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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021760
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】車両用の錠および盗難防止システム
(51)【国際特許分類】
   B62H 5/00 20060101AFI20250206BHJP
   B62J 45/00 20200101ALI20250206BHJP
   E05B 71/00 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
B62H5/00 Z
B62J45/00
E05B71/00 G
E05B71/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125705
(22)【出願日】2023-08-01
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼山 翔
(72)【発明者】
【氏名】加治木 孝一
(57)【要約】
【課題】車両に備えられる装置における電力供給減の小規模化を図る。
【解決手段】車両を施錠状態と解錠状態とで切替える錠として、施錠状態に対応する施錠位置と前記解錠状態に対応する解錠位置とで移動可能な可動部と、コイル及び磁歪部材を含み、前記可動部の移動に応じて、前記磁歪部材を変形させることによって前記コイルに電力を発生させる発電部とを備えて構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を施錠状態と解錠状態とで切替える錠であって、
前記施錠状態に対応する施錠位置と前記解錠状態に対応する解錠位置とで移動可能な可動部と、
コイル及び磁歪部材を含み、前記可動部の移動に応じて、前記磁歪部材を変形させることによって前記コイルに電力を発生させる発電部と、
を備える車両用の錠。
【請求項2】
前記発電部は、
前記磁歪部材が取り付けられ、非磁性材料を含むように形成されるフレームと、
前記フレームを前記磁歪部材とともに第1方向に揺動可能に支持する第1ヨーク部、および、前記第1ヨーク部に繋がり、前記第1方向と異なる第2方向に前記磁歪部材と並んで配置される第2ヨーク部を有し、磁性材料を含むように形成されるヨークと、を備え、
前記コイルは、前記ヨークおよび前記磁歪部材の少なくとも1つに巻かれる
請求項1に記載の車両用の錠。
【請求項3】
車両を施錠状態と解錠状態とで切替える錠であって、前記施錠状態に対応する施錠位置と前記解錠状態に対応する解錠位置とで移動可能な可動部と、コイル及び磁歪部材を含み、前記可動部の移動に応じて、前記磁歪部材を変形させることによって前記コイルに電力を発生させる発電部とを備える錠と、
前記発電部による電力の発生状況に基づいて前記錠の施錠状態と解錠状態とを検知する第1検知部と、
前記発電部による電力の発生状況に基づいて前記車両の移動状態と停車状態とを検知する第2検知部と、
報知を行う報知部と、
前記第1検知部及び第2検知部の各々の検知結果に基づいて前記報知部に報知を行わせる報知制御部と、
を備える盗難防止システム。
【請求項4】
車両または前記車両の装備品に設けられ、振動することにより発電する発電部と、
車両を施錠状態と解錠状態に切替える錠の施錠状態と解錠状態とを検知する第1検知部と、
前記発電部による電力の発生状況に基づいて前記車両の移動状態と停車状態とを検知する第2検知部と、
報知を行う報知部と、
前記第1検知部及び第2検知部の各々の検知結果に基づいて報知部に報知を行わせる報知制御部と、
を備える盗難防止システム。
【請求項5】
前記発電部は、前記車両の移動により生じる振動によって発電する、
請求項4に記載の盗難防止システム。
【請求項6】
前記発電部によって発電された電力を蓄える蓄電部を、さらに有する、
請求項4または5に記載の盗難防止システム。
【請求項7】
報知を行う外部報知部を有する外部機器と通信する第1通信部を備え、
前記報知制御部は、前記第1通信部による通信を介して前記外部機器の前記外部報知部に車両盗難の発生を報知させる、
請求項4または5に記載の盗難防止システム。
【請求項8】
前記車両の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部を備え、
前記報知制御部は、前記第1通信部による通信を介して、前記外部機器の前記外部報知部に前記位置情報を報知させる、
請求項7に記載の盗難防止システム。
【請求項9】
前記錠は、外部機器と通信する第2通信部を備え、前記外部機器から前記第2通信部を経由して指示を受信し、前記受信された指示に応じて、施錠状態と解錠状態とで切り替えを行う、
請求項4または5に記載の盗難防止システム。
【請求項10】
前記車両は、人力駆動車両である、
請求項1または2に記載の車両用の錠。
【請求項11】
前記車両は、人力駆動車両である、
請求項3または4に記載の盗難防止システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の錠および盗難防止システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用の盗難防止システムとしては、例えば、盗難された自転車(車両)に取り付けた小型無線機が発信した識別情報を、所定間隔で配置された固定アンテナのうちのいずれかが中継してクラウドサーバに送信し、識別情報の送信元の固定アンテナの位置を自転車(車両)の位置として特定するようにされた技術が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-71301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような自転車(車両)用の盗難防止システムに関連して車両に備えられる装置への電源供給には一般にバッテリが使用されるが、装置の動作を維持させるにはバッテリの残量がなくならないように充電や交換等の作業が必要となる。このようなことを考慮すると、車両に備えられる装置について、バッテリを最小限にしたり、また、バッテリを備えなくとも動作可能なようにしたりすることが好ましく、特に、自転車においては、自転車(車両)自身の軽量化のためにも、比較的重量が大きなバッテリを備えなくとも、動作可能なようにすることが、強く求められている。
【0005】
本発明は、上記した課題を考慮して、車両に備えられる装置における電力供給減の小規模化が図られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上述した課題を解決する本発明の一態様は、車両を施錠状態と解錠状態とで切替える錠であって、施錠状態に対応する施錠位置と解錠状態に対応する解錠位置とで移動(揺動)可能な可動部と、コイル及び磁歪部材を含み、可動部の移動に応じて、磁歪部材を変形させることによってコイルに電力を発生させる発電部と、を備える車両用の錠である。
【0007】
上記構成によれば、車両の錠の可動部の移動に応じて、電力を発生させるので、電源供給を受けて動作することが可能となる。この場合、バッテリを省略することが可能となり、錠における電力供給減の小規模化が可能となる。
【0008】
(2)本発明の一態様は、(1)に記載の車両用の錠であって、発電部は、磁歪部材が取り付けられ、非磁性材料を含むように形成されるフレームと、フレームを磁歪部材とともに第1方向に揺動可能に支持する第1ヨーク部、および、第1ヨーク部に繋がり、第1方向と異なる第2方向に磁歪部材と並んで配置される第2ヨーク部を有し、磁性材料を含むように形成されるヨークと、を備え、コイルは、ヨークおよび磁歪部材の少なくとも1つに巻かれてよい。
【0009】
上記構成によれば、発電部の磁歪部材の大型化を抑制できることで、発電部を備える錠の大型化の抑制、重量の増加の抑制も可能になる。
【0010】
(3)本発明の一態様は、車両を施錠状態と解錠状態とで切替える錠であって、施錠状態に対応する施錠位置と解錠状態に対応する解錠位置とで移動可能な可動部と、コイル及び磁歪部材を含み、可動部の移動に応じて、磁歪部材を変形させることによってコイルに電力を発生させる発電部とを備える錠と、発電部による電力の発生状況に基づいて錠の施錠状態と解錠状態とを検知する第1検知部と、発電部による電力の発生状況に基づいて車両の移動状態と停車状態とを検知する第2検知部と、報知を行う報知部と、第1検知部及び第2検知部の各々の検知結果に基づいて報知部に報知を行わせる報知制御部と、を備える盗難防止システムである。
【0011】
上記構成によれば、磁歪方式による発電部を備える錠としての装置が、可動部の移動に応じて、発電部からの電源供給を受けて動作し、発電部の電力の発生状況に応じて、施錠と解錠のいずれの状態にあるのかの検知し、検知結果に基づいて報知することが可能となる。この場合、報知のためのバッテリを省略することが可能となり、錠における電力供給減の小規模化が可能となる。
【0012】
(4)本発明の一態様は、車両または車両の装備品に設けられ、振動することにより発電する発電部と、車両を施錠状態と解錠状態に切替える錠の施錠状態と解錠状態とを検知する第1検知部と、発電部による電力の発生状況に基づいて車両の移動状態と停車状態とを検知する第2検知部と、第1検知部及び第2検知部の各々の検知結果に基づいて報知部に報知を行わせる報知制御部と、を備える盗難防止システムである。
【0013】
上記構成によれば、振動が与えられることにより発電部を備える或る装置が、発電部からの電源供給を受けて動作しつつ、発電部による電力の発生状況に基づいて、車両が移動と停止のいずれの状態にあるのかを検知可能とされている。そのうえで、盗難防止システムは、車両が移動と停止のいずれの状態にあるのかの検知結果と、錠の施錠状態・解錠状態の検知結果とを利用して報知を行うことが可能となる。この場合、報知のためのバッテリを省略することが可能となり、車両が移動と停止のいずれの状態にあるのかを検知する装置における電力供給減の小規模化が可能となる。
【0014】
(5)本発明の一態様は、(4)に記載の盗難防止システムであって、発電部は、車両の移動により生じる振動によって発電してよい。
【0015】
上記構成によれば、発電部が車両の移動により生じる振動によって発電可能に構成され、また、発電部の発電状況に基づいて、車両が移動しているか否かの判定を行うことが可能となる。
【0016】
(6)本発明の一態様は、(4)または(5)に記載の盗難防止システムであって、発電部によって発電された電力を蓄える蓄電部を、さらに有してよい。
【0017】
上記構成によれば、発電部が発電した電力が蓄電部に蓄積されることで、発電部が発電していないときには蓄電部に蓄積された電力により装置を動作させることが可能となる。
【0018】
(7)本発明の一態様は、(4)から(6)のいずれか1つに記載の盗難防止システムであって、報知を行う外部報知部を有する外部機器と通信する第1通信部を備え、報知制御部は、第1通信部による通信を介して外部機器の外部報知部に車両盗難の発生を報知させてよい。
【0019】
上記構成によれば、外部装置に車両が盗難されたことの報知を実行させることができる。
【0020】
(8)本発明の一態様は、(7)に記載の盗難防止システムであって、車両の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部を備え、報知制御部は、第1通信部による通信を介して、外部機器の外部報知部に位置情報を報知させてよい。
【0021】
上記構成によれば、外部装置にて盗難された車両の位置を報知させることができる。
【0022】
(9)本発明の一態様は、(4)から(8)のいずれか1つに記載の盗難防止システムであって、錠は、外部機器と通信する第2通信部を備え、外部機器から第2通信部を経由して指示を受信し、受信された指示に応じて、施錠状態と解錠状態とで切り替えを行ってよい。
【0023】
上記構成によれば、外部装置からの遠隔制御によって錠の施錠・解錠が可能となる。
【0024】
(10)本発明の一態様は、(1)または(2)に記載の車両用の錠であって、車両は、人力駆動車両であってよい。
【0025】
上記構成によれば、人力駆動車両の盗難防止を図ることができる。
【0026】
(11)本発明の一態様は、(3)から(9)のいずれか1つに記載の盗難防止システムであって、車両は、人力駆動車両であってよい。
【0027】
上記構成によれば、人力駆動車両の盗難防止を図ることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、車両に備えられる装置における電力供給減の小規模化が図られるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1実施形態の制御装置の構成例を示す斜視図である。
図2】第1実施形態の制御装置の構成例を第4方向D4側から見た図である。
図3】第1実施形態の制御装置の構成例を示す断面図であって、図2のIII-III断面図である。
図4】第1実施形態の発電装置の構成例の一部を示す斜視図である。
図5】第1実施形態の発電装置の構成例の一部を示す分解斜視図である。
図6】第1実施形態の制御装置の構成例の操作部材を操作した際の断面図である。
図7】第1実施形態における盗難防止システムの全体的な構成例を示す図である。
図8】第1実施形態における錠の外観例を示す図である。
図9】第1実施形態における錠の機能構成例を示す図である。
図10】第1実施形態におけるユーザ端末の機能構成例を示す図である。
図11】第1実施形態における盗難防止支援サーバの機能構成例を示す図である。
図12】第1実施形態におけるユーザ情報の構造例を示す図である。
図13】第1実施形態における錠、ユーザ端末、および盗難防止支援サーバが盗難発生の報知に関連して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
図14】第1実施形態におけるユーザ端末と盗難防止支援サーバが盗難位置の表示に関連して実行する処理手順例について説明する。
図15】第1実施形態における他の例の錠の外観例を示す図である。
図16】第2実施形態における盗難防止システムの全体的な構成例を示す図である。
図17】第2実施形態における盗難防止装置の機能構成例を示す図である。
図18】第2実施形態における盗難防止支援サーバの機能構成例を示す図である。
図19】第2実施形態におけるユーザ端末と盗難防止支援サーバが、錠の錠状態(施錠状態・解錠状態)の管理に関連して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
図20】第2実施形態における盗難防止装置と盗難防止支援サーバとユーザ端末とが盗難報知に関連して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
図21】第3実施形態におけるユーザ端末が、錠の錠状態(施錠状態・解錠状態)の管理に関連して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
図22】第3実施形態における盗難防止装置と盗難防止支援サーバとユーザ端末とが盗難報知に関連して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<第1実施形態>
以下、本実施形態の盗難防止システムについて説明する。本実施形態の盗難防止システムは、自転車の錠(車両に備えられる装置の一例)を1つの装置として含む。錠は、振動が加えられることによって発電する発電装置(発電部の一例)を備え、当該発電装置が発電した電力により動作する。
【0031】
[発電装置の構造例]
まず、図1図6を参照して、本実施形態の発電装置の構造例について説明する。ここでの発電装置の説明にあたっては、発電装置と当該発電装置により動作する回路を備えて構成された制御装置10を例に挙げる。
【0032】
以下の図1図6による説明にあたり、各図には適宜、矢印にて方向を示す。第1方向D1は、以下に示す実施形態の磁歪部材を揺動させるために作用する方向であり、第4方向D4は、第1方向D1と反対方向である。
なお、以下の説明では、第1方向D1に向く側を「第1方向D1側」と呼び、第4方向D4に向く側を「第4方向D4側」と呼ぶ。
【0033】
第2方向D2は、第1方向D1とは異なる方向であり、以下に示す実施形態においては、第1方向D1と直交する方向である。
第5方向は、第2方向D2と反対方向である。なお、以下の説明では、第2方向D2に向く側を「第2方向D2側)」と呼び、第5方向D5に向く側を「第5方向D5側」と呼ぶ。
【0034】
第3方向D3は、第1方向D1および第2方向D2と異なる方向であり、以下に示す実施形態においては、第1方向D1および第2方向D2の両方と直交する方向で、磁歪部材の第2延設部が延びる方向である。第6方向D6は、第3方向D3と反対方向である。
なお、以下の説明では、第3方向D3に向く側を「第3方向D3側」と呼び、第6方向D6に向く側を「第6方向D6側」と呼ぶ。
【0035】
図1は、本実施形態の盗難防止システムの制御装置10の一部の構成例を示す斜視図である。図2は、本実施形態の制御装置10の構成例を第4方向D4側(図1中では上から)から見た図である。なお、図2では、後述する蓋部17を取り外した制御装置10を示している。図3は、本実施形態の制御装置10の一部の構成例を示す断面図であって、図2のIII-III断面図である。
【0036】
本実施形態の制御装置10は、図3に示すように、ハウジング15と、発電装置20と、検出部材40と、回路部材60と、を備える。
【0037】
図1に示すように、ハウジング15は、略直方体の箱状を有する。ハウジング15は、円筒状等の他の形状であってもよい。図3に示すように、ハウジング15は、発電装置20、検出部材40、および回路部材60を内部に収容する。ハウジング15は、非磁性材料を含むように形成されている。言い換えると、ハウジング15は、少なくとも部分的に非磁性材料によって形成される。本実施形態において、ハウジング15は、磁性材料から形成される。本実施形態では、ハウジング15の全体が非磁性材料によって形成される。例えば、ハウジング15は、アルミニウムおよびステンレス等の非磁性金属、および樹脂等によって形成される。なお、ハウジング15は、磁性材料を含んでいてもよい。この場合、ハウジング15は全体として非磁性の特性を有していればよい。本実施形態において、ハウジング15は樹脂製である。ハウジング15は、ハウジング本体部16と、蓋部17と、隔壁板18と、を有する。
【0038】
ハウジング本体部16は、第4方向D4側に開口する四角筒状を有する。ハウジング本体部16は、側壁部16aと、底壁部16bと、を有する。
【0039】
図1に示すように、側壁部16aは、第1方向D1に延びる四角筒状を有する。図2に示すように、第1方向D1から見て、側壁部16aの長辺は第3方向D3に延び、側壁部16aの短辺は第2方向D2に延びる。図3に示すように、側壁部16aは、発電装置20、検出部材40、および回路部材60を囲む。底壁部16bは、第1方向D1と直交する方向に広がる板状を有する。底壁部16bの外縁は、側壁部16aと繋がる。
【0040】
図1に示すように、蓋部17は、第1方向D1と直交する方向に広がる板状を有する。蓋部17は、ハウジング本体部16に固定される。蓋部17は、ハウジング本体部16の開口を塞ぐ。蓋部17には、挿通孔17aが設けられる。
【0041】
挿通孔17aは、蓋部17を第1方向D1に貫通する略正方形状の孔である。挿通孔17aは、円形状等の他の形状であってもよい。挿通孔17aは、蓋部17の第2方向D2の中央近傍、且つ、第3方向D3側の縁部に設けられる。
【0042】
図3に示すように、隔壁板18は、第1方向D1と直交する方向に広がる板状を有する。図2および図3に示すように、隔壁板18は、側壁部16aの内面に固定される。隔壁板18は、部分的に側壁部16aに固定される。図3に示すように、隔壁板18と側壁部16aとの間には空間が形成されている。隔壁板18には、少なくとも1個の貫通孔18aが設けられる。本実施形態において、隔壁板18には、2個の貫通孔18aが設けられる。
【0043】
2個の貫通孔18aは、隔壁板18を第1方向D1に貫通する孔である。2個の貫通孔18aは、隔壁板18の中央よりも第6方向D6側に位置する。
【0044】
図4は、本実施形態の発電装置20の構成例の一部を示す斜視図である。図5は、本実施形態の発電装置20の構成例の一部を示す分解斜視図である。
図3に示すように、発電装置20は、ハウジング15の内部に収容される。発電装置20は、逆磁歪方式の発電装置である。図4に示すように、発電装置20は、ヨーク21と、磁歪部材23と、フレーム24と、コイル26と、磁束形成部材27と、加締めピン29と、を備える。また、図3に示すように、発電装置20は、操作部30を備える。
【0045】
第1方向D1において、ヨーク21は、蓋部17と隔壁板18との間に配置される。ヨーク21は、蓋部17および隔壁板18と、第1方向D1に間隔をあけて配置される。図2に示すように、第1方向D1から見て、ヨーク21は、略L形状を有する。ヨーク21は、磁性材料を含むように形成される。言い換えると、ヨーク21は、少なくとも部分的に磁性材料によって形成される。本実施形態において、ヨーク21は、磁性材料から形成される。本実施形態において、ヨーク21の全体が磁性材料によって形成される。ヨーク21の材質は特に限定されず、例えば、軟磁性の鉄鋼によって形成されている。ヨーク21は、例えば、軟磁性の鉄鋼の1つであるSS400によって形成されていてもよい。なお、ヨーク21は、磁性材料と非磁性材料の両方を含んでいてもよい。ヨーク21は、第1ヨーク部21aと、第1ヨーク部21aに繋がる第2ヨーク部21bと、を有する。
【0046】
第1ヨーク部21aは、第2方向D2に延びる略直方体状を有する。第1ヨーク部21aは、第1ヨーク端部21pと第2ヨーク端部21qとを有する。第2ヨーク端部21qは、第2方向D2における第1ヨーク端部21pとは反対側の端部である。第2ヨーク端部21qは、第1ヨーク端部21pよりも第5方向D5側に位置する。第1ヨーク部21aは、コイル26よりも第6方向D6側に配置される。第1ヨーク部21aは、側壁部16aに固定されている。第1ヨーク部21aは、連結部21a1と、支持部21a2と、を有する。
【0047】
連結部21a1は、第1ヨーク部21aのうち第2ヨーク部21bに繋がる部分である。連結部21a1は、第1ヨーク部21aの第2方向D2側の部分である。第3方向D3から見て、連結部21a1は、第2ヨーク部21bと重なる。支持部21a2は、第1ヨーク部21aのうちフレーム24および磁歪部材23を支持する部分である。本実施形態において、支持部21a2は、第1方向D1から見て、磁歪部材23と重なる部分である。支持部21a2は、連結部21a1よりも第4方向D4側に配置される。支持部21a2は、連結部21a1から第2方向D2に離れて配置される。
【0048】
第2ヨーク部21bは、第3方向D3に延びる略直方体状を有する。第2ヨーク部21bは、第3ヨーク端部21rと第4ヨーク端部21sとを有する。第4ヨーク端部21sは、第3方向D3における第3ヨーク端部21rとは反対側の端部である。第4ヨーク端部21sは、第3ヨーク端部21rよりも第6方向D6側に位置する。第2ヨーク部21bは、磁歪部材23およびコイル26よりも第2方向D2側に配置される。第2ヨーク部21bは、磁歪部材23およびコイル26と第2方向D2に間隔をあけて対向する。第2ヨーク部21bは、第2方向D2に磁歪部材23と並んで配置される。なお、本発明において「第2方向D2に並んで配置される」は、厳密に第2方向D2に並んで配置される場合のみを含む概念ではなく、第2方向D2から第1方向D1に傾いた方向に並んで配置される場合も含む概念である。すなわち、「第2方向D2に並んで配置される」は、第1方向D1に重なって配置される以外の配置を含む概念である。
【0049】
第2ヨーク部21bの第4ヨーク端部21sは、連結部21a1と繋がる。第1ヨーク部21aの第1ヨーク端部21pは、第2ヨーク部の第4ヨーク端部21sと繋がっていてもよい。第1ヨーク部21aの第2ヨーク端部21qが、第2ヨーク部の第3ヨーク端部21rと繋がっている必要はない。第1ヨーク部21aの第1ヨーク端部21pが、第2ヨーク部の第4ヨーク端部21s以外の部分と繋がっていてもよい。第1ヨーク部の第1ヨーク端部21p以外の部分が、第2ヨーク部の第4ヨーク端部21sと繋がっていてもよい。本実施形態において、第1ヨーク部21aは、第2ヨーク部21bと一体に形成される。第1ヨーク部21aは、第2ヨーク部21bとともに一体の単一部材を形成する。第2ヨーク部21bは、側壁部16aの第4方向D4側を向く面に固定されている。
【0050】
図5に示すように、ヨーク21は、複数のヨーク板21d、中間ヨーク板21g、および環状板21iを含む。図4に示すように、複数のヨーク板21d、中間ヨーク板21g、および環状板21iは、加締めピン29によって互いに固定される。
【0051】
図5に示すように、ヨーク板21dは、第1方向D1と直交する方向に広がる板状を有する。第1方向D1から見て、ヨーク板21dは、略L字状を有する。ヨーク板21dの第2方向D2に延びる部分である第1部分21kは、第1ヨーク部21aを構成する。ヨーク板21dの第3方向D3に延びる部分である第2部分21mは、第2ヨーク部21bを構成する。複数のヨーク板21dは、第1ヨーク板21eと、第2ヨーク板21fと、を有する。
【0052】
第1ヨーク板21eは、中間ヨーク板21gよりも第4方向D4側に配置される。本実施形態において、複数のヨーク板21dは、3つの第1ヨーク板21eを有する。すなわち、複数のヨーク板21dは、少なくとも1つの第1ヨーク板21eを有する。複数のヨーク板21dが有する第1ヨーク板21eの個数は、2つ以下であってもよいし、4つ以上であってもよい。第1ヨーク板21eは、第1方向D1に積層される。すなわち、ヨーク21は、第1方向D1に積層される複数のヨーク板21dを有する。
【0053】
第2ヨーク板21fは、中間ヨーク板21gよりも第1方向D1側に配置される。本実施形態において、複数のヨーク板21dは、3つの第2ヨーク板21fを有する。すなわち、複数のヨーク板21dは、少なくとも1つの第2ヨーク板21fを有する。複数のヨーク板21dが有する第2ヨーク板21fの個数は、2つ以下であってもよいし、4つ以上であってもよい。第2ヨーク板21fは、第1方向D1に積層される。すなわち、ヨーク21は、第1方向D1に積層される複数のヨーク板21dを有する。
【0054】
中間ヨーク板21gは、略L字状の板状を有する。中間ヨーク板21gの板厚方向は、第1方向D1である。中間ヨーク板21gは、第1ヨーク板21eと第2ヨーク板21fとの間に配置される。中間ヨーク板21gは、第1中間ヨーク端部21tと第2中間ヨーク端部21uとを有する。第2中間ヨーク端部21uは、第2方向D2における第1中間ヨーク端部21tとは反対側の端部である。第2中間ヨーク端部21uは、第1中間ヨーク端部21tよりも第5方向D5側に位置する。図4に示すように、中間ヨーク板21gは、第1ヨーク板21eと第1方向D1に接触する。中間ヨーク板21gは、フレーム24を介して、第2ヨーク板21fと第1方向D1に接触する。図5に示すように、中間ヨーク板21gは、磁歪部材23よりも第2方向D2側に位置する。
【0055】
環状板21iは、円環状の板状を有する。環状板21iの板厚方向は、第1方向D1である。環状板21iは、第2方向D2に磁歪部材23を挟んで中間ヨーク板21gと対向して配置される。環状板21iは、第1ヨーク板21eと第2ヨーク板21fとの間に配置される。図4に示すように、環状板21iは、第1ヨーク板21eと第1方向D1に接触する。環状板21iは、フレーム24を介して、第2ヨーク板21fと第1方向D1に接触する。
【0056】
フレーム24は、第1方向D1と直交する方向に広がる板状を有する。第1方向D1において、フレーム24は、中間ヨーク板21gと第2ヨーク板21fとの間に配置される。フレーム24は、非磁性材料を含むように形成されている。言い換えると、フレーム24は、少なくとも部分的に非磁性材料によって形成される。本実施形態において、フレーム24は、非磁性材料から形成される。本実施形態では、フレーム24の全体が非磁性材料によって形成される。例えば、フレーム24は、ステンレスによって形成される。なお、フレーム24は、磁性材料を含んでいてもよい。この場合、フレーム24は全体として非磁性の特性を有していればよい。フレーム24は、第1フレーム部24aと、第2フレーム部24bと、第2延設部24cと、を有する。
【0057】
第1フレーム部24aは、第2方向D2に延びる板状を有する。第1方向D1から見て、第1フレーム部24aは、第1ヨーク部21aと重なる。図4および図5に示すように、第1フレーム部24aは、中間ヨーク板21gおよび環状板21iを介して、第1ヨーク板21eと接触する。第1フレーム部24a第2ヨーク板21fと接触する。第1フレーム部24aは、加締めピン29によって、ヨーク21に固定される。
【0058】
第2フレーム部24bは、第3方向D3に延びる板状を有する。第2フレーム部24bは、第1フレーム部24aと繋がる。第1方向D1から見て、第2フレーム部24bは、第2ヨーク部21bと重なる。第2フレーム部24bは、中間ヨーク板21gを介して、第1ヨーク板21eと接触する。第2フレーム部24bは、第2ヨーク板21fと接触する。第2フレーム部24bは、加締めピン29によって、ヨーク21に固定される。
【0059】
第2延設部24cは、第3方向D3に延びる。より詳細には、第2延設部24cは、第1フレーム部24aから第3方向D3側に延びる。第1方向D1から見て、第2延設部24cは、略矩形状を有する。図2に示すように、第2延設部24cは、第1ヨーク部21aよりも第3方向D3側、且つ、第2ヨーク部21bよりも第4方向D4側に配置される。第2延設部24cは、第1フレーム部24aを介して、第1方向D1に揺動可能に第1ヨーク部21aに支持される。すなわち、第1ヨーク部21aは、第1方向D1に揺動可能にフレーム24を支持する。図3に示すように、第2延設部24cは、第3端部24eと、第4端部24fと、を有する。
【0060】
第3端部24eは、第2延設部24cの第6方向D6側の端部である。第3端部24eは、第1フレーム部24aと繋がる。第3端部24eは、ヨーク21に接触する。第4端部24fは、第2延設部24cの第3方向D3側の端部である。第4端部24fは、第3端部24eから第3方向D3に離れて配置される。
【0061】
図5に示すように、磁歪部材23は、第3方向D3に延びる板状を有する。磁歪部材23の板厚方向は、第1方向D1である。第1方向D1から見て、磁歪部材23は、略矩形状を有する。第1方向D1から見て、磁歪部材23は、第2延設部24cと重なる。磁歪部材23は、第2延設部24cに取り付けられる。すなわち、磁歪部材23は、フレーム24に取り付けられる。第2方向D2から見て、磁歪部材23は、中間ヨーク板21gと重なる。第1方向D1において、磁歪部材23は、第1ヨーク板21eおよび第2ヨーク板21fの間に位置する。磁歪部材23は、磁歪材料によって形成される。磁歪部材23は、例えば、Fe-Ga合金によって形成される。磁歪部材23は、機械的歪みによって透磁率が変化する。また、磁歪部材23は、機械的歪みによって磁化方向が変化する。磁歪部材23は、第1延設部23aを有する。
【0062】
第1延設部23aは、磁歪部材23のうち、第3方向D3に延びる部分である。本実施形態において、磁歪部材23は、第1延設部23aのみによって構成される。第1方向D1から見て、第1延設部23aは、第2延設部24cと重なる。すなわち、第1延設部23aは、第1方向D1に第2延設部24cと少なくとも部分的に重なっている。なお、第1方向D1から見て、第1延設部23aの一部は、第2延設部24cと重なっていなくてもよい。第1延設部23aは、第2延設部24cに取り付けられている。これにより、第1延設部23aは、第2延設部24cと共に第1方向D1に揺動可能である。図3に示すように、第1延設部23aは、第1端部23cと、第2端部23dと、を有する。
【0063】
第1端部23cは、第1延設部23aの第6方向D6側の端部である。第1端部23cは、第1ヨーク部21aに接触する。これにより、磁歪部材23は、第1方向D1に揺動可能に第1ヨーク部21aに支持される。すなわち、第1ヨーク部21aは、第1方向D1に揺動可能に磁歪部材23を支持する。つまり、第1ヨーク部21aは、第1方向D1に揺動可能にフレーム24および磁歪部材23の少なくとも1つを支持する。第2端部23dは、第1延設部23aの第3方向D3側の端部である。第2端部23dは、第1端部23cから第3方向D3に離れて配置される。本実施形態において、第2端部23dは、第1方向D1から見て、第4端部24fと重なっている。
【0064】
図4に示すように、本実施形態において、コイル26は、第2延設部24cおよび磁歪部材23の両方に巻かれる。すなわち、コイル26は、フレーム24および磁歪部材23の両方に巻かれる。つまり、コイル26は、磁歪部材23に巻かれる。コイル26は、ヨーク21、フレーム24および磁歪部材23の少なくとも1つに巻かれる。なお、コイル26は、磁歪部材23およびヨーク21の両方に巻かれてもよい。図2に示すように、コイル26は、第1ヨーク部21aよりも第3方向D3側、且つ、第2ヨーク部21bよりも第4方向D4側に配置される。コイル26は、第1ヨーク部21aおよび第2ヨーク部21bの両方と対向する。コイル26は、第1コイル端部26gと第2コイル端部26hとを有する。第2コイル端部26hは、第3方向D3における第1コイル端部26gとは反対側の端部である。第2コイル端部26hは、第1コイル端部26gよりも第6方向D6側に位置する。コイル26の第1コイル端部26gは、第2延設部24cの第4端部24fおよび第1延設部23aの第2端部23dよりも第6方向D6側に位置する。図3に示すように、コイル26は、隔壁板18よりも第4方向D4側に配置される。コイル26は、第1コイル部26aと、第2コイル部26bと、を有する。コイル26からは2本のコイル引出線26e,26fが引き出される。
【0065】
第1コイル部26aは、コイル26の第1方向D1側の部分である。第1コイル部26aは、第2延設部24cに対向する。すなわち、第1コイル部26aは、フレーム24に対向する。第2コイル部26bは、コイル26の第4方向D4側の部分である。第2コイル部26bは、第1コイル部26aと一体に形成される。第2コイル部26bは、磁歪部材23に対向する。図4に示すように、第1コイル部26aと第2コイル部26bとの間には内部空間26cが形成される。内部空間26cは、第1コイル部26aおよび第2コイル部26bによって定義される空間である。磁歪部材23は、内部空間26cに配置される。フレーム24の第2延設部24cは、内部空間26cに配置される。
【0066】
図3に示すように、コイル引出線26eは、コイル26の一端と繋がる。コイル引出線26fは、コイル26の他端と繋がる。コイル引出線26e,26fは、互いに異なる貫通孔18aを第1方向D1に通され、回路部材60と接続される。これにより、コイル26は、コイル引出線26e,26fを介して、回路部材60と電気的に接続される。コイル26において発生した誘導電流は、コイル引出線26e,26fを介して、回路部材60に供給される。なお、隔壁板18に設けられる貫通孔18aの個数が1個のみの場合、コイル引出線26e,26fは、同じ貫通孔18aを第1方向D1に通され、回路部材60と接続される。
【0067】
以下では、第1方向D1に交差する第2方向D2において磁歪部材23が第2ヨーク部21bと並んでいる場合を説明する。
第1方向D1は、磁歪部材23が揺動する揺動方向に相当する。
なお、図4に示すように、第1方向D1において磁歪部材23が第2ヨーク部21bと並んでいてもよい。
図4に示すように、磁束形成部材27は、第2ヨーク部21bの第5方向D5側を向く面に固定されている。図2に示すように、磁束形成部材27は、コイル26よりも第3方向D3側に配置される。磁束形成部材27は、磁歪部材23および第2ヨーク部21bと第2方向D2に並んで配置される。磁束形成部材27は、ヨーク21と磁歪部材23との間に配置される。磁束形成部材27は、磁歪部材23と第2方向D2に隙間をあけて対向して配置される。磁束形成部材27は、一対の磁極を有する。磁束形成部材27の第3方向D3を向く一方の面にはN極が形成されている。磁束形成部材27の第3方向D3を向く他方の面にはS極が形成されている。磁束形成部材27は、磁歪部材23を通る磁束を形成する。これにより、磁束形成部材27、磁歪部材23、およびヨーク21を通る閉磁気回路Mcが形成される。
【0068】
上述のように、磁歪部材23は磁歪材料を含むように形成される。よって、磁歪部材23は、第2延設部24cと共に第1方向D1に揺動すると、機械的に歪む。磁歪部材23が機械的に歪むことによって、磁歪部材23の透磁率が変動する。これにより、磁歪部材23を通る磁束が変動する。磁歪部材23が第1方向D1に揺動すると、閉磁気回路Mcを通る磁束、すなわちコイル26の内部空間26cを通る磁束が変動する。コイル26の内部を通る磁束の変動によって、コイル26に誘導電流が発生する。これにより、コイル26に発電電圧Vgを発生させることができる。つまり、発電装置20は、磁歪部材23が第1方向D1に揺動することによって発電する。
【0069】
操作部30は、ユーザによって操作されると、磁歪部材23を第1方向D1に揺動させる。図3に示すように、操作部30は、磁歪部材23よりも第3方向D3側に配置される。操作部30は、操作部材31と、揺動誘起部材32と、弾性部材33と、検出部材保持部34と、を備える。
【0070】
操作部材31は、第1方向D1に延びる。操作部材31は、蓋部17の挿通孔17aを第1方向D1に通される。操作部材31は、第1方向D1に移動可能である。よって、ユーザが操作部材31を第1方向D1側に押下すると、操作部材31は第1方向D1に移動可能である。ユーザが操作部材31を第1方向D1側に押下すると、操作部材31は第1方向D1に移動するように構成されている。以下の説明では、「操作部材31を第1方向D1の一方側に押下する操作」を、単に、「操作」と呼ぶ場合がある。操作部材31は、ユーザによって操作されるように構成される。なお、以下の説明では、ユーザが操作部材31を押下する力を押下力Fdと呼ぶ。押下力Fdは、第1方向D1側を向く力である。操作部材31は、本体部31aと、接続部31bと、押下部31cと、押圧部31dと、を有する。
【0071】
図2および図3に示すように、本体部31aは、第1方向D1に延びる略直方体状である。図2に示すように、第1方向D1から見て、本体部31aは、長辺が第2方向D2に延びる略矩形状を有する。本体部31aは、第1方向D1に延びる円柱状等の他の形状であってもよい。
【0072】
図2および図3に示すように、接続部31bは、本体部31aから第4方向D4側に突出する略直方体状を有する。図2に示すように、第1方向D1から見て、接続部31bは、略正方形状を有する。接続部31bは、挿通孔17aの内部を第1方向D1に移動可能である。
【0073】
図2および図3に示すように、押下部31cは、接続部31bから第4方向D4側に突出する略円柱状を有する。押下部31cは、角柱状等の他の形状であってもよい。図3に示すように、押下部31cの第4方向D4側の部分は、ハウジング15の外部に位置する。押下部31cは、ユーザによって第1方向D1に押下されるように構成される。ユーザが押下部31cを押下すると、操作部材31は、第1方向D1側に移動する。なお、押下部31cは、ユーザによって直接的に押下される構成であってもよいし、他の部材を介して間接的に押下される構成であってもよい。以下の説明では、図3に示すように、ユーザが操作部材31を操作していない場合の操作部30の位置を第1位置と呼ぶ。
【0074】
図6は、本実施形態の制御装置10の構成例の操作部材31を操作した際の断面図である。
図3に示すように、押圧部31dは、本体部31aから第1方向D1側に突出する略円柱状を有する。第1位置において、押圧部31dは検出部材40と第1方向D1に間隔をあけて配置される。図6に示すように、ユーザが操作部材31を操作すると、押圧部31dは、検出部材40と第1方向D1に接触する。以下の説明では、図6に示すように、ユーザが操作部材31を操作している際の操作部30の位置を第2位置と呼ぶ。
【0075】
揺動誘起部材32は、操作部材31が第1方向D1に移動する際に、磁歪部材23を第1方向D1に揺動させる。図3に示すように、揺動誘起部材32は、本体部31aの第6方向D6側を向く面から第6方向D6側に突出する。なお、揺動誘起部材32は、操作部材31と同一の単一部材であってもよい。揺動誘起部材32は、操作部材31と別個の部材であってもよい。揺動誘起部材32は、ユーザによる操作部材31の操作に応じて、第1方向D1に直線的に移動するように構成される。第1方向D1から見て、揺動誘起部材32は、磁歪部材23および第2延設部24cと重なる。第1位置において、揺動誘起部材32は磁歪部材23よりも第4方向D4側に位置する。図6に示すように、第2位置において、揺動誘起部材32は、第2延設部24cよりも第1方向D1側に位置する。
【0076】
上述のように、ユーザが操作部材31を操作すると、操作部材31は第1方向D1側に移動する。つまり、操作部材31は図3に示す第1位置から図6に示す第2位置に移動する。以下の説明では、操作部材31が第1位置から第2位置に移動する動作を第1動作と呼ぶ場合がある。第1動作において、揺動誘起部材32は、磁歪部材23を第1方向D1の一方側に押圧して、第2延設部24cおよび磁歪部材23を第1方向D1の一方側に弾性変形させる。操作部材31がさらに第1方向D1の一方側に移動すると、図6に示すように、揺動誘起部材32は、第2延設部24cよりも第4方向D4側に移動する。これにより、第2延設部24cの復元力によって、磁歪部材23および第2延設部24cは第1方向D1及び第4方向D4に揺動する。すなわち、揺動誘起部材32は、ユーザによる操作部材31の操作に応じて、磁歪部材23を第1方向D1及び第4方向D4に揺動(振動)させるように構成される。また、磁歪部材23は、ユーザによる操作部材31の操作に応じて、第1方向D1に揺動するように構成される。上述のように、磁歪部材23が第1方向D1に揺動すると、コイル26の内部空間26cを通る磁束が変動するため、コイル26に発電電圧Vgが発生する。なお、以下の説明では、ユーザが操作部材31を操作することによって、操作部材31が第1方向D1側に移動する際の発電装置20の発電を第1発電と呼び、第1発電の起電力を第1電圧V1と呼ぶ。つまり、コイル26は、ユーザによる押下部31cに対する押下に応じて第1電圧V1を発生させるように構成されている。
【0077】
また、ユーザが操作部材31の操作を解除した後、すなわち押下部31cの押下を解除した後において、操作部材31は、後述する弾性部材33から操作部材31に加わる弾性力Feによって、第4方向D4側に移動する。つまり、操作部材31は第2位置から第1位置に移動する。以下の説明では、操作部材31が第2位置から第1位置に移動する動作を第2動作と呼ぶ場合がある。第2動作において、揺動誘起部材32は第2延設部24cを第4方向D4側に押圧することにより、第2延設部24cおよび磁歪部材23を第4方向D4側に弾性変形させる。操作部材31がさらに第4方向D4側に移動すると、図3に示すように、揺動誘起部材32は、磁歪部材23よりも第4方向D4側に移動する。このとき、第2延設部24cの復元力によって、磁歪部材23および第2延設部24cは第1方向D1及び第4方向D4に揺動(振動)する。これにより、コイル26に発電電圧Vgが発生する。なお、以下の説明では、押下部31cに対する押下の解除によって、操作部材31が第4方向D4側に移動する際の発電装置20の発電を第2発電と呼び、第2発電の起電力を第2電圧V2と呼ぶ。つまり、第2電圧V2は、ユーザによる押下部31cに対する押下の解除に応じてコイル26に発生される電圧である。
【0078】
検出部材保持部34は、検出部材40を保持する。検出部材保持部34は、操作部材31よりも第1方向D1側に配置される。検出部材保持部34は、底板部34aと、筒状部34bと、を有する。
【0079】
底板部34aは、第1方向D1と直交する方向に広がる板状を有する。底板部34aは、ハウジング15の底壁部16bに固定される。筒状部34bは、底板部34aから第4方向D4側に突出する略円筒状を有する。筒状部34bは、第1方向D1側に開口する。
【0080】
弾性部材33は、操作部材31と検出部材保持部34との間に配置される。本実施形態において、弾性部材33は、圧縮コイルばねである。弾性部材33は、第1方向D1に伸縮する。弾性部材33は、筒状部34bに支持される。弾性部材33は、第1弾性部材端部33aと第2弾性部材端部33bとを有する。第2弾性部材端部33bは、第1方向D1における第1弾性部材端部33aとは反対側の端部である。第2弾性部材端部33bは、第1弾性部材端部33aよりも第4方向D4側に位置する。弾性部材33の第2弾性部材端部33bは、本体部31aと第1方向D1に接触する。これにより、弾性部材33は、操作部材31に第4方向D4側を向く弾性力Feを加える。弾性部材33は、操作部材31を第1方向D1の一方側に向けて付勢する。これにより、操作部材31は、第1位置に向けて移動する。したがって、図6に示すように、ユーザが押下部31cに対する押下を解除すると、操作部材31は、弾性力Feによって第4方向D4側に移動し、図3に示す第1位置に戻る。
【0081】
検出部材40は、操作部材31よりも第1方向D1側に配置される。検出部材40は、筒状部34bの内周面に保持される。第1位置において、検出部材40は、押圧部31dと第1方向D1に間隔をあけて配置される。図6に示すように、第2位置において、検出部材40は、押圧部31dと接触する。これにより、検出部材40は、ユーザが操作部材31を操作したことを検出可能である。すなわち、検出部材40は、ユーザによる操作部材31の操作を検出するように構成される。本実施形態において、検出部材40は、タクトスイッチ40aを有する。タクトスイッチ40aは、ユーザによる操作部材31の操作に応じて押下されるように構成される。なお、検出部材40の構成は本実施形態の構成に限定されず、操作部材31の第1方向D1の移動を検出可能な光学式センサ等のセンサであってもよい。検出部材40は、接続線41を有する。
【0082】
図3に示すように、回路部材60は、第1方向D1と直交する方向に広がる板状を有する。回路部材60は、隔壁板18の第1方向D1の一方側を向く面に固定される。回路部材60は、制御部61と、通信部71と、を有する。
【0083】
制御部61は、回路部材60に実装される。制御部61は、コイル引出線26e,26fを介して、発電装置20のコイル26と電気的に接続される。つまり、回路部材60は、コイル26と電気的に接続される。よって、コイル26が発電すると、制御部61にはコイル26において発生された電圧である発電電圧Vgが印可される。したがって、本実施形態の制御装置10では、発電装置20において発電した電力によって、制御部61を駆動できる。また、制御部61は、発電電圧Vgに関する情報を検知できる。本実施形態において、発電電圧Vgの情報は、発電電圧Vgの電圧値、および回路部材60に供給される電流値の少なくとも一つを含む。
【0084】
上述のように、制御部61は、接続線41を介して、検出部材40と電気的に接続される。これにより、制御部61は、検出部材40が送信する検出信号S1を検知できる。制御部61は、発電電圧Vgに関する情報および検出信号S1に基づいて指令信号Scを生成する。すなわち、制御部61は、発電電圧Vg、すなわちコイル26において発生された電圧に関する情報に基づいて指令信号Scを生成するように構成される。また、制御部61は、検出部材40から送信される検出信号S1に基づいて指令信号Scを生成するように構成される。
【0085】
なお、制御部61は、発電電圧Vgに関する情報および検出信号S1に基づいて指令信号Scを生成し、指令信号Scを通信部71に送信するコンピュータである。制御部61には、制御部61が実行する制御プログラムがインストールされている。制御部61の機能の少なくとも一部は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサが、図示しない記憶部に記憶された制御プログラム、すなわちソフトウェアを実行することで実現される。
【0086】
なお、制御部61の機能の少なくとも一部は、例えば、LSI(Large Scale Integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、およびGPU(Graphics Processing Unit)などの回路部を含むハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されていてもよい。制御部61は、図示しない記憶部を備えてもよい。この場合、図示しない記憶部は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(hard disk drive)、およびフラッシュメモリなどの記憶媒体によって実現されてよい。
【0087】
図3に示すように、通信部71は、回路部材60の第1方向D1側を向く面に実装される。通信部71は、制御部61から送信された指令信号Scを被駆動装置81に送信するように構成される。通信部71は、無線通信部71aを有する。
【0088】
無線通信部71aは、被駆動装置81に指令信号Scを無線送信するように構成される無線装置である。つまり、無線通信部71aによって、被駆動装置81にユーザの操作に基づいて作成された指令信号Scを送信できる。これにより、ユーザは操作部材31を操作することによって、被駆動装置81を動作させることができる。なお、通信部71と被駆動装置81との間の通信方式は特に限定されず、例えばBLE(Bluetooth Low Energy)、NFC(Near Field Communication)、およびANT等のような近距離無線通信であってよい。
【0089】
[盗難防止システムの全体的な構成例]
図7は、本実施形態における盗難防止システムの全体的な構成例を示している。
同図の盗難防止システムは、錠100と、ユーザ端末200(外部装置の一例)と、盗難防止支援サーバ300を備える。
【0090】
錠100は、自転車BC(人力駆動車両の一例)に取り付けられており、自転車BCを利用するユーザUの施錠の操作に応じて自転車BCを施錠する。
本実施形態の錠100は、錠100は回路を備える。当該回路は、発電装置により発電された電力により動作することが可能とされている。本実施形態の錠100が備える発電装置は、図2図6により説明した逆磁歪方式の発電装置20に基づく構成によるものでであってよい。なお、錠100に備えられる発電装置の場合、図1のハウジング15は、錠100の筐体が相当する。
本実施形態の錠100は、ネットワーク経由で盗難防止支援サーバ300と通信可能に接続される。
なお、錠100とユーザ端末200とが、Blutooth(登録商標)等の近距離無線通信によりユーザ端末200と通信可能に接続されてもよい。
【0091】
ユーザ端末200は、ユーザUが利用する情報処理端末である。ユーザ端末200は、例えばスマートフォンやタブレット端末等であってよい。また、ユーザ端末200は、本実施形態の盗難防止システムに対応する盗難防止支援アプリケーションがインストールされてよい。この場合、ユーザ端末200の盗難防止に対応する機能は、盗難防止支援アプリケーションにより実現される。
ユーザ端末200は、ネットワーク経由で盗難防止支援サーバ300と通信可能に接続される。
【0092】
盗難防止支援サーバ300は、ネットワーク上に設けられるサーバである。盗難防止支援サーバ300は、錠100およびユーザ端末200とネットワーク経由で通信可能に接続される。盗難防止支援サーバ300は、盗難防止に関する報知に関する制御を行う。
【0093】
[錠の外観例]
図8は、錠100の外観例を示している。同図の錠100はボタン式リング錠と呼ばれる態様とされた例を示している。
同図の錠100は、ボタン配置部111と、施錠バー部112とを有する。ボタン配置部111は、所定数の解錠ボタンBTと解錠レバーLB1とを有する。解錠ボタンBTには、それぞれ異なる1つの数字が割り当てられている。施錠バー部112は、リングバー部112aと施錠レバーLB2とを有する。
【0094】
錠100の使い方として、解錠状態から施錠状態とする際には、ユーザUは、同図の状態から施錠レバーLB2をスライドさせる。施錠レバーLB2のスライドに応じて、リングバー部112aがバー受部113に篏合された状態で固定される。このときリングバー部112aは、自転車BCの後輪における或る2本のスポークの間に位置する状態となって、自転車BCの後輪を回転不可の状態で施錠する。
【0095】
また、錠100を解錠する場合には、ユーザUは、当該錠100について予め決められている暗証番号の桁順に従って、対応の数字が割り当てられた解錠ボタンBTを順に押下する操作を行う。解錠ボタンBTが暗証番号の通りに正しく操作されると解錠レバーLB1が操作可能となる。ユーザUは、解錠レバーLB1を押し込む操作を行う。解錠レバーLB1が押し込まれたことに応じて、リングバー部112aが同図に示す状態に戻ることとなり、解錠されることとなる。
【0096】
[錠の機能構成例]
図9は、錠100の機能構成例を示している。同図の錠100は、錠機構部101、発電装置部102、および回路部103を備える。
【0097】
錠機構部101は、施錠・解錠に対応する機構部である。錠機構部101は、ボタン配置部111における所定数(ここでは、10個である場合を例に挙げる)の解錠ボタンBT(BT-1~BT-10)を備える。解錠ボタンBT-1~BT-10は、それぞれ「1」~「10」の数字(番号)が割り当てられている。
【0098】
また、錠機構部101は、施錠可動部114と解錠可動部115とを備える。
施錠可動部114は、リングバー部112aが施錠状態となるように動かされたことに応じて移動する部位である。
解錠可動部115は、リングバー部112aが解錠状態となるように動かされたことに応じて移動する部位である。
【0099】
発電装置部102は、発電装置20A(20A-1~20A-12)を備える。
発電装置20Aは、図2図6の発電装置20と同様に逆磁歪方式の構成を有し、揺動誘起部材32を備える。発電装置20Aは、図2図6の発電装置20と同一の構造でなくともよく、適宜変更されてよい。
【0100】
発電装置20A-1~20A-10は、解錠ボタンBT(BT-1~BT-n)にそれぞれ対応する。発電装置20A-11は、施錠可動部114に対応する。発電装置20A-12は、解錠可動部115に対応する。
【0101】
発電装置20A-1~20A-10のそれぞれには磁歪部材23が設けられている。この場合における磁歪部材23は、対応の解錠ボタンBTを押下する操作が行われることに応じて移動されるようにして設けられる。この場合、図2図6の構造との対応としては、解錠ボタンBTが操作部30に対応し、解錠ボタンBTが錠100において表出してユーザUに操作される部位が押下部31cに相当する。この場合の磁歪部材23は、解錠ボタンBTが操作されることに応じて、解錠ボタンBTとしての操作部30に設けられた揺動誘起部材32により、第1方向D1及び第4方向D4に揺動される。
本実施形態において、解錠ボタンBTとしての操作部30において揺動誘起部材32が設けられる態様は、特に限定されるものではなく、解錠ボタンBTが押下されることに応じて、発電装置20Aにおいて備えられる磁歪部材23(同図においては図示せず)を、第1方向D1及び第4方向D4に揺動させるように設けられればよい。具体的に、揺動誘起部材32と解錠ボタンBTとの一体化あるいは連結の態様は、図3図6等に示したような態様であってもよいし、揺動誘起部材32と解錠ボタンBTとが部材等を介して連結された態様であってもよい。
このような構成により、20A-1~20A-10は、それぞれ、対応の解錠ボタンBTが押下されることに応じて発電する。
発電装置20A-11の磁歪部材23は、施錠可動部114が施錠に際して動かされたことに応じて第1方向D1及び第4方向D4に揺動するようにされる。
発電装置20A-12の磁歪部材23は、解錠可動部115が解錠に際して動かされたことに応じて第1方向D1及び第4方向D4に揺動するようにされる。
【0102】
これまでの説明から理解されるように発電装置20Aは、解錠ボタンBT、施錠可動部114、もしくは解錠可動部115が操作されることに応じて磁歪部材23が揺動されることに応じて発電を行う。また、発電装置20Aは、対応の解錠ボタンBT、施錠可動部114、もしくは解錠可動部115が操作されていない状態であっても、振動が加えられたことに応じて磁歪部材23が揺動し、発電することができる。発電装置20Aは、発電により得られた電力(図7の発電電圧Vg)を回路部103に電源として供給する。
【0103】
回路部103は、発電装置部102から供給される電力を電源として動作し、所定の機能に応じた処理を実行する。回路部103は、機能部として、電源回路部131、通信部132(第2通信部の一例)、錠状態検知部133(第1検知部の一例)、移動状態検知部134(第2検知部の一例)、判定部135、測位部136(位置情報取得部の一例)、および記憶部137を備える。
回路部103としての機能は、回路部103に対応してハードウェアとして備えられるCPUがプログラムを実行することにより実現される。
【0104】
電源回路部131は、発電装置部102における発電装置20Aから出力された電力を回路部103における各部に所定電圧値の直流電源として供給する。
【0105】
通信部132は、外部装置との通信を行う。通信部132は、ネットワーク経由での通信に対応する。また、通信部132は、近距離無線通信に対応可能とされてもよい。
【0106】
錠状態検知部133は、発電装置部102から出力される電力の状況に応じて錠100が錠状態を検知する。
具体的に、錠状態検知部133は、施錠可動部114に対応する発電装置20A-11から電力が出力された場合には、錠状態として施錠状態となったことを検知する。
また、錠状態検知部133は、解錠可動部115に対応する発電装置20A-12から電力が出力された場合に、錠状態として解錠状態となったことを検知してよい。また、解錠状態に関しては、より確実に検知できるように、暗証番号の桁順に応じた数字の順に対応して発電装置20A-1~20A-10のうちの所定の発電装置20Aから順に電力が出力されたことに続けて解錠可動部115に対応する発電装置20A-12から電力が出力されたことに応じて、解錠状態となったことを検知してよい。
【0107】
移動状態検知部134は、発電装置部102から出力される電力の状況に応じて、自転車BCが停車状態と移動状態とのいずれにあるのかを検知する。
自転車BCは、施錠状態のもとでは停車していることから、発電装置部102のいずれの発電装置20Aも発電を行わない。ユーザUは、施錠状態から解錠状態とする際には、暗証番号に対応する番号の解錠ボタンBTに対する操作とリングバー部112aを解錠させる解錠レバーLB3の操作とを順に行うようにする。この際には、発電装置部102からは、解錠ボタンBTと解錠レバーLB3とが操作された順で、対応の発電装置20Aから1つずつ順に発電された電力が出力される。このような発電装置部102からの電力の出力状況であるときには、移動状態検知部134は、自転車BCが停車状態にあると検知してよい。
一方、自転車BCが走行している場合、自動車や人により運搬されている場合、錠100が壊されようとしているとき、ホイール、サドル、ハンドル等の部品を取り外そうとしているようなときには、錠100に振動が加わる。この場合には、発電装置部102における複数の発電装置20Aが同時に発電して電力を出力する。このような発電装置部102からの電力の出力状況であるときには、移動状態検知部134は、自転車BCが移動状態にあると検知する。このように、移動状態は、自転車BC自体は停止した状態にあっても、自転車BCに振動が加えられている状態を含む。
【0108】
判定部135は、錠状態検知部133の検知結果と移動状態検知部134の検知結果とに基づいて、自転車BCが盗難されている状態(盗難状態)にあるか否かを判定する。この場合の盗難状態は、ユーザUが自転車BCを停車させていた場所から移動されている場合のほか、窃盗のため錠100を破壊していたり部品を取り外しているときも含まれる。この場合の移動状態検知部134は、実際に移動していなくとも、上記の錠100の破壊や部品の取り外し等に応じて振動が生じている状態も移動中の状態に含めて検知してよい。
判定部135は、錠状態検知部133により施錠状態であることが検知されている場合において、移動状態検知部134が移動状態にあると判定した場合に、盗難状態にあると判定してよい。
【0109】
測位部136は、例えばGPS(Global Positioning System)などの測位システムに対応して自己位置を測定する。
【0110】
記憶部137は、錠100に関する情報を記憶する。
【0111】
[ユーザ端末の機能構成例]
図10を参照して、ユーザ端末200の機能構成例について説明する。同図に示されるユーザ端末200としての機能は、ハードウェアとしてのユーザ端末200が備えるCPUが、プログラムを実行することにより実現される。
同図のユーザ端末200は、通信部201、制御部202、記憶部203、及び報知部204を備える。
【0112】
通信部201は、ネットワーク経由で盗難防止支援サーバ300と通信可能に接続する。
また、通信部201は、近距離無線通信により通信範囲における錠100等の外部装置と通信可能に接続されてもよい。
【0113】
制御部202は、ユーザ端末200における各種の制御を実行する。
記憶部203は、ユーザ端末200に対応する各種の情報を記憶する。
【0114】
報知部204は、自転車BCの盗難の発生に関する報知を行う。報知部204は、表示により報知を行ってもよいし、音声や電子音等の音の出力により報知を行ってよい。
【0115】
[盗難防止支援サーバの機能構成例]
図11を参照して、盗難防止支援サーバ300の機能構成例について説明する。同図に示される盗難防止支援サーバ300としての機能は、ハードウェアとしての盗難防止支援サーバ300が備えるCPUが、プログラムを実行することにより実現される。
同図の盗難防止支援サーバ300は、通信部301、制御部302、および記憶部303を備える。
【0116】
通信部301は、ネットワーク経由で錠100やユーザ端末200と通信可能に接続する。
【0117】
制御部302は、盗難防止支援サーバ300における各種の制御を実行する。制御部302は、機能部として報知制御部321を備える。
報知制御部321は、自転車BCの盗難が発生したことの報知がユーザ端末200にて行われるように制御する。
【0118】
記憶部303は、盗難防止支援サーバ300に対応する各種のデータを記憶する。記憶部303は、ユーザ情報記憶部331と位置情報記憶部332とを備える。
ユーザ情報記憶部331は、ユーザUごとのユーザ情報を記憶する。
位置情報記憶部332は、自転車BCが盗難されたことに応じて錠100から送信される位置情報を記憶する。
【0119】
図12は、1のユーザUに対応してユーザ情報記憶部331が記憶するユーザ情報の構造例を示している。
同図のユーザ情報は、ユーザアカウント、ユーザプロフィール、および錠IDの各フィールドを含む。
ユーザアカウントのフィールドは、対応のユーザUのユーザアカウントを格納する。ユーザアカウントは、例えばユーザIDとパスワードを含んでよい。
ユーザプロフィールのフィールドは、対応のユーザUのユーザプロフィールを格納する。ユーザプロフィールには、ユーザ名、年齢、性別、住所、ユーザの自転車BCに関する情報(メーカ、品番、製造番号、防犯登録番号等)等が含まれてよい。
錠IDのフィールドは、錠IDを格納する。錠IDは、対応のユーザUが自転車BCを施錠するのに用いている錠100を一意に示す識別子である。
【0120】
[処理手順例]
図13のフローチャートを参照して、本実施形態の錠100、ユーザ端末200、および盗難防止支援サーバ300が盗難発生の報知に関連して実行する処理手順例について説明する。
【0121】
まず、錠100が実行する処理手順例について説明する。
ステップS100:錠100において回路部103は、発電装置部102における少なくとも1つの発電装置20Aの磁歪部材23が揺動されたことに応じて、発電装置部102からの電力の入力を受ける。電力の入力を受けたことにより、回路部103における電源回路部131が回路部103内に電源電圧を出力し、回路部103が動作可能となる。
【0122】
ステップS102:移動状態検知部134は、ステップS100に対応して入力された電力が単一であるか否かを判定する。単一の電力の入力である場合、移動状態検知部134は、自転車BCが停車状態にあると判定してよい。一方、単一の電力の入力ではなく、複数の電力の入力である場合、移動状態検知部134は、自転車BCが移動状態にあると判定してよい。
【0123】
ステップS104:ステップS102にて、入力された電力が単一であることで停車状態にあると判定された場合、錠状態検知部133は、今回入力された単一の電力に基づいて、施錠と解錠のいずれかを検知したか否かを判定する。今回入力された単一の電力が発電装置20A-11からのものである場合、錠状態検知部133は、施錠されたことを検知する。また、今回入力された単一の電力が発電装置20A-12からのものである場合、錠状態検知部133は、解錠されたことを検知する。
ステップS104にて、施錠と解錠のいずれかも検知していない場合には、ユーザUは解錠のために解錠ボタンBTを操作していることになる。この場合には、同図の処理が終了される。
【0124】
ステップS106:ステップS104にて施錠と解錠のいずれかを検知した場合、錠状態検知部133は、錠状態を示す錠状態フラグを変更する。錠状態フラグは、記憶部137が記憶してよい。
錠状態検知部133は、ステップS104にて施錠されたことを検知した場合には、錠状態フラグについて解錠を示す値から施錠を示す値に変更する。また、錠状態検知部133は、ステップS104にて解錠されたことを検知した場合には、錠状態フラグについて施錠を示す値から解錠を示す値に変更する。
ステップS106の処理の後は、同図の処理が終了される。
【0125】
ステップS108:ステップS106の処理の後、あるいはステップS102にて複数の電力の入力があった(移動状態である)ことが判定された場合、判定部135は、現在の錠状態フラグを参照して、現在の錠状態が施錠状態であるか否かを判定する。
当該ステップS108における施錠状態であるか否かの判定は、盗難が発生したか否かの判定に対応する。施錠状態である場合には、解錠されていない状態のもとで、自転車BCが移動されていたり、錠100を破壊しようとしたり、自転車BCの部品を外そうとしたりしていると推定される。この場合、判定部135は、盗難が発生したと判定する。
一方、解錠状態である場合には、例えばユーザUが自転車BCの搭乗しているような状況であることが推定される。この場合、判定部135は、盗難が発生していないと判定する。盗難が発生していないと判定した場合には、同図の処理が終了される。
【0126】
ステップS110:ステップS108にて盗難が発生したと判定された場合、通信部132は、盗難防止支援サーバ300に盗難発生通知を送信する。盗難発生通知には、錠IDが含まれる。
ステップS112:また、通信部132は、測位部136が測定した錠100の位置を示す位置情報を盗難防止支援サーバ300に送信する。当該ステップS112による位置情報の送信は、自転車BCの移動等に伴って発電装置部102に与えられる振動が停止して回路部103が動作を停止するまで実行されてよい。
【0127】
次に、盗難防止支援サーバ300が実行する処理手順例について説明する。
ステップS200:盗難防止支援サーバ300において報知制御部321は、ステップS110により錠100から送信された盗難発生通知を受信する。
【0128】
ステップS202:報知制御部321は、受信した盗難発生通知に含まれる錠IDを格納するユーザ情報をユーザ情報記憶部331か検索し、検索したユーザ情報が格納するユーザアカウントに対応するユーザ端末200に、盗難発生情報を送信する。
【0129】
ステップS204:また、報知制御部321は、ステップS112により錠100から送信される位置情報を位置情報記憶部332に記憶させる。位置情報記憶部332は、位置情報を最新のものに更新するようにして記憶してもよいし、これまでに送信された位置情報の履歴を記憶してもよい。
【0130】
次に、ユーザ端末200が実行する処理手順例について説明する。
ステップS210:ユーザ端末200の制御部202は、ステップS202により盗難防止支援サーバ300から送信された盗難発生情報を受信する。
【0131】
ステップS212:制御部202は、受信した盗難発生情報に基づき、報知部204にて自転車BCが盗難されたことの報知を行う。
【0132】
また、ユーザUは、ユーザ端末200にて盗難発生が報知された後において、ユーザ端末200を操作することで、盗難されている自転車BCの位置(盗難位置)をユーザ端末200に表示させることができる。
【0133】
図14を参照して、ユーザ端末200と盗難防止支援サーバ300が盗難位置の表示に関連して実行する処理手順例について説明する。
先ず、ユーザ端末200が実行する処理手順例について説明する。
ステップS300:ユーザ端末200の制御部202は、ユーザUによる盗難位置の表示を指示する操作が行われたことに応じて、盗難位置要求を盗難防止支援サーバ300に送信する。盗難位置要求には、対応のユーザUのユーザアカウントにおいて用いられるユーザIDが含まれる。
【0134】
ステップS302:盗難防止支援サーバ300は、ステップS300により送信された盗難位置要求に応じて盗難位置をユーザ端末200に送信する。制御部202は、受信された盗難位置を、例えば地図上にて表示させる。
【0135】
次に、盗難防止支援サーバ300が実行する処理手順例について説明する。
ステップS310:盗難防止支援サーバ300の報知制御部321は、ステップS300によりユーザ端末200から送信された盗難位置要求を受信する。
【0136】
ステップS312:報知制御部321は、受信した盗難位置要求に含まれるユーザIDを含むユーザアカウントを格納するユーザ情報をユーザ情報記憶部331から検索する。報知制御部321は、検索したユーザ情報が格納するのと同じ錠IDに対応付けられた位置情報を位置情報記憶部332から取得する。
【0137】
ステップS314:報知制御部321は、ステップS312により取得した位置情報を、盗難位置情報として送信する。
盗難位置情報は、例えば現時点で最後に得られた位置情報であってよい。この場合、ユーザ端末200は、ステップS302にて、これまでにおいて最後に得られた錠100の位置を盗難位置として示すように表示する。
あるいは、盗難位置情報は、盗難の発生したことが判定されてからこれまでに得られた位置情報による経路の情報であってよい。この場合、ユーザ端末200は、ステップS302にて、これまで自転車BCが盗難により移動された経路を表示する。
【0138】
[錠の他の例について]
本実施形態のように、逆磁歪方式の発電装置を備えることで盗難発生に応じた通知等の動作が可能とされる錠は、これまでに説明した錠100のようにボタン式リング錠の態様に限定されない。例えば、解錠ボタンを備えず、鍵により施錠・解錠を行うようにされたリング錠であってもよい。また、自転車BCの前輪に対して設けられる箱錠の態様であってもよい。また、ワイヤ錠であってもよい。
【0139】
図15は、本実施形態における錠の他の例として、ダイヤル式ワイヤ錠としての錠100Aの外観を示している。
同図に示されるダイヤル式ワイヤ錠としての錠100Aは、所定数のダイヤルDLが並べられるようにして設けられた錠機構部101Aとワイヤ部WRとを有する。
このような錠100Aは、ダイヤルDLのそれぞれを暗証番号に応じた所定の数に合わせることで解錠され、ワイヤ部WRの一端に設けられたシリンダを錠機構部101Aから抜き出すようにして外すことができる。施錠に際しては、解錠状態の錠機構部101Aにシリンダを差し込んだうえで、ダイヤルDLを回転させることで、ダイヤルDLの数の配列を暗証番号とは異ならせるようにする。
【0140】
このような錠100Aは、錠機構部101Aの内部に図2図6に準じた構造の逆磁歪方式の発電装置が備えられてよい。錠100Aの場合には、例えばシリンダが差し込まれることにより動くことに応じて磁歪部材23を揺動させて発電する発電装置、シリンダが抜かれることにより動くことに応じて磁歪部材23を揺動させて発電する発電装置、ダイヤルDLごとに設けられ、ダイヤルDLが回転されるように動くことに応じて磁歪部材23を揺動させて発電する発電装置とを備えてよい。この場合には、シリンダ、ダイヤルDLが、操作部30に相当する。
錠機構部101A内の回路部は、錠機構部101Aにおいてシリンダが抜き差しされる際の発電装置の発電により供給される電力により動作し、施錠状態と解錠状態のいずれにあるのかを認識し、錠状態フラグを設定する。錠機構部101A内の回路部は、施錠状態において、1つのダイヤルDLの回転に応じた発電が行われている状況では、例えば解錠の操作が行われているとして盗難が発生していないと判定する。
一方、施錠状態において複数のダイヤルDLに対応する発電装置が同時に発電している場合には、自転車BCが盗難により移動されていることで発電装置に振動が与えられていると推定できる。この場合には、錠機構部101A内の回路部は、盗難が発生したと判定し、盗難発生通知を盗難防止支援サーバ300に送信する。
また、錠機構部101Aも測位部を備え、盗難発生後において振動等により発電装置が発電しているときには、測位部により現在位置を測位して得られる位置情報を盗難防止支援サーバ300に送信してよい。
【0141】
なお、本実施形態において、錠100(100A)は、盗難が発生したと判定したことに応じて、近距離無線通信によりユーザ端末200に盗難発生通知を送信して、ユーザ端末200に盗難発生の報知を行わせてよい。この場合には、錠100が報知制御部としての機能を有してよい。
【0142】
なお、錠100(100A)は、盗難が発生したと判定したことに応じて、例えば自身が警報音等の出力により盗難発生の報知を行ってもよい。
【0143】
なお、錠100(100A)は、発電装置が発電して得られる電力を蓄積する蓄電池を備えてよい。蓄電池が備えられることで、例えば、発電装置の揺動誘起部材32の移動が断続的に行われる状況であっても、蓄電池に蓄積された電力により回路部に継続的に電源を供給することが可能となる。回路部に継続的に電源が供給されることで、回路部の安定した動作が得られ、盗難された自転車BCが動かされていない状態でも測位部により得られた位置情報を送信することが可能となる。
【0144】
なお、自転車BCに取り付けたサイクルコンピュータ等のデバイスにより、錠100と盗難防止支援サーバ300との通信を中継するようにしてよい。
【0145】
なお、本実施形態において、ユーザ端末200と錠100とを通信可能に接続したうえで、例えば、ユーザUがユーザ端末200に施錠・解錠を指示する操作を行ったことに応じて、ユーザ端末200が錠100に施錠指示・解錠指示を送信するようにされてよい。
この場合の錠100は、錠機構部101に施錠・解錠を行うように動作させる錠機構駆動部を備える。この場合には、例えば発電装置部102により発電された電力を蓄積可能な蓄電池を備え、錠機構駆動部は、蓄電池に蓄積された電力を利用して錠機構部101に施錠・解錠の動作を行わせるように駆動してよい。
このように構成することで、ユーザUは遠隔操作によって錠100の施錠・解錠を行うことができる。
【0146】
<第2実施形態>
続いて、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、錠とユーザ端末とが通信を行うことで、錠の施錠・解錠に関する管理が行われる。また、第2実施形態においては、錠とは別に、逆磁歪方式の発電装置を備える盗難防止装置が自転車BCに設けられ、盗難防止支援サーバが、盗難防止装置およびユーザ端末と通信を行うことで盗難発生に応じた報知に関する制御を行うようにされる。
【0147】
[盗難防止システムの全体的構成例]
図16は、第2実施形態の盗難防止システムの全体的な構成例を示している。自転車BCには、錠100Bが備えられる。以降に説明にあたり、錠100Bはリング錠である場合を例に挙げる。
また、自転車BCには盗難防止装置400が取り付けられる。盗難防止装置400は、自転車BCに着脱不可に取り付けられる。
【0148】
盗難防止装置400は、盗難防止支援サーバ300と通信可能に接続される。
また、ユーザ端末200と盗難防止支援サーバ300とがネットワーク経由で通信可能に接続される。
【0149】
本実施形態において、錠100は、電力供給を受けて動作する回路部等は備えられていなくともよい。
【0150】
[盗難防止装置の機能構成]
図17を参照して、盗難防止装置400の機能構成例について説明する。同図の盗難防止装置は、発電装置20Cと回路部401とを備える。
発電装置20Cは、逆磁歪方式により発電する。発電装置20Cは、振動が与えられることに応じて内部の磁歪部材23が揺動することで発電する。発電装置20Cにより発電された電力は、回路部401に電源として供給される。
【0151】
回路部401は、発電装置20Cから供給される電力を電源として動作し、所定の機能に応じた処理を実行する。回路部401は、機能部として、電源回路部411、通信部412、移動状態検知部413、および測位部414を備える。
回路部401としての機能は、回路部401に対応してハードウェアとして備えられるCPUがプログラムを実行することにより実現される。
【0152】
電源回路部411は、発電装置20Cから出力された電力を回路部401における各部に所定電圧値の直流電源として供給する。
【0153】
通信部412は、ネットワーク経由で外部装置との通信を行う。通信部412は、外部装置とのデータの送受信に関する処理を実行する。
【0154】
移動状態検知部413は、発電装置20Cから出力される電力の状況に応じて、自転車BCが移動状態と停車状態とのいずれにあるのかを検知する。発電装置20Cは、振動が加えられることに応じて内部の磁歪部材23が揺動することに応じて発電し、回路部401に電源としての電力を供給する。移動状態検知部413は、発電装置20Cから電力が供給されているときには移動状態にあると検知し、発電装置20Cから電力が供給されているときには停止状態にあると検知してよい。
本実施形態においても、移動状態検知部413は、自転車BCが走行や運搬により移動している場合のほか、錠100Bの破壊、自転車BCの部品の取り外し等で生じる振動で発電装置20Cが発電している状態も、移動状態として検知してよい。
【0155】
測位部414は、例えばGPSなどの測位システムに対応して自己位置を測定する。
【0156】
[盗難防止支援サーバの機能構成例]
図18を参照して、本実施形態における盗難防止支援サーバ300Bの機能構成例について説明する。同図の盗難防止支援サーバ300Bは、通信部301、制御部302、および記憶部303を備える。
同図において、図11と同一部分には同一符号を付して適宜説明を省略する。
【0157】
通信部301(第1通信部の一例)は、ネットワーク経由で盗難防止支援サーバ300やユーザ端末200と通信可能に接続する。
【0158】
制御部302は、盗難防止支援サーバ300Bにおける各種の制御を実行する。制御部302は、機能部として報知制御部321、錠状態検知部322、および判定部323を備える。
【0159】
報知制御部321は、判定部323により自転車BCの盗難が発生したと判定された場合に、自転車BCの盗難が発生したことの報知がユーザ端末200にて行われるように制御する。
【0160】
錠状態検知部322は、自転車BCに備えられる錠状態(施錠状態・解錠状態)を検知(判定)する。本実施形態の錠状態検知部322は、錠状態フラグ記憶部333が記憶する錠状態フラグを参照することで錠状態を判定する。
【0161】
判定部323は、自転車BCの盗難が発生したか否かを判定する。判定部323は、盗難防止装置400が移動状態にあると判定したことに応じて送信した移動発生通知を受信すると、錠状態フラグ記憶部333が記憶する錠状態フラグを参照する。判定部323は、参照した錠状態フラグが施錠状態であることを示している場合には、盗難が発生したと判定する。判定部323は、参照した錠状態フラグが解錠状態であることを示している場合には、盗難が発生していないと判定する。
【0162】
記憶部303は、盗難防止支援サーバ300Bに対応する各種の情報を記憶する。記憶部303は、ユーザ情報記憶部331、位置情報記憶部332、および錠状態フラグ記憶部333を備える。
ユーザ情報記憶部331が記憶するユーザ情報は、第1実施形態における錠IDに代えて、盗難防止装置400を示す装置IDを格納する。
【0163】
錠状態フラグ記憶部333は、ユーザIDごとに対応させて錠状態フラグを記憶する。錠状態フラグは、錠100が現在において施錠されている状態(施錠状態)と解錠されている状態(解錠状態)とのいずれにあるのかを示す情報である。
【0164】
[ユーザ端末の機能構成例]
ユーザ端末200の機能構成については、図2と同様であってよい。
【0165】
[処理手順例]
図19のフローチャートを参照して、ユーザ端末200と盗難防止支援サーバ300Bが、錠100Bの錠状態(施錠状態・解錠状態)の管理に関連して実行する処理手順例について説明する。
【0166】
まず、ユーザ端末200が実行する処理手順例について説明する。
ステップS400:本実施形態において、ユーザUは、解錠状態にあった自転車BCの錠100Bを施錠した状態とすると、盗難防止支援アプリケーションが動作するユーザ端末200を操作して、施錠したことの確認操作(施錠確認操作)を行うようにされる。
盗難防止支援アプリケーションが動作するユーザ端末200の制御部202は、施錠確認操作が行われるのを待機している。
【0167】
ステップS402:施錠確認操作が行われると、制御部202は、盗難防止支援サーバに施錠確認通知を送信する。施錠確認通知は、ユーザUが錠100Bを施錠状態としたことを通知する情報である。施錠確認通知には対応のユーザUのユーザIDが含まれる。
【0168】
ステップS404:また、ユーザUは、施錠状態にあった自転車BCの錠100Bを解錠した状態とすると、盗難防止支援アプリケーションが動作するユーザ端末200を操作して、解錠したことの確認操作(解錠確認操作)を行うようにされる。制御部202は、解錠確認操作が行われるのを待機する。
【0169】
ステップS406:解錠確認操作が行われると、制御部202は、盗難防止支援サーバに解錠確認通知を送信する。解錠確認通知は、ユーザUが錠100Bを解錠状態としたことを通知する情報である。解錠確認通知には対応のユーザUのユーザIDが含まれる。
【0170】
次に、盗難防止支援サーバ300が実行する処理手順例について説明する。
ステップS500:盗難防止支援サーバ300において錠状態検知部322は、ユーザ端末200から送信される施錠確認通知が受信されるのを待機する。
【0171】
ステップS502:施錠確認通知が受信されると、錠状態検知部322は、錠状態フラグ記憶部333が記憶する錠状態フラグのうち、受信した施錠確認通知に含まれるユーザIDに対応付けられた錠状態フラグが施錠状態を示すように更新する。
【0172】
ステップS510:また、錠状態検知部322は、ユーザ端末200から送信される解錠確認通知が受信されるのを待機する。
【0173】
ステップS512:解錠確認通知が受信されると、錠状態検知部322は、錠状態フラグ記憶部333が記憶する錠状態フラグのうち、受信した解錠確認通知に含まれるユーザIDに対応付けられた錠状態フラグが解錠状態を示すように更新する。
【0174】
図19の処理によれば、本実施形態の錠状態検知部322は、施錠確認通知または解錠確認通知の受信に応じて、錠状態フラグを更新することにより、錠100Bの錠状態を検知可能とされている。
【0175】
次に、図20のフローチャートを参照して、盗難防止装置400と盗難防止支援サーバ300Bとユーザ端末200とが盗難報知に関連して実行する処理手順例について説明する。
【0176】
まず、盗難防止装置400が実行する処理手順例について説明する。
ステップS600:盗難防止装置400における発電装置20Cは、自転車BCが走行したり、自転車BCが運搬により移動されたり、錠100Bの破壊や自転車BCの部品の取り外し等が行われることにより、内部の磁歪部材23が揺動して発電する。盗難防止装置400の回路部401は、発電した発電装置20Cからの電力の入力を受ける。電力の入力を受けたことにより、回路部401における電源回路部411が回路部401内に電源電圧を出力し、回路部401が動作可能となる。
【0177】
ステップS602:発電装置20Cから電力が供給されたということは、上記のように、自転車BCが本実施形態において定義する「移動状態」にあることになる。そこで、この場合の移動状態検知部413は、発電装置20Cからの電力の入力を受けて回路部401が動作可能となったことに応じて、移動状態にあることを検知する。
【0178】
ステップS604:ステップS602により移動状態にあることが検知されたことに応じて、移動状態検知部413は、移動状態通知を盗難防止支援サーバ300Bに送信する。移動状態通知は、自転車BCが移動状態にあることを通知する情報である。移動状態通知には、対応の盗難防止装置400の装置IDが含まれる。
【0179】
ステップS606:この場合の移動状態通知は、盗難であるか否かにかかわらず自転車BCが移動状態にあることを示す。つまり、ステップS602では、盗難に起因して自転車BCが移動されたり振動が与えられたりした場合のほか、ユーザUが自転車BCに搭乗して走行していたり、自転車BCをメンテナンスしていたりする場合にも、移動状態であるとして検知される。盗難防止支援サーバ300Bは、受信された移動状態通知に対応する移動状態が盗難に起因するものであるか否かを判定する。つまり、盗難防止支援サーバ300Bは、自転車BCの盗難が発生したか否かを判定する。盗難防止支援サーバ300Bは、盗難が発生したか否かを示す盗難判定結果を盗難防止装置400に送信する。
盗難防止装置400において、通信部412は、受信した盗難判定結果が盗難発生を示しているか否かを判定する。
当該ステップS606にて、盗難判定結果が盗難発生を示していないと判定した場合には同図の処理が終了される。
【0180】
ステップS608:ステップS606にて盗難判定結果が盗難発生を示していると判定された場合、通信部412は、測位部414にて測定される位置情報を盗難防止支援サーバ300Bに送信する。通信部412は、当該ステップS608による位置情報の送信について、発電装置20Cの発電に応じた回路部401への電力供給が停止されるまで継続的に実行してよい。
【0181】
次に、盗難防止支援サーバ300Bが実行する処理手順例について説明する。
ステップS700:盗難防止支援サーバ300Bにおいて、判定部323は、ステップS604により盗難防止装置400から送信された移動状態通知を受信する。
【0182】
ステップS702:移動状態通知の受信に応じて、判定部323は、自転車BCの盗難が発生したか否かを判定する。この場合、判定部323は、錠状態フラグ記憶部333が記憶する錠状態フラグが施錠状態を示しているか否かを判定する。
錠状態フラグが施錠状態を示している場合には、錠100Bが施錠状態にあるにも関わらず、自転車BCが移動状態にあることになる。この場合、判定部323は、盗難が発生したと判定する。
一方、錠状態フラグが解錠状態を示している場合には、錠100Bが解錠状態のもとで自転車BCが移動状態にあることになる。この場合には、自転車BCがユーザUにより移動状態とされていることになるので、判定部323は、盗難が発生していないと判定する。
【0183】
ステップS704:判定部323は、ステップS702による盗難発生についての判定結果を盗難防止装置400に送信する。
【0184】
ステップS706:報知制御部321は、ステップS702による判定結果が盗難発生を示すものであったか否かを判定する。ステップS702による判定結果が、盗難が発生していないことを示すものであった場合には、同図の処理が終了されてよい。
【0185】
ステップS708:報知制御部321は、ステップS702による判定結果が盗難発生を示すものであった場合、対応のユーザ端末200に盗難発生情報を送信する。この際、報知制御部321は、ステップS722にて受信した移動状態通知に含まれるのと同じ装置IDを格納するユーザ情報をユーザ情報記憶部331から検索し、検索したユーザ情報に含まれるユーザアカウントが対応するユーザ端末200を送信先とする。
【0186】
ステップS710:また、盗難が発生していると判定された場合には、ステップS608により盗難防止装置400から位置情報が送信される。報知制御部321は、送信される位置情報を位置情報記憶部332に記憶させる。
【0187】
同図に示されるユーザ端末200が実行するステップS800、S802の処理は、図13のステップS210、S212と同様でよい。
【0188】
<第3実施形態>
続いて、第3実施形態について説明する。第3実施形態に対応する盗難防止システムの全体的構成は、図16と同様でよい。
先の第2実施形態において、盗難発生の有無の判断については盗難防止支援サーバ300Bが実行するようにされていた。これに対して、第3実施形態においては、盗難発生の有無の判断は、ユーザ端末200が実行する。
【0189】
本実施形態においては、図示は省略するが、ユーザ端末200が、判定部を備えるとともに、錠状態フラグを記憶する。このため、本実施形態における盗難防止支援サーバ300Bにおいて、図18に示した判定部323と錠状態フラグ記憶部333は省略されてよい。
【0190】
図21のフローチャートを参照して、本実施形態のユーザ端末200が錠100Bの錠状態(施錠状態・解錠状態)の管理に関連して実行する処理手順例について説明する。
ステップS900:盗難防止支援アプリケーションが動作するユーザ端末200の制御部202は、施錠確認操作が行われるのを待機している。
【0191】
ステップS902:施錠確認操作が行われると、制御部202は、記憶部203が記憶する錠状態フラグについて「施錠状態」を示すように更新する。
【0192】
ステップS904:制御部202は、解錠確認操作が行われるのを待機する。
【0193】
ステップS906:解錠確認操作が行われると、制御部202は、記憶部203が記憶する錠状態フラグについて「解錠状態」を示すように更新する。
【0194】
同図の処理では、ユーザ端末200が錠状態検知部を備えることとなる。つまり、ユーザ端末200の錠状態検知部は、錠状態確認操作(施錠確認操作・解錠確認操作)が行われたことに応じて、錠状態を検知する。
【0195】
図22のフローチャートを参照して、本実施形態の盗難防止装置400と盗難防止支援サーバ300Bとユーザ端末200とが盗難報知に関連して実行する処理手順例について説明する。
【0196】
まず、盗難防止装置400が実行するステップS1000~S1008の処理としては、図20のステップS600~S608と同様でよい。
【0197】
次に、盗難防止支援サーバ300Bが実行する処理手順例について説明する。
ステップS1100:盗難防止支援サーバ300Bにおいて、制御部302は、ステップS1004により盗難防止装置400から送信された移動状態通知を受信する。
【0198】
ステップS1102:制御部302は、盗難防止装置400から送信された移動状態通知を、ユーザ端末200に転送する。
【0199】
ステップS1104:制御部302は、ユーザ端末200から後述のステップS1208から送信される盗難判定結果が盗難発生を示しているか否かを判定する。盗難判定結果が盗難発生を示していないと判定された場合には、同図の処理が終了される。
【0200】
ステップS1106:盗難判定結果が盗難発生を示している場合、制御部302は、盗難防止装置400に盗難発生通知を送信する。
【0201】
ステップS1108:制御部302は、盗難発生に応じて盗難防止装置400から送信される位置情報を位置情報記憶部332に記憶させる。
【0202】
次に、ユーザ端末200が実行する処理手順例について説明する。
ステップS1200:ユーザ端末200の制御部202は、ステップS110により盗難防止支援サーバ300から転送された移動状態通知を受信する。
【0203】
ステップS1202:制御部202は、移動状態通知を受信したことに応じて、記憶部203が記憶する錠状態フラグを参照して、自転車BCの盗難発生の有無を判定する。
【0204】
ステップS1204:制御部202は、ステップS1202による判定結果が盗難の発生したことを示すものであるか否かを判定する。
【0205】
ステップS1206:ステップS1202による判定結果が盗難発生を示すものであった場合、制御部302は、報知部204にて自転車BCが盗難されたことの報知を行うように制御する。当該ステップS1206の処理を実行する制御部302は、報知制御部としての機能を有する。
【0206】
ステップS1208:制御部202は、盗難防止支援サーバ300に盗難判定結果を送信する。ステップS1206を経てステップS1208に至った場合、制御部202は、盗難発生を示す盗難判定結果を送信する。ステップS1206を経ることなく、ステップS1204からステップS1208に至った場合、制御部202は、盗難が発生していないことを示す盗難判定結果を送信する。
【0207】
なお、上記の第2実施形態、第3実施形態においても、ユーザUがユーザ端末200を用いて錠100Bに施錠・解錠の動作を行わせる遠隔操作が可能とされてよい。この場合、錠100Bは、バッテリを備えるようにされてよい。また、この場合には、錠100Bがバッテリの電源により動作可能となる。そこで、錠100Bは、施錠・解錠の動作を行うごとに、自身の錠状態を示す錠状態情報を、例えば近距離無線通信によりユーザ端末200に送信してよい。ユーザ端末200は、受信した錠状態情報を盗難防止支援サーバ300Bに送信してよい。
【0208】
なお、第2実施形態および第3実施形態においては、ユーザUがユーザ端末200に錠状態確認操作(施錠確認操作・解錠確認操作)を行うことで、盗難防止支援サーバ300Bまたはユーザ端末200が、施錠状態フラグにより自転車BCについて施錠と解錠のいずれの状態にあるのかを設定し、設定した内容に基づいて盗難判定が行われるようになっている。
この場合、例えば自転車BCが実際に施錠状態になくとも、ユーザUが施錠確認操作を行ってさえいれば、自転車BCが盗難される際に報知を行うようにすることができる。そこで、第2実施形態、第3実施形態の盗難防止システムの変形例として、錠100Bを備えない構成がとられてもよい。
【0209】
なお、例えば第2実施形態、第3実施形態の変形例として、自転車BCからユーザUが一定以上の距離を離れたと判定されたことに応じて、盗難防止支援サーバ300Bあるいはユーザ端末200にて、施錠状態フラグを施錠状態に設定するようにしてよい。
この場合には、自転車BCが解錠状態のもとで走行していることで発電装置20Cの発電が行われているときに、盗難防止装置400から盗難防止装置300Bに測位部414により測定される自転車BCの位置情報を送信する。また、ユーザ端末200は、定常的に位置情報を盗難防止装置400に送信する。
盗難防止支援サーバ300Bは、盗難防止装置400から最後に受信した自転車BCの位置情報が示す位置(自転車位置)と、現在において受信したユーザ端末200の位置情報が示す位置(ユーザ位置)とが所定以上の距離であるか否かを判定する。あるいは、自転車位置とユーザ位置とが所定以上の距離であるか否かの判定は、ユーザ端末200が盗難防止支援サーバ300Bから自転車位置の情報を取得することで、ユーザ端末200にて実行してもよい。そして、自転車位置とユーザ位置とが所定以上の距離であると判定されたのであれば、自転車からユーザUが一定以上の距離を離れたとして、盗難防止支援サーバ300Bあるいはユーザ端末200が施錠状態フラグを施錠状態に設定してよい。
【0210】
なお、上記各実施形態において盗難防止の対象となる車両は、自転車BCに限定されるものではなく、例えば自動2輪車、自動車等であってもよい。また、第1実施形態において盗難対象とされて施錠が行われるものとしては、車両以外であってもよい。
【0211】
なお、上述の回路部(103、401)、ユーザ端末200、盗難防止支援サーバ(300、300B)、盗難防止装置400等としての機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述の回路部(103、401)、ユーザ端末200、盗難防止支援サーバ(300、300B)、盗難防止装置400等としての処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるHDD、SSD等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部または外部に設けられた記録媒体も含まれる。配信サーバの記録媒体に記憶されるプログラムのコードは、端末装置で実行可能な形式のプログラムのコードと異なるものでもよい。すなわち、配信サーバからダウンロードされて端末装置で実行可能な形でインストールができるものであれば、配信サーバで記憶される形式は問わない。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に端末装置で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0212】
20,20A,20C 発電装置、23 磁歪部材、100,100A,100B 錠、102 発電装置部、103 回路部、131 電源回路部、132 通信部、133 錠状態検知部、134 移動状態検知部、135 判定部、136 測位部、137 記憶部、200 ユーザ端末、201 通信部、204 報知部、300,300B 盗難防止支援サーバ、301 通信部、302 制御部、303 記憶部、321 報知制御部、322 錠状態検知部、323 判定部、331 ユーザ情報記憶部、332 位置情報記憶部、333 錠状態フラグ記憶部、400 盗難防止装置、401 回路部、411 電源回路部、412 通信部、413 移動状態検知部、414 測位部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
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図19
図20
図21
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