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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021858
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法
(51)【国際特許分類】
   B61D 19/02 20060101AFI20250206BHJP
【FI】
B61D19/02 B
B61D19/02 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125875
(22)【出願日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】松嶋 秀哲
(72)【発明者】
【氏名】神田 淳
(72)【発明者】
【氏名】藤田 憲司
(72)【発明者】
【氏名】森 義郎
(57)【要約】
【課題】鉄道車両における電気駆動式の気密保持装置の作動及び解除を適切に制御することが可能な技術を提供する。
【解決手段】一実施形態に係るドア制御装置100は、鉄道車両1のドア80の直近での開動作の可能性の有無に応じて、ドア80と開口との間の気密性を保持するための電気駆動式の気密保持装置55の作動及び解除を行わせる。例えば、ドア制御装置100は、鉄道車両1の速度に応じて、鉄道車両1のドア80の直近での開動作の可能性の有無を判断する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両のドアの直近での開動作の可能性の有無に応じて、前記ドアと開口との間の気密性を保持するための電気駆動式の保持装置の作動及び解除を行わせる、
制御装置。
【請求項2】
前記鉄道車両の速度に応じて、前記保持装置の作動及び解除を行わせる、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記鉄道車両の速度が第1の閾値に対して相対的に低くなると、前記保持装置を作動状態から解除状態に移行させる、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記鉄道車両の速度が前記第1の閾値に対して相対的に低くなり、且つ、前記ドアが駅のホーム側である場合、前記保持装置を作動状態から解除状態に移行させる、
請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記鉄道車両の速度が前記第1の閾値に対して相対的に低くなり、且つ、前記鉄道車両が駅間にある場合、前記保持装置の作動状態を維持させる、
請求項3又は4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記鉄道車両の速度が第2の閾値に対して相対的に高くなると、前記保持装置を解除状態から作動状態に移行させる、
請求項2乃至4の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記鉄道車両の速度が、前記第1の閾値よりも大きい第2の閾値に対して相対的に高くなると、前記保持装置を解除状態から作動状態に移行させる、
請求項3又は4に記載の制御装置。
【請求項8】
前記鉄道車両が非常状態により停車する場合、前記保持装置を作動状態から解除状態に移行させる、
請求項1乃至4の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記鉄道車両が停電状態となった場合、前記保持装置を作動状態から解除状態に移行させる、
請求項1乃至4の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記保持装置に対する通電により前記保持装置の作動状態と解除状態との間での移行を行わせ、前記保持装置に対する非通電により前記保持装置の作動状態又は解除状態を維持させる、
請求項1乃至4の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項11】
前記保持装置の動作状態に関する情報を取得し、前記保持装置の異常の兆候に関する診断を行う、
請求項1乃至4の何れか一項に記載の制御装置。
【請求項12】
制御装置が、鉄道車両のドアの直近での開動作の可能性の有無に応じて、前記ドアと開口との間の気密性を保持するための電気駆動式の保持装置の作動及び解除を行わせる、
制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道車両のドアと開口との間の気密性を保持する気密保持装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、圧縮空気により駆動されるシリンダ装置をアクチュエータとして作動する気密保持装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-11895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、電動のアクチュエータによって気密保持装置を駆動することが考えられる。
【0006】
そこで、鉄道車両における電気駆動式の気密保持装置の作動及び解除を適切に制御することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本開示の一実施形態では、
鉄道車両のドアの直近での開動作の可能性の有無に応じて、前記ドアと開口との間の気密性を保持するための電気駆動式の保持装置の作動及び解除を行わせる、
制御装置が提供される。
【0008】
また、本開示の他の実施形態では、
制御装置が、鉄道車両のドアの直近での開動作の可能性の有無に応じて、前記ドアと開口との間の気密性を保持するための電気駆動式の保持装置の作動及び解除を行わせる、
制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
上述の実施形態によれば、鉄道車両における電気駆動式の気密保持装置の作動及び解除を適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】鉄道車両のドアの開閉動作に関連する構成の一例を示すブロック図である。
図2】鉄道車両のドア及びドア駆動機構の配置構造の一例を示す概略図である。
図3】鉄道車両のドア及びドア駆動機構の配置構造の一例を示す概略図である。
図4】鉄道車両のドア及びドア駆動機構の配置構造の一例を示す概略図である。
図5】鉄道車両のドア及びドア駆動機構の配置構造の一例を示す概略図である。
図6】鉄道車両のドア及びドア駆動機構の配置構造の一例を示す概略図である。
図7】気密保持装置の一例を示す図である。
図8】鉄道車両のドアの開閉動作に関連する構成の動作シーケンスの第1例を示す図である。
図9】鉄道車両のドアの開閉動作に関連する構成の動作シーケンスの第2例を示す図である。
図10】鉄道車両のドアの開閉動作に関連する構成の動作シーケンスの第3例を示す図である。
図11】鉄道車両のドアの開閉動作に関連する構成の動作シーケンスの第4例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して実施形態について説明する。
【0012】
[ドアの開閉動作に関する構成]
図1図7を参照して、鉄道車両1のドア80の開閉動作に関する構成の一例について説明する。
【0013】
図1は、鉄道車両1のドア80の開閉動作に関する構成の一例を示すブロック図である。図2図6は、鉄道車両1のドア80及びドア駆動機構200の配置構造の一例を示す概略図である。具体的には、図2は、ドア80の全閉且つ施錠状態におけるドア80及びドア駆動機構200を示す概略図である。図3は、全閉且つ解錠状態におけるドア80及びドア駆動機構200を示す概略図である。図4は、開動作中(開動作開始直後)或いは閉動作中(閉動作完了直前)におけるドア80及びドア駆動機構200を示す概略図である。図5は、開動作中(開動作完了直前)或いは閉動作中(閉動作開始直後)におけるドア80及びドア駆動機構200を示す概略図である。図6は、全開状態におけるドア80及びドア駆動機構200を示す概略図である。図7は、気密保持装置55の一例を示す図である。具体的には、図7は、鉄道車両1の車体、気密保持装置55、及びドアパネル80A,80Bを前方から見た正面図である。
【0014】
鉄道車両1は、1つの車両で構成される1両編成であってもよいし、複数の車両が数珠つなぎで連結される複数両編成であってもよい。
【0015】
図1図6に示すように、鉄道車両1は、上位装置10と、モータ30と、エンコーダ31と、電流センサ32と、施錠装置50と、気密保持装置55と、DCS(Door Close Switch)60と、DLS(Door Lock Switch)70と、スイッチ75と、ドア80と、を含む。また、鉄道車両1は、ドア制御装置100と、電源150と、入力コンタクタ151と、ドア駆動機構200とを含む。
【0016】
上位装置10は、車両制御装置12と、ドア開閉操作装置14と、伝送装置16とを含む。
【0017】
車両制御装置12は、鉄道車両1の運行に関する制御を行う。例えば、鉄道車両1が複数両編成の場合、車両制御装置12は、先頭の車両の運転室と最後尾の車両の車掌室とに1つずつ設けられる。また、例えば、鉄道車両が1両編成の場合、車両制御装置12は、鉄道車両1(車両)の前端及び後端の運転室と車掌室とに1つずつ設けられる。
【0018】
車両制御装置12の機能は、任意のハードウェア或いは任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現される。車両制御装置12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、メモリ装置、補助記憶装置、及び外部との入出力用のインタフェース装置を含むコンピュータを中心に構成される。メモリ装置は、例えば、SRAM(Static Random Access Memory)である。補助記憶装置は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリである。インタフェース装置は、例えば、鉄道車両1の内部の通信回線や鉄道車両1の外部の通信回線に接続するための通信インタフェースを含む。また、インタフェース装置は、外部の記録媒体に接続するための外部インタフェースを含んでもよい。これにより、例えば、製造工程において、作業者は、鉄道車両1の運行の制御に関する処理に利用するプログラムや各種のデータを外部の記録媒体から車両制御装置12の補助記憶装置等にインストールすることができる。また、鉄道車両1の運行の制御に関する処理に利用するプログラムや各種のデータは、通信インタフェースを通じて、鉄道車両1の外部からダウンロードされてもよい。また、インタフェース装置は、接続する通信回線の種類に合わせて、複数の異なる種類のインタフェース装置を含んでよい。
【0019】
車両制御装置12は、鉄道車両1が駅等に停車しているときに、停車中であることを表す停車信号をドア制御装置100に出力する。また、車両制御装置12は、ドア開閉操作装置14から入力される、ドア80の開動作を指示する開指令或いはドア80の閉動作を指示する閉指令をドア制御装置100に向けて出力する。
【0020】
車両制御装置12は、インタロック信号を伝送する配線13が接続される。配線13は、その両端部が車両制御装置12に接続されると共に、配線13には、DCS60及びDLS70が設けられる。DCS60及びDLS70の少なくとも一方がオフ状態の場合、配線13が非導通状態であり、この場合、車両制御装置12に入力されるインタロック信号は、L(Low)レベルとなる。一方、DCS60及びDLS70が共にオン状態の場合、配線13が導通状態であり、この場合、車両制御装置12に入力されるインタロック信号は、H(High)レベルになる。車両制御装置12は、インタロック信号がHレベルの場合に、鉄道車両1を走行可能状態と判断する。そのため、インタロック信号がLレベルからHレベルに移行すると、鉄道車両1は、走行可能になる。
【0021】
ドア開閉操作装置14は、鉄道車両1の乗務員(例えば、車掌)がドア80の開閉操作を行うために用いられる。ドア開閉操作装置14は、開スイッチ14Aと、閉スイッチ14Bとを含む。例えば、鉄道車両1の停車中に開スイッチ14Aが操作されると、ドア開閉操作装置14は、LレベルからHレベルに立ち上がる開指令を車両制御装置12に出力する。また、例えば、鉄道車両1の停車中に閉スイッチ14Bが操作されると、ドア開閉操作装置14は、HレベルからLレベルに立ち下がる閉指令を車両制御装置12に出力する。
【0022】
伝送装置16は、鉄道車両1の複数のドア80ごとのドア制御装置100と車両制御装置12との間で信号の中継を行う。
【0023】
具体的には、伝送装置16は、車両制御装置12からドア制御装置100に向けて送信される各種信号を受信し、対象の一部或いは全部のドア制御装置100に伝送してよい(入力信号SDR)。また、伝送装置16は、それぞれのドア制御装置100から車両制御装置12に向けて送信される各種信号(出力信号SD)を受信し、車両制御装置12に伝送してよい。
【0024】
モータ30は、ドア80を開閉駆動する。モータ30は、例えば、3相交流で駆動される回転機である。モータ30は、3相交流で駆動されるリニアモータであってもよい。また、モータ30は、直流で駆動される直流モータであってもよい。
【0025】
エンコーダ31は、モータ30の回転位置や変位位置を検出する。例えば、モータ30が回転機の場合、エンコーダ31は、モータ30の回転軸の回転位置(回転角度)を検出する。エンコーダ31は、例えば、モータ30の回転軸の一回転中の回転位置(回転角度)、及び回転数を検出する。エンコーダ31は、モータ30の回転軸の回転位置に関する情報を含む検出信号を出力し、検出信号は、ドア制御装置100に取り込まれる。これにより、ドア制御装置100は、エンコーダ31の信号に基づき、ドア80の開閉方向での位置情報を取得することができる。つまり、エンコーダ31の信号に含まれる情報は、ドア80の位置情報に相当する。
【0026】
電流センサ32は、ドア制御装置100からモータ30に供給される3相交流の電流を検出する。電流センサ32は、ドア制御装置100とモータ30との間を接続するU相、V相、及びW相の3本の電力線のうちの2本の電力線の電流を検出する電流センサ32A,32Bを含む。例えば、電流センサ32Aは、U相の電力線の電流を検出し、電流センサ32Bは、W相の電力線の電流を検出する。また、電流センサ32は、残り1本の電力線の電流を検出する電流センサを含んでもよい。例えば、図1に示すように、電流センサ32は、ドア制御装置100に内蔵されてもよいし、ドア制御装置100の外部に設けられてもよい。電流センサ32(電流センサ32A,32B)の検出信号は、後述の常用系制御部110及び待機系制御部120に取り込まれる。
【0027】
施錠装置50は、ドア80の施錠及び解錠を行う。施錠装置50は、例えば、ピン51と、コイル52,53とを含み、双方向自己保持型ソレノイドによって実現される。コイル52,53は、それぞれ、ドア制御装置100と接続される。
【0028】
施錠装置50は、ドア制御装置100によってコイル52が通電されると、ピン51が施錠装置50の筐体から突出する。これにより、後述のロックピン230が解錠方向に移動し、ドア80が解錠される。また、施錠装置50は、自己保持型であることから、コイル52の通電が解除された後もその筐体から突出した状態を維持する。これにより、ドア80の解錠状態を維持することができる。
【0029】
施錠装置50は、ドア制御装置100によってコイル53が通電されると、ピン51が施錠装置50の筐体に引き込まれる。これにより、後述のロックピン230が施錠方向に移動し、ドア80が施錠される。また、施錠装置50は、自己保持型であることから、コイル53の通電が解除された後もその筐体に引き込まれた状態を維持する。これにより、ドア80の施錠状態を維持することができる。
【0030】
気密保持装置55は、ドア80の全閉状態において、ドア80とドア80が設けられる車体の開口部との間の空気の通流を抑制し気密性を保持する。具体的には、図7に示すように、気密保持装置55は、ドアパネル80A,80Bを開口部の外縁部の構造部材90の外縁部に沿って設けられるシール部材90A,90Bに向けて車体の外向きに押し付ける(図中の黒塗矢印)。また、シール部材90A,90Bに代えて、或いは、加えて、ドアパネル80A,80Bのそれぞれの側面視の外縁部に沿ってシール部材が設けられてもよい。気密保持装置55は、ドアパネル80A,80Bのそれぞれに対して設けられる。ドアパネル80A,80Bごとに設けられる気密保持装置55は、1つであってもよいし、複数であってもよい。例えば、ドアパネル80Aにおける上部且つ前部、上部且つ後部、下部且つ前部、及び下部且つ後部の4か所を押し付けるように、ドアパネル80Aに対して4つの気密保持装置55が設けられる。ドアパネル80Bに対して設けられる気密保持装置55についても同様に4つであってよい。また、ドアパネル80A,80Bのそれぞれについて、上記の4つの気密保持装置55のうちの何れか1つが省略されることにより、3つの気密保持装置55で気密性の保持が実現されてもよい。
【0031】
例えば、図7に示すように、気密保持装置55は、サーボモータ56と、運動変換部57と、支持部58と、レバー部59とを含む。
【0032】
サーボモータ56は、ドア制御装置100から供給される3相交流で駆動される回転機である。サーボモータ56は、鉄道車両1の上下方向に沿う軸周りに回転するように配置される。サーボモータ56は、例えば、無励磁作動形のブレーキを内蔵している。これにより、サーボモータ56は、非通電の状態で、気密保持装置55の解除状態や作動状態に対応する回転位置を保持することができる。そのため、気密保持装置55の消費電力を低減することができる。
【0033】
運動変換部57は、サーボモータ56の上下方向に沿う軸周り回転運動を上下方向への直線運動に変換する。これにより、運動変換部57の可動部に取り付けられる支持部58は、サーボモータ56の動作に応じて、上下に運動することができる。
【0034】
支持部58は、レバー部59の一端部(以下、「基端部」)59bを下方から支持する。支持部58は、サーボモータ56の動作に応じて、上下運動し、その上下運動に応じて、レバー部59の基端部59bが上下する。
【0035】
レバー部59は、サーボモータ56の動作に応じて支持部58が上下運動するのに応じて、鉄道車両1の前後方向に沿う回転軸59aを中心として回動する。具体的には、支持部58が最下端位置にある場合(図中の実線の場合)、レバー部59の先端部59cは、ドアパネル80A或いはドアパネル80Bから離れた状態にある。支持部58が最下端位置にある状態は、気密保持装置55の解除状態に相当する。一方、支持部58が最下端位置から最上端位置(図中の破線)に移動すると、レバー部59の先端部59cは、回転軸59aを中心として右回りしながらドアパネル80A或いはドアパネル80Bに接近し当接する。支持部58が最上端位置にある状態は、気密保持装置55の作動状態に相当する。これにより、レバー部59は、ドアパネル80A或いはドアパネル80Bに対して内側から外側に押す力を作用させ、シール部材82A,82Bと構造部材90との密着性を向上ことができ、その結果、気密性を向上させることができる。
【0036】
また、支持部58の最上端位置と最下端位置を検出する検出器が設けられてもよい。例えば、当該検出器は、リミットスイッチ等の機械的なスイッチである。また、当該検出器の機能は、入力信号検出部113、123などドア制御装置100にソフトウェア的に設けられてもよい。具体的には、支持部58の最上端位置と最下端位置は、気密保持装置55の動作状態に関する情報(例えば、動作速度、動作距離、動作時間等に関する測定情報)やサーボモータ56の電気的特徴量(例えば、電圧、電流等に関する測定情報)から検出されてもよい。例えば、支持部58の最上端位置から最下端位置への距離は一定であるため、サーボモータ56の動作を開始した後に気密保持装置55が所定の動作距離を移動することを検出することで、支持部58の最上端位置と最下端位置を検出することができる。
【0037】
図1図6に戻り、DCS60は、鉄道車両1のドア80の開閉状態に関する検知を行う。具体的には、DCS60は、鉄道車両1のドア80の完全に閉じられた全閉状態を検知する。DCS60は、例えば、ドア80が全閉位置まで移動すると、ドア80の作用によって押圧されるリミットスイッチによって実現される。
【0038】
DCS60は、固定接点61A1,61A2と、固定接点61B1,61B2と、可動接点62とを含む。
【0039】
固定接点61A1,61A2は、配線13を分断する態様で、配線13に直列に配置される。以下、固定接点61A1,61A2を便宜的にDCS60の「A接点」と称する場合がある。
【0040】
固定接点61B1,61B2は、両端がドア制御装置100に接続される配線101を分断する態様で、配線101に直列に配置される。これにより、ドア制御装置100は、固定接点61B1,61B2の導通状態及び非導通状態のそれぞれを示すHレベルの信号及びLレベルの信号によって、DCS60のオン・オフの状態を把握することができる。以下、固定接点61B1,61B2を便宜的にDCS60の「B接点」と称する場合がある。
【0041】
可動接点62は、軸方向(図1中の上下方向)に沿って移動することによって、DCS60のA接点(固定接点61A1,61A2)及びB接点(固定接点61B1,61B2)の何れか一方を導通させる。DCS60は、外力が作用しない状態では、可動接点62がB接点を導通させる状態、即ち、B接点がオン、及びA接点がオフの状態にある。一方、DCS60は、後述の如く、可動接点62がドア80の作用によって押圧されると、A接点が可動接点62によって導通された状態でA接点がオンされ、B接点がオフされる。そして、DCS60は、可動接点62がドア80の作用によって押圧されない状態に戻ると、B接点が可動接点62によって導通された状態でB接点がオンされ、A接点がオフされる状態に戻る。
【0042】
例えば、ドア制御装置100は、配線101を通じて入力される信号に基づき、DCS60のB接点のオン・オフ状態を把握することができる。また、例えば、ドア制御装置100は、配線101を通じて入力される信号を反転させることにより、DCS60のA接点のオン・オフ状態を把握することができる。
【0043】
DLS70は、ドア80の施錠の有無の検知を行う。具体的には、ドア80の施錠されている状態を検知する。DLS70は、例えば、ドア80のロックピン230が施錠位置に移動すると、ロックピン230の作用によって押圧されるリミットスイッチによって実現される。
【0044】
DLS70は、固定接点71A1,71A2と、固定接点71B1,71B2と、可動接点72とを含む。
【0045】
固定接点71A1,71A2は、配線13を分断する態様で、配線13に直列に配置される。以下、固定接点71A1,71A2を便宜的にDLS70の「A接点」と称する場合がある。
【0046】
固定接点71B1,71B2は、両端がドア制御装置100に接続される配線102を分断する態様で、配線102に直列に配置される。これにより、ドア制御装置100は、固定接点71B1,71B2の導通状態及び非導通状態のそれぞれを示すHレベルの信号及びLレベルの信号によって、DLS70のオン・オフの状態を把握することができる。以下、固定接点71B1,71B2を便宜的にDLS70の「B接点」と称する場合がある。
【0047】
可動接点72は、軸方向(図1中の上下方向)に沿って移動することによって、DLS70のA接点(固定接点71A1,71A2)及びB接点(固定接点71B1,71B2)の何れか一方を導通させる。DLS70は、外力が作用しない状態では、可動接点72がB接点を導通する状態、即ち、B接点がオンされ、A接点がオフされる状態にある。一方、DLS70は、可動接点72がロックピン230の作用によって押圧されると、A接点がオンされB接点がオフされる。そして、DLS70は、可動接点72がロックピン230の作用によって押圧されない状態に戻ると、B接点がオンされA接点がオフされる状態に戻る。
【0048】
例えば、ドア制御装置100は、配線102を通じて入力される信号に基づき、DLS70のB接点のオン・オフ状態を把握することができる。また、例えば、ドア制御装置100は、配線102を通じて入力される信号を反転させることにより、DLS70のA接点のオン・オフ状態を把握することができる。
【0049】
配線13は、ドア80が全閉し且つ施錠されることにより、DCS60のA接点及びDLS70のA接点が共にオンされると、導通状態となり、インタロック信号がHレベルになる。
【0050】
スイッチ75は、鉄道車両1の左側或いは右側の側面のドア80を開けることを許可するために用いられる。スイッチ75は、鉄道車両1の左側のドア80用、及び右側のドア80用のそれぞれが設けられる。例えば、スイッチ75は、鉄道車両1の運転室及び車掌室の少なくとも一方に設けられ、運転士や車掌の操作に応じてオン・オフされる。例えば、運転士や車掌は、鉄道車両1の左側に乗降用のホームが隣接する停車駅に停車する直前に、左側のドア80用のスイッチ75をオン操作し、鉄道車両1の右側に乗降用のホームが隣接する停車駅に停車する直前に、右側のドア80用のスイッチ75をオン操作する。
【0051】
具体的には、スイッチ75は、運転士や車掌の操作に応じて、信号線76の接続状態と遮断状態とを切り換える。信号線76は、鉄道車両1の左側のドア80用、及び右側のドア80用のそれぞれが設けられる。左側のドア80用の信号線76は、所定の直流電源から左側のドア80用のスイッチ75経由して、左側のドア80を制御対象とするドア制御装置100のそれぞれに接続される。これにより、左側のドア80用のスイッチ75がオフ状態の場合、左側のドア80を制御対象とするドア制御装置100には、L(Low)レベルの信号(オフ信号)が入力される。一方、右側のドア80用のスイッチ75がオンの状態の場合、右側のドア80を制御対象とするドア制御装置100には、H(High)レベルの信号(オン信号)が入力される。同様に、右側のドア80用のスイッチ75がオフ状態の場合、右側のドア80を制御対象とするドア制御装置100には、L(Low)レベルの信号(オフ信号)が入力される。一方、右側のドア80用のスイッチ75がオンの状態の場合、右側のドア80を制御対象とするドア制御装置100には、H(High)レベルの信号(オン信号)が入力される。そのため、信号線76は、スイッチ75のオン・オフ状態に応じた信号(以下、「ホーム側信号」)、即ち、ドア制御装置100の制御対象のドア80が次の停車駅のホームに隣接する側にあるか否かを表す信号をドア制御装置100に伝達することができる。
【0052】
ドア80は、鉄道車両1の車体の左右の側面の開口部(以下、「ドア開口」)に設けられる。ドア80は、例えば、両開き式の引戸であり、ドアパネル80A,80Bを含む。
【0053】
ドアパネル80A,80Bは、モータ30の動力によって、ドア駆動機構200を介してドア80(車体のドア開口)の開閉動作を行う。具体的には、ドアパネル80A,80Bは、車体のドア開口の前後方向の中央を中心として前後方向で対称の動作を行うことにより、車体のドア開口を閉じたり開いたりすることができる。
【0054】
ドア80の全閉状態において、ドアパネル80A,80Bの互いに当接する部分には、それぞれ、戸先ゴム81A,81Bが設けられる。戸先ゴム81A,81Bは、それぞれ、ドアパネル80A,80Bの合わせ目の部分において、上端から下端に亘る範囲に設けられる。
【0055】
尚、ドア80は、片開き式の引戸であってもよい。この場合、ドア80に含まれるドアパネルは、1枚である。
【0056】
ドア制御装置100は、ドア80の開閉動作に関する制御を行う。ドア制御装置100は、鉄道車両1に設けられる複数のドア80ごとに設けられる。
【0057】
ドア制御装置100の機能は、任意のハードウェア或いは任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせ等により実現される。ドア制御装置100は、例えば、CPU、メモリ装置、補助記憶装置、及び外部との入出力用のインタフェース装置を含むコンピュータを中心に構成される。メモリ装置は、例えば、SRAMである。補助記憶装置は、例えば、EEPROMやフラッシュメモリである。インタフェース装置は、例えば、鉄道車両1の内部の通信回線に接続するための通信インタフェースを含む。また、インタフェース装置は、外部の記録媒体に接続するための外部インタフェースを含んでもよい。これにより、例えば、製造工程において、作業者は、ドア80の制御に関する処理に利用するプログラムや各種のデータを外部の記録媒体からドア制御装置100の補助記憶装置等にインストールすることができる。また、ドア80の制御に関する処理に利用するプログラムや各種のデータは、通信インタフェースを通じて、上位装置10からダウンロードされてもよい。また、インタフェース装置は、接続する通信回線の種類に合わせて、複数の異なる種類のインタフェース装置を含んでよい。
【0058】
ドア制御装置100は、常用系制御部110と、待機系制御部120と、切換回路部130と、切換回路部140と、切換回路部145とを含む。
【0059】
常用系制御部110は、ドア80の開閉動作に関する制御を行う。常用系制御部110は、電源回路111と、通信部112と、入力信号検出部113と、シーケンス部114と、モータ制御部115と、モータ駆動部116と、施錠・解錠駆動部117と、気密保持制御部118と、気密保持駆動部119とを含む。
【0060】
電源回路111は、常用系制御部110の各種機器の駆動電源として機能する。電源回路111は、電源150からドア制御装置100に供給される、相対的に高い電圧(例えば、100V)の電力を用いて、常用系制御部110の機器を駆動するための相対的に低い電圧(例えば、5V以下)の電力を生成する。
【0061】
通信部112は、ドア制御装置100の外部の伝送装置16と双方向の通信を行う。
【0062】
入力信号検出部113は、ドア制御装置100の外部から入力される各種信号を検出する。
【0063】
また、入力信号検出部113は、検出した信号に基づき、各種処理を行ってもよい。
【0064】
例えば、入力信号検出部113は、入力された信号の中から所定の信号を検出すると、所定の信号をシーケンス部114やモータ制御部115や気密保持制御部118に送る。即ち、入力信号検出部113は、入力される複数の種類の信号の中からシーケンス部114やモータ制御部115の制御で必要な信号を抽出(選択)し、シーケンス部114やモータ制御部115に送る。これにより、シーケンス部114及びモータ制御部115は、入力信号検出部113から入力される信号に基づき、後述のシーケンス制御やモータ30の駆動制御を適切に実行することができる。
【0065】
また、入力信号検出部113は、入力された信号に基づき、ドア80、モータ30、施錠装置50、及び気密保持装置55等のドア80の開閉動作に関する構成の少なくとも1つの異常に関する診断を行ってもよい。異常に関する診断には、例えば、異常の有無の診断が含まれる。また、異常に関する診断には、異常の程度(異常度)の診断が含まれてもよい。
【0066】
例えば、入力信号検出部113は、入力された信号に含まれる、気密保持装置55の動作状態に関する情報を表す信号に基づき、気密保持装置55の異常に関する診断を行う。気密保持装置55の動作状態に関する情報には、動作速度、動作距離、動作時間等に関する測定情報やサーボモータ56の電流や電圧等の電気的特徴量の情報が含まれる。具体的には、入力信号検出部113は、気密保持装置55の動作状態に関する情報と、気密保持装置55の正常状態或いは異常状態に対応する基準の情報との比較により、気密保持装置55の異常の有無や異常度を診断してもよい。例えば、入力信号検出部113は、気密保持装置55の動作速度が基準の情報よりも低下していることや、動作時間が基準の情報よりも長くなっていることから、運動変換部57や回転軸59aのグリス枯渇に関する異常や異常度を診断する。また、入力信号検出部113は、気密保持装置55の移動距離が基準の情報に達しない場合、シール部材90A,90Bと構造部材90との間の異物挟み込みやシール部材90A,90Bに関する異常の有無や異常度を診断してもよい。また、入力信号検出部113は、気密保持装置55の動作状態に関する情報に基づき、教師あり学習により生成された学習済みモデル(分類器)を用いて、気密保持装置55の異常の有無を診断してもよい。
【0067】
また、同様に、入力信号検出部113は、入力された信号に含まれる、モータ30やドア80や施錠装置50の動作状態に関する情報を表す信号に基づき、モータ30やドア80や施錠装置50の異常に関する診断を行ってもよい。
【0068】
また、入力信号検出部113は、入力された信号に基づき、ドア80、モータ30、施錠装置50、及び気密保持装置55の少なくとも1つの異常の兆候に関する診断を行ってもよい。異常の兆候に関する診断には、例えば、異常の兆候の有無の診断が含まれる。また、異常の兆候に関する診断には、異常の兆候の度合いの診断が含まれてもよい。
【0069】
例えば、入力信号検出部113は、入力された信号に含まれる、気密保持装置55の動作状態に関する情報を表す信号(データ)の履歴に基づき、気密保持装置55の異常の兆候に関する診断を行う。具体的には、入力信号検出部113は、気密保持装置55の動作状態に関する情報の変化の傾向に基づき、気密保持装置55の異常の兆候に関する診断を行ってよい。
【0070】
同様に、入力信号検出部113は、入力された信号に含まれる、モータ30やドア80や施錠装置50の動作状態に関する情報を表す信号の履歴に基づき、モータ30やドア80や施錠装置50の異常の兆候に関する診断を行ってもよい。
【0071】
また、入力信号検出部113は、入力された複数の信号の整合性から、ドア80、モータ30、施錠装置50、及び気密保持装置55の少なくとも1つの異常の有無や異常度を診断してもよい。例えば、入力信号検出部113は、DCS60とDLS70の接点情報と気密保持装置55の整合性により気密保持装置55の異常の有無や異常度を診断する。入力信号検出部113は、DCS60及びDLS70がドア80の開状態を示す信号が出力されている状況で気密保持装置55が作動状態であれば、気密保持装置55の異常がある、或いは、気密保持装置55の異常度が比較的高い状態であると診断できる。
【0072】
尚、ドア80、モータ30、施錠装置50、及び気密保持装置55等のドア80の開閉動作に関する構成の異常或いは異常の兆候に関する診断は、車両制御装置12や鉄道車両1の外部の情報処理装置(例えば、サーバ装置)で行われてもよい。この場合、ビッグデータに相当する、多数のドア80の開閉動作に関する構成に関する異常に関する診断の結果や異常に関する診断に利用されたデータを利用可能な場合がありうる。この場合、車両制御装置12等は、多数のドア80の開閉動作に関する構成の異常に関する診断の結果の情報やその診断に利用されたデータに基づき、クラスタリング等の機械学習(教師なし学習)を適用し、対象のドア80の開閉動作に関する構成の異常の兆候の有無等を診断してもよい。
【0073】
シーケンス部114は、入力信号検出部113から入力される信号に基づき、ドア80の開閉動作に関するシーケンス制御を行う。具体的には、シーケンス部114は、車両制御装置12からの停車信号、開指令、及び閉指令等に応じて、ドア80の開閉動作に関するシーケンス制御を行う。また、シーケンス部114は、エンコーダ31、DCS60、及びDLS70等の信号を用いて、ドア80の開閉状態、ドア80の開閉方向の位置、ドア80の施錠の有無等を把握しながら、ドア80の開閉動作に関するシーケンス制御を行う。
【0074】
モータ制御部115は、シーケンス部114からのドア80の開閉動作に関する制御指令に応じて、制御指令に対応するドア80の開閉動作を実現するように、モータ30の駆動制御を行う。モータ制御部115は、例えば、シーケンス部114から入力されるモータ30の速度指令及び推力指令に基づき、モータ30を駆動するPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成し、モータ駆動部116に出力する。具体的には、モータ制御部115は、入力信号検出部113から入力される、エンコーダ31及び電流センサ32等の検出信号を用いて、モータ30の電流及び回転軸の回転位置等を把握しながら、速度指令及び推力指令に適合するPWM信号を生成してよい。
【0075】
モータ駆動部116は、電源150から入力される直流を用いて、モータ30を駆動する3相交流を生成し出力する。モータ駆動部116は、例えば、直流を所定の電圧及び所定の周波数の3相交流に変換するインバータ回路を含む。モータ駆動部116は、その入力側の2本の直流電力線が入力コンタクタ151を通じて電源150に接続され、その出力側の3本の電力線が切換回路部130を通じてモータ30に接続される。
【0076】
施錠・解錠駆動部117は、シーケンス部114から入力される施錠指令や解錠指令に応じて、施錠装置50のコイル52,53を通電させ、ドア80の施錠方向或いは解錠方向に施錠装置50(ピン51)を駆動する。施錠・解錠駆動部117は、その入力側の正ライン及び負ラインの直流電力線が入力コンタクタ151を通じて電源150に接続される。そして、施錠・解錠駆動部117は、その出力側の正ライン及び負ラインの直流電力線の二組のうちの一方の組が切換回路部140を通じてコイル52に接続され、他方の組が切換回路部140を通じてコイル53に接続される。例えば、施錠・解錠駆動部117は、入力側の直流電力線と、出力側の一方の組の直流電力線、及び他方の組の直流電力線のそれぞれとの間の導通・非導通を切り換え可能な半導体スイッチを有し、半導体スイッチのオン・オフを切り換える。具体的には、施錠・解錠駆動部117は、シーケンス部114から解錠指令が入力されると、入力側の直流電力線と、出力側の一方の組の直流電力線との間を導通状態に移行させ、切換回路部140を通じて施錠装置50のコイル52を通電させてよい。また、施錠・解錠駆動部117は、シーケンス部114から施錠指令が入力されると、入力側の直流電力線と、他方の一組の直流電力線との間を導通状態に移行させ、切換回路部140を通じて施錠装置50のコイル53を通電させてよい。
【0077】
気密保持制御部118は、入力信号検出部113から入力される信号に基づき、気密保持駆動部129に制御指令を出力することにより、気密保持装置55の駆動制御を行う。具体的には、気密保持制御部118は、例えば、入力信号検出部113から入力される信号に基づき、ドア80の直近での開動作の可能性の有無を判断し、気密保持装置55の駆動制御を行う。具体的には、気密保持制御部118は、入力信号検出部113から入力される信号に基づき、ドア80の直近での開動作の可能性があると判断する場合、ドア80の開動作の前段階として、気密保持制御部118を作動状態から解除状態に移行させてよい。また、気密保持制御部118は、入力信号検出部113から入力される信号に基づき、ドア80の直近での開動作の可能性がなくなった場合、気密保持制御部118を解除状態から作動状態に移行させてよい。
【0078】
気密保持駆動部119は、気密保持制御部118からの制御指令に応じて、電源150から入力される直流電圧からサーボモータ56を駆動する3相交流電圧を生成し出力する。気密保持駆動部119は、例えば、直流電圧を所定の電圧及び所定の周波数の3相交流に変換するインバータ回路を含む。気密保持駆動部119は、その入力側の2本の直流電力線が入力コンタクタ151を通じて電源150に接続され、その出力側の3本の電力線が切換回路部145を通じてモータ30に接続される。
【0079】
待機系制御部120は、ドア80の開閉動作に関する制御を実行可能に構成され、常用系制御部110のバックアップ機能を果たす。これにより、ドア制御装置100は、常用系制御部110に加えて、待機系制御部120が設けられることで、ドア80の開閉動作に関する制御系の冗長化を図ることができる。具体的には、待機系制御部120は、常用系制御部110に異常が発生した場合に、常用系制御部110に代わり、ドア80の開閉動作に関する制御を行う。
【0080】
待機系制御部120は、常用系制御部110と同様の構成要素を含む。具体的には、待機系制御部120は、電源回路121と、通信部122と、入力信号検出部123と、シーケンス部124と、モータ制御部125と、モータ駆動部126と、施錠・解錠駆動部127と、気密保持制御部128と、気密保持駆動部129とを含む。
【0081】
電源回路121は、常用系制御部110の電源回路111と同様のハードウェア構成及び機能を有する。また、通信部122は、常用系制御部110の通信部112と同様のハードウェア構成及び機能を有する。また、入力信号検出部123は、常用系制御部110の入力信号検出部113と同様のハードウェア構成及び機能を有する。また、シーケンス部124は、常用系制御部110のシーケンス部114と同様のハードウェア構成及び機能を有する。また、モータ制御部125は、常用系制御部110のモータ制御部115と同様のハードウェア構成及び機能を有する。また、モータ駆動部126は、常用系制御部110のモータ駆動部116と同様のハードウェア構成及び機能を有する。また、施錠・解錠駆動部127は、常用系制御部110の施錠・解錠駆動部117と同様のハードウェア構成及び機能を有する。そのため、詳細な説明を省略する。また、気密保持制御部128は、常用系制御部110の気密保持制御部118と同様のハードウェア構成及び機能を有する。また、気密保持駆動部129は、常用系制御部110の気密保持駆動部119と同様のハードウェア構成及び機能を有する。
【0082】
切換回路部130は、モータ駆動部116とモータ30とを電気的に接続する状態と、モータ駆動部126とモータ30とを電気的に接続する状態とを切り換える。具体的には、切換回路部130は、その入力側に、モータ駆動部116及びモータ駆動部126のそれぞれの3相交流の出力電力線が接続され、その出力側に、モータ30から延びる3相交流の入力電力線が接続される。そして、切換回路部130は、モータ駆動部116の出力電力線とモータ30の入力電力線とを導通させる状態と、モータ駆動部126の出力電力線とモータ30の入力電力線とを導通させる状態とを切り換える。
【0083】
切換回路部130は、常用系制御部110によりドア80の開閉動作に関する制御が行われる場合、モータ駆動部116とモータ30とを電気的に接続する状態を維持する。一方、切換回路部130は、常用系制御部110に異常が生じ、待機系制御部120によりドア80の開閉動作に関する制御が行われる状態に移行する場合、モータ駆動部126とモータ30とを電気的に接続する状態に切り換える。
【0084】
切換回路部140は、施錠・解錠駆動部117と施錠装置50(コイル52,53)とを接続する状態と、施錠・解錠駆動部127と施錠装置50(コイル52,53)とを接続する状態とを切り換える。具体的には、切換回路部140は、その入力側に施錠・解錠駆動部117及び施錠・解錠駆動部127のそれぞれの二組の出力電力線が接続され、その出力側に、施錠装置50(コイル52,53)から延びる二組の入力電力線が接続される。そして、切換回路部140は、施錠・解錠駆動部117の二組の出力電力線と、施錠装置50の二組の入力電力線との間を接続する状態と、施錠・解錠駆動部127の二組の出力電力線と、施錠装置50の二組の入力電力線との間を接続する状態とを切り換える。
【0085】
切換回路部140は、常用系制御部110によりドア80の開閉動作に関する制御が行われる場合、施錠・解錠駆動部117と施錠装置50(コイル52,53)とを電気的に接続する状態を維持する。一方、切換回路部140は、常用系制御部110に異常が生じ、待機系制御部120によりドア80の開閉動作に関する制御が行われる状態に移行する場合、施錠・解錠駆動部127と施錠装置50(コイル52,53)とを電気的に接続する状態に切り換える。
【0086】
切換回路部145は、気密保持駆動部119と気密保持装置55とを電気的に接続する状態と、気密保持駆動部129と気密保持装置55とを電気的に接続する状態とを切り換える。具体的には、切換回路部145は、その入力側に、気密保持駆動部119及び気密保持駆動部129のそれぞれの3相交流の出力電力線が接続され、その出力側に、気密保持装置55から延びる3相交流の入力電力線が接続される。そして、切換回路部145は、気密保持駆動部119の出力電力線と気密保持装置55の入力電力線とを導通させる状態と、気密保持駆動部129の出力電力線と気密保持装置55の入力電力線とを導通させる状態とを切り換える。
【0087】
切換回路部145は、常用系制御部110によりドア80の開閉動作に関する制御が行われる場合、気密保持駆動部119と気密保持装置55とを電気的に接続する状態を維持する。一方、切換回路部145は、常用系制御部110に異常が生じ、待機系制御部120によりドア80の開閉動作に関する制御が行われる状態に移行する場合、気密保持駆動部129と気密保持装置55とを電気的に接続する状態に切り換える。
【0088】
尚、気密保持装置55のサーボモータ56の本体の駆動電源と、サーボモータ56に内蔵される無励磁作動形のブレーキの解除用電源は同一であってもよいし、異なっていてもよい。後者の場合、例えば、ブレーキの解除用電源のみを冗長化することで、切換回路部145の電流容量を低減し信頼性と機器の小型・軽量化との両立を図ることができる。
【0089】
電源150は、モータ30、施錠装置50、気密保持装置55、及びドア制御装置100を含む、鉄道車両1の各種機器に所定の電圧(例えば、100ボルト)の直流を供給する。電源150は、例えば、バッテリや補助電源装置を含む。バッテリは、鉄道車両1のパンタグラフが架線に接続されていない状態で、鉄道車両1の各種機器に直流電力を供給する。補助電源装置は、鉄道車両1のパンタグラフが架線に接続されている状態で、パンタグラフを通じて架線から供給される電力に基づき、直流を生成し、鉄道車両1の各種機器に直流を供給する。
【0090】
入力コンタクタ151は、電源150とドア制御装置100を含む各種機器との間の電力回路に設けられ、電力回路の開閉を行うことにより、鉄道車両1の各種機器への電力供給のオン・オフを切り換える。入力コンタクタ151は、例えば、鉄道車両1の運転室における電源オンに相当する所定の操作に応じて、閉じられる。これにより、ドア制御装置100を含む鉄道車両1の各種機器への電力供給が開始され、鉄道車両1が起動する。また、入力コンタクタ151は、例えば、鉄道車両1の運転室における電源オフに相当する所定の操作に応じて、開かれる。これにより、ドア制御装置100を含む鉄道車両1の各種機器への電力供給が停止(遮断)され、鉄道車両1が停止する。
【0091】
ドア駆動機構200は、モータ30の動力をドア80に伝達し、ドア80(ドアパネル80A,80B)の開閉動作を行わせる。また、ドア駆動機構200は、施錠装置50(ピン51)の動作に合わせて、ドア80の施錠状態及び解錠状態を実現する。
【0092】
ドア駆動機構200は、ラック210,220と、ロックピン230とを含む。
【0093】
ラック210は、ドアパネル80Aの上端部に取り付けられる。ラック210は、ラック部211と、連結部212とを含む。
【0094】
ラック部211は、鉄道車両1の前後方向に延びる部材である。ラック部211の下面には、ラックギヤ211Aが設けられる。ラック部211は、鉄道車両1(車体)のドア開口の上方において、回転軸が鉄道車両1の幅方向(左右方向)に沿うように配置されるモータ30の回転軸よりも若干上方に配置される。これにより、モータ30の回転軸と同軸で配置されるピニオンギヤとラック部211の下面のラックギヤ211Aとを係合させることができる。そのため、モータ30の回転に合わせて、ラック部211を鉄道車両1の前後方向に移動させることができる。
【0095】
連結部212は、ドアパネル80Aとラック部211とを連結する。連結部212は、ドアパネル80Aの上端部から上向きに延び出すように設けられ、その上端部にラック部211が連結される。これにより、ドアパネル80Aは、モータ30の回転に合わせたラック部211の移動に連動して、鉄道車両1の前後方向に移動し、ドア80の開閉動作を実現することができる。この際、ドアパネル80Aは、スライドレール(以下、「ドアレール」)によって前後方向への移動が案内される。
【0096】
連結部212には、DCS当接部213が設けられる。
【0097】
図2図3に示すように、DCS当接部213は、ドアパネル80A,80Bが完全に閉じた全閉状態に移行すると、DCS60の可動接点62に当接し、可動接点62が押圧される。これにより、可動接点が押し込まれて、DCS60がオンされる。一方、図4図6に示すように、DCS当接部213は、ドアパネル80Aが完全に閉じた全閉状態以外の状態に移行すると、DCS60の可動接点62と当接しない状態に移行し、DCS60がオフされる。
【0098】
ラック220は、ドアパネル80Bの上端部に取り付けられる。ラック220は、ラック部221と、連結部212と、ロックピン当接部223とを含む。
【0099】
ラック部221は、鉄道車両1の前後方向に延びる部材である。ラック部221の上面には、ラックギヤ221Aが設けられる。ラック部221は、鉄道車両1のドア開口の上方において、モータ30の回転軸よりも若干下方に配置される。これにより、モータ30の回転軸と同軸で配置されるピニオンギヤとラック部221の上面のラックギヤ211Aとを係合させることができる。そのため、モータ30の回転に合わせて、ラック部221を鉄道車両1の前後方向に移動させることができる。
【0100】
連結部222は、ドアパネル80Bとラック部221とを連結する。連結部222は、ドアパネル80Bの上端部から上向きに延び出すように設けられ、その上端部にラック部221が連結される。これにより、ドアパネル80Bは、モータ30の回転に合わせたラック部221の移動に連動して、鉄道車両1の前後方向に移動し、ドア80の開閉動作を実現することができる。この際、ドアパネル80Bは、スライドレール(ドアレール)によって前後方向への移動が案内される。
【0101】
ここで、モータ30と同軸のピニオンギヤに対して、ラックギヤ211Aが上から係合し、ラックギヤ221Aが下から係合することにより、モータ30の回転に応じて、ラック210,220を反対向きに移動させることができる。そのため、1つのモータ30で2枚のドアパネル80A,80Bの開動作及び閉動作を実現することができる。
【0102】
連結部222の上端部には、鉄道車両1の前後方向におけるドア開口の中央側に向かって下り傾斜する傾斜部222Aが設けられる。
【0103】
ロックピン当接部223は、ドア80の施錠状態において、ロックピン230が当接する。ロックピン当接部223は、連結部222に対して、ラック部221の延び出す方向とは反対側に突出するように設けられる。ロックピン当接部223には、ロックホール223Aが設けられる。
【0104】
ロックホール223Aは、ロックピン当接部223の上面に設けられる凹部である。ロックホール223Aには、ドア80が施錠される際に、ロックピン230(後述のピン部231)の下端が挿入される。
【0105】
ロックピン230は、ラック220のロックピン当接部223の上方に設けられる。ロックピン230は、ピン部231と、施錠装置当接部232とを含む。
【0106】
ピン部231は、上下方向に延びるように設けられる。
【0107】
施錠装置当接部232は、ピン部231の上端部に取り付けられ、ピン部231との連結部から水平方向、具体的には、鉄道車両1の前後方向におけるドア開口とは反対向きに延び出すように設けられる。施錠装置当接部232の下方には、施錠装置50が固定して配置され、施錠装置50のピン51の上端部と施錠装置当接部232の下面とが当接している。これにより、施錠装置50のピン51が上方向に突出すると、施錠装置当接部232が上方向に持ち上げられ、施錠装置50のピン51が下方向に引き込まれると、ロックピン230の自重で、施錠装置当接部232が下方向に下がる。
【0108】
図3図6に示すように、施錠装置50のピン51が突出した状態では、施錠装置当接部232と連結されるピン部231の下端は、ラック220の傾斜部222Aよりも上方に位置し、ピン部231は、ロックホール223Aに係合しない。そのため、ロックピン230の配置による影響を受けることなく、ラック220が移行可能なことから、ドア80(ドアパネル80A,80B)は、開閉方向に移動可能な状態にある。
【0109】
一方、図2に示すように、施錠装置50のピン51が引き込まれた状態では、ピン部231の下端がラック220の傾斜部222Aよりも下方に位置する。また、ドア80の全閉状態では、ピン部231は、鉄道車両1の前後方向において、傾斜部222Aよりもロックピン当接部223側に位置する。そのため、ドア80の全閉状態で、施錠装置50のピン51が引き込まれると、施錠装置当接部232が下向きに移動し、ピン部231がラック220のロックホール223A(凹部)に係合する。これにより、ラック220の移動が規制されると共に、ラック220のラックギヤに係合するピニオンギヤの回転が規制され、その結果、ピニオンギヤに係合するラックギヤ211Aを有するラック210の移動が規制される。そのため、ラック210,220と連結されるドアパネル80A,80Bの移動が規制され、ドアパネル80A,80Bの施錠状態が実現される。
【0110】
[ドアの開閉動作に関連する構成の動作シーケンスの第1例]
次に、図8を参照して、ドア80の開閉動作に関連する構成の動作シーケンスの第1例について説明する。
【0111】
図8は、鉄道車両1のドア80の開閉動作に関する構成の動作シーケンスの第1例を示す図である。具体的には、図8は、次の停車駅のホームに隣接する側にあるドア80について、鉄道車両1が定常走行の状態から減速して駅に停車し、その後、駅を発車し定常走行の状態に戻るまでのドア80、施錠装置50、及び気密保持装置55の動作シーケンスの具体例を示す。
【0112】
以下、本例では、ドア80の開閉動作に関する制御が常用系制御部110により行われている前提で説明を進める。
【0113】
<定常走行中>
鉄道車両1の定常走行中において、ドア80は、モータ30の推力オフの状態によって、全閉状態を維持する。また、ドア80は、常用系制御部110の制御下で、モータ30がドアパネル80A,80B同士の押し付け方向への所定の推力を出力する状態によって、全閉状態を維持してもよい。また、施錠装置50は、双方向自己保持型ソレノイドの作用によって、無励磁(非通電)によるドア80の施錠状態を維持している。また、気密保持装置55は、サーボモータ56の無励磁作動形のブレーキの作用により、無励磁(非通電)による作動状態を維持している。
【0114】
<定常走行~減速~停車>
鉄道車両1が次の停車駅に向けて減速をし始めると、スイッチ75に対する運転士や車掌のオン操作或いは車両制御装置12による信号の出力によって、ドア制御装置100に入力されるホーム側信号が"OFF"から"ON"に切り換わる。
【0115】
気密保持装置55は、ホーム側信号がONの状態で、鉄道車両1が所定の閾値Vth1以下の速度まで減速すると、常用系制御部110の制御下で、作動状態から解除状態に移行する。具体的には、気密保持制御部118は、ホーム側信号がONで、且つ、鉄道車両1の速度が閾値Vth1以下になった場合、気密保持駆動部119を通じてサーボモータ56に通電させることで、気密保持装置55を作動状態から解除状態に移行させる。閾値Vth1は、ゼロより大きい値であってもよいし、ゼロであってもよい。鉄道車両1の速度に関する情報は、車両制御装置12から伝送装置16を通じて、ドア制御装置100に入力される。サーボモータ56は、通電により無励磁作動形のブレーキが解除され、運動変換部57を通じて支持部58を最上端位置から最下端位置まで下方に移動させることで、気密保持装置55を解除状態に移行させることができる。
【0116】
尚、ドア制御装置100は、気密保持装置55の解除状態を検出できない場合、気密保持装置55に対応するドア80の後述する開動作を禁止してもよい。また、ドア制御装置100は、対応するドア80の開動作が禁止状態であることを停車駅や乗客に通知してもよい。ドア80の開動作が禁止状態であることを通知することで通知しない場合と比べ、鉄道車両1に乗車中の乗客や停車駅の乗車予定の乗客は、スムーズに乗降車できる。
【0117】
鉄道車両1の減速から駅への到着による停車の過程で、サーボモータ56は、気密保持装置55の解除状態への移行後、ドア制御装置100の制御下で、非通電とされる。これにより、サーボモータ56は、無励磁作動形のブレーキの作用によって、気密保持装置55の解除状態を維持することができる。
【0118】
<停車~ドアの開動作>
鉄道車両1の停車後、運転士や車掌等の開スイッチ14Aの操作に応じて開指令がドア制御装置100に入力されると、施錠装置50は、常用系制御部110の制御下で、ソレノイドが通電(励磁)されることで、ドア80の施錠状態から解錠状態に移行する。そして、常用系制御部110の制御下で、モータ30が推力を出力し、ドア80は、開動作を行う。
【0119】
<ドアの開動作~全開状態>
ドア80は、全開状態に到達すると、開動作を終了し、常用系制御部110の制御下で、モータ30が推力オフの状態にされることにより、全開状態を維持する。ドア80の施錠状態から解錠状態への移行後、施錠装置50は、常用系制御部110の制御下で、非通電とされ、双方向自己保持型ソレノイドの作用によって、無励磁(非通電)によるドア80の解錠状態を維持している。
【0120】
ドア80の開動作時には、常用系制御部110の制御下で、安全確認に関する各種機能が並列して実行される。例えば、常用系制御部110は、モータ30の電流の測定値に基づき、ドア80とドア80が収納される図示しない戸袋との異物の挟み込みの有無を監視する。異物とは、例えば、乗降客や乗降客の所持品等である。ドア80と戸袋との異物の挟み込みがあると判断されると、例えば、常用系制御部110の制御下で、ドア80は、開動作の停止または、反転して閉動作を行うことで、異物の除去が可能な状態を実現した後、再度開動作を行う。
【0121】
<ドアの全開状態~閉動作>
運転士や車掌等の閉スイッチ14Bの操作に応じて閉指令がドア制御装置100に入力されると、常用系制御部110の制御下で、モータ30が推力を出力し、ドア80は、閉動作を行う。
【0122】
ドア80の閉動作時には、ドア80の開動作時と同様、常用系制御部110の制御下で、安全確認に関する各種機能が並列して実行される。例えば、常用系制御部110は、モータ30の電流の測定値に基づき、ドア80への異物の挟み込みの有無を監視する。ドア80への異物の挟み込みがあると判断されると、例えば、常用系制御部110の制御下で、ドア80は、反転して開動作を行うことで、異物の除去が可能な状態を実現した後、再度閉動作を行う。
【0123】
<ドアの閉動作~全閉状態>
ドア80は、全閉状態に到達すると、閉動作を終了する。そして、施錠装置50は、常用系制御部110の制御下で、ソレノイドが通電(励磁)されることで、ドア80の解錠状態から施錠状態に移行する。ドア80は、常用系制御部110の制御下で、モータ30が推力オフ状態にされることによって、全閉状態を維持する。また、ドア80は、常用系制御部110の制御下で、モータ30がドアパネル80A,80B同士の押し付け方向への所定の推力を出力する状態によって、全閉状態を維持してもよい。
【0124】
尚、モータ30の推力がオフにされることにより全閉状態が維持される場合でも、ドア80の閉方向へのモータ30の推力は、ドア80の全閉状態への到達移行もある程度の期間継続されてもよい。具体的には、モータ30の推力がオフにされるタイミングは、鉄道車両の発車後であってもよい。例えば、鉄道車両1が後述の所定の閾値Vth2以上となり、気密保持装置55が解除状態から作動状態になった後に、ドア制御装置100の制御下で、モータ30の推力がオフされる。
【0125】
<鉄道車両の発車>
ドアの80の閉動作の完了後、運転士や車掌等による最終的な安全確認がなされた上で、鉄道車両1が駅から発車する。鉄道車両1の発車の際に、運転士や車掌等のスイッチ75に対するオフ操作によって、ドア制御装置100に入力されるホーム側信号がOFFに切り換わる。
【0126】
尚、スイッチ75に対するオフ操作は、別のタイミングで行われてもよい。
【0127】
<鉄道車両の発車~加速~定常走行>
鉄道車両1は、駅を発車すると定常走行の状態に向けて加速する。鉄道車両1の加速の過程において、鉄道車両1が所定の閾値Vth2以上の速度まで加速すると、気密保持装置55は、常用系制御部110の制御下で、解除状態から作動状態に移行する。具体的には、気密保持制御部118は、鉄道車両1の速度が閾値Vth2以上になった場合、気密保持駆動部119を通じてサーボモータ56に通電させることで、気密保持装置55を解除状態から作動状態に移行させる。閾値Vth2は、例えば、ゼロより大きい値に設定される。また、閾値Vth2は、閾値Vth1や後述の閾値Vth3より大きい値であってもよい。これにより、例えば、常用系制御部110は、ドア80への比較的厚みの小さい異物の挟み込みの有無を監視する時間を延長し、異物の検出漏れの確率を低減することができる。サーボモータ56は、通電により無励磁作動形のブレーキが解除され、運動変換部57を通じて支持部58を最下端位置から最上端位置まで上方に移動させることで、気密保持装置55を作動状態に移行させることができる。
【0128】
尚、ドア制御装置100が気密保持装置55の作動状態を検出できない場合、鉄道車両1の定常走行の速度が制限されてもよい。定常走行の速度が制限されることで、気密保持装置55に異常が生じている場合であっても、鉄道車両1のトンネル突入時に発生する気圧変化を抑制することができる。定常走行の速度の制限として、例えば、閾値Vth2以上の速度に加速することが制限される。また、ドア制御装置100は、気密保持装置55の作動状態を検出できない場合、モータ30によるドアパネル80A,80B同士の押し付け方向への推力を増加させてもよい。これにより、走行中にドア80が開状態になることを回避することができる。更に、ドア制御装置100が気密保持装置55の作動状態を検出できない場合、上述した動作の双方が実施されてもよい。
【0129】
[ドアの開閉動作に関連する構成の動作シーケンスの第2例]
次に、図9を参照して、ドア80の開閉動作に関連する構成の動作シーケンスの第2例について説明する。具体的には、図9は、次の停車駅のホームと反対側(非ホーム側)にあるドア80について、鉄道車両1が定常走行の状態から減速して駅に停車し、その後、駅を発車し定常走行の状態に戻るまでのドア80、施錠装置50、及び気密保持装置55の動作シーケンスの具体例を示す。
【0130】
以下、本例では、ドア80の開閉動作に関する制御が常用系制御部110により行われている前提で説明を進める。
【0131】
本例では、対象のドア80が非ホーム側であるため、鉄道車両1の駅での停車に際して、ドア80の開閉動作や施錠装置50の解錠動作及び施錠動作は行われない。
【0132】
気密保持装置55についても、鉄道車両1の駅での停車に際して、作動状態から解除状態に移行されることなく、常用系制御部110の制御下で、作動状態を維持する。具体的には、常用系制御部110は、鉄道車両1が閾値Vth1以下の速度まで減速した場合でも、ホーム側信号が"OFF"であることを以て、気密保持装置55の作動状態を維持する。即ち、常用系制御部110は、鉄道車両1の速度が閾値Vth以下になった場合であっても、ホーム側信号が"OFF"である場合、気密保持装置55の作動状態を維持する。
【0133】
[ドアの開閉動作に関連する構成の動作シーケンスの第3例]
次に、図10を参照して、ドア80の開閉動作に関連する構成の動作シーケンスの第3例について説明する。
【0134】
図10は、鉄道車両1のドア80の開閉動作に関する構成の動作シーケンスの第3例を示す図である。具体的には、図10は、鉄道車両1が定常走行の状態から減速して駅間で停車し、その後、発車し定常走行の状態に戻るまでのドア80、施錠装置50、及び気密保持装置55の動作シーケンスの具体例を示す。
【0135】
以下、本例では、ドア80の開閉動作に関する制御が常用系制御部110により行われている前提で説明を進める。
【0136】
本例では、駅間での停車であるため、鉄道車両1の停車に際して、ドア80の開閉動作や施錠装置50の解錠動作及び施錠動作は行われない。
【0137】
気密保持装置55についても、鉄道車両1の駅間での停車に際して、作動状態から解除状態に移行されることなく、常用系制御部110の制御下で、作動状態を維持する。具体的には、常用系制御部110は、鉄道車両1が閾値Vth1以下の速度まで減速した場合でも、ホーム側信号が"OFF"であることを以て、気密保持装置55の作動状態を維持する。即ち、常用系制御部110は、鉄道車両1の速度が閾値Vth1以下になった場合であっても、ホーム側信号が"OFF"である場合、気密保持装置55の作動状態を維持する。
【0138】
[ドアの開閉動作に関連する構成の動作シーケンスの第4例]
次に、図11を参照して、ドア80の開閉動作に関連する構成の動作シーケンスの第4例について説明する。
【0139】
図11は、鉄道車両1のドア80の開閉動作に関する構成の動作シーケンスの第4例を示す図である。具体的には、図11は、鉄道車両1が外部からの非常停止信号の受信等により非常状態を検知し、定常走行の状態から急減速して駅間で停車する際のドア80、施錠装置50、及び気密保持装置55の動作シーケンスの具体例を示す。
【0140】
以下、本例では、ドア80の開閉動作に関する制御が常用系制御部110により行われている前提で説明を進める。
【0141】
車両制御装置12は、外部からの非常停止信号の受信等により非常状態を検知すると、鉄道車両1を停車させるために急減速させる。そして、車両制御装置12は、伝送装置16を通じて非常停止信号をドア制御装置100に送信する。
【0142】
気密保持装置55は、非常停止信号がONの状態で、鉄道車両1が所定の閾値Vth3以下の速度まで減速すると、常用系制御部110の制御下で、作動状態から解除状態に移行する。具体的には、気密保持制御部118は、非常停止信号がONで、且つ、鉄道車両1の速度が閾値Vth3以下になった場合、気密保持駆動部119を通じてサーボモータ56に通電させることで、気密保持装置55を作動状態から解除状態に移行させる。閾値Vth3は、ゼロより大きい値であってもよいし、ゼロであってもよい。また、閾値Vth3は、上述の閾値Vth1と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0143】
鉄道車両1が非常状態により急停車しても、停車の時点では、ドア80は全閉状態を維持し、施錠装置50は、施錠状態を維持する。但し、鉄道車両1の外部への退避が必要な場合、運転士や車掌の操作、或いは、乗客の手動での操作により、施錠装置50の解錠状態への移行、及びドア80の開動作が実施される場合がある。そのため、気密保持装置55が非常状態による急停車に際して予め作動状態から解除状態に移行されることで、乗客の鉄道車両1の外部への退避をスムーズに実現することができる。
【0144】
[ドアの開閉動作に関連する構成の動作シーケンスの第5例]
次に、図11を援用して、ドア80の開閉動作に関連する構成の動作シーケンスの第5例について説明する。
【0145】
以下、本例では、ドア80の開閉動作に関する制御が常用系制御部110により行われている前提で説明を進める。
【0146】
鉄道車両1が車両基地等の停留場に停車する場合についても、上述の第4例(図11)と同様の動作シーケンスが採用されてもよい。この場合、鉄道車両1の停車に際して、停留場での停車である旨の信号が車両制御装置12から伝送装置16を通じてドア制御装置100に入力される。
【0147】
気密保持制御部118は、停留場での停車である旨の信号がONで、且つ、鉄道車両1の速度が閾値Vth4以下である場合、気密保持駆動部119を通じてサーボモータ56に通電させることで、気密保持装置55を作動状態から解除状態に移行させる。閾値Vth4は、ゼロより大きい値であってもよいし、ゼロであってもよい。また、閾値Vth4は、上述の閾値Vth1や閾値Vth3と同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0148】
鉄道車両1が停留場で停車する場合、鉄道車両1が停止されることから、手動での施錠装置50の施錠状態からの解錠状態への移行やドア80の開閉動作は可能であるものの、気密保持装置55が作動状態のままでは、ドア80を開くことができない。これに対して、鉄道車両1の停留場での停車に際して、気密保持装置55が作動状態から解除状態に移行されることで、鉄道車両1の停留場でのドア80の開閉動作をスムーズに実現することができる。
【0149】
[ドアの開閉動作に関連する構成の動作シーケンスの他の例]
次に、ドア80の開閉動作に関連する構成の動作シーケンスの他の例について説明する。
【0150】
上述の第1例~第5例の動作シーケンスは、適宜、変形や変更が加えられてもよい。
【0151】
例えば、上述の第1例において、気密保持装置55は、鉄道車両1の駅での停車に際して、運転士や車掌等の開スイッチ14Aに対する操作に応じて開指令がドア制御装置100に入力されることを以て、作動状態から解除状態または解除状態から作動状態に移行してもよい。開指令の入力は、ドア80の直近(具体的には、直後)のドア80の開動作を表しており、ドア制御装置100は、その入力に応じて、気密保持装置55を作動状態から解除状態に移行させた後に、ドア80の開動作に関する制御を行えば問題ないからである。具体的には、常用系制御部110は、ホーム側信号がONで、且つ、開指令が入力されている場合に、気密保持駆動部119を通じてサーボモータ56に通電させることで、気密保持装置55を作動状態から解除状態に移行させてもよい。この場合、常用系制御部110は、開指令の入力に応じて、気密保持装置55の解除、施錠装置50の解錠、及びドア80の開動作の順序で動作シーケンスを進める。同様に、気密保持装置55は、鉄道車両1の駅での停車に際して、運転士や車掌等の開スイッチ14Aに対する操作に応じて閉指令がドア制御装置100に入力されることを以て、解除状態から作動状態に移行してもよい。閉指令の入力は、ドア80の直近でのドア80の開動作がないことを表しており、ドア制御装置100は、その入力に応じて、ドア80の閉動作に関する制御を完了した後に、気密保持装置55を解除状態から作動状態に移行させれば問題ないからである。具体的には、常用系制御部110は、閉指令の入力に応じて、ドア80の閉動作、施錠装置50の施錠、気密保持装置55の作動の順序で動作シーケンスを進める。この際、常用系制御部110が施錠装置50の施錠、及び気密保持装置55の何れか一方或いは双方の異常を検出した場合、鉄道車両1の走行が禁止されてもよいし、上述の第1例と同様の動作が行われてもよい。
【0152】
また、気密保持装置55の動作状態の移行は、施錠装置50の解錠或いは施錠と同時に実施されてもよい。この場合、ドア80の開動作は、気密保持装置55の気密解除と施錠装置50の解錠の双方が検出された後に行われる。気密保持装置55及び施錠装置50の動作を同時に実施することで、ドア80の開閉動作に要する時間を短縮することができる。
【0153】
また、気密保持装置55は、非常用のバッテリを内蔵し、鉄道車両1への外部からの給電がない状況でも、手動での操作により作動状態から解錠状態への移行が可能であってもよい。この場合、上述の第4例や第5例において、気密保持装置55は、鉄道車両1の非常状態による停車や停留場での停車に際して、常用系制御部110の制御下で、作動状態を維持していてもよい。
【0154】
また、気密保持装置55は、ドア80の非常用ドアコックが操作された場合、ドア制御装置100の制御下で、作動状態から解除状態に移行してもよい。これにより、緊急時にドア80を手動で開放することができる。
【0155】
また、気密保持装置55は、鉄道車両1が停電状態になった場合、ドア制御装置100の制御下で、作動状態から解除状態に移行してもよい。これにより、緊急時にドア80を手動で開放することができる。
【0156】
尚、鉄道車両1は、停電状態になった場合、非常用電源により最小限の構成のみが稼働する状態に移行する。
【0157】
[作用]
次に、本実施形態に係る制御装置、及び制御方法の作用について説明する。
【0158】
本実施形態では、制御装置は、鉄道車両のドアの直近での開動作の可能性の有無に応じて、ドアと開口との間の気密性を保持するための電気駆動式の保持装置の作動及び解除を行わせる。制御装置は、例えば、上述のドア制御装置100である。鉄道車両は、例えば、上述の鉄道車両1である。ドアは、例えば、上述のドア80である。保持装置は、例えば、気密保持装置55である。
【0159】
また、本実施形態に係る制御方法は、制御装置が、鉄道車両のドアの直近での開動作の可能性の有無に応じて、ドアと開口との間の気密性を保持するための電気駆動式の保持装置の作動及び解除を行わせる。
【0160】
これにより、制御装置は、例えば、鉄道車両のドアの直近での開動作の可能性ある場合に、保持装置を作動状態から解除状態に移行し、可能性がなくなると、解除状態から作動状態に移行させることができる。そのため、制御装置は、鉄道車両のドアの開閉状況に合わせて、保持装置の作動及び解除を適切に制御することができる。特に、保持装置が作動状態でドアが開動作しないため、ドアの機械的な故障を確実に回避できる。
【0161】
また、本実施形態では、制御装置は、鉄道車両の速度に応じて、保持装置の作動及び解除を行わせてもよい。
【0162】
これにより、制御装置は、鉄道車両の速度に合わせて、鉄道車両のドアの直近での開動作の可能性を判断し、保持装置の作動及び解除を適切に制御することができる。
【0163】
また、本実施形態では、制御装置は、鉄道車両の速度が第1の閾値に対して相対的に低くなると、保持装置を作動状態から解除状態に移行させてもよい。第1の閾値は、例えば、上述の閾値Vth1である。
【0164】
これにより、制御装置は、鉄道車両がある程度減速し、停車駅での車両のドアの直近での開動作の可能性がある状況で、保持装置を作動状態から解除状態に適切に移行させることができる。
【0165】
また、本実施形態では、制御装置は、鉄道車両の速度が第1の閾値に対して相対的に低くなり、且つ、ドアが駅のホーム側である場合、保持装置を作動状態から解除状態に移行させてもよい。
【0166】
これにより、制御装置は、鉄道車両がある程度減速し、停車駅での車両のドアの直近での開動作の可能性がある状況で、ホーム側のドアに対応する保持装置のみを作動状態から解除状態に適切に移行させることができる。
【0167】
また、本実施形態では、制御装置は、鉄道車両の速度が第1の閾値に対して相対的に低くなり、且つ、鉄道車両が駅間にある場合、保持装置の作動状態を維持させてもよい。
【0168】
これにより、制御装置は、鉄道車両がある程度減速した場合でも、鉄道車両が駅間にあり、ドアの直近での開動作の可能性がない状況で、保持装置の作動状態を適切に維持させることができる。
【0169】
また、本実施形態では、制御装置は、鉄道車両が非常状態により停車する場合、保持装置を作動状態から解除状態に移行させてもよい。
【0170】
これにより、制御装置は、鉄道車両が非常状態により停車し、ドアが直近で開動作される可能性がある状況で、保持装置を作動状態から解除状態に適切に移行させることができる。
【0171】
また、本実施形態では、制御装置は、鉄道車両の速度が第2の閾値に対して相対的に高くなると、保持装置を解除状態から作動状態に移行させてもよい。第2の閾値は、例えば、上述の閾値Vth2である。
【0172】
これにより、制御装置は、例えば、鉄道車両が停車駅からある程度加速し、ドアが直近で開動作される可能性がない状況で、保持装置を解除状態から作動状態に適切に移行させることができる。
【0173】
また、本実施形態では、制御装置は、鉄道車両の速度が、第1の閾値よりも大きい第2の閾値に対して相対的に高くなると、保持装置を解除状態から作動状態に移行させてもよい。
【0174】
これにより、制御装置は、ドアが全閉状態になってから保持装置が作動状態に移行するまでの時間を比較的長く確保することができる。そのため、制御装置は、例えば、ドアへの比較的厚みの小さい異物の挟み込みの有無を監視する時間を延長し、異物の検出漏れの確率を低減することができる。
【0175】
また、本実施形態では、制御装置は、鉄道車両が停電状態となった場合、保持装置を作動状態から解除状態に移行させてもよい。
【0176】
これにより、制御装置は、鉄道車両の停電状態において、緊急時にドアを手動で開放させることを許容することができる。
【0177】
また、本実施形態では、制御装置は、保持装置に対する通電により保持装置の作動状態と解除状態との間での移行を行わせ、保持装置に対する非通電により保持装置の作動状態又は解除状態を維持させてもよい。
【0178】
これにより、制御装置は、保持装置の作動及び解除に関する電力消費を抑制することができる。
【0179】
また、本実施形態では、制御装置は、保持装置の動作状態に関する情報を取得し、保持装置の異常の兆候に関する診断を行ってもよい。
【0180】
これにより、制御装置は、例えば、保持装置の電気的な特徴量を取得し、保持装置の異常の兆候の有無や異常の兆候の程度等を診断することができる。そのため、制御装置は、保持装置の故障が発生する前の予兆を把握し、事前の対応を作業者等に促すことができる。
【0181】
以上、実施形態について詳述したが、本開示はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0182】
1 鉄道車両
10 上位装置
12 車両制御装置
13 配線
14 ドア開閉操作装置
14A 開スイッチ
14B 閉スイッチ
16 伝送装置
30 モータ
31 エンコーダ
32,32A,32B 電流センサ
50 施錠装置
51 ピン
52,53 コイル
55 気密保持装置
56 サーボモータ
57 運動変換部
58 支持部
59 レバー部
60 DCS
70 DLS
75 スイッチ
76 信号線
80 ドア
80A,80B ドアパネル
81A,81B 戸先ゴム
90 構造部材
90A,90B シール部材
100 ドア制御装置
101,102 配線
110 常用系制御部
111 電源回路
112 通信部
113 入力信号検出部
114 シーケンス部
115 モータ制御部
116 モータ駆動部
117 施錠・解錠駆動部
118 気密保持制御部
119 気密保持駆動部
120 待機系制御部
121 電源回路
122 通信部
123 入力信号検出部
124 シーケンス部
125 モータ制御部
126 モータ駆動部
127 施錠・解錠駆動部
128 気密保持制御部
129 気密保持駆動部
130,140,145 切換回路部
150 電源
151 入力コンタクタ
200 ドア駆動機構
210 ラック
211 ラック部
211A ラックギヤ
212 連結部
213 DCS当接部
220 ラック
221 ラック部
221A ラックギヤ
222 連結部
222A 傾斜部
223 ロックピン当接部
223A ロックホール
230 ロックピン
231 ピン部
232 施錠装置当接部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11