(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021867
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】包装袋、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 33/22 20060101AFI20250206BHJP
B65D 81/113 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
B65D33/22
B65D81/113 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125891
(22)【出願日】2023-08-01
(71)【出願人】
【識別番号】592093958
【氏名又は名称】酒井化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003203
【氏名又は名称】弁理士法人大手門国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 愛
(72)【発明者】
【氏名】野崎 美沙
(72)【発明者】
【氏名】佐野 真也
【テーマコード(参考)】
3E064
3E066
【Fターム(参考)】
3E064AA05
3E064BA16
3E064BA26
3E064BA30
3E064BA55
3E064GA02
3E064HM01
3E064HN05
3E064HN62
3E064HP01
3E064HP02
3E066CA01
3E066CB01
3E066DA01
3E066JA21
3E066KA01
3E066LA05
3E066LA19
3E066MA09
3E066NA43
(57)【要約】
【課題】 袋本体の内側に粘着層を両側縁部まで形成することができ、物品収納時における剥離ライナーの剥がれ落ちの問題も生じ難く、しかも、熱融着した袋本体の両側縁部が剥がれて穴が生じ難い包装袋、およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 袋本体1を熱可塑性樹脂を主材料とする発泡樹脂シートから構成すると共に、前記発泡樹脂シートを折り返して、或いは前記発泡樹脂シート同士を熱融着して形成された底部11、前記発泡樹脂シート同士を熱融着して形成された両側縁部12、および前記底部11の反対側に形成された開口部13を設けると共に、前記開口部13近傍の袋本体1の内側において、一方の発泡樹脂シートに剥離ライナー3付きの粘着層2を幅方向に形成すると共に、前記剥離ライナー3に前記発泡樹脂シートと熱融着性を有する材料を使用して、前記粘着層2の延長線上にある両側縁部12を前記剥離ライナー3を挟み込んだ状態で熱融着した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋本体が熱可塑性樹脂を主材料とする発泡樹脂シートから成り、前記発泡樹脂シートを折り返して、或いは前記発泡樹脂シート同士を熱融着して形成された底部、前記発泡樹脂シート同士を熱融着して形成された両側縁部、および前記底部の反対側に形成された開口部を備えると共に、
前記開口部近傍の袋本体の内側において、一方の発泡樹脂シートに剥離ライナー付きの粘着層が幅方向に形成されると共に、前記剥離ライナーに前記発泡樹脂シートと熱融着性を有する材料が使用されて、前記粘着層の延長線上にある両側縁部が前記剥離ライナーを挟み込んだ状態で熱融着されている、包装袋。
【請求項2】
前記剥離ライナーにおいて袋本体の両側縁部近傍にミシン目が形成されており、前記袋本体における前記剥離ライナーのミシン目に対応する位置に線状に並んだ穿孔が形成されている、請求項1記載の包装袋。
【請求項3】
前記剥離ライナーに易引裂性を有する材料が使用されると共に、剥離ライナーの袋本体の両側縁部近傍にノッチ部が形成されている、請求項1記載の包装袋。
【請求項4】
前記袋本体を構成する発泡樹脂シートと、前記剥離ライナーの主材料にそれぞれポリエチレン樹脂が使用されている、請求項1または2に記載の包装袋。
【請求項5】
袋本体の材料となる発泡樹脂シートに剥離ライナー付きの粘着層を形成する工程と、前記剥離ライナーを内側に挟み込んだ状態で前記発泡樹脂シートを折り返して袋本体の底部を形成する工程と、前記折り返した発泡樹脂シートに熱プレス加工を行って袋本体の両側縁部を形成する工程と、前記剥離ライナーが挟み込まれた袋本体の両側縁部の内側に、袋本体を貫通するようにカッターを入れて剥離ライナーのミシン目を形成する工程と、を含む包装袋の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装袋、及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
緩衝機能付きの包装袋としては、緩衝性に優れた発砲樹脂シートから袋本体を構成したものが知られており、本件特許出願人も以前に特許出願を行っている(特許文献1参照)。この種の包装袋は、袋本体に物品(例えば、電子部品や割れ物等)を収容し、フラップを閉じて封止するのが一般的であるが、フラップを有しない包装袋を封止するため、また包装袋の密封性を高めるため、また包装袋のフラップを閉じ易くするために袋本体の内側に粘着層を形成したものも知られている。
【0003】
例えば、特許文献2は紙製の包装袋について記載されたものであるが、開口部分のマチ部分が広がらないように包装袋の内側に粘着層を形成する技術が開示されている。これにより袋本体の表面側と裏面側のシートを圧着して閉じることができるようになっているものの、帯状に形成された粘着層および剥離ライナーを袋本体の左右両側まで形成することが難しいため、袋本体の密封性に限界がある。
【0004】
また上記の構成から成る包装袋では、剥離ライナーが粘着層上に設けられているだけで袋本体に固定されていないため、袋本体に物品を収容する際に手や物品が剥離ライナーに触れて剥離ライナーが剥がれ落ちてしまう問題も生じやすい。特に剥離ライナーは、粘着層から剥がし易く構成されているため、剥離ライナーに直接触れる以外にも収容時に開口部を拡げて袋本体の形状が変形する際にも脱落の問題が生じ易い。
【0005】
一方、本件出願人は、以前に上記発砲樹脂シートを用いた包装袋において熱融着する袋本体の両側縁部に剥離ライナーを挟み込む構成を発案したが、剥離ライナーの樹脂と袋本体の発砲樹脂シートの樹脂の相性が悪く十分な強度で熱融着することができなかった。そのため、袋本体の両側縁部の剥離ライナーを挟み込んだ部分が剥がれてしまい、両側縁部に部分的に穴が開いてしまう課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-56096号公報
【特許文献2】実用新案登録第3054038号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題を解決することを目的としており、要約すると袋本体の内側に粘着層を両側縁部まで形成することができ、物品収納時における剥離ライナーの剥がれ落ちの問題も生じ難く、しかも、熱融着した袋本体の両側縁部が剥がれて穴が生じ難い包装袋、およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題の解決手段として、袋本体1を熱可塑性樹脂を主材料とする発泡樹脂シートから構成すると共に、前記発泡樹脂シートを折り返して、或いは前記発泡樹脂シート同士を熱融着して形成された底部11、前記発泡樹脂シート同士を熱融着して形成された両側縁部12、および前記底部11の反対側に形成された開口部13を設けると共に、前記開口部13近傍の袋本体1の内側において、一方の発泡樹脂シートに剥離ライナー3付きの粘着層2を幅方向に形成すると共に、前記剥離ライナー3に前記発泡樹脂シートと熱融着性を有する材料を使用して、前記粘着層2の延長線上にある両側縁部12を前記剥離ライナー3を挟み込んだ状態で熱融着した点に特徴がある(効果は後述する)。
【0009】
また上記剥離ライナー3において袋本体1の両側縁部12近傍にミシン目31を形成し、上記袋本体1における上記剥離ライナー3のミシン目31に対応する位置に線状に並んだ穿孔14を形成することで、袋本体1の形成後に袋本体1にカッターを貫通させてミシン目31を形成でき、更にミシン目31を引き裂くことで剥離ライナー3を袋本体1から簡単に分離できる。
【0010】
一方、上記剥離ライナー3に易引裂性を有する材料を使用すると共に、剥離ライナー3の袋本体1の両側縁部12近傍にノッチ部32を形成することで、剥離ライナー3をノッチ部32から引き裂いて袋本体1から簡単に分離できる。
【0011】
また上記袋本体1を構成する発泡樹脂シートと、上記剥離ライナー3の主材料にそれぞれポリエチレン樹脂を使用することで、比較的低融点のヒートシールでもしっかりと両側縁部12を接着することができる。
【0012】
また本発明では、上記包装袋の製造方法において、袋本体1の材料となる発泡樹脂シートに剥離ライナー3付きの粘着層2を形成する工程と、前記剥離ライナー3を内側に挟み込んだ状態で上記発泡樹脂シートを折り返して袋本体1の底部11を形成する工程と、前記折り返した発泡樹脂シートに熱プレス加工を行って袋本体1の両側縁部12を形成する工程と、上記剥離ライナー3が挟み込まれた袋本体1の両側縁部12の内側に、袋本体1を貫通するようにカッターを入れて剥離ライナー3のミシン目31を形成する工程と、を採用することで、簡単にミシン目31の形成を行うことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、緩衝性を有する発砲樹脂シートを用いた包装袋において、熱融着する袋本体の両側縁部に剥離ライナーを挟み込んで熱融着すると共に、剥離ライナーの材料に袋本体の発砲樹脂シートと熱融着性を有する材料を使用したことにより、両側縁部の剥がれが生じ難くなるため、包装袋の使用時に両側縁部に穴が開いて密封性が損なわれる問題が生じ難くなる。
【0014】
また本発明では、剥離ライナーが袋本体の両側縁部に固定された状態となるため、袋本体に物品を収容する際に剥離ライナーに手や物品が触れた場合でも剥離ライナーが剥がれ落ちず、手や物品に粘着剤が付着する問題が生じ難くなる。また剥離ライナーを両側縁部に固定することで粘着層を両側縁部まで隙間なく形成することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第一実施形態の包装袋を表す全体斜視図である。
【
図2】本発明の第一実施形態の包装袋を表す一部を破断した平面図である。
【
図3】本発明の変更例の包装袋を表す一部を破断した平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
『第一実施形態』
本発明の第一実施形態について
図1~
図3に基づいて説明する。なお図中、符号Bで指示するものは、包装袋であり、符号1で指示するものは、袋本体である。また符号2で指示するものは、粘着層である。符号3で指示するものは、剥離ライナーである。
【0017】
「包装袋の構成」
[1]包装袋の基本構成について
本実施形態における包装袋の基本構成について説明する。まず本実施形態では、
図1(a)(b)及び
図2に示すように、袋本体1を熱可塑性樹脂を主材料とする発泡樹脂シートから構成している。具体的には、1枚の発泡樹脂シートを折り返して底部11を形成すると共に、表裏の発泡樹脂シート同士の内側を帯状に熱融着して両側縁部12を形成し、底部11の反対側に開口部13を形成している。これにより袋本体1の表側シートS
1と裏側シートS
2の間に物品等を収容するための空間を形成できる。
【0018】
また上記袋本体1の開口部13近傍の袋本体1の内側には、
図1(b)に示すように帯状の粘着層2を幅方向に形成し、更にこの粘着層2の上に
図1(a)に示すように剥離ライナー3を設けている。この剥離ライナー3は、袋本体1を構成する発泡樹脂シートと熱融着性を有するテープから成り、この剥離ライナー3を上記粘着層2の延長上にある両側縁部12の発泡樹脂シート間に挟み込んだ状態で熱融着することで一体化している。
【0019】
[2]包装袋の使用方法について
本実施形態の包装袋は、
図1(b)に示すように、剥離ライナー3を剥がして袋本体1の表側シートS
1と裏側シートS
2を圧着することで袋本体1の開口部13を封止することができる。なお包装袋に物品を収容する際、剥離ライナー3と発泡樹脂シートを熱融着して両側縁部12が形成されているため、袋本体1の両側縁部12の剥がれが生じ難い。また袋本体1に物品を収容する際、物品や手に触れて剥離ライナー3が剥がれ落ちる問題も防止できる。加えて、上記剥離ライナー3が袋本体1の両側縁部12まで設けられているため、粘着層2を両側縁部12まで隙間なく形成できる。
【0020】
[3]袋本体について
[3-1]発砲樹脂シートの材料
次に上記包装袋の各構成要素について説明する。上記袋本体1の発砲樹脂シートに関しては、本実施形態では熱を反射し、内容物が透けて見えないように外側にアルミ蒸着層を有するポリエチレン製の発泡樹脂シートを使用している。このような発泡樹脂シートを使用することで包装袋に緩衝機能を付与することができる。また発砲樹脂シートの材料としては熱可塑性樹脂を主材料としたものであれば、1種または複数種の材料を使用することができ、本実施形態のポリエチレン以外の樹脂、例えば、PET樹脂やポリプロピレン樹脂などを使用することもできる。上記発泡樹脂シートの厚さや発泡倍率等は包装袋の用途に応じて適宜変更できる。
【0021】
また上記発泡樹脂シートについては、本実施形態では単層シートを使用しているが、少なくとも内側に発泡樹脂層を備えたものであればよく、単層シート以外にも多層シートを使用することもできる。具体的には、用途に応じて外側に紙層を有する多層シートを使用して封筒として使用することもできる。その他、、樹脂フィルムや金属フィルムを外側に有する多層シートを使用することもできる。
【0022】
[3-2]袋本体の全体形状
本実施形態では、
図1(a)(b)及び
図2に示すように、袋本体1を平面視で矩形状の形態としているが、全体形状は矩形状に限らず、例えば、開口部13よりも底部11の幅が大きい台形状や、半円・半楕円状などの形態を採用することもできる。また本実施形態では、
図1(a)(b)に示すように袋本体1の裏側シートS
2にフラップを形成して蓋部として使用できるようにしているが、フラップの有無やフラップの形状も包装袋の用途や求められる機能に応じて適宜変更できる。
【0023】
[3-3]底部および両側縁部
上記袋本体1の底部11に関しては、本実施形態では1枚の発泡樹脂シートを折り返して底部11を形成しているが、二枚の発泡樹脂シート同士を熱融着して底部11を形成することもできる。その場合、両側縁部12と同様、帯状の熱融着部を形成するのが好ましい。また上記袋本体1の両側縁部12や底部11を帯状に熱融着する場合、表側シートS1と裏側シートS2が剥がれて袋に穴が開かないようにヒートシールで充分な剥離強度を確保することが好ましい。本実施形態では、上記袋本体1を構成する発泡樹脂シートと、上記剥離ライナー3の主材料にそれぞれ同種のポリエチレン樹脂を使用しているため、ヒートシールで両側縁部12全体をしっかりと接着(熱融着)することができる。袋本体1の発泡樹脂シートの材料としては、剥離シート3と同種の樹脂、或いは相溶性の高い樹脂を使用することができる。
【0024】
[3-4]穿孔
また本実施形態では、
図1(a)(b)及び
図2に示すように、袋本体1の開口部近傍の発泡樹脂シートに袋の深さ方向に線状に並んだ穿孔14を形成している。これは後述の剥離ライナー3にミシン目を形成する際に同時に形成されるものであるが、穿孔の一つ一つは小さく、発泡樹脂シートの形状復元性によって見かけ上、孔が塞がった状態となるため、袋本体1の密封性を大きく損なうようなものではない。
【0025】
[4]粘着層について
次に上記粘着層2に関しては、本実施形態ではゴム系粘着剤を使用しているが、袋本体に収容される物品や発泡樹脂シートとの相性に応じて他の粘着剤、例えばアクリル系粘着剤やシリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤を使用することもできる。また本実施形態では、上記粘着層2を
図1(b)に示すように一本の帯状に形成しているが、袋本体1内に複数の粘着層2を形成することもできる。粘着層2の上下幅は、袋本体1の大きさや求められる粘着強度に応じて適宜変更でき、上記粘着層2の左右の長さも、袋本体1の両側縁部12まで隙間なく形成されていることが好ましいが、フラップ等の他の封止手段がある場合には、粘着層2の長さは特に限定されない。
【0026】
上記粘着層2を形成する位置に関しては、袋本体1の開口部13の近傍であればよく、特に細かな位置は限定されない。また本実施形態では、フラップが形成された袋本体1の裏側シートS2のみに粘着層2を形成しているが、表側シートS1側のみ、或いは表側シートS1と裏側シートS2の両方に粘着層2を形成することもできる。
【0027】
[5]剥離ライナーについて
[5-1]剥離ライナーの材料
上記剥離ライナー3に関しては、本実施形態では、発泡樹脂シートの熱可塑性樹脂と同じポリエチレン樹脂(HDPE)を使用し、剥離面(裏面)にシリコーンコーティング層を形成している。なお剥離ライナー3は、粘着面を保護し、使用時に粘着面から簡単に剥がれる機能を有し、セパレータや剥離紙、離型紙、離型フィルムとも呼ばれる。上記剥離ライナー3の基材の材料としては、発砲樹脂シートの熱可塑性樹脂と同種、或いは相溶性に優れた1種または複数種の材料を使用でき、発泡樹脂シートに異なる樹脂を使用する場合には、それに合わせてPET樹脂やポリプロピレン樹脂などを使用することもできる。また本実施形態では、上記剥離ライナー3に未延伸フィルムを使用しているが、易引裂性を有する延伸フィルム(一軸延伸や二軸延伸)を使用することもできる。
【0028】
上記剥離ライナー3の構成としては、基材が熱可塑性樹脂から成るものであればよく、単層フィルム以外にも多層フィルムを用いることもできる。本実施形態では、上記剥離ライナー3の表面側にアルミ蒸着層を形成しているが、アルミ蒸着層の代わりに着色剤を添加することもできる。また上記シリコーンコーティング層には、「剥離帯電」を防止する帯電防止剤を添加しているが、酸化防止剤や紫外線吸収剤などを必要に応じて添加することもできる。また剥離面の離型コーティング層として非シリコーン系のコーティング層を採用することもできる。
【0029】
[5-2]剥離ライナーの形状
上記剥離ライナー3の形状としては、本実施形態では粘着層2よりも幅の大きいテープ状(帯状)としているが、テープの細かな形状については特に限定されない。また本実施形態では、
図2に示すように剥離ライナー3の両側縁部12の近傍にミシン目31を形成し、このミシン目31を上下方向に引き裂くことによって
図1(b)に示すように剥離ライナー3を袋本体1から簡単に分離できるようにしている。なお上記袋本体1に形成された線状に並んだ穿孔14は、この剥離ライナー3のミシン目31の位置に沿って形成されている。
【0030】
[5-3]剥離ライナーの形状の変更例
本実施形態では、剥離ライナー3の引き裂きを容易に行う手段としてミシン目31を採用しているが、剥離ライナー3の基材に易引裂性を有する材料を使用することもできる。更に
図3に示すように袋本体1の両側縁部12近傍にノッチ部32を形成して、このノッチ部32から剥離ライナー3を引き裂くことによって剥離ライナー3を袋本体1から簡単に分離できるようにすることもできる。このノッチ部32の形状については特に限定されず、切り欠き状や切り目状、窪み状とすることもできる。
【0031】
「包装袋の製造方法」
次に上記包装袋の製造方法について説明する。まず袋本体1の材料となる発泡樹脂シートに剥離ライナー3付きの粘着層2を形成する。具体的には、コンベア上を流れる発泡樹脂シートに粘着剤を帯状に塗布し、それによって形成された粘着層2の上に剥離ライナー3を配置していく。次に上記剥離ライナー3を内側に挟み込んだ状態で上記発泡樹脂シートを折り返して袋本体1の底部11を形成し、折り返した発泡樹脂シートに熱プレス加工を行って袋本体1の両側縁部12を形成する。具体的には、コンベア上を流れる発泡樹脂シートに所定幅(両側縁部12の2倍の幅)の熱プレス加工を断続的に行う。
【0032】
次に剥離ライナー3が挟み込まれた袋本体1の両側縁部12の内側に、袋本体1を貫通するようにカッターを入れて剥離ライナー3のミシン目31を形成する。この際、ミシン目31と同時に袋本体1の穿孔14が形成される。なおミシン目31の大きさや形状は、カッターの形状によって適宜変更できる。これにより袋本体1の内側の剥離ライナー3に対してミシン目31を簡単に形成できる。最後に上記熱プレス加工を行った両側縁部12の部位を真ん中で切断して、繋がった状態の袋本体1を分離することで包装袋を連続的に製造する。
【実施例0033】
[効果の実証試験]
次に本発明の効果の実証試験について説明する。本試験では、包装袋の剥離ライナーの材料が異なる下記実施例1および比較例1のサンプルを作製し、それぞれの袋本体1の両側縁部12の状態を確認した。
【0034】
「実施例1」
第一実施形態の発泡樹脂シートにポリエチレン樹脂を使用し、剥離ライナーの基材に厚み25μmのポリエチレン樹脂(HDPE)フィルムを使用し、これらを熱プレス加工によって熱溶着させて袋本体1の両側縁部12を形成した。
【0035】
「比較例1」
上記実施例1と同じ発泡樹脂シートを使用し、剥離ライナー3の材料を厚み12μmのPET樹脂フィルムに変更した。そして、これらに実施例1と同様の熱プレス加工を行って袋本体1の両側縁部12を形成した。
【0036】
[実証試験の結果]
上記実施例1のサンプルは、剥離ライナー3を挟み込んだ部分も含めて両側縁部12全体がしっかりと熱融着されていたのに対し、上記比較例1のサンプルは、剥離ライナー3を挟み込んだ部分が熱融着されず剥がれてしまい、両側縁部12に穴が空いてしまった。これにより上記実施例1の熱融着による効果を確認できた。