(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021715
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】効率が改善されたハンドオーバを実行する端末装置、基地局装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
H04W 36/08 20090101AFI20250206BHJP
H04W 88/02 20090101ALI20250206BHJP
H04W 72/23 20230101ALI20250206BHJP
【FI】
H04W36/08
H04W88/02 140
H04W72/23
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125628
(22)【出願日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】洪 禎延
(72)【発明者】
【氏名】武田 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】大関 武雄
(72)【発明者】
【氏名】菅野 一生
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA15
5K067DD11
5K067EE02
5K067EE10
5K067JJ39
5K067KK02
5K067LL11
(57)【要約】
【課題】ハンドオーバが行われる際の通信効率を改善すること。
【解決手段】端末装置は、接続中の基地局装置から、ハンドオーバ先の候補のセルを提供する他の基地局装置における測定のための上りリンクの参照信号の設定情報を受信し、その後に、基地局装置から、他の基地局装置によって提供されるセルへのハンドオーバを指示するコマンドであって、上りリンクの参照信号の送信指示と上りリンクの参照信号の送信に使用されるべきビームを指定する情報を含んだコマンドを受信し、コマンドに基づいて、他の基地局装置によって提供されるセルへのハンドオーバを実行し、基地局装置からコマンドを受信したことに応じて、かつ、他の基地局装置から上りリンクの参照信号の送信の指示を受信することなく、設定情報とビームを指定する情報とを用いて、上りリンクの参照信号を他の基地局装置へ送信する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置であって、
接続中の基地局装置から、ハンドオーバ先の候補のセルを提供する他の基地局装置における測定のための上りリンクの参照信号の設定情報を受信し、その後に、前記基地局装置から、前記他の基地局装置によって提供されるセルへのハンドオーバを指示するコマンドであって、前記上りリンクの参照信号の送信指示と当該上りリンクの参照信号の送信に使用されるべきビームを指定する情報を含んだ前記コマンドを受信する受信手段と、
前記コマンドに基づいて、前記他の基地局装置によって提供されるセルへのハンドオーバを実行する実行手段と、
前記基地局装置から前記コマンドを受信したことに応じて、かつ、前記他の基地局装置から前記上りリンクの参照信号の送信の指示を受信することなく、前記設定情報と前記ビームを指定する情報とを用いて、前記上りリンクの参照信号を前記他の基地局装置へ送信する送信手段と、
を有することを特徴とする端末装置。
【請求項2】
前記ビームを指定する情報は、前記端末装置が使用可能な複数のビームの有効化又は無効化を示す情報である、ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項3】
前記端末装置が使用可能な複数のビームの有効化又は無効化を示す情報が、Transmission Configuration Indicator(TCI) stateを用いて示される、ことを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記他の基地局装置から送信された下りリンクの複数の所定の信号のそれぞれを、前記端末装置が使用可能な複数のビームのそれぞれを用いて測定する測定手段と、
前記複数の所定の信号のそれぞれについての前記測定の結果に基づいて、当該複数の所定の信号のそれぞれに対して前記複数のビームのいずれかを関連付けて記憶する記憶手段と、をさらに有し、
前記ビームを指定する情報は、前記複数の所定の信号のいずれかを特定可能な情報であり、
前記送信手段は、当該情報に基づいて特定された所定の信号に関連付けられて記憶されているビームを用いて、前記上りリンクの参照信号を送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項5】
前記上りリンクの参照信号はサウンディング参照信号(SRS)である、ことを特徴とする請求項1に記載の端末装置。
【請求項6】
基地局装置であって、
接続中の端末装置のハンドオーバ先の候補のセルを提供する他の基地局装置から、当該他の基地局装置における測定のための上りリンクの参照信号の設定情報を受信し、その後に、当該設定情報を用いて前記端末装置に上りリンクの参照信号を送信させる際に当該端末装置に使用させるビームを指定する情報を受信する受信手段と、
前記端末装置へ、前記設定情報を送信し、その後に、当該端末装置を前記他の基地局装置によって提供されるセルにハンドオーバさせる際に、当該他の基地局装置によって提供されるセルへのハンドオーバを指示するコマンドであって、前記上りリンクの参照信号の送信指示と当該上りリンクの参照信号の送信に使用されるべきビームを指定する情報を含んだ前記コマンドを送信する送信手段と、
を有することを特徴とする基地局装置。
【請求項7】
前記送信手段は、前記ビームを指定する情報として、前記端末装置が使用可能な複数のビームの有効化又は無効化を示す情報を前記コマンドに含めて前記端末装置へ送信する、ことを特徴とする請求項6に記載の基地局装置。
【請求項8】
前記端末装置が使用可能な複数のビームの有効化又は無効化を示す情報が、Transmission Configuration Indicator(TCI) stateを用いて示される、ことを特徴とする請求項7に記載の基地局装置。
【請求項9】
前記端末装置は、前記他の基地局装置から送信された下りリンクの複数の所定の信号のそれぞれに対して、前記端末装置が使用可能な複数のビームのいずれかを関連付けて記憶しており、
前記送信手段は、前記ビームを指定する情報として、前記複数の所定の信号のいずれかを特定可能な情報を前記コマンドに含めて前記端末装置へ送信する、
ことを特徴とする請求項6に記載の基地局装置。
【請求項10】
前記上りリンクの参照信号はサウンディング参照信号(SRS)である、ことを特徴とする請求項6に記載の基地局装置。
【請求項11】
端末装置によって実行される制御方法であって、
接続中の基地局装置から、ハンドオーバ先の候補のセルを提供する他の基地局装置における測定のための上りリンクの参照信号の設定情報を受信することと、
前記設定情報を受信した後に、前記基地局装置から、前記他の基地局装置によって提供されるセルへのハンドオーバを指示するコマンドであって、前記上りリンクの参照信号の送信指示と当該上りリンクの参照信号の送信に使用されるべきビームを指定する情報を含んだ前記コマンドを受信することと、
前記コマンドに基づいて、前記他の基地局装置によって提供されるセルへのハンドオーバを実行することと、
前記基地局装置から前記コマンドを受信したことに応じて、かつ、前記他の基地局装置から前記上りリンクの参照信号の送信の指示を受信することなく、前記設定情報と前記ビームを指定する情報とを用いて、前記上りリンクの参照信号を前記他の基地局装置へ送信することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項12】
基地局装置によって実行される制御方法であって、
接続中の端末装置のハンドオーバ先の候補のセルを提供する他の基地局装置から、当該他の基地局装置における測定のための上りリンクの参照信号の設定情報を受信することと、
前記端末装置へ、前記設定情報を送信することと、
前記設定情報を用いて前記端末装置に上りリンクの参照信号を送信させる際に当該端末装置に使用させるビームを指定する情報を受信することと、
前記端末装置を前記他の基地局装置によって提供されるセルにハンドオーバさせる際に、当該他の基地局装置によって提供されるセルへのハンドオーバを指示するコマンドであって、前記上りリンクの参照信号の送信指示と当該上りリンクの参照信号の送信に使用されるべきビームを指定する情報を含んだ前記コマンドを送信することと、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項13】
端末装置に備えられたコンピュータに、
接続中の基地局装置から、ハンドオーバ先の候補のセルを提供する他の基地局装置における測定のための上りリンクの参照信号の設定情報を受信させ、
前記設定情報を受信した後に、前記基地局装置から、前記他の基地局装置によって提供されるセルへのハンドオーバを指示するコマンドであって、前記上りリンクの参照信号の送信指示と当該上りリンクの参照信号の送信に使用されるべきビームを指定する情報を含んだ前記コマンドを受信させ、
前記コマンドに基づいて、前記他の基地局装置によって提供されるセルへのハンドオーバを実行させ、
前記基地局装置から前記コマンドを受信したことに応じて、かつ、前記他の基地局装置から前記上りリンクの参照信号の送信の指示を受信することなく、前記設定情報と前記ビームを指定する情報とを用いて、前記上りリンクの参照信号を前記他の基地局装置へ送信させる、
ためのプログラム。
【請求項14】
基地局装置に備えられたコンピュータに、
接続中の端末装置のハンドオーバ先の候補のセルを提供する他の基地局装置から、当該他の基地局装置における測定のための上りリンクの参照信号の設定情報を受信させ、
前記端末装置へ、前記設定情報を送信させ、
前記設定情報を用いて前記端末装置に上りリンクの参照信号を送信させる際に当該端末装置に使用させるビームを指定する情報を受信させ、
前記端末装置を前記他の基地局装置によって提供されるセルにハンドオーバさせる際に、当該他の基地局装置によって提供されるセルへのハンドオーバを指示するコマンドであって、前記上りリンクの参照信号の送信指示と当該上りリンクの参照信号の送信に使用されるべきビームを指定する情報を含んだ前記コマンドを送信させる、
ためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルラ通信システムにおけるハンドオーバ技術に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体通信システムでは、端末装置の移動に伴い、その端末装置の接続先のセル(基地局装置)を切り替えるハンドオーバが行われる。従来、端末装置は、基地局装置からのハンドオーバの指示を受信した後に、接続の切り替え先のセルにおける同期確立や設定処理を実行して接続を確立する処理が行われる。この接続先の切り替えのための処理には一定の時間がかかり、この処理が行われている期間には端末装置がユーザデータの通信を行うことができない。これに対して、非特許文献1に記載の手法では、ハンドオーバ元の基地局装置が、端末装置に対して、ハンドオーバが実際に行われる前に、ハンドオーバ先の他の基地局装置との接続のための無線リソース制御(RRC)レイヤにおいて通信パラメータを提供しておく。そして、ハンドオーバ元の基地局装置は、ハンドオーバが行われるべきタイミングにおいて、そのセルの切り替えを指示するレイヤ1又はレイヤ2のコマンドを端末装置に送信する。端末装置は、そのコマンドを受信したことに応じて、ハンドオーバ先の基地局装置との間でランダムアクセス手順を実行することにより、その後のRRCレイヤでのせて地処理を行うことなく、ハンドオーバを完了することができる。このような技術により、ハンドオーバに関する通信効率の劣化を抑制することができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】3GPP(登録商標)寄書、R2-2209255
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ハンドオーバが行われる際の通信効率をさらに改善する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様による端末装置は、接続中の基地局装置から、ハンドオーバ先の候補のセルを提供する他の基地局装置における測定のための上りリンクの参照信号の設定情報を受信し、その後に、前記基地局装置から、前記他の基地局装置によって提供されるセルへのハンドオーバを指示するコマンドであって、前記上りリンクの参照信号の送信指示と当該上りリンクの参照信号の送信に使用されるべきビームを指定する情報を含んだ前記コマンドを受信する受信手段と、前記コマンドに基づいて、前記他の基地局装置によって提供されるセルへのハンドオーバを実行する実行手段と、前記基地局装置から前記コマンドを受信したことに応じて、かつ、前記他の基地局装置から前記上りリンクの参照信号の送信の指示を受信することなく、前記設定情報と前記ビームを指定する情報とを用いて、前記上りリンクの参照信号を前記他の基地局装置へ送信する送信手段と、を有する。
【0006】
本発明の一態様による基地局装置は、接続中の端末装置のハンドオーバ先の候補のセルを提供する他の基地局装置から、当該他の基地局装置における測定のための上りリンクの参照信号の設定情報を受信し、その後に、当該設定情報を用いて前記端末装置に上りリンクの参照信号を送信させる際に当該端末装置に使用させるビームを指定する情報を受信する受信手段と、前記端末装置へ、前記設定情報を送信し、その後に、当該端末装置を前記他の基地局装置によって提供されるセルにハンドオーバさせる際に、当該他の基地局装置によって提供されるセルへのハンドオーバを指示するコマンドであって、前記上りリンクの参照信号の送信指示と当該上りリンクの参照信号の送信に使用されるべきビームを指定する情報を含んだ前記コマンドを送信する送信手段と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ハンドオーバが行われる際の通信効率を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図5】無線通信システムで実行される処理の流れの例を示す図である。
【
図6】無線通信システムで実行される処理の流れの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴は任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
(システム構成)
図1に、本実施形態に係る無線通信システムの構成例を示す。この無線通信システムは、第3世代パートナーシッププロジェクト(3GPP(登録商標))の第5世代(5G)やその後継規格などの、セルラ通信規格に従って構成されたセルラ通信システムである。無線通信システムは、基地局装置101及び基地局装置102と、端末装置111とを含んで構成される。なお、
図1は、説明を簡単にするために2つの基地局装置と1つの端末装置のみを示しているが、多数の基地局装置及び端末装置が当然に存在しうる。
【0011】
図1において、端末装置111は、基地局装置101が形成しているセルの範囲内から、基地局装置102が形成しているセルの範囲内へと移動しようとしている。このとき、端末装置111は、接続先の基地局装置を、基地局装置101から基地局装置102へと切り替えるためのハンドオーバを行うこととなる。
【0012】
本実施形態では、端末装置111がハンドオーバによってユーザデータの通信を行うことができなくなる期間を短縮するためのハンドオーバ手順が実行されるものとする。すなわち、ハンドオーバ元の基地局装置101は、端末装置111を実際にハンドオーバさせる前に、無線リソース制御(RRC)レイヤにおける設定(RRCメッセージを用いた設定)を実行する。すなわち、従来のハンドオーバにおいて、端末装置111がハンドオーバ元の基地局装置101からハンドオーバの指示を受信し、ハンドオーバ処理の際に行われる、ハンドオーバ先の基地局装置102についてのRRCレイヤにおける設定が、実際にハンドオーバ処理が行われるべきタイミングに先立って端末装置111へ通知される。ここでの設定では、ハンドオーバ先の候補の基地局装置102との接続及び通信において使用される通信パラメータが端末装置111へ通知される。通信パラメータは、例えば、ハンドオーバ先の候補の基地局装置102における、ビームの設定や、ランダムアクセス手順を実行する際のパラメータや使用すべき無線リソース(周波数および時間リソース)を含む。また、基地局装置102との通信に使用される通信パラメータが複数通知される場合には、通信パラメータにそれぞれ一意に関連付けられた識別子(たとえば、RRC-TransactionIdentifierやCondReconfigId)が、端末装置111へ通知されるRRCメッセージやRRCレイヤにおける設定パラメータに含まれうる。この場合、ハンドオーバ先の候補の基地局装置又はその基地局装置の組み合わせごとに、CondReconfigIdが設定される。さらに、基地局装置又は基地局装置の組み合わせごとに、それぞれ複数の通信パラメータが通知される場合に、RRC-TransactionIdentifierが設定されうる。一例として、ハンドオーバ先の候補基地局である基地局装置102にCondReconfigId=0が関連付けられ、さらに、基地局装置102のパラメータが複数通知される場合に、そのパラメータごとにRRC-TransactionIdentifier(例えば0及び1)が設定されうる。また、ハンドオーバ元の基地局装置101は、端末装置111に対して、ハンドオーバ先の候補の基地局装置102から送信される同期信号(SS)/物理ブロードキャストチャネル(PBCH)ブロック(SSB)の測定指示を送信しうる。なお、SSBは、それぞれ異なる方向に向けられたビームを用いて送信されうる。この場合、端末装置111が、そのSSBのそれぞれを測定するように測定指示が送信されうる。
【0013】
端末装置111は、接続中の基地局装置101からの測定指示に従って、ハンドオーバ先の候補の基地局装置102から送出されたSSBの測定を行う。そして、端末装置111は、その測定結果を、接続中の基地局装置101へ通知する。基地局装置101は、端末装置111から受信した測定結果を、測定対象であったハンドオーバ先の候補の基地局装置102へ通知してもよい。これにより、基地局装置102は、端末装置111が実際にハンドオーバしてきた場合に、端末装置111との間の下りリンクの通信(信号の送信)に使用すべき送信ビームの大まかな方向を特定することができる。なお、端末装置111は、下りリンクの通信において使用可能な複数のビームを設定することが可能でありうる。この場合、端末装置111は、それらの複数のビームのそれぞれを用いて、SSBの測定を行いうる。この場合、端末装置111は、これらの複数のビームのうちのいずれを用いた場合にSSBの無線品質が良好であったかを特定し、例えば最良な測定結果を基地局装置101へ通知しうる。なお、端末装置111は、複数のSSBについて、それぞれ良好な無線品質を得ることができたビームの設定を、そのSSBの識別情報と関連付けて記憶することができる。一例において、端末装置111が基地局装置102にハンドオーバした後などに、基地局装置102が、所定のSSBに対応するビームで信号を送信する際に、その所定のSSBを特定する識別情報を端末装置111に通知し、端末装置111に、その所定のSSBに対応するビームを用いて通信を行うように指定することができる。
【0014】
基地局装置102は、さらに下りリンクにおいて使用すべき精細なビームを特定するために、チャネル状態情報(CSI)-参照信号(RS)の送信設定を端末装置111へ通知してもよい。なお、この通知は、基地局装置102から基地局装置101へCSI-RSの送信設定が通知され、基地局装置101がその送信設定を接続中の端末装置111へ転送することによって行われる。端末装置111は、その送信設定を受信すると、基地局装置102から送信されるCSI-RSの測定(例えば参照信号受信電力(CSI-RSRP)、参照信号受信品質(CSI-RSRQ)、受信信号強度インジケータ(CSI-RSSI)の測定)を、その情報に従って実行し、その測定結果を、接続中の基地局装置101へ通知する。そして、基地局装置101は、その測定結果を基地局装置102へ転送する。このようにして、基地局装置102は、端末装置111におけるCSI-RSの測定結果を取得することができる。この結果、基地局装置102は、端末装置111がハンドオーバしてきた後に下りリンクの通信において使用すべき精細なビームを、実際にそのハンドオーバが行われる前に決定することができる。これによれば、ハンドオーバが行われた後にビームの方向を詳細に決定する処理を省略することが可能となり、端末装置111のユーザデータの通信の効率が低下する期間を短縮することができる。
【0015】
なお、端末装置111は、上述のように、下りリンクの通信において使用可能な複数のビームを設定することが可能でありうる。この場合、端末装置111は、それらの複数のビームのそれぞれを用いて、CSI-RSの測定を行いうる。この場合、端末装置111は、これらの複数のビームのうちのいずれを用いた場合にCSI-RSの無線品質が良好であったかを特定し、例えば最良な測定結果を基地局装置101へ通知しうる。なお、基地局装置102は、複数の設定可能なビームのそれぞれについてのCSI-RSの設定を端末装置111へ通知し、端末装置111において、そのそれぞれのビームについての測定が行われるようにしうる。端末装置111は、基地局装置102における複数のビームにそれぞれ対応するCSI-RSについて、それぞれ良好な無線品質を得ることができたビームの設定を、そのCSI-RSの識別情報と関連付けて記憶することができる。一例において、端末装置111が基地局装置102にハンドオーバした後などに、基地局装置102が、所定のCSI-RSに対応するビームで信号を送信する際に、その所定のCSI-RSを特定する識別情報を端末装置111に通知し、端末装置111に、その所定のCSI-RSに対応するビームを用いて通信を行うように指定することができる。
【0016】
一例として、上述のCSI-RSの送信設定は、端末装置111に通信パラメータとしてハンドオーバ前に事前設定される基地局装置102に関するCSI-RSの無線リソース設定(CSI-RS-Resource)および報告設定(csi-ReportConfig)から構成されるCSI-RS測定設定を用いて、端末装置111へ指示されうる。CSI-RS-ResourceにはCSI-RSが送信される無線リソースブロックの時間位置、周波数位置が含まれる。例えば、特定のCSI-RSの無線リソースを測定することを、媒体アクセス制御・制御エレメント(MAC CE)や下りリンク制御情報(DCI)において、CSI-RS-Resource idを用いてCSI-RS-Resourceを特定することによって、端末装置111に指示しうる。また、csi-ReportConfigにおいて、非周期的(aperiodic)又は周期的(periodic)なCSI reportの報告タイミングが設定される。例えば、CSI-RSの測定結果を特定のタイミングで報告することを、MAC CEやDCIにおいて、csi-ReportConfig idを用いてcsi-ReportConfigを特定することによって、端末装置111に指示しうる。また、基地局装置101は、端末装置111へ上述の測定設定を行う際に、どの基地局装置のCSI-RSの送信設定であるのかを端末装置111が特定するための情報として、例えば、セル識別子などを、MAC CEやDCIに含めて端末装置111へ送信しうる。
【0017】
また、端末装置111は、基地局装置102へのハンドオーバを実行することが決定される前に、ランダムアクセス(RA)手順を実行するようにする。すなわち、端末装置111が、実際にハンドオーバが行われる前に、上りリンクの同期確立のための処理を行うようにしうる。例えば、端末装置111が接続中の基地局装置101が、端末装置111に対して、ランダムアクセスプリアンブル(RAプリアンブル)を基地局装置102へ送信させるための指示を送信する。そして、端末装置111は、この指示に従って、基地局装置102におけるRA手順のために用意された無線リソースにおいてRAプリアンブルを送信する。なお、この無線リソースや、RAプリアンブルの生成に使用される系列の情報は、例えば、上述のRRCレイヤの設定処理の際に基地局装置101から端末装置111に通知されうる。また、基地局装置101からのRAプリアンブルの送信指示の際に端末装置111に、これらの情報が通知されてもよい。この手順により、端末装置111から送信されたRAプリアンブルが基地局装置102において受信される。そして、基地局装置102は、端末装置111が基地局装置102へ上りリンクの信号を送信する際に使用すべきタイミングアドバンスの値(TA値)を決定することができる。そして、基地局装置102は、例えば、端末装置111が接続中の基地局装置101へTA値を通知して、基地局装置101がそのTA値を端末装置111へ転送することにより、TA値を端末装置111へ通知する。これにより、端末装置111は、基地局装置102へのハンドオーバが基地局装置101から指示された時点において基地局装置102との上りリンクの同期を確立することができているため、RA手順を改めて実行することなく、基地局装置102へ上りリンクのユーザデータを送信することが可能となる。
【0018】
その後、基地局装置101は、例えば、端末装置111における基地局装置101からの無線信号の受信品質が、基地局装置102からの無線信号の受信品質より所定レベルだけ劣化した場合などの所定の契機において、ハンドオーバを実行するように端末装置111へ通知しうる。この通知は、Cell switch commandと呼ばれうるコマンドを用いて行われうる。このコマンドは、媒体アクセス制御・制御エレメント(MAC CE)や下りリンク制御情報(DCI)を用いて送信されうる。なお、このコマンドは、ハンドオーバ先の基地局装置102が形成するセルの識別情報を含む。また、基地局装置102との通信に使用されるRRCレイヤにおける設定が複数設定される場合には、RRCレイヤにおける設定にそれぞれ一意に関連付けられた識別子(たとえば、RRC-TransactionIdentifierやCondReconfigId)がこのコマンドに含められてもよい。また、上述のようにして事前にSSBやCSI-RSの測定が行われたことによって基地局装置102において決定されて基地局装置101へ通知されたビームに関する情報が、基地局装置101から端末装置111へ通知されてもよい。端末装置111は、ハンドオーバ先の基地局装置102を指定したコマンドを基地局装置101から受信したことに応じて、接続先を基地局装置101から基地局装置102へと変更する。この場合、上述のように既にRA手順が実行されているため、新たにRA手順を実行する必要がない。また、上述のように、ハンドオーバ前にCSI-RSの測定が行われているため、ハンドオーバ後に下りリンクの通信において使用されるべき精細なビームの決定を改めて行う必要がない。このため、端末装置111は、ハンドオーバ直後から、基地局装置102との間でユーザデータの通信を行うことができる。また、端末装置111は、コマンド受信後ハンドオーバに成功した場合に、基地局装置102に対して、例えば、RRC Reconfiguration CompleteのRRCメッセージやMAC CEなどの上り制御メッセージにおいて、その成功を通知しうる。この場合、端末装置111は、基地局装置102との通信に使用される通信パラメータに関連付けられた識別子(たとえば、RRC-TransactionIdentifierやCondReconfigId)を、RRCメッセージに含めてもよい。
【0019】
一方で、この時点では、上りリンクの通信において使用されるべき精細なビームが決定されておらず、そのような詳細なビームを使用するには、続けて設定処理が行われる必要がある。上りリンクの通信において使用されるべき精細なビームを設定する際には、端末装置111がサウンディング参照信号(SRS)を送信し、ハンドオーバ先の候補である基地局装置102がそのSRSを測定する。そして、基地局装置102は、その測定結果に基づいて、端末装置111のハンドオーバ後の通信において、端末装置111から送信される上りリンクの信号を受信する際のビームを決定することができる。従来、このようなSRSの送信および上りリンクでのビームの決定は、ハンドオーバが完了した後に、ハンドオーバ先の基地局装置102から端末装置111へのSRSの送信指示が送信されることにより行われる。このため、ハンドオーバが完了してから、上りリンクの通信のための精細なビームの決定が行われるまでの間が長く、その間の通信効率が十分でなくなることが想定される。本実施形態では、このような事情に鑑み、SRSの送信指示が、端末装置111がハンドオーバ前の基地局装置101と接続している間に、基地局装置101から端末装置111へ送信されるようにする。これにより、ハンドオーバの完了後、精細なビームを用いた上りリンクの通信が可能となるまでの時間を短縮することが可能となる。
【0020】
例えば、基地局装置101は、上述のコマンド(Cell switch command)において、SRSの送信を指示する信号を端末装置111に送信しうる。また、基地局装置101は、上述のコマンドが発行される前に、SRSの送信を指示する信号を端末装置111へ送信してもよい。端末装置111は、この指示信号を受信したことに応じて、事前に通知された基地局装置102のためのSRSの設定に基づいてSRSを送信する。これによれば、ハンドオーバの完了後にハンドオーバ先の基地局装置102からの指示によってSRSを送信する場合と比較して、早期に上りリンクの通信で使用するビームを決定することができる。
【0021】
SRSの設定は、例えば、上述のようなハンドオーバ先の基地局装置102についてのRRCレイヤの設定の際に、基地局装置101から端末装置111へ通知される。なお、これは一例であり、RRCレイヤの設定とは別に、SRSの設定が行われてもよい。このSRSの設定の情報は、基地局装置102から基地局装置101へ通知され、基地局装置101は、その通知された設定の情報を端末装置111へ通知しうる。SRSの設定は、SRSが送信されるポート数、SRSの送信周期、OFDMシンボル数、SRSの帯域幅に関するパラメータ、SRSのホッピングに関するパラメータ、周波数領域におけるSRSの位置、サイクリックシフト、SRSが送信されるサブキャリア間隔、SRSの生成に使用されるシーケンスの識別子を含む。SRSのポート数は、並行して送信されるSRSの数を示しており、例えば、1、2、4のいずれかから選択される。SRSの送信周期は、例えば、periodic、aperiodic、semi-persistentのいずれかを指定する情報を含む。なお、SRSの送信周期は、periodic又はsemi-persistentが指定される場合、その時間周期及び所定タイミングからの時間オフセットが、例えばスロット単位で指定される情報をさらに含む。以下では、semi-persistentが指定され、一定期間にわたって周期的にSRSが端末装置111から送信されるものとする。ただし、これは一例に過ぎず、periodicやaperiodicが指定される場合にも、以下の議論を適用することができる。OFDMシンボル数は、SRSが連続して送信されるOFDMシンボル数を示しており、例えば、1シンボル、2シンボル、4シンボルのいずれかから選択されうる。SRSの帯域幅に関するパラメータ、SRSのホッピングに関するパラメータ、周波数領域におけるSRSの位置は、例えば、規格で指定されたテーブルや計算式を用いてSRSが送信される周波数時間リソースを特定することを可能とするパラメータである。サイクリックシフト及びSRSの生成に使用されるシーケンスの識別子は、SRSの生成に使用される既知の系列をサイクリックシフトで示される時間分だけシフトさせて、SRSの信号系列を生成する際に使用される。SRSが送信されるサブキャリア間隔は、2や4などに設定され、2サブキャリア又は4サブキャリアごとの周波数間隔でSRSが送信されることを示す。
【0022】
なお、SRSの設定は、複数存在してもよく、その複数の設定のうちのいずれか1つを指定する際には、SRS Resource Setidやsrs-Resourceidのような識別情報が使用される。すなわち、基地局装置と端末装置との間で、1つ以上のsrs-Resourceidが関連付けられたSRS Resource Setが定義され、そのSRS Resource Setも1つ以上用意され、それらのうちの1つの指定がSRS Resource Setidやsrs-Resourceidを用いて行われうる。一例において、2つのSRS Resource Setが用意され、それぞれのSRS Resource Setに4つの設定情報が用意される際に、それぞれSRS Resource Set=0にsrs-Resourceid=1~4が、SRS Resource Set=1にsrs-Resourceid=1~4が割り当てられうる。そして、例えば、基地局装置101が、いずれかかの設定を指定してSRSを送信するように指示する際に、そのSRS Resource Set及びsrs-Resourceidを指定することにより、端末装置111は、その指定された識別情報に対応する設定情報を用いてSRSを送信することができる。また、Cell switch commandにおいてSRSの送信が指示される場合、ハンドオーバ先の候補の基地局装置102との接続及び通信において使用される通信パラメータの一部として、SRSの設定が事前に設定されうる。また、Cell switch commandが送受信される前にSRSの送信が指示される場合、ハンドオーバ元の基地局装置101との接続及び通信において使用される通信パラメータの一部として、SRSの設定が事前に設定されうる。
【0023】
上述のSRSの設定には、さらに、端末装置111が使用すべきビームの設定情報を含みうる。例えば、端末装置111において使用すべきビームをTCI(Transmission Configuration Indicator)によって指定することができる。例えば、端末装置111が使用可能な複数のビームのそれぞれについて、SRSの送信に使用するか否か(又は、その複数のビームのそれぞれを形成するための設定情報を有効とするか無効とするか)を示す情報が、SRSの設定として端末装置111に通知されうる。このとき、一態様として、複数のビームのそれぞれに対応するTCIを用いて、TCI stateの有効又は無効が指定されることにより、SRSの送信に各TCIに対応するビームを使用するか否かが示されうる。
【0024】
また、TCIを用いる代わりに、SRSの送信ビームを決定するためのspatial relationshipを特定するための情報が用いられてもよい。その場合、設定情報を示すパラメータとして、例えば、SP SRS Resource Set IDやResource IDが使用されうる。Resource IDには、それぞれのSRSの送信ビームを決定するためのspatial relationshipを特定するための情報が含まれうる。spatial relationshipを特定するための情報は、例えば、NZP CSI-RS resource index、SSB index、SRS resource indexのいずれかである。このspatial relationshipについて、以下、説明する。例えば、上述のように、端末装置111は、基地局装置102が形成する複数のビームのそれぞれにおいて送信されたSSBやCSI-RSを受信した際に、良好な無線品質を得ることができた自装置のビームを、そのSSBやCSI-RSの識別情報と関連付けて記憶しうる。この場合に、基地局装置102は、そのSSBやCSI-RSの識別情報を指定することにより、端末装置111において使用すべきビームを間接的に指定することができる。例えば、基地局装置102は、報告されたSSBやCSI-RSの端末装置111における受信無線品質に基づいて、自装置において形成可能な複数のビームのいずれを用いることにより、良好な品質で(下りリンクの)通信を行うことができるかを特定する。そして、基地局装置102は、良好な無線品質の測定結果が得られたビームで送信したSSB又はCSI-RSの識別情報(NZP CSI-RS resource index、SSB index)を端末装置111へ通知し、その識別情報と関連付けて記憶されている端末装置111のビームを使用してSRSを送信するように、端末装置111へ指示を送信する。例えば、上りリンクと下りリンクとのチャネル特性が同一(対称的)である場合(例えば時分割複信(TDD)を用いる場合)に、SSBやCSI-RSの識別情報により、端末装置111のビームを指定する手法が有効である。また、基地局装置102は、SRS resource indexを指定することにより、SRS resource indexで指定された別のSRSと同一のビームの使用を指示することができる。換言すれば、端末装置は、Resource IDのspatial relationshipにSSB又はCSI-RSが設定される場合に、そのSSB又はCSI-RSの受信のための空間ドメインフィルタと同じ空間ドメインフィルタを用いてSRSを送信することとなり、また、Resource IDのspatial relationshipに別のSRSが設定される場合には、その別のSRSを送信する場合と同一の空間ドメインフィルタを用いてSRSを送信することとなる。
【0025】
例えば、第1のCSI-RSが送信された際に、端末装置111の複数のビームのうち、TCI=nのビームにおいて、その第1のCSI-RSの無線品質が十分に高い値となり、その無線品質の値が基地局装置101を介して基地局装置102へ通知されたものとする。また、例えば、第2のCSI-RSが送信された際に、端末装置111の複数のビームのうち、TCI=mのビームにおいて、その第2のCSI-RSの無線品質が十分に高い値となり、その無線品質の値が基地局装置101を介して基地局装置102へ通知されたものとする。ここで、端末装置111は、第1のCSI-RSの識別情報とTCI=nとを関連付けて記憶し、さらに、第2のCSI-RSの識別情報とTCI=mとを関連付けて記憶したものとする。この場合、第1のCSI-RSに対応するビームを用いてSRSの送信すべきことを示すSRSの設定が端末装置111に通知されることにより、端末装置111は、その設定が用いられる場合に、TCI=nのビームを使用してSRSを送信するようになる。また、第2のCSI-RSに対応するビームを用いてSRSの送信すべきことを示すSRSの設定が端末装置111に通知されることにより、端末装置111は、その設定が用いられる場合に、TCI=mのビームを使用してSRSを送信するようになる。
【0026】
Cell switch commandを用いて端末装置111へSRSの送信指示が通知される場合、従来のSP SRS Activation/Deactivation MAC CEにおいて端末装置111へ通知されるべき情報が、そのコマンド内で通知されうる。なお、MAC CEは、媒体アクセス制御-制御エレメントのことを指す。この情報により、例えば事前にSRSの設定情報としてビームの設定が行われている場合に、そのビームの設定を置き換えることができる。例えば、上述のようなRRCレイヤの設定の際に通知されたSRSの設定情報において、所定のSSBに対応するビームでSRSを送信するように設定されていた場合、この情報において、他のSSBやCSI-RSに対応するビームや別のSRSに用いられるビームで、SRSを送信するように設定を変更させることができる。なお、この場合、端末装置111は、送信ビームのみをその情報によって変更して、他の設定(周波数位置や系列など)は変更前の値を使用して、SRSを送信することができる。この場合、Cell switch commandには、SRS送信に用いるSRSリソースを指定するための情報として、SRSリソースが含まれるセルのセル識別子(SRS Resource Set’s Cell ID)、帯域幅部分識別子(SRS Resource Set’s BWP ID)、SRS Resource Set ID、Resource ID、及び、SRSのビームを指定するための情報として、NZP CSI-RS resource index、SSB index、SRS resource indexが含まれうる。また、このときに、他のセルの参照信号を用いてSRSのビームを指定する必要がある場合(spatial relationship derivationに他のセルの参照信号を用いる場合)、送信ビームの特定のために参照すべき信号が含まれるセルのセル識別子(Resource Serving Cell ID)、帯域幅部分識別子(Resource BWP ID)も、コマンドに含まれうる。なお、このMAC CEは、DL/UL separate TCIが用いられる場合に使用されうる。一方で、Unified TCIが使用される場合、SP/AP SRS TCI State Indication MAC CEやServing Cell Set based SRS TCI State Indication MAC CEが使用されうる。したがって、Unified TCIが使用される環境においては、SP/AP SRS TCI State Indication MAC CEやServing Cell Set based SRS TCI State Indication MAC CEにおいて端末装置111へ通知されるべき情報が、Cell switch commandにおいて通知されうる。この場合、Cell switch commandには、SRS送信に用いるSRSリソースを指定するための情報として、SRSリソースが含まれるセルのセル識別子(SRS Resource Set’s Cell ID)、帯域幅部分識別子(SRS Resource Set’s BWP ID)、SRS Resource Set ID、Resource ID、及び、SRSのビームを指定するための情報として、TCI state IDが含まれうる。また、このときに、他のセルのTCI stateを用いてSRSのビームを指定する必要がある場合(spatial relationship derivationに他のセルの参照信号を用いる場合)、送信ビームの特定のために参照すべき信号が含まれるセルのセル識別子(TCI State Serving Cell ID)、帯域幅部分識別子(TCI State BWP ID)もコマンドに含まれうる。
【0027】
なお、例えばCell switch commandが送受信される前にSRSの送信が指示される場合にも、同様のMAC CEが端末装置111へ送信されてもよい。なお、SP SRS Activation/Deactivation MAC CEやSP/AP SRS TCI State Indication MAC CEが、ハンドオーバの前に基地局装置102から基地局装置101を介して端末装置111へ送信されてもよいし、他のMAC CEが新たに定義されてもよい。ただし、この場合、Cell switch commandが送受信される前であるため、SRSの送信先がいずれの基地局装置であるかを示す情報が、例えばそのMAC CEによって通知される。端末装置111は、そのMAC CEを受信したことに応じて、そのMAC CEによって指定されたビームを用いて、その他の設定については事前に通知されたSRSの送信設定に基づいて、指定されたハンドオーバ先の候補の基地局装置(例えば基地局装置102)のためのSRSの送信を開始しうる。
【0028】
また、MAC CEではなく、例えば物理下りリンク制御チャネル(PDCCH)/下りリンク制御情報(DCI)を用いて、使用するビームを指定してSRSを送信することが、端末装置111に指示されてもよい。例えば、PDCCH orderによるSRSの送信指示が新たに定義されることにより、ハンドオーバ先の候補の基地局装置102のためのSRSを送信するような指示が端末装置111に通知されうる。このPDCCH/DCIによる通知においても、使用されるビームの指定がされることにより、事前にRRCレイヤの設定時に指定されたビームが使用されず、新たにPDCCH/DCIによって通知されたビームが使用されてSRSが送信されるようになる。なお、PDCCH/DCIを用いる場合も、Cell switch commandが送受信される前にSRSの送信が指示される際には、そのSRSの送信先のハンドオーバ先の候補の基地局装置を示す識別情報が端末装置111に通知される。すなわち、Cell switch commandが送受信される際にSRSの送信が指示される場合には、そのコマンドによってハンドオーバ先の基地局装置が指定される一方で、そのコマンドの送受信前にはハンドオーバ先が確定していないため、SRSの送信先が指定されることとなる。なお、Cell switch commandにおいても、SRSの送信先を指定する情報が端末装置111に通知されてもよい。なお、この場合、SRSの送信先はハンドオーバ先の基地局装置となるが、例えば、そのハンドオーバ後にハンドオーバ先の候補となる他の基地局装置について、RRCレイヤの設定が完了している場合には、その他の基地局装置を指定する情報が含められてもよい。この場合、端末装置111は、ハンドオーバの直後から、さらなるハンドオーバ先の候補の基地局装置に対するSRSの送信を実行することができる。
【0029】
上述のようにして、基地局装置102は、上述のようにして端末装置111のハンドオーバ直後又はハンドオーバ前に基地局装置101から端末装置111へSRSの送信指示が発行されたことに応じて、端末装置111から送信されたSRSの測定を行う。これにより、基地局装置102は、端末装置111がハンドオーバによって基地局装置102へ接続した後の上りリンクの通信において、端末装置111がどのビームを使用すべきかを決定することができる。なお、基地局装置102は、複数の設定のそれぞれに基づくSRSをそれぞれ測定し、例えば、所定の基準を満たす通信品質を得ることができたSRSの設定を特定する。そして、基地局装置102は、例えば、上りリンクのユーザデータの送信の際に、どのビームを使用すべきかを、SRSの送信設定の識別情報(例えばSRS Resource Setidとsrs-Resourceid)を用いて指定しうる。また、基地局装置102は、SRSが送信されたリソースを特定可能なインジケータ(インデクス)を指定してもよい。この場合、端末装置111は、指定された識別情報やインジケータなどに基づいて、SRSの送信の際に使用された1つの設定を特定する。そして、端末装置111は、その1つの設定に含まれる情報によって指定されるビームを用いて、ユーザデータを含んだ物理上りリンク共有チャネル(PUSCH)を送信する。なお、基地局装置102は、TCIによって、又は、SSBやCSI-RSの識別情報によって、ビームを指定してもよい。端末装置111は、TCIが指定された場合には、そのTCIに対応するビームを用いてユーザデータを送信する。また、端末装置111は、SSBやCSI-RSの識別情報を受信した場合は、その識別情報と関連付けて記憶したビームを用いてユーザデータを送信する。また、TCIやSSB、CSI-RSの識別情報によって一意に求められる送信ビームを特定するためのパラメータ、例えば、SRS resource indicator、Precoding information and number of layers(TPMI)を用いて、端末装置に対して、PUSCH送信に用いるビームが指定されてもよい。なお、ビームの指定は、例えば、DCIによって端末装置111に通知される。このDCIは、例えば、フォーマット0_1のDCIでありうる。
【0030】
なお、上述の実施形態では、MAC CEやDCIによってSRSの送信指示が送受信される例について説明した。同様に、MAC CEやDCIによって、SRSの送信停止指示が送受信されうる。なお、SRSの送信時に使用されるビームの切り替えなども同様にMAC CEやDCIによって指示されてもよい。
【0031】
以上のようにして、本実施形態では、端末装置111が、ハンドオーバ(セルスイッチ)を実行した後の上りリンクの通信において、迅速に精細なビームを使用することを可能とすることができる。これにより、通信の効率を向上させることができるようになる。
【0032】
また、上述の実施形態では、Cell switch commandにSRSのビーム制御に関する情報を含める例について説明したが、PUCCHのビーム制御に関する情報がそのコマンドに含められてもよい。この場合、従来のPUCCH spatial relation Activation/Deactivation MAC CEにおいて端末装置111へ通知されるべき情報が、Cell switch commandにおいて通知されうる。例えば、Cell switch commandを用いて、PUCCHが含まれるセルのセル識別子(Serving Cell ID)、帯域幅部分識別子(BWP ID)、PUCCH Resource ID、及び、PUCCHのビームに関する情報、PUCCH-SpatialRelationInfoIdごとに設定されるPUCCH Spatial Relation Infoそれぞれのアクティブ/非アクティブ情報が含まれる。端末装置111には、Cell switch command受信前に、あらかじめ、PUCCH-SpatialRelationInfoIdごとに1つまたは複数のPUCCH Spatial Relation Infoが設定され、PUCCH Spatial Relation Infoには、PUCCH送信時のビームを決定するための参照信号の情報、例えば、NZP CSI-RS resource index、SSB index、SRS resource indexのいずれかが設定される。これにより、端末装置111は、Cell switch commandに含まれるアクティブ/非アクティブ情報を用いて、PUCCHの送信に用いるべきビームを特定することができる。
【0033】
また、上述の実施形態では、Cell switch commandにおいて上りビーム制御に関する情報を含める例について説明したが、下りビーム制御に関する情報がそのコマンドに含められてもよい。Cell switch commandに、下りチャネル、PDSCH、PDCCHのビーム制御に関する情報を含める場合、従来のTCI States Activation/Deactivation for UE-specific PDSCH MAC CE、Enhanced TCI States Activation/Deactivation for UE-specific PDSCH MAC CE、TCI State Indication for UE-specific PDCCH MAC CEにおいて端末装置111へ通知されるべき情報が、そのコマンドにおいて通知されうる。例えば、Cell switch commandを用いて、指定されたセル識別子(Serving Cell ID)、帯域幅部分識別子(BWP ID)を用いたPDCCH又はPDSCHの通信に使用されるTCI stateの有効/無効の設定がなされうる。
【0034】
(装置構成)
続いて、装置構成について説明する。
図2は、本実施形態の基地局装置および端末装置のハードウェア構成例を示している。基地局装置および端末装置は、一例において、プロセッサ201、ROM202、RAM203、記憶装置204、及び通信回路205を含んで構成される。プロセッサ201は、汎用のCPU(中央演算装置)や、ASIC(特定用途向け集積回路)等の、1つ以上の処理回路を含んで構成されるコンピュータであり、ROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、装置の全体の処理や、上述の各処理を実行する。ROM202は、基地局装置および端末装置が実行する処理に関するプログラムや各種パラメータ等の情報を記憶する読み出し専用メモリである。RAM203は、プロセッサ201がプログラムを実行する際のワークスペースとして機能し、また、一時的な情報を記憶するランダムアクセスメモリである。記憶装置204は、例えば着脱可能な外部記憶装置等によって構成される。通信回路205は、例えば、5Gやその後継規格の無線通信用の回路によって構成される。なお、
図2では、1つの通信回路205が図示されているが、基地局装置および端末装置は、複数の通信回路を有しうる。例えば、基地局装置および端末装置は、5G用、およびその後継規格用のそれぞれのための無線通信回路と、それらの回路に共通のアンテナを有しうる。なお、基地局装置および端末装置は、各規格に適したアンテナを別個に有してもよい。また、基地局装置は、さらに、他の基地局装置やコアネットワークのノードと通信する際に使用される有線通信回路を有しうる。また、端末装置は、さらに、無線ローカルエリアネットワーク(LAN)やBluetooth(登録商標)などのセルラ通信規格以外の無線通信規格に準拠した通信回路などを有してもよい。なお、基地局装置および端末装置は、使用可能な複数の周波数帯域のそれぞれについて別個の通信回路205を有してもよいし、それらの周波数帯域の少なくとも一部に対して共通の通信回路205を有してもよい。
【0035】
図3は、基地局装置の機能構成例を示す。基地局装置は、例えば、RRC設定部301、RACH指示部302、SRS送信指示部303、基地局間通信部304、及び、ハンドオーバ指示部305を有する。なお、
図3では、主として端末装置111が接続中の基地局装置101の機能を示している。ハンドオーバ先の候補の基地局装置102は、SRSの送信に関する情報を基地局装置101へ送信することがある点を除いて、従来の基地局装置と同様であるため、ここでは図示を省略している。また、
図3は、本実施形態に特に関係する機能のみを示しており、基地局装置が有しうる他の各種機能については図示を省略している。例えば、基地局装置は、5Gやその後継規格などに準拠した基地局装置が一般的に有する他の機能を当然に有する。また、
図3の機能ブロックは概略的に示したものであり、それぞれの機能ブロックが一体化されて実現されてもよいし、さらに細分化されてもよい。また、
図3の各機能は、例えば、プロセッサ201がROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを実行することにより実現されてもよいし、例えば通信回路205の内部に存在するプロセッサが所定のソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。なお、各機能部が実行する処理の詳細について、上述の詳細についてはここでは説明せず、その大まかな機能のみを概説する。
【0036】
RRC設定部301は、例えば、接続中の端末装置に対して、隣接セルを提供しているハンドオーバ先の候補の他の基地局装置のためのRRCレイヤの設定情報を通知する。例えば、RRC設定部301は、そのハンドオーバ先の候補の他の基地局装置に対してハンドオーバ要求を送信して、その他の基地局装置から通信設定情報を取得し、その通信設定情報をRRCレイヤのメッセージによって、端末装置へ通知する。RRCレイヤのメッセージは、RRC Reconfigurationメッセージである。そして、RRC設定部301は、端末装置からRRC Reconfiguration Completeメッセージを受信することによって、端末装置と他の基地局装置との間の接続処理設定を行う。なお、RRCレイヤの設定情報は、SRSの送信設定を含みうる。RACH指示部302は、ハンドオーバ先の候補の他の基地局装置のためのRRCレイヤの設定が完了した端末装置に対して、その他の基地局装置へのRAプリアンブルの送信を指示する。そして、RACH指示部302は、例えば、基地局装置102において特定されたTA値を、基地局装置102から受信し、そのTA値を端末装置へ通知することによりRA手順を完了させる。
【0037】
SRS送信指示部303は、ハンドオーバ先の候補の他の基地局装置のためのRRCレイヤの設定が完了した端末装置に対して、その他の基地局装置のためのSRSの送信指示を、端末装置へ通知する。SRS送信指示部303は、例えば、上述のRA手順の完了後かつCell switch commandの送信前に、SRSの送信指示を端末装置へ送信しうる。また、SRS送信指示部303は、例えば、Cell switch commandにおいて、SRSの送信指示を端末装置へ送信しうる。SRSの送信指示は、例えば、MAC CEやDCIを用いて、端末装置へ通知されうる。なお、SRS送信指示部303は、例えば、SRSの送信に使用するビームを指定する情報を、SRSの送信指示と共に、端末装置へ通知しうる。例えば、SRS送信指示部303は、1つ以上の送信設定のそれぞれを用いてSRSを送信する際に使用すべきビームを指定する情報を、端末装置へ通知する。また、SRS送信指示部303は、端末装置が使用可能な複数のビームのそれぞれをSRSの送信に使用するか否かを示す情報を端末装置へ通知しうる。この通知は、例えば、TCI stateの有効/無効の設定の通知として行われうる。また、例えば、SSBやCSI-RSなどの端末装置における測定対象の信号の識別情報と、その測定対象の信号を十分な無線品質で受信することができたビームとが端末装置において関連付けられて記憶されている場合に、測定対象の信号の識別情報が通知されてもよい。この場合、端末装置は、その測定対象の信号の識別情報と関連付けられているビームを用いてSRSを送信する。
【0038】
基地局間通信部304は、ハンドオーバ先の候補の基地局装置との間で通信を行う。基地局間通信部304は、例えば、ハンドオーバ先の候補の基地局装置におけるRA手順のための情報や端末装置によるSRSの送信のための情報を受信するのに使用される。また、基地局間通信部304は、例えば、接続中の端末装置にRAプリアンブルを送信させることを、そのRAプリアンブルの送信先の他の基地局装置へ通知しうる。また、基地局間通信部304は、例えば、RA手順における、ハンドオーバ先の候補の基地局装置から端末装置へ送信されるべきメッセージ(メッセージ2やメッセージ4)を受信しうる。また、ハンドオーバ先の候補の基地局装置において算出されたTA値が、基地局間通信部304を介して取得されうる。なお、基地局間通信部304において受信された信号は、例えばRACH指示部302などを介して端末装置へ転送されうる。また、基地局間通信部304は、端末装置に対するSRSの送信指示を、ハンドオーバ先の候補の基地局装置から受信しうる。この場合、SRS送信指示部303は、ハンドオーバ先の候補の基地局装置から受信した指示に基づいて、端末装置に対してSRSを送信するように指示しうる。なお、これは一例であり、基地局間通信部304は、ハンドオーバ先の候補の基地局装置からの指示によらずに、接続中の端末装置にSRSを送信させる指示を送信し、その指示を送信したことを、そのハンドオーバ先の候補の基地局装置へ通知しうる。なお、基地局間通信部304は、ハンドオーバ先の候補の基地局装置から、SRSの送信時に使用されるべきビームを指定する情報を受信する。このように、基地局間通信部304は、ハンドオーバ先の候補の基地局装置との間で、その基地局装置へのハンドオーバに関連するRA手順やSRS送信に関する各種情報を通信する。
【0039】
ハンドオーバ指示部305は、例えば端末装置におけるハンドオーバ先の他の基地局装置からの無線信号の受信品質が、自装置と端末装置との間の無線品質より所定レベル以上高くなった場合など、端末装置がハンドオーバを実行すべき状態となったことに応じて、端末装置に対して、ハンドオーバを実行させるための指示を行う。ハンドオーバ指示部305は、例えば、ハンドオーバ先の基地局装置を特定可能なセル識別子等を含んだCell switch commandを、端末装置へ送信する。端末装置は、このコマンドを受信すると、指定された基地局装置へと接続先の基地局装置を変更し、ハンドオーバを完了する。
【0040】
図4は、端末装置の機能構成例を示す。端末装置は、例えば、RRC設定部401、指示受信部402、RACH処理部403、SRS送信処理部404、及び、ハンドオーバ処理部405を有する。なお、
図4では、本実施形態に特に関係する機能のみを示しており、端末装置が有しうる他の各種機能については図示を省略している。例えば、端末装置は、5Gやその後続規格などに準拠した端末装置が一般的に有する他の機能を当然に有する。また、
図4の機能ブロックは概略的に示したものであり、それぞれの機能ブロックが一体化されて実現されてもよいし、さらに細分化されてもよい。また、
図4の各機能は、例えば、プロセッサ201がROM202や記憶装置204に記憶されているプログラムを実行することにより実現されてもよいし、例えば通信回路205の内部に存在するプロセッサが所定のソフトウェアを実行することによって実現されてもよい。なお、各機能部が実行する処理の詳細について、上述の詳細についてはここでは説明せず、その大まかな機能のみを概説する。
【0041】
RRC設定部401は、接続先の基地局装置からのRRCレイヤのメッセージを受信することにより、ハンドオーバ先の候補の基地局装置との接続設定処理を行う。なお、RRC設定部401は、接続中の基地局装置の設定と、ハンドオーバ先の候補の基地局装置の設定とを並行して保持することとなる。なお、本実施形態では、RRC設定部401は、ハンドオーバ先の候補の基地局装置のそれぞれについての1つ以上のSRS送信用の設定情報を、接続先の基地局装置から取得して保持しうる。指示受信部402は、RAプリアンブルの送信指示やSRSの送信指示を、接続中の基地局装置から受信する。RAプリアンブルの送信指示は、PDCCH orderによって行われうる。また、SRSの送信指示は、Cell switch commandの受信時又はそのコマンドの発行前に受信され、その際にMAC CEやDCIが使用されうる。RACH処理部403は、指示受信部402によってRAプリアンブルの送信指示を受信したことに応じて、ハンドオーバ先の候補の基地局装置に対して、RAプリアンブルを送信する。ここで、RAプリアンブルの生成のための系列や、ハンドオーバ先の候補の基地局装置におけるRAプリアンブルの受信用の無線リソースの情報は、指示受信部402を介して、接続中の基地局装置から受信しうる。なお、その系列や無線リソースの情報は、ハンドオーバ先の候補の基地局装置が送出しているシステム情報から取得されてもよい。
【0042】
SRS送信処理部404は、指示受信部402によってSRSの送信指示を受信したことに応じて、ハンドオーバ先の候補の基地局装置による測定のためのSRSを送信する。SRS送信処理部404は、RRC設定部401により受信された設定情報を用いてSRSを生成して、例えば指示受信部402によって受信されたSRSの送信指示によって指定されたビームを用いてそのSRSを送信する。なお、例えば、SRSの送信設定がsemi persistentやperiodicである場合、SRS送信処理部404は繰り返しSRSを送信する。この場合、SRS送信処理部404は、例えば指示受信部402によってSRSの送信停止指示が受信された場合に、SRSの送信を停止しうる。なお、SRSの送信期間が事前に(例えばSRSの送信指示において)設定されていてもよく、その場合、停止指示は受信されなくてもよい。また、例えばRRC設定部401によって事前に受信された設定情報にビームの設定情報が含まれていてもよく、その場合、そのビームの設定を用いてSRSを送信するか、又は、SRSの送信指示において指定された別のビームを用いてSRSを送信するかが、その送信指示において示されてもよい。
【0043】
ハンドオーバ処理部405は、接続中の基地局装置からのハンドオーバのコマンド(Cell switch command)を受信したことに応じて、接続先の基地局装置を変更する。なお、端末装置は、RRC設定部401及びRACH処理部403の働きにより、ハンドオーバ先の候補の基地局装置との間で改めてRRCレイヤの設定処理とRA手順を実行する必要がない。このため、端末装置は、例えば、受信したコマンドにおいて、ハンドオーバ先の候補の基地局装置における上りリンクの無線リソースの割り当てが通知されている場合、その無線リソースを使用して直ちに上りリンクの信号を送信することができる。また、SRS送信処理部404の働きにより、ハンドオーバ先の基地局装置において上りリンクの通信のための精細なビームの設定を、ハンドオーバの時点で又はハンドオーバ後の短い時間で特定することができる。このため、ハンドオーバ先の基地局装置は、例えば、上述の上りリンクの無線リソースの割り当てと共に、使用されるべきビームを指定する情報を端末装置へ通知することができるようになる。
【0044】
(処理の流れ)
図5および
図6に、本実施形態の無線通信システムで実行される処理の流れの例を示す。
図5は、Cell switch commandにおいて、SRSの送信指示が端末装置へ通知される場合の処理の流れの例を示している。一方で、
図6は、そのコマンドの送信前に、一例としてPDCCH order(DCI)を用いて、SRSの送信指示が端末装置へ通知される場合の処理の流れの例を示している。ここで、
図5および
図6では、ハンドオーバ元の基地局装置と端末装置との間で接続が確立されているものとする。なお、
図5および
図6に示す例は一例であり、各手順において上で説明したような変形を行うことができる。例えば、
図6の例において、PDCCH orderによりSRSの送信指示が送受信される例を示しているが、例えばMAC CEによって個の送信指示が送受信されてもよい。
【0045】
まず、
図5の処理の流れの例について説明する。ハンドオーバ元の第1の基地局装置は、まず、端末装置のハンドオーバ先の候補となる隣接セルを形成している第2の基地局装置(
図5における基地局装置A及び基地局装置B)に対して、HANDOVER REQUESTメッセージを送信する(S501、S503)。第2の基地局装置は、このメッセージを受信すると、端末装置が接続する場合に使用すべき通信パラメータの情報やSRSの設定情報などを含んだHANDOVER REQUEST ACKメッセージを第1の基地局装置へ返送する(S502、S504)。そして、第1の基地局装置は、第2の基地局装置から通知された通信パラメータなどを含んだRRC Reconfigurationメッセージを端末装置へ通知する(S505)。なお、第1の基地局装置は、ハンドオーバ先の基地局装置の複数の候補の情報のそれぞれについて別個のメッセージを編成して端末装置に通知してもよいし、それらの情報を一括して含んだメッセージを端末装置に通知してもよい。端末装置は、このメッセージを受信すると、RRC Reconfiguration Completeメッセージを第1の基地局装置に送信して、RRCレイヤのメッセージを用いた設定処理を完了する。この処理により、端末装置は、第2の基地局装置へのハンドオーバを第1の基地局装置から指示された後に、RRCレイヤの設定処理を行う必要がなくなる。また、端末装置は、ハンドオーバの指示において又はその指示の受信前に通知されるSRSの送信指示に従ってSRSを送信することができるようになる。なお、
図5では、ハンドオーバ先の候補の基地局装置が2つである場合の設定処理の流れの例を示しているが、1つの候補の基地局装置について、又は3つ以上の候補の基地局装置について、同様の設定処理が実行されうる。
【0046】
続いて、第1の基地局装置は、第2の基地局装置に対してRAプリアンブルを送信するように端末装置に指示する(S507)。ここで、この指示には、端末装置がRAプリアンブルの生成に使用すべき系列と、そのRAプリアンブルが送信されるべき無線リソースを指定する情報が含まれうる。なお、RAプリアンブルが送信されるべき無線リソースは、例えば第2の基地局装置から送信されて端末装置によって測定される第2の基地局装置におけるシステム情報に基づいて特定されてもよい。すなわち、この情報は、接続中の基地局装置から取得されなくてもよい。また、RAプリアンブルを生成する際に使用されるべき系列やRAプリアンブルが送信されるべき無線リソースは事前に特定されていてもよい。一例において、S505において、この系列やRAプリアンブルが送信されるべき無線リソースの情報が端末装置に通知されていてもよい。端末装置は、指示に従って、第2の基地局装置へRAプリアンブルを送信する(S508)。このとき、第1の基地局装置は、第2の基地局装置に対して、端末装置がRAプリアンブルを送信する予定であることを通知してもよい。また、第1の基地局装置は、第2の基地局装置に対して、端末装置がRAプリアンブルの生成に使用する系列の情報を通知しうる。これにより、第2の基地局装置は、端末装置が送信するRAプリアンブルを検出することが可能となる。なお、これは一例であり、例えばS501やS503のHANDOVER REQUESTによって、黙示的に端末装置がRAプリアンブルを送信する予定であることが通知されてもよい。また、この場合に、S502やS504のHANDOVER REQUEST ACKにおいて、端末装置がRAプリアンブルの生成に使用すべき系列が、第2の基地局装置によって指定されてもよい。その後、例えば、RAプリアンブルを受信した第2の基地局装置から、第1の基地局装置を介してRAレスポンスが端末装置へ送信される(S509)。第2の基地局装置は、RAプリアンブルの受信タイミングによって、自装置に端末装置が接続される場合のTA値を特定することができ、RAレスポンスによってそのTA値を端末装置に通知することができる。なお、RA手順は、RAレスポンスの後の端末装置から第2の基地局装置への物理上りリンク共有チャネル(メッセージ3)の送信と、メッセージ3の後の第2の基地局装置から端末装置への競合解決メッセージ(メッセージ4)の第1の基地局装置を介した送信とを含むが、
図5では、それらについての図示を省略している。なお、ここではTA値が特定されれば足り、メッセージ3やメッセージ4の送信は行われなくてもよい。また、端末装置と基地局装置Bとの間でも同様のRA手順が実行されうる(S510~S512)。
【0047】
端末装置は、例えばRA手順と並行して、ハンドオーバ先の候補の第2の基地局装置のそれぞれから送信された無線信号(例えばSSB)を測定し、その測定結果を第1の基地局装置へ通知する(不図示)。ここで、第1の基地局装置は、この測定結果を第2の基地局装置へ通知しうる。この場合、第2の基地局装置は、端末装置との通信に使用すべき大まかなビームを特定することができる。第2の基地局装置は、さらなる精細なビームの形成のために、CSI-RSを送信し、端末装置に測定させうる。この場合、第2の基地局装置は、第1の基地局装置に対して、CSI-RSの設定情報を送信し、端末装置にその設定情報を転送させうる。端末装置は、その設定情報に基づいてCSI-RSを測定し、その測定結果を接続中の第1の基地局装置へ報告する。そして、第1の基地局装置は、その測定結果を第2の基地局装置へ転送する。これにより、第2の基地局装置は、端末装置が自装置へハンドオーバした直後から、精細なビームを用いて下りリンクの信号を送信することが可能となる。
【0048】
また、第1の基地局装置は、端末装置から通知された無線信号(例えばSSB)の測定結果に応じてハンドオーバを行うべきことを決定しうる。例えば、基地局装置Aからの信号の無線品質が、第1の基地局装置からの信号の無線品質より所定レベル以上高くなった場合などの所定の条件を満たした場合に、第1の基地局装置は、端末装置を基地局装置Aへハンドオーバさせることを決定しうる。第1の基地局装置は、この決定により、端末装置に対してハンドオーバを実行すべきことを指示するCell switch commandを送信する(S514)。端末装置は、このコマンドにより、基地局装置Aへのハンドオーバを実行する。なお、このコマンドには、ハンドオーバ先の基地局装置Aを特定可能な識別情報が含まれる。本処理例では、さらに、このコマンドには、SRSの送信指示情報と、そのSRSを送信する際に使用すべきビームを指定する情報が含まれる。なお、SRSの送信指示情報は、S505において受信した、ハンドオーバ先として指定された基地局装置AについてのSRSの送信設定情報のうち、どの設定情報を用いてSRSが送信されるべきかを示す情報を含みうる。ただし、SRSの送信設定情報が1つのみである場合などにおいては、その設定情報を指定する情報はコマンドに含まれなくてもよい。
【0049】
なお、使用されるべきSRSの送信設定情報および使用すべきビームを指定する情報は、ハンドオーバ先の基地局装置Aから取得されうる(S513)。一例において、基地局装置Aは、自装置が端末装置のハンドオーバ先となると仮定した場合にSRSの送信に使用されるべき設定情報などを、S514のコマンド発行前に、自発的に第1の基地局装置へ送信しうる。この場合、例えば、基地局装置Bも、同様の情報を第1の基地局装置へ送信しうる。また、第1の基地局装置は、S514のコマンド発行前に、端末装置が基地局装置Aへハンドオーバすることを、基地局装置Aへ通知し、基地局装置Aは、その通知に応答して、SRSの送信に使用されるべき設定情報などを第1の基地局装置へ送信してもよい。使用されるべきSRSの送信設定情報は、例えば、SRS Resource Setidとsrs-Resourceidを用いて指定されうる。ビームを指定する情報は、端末装置が使用可能な複数のビームをそれぞれ形成するための設定情報の有効化又は無効化をそれぞれ示す情報でありうる。なお、特定のビームを使用するように直接ビームを指定する情報が端末装置へ通知されてもよい。ビームの指定は、例えば、TCIが用いられてもよいし、SSBやCSI-RSの無線品質が最良となるビームや所定の品質レベルを超えるビームが、そのSSBやCSI-RSを特定可能な情報(識別情報やこれらの信号が送信された無線リソースなどの情報)と関連付けられて端末装置において記憶されている場合、そのSSBやCSI-RSを特定可能な情報が、ビームを指定する情報として用いられてもよい。端末装置は、SSBやCSI-RSを特定可能な情報を受信すると、そのSSBやCSI-RSと関連付けられて記憶されているビームが指定されていることを特定する。なお、S505において受信したSRSの送信設定情報においてビームを指定する第1の情報が含まれる場合に、S514においてビームを指定する第2の情報が受信された場合、その第2の情報により第1の情報が(少なくとも一時的に)置き換えられうる。そして、端末装置は、その指定されたビームを用いてSRSを送信する(S515)。
【0050】
基地局装置Aは、このSRSを測定することにより、端末装置が上りリンクの信号を送信する際に使用すべきビームを特定することができる。そして、基地局装置Aは、例えば上りリンクでのユーザデータ(PUSCH)の送信のための無線リソースを割り当てるためにDCIを送信する際に(S516)、特定された使用すべきビームを指定する情報を含めうる。ここでのビームを指定する情報は、例えば、SRS resource indicatorでありうる。端末装置は、このDCIを受信すると、指定されたビーム及び指定された無線リソースを用いて、上りリンクのユーザデータを送信する(S517)。
【0051】
従来は、S514のようなハンドオーバのコマンドが送信されたことにより、端末装置が基地局装置Aに接続した後、基地局装置Aから、SRSの送信開始指示が端末装置へ送信され、その後にSRSが送信される。これに対して、本処理例では、ハンドオーバのコマンドが発行されるタイミングでSRSの送信指示が端末装置へ送信されるため、端末装置がSRSの送信を早期に開始することができる。この結果、上りリンクの通信で使用される精細なビームを迅速に決定することができ、無線通信の効率化を図ることができる。
【0052】
次に、
図6に示される処理例について説明する。
図6の処理では、Cell switch commandが送信される前に、SRSの送信指示が端末装置へ送信される。なお、本処理例でも、まず、
図5のS501~S512と同様の処理が行われる。その後、例えば、第1の基地局装置から、端末装置に対して、SRSの送信指示が送信される。例えば、第1の基地局装置は、基地局装置Aに対するSRSの送信指示とビーム情報とを含んだPDCCH order(DCI)を端末装置へ送信する(S601)。ここで送信される各情報は、
図5のS514で端末装置に送信される各情報と同様であり、S513と同様にして、基地局装置Aから第1の基地局装置へ事前に通知された情報に基づいて構成されうる。端末装置は、このSRSの送信指示に従って、基地局装置Aのための設定情報と指定されたビームとを用いて、SRSを送信する(S602)。基地局装置Aは、このSRSを測定することにより、端末装置が自装置に接続したと仮定した場合に端末装置に上りリンクの通信において使用させるビームを決定することができる。同様に、第1の基地局装置は、基地局装置Bに対するSRSの送信指示とビーム情報とを含んだPDCCH order(DCI)を端末装置へ送信し(S603)、端末装置は、このSRSの送信指示に従って、基地局装置Bのための設定情報と指定されたビームとを用いて、SRSを送信する(S604)。基地局装置Bも、このSRSを測定することにより、端末装置が自装置に接続したと仮定した場合に端末装置に上りリンクの通信において使用させるビームを決定することができる。なお、第1の基地局装置は、ハンドオーバ先の候補の基地局装置の全てについてSRSを送信するように端末装置に指示を送信してもよいし、候補の基地局装置の一部のみについてSRSを送信するように端末装置に指示を送信してもよい。例えば、端末装置は、SSBなどの測定を継続的に実行して、その測定結果を第1の基地局装置へ通知し、第1の基地局装置は、その測定結果に応じて、SRSの送信対象とするハンドオーバ先の候補の基地局装置を決定してもよい。
【0053】
なお、第1の基地局装置は、SRSの測定指示に、基地局装置Aや基地局装置Bを特定可能な情報を含めて送信しうるが、この情報は必ずしも含められなくてもよい。例えば、ハンドオーバ先の候補の第2の基地局装置が1つのみである場合には、その第2の基地局装置を特定する情報は省略されてもよい。また、ハンドオーバ先の候補の複数の基地局装置に関する複数のSRSの送信設定情報のそれぞれに対して重複しない識別子を割り当てておき、その識別子が端末装置に通知されるようにしてもよい。この場合、端末装置が、いずれかの候補の基地局装置のためのSRSを送信することができれば足りるため、複数の設定情報のそれぞれがどの基地局装置のための情報が端末装置に通知されなくてもよい。また、ハンドオーバ先の候補の基地局装置を特定可能な情報は、一例において物理セル識別子(PCI)でありうるが、これに限られない。例えば、RRCレイヤの設定の際に、各基地局装置のPCIなどの識別情報が所定のインデクスと関連付けられて端末装置に通知されるようにし、SRSの送信指示の際の基地局装置を特定可能な情報として、その所定のインデクスが端末装置に通知されるようにしてもよい。例えば、5GでのPCIは1008通り用意されており、各基地局装置にそのいずれかが割り当てられる。これに対して、ハンドオーバ先の候補の数は限定的であり、その候補のそれぞれを一意に特定可能なインデクスを割り当てたとしても、PCIを表現するより少ないビット数でそのインデクスを表現することが可能である。このため、例えばPDCCH orderのビット数削減のために、このようなインデクスが使用されてもよい。
【0054】
その後、第1の基地局装置は、端末装置から通知された無線信号(例えばSSB)の測定結果に応じてハンドオーバを行うべきと判定したことに応じて、端末装置に対してハンドオーバを実行すべきことを指示するCell switch commandを送信する(S605)。端末装置は、このコマンドにより、基地局装置Aへのハンドオーバを実行する。なお、このコマンドは、ハンドオーバ先を示す基地局装置Aの情報を含む。一方で、基地局装置Aは、S602において既にSRSを測定しており、端末装置に上りリンクの通信で使用させるべきビームの決定が完了している。このため、S605のコマンドにはSRSの送信指示が含まれず、また、S605のコマンドの後にもSRSの送信指示が送信される必要がない。そして、基地局装置Aは、例えば上りリンクでのユーザデータ(PUSCH)の送信のための無線リソースを割り当てるためにDCIを送信する際に(S516)、S602において特定された使用すべきビームを指定する情報を含めうる。端末装置は、このDCIを受信すると、指定されたビーム及び指定された無線リソースを用いて、上りリンクのユーザデータを送信する(S517)。このように、本処理例では、ハンドオーバのコマンドが発行される前にSRSの送信指示が端末装置へ送信されるため、そのコマンドによりハンドオーバが行われた直後から、端末装置は、精細なビームを用いて上りリンクの通信を行うことができるようになる。
【0055】
なお、上述の例では、RA手順がCell switch commandの送受信前に実行される場合の例を示しているが、必ずしもRA手順がこのタイミングで実行される必要はない。例えば、上述の実施形態では、ハンドオーバ元及びハンドオーバ先の基地局装置が1つのセルを提供しているものとして説明を行ったが、これらの基地局装置は複数のセルを提供していてもよい。このとき、ハンドオーバ元の基地局装置に変更がなく、(例えば異なる周波数帯を使用する)別のセルへのハンドオーバが行われる場合、上りリンクの同期の確立のためのRA手順が省略されうる。なお、上述の説明において、用語「基地局装置」は、「セル」と読み替えられてもよい。すなわち、上述の説明では、「ハンドオーバ元の第1の基地局装置」や「ハンドオーバ先の候補の第2の基地局装置」などの用語が用いられているが、これらは、「ハンドオーバ元の第1のセル」や「ハンドオーバ先の候補の第2のセル」と読み替えられてもよい。ただし、信号の送受信を行う主体は各セルを提供する基地局装置であることに留意されたい。また、上述の例では、端末装置がSRSを送信する例について説明したが、SRSと異なる別の上りリンクの参照信号が使用されてもよい。このように、上述の実施形態は、SRSの送信指示がハンドオーバ後ではなく、ハンドオーバを指示するコマンドにおいて又はそのコマンドよりも前に端末装置に通知されて、SRSの送信が開始されれば足り、その他の事項については、様々な変更や読み替えが可能である。
【0056】
以上のようにして、本実施形態によれば、ハンドオーバ元の基地局装置が、端末装置を実際に他の基地局装置へハンドオーバさせると決定してから、その端末装置が上りリンクの通信に使用する精細なビームを用いたユーザデータの通信を開始するまでの時間を大きく短縮することができる。よって、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0057】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。