IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヤンマーホールディングス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-スターリングエンジン 図1
  • 特開-スターリングエンジン 図2
  • 特開-スターリングエンジン 図3
  • 特開-スターリングエンジン 図4
  • 特開-スターリングエンジン 図5
  • 特開-スターリングエンジン 図6
  • 特開-スターリングエンジン 図7
  • 特開-スターリングエンジン 図8
  • 特開-スターリングエンジン 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021696
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】スターリングエンジン
(51)【国際特許分類】
   F02G 1/055 20060101AFI20250206BHJP
【FI】
F02G1/055 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125600
(22)【出願日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】甲田 和之
(72)【発明者】
【氏名】北崎 真人
(72)【発明者】
【氏名】坂本 修
(57)【要約】
【課題】凝縮水がヒータ管と接した状態で滞留することを回避して、蒸気からヒータ管への伝熱性を向上させる。
【解決手段】スターリングエンジンは、熱源から熱を受領する熱媒を収容するサーモサイフォンと、作動ガスを収容する本体と、本体内に配置され、熱媒により熱を作動ガスに付与するヒータと、を備える。ヒータは、作動ガスが内部を流れる少なくとも1本のヒータ管と、サーモサイフォンから供給される熱媒としての蒸気から凝縮した凝縮水を排出する凝縮水排出口と、を有する。凝縮水排出口は、ヒータ管よりも下方に位置する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源から熱を受領する熱媒を収容するサーモサイフォンと、
作動ガスを収容する本体と、
前記本体内に配置され、前記熱媒により前記熱を前記作動ガスに付与するヒータと、を備えたスターリングエンジンであって、
前記ヒータは、
前記作動ガスが内部を流れる少なくとも1本のヒータ管と、
前記サーモサイフォンから供給される前記熱媒としての蒸気から凝縮した凝縮水を排出する凝縮水排出口と、を有し、
前記凝縮水排出口は、前記ヒータ管よりも下方に位置する、スターリングエンジン。
【請求項2】
前記サーモサイフォンは、
前記熱媒としての前記蒸気が流れる主配管と、
前記主配管から分岐して設けられ、前記ヒータ管の軸方向に並んで配置される複数の分岐配管と、をさらに有し、
前記ヒータは、複数の前記分岐配管と接続される蒸気導入口を有する、請求項1に記載のスターリングエンジン。
【請求項3】
前記ヒータは、前記ヒータ管が通る貫通孔を有する隔壁をさらに有し、
前記隔壁は、前記ヒータ管の周囲の空間を前記軸方向において区切ることにより、前記軸方向に複数の熱媒流通空間を形成し、
複数の前記蒸気導入口は、前記隔壁によって区切られた各熱媒流通空間に対応して位置して、各熱媒流通空間に前記蒸気を導入する、請求項2に記載のスターリングエンジン。
【請求項4】
前記サーモサイフォンは、前記主配管および複数の前記分岐配管の組を、前記ヒータの周方向に複数有する、請求項2に記載のスターリングエンジン。
【請求項5】
前記ヒータ管は、基準面に対して傾斜して位置する、請求項1に記載のスターリングエンジン。
【請求項6】
前記サーモサイフォンは、前記凝縮水排出口から排出される前記凝縮水を、前記熱源の流路内の配管に導く凝縮水導入配管と、をさらに有し、
前記凝縮水導入配管における前記熱源の前記流路との接続部は、前記凝縮水排出口よりも下方に位置する、請求項1から5のいずれかに記載のスターリングエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スターリングエンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1では、排気を通すダクト内に、排気中の熱により水を水蒸気に変換する熱交換器を設け、該水蒸気を被加熱体に導き、該被加熱体を凝縮熱により加熱する装置が開示されている。熱交換を行う媒体(熱媒)として水を利用する上記熱交換器は、サーモサイフォンとも呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-101299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水蒸気の凝縮熱により被加熱体(例えばヒータ管)を加熱した後、凝縮熱の放出によって水蒸気が凝縮した水(凝縮水)は、配管を通って熱交換器に戻される。特許文献1では、上記配管の接続口(凝縮水入口)がヒータ管の下部と同じ高さ位置にあるため、凝縮水が上記配管に排水されるまで、凝縮水がヒータ管の下部と接した状態で滞留しやすい。凝縮水がヒータ管と接して滞留すると、ヒータ管への伝熱性が低下するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、凝縮水がヒータ管と接した状態で滞留することを回避して、蒸気からヒータ管への伝熱性を向上させることができるスターリングエンジンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るスターリングエンジンは、熱源から熱を受領する熱媒を収容するサーモサイフォンと、作動ガスを収容する本体と、前記本体内に配置され、前記熱媒により前記熱を前記作動ガスに付与するヒータと、を備えたスターリングエンジンであって、前記ヒータは、前記作動ガスが内部を流れる少なくとも1本のヒータ管と、前記サーモサイフォンから供給される前記熱媒としての蒸気から凝縮した凝縮水を排出する凝縮水排出口と、を有し、前記凝縮水排出口は、前記ヒータ管よりも下方に位置する。
【発明の効果】
【0007】
上記の構成によれば、凝縮水がヒータ管と接した状態で滞留することを回避して、蒸気からヒータ管への伝熱性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の一形態に係るスターリングエンジンの概略の構成を示す説明図である。
図2】上記スターリングエンジンの本体内の膨張空間での圧力と容積との変化を示す説明図である。
図3】上記本体内の圧縮空間での圧力と容積との変化を示す説明図である。
図4】サーモサイフォンおよびヒータの構成の詳細を示す斜視図である。
図5】上記サーモサイフォンおよび上記ヒータの断面図である。
図6】上記サーモサイフォンの他の構成を示す説明図である。
図7】上記サーモサイフォンのさらに他の構成を示す説明図である。
図8】上記ヒータが有するヒータ管の他の配置例を示す断面図である。
図9】上記本体と上記サーモサイフォンとの接続関係を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
<1.スターリングエンジンの基本構成>
図1は、本発明の実施形態に係るスターリングエンジン100の基本構成を示す説明図である。スターリングエンジン100は、サーモサイフォン1と、エンジン部20と、を備える。
【0011】
(1-1.サーモサイフォン)
サーモサイフォン1は、熱源HSから熱を受領する熱媒を収容する。熱源HSとしては、例えば工場排熱を想定することができる。なお、熱源HSは、太陽熱または地熱などであってもよい。熱源HSは、流路FPの中を移動する。流路FPは、例えば排熱管で構成される。
【0012】
サーモサイフォン1は、熱媒が内部を流れる配管として、第1配管1aと、第2配管1bと、第3配管1cと、を有する。第1配管1aは、流路FPの内部に位置する。第2配管1bおよび第3配管1cは、流路FPの外部に位置する。したがって、サーモサイフォン1の一部は、流路FPに配置される。
【0013】
第2配管1bは、第1配管1aに対して熱媒が流れる方向の下流側に位置する。第1配管1aと第2配管1bとは、第1接続部11を介して接続される。第1接続部11は、流路FPの壁面に設けられる。第2配管1bにおいて、第1配管1aとの接続側とは反対側の端部は、エンジン部20の本体30の上部に接続される。
【0014】
第3配管1cは、第1配管1aに対して熱媒が流れる方向の上流側に位置する。第1配管1aと第3配管1cとは、第2接続部12を介して接続される。第2接続部12は、流路FPの壁面に設けられる。第3配管1cにおいて、第1配管1aとの接続側とは反対側の端部は、本体30の下部に接続される。
【0015】
サーモサイフォン1が収容する熱媒は、例えば水である。水は常温で液体であるが、高温では沸騰して気体の蒸気となる。また、蒸気は凝縮して水(凝縮水)となる。したがって、蒸気および凝縮水も熱媒に含まれる。熱媒は、液体または気体のいずれかの状態で、サーモサイフォン1の配管の中を流れ、熱源HS(流路FP)とエンジン部20との間で循環する。
【0016】
より詳しくは、熱源HS(例えば排熱)により、第1配管1a内の熱媒(ここでは水)が加熱されると、水は蒸発して蒸気となる。蒸気は、第1配管1aから第2配管1bを通って、エンジン部20の本体30内に上部から導入される。蒸気が本体30内の後述するヒータ40に凝縮熱を放出することにより、ヒータ40が加熱される。凝縮熱を放出した後の蒸気は、凝縮して水(凝縮水)となる。上記の水は、本体30の下部から排出されて第3配管1cを通り、第1配管1aに戻される。つまり、凝縮水は、熱源HSの流路FPに入る。以降は、上記の過程が繰り返し行われる。なお、サーモサイフォン1が収容する熱媒は、水以外の液体(例えばアルコール)であってもよい。
【0017】
このようにして、サーモサイフォン1は、熱源HSから熱を受領してヒータ40との間で熱交換を行う。このようなサーモサイフォン1は、1次熱交換器とも呼ばれる。
【0018】
(1-2.エンジン部の構成)
エンジン部20は、本体30を有する。本体30は、作動ガスGを収容するシリンダである。作動ガスGは、例えばヘリウムである。ヘリウムは比熱容量が大きいため、高圧にして密度を高めることにより、体積あたりのエンジン出力を高めることができる。なお、作動ガスGは、ヘリウム以外の気体(例えば空気、水素等)であってもよい。本体30内には、ヒータ40と、クーラ50と、再生器60と、が水平方向に直線状に配置される。
【0019】
ヒータ40は、例えばシェルアンドチューブ型の熱交換機で構成される。1次熱交換器であるサーモサイフォン1に対して、ヒータ40のことを2次熱交換器とも称する。ヒータ40は、内部を作動ガスGが流れるヒータ管41を有する。ヒータ管41は、例えば金属管である。ヒータ管41を構成する金属は、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼など、熱伝導性に優れた金属の中から適宜選択されればよい。本実施形態では、ヒータ管41は複数設けられるが、少なくとも1本設けられればよい。
【0020】
サーモサイフォン1から本体30内に導入される蒸気は、各ヒータ管41の周囲を流れる。これにより、各ヒータ管41が加熱され、各ヒータ管41の内部を流れる作動ガスGが加熱される。つまり、ヒータ40は、サーモサイフォン1の熱媒によって伝達される熱を作動ガスGに付与する。
【0021】
ヒータ40は、一端部が膨張空間ESに連通し、他端部が再生器60の一端部に連通している。すなわち、ヒータ40は、本体30内で、膨張空間ESと再生器60との間に位置する。膨張空間ESは、ヒータ40によって作動ガスGが加熱されたときに膨張する空間である。
【0022】
クーラ50も、ヒータ40と同様のシェルアンドチューブ型の熱交換機で構成される。すなわち、クーラ50は、内部を作動ガスGが流れる冷却管51を有する。冷却管51は、ヒータ管41と同様の金属管である。本実施形態では、冷却管51は複数設けられるが、少なくとも1本設けられればよい。
【0023】
本体30の外部に設置される冷却設備70から、冷媒配管71を介して冷媒がクーラ50に供給されると、冷媒が各冷却管51の周囲を流れる。これにより、各冷却管51が冷却され、各冷却管51を流れる作動ガスGが冷却される。つまり、クーラ50は、作動ガスGを冷媒によって冷却する。上記の冷媒は例えば水であるが、水以外の冷媒であってもよい。冷媒は、冷媒配管71を流れてクーラ50と冷却設備70との間を循環する。
【0024】
クーラ50は、一端部が圧縮空間CSに連通し、他端部が再生器60の他端部に連通している。すなわち、クーラ50は、本体30内で、再生器60と圧縮空間CSとの間に位置する。圧縮空間CSは、作動ガスGが後述する圧縮ピストンCPによって圧縮される空間である。
【0025】
再生器60は、ヒータ40とクーラ50との間に配置される。再生器60は、例えばメッシュ状の流路で形成される。これにより、本体30内の作動ガスGが、再生器60を介して膨張空間ES側と圧縮空間CS側との間で流通することができる。つまり、再生器60は、膨張空間ESと圧縮空間CSとの間で作動ガスGを流通させる。なお、再生器60は、メッシュ状の流路には限定されない。例えば、積層金網、流れに沿った薄板、多孔質体などの蓄熱材で再生器60を構成することも可能である。
【0026】
本体30内において、膨張空間ESに対してヒータ40とは反対側には、パワーピストンPPとしての膨張ピストンEPが配置される。また、本体30内において、圧縮空間CSに対してクーラ50とは反対側には、パワーピストンPPとしての圧縮ピストンCPが配置される。つまり、本体30内には、ヒータ40と作動ガスGの膨張空間ESを介して膨張ピストンEPが配置され、クーラ50と作動ガスGの圧縮空間CSを介して圧縮ピストンCPが配置される。このように、パワーピストンPPとして2つのピストン(膨張ピストンEP、圧縮ピストンCP)を有する2ピストン型のスターリングエンジン100は、α型のスターリングエンジンとも呼ばれる。
【0027】
膨張ピストンEPおよび圧縮ピストンCPの外周部には、ピストンリングPRが嵌められている。ピストンリングPRはガスシールの役目を果たす。つまり、ピストンリングPRにより、膨張ピストンEPと本体30との隙間、および圧縮ピストンCPと本体30との隙間からの作動ガスGの漏れ(ガスリーク)が抑えられる。
【0028】
膨張ピストンEPの膨張側ピストンロッド81は、膨張側クロスヘッドピストン82に連結されている。膨張側クロスヘッドピストン82は、膨張側コンロッド83を介して膨張側クランクシャフト84に連結されている。膨張側ピストンロッド81は、本体30の一端面30aを貫通して設けられる。したがって、膨張側クロスヘッドピストン82、膨張側コンロッド83、および膨張側クランクシャフト84は、本体30の外部に位置する。
【0029】
膨張側クロスヘッドピストン82、膨張側コンロッド83、および膨張側クランクシャフト84は、膨張ピストン側クランク機構85を構成している。膨張ピストンEPは、膨張側ピストンロッド81を介して、膨張ピストン側クランク機構85に連結されている。本体30の一端面30aにおいて、膨張側ピストンロッド81が貫通する貫通孔の周囲には、膨張側ガスシール部31aが設けられている。
【0030】
圧縮ピストンCPの圧縮側ピストンロッド86は、圧縮側クロスヘッドピストン87に連結されている。圧縮側クロスヘッドピストン87は、圧縮側コンロッド88を介して圧縮側クランクシャフト89に連結されている。圧縮側ピストンロッド86は、本体30の他端面30bを貫通して設けられる。したがって、圧縮側クロスヘッドピストン87、圧縮側コンロッド88、および圧縮側クランクシャフト89は、本体30の外部に位置する。
【0031】
圧縮側クロスヘッドピストン87、圧縮側コンロッド88、および圧縮側クランクシャフト89は、圧縮ピストン側クランク機構90を構成している。圧縮ピストンCPは、圧縮側ピストンロッド86を介して、圧縮ピストン側クランク機構90に連結されている。本体30の他端面30bにおいて、圧縮側ピストンロッド86が貫通する貫通孔の周囲には、圧縮側ガスシール部31bが設けられている。
【0032】
膨張ピストン側クランク機構85および圧縮ピストン側クランク機構90は、動力伝達部91を介して動力伝達可能に連結されている。より詳しくは、膨張ピストン側クランク機構85の膨張側クランクシャフト84は、第1ベルト92を介して出力軸SHと動力伝達可能に連結されている。また、圧縮ピストン側クランク機構90の圧縮側クランクシャフト89は、第2ベルト93を介して出力軸SHと動力伝達可能に連結されている。つまり、第1ベルト92、出力軸SH、および第2ベルト93が、上記の動力伝達部91を構成する。なお、動力伝達部91は、ベルトのほかに、またはベルトに加えて、チェーン、歯車等を有する構成であってもよい。
【0033】
出力軸SHは、例えば作業機Mの回転軸である。作業機Mは、例えば発電機およびモータで構成される。例えば、作業機Mは、起動時のみモータとして作動し、自立運転後、発電機として作動する。
【0034】
(1-3.エンジン部の動作)
上記の構成において、サーモサイフォン1の第1配管1aおよび第2配管1bを流れる蒸気が、エンジン部20の本体30内に導入されると、蒸気の凝縮熱がヒータ40に付与されてヒータ40が加熱される。ヒータ40の加熱により、ヒータ管41内の作動ガスGが加熱される。この結果、作動ガスGが膨張して膨張空間ESの圧力が増大し、膨張ピストンEPを押圧する。ここで、膨張空間ESの圧力をPE(Pa)とし、膨張空間ESの容積をVE(m3)としたとき、膨張工程における仕事量WE(J)は、WE=∫PE・dVEで表される。
【0035】
膨張ピストンEPの押圧、移動により、膨張側ピストンロッド81および膨張側クロスヘッドピストン82が、膨張側コンロッド83を介して膨張側クランクシャフト84を正の方向に回転させる。膨張側クランクシャフト84の回転により、第1ベルト92が回り、出力軸SHが正の方向に回転する。出力軸SHが回転すると、第2ベルト93が回り、圧縮側クランクシャフト89が正の方向に回転する。
【0036】
圧縮側クランクシャフト89の回転により、圧縮側コンロッド88が圧縮側クロスヘッドピストン87および圧縮側ピストンロッド86を押圧し、圧縮ピストンCPを本体30内に押し込む。これにより、圧縮空間CSが圧縮されるとともに、圧縮空間CS内の作動ガスGがクーラ50内に入り込み、作動ガスGがクーラ50によって冷却される。ここで、圧縮空間CSの圧力をPC(Pa)とし、圧縮空間CSの容積をVC(m3)としたとき、圧縮工程における仕事量WC(J)は、WC=-∫PC・dVCで表される。
【0037】
したがって、出力軸SHを回す仕事量(例えば発電仕事)をW(J)としたとき、仕事量Wは、膨張工程における仕事量WEと、圧縮工程における仕事量WCと、予め定められたエンジン部20の機械効率ηと、を用いて、以下の式で表される。
W=(WE+WC)・η=(∫PE・dVE-∫PC・dVC)・η
【0038】
膨張ピストンEPおよび圧縮ピストンCPの往復移動により、上記の膨張工程と圧縮工程とが繰り返し行われる。このとき、膨張空間ESでは、圧力PEと容積VEとは、図2に示すように変化する。圧縮空間CSでは、圧力PCと容積VCとは、図3に示すように変化する。
【0039】
(1-4.調時について)
上記のように、図1に示した膨張ピストンEPの移動によって膨張ピストン側クランク機構85に与えられる動力は、第1ベルト92、出力軸SH、および第2ベルト93を介して圧縮ピストン側クランク機構90に伝達される。
【0040】
ここで、膨張ピストンEPと圧縮ピストンCPとは、本体30内を所定の位相差で往復移動する。上記位相差は、膨張ピストン側クランク機構85のクランク角度、および圧縮ピストン側クランク機構90のクランク角度の差に相当する。したがって、例えば、膨張側クランクシャフト84の基準位置からの回転角度(クランク角度)をθ(°)としたとき、圧縮側クランクシャフト89の基準位置からの回転角度(クランク角度)は、位相遅れをβ(°)として、(θ-β)で表される。位相遅れβは、例えば90°であるが、90°には限定されない。
【0041】
膨張ピストン側クランク機構85および圧縮ピストン側クランク機構90は、上記位相差を実現するように予め調時される。このような調時は、例えば膨張側クランクシャフト84を所定の回転位置で第1ベルト92を介して出力軸SHと連結し、圧縮側クランクシャフト89を所定の回転位置で第2ベルト93を介して出力軸SHと連結することによって行うことができる。
【0042】
具体的には、膨張側クランクシャフト84および第1ベルト92には、位置合わせ用のマークがそれぞれ付されている。また、圧縮側クランクシャフト89および第2ベルト93にも、位置合わせ用のマークがそれぞれ付されている。したがって、膨張側クランクシャフト84および第1ベルト92の各マークを合わせてこれらを連結し、圧縮側クランクシャフト89および第2ベルト93の各マークを合わせてこれらを連結することにより、膨張側クランクシャフト84を所定の回転位置で第1ベルト92を介して出力軸SHと連結し、圧縮側クランクシャフト89を所定の回転位置で第2ベルト93を介して出力軸SHと連結することができる。このときに用いられる第1ベルト92および第2ベルト93は、歯付きのベルト、すなわちタイミングベルトであることが好ましい。このようにして、調時が行われる。つまり、膨張ピストン側クランク機構85および圧縮ピストン側クランク機構90は、動力伝達部91を介して調時可能に連結される。
【0043】
本実施形態では、膨張ピストン側クランク機構85および圧縮ピストン側クランク機構90は、動力伝達部91を介して、動力伝達可能で、かつ。調時可能に連結されているが、動力伝達および調時の少なくとも一方が可能となるように連結されればよい。
【0044】
<2.サーモサイフォンおよびヒータの詳細>
(2-1.サーモサイフォンの詳細)
図4は、サーモサイフォン1およびヒータ40の構成の詳細を示す斜視図である。図5は、サーモサイフォン1およびヒータ40の断面図である。なお、図4では、ヒータ40のケース40aの内部の構成を明確にする目的で、ケース40aを破線で示している。以下、サーモサイフォン1およびヒータ40の詳細について説明する。
【0045】
なお、以下での説明の便宜上、方向を以下のように定義する。まず、ヒータ40が一方向に長尺状であるとしたとき、上記一方向を前後方向とし、上記一方向の一方側を「前」とし、他方側を「後」とする。そして、前後方向に垂直な面内で互いに垂直な2方向のうち、重力方向を上下方向とし、重力方向に垂直な残りの一方向を左右方向とする。このとき、重力方向の上流側を「上」とし、下流側を「下」とする。また、上記左右方向のうち、後方から前方に向かって、右側を「右」とし、左側を「左」とする。図面では、必要に応じて、前方を「F」、後方を「B」、右方を「R」、左方を「L」、上方を「U」、下方を「D」の記号で示す。
【0046】
サーモサイフォン1の第2配管1bは、主配管13と、複数の分岐配管14と、を有する。主配管13は、第2配管1bのうち、ヒータ40の上方に位置する配管である。主配管13は第2配管1bの一部を構成するため、熱源HS(図1参照)から熱を受領して第2配管1bを流れる熱媒(蒸気)は、主配管13を流れる。主配管13は、ヒータ40の軸方向、つまり、ヒータ管41の軸方向(ここでは前後方向とする)に延びる。
【0047】
複数の分岐配管14は、主配管13から分岐して設けられる。個々の分岐配管14は、主配管13から下方に延びてヒータ40と接続される。複数の分岐配管14は、主配管13が延びる方向、つまり、ヒータ管41の軸方向に並んで配置される。このように主配管13から複数の分岐配管14が分岐して設けられる構造は、ヘッダ構造とも呼ばれる。
【0048】
サーモサイフォン1の第3配管1cは、連通管15と、複数の凝縮水配管16と、を有する。連通管15は、第3配管1cのうち、ヒータ40の下方に位置する配管である。連通管15は、ヒータ40の軸方向、つまり、ヒータ管41の軸方向に延びる。
【0049】
複数の凝縮水配管16は、ヒータ40の内部で発生した凝縮水が流れる配管であり、ヒータ40の後述する凝縮水排出口43とそれぞれ接続される。個々の凝縮水配管16は、凝縮水排出口43から下方に延びて連通管15と接続される。また、複数の凝縮水配管16は、連通管15が延びる方向、つまり、ヒータ管41の軸方向に並んで配置される。
【0050】
(2-2.ヒータの詳細)
ヒータ40は、上記した少なくとも1本のヒータ管41に加えて、蒸気導入口42と、凝縮水排出口43と、を有する。蒸気導入口42および凝縮水排出口43は、ヒータ40の外壁を構成する円筒状のケース40aに設けられる。蒸気導入口42は、凝縮水排出口43よりも上方に位置する。
【0051】
蒸気導入口42は、複数の分岐配管14のそれぞれに対応して設けられて、複数の分岐配管14と接続される。したがって、ケース40aにおいて、蒸気導入口42は、複数の分岐配管14と同様に、ヒータ管41の軸方向に並んで位置する。
【0052】
凝縮水排出口43は、複数の凝縮水配管16のそれぞれに対応して設けられて、複数の凝縮水配管16と接続される。したがって、ケース40aにおいて、凝縮水排出口43は、凝縮水配管16と同様に、ヒータ管41の軸方向に並んで位置する。各凝縮水排出口43は、ケース40aの下部に位置する。
【0053】
特に、凝縮水排出口43は、最下部のヒータ管41よりも下方に位置する。例えば、図5に示すように、ケース40a内で最下部に位置するヒータ管41の底部の高さ位置をH0としたとき、各凝縮水排出口43は、ケース40aにおいて、高さH0よりも低い位置に設けられる。
【0054】
上記の構成において、サーモサイフォン1から供給される熱媒としての蒸気は、主配管13を流れた後、複数の分岐配管14で分岐される。各分岐配管14を流れる蒸気は、蒸気導入口42を介してヒータ40(ケース40a)の内部に上方から導入される。ヒータ40の内部で、蒸気がヒータ管41に凝縮熱を放出することにより、ヒータ管41が加熱される。
【0055】
一方、蒸気がヒータ管41に凝縮熱を放出すると、蒸気は凝縮して凝縮水となる。ヒータ40の内部で生じた凝縮水は、重力によって下方に移動し、各凝縮水排出口43から各凝縮水配管16に排出される。各凝縮水配管16に排出された凝縮水は、連通管15で合流した後、下流側(第2接続部12側)に流れる。つまり、各凝縮水排出口43から排出される凝縮水は、第3配管1c(図1参照)を介して第1配管1aに戻る。
【0056】
本実施形態では、ケース40a内で発生した凝縮水は、最下部に位置するヒータ管41よりも下方に位置する凝縮水排出口43から排出される。このため、凝縮水が最下部のヒータ管41と接した状態で滞留しにくくなる。これにより、ケース40a内で最下部に位置するヒータ管41についても、残りのヒータ管41と同様に、蒸気を十分に接触させて、ヒータ管41への伝熱性を向上させることができる。その結果、全てのヒータ管41を効率よく加熱することができる。
【0057】
軸方向に延びるヒータ管41を効率よく加熱するためには、ヒータ管41を軸方向の複数箇所で加熱することが望ましい。本実施形態では、主配管13から分岐して設けられる複数の分岐配管14が、ヒータ管41の軸方向に並んで配置される。そして、ヒータ40は、複数の分岐配管14と接続される蒸気導入口42を有する。この構成では、複数の蒸気導入口42が、ヒータ管41の軸方向に並ぶため、複数の蒸気導入口42から導入される蒸気をヒータ管41の軸方向の複数箇所に当てて、ヒータ管41を軸方向の複数箇所で加熱することが容易となる。
【0058】
(2-3.隔壁について)
図4および図5に示すように、本実施形態では、ヒータ40は、隔壁44をさらに有する。隔壁44は、ヒータ管41が通る貫通孔44aを有する円盤状の部材である。隔壁44において、貫通孔44aは、ケース40a内のヒータ管41の数だけ設けられる。このような隔壁44は、ヒータ40のケース40a内に複数設けられる。なお、隔壁44は、ケース40a内に1枚だけ設けられてもよい。
【0059】
複数の隔壁44は、ヒータ管41の軸方向に間隔を置いて並んで配置されている。したがって、隔壁44は、ケース40a内で、ヒータ管41の周囲の空間を、軸方向において区切る。これにより、隔壁44は、ケース40a内で、ヒータ管41の軸方向に複数の熱媒流通空間VSを形成する。
【0060】
図5に示すように、上記した複数の蒸気導入口42は、隔壁44によって区切られた各熱媒流通空間VSに対応して位置する。つまり、1つの熱媒流通空間VSに対して1つの蒸気導入口42がケース40aに設けられる。複数の蒸気導入口42は、各分岐配管14を流れる蒸気を、それぞれの熱媒流通空間VSに導入する。
【0061】
隣り合う熱媒流通空間VSは、隔壁44によって区切られるため、各熱媒流通空間VSに各蒸気導入口42から蒸気が導入されると、導入された蒸気がヒータ管41の軸方向に広がることが隔壁44によって抑制される。これにより、熱媒流通空間VSに導入される蒸気の隔壁44に沿った方向(図5では上下方向)の直進性が増す。この結果、蒸気からヒータ管41への熱伝達が各熱媒流通空間VSごとに効率よく行われる。すなわち、各熱媒流通空間VSごとに蒸気からヒータ管41への伝熱性が向上する。
【0062】
(2-4.サーモサイフォンの他の構成)
図6は、サーモサイフォン1の他の構成を示すものであって、サーモサイフォン1とヒータ40との接続部付近を、ヒータ40の中心軸C0の方向から見たときの説明図である。同図に示すように、サーモサイフォン1は、主配管13および(上記主配管13から分岐した)複数の分岐配管14の組を、ヒータ40の周方向に複数有していてもよい。同図では、主配管13と、それに接続される複数の分岐配管14との組を、周方向に3つ設けた例を示しているが、組数は2つであってもよいし、4つ以上であってもよい。周方向に位置する複数の主配管13は、例えば第2配管1bから分岐して設けられる。なお、ヒータ40の周方向とは、ヒータ40の中心軸周りの方向を指す。
【0063】
このように、ヒータ40の周方向に、主配管13および複数の分岐配管14の組を複数設けることにより、ヒータ40に対して周方向の異なる位置から蒸気が噴射される。これにより、ヒータ40の内部のヒータ管41が効率よく加熱され、ヒータ管41の内部を流通する作動ガスG(図1参照)が効率よく加熱される。
【0064】
なお、図6では、各分岐配管14からヒータ40の中心軸C0に向かって蒸気を噴射する構成を示しているが、各分岐配管14から蒸気を噴出する方向は、中心軸C0に向かう方向(ヒータ40の径方向)には限定されない。図7は、サーモサイフォン1の他の構成を示すものであって、サーモサイフォン1とヒータ40との接続部付近を、ヒータ40の中心軸C0の方向から見たときの説明図である。同図に示すように、各分岐配管14から下方に蒸気を噴射してヒータ40の内部に供給する構成であってもよい。この構成であっても、ヒータ40に対して周方向の異なる位置から蒸気を噴射して、ヒータ40の内部のヒータ管41を効率よく加熱することができる。
【0065】
(2-5.ヒータ管の傾斜配置について)
図8は、ヒータ管41の他の配置例を示す断面図である。ヒータ40のケース40aの内部において、ヒータ管41は、基準面P0に対して傾斜して位置してもよい。基準面P0は、例えば水平面である。同図の例では、ヒータ管41は、水平面から下向きに角度φ(°)だけ傾斜して配置された状態を示している。なお、ヒータ40の円筒状のケース40aは、中心軸が水平となるように配置されていてもよいし、ヒータ管41と同様に基準面P0から角度φで傾斜して配置されていてもよいし、その他の角度で傾斜していてもよい。
【0066】
ヒータ管41が傾斜して位置すると、ケース40a内でヒータ管41の表面に凝縮水の水滴DPが付着しても、付着した水滴DPは、ヒータ管41の外周面を伝って下方に移動する。これにより、ヒータ管41の表面での凝縮水の滞留がより低減される。したがって、蒸気によるヒータ管41への伝熱性が確実に向上することが期待される。
【0067】
(2-6.凝縮水排出口と第2接続部との位置関係について)
図9は、エンジン部20の本体30と、サーモサイフォン1との接続関係を模式的に示す説明図である。上述のように、熱源HSの流路FP内には、第1配管1aが位置しており、ヒータ40内の凝縮水は、凝縮水排出口43から排出された後、第3配管1c(凝縮水配管16および連通管15を含む)を通って第1配管1aに戻される。したがって、第3配管1cは、ヒータ40の凝縮水排出口43から排出される凝縮水を、熱源HSの流路FP内(の第1配管1a)に導く凝縮水導入配管を構成する。
【0068】
このとき、第2接続部12は、凝縮水排出口43よりも下方に位置することが望ましい。すなわち、第3配管1cにおける熱源HSの流路FPとの接続部(第2接続部12)は、凝縮水排出口43よりも下方に位置することが望ましい。なお、上記の位置関係が実現されるのであれば、図9に示すように、第3配管1cは、配管の途中に水平な部分を有していてもよい。
【0069】
第2接続部12と凝縮水排出口43とが上記の位置関係であると、第3配管1cにおいて、凝縮水排出口43から第2接続部12に向かって凝縮水が流れる向きを、上方側から下方側に向かう向き、つまり、重力方向に逆らわずに流れる自然な向きとすることが容易となる。これにより、ヒータ40からの凝縮水の排水性がさらに高まる。
【0070】
<3.補足>
本実施形態では、図1で示したように、膨張ピストンEPとヒータ40とは、本体30内で膨張ピストンEPの運動方向に一直線状に配置されている。また、クーラ50と圧縮ピストンCPとは、本体30内で圧縮ピストンCPの運動方向に一直線状に配置されている。なお、膨張ピストンEPの運動方向とは、本体30内での作動ガスGの膨張、および膨張側クランクシャフト84の回転により、本体30内で膨張ピストンEPが往復移動する方向を指す。一方、圧縮ピストンCPの運動方向とは、本体30内での作動ガスGの圧縮、および圧縮側クランクシャフト89の回転により、本体30内で圧縮ピストンCPが往復移動する方向を指す。この場合、膨張ピストンEPとヒータ40との間の膨張空間ESを全て、膨張ピストンEPの押圧に寄与させることができる。また、クーラ50と圧縮ピストンCPとの間の圧縮空間CSを全て、圧縮ピストンCPの引き込みに寄与させることができる。したがって、膨張空間ESに、膨張ピストンEPの押圧に寄与しない無効空間は存在しない。また、圧縮空間CSにも、圧縮ピストンCPの引き込みに寄与しない無効空間は存在しない。その結果、ヒータ40による作動ガスGの加熱およびクーラ50による作動ガスGの冷却により、スターリングエンジン100(特にエンジン部20)を効率よく駆動して、エンジン部20の出力(具体的に出力軸SHの回転数)を上げることができる。
【0071】
したがって、無効空間を低減してエンジン部20の出力を上げる観点では、膨張ピストンEPとヒータ40は、本体30内で一直線状に配置され、クーラ50と圧縮ピストンCPも、本体30内で一直線状に配置されることが望ましい。
【0072】
また、本体30内に流路の曲がり部が存在すると、上記曲がり部において圧力損失が発生し、これによってエンジン部20の出力が低下することが懸念される。上記圧力損失に起因するエンジン部20の出力低下を回避する観点では、図1のように、膨張ピストンEP、ヒータ40、クーラ50、および圧縮ピストンCPが、本体30内で一直線状に配置されることが望ましい。
【0073】
なお、圧力損失に起因するエンジン部20の出力低下よりも、コンパクトなレイアウトを実現することを重視する場合は、本体30は曲がり部を有する構成であってもよい。例えば、本体30内で再生器60が一方向に延びて位置する場合、膨張ピストンEPおよびヒータ40は、本体30内で上記一方向と交差する方向に並んで配置され、クーラ50および圧縮ピストンCPも、本体30内で上記一方向と交差する方向に並んで配置されてもよい。つまり、膨張ピストンEPおよびヒータ40と、クーラ50および圧縮ピストンCPとは、並列に並んで配置されてもよい。
【0074】
<4.付記>
本実施形態で説明したスターリングエンジンは、以下のように表現することもできる。
【0075】
付記(1)のスターリングエンジンは、
熱源から熱を受領する熱媒を収容するサーモサイフォンと、
作動ガスを収容する本体と、
前記本体内に配置され、前記熱媒により前記熱を前記作動ガスに付与するヒータと、を備えたスターリングエンジンであって、
前記ヒータは、
前記作動ガスが内部を流れる少なくとも1本のヒータ管と、
前記サーモサイフォンから供給される前記熱媒としての蒸気から凝縮した凝縮水を排出する凝縮水排出口と、を有し、
前記凝縮水排出口は、(最下部の)前記ヒータ管よりも下方に位置する。
【0076】
付記(2)のスターリングエンジンは、付記(1)に記載のスターリングエンジンにおいて、
前記サーモサイフォンは、
前記熱媒としての前記蒸気が流れる主配管と、
前記主配管から分岐して設けられ、前記ヒータ管の軸方向に並んで配置される複数の分岐配管と、をさらに有し、
前記ヒータは、複数の前記分岐配管と接続される蒸気導入口を有する。
【0077】
付記(3)のスターリングエンジンは、付記(2)に記載のスターリングエンジンにおいて、
前記ヒータは、前記ヒータ管が通る貫通孔を有する隔壁をさらに有し、
前記隔壁は、前記ヒータ管の周囲の空間を前記軸方向において区切ることにより、前記軸方向に複数の熱媒流通空間を形成し、
複数の前記蒸気導入口は、前記隔壁によって区切られた各熱媒流通空間に対応して位置して、各熱媒流通空間に前記蒸気を導入する。
【0078】
付記(4)のスターリングエンジンは、付記(2)または(3)に記載のスターリングエンジンにおいて、
前記サーモサイフォンは、前記主配管および複数の前記分岐配管の組を、前記ヒータの周方向に複数有する。
【0079】
付記(5)のスターリングエンジンは、付記(1)から(4)のいずれかに記載のスターリングエンジンにおいて、
前記ヒータ管は、基準面に対して傾斜して位置する。
【0080】
付記(6)のスターリングエンジンは、付記(1)から(5)のいずれかに記載のスターリングエンジンにおいて、
前記サーモサイフォンは、前記凝縮水排出口から排出される前記凝縮水を、前記熱源の流路内の配管に導く凝縮水導入配管と、をさらに有し、
前記凝縮水導入配管における前記熱源の前記流路との接続部は、前記凝縮水排出口よりも下方に位置する。
【0081】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で拡張または変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、例えば排熱などの熱源の熱を利用し、熱交換を行ってエンジン部を駆動するスターリングエンジンに利用可能である。
【符号の説明】
【0083】
1 サーモサイフォン
1a 第1配管
1b 第2配管
1c 第3配管(凝縮水導入配管)
12 第2接続部
13 主配管
14 分岐配管
15 連通管
16 凝縮水配管
30 本体
40 ヒータ
41 ヒータ管
42 蒸気導入口
43 凝縮水排出口
44 隔壁
44a 貫通孔
100 スターリングエンジン
FP 流路
G 作動ガス
HS 熱源
P0 基準面
VS 熱媒流通空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9