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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021885
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】噴出容器及び装着キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20250206BHJP
   B65D 47/20 20060101ALI20250206BHJP
   B65D 47/32 20060101ALI20250206BHJP
   B05B 11/00 20230101ALI20250206BHJP
   B05B 11/10 20230101ALI20250206BHJP
   B05B 7/24 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
B65D83/00 G
B65D47/20 111
B65D47/32 300
B05B11/00 101A
B05B11/10 101A
B05B7/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125960
(22)【出願日】2023-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松浦 傑
【テーマコード(参考)】
3E014
3E084
4F033
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB01
3E014PB04
3E014PC04
3E014PD30
3E014PE01
3E014PE10
3E014PE11
3E014PE15
3E014PF10
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA24
3E084AA25
3E084AA26
3E084AB01
3E084AB06
3E084BA02
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084CC04
3E084CC05
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084DC04
3E084DC05
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084KA05
3E084KB05
3E084KB06
3E084LA21
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD07
3E084LD13
4F033QA09
4F033QB02Y
4F033QB03X
4F033QB12Y
4F033QB17
4F033QD02
4F033QD15
4F033QF01X
4F033QF02Y
(57)【要約】
【課題】中粘度から高粘度の液体であっても安定して空気と混合させることが可能な噴出容器及び装着キャップに関する。
【解決手段】液体を収容可能な容器本体を備える噴出容器であって、液体及び空気を混合させる混合室と、混合室で混合された液体及び空気を噴出可能な噴出孔と、容器本体内部から混合室に液体を供給する液体流路と、容器本体内部から混合室に空気を供給する空気流路と、混合室と噴出孔との間に設けられた蓄圧弁とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容可能な容器本体を備える噴出容器であって、
液体及び空気を混合させる混合室と、
前記混合室で混合された液体及び空気を噴出可能な噴出孔と、
前記容器本体内部から前記混合室に液体を供給する液体流路と、
前記容器本体内部から前記混合室に空気を供給する空気流路と、
前記混合室と前記噴出孔との間に設けられた蓄圧弁と
を備える
噴出容器。
【請求項2】
前記蓄圧弁は、スリットと、前記スリットにより形成された片部とを有しており、
前記片部は、弾性変形可能に構成されており、
前記蓄圧弁は、前記混合室で混合された液体及び空気による前記片部への押圧力が前記片部の弾性力よりも大きいときに開状態となる
請求項1に記載の噴出容器。
【請求項3】
前記蓄圧弁は、複数のスリットを有しており、
前記複数のスリットは、互いに交差している
請求項2に記載の噴出容器。
【請求項4】
前記蓄圧弁は、前記混合室側に向けて膨出する膨出部を有しており、
前記膨出部は、該膨出部の頂点部に前記スリット及び前記片部を有している
請求項2又は3に記載の噴出容器。
【請求項5】
前記蓄圧弁は、開口を有するベース部を有しており、
前記膨出部は、前記ベース部の開口周縁から前記混合室側かつ内側に向けて少なくとも一部が傾斜する傾斜部を有しており、
前記ベース部の前記開口の面積が、19mm以上79mm以下であり、
前記スリットの長さが、2mm以上6mm以下である
請求項4に記載の噴出容器。
【請求項6】
前記液体流路又は前記空気流路の流出口と、前記片部との離間距離が7mm以下である
請求項2~5のいずれか1項に記載の噴出容器。
【請求項7】
前記液体流路及び前記空気流路のいずれか一方の流出口は、前記混合室を介して前記蓄圧弁と対向しており、
前記液体流路及び前記空気流路のいずれか他方は、前記液体流路及び前記空気流路のいずれか一方の前記流出口と前記蓄圧弁との対向方向と直交する方向に延びて前記混合室に至る直交流路を有している
請求項1~6のいずれか1項に記載の噴出容器。
【請求項8】
前記直交流路は、複数設けられている
請求項7に記載の噴出容器。
【請求項9】
前記複数の直交流路の少なくとも2つの流路は、前記混合室を介して互いに対向している
請求項8に記載の噴出容器。
【請求項10】
前記液体流路の流出口における流路面積は、前記空気流路の流出口における流路面積に対して、50%以上710%以下である
請求項1~9のいずれか1項に記載の噴出容器。
【請求項11】
複数の弁座と、前記弁座に載置可能な弁体とを更に備え、
前記弁座は、前記容器本体の外部から前記容器本体の内部に空気を導入する空気導入孔を有しており、
前記弁体は、前記空気導入孔を開閉可能に構成されている
請求項1~10のいずれか1項に記載の噴出容器。
【請求項12】
前記容器本体は、圧搾容器本体である
請求項1~11のいずれか1項に記載の噴出容器。
【請求項13】
液体を収容可能な容器本体に対して取り付け可能に構成された装着キャップであって、
液体及び空気を混合させる混合室と、
前記混合室で混合された液体及び空気を噴出可能な噴出孔と、
前記容器本体内部から前記混合室に液体を供給する液体流路と、
前記容器本体内部から前記混合室に空気を供給する空気流路と、
前記混合室と前記噴出孔との間に設けられた蓄圧弁と
を備える
装着キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴出容器及び装着キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液体を噴出可能な噴出孔を備える噴出容器において、噴出孔の直前で液体及び空気を混合させ、液体をミスト化させた状態で噴出させる噴出容器が知られている(特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許4877623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の噴出容器では、液体が中粘度から高粘度である場合、液体が収容された容器本体等をゆっくり押圧すると、空気が先行して噴出されるため、液体及び空気を安定して混合させることができないという問題がある。
【0005】
本発明は、中粘度から高粘度の液体であっても安定して空気と混合させることが可能な噴出容器及び装着キャップに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る噴出容器は、液体を収容可能な容器本体を備える噴出容器であって、液体及び空気を混合させる混合室と、前記混合室で混合された液体及び空気を噴出可能な噴出孔と、前記容器本体内部から前記混合室に液体を供給する液体流路と、前記容器本体内部から前記混合室に空気を供給する空気流路と、前記混合室と前記噴出孔との間に設けられた蓄圧弁とを備える。
【0007】
また、本発明に係る装着キャップは、液体を収容可能な容器本体に対して取り付け可能に構成された装着キャップであって、液体及び空気を混合させる混合室と、前記混合室で混合された液体及び空気を噴出可能な噴出孔と、前記容器本体内部から前記混合室に液体を供給する液体流路と、前記容器本体内部から前記混合室に空気を供給する空気流路と、前記混合室と前記噴出孔との間に設けられた蓄圧弁とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の噴出容器及び装着キャップによれば、中粘度から高粘度の液体であっても安定して空気と混合させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る噴出容器を示す斜視図である。
図2】本実施形態に係る噴出容器を示す分解斜視図である。
図3】本実施形態に係る噴出容器を示す断面図である。
図4】本実施形態に係る装着キャップの一部を拡大して示す拡大断面図である。
図5】本実施形態に係る装着キャップの一部を拡大して示す拡大断面図である。
図6】本実施形態に係る蓄圧弁を示す斜視図である。
図7】本実施形態に係る直交流路の変形例を示す分解斜視図である。
図8】本実施形態に係る直交流路の変形例を示す分解斜視図である。
図9】本実施形態に係る流動制御機構の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、本実施形態においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や、一部の構成要素が省略されている場合がある。
【0011】
[噴出容器の全体構成]
本実施形態に係る噴出容器1は、洗浄剤等の液体(以下、単に「液体」という。)をミスト化させた状態で噴出させる用途や、液体を泡化させた状態で噴出させる用途で用いられる噴出容器である。具体的には、図1図3に示すように、本実施形態に係る噴出容器1は、液体を収容可能な容器本体10と、容器本体10に取り付けられる装着キャップ20とを備えている。本実施形態において、装着キャップ20は、容器本体10に対して着脱可能に構成されている。
【0012】
以下、本明細書において、容器本体10から装着キャップ20に向かう方向(装着キャップ20から見た場合における、容器本体10とは反対側)を「上方」とし、その反対方向(装着キャップ20から見た場合における、容器本体10側)を「下方」として説明する。また、装着キャップ20が容器本体10よりも上方側に位置する状態を「正立状態」といい、装着キャップ20が容器本体10よりも下方側に位置するよう、逆さまにした状態を「倒立状態」という。さらに、上下方向に沿う断面を「縦断面」といい、上下方向に直交する方向の断面を「水平断面」という。
【0013】
[容器本体の構成]
本実施形態に係る容器本体10は、例えば、ブロー成形によって形成された合成樹脂製の容器であり、かつ、使用者の圧搾操作(スクイズ操作)により変形可能な圧搾容器である。具体的には、図1図3に示すように、容器本体10は、底部11と、底部11の周縁から上方に向けて延びる筒状の胴部12と、胴部12の上端かつ中心部に設けられた円筒状の口部13とを備えており、全体として口部13の上端のみが開放された有底筒状に形成されている。また、本実施形態に係る容器本体10は、底部11及び胴部12で画定された内部空間に液体を収容可能に構成されている。
【0014】
底部11は、長軸と短軸とを有する楕円形状を有している。また、底部11は、胴部12の下端の外径と略同じ外径を有しており、底部11の上面から上方に向けて胴部12が延出する構成を有している。すなわち、本実施形態において、容器本体10は、床面等の載置面に載置された際に、底部11のみが載置面に接触する上げ底構造を有している。このように、容器本体10が上げ底構造を有していることにより、圧搾操作時における容器本体10の変形率(すなわち、容器本体10の容積の減少量)を大きくすることができるため、圧搾操作に要する押圧力を低減し、使用者の負担を軽減することができるという利点がある。
【0015】
胴部12は、水平断面が長軸と短軸とを有する楕円筒形状を有しており、その上端部が上方かつ径方向内側に向けて(すなわち、口部13に向けて)湾曲した形状を有している。このように、胴部12の水平断面の形状が楕円筒形状であることにより、容器本体10の把持が容易になるという利点がある。また、少ない変形量で液体又は泡を噴出することができるため、圧搾操作時における使用者の負担を軽減することができるという利点もある。
【0016】
また、胴部12は、使用者の圧搾操作により変形可能な可撓性を有している。具体的には、胴部12は、圧搾操作に要する押圧力を低減し、使用者の負担を軽減する観点から、胴部12の短軸方向両端部から中心部に向けてそれぞれ30mmのひずみを加えた場合に生じる押圧力が、140N以下であることが好ましく、100N以下であることがより好ましく、60N以下であることが更に好ましい。また、胴部12から外力が取り除かれた際の復元性の観点から、20N以上であることが好ましい。なお、胴部12の短軸方向とは、胴部12の水平断面における短軸方向である。
【0017】
口部13は、水平断面が真円形状を有している。また、口部13の外周面には、周方向に沿って螺旋状に形成されたねじ山が形成されており、装着キャップ20の後述する第1外筒部材30の周壁部37が螺合可能に構成されている。
【0018】
容器本体10に収容される液体としては、中粘度から高粘度の液体と空気を安定して混合させ、液体のミスト化や液体の泡化を安定させる観点から、中粘度の液体や高粘度の液体であることが好ましい。しかしながら、本実施形態に係る噴出容器1の使用用途は、中粘度の液体や高粘度の液体を噴出させる用途に限定されず、低粘度の液体を噴出させる用途で使用されても良い。そのため、容器本体10には、低粘度の液体が収容されても良い。
【0019】
なお、本明細書では、10mPa・s未満の粘度を「低粘度」、10mPa・s以上100mPa・s未満の粘度を「中粘度」、100mPa・s以上の粘度を「高粘度」と定義する。
【0020】
容器本体10の材料は、使用者の圧搾操作により変形可能な可撓性と、容器本体10から外力が取り除かれた際の復元性との双方に優れた弾性材料からなることが好ましい。かかる観点から、容器本体10は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタラート(PET)及びエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)から選択される1種又は2種以上の材料で構成されていることが好ましい。また、容器本体10は、上記の材料を用いて一体成形により形成されることが好ましいが、これに限定されず、別部材として成形された底部11、胴部12及び口部13を一体化させる構成としても良い。
【0021】
なお、容器本体10の形状及び材料は、上述した構成に限定されるものではなく、種々の公知の形状及び材料を採用することが可能である。
【0022】
[装着キャップの構成]
図1図4に示すように、装着キャップ20は、容器本体10の口部13に取り付けられる第1外筒部材30と、第1外筒部材30の上端部(容器本体10とは反対側の端部)に取り付けられる第2外筒部材40と、第1外筒部材30及び第2外筒部材40の内部に設けられる内筒部材50と、第2外筒部材40の上端部に設けられる蓋部材60と、内筒部材50及び蓋部材60の間に設けられる蓄圧弁70と、第1外筒部材30の下端部(容器本体10側の端部)に設けられる保持部材80と、保持部材80に保持されるディップチューブ90とを備えている。
【0023】
図1図5に示すように、第1外筒部材30は、平板状に形成された平板部31と、平板部31の上面から上方に向けて延びる柱部32と、柱部32の上面から上方に向けて延びる上側小径筒部33と、柱部32の上面から上方に向けて延びる上側大径筒部34と、平板部31の下面から下方に向けて延びる下側小径筒部35と、平板部31の下面から下方に向けて延びる下側大径筒部36と、平板部31の外縁から下方に向けて延びる周壁部37とを有している。
【0024】
平板部31は、口部13よりも大きな径を有する水平断面円状に形成されている。柱部32は、平板部31よりも小さな径を有する円柱状に形成されており、平板部31に対して偏心した位置に設けられている。また、柱部32は、下端部の一部が切り欠かれて形成されており、平板部31との間に空間を形成するように構成されている。
【0025】
上側小径筒部33は、柱部32の径よりも小さな外径を有する円筒状に形成されており、柱部32の上面の中心部から上方に向けて延びて形成されている。上側大径筒部34は、上側小径筒部33の外径よりも大きな外径を有する円筒状に形成されており、柱部32の上面の周縁から上方に向けて延びて形成されている。上側小径筒部33及び上側大径筒部34は、軸方向(上下方向)において、略同じ長さを有している。また、上側大径筒部34の内周面には、周方向に沿って螺旋状に形成されたねじ溝が形成されており、第2外筒部材40が螺合可能に構成されている。
【0026】
下側小径筒部35は、上側小径筒部33と同軸を有する円筒状に形成されている。また、下側小径筒部35は、上側小径筒部33の外径と略同じ外径を有しており、かつ、上側小径筒部33の内径よりも大きい内径を有している。下側大径筒部36は、下側小径筒部35の外径よりも大きな外径を有する円筒状に形成されており、軸方向において、下側小径筒部35の略半分の長さを有している。周壁部37は、平板部31の外縁から下方に向けて延びる円筒状に形成されており、軸方向において、口部13と略同じ長さを有している。また、周壁部37の内周面には、周方向に沿って螺旋状に形成されたねじ溝が形成されており、口部13の外周面に形成されたねじ山と螺合可能に構成されている。
【0027】
すなわち、本実施形態において、第1外筒部材30は、周壁部37の内周面に形成されたねじ溝と、口部13の外周面に形成されたねじ山とを螺合させることにより、口部13に対して着脱可能に取り付けられている。なお、第1外筒部材30を口部13に対して着脱不能に取り付ける構成としても良いし、容器本体10と一体化させる構成としても良い。
【0028】
また、本実施形態に係る第1外筒部材30は、上側小径筒部33及び下側小径筒部35を連通させる内側連通孔38と、柱部32の上面から平板部31の下面に亘って形成された外側連通孔39とを有している。内側連通孔38は、上側小径筒部33の内径と同じ径を有している。外側連通孔39は、平板部31及び柱部32の周方向に間隔をおいて複数形成されている。本実施形態において、外側連通孔39は、内側連通孔38を境として対称となる位置に2つ形成されている。内側連通孔38及び外側連通孔39は、略同じ径を有している。
【0029】
本実施形態において、第1外筒部材30は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリオキシメチレン(POM)等の材料を用いて一体成形により形成されている。しかしながら、第1外筒部材30の構成はこれに限定されず、例えば、別部材として成形された平板部31、柱部32、上側小径筒部33、上側大径筒部34、下側小径筒部35、下側大径筒部36及び周壁部37を一体化させる構成としても良い。また、その他の種々の公知の材料及び成形方法を採用しても良い。
【0030】
図1図5に示すように、第2外筒部材40は、上端の中心部及び下端が開放された円筒状の上側筒部41と、上側筒部41の下端側の内周面から下方に向けて延びる円筒状の下側筒部42とを有している。
【0031】
上側筒部41は、第1外筒部材30の上側大径筒部34の外径と略同じ外径を有している。また、上側筒部41の上面は、蓋部材60の外形と一致する形状を有している。具体的には、上側筒部41の上面は、縦断面において、径方向中心部かつ下方に向けて傾斜する階段状に形成されている。
【0032】
下側筒部42は、上側筒部41の内径と同じ内径を有しており、軸方向において、上側大径筒部34と略同じ長さを有している。また、下側筒部42の外周面には、周方向に沿って螺旋状に形成されたねじ山が形成されており、上側大径筒部34の内周面に形成されたねじ溝と螺合可能に構成されている。
【0033】
すなわち、本実施形態において、第2外筒部材40は、下側筒部42の外周面に形成されたねじ山と、上側大径筒部34の内周面に形成されたねじ溝とを螺合させることにより、第1外筒部材30に対して着脱可能に取り付けられている。なお、第2外筒部材40を第1外筒部材30に対して着脱不能に取り付ける構成としても良いし、第1外筒部材30と一体化させる構成としても良い。
【0034】
本実施形態において、第2外筒部材40は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリオキシメチレン(POM)等の材料を用いて一体成形により形成されている。しかしながら、第2外筒部材40の構成はこれに限定されず、例えば、別部材として成形された上側筒部41及び下側筒部42を一体化させる構成としても良い。また、その他の種々の公知の材料及び成形方法を採用しても良い。
【0035】
図1図5に示すように、内筒部材50は、頂部51と、頂部51の周縁から下方に向けて延びる筒状の側壁部52とを有しており、全体として下端が開放された有頂筒状に形成されている。頂部51及び側壁部52は、外縁の形状が正方形状に形成されており、かつ、第2外筒部材40の内周面に近接する部位(すなわち、正方形の角部)が第2外筒部材40の内周面に沿った円弧状に形成されている。
【0036】
頂部51の中心部には、容器本体10の内部から装着キャップ20に流入された流体(本実施形態では、液体)を後述する混合室21に流入させる流入孔51aが形成されている。流入孔51aは、頂部51の上面から下面に亘って貫通して形成された円状の孔である。
【0037】
また、内筒部材50は、頂部51の上面から上方に向けて突出して設けられた突出部53を有している。突出部53は、水平断面において、長辺と短辺とを有する台形形状を有しており、かつ、長辺及び短辺が流入孔51aの径方向外側に向けて湾曲した形状を有している。また、突出部53は、頂部51の周方向に間隔をおいて複数(本実施形態では、4つ)設けられており、かつ、一の突出部53が流入孔51aを境として他の一の突出部53と対向して位置するよう設けられている。具体的には、一の突出部53が流入孔51aを境として他の一の突出部53と対称となるように設けられている。
【0038】
以上の構成を有する内筒部材50は、頂部51の内面と側壁部52の内面とで画定された内部空間に第1外筒部材30の上側小径筒部33を嵌入させることにより、第1外筒部材30に対して着脱可能に取り付けられている。なお、内筒部材50を第1外筒部材30に対して着脱不能に取り付ける構成としても良いし、第1外筒部材30と一体化させる構成としても良い。
【0039】
また、本実施形態に係る装着キャップ20では、内筒部材50を第1外筒部材30に取り付けた後に、第2外筒部材40を第1外筒部材30に取り付けることにより、内筒部材50が第1外筒部材30及び第2外筒部材40の内部に位置するよう構成されている。
【0040】
本実施形態において、内筒部材50は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリオキシメチレン(POM)等の材料を用いて一体成形により形成されている。しかしながら、内筒部材50の構成はこれに限定されず、例えば、別部材として成形された頂部51、側壁部52及び突出部53を一体化させる構成としても良い。また、その他の種々の公知の材料及び成形方法を採用しても良い。
【0041】
図1図4に示すように、蓋部材60は、第2外筒部材40の上側筒部41の上面の形状と一致する形状を有しており、第2外筒部材40の上側筒部41の上面に蓋部材60を嵌入させることにより、第2外筒部材40に対して着脱可能に取り付けられている。また、蓋部材60の中心部には、後述する混合室21で混合された液体及び空気を噴出可能な噴出孔61が形成されている。噴出孔61は、蓋部材60の上端から下端に亘って貫通して形成された円状の孔である。本実施形態に係る装着キャップ20によれば、蓋部材60を有することにより、蓄圧弁70の落脱を防止することができるという利点がある。
【0042】
本実施形態において、蓋部材60は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリオキシメチレン(POM)等の材料を用いて一体成形により形成されている。しかしながら、蓋部材60の構成はこれに限定されず、種々の公知の材料及び成形方法を採用しても良い。
【0043】
図3図4及び図6に示すように、蓄圧弁70は、後述する混合室21と蓋部材60の噴出孔61との間に設けられている。また、蓄圧弁70は、開口71aを有するベース部71と、ベース部71の開口71aの周縁から混合室21側に向けて膨出する膨出部72とを有している。
【0044】
ベース部71は、混合室21側から噴出孔61側に向けて凹状に形成されており、中心部に円状の開口71aを有している。本実施形態において、開口71aの開口面積は、液体又は泡の噴出範囲の縮小を防止する観点から、19mm以上であることが好ましく、28mm以上であることがより好ましく、38mm以上であることが更に好ましい。また、液体又は泡の噴出範囲や噴出容器1の大きさ等を使用者の使用に適したものとし、噴出容器1の使用時の利便性を高める観点から、79mm以下であることが好ましく、63mm以下であることがより好ましく、50mm以下であることが更に好ましい。
【0045】
膨出部72は、ベース部71の開口71aの周縁から混合室21側かつ内側に向けて少なくとも一部が傾斜する傾斜部72aを有している。本実施形態では、膨出部72は、ベース部71の開口71aの周縁から混合室21側に向けて鉛直に延びる延出部72bと、延出部72bの先端から混合室21側かつ内側に向けて傾斜する傾斜部72aとを有している。このように、蓄圧弁70が傾斜部72aを有していることにより、後述する片部72dのみならず、傾斜部72aに対しても混合室21で混合された液体及び空気から圧力が加わるため、蓄圧弁70の蓄圧性(所定の圧力で開状態となる性質)を向上させることができるという利点がある。
【0046】
傾斜部72aは、蓄圧弁70の蓄圧性を向上させる観点から、ベース部71に対して(すなわち、開口71aの径方向に対して)、30°以上であることが好ましく、35°以上であることがより好ましく、40°以上であることが更に好ましい。また、傾斜部72aは、同様の観点から、ベース部71に対して、60°以下であることが好ましく、55°以下であることがより好ましく、50°以下であることが更に好ましい。さらに、傾斜部72aは、ベース部71に対して、45°であることが最も好ましい。
【0047】
なお、本実施形態では、膨出部72が延出部72b及び傾斜部72aを有しているものとして説明をしたが、これに限定されず、例えば、延出部72bを有さずに、傾斜部72aがベース部71の開口71aの周縁から混合室21側かつ内側に向けて傾斜する構成としても良いし、延出部72bの中途部に傾斜部72aを有する構成としても良いし、傾斜部72aを有さない構成としても良い。
【0048】
また、膨出部72は、膨出部72の頂点部(すなわち、蓄圧弁70の下端部)にスリット72cと、スリット72cにより形成された片部72dとを有している。この片部72dは、弾性変形可能に構成されている。本実施形態において、膨出部72は、複数(本実施形態では、2つ)のスリット72cを有しており、各スリット72cが互いに交差している。そのため、膨出部72は、複数(本実施形態では、4つ)の片部72dを有している。具体的には、各スリット72cは、互いに直交している。このように、複数のスリット72cが互いに直交していることにより、各片部72dの大きさが等しくなるため、噴出孔61から噴出される液体又は泡が特定の方向に偏らずに、噴出方向に綺麗に噴出されるという利点がある。
【0049】
スリット72cの長さは、蓄圧弁70の蓄圧性を高める観点から、6mm以下であることが好ましく、5.5mm以下であることがより好ましく、5mm以下であることが更に好ましい。また、スリット72cの長さは、蓄圧弁70が開状態となるのに要する圧力を小さくし、噴出容器1の使用時に所定量の液体又は泡を噴出させる観点から、2mm以上であることが好ましく、2.5mm以上であることがより好ましく、3mm以上であることが更に好ましい。
【0050】
以上の構成を有する蓄圧弁70は、混合室21で混合された液体及び空気から蓄圧弁70に対して所定の圧力が加えられた場合に開状態となるように構成されている。具体的には、蓄圧弁70は、混合室21で混合された液体及び空気による片部72dへの押圧力が片部72dの弾性力よりも大きいときに開状態となるように構成されている。
【0051】
本実施形態において、蓄圧弁70の少なくとも片部72dは、液体及び空気による片部72dへの押圧力に応じて弾性変形可能な弾性材料からなることが好ましく、蓄圧弁70全体が弾性材料からなることがより好ましい。かかる観点から、蓄圧弁70は、シリコーンゴム、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタラート(PET)及びエチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)から選択される1種又は2種以上の材料で構成されていることが好ましい。なお、蓄圧弁70は、上記の材料を用いて一体成形により形成されることが好ましいが、これに限定されず、例えば、片部72dのみを上記の材料で成形しても良いし、別部材として成形されたベース部71及び膨出部72を一体化させる構成としても良い。
【0052】
図3及び図4に示すように、保持部材80は、第1外筒部材30の下側大径筒部36と嵌合可能に構成されている。すなわち、保持部材80は、下側大径筒部36と嵌合可能な形状と大きさを有している。また、保持部材80は、第1外筒部材30の下側小径筒部35が嵌入される第1貫通孔81と、ディップチューブ90が嵌入される第2貫通孔82とを有している。
【0053】
以上の構成を有する保持部材80は、第1外筒部材30の下側大径筒部36の内部に嵌入しつつ、第1貫通孔81に第1外筒部材30の下側小径筒部35を嵌入させることにより、第1外筒部材30に対して着脱可能に取り付けられている。また、保持部材80は、第2貫通孔82にディップチューブ90を嵌入させることにより、ディップチューブ90を保持可能に構成されている。なお、保持部材80を第1外筒部材30に対して着脱不能に取り付ける構成としても良いし、第1外筒部材30と一体化させる構成としても良い。
【0054】
本実施形態において、保持部材80は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリオキシメチレン(POM)等の材料を用いて一体成形により形成されている。しかしながら、保持部材80の構成はこれに限定されず、その他の種々の公知の材料及び成形方法を採用しても良い。
【0055】
図2図4に示すように、ディップチューブ90は、上端から下端に亘って貫通した管状に形成されており、その上端が保持部材80の第2貫通孔82に嵌入されている。ディップチューブ90は、その下端が容器本体10の底部11近傍に至る長さを有している。なお、ディップチューブ90の構成は、種々の公知の構成を採用可能であるため、その詳細な説明は省略する。
【0056】
また、図4に示すように、本実施形態に係る装着キャップ20は、装着キャップ20の外部から容器本体10の内部に向かう方向の流動を許容し、かつ、容器本体10の内部から装着キャップ20の外部に向かう方向の流動を阻止する流動制御機構100を有している。
【0057】
流動制御機構100は、弁座101と、弁座101に載置可能な弁体102とを有している。弁座101は、円筒状に形成されており、第1外筒部材30の平板部31に形成された挿入孔31aに挿入されている。また、弁座101は、容器本体10(装着キャップ20)の外部から容器本体10の内部に空気を導入する空気導入孔101aと、正立状態において弁体102を載置させる第1座部101bと、倒立状態において弁体102を載置させる第2座部101cとを有している。
【0058】
空気導入孔101aは、弁座101の上端から下端に亘って貫通して形成された孔である。第1座部101bは、弁座101の内周面から弁座101の径方向内側に突出して形成されており、弁体102が密着可能な曲面状の内面を有している。第2座部101cは、弁座101の上端から弁座101の径方向内側に傾斜して形成されており、弁体102が密着可能な曲面状の内面を有している。第1座部101bの内面及び第2座部101cの内面は、弁体102の曲率半径と略同じ曲率半径を有している。
【0059】
弁体102は、ボール弁であり、弁座101の第1座部101bと第2座部101cとの間に収容されている。また、弁体102は、空気導入孔101aを開閉可能に構成されている。具体的には、弁体102は、第1座部101b又は第2座部101cに密着することで容器本体10の内部から装着キャップ20の外部に向かう方向の流動(液体及び空気の流動)を阻止し、第1座部101b又は第2座部101cから離間することで装着キャップ20の外部から容器本体10の内部に向かう方向の流動(空気の流動)を許容するように構成されている。
【0060】
本実施形態において、弁座101及び弁体102は、それぞれ、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリオキシメチレン(POM)等の材料を用いて一体成形により形成されている。しかしながら、弁座101及び弁体102の構成はこれに限定されず、その他の種々の公知の材料及び成形方法を採用しても良いし、弁座101を第1外筒部材30と一体化させる構成としても良い。
【0061】
以上の構成を有する装着キャップ20は、液体及び空気を混合させる混合室21と、容器本体10の内部から混合室21に液体を供給する液体流路22と、容器本体10の内部から混合室21に空気を供給する空気流路23とを有している。
【0062】
図4及び図5に示すように、本実施形態では、頂部51の上面と突出部53の流入孔51a側の面とで画定された空間が混合室21として機能している。また、本実施形態では、下側小径筒部35の内部空間と、内側連通孔38と、上側小径筒部33の内部空間と、内筒部材50の内部空間と、流入孔51aとが液体流路22として機能している。さらに、本実施形態では、ディップチューブ90の内部空間と、第2貫通孔82と、保持部材80と平板部31の下面との間に形成された空間と、外側連通孔39と、第2外筒部材40の内面と内筒部材50の外面との間に形成された空間と、隣接する突出部53間に形成された空間とが空気流路23として機能している。
【0063】
本実施形態において、液体流路22の流出口における流路面積は、液体を安定してミスト化または泡化(以下、ミスト化等という。)して噴出させる観点から、空気流路23の流出口における流路面積に対して、50%以上であることが好ましく、100%以上であることがより好ましく、200%以上であることが更に好ましい。また、液体流路22の流出口における流路面積は、同様の観点から、710%以下であることが好ましく、580%以下であることがより好ましく、450%以下であることが更に好ましい。なお、液体流路22が複数存在する場合には、各液体流路22の流出口の合計面積が上記流路面積となる。同様に、空気流路23が複数存在する場合には、各空気流路23の流出口の合計面積が上記流路面積となる。
【0064】
また、以上の構成を有する装着キャップ20において、液体流路22及び空気流路23のいずれか一方の流出口は、混合室21を介して蓄圧弁70と対向している。本実施形態では、液体流路22の流出口(すなわち、流入孔51aの上端)が混合室21を介して蓄圧弁70と対向している。
【0065】
さらに、液体流路22又は空気流路23の流出口と、片部72dとの離間距離が、蓄圧弁70の周囲における液溜まりを抑制する観点から、7mm以下であることが好ましく、4mm以下であることがより好ましく、2mm以下であることが更に好ましい。具体的には、液体流路22の流出口及び空気流路23の流出口の内、混合室21を介して蓄圧弁70と対向する流出口と、片部72dとの離間距離(液体流路22及び空気流路23のいずれか一方の流出口と蓄圧弁70との対向方向に沿う離間距離)が上記の値であることが好ましい。本実施形態では、液体流路22の流出口と、片部72dとの離間距離が上記の値を有している。
【0066】
図5に示すように、液体流路22及び空気流路23のいずれか他方は、液体流路22及び空気流路23のいずれか一方の流出口と蓄圧弁70との対向方向と直交する方向に延びて混合室21に至る直交流路24を有している。本実施形態では、隣接する突出部53間に形成された空間が直交流路24として機能している。すなわち、空気流路23が直交流路24を有している。
【0067】
直交流路24は、複数(本実施形態では、4つ)設けられており、複数の直交流路24の少なくとも2つの流路は、混合室21を介して互いに対向している。本実施形態では、図5に示すように、4つの直交流路24の2つの流路が混合室21を介して互いに対向しており、4つの直交流路24の他の2つの流路が混合室21を介して互いに対向している。また、4つの直交流路24の2つの流路と他の2つの流路とは、互いに直交するよう設けられており、全体として十字状の流路を形成している。
【0068】
また、図4に示すように、液体流路22及び空気流路23のいずれか他方は、液体流路22及び空気流路23のいずれか一方の流出口と蓄圧弁70との対向方向と同一方向に延びて直交流路24に至る平行流路25を有している。本実施形態では、外側連通孔39と、第2外筒部材40の内面と内筒部材50の外面との間に形成された空間とが平行流路25として機能している。すなわち、空気流路23が平行流路25を有している。なお、平行流路25は、直線状の流路のみで構成されていても良いし、直線状の流路と傾斜状の流路とで構成されていても良い。本実施形態において、平行流路25は、直線状の流路と傾斜状の流路とで構成されている。
【0069】
[噴出容器の使用方法]
本実施形態に係る噴出容器1を使用する場合、使用者は、容器本体10を把持した状態で口部13を下に向け(噴出容器1を倒立状態とさせ)、噴出孔61を所定の噴出箇所に向ける。このとき、弁体102が自重によって第2座部101cに密着し、空気導入孔101aが閉塞される。また、容器本体10の内部に収容された液体が自重によって液体流路22に流入され、液体流路22を通過して混合室21に供給される。この状態において、容器本体10の胴部12を押圧して圧搾操作を行い、胴部12を変形させると、容器本体10の内部の空気が容器本体10の内圧上昇によって空気流路23に流入され、空気流路23を通過して混合室21に供給される。
【0070】
混合室21に供給された液体は、混合室21に供給された空気と混合されると共に、蓄圧弁70の片部72dを押圧する。そして、混合室21で混合された液体及び空気による片部72dへの押圧力が片部72dの弾性力よりも大きくなると、蓄圧弁70が開状態となり、液体がミスト化等された状態で噴出されることとなる。
【0071】
以上の圧搾操作により所定量の液体又は泡を噴出し終えた後、使用者は、容器本体10に対する押圧(圧搾操作)を止めて容器本体10に対する外力を取り除き、口部13を上に向ける(噴出容器1を正立状態とさせる)。これにより、弁体102が自重によって第2座部101cから離間し、空気導入孔101aが開放される。そして、装着キャップ20の外部から容器本体10の内部に空気が導入され、容器本体10が復元される。
【0072】
[本実施形態に係る噴出容器の利点]
このように、本実施形態に係る噴出容器1は、液体を収容可能な容器本体10と、容器本体10に対して取り付けられた装着キャップ20とを備える噴出容器1であって、装着キャップ20は、液体及び空気を混合させる混合室21と、混合室21で混合された液体及び空気を噴出可能な噴出孔61と、容器本体10内部から混合室21に液体を供給する液体流路22と、容器本体10内部から混合室21に空気を供給する空気流路23と、混合室21と噴出孔61との間に設けられた蓄圧弁70とを備えている。
【0073】
このような構成を備える噴出容器1によれば、混合室21で混合された液体及び空気から蓄圧弁70に対して所定の圧力が加えられた場合に蓄圧弁70が開状態となるため、液体が中粘度から高粘度である場合において、容器本体10をゆっくり押圧した場合でも、空気のみが先行して噴出されることを防止することができ、中粘度から高粘度の液体であっても安定して空気と混合させることができるという利点がある。そのため、液体を安定してミスト化等して噴出させることができる。
【0074】
また、本実施形態に係る噴出容器1において、蓄圧弁70は、スリット72cと、スリット72cにより形成された片部72dとを有しており、片部72dは、弾性変形可能に構成されており、蓄圧弁70は、混合室21で混合された液体及び空気による片部72dへの押圧力が片部72dの弾性力よりも大きいときに開状態となる。このような構成を備える噴出容器1によれば、混合室21で混合された液体及び空気による片部72dへの押圧力が片部72dの弾性力よりも大きいときに蓄圧弁70が開状態となるため、液体が中粘度から高粘度である場合において、容器本体10をゆっくり押圧した場合でも、空気のみが先行して噴出されることを防止することができ、中粘度から高粘度の液体であっても安定して空気と混合させることができるという利点がある。そのため、液体を安定してミスト化等して噴出させることができる。
【0075】
さらに、本実施形態に係る噴出容器1において、蓄圧弁70は、複数のスリット72cを有しており、複数のスリット72cは、互いに交差している。このような構成を備える噴出容器1によれば、複数のスリット72cにより複数の片部72dが形成される。これにより、蓄圧弁70の蓄圧性(所定の圧力で開状態となる性質)を維持しつつ、蓄圧弁70が開状態となるのに要する圧力を小さくすることができるため、中粘度から高粘度の液体をミスト化等させた状態で噴出しつつ、蓄圧弁70の周囲における液溜まりを抑制することができるという利点がある。
【0076】
また、本実施形態に係る噴出容器1において、蓄圧弁70は、混合室21側に向けて膨出する膨出部72を有しており、膨出部72は、該膨出部72の頂点部にスリット72c及び片部72dを有している。このような構成を備える噴出容器1によれば、混合室21で混合された液体及び空気から片部72dに対して加わる圧力が、混合室21及び片部72dの対向方向のみならず、当該対向方向に交差乃至直交する方向からも加わるため、蓄圧弁70の蓄圧性を向上させることができるという利点がある。
【0077】
さらに、本実施形態に係る噴出容器1において、液体流路22及び空気流路23のいずれか一方の流出口は、混合室21を介して蓄圧弁70と対向しており、液体流路22及び空気流路23のいずれか他方は、液体流路22及び空気流路23のいずれか一方の流出口と蓄圧弁70との対向方向と直交する方向に延びて混合室21に至る直交流路24を有している。このような構成を備える噴出容器1によれば、液体及び空気のいずれか一方と液体及び空気のいずれか他方とが直角に衝突するため、液体のミスト化等が容易になるという利点がある。
【0078】
また、本実施形態に係る噴出容器1において、直交流路24は、複数設けられている。このような構成を備える噴出容器1によれば、各直交流路24を流れる液体又は空気が互いに衝突するため、液体のミスト化等が容易になるという利点がある。
【0079】
さらに、本実施形態に係る噴出容器1において、複数の直交流路24の少なくとも2つの流路は、混合室21を介して互いに対向している。このような構成を備える噴出容器1によれば、各直交流路24を流れる液体又は空気が互いに衝突する際の衝撃力が大きくなるため、液体のミスト化等がより容易になるという利点がある。
【0080】
また、本実施形態に係る噴出容器1において、装着キャップ20は、弁座101と、弁座101に載置可能な弁体102とを更に備え、弁座101は、容器本体10の外部から容器本体10の内部に空気を導入する空気導入孔101aを有しており、弁体102は、空気導入孔101aを開閉可能に構成されている。このような構成を備える噴出容器1によれば、容器本体10から外力が取り除かれた際の容器本体10の復元性を高めることができるという利点がある。
【0081】
[変形例]
本発明に係る噴出容器は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想を逸脱しない範囲内において種々の改変を行なうことができる。
【0082】
例えば、上述した実施形態では、下側小径筒部35の内部空間と、内側連通孔38と、上側小径筒部33の内部空間と、内筒部材50の内部空間と、流入孔51aとが液体流路22として機能し、ディップチューブ90の内部空間と、第2貫通孔82と、保持部材80と平板部31の下面との間に形成された空間と、外側連通孔39と、第2外筒部材40の内面と内筒部材50の外面との間に形成された空間と、隣接する突出部53間に形成された空間とが空気流路23として機能するものとして説明をしたが、これに限定されず、液体流路22と空気流路23の位置が逆に構成されていても良い。すなわち、下側小径筒部35の内部空間と、内側連通孔38と、上側小径筒部33の内部空間と、内筒部材50の内部空間と、流入孔51aとが空気流路23として機能し、ディップチューブ90の内部空間と、第2貫通孔82と、保持部材80と平板部31の下面との間に形成された空間と、外側連通孔39と、第2外筒部材40の内面と内筒部材50の外面との間に形成された空間と、隣接する突出部53間に形成された空間とが液体流路22として機能しても良い。
【0083】
また、上述した実施形態では、蓄圧弁70が複数のスリット72cを有しているものとして説明をしたが、これに限定されず、スリット72cを1つだけ有する構成としても良い。
【0084】
さらに、上述した実施形態では、蓄圧弁70が混合室21側に向けて膨出する膨出部72を有しており、膨出部72が頂点部にスリット72c及び片部72dを有しているものとして説明をしたが、これに限定されるものではない。例えば、蓄圧弁70が膨出部72を有しておらず、スリット72c及び片部72dがベース部71に設けられる構成としても良い。この場合において、ベース部71は、開口71aを有しない構成としても良い。
【0085】
また、上述した実施形態では、液体流路22及び空気流路23のいずれか他方が液体流路22及び空気流路23のいずれか一方の流出口と蓄圧弁70との対向方向と直交する方向に延びて混合室21に至る直交流路24を有しているものとして説明をしたが、これに限定されるものではない。例えば、図7に示すように、直交流路24の代わりに旋回流路24’を有していても良い。また、上述した実施形態では、直交流路24は、液体流路22及び空気流路23のいずれか一方の流出口と蓄圧弁70との対向方向において、1つしか設けられていないものとして説明をしたが、これに限定されず、例えば、図8に示すように、液体流路22及び空気流路23のいずれか一方の流出口と蓄圧弁70との対向方向において、2つ設けられていても良い。また、図7に示すように、旋回流路24’が液体流路22及び空気流路23のいずれか一方の流出口と蓄圧弁70との対向方向において、2つ設けられていても良い。
【0086】
さらに、上述した実施形態では、直交流路24が複数設けられているものとして説明をしたが、これに限定されず、直交流路24が1つだけ設けられる構成としても良い。また、上述した実施形態では、複数の直交流路24の少なくとも2つの流路は、混合室21を介して互いに対向しているものとして説明をしたが、これに限定されず、2つの流路が混合室21を介して対向しない構成としても良い。
【0087】
また、上述した実施形態では、装着キャップ20が流動制御機構100を1つだけ有するものとして説明をしたが、これに限定されず、図9に示すように、流動制御機構100を複数有する構成としても良い。
【0088】
さらに、上述した実施形態では、胴部12は、水平断面が長軸と短軸とを有する楕円筒形状を有しているものとして説明をしたが、これに限定されず、例えば、胴部12の水平断面が円筒形状であっても良い。また、胴部12が弾性変形可能な蛇腹状の容積可変部を備えていても良い。
【0089】
上記のような変形例が本発明の範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0090】
1 :噴出容器
10 :容器本体
11 :底部
12 :胴部
13 :口部
20 :装着キャップ
21 :混合室
22 :液体流路
23 :空気流路
24 :直交流路
24’ :旋回流路
25 :平行流路
30 :第1外筒部材
31 :平板部
31a :挿入孔
32 :柱部
33 :上側小径筒部
34 :上側大径筒部
35 :下側小径筒部
36 :下側大径筒部
37 :周壁部
38 :内側連通孔
39 :外側連通孔
40 :第2外筒部材
41 :上側筒部
42 :下側筒部
50 :内筒部材
51 :頂部
51a :流入孔
52 :側壁部
53 :突出部
60 :蓋部材
61 :噴出孔
70 :蓄圧弁
71 :ベース部
71a :開口
72 :膨出部
72a :傾斜部
72b :延出部
72c :スリット
72d :片部
80 :保持部材
81 :第1貫通孔
82 :第2貫通孔
90 :ディップチューブ
100 :流動制御機構
101 :弁座
101a :空気導入孔
101b :第1座部
101c :第2座部
102 :弁体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9