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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021800
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】冷凍装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20250206BHJP
   F25B 1/10 20060101ALI20250206BHJP
   F25B 6/02 20060101ALI20250206BHJP
   F25B 39/04 20060101ALI20250206BHJP
   F28D 1/047 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
F25B1/00 321A
F25B1/10 P
F25B6/02 Z
F25B39/04 E
F28D1/047 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125766
(22)【出願日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】000239585
【氏名又は名称】フクシマガリレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】原田 委千弘
【テーマコード(参考)】
3L103
【Fターム(参考)】
3L103AA35
3L103BB41
3L103CC30
3L103DD06
3L103DD33
(57)【要約】
【課題】二段圧縮冷凍サイクルで構成される冷凍装置において、圧縮後の冷媒を放熱させる放熱器の放熱量の総量を、要求される冷凍能力に適合する放熱量に容易に調整できる汎用性に優れた冷凍装置を提供する。
【解決手段】冷凍装置11は、前段圧縮機12、前段放熱器13、後段圧縮機14、及び後段放熱器15と、これら各機器12~15が接続される冷媒配管18とを備える。前段放熱器13は、冷媒配管18に対して並列に接続される、放熱量が同一の複数の単位前段放熱器13a・13aで構成され、後段放熱器15は、冷媒配管18に対して並列に接続される、放熱量が同一の複数の単位後段放熱器15a・15aで構成される。単位前段放熱器13aの構成数を変更することで、前段放熱器13の放熱量の総量を調整することができる。また、単位後段放熱器15aの構成数を変更することで、後段放熱器15の放熱量の総量を調整することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発器(17)で蒸発された低圧冷媒を圧縮して吐出する前段圧縮機(12)と、
前段圧縮機(12)から吐出された中間圧冷媒を放熱させる前段放熱器(13)と、
前段放熱器(13)で放熱された中間圧冷媒を圧縮して吐出する後段圧縮機(14)と、
後段圧縮機(14)から吐出された高圧冷媒を放熱させる後段放熱器(15)と、
これら前段圧縮機(12)、前段放熱器(13)、後段圧縮機(14)、及び後段放熱器(15)が接続される冷媒配管(18)と、
を備え、
前段放熱器(13)は、冷媒配管(18)に対して並列に接続される、放熱量が同一の複数の単位前段放熱器(13a・13a)で構成され、後段放熱器(15)は、冷媒配管(18)に対して並列に接続される、放熱量が同一の複数の単位後段放熱器(15a・15a)で構成されており、
単位前段放熱器(13a)の構成数を変更することで、前段放熱器(13)の放熱量の総量を調整することができるとともに、単位後段放熱器(15a)の構成数を変更することで、後段放熱器(15)の放熱量の総量を調整することができるように構成されていることを特徴とする冷凍装置。
【請求項2】
1つの単位前段放熱器(13a)と、1つの単位後段放熱器(15a)とを前後方向に隣接配置して形成された放熱器対(43)と、放熱器対(43)に冷却用の空気流を供給する冷却ファン(49)とで構成される放熱器ユニット(50)を複数個備え、
各放熱器対(43)において、単位前段放熱器(13a)が空気流の上流側に配され、単位後段放熱器(15a)が空気流の下流側に配されている請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項3】
単位前段放熱器(13a)と単位後段放熱器(15a)は、左右方向に並列状に配される薄板からなるフィン(35)の一群と、蛇行状に繰り返し反転されてフィン(35)の一群を厚み方向に貫く放熱管(36)とを含む、フィンチューブ型の熱交換器(34)で構成されており、
放熱管(36)が、継ぎ目のない1本の管材で形成されている請求項2に記載の冷凍装置。
【請求項4】
単位前段放熱器(13a)の一群のフィン(35)と、単位後段放熱器(15a)の一群のフィン(35)は、それぞれ等ピッチ置きに配されており、
単位前段放熱器(13a)のフィン(35)の隣接ピッチ(P1)と、単位後段放熱器(15a)のフィン(35)の隣接ピッチ(P2)は同じピッチに設定されており、
放熱器対(43)を前方からみたとき、単位前段放熱器(13a)のフィン(35)と単位後段放熱器(15a)のフィン(35)とが重なるように、単位前段放熱器(13a)と単位後段放熱器(15a)とが前後方向に隣接配置されている請求項3に記載の冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二段圧縮冷凍サイクルで構成される冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の冷凍装置は、例えば特許文献1に開示されており公知である。特許文献1(発明の名称:遷臨界冷凍サイクル装置の製造方法)に記載の冷凍装置は、冷媒を圧縮して吐出するコンプレッサの低段側圧縮手段と、低段側圧縮手段から吐出された中間圧冷媒を放熱させるサブクーラと、サブクーラで放熱させた中間圧冷媒を圧縮して吐出するコンプレッサの高段側圧縮手段と、高段側圧縮手段から吐出された高圧冷媒を放熱させるガスクーラなどを含んで構成される。サブクーラとガスクーラとは一体化されて、1つのフィンチューブ型の熱交換器として構成されている。具体的には、熱交換器は、空気との熱交換を促す薄板からなるフィンの一群と、蛇行状に繰り返し反転されてフィン群を厚み方向へ貫く放熱管とを備えており、サブクーラとガスクーラの放熱管がそれぞれ別の管で構成されるとともに、フィンがサブクーラとガスクーラとで共用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-263431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば食品等を冷却保存する冷却庫では、庫内容積が大小に異なる冷却庫が複数種用意されてシリーズ化されるが、庫内容積によって冷凍装置に要求される冷凍能力は異なる。しかし、特許文献1の冷凍装置のように、サブクーラとガスクーラとが1つのフィンチューブ型の熱交換器で構成されていると、要求される冷凍能力に適合する放熱量を有する熱交換器を複数種用意する必要があり汎用性に欠ける。
【0005】
本発明は、二段圧縮冷凍サイクルで構成される冷凍装置において、圧縮後の冷媒を放熱させる放熱器の放熱量の総量を、要求される冷凍能力に適合する放熱量に容易に調整することができる、汎用性に優れた冷凍装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の冷凍装置11は、蒸発器17で蒸発された低圧冷媒を圧縮して吐出する前段圧縮機12と、前段圧縮機12から吐出された中間圧冷媒を放熱させる前段放熱器13と、前段放熱器13で放熱された中間圧冷媒を圧縮して吐出する後段圧縮機14と、後段圧縮機14から吐出された高圧冷媒を放熱させる後段放熱器15と、これら前段圧縮機12、前段放熱器13、後段圧縮機14、及び後段放熱器15が接続される冷媒配管18と、を備える。前段放熱器13は、冷媒配管18に対して並列に接続される、放熱量が同一の複数の単位前段放熱器13a・13aで構成され、後段放熱器15は、冷媒配管18に対して並列に接続される、放熱量が同一の複数の単位後段放熱器15a・15aで構成されている。そして、単位前段放熱器13aの構成数を変更することで、前段放熱器13の放熱量の総量を調整することができるとともに、単位後段放熱器15aの構成数を変更することで、後段放熱器15の放熱量の総量を調整することができるように構成されていることを特徴とする。
【0007】
1つの単位前段放熱器13aと、1つの単位後段放熱器15aとを前後方向に隣接配置して形成された放熱器対43と、放熱器対43に冷却用の空気流を供給する冷却ファン49とで構成される放熱器ユニット50を複数個備える。各放熱器対43において、単位前段放熱器13aが空気流の上流側に配され、単位後段放熱器15aが空気流の下流側に配されている。
【0008】
単位前段放熱器13aと単位後段放熱器15aは、左右方向に並列状に配される薄板からなるフィン35の一群と、蛇行状に繰り返し反転されてフィン35の一群を厚み方向に貫く放熱管36とを含む、フィンチューブ型の熱交換器34で構成されている。放熱管36は、継ぎ目のない1本の管材で形成されている。
【0009】
単位前段放熱器13aの一群のフィン35と、単位後段放熱器15aの一群のフィン35は、それぞれ等ピッチ置きに配されており、単位前段放熱器13aのフィン35の隣接ピッチP1と、単位後段放熱器15aのフィン35の隣接ピッチP2は同じピッチに設定されている。放熱器対43を前方からみたとき、単位前段放熱器13aのフィン35と単位後段放熱器15aのフィン35とが重なるように、単位前段放熱器13aと単位後段放熱器15aとが前後方向に隣接配置されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の冷凍装置11のように、冷媒配管18に対して並列に接続される、放熱量が同一の複数の単位前段放熱器13a・13aで前段放熱器13を構成していると、各単位前段放熱器13aを通過したのち合流する中間圧冷媒の温度を略一致させることができるので、温度が異なる中間圧冷媒が合流する際に生じる冷媒流の乱れを防いで、冷媒をスムーズに循環させることができる。同様に、冷媒配管18に対して並列に接続される、放熱量が同一の複数の単位後段放熱器15a・15aで後段放熱器15を構成していると、各単位後段放熱器15aを通過したのち合流する高圧冷媒の温度を略一致させることができるので、温度が異なる高圧冷媒が合流する際に生じる冷媒流の乱れを防いで、冷媒をスムーズに循環させることができる。以上より、本発明の冷凍装置11によれば、前段放熱器13と後段放熱器15のそれぞれを複数個の単位放熱器13a・15aで構成したにも拘わらず、冷媒の循環に弊害が生じることを防ぐことができる。
【0011】
そのうえで、本発明の冷凍装置11のように、単位前段放熱器13aの構成数を変更することで、前段放熱器13の放熱量の総量を調整することができるとともに、単位後段放熱器15aの構成数を変更することで、後段放熱器15の放熱量の総量を調整することができるように構成されていると、より簡単に放熱器13・15の放熱量の総量を調整することができる。加えて、放熱量の異なる複数種の単位放熱器を用意する必要はなく、1種の単位放熱器13a・15aを用意し、その構成数を変更するだけで、放熱器13・15の放熱量の総量を定量的に増減させることができる。以上より、本発明によれば、放熱器の放熱量の総量を、要求される冷凍能力に適合する放熱量に容易に調整することができる、汎用性に優れた冷凍装置11を得ることができる。
【0012】
なお、前段放熱器を構成する放熱量が同一の複数の単位前段放熱器が、冷媒配管に対して直列に接続されていると、冷媒の合流部分が存在しないため冷媒流の乱れは生じることがないものの、各単位前段放熱器に流入する冷媒温度がそれぞれ異なるため、各単位前段放熱器で放熱されたのちの冷媒の放熱度合いもそれぞれ異なる。したがって、単位前段放熱器の構成数を変更しても、前段放熱器の放熱量の総量を定量的には増減させることができず、冷凍装置11の冷凍能力の調整は困難となる。後段放熱器においても同様である。
【0013】
1つの単位前段放熱器13aと、1つの単位後段放熱器15aとを前後方向に隣接配置して形成された放熱器対43と、放熱器対43に冷却用の空気流を供給する冷却ファン49とで構成される放熱器ユニット50を複数個備えるものとし、各放熱器対43において単位前段放熱器13aが空気流の上流側に配され、単位後段放熱器15aが空気流の下流側に配されている構成を採ることができる。これによれば、冷却用空気は相対的に冷媒温度が低い中間圧冷媒が循環する単位前段放熱器13aと熱交換を行い、次いで相対的に冷媒温度が高い高圧冷媒が循環する単位後段放熱器15aと熱交換を行うため、熱交換前の冷却用空気と単位前段放熱器13aとの間の温度差、また、単位前段放熱器13aと熱交換されて温度が上昇した冷却用空気と単位後段放熱器15aとの間の温度差を、それぞれ大きなものとすることができ、両放熱器13a・15aにおける熱交換効率の向上を図ることができる。なお、上記とは逆に、単位後段放熱器15aを空気流の上流側に配し、単位前段放熱器13aを空気流の下流側に配した場合には、単位後段放熱器15aで熱交換されて温度が上昇した冷却用空気と単位前段放熱器13aとの間の温度差は小さなものとなり、下流側に位置する単位前段放熱器13aの熱交換効率が低下することが避けられない。
【0014】
単位前段放熱器13aと単位後段放熱器15aとが、左右方向に並列状に配される薄板からなるフィン35の一群と、蛇行状に繰り返し反転されてフィン35の一群を厚み方向に貫く放熱管36とを含む、フィンチューブ型の熱交換器34で構成されており、放熱管36が、継ぎ目のない1本の管材で形成されていると、放熱管36に溶接により接合された継ぎ目部分が形成される形態に比べて、冷媒漏れのリスクを抑えて、冷凍装置11の信頼性を向上することができる。このような構成は、特に運転圧力が高い冷媒を使用する冷凍装置11、例えば二酸化炭素を冷媒とする冷凍装置11に好適である。
【0015】
単位前段放熱器13aのフィン35の隣接ピッチP1と、単位後段放熱器15aのフィン35の隣接ピッチP2とが同じピッチに設定されていると、左右方向の全体で冷却用空気の通気抵抗を均一にすることができるので、部分的に通気抵抗が大きくなることにより、熱交換効率が低下することを防ぐことができる。また、放熱器対43を前方からみたとき、単位前段放熱器13aのフィン35と単位後段放熱器15aのフィン35とが重なるように、単位前段放熱器13aと単位後段放熱器15aとが前後方向に隣接配置されていると、単位前段放熱器13aのフィン35・35間を通過した冷却用空気を、スムーズに単位後段放熱器15aのフィン35・35間に流動させることができるので、冷却用の吸気流に渦などが生じて、フィン35と冷却用空気との間の熱交換効率が低下することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る冷凍装置が適用された冷却庫の機械区画を示す横断平面図である。
図2】冷却庫の全体を示す縦断側面図である。
図3】冷凍装置の構成図である。
図4】放熱器ユニットを示す横断平面図である。
図5】放熱器ユニットの正面図である。
図6図5におけるA-A線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施形態) 図1から図6に、本発明を冷却庫に適用した実施形態を示す。本実施形態における前後、左右、上下とは、図1及び図2に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図2において冷却庫は、リーチイン型のショーケースとして構成されており、正面に開口を有する断熱箱体からなるケース本体1と、ケース本体1の開口を開閉する扉2とを備える。ケース本体1と扉2とで囲まれる庫内3は、庫内3の上部に設けられた区画板4で、陳列室5と通気ダクト6とに区画されている。扉2に臨む陳列室5には、陳列対象である食品を載置するための棚板7が上下多段状に設置されている。通気ダクト6の入口部分には、庫内3の空気を循環させるための庫内ファン8が設けられている。
【0018】
冷却庫の庫内3は、二酸化炭素を冷媒とする冷凍装置11により冷却される。図3に示すように冷凍装置11は、低圧冷媒を圧縮して吐出する前段圧縮機12と、前段圧縮機12から吐出された中間圧冷媒を放熱させる中間冷却器(前段放熱器)13と、中間冷却器13で放熱された中間圧冷媒を圧縮して吐出する後段圧縮機14と、後段圧縮機14から吐出された高圧冷媒を放熱させるガスクーラ(後段放熱器)15と、ガスクーラ15で放熱された高圧冷媒を断熱膨張させる膨張構造16と、膨張構造16で減圧された低圧冷媒を蒸発させる蒸発器17などを備える。これら各機器(前段圧縮機12、中間冷却器13、後段圧縮機14、ガスクーラ15、膨張構造16、蒸発器17)は、冷媒配管18でループ状に接続されており、これら機器のうち、前段圧縮機12、中間冷却器13、後段圧縮機14、ガスクーラ15、及び膨張構造16は、ケース本体1の上方に形成された機械区画21に設置され、蒸発器17は、先の庫内ファン8と共に通気ダクト6に設置される(図2参照)。蒸発器17を構成する熱交換器は、公知のフィンチューブ型の熱交換器からなる。
【0019】
図1及び図2に示すように機械区画21は、ケース本体1の左右壁を構成し、ケース本体1の天井壁22の上方まで延設された左右両側のサイドパネル23・23と、各サイドパネル23の延設部分の前端縁間に掛け渡されるフロントパネル24とで区画されており、上面および後面に開口を有する。フロントパネル24は着脱自在に装着されている。図1において符号25は、フロントパネル24に設けられた通気口であり、この通気口25を介して、ショーケースの正面側から機械区画21内に空気を取り込むことができる。通気口25は、上下並列状に形成された左右に伸びるスリットからなる。前段圧縮機12、中間冷却器13、後段圧縮機14、ガスクーラ15、及び膨張構造16などは、天井壁22に固定され機械区画21に設置される。
【0020】
図3に示すように前段圧縮機12及び後段圧縮機14は、モーター27で駆動されており、これら3者(前段圧縮機12、後段圧縮機14、モーター27)は圧縮機ユニット28としてユニット化されている。膨張構造16は、第1膨張器29が設けられたメイン流路と、第2膨張器30が設けられたサブ流路の2つの流路を備えており、サブ流路には、第2膨張器30の流路上流側に同流路を開閉する開閉弁31が設けられている。各膨張器29・30はキャピラリチューブからなり、開閉弁31は電磁弁からなる。冷凍装置11の運転時において、第1膨張器29は、常時冷媒を断熱膨張させて減圧した冷媒を蒸発器17に送給しており、第2膨張器30で断熱膨張させる冷媒の量を増減させることにより、蒸発器17に送給される減圧された冷媒の総量が調整される。第2膨張器30で断熱膨張させる冷媒の量は、開閉弁31の単位時間当たりの開弁率を変更することにより制御される。
【0021】
中間冷却器13は、複数の単位中間冷却器(単位前段放熱器)13aで構成され、ガスクーラ15は、複数の単位ガスクーラ(単位後段放熱器)15aで構成される。具体的には、図3に示すように中間冷却器13は、冷媒配管18に対して並列に接続される、放熱量が同一の2つの単位中間冷却器13aで構成される。同様に、ガスクーラ15は、冷媒配管18に対して並列に接続される、放熱量が同一の2つの単位ガスクーラ15aで構成される。単位中間冷却器13aの個数と単位ガスクーラ15aの個数は同数である。
【0022】
冷媒配管18は、前段圧縮機12と中間冷却器13との間で二股状に分岐され、分岐された冷媒配管18は、中間冷却器13と後段圧縮機14との間で合流される。この分岐部分に2つの単位中間冷却器13aが並列状に接続される。また、冷媒配管18は、後段圧縮機14とガスクーラ15との間で二股状に分岐され、分岐された冷媒配管18は、ガスクーラ15と膨張構造16との間で合流される。この分岐部分に2つの単位ガスクーラ15aが並列状に接続される。単位中間冷却器13a及び単位ガスクーラ15aの数は、その放熱量の総量が、冷凍装置11に要求される冷凍能力に適合する放熱量を満たす数であればよい。例えば本実施形態の冷凍装置11よりも大きな冷凍能力が要求される場合には、単位中間冷却器13a及び単位ガスクーラ15aの構成数はそれぞれ3つ以上で構成すればよい。冷媒配管18は、単位中間冷却器13a及び単位ガスクーラ15aの構成数に応じて分岐させることが必要となる。
【0023】
図4に示すように単位中間冷却器13aと単位ガスクーラ15aは、左右方向に並列状に配される薄板からなるフィン35の一群と、蛇行状に折り返し反転されてフィン35の一群を厚み方向に貫く放熱管36と、放熱管36の左右の各端部に設けられて、放熱管36を支持する左右一対の側板37・37などを備える熱交換器34で構成されている、つまり、単位中間冷却器13aと単位ガスクーラ15aは、フィンチューブ型の熱交換器34で構成されている。放熱管36は、継ぎ目のない1本の管材に曲げ加工を施して形成されており、直線部分と反転部分の境界に溶接による継ぎ目を有しないシームレス状に構成されている。
【0024】
このように放熱管36がシームレス状の管材からなるフィンチューブ型の熱交換器34は、その製造方法上のサイズ制限があり大型化することが困難である。しかし、本実施形態のように、中間冷却器13を複数の単位中間冷却器13aで構成し、ガスクーラ15を複数の単位ガスクーラ15aで構成していると、中間冷却器13とガスクーラ15とを大型化することなく、単位中間冷却器13aや単位ガスクーラ15aの個数を変更することで冷却能力を確保することができるため、これら単位中間冷却器13aや単位ガスクーラ15aを構成する放熱管36として、継ぎ目を有しないシームレス状の管材を採用することが可能となる。また、このように、放熱管36を継ぎ目を有しないシームレス状の管材としていると、継ぎ目における冷媒漏れリスクを解消することができる。したがって、本実施形態の熱交換器34は、運転圧力が高い二酸化炭素を冷媒とする冷凍装置の熱交換器として好適である。
【0025】
図5に示すように各側板37は、垂直な主壁38と、主壁38の上縁から内向きに伸びる上壁39と、主壁38の下縁から外向きに伸びる下壁40とで断面クランク状に形成されている。上述の放熱管36は、主壁38により支持されている。機械区画21に設置されたとき、熱交換器34の下壁40は、ケース本体1の天井壁22の上面に固定されている。主壁38は、フィン35よりもひとまわり大きく形成されており、熱交換器34が機械区画21に設置された状態において、フィン35の下端と天井壁22の上面との間には、隙間が形成される(図6参照)。
【0026】
単位中間冷却器13aを構成する熱交換器34のフィン35の枚数と、単位ガスクーラ15aを構成する熱交換器34のフィン35の枚数とは同じ枚数に設定されている。また、単位中間冷却器13aのフィン35の隣接ピッチP1と、単位ガスクーラ15aのフィン35の隣接ピッチP2とは同じピッチに設定されている。さらに、単位中間冷却器13aの左右の側板37・37間の距離と、単位ガスクーラ15aの左右の側板37・37間の距離とは同じに設定されている。
【0027】
単位中間冷却器13aを構成する放熱管36の長さ、フィン35のサイズ、及び側板37のサイズと、単位ガスクーラ15aを構成する放熱管36の長さ、フィン35のサイズ、及び側板37のサイズとを比較すると、両者(13aと15a)の長さやサイズは異なるものとされている。具体的には、図6に示すように、単位中間冷却器13aの放熱管36は、2列8段に折り返し反転されて形成されているのに対して、単位ガスクーラ15aの放熱管36は、4列8段に折り返し反転されて形成されている。フィン35は、放熱管36の形状に対応しており、単位中間冷却器13aのフィン35と単位ガスクーラ15aのフィン35とでは、上下高さ寸法は同じであるものの、前後幅寸法は単位中間冷却器13aの方が相対的に小さく、単位ガスクーラ15aの方が相対的に大きく形成されている。同様に、側板37は、放熱管36の形状に対応しており、単位中間冷却器13aの側板37と単位ガスクーラ15aの側板37とでは、上下高さ寸法は同じであるが、前後幅寸法は単位中間冷却器13aの方が相対的に小さく、単位ガスクーラ15aの方が相対的に大きく形成されている。以上より、図4及び図6に示すように、単位中間冷却器13aと単位ガスクーラ15aとは、左右幅サイズが略同じに形成され、前後幅寸法が単位中間冷却器13aよりも単位ガスクーラ15aの方が大きく形成されている。このように、より高温の高圧冷媒を放熱させるガスクーラ15の単位ガスクーラ15aは、中間圧冷媒を放熱させる中間冷却器13の単位中間冷却器13aよりも放熱量が大きくなるように構成されている。
【0028】
図1に示すように、中間冷却器13を構成する1つの単位中間冷却器13aと、ガスクーラ15を構成する1つの単位ガスクーラ15aとは前後方向に隣接配置されて、熱交換器対(放熱器対)43が形成されている。各熱交換器対43は、前側に単位中間冷却器13aが配され、後側に単位ガスクーラ15aが配される。図4に示すように、単位中間冷却器13aと単位ガスクーラ15aとは、熱交換器対43を前方からみたとき、単位中間冷却器13aのフィン35と単位ガスクーラ15aのフィン35とが重なるように、前後方向に隣接配置される。また、単位中間冷却器13aのフィン35と単位ガスクーラ15aのフィン35とは独立して設けられているため、一方のフィン35の熱が他方のフィン35に移動することにより、熱交換効率が低下することを防ぐことができる。
【0029】
図6に示すように熱交換器対43は、単位中間冷却器13aの各側板37の後端面と、単位ガスクーラ15aの各側板37の前端面とが密着する状態で機械区画21に設置されており、単位中間冷却器13aの主壁38と単位ガスクーラ15aの主壁38とで、熱交換器対43の左右端に一対の縦隔壁44が形成されている。また、図5及び図6に示すように、単位中間冷却器13aの左右の上壁39・39と、単位ガスクーラ15aの左右の上壁39・39の上面には、平板状の上隔壁45が固定されている。これら上隔壁45と天井壁22の上面と左右の縦隔壁44・44とで、上下及び左右が区画されて前後方向に伸びるダクト46が形成されている。単位中間冷却器13aと単位ガスクーラ15aのフィン35は、ダクト46内に配される。
【0030】
図4及び図6に示すように、ダクト46の後開口には、左右2つの排気口48を備える後隔壁47が固定されている。後隔壁47には、各排気口48に臨むように軸流ファンからなる冷却ファン49が固定されている。これら熱交換器対43、冷却ファン49、上隔壁45、及び後隔壁47により、放熱器ユニット50が構成されている。本実施形態の冷凍装置11は、2つ(複数)の放熱器ユニット50を備える。
【0031】
冷却ファン49が駆動されると、ダクト46の前開口からダクト46内に冷却用の空気が取り込まれ、当該空気が単位中間冷却器13aと単位ガスクーラ15aとに接触することで、これら単位中間冷却器13aと単位ガスクーラ15aとの間で熱交換が行われる。また、熱交換後の空気は、各排気口48を介して冷却ファン49の後方へ排出される。図1に示すように、2つの放熱器ユニット50・50は、機械区画21の前側左右に設置されており、圧縮機ユニット28は、右側の放熱器ユニット50の後方に設置されている。圧縮機ユニット28は、右側の熱交換器対43を冷却したのち冷却ファン49から後方へと排出された空気流により冷却される。
【0032】
ガスクーラ15で放熱された高圧冷媒は、膨張構造16へと至る間にさらに補助熱交換器52と自己熱交換器53とで放熱される。具体的には、図3に示すように、補助熱交換器52は、ガスクーラ15と膨張構造16との間で冷媒配管18から分岐された分岐配管54に設けられる補助膨張器55と、補助膨張器55で減圧された冷媒が通過する吸熱部56と、ガスクーラ15と分岐配管54の分岐部分との間の冷媒配管18に設けられて、吸熱部56と対になり熱交換器を構成する放熱部57とで構成される。分岐配管54では、高圧冷媒は補助膨張器55で減圧され中間圧冷媒となり、該中間圧冷媒は吸熱部56で放熱部57と熱交換したのち、中間冷却器13の下流側に流入して後段圧縮機14へ戻る。
【0033】
自己熱交換器53は、分岐配管54の分岐部分と膨張構造16との間の冷媒配管18の一部と、蒸発器17と前段圧縮機12との間の冷媒配管18の一部とを密着状に配管して構成されている。自己熱交換器53では、膨張構造16へ向かう高圧冷媒と前段圧縮機12へ向かう低圧冷媒との間で熱交換を行う。
【0034】
以上のように、本実施形態の冷凍装置11においては、冷媒配管18に対して並列に接続される、放熱量が同一の2つの単位中間冷却器13a・13aで中間冷却器13を構成したので、各単位中間冷却器13aを通過したのち合流する中間圧冷媒の温度を略一致させることが可能であり、温度が異なる中間圧冷媒が合流する際に生じる冷媒流の乱れを防いで、冷媒をスムーズに循環させることができる。同様に、冷媒配管18に対して並列に接続される、放熱量が同一の2つの単位ガスクーラ15a・15aでガスクーラ15を構成したので、各単位ガスクーラ15aを通過したのち合流する高圧冷媒の温度を略一致させることが可能であり、温度が異なる高圧冷媒が合流する際に生じる冷媒流の乱れを防いで、冷媒をスムーズに循環させることができる。以上より、本実施形態の冷凍装置11によれば、中間冷却器13とガスクーラ15のそれぞれを2つ(複数個)の単位中間冷却器13aと単位ガスクーラ15aで構成したにも拘わらず、冷媒の循環に弊害が生じることを防ぐことができる。
【0035】
そのうえで、本実施形態の冷凍装置11では、単位中間冷却器13aの構成数を変更することで、中間冷却器13の放熱量の総量を調整することができるとともに、単位ガスクーラ15aの構成数を変更することで、ガスクーラ15の放熱量の総量を調整することができるので、より簡単に中間冷却器13及びガスクーラ15の放熱量の総量を調整することができる。加えて、冷凍能力の異なる複数種の単位放熱器を用意する必要はなく、1種の単位中間冷却器13aと単位ガスクーラ15aを用意し、その構成数を変更するだけで、中間冷却器13及びガスクーラ15の放熱量の総量を定量的に増減させることも可能である。以上より、本実施形態によれば、放熱器の放熱量の総量を、要求される冷凍能力に適合する放熱量に容易に調整することができる、汎用性に優れた冷凍装置11を得ることができる。
【0036】
1つの単位中間冷却器13aと、1つの単位ガスクーラ15aとを前後方向に隣接配置して形成された熱交換器対43と、熱交換器器対43に冷却用の空気流を供給する冷却ファン49とで構成される放熱器ユニット50を2つ備えるものとし、各熱交換器器対43において単位中間冷却器13aが空気流の上流側に配され、単位ガスクーラ15aが空気流の下流側に配されている構成としたので、冷却用空気は相対的に冷媒温度が低い中間圧冷媒が循環する単位中間冷却器13aと熱交換を行い、次いで相対的に冷媒温度が高い高圧冷媒が循環する単位ガスクーラ15aと熱交換を行うことが可能となる。これによれば、熱交換前の冷却用空気と単位中間冷却器13aとの間の温度差、また、単位中間冷却器13aと熱交換されて温度が上昇した冷却用空気と単位ガスクーラ15aとの間の温度差を、それぞれ大きなものとすることができるので、中間冷却器13a及びガスクーラ15aにおける熱交換効率の向上を図ることができる。なお、上記とは逆に、単位ガスクーラ15aを冷却用の空気流の上流側に配し、単位中間冷却器13aを冷却用の空気流の下流側に配した場合には、単位ガスクーラ15aで熱交換されて温度が上昇した冷却用空気と単位中間冷却器13aとの間の温度差は小さなものとなり、下流側に位置する単位中間冷却器13aの熱交換効率が低下することが避けられない。
【0037】
単位中間冷却器13aと単位ガスクーラ15aとを、左右方向に並列状に配される薄板からなるフィン35の一群と、蛇行状に繰り返し反転されてフィン35の一群を厚み方向に貫く放熱管36とを含む、フィンチューブ型の熱交換器34で構成し、放熱管36を、継ぎ目のない1本の管材で形成したので、放熱管36に溶接により接合された継ぎ目部分が形成される形態に比べて、冷媒漏れのリスクを抑えて、冷凍装置11の信頼性を向上することができる。このような構成は、特に運転圧力が高い冷媒を使用する冷凍装置11、例えば二酸化炭素を冷媒とする冷凍装置11に好適である。
【0038】
単位中間冷却器13aのフィン35の隣接ピッチP1と、単位ガスクーラ15aのフィン35の隣接ピッチP2とを同じピッチに設定したので、左右方向の全体で冷却用空気の通気抵抗を均一にすることが可能となり、部分的に通気抵抗が大きくなることにより、熱交換効率が低下することを防ぐことができる。また、熱交換器対43を前方からみたとき、単位中間冷却器13aのフィン35と単位ガスクーラ15aのフィン35とが重なるように、単位中間冷却器13aと単位ガスクーラ15aとを前後方向に隣接配置したので、単位中間冷却器13aのフィン35・35間を通過した冷却用空気を、スムーズに単位ガスクーラ15aのフィン35・35間に流動させて、冷却用の吸気流に渦などが生じて、フィン35と冷却用空気との間の熱交換効率が低下することを防ぐことができる。
【0039】
上記の実施形態では、冷凍装置11の冷媒は二酸化炭素を使用したが、冷媒は二酸化炭素に限られない。単位中間冷却器13a、及び単位ガスクーラ15aはマイクロチャンネル熱交換器で構成することができる。本発明は、冷却庫以外にも適用することができる。
【符号の説明】
【0040】
11 冷凍装置
12 前段圧縮機
13 前段放熱器(中間冷却器)
13a 単位前段放熱器(単位中間冷却器)
14 後段圧縮機
15 後段放熱器(ガスクーラ)
15a 単位後段放熱器(単位ガスクーラ)
17 蒸発器
18 冷媒配管
34 熱交換器
35 フィン
36 放熱管
43 放熱器対(熱交換器対)
49 冷却ファン
50 放熱器ユニット
P1 単位前段放熱器のフィンの隣接ピッチ
P2 単位後段放熱器のフィンの隣接ピッチ
図1
図2
図3
図4
図5
図6