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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021888
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】食事監視システム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/60 20180101AFI20250206BHJP
【FI】
G16H20/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023125970
(22)【出願日】2023-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 聡志
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA15
(57)【要約】      (修正有)
【課題】対象者の食事の摂取状況をより詳細に取得する食事監視システムを提供する。
【解決手段】テーブルに設置された撮像ユニットと、監視装置20とを備え、管理サーバ40と通信可能食事監視システム10は、見守りや監視の対象者の食事を撮像可能な撮像部(カメラ36)と、食事中に画像を時系列に撮像するように、撮像部を制御する撮像制御部(制御部22)と、画像を処理して食事量を検出し、食事量の変化に基づいて食事の摂取状況を取得する取得処理部(制御部22)と、を備え、対象者の管理者Kは、自身の携帯端末MやパーソナルコンピュータなどからネットワークNWを介して管理サーバ40にアクセスする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の食事を撮像可能な撮像部と、
食事中に画像を時系列に撮像するように、前記撮像部を制御する撮像制御部と、
前記画像を処理して食事量を検出し、前記食事量の変化に基づいて食事の摂取状況を取得する取得処理部と、
を備える食事監視システム。
【請求項2】
前記取得処理部は、食事の開始時の画像を処理して開始時の食事量を検出し、前記摂取状況として、前記食事量の変化の量を前記開始時の食事量で除することにより摂取ペースを取得する、
請求項1に記載の食事監視システム。
【請求項3】
前記取得処理部は、食器毎に前記食事量を検出し、食器毎の前記食事量の変化に基づいて食器毎に前記摂取状況を取得する、
請求項1または2に記載の食事監視システム。
【請求項4】
前記取得処理部は、前記画像内の食事の領域の面積に基づいて前記食事量を検出する、
請求項1または2に記載の食事監視システム。
【請求項5】
前記取得処理部は、食事の開始時の画像を処理して開始時の食事量を検出すると共に、食事の終了時の画像を処理して終了時の食事量を検出し、前記開始時の食事量と前記終了時の食事量との差分に基づいて摂取割合を取得する、
請求項1または2に記載の食事監視システム。
【請求項6】
食物を保管または調理する電化製品に取り付けられ、食物の取り出しまたは調理に関する動作を検知可能なセンサを備え、
前記撮像制御部は、前記センサにより前記動作が検知された後に、前記撮像部に撮像させた画像を処理して食事を検出すると、食事中として所定時間毎に画像を撮像するように前記撮像部を制御する、
請求項1または2に記載の食事監視システム。
【請求項7】
前記撮像制御部は、前記撮像部に撮像させた画像を処理して、食事と、人の手の動きまたは食事器具の動きとを検出すると、食事中として所定時間毎に画像を撮像するように前記撮像部を制御する、
請求項1または2に記載の食事監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、食事監視システムについて開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、対象者の食生活の管理などを目的として、食事の状況を監視するものが提案されている。例えば、特許文献1には、食事の開始時と終了時の画像を処理して、食べ残し量を数値化し、摂取カロリーや食べ残しにより不足した成分量を算出することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-154261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1では、食事の開始時と終了時の画像から、食事全体の摂取結果を取得することは可能である。しかし、例えば食事中の摂取ペースの変化など、食事の詳細な摂取状況を取得するには不十分である。
【0005】
本開示は、対象者の食事の摂取状況をより詳細に取得することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の食事監視システムは、
対象者の食事を撮像可能な撮像部と、
食事中に画像を時系列に撮像するように、前記撮像部を制御する撮像制御部と、
前記画像を処理して食事量を検出し、前記食事量の変化に基づいて食事の摂取状況を取得する取得処理部と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
本開示の食事監視システムでは、食事中の画像を時系列に撮像し、画像を処理して食事量を検出し、食事量の変化に基づいて対象者の食事の摂取状況を取得する。これにより、対象者の食事中の摂取状況をより詳細に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】食事監視システム10を備える住居1の構成の概略を示す構成図。
図2】食事監視システム10の構成の概略を示すブロック図。
図3】食事監視処理の一例を示すフローチャート。
図4】摂取状況取得処理の一例を示すフローチャート。
図5】摂取状況の一例を示す説明図。
図6】摂取状況報知処理の一例を示すフローチャート。
図7】報知内容の一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態について図面を用いて説明する。図1は、食事監視システム10を備える住居1の構成の概略を示す構成図である。図2は、食事監視システム10の構成の概略を示すブロック図である。
【0011】
住居1は、見守りや監視の対象者Tの住居であり、対象者Tの食事の摂取状況を監視(取得)するための食事監視システム10を備える。対象者Tは、例えば一人暮らしの高齢者とするが、療養者などでもよい。住居1は、ワンルームタイプの住居でもよいし、リビングやダイニング、キッチンが区画された住居でもよい。また、住居1には、テーブル(食卓)2や椅子4、冷蔵庫6や電子レンジ8、照明9などが配置されている。例えば対象者Tは、椅子4に座ってテーブル2で食事を摂取する。
【0012】
食事監視システム10は、テーブル2に設置された撮像ユニット30と、監視装置20とを備え、管理サーバ40と通信可能に構成されている。撮像ユニット30は、テーブル2に設置されたベース32と、ベース32に支持されたアーム34と、アーム34の上端に取り付けられたカメラ36とを備える。カメラ36は、少なくともテーブル2上の撮像範囲A(図1に点線で図示)を撮像可能である。撮像範囲Aは、食事(食器)が配膳される範囲である。このため、カメラ36は、撮像範囲A内に配膳された食事(食器,盆)の画像を撮像可能である。なお、撮像ユニット30は、カメラ36が撮像範囲Aを撮像可能な構成であればよく、例えばカメラ36が照明9内に配置されていてもよい。
【0013】
監視装置20は、制御部22と、記憶部24と、通信部26とを備える。制御部22は、CPUを中心としたマイクロプロセッサとして構成され、CPUの他にROMやRAM等を備える。制御部22は、撮像ユニット30のカメラ36に撮像指示を出力し、カメラ36により撮像された画像や各種センサからの検知信号などを入力し、入力した画像の画像処理を含む各種処理を実行する。各種センサとしては、例えば、テーブル2の下面などに設けられ対象者Tを検知する人感センサ2aや、冷蔵庫6の扉の開閉動作を検知する開閉センサ6a、電子レンジ8の扉の開閉動作を検知する開閉センサ8aなどが挙げられる。なお、人感センサ2aは、例えば赤外線式のセンサとして構成されている。また、各開閉センサ6a,8aは、例えば磁気検知式のセンサとして構成されている。記憶部24は、HDDやSSDなどで構成され、カメラ36により撮像された画像や制御部22の処理結果などの各種情報を記憶する。通信部26は、制御部22の処理結果などの各種情報を、インターネットなどのネットワークNWを介して管理サーバ40に送信する。
【0014】
管理サーバ40は、制御部42と、記憶部44と、通信部46とを備える。制御部42は、CPUを中心としたマイクロプロセッサとして構成され、CPUの他にROMやRAM等を備える。記憶部44は、HDDやSSDなどで構成され、監視装置20から送信された対象者Tの情報を受信して記憶する。通信部46は、ネットワークNWを介して1以上の監視装置20の通信部26と接続され、監視装置20の通信部26と互いに情報をやり取りする。また、対象者Tの管理者Kは、自身の携帯端末MやパーソナルコンピュータなどからネットワークNWを介して管理サーバ40にアクセス可能となっている。
【0015】
以下は、監視装置20が、対象者Tの食事の摂取状況を監視(取得)する際の動作の説明である。図3は、食事監視処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、監視装置20の制御部22により実行される。
【0016】
食事監視処理では、制御部22は、まず、食事の摂取状況の監視開始タイミングになったか否かを判定する(S100)。本実施形態では、制御部22は、人感センサ2aからの検知信号に基づいてテーブル2の周辺の対象者T(椅子4に座った対象者T)を検出したか、開閉センサ6aからの検知信号に基づいて冷蔵庫6の扉の開閉動作を検出したか、開閉センサ8aからの検知信号に基づいて電子レンジ8の扉の開閉動作を検出したかのいずれかが成立した場合に、監視開始タイミングになったと判定する。制御部22は、監視開始タイミングになったと判定すると、カメラ36に撮像範囲Aを撮像させて画像を処理する(S110)。次に、制御部22は、S110の画像処理の結果、画像から食事(料理)を検出したか否か(S120)、対象者Tの手の動きおよび食事器具の動きの少なくともいずれかを検出したか否か(S130)、をそれぞれ判定する。S110の画像処理では、画像内の食器(皿)や食事(料理)の有無、対象者Tの手、箸やスプーン、フォークなどの食事器具の有無やその動きを、食器や食事、手、食事器具の形状や面積、色(画素値)などの特徴量に基づいて判別する処理が行われる。なお、各特徴量は、食器や食事、手、食事器具の有無や、食事の内容(料理の種類)が予め判別している画像を用いた周知の機械学習により取得されて、例えば記憶部24内の判別モデル(図示せず)に記憶されたものが用いられる。
【0017】
制御部22は、画像から食事を検出していないと判定するか、食事を検出しても手の動きや食事器具の動きを検出していないと判定すると、S100の判定から所定時間が経過したか否かを判定する(S140)。制御部22は、所定時間が経過していないと判定すると、S110に戻る。一方、制御部22は、画像から食事と、手の動きや食事器具の動きを検出することなく所定時間が経過したと判定すると、食事は開始されないと判断してS100に戻る。また、制御部22は、画像から食事を検出し、手の動きまたは食事器具の動きを検出したと判定すると、当該画像(開始時画像)をさらに処理して、食器毎の食事の面積に基づいて開始時の食事量S(0)(初期食事量,最大食事量)を検出し(S150)、摂取状況取得処理を実行する(S160)。S150では、制御部22は、画像から食器毎に食事の領域を検出して、その領域の面積を算出することで、食器毎に食事量S(0)を算出する。また、制御部22は、上述した判別モデルの特徴量に基づいて、検出した食事の内容も判別する。なお、対象者Tの食事が、管理者Kが手配や調理したり配食業者などから配送されたりしたものであるなど、食事の内容の情報を適宜取得可能な場合、制御部22は、それらの情報に基づいて食事の内容や食事量S(0)などを取得してもよい。
【0018】
図4は、摂取状況取得処理の一例を示すフローチャートである。また、図5は、取得した摂取状況の一例を示す説明図である。S150では、例えば図5に示すように、開始時画像から4つの食器a~dおよびそれらの食事内容、食事量S(0)が検出される。一例として、食器aが「米飯」(主食)で食事量Sa(0)、食器bが「ハンバーグ」(主菜)で食事量Sb(0)、食器cが「野菜サラダ」(副菜)で食事量Sc(0)、食器dが「みそ汁」(汁物)で食事量Sd(0)とする。
【0019】
図4の摂取状況取得処理では、制御部22は、撮像タイミングになるのを待ち(S200)、撮像タイミングになったと判定すると、画像(食事中画像)をカメラ36に撮像させる(S210)。撮像タイミングは、例えば数十秒毎や数分毎(例えば1分毎)など、所定時間毎に到来するタイミングとする。次に、制御部22は、撮像した食事中画像を処理して食器毎に食事の面積に基づく食事量S(n)を検出する(S220)。なお、食事量S(n)のnは、摂取状況取得処理におけるn回目の撮像タイミングの画像から検出された食事量を示し、値1から順に付与される。
【0020】
続いて、制御部22は、前回検出した食事量S(n-1)と今回の食事量S(n)との差分ΔS、即ち時系列で前後する2つの画像から検出された食事量S(n)の差分ΔS(変化量)を食器毎に算出し、それを開始時の食事量S(0)で除して食器毎に摂取ペース(減少率)Pを算出する(S230)。そして、制御部22は、食事の摂取が完了したか食器が全て下膳されたか否かを判定する(S240)。制御部22は、S220で画像処理した食事中画像において各食器の食事量S(n)がいずれも値0の場合に、食事の摂取が完了したと判定する。また、制御部22は、S220で画像処理した食事中画像から食器が検出されなかった場合に、下膳されたと判定する。制御部22は、いずれかの食器に食事が残っていれば(いずれかの食事量S(n)が値0でなければ)、S240で否定的に判定し、S200に戻って処理を繰り返す。即ち、制御部22は、撮像タイミングになる度に、食事中画像をカメラ36に撮像させて食器毎に食事量S(n)を検出し、前回との差分ΔSを食事開始時の食事量S(0)で除して摂取ペースPを算出する処理を繰り返す。このため、食事中の摂取ペースPを時系列で取得することができる。
【0021】
図5に示すように、1回目の撮像タイミングt1で撮像された画像から、各食器a~dの食事量Sa(1),Sb(1),Sc(1),Sd(1)が検出される。また、これらの食事量と開始時の食事量Sa(0),Sb(0),Sc(0),Sd(0)との差分ΔSをそれぞれ算出し、それぞれ開始時の食事量Sa(0),Sb(0),Sc(0),Sd(0)で除して摂取ペースPa,Pb,Pc,Pdが算出される。例えば、食器aの1回目の差分ΔSは、Sa(0)-Sa(1)となり、摂取ペースPaは、ΔS/Sa(0)となる。また、撮像タイミングt1では、例えば食器cの「野菜サラダ」の摂取ペースPcが最も高く(例えば11%)、次に食器dの「みそ汁」の摂取ペースPdが高く(例えば6%)、「米飯」や「ハンバーグ」は摂取されておらず摂取ペースPa,Pbが0%となっている。また、2回目の撮像タイミングt2や3回目の撮像タイミングt3でも同様に処理が行われ、食事量S(n)や摂取ペースPが算出される。このような摂取状況から、例えば対象者Tが食事開始時(例えばt1~t3)に、主に「野菜サラダ」や「みそ汁」を摂取している傾向を把握可能となる。
【0022】
また、制御部22は、S200~S240の処理を繰り返す内に、食事の摂取が完了したか食器が全て下膳されたと判定すると、食器毎に最後に算出された食事量S(n)を終了時の食事量S(E)に設定する(S250)。次に、制御部22は、開始時の食事量S(0)と終了時の食事量S(E)との差分を、食事量S(0)で除することにより摂取割合Rを食器毎に算出する(S260)。即ち、摂取割合R(%)は、(S(0)-S(E))/S(0)として算出される。そして、制御部22は、摂取ペースPと摂取割合Rとを含む摂取状況を管理サーバ40に送信して(S270)、摂取状況取得処理を終了する。なお、摂取ペースPは、時系列のデータを全て送信してもよいし、その平均値である平均摂取ペースPaveなどを算出して送信してもよい。
【0023】
S250では、摂取状況取得処理中のいずれかのタイミングで食事量S(n)に値0が検出されていた食事(食器)であれば、終了時の食事量S(E)を値0に設定する。図5の例では、食器cの「野菜サラダ」は撮像タイミングt*1で食事量Sc(*1)が値0となり、食器dの「みそ汁」は撮像タイミングt*2で食事量Sd(*2)が値0となっている。このため、食事量Sc(E)および食事量Sd(E)は、いずれも値0となる。また、摂取割合Rc,Rdは、いずれも100%となる。また、食事が残ったまま食器が下膳された場合、制御部22は、その直前に撮像された食事中画像から検出された食事量S(n)を、終了時の食事量S(E)に設定する。例えば、図5の撮像タイミングt*3で撮像された画像を最後に食器が下膳された場合、撮像タイミングt*3で検出された食事量Sa(*3),Sb(*3)が、それぞれ食器a,bの食事量Sa(E),Sb(E)となる。なお、例えば、食事量Sa(E)を食事量Sa(0)の60%の量として摂取割合Raを40%とし、食事量Sb(E)を食事量Sb(0)の15%の量として摂取割合Rbを85%とする。
【0024】
なお、本実施形態では、食事量S(n)が値0となった以降は、摂取ペースPを算出しないものとする。このため、例えば撮像タイミングt*1以降は、摂取ペースPcを算出せず、撮像タイミングt*2以降は、摂取ペースPdを算出しないものとなる。これにより、平均摂取ペースPaveを算出する場合、例えば別の食事に時間が掛かったなど全体の食事時間が長くなっても、各食器の食事を食べ終わるまでの個々の食事時間に基づいて適切に算出することができる。なお、同様の理由で、摂取ペースPが0%の時間を除いて平均摂取ペースPaveを算出してもよい。
【0025】
続いて、管理サーバ40の動作を説明する。図6は、摂取状況報知処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、管理サーバ40の制御部42により実行される。
【0026】
摂取状況報知処理では、制御部42は、まず摂取状況の報知タイミングであるか否かを判定する(S300)。摂取状況の報知タイミングは、例えば所定時間毎などの定期的なタイミングや、S270で送信された摂取状況を受信して記憶部44に記憶したタイミング(食事が終了したタイミング)、管理者Kから報知の要求があったタイミングなどである。制御部42は、報知タイミングでないと判定すると、摂取状況報知処理を終了する。
【0027】
また、制御部42は、S300で報知タイミングであると判定すると、該当する対象者Tの摂取状況を記憶部44から取得する(S310)。次に、制御部42は、取得した摂取状況から、平均摂取ペースPaveと摂取割合Rとに基づいて報知内容(摂取状況の説明)を設定する(S320)。続いて、制御部42は、管理者Kの携帯端末Mなどに摂取状況と報知内容とをメールなどにより送信して(S330)、摂取状況報知処理を終了する。なお、摂取状況としては、図5に示すように全体の状況が送信されてもよいし、食事内容毎の摂取割合Rや平均摂取ペースPaveなどの一部の状況が送信されてもよい。
【0028】
図7は、報知内容の一例を示す説明図である。制御部42は、例えば食事内容(食器)毎の平均摂取ペースPaveを閾値Pref(所定摂取ペース)とそれぞれ比較すると共に、食事内容毎の摂取割合Rを閾値Rref(所定摂取割合)とそれぞれ比較して、報知内容を設定する。制御部42は、いずれの平均摂取ペースPaveも閾値Pref以上であれば、摂取ペースに遅れの目立つ食事はなかった旨を設定し、いずれかの平均摂取ペースPaveが閾値Pref未満であれば、摂取ペースに遅れの目立つ食事があった旨をその食事内容(料理名)を含めて設定する。また、制御部42は、いずれの摂取割合Rも閾値Rref以上であれば、食べ残しはほとんどなかった旨を設定し、いずれかの摂取割合Rが閾値Rref未満であれば、食べ残しの多い食事があった旨をその食事内容を含めて設定する。こうして設定された報知内容が摂取状況と共に送信されることにより、管理者Kは摂取状況の概要を容易に把握することができる。
【0029】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の撮像ユニット30(カメラ36)が撮像部に相当し、摂取状況取得処理のS200,S210を実行する制御部22が撮像制御部に相当し、摂取状況取得処理のS220,S230(S250,S260)を実行する制御部22が取得処理部に相当する。
【0030】
以上説明したように、食事監視システム10では、食事中の画像を時系列に撮像し、画像を処理して食事量S(n)を検出し、食事量S(n)の変化(差分ΔS)に基づいて対象者Tの食事の摂取状況を取得するから、対象者の食事中の摂取状況をより詳細に取得することができる。
【0031】
また、食事監視システム10では、開始時画像を処理して開始時の食事量S(0)を検出し、食事量S(n)の差分ΔSを食事量S(0)で除することにより摂取ペースPを取得する。このため、対象者Tの食事中の摂取状況をさらに詳細に取得することができる。また、例えば食事の開始から終了までの食事時間で食事量S(0)を除して摂取ペースPを取得するものに比して、摂取ペースPを適切に取得することができる。また、管理者Kは、摂取ペースPに基づいて、例えば食事内容の適否や食事内容の改善の検討などを行うことができる。食事内容の改善では、例えば「ハンバーグ」などの肉系の主菜の摂取ペースPに遅れが目立つ場合、食べ易くするために小さなサイズのものに変更したり、魚系などの別の主菜に変更したりするなどの改善を検討することができる。
【0032】
また、食事監視システム10では、食器毎に食事量S(n)を検出し、食器毎の食事量S(n)の変化に基づいて食器毎に摂取状況を取得するから、対象者Tの食事中の摂取状況をさらに詳細に取得することができる。例えば、食事内容毎の摂取順(食事を開始した順番や食事を完了した順)などの情報を容易に取得することができる。
【0033】
また、食事監視システム10では、画像を処理して食事の領域の面積に基づいて食事量S(n)を検出するから、簡易な処理で食事中の摂取状況を取得することができる。
【0034】
また、食事監視システム10では、食事の開始時の画像を処理して開始時の食事量S(0)を検出すると共に、食事の終了時の画像を処理して終了時の食事量S(E)を検出し、食事量S(0)と食事量S(E)との差分に基づいて摂取割合Rを取得する。このため、対象者Tの食事中の摂取状況をさらに詳細に取得することができる。また、管理者Kは、摂取割合Rに基づいて、例えば食事内容の適否や食事内容の改善の検討などを行うことができる。食事内容の改善では、例えば「米飯」の食べ残しが目立つ(摂取割合Rが低い)場合、食事量の見直しを提案したり、「おかゆ」や麺類などの他の主食に変更したりするなどの改善を検討することができる。
【0035】
また、食事監視システム10では、冷蔵庫6や電子レンジ8に取り付けられた開閉センサ6a,8aにより開閉動作が検知された後に、画像から食事を検出すると共に対象者Tの手の動きまたは食事器具の動きを検出すると、対象者Tが食事を開始して食事中になると判断して所定時間毎に画像を撮像するようにカメラ36を制御する。このように、開閉動作の検知と、画像からの食事および手や食事器具の動きの検出とを用いることで、食事中(食事開始)の判定を精度よく行って、摂取状況を適切に取得することができる。
【0036】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0037】
上述した実施形態では、冷蔵庫6の開閉センサ6aや電子レンジ8の開閉センサ8aにより開閉動作を検知したが、これに限られない。例えば、電子レンジ8の加熱ボタンの操作を検知するセンサなどにより、調理に関する動作を検知してもよい。また、センサは、冷蔵庫6や電子レンジ8に取り付けられるもの限られず、食物を保管または調理する電化製品に取り付けられ、食物の取り出しまたは調理に関する動作を検知可能であればよい。
【0038】
実施形態では、制御部22は、テーブル2の周辺の対象者Tの検出と、冷蔵庫6の扉の開閉動作の検出と、電子レンジ8の扉の開閉動作の検出とのうちいずれかが成立した場合に監視開始タイミングになったと判定したが、これに限られない。例えば、制御部22は、冷蔵庫6の扉と電子レンジ8の扉とのうち少なくともいずれかの開閉動作の検出と、テーブル2の周辺の対象者Tの検出との両方が所定時間内に成立した場合に、監視開始タイミングになったと判定してもよい。また、制御部22は、冷蔵庫6の扉と電子レンジ8の扉とのうち少なくともいずれかの開閉動作の検出と、テーブル2の周辺の対象者Tの検出とのうち一方のみに基づいて監視開始タイミングを判定してもよく、判定に用いないセンサ(人感センサ2aと開閉センサ6a,8aのうち一方)を備えなくてもよい。また、冷蔵庫6の扉と電子レンジ8の扉の開閉動作をいずれも検出可能としたが、いずれか一方のみを検出可能として開閉センサ6a,8aのうち一方を備えなくてもよい。さらに、人感センサ2aや開閉センサ6a,8aは一例であり、制御部22は、これら以外のセンサからの検知信号や他の条件の成立などに基づいて、監視開始タイミングを判定してもよい。
【0039】
実施形態では、制御部22は、監視開始タイミングになったと判定した後に、カメラ36に撮像させた画像を処理して食事を検出すると共に対象者Tの手や食事器具の動きを検出すると、食事中としたが、これに限られない。制御部22は、監視開始タイミングになったと判定した後に、カメラ36に撮像させた画像を処理して食事を検出すると、対象者Tの手や食事器具の動きを検出しなくても、食事中としてもよい。即ちS130の処理を省略してもよい。あるいは、制御部22は、監視開始タイミングになったか否かの判定を行わずに、画像を処理して食事を検出すると共に対象者Tの手や食事器具の動きを検出すると、食事中としてもよい。即ちS100の処理を省略して例えば所定時間毎にS110の処理を行うものとし、人感センサ2aと開閉センサ6a,8aとを備えなくてもよい。また、所定時間毎に画像を撮像して食事量S(n)を検出するものに限られず、対象者Tの手の動きや食事器具の動きを画像から検出する度に食事量S(n)を検出してもよい。また、画像(静止画像)を撮像するものに限られず、動画像を撮像し、その動画データから静止画像を生成して処理してもよい。
【0040】
実施形態では、開始時の食事量S(0)と終了時の食事量S(E)との差分に基づいて摂取割合Rを取得したが、これに限られず、摂取割合Rを取得しなくてもよい。また、実施形態では、食事量S(n)の差分ΔSを食事量S(0)で除すことにより摂取ペースPを取得したが、これに限られず、摂取ペースPを取得しなくてもよい。例えば、上述した食事内容毎の摂取順など、食事中の摂取状況を取得するものであればよい。
【0041】
実施形態では、食事の領域の面積に基づいて食事量S(n)を検出したが、これに限られない。即ち、平面的な情報(面積)から食事量S(n)を検出するものに限られず、高さ方向の情報を加えた立体的な情報(体積)から食事量S(n)を検出してもよい。そのようにする場合、カメラ36を斜め上方から食器を撮像可能に配置しておき、画像から食事の高さを検出してもよい。また、画像だけでなく、例えばLidar(Light Detection and Ranging)などのセンサの検出値に基づいて、食事量S(n)を検出してもよい。
【0042】
実施形態では、食器毎に食事量S(n)を検出して食器毎に摂取状況を取得したが、これに限られない。例えば、食器毎の食事の面積を合計した食事量S(n)に基づいて、食器毎ではなく食事全体の摂取ペースなどを摂取状況として取得してもよい。また、食事量S(n)として、面積に基づく値を用いるものに限られず、食事のカロリーなどを用いてもよい。
【0043】
本明細書では、出願当初の請求項4の「請求項1または2に記載の食事監視システム」を「請求項1ないし3のいずれか1項に記載の食事監視システム」に変更した技術思想や、出願当初の請求項5の「請求項1または2に記載の食事監視システム」を「請求項1ないし4のいずれか1項に記載の食事監視システム」に変更した技術思想、出願当初の請求項6の「請求項1または2に記載の食事監視システム」を「請求項1ないし5のいずれか1項に記載の食事監視システム」に変更した技術思想、出願当初の請求項7の「請求項1または2に記載の食事監視システム」を「請求項1ないし6のいずれか1項に記載の食事監視システム」に変更した技術思想も開示されている。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本開示は、食事の摂取状況を監視する技術分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0045】
1 住居、2 テーブル、2a 人感センサ、4 椅子、6 冷蔵庫、6a,8a 開閉センサ、8 電子レンジ、9 照明、10 食事監視システム、20 監視装置、22 制御部、24 記憶部、26 通信部、30 撮像ユニット、32 ベース、34 アーム、36 カメラ、40 管理サーバ、42 制御部、44 記憶部、46 通信部、A 撮像範囲、M 携帯端末、K 管理者、NW ネットワーク、T 対象者。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7