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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021803
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】液体処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/32 20230101AFI20250206BHJP
   B01J 19/12 20060101ALI20250206BHJP
   H10H 20/85 20250101ALI20250206BHJP
   H10H 20/856 20250101ALI20250206BHJP
【FI】
C02F1/32
B01J19/12 C
H01L33/48
H01L33/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125770
(22)【出願日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100196999
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 和之
(72)【発明者】
【氏名】山内 健太郎
【テーマコード(参考)】
4D037
4G075
5F142
【Fターム(参考)】
4D037AA01
4D037AA06
4D037AB03
4D037BA18
4G075AA13
4G075AA15
4G075BB10
4G075CA33
4G075DA02
4G075EB21
4G075EB31
4G075EE02
4G075FA01
4G075FB02
4G075FB04
4G075FB06
4G075FB12
4G075FB13
4G075FC04
5F142AA72
5F142BA32
5F142CD02
5F142CD13
5F142CD18
5F142CE03
5F142CE13
5F142CE17
5F142DB03
5F142GA31
(57)【要約】
【課題】簡易な構成で、液密性の向上を図ることができる液体処理装置を提供することである。
【解決手段】実施形態に係る液体処理装置は、処理を行う液体に紫外線を照射する。前記液体処理装置は、一方の端部に開口する第1の凹部と、前記第1の凹部の底面に開口する第2の凹部と、を有するケースと;前記第2の凹部の内部に設けられ、前記紫外線を照射可能な発光素子を有する光源と;板状を呈し、前記第1の凹部の開口の近傍に設けられ、前記発光素子から照射された前記紫外線を透過可能な窓と;前記第1の凹部の側面と、前記窓の側面と、の間に設けられ、弾性力により、前記第1の凹部の側面と、前記窓の側面と、に密着するシール部材と;を具備している。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理を行う液体に紫外線を照射する液体処理装置であって;
一方の端部に開口する第1の凹部と、前記第1の凹部の底面に開口する第2の凹部と、を有するケースと;
前記第2の凹部の内部に設けられ、前記紫外線を照射可能な発光素子を有する光源と;
板状を呈し、前記第1の凹部の開口の近傍に設けられ、前記発光素子から照射された前記紫外線を透過可能な窓と;
前記第1の凹部の側面と、前記窓の側面と、の間に設けられ、弾性力により、前記第1の凹部の側面と、前記窓の側面と、に密着するシール部材と;
を具備した液体処理装置。
【請求項2】
前記ケースは、前記第1の凹部の底面に開口し、前記液体処理装置の中心軸に沿った方向から見た場合に、前記第2の凹部の開口を囲む第3の凹部をさらに有し、
前記シール部材は、前記第1の凹部の側面と、前記窓の側面と、の間に設けられる第1の部分と、前記第1の部分の、前記第1の凹部の底面側の端部に設けられた第2の部分と、を有し、
前記第2の部分の内側の側面は、前記第1の部分の内側の側面よりも、前記液体処理装置の前記中心軸の側に位置している請求項1記載の液体処理装置。
【請求項3】
前記第1の凹部の側面と、前記窓の側面と、の間における前記シール部材のつぶし率は、13%以上、27%以下である請求項1または2に記載の液体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水などの液体に紫外線を照射して、液体を殺菌したり、液体に含まれている有機物を除去したりする液体処理装置がある。液体処理装置の光源には、紫外線を照射する放電ランプが用いられていたが、省エネルギー化や長寿命化などの観点から、紫外線を照射する発光ダイオードなどの発光素子が用いられるようになってきている。
【0003】
この様な液体処理装置は、ケースと、ケースの内部空間に設けられ、紫外線を照射する発光素子と、ケースの内部空間の開口に設けられた窓と、を備えている。また、液体が、ケースの内部空間に設けられた発光素子に接触するのを抑制するために、窓と、ケースとの間は、封止されている。
【0004】
例えば、窓と、ケースとの間に接着剤やシール剤を塗布して、窓と、ケースとの間を封止する場合がある。しかしながら、この様にすると、作業に時間がかかったり、塗布量のばらつきにより液密性がばらついたり、分解が困難となりメンテナンス性が低下したりするという問題がある。
【0005】
また、窓と、ケースとの間にシール部材を設けて、窓と、ケースとの間を封止する場合がある。しかしながら、単に、シール部材を設けると、いわゆる、シール部材のつぶし率がばらついて、ケースの内部空間に液体が浸入するおそれがある。この場合、ケースに、シール部材のつぶし率を管理する機構を設けると、液体処理装置の構成の複雑化、ひいては、液体処理装置の大型化や高コスト化を招くことになる。
そこで、簡易な構成で、液密性の向上を図ることができる液体処理装置の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-041382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、簡易な構成で、液密性の向上を図ることができる液体処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る液体処理装置は、処理を行う液体に紫外線を照射する。前記液体処理装置は、一方の端部に開口する第1の凹部と、前記第1の凹部の底面に開口する第2の凹部と、を有するケースと;前記第2の凹部の内部に設けられ、前記紫外線を照射可能な発光素子を有する光源と;板状を呈し、前記第1の凹部の開口の近傍に設けられ、前記発光素子から照射された前記紫外線を透過可能な窓と;前記第1の凹部の側面と、前記窓の側面と、の間に設けられ、弾性力により、前記第1の凹部の側面と、前記窓の側面と、に密着するシール部材と;を具備している。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、簡易な構成で、液密性の向上を図ることができる液体処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施の形態に係る液体処理装置を例示するための模式斜視図である。
図2図1における液体処理装置のA-A線方向の模式断面図である。
図3】比較例に係るシール部材を備えた液体処理装置を例示するための模式断面図である。
図4】他の比較例に係るシール部材を備えた液体処理装置を例示するための模式断面図である。
図5】シール部材を例示するための模式断面図である。
図6】他の実施形態に係る液体処理装置を例示するための模式断面図である。
図7図6におけるC部の模式拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る液体処理装置1を例示するための模式斜視図である。
図2は、図1における液体処理装置1のA-A線方向の模式断面図である。
本実施の形態に係る液体処理装置1は、処理を行う液体に紫外線を照射する。液体処理装置1は、液体に浸漬させるものであってもよいし、液体から離隔した位置に設けられるものであってもよい。
図1、および図2に示すように、液体処理装置1は、例えば、ケース2、光源3、窓4、コネクタ5、およびシール部材6を有する。
【0013】
ケース2は、柱状を呈している。ケース2は、例えば、円柱状を呈している。ただし、ケース2の形態は円柱状に限定されるわけではない。ケース2は、例えば、角柱などの任意の形態とすることができる。ただし、ケース2が処理を行う液体に浸漬される場合には、液体処理装置1の中心軸1aに沿った方向から見た場合の、ケース2の輪郭が円や楕円などの曲線から構成される形状とすることが好ましい。ケース2の形態をこの様にすれば、ケース2が処理を行う液体に浸漬された際に、液体の流れに乱れが生ずるのを抑制することができる。また、ケース2が、流路の内壁などに衝突したとしても、流路の内壁が損傷したり、ケース2に欠けや割れなどが発生したりするのを抑制することができる。この場合、図1に示すように、円柱状を呈するケース2とすれば、ケース2の製造が容易となる。
【0014】
ケース2は、例えば、凹部2a(第1の凹部の一例に相当する)、凹部2b(第2の凹部の一例に相当する)、凹部2c、および孔2dを有する。
凹部2aは、ケース2の一方の端部に開口している。凹部2aの内部には、窓4、およびシール部材6が収納される。
凹部2bは、凹部2aの底面に開口している。凹部2bの内部には、光源3が収納される。そのため、外力などが光源3に加わるのを抑制することができる。また、後述する様に、ケース2は、窓4、およびシール部材6と協働して、液体が光源3に接触するのを抑制する。
【0015】
凹部2cは、ケース2の他方の端部に開口している。凹部2cの内部には、コネクタ5が収納される。この場合、凹部2cは、省くこともできる。凹部2cを省けば、液体処理装置1の中心軸1aの方向における長さを短くすることができる。また、液体処理装置1の軽量化を図ることができる。これに対して、凹部2cが設けられていれば、外力などがコネクタ5に加わるのを抑制することができる。そのため、コネクタ5の防水性を維持したり、コネクタ5の破損を抑制したりすることができる。
【0016】
孔2dは、凹部2bの底面と、凹部2cの底面との間を貫通している。孔2dには、光源3と、コネクタ5とを電気的に接続する配線5cが設けられる。
【0017】
ケース2の寸法は、光源3の大きさや、液体処理装置1の用途などに応じて適宜変更することができる。
【0018】
前述した様に、凹部2bの内部には、光源3が収納される。そのため、光源3から照射された紫外線が、凹部2bの内壁に入射することになる。また、液体処理装置1(ケース2)が処理を行う液体に浸漬されたり、ケース2の外壁に液体が付着したりする場合がある。また、液体処理装置1(ケース2)に外力が加わる場合がある。
【0019】
そのため、ケース2の材料は、光源3から照射された紫外線に対する耐性、処理を行う液体に対する耐性、および、外力に対する耐性を有するものとすることが好ましい。例えば、ケース2の材料は、ステンレスなどの金属や、ステアタイトなどのセラミックスとすることができる。この場合、ケース2の材料が、白色のセラミックスであれば、凹部2bの内壁に入射した紫外線が反射されやすくなる。そのため、光源3から照射された紫外線の利用効率を向上させることができる。
【0020】
光源3は、凹部2bの内部に設けることができる。光源3は、例えば、凹部2bの底面に設けることができる。
光源3は、例えば、発光素子3a、および基板3bを有する。
発光素子3aは、基板3bの、凹部2bの底面側とは反対側の面に設けられている。発光素子3aは、窓4に向けて紫外線を照射する。発光素子3aは、少なくとも1つ設けることができる。図1、および図2に例示をした光源3には、1つの発光素子3aが設けられている。複数の発光素子3aを設ける場合には、複数の発光素子3aを直列接続することができる。発光素子3aは、紫外線を照射可能な素子であれば特に限定はない。発光素子3aは、例えば、発光ダイオードやレーザダイオードなどとすることができる。
【0021】
発光素子3aは、例えば、表面実装型の発光素子や、リード線を有する砲弾型の発光素子などとすることができる。また、発光素子3aは、例えば、チップ状の発光素子とすることもできる。チップ状の発光素子3aは、COB(Chip On Board)により、基板3bの配線パターンに実装することができる。図1、および図2に例示をした発光素子3aは、表面実装型の発光素子である。
【0022】
発光素子3aから照射される紫外線のピーク波長は、液体に含まれている細菌の殺菌、ウイルスの不活性化、有機物の分解などが行えるのであれば特に限定はない。ただし、ピーク波長が200nm~280nmの紫外線を照射可能な発光素子3aとすれば、細菌の殺菌や、ウイルスの不活性化を効果的に行うことができる。
【0023】
基板3bは、板状を呈し、凹部2bの底面に設けられている。
例えば、基板3bは、ネジなどの締結部材を用いて、凹部2bの底面に着脱自在に設けることができる。この様にすれば、光源3のメンテナンスが容易となる。この場合、基板3bと凹部2bの底面との間に、熱伝導グリス(放熱グリス)からなる層を設けることもできる。熱伝導グリスからなる層が設けられていれば、基板3bと凹部2bの底面との間に隙間が生じるのを抑制することができる。そのため、発光素子3aにおいて発生した熱がケース2に伝わり易くなるので、発光素子3aの温度が、最大ジャンクション温度を超えるのを抑制することができる。
【0024】
また、例えば、基板3bは、凹部2bの底面に、接着剤や両面テープなどを用いて接合することもできる。この場合、接着剤は、熱伝導率の高い接着剤とすることが好ましい。接着剤は、例えば、酸化アルミニウムなどの無機材料を用いたフィラーが混合された接着剤とすることができる。
基板3bが凹部2bの底面に接合されていれば、基板3bと凹部2bの底面との間に隙間が生じるのを抑制することができる。そのため、発光素子3aの温度が、最大ジャンクション温度を超えるのを抑制するのが容易となる。また、液体処理装置1の構成が簡易なものとなるので、製造コストの低減を図ることができる。
【0025】
基板3bの、凹部2bの底面側とは反対側の面には、配線パターンを設けることができる。配線パターンには、発光素子3aを電気的に接続することができる。
【0026】
基板3bの材料は、発光素子3aから照射された紫外線に対する耐性を有するものとすることが好ましい。基板3bの材料は、例えば、酸化アルミニウムなどのセラミックスとすることができる。また、基板3bは、金属板の表面を無機材料で覆ったメタルコア基板とすることもできる。
【0027】
この場合、セラミックスやメタルコア基板は熱伝導率が高いので、これらを用いて基板3bを形成すれば、発光素子3aにおいて発生した熱がケース2に伝わり易くなる。そのため、発光素子3aの温度が、最大ジャンクション温度を超えるのを効果的に抑制することができる。
【0028】
窓4は、板状を呈し、ケース2の、凹部2aの開口の近傍に設けられている。窓4は、凹部2bの開口を覆っている。窓4は、発光素子3aと対向している。窓4は、発光素子3aから照射された紫外線を透過させることができ、且つ、紫外線と、処理を行う液体とに対する耐性を有する材料から形成される。窓4は、例えば、石英ガラスや、紫外線を透過するフッ素樹脂などから形成される。
【0029】
窓4の、発光素子3a側の面には、反射防止膜を設けることができる。反射防止膜が設けられていれば、発光素子3aから照射された紫外線が窓4により反射されて、処理を行う液体に照射され難くなるのを抑制することができる。すなわち、発光素子3aから照射された紫外線の利用効率を向上させることができる。
【0030】
窓4の、発光素子3a側とは反対側の面には、防汚膜を設けることができる。例えば、液体処理装置1は、海水や地下水などの処理に用いられる場合がある。この場合、海水や地下水などには、砂、微生物の死骸、無機塩などの異物が含まれているので、異物が、窓4の、発光素子3a側とは反対側の面に付着する場合がある。異物が窓4の面に付着すると、発光素子3aから照射された紫外線が窓4を透過し難くなるので、液体に含まれている細菌の殺菌、ウイルスの不活性化、有機物の分解などが抑制されるおそれがある。防汚膜が、窓4の面に設けられていれば、異物が窓4の面に付着するのを抑制することができるので、処理を行う液体に照射される紫外線の光量を長時間維持したり、メンテナンスの回数を減らしたりすることができる。
【0031】
コネクタ5は、ケース2の凹部2cの底面に設けられている。この場合、コネクタ5は、ケース2の外側面、または、ケース2の、凹部2cが開口する端部に設けることもできる。ただし、前述した様に、コネクタ5が、ケース2の凹部2cの底面に設けられていれば、外力などからコネクタ5を保護するのが容易となる。
【0032】
コネクタ5は、処理を行う液体に浸漬される場合がある。また、処理を行う液体がコネクタ5に付着する場合がある。そのため、コネクタ5は、いわゆる防水コネクタとすることができる。コネクタ5は、例えば、JIS C 0920に規定されているIP68に適合するコネクタとすることができる。
【0033】
コネクタ5は、例えば、プラグ5a、およびソケット5bを有する。
プラグ5aは、ケース2の凹部2cの底面に開口する孔2dに、液密となるように設けることができる。プラグ5aの内部に設けられた端子は、孔2dの内部を延びる配線5cを介して、基板3bに設けられた配線パターン、ひいては発光素子3aと電気的に接続されている。
【0034】
ソケット5bは、プラグ5aの、ケース2側とは反対側の端部に着脱自在に接続されている。ソケット5bとプラグ5aとを接続した際には、ソケット5bとプラグ5aとの間が液密となるように封止されるとともに、ソケット5bの内部に設けられた端子と、プラグ5aの内部に設けられた端子とが電気的に接続される。ソケット5bの内部に設けられた端子は、配線5dを介して、液体処理装置1の外部に設けられた点灯回路などと電気的に接続される。
【0035】
コネクタ5が設けられていれば、光源3、窓4、およびシール部材6が設けられたケース2と、配線5dと、を接続したり、分離したりするのが容易となる。そのため、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0036】
ここで、液体処理装置1は、例えば、液体を殺菌したり、液体に含まれている有機物を除去したりする際に用いられるため、液体中に浸漬させたり、液体の近傍に設けられたりする。この場合、液体がケース2の内部に侵入すると、侵入した液体が発光素子3aなどに接触して、液体処理装置が故障するおそれがある。そのため、液体処理装置1には、シール部材6が設けられている。
【0037】
まず、比較例に係るシール部材16、26について説明する。
図3は、比較例に係るシール部材16を備えた液体処理装置10を例示するための模式断面図である。
図3に示すように、液体処理装置10は、ケース12、光源3、窓4、コネクタ5、およびシール部材16を有している。
【0038】
ケース12には、凹部12aが設けられている。凹部12aは、ケース12の一方の端部に開口している。凹部12aの内部には、光源3が収納されている。窓4は、ケース12の、凹部12aの開口を塞いでいる。
【0039】
また、ケース12の、凹部12aが開口する側の端部には、溝12bが設けられている。溝12bは、ケース12の端部に開口している。溝12bは、凹部12aの開口を囲んでいる。溝12bの内部にはシリコーン系接着剤が充填される。シリコーン系接着剤が硬化することで、窓4が、ケース12に液密となるように接合される。また、シリコーン系接着剤が硬化することで、窓4と、ケース12との間にシール部材16が形成される。この様にすれば、窓4と、ケース12との間を封止することができる。
【0040】
ところが、この様にすると、シリコーン系接着剤の充填と硬化に時間がかかったり、充填量のばらつきにより液密性がばらついたり、窓4と、ケース12との分解が困難となってメンテナンス性が低下したりするという問題がある。
【0041】
また、シリコーン系接着剤に代えて、Oリングなどのシール部材を溝12bの内部に設けることができる。しかしながら、この様にすると、窓4の、光源3側の面を、シール部材に押し付ける機構が必要となる。この場合、シール部材のつぶし率がばらつくと、ケース12の凹部12aの内部に液体が浸入するおそれがある。なお、本明細書において、つぶし率は、「(つぶし代(圧縮した寸法)/元の寸法)×100%」とすることができる。
【0042】
そのため、窓4の、光源3側の面を、シール部材に押し付ける機構は、後述する図4に示すようなシール部材のつぶし率を調整する機能を有する必要がある。そのため、液体処理装置10の構成の複雑化、ひいては、液体処理装置10の大型化や高コスト化を招くことになる。
【0043】
図4は、他の比較例に係るシール部材26を備えた液体処理装置11を例示するための模式断面図である。
図4に示すように、液体処理装置11は、ケース22、光源3、窓4、コネクタ5、およびシール部材26を有している。
【0044】
ケース22は、基部22a、および蓋22bを有する。
基部22aは、円柱状を呈し、側面に雄ネジが設けられている。基部22aの一方の端部には凹部が設けられ、凹部の内部に光源3が設けられている。
蓋22bは、基部22aの、光源3が設けられる側に設けられている。蓋22bは、一方の端部に開口する凹部を有している。蓋22bの凹部の内壁には、基部22aの側面の雄ネジにねじ込まれる雌ネジが設けられている。また、蓋22bの凹部の底面と、蓋22bの他方の端部との間を貫通する孔が設けられている。
【0045】
シール部材26は、円環状を呈し、ゴムなどの弾性材料から形成されている。
蓋22bを基部22aに取り付ける際には、蓋22bの凹部の底面と、基部22aの端部との間に、窓4とシール部材26とが設けられる。この場合、窓4は、蓋22bの凹部の底面に接触し、シール部材26は、窓4と、基部22aの端部との間に挟まれる。
光源3から照射された紫外線は、蓋22bに設けられた凹部、窓4、および蓋22bに設けられた孔を介して、処理を行う液体に照射される。
【0046】
ここで、前述した様に、シール部材26のつぶし率が適正な範囲内にないと、蓋22bの凹部の内部に液体が浸入することになる。ケース22には、雄ネジを有する基部22aと、雌ネジを有する蓋22bとが設けられているので、基部22aと、蓋22bとが、窓4の、光源3側の面を、シール部材26に押し付ける機構となる。
【0047】
この場合、蓋22bを回転させることで、窓4と、基部22aの端部との間の距離、ひいてはシール部材26のつぶし率を調整することができる。しかしながら、窓4をシール部材26に押し付ける機構を設けると、液体処理装置11の構成の複雑化、ひいては、液体処理装置11の大型化や高コスト化を招くことになる。また、シール部材26のつぶし率の管理や、蓋22bの緩み止め機構などが必要となる。
【0048】
次に、本実施の形態に係るシール部材6について例示する。
図5は、シール部材6を例示するための模式断面図である。
なお、図5は、図2中のB部の模式拡大図である。
図2、および図5に示すように、シール部材6は、例えば、環状を呈し、ケース2の一方の端部に開口する凹部2aの内部に設けられている。シール部材6の外側面は、凹部2aの側面と接触している。また、シール部材6の、凹部2aの底面側の端部は、凹部2aの底面と接触することができる。シール部材6の内側面は、窓4の側面と接触している。
【0049】
液体処理装置1の中心軸1aに直交する方向において、シール部材6の内側の寸法L1は、窓4の寸法L2よりも小さくなっている。窓4の寸法L2と、シール部材6の内側の寸法L1との差L3が、つぶし代(圧縮した寸法)となる。シール部材6を凹部2aの内部に設ける前の、シール部材6の外側の寸法と、シール部材6の内側の寸法との差が、前述したつぶし率の式における「元の寸法」となる。
【0050】
シール部材6は、ゴムなどの弾性材料から形成することができる。この場合、発光素子3aから照射された紫外線がシール部材6に入射することを考慮すると、シール部材6は、紫外線に対する耐性の高い弾性材料から形成するのが好ましい。シール部材6は、例えば、フッ素ゴムから形成することができる。
【0051】
窓4をケース2に取り付ける際には、凹部2aの内部にシール部材6を設け、シール部材6の内側に窓4を押し入れる。シール部材6の内側に窓4を押し入れた際には、窓4の光源3側の面が、凹部2aの底面に接触する。そのため、液体処理装置1の中心軸1aに沿った方向における窓4の位置を決めることができる。
【0052】
また、シール部材6の内側に窓4を押し入れた際に、シール部材6に弾性力が発生する。そのため、シール部材6が、凹部2aの側面、凹部2aの底面、および窓4の側面と密着する。シール部材6がこれらと密着すれば、液体が、凹部2aの底面に開口する凹部2bの内部に侵入するのを抑制することができる。前述した様に、凹部2bの内部には、光源3が収納されているので、液体が、凹部2bの内部に侵入するのを抑制することができれば、光源3に故障が発生するのを抑制することができる。
すなわち、シール部材6は、凹部6aの側面と、窓4の側面と、の間に設けられ、弾性力により、凹部6aの側面と、窓4の側面と、に密着する。
【0053】
また、シール部材6と、これらとの間の密着性は、つぶし率により制御することができる。つぶし率は、液体処理装置1の中心軸1aに直交する方向における、シール部材6の内側の寸法L1、シール部材6の外側の寸法、窓4の寸法L2、および凹部2aの側面の寸法により管理することができる。この場合、シール部材6の外側の寸法は、凹部2aの側面の寸法と同じであってもよいし、若干大きくてもよい。
【0054】
この場合、つぶし率を大きくし過ぎると、シール部材6の内側に窓4を押し入れるのが困難となる。つぶし率を小さくし過ぎると、液体が凹部2bの内部に浸入しやすくなる。本発明者の得た知見によれば、凹部2aの側面と、窓4の側面と、の間におけるシール部材6のつぶし率は、13%以上、27%以下とすることが好ましい。この様にすれば、シール部材6の内側に窓4を押し入れる際の作業が容易となり、且つ、液体が凹部2bの内部に浸入するのを抑制することができる。
【0055】
以上に説明した様に、この様なシール部材6が設けられていれば、前述した液体処理装置11のように、窓4をシール部材26に押し付ける機構を設ける必要がない。そのため、液体処理装置1の構成を簡易なものとすることができる。
【0056】
また、シール部材6に弾性力を発生させることで、シール部材6、および窓4をケース2に保持させることができる。そのため、液体処理装置1の構成がさらに簡易なものとなる。なお、液体処理装置1に振動が加わるような場合には、凹部2a開口の近傍に、窓4の脱落を抑制する板材などを補助的に設けるようにしてもよい。
【0057】
図6は、他の実施形態に係る液体処理装置1bを例示するための模式断面図である。
なお、図6は、前述した図2に対応する図である。
図7は、図6におけるC部の模式拡大図である。
図6に示すように、液体処理装置1bは、例えば、ケース20、光源3、窓4、コネクタ5、およびシール部材60を有する。
【0058】
ケース20は、柱状を呈している。ケース20は、例えば、凹部2a、凹部2b、凹部2c、孔2d、および凹部2e(第3の凹部の一例に相当する)を有する。ケース20は、前述したケース2に、凹部2eをさらに設けたものとすることができる。
【0059】
凹部2eは、凹部2aの底面に開口している。液体処理装置1bの中心軸1cに沿った方向から見た場合に、凹部2eは、凹部2bの開口を囲んでいる。液体処理装置1bの中心軸1cに沿った方向から見た場合に、凹部2eの外側の側面は、凹部2aの側面と重なっている。液体処理装置1bの中心軸1cに直交する方向において、凹部2eの内側の側面と、中心軸1cとの間の距離は、凹部2bの側面と、中心軸1cとの間の距離よりも長くなっている。
【0060】
シール部材60は、部分60a(第1の部分の一例に相当する)、および部分60b(第2の部分の一例に相当する)を有する。部分60a、および部分60bは、一体に形成することができる。シール部材60の材料は、例えば、前述したシール部材6の材料と同じとすることができる。
【0061】
部分60aは、環状を呈し、凹部2aの側面と、窓4の側面と、の間に設けられている。部分60aは、例えば、前述したシール部材6と同様とすることができる。すなわち、シール部材60は、シール部材6に、部分60bをさらに加えたものとすることができる。
【0062】
部分60bは、環状を呈し、部分60aの、凹部2aの底面側の端部に設けられている。液体処理装置1bの中心軸1cに沿った方向から見た場合に、部分60bの外側の側面は、部分60aの外側の側面と重なっている。部分60bの内側の側面は、部分60aの内側の側面よりも、液体処理装置1bの中心軸1cの側に位置している。部分60bの内側の側面と、凹部2eの側面は接触してもよいし、部分60bの内側の側面と、凹部2eの側面との間に僅かな隙間が設けられていてもよい。
【0063】
窓4をケース20に取り付ける際には、凹部2eの内部に部分60bを設け、凹部2aの内部に部分60aを設ける。そして、部分60aの内側に窓4を押し入れる。シール部材60(部分60a)の内側に窓4を押し入れた際には、窓4の光源3側の面が、凹部2aの底面に接触する。そのため、液体処理装置1bの中心軸1cに沿った方向における窓4の位置を決めることができる。
【0064】
また、シール部材60(部分60a)の内側に窓4を押し入れた際に、シール部材60に弾性力が発生する。そのため、シール部材60が、凹部2aの側面および凹部2eの外側面、凹部2eの底面、凹部2eの内側面、窓4の側面、および窓4の光源3側の面と密着する。シール部材60がこれらと密着すれば、液体が凹部2aの底面に開口する凹部2bの内部に侵入するのを抑制することができる。そのため、光源3に故障が発生するのを抑制することができる。
【0065】
また、前述したシール部材6と同様に、シール部材60と、これらとの間の密着性は、つぶし率により制御することができる。つぶし率は、前述したシール部材6の場合と同様とすることができる。例えば、凹部2aの側面と、窓4の側面と、の間におけるシール部材60のつぶし率は、13%以上、27%以下とすればよい。この様にすれば、シール部材60の内側に窓4を押し入れる際の作業が容易となり、且つ、液体が凹部2bの内部に浸入するのを抑制することができる。
【0066】
シール部材60を設けた場合も、シール部材6を設けた場合と同様の作用効果を享受することができる。すなわち、液体処理装置1bの構成を簡易なものとすることができる。 またさらに、部分60bが設けられていれば、シール部材60の剛性が、シール部材6の剛性よりも大きくなる。そのため、例えば、凹部2aの内部や、凹部2eの内部に、シール部材60を取り付けたり、凹部2aの内部や、凹部2eの内部からシール部材60を取り外したりする際に、シール部材60に捩れなどが発生するのを抑制することができる。そのため、シール部材60の脱着作業が容易となる。
また、部分60bが設けられていれば、液体の浸入経路が長くなる。そのため、液体の浸入をさらに抑制することができる。
【0067】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 液体処理装置、1a 中心軸、1b 液体処理装置、1c 中心軸、2 ケース、2a 凹部、2b 凹部、2e 凹部、3 光源、3a 発光素子、3b 基板、4 窓、6 シール部材、20 ケース、60 シール部材、60a 部分、60b 部分
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7