(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021741
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】二酸化炭素計量システム、船舶、及び二酸化炭素計量方法
(51)【国際特許分類】
B63B 25/08 20060101AFI20250206BHJP
F17C 13/02 20060101ALI20250206BHJP
F17C 5/04 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
B63B25/08 G
F17C13/02 301A
F17C5/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125675
(22)【出願日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】518022743
【氏名又は名称】三菱造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】吉野 正剛
(72)【発明者】
【氏名】雲石 隆司
(72)【発明者】
【氏名】安部 和也
(72)【発明者】
【氏名】森 英男
(72)【発明者】
【氏名】小形 俊夫
(72)【発明者】
【氏名】加納 裕真
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB13
3E172BA06
3E172BB04
3E172BB12
3E172BB17
3E172EA03
3E172EA22
3E172EA23
3E172EA24
3E172EA25
3E172EA48
3E172EB03
3E172EB10
3E172KA22
3E172KA23
3E172KA24
(57)【要約】
【課題】荷揚げされた液化二酸化炭素の質量を、より高い精度で取得する。
【解決手段】二酸化炭素計量システムは、タンク内の液面レベルを検出するレベル計と、タンク内の温度を検出するタンク温度計と、タンク内の圧力を検出するタンク圧力計と、の検出結果に基づいて、払出質量取得部が、タンク内に貯留されている液化二酸化炭素の質量を求める。払出質量取得部は、第一流量計の検出結果に基づいて液化部によって液化され、第一配管系統によってタンクに送り込まれる液化二酸化炭素の質量を求める。払出質量取得部は、求められたタンク内に貯留されている液化二酸化炭素の質量と、第一配管系統によってタンクに送り込まれる液化二酸化炭素の質量とに基づいて、タンクから払い出された液化二酸化炭素の質量を取得する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化炭素含有ガスから気体の二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収部と、
前記二酸化炭素回収部により回収された気体の二酸化炭素を液化する液化部と、
液化二酸化炭素を貯留可能なタンクと、
前記液化部によって液化された液化二酸化炭素を前記タンク内に送り込む第一配管系統と、
前記タンク内の液面レベルを検出するレベル計と、
前記タンク内の温度を検出するタンク温度計と、
前記タンク内の圧力を検出するタンク圧力計と、
前記第一配管系統によって前記タンクに送り込まれる液化二酸化炭素の流量を検出する第一流量計と、
前記タンクから払い出された液化二酸化炭素の質量を取得する払出質量取得部と、を備え、
前記払出質量取得部は、
前記レベル計と、前記タンク温度計と、前記タンク圧力計と、の検出結果に基づいて前記タンク内に貯留されている液化二酸化炭素の質量を求めるとともに、前記第一流量計の検出結果に基づいて前記第一配管系統によって前記タンクに送り込まれる液化二酸化炭素の質量を求めて、求められた前記タンク内に貯留されている液化二酸化炭素の質量と、前記第一配管系統によって前記タンクに送り込まれる液化二酸化炭素の質量とに基づいて、前記タンクから払い出された液化二酸化炭素の質量を取得する
二酸化炭素計量システム。
【請求項2】
前記液化部から前記タンクへ送り込まれる液化二酸化炭素の圧力を検出する第一圧力センサーと、
前記液化部から前記タンクへ送り込まれる液化二酸化炭素の温度を検出する第一温度センサーと、を更に備え、
前記第一流量計は、前記第一配管系統により前記タンクに送り込まれる液化二酸化炭素の体積流量を検出し、
前記払出質量取得部は、
前記第一流量計で検出された液化二酸化炭素の体積流量と、前記第一圧力センサーで検出された圧力と、前記第一温度センサーで検出された液化二酸化炭素の温度と、に基づき、前記第一配管系統により前記タンクへ送り込まれる液化二酸化炭素の質量を取得する
請求項1に記載の二酸化炭素計量システム。
【請求項3】
前記第一流量計は、前記第一配管系統により前記タンクに送り込まれる液化二酸化炭素の体積流量を検出し、
前記払出質量取得部は、
前記第一流量計で検出された液化二酸化炭素の体積流量と、
前記タンク圧力計で検出される、前記タンク内の液化二酸化炭素の圧力と、
前記タンク温度計で検出される、前記タンク内の液化二酸化炭素の温度と、に基づき、
前記液化部から前記タンクへ送り込まれる液化二酸化炭素の質量を取得する
請求項1に記載の二酸化炭素計量システム。
【請求項4】
前記第一流量計は、前記液化部から前記タンクに送り込まれる液化二酸化炭素の質量流量を検出する
請求項1に記載の二酸化炭素計量システム。
【請求項5】
前記タンク内の液化二酸化炭素を前記タンク外に払い出す第二配管系統と、
前記第二配管系統によって前記タンク外に払い出される液化二酸化炭素の体積流量を検出する第二流量計と、を更に備える
請求項1から4の何れか一項に記載の二酸化炭素計量システム。
【請求項6】
停船して前記タンクから液化二酸化炭素を払い出しているときに、前記第一配管系統の流量は、前記第二配管系統の流量よりも小さい
請求項5に記載の二酸化炭素計量システム。
【請求項7】
前記タンクから払い出される液化二酸化炭素の純度を検出する純度検出計を更に備え、
前記払出質量取得部は、前記純度検出計で検出された液化二酸化炭素の純度に基づいて、前記タンクから払い出された液化二酸化炭素の質量を補正する
請求項1から4の何れか一項に記載の二酸化炭素計量システム。
【請求項8】
燃料を燃焼する燃焼装置と、
前記燃焼装置による燃料の消費量を検出可能な燃料計と、を更に備え、
前記払出質量取得部は、
前記燃料計で検出された燃料の消費量に基づいて、前記燃焼装置から排出される気体の二酸化炭素の質量を取得し、
取得した気体の二酸化炭素の質量と、前記タンクから払い出された液化二酸化炭素の質量と、に基づいて、温室効果ガスの削減率を算出する
請求項1から4の何れか一項に記載の二酸化炭素計量システム。
【請求項9】
船体と、
請求項1から4の何れか一項に記載の二酸化炭素計量システムと、を備える
船舶。
【請求項10】
請求項1から4の何れか一項に記載の二酸化炭素計量システムにおける二酸化炭素計量方法であって、
前記タンク内の液面レベルを取得するステップと、
前記タンク内の温度及び圧力を取得するステップと、
前記液化部から前記タンクへ送り込まれる液化二酸化炭素の流量を取得するステップと、
前記タンク内の温度及び圧力、前記タンク内の前記液面レベルの変化量、及び前記液化部から前記タンクへ送り込まれる液化二酸化炭素の流量、に基づいて、前記タンクから払い出された液化二酸化炭素の質量を取得するステップと、を含む
二酸化炭素計量方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、二酸化炭素計量システム、船舶、及び二酸化炭素計量方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液化二酸化炭素(LCD)を貯蔵するタンク(LCD容器)と、容器から液化二酸化炭素を払い出すポンプ(カーゴ排出ポンプ、ブースターポンプ)と、を備えた船舶(液化二酸化炭素輸送船)が開示されている。このような船舶では、目的地に到着した後、タンク内の液化二酸化炭素をポンプにより払い出すことで、液化二酸化炭素を荷揚げしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、船舶等にあっては、温室効果ガスの排出量を削減するために、例えば、燃料を燃焼させる際に生じる排ガスから二酸化炭素を回収することがある。このように排ガスから回収された気体の二酸化炭素は、貯蔵スペースの観点から液化されてタンクに貯蔵される場合がある。タンク内に貯蔵された液化二酸化炭素は、港等で荷揚げされることとなるが、液化二酸化炭素の荷揚げ量は、質量で管理される場合がある。
一般に、タンクからの液化ガスの荷揚げ量の計測は、タンク内の液面レベルを計測するレベルゲージにより行っている。しかしながら、上記のような船舶等においては、タンク内の液化二酸化炭素を荷揚げしている最中も、排ガスからの二酸化炭素回収が行われてタンク内に液化二酸化炭素が流入することがあるため、タンクから払い出される液化二酸化炭素の質量を高精度で計量することが困難になっている。
【0005】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、荷揚げされた液化二酸化炭素の質量を、より高い精度で取得することができる二酸化炭素計量システム、船舶、及び二酸化炭素計量方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係る二酸化炭素計量システムは、二酸化炭素回収部と、液化部と、タンクと、第一配管系統と、レベル計と、タンク温度計と、タンク圧力計と、第一流量計と、払出質量取得部と、を備えている。前記二酸化炭素回収部は、二酸化炭素含有ガスから気体の二酸化炭素を回収する。前記液化部は、前記二酸化炭素回収部により回収された気体の二酸化炭素を液化する。前記タンクは、液化二酸化炭素を貯留可能である。前記第一配管系統は、前記液化部によって液化された液化二酸化炭素を前記タンク内に送り込む。前記レベル計は、前記タンク内の液面レベルを検出する。前記タンク温度計は、前記タンク内の温度を検出する。前記タンク圧力計は、前記タンク内の圧力を検出する。前記第一流量計は、前記第一配管系統によって前記タンクに送り込まれる液化二酸化炭素の流量を検出する。前記払出質量取得部は、前記タンクから払い出された液化二酸化炭素の質量を取得する。前記払出質量取得部は、前記レベル計と、前記タンク温度計と、前記タンク圧力計と、の検出結果に基づいて前記タンク内に貯留されている液化二酸化炭素の質量を求める。前記払出質量取得部は、前記第一流量計の検出結果に基づいて前記第一配管系統によって前記タンクに送り込まれる液化二酸化炭素の質量を求める。前記払出質量取得部は、求められた前記タンク内に貯留されている液化二酸化炭素の質量と、前記第一配管系統によって前記タンクに送り込まれる液化二酸化炭素の質量とに基づいて、前記タンクから払い出された液化二酸化炭素の質量を取得する。
【0007】
本開示に係る船舶は、船体と、上記したような二酸化炭素計量システムと、を備えている。
【0008】
本開示に係る二酸化炭素計量方法は、上記したような二酸化炭素計量システムにおける二酸化炭素計量方法である。前記二酸化炭素計量方法は、前記タンク内の液面レベルを取得するステップと、前記タンク内の温度及び圧力を取得するステップと、前記液化部から前記タンクへ送り込まれる液化二酸化炭素の流量を取得するステップと、前記タンクから払い出された液化二酸化炭素の質量を取得するステップと、を含んでいる。前記タンクから払い出された液化二酸化炭素の質量を取得するステップでは、前記タンク内の温度及び圧力、前記タンク内の前記液面レベルの変化量、及び前記液化部から前記タンクへ送り込まれる液化二酸化炭素の流量、に基づいて、前記タンクから払い出された液化二酸化炭素の質量を取得する。
【発明の効果】
【0009】
本開示の二酸化炭素計量システム、船舶、及び二酸化炭素計量方法によれば、荷揚げされた液化二酸化炭素の質量を、より高い精度で取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態に係る船舶の側面図である。
【
図2】本開示の実施形態に係る二酸化炭素計量システムの構成を示す図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る船舶に設けられた演算装置のハードウェア構成を示す図である。
【
図4】本開示の実施形態に係る船舶に設けられた演算装置の機能ブロック図である。
【
図5】本開示の実施形態に係る二酸化炭素計量システムにおいて、払出後におけるタンクの液面レベルを示す図である。
【
図6】本開示の実施形態に係る二酸化炭素計量方法の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態に係る二酸化炭素計量システム、船舶、及び二酸化炭素計量方法について、
図1~
図6を参照して説明する。
(船舶の全体構成)
図1に示すように、本実施形態の船舶1は、船体2と、燃焼装置8と、二酸化炭素計量システム20(
図2参照)と、を少なくとも備えている。
【0012】
(船体の構成)
船体2は、その外殻をなす一対の舷側3A,3Bと、船底4と、上甲板5と、を有している。舷側3A,3Bは、左右舷側をそれぞれ形成する一対の舷側外板からなる。船底4は、これら舷側3A,3Bを接続する船底外板からなる。上甲板5は、外部に露出する全通甲板である。船体2には、例えば、船尾2b側の上甲板5上に、居住区を有する上部構造6が形成されている。
【0013】
本実施形態で例示する船体2は、上部構造6よりも船首2a側に、貨物搭載区画(ホールド)7を有している。さらに、この貨物搭載区画7には、複数の貨物タンク11が設けられている。なお、貨物搭載区画7に複数の貨物タンク11を設ける場合を例示したが、この構成に限られず、例えば、貨物搭載区画7にコンテナ等の各種の貨物を搭載するようにしてもよい。また、船体2が貨物搭載区画7を有する場合について説明したが、貨物搭載区画7を有する船体2に限られるものではない。
【0014】
燃焼装置8は、燃料を燃焼させることで熱エネルギーを発生させる装置であり、上記の船体2内に設けられている。燃焼装置8としては、船舶1を推進させるための主機に用いられる内燃機関、船内に電気を供給する発電設備に用いられる内燃機関、作動流体としての蒸気を発生させるボイラー等を例示できる。燃焼装置8は、船体2内に設けられた燃料タンク9に、燃料供給配管系統101を介して接続されている。燃焼装置8は、燃料タンク9から燃料供給配管系統101を介して供給される燃料を燃焼させる。
【0015】
(二酸化炭素計量システムの構成)
図2は、本開示の実施形態に係る二酸化炭素計量システムの構成を示す図である。
図2に示すように、二酸化炭素計量システム20は、タンク21と、第一配管系統103と、第二配管系統104と、二酸化炭素回収部23と、排出配管系統105と、液化部25と、演算装置50と、を備えている。
【0016】
タンク21は、液化二酸化炭素を貯留可能である。本実施形態で例示するタンク21は、上甲板5上に設けられている。タンク21の配置は、上甲板5上に限られず、例えば、上甲板5下等に配置してもよい。なお、本実施形態では、タンク21を一つ備えている場合を例示しているが、タンク21の数は、一つに限られず、複数であってもよい。さらに、本実施形態では、タンク21として、いわゆる横置き円筒型のタンクを例示しているが、タンク21の形状は何ら限定されるものでは無く、例えば球形や方形等であってもよい。
【0017】
第一配管系統103は、液化部25とタンク21とを接続している。第一配管系統103は、液化部25で液化された液化二酸化炭素を、タンク21に送り込む。本実施形態の第一配管系統103は、例えば、数日から数週間の航海の間連続して、二酸化炭素回収部23で気体の二酸化炭素を回収し液化部25で液化された液化二酸化炭素をタンク21に送り込む。さらに、本実施形態の第一配管系統103は、停泊期間中も連続して二酸化炭素回収部23で気体の二酸化炭素を回収し液化部25で液化された液化二酸化炭素を、タンク21に送り込む。この停泊期間中に回収する二酸化炭素の量は、航行中(数日から数週間の航海)に比べて少ない場合がある。
【0018】
第一配管系統103の途中には、タンク21へと液化二酸化炭素を圧送するためのポンプ(図示せず)が設けられている。なお、液化部25とタンク21との位置関係と圧力差により、液化部25からタンク21へと液化二酸化炭素を移送できるのであれば、ポンプを省略しても良い。本実施形態で例示する第一配管系統103は、タンク21の頂部を貫通して、タンク21内の下部まで延びて開口しているが、この構成に限られず、液化部25で液化された液化二酸化炭素を、タンク21に送り込むことが可能な構成であればよい。
【0019】
第二配管系統104は、タンク21と、船体2に設けられたマニホールド(図示せず)とを接続している。マニホールドには、タンク21内の液化二酸化炭素を船外に送り出すための外部配管系統が接続可能とされている。第二配管系統104は、タンク21内の下部から上方に向かって延びてタンク21の頂部を貫通し、タンク21の外部に設けられた上記マニホールドに向かって延びている。タンク21内の下部に配置された第二配管系統104の先端部には、揚荷ポンプ108が設けられている。この揚荷ポンプ108は、タンク21内の液化二酸化炭素をタンク21外へ圧送可能とされている。第二配管系統104は、揚荷ポンプ108により圧送された液化二酸化炭素を、マニホールド(図示無し)を介して船外に送り出す。本実施形態の第二配管系統104は、例えば、数日から数週間掛けて回収貯留した液化二酸化炭素を、停泊期間中の数時間内に船外に送り出す。このため、停泊してタンク21から液化二酸化炭素を払い出しているとき、第一配管系統103の液化二酸化炭素の流量は、第二配管系統104の液化二酸化炭素の流量よりも十分小さい。停泊してタンク21から液化二酸化炭素を払い出しているときの第二配管系統104の流量としては、第一配管系統103の流量に対して10倍程度から数百倍程度を例示できる。
【0020】
(二酸化炭素回収部の構成)
二酸化炭素回収部23は、船体2に設けられ、二酸化炭素含有ガスである燃焼装置8の排ガスから、気体の二酸化炭素を回収する。本実施形態の二酸化炭素回収部23は、船体2の上甲板5上に設けられている場合を例示しているが、二酸化炭素回収部23の配置は、上甲板5上に限られるものでは無い。
【0021】
二酸化炭素回収部23は、排ガス管102を介して燃焼装置8(
図1参照)から送り込まれる排ガスに含まれる二酸化炭素(気体)を回収する。二酸化炭素の回収する方法としては、例えば、吸収液に二酸化炭素を吸収させる化学吸収法が挙げられる。また、二酸化炭素を化学吸収法で吸収させる場合の吸収液としては、MEA(モノエタノールアミン)を例示できる。二酸化炭素回収部23は、二酸化炭素を吸収した上記吸収液を加熱等することによって、吸収液に吸収された二酸化炭素を、吸収液から気体の状態で分離させる。この分離された気体の二酸化炭素は、液化部25に向けて送り出される。ここで、二酸化炭素を吸収液に吸収させた後の排ガスは、例えば、洗浄処理等を施した後に、船舶1に設けられた排気用のファンネル(図示せず)等を介して大気中に放出される。
【0022】
(液化部の構成)
液化部25は、二酸化炭素回収部23により回収された気体の二酸化炭素を液化する。本実施形態の二酸化炭素回収部23と液化部25とは、排出配管系統105によって接続されており、液化部25は、排出配管系統105を通して二酸化炭素回収部23から送られる気体の二酸化炭素を液化する。より具体的には、液化部25は、排出配管系統105を介して送り込まれた気体の二酸化炭素を圧縮し、この圧縮された気体の二酸化炭素を冷却することで液化させる。液化部25で液化された二酸化炭素(以下、液化二酸化炭素と称する)は、第一配管系統103を介してタンク21内に送り込まれる。
【0023】
(タンクから払い出される液化二酸化炭素を計量するための構成)
二酸化炭素計量システム20は、タンク21から払い出される液化二酸化炭素の質量を計量するため、以下に示すような各構成を更に有している。
【0024】
第一配管系統103には、第一流量計91が設けられている。第一流量計91は、第一配管系統103によってタンク21に送り込まれる液化二酸化炭素の流量を検出する。本実施形態で例示する第一流量計91は、第一配管系統103によってタンク21に送り込まれる液化二酸化炭素の体積流量を検出する体積流量計である。
【0025】
また、第二配管系統104には、第二流量計92が設けられている。第二流量計92は、第二配管系統104によってタンク21から払い出される液化二酸化炭素の流量を検出する。本実施形態に例示する第二流量計92は、第二配管系統104によってタンク21から払い出される液化二酸化炭素の体積流量を検出する体積流量計である。
【0026】
さらに、タンク21には、レベル計81と、タンク温度計82と、タンク圧力計83と、が設けられている。レベル計81は、タンク21内の液面レベルを検出する。タンク温度計82は、タンク21内の液化二酸化炭素の温度を検出する。タンク圧力計83は、タンク21内の圧力(気相の圧力)を検出する。
【0027】
また、第一配管系統103には、第一圧力センサー85と、第一温度センサー86と、が設けられている。第一圧力センサー85は、液化部25から第一配管系統103を介してタンク21へ送り込まれる液化二酸化炭素の圧力を検出する。第一温度センサー86は、液化部25から第一配管系統103を介してタンク21へ送り込まれる液化二酸化炭素の温度を検出する。
【0028】
第二配管系統104には、純度検出計87が設けられている。純度検出計87は、タンク21から第二配管系統104を介して払い出される液化二酸化炭素の純度を検出する。また、本実施形態の第一配管系統103には、液化部25から第一配管系統103を介してタンク21へ送り込まれる液化二酸化炭素の純度を検出する純度検出計89が設けられている。なお、純度検出計89は、適宜設ければ良く、例えば省略することもできる。
【0029】
燃料供給配管系統101には、燃料計88が設けられている。燃料計88は、燃料供給配管系統101を介して燃料タンク9から燃焼装置8に供給される燃料の流量を検出する。燃料計88は、燃焼装置8による燃料の消費量を検出可能である。また、燃料供給配管系統101には、燃料供給配管系統101を介して燃料タンク9から燃焼装置8に供給される燃料の温度を検出する燃料温度計84が更に設けられている。
【0030】
(ハードウェア構成図)
図3は、本開示の実施形態に係る演算装置のハードウェア構成を示す図である。
図3に示すように、演算装置50は、CPU51(Central Processing Unit)、ROM52(Read Only Memory)、RAM53(Random Access Memory)、ストレージ54、信号送受信モジュール55を備えるコンピュータである。信号送受信モジュール55は、第一流量計91、第二流量計92、レベル計81、タンク温度計82、タンク圧力計83、第一圧力センサー85、第一温度センサー86、純度検出計87、89、燃料計88、燃料温度計84からの検出信号を受信する。
【0031】
(機能ブロック図)
図4は、本開示の実施形態に係る制御装置の機能ブロック図である。
図4に示すように、演算装置50のCPU51はROM52やストレージ54等の記憶装置に予め記憶されたプログラムを実行することにより、信号入力部70、情報取得部71、払出質量取得部72、情報出力部73の各構成を実現する。
【0032】
信号入力部70は、信号送受信モジュール55を介して、第一流量計91、第二流量計92、レベル計81、タンク温度計82、タンク圧力計83、第一圧力センサー85、第一温度センサー86、純度検出計87、89、燃料計88、燃料温度計84の各々からの検出信号を受信する。
【0033】
情報取得部71は、信号入力部70で受信した検出信号に基づいて、第一流量計91、第二流量計92、レベル計81、タンク温度計82、タンク圧力計83、第一圧力センサー85、第一温度センサー86、純度検出計87、89、燃料計88、燃料温度計84の各々で検出される各パラメータの検出値を取得する。
【0034】
払出質量取得部72は、情報取得部71により取得した、第一流量計91、第二流量計92、レベル計81、タンク温度計82、タンク圧力計83、第一圧力センサー85、第一温度センサー86、純度検出計87、89、燃料計88、燃料温度計84の各々で検出される各パラメータの検出値に基づいて、タンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量を取得する。
【0035】
図5は、本開示の実施形態に係る二酸化炭素計量システムにおいて、払出後におけるタンクの液面レベルを示す図である。
払出質量取得部72は、レベル計81と、タンク温度計82と、タンク圧力計83と、の検出結果に基づいて、タンク21内に貯留されている液化二酸化炭素の質量を求める。
図2に示すように、払出質量取得部72は、タンク21内から液化二酸化炭素を払い出す前に、レベル計81による液面レベルL1の検出値を取得する。また、
図5に示すように、払出質量取得部72は、タンク21内から液化二酸化炭素を払出し中も、レベル計81により液面レベルL2の検出値を取得する。なお、タンク21内から液化二酸化炭素の払い出しは、液面レベルL2が所定の閾値に到達するまで継続され、所定の閾値に到達した時点で停止(払い出し完了)する。
【0036】
また、払出質量取得部72は、タンク21内から液化二酸化炭素を払い出す前と、タンク21内からの液化二酸化炭素の払い出しが完了した後と、のそれぞれにおいて、タンク温度計82で検出されるタンク21内の液化二酸化炭素の温度と、タンク圧力計83で検出されるタンク21内の圧力とに基づいて、タンク21内の液化二酸化炭素の比重を算出する。
さらに、払出質量取得部72は、タンク21内から液化二酸化炭素を払い出す前の液面レベルL1、及び液化二酸化炭素の比重から、タンク21内から液化二酸化炭素を払い出す前の液化二酸化炭素の質量を算出する。また、払出質量取得部72は、タンク21内からの液化二酸化炭素の払い出しが完了した後の液面レベルL2、及び液化二酸化炭素の比重から、タンク21内からの液化二酸化炭素の払い出しが完了した後の液化二酸化炭素の質量を算出する。そして、払出質量取得部72は、タンク21内から液化二酸化炭素を払い出す前の液化二酸化炭素の質量と、タンク21内からの液化二酸化炭素の払い出しが完了した後の液化二酸化炭素の質量との差分を算出する。このようにして、払出質量取得部72は、タンク21内から液化二酸化炭素を払い出す前と、払い出し完了後とにおける、タンク21内に貯留された液化二酸化炭素の質量の変化量を取得する。
なお、払出質量取得部72は、例えば、タンク温度計82で検出されるタンク21内の液化二酸化炭素の温度と、タンク圧力計83で検出されるタンク21内の圧力とを、タンク21内から液化二酸化炭素を払い出している途中で複数回検出し、その平均値を用いて、タンク21内の液化二酸化炭素の比重を算出するようにしてもよい。
【0037】
払出質量取得部72は、第一流量計91の検出結果に基づいて、タンク21内から液化二酸化炭素を払い出している最中に、第一配管系統103によってタンク21に送り込まれる液化二酸化炭素の質量を求める。具体的には、払出質量取得部72は、第一流量計91で検出された、タンク21内からの液化二酸化炭素を払出し中に、第一配管系統103によってタンク21に送り込まれる液化二酸化炭素の体積流量を取得する。払出質量取得部72は、この第一配管系統103によりタンク21内に送り込まれる液化二酸化炭素の体積流量と、第一圧力センサー85で検出された圧力と、第一温度センサー86で検出された液化二酸化炭素の温度と、に基づき、第一配管系統103によりタンク21へ送り込まれる液化二酸化炭素の質量流量を取得する。
【0038】
払出質量取得部72は、更に、払い出す前と払い出し完了後における、タンク21の液化二酸化炭素の質量の変化量と、第一配管系統103によってタンク21に送り込まれた液化二酸化炭素の質量流量とに基づいて、タンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量(払い出し開始から完了までの積算値)を取得する。
【0039】
さらに、払出質量取得部72は、純度検出計87で検出された液化二酸化炭素の純度に基づいて、タンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量を補正する。言い換えれば、取得したタンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量から、タンク21から払い出された液化二酸化炭素に含まれる不純物の質量を減算する。また、払出質量取得部72は、純度検出計89で検出された液化二酸化炭素の純度に基づいて、タンク21内からの液化二酸化炭素の払い出し中に、第一配管系統103によってタンク21に送り込まれた液化二酸化炭素の質量を補正する。
なお、純度検出計87、89で検出された液化二酸化炭素の純度に基づく、液化二酸化炭素の質量の補正は、タンク21内の液化二酸化炭素の質量を算出する毎に行うようにしてもよい。
【0040】
ここで、本実施形態の払出質量取得部72は、第二流量計92の検出結果に基づいて、第二配管系統104を介してタンク21から払い出された液化二酸化炭素の流量の積算値を取得し、第二配管系統104を介して払い出された液化二酸化炭素の量を取得している。払出質量取得部72は、第二流量計92の検出結果に基づいて取得された液化二酸化炭素の流量と、上記したようにレベル計81、タンク温度計82、タンク圧力計83、第一流量計91、第一圧力センサー、及び第一温度センサー86の検出結果に基づいて取得された液化二酸化炭素の払出量と比較することもできる。これにより、例えば、レベル計81、タンク温度計82、タンク圧力計83、第一流量計91、第一圧力センサー、及び第一温度センサー86の少なくとも一つに異常が生じた場合等に、異常の発生を簡易な構成で検知できる。
【0041】
また、本実施形態の払出質量取得部72は、燃料計88で検出された燃料の消費量に基づいて、燃焼装置8から排出される気体の二酸化炭素の質量を取得している。より具体的には、払出質量取得部72は、燃料計88で検出された燃料の消費量と、燃料温度計84で検出される燃料の温度と、燃料タンク9に搭載された燃料のバンカー性状(燃料の比重、粘度、発熱量等)とに基づいて、燃料の重量消費量を算出する。なお、燃料タンク9に搭載される燃料のバンカー性状の情報は、製造者等から事前に入手可能である。
【0042】
払出質量取得部72は、算出された燃料の重量消費量をもとに、IMO(国際海事機関)で規定された二酸化炭素換算係数から、航行中に燃料を燃焼させることで排出された二酸化炭素量(質量)を算出する。そして、本実施形態の払出質量取得部72は、航行中に燃料を燃焼させることで排出された二酸化炭素の質量と、上記したタンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量との差に基づき、温室効果ガス(GHG:Green House Gas)の削減率を算出する。
【0043】
情報出力部73は、上記したように払出質量取得部72で取得された算出結果に基づく情報を、外部に出力する。ここで、情報出力部73から外部に出力する情報としては、例えば、タンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量、温室効果ガス(GHG)の削減率等が例示できる。情報出力部73による出力としては、例えば、モニター装置への画像表示、外部のコンピュータ端末へのデータ送信、プリンター等における書類の印刷等を例示できる。
【0044】
(二酸化炭素計量方法の手順)
図6は、本開示の実施形態に係る二酸化炭素計量方法の手順を示すフローチャートである。
図6に示すように、本開示の実施形態に係る二酸化炭素計量方法S10は、タンク21内の液面レベルを取得するステップS11と、タンク21内の温度及び圧力を取得するステップS12と、タンク21へ送り込まれる液化二酸化炭素の流量を取得するステップS13と、タンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量を取得するステップS14と、温室効果ガスの削減率を算出するステップS15と、を含んでいる。
【0045】
タンク21内の液面レベルを取得するステップS11では、払出質量取得部72で、タンク21内から液化二酸化炭素の払い出しを開始する前に、レベル計81におけるタンク21内の液面レベルL1を検出する。また、
図5に示すように、タンク21内からの液化二酸化炭素の払い出し中に、払出質量取得部72で、レベル計81におけるタンク21内の液面レベルL2を検出する。
【0046】
タンク21内の温度及び圧力を取得するステップS12では、払出質量取得部72で、タンク温度計82で検出されるタンク21内の液化二酸化炭素の温度と、タンク圧力計83で検出されるタンク21内の圧力とを取得する。
払出質量取得部72は、ステップS11でタンク21内の液面レベルを取得する毎に、タンク温度計82で検出されるタンク21内の液化二酸化炭素の温度と、タンク圧力計83で検出されるタンク21内の圧力とに基づいて、タンク21内の液化二酸化炭素の比重を算出する。払出質量取得部72は、ステップS11で算出された、払い出し前、払い出し完了後の各時点における液面レベルと、ステップS12で算出された各時点における液化二酸化炭素の比重とに基づいて、タンク21内の液化二酸化炭素の質量の変化量を取得する。
【0047】
ここで、本実施形態では、上記ステップS11、S12と並行して、タンク21内からの液化二酸化炭素の払い出し中に、第二流量計92によって、第二配管系統104を介してタンク21から払い出された液化二酸化炭素の流量を検出する。
【0048】
タンク21へ送り込まれる液化二酸化炭素の流量を取得するステップS13では、払出質量取得部72で、タンク21内からの液化二酸化炭素の払出中に、第一流量計91で検出された、第一配管系統103によってタンク21に送り込まれた液化二酸化炭素の体積流量を取得する。また、ステップS13では、タンク21内からの液化二酸化炭素の払い出し中に、第一配管系統103によってタンク21に送り込まれる液化二酸化炭素の圧力を第一圧力センサー85で検出するとともに、第一配管系統103によってタンク21に送り込まれた液化二酸化炭素の温度を、第一温度センサー86で検出する。
【0049】
タンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量を取得するステップS14では、ステップS11、S12で取得した、払い出し前と払い出し完了後における、タンク21内の液化二酸化炭素の質量の変化量と、ステップS13で取得した、第一配管系統103によってタンク21に送り込まれる液化二酸化炭素の質量流量とに基づいて、タンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量(積算値)を取得する。
本実施形態のステップS14では、さらに、払出質量取得部72で、純度検出計87で検出された液化二酸化炭素の純度に基づいて、タンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量を補正する。払出質量取得部72で、純度検出計89で検出された液化二酸化炭素の純度に基づいて、タンク21内からの液化二酸化炭素の払い出し中に、第一配管系統103によってタンク21に送り込まれた液化二酸化炭素の質量を補正する。
なお、ステップS14では、第二流量計92の検出結果に基づいて、第二配管系統104を介して払い出された液化二酸化炭素の量を取得して、第二流量計92の検出結果に基づいて取得した液化二酸化炭素の量と、上記したレベル計81、タンク温度計82、タンク圧力計83、第一流量計91、第一圧力センサー、及び第一温度センサー86の検出結果に基づいて取得された液化二酸化炭素の払出量と比較するようにしてもよい。
なお、上記のステップS11~S14において、タンク21から液化二酸化炭素を払い出す前から、タンク21からの液化二酸化炭素の払い出しが完了した時点まで、タンク21内の液面レベル、液化二酸化炭素の温度、圧力、純度の取得を順次行う。払出質量取得部72では、取得した液面レベル、液化二酸化炭素の温度、圧力、純度のデータを蓄積しておき、タンク21からの液化二酸化炭素の払い出しが完了した後に、タンク21からの液化二酸化炭素の払出量を算出してもよい。本実施形態では、タンク21からの液化炭素の払出を行っている間に、液面レベル、液化二酸化炭素の温度、圧力、純度を取得する毎に、液化二酸化炭素の変化量の算出を行い、順次蓄積していくことで、液化二酸化炭素の払出量を算出する。このため、本実施形態において、上記したステップS11~S14は、並行して実施する。
【0050】
温室効果ガスの削減率を算出するステップS15は、まず払出質量取得部72で、燃料計88で検出された燃料の消費量に基づいて、燃焼装置8から排出される気体の二酸化炭素の質量を取得する。払出質量取得部72は、燃料計88で検出された燃料の消費量と、燃料温度計84で検出される燃料の温度と、燃料タンク9に搭載された燃料のバンカー性状(燃料の比重、粘度、発熱量等)とに基づいて、燃料の重量消費量を算出する。
払出質量取得部72は、算出された燃料の重量消費量をもとに、IMOで規定された二酸化炭素換算係数から、航行中に燃料を燃焼させることで排出した二酸化炭素量を算出する。払出質量取得部72は、航行中に燃料を燃焼させることで排出した二酸化炭素量と、上記したタンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量との差に基づき、温室効果ガスの削減率を算出する。
その後、ステップS15では、払出質量取得部72で取得された算出結果に基づく情報を、外部に出力する。
【0051】
(作用効果)
上記実施形態の二酸化炭素計量システム20では、タンク21内の液面レベルと、タンク21内の温度と、タンク21内の圧力と、に基づいてタンク21内に貯留されている液化二酸化炭素の質量を求めることができる。これにより、タンク21内の液化二酸化炭素を払い出す前と、タンク21内の液化二酸化炭素を払い出した後との間で、タンク21内に貯留されている液化二酸化炭素の質量変化を取得できる。また、第一流量計91の検出結果に基づいて、液化部25からタンク21に送り込まれる液化二酸化炭素の質量流量を求める。このようにして求められた、タンク21内に貯留されている液化二酸化炭素の質量と、タンク21内から液化二酸化炭素を払い出している最中に第一配管系統103によってタンク21に送り込まれる液化二酸化炭素の質量流量とに基づいて、タンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量を、より高精度に取得できる。その結果、荷揚げされた液化二酸化炭素の質量を、より高い精度で取得することができる。
【0052】
また、上記実施形態では、液化二酸化炭素の体積流量を検出する第一流量計91を用いつつ、第一流量計91で検出された液化二酸化炭素の体積流量と、第一圧力センサー85で検出された圧力と、第一温度センサーで検出された液化二酸化炭素の温度と、に基づき、第一配管系統103によりタンク21へ送り込まれる液化二酸化炭素の質量流量を取得することができる。
【0053】
さらに、上記実施形態では、第二流量計92で、第二配管系統104によってタンク21外に払い出される液化二酸化炭素の流量を検出することで、第二流量計92で検出された、タンク21外に払い出される液化二酸化炭素の流量を、レベル計81、タンク圧力計83、タンク温度計82、及び第一流量計91を用いて求めた、タンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量と比較することができるため、簡易的な異常検知を行うことができる。
【0054】
また、上記実施形態では、停船してタンク21から液化二酸化炭素を払い出しているときに、第二配管系統104の液化二酸化炭素の流量よりも第一配管系統103の液化二酸化炭素の流量が十分小さいので、第二流量計92により検出される液化二酸化炭素の流量よりも、第一流量計91により検出される液化二酸化炭素の流量を、少ない誤差で検出できる。
【0055】
また、上記実施形態では、液化二酸化炭素の純度に基づいて、タンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量を補正することで、タンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量を、より高精度に取得できる。
【0056】
また、上記実施形態では、燃料計88で検出された燃料の消費量に基づいて取得される、燃焼装置8から排出される気体の二酸化炭素の質量と、タンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量と、に基づいて、温室効果ガスの削減率を算出することができる。
【0057】
また、上記実施形態の船舶1では、荷揚げされた液化二酸化炭素の質量を、より高い精度で取得することができる二酸化炭素計量システムを備えた船舶1を提供することができる。
【0058】
上記実施形態の二酸化炭素計量方法S10では、タンク21内の温度及び圧力、タンク21内の液面レベルの変化量、及び液化部25からタンク21へ送り込まれる液化二酸化炭素の流量、に基づいて、タンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量を取得することができる。これにより、タンク21内の液化二酸化炭素を払い出す前と、タンク21内の液化二酸化炭素を払い出した後との間で、タンク21内に貯留されている液化二酸化炭素の質量変化を取得できる。また、液化部25からタンク21に送り込まれる液化二酸化炭素の質量を取得することで、タンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量を、より高精度に取得できる。その結果、荷揚げされた液化二酸化炭素の質量を、より高い精度で取得することができる。
【0059】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
上記実施形態では、第一流量計91で検出された液化二酸化炭素の体積流量と、第一圧力センサー85で検出された圧力と、第一温度センサーで検出された液化二酸化炭素の温度と、に基づき、第一配管系統103によりタンク21へ送り込まれる液化二酸化炭素の質量流量を取得するようにしたが、これに限られない。
例えば、液化二酸化炭素の体積流量を検出する第一流量計91を用いつつ、第一流量計91で検出された液化二酸化炭素の体積流量と、タンク圧力計83で検出される、タンク21内の液化二酸化炭素の圧力と、タンク温度計82で検出される、タンク21内の液化二酸化炭素の温度と、に基づき、液化部25からタンク21へ送り込まれる液化二酸化炭素の質量を取得するようにしてもよい。さらに、液化二酸化炭素の体積流量を検出する第一流量計91を用いつつ、第一流量計91で検出された液化二酸化炭素の体積流量と、液化部25が備える圧力計及び温度計(何れも図示せず)で検出された液化二酸化炭素の圧力及び温度と、に基づき、液化部25からタンク21へ送り込まれる液化二酸化炭素の質量を取得するようにしてもよい。
【0060】
また、第一流量計91では、液化部25からタンク21に送り込まれる液化二酸化炭素の質量流量を検出するようにしてもよい。これにより、第一配管系統103を流れる液化二酸化炭素の体積流量を質量流量に変換する必要が無くなり、タンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量をより容易に算出することができる。
【0061】
また、上記実施形態では、第二流量計92で、第二配管系統104によってタンク21外に払い出される液化二酸化炭素の流量を検出するようにしたが、第二配管系統104を流れる液化二酸化炭素の圧力、及び温度を検出するようにしてもよい。これにより、第二流量計92で検出された液化二酸化炭素の体積流量と、第二配管系統104を流れる液化二酸化炭素の圧力、及び温度と、に基づき、第二配管系統104によりタンク21から払い出される液化二酸化炭素の質量流量を取得することができる。
【0062】
また、液化二酸化炭素の体積流量を検出する第二流量計92を用いつつ、タンク圧力計83で検出される、タンク21内の液化二酸化炭素の圧力と、タンク温度計82で検出される、タンク21内の液化二酸化炭素の温度と、に基づき、第二配管系統104を流れる液化二酸化炭素の質量流量を取得するようにしてもよい。
【0063】
また、第二流量計92では、第二配管系統104を流れる液化二酸化炭素の質量流量を検出するようにしてもよい。これにより、第二流量計92の検出結果と、取得したタンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量とを比較して、より正確な異常検知を行うことができる。
【0064】
また、上記実施形態では、純度検出計87、89で、液化二酸化炭素の純度を検出するようにしたが、液化二酸化炭素の純度の検出位置は、第一配管系統103内や第二配管系統104内に限らず、例えばタンク21内等であってもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、タンク21内から液化二酸化炭素を払い出す前と、タンク21内からの液化二酸化炭素の払い出しが完了した後の液化二酸化炭素の質量の差から、液化二酸化炭素の払出量を得るようにしたが、これに限られない。タンク21内から液化二酸化炭素を払い出す前から、液化二酸化炭素の払い出しが完了するまで、例えば所定の時間間隔毎に、タンク21内の液面レベルと、タンク21内の液化二酸化炭素の温度、及び圧力の検出を行い、液化二酸化炭素の質量の変化量を順次積算していくようにしてもよい。液化部25からタンク21へと送り込まれる液化二酸化炭素についても、同様に、タンク21内から液化二酸化炭素を払い出す前から、液化二酸化炭素の払い出しが完了するまで、例えば所定の時間間隔毎に、液化二酸化炭素の体積流量、圧力、及び温度を取得し、タンク21へ送り込まれる液化二酸化炭素の質量流量を順次蓄積していくようにしてもよい。
【0066】
<付記>
実施形態に記載の二酸化炭素計量システム20、船舶1、及び二酸化炭素計量方法S10は、例えば以下のように把握される。
【0067】
(1)第1の態様に係る二酸化炭素計量システム20は、二酸化炭素含有ガスから気体の二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収部23と、前記二酸化炭素回収部23により回収された気体の二酸化炭素を液化する液化部25と、液化二酸化炭素を貯留可能なタンク21と、前記液化部25によって液化された液化二酸化炭素を前記タンク21内に送り込む第一配管系統103と、前記タンク21内の液面レベルを検出するレベル計81と、前記タンク21内の温度を検出するタンク温度計82と、前記タンク21内の圧力を検出するタンク圧力計83と、前記第一配管系統103によって前記タンク21に送り込まれる液化二酸化炭素の流量を検出する第一流量計91と、前記タンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量を取得する払出質量取得部72と、を備え、前記払出質量取得部72は、前記レベル計81と、前記タンク温度計82と、前記タンク圧力計83と、の検出結果に基づいて前記タンク21内に貯留されている液化二酸化炭素の質量を求めるとともに、前記第一流量計91の検出結果に基づいて前記第一配管系統103によって前記タンク21に送り込まれる液化二酸化炭素の質量を求めて、求められた前記タンク21内に貯留されている液化二酸化炭素の質量と、前記第一配管系統103によって前記タンク21に送り込まれる液化二酸化炭素の質量とに基づいて、前記タンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量を取得する。
【0068】
これにより、タンク21内に貯留されている液化二酸化炭素の質量と、第一配管系統103によってタンク21に送り込まれる液化二酸化炭素の質量とに基づいて、タンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量を、より高精度に取得できる。その結果、荷揚げされた液化二酸化炭素の質量を、より高い精度で取得することができる。
【0069】
(2)第2の態様に係る二酸化炭素計量システム20は、(1)の二酸化炭素計量システム20であって、前記液化部25から前記タンク21へ送り込まれる液化二酸化炭素の圧力を検出する第一圧力センサー85と、前記液化部25から前記タンク21へ送り込まれる液化二酸化炭素の温度を検出する第一温度センサーと、を更に備え、前記第一流量計91は、前記第一配管系統103により前記タンク21に送り込まれる液化二酸化炭素の体積流量を検出し、前記払出質量取得部72は、前記第一流量計91で検出された液化二酸化炭素の体積流量と、前記第一圧力センサー85で検出された圧力と、前記第一温度センサーで検出された液化二酸化炭素の温度と、に基づき、前記第一配管系統103により前記タンク21へ送り込まれる液化二酸化炭素の質量を取得する。
【0070】
これにより、液化二酸化炭素の体積流量を検出する第一流量計91を用いつつ、第一流量計91で検出された液化二酸化炭素の体積流量と、第一圧力センサー85で検出された圧力と、第一温度センサーで検出された液化二酸化炭素の温度と、に基づき、第一配管系統103によりタンク21へ送り込まれる液化二酸化炭素の質量を取得することができる。
【0071】
(3)第3の態様に係る二酸化炭素計量システム20は、(1)の二酸化炭素計量システム20であって、前記第一流量計91は、前記第一配管系統103により前記タンク21に送り込まれる液化二酸化炭素の体積流量を検出し、前記払出質量取得部72は、前記第一流量計91で検出された液化二酸化炭素の体積流量と、前記タンク圧力計83で検出される、前記タンク21内の液化二酸化炭素の圧力と、前記タンク温度計82で検出される、前記タンク21内の液化二酸化炭素の温度と、に基づき、前記液化部25から前記タンク21へ送り込まれる液化二酸化炭素の質量を取得する。
【0072】
これにより、液化二酸化炭素の体積流量を検出する第一流量計91を用いつつ、第一流量計91で検出された液化二酸化炭素の体積流量と、前記タンク圧力計83で検出される、前記タンク21内の液化二酸化炭素の圧力と、前記タンク温度計82で検出される、前記タンク21内の液化二酸化炭素の温度と、に基づき、液化部25からタンク21へ送り込まれる液化二酸化炭素の質量を取得することができる。
【0073】
(4)第4の態様に係る二酸化炭素計量システム20は、(1)の二酸化炭素計量システム20であって、前記第一流量計91は、前記液化部25から前記タンク21に送り込まれる液化二酸化炭素の質量流量を検出する。
【0074】
これにより、第一流量計91で、液化部25から前記タンク21に送り込まれる液化二酸化炭素の質量流量を検出することで、タンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量を、よりダイレクトに検出できる。
【0075】
(5)第5の態様に係る二酸化炭素計量システム20は、(1)から(4)の何れか一つの二酸化炭素計量システム20であって、前記タンク21内の液化二酸化炭素を前記タンク21外に払い出す第二配管系統104と、前記第二配管系統104によって前記タンク21外に払い出される液化二酸化炭素の体積流量を検出する第二流量計92と、を更に備える。
【0076】
これにより、第二流量計92で、第二配管系統104によってタンク21外に払い出される液化二酸化炭素の流量を検出することで、第二流量計92で検出された、タンク21外に払い出される液化二酸化炭素の流量を、レベル計81、タンク圧力計83、タンク温度計82、及び第一流量計91を用いて求めた、タンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量と比較することができる。
【0077】
(6)第6の態様に係る二酸化炭素計量システム20は、(5)の二酸化炭素計量システム20であって、停船して前記タンクから液化二酸化炭素を払い出しているときに、前記第一配管系統103の流量は、前記第二配管系統104の流量よりも小さい。
【0078】
これにより、第二流量計92により検出される液化二酸化炭素の流量よりも、第一流量計91により検出される液化二酸化炭素の流量を、少ない誤差で検出できる。
【0079】
(7)第7の態様に係る二酸化炭素計量システム20は、(1)から(6)の何れか一つの二酸化炭素計量システム20であって、前記タンク21から払い出される液化二酸化炭素の純度を検出する純度検出計87,89を更に備え、前記払出質量取得部72は、前記純度検出計87,89で検出された液化二酸化炭素の純度に基づいて、前記タンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量を補正する。
【0080】
これにより、液化二酸化炭素の純度に基づいて、タンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量を補正することで、タンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量を、より高精度に取得できる。
【0081】
(8)第8の態様に係る二酸化炭素計量システム20は、(1)から(7)の何れか一つの二酸化炭素計量システム20であって、燃料を燃焼する燃焼装置8と、前記燃焼装置8による燃料の消費量を検出可能な燃料計88と、を更に備え、前記払出質量取得部72は、前記燃料計88で検出された燃料の消費量に基づいて、前記燃焼装置8から排出される気体の二酸化炭素の質量を取得し、取得した気体の二酸化炭素の質量と、前記タンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量と、に基づいて、温室効果ガスの削減率を算出する。
【0082】
これにより、燃料計88で検出された燃料の消費量に基づいて取得される、燃焼装置8から排出される気体の二酸化炭素の質量と、タンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量と、に基づいて、温室効果ガスの削減率を算出することができる。
【0083】
(9)第9の態様に係る船舶1は、船体2と、(1)から(8)の何れか一つの二酸化炭素計量システム20と、を備えている。
【0084】
これにより、荷揚げされた液化二酸化炭素の質量を、より高い精度で取得することができる二酸化炭素継承システムを備えた船舶1を提供することができる。
【0085】
(10)第10の態様に係る二酸化炭素計量方法S10は、(1)から(8)の何れか一つの二酸化炭素計量システム20における二酸化炭素計量方法S10であって、前記タンク21内の液面レベルを取得するステップS11と、前記タンク21内の温度及び圧力を取得するステップS12と、前記液化部25から前記タンク21へ送り込まれる液化二酸化炭素の流量を取得するステップS13と、前記タンク21内の温度及び圧力、前記タンク21内の前記液面レベルの変化量、及び前記液化部25から前記タンク21へ送り込まれる液化二酸化炭素の流量、に基づいて、前記タンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量を取得するステップS14と、を含んでいる。
【0086】
これにより、タンク21内の液化二酸化炭素を払い出す前と、タンク21内の液化二酸化炭素を払い出した後との間で、タンク21内に貯留されている液化二酸化炭素の質量変化を取得できる。また、液化部25からタンク21に送り込まれる液化二酸化炭素の質量を取得することで、タンク21から払い出された液化二酸化炭素の質量を、より高精度に取得できる。その結果、荷揚げされた液化二酸化炭素の質量を、より高い精度で取得することができる。
【符号の説明】
【0087】
1…船舶 2…船体 2a…船首 2b…船尾 3A、3B…舷側 4…船底 5…上甲板 6…上部構造 7…貨物搭載区画 8…燃焼装置 9…燃料タンク 11…貨物タンク 20…二酸化炭素計量システム 21…タンク 23…二酸化炭素回収部 25…液化部 50…演算装置 51…CPU 52…ROM 53…RAM 54…ストレージ 55…信号送受信モジュール 70…信号入力部 71…情報取得部 72…払出質量取得部 73…情報出力部 81…レベル計 82…タンク温度計 83…タンク圧力計 84…燃料温度計 85…第一圧力センサー 86…第一温度センサー 87…純度検出計 88…燃料計 89…純度検出計 91…第一流量計 92…第二流量計 101…燃料供給配管系統 102…排ガス管 103…第一配管系統 104…第二配管系統 105…排出配管系統 108…揚荷ポンプ L1…液面レベル L2…液面レベル