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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021792
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】成形機
(51)【国際特許分類】
   B22D 17/26 20060101AFI20250206BHJP
   B29C 45/67 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
B22D17/26 H
B29C45/67
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125754
(22)【出願日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003458
【氏名又は名称】芝浦機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119035
【弁理士】
【氏名又は名称】池上 徹真
(74)【代理人】
【識別番号】100141036
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 章
(74)【代理人】
【識別番号】100178984
【弁理士】
【氏名又は名称】高下 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】辻 眞
(72)【発明者】
【氏名】豊島 俊昭
(72)【発明者】
【氏名】田島 豊三
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 博成
(72)【発明者】
【氏名】野田 三郎
【テーマコード(参考)】
4F202
【Fターム(参考)】
4F202AR12
4F202CA11
4F202CL12
4F202CL32
4F202CL44
(57)【要約】
【課題】構造の簡略化された成形機を提供する。
【解決手段】実施形態の成形機は、ベースと、ベースの上に固定され、固定金型を保持する固定ダイプレートと、ベースの上に型開閉方向に移動可能に設けられ、可動金型を固定金型に対向して保持する可動ダイプレートと、固定金型と可動金型の型締めが可能で、クロスヘッドと複数のリンクとを有するトグル機構と、ベースの上に型開閉方向に移動可能に設けられ、複数のリンクの一部の一端が固定されるリンクハウジングと、トグル機構を駆動するアクチュエータと、可動ダイプレート及びリンクハウジングを移動させるモータと、リンクハウジング及び固定ダイプレートに固定可能で、型開閉方向に延びるタイバーと、溶湯を固定金型と可動金型とで形成される空洞内に充填する射出装置と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースの上に固定され、固定金型を保持する固定ダイプレートと、
前記ベースの上に型開閉方向に移動可能に設けられ、可動金型を前記固定金型に対向して保持する可動ダイプレートと、
前記固定金型と前記可動金型の型締めが可能で、クロスヘッドと複数のリンクとを有するトグル機構と、
前記ベースの上に前記型開閉方向に移動可能に設けられ、前記複数のリンクの一部の一端が固定されるリンクハウジングと、
前記トグル機構を駆動するアクチュエータと、
前記可動ダイプレート及び前記リンクハウジングを移動させるモータと、
前記リンクハウジング及び前記固定ダイプレートに固定可能で、前記型開閉方向に延びるタイバーと、
溶湯を前記固定金型と前記可動金型とで形成される空洞内に充填する射出装置と、
を備えることを特徴とする成形機。
【請求項2】
前記アクチュエータは、液圧アクチュエータであることを特徴とする請求項1記載の成形機。
【請求項3】
前記アクチュエータは、前記リンクハウジングに固定されたシリンダチューブと、前記シリンダチューブの中に設けられ前記型開閉方向に移動可能なピストンと、一端が前記ピストンに固定され他端が前記クロスヘッドに固定されたロッドと、を含むことを特徴とする請求項2記載の成形機。
【請求項4】
前記リンクハウジングと前記可動ダイプレートとの間隔の変位量は、10mm以下であることを特徴とする請求項3記載の成形機。
【請求項5】
前記アクチュエータは、前記クロスヘッドに組み込まれ、シリンダチューブと、一部が前記シリンダチューブの中に設けられ前記型開閉方向に垂直な方向に移動可能なロッドと、を含むことを特徴とする請求項1記載の成形機。
【請求項6】
前記クロスヘッドは、前記複数のリンクの中の一つに接続される第1の部分と、前記複数のリンクの中の別の一つに接続される第2の部分と、を有し、
前記シリンダチューブは前記第1の部分に固定され、前記ロッドは前記第2の部分に固定されることを特徴とする請求項5記載の成形機。
【請求項7】
前記アクチュエータは、液圧アクチュエータであることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の成形機。
【請求項8】
前記アクチュエータは、電動アクチュエータであることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の成形機。
【請求項9】
前記リンクハウジングと前記可動ダイプレートとの間隔の変位量は、10mm以下であることを特徴とする請求項5記載の成形機。
【請求項10】
前記タイバーは、前記リンクハウジング及び前記固定ダイプレートのいずれか一方に固定され、他方に対して摺動可能であることを特徴とする請求項1記載の成形機。
【請求項11】
前記他方に前記タイバーを所望の位置で固定する固定機構を、更に備えることを特徴とする請求項10記載の成形機。
【請求項12】
前記タイバーは、前記固定ダイプレートに固定され、前記リンクハウジングと前記固定ダイプレートが最も離隔した位置において、前記タイバーの前記リンクハウジングの側の端部は、前記リンクハウジングよりも前記可動ダイプレートの側に位置することを特徴とする請求項1記載の成形機。
【請求項13】
前記タイバーは、前記リンクハウジングに固定され、前記リンクハウジングと前記固定ダイプレートが最も離隔した位置において、前記タイバーの前記固定ダイプレートの側の端部は、前記固定ダイプレートよりも前記可動ダイプレートの側に位置することを特徴とする請求項1記載の成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トグル機構を移動させる電動式移動機構を備えた成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
成形機の一例であるダイカストマシンでは、例えば、トグル機構を用いて型締めされた金型内の空洞に、射出装置を用いて溶湯を充填することで、成形品(ダイカスト品)を製造する。例えば、成形品の製造コストを削減するために、成形機の構造の簡略化が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-68610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、構造の簡略化された成形機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様の成形機は、ベースと、前記ベースの上に固定され、固定金型を保持する固定ダイプレートと、前記ベースの上に型開閉方向に移動可能に設けられ、可動金型を前記固定金型に対向して保持する可動ダイプレートと、前記固定金型と前記可動金型の型締めが可能で、クロスヘッドと複数のリンクとを有するトグル機構と、前記ベースの上に前記型開閉方向に移動可能に設けられ、前記複数のリンクの一部の一端が固定されるリンクハウジングと、前記トグル機構を駆動するアクチュエータと、前記可動ダイプレート及び前記リンクハウジングを移動させるモータと、前記リンクハウジング及び前記固定ダイプレートに固定可能で、前記型開閉方向に延びるタイバーと、溶湯を前記固定金型と前記可動金型とで形成される空洞内に充填する射出装置と、を備える。
【0006】
上記態様の成形機において、前記アクチュエータは、液圧アクチュエータであることが好ましい。
【0007】
上記態様の成形機において、前記アクチュエータは、前記リンクハウジングに固定されたシリンダチューブと、前記シリンダチューブの中に設けられ前記型開閉方向に移動可能なピストンと、一端が前記ピストンに固定され他端が前記クロスヘッドに固定されたロッドと、を含むことが好ましい。
【0008】
上記態様の成形機において、前記リンクハウジングと前記可動ダイプレートとの間隔の変位量は、10mm以下であることが好ましい。
【0009】
上記態様の成形機において、前記アクチュエータは、前記クロスヘッドに組み込まれ、シリンダチューブと、一部が前記シリンダチューブの中に設けられ前記型開閉方向に垂直な方向に移動可能なロッドと、を含むことが好ましい。
【0010】
上記態様の成形機において、前記クロスヘッドは、前記複数のリンクの中の一つに接続される第1の部分と、前記複数のリンクの中の別の一つに接続される第2の部分と、を有し、前記シリンダチューブは前記第1の部分に固定され、前記ロッドは前記第2の部分に固定されることが好ましい。
【0011】
上記態様の成形機において、前記アクチュエータは、液圧アクチュエータであることが好ましい。
【0012】
上記態様の成形機において、前記アクチュエータは、電動アクチュエータであることが好ましい。
【0013】
上記態様の成形機において、前記リンクハウジングと前記可動ダイプレートとの間隔の変位量は、10mm以下であることが好ましい。
【0014】
上記態様の成形機において、前記タイバーは、前記リンクハウジング及び前記固定ダイプレートのいずれか一方に固定され、他方に対して摺動可能であることが好ましい。
【0015】
上記態様の成形機において、前記他方に前記タイバーを所望の位置で固定する固定機構を、更に備えることが好ましい。
【0016】
上記態様の成形機において、前記タイバーは、前記固定ダイプレートに固定され、前記リンクハウジングと前記固定ダイプレートが最も離隔した位置において、前記タイバーの前記リンクハウジング側の端部は、前記リンクハウジングよりも前記可動ダイプレートの側に位置することが好ましい。
【0017】
上記態様の成形機において、前記タイバーは、前記リンクハウジングに固定され、前記リンクハウジングと前記固定ダイプレートが最も離隔した位置において、前記タイバーの前記固定ダイプレートの側の端部は、前記固定ダイプレートよりも前記可動ダイプレートの側に位置することが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、構造の簡略化された成形機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施形態の成形機の全体構成を示す模式図。
図2】第1の実施形態の成形機の成形動作のフロー図。
図3】第1の実施形態の成形機を用いた成形動作の説明図。
図4】第1の実施形態の成形機を用いた成形動作の説明図。
図5】第1の実施形態の成形機を用いた成形動作の説明図。
図6】第1の実施形態の成形機を用いた成形動作の説明図。
図7】第1の実施形態の成形機を用いた成形動作の説明図。
図8】第1の実施形態の成形機を用いた成形動作の説明図。
図9】第1の実施形態の成形機を用いた成形動作の説明図。
図10】第1の実施形態の成形機を用いた成形動作の説明図。
図11】第1の実施形態の成形機を用いた成形動作の説明図。
図12】第1の実施形態の変形例の成形機の全体構成を示す模式図。
図13】第2の実施形態の成形機の全体構成を示す模式図。
図14】第2の実施形態の成形機の成形動作のフロー図。
図15】第2の実施形態の成形機を用いた成形動作の説明図。
図16】第2の実施形態の成形機を用いた成形動作の説明図。
図17】第2の実施形態の成形機を用いた成形動作の説明図。
図18】第2の実施形態の成形機を用いた成形動作の説明図。
図19】第2の実施形態の成形機を用いた成形動作の説明図。
図20】第2の実施形態の成形機を用いた成形動作の説明図。
図21】第2の実施形態の成形機を用いた成形動作の説明図。
図22】第2の実施形態の成形機を用いた成形動作の説明図。
図23】第2の実施形態の成形機を用いた成形動作の説明図。
図24】第2の実施形態の第1の変形例の成形機の全体構成を示す模式図。
図25】第2の実施形態の第2の変形例の成形機の全体構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0021】
なお、本明細書では、液圧の一例として、油圧を用いて説明する。例えば、液圧アクチュエータの一例として油圧アクチュエータを用いて説明する。油圧にかえて、例えば、水圧を用いることも可能である。また、本明細書では、作動液の一例として、作動油を用いて説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
第1の実施形態の成形機は、ベースと、ベースの上に固定され、固定金型を保持する固定ダイプレートと、ベースの上に型開閉方向に移動可能に設けられ、可動金型を固定金型に対向して保持する可動ダイプレートと、固定金型と可動金型の型締めが可能で、クロスヘッドと複数のリンクとを有するトグル機構と、ベースの上に型開閉方向に移動可能に設けられ、複数のリンクの一部の一端が固定されるリンクハウジングと、トグル機構を駆動するアクチュエータと、可動ダイプレート及びリンクハウジングを移動させるモータと、リンクハウジング及び固定ダイプレートに固定可能で、型開閉方向に延びるタイバーと、溶湯を固定金型と可動金型とで形成される空洞内に充填する射出装置と、を備える。そして、上記アクチュエータは、液圧アクチュエータである。
【0023】
図1は、第1の実施形態の成形機の全体構成を示す模式図である。図1は、一部に断面図を含む側面図である。
【0024】
第1の実施形態の成形機はダイカストマシン100である。第1の実施形態のダイカストマシン100は、コールドチャンバ式のダイカストマシンである。
【0025】
図1は、ダイカストマシン100の動作開始前の初期状態を示す。この場合の初期状態とは、金型が開ききった状態、いわゆる型開限の状態である。
【0026】
ダイカストマシン100は、金型の内部(図1中の空洞Ca)に液状金属(溶湯)を射出し、その液状金属を金型内で凝固させることにより、ダイカスト品を製造する機械である。金属は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛合金、又は、マグネシウム合金である。
【0027】
ダイカストマシン100は、ベース10、固定ダイプレート12、可動ダイプレート14、リンクハウジング16、タイバー18、タイバーナット19、固定金型20、可動金型22、トグル機構24、油圧アクチュエータ26(アクチュエータ)、トグル移動機構28、押出機構30、タイバー固定機構32(固定機構)、射出装置34、入力表示装置36を備える。
【0028】
トグル機構24は、クロスヘッド44、複数のリンク46を備える。
【0029】
油圧アクチュエータ26は、油圧シリンダチューブ26a、油圧ピストン26b、及び油圧ロッド26cを備える。
【0030】
トグル移動機構28は、トグル移動モータ50、ねじ軸52、ナット部54、ガイドレール55を備える。トグル移動モータ50は電動モータである。
【0031】
押出機構30は、押出板56、押出軸60、ピン支持板62、押出ピン64、押出モータ66を備える。
【0032】
タイバー固定機構32は、ハーフナット70、タイバー固定モータ72を備える。
【0033】
射出装置34は、スリーブ74、プランジャ76、射出駆動部78、位置センサ80を有する。プランジャ76は、プランジャチップ76aとプランジャロッド76bを含む。スリーブ74には、開口部82が設けられる。
【0034】
固定ダイプレート12はベース10の上に固定される。固定ダイプレート12には固定金型20を取り付けることが可能である。
【0035】
可動ダイプレート14は、ベース10の上に型開閉方向に移動可能に設けられる。型開閉方向とは、図1等に示す型開方向及び型閉方向の両方向を意味する。可動ダイプレート14は、ベース10の上に設けられたガイドレール55の上を型開閉方向に移動する。可動ダイプレート14には、可動金型22を取り付けることが可能である。
【0036】
リンクハウジング16は、ベース10の上に型開閉方向に移動可能に設けられる。リンクハウジング16は、ベース10の上に設けられたガイドレール55の上を型開閉方向に移動する。リンクハウジング16には、複数のリンク46の一部の一端が固定される。
【0037】
トグル機構24は、リンクハウジング16と可動ダイプレート14との間に設けられる。複数のリンク46の一部の一端がリンクハウジング16に固定される。また、複数のリンク46の別の一部の一端が可動ダイプレート14に固定される。
【0038】
トグル機構24により、リンクハウジング16と可動ダイプレート14との間の距離が変化する。リンクハウジング16と可動ダイプレート14との間隔の変位量は、例えば、2mm以上10mm以下である
【0039】
トグル機構24により、固定金型20と可動金型22の型締めが可能となる。
【0040】
トグル機構24は、油圧アクチュエータ26を用いて駆動される。油圧アクチュエータ26は、油圧シリンダチューブ26a、油圧ピストン26b、及び油圧ロッド26cを備える。
【0041】
油圧シリンダチューブ26aは、リンクハウジング16に固定される。油圧ピストン26bは、油圧シリンダチューブ26aの中に設けられ、型開閉方向に移動可能である。また、油圧ロッド26cの一端は油圧ピストン26bに固定され他端がクロスヘッド44に固定される。油圧ロッド26cは、型開閉方向に移動可能である。
【0042】
油圧ロッド26cが型開閉方向に移動することで、クロスヘッド44が型開閉方向に移動する。クロスヘッド44の型開閉方向の移動に伴い、複数のリンク46が動作し、可動ダイプレート14がリンクハウジング16に対して相対的に型開閉方向に移動する。
【0043】
タイバー18は、型開閉方向に延びる。タイバー18は、例えば、4本設けられる。
【0044】
タイバー18は、リンクハウジング16及び固定ダイプレート12に固定可能である。タイバー18はタイバーナット19により固定ダイプレート12に固定される。タイバー18は、可動ダイプレート14を貫通する。タイバー18は可動ダイプレート14及びリンクハウジング16に対しては、摺動可能である。
【0045】
リンクハウジング16には、タイバー固定機構32が設けられる。タイバー18はリンクハウジング16に対し、タイバー固定機構32を用いて固定又は非固定(解放)の状態にすることが可能である。タイバー固定機構32は、タイバー18を所望の位置で固定する。
【0046】
例えば、タイバー18のリンクハウジング16の側の先端部に、鋸状の溝が設けられる。タイバー固定機構32は、例えば、タイバー固定モータ72によりハーフナット70の開閉を制御する。例えば、ハーフナット70が閉じられることにより、タイバー18の先端部の溝にハーフナット70がはめ込まれ、タイバー18がリンクハウジング16に対して固定される。
【0047】
タイバー18は、固定金型20と可動金型22に型締力が加えられている間は、型締力を支える。
【0048】
タイバー18は、固定ダイプレート12に固定され、リンクハウジング16と固定ダイプレート12が最も離隔した位置において、タイバー18のリンクハウジング16の側の端部は、リンクハウジング16よりも可動ダイプレート14の側に位置する。リンクハウジング16と固定ダイプレート12が最も離隔した位置において、タイバー18のリンクハウジング16の側の端部は、リンクハウジング16と可動ダイプレート14の間に位置する。
【0049】
トグル移動機構28は、可動ダイプレート14及びリンクハウジング16を型開閉方向に移動する。トグル移動機構28は、トグル移動モータ50を用いて可動ダイプレート14及びリンクハウジング16を移動させる。
【0050】
ナット部54は、リンクハウジング16に固定される。トグル移動モータ50により、ねじ軸52が回転することにより、ナット部54が型開閉方向に移動する。ナット部54が型開閉方向に移動することにより、ナット部54に固定されたリンクハウジング16及び複数のリンク46によりリンクハウジング16に接続された可動ダイプレート14が型開閉方向に移動する。リンクハウジング16及び可動ダイプレート14は、ガイドレール55上を移動する。
【0051】
押出機構30は、押出板56、押出軸60、ピン支持板62、押出ピン64、押出モータ66を備える。押出機構30は、製造されたダイカスト品を金型から押し出して分離する機能を有する。
【0052】
押出板56は、クロスヘッド44と可動ダイプレート14との間に設けられる。押出板56には、型閉方向に延びる押出軸60の一端が固定される。押出軸60は、可動ダイプレート14を貫通する。押出軸60は、可動ダイプレート14に対して摺動可能である。
【0053】
押出軸60の他端は、ピン支持板62に固定される。ピン支持板62には、押出ピン64が固定される。押出ピン64は、間接的に押出板56に固定される。
【0054】
押出ピン64は、可動金型22に出没可能に設けられる。押出ピン64は、型閉方向に延びる。押出ピン64は、例えば、複数本設けられる。
【0055】
押出モータ66により、押出板56が型開閉方向に移動可能である。押出板56が型開閉方向に移動することで、押出ピン64が型開閉方向に移動する。
【0056】
射出装置34は、金型の内部の空洞Caに液状金属を射出する機能を有する。射出装置34は、スリーブ74、プランジャ76、射出駆動部78、位置センサ80を有する。プランジャ76は、プランジャチップ76aとプランジャロッド76bを含む。スリーブ74には、開口部82が設けられる。
【0057】
スリーブ74は、固定金型20の中に通じる。スリーブ74は、例えば、固定金型20に連結された筒状の部材である。スリーブ74は、例えば、円筒形状である。
【0058】
プランジャ76は、スリーブ74の中を摺動する。プランジャロッド76bの先端に固定されたプランジャチップ76aが、スリーブ74の中を前後方向に摺動する。スリーブ74の中をプランジャチップ76aが前方へ摺動することにより、スリーブ74の中の溶湯が固定金型20と可動金型22とで形成される空洞Ca内に充填される。
【0059】
射出駆動部78は、プランジャ76を前後方向に駆動させる機能を備える。射出駆動部78は、例えば、液圧式、電動式、又は液圧式と電動式とを組み合わせたハイブリッド式である。
【0060】
位置センサ80は、プランジャ76の位置を検出する機能を有する。位置センサ80は、例えば、光学式又は磁気式のリニアエンコーダである。位置センサ80で検出されるプランジャ76の位置を微分することで、プランジャ76の速度を検出することが可能である。
【0061】
入力表示装置36は、例えば、固定ダイプレート12に設けられる。入力表示装置36は、例えば、オペレータの入力操作を受け付ける。オペレータは、入力表示装置36を用いて、ダイカストマシン100の成形条件等の設定が可能となる。また、入力表示装置36は、例えば、ダイカストマシン100の成形条件、動作状況等を画面に表示する。入力表示装置36は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイである。
【0062】
次に、第1の実施形態の成形機を用いた成形動作について、図1ないし図11を用いて説明する。図2は、第1の実施形態の成形機の成形動作のフロー図である。図3ないし図11は、第1の実施形態の成形機を用いた成形動作の説明図である。図3ないし図11は、図1に対応する図である。
【0063】
第1の実施形態のダイカストマシン100の成形動作は、図2に示すように、初期状態ステップ(S01)、可動ダイプレート前進ステップ(S02)、タイバー固定ステップ(S03)、型締めステップ(S04)、射出動作ステップ(S05)、型開きステップ(S06)、タイバー解放ステップ(S07)、可動ダイプレート後退ステップ(S08)、押し出しステップ(S09)、押し出し戻しステップ(S10)を備える。
【0064】
最初に、ダイカストマシン100は、初期状態ステップ(S01)にある(図1)。初期状態は、いわゆる、型開限の状態である。
【0065】
次に、可動ダイプレート前進ステップ(S02)でリンクハウジング16及び可動ダイプレート14を型閉方向に前進させる(図3)。リンクハウジング16及び可動ダイプレート14は、トグル移動機構28を用いて移動される。リンクハウジング16及び可動ダイプレート14は、例えば、固定金型20に可動金型22が接触する直前まで前進する。
【0066】
リンクハウジング16及び可動ダイプレート14が停止した後の、固定金型20と可動金型22との間の距離は、例えば、0.5mm以上2mm以下である。固定金型20と可動金型22を接触させても構わない。
【0067】
次に、タイバー固定ステップ(S03)で、リンクハウジング16を貫通したタイバー18を、タイバー固定機構32を用いてリンクハウジング16に固定する(図4)。具体的には、タイバー固定モータ72によりハーフナット70を閉めることにより、タイバー18の先端部の溝にハーフナット70がはめ込まれ、タイバー18がリンクハウジング16に対して固定される。
【0068】
次に、型締めステップ(S04)で、トグル機構24を用いて型締めを行う(図5)。固定金型20に可動金型22との間に型締力が加えられる。型締ストロークは、例えば、1mm以上10mm以下である。
【0069】
次に、射出動作ステップ(S05)で、射出装置34を用いて射出動作が行われる(図6)。具体的には、例えば、図示しないラドル等を用いて、開口部82からスリーブ74の中へ溶湯が供給される。そして、スリーブ74内でプランジャチップ76aを前進させて溶湯を金型内の空洞Caへ充填する。金型内の空洞Caへ充填された溶湯が型締めされることで、ダイカスト品99が製造される。
【0070】
次に、型開きステップ(S06)で、トグル機構24を用いて型開きを行う(図7)。型開ストロークは、例えば、1mm以上10mm以下である。型締ストロークに対応する距離だけ、リンクハウジング16と可動ダイプレート14との間の距離が狭まる。
【0071】
次に、タイバー解放ステップ(S07)で、タイバー固定機構32を用いてリンクハウジング16に固定されていたタイバー18を開放する(図8)。具体的には、タイバー固定モータ72によりハーフナット70を開くことにより、タイバー18をリンクハウジング16に対して非固定とする。
【0072】
次に、可動ダイプレート後退ステップ(S08)で、リンクハウジング16及び可動ダイプレート14を型開方向に後退させる(図9)。リンクハウジング16及び可動ダイプレート14は、トグル移動機構28を用いて移動される。タイバー18は、リンクハウジング16から引き抜かれる。
【0073】
次に、押し出しステップ(S09)で、押出機構30を用いてダイカスト品99の押し出しを行う(図10)。具体的には、押出モータ66により押出板56を型閉方向に移動させる。押出板56が型閉方向に移動することで、押出ピン64が型閉方向に移動し、ダイカスト品99が可動金型22から押し出される。可動金型22から押し出されたダイカスト品99は、例えば、図示しないロボットアームを用いてピックアップされる。
【0074】
次に、押し出し戻しステップ(S10)で、押出板56を初期状態の位置に戻す(図11)。具体的には、押出モータ66により押出板56を型開方向に移動させる。
【0075】
以上の成形動作により、ダイカスト品99が製造される。次のダイカスト品99を製造する場合には、上記成形動作を繰り返せば良い。
【0076】
なお、可動ダイプレート後退ステップ(S08)と、押し出しステップ(S09)及び押し出し戻しステップ(S10)を並行して実行し、成形のサイクルタイムを短縮しても構わない。可動ダイプレート後退ステップ(S08)はトグル移動機構28を用い、押し出しステップ(S09)及び押し出し戻しステップ(S10)は、トグル移動機構28とは別の押出機構30を用いる。トグル移動機構28はトグル移動モータ50、押出機構30はトグル移動モータ50と異なる押出モータ66を動力源として使用する。したがって、可動ダイプレート後退ステップ(S08)と、押し出しステップ(S09)及び押し出し戻しステップ(S10)を並行して実行することが可能である。
【0077】
次に、第1の実施形態の成形機の作用及び効果について説明する。
【0078】
ダイカストマシンでは、ダイカスト品の製造コストを低減させるために、ダイカストマシンの構造の簡略化、成形のサイクルタイムの短縮等が望まれる。
【0079】
第1の実施形態のダイカストマシン100は、トグル移動機構28を用いて、可動ダイプレート14及びリンクハウジング16を移動して、可動金型22が固定金型20に接触する直前又は接触させて停止させる。したがって、トグル機構24のストロークは、型締めのためのストロークが確保できれば十分である。型締めのためのストロークは、例えば、10mm以下である。したがって、トグル機構24を小型化し、トグル機構24のストロークを小さく抑えることができる。よって、ダイカストマシン100の構造の簡略化が実現できる。
【0080】
また、トグル移動機構28によりリンクハウジング16を移動可能とすることで、タイバー18の長さを短くすることが可能となる。したがって、ダイカストマシン100の構造の簡略化が実現できる。
【0081】
また、ダイカストマシン100は、トグル機構24に油圧アクチュエータを用いる。油圧アクチュエータを使用することで、電動モータを用いる場合に比べアクチュエータのコストが低減する。
【0082】
(変形例)
第1の実施形態の変形例の成形機は、タイバーは、リンクハウジングに固定される点で、第1の実施形態の成形機と異なる。
【0083】
図12は、第1の実施形態の変形例の成形機の全体構成を示す模式図である。図12は、第1の実施形態の図1に対応する図である。
【0084】
第1の実施形態の変形例の成形機はダイカストマシン101である。第1の実施形態の変形例のダイカストマシン101は、コールドチャンバ式のダイカストマシンである。
【0085】
タイバー18は、リンクハウジング16及び固定ダイプレート12に固定可能である。タイバー18はタイバーナット19によりリンクハウジング16に固定される。タイバー18は、可動ダイプレート14を貫通する。タイバー18は可動ダイプレート14及び固定ダイプレート12に対しては、摺動可能である。
【0086】
固定ダイプレート12には、タイバー固定機構32が設けられる。タイバー18は固定ダイプレート12に対し、タイバー固定機構32を用いて固定又は非固定(解放)の状態にすることが可能である。タイバー固定機構32は、タイバー18を所望の位置で固定する。
【0087】
例えば、タイバー18の固定ダイプレート12の側の先端部に、鋸状の溝が設けられる。タイバー固定機構32は、例えば、タイバー固定モータ72によりハーフナット70の開閉を制御する。例えば、ハーフナット70が閉じられることにより、タイバー18の先端部の溝にハーフナット70がはめ込まれ、タイバー18が固定ダイプレート12に対して固定される。
【0088】
タイバー18は、固定金型20と可動金型22に型締力が加えられている間は、型締力を支える。
【0089】
タイバー18は、リンクハウジング16に固定され、リンクハウジング16と固定ダイプレート12が最も離隔した位置において、タイバー18の固定ダイプレート12の側の端部は、固定ダイプレート12よりも可動ダイプレート14の側に位置する。リンクハウジング16と固定ダイプレート12が最も離隔した位置において、タイバー18の固定ダイプレート12の側の端部は、固定ダイプレート12と可動ダイプレート14の間に位置する。
【0090】
ダイカストマシン101は、タイバー18の長さを短くすることで、金型が開ききった初期状態で、タイバー18の固定ダイプレート12の側の端部と固定ダイプレート12との間に空間が確保できる。この空間を利用して金型の脱着を行うことが可能となり、例えば、金型の脱着のためのタイバー引き抜き装置の設置が不要となる。したがって、ダイカストマシン101の構造の更なる簡略化が実現できる。
【0091】
以上、第1の実施形態及び変形例によれば、ダイカストマシンの構造の簡略化が実現できる。
【0092】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の成形機は、アクチュエータは、クロスヘッドに組み込まれ、シリンダチューブと、一部がシリンダチューブの中に設けられ型開閉方向に垂直な方向に移動可能なロッドと、を含む点で、第1の実施形態の成形機と異なる。以下、第1の実施形態と重複する内容については、一部記述を省略する場合がある。
【0093】
図13は、第2の実施形態の成形機の全体構成を示す模式図である。図13は、一部に断面図を含む側面図である。
【0094】
第2の実施形態の成形機はダイカストマシン200である。第2の実施形態のダイカストマシン200は、コールドチャンバ式のダイカストマシンである。
【0095】
図13は、ダイカストマシン200の動作開始前の初期状態を示す。この場合の初期状態とは、金型が開ききった状態、いわゆる型開限の状態である。
【0096】
ダイカストマシン200は、金型の内部(図13中の空洞Ca)に液状金属(溶湯)を射出し、その液状金属を金型内で凝固させることにより、ダイカスト品を製造する機械である。金属は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、亜鉛合金、又は、マグネシウム合金である。
【0097】
ダイカストマシン200は、ベース10、固定ダイプレート12、可動ダイプレート14、リンクハウジング16、タイバー18、タイバーナット19、固定金型20、可動金型22、トグル機構24、油圧アクチュエータ26(アクチュエータ)、トグル移動機構28、押出機構30、タイバー固定機構32(固定機構)、射出装置34、入力表示装置36を備える。
【0098】
トグル機構24は、クロスヘッド44、複数のリンク46を備える。クロスヘッド44は、第1の部分44a及び第2の部分44bを含む。
【0099】
油圧アクチュエータ26は、油圧シリンダチューブ26a(シリンダチューブ)、油圧ピストン26b、及び油圧ロッド26c(ロッド)を備える。
【0100】
トグル移動機構28は、トグル移動モータ50、ねじ軸52、ナット部54、ガイドレール55を備える。トグル移動モータ50は電動モータである。
【0101】
押出機構30は、押出板56、押出軸60、ピン支持板62、押出ピン64、押出モータ66を備える。
【0102】
タイバー固定機構32は、ハーフナット70、タイバー固定モータ72を備える。
【0103】
射出装置34は、スリーブ74、プランジャ76、射出駆動部78、位置センサ80を有する。プランジャ76は、プランジャチップ76aとプランジャロッド76bを含む。スリーブ74には、開口部82が設けられる。
【0104】
固定ダイプレート12はベース10の上に固定される。固定ダイプレート12には固定金型20を取り付けることが可能である。
【0105】
可動ダイプレート14は、ベース10の上に型開閉方向に移動可能に設けられる。型開閉方向とは、図13等に示す型開方向及び型閉方向の両方向を意味する。可動ダイプレート14は、ベース10の上に設けられたガイドレール55の上を型開閉方向に移動する。可動ダイプレート14には、可動金型22を取り付けることが可能である。
【0106】
リンクハウジング16は、ベース10の上に型開閉方向に移動可能に設けられる。リンクハウジング16は、ベース10の上に設けられたガイドレール55の上を型開閉方向に移動する。リンクハウジング16には、複数のリンク46の一部の一端が固定される。
【0107】
トグル機構24は、リンクハウジング16と可動ダイプレート14との間に設けられる。複数のリンク46の一部の一端がリンクハウジング16に固定される。また、複数のリンク46の別の一部の一端が可動ダイプレート14に固定される。
【0108】
トグル機構24により、リンクハウジング16と可動ダイプレート14との間の距離が変化する。リンクハウジング16と可動ダイプレート14との間隔の変位量は、例えば、2mm以上10mm以下である
【0109】
トグル機構24により、固定金型20と可動金型22の型締めが可能となる。
【0110】
トグル機構24は、油圧アクチュエータ26を用いて駆動される。油圧アクチュエータ26は、油圧シリンダチューブ26a、油圧ピストン26b、及び油圧ロッド26cを備える。油圧アクチュエータ26は、クロスヘッド44に組み込まれる。
【0111】
クロスヘッド44は、第1の部分44aと第2の部分44bを含む。第1の部分44aと第2の部分44bは、型開閉方向に垂直な方向に対向する。第1の部分44aと第2の部分44bは、型開閉方向に垂直な方向に離隔する。
【0112】
第1の部分44aは、複数のリンク46の一つに接続される。また、第2の部分44bは、複数のリンク46の別の一つに接続される。
【0113】
油圧シリンダチューブ26aは、クロスヘッド44の第1の部分44aに固定される。油圧ピストン26bは、油圧シリンダチューブ26aの中に設けられ、型開閉方向に垂直な方向に移動可能である。また、油圧ロッド26cの一端は油圧ピストン26bに固定され他端がクロスヘッド44の第2の部分44bに固定される。油圧ロッド26cは、型開閉方向に垂直な方向に移動可能である。
【0114】
油圧ロッド26cが型開閉方向に垂直な方向に移動することで、クロスヘッド44の第1の部分44aと第2の部分44bとの間の型開閉方向に垂直な方向の距離が増減する。クロスヘッド44の第1の部分44aと第2の部分44bとの距離が増減することにより、複数のリンク46が動作し、可動ダイプレート14がリンクハウジング16に対して相対的に型開閉方向に移動する。
【0115】
タイバー18は、型開閉方向に延びる。タイバー18は、例えば、4本設けられる。
【0116】
タイバー18は、リンクハウジング16及び固定ダイプレート12に固定可能である。タイバー18はタイバーナット19により固定ダイプレート12に固定される。タイバー18は、可動ダイプレート14を貫通する。タイバー18は可動ダイプレート14及びリンクハウジング16に対しては、摺動可能である。
【0117】
リンクハウジング16には、タイバー固定機構32が設けられる。タイバー18はリンクハウジング16に対し、タイバー固定機構32を用いて固定又は非固定(解放)の状態にすることが可能である。タイバー固定機構32は、タイバー18を所望の位置で固定する。
【0118】
例えば、タイバー18のリンクハウジング16の側の先端部に、鋸状の溝が設けられる。タイバー固定機構32は、例えば、タイバー固定モータ72によりハーフナット70の開閉を制御する。例えば、ハーフナット70が閉じられることにより、タイバー18の先端部の溝にハーフナット70がはめ込まれ、タイバー18がリンクハウジング16に対して固定される。
【0119】
タイバー18は、固定金型20と可動金型22に型締力が加えられている間は、型締力を支える。
【0120】
タイバー18は、固定ダイプレート12に固定され、リンクハウジング16と固定ダイプレート12が最も離隔した位置において、タイバー18のリンクハウジング16の側の端部は、リンクハウジング16よりも可動ダイプレート14の側に位置する。リンクハウジング16と固定ダイプレート12が最も離隔した位置において、タイバー18のリンクハウジング16の側の端部は、リンクハウジング16と可動ダイプレート14の間に位置する。
【0121】
トグル移動機構28は、可動ダイプレート14及びリンクハウジング16を型開閉方向に移動する。トグル移動機構28は、トグル移動モータ50を用いて可動ダイプレート14及びリンクハウジング16を移動させる。
【0122】
ナット部54は、リンクハウジング16に固定される。トグル移動モータ50により、ねじ軸52が回転することにより、ナット部54が型開閉方向に移動する。ナット部54が型開閉方向に移動することにより、ナット部54に固定されたリンクハウジング16及び複数のリンク46によりリンクハウジング16に接続された可動ダイプレート14が型開閉方向に移動する。リンクハウジング16及び可動ダイプレート14は、ガイドレール55上を移動する。
【0123】
押出機構30は、押出板56、押出軸60、ピン支持板62、押出ピン64、押出モータ66を備える。押出機構30は、製造されたダイカスト品を金型から押し出して分離する機能を有する。
【0124】
押出板56は、クロスヘッド44と可動ダイプレート14との間に設けられる。押出板56には、型閉方向に延びる押出軸60の一端が固定される。押出軸60は、可動ダイプレート14を貫通する。押出軸60は、可動ダイプレート14に対して摺動可能である。
【0125】
押出軸60の他端は、ピン支持板62に固定される。ピン支持板62には、押出ピン64が固定される。押出ピン64は、相対的に押出板56に固定される。
【0126】
押出ピン64は、可動金型22に出没可能に設けられる。押出ピン64は、型閉方向に延びる。押出ピン64は、例えば、複数本設けられる。
【0127】
押出モータ66により、押出板56が型開閉方向に移動可能である。押出板56が型開閉方向に移動することで、押出ピン64が型開閉方向に移動する。
【0128】
射出装置34は、金型の内部の空洞Caに液状金属を射出する機能を有する。射出装置34は、スリーブ74、プランジャ76、射出駆動部78、位置センサ80を有する。プランジャ76は、プランジャチップ76aとプランジャロッド76bを含む。スリーブ74には、開口部82が設けられる。
【0129】
スリーブ74は、固定金型20の中に通じる。スリーブ74は、例えば、固定金型20に連結された筒状の部材である。スリーブ74は、例えば、円筒形状である。
【0130】
プランジャ76は、スリーブ74の中を摺動する。プランジャロッド76bの先端に固定されたプランジャチップ76aが、スリーブ74の中を前後方向に摺動する。スリーブ74の中をプランジャチップ76aが前方へ摺動することにより、スリーブ74の中の溶湯が固定金型20と可動金型22とで形成される空洞Ca内に充填される。
【0131】
射出駆動部78は、プランジャ76を前後方向に駆動させる機能を備える。射出駆動部78は、例えば、液圧式、電動式、又は液圧式と電動式とを組み合わせたハイブリッド式である。
【0132】
位置センサ80は、プランジャ76の位置を検出する機能を有する。位置センサ80は、例えば、光学式又は磁気式のリニアエンコーダである。位置センサ80で検出されるプランジャ76の位置を微分することで、プランジャ76の速度を検出することが可能である。
【0133】
入力表示装置36は、例えば、固定ダイプレート12に設けられる。入力表示装置36は、例えば、オペレータの入力操作を受け付ける。オペレータは、入力表示装置36を用いて、ダイカストマシン200の成形条件等の設定が可能となる。また、入力表示装置36は、例えば、ダイカストマシン200の成形条件、動作状況等を画面に表示する。入力表示装置36は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイである。
【0134】
次に、第2の実施形態の成形機を用いた成形動作について、図13ないし図23を用いて説明する。図14は、第2の実施形態の成形機の成形動作のフロー図である。図15ないし図23は、第2の実施形態の成形機を用いた成形動作の説明図である。図15ないし図23は、図13に対応する図である。
【0135】
第2の実施形態のダイカストマシン200の成形動作は、図14に示すように、初期状態ステップ(S01)、可動ダイプレート前進ステップ(S02)、タイバー固定ステップ(S03)、型締めステップ(S04)、射出動作ステップ(S05)、型開きステップ(S06)、タイバー解放ステップ(S07)、可動ダイプレート後退ステップ(S08)、押し出しステップ(S09)、押し出し戻しステップ(S10)を備える。
【0136】
最初に、ダイカストマシン200は、初期状態ステップ(S01)にある(図13)。初期状態は、いわゆる、型開限の状態である。
【0137】
次に、可動ダイプレート前進ステップ(S02)でリンクハウジング16及び可動ダイプレート14を型閉方向に前進させる(図15)。リンクハウジング16及び可動ダイプレート14は、トグル移動機構28を用いて移動される。リンクハウジング16及び可動ダイプレート14は、例えば、固定金型20に可動金型22が接触する直前まで前進する。
【0138】
リンクハウジング16及び可動ダイプレート14が停止した後の、固定金型20と可動金型22との間の距離は、例えば、0.5mm以上2mm以下である。固定金型20と可動金型22を接触させても構わない。
【0139】
次に、タイバー固定ステップ(S03)で、リンクハウジング16を貫通したタイバー18を、タイバー固定機構32を用いてリンクハウジング16に固定する(図16)。具体的には、タイバー固定モータ72によりハーフナット70を閉めることにより、タイバー18先端部の溝にハーフナット70がはめ込まれ、タイバー18がリンクハウジング16に対して固定される。
【0140】
次に、型締めステップ(S04)で、トグル機構24を用いて型締めを行う(図17)。図示しない油圧装置を用いて、油圧シリンダチューブ26a内に作動油を供給し、油圧ピストン26bを型開閉方向に垂直な方向に動かす。
【0141】
油圧ピストン26bを型開閉方向に垂直な方向に動かすことにより、油圧ロッド26cが型開閉方向に垂直な方向に移動し、クロスヘッド44の第1の部分44aと第2の部分44bとの間の距離が広がる。クロスヘッド44の第1の部分44aと第2の部分44bとの間の距離が広がることで、トグル機構24が駆動し、リンクハウジング16と可動ダイプレート14との間の距離が広がる。
【0142】
リンクハウジング16と可動ダイプレート14との間の距離が広がることで、固定金型20に可動金型22との間に型締力が加えられる。型締ストロークは、例えば、1mm以上10mm以下である。
【0143】
次に、射出動作ステップ(S05)で、射出装置34を用いて射出動作が行われる(図18)。具体的には、例えば、図示しないラドル等を用いて、開口部82からスリーブ74の中へ溶湯が供給される。そして、スリーブ74内でプランジャチップ76aを前進させて溶湯を金型内の空洞Caへ充填する。金型内の空洞Caへ充填された溶湯が型締めされることで、ダイカスト品99が製造される。
【0144】
次に、型開きステップ(S06)で、トグル機構24を用いて型開きを行う(図19)。型開ストロークは、例えば、1mm以上10mm以下である。型締ストロークに対応する距離だけ、リンクハウジング16と可動ダイプレート14との間の距離が狭まる。
【0145】
次に、タイバー解放ステップ(S07)で、タイバー固定機構32を用いてリンクハウジング16に固定されていたタイバー18を開放する(図20)。具体的には、タイバー固定モータ72によりハーフナット70を開くことにより、タイバー18をリンクハウジング16に対して非固定とする。
【0146】
次に、可動ダイプレート後退ステップ(S08)で、リンクハウジング16及び可動ダイプレート14を型開方向に後退させる(図21)。リンクハウジング16及び可動ダイプレート14は、トグル移動機構28を用いて移動される。タイバー18は、リンクハウジング16から引き抜かれる。
【0147】
次に、押し出しステップ(S09)で、押出機構30を用いてダイカスト品99の押し出しを行う(図22)。具体的には、押出モータ66により押出板56を型閉方向に移動させる。押出板56が型閉方向に移動することで、押出ピン64が型閉方向に移動し、ダイカスト品99が可動金型22から押し出される。可動金型22から押し出されたダイカスト品99は、例えば、図示しないロボットアームを用いてピックアップされる。
【0148】
次に、押し出し戻しステップ(S10)で、押出板56を初期状態の位置に戻す(図23)。具体的には、押出モータ66により押出板56を型開方向に移動させる。
【0149】
以上の成形動作により、ダイカスト品99が製造される。次のダイカスト品99を製造する場合には、上記成形動作を繰り返せば良い。
【0150】
なお、可動ダイプレート後退ステップ(S08)と、押し出しステップ(S09)及び押し出し戻しステップ(S10)を並行して実行し、成形のサイクルタイムを短縮しても構わない。可動ダイプレート後退ステップ(S08)はトグル移動機構28を用い、押し出しステップ(S09)及び押し出し戻しステップ(S10)は、トグル移動機構28とは別の押出機構30を用いる。トグル移動機構28はトグル移動モータ50、押出機構30はトグル移動モータ50と異なる押出モータ66を動力源として使用する。したがって、可動ダイプレート後退ステップ(S08)と、押し出しステップ(S09)及び押し出し戻しステップ(S10)を並行して実行することが可能である。
【0151】
次に、第2の実施形態の成形機の作用及び効果について説明する。
【0152】
ダイカストマシンでは、ダイカスト品の製造コストを低減させるために、ダイカストマシンの構造の簡略化、成形のサイクルタイムの短縮等が望まれる。
【0153】
第2の実施形態のダイカストマシン200は、トグル移動機構28を用いて、可動ダイプレート14及びリンクハウジング16を移動して、可動金型22が固定金型20に接触する直前又は接触させて停止させる。したがって、トグル機構24のストロークは、型締めのためのストロークが確保できれば十分である。型締めのためのストロークは、例えば、10mm以下である。したがって、トグル機構24を小型化し、トグル機構24のストロークを小さく抑えることができる。よって、ダイカストマシン200の構造の簡略化が実現できる。
【0154】
第2の実施形態のダイカストマシン200は、油圧アクチュエータ26がクロスヘッド44に組み込まれる。そして、油圧アクチュエータ26の油圧ロッド26cは、型開閉方向に垂直な方向に移動するように構成される。したがって、例えば、油圧アクチュエータ26の型開閉方向の幅が小さくできる。よって、ダイカストマシン200の構造の簡略化が実現できる。
【0155】
また、トグル移動機構28によりリンクハウジング16を移動可能とすることで、タイバー18の長さを短くすることが可能となる。したがって、ダイカストマシン200の構造の簡略化が実現できる。
【0156】
また、ダイカストマシン200は、トグル機構24に油圧アクチュエータを用いる。油圧アクチュエータを使用することで、電動モータを用いる場合に比べアクチュエータのコストが低減する。
【0157】
(第1の変形例)
第2の実施形態の第1の変形例の成形機は、タイバーは、リンクハウジングに固定される点で、第2の実施形態の成形機と異なる。
【0158】
図24は、第2の実施形態の第1の変形例の成形機の全体構成を示す模式図である。図24は、第2の実施形態の図13に対応する図である。
【0159】
第2の実施形態の第2の変形例の成形機はダイカストマシン201である。第2の実施形態の第2の変形例のダイカストマシン201は、コールドチャンバ式のダイカストマシンである。
【0160】
タイバー18は、リンクハウジング16及び固定ダイプレート12に固定可能である。タイバー18はタイバーナット19によりリンクハウジング16に固定される。タイバー18は、可動ダイプレート14を貫通する。タイバー18は可動ダイプレート14及び固定ダイプレート12に対しては、摺動可能である。
【0161】
固定ダイプレート12には、タイバー固定機構32が設けられる。タイバー18は固定ダイプレート12に対し、タイバー固定機構32を用いて固定又は非固定(解放)の状態にすることが可能である。タイバー固定機構32は、タイバー18を所望の位置で固定する。
【0162】
例えば、タイバー18の固定ダイプレート12の側の先端部に、鋸状の溝が設けられる。タイバー固定機構32は、例えば、タイバー固定モータ72によりハーフナット70の開閉を制御する。例えば、ハーフナット70が閉じられることにより、タイバー18の先端部の溝にハーフナット70がはめ込まれ、タイバー18が固定ダイプレート12に対して固定される。
【0163】
タイバー18は、固定金型20と可動金型22に型締力が加えられている間は、型締力を支える。
【0164】
タイバー18は、リンクハウジング16に固定され、リンクハウジング16と固定ダイプレート12が最も離隔した位置において、タイバー18の固定ダイプレート12の側の端部は、固定ダイプレート12よりも可動ダイプレート14の側に位置する。リンクハウジング16と固定ダイプレート12が最も離隔した位置において、タイバー18の固定ダイプレート12の側の端部は、固定ダイプレート12と可動ダイプレート14の間に位置する。
【0165】
ダイカストマシン201は、タイバー18の長さを短くすることで、金型が開ききった初期状態で、タイバー18の固定ダイプレート12の側の端部と固定ダイプレート12との間に空間が確保できる。この空間を利用して金型の脱着を行うことが可能となり、例えば、金型の脱着のためのタイバー引き抜き装置の設置が不要となる。したがって、ダイカストマシン201の構造の簡略化が実現できる。
【0166】
(第2の変形例)
第2の実施形態の第2の変形例の成形機は、アクチュエータは、電動アクチュエータである点で、第2の実施形態の成形機と異なる。
【0167】
図25は、第2の実施形態の第2の変形例の成形機の全体構成を示す模式図である。図25は、第2の実施形態の図13に対応する図である。
【0168】
第2の実施形態の第2の変形例の成形機はダイカストマシン202である。第2の実施形態の第2の変形例のダイカストマシン202は、コールドチャンバ式のダイカストマシンである。
【0169】
第2の実施形態の第2の変形例のダイカストマシン202は、第2の実施形態のダイカストマシン200の油圧アクチュエータ26にかえて電動アクチュエータ96を備える。
【0170】
電動アクチュエータ96は、クロスヘッド44に組み込まれる。クロスヘッド44は、第1の部分44aと第2の部分44bを含む。第1の部分44aと第2の部分44bは、型開閉方向に垂直な方向に対向する。
【0171】
第1の部分44aは、複数のリンク46の一つに接続される。また。第2の部分44bは、複数のリンク46の別の一つに接続される。
【0172】
電動アクチュエータ96は、電動シリンダチューブ96a(シリンダチューブ)と電動ロッド96b(ロッド)を含む。電動シリンダチューブ96aには、例えば、図示しない電動モータが含まれる。
【0173】
電動シリンダチューブ96aは、クロスヘッド44の第1の部分44aに固定される。電動ロッド96bの一端は、クロスヘッド44の第2の部分44bに固定される。電動ロッド96bは、電動シリンダチューブ96aの中の電動モータを駆動させることで、型開閉方向に垂直な方向に移動可能である。
【0174】
電動ロッド96bが型開閉方向に垂直な方向に移動することで、クロスヘッド44の第1の部分44aと第2の部分44bとの間の型開閉方向に垂直な方向の距離が増減する。クロスヘッド44の第1の部分44aと第2の部分44bとの距離が増減することにより、複数のリンク46が動作し、可動ダイプレート14がリンクハウジング16に対して相対的に型開閉方向に移動する。
【0175】
以上、第2の実施形態及び変形例によれば、ダイカストマシンの構造の簡略化が実現できる。
【0176】
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。実施形態においては、成形機などで、本発明の説明に直接必要としない部分については記載を省略したが、必要とされる、成形機などに関わる要素を適宜選択して用いることができる。
【0177】
第1ないし第2の実施形態においては、ダイカストマシンを成形機の例として説明したが、本発明を射出成形機等に適用することも可能である。
【0178】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての給湯装置及び成形機は、本発明の範囲に包含される。本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその均等物の範囲によって定義されるものである。
【符号の説明】
【0179】
10 ベース
12 固定ダイプレート
14 可動ダイプレート
16 リンクハウジング
18 タイバー
19 タイバーナット
20 固定金型
22 可動金型
24 トグル機構
26 油圧アクチュエータ(アクチュエータ)
26a 油圧シリンダチューブ(シリンダチューブ)
26b 油圧ピストン
26c 油圧ロッド(ロッド)
28 トグル移動機構
30 押出機構
32 タイバー固定機構(固定機構)
34 射出装置
36 入力表示装置
44 クロスヘッド
44a 第1の部分
44b 第2の部分
46 リンク
50 トグル移動モータ(モータ)
52 ねじ軸
54 ナット部
55 ガイドレール
56 押出板
60 押出軸
62 ピン支持板
64 押出ピン
66 押出モータ
70 ハーフナット
72 タイバー固定モータ
74 スリーブ
76 プランジャ
76a プランジャチップ
76b プランジャロッド
78 射出駆動部
80 位置センサ
82 開口部
96 電動アクチュエータ(アクチュエータ)
96a 電動シリンダチューブ(シリンダチューブ)
96b 電動ロッド(ロッド)
99 ダイカスト品
100 ダイカストマシン(成形機)
200 ダイカストマシン(成形機)
Ca 空洞
図1
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図25