(A)に示したような構造を有する電池要素10、即ち、正極層11、負極層12、電解質層13及びカバー層14を含む電池要素10が形成される。
【0068】
この電池要素10を形成する際の焼成時の焼成温度を、上記知見に基づき、600℃以上800℃未満の温度範囲とする。焼成温度をこのような温度範囲とすることで、焼成前の電解質層13、正極層11及び負極層12に含まれる非晶質LAGPが、LAGPの結晶相と非晶質相とが混在した材料構造を有するLAGP焼結体へと変化する。即ち、焼成後の電解質層13、正極層11及び負極層12に、それらに含まれる固体電解質として、焼成前の非晶質LAGPから、LAGPの結晶相と非晶質相とを含むLAGP焼結体が形成される。LAGP焼結体が、LAGPの結晶相と非晶質相とが混在した材料構造を有することで、固体電池1で利用可能な一定レベル以上のイオン伝導率を確保しつつ、正極側電圧の下での酸化分解を抑えることが可能になる。また、800℃未満の比較的低い焼成温度とすることで、LAGP及びLCPOの反応、それによるLAGP及びLCPOの分解を抑えることも可能になる。
【0069】
電池要素10の形成後は、図1(B)に示したように、正極の外部電極20及び負極の外部電極30が形成される。外部電極20は、電池要素10の一方の端面10aにおいて正極層11と接続されるように形成される。外部電極30は、電池要素10の他方の端面10bにおいて負極層12と接続されるように形成される。外部電極20及び外部電極30には、Ag等を含有したペーストを塗布して焼き付けたもの、或いは、更にその表面にNi、Sn等をメッキしたものが用いられる。
【0070】
以上のような方法により、固体電池1が製造される。固体電池1を製造する際に行われる焼成時の焼成温度が、600℃以上800℃未満の温度範囲とされ、非晶質LAGPから、LAGPの結晶相と非晶質相とを含むLAGP焼結体が、固体電池1の固体電解質として形成される。これにより、固体電池1で利用可能な一定レベル以上のイオン伝導率を有し且つ正極側電圧の下での酸化分解が抑えられる固体電解質が実現される。従って、耐酸化性に優れた固体電解質及びそのような固体電解質を含む固体電池1が実現される。
【0071】
尚、ここでは非晶質固体電解質材料として、非晶質LAGPを例示し、更にその非晶質LAGPとして、一般式Li1+xAlGe2-x(POにおける組成xが0.5である非晶質Li1.5Al0.5Ge1.5(POを例示した。
【0072】
非晶質固体電解質材料の非晶質LAGPとしては、一般式Li1+xAlGe2-x(POにおける組成xが0.5であるものに限らず、0<x≦1の範囲で0.5以外の組成xを有するものが用いられてもよい。このような組成xを有する非晶質LAGPであっても、焼成温度を上記600℃以上800℃未満の温度範囲とすることで、LAGPの結晶相と非晶質相とを含むLAGP焼結体を得ることが可能であり、固体電池1で利用可能な一定レベル以上のイオン伝導率を有し且つ正極側電圧の下での酸化分解が抑えられる固体電解質を実現することが可能である。
【0073】
更に、非晶質固体電解質材料としては、非晶質LAGPに限らず、例えば、一般式Li1+xAlSnGe2-x-y(POで表されるものや、一般式Li1+xAlTi2-x(POで表されるもの等、LAGPとは異なる構成元素を含む各種材料が用いられてもよい。このような非晶質固体電解質材料であっても、焼成温度を上記600℃以上800℃未満の温度範囲とすることで、結晶相と非晶質相とを含む焼結体を得ることは可能であり、固体電池1で利用可能な一定レベル以上のイオン伝導率を有し且つ正極側電圧の下での酸化分解が抑えられる固体電解質を実現することは可能である。
【0074】
また、非晶質固体電解質材料の焼成において、その焼成温度を上記600℃以上800℃未満の温度範囲とする場合に、その焼成雰囲気や焼成時間は、上記表1に例示したものには限定されるものではなく、適宜設定され得る。例えば、焼成雰囲気は、大気雰囲気に限定されず、窒素雰囲気とされてもよい。また、焼成時間は、2時間や20時間に限定されない。一般に、非晶質固体電解質材料の焼成では、焼成時間が長くなるほど結晶相の形成が進む。焼成温度のほか、焼成雰囲気や焼成時間が適宜設定されることで、結晶相と非晶質相との混在状態又は結晶化度が、変化又は調整されてもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 固体電池
10 電池要素
10a、10b 端面
11 正極層
12 負極層
13 電解質層
14 カバー層
20、30 外部電極
図1
図2
図3
図4
図5