IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝ライフスタイル株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-電気掃除機 図1
  • 特開-電気掃除機 図2
  • 特開-電気掃除機 図3
  • 特開-電気掃除機 図4
  • 特開-電気掃除機 図5
  • 特開-電気掃除機 図6
  • 特開-電気掃除機 図7
  • 特開-電気掃除機 図8
  • 特開-電気掃除機 図9
  • 特開-電気掃除機 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021906
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】電気掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/28 20060101AFI20250206BHJP
【FI】
A47L9/28 P
A47L9/28 D
A47L9/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023126007
(22)【出願日】2023-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】鹿山 俊洋
【テーマコード(参考)】
3B057
【Fターム(参考)】
3B057DA04
3B057DE02
(57)【要約】
【課題】直流電源部を給電源として動作しつつ、運転モードに応じてモータを駆動させながら、運転モードに関連する情報を使用者が認識可能な電気掃除機を提供する。
【解決手段】電気掃除機は、直流電源部1を給電源として動作する。電気掃除機は、掃除機本体と、掃除機本体に対して電力線と接地線との二線により電気的に接続される清掃具6と、を備える。掃除機本体は、吸塵力を生じさせる電動送風機と、電動送風機の動作を、入力が異なる複数の運転モードのいずれかに選択的に設定する本体制御部と、を有する。清掃具6は、運転モードにおける電動送風機の入力に応じたデューティ比でPWM制御される、被掃除部を掃除するためのモータと、複数の異なる報知態様で報知可能な報知手段65と、デューティ比に応じて報知手段65の報知態様を切り換えさせる判定手段66と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源部を給電源として動作する電気掃除機であって、
掃除機本体と、
この掃除機本体に対して電力線と接地線との二線により電気的に接続される清掃具と、を備え、
前記掃除機本体は、
吸塵力を生じさせる電動送風機と、
この電動送風機の動作を、入力が異なる複数の運転モードのいずれかに選択的に設定する制御手段と、を有し、
前記清掃具は、
前記運転モードにおける前記電動送風機の入力に応じたデューティ比でPWM制御される、被掃除部を掃除するためのモータと、
複数の異なる報知態様で報知可能な報知手段と、
前記デューティ比に応じて前記報知手段の報知態様を切り換えさせる判定手段と、を有する
ことを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
掃除状況に応じて前記電動送風機の入力とその入力に応じた前記デューティ比とを前記制御手段が自動的に設定する運転モードである自動モードを有する
ことを特徴とする請求項1記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記運転モードにおける前記電動送風機の入力が相対的に大きい場合に対応する前記デューティ比は、前記運転モードにおける前記電動送風機の入力が相対的に小さい場合に対応する前記デューティ比の1.5倍以上である
ことを特徴とする請求項1又は2記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記判定手段は、前記モータを駆動するためのPWM信号を降圧した電圧と前記デューティ比との積に応じた電圧又はその分圧電圧が制御端子に印加されるスイッチ素子を備え、前記スイッチ素子のオンオフの切り換えに応じて前記報知手段の報知態様を切り換えさせる
ことを特徴とする請求項1又は2記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記判定手段は、前記モータを駆動するためのPWM信号のピーク電圧又はその関連値と、前記ピーク電圧と前記デューティ比との積に応じた電圧又はその関連値と、を比較するコンパレータと、このコンパレータの比較結果に応じてオンオフが切り換えられるスイッチ素子と、を備え、前記スイッチ素子のオンオフの切り換えに応じて前記報知手段の報知態様を切り換えさせる
ことを特徴とする請求項1又は2記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、直流電源部を給電源として動作する電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、商用交流電源を給電源として動作する電気掃除機において、清掃具である床ブラシにモータにより回転される回転清掃体と、ランプ等の報知手段とを設けたものが知られている。この電気掃除機では、交流の正電圧半周期部分に対して電動送風機を位相角制御し、床ブラシではこの電圧を平滑して電圧比較回路で比較することにより、電動送風機の運転強度すなわち運転モードを報知手段に表示させるとともに、交流の負電圧半周期部分に対してモータ電流値を基に算出された被掃除部に適した電力に基づきモータを位相角制御してモータの駆動電力を設定する。床ブラシは、掃除時の使用者の目線に近い位置にあるため、この床ブラシに報知手段を設けていることで、使用者が掃除をしながら電動送風機の運転モードを視認しやすくなる。また、交流電源が半周期毎に正負に分かれることを利用して、一方を運転モードの表示に利用して、他方をモータの回転数制御に利用することで、モータの駆動力と独立して運転モードの表示が可能である。
【0003】
近年、バッテリ等の直流電源部を給電源として動作するコードレスクリーナが広く使用される。このような直流電源部を用いる電気掃除機の場合であっても、床ブラシにおいて電動送風機の運転モードを報知できるようにすることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6258143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、直流電源部を給電源として動作しつつ、運転モードに応じてモータを駆動させながら、運転モードに関連する情報を使用者が認識可能な電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の電気掃除機は、直流電源部を給電源として動作する。電気掃除機は、掃除機本体と、この掃除機本体に対して電力線と接地線との二線により電気的に接続される清掃具と、を備える。掃除機本体は、吸塵力を生じさせる電動送風機と、この電動送風機の動作を、入力が異なる複数の運転モードのいずれかに選択的に設定する制御手段と、を有する。清掃具は、運転モードにおける電動送風機の入力に応じたデューティ比でPWM制御される、被掃除部を掃除するためのモータと、複数の異なる報知態様で報知可能な報知手段と、デューティ比に応じて報知手段の報知態様を切り換えさせる判定手段と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態の電気掃除機の報知手段及び判定手段の例を示す回路図である。
図2】同上電気掃除機の清掃具の回路図である。
図3】同上電気掃除機を示す斜視図である。
図4】(a)は同上報知手段の弱モード運転時の報知態様の一例を示す平面図、(b)は同上報知手段の強モード運転時の報知態様の一例を示す平面図である。
図5】同上電気掃除機の運転モードと電動送風機の入力及びモータの駆動用のPWM信号のデューティ比と報知手段の報知態様との対応関係の例を示す表である。
図6】同上電気掃除機の降圧回路によるPWM信号のピーク電圧の降圧を示すグラフである。
図7】同上電気掃除機のスイッチ素子のオン電圧と各デューティ比での制御電圧との関係を示すグラフである。
図8】第2の実施形態の電気掃除機の運転モードと電動送風機の入力及びモータの駆動用のPWM信号のデューティ比と報知手段の報知態様との対応関係の例を示す表であり、(a)はその一例を示し、(b)は他の例を示す。
図9】第3の実施形態の電気掃除機の判定手段の一部の例を示す回路図である。
図10】第4の実施形態の電気掃除機の運転モードと電動送風機の入力及びモータの駆動用のPWM信号のデューティ比と報知手段の報知態様との対応関係の例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0009】
図3において、CLは電気掃除機を示す。本実施形態において、電気掃除機CLは、直流電源部1を給電源とし、吸引源である電動送風機2の駆動により生じた負圧によって空気とともに塵埃を分離部3へと吸い込む、吸引型の電気掃除機である。電動送風機2は、吸引モータ等とも呼ばれ、動作によって吸塵力を生じさせるものである。直流電源部1は、バッテリ又は二次電池でもよいし、商用交流電源に対し着脱されるAC-DCアダプタでもよい。本実施形態では、直流電源部1は、バッテリ又は二次電池であり、電気掃除機CLはコードレス電気掃除機である。
【0010】
そして、電気掃除機CLは、掃除機本体5と、清掃具6と、を有する。図示される例では、電気掃除機CLは、掃除機本体5に対し直接、又は、管部である直管状の延長管7を介して間接的に、清掃具6を着脱可能なスティック型/ハンディ型の電気掃除機を例に挙げて説明する。これに限らず、電気掃除機CLは、ホース体等の管部を用いて掃除機本体5と清掃具6とを着脱可能とする床走行型又はキャニスタ型、あるいは掃除機本体5に対し清掃具6が一体的に接続されているアップライト型等としてもよい。
【0011】
掃除機本体5には、掃除操作用の把持部である手元操作部50が形成されている。手元操作部50には、使用者が電気掃除機CLの運転強度すなわち運転モードを選択設定するための設定手段であるスイッチ51が配置されている。また、掃除機本体5には、スイッチ51により設定された運転モードに応じて電動送風機2を動作させる制御手段である本体制御部52が配置されている。本体制御部52は、運転モードに応じて、直流電源部1から電動送風機2への入力、例えば通電時間又は通電量を制御する回路として構成されている。
【0012】
運転モードとしては、電動送風機2の入力が異なる複数のモード、例えば強モード、弱モード等が設定されている。強モードは、電動送風機2の入力つまり吸塵力が相対的に大きい運転モードであり、弱モードは、電動送風機2の入力つまり吸塵力が相対的に小さい運転モードである。運転モードは、二つに限らず、三つ以上設定されていてもよい。
【0013】
本実施形態では、掃除機本体5に電動送風機2が内蔵されているとともに、分離部3が着脱可能に配置されている。分離部3は、例えば含塵空気から塵埃を遠心分離するためのサイクロン集塵装置等の集塵ユニットが用いられる。また、掃除機本体5には、分離部3と連通する接続口53が形成されている。接続口53に対し、延長管7を介して間接的に、又は、直接、清掃具6が機械的及び流体的に接続される。さらに、掃除機本体5には、塵埃が分離された空気を排出する排気口54が形成されている。
【0014】
図2図3図4(a)及び図4(b)に示す清掃具6は、掃除ヘッド又は床ブラシ等とも呼ばれ、床等の被掃除面である被掃除部を掃除する。清掃具6は、ケース体60と、延長管7又は掃除機本体5の接続口53に接続するための接続部である接続管61と、を備える。
【0015】
ケース体60には、集塵口が形成されている。また、ケース体60には、回転清掃体62が回転可能に取り付けられている。回転清掃体62は、ケース体60に配置されたモータ63により回転されて被掃除部の塵埃を集塵口に掻き上げる。すなわち、モータ63は、被掃除部を掃除するためのものであり、清掃具6は、アクティブブラシ構造である。本実施形態において、回転清掃体62は集塵口に配置されている。図示される例では、集塵口は接続管61と流体的に連通し、接続管61が延長管7に対して機械的に接続されることにより、集塵口と延長管7とが接続管61を介して流体的に連通して、集塵口に電動送風機2の動作により生じる吸引力又は負圧が作用するようになっている。つまり、本実施形態において、集塵口は含塵空気を分離部3へと吸い込むための吸込口であり、清掃具6は吸込口体である。
【0016】
モータ63は、PWM制御される。モータ63は、清掃具6に配置された駆動回路64により駆動され、駆動回路64に対して、モータ63の駆動用のPWM信号Sが入力される。PWM信号Sは、直流電源部1から供給される直流電圧が、通電/非通電のデューティ比に応じて変調されたパルス電圧であり、清掃具6側と掃除機本体5側とを電気的に接続する電力線L1と接地線L2との間に供給される。つまり、PWM信号Sのピーク電圧値は、直流電源部1から供給される直流電圧値と等しい又は略等しい。電力線L1と接地線L2とにより、掃除機本体5側又は本体制御部52から清掃具6側又は駆動回路64へと、給電と情報伝達とが両立される。PWM信号Sは、例えば掃除機本体5の本体制御部52に備えられるスイッチ素子のスイッチングにより生成される。
【0017】
電力線L1及び接地線L2は、例えば接続管61に形成された端子とそれぞれ電気的に接続されている。これら端子は、接続管61と延長管7及び/又は接続口53との機械的な接続により、延長管7及び接続口53に形成された端子受けと電気的に接続される。端子と端子受けとの接続により、掃除機本体5に配置されている直流電源部1及び本体制御部52と電力線L1及び接地線L2とが電気的に接続される。本実施形態において、掃除具6は、掃除機本体5に対し、これら電力線L1と接地線L2との二線のみで電気的に接続されている。
【0018】
そして、モータ63は、スイッチ51による電動送風機2のオン動作に連動して動作され、オフ動作に連動して停止される。これに限らず、例えば電動送風機2の動作中であれば、モータ63の動作を個別にオンオフ切り換え可能としてもよい。
【0019】
モータ63の動作は、スイッチ51による運転モードの設定に応じて設定される。PWM信号Sのデューティ比は、運転モードにおける電動送風機2の入力と連動し、この入力に応じて設定されている。本実施形態では、電動送風機2の入力が大きい運転モードに対応するPWM信号Sのデューティ比が、電動送風機2の入力が小さい運転モードに対応するPWM信号Sのデューティ比以上に設定されている。例えば、電動送風機2の入力が大きい運転モードほど、PWM信号Sのデューティ比が大きくなるように設定されている。したがって、各運転モードにおける電動送風機2の入力とPWM信号Sのデューティ比とは、一つの組又はセットとして設定され、本実施形態において、これらの値には互いに正の相関がある。本実施形態では、例えば強モード駆動時には、PWM信号Sのデューティ比が相対的に大きいことにより、モータ63及び回転清掃体62の回転数及び回転トルクが大きく設定され、弱モード駆動時には、PWM信号Sのデューティ比が強モード運転時よりも小さいことにより、モータ63及び回転清掃体62の回転数及び回転トルクが強モード運転時よりも小さく設定される。
【0020】
また、清掃具6には、情報を報知する報知手段65が設けられている。報知手段65は、情報を使用者に視認可能に表示する表示手段であり、例えばケース体60の上部等、使用者から掃除中に視認可能な位置に配置されている。図示される例では、報知手段65は、ケース体60の上部の一側寄りの位置に、左右方向に延びて配置されている。
【0021】
報知手段65は、複数の異なる表示態様を持つ。本実施形態において、報知手段65は、複数の発光素子であるランプ650からなる。図示される例では、報知手段65は、ランプ650が左右に並んで配置され、ランプ650の点灯数に応じて、運転モードに関連する情報、例えば現在の運転モードを報知可能なインジケータである。つまり、本実施形態において、報知手段65は、ランプ650の点灯数が異なる複数の報知態様を持ち、点灯したランプ650の数が多いほど、電動送風機2の入力又は吸塵力又は掃除能力が大きい運転モードで運転中であることを報知するようになっている。ランプ650は、例えばLEDが用いられる。これらランプ650は、全て同一のものでもよいし、発光色や順方向電圧等が異なるものが組み合わせられて用いられてもよい。
【0022】
報知手段65の報知態様は、判定手段66により切り換え可能となっている。判定手段66は、報知選択回路等とも呼ばれ、報知手段65により報知される情報をモータ63の駆動用のPWM信号Sのデューティ比から判定し、その判定に応じて報知手段65の報知態様を切り換えさせる。本実施形態では、判定手段66は、判定に応じて報知手段65のランプ650の点灯数を切り換えさせる。
【0023】
本実施形態において、報知手段55及び判定手段66は、報知制御回路としてユニット化されて清掃具6に設けられ、掃除機本体5側から見て、電力線L1と接地線L2とに対し、モータ63と並列に接続されている。
【0024】
図1に、報知手段65及び判定手段66の具体例を示す。
【0025】
報知手段65のランプ650は、例えば4つのランプ6500~6503を並列に備える。これらランプ6500~6503のそれぞれに対応して、限流用のインピーダンス素子である抵抗6510~6513が直列に接続されている。図示される例では、LEDであるランプ6500~6503のアノード側に抵抗6510~6513が接続されているが、ランプ6500~6503のカソード側に抵抗6510~6513が接続されていてもよい。
【0026】
ランプ6500は、カソードが接地されており、モータ63(図2に示す)の動作時に、運転モードに拘らず常時点灯する。ランプ6501~6503は、それぞれのカソードが判定手段66と接続されており、モータ63(図2に示す)の動作つまり運転モードに応じて点灯する。本実施形態では、ランプ650にはランプ6500~6503の四つが設定されているが、その個数は限定されず、二つでも三つでもよいし、五つ以上でもよい。
【0027】
判定手段66は、直流電源部1の入力、つまりPWM信号Sから、報知手段65の動作用、つまりランプ650の点灯用の電圧を生成する電圧生成回路660を備える。図示される例では、電圧生成回路660は、回路保護用のインピーダンス素子である抵抗6600と、逆流防止用のダイオード等の整流素子6601と、レギュレータ6602と、の直列回路で構成された定電圧回路である。レギュレータ6602としては、例えば三端子レギュレータが用いられる。レギュレータ6602の入力側には、入力電圧安定化及びノイズ防止用の容量素子であるコンデンサ6603が整流素子6601のカソード側に対してレギュレータ6602と並列に接続され、レギュレータ6602の出力側には出力電圧安定化用の容量素子であるコンデンサ6604が報知手段65と並列に接続されて、これらコンデンサ6603,6604が、レギュレータ6602の接地端子とともに接地されている。
【0028】
抵抗6600は、PWM信号Sのオン期間におけるPWM信号Sのピーク電圧の入力によるレギュレータ6602の発熱破壊を防止するための降圧用の抵抗である。つまり、抵抗6600は、降圧によって発熱することでレギュレータ6602での過大な発熱を分散させる。
【0029】
コンデンサ6603は、PWM信号Sの電圧が0、つまりレギュレータ6602が求める入力電圧より低くなるPWM信号Sのオフ期間にランプ650を駆動するための電力を蓄えるものである。また、このPWM信号Sのオフ期間にコンデンサ6603に蓄えられた電力が掃除機本体5(図3に示す)側やモータ63(図2に示す)側に逃げないようにするために、整流素子6601が設けられている。
【0030】
また、判定手段66は、直流電源部1に対して電圧生成回路660と並列に、判定回路661を備える。判定回路661は、PWM信号Sに基づいて運転モードを判定するとともに、その判定した運転モードに応じて報知手段65のランプ6501~6503の点灯/消灯を制御する。本実施形態において、判定回路661は、降圧回路6610と、平滑回路6611と、選択回路6612と、を有する。
【0031】
降圧回路6610は、PWM信号Sのピーク電圧を所定電圧に降圧するものである。図示される例では、降圧回路6610は、限流用のインピーダンス素子である抵抗66100を備え、この抵抗66100から平滑回路6611への電路に対し、定電圧素子66101が並列に接続されている。例えば、定電圧素子66101としては、PWM信号Sのピーク電圧よりも低い所定電圧を降伏電圧とするツェナダイオードが用いられる。
【0032】
平滑回路6611は、降圧回路6610により降圧されたPWM信号Sを平滑するとともに、選択回路6612の駆動用の電圧を取り出すものである。平滑回路6611と降圧回路6610とにより、電源安定回路が構成されている。図示される例では、平滑回路6611は、平滑用の容量素子であるコンデンサ66110と、電圧値を設定するためのインピーダンス素子である抵抗66111と、インピーダンス素子である抵抗66112,66113の直列回路と、の並列回路であり、降圧回路6610の抵抗66100に対し、定電圧素子66101と並列に接続されている。
【0033】
コンデンサ66110は、降圧回路6610による降圧によって、直流電源部1としてバッテリを用いた場合の出力電圧のピーク電圧のばらつき又は変動に起因する入力電流のばらつき又は変動が抑制される。
【0034】
抵抗66111は、コンデンサ66110の出力電流を設定することにより、抵抗66112と抵抗66113との直列回路の両端間電圧V1を設定する。コンデンサ66110の入力電流と出力電流との差が小さいほど、この両端間電圧V1が、PWM信号Sに応じて、降圧回路6610により降圧されたピーク電圧、すなわち定電圧素子66101により設定される電圧と、PWM信号Sのデューティ比と、の積に近づく。抵抗66111の抵抗値は、降圧回路6610の抵抗66100の抵抗値に応じて設定されている。
【0035】
降圧回路6610の抵抗66100のインピーダンス値すなわち抵抗値と、抵抗66111,66112,66113の合成インピーダンス値すなわち合成抵抗値と、に応じて、抵抗66112,66113の両端間電圧V1が設定される。抵抗66112,66113は、それらの抵抗値の比率に応じて、両端間電圧V1を分圧する。これら抵抗66112,66113の抵抗値の比率に応じて、抵抗66113により設定される電圧が、選択回路6612の駆動用の電圧V2となる。
【0036】
選択回路6612は、平滑回路6611により生成された駆動用の電圧V2に応じて、報知手段65の報知態様を切り換えるものである。図示される例では、選択回路6612は、スイッチ素子66120を備え、スイッチ素子66120の制御電圧V3を生成するためのインピーダンス素子である抵抗66121を介して平滑回路6611の抵抗66112と抵抗66113との接続点と接続されている。本実施形態において、スイッチ素子66120は、NPN型のバイポーラトランジスタが用いられ、その制御端子であるベース端子がベース抵抗である抵抗66121を介して平滑回路6611の抵抗66112,66113間に接続され、コレクタ端子が報知手段65のランプ6501~6503のカソード側と接続され、エミッタ端子が接地されている。また、スイッチ素子66120のベース端子には、抵抗66121と並列に容量素子であるコンデンサ66122が接続され、このコンデンサ66122が接地されている。抵抗66121によって、平滑回路6611により生成された駆動用の電圧V2に応じて、スイッチ素子66120のオンオフを切り換えるためのベース電流が生成される。すなわち、平滑回路6611により生成された駆動用の電圧V2の大小に応じて、スイッチ素子66120の制御電圧V3の大小が切り換わることで、スイッチ素子66120のオンオフが切り換えられる。したがって、スイッチ素子66120のオンオフが、PWM信号Sに基づいて判定された運転モードにおける電動送風機2(図2に示す)の入力に応じたデューティ比により切り換えらえれ、スイッチ素子66120のオンオフの切り換えに応じて、ランプ6501~6503の点灯/消灯が切り換えられる、すなわち報知手段65の報知態様が切り換えられるように構成されている。
【0037】
なお、報知手段65及び判定手段66については、図示される構成に限らず、これらと等価な動作をする任意の素子や回路を用いてよい。
【0038】
次に、第1の実施形態の動作を説明する。
【0039】
本実施形態では、例えば図5に示す表のような運転モードとPWM信号Sのデューティ比との関係を有する電気掃除機CLを例に挙げて説明する。電動送風機2の入力が相対的に大きい運転モードに対応するモータ63の駆動用のPWM信号Sのデューティ比は、電動送風機2の入力が相対的に小さい運転モードに対応するデューティ比の所定倍以上に設定されている。すなわち、複数の運転モードから任意の二つを比較すると、電動送風機2の入力が相対的に大きい運転モードのPWM信号Sのデューティ比が、電動送風機2の入力が相対的に小さい運転モードのPWM信号Sのデューティ比に対して所定倍以上となっている。図示される例では、強モードに対応するモータ63の駆動用のPWM信号Sのデューティ比は、弱モードに対応するデューティ比の所定倍以上に設定されている。例えば、この「所定倍」は、直流電源部1であるバッテリからの供給電圧の最大値つまり満充電時と最小値つまり放電停止間際の電圧との比率に基づいて設定され、本実施形態では1.5倍とする。
【0040】
このような電気掃除機CLにおいて、PWM信号Sのデューティ比に応じて判定手段66が報知手段65の報知態様を切り換えさせることで、その報知手段65の報知態様の切り換えによって、使用者が運転モードに関連する情報、例えばどの運転モードで運転中であるかを視認可能となるように構成されている。すなわち、判定手段66の選択回路6612のスイッチ素子66120のオン電圧Vfに対して、平滑回路6611により生成される駆動用の電圧V2と抵抗66121に流れる制御電流とによって設定される制御電圧V3が、運転モードに応じたPWM信号Sのデューティ比が小さいときは小さく、PWM信号Sのデューティ比が大きいときは大きくなるように、報知手段65及び判定手段66の回路定数が設定されている。
【0041】
本実施形態の場合、直流電源部1の出力電圧のピーク電圧は、14.5~20.5V程度に設定されている。すなわち、PWM信号Sのピーク電圧Vpが、14.5~20.5V程度である。
【0042】
報知手段65の抵抗6510~6513の抵抗値は、例えばそれぞれ1kΩに設定する。
【0043】
判定手段66の電圧生成回路660では、コンデンサ6603の入力電流が、コンデンサ6603の出力電流より顕著に大きいことが要求されるため、抵抗6600の抵抗値は、抵抗6510~6513の抵抗値と比較して十分に小さい値とする。本実施形態では、抵抗6600の抵抗値を例えば100Ω、コンデンサ6603,6604の容量をそれぞれ例えば4.7μFに設定し、レギュレータ6602は出力電圧が例えば5Vのものを用いる。なお、抵抗6600については、コンデンサ6603の入力電流による発熱を考慮し、例えば定格電力2Wのものを用いる。
【0044】
判定手段66の判定回路661では、降圧回路6610の抵抗66100の抵抗値を例えば4.7kΩに設定し、定電圧素子66101は降伏電圧が例えば5.1Vのものを用いる。そのため、降圧回路6610により、判定回路661において、PWM信号Sのピーク電圧Vpが、定電圧素子66101の降伏電圧V_zdに降圧される(図6に示す)。また、平滑回路6611のコンデンサ66110の容量は、例えば4.7μFに設定する。
【0045】
ここで、コンデンサ66110の入力電流が出力電流より大きいほど、PWM信号Sのデューティ比が小さいときに平滑回路6611により生成される両端間電圧V1の電圧値が降圧回路6610により設定された電圧値にデューティ比を積算した値より大きくなることで、PWM信号Sのデューティ比が小さいときでも選択回路6612が動作してランプ6501~6503が点灯するおそれがある。一方、コンデンサ66110の入力電流が出力電流より小さいほど、PWM信号Sのデューティ比が大きいときに平滑回路6611により生成される両端間電圧V1の電圧値が降圧回路6610により設定された電圧値より小さくなることで、PWM信号Sのデューティ比が大きいときでも選択回路6612が動作せずランプ6501~6503が点灯しないおそれがある。
【0046】
そのため、平滑回路6611では、抵抗66111の抵抗値を例えば4.7kΩ、抵抗66112の抵抗値を2.2kΩ、抵抗66113の抵抗値を680Ωに設定することで、コンデンサ66110の入力電流と出力電流とを近づけ、PWM信号Sのデューティ比に応じて選択回路6612が適切に動作するようにしている。例えば、これらの例では、コンデンサ66110の入力電流が2.0~3.8mAであり、出力電流が2.86mAに選択回路6612のスイッチ素子66120の制御電流を加えた値に設定される。
【0047】
また、選択回路6612のスイッチ素子66120は、例えばオン電圧Vfが例えば0.56~0.68V、増幅率hfeが400程度のものを用いる。ここで、選択回路6612の抵抗66121の抵抗値が小さすぎる場合、スイッチ素子66120の制御素子に流れる制御電流又はベース電流が大きくなるため、スイッチ素子66120のオンオフの切り換えによって、平滑回路6611により生成される選択回路6612の駆動用の電圧V2及び制御電圧V3が変動しやすい。また、選択回路6612の抵抗66121の抵抗値が大きすぎる場合、スイッチ素子66120の制御素子に流れる制御電流又はベース電流が小さくなることで、スイッチ素子66120のオン電圧Vfが変動しやすい。つまり、抵抗6511~6513により設定された、ランプ6501~6503に流れる電流の総和をスイッチ素子66120の増幅率hfeで除した値よりも抵抗66121により設定される制御電流値が小さいと、スイッチ素子66120がオンしない。すなわち、スイッチ素子66120の増幅率hfeのばらつきによって、スイッチ素子66120がオンしたりしなかったりするおそれがある。したがって、PWM信号Sのデューティ比が大きいときに平滑回路6611により生成される駆動用の電圧V2と選択回路6612の抵抗66121の抵抗値とにより設定される制御電圧V3の電圧値V_Hiがスイッチ素子66120のオン電圧Vfより大きく(V_Hi>Vf)、PWM信号Sのデューティ比が小さいときの制御電圧V3の電圧値V_Loがオン電圧Vfより小さく(V_Lo<Vf)なるようにするために(図7に示す)、本実施形態では、抵抗66121の抵抗値を2.0kΩに設定する。また、コンデンサ66122の容量を0.1μFに設定する。
【0048】
以上の構成により、使用者がスイッチ51を操作して運転モードを選択すると、その選択された運転モードに応じて本体制御部52が電動送風機2の入力を制御するとともにPWM信号Sを生成し、そのPWM信号Sが電力線L1及び接地線L2を介して清掃具6の駆動回路64に供給されて、駆動回路64がモータ63を駆動し、モータ63の駆動により回転清掃体62が回転する。そこで、使用者は、手元操作部50を把持し、清掃具6を被掃除部上で所望の掃除対象領域に移動させながら、回転清掃体62の回転により塵埃を被掃除部から掻き上げ、集塵口から作用する電動送風機2の吸引力によってその掻き上げた塵埃を空気とともに分離部3へと吸い込む。分離部3では、吸い込んだ含塵空気から塵埃を分離捕集する。分離部3により塵埃が分離された空気は、電動送風機2を冷却しつつ排気口54を介して掃除機本体5から排出される。
【0049】
例えば、電気掃除機CLが弱モードで運転している場合、PWM信号Sのデューティ比は40%であることから、判定手段66の判定回路661において、降圧回路6610、平滑回路6611及び選択回路6612により設定される制御電圧V3の電圧値V_Loがスイッチ素子66120のオン電圧Vfを下回る。そのため、スイッチ素子66120がオンしないことにより、報知手段65では、スイッチ素子66120と接続されていないランプ6500のみが点灯状態となり、スイッチ素子66120と接続されているランプ6501~6503が消灯状態となる。すなわち、報知手段65は、ランプ650が1灯のみ点灯する表示態様となり、電気掃除機CL又は電動送風機2が弱モードで運転していることを使用者に間接的に報知する(図4(a)に一例を示す)。
【0050】
一方、電気掃除機CLが強モードで運転している場合、PWM信号Sのデューティ比は100%であることから、判定手段66の判定回路661において、降圧回路6610、平滑回路6611及び選択回路6612により設定される制御電圧V3の電圧値V_Hiがスイッチ素子66120のオン電圧Vfを上回る。そのため、スイッチ素子66120がオンすることにより、報知手段65では、ランプ6500に加えて、ランプ6501~6503が点灯状態となる。すなわち、報知手段65は、ランプ650が全て点灯する表示態様となり、電気掃除機CL又は電動送風機2が強モードで運転していることを使用者に間接的に報知する(図4(b)に一例を示す)。
【0051】
なお、スイッチ51の操作によって電気掃除機CLの運転を停止すると、PWM信号Sのデューティ比が0となるため、報知手段65のランプ650は全て消灯する。
【0052】
このように、電気掃除機CLの運転モードにおける電動送風機2の入力に応じたデューティ比で清掃具6のモータ63をPWM制御する構成とし、複数の異なる報知態様で報知可能な報知手段65と、デューティ比に応じて報知手段65の報知態様を切り換えさせる判定手段66と、を清掃具6に設けることで、直流電源部1を給電源としつつ、運転モードに応じたモータ63の駆動を実現しながら、報知手段65によって、運転モードに関連する情報を使用者が認識可能となる。清掃具6は、被掃除部に近接し、掃除する際の使用者の目線に近い場所にあるため、使用者が掃除をしながら報知手段65の報知を参照して現在の運転モード又は電動送風機2の入力の大小等の、運転モードに関連する情報を察知しやすくなる。
【0053】
また、電力線L1と接地線L2との二線によって通信されるPWM信号Sを利用して運転モードを判定しているので、通信線が別途不要であり、簡素に構成できる。
【0054】
さらに、報知手段65は、電動送風機2の入力が大きい運転モードほどランプ650の点灯数が多いため、報知手段65の報知態様に基づいて使用者が運転モード又は電動送風機2の入力の大小を直感的に察知しやすい。
【0055】
また、モータ63については、最大で直流電源部1の全電力を利用できるので、PWM信号Sのデューティ比に応じた動作の制御幅を大きく設定できる。
【0056】
さらに、電動送風機2の入力が相対的に大きい運転モードに対応するモータ63の駆動用のPWM信号Sのデューティ比を、電動送風機2の入力が相対的に小さい運転モードに対応するデューティ比の1.5倍以上とすることで、例えばコンパレータ等の検出精度が高い高価な部品を用いることなく、構成素子のばらつきに起因する判定手段66の判定感度のばらつきを吸収し、簡素な構成の判定手段66によってデューティ比から運転モードに関連する情報を判定できる。
【0057】
例えば、判定手段66が、モータ63を駆動するためのPWM信号Sを降圧した電圧とデューティ比との積に応じた電圧又はその分圧電圧が制御端子に印加されるスイッチ素子66120を備え、スイッチ素子66120のオンオフの切り換えに応じて報知手段65の報知態様を切り換えさせることで、直流電源部1としてバッテリを用いた場合の出力電圧の変動による判定手段66の判定感度の影響を降圧によって緩和しつつ、簡素で安価な判定手段66を構成できる。
【0058】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について、図8を参照して説明する。なお、第1の実施形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0059】
本実施形態では、本体制御部52に、電気掃除機CLの運転モードとして、強モード、弱モードの他に、掃除状況に応じて電動送風機2の入力つまり吸塵力及びモータ63の駆動用のPWM信号Sのデューティ比を自律的に設定する自動モードが設定されているものである。
【0060】
ここで、掃除状況とは、例えば被掃除部を構成する床の種類、あるいは被掃除部における吸塵量の多寡等を言うものとする。すなわち、被掃除部の種類を検出する種類検出手段、及び/又は、吸塵量を検出する塵埃量検出手段等の、掃除状況検出手段と組み合わせて、本体制御部52が自動的に電動送風機2の入力及びモータ63の駆動用のPWM信号Sのデューティ比を選択設定する運転モードを有していてもよい。種類検出手段、及び、塵埃量検出手段は、既知の任意の構成としてよい。
【0061】
自動モードは、電動送風機2の入力及びPWM信号Sのデューティ比を掃除状況に応じて所定の幅内において無段階に任意に設定してもよいし、電動送風機2の入力及びモータ63の駆動用のPWM信号Sのデューティ比が予めセットで設定された複数のモードから掃除状況に応じたものを選択して段階的に設定してもよい。これらいずれの場合であっても、電動送風機2の入力が大きい運転モードに対応するPWM信号Sのデューティ比が、電動送風機2の入力が小さい運転モードに対応するPWM信号Sのデューティ比以上に設定されていることが好ましい。
【0062】
図示される例では、自動モードにおいて、電動送風機2の入力及びモータ63の駆動用のPWM信号Sのデューティ比が予めセットで設定された複数のモード、例えば自動モード1,2が設定されている。例えば、自動モード1,2は、電動送風機2の入力及びモータ63の駆動用のPWM信号Sのデューティ比が、弱モード以上強モード以下に設定されている。
【0063】
図8(a)に示す例では、自動モード1において、電動送風機2の入力が弱モードより大きく自動モード2より小さく、モータ63の駆動用のPWM信号Sのデューティ比が弱モードと同一となっている。また、自動モード2において、電動送風機2の入力が弱モード及び自動モード1より大きく強モードより小さく、モータ63の駆動用のPWM信号Sのデューティ比が強モードと同一となっている。この場合、全ての運転モードにおいて、電動送風機2の入力が異なっているものの、本実施形態では、報知手段65の報知態様が2種類となっている。
【0064】
また、図8(b)に示す例のように、自動モード1における電動送風機2の入力及びモータ63の駆動用のPWM信号Sのデューティ比をそれぞれ弱モードと同一とし、自動モード2における電動送風機2の入力及びモータ63の駆動用のPWM信号Sのデューティ比をそれぞれ強モードと同一としてもよい。
【0065】
そして、使用者がスイッチ51を操作して自動モードを選択すると、本体制御部52が掃除状況検出手段の検出結果に基づき、自動モード1又は自動モード2を選択する。例えば、被掃除部が絨毯等の塵埃が絡み付きやすく回転清掃体62の回転抵抗が大きいものである場合や、被掃除部の塵埃量が所定量より多い場合等、より強力な掃除能力が要求される場合には、自動モード2が選択され、それ以外の場合には自動モード1が選択される。本体制御部52は、選択したモードに予め設定された電動送風機2の入力を制御するとともにPWM信号Sを生成し、そのPWM信号Sが電力線L1及び接地線L2を介して清掃具6の駆動回路64に供給されて、駆動回路64がモータ63を駆動し、モータ63の駆動により回転清掃体62が回転する。
【0066】
電気掃除機CLが自動モード1で運転している場合には、弱モードで運転している場合と同様に、スイッチ素子66120がオンしないことにより、報知手段65では、スイッチ素子66120と接続されていないランプ6500のみが点灯状態となり、スイッチ素子66120と接続されているランプ6501~6503が消灯状態となる。
【0067】
一方、電気掃除機CLが自動モード2で運転している場合には、強モードで運転している場合と同様に、スイッチ素子66120がオンすることにより、報知手段65では、ランプ6500に加えて、ランプ6501~6503が点灯状態となる。
【0068】
このように、電気掃除機CLの運転モードにおける電動送風機2の入力に応じたデューティ比で清掃具6のモータ63をPWM制御する構成とし、複数の異なる報知態様で報知可能な報知手段65と、デューティ比に応じて報知手段65の報知態様を切り換えさせる判定手段66と、を清掃具6に設ける等、第1の実施形態と同様の構成を有することにより、直流電源部1を給電源とする電気掃除機CLにおいて、運転モードに応じたモータ63の駆動を実現しつつ、報知手段65によって、運転モードに関連する情報を使用者が認識可能となる等、第1の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0069】
また、掃除状況に応じて電動送風機2の入力とその入力に応じたデューティ比とを本体制御部52が自動的に設定する運転モードである自動モードを有しているため、掃除状況に応じて自動的に掃除能力を上下させて、直流電源部1から供給される電力の利用状況を最適化できるとともに、その結果を報知手段65の報知態様によって使用者に認識させることができる。
【0070】
特に、自動モードにおいて、電動送風機2の入力とモータ63の駆動用のPWM信号Sのデューティ比との予め設定されたセットから選択する場合であっても、電動送風機2の入力を相対的に大きく設定する場合に対応するデューティ比を、電動送風機2の入力を相対的に小さく設定する場合に対応するデューティ比の1.5倍以上とすることで、例えばコンパレータ等の検出精度が高い高価な部品を用いることなく、構成素子のばらつきに起因する判定手段66の判定感度のばらつきを吸収し、簡素な構成の判定手段66によってデューティ比から報知手段65により報知する情報を判定できる。
【0071】
なお、上記の例では、報知手段65において、弱モードと自動モード1とが同一の報知態様となり、強モードと自動モード2とが同一の報知態様となるため、使用者自身が選択した弱モードと強モードとについては、使用者が誤解を抱かないように、自動モードと区別する報知内容を別途追加してもよい。
【0072】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について、図9を参照して説明する。なお、各実施形態と同様の構成及び作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0073】
本実施形態では、判定手段66の判定回路661が、降圧回路6610及び平滑回路6611に代えて、比較回路6613を有するものである。
【0074】
この比較回路6613は、コンパレータ66130を用い、PWM信号Sのピーク電圧より僅かに小さい電圧又はその分圧電圧等の関連値と、ピーク電圧とデューティ比との積に応じた電圧又はその分圧電圧等の関連値と、を比較して、その比較結果に応じてスイッチ素子66120のオンオフを切り換えることで、そのオンオフの切り換えに応じて報知手段65の報知態様を切り換えさせるものである。
【0075】
本実施形態において、比較回路6613は、コンパレータ66130の第一入力端子又は反転入力端子と接続されるダイオード等の整流素子66131と、コンパレータ66130の第二入力端子又は非反転入力端子と接続される限流用のインピーダンス素子である抵抗66132と、が直流電源部1に並列に接続されている。すなわち、モータ63の駆動用のPWM信号Sが、整流素子66131と抵抗66132とにそれぞれ供給される。整流素子66131には、平滑用の容量素子であるコンデンサ66133が接続され、抵抗66132には、平滑用の容量素子であるコンデンサ66134と、インピーダンス素子である抵抗66135と、の並列回路が接続されている。
【0076】
コンパレータ66130の出力端子は、例えば選択回路6612のスイッチ素子66120の制御端子と接続されている。コンパレータ66130の正電源端子には、所定の電圧が供給され、負電源端子は接地されている。これに限らず、コンパレータ66130の出力端子には、その出力に応じてスイッチ素子66120のオンオフを切り換える任意の回路が接続されていてよい。
【0077】
そして、比較回路6613は、PWM信号Sのピーク電圧より僅かに小さい電圧値又はその関連値と、ピーク電圧とPWM信号Sのデューティ比との積又はその関連値と、をそれぞれ取り出してコンパレータ66130に入力する電圧取り出し回路を構成するように回路定数が設定されている。
【0078】
例えば、抵抗66132,66135のインピーダンス値である抵抗値は、コンデンサ66134の入力電流と出力電流とが略一致するように設定され、コンデンサ66133,66134の容量は、例えばそれぞれ4.7μFに設定されている。
【0079】
比較回路6613において、コンデンサ66133の入力電流は出力電流より相当大きいため、コンパレータ66130の第一入力端子には、ピーク電圧から整流素子66131の順方向電圧すなわち所定値を差し引いた電圧又はその関連値が入力される。他方、コンデンサ66134の入力電流と出力電流とは略等しいため、コンパレータ66130の第二入力端子には、ピーク電圧とデューティ比との積又はその関連値が入力される。
【0080】
電動送風機2の入力が小さくPWM信号Sのデューティ比が小さい運転モードの場合、ピーク電圧とデューティ比との積又はその関連値がピーク電圧に対して小さくなるため、コンパレータ66130は、第一入力端子の入力が第二入力端子の入力より大きくなることから、ローレベル出力となる。そこで、スイッチ素子66120はオンせず、報知手段65のランプ6501~6503が消灯状態となる。
【0081】
また、電動送風機2の入力が大きくPWM信号Sのデューティ比が大きい運転モードの場合、ピーク電圧とデューティ比との積又はその関連値がピーク電圧に近づくことで、コンパレータ66130は、第二入力端子の入力が第一入力端子の入力より大きくなることから、ハイレベル出力となる。そこで、スイッチ素子66120がオンし、報知手段65のランプ6501~6503が点灯状態となる。
【0082】
このように、デューティ比に応じて報知手段65の報知態様を切り換えさせる判定手段66を清掃具6に設ける等、各実施形態と同様の構成を有することにより、直流電源部1を給電源とする電気掃除機CLにおいて、運転モードに応じたモータ63の駆動を実現しつつ、報知手段65によって、運転モードに関連する情報を使用者が認識可能となる等、各実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0083】
また、コンパレータ66130は、電圧検出精度が良好であるため、電動送風機2の入力が相対的に大きい運転モードに対応するモータ63の駆動用のPWM信号Sのデューティ比と、電動送風機2の入力が相対的に小さい運転モードに対応するデューティ比と、の差が小さくても、デューティ比を判定可能となる。そのため、例えば電動送風機2の入力が小さい運転モードでのPWM信号Sのデューティ比と、電動送風機2の入力が大きい運転モードでのPWM信号Sのデューティ比と、の差を大きくしなくても、判定手段66により運転モードに関連する情報を判定可能となる。したがって、各運転モードにおけるPWM信号Sのデューティ比の設定の自由度を向上できる。
【0084】
しかも、コンパレータ66130により比較する電圧値が、それぞれ直流電源部1の出力電圧のピーク電圧であるPWM信号Sのピーク電圧と正の相関を有する値であることから、直流電源部1としてバッテリを用いた場合の出力電圧が仮に変動していてもそれらの大小関係が影響を受けにくい。そのため、直流電源部1の出力電圧の変動による判定手段66の判定感度の影響を緩和できる。
【0085】
(その他の実施形態)
上記の各実施形態において、運転モードが三つ以上ある場合、報知手段65による報知態様を、それぞれの運転モード毎に異ならせるように判定手段66により切り換えさせてもよい。その場合、判定回路661をランプ560の灯数又は運転モードに応じて複数設定し、点灯/消灯を切り換えたいランプ650毎に制御電圧を生成するように設定することにより、複数の運転モードに応じてそれぞれ異なる報知態様で報知手段65により報知可能となる。一例として、図10に示す第4の実施形態のように、運転モードとして、弱モード、自動モード(自動モード1、自動モード2)、強モードが設定されている場合には、判定回路661を三つ設けて、それらのモードそれぞれにおいて報知手段65の報知態様を異ならせてもよい。この例では、電動送風機2の入力が小さい運転モードでのPWM信号Sのデューティ比に対して、電動送風機2の入力が大きい運転モードでのPWM信号Sのデューティ比を1.5倍以上にそれぞれ設定していることで、第1及び第2の実施形態と同様に、例えばコンパレータ等の検出精度が高い高価な部品を用いることなく、構成素子のばらつきに起因する判定手段66の判定感度のばらつきを吸収し、簡素な構成の判定手段66によってデューティ比から運転モードに関連する情報を判定できる。勿論、第3の実施形態のように、コンパレータ66130を用いた比較回路6613をランプ650の灯数に応じて複数設けて、運転モードのそれぞれにおいて報知手段65の報知態様を異ならせてもよい。
【0086】
また、報知手段65による異なる報知態様としては、同一発光色の複数のランプ560の点灯数が異なるインジケータを例に挙げて示したが、これに限らず、例えば点灯と点滅等、ランプ560の点灯状態が異なる態様、ランプ560の明るさが異なる態様、複数の異なる色のランプ560を用いることで報知手段65の表示色が異なる態様、あるいはそれらの任意の組み合わせの態様等、任意の異なる報知態様を用いてよい。
【0087】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲をこれらの実施形態に限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
CL 電気掃除機
L1 電力線
L2 接地線
S PWM信号
1 直流電源部
2 電動送風機
5 掃除機本体
6 清掃具
52 制御手段である本体制御部
63 モータ
65 報知手段
66 判定手段
66120 スイッチ素子
66130 コンパレータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10