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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002180
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】包装機械における包材吸着方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 43/30 20060101AFI20241226BHJP
   B65B 43/26 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
B65B43/30 A
B65B43/26 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102159
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000108281
【氏名又は名称】ゼネラルパッカー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090239
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 始
(74)【代理人】
【識別番号】100100859
【弁理士】
【氏名又は名称】有賀 昌也
(72)【発明者】
【氏名】宮部 祐樹
【テーマコード(参考)】
3E030
【Fターム(参考)】
3E030AA04
3E030BB02
3E030BC02
3E030CA01
3E030CA02
3E030CB01
3E030CB02
3E030CC01
3E030DA01
3E030DA02
3E030EA01
3E030EB01
3E030EB02
(57)【要約】
【課題】包材Hと吸着部(袋口開口用吸着部)22,23との密着性を向上させ、吸着ミスの発生を抑制することができる包装機械における包材吸着方法を提供する。
【解決手段】本発明の包装機械における包材吸着方法は、包材Hを吸着するための吸着部(袋口開口用吸着部)22,23を備えた吸引機構24と、吸着部(袋口開口用吸着部)22,23を振動させるための振動機構25を有する包装機械Pにおける包材吸着方法であって、吸着部(袋口開口用吸着部)22,23を包材Hの吸着時に振動機構25により振動させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
包材を吸着するための吸着部を備えた吸引機構と、前記吸着部を振動させるための振動機構を有する包装機械における包材吸着方法であって、前記吸着部を前記包材の吸着時に前記振動機構により振動させることを特徴とする包装機械における包材吸着方法。
【請求項2】
前記吸着部は、被包装物を充填する前記包材の袋口付近の表裏面側に対向してそれぞれ配された一対の袋口開口用吸着部であり、前記吸引機構は前記一対の袋口開口用吸着部により前記包材の袋口付近の表裏面をそれぞれ吸着するための吸引機構であり、前記包装機械における包材吸着方法は、前記一対の袋口開口用吸着部を前記包材の吸着時に前記振動機構により振動させるものである請求項1に記載の包装機械における包材吸着方法。
【請求項3】
前記吸着部は、被包装物を充填する前記包材の底部付近の表裏面側に対向してそれぞれ配された一対の底部開口用吸着部であり、前記吸引機構は前記一対の底部開口用吸着部により前記包材の底部付近の表裏面をそれぞれ吸着するための吸引機構であり、前記包装機械における包材吸着方法は、前記一対の底部開口用吸着部を前記包材の吸着時に前記振動機構により振動させるものである請求項1に記載の包装機械における包材吸着方法。
【請求項4】
前記振動機構は、異なる真空圧力に設定された第一真空源と第二真空源を有し、前記第一真空源による吸引時に前記第二真空源のON・OFFを繰り返すことで脈動を発生させ前記吸着部を振動させるものである請求項1に記載の包装機械における包材吸着方法。
【請求項5】
前記振動機構は、前記第一真空源が第一真空ポンプであり、前記第二真空源が第二真空ポンプであり、前記第一真空ポンプを開閉する第一真空電磁弁と、前記第二真空ポンプを開閉する第二真空電磁弁とを有し、前記第一真空電磁弁を開いて前記第一真空ポンプにて吸引し、かつ前記第二真空電磁弁による開閉を繰り返しながら前記第二真空ポンプにて吸引することで脈動を発生させ、前記吸着部を振動させるものである請求項4に記載の包装機械における包材吸着方法。
【請求項6】
前記振動機構は、前記吸着部を振動させるためのバイブレータを有するものである請求項1に記載の包装機械における包材吸着方法。
【請求項7】
前記振動機構は、真空源と、大気と連通する大気連通部を有し、該真空源による吸引時に前記大気連通部の開閉を繰り返すことで脈動を発生させ前記吸着部を振動させるものである請求項1に記載の包装機械における包材吸着方法。
【請求項8】
前記吸着部は、被包装物を充填する前記包材を前記包装機械内に供給するための包材供給用吸着部であり、前記吸引機構は前記包材供給用吸着部により前記包材を吸着するための吸引機構であり、前記包装機械における包材吸着方法は、前記包材供給用吸着部を前記包材の吸着時に前記振動機構により振動させるものである請求項1に記載の包装機械における包材吸着方法。
【請求項9】
前記吸着部は、被包装物を充填した前記包材を取り出すための包材取り出し用吸着部であり、前記吸引機構は前記包材取り出し用吸着部により前記包材を吸着するための吸引機構であり、前記包装機械における包材吸着方法は、前記包材取り出し用吸着部を前記包材の吸着時に前記振動機構により振動させるものである請求項1に記載の包装機械における包材吸着方法。
【請求項10】
前記吸着部は、前記包材を搬送するための包材搬送用吸着部であり、前記吸引機構は前記包材搬送用吸着部により前記包材を吸着するための吸引機構であり、前記包装機械における包材吸着方法は、前記包材搬送用吸着部を前記包材の吸着時に前記振動機構により振動させるものである請求項1に記載の包装機械における包材吸着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装機械において包材を吸着する際に使用して好適な包装機械における包材吸着方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、包装機では包材を吸着して、開口工程、給袋工程、製品搬送工程または製品取り出し工程など各種包装工程が行われている。例えば、開口工程では、吸着部(一対の吸着部)によって包材(包装袋)の表裏面側からそれぞれ吸着することで袋口などを開口させている(例えば特開2013-91498号公報または特開2015-182770号公報)。
【0003】
しかし、例えば包材(包装袋)と吸着部(一対の吸着部)との位置関係が悪い場合(例えばパンチ穴等が包装袋の吸着部位に存在する場合)、包材(包装袋)に凹凸がある場合(例えばフィルムよれやチャック袋のチャックが包装袋の吸着部位に存在する場合)、または包材(包装袋)が柔らかい場合(例えば包装袋が薄いフィルム等で形成されている場合)などでは、吸着部(一対の吸着部)が表裏面側からそれぞれ包材の吸着部位に到達しても、包材との密着性が低くて真空圧が高まらず、吸着ミスが発生し開口できないなど、包材と吸着部との密着性が不十分になることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-91498号公報
【特許文献2】特開2015-182770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の課題は、包材と吸着部との密着性を向上させ、吸着ミスの発生を抑制することができる包装機械における包材吸着方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するものは、包材を吸着するための吸着部を備えた吸引機構と、前記吸着部を振動させるための振動機構を有する包装機械における包材吸着方法であって、前記吸着部を前記包材の吸着時に前記振動機構により振動させることを特徴とする包装機械における包材吸着方法である(請求項1)。
【0007】
前記吸着部は被包装物を充填する前記包材の袋口付近の表裏面側に対向してそれぞれ配された一対の袋口開口用吸着部であり、前記吸引機構は前記一対の袋口開口用吸着部により前記包材の袋口付近の表裏面をそれぞれ吸着するための吸引機構であり、前記包装機械における包材吸着方法は、前記一対の袋口開口用吸着部を前記包材の吸着時に前記振動機構により振動させるものであることが好ましい(請求項2)。
【0008】
前記吸着部は被包装物を充填する前記包材の底部付近の表裏面側に対向してそれぞれ配された一対の底部開口用吸着部であり、前記吸引機構は前記一対の底部開口用吸着部により前記包材の底部付近の表裏面をそれぞれ吸着するための吸引機構であり、前記包装機械における包材吸着方法は、前記一対の底部開口用吸着部を前記包材の吸着時に前記振動機構により振動させるものであってもよい(請求項3)。
【0009】
前記振動機構は、異なる真空圧力に設定された第一真空源と第二真空源を有し、前記第一真空源による吸引時に前記第二真空源のON・OFFを繰り返すことで脈動を発生させ前記吸着部を振動させるものであることが好ましい(請求項4)。
【0010】
前記振動機構は、前記第一真空源が第一真空ポンプであり、前記第二真空源が第二真空ポンプであり、前記第一真空ポンプを開閉する第一真空電磁弁と、前記第二真空ポンプを開閉する第二真空電磁弁とを有し、前記第一真空電磁弁を開いて前記第一真空ポンプにて吸引し、かつ前記第二真空電磁弁による開閉を繰り返しながら前記第二真空ポンプにて吸引することで脈動を発生させ、前記吸着部を振動させるものであってもよい(請求項5)。
【0011】
前記振動機構は、前記吸着部を振動させるためのバイブレータを有するものであってもよい(請求項6)。
【0012】
前記振動機構は、真空源と、大気と連通する大気連通部を有し、該真空源による吸引時に前記大気連通部の開閉を繰り返すことで脈動を発生させ前記吸着部を振動させるものであってもよい(請求項7)。
【0013】
前記吸着部は被包装物を充填する前記包材を前記包装機械内に供給するための包材供給用吸着部であり、前記吸引機構は前記包材供給用吸着部により前記包材を吸着するための吸引機構であり、前記包装機械における包材吸着方法は、前記包材供給用吸着部を前記包材の吸着時に前記振動機構により振動させるものであってもよい(請求項8)。
【0014】
前記吸着部は被包装物を充填した前記包材を取り出すための包材取り出し用吸着部であり、前記吸引機構は前記包材取り出し用吸着部により前記包材を吸着するための吸引機構であり、前記包装機械における包材吸着方法は、前記包材取り出し用吸着部を前記包材の吸着時に前記振動機構により振動させるものであってもよい(請求項9)。
【0015】
前記吸着部は前記包材を搬送するための包材搬送用吸着部であり、前記吸引機構は前記包材搬送用吸着部により前記包材を吸着するための吸引機構であり、前記包装機械における包材吸着方法は、前記包材搬送用吸着部を前記包材の吸着時に前記振動機構により振動させるものであってもよい(請求項10)。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の包装機械における包材吸着方法によれば、包材と吸着部との密着性を向上させ、吸着ミスの発生を抑制することができる。
請求項2に記載の包装機械における包材吸着方法によれば、包材(包装袋)の袋口付近の表裏面と一対の袋口開口用吸着部との密着性を向上させ、吸着ミスの発生を抑制して袋口をより確実に開口できる。
請求項3に記載の包装機械における包材吸着方法によれば、包材(包装袋)の底部付近の表裏面と一対の底部開口用吸着部との密着性を向上させ、吸着ミスの発生を抑制して底部内部をより確実に開口できる。
請求項4に記載の包装機械における包材吸着方法によれば、上記請求項1の効果を奏する振動機構を簡素な構造で実現できる。
請求項5に記載の包装機械における包材吸着方法によれば、上記請求項1の効果を奏する振動機構をより簡素な構造で実現できる。
請求項6に記載の包装機械における包材吸着方法によれば、上記請求項1の効果を奏する振動機構をより簡素な構造で実現できる。
請求項7に記載の包装機械における包材吸着方法によれば、上記請求項1の効果を奏する振動機構をより簡素な構造で実現できる。
請求項8に記載の包装機械における包材吸着方法によれば、包材の表面と包材供給用吸着部との密着性を向上させ、吸着ミスの発生を抑制して包材を包装機械内により確実に供給できる。
請求項9に記載の包装機械における包材吸着方法によれば、包材の表面と包材取り出し用吸着部との密着性を向上させ、吸着ミスの発生を抑制して被包装物を充填した包材を機外により確実に取り出すことができる。
請求項10に記載の包装機械における包材吸着方法によれば、包材の表面と包材搬送用吸着部との密着性を向上させ、吸着ミスの発生を抑制して包材をより確実に搬送できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の包装機械における包材吸着方法の一実施例を適用した包装機械の平面概略図である。
図2図1に示した包装機械における包材吸着方法を説明するための斜視概略図である。
図3図2に示した袋開口装置を説明するための斜視概略図であり、(a)は袋口および底部内部が閉じた状態を示した説明図であり、(b)は袋口および底部内部が開いた状態を示した説明図である。
図4】本発明の包装機械における包材吸着方法の他の実施例を説明するための斜視概略図である。
図5】本発明の包装機械における包材吸着方法の他の実施例を説明するための斜視概略図である。
図6】本発明の包装機械における包材吸着方法の他の実施例を説明するための説明図である。
図7】本発明の包装機械における包材吸着方法の他の実施例を説明するための説明図である。
図8】本発明の包装機械における包材吸着方法の他の実施例を説明するための説明図である。
図9】本発明の包装機械における包材吸着方法の他の実施例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明では、包材Hを吸着するための吸着部(袋口開口用吸着部)22,23を備えた吸引機構24と、吸着部(袋口開口用吸着部)22,23を振動させるための振動機構25を有する包装機械(包装機)Pにおいて、吸着部(袋口開口用吸着部)22,23を包材Hの吸着時に振動機構25により振動させることで、包材Hと吸着部(袋口開口用吸着部)22,23との密着性を向上させ、吸着ミスの発生を抑制することができる包装機械における包材吸着方法を実現した。
【実施例0019】
本発明の包装機械における包材吸着方法を、図1ないし図3に示した一実施例を用いて説明する。
この実施例の包装機械(包装機)Pにおける包材吸着方法は、包材(包装袋)Hを吸着するための吸着部(袋口開口用吸着部)22,23を備えた吸引機構24と、吸着部(袋口開口用吸着部)22,23を振動させるための振動機構25を有する包装機Pにおける包材吸着方法であって、吸着部(袋口開口用吸着部)22,23を包材Hの吸着時に振動機構25により振動させることを特徴とするものである。以下、詳述する。
【0020】
本願において「包装機械」とは、包装機(被包装物を包装する機械)の他、製函機(段ボールを組立て被包装物を段ボール組立体内に挿入し施封する機械:ケースフォーマー)、マテリアルハンドリング(保管工程、包装工程および出荷工程:包装ライン)において被包装物や包材の搬送等に使用される機械を広く包含する概念であり、例えばパレタイザ、製品搬送機、被包装物搬送機なども含まれる。また、本願において「包材」とは、被包装物を包装するものの他、被包装物を包装した製品なども広く包含する概念であり、この実施例における包材Hは包装袋であるが、これに限定されるものではなく、紙製または樹脂製等の容器、段ボールあるいは瓶など、およびそれらにより被包した製品なども含まれる。
【0021】
さらに、吸着部は、包材を吸着するものを広く包含する概念であり、この実施例の袋口開口用吸着部22,23は吸盤にて構成されているが、吸盤に限定されるものではなく、包材の種類に応じて吸着可能なものを広く包含する。
【0022】
包装機械(包装機)Pは、被包装物を充填する包材(包装袋)Hの袋口付近の表裏面a,b側に対向してそれぞれ配された一対の袋口開口用吸着部22,23と、一対の袋口開口用吸着部22,23により包材(包装袋)Hの袋口付近の表裏面a,bをそれぞれ吸着するための吸引機構24とを有し、一対の袋口開口用吸着部22,23は包材(包装袋)Hの吸着時に振動機構25により振動可能に構成されている袋開口装置20を備えている。以下、包装機械(包装機)Pの各構成について順次詳述する。
【0023】
包装機械(包装機)Pは、図1に示すように、グリップ対gを備えた移動体(円盤状回転体)10を複数のステーションに間欠回転して停止させ、グリップ対gにより垂直姿勢に支持された包材(包装袋)H内に被包装物を充填して袋口を施封する包装機であって、包装機械(包装機)Pは、包材(包装袋)Hを開口するための袋開口工程を行う袋開口ステーション4に袋開口装置20が設けられている。
【0024】
袋開口装置20は、図2に示すように、被包装物を充填する包材(包装袋)Hの表裏面a,b側に対向してそれぞれ配された一対の袋口開口用吸着部(吸盤)22,23と、一対の袋口開口用吸着部22,23を、包材(包装袋)Hに対して、それぞれ離隔した待機位置と、包材(包装袋)Hの開口保持位置である中間位置と、包材(包装袋)Hの表裏面a,bをそれぞれ吸着するための最接近位置との間で移動させる位置制御モータ26を有している。
【0025】
包装機械(包装機)Pは、図1に示すように、それぞれのステーションにおいて、包材(包装袋)Hを包装機械(包装機)Pに供給する給袋工程(給袋ステーション1)、賞味期限等の印字を包材(包装袋)Hに対して行う印字工程(印字ステーション2)、印字検査を行う印字検査工程(印字検査ステーション3)、包材(包装袋)の袋口および底部内部を開口する袋開口工程(袋開口ステーション4)、被包装物を包材(包装袋)内に充填する充填工程(充填ステーション5)、被包装物の押し込みを行う押し込み工程(押し込みステーション6)、袋口付近の被包装物の吹き飛ばしを行う吹き飛ばし工程(吹き飛ばしステーション7)、袋口付近を水平方向にシールすると共に包材(包装袋)内のエア抜きを行うトップシール・エア抜き工程(トップシールステーション8)、トップシールが冷却されるトップシール冷却工程(冷却ステーション9)、被包装物が包装された包材(包装袋)Hを機外に排出する製品排出工程(製品排出ステーション10)の計10工程を行う装置である。
【0026】
なお、包装機械(包装機)Pはロータリー方式の包装機であるが、本発明を公知の直線移動方式の包装機やトラック式包装機に適用することも可能である。
【0027】
包装機械(包装機)Pでは、図1に示すように、垂直方向に延在する間欠回転軸12を回転自由に支持するスタンド(図示せず)を機台上に設け、その間欠回転軸12の上部に取り付けられた移動体(円盤状回転体)10には、包材(包装袋)aを掴着又は釈放するための10個のグリップ対gが間欠回転軸12を中心として等角度間隔で放射方向に突出するよう設けられている。そして、包装機械(包装機)Pは、給袋ステーション1において、給袋装置13によって包材(包装袋)Hの袋取りが行われ、給袋ステーション1へ順次間欠移動してくるグリップ対gに包材(包装袋)Hが垂直姿勢で吊り下げ状に支持されるよう構成されている。
【0028】
袋開口工程を行う袋開口ステーション4には、図1に示すように、袋開口装置20が設けられ、この袋開口装置20は、図2に示すように、被包装物を充填する包材(包装袋)Hの表裏面a,b側に対向してそれぞれ配された一対の袋口開口用吸着部22,23を有している。これら一対の袋口開口用吸着部22,23は吸引機構24と連通しており、包材(包装袋)Hを表裏面a,b側からそれぞれ吸引し、包材(包装袋)Hを吸着した状態で開口保持位置である中間位置まで移動して袋口を開口させる。
【0029】
一対の袋口開口用吸着部22,23を待機位置と中間位置と最接近位置との間で自在に移動させる袋口開口用吸着部22,23の往復動機構は、図2に示すように、位置制御モータ26と、位置制御モータ26の回動軸27に連接され回動軸27の回動に伴って回動するアーム28,29とを有し、アーム28,29の下端側には一対の袋口開口用吸着部(吸盤)22,23がそれぞれ取り付けられている。
【0030】
位置制御モータとしては、サーボモータ、ステッピングモータ、ブラシレスモータなどが好適に使用できるが、この実施例ではサーボモータが使用されている。
【0031】
吸引機構24は、袋口開口用吸着部22,23にて包材(包装袋)Hを吸着するためのものであり、この実施例の吸引機構24は、図2に示すように、第一真空源である第一真空ポンプ30を有しており、この第一真空ポンプ30による袋口開口用吸着部22,23の吸引は、PLC(制御盤)31による第一真空ポンプ30および第一真空電磁弁32の制御により行われる。
【0032】
振動機構25は、袋口開口用吸着部22,23を包材(包装袋)Hの吸着時に振動させるためのものであり、この実施例の振動機構25は、図2に示すように、異なる真空圧力(真空度)に設定された第一真空源(第一真空ポンプ)30と第二真空源(第二真空ポンプ)33を有し、第一真空源30による吸引時に第二真空源33のON・OFFを高速(良好な振動を発生させるためには好ましくは10~100Hz、この実施例では30HzでON・OFFまたは電磁弁を開閉するように設定されている。)で繰り返すことで脈動を発生させ袋口開口用吸着部22,23を振動させるように構成されている。
【0033】
具体的には、この実施例の振動機構25は、第一真空源30が第一真空ポンプであり、第二真空源33が第二真空ポンプであり、第一真空ポンプ30を開閉する第一真空電磁弁32と、第二真空ポンプ33を開閉する第二真空電磁弁34とを有し、第一真空電磁弁32を開いて第一真空ポンプ30(例えば-40kPa)にて吸引し、かつ第二真空電磁弁34による開閉を高速で繰り返しながら第二真空ポンプ33(例えば-60kPa)にて吸引することで連通した両者のパイプ内で脈動を発生させ、袋口開口用吸着部22,23を振動させる。これによって、袋口開口用吸着部22,23による包材(包装袋)Hの吸着時に真空圧力に強弱をつけることができ、袋口開口用吸着部22,23と包材(包装袋)Hとの間隙に存在する空気を除去して密着性を向上させ吸着ミスの発生を抑制することができると共に、包材(包装袋)H内の残存酸素等を循環させ包材(包装袋)H内のガス濃度の測定精度を向上させることができるように作用する。
【0034】
第一真空ポンプ30、第二真空ポンプ33、第一真空電磁弁32、第二真空電磁弁34、第一真空ポンプ30および第二真空ポンプ33の真空圧力を設定する操作パネル24は、PLC31により制御されるよう構成されている。なお、真空源は、この実施例のような真空ポンプに限定されるものではなく、吸引可能なものであればどのようなものでもよく、例えばブロワやエジェクタなどであってもよい。
【0035】
また、袋開口装置20は、図3に示すように、被包装物を充填する包材(包装袋)Hの袋口付近の表裏面a,b側に対向してそれぞれ配された一対の袋口開口用吸着部22,23に加え、被包装物を充填する包材(包装袋)Hの底部付近の表裏面a,b側に対向してそれぞれ配された一対の底部開口用吸着部50,51を有しており、一対の底部開口用吸着部50,51は包材(包装袋)Hの吸着時に振動可能に構成されている。
【0036】
これら一対の底部開口用吸着部50,51は、例えば底部にマチを備えた自立袋(スタンディングパック)などの場合、袋口のみならず底部内部も開口する必要があるため設けられるものである。そして、一対の底部開口用吸着部50,51の吸引機構は前述した吸引機構24であり、振動機構は前述した振動機構25である。これらにより、包材(包装袋)Hの底部付近の表裏面a,bと一対の底部開口用吸着部50,51との密着性を向上させ吸着ミスの発生を抑制して底部内部をより確実に開口できるように構成されている。なお、図2(a)は袋口および底部内部が閉じた状態にあり、一対の袋口開口用吸着部と一対の底部開口用吸着部とがそれぞれ最接近位置にある状態を示し、図2(b)袋口および底部内部が開いた状態にあり、一対の袋口開口用吸着部と一対の底部開口用吸着部とがそれぞれ中間位置にある状態を示している。
【0037】
つぎに、図4に示した本発明の包装機械における包材吸着方法の他の実施例について説明する。
この実施例の包装機械(包装機)における包材吸着方法と、図1ないし図3に示した包装機械(包装機)Pにおける包材吸着方法との基本的な相違は振動機構の構成および作用であり他は同様である。図1ないし図3に示した包装機械(包装機)Pにおける包材吸着方法と同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。
【0038】
この実施例の包装機械における包材吸着方法を適用した袋開口装置40は、袋口開口用吸着部22,23にて吸引して包材(包装袋)Hを吸着するための真空源が真空ポンプ41のみであり、真空ポンプ41による吸引はPLC31により真空ポンプ41および真空電磁弁43を制御することにより行われる(袋開口装置40の吸引機構42)。
【0039】
そして、振動機構44は、袋開口装置40の本体部47内に設けられたバイブレータ45であり、このバイブレータ45が振動することに伴って袋口開口用吸着部22,23が、真空ポンプ41による吸引中に振動するように構成されている。なお、この実施例のバイブレータ45は、PLC31により振動電磁弁46が制御されることによりバイブレータ45を振動させるエア式ロータリー型バイブレータであるが、袋口開口用吸着部22,23を振動させることができるものであればどのような振動機構でもよく、例えばエア式ピストン型振動機や電気式バイブレータなどで構成されたもの本発明の範疇に包含される。
【0040】
さらに、図5に示した本発明の包装機械における包材吸着方法の他の実施例について説明する。
この実施例の包装機械(包装機)における包材吸着方法と、図1ないし図3に示した包装機械(包装機)Pにおける包材吸着方法との相違も振動機構の構成および作用であり他は同様である。図1ないし図3に示した包装機械(包装機)Pにおける包材吸着方法と同一構成部分については同一符号を付し説明を省略する。
【0041】
この実施例の包装機械(包装機)における包材吸着方法を適用した袋開口装置60は、袋口開口用吸着部22,23を吸引して包材(包装袋)Hを吸着するための真空源が真空ポンプ61のみであり、真空ポンプ61による吸引はPLC31により真空ポンプ61および真空電磁弁62を制御することにより行われる(袋開口装置60の吸引機構63)。
【0042】
また、振動機構64は、吸引機構63と、大気と連通する大気連通部65(この実施例では一端側が大気開放されたパイプ66と、パイプ66を開閉するための電磁弁67)とを有している。
【0043】
そして、真空源(真空ポンプ61)による吸引時に大気連通部65の開閉を高速で繰り返すことで脈動を発生させ一対の袋口開口用吸着部22,23を振動させるように構成されている。
【0044】
このように、本発明の包装機械における包材吸着方法において、2つの異なる圧力を用いて脈動を生起させるためには、前述した袋開口装置20のように、2つの真空源である第一真空源30と第二真空源33を使用するものに限定されず、この実施例の袋開口装置60のように、1つの真空源(真空ポンプ61)と大気連通部65とを有し、異なる圧力を真空圧力と大気圧で実現したものも本発明の範疇に包含される。
【0045】
さらに、本発明の包装機械(包装機)における包材吸着方法の他の実施例について説明する。
図1ないし図5に示した包装機械(包装機)における包材吸着方法は、袋開口ステーション4における袋開口工程に本発明を適用したものであるが、本発明の包装機械における包材吸着方法は、包装機械(包装機)内のおける他の包装工程や包装機械(包装機)の上流側または下流側に適用されるものを広く包含する。すなわち、本発明の包装機械(包装機)における包材吸着方法は、図6に示すように、包材Hを吸着するための吸着部70を備えた吸引機構71と、吸着部70を振動させるための振動機構72を有し、包装機械(包装機)内、包装機械(包装機)の上流側または下流側において、吸着部70を包材Hの吸着時に振動機構72により振動させる包材吸着方法を広く包含する。
【0046】
包材Hには、被包装物を包装するものの他、被包装物を包装した製品なども広く包含され、包装袋、紙製または樹脂製等の容器、段ボールあるいは瓶など、およびそれらにより被包した製品なども含まれる。吸着部70には、吸盤の他、包材の種類に応じて当該包材を吸着可能なものが広く包含され、吸引機構71には、例えば前述した吸引機構24(図2)、吸引機構42(図4)または吸引機構63(図5)などが包含され、振動機構72には、例えば前述した振動機構25(図2)、振動機構44(図4)または振動機構64(図5)などが包含される。以下、袋開口ステーションにおける袋開口工程以外に本発明の包装機械における包材吸着方法を適用した実施例を順次説明する。
【0047】
図7に示した本発明の包装機械(包装機)における包材吸着方法の他の実施例について説明する。
この実施例の本発明の包装機械(包装機)における包材吸着方法は、給袋ステーション(例えば図1に示した包装機械(包装機)Pにおける給袋ステーション1)における給袋工程に本発明を適用したものであり、包材(包装袋)Hを吸着するための吸着部(包材供給用吸着部)80を備えた吸引機構71と、吸着部(包材供給用吸着部)80を振動させるための振動機構72を有する包装機械における包材吸着方法であって、吸着部(包材供給用吸着部)80を包材(包装袋)Hの吸着時に振動機構72により振動させることを特徴とするものである。
【0048】
包材供給用吸着部80は吸盤にて構成され、被包装物を充填する包材(包装袋)Hを包装機械(包装機)内に供給するためのものであり、吸引機構71は包材供給用吸着部80により包材(包装袋)Hを吸着するためのものであり、振動機構72は包材供給用吸着部80を包材(包装袋)Hの吸着時に振動させるためのものである。
【0049】
具体的には、給袋ステーションにおける給袋工程では、包材搬送部(搬送コンベア)81などの包材供給部上の包材(包装袋)Hを、回動アーム82の先端部に設けられた包材供給用吸着部80が吸着した後、回動アーム82が回動して包材捕捉部83へ包材(包装袋)Hを受け渡す。その後、包材捕捉部83がグリップ対g側に移動して包材(包装袋)Hを供給する。
【0050】
そして、この実施例の包装機械(包装機)における包材吸着方法は、包材供給用吸着部80による包材(包装袋)Hの吸着時に振動機構72にて包材供給用吸着部80を振動させることにより、包材(包装袋)Hの表面と包材供給用吸着部80との密着性を向上させ、吸着ミスの発生を抑制して包材(包装袋)Hを包装機内により確実に供給できるよう作用する。
【0051】
さらに、図8に示した本発明の包装機械(包装機)における包材吸着方法の他の実施例について説明する。
この実施例の包装機械(包装機)における包材吸着方法は、製品排出ステーション(例えば図1に示した包装機械(包装機)Pにおける製品排出ステーション10)における給製品排出工程に本発明を適用したものであり、包材(製品:被包装物を充填した包装袋)Hを吸着するための吸着部(包材取り出し用吸着部)90を備えた吸引機構71と、吸着部(包材取り出し用吸着部)90を振動させるための振動機構72を有する包装機械(包装機)における包材吸着方法であって、吸着部(包材取り出し用吸着部包材供給用吸着部)90を包材(製品:被包装物を充填した包装袋)Hの吸着時に振動機構72により振動させることを特徴とするものである。
【0052】
包材取り出し用吸着部90は吸盤にて構成され、被包装物を充填した包材(包装袋)Hを包装機外に取り出すためのものであり、吸引機構71は包材取り出し用吸着部90により包材(製品:被包装物を充填した包装袋)Hを吸着するためのものであり、振動機構72は包材取り出し用吸着部90を包材(製品:被包装物を充填した包装袋)Hの吸着時に振動させるためのものである。
【0053】
具体的には、製品排出ステーションにおける製品排出工程では、グリップ対gに把持された包材(製品:被包装物を充填した包装袋)Hを、回動アーム82の先端部に設けられた包材取り出し用吸着部90が吸着した後、回動アーム82が回動して不良品を不良品シュータ91を介して機外に排出する。他方、良品は回動アーム82が回動して良品シュータ92を介して搬送コンベア93上に載置され搬送される。
【0054】
そして、この実施例の包装機械(包装機)における包材吸着方法は、包材取り出し用吸着部90による包材(製品:被包装物を充填した包装袋)Hの吸着時に振動機構72にて包材取り出し用吸着部90を振動させることにより、包材(製品:被包装物を充填した包装袋)Hの表面と包材取り出し用吸着部90との密着性を向上させ、吸着ミスの発生を抑制して包材(製品:被包装物を充填した包装袋)Hを包装機外により確実に排出させることができるよう作用する。
【0055】
さらに、図9に示した本発明の包装機械における包材吸着方法の他の実施例について説明する。
この実施例の包装機械における包材吸着方法は、広くマテリアルハンドリング(保管工程、包装工程および出荷工程:包装ライン)において、具体的には、包装機の上流側(例えば被包装物や包材の保管工程)、包装機(包装工程)内または包装機の下流側(出荷工程)に本発明を適用したものであり、被包装物や包材Hを吸着するための吸着部(包材搬送用吸着部)100を備えた吸引機構71と、吸着部(包材搬送用吸着部)100を振動させるための振動機構72を有する包装機における包材吸着方法であって、吸着部(包材搬送用吸着部)100を包材Hの吸着時に振動機構72により振動させることを特徴とするものである。
【0056】
包材搬送用吸着部100は吸盤にて構成され、包材Hを搬送するためのものであり、吸引機構71は包材搬送用吸着部100により包材H等を吸着するためのものであり、振動機構72包材搬送用吸着部100を包材H等の吸着時に振動させるためのものである。
【0057】
具体的には、包装機の上流側、包装機内または包装機の下流側において、第1搬送コンベア101に載置された包材Hを、包材搬送体102の下端部に設けられた包材搬送用吸着部100が吸着した後、包材搬送体102が横方向に移動して第2搬送コンベア103に載置する。なお、この実施例の包材Hは、包装袋または被包装物を被包した包装袋であるが、段ボール等他の包材またはそれらに被包された被包装物(製品)であってもよい。
【0058】
そして、この実施例の包装機械における包材吸着方法は、包材搬送用吸着部100による包材H等の吸着時に振動機構72にて包材搬送用吸着部100を振動させることにより、包材H等の表面と包材搬送用吸着部100との密着性を向上させ、吸着ミスの発生を抑制して包材H等をより確実に搬送できるよう作用する。
【0059】
以上のように、本発明の包装機械における包材吸着方法を、包装機の上流側、包装機内の包装工程または包装機の下流側に適用することにより、包材と吸着部との密着性を向上させ吸着ミスの発生を抑制することができる。なお、本発明の包装機械における包材吸着方法を、開口工程、給袋工程、製品搬送工程または製品取り出し工程などの包装工程を例に説明したが、本発明はこれらの工程に適用した場合に限定されず、吸着部を使用した包装機械を他の工程に適用した場合を広く包含する。
【符号の説明】
【0060】
P 包装機械(包装機)
4 袋開口ステーション
10 移動体
12 間欠回転軸
13 給袋装置
20 袋開口装置
22,23 吸着部(袋口開口用吸着部)
24 吸引機構
25 振動機構
26 位置制御モータ
27 回動軸
28,29 アーム
30 第一真空源(第一真空ポンプ)
31 PLC
32 第一真空電磁弁
33 第二真空源(第二真空ポンプ)
34 第二真空電磁弁
35 操作パネル
40 袋開口装置
41 真空ポンプ
42 吸引機構
43 真空電磁弁
44 振動機構
45 バイブレータ
46 振動電磁弁
47 本体部
50,51 底部開口用吸着部
60 袋開口装置
61 真空ポンプ
62 真空電磁弁
63 吸引機構
64 振動機構
65 大気連通部
66 パイプ
67 電磁弁
70 吸着部
71 吸引機構
72 振動機構
80 吸着部(包材供給用吸着部)
81 包材搬送部(ベルトコンベア)
82 回動アーム
83 包材捕捉部
90 吸着部(包材取り出し用吸着部)
91 不良品シュータ
92 良品シュータ
93 搬送コンベア
100 吸着部(包材搬送用吸着部)
101 包材搬送体
102 第1搬送コンベア
103 第2搬送コンベア
H 包材(例えば包装袋)
g グリップ対
a 表面
b 裏面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9