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特開2025-21917ポリウレタン成形体、及びポリウレタン成形体製造方法
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  • 特開-ポリウレタン成形体、及びポリウレタン成形体製造方法 図1
  • 特開-ポリウレタン成形体、及びポリウレタン成形体製造方法 図2
  • 特開-ポリウレタン成形体、及びポリウレタン成形体製造方法 図3
  • 特開-ポリウレタン成形体、及びポリウレタン成形体製造方法 図4
  • 特開-ポリウレタン成形体、及びポリウレタン成形体製造方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021917
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】ポリウレタン成形体、及びポリウレタン成形体製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 7/00 20060101AFI20250206BHJP
   B29C 31/04 20060101ALI20250206BHJP
   B29C 31/10 20060101ALI20250206BHJP
   B29C 43/34 20060101ALI20250206BHJP
   B29K 75/00 20060101ALN20250206BHJP
【FI】
B29B7/00
B29C31/04
B29C31/10
B29C43/34
B29K75:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023126027
(22)【出願日】2023-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000113517
【氏名又は名称】BASF INOACポリウレタン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100187791
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 晃志郎
(72)【発明者】
【氏名】牧原 伸征
【テーマコード(参考)】
4F201
4F204
【Fターム(参考)】
4F201AA31
4F201AA50
4F201AB25
4F201AG20
4F201AH48
4F201BA01
4F201BA06
4F201BC01
4F201BC02
4F201BC12
4F201BC25
4F201BC33
4F201BD01
4F201BK71
4F201BQ07
4F204AA42
4F204AA50
4F204AB25
4F204AC01
4F204AD16
4F204AG20
4F204AH48
4F204AL16
4F204FA01
4F204FB01
4F204FB11
4F204FF05
4F204FN11
4F204FN15
4F204FN17
(57)【要約】
【課題】再生材料を使用した場合であっても高い強度が得られるポリウレタン成形体製造方法、及びポリウレタン成形体を提供すること。
【解決手段】ポリウレタン成形体製造方法は、ポリウレタン製の断片2、第一バインダー3及びバインダー繊維4を混合する第一工程と、第一工程の後の材料を型に投入して加熱成形する成形工程と、を備える。断片2は、発泡ポリウレタン製である。発泡ポリウレタンには、硬質ウレタンフォームと軟質ウレタンフォームを含む。また、断片2は再生材料を粉砕したものでもよい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタン製の断片、第一バインダー及びバインダー繊維を混合する第一工程と、
前記第一工程の後の材料を型に投入して加熱成形する成形工程と、
を備えるポリウレタン成形体製造方法。
【請求項2】
前記断片は発泡ポリウレタン製である請求項1に記載のポリウレタン成形体製造方法。
【請求項3】
前記第一バインダーは湿気硬化型バインダーである請求項1又は2に記載のポリウレタン成形体製造方法。
【請求項4】
ポリウレタン製の断片、第一バインダー由来の第一樹脂、及び、バインダー繊維由来の第二樹脂を備えるポリウレタン成形体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主にリサイクルによる粉砕材を用いたポリウレタン成形体製造方法、及びポリウレタン成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用済みのウレタンフォーム等をリサイクルする方法が提案されている。例えば、特許文献1の記載によれば、軟質ウレタンフォームのリサイクル方法は、軟質ウレタンフォームを主成分とする細粒度の粉砕物と低融点ポリエステル短繊維を均一に混合し、この混合物を、成形器内にほぼ均等に充填し、前記成形器内で、低融点ポリエステル短繊維の軟化温度より高い温度で加熱加圧して成形品を得る。
【0003】
低融点ポリエステル短繊維と均一に混合することが可能となる程度に、軟質ウレタンフォームまたは軟質ウレタンフォームに繊維材の付いた被処理体を細粒度の粉砕物に加工する。次に、両方を混合した混合物を、成形器にほぼ均等に充填し、低融点ポリエステル短繊維の軟化温度より高い温度で加熱加圧することにより、低融点ポリエステル短繊維が溶け、低融点ポリエステル短繊維同志および低融点ポリエステル短繊維と被処理体の粉砕物が一体となり、均質で品質の安定した耐久性の高い成形品を得ることができる。
【0004】
これによれば、(a)粉砕物と低融点ポリエステル短繊維と均一に混合した混合物を、低融点ポリエステル短繊維の軟化温度より高い温度で加熱加圧することにより、均質で品質の安定した耐久性の高い成形品を得ることができる。(b)成形器内での加熱温度が、低融点ポリエステル短繊維の軟化温度より高く、軟質ウレタンフォームの流動化温度より低い条件で成形が可能なため、成形時間の短縮と省エネルギー化が実現できる。(c)軟質ウレタンフォームの流動化温度より低い加熱温度で成形が行われるため、軟質ウレタンフォームの熱分解がおこらず、シアン化水素の発生が防止できる、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7-68550号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示される従来例では以下の課題がある。ウレタンフォーム等リサイクル方法による成形品は、住宅用断熱材、その他の用途に再利用される。建設現場等で作業者が施工するとき、成形品の強度が低いと破損してしまう。従来例による成形品は、十分な強度が得られないという課題がある。一例として図5に示す条件では、3点曲げ強度3N/cmという低い値である。
【0007】
本発明は、従来の課題を解決するものであり、再生材料を使用した場合であっても高い強度が得られるポリウレタン成形体製造方法、及びポリウレタン成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様に係るポリウレタン成形体製造方法は、ポリウレタン製の断片、第一バインダー及びバインダー繊維を混合する第一工程と、前記第一工程の後の材料を型に投入して加熱成形する成形工程と、を備える。
【0009】
これによれば、断片が第一バインダー及びバインダー繊維によって結合するので、成形されたポリウレタン成形体は高い強度を得ることができる。
【0010】
また、前記断片は発泡ポリウレタン製でもよい。この場合、成形されたポリウレタン成形体は、高い強度の住宅用断熱材その他の建材として使用することができる。
【0011】
また、前記第一バインダーは湿気硬化型バインダーでもよい。この場合、バインダー繊維と混合された第一バインダーは、断片に付着して硬化するので、断片同士の結合力が強くなる。
【0012】
本発明の第二の態様に係るポリウレタン成形体は、ポリウレタン製の断片、第一バインダー由来の第一樹脂、及び、バインダー繊維由来の第二樹脂を備える。
【0013】
この場合、ポリウレタン成形体は、断片が第一樹脂によって覆われ、第二樹脂によって断片同士の結合力が高まるので、高い強度を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のポリウレタン成形体製造方法によって製造されたポリウレタン成形体1の構成を示す模式図である。
図2】本発明のポリウレタン成形体製造方法の工程の第一例を示す説明図である。
図3】本発明のポリウレタン成形体製造方法の工程の第二例を示す説明図である。
図4】本発明のポリウレタン成形体製造方法の工程を説明するフローチャートである。
図5】各実施例と比較例、及び従来例の評価結果をまとめた図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照し、本発明を具現化したポリウレタン成形体製造方法、及びポリウレタン成形体1を説明する。なお、発明を実施するための形態、及び参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。本発明はこれらに限定されるものではない。図面に記載されている装置の構成は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0016】
<ポリウレタン成形体製造方法の説明>
ポリウレタン成形体製造方法を説明する。ポリウレタン成形体製造方法は、ポリウレタン製の断片2、第一バインダー3及びバインダー繊維4を混合する第一工程と、第一工程の後の材料を型24に投入して加熱成形する成形工程と、を備える。
【0017】
断片2は、発泡ポリウレタン製である。発泡ポリウレタンには、硬質ウレタンフォームと軟質ウレタンフォームを含む。また、断片2は再生材料を粉砕したものでもよい。
【0018】
また、第一バインダー3は、湿気硬化型バインダーである。断片2が発泡ポリウレタンの場合、第一バインダー3は例としてイソシアネート23とポリオール22とを反応させて液体状態にしたイソシアネートプレポリマーを使用する。第一バインダー3は液体状態でバインダー繊維4と混合するので混ざりやすく、断片2にまんべんなく付着する。第一バインダー3は、その後空気中の水分と化学反応して硬化する。
【0019】
<成形工程の説明>
次に、図2から図4までを参照して、ポリウレタン成形体1の成形工程を説明する。断片2は、硬質ウレタンフォームを使用する場合について説明する。図4に示すように、まず硬質ウレタンフォーム回収処理P1を行う。次に、硬質ウレタンフォーム粉砕処理P2を行い、粉砕材21である断片2を生成する。断片2は、一辺の長さが0.5mmから50mmまでの範囲である。また、図2に示すように、第一バインダー3として、イソシアネート23とポリオール22とを反応させてイソシアネートプレポリマーである液体バインダー5を生成処理P3する。
【0020】
次に、図2及び図3に示すように、断片2と、第一バインダー3である液体バインダー5と、バインダー繊維4をブレンド器20に投入して混合するブレンド配合処理P4を行う。ブレンド配合処理P4が第一工程に相当する。バインダー繊維4は、特に芯鞘構造の低融点樹脂繊維を使用することが望ましい。これは、芯を構成している樹脂よりも、鞘を構成している樹脂の融点が低いものである。断片2と、バインダー繊維4と、液体バインダー5の重量割合は、例として100:5:10である。
【0021】
図2及び図3に示すように、第一工程の後、得られた材料を型24に投入P5する。図2に示す例を説明すると、次に型25によって加熱しながら加圧して圧縮成形P6する。このときの加熱温度は150℃、加圧圧力は1Paから5Pa、加熱時間は10分である。成形後、成形品を取り出しP7、用途に合わせて成形品を切り出しP8、ポリウレタン成形体1が完成する。図2に示す例は、加熱圧縮による成形の場合である。イソシアネートプレポリマーはポリウレタンと架橋結合するので、液体バインダー5が後述する第一樹脂13となって、断片2と強固に結合する。
【0022】
バインダー繊維4は芯鞘構造の低融点ポリエステル短繊維を含み、図2に示す例では融点が150℃以下である。芯鞘構造の低融点ポリエステル短繊維は、鞘を構成している樹脂が加熱圧縮によって軟化し、断片2と結合しやすくなる。合わせて、芯鞘構造の低融点ポリエステル短繊維は、液体バインダー5に由来する第一樹脂13とも結合しやすくなり、断片2同士の結合力が高まる。
【0023】
図3を参照して別の例を説明する。第一工程の後、得られた材料を型24に投入P5した後、加熱された水蒸気28を水蒸気孔26へ導入しながら型25によって加圧し、圧縮成形P16する。この場合、加熱温度は100℃で、加熱時間と加圧圧力は図2の場合と同様である。成形後、成形品を取り出しP17、用途に合わせて成形品を切り出しP18、ポリウレタン成形体1が完成する。図3に示す例は、加熱蒸気圧縮による成形の場合である。この場合に使用する芯鞘構造の低融点ポリエステル短繊維は融点が100℃以下であり、加熱蒸気圧縮によって鞘を構成している樹脂が軟化し、断片2と結合しやすくなる。第一樹脂13とも結合しやすくなるのも図2の場合と同様である。
【0024】
液体バインダー5は、一連の工程の中で硬化し、断片2に対して第一樹脂13として結合した状態となる。工程中に液体成分は硬化するので、液体成分を除去する工程等は不要である。成形されたポリウレタン成形体1の構成は後述する。
【0025】
<ポリウレタン成形体製造方法の効果>
以上説明したポリウレタン成形体製造方法によれば、以下の効果を奏する。ポリウレタン成形体製造方法は、断片2と第一バインダー3とバインダー繊維4が混合されて加熱成形されるので、断片2間の結合力が高くなり、高い強度のポリウレタン成形体1を製造することができる。
【0026】
また、断片2は発泡ポリウレタン製でもよく、発泡ポリウレタンは第一バインダー3のイソシアネートプレポリマーと架橋結合するので、断片2同士の結合力が高くなる。よって、成形されたポリウレタン成形体1は、高い強度の住宅用断熱材その他の建材として使用することができる
【0027】
また、第一バインダー3は湿気硬化型バインダーなので、液体状態でバインダー繊維4と混合して断片2に付着した後に硬化し、断片2同士の結合力を高めることができる。第一バインダー3は、空気中の水分と化学反応して硬化するので、液体成分を除去する必要が無く、工数を低減できる。
【0028】
<ポリウレタン成形体1の説明>
次に、本発明の第二の態様に係るポリウレタン成形体1を説明する。図1に示すように、ポリウレタン成形体1は、ポリウレタン製の断片2、第一バインダー3由来の第一樹脂13、及び、バインダー繊維4由来の第二樹脂14を備える。なお、ポリウレタン成形体1は、すでに説明したポリウレタン成形体製造方法によって製造される。
【0029】
また、図1に示すように、第一樹脂13は、断片2の周囲を覆うように結合している。断片2は発泡ポリウレタンを含み、第一樹脂13は非発泡ポリウレタンを含む。
【0030】
また、第一樹脂13は、引張伸び率が200%以上である。断片2は、引張伸び率が120%以下である。断片2同士は、引張伸び率が大きい第一樹脂13が接着剤の役割を果たして結合している。
【0031】
また、図1に示すように、第二樹脂14は、第一樹脂13の内部、又は/及び表面にある。第二樹脂14は、低融点ポリエステル短繊維を含む。低融点ポリエステル短繊維の融点は150℃以下であり、芯鞘構造である。
【0032】
また、図1に示すように、断片2は、隣接する他の断片2との間が、第一樹脂13同士、又は/及び第一樹脂13と第二樹脂14、又は/及び第二樹脂14同士が結合した状態である。低融点ポリエステル短繊維は、芯を構成している樹脂よりも鞘を構成している樹脂の融点が低い。第二樹脂14は、鞘を構成している樹脂が、芯を構成している樹脂よりも先に軟化し、第一樹脂13と、及び/又は断片2と、及び/又は第二樹脂14同士と結合しやすい。
【0033】
<ポリウレタン成形体1の効果>
以上説明したポリウレタン成形体1によれば、以下の効果を奏する。図1に示すように、ポリウレタン成形体1は、断片2が第一樹脂13によって覆われ、さらに第二樹脂14によって断片2同士の結合力が高まるので、高い強度を得ることができる。
【0034】
また、ポリウレタン成形体1は、第一樹脂13が非発泡ポリウレタンを含むのでより結合力が強く、より高い強度を得ることができる。
【0035】
また、ポリウレタン成形体1は、第一樹脂13が断片2よりも引張伸び率が大きいのでより結合力が強く、より高い強度を得ることができる。特に、硬質ウレタンフォームは一般的に伸びが小さいため単独では強度が低下する傾向にあるが、断片2の周りに覆われる第一樹脂13の引張伸び率が大きいので、柔軟性が増して強度が高くなる。
【0036】
また、ポリウレタン成形体1は、第二樹脂14によって断片2同士の結合力が高まるので、より高い強度を得ることができる。さらに、第二樹脂14は低融点ポリエステル短繊維を含むので、加熱成形によって溶融して接着効果が増して断片同士の結合力を高め、より高い強度を得ることができる。
【0037】
また、ポリウレタン成形体1は、第一樹脂13同士、又は/及び第一樹脂13と第二樹脂14、又は/及び第二樹脂14同士が結合した状態なので断片2同士の結合力が高くなり、より高い強度を得ることができる。ポリウレタン成形体1は、複数の結合状態を含むことにより、単独の結合状態のみの場合に比べて、強度が高まる。
【0038】
<本発明のポリウレタン成形体1における実施例と比較例、及び従来例との比較>
次に、本発明のポリウレタン成形体1における実施例と比較例、及び従来例との比較評価結果を説明する。図5は比較評価結果をまとめたものである。実施例はAからCまでの三種類、比較例はDとEの二種類、従来例はFとGの二種類である。
【0039】
実施例、比較例、及び従来例にて使用した粉砕材21は、硬質ウレタンフォームチップであり、使用したウレタンフォームはBASF INOACポリウレタン株式会社製で、品番はFORMLITE SLである。実施例と比較例で使用したバインダー繊維4は、ユニチカ株式会社製で、品番はメルティ4080であり、材料はポリエチレンである。実施例と従来例で使用した液体バインダー5は、BASF INOACポリウレタン株式会社製で、品番はFORMLITE 1150で、イソシアネートプレポリマーを配合したものである。
【0040】
実施例AからCまでの条件を説明し、実施例の中で結果を比較する。実施例のAとCとを比較すると、使用した材料は、共に粉砕材21の質量が1000g、バインダー繊維4の質量が50g、液体バインダー5の質量が100gである。成形品密度は共に50kg/mであり、粉砕材21のサイズのみが異なる。すなわち、Aは3~10mmの範囲であるのに対し、Cは10~30mmの範囲である。この結果、3点曲げ強度は、Aが7N/cmであるのに対し、Cは14N/cmである。粉砕材21のサイズが所定範囲で大きい方が3点曲げ強度が高い。
【0041】
実施例のAとBとを比較すると、使用した材料は、共に粉砕材21のサイズが3~10mmの範囲であるが、他の条件が異なる。使用した粉砕材21の質量は、Aが1000gに対してBが1200gである。使用したバインダー繊維4の質量は、Aが50gに対してBが60gである。使用した液体バインダー5は、Aが100gに対してBが120gである。これらは、成形品密度に差をつけるための条件であり、Aは50kg/mであり、Bは60kg/mである。この結果、3点曲げ強度は、Aが7N/cmであるのに対し、Bは10N/cmである。成形品密度が高い方が3点曲げ強度が高い。
【0042】
次に、実施例と比較例とを比較する。比較例は、実施例に対してバインダー繊維4を使用しない。使用した粉砕材21のサイズが同様の実施例Aと比較例Dとを比較する。比較例Dは、実施例Aよりも使用した液体バインダー5の質量が200gと多くなっている。他の条件は同様である。結果として比較例Dの3点曲げ強度は4N/cmであり、実施例Aよりも強度が低い。また、使用した粉砕材21のサイズが同様の実施例Cと比較例Eとを比較しても、比較例Eの方が使用した液体バインダー5の質量が200gと多いにも関わらず、3点曲げ強度は7N/cmであり低い値である。以上の結果から、実施例と比較例とを比較すると、バインダー繊維4を使用した方が3点曲げ強度が高いことがわかる。
【0043】
次に、実施例と従来例とを比較する。従来例は、例として特許文献1に記載の内容に即した条件である。従来例Fは実施例Aと対比する条件で、従来例Gは実施例Cと対比する条件で、従来例Fと従来例Gは共に液体バインダー5を使用しない例である。結果として従来例Fの3点曲げ強度は3N/cmであり、実施例Aよりも強度が低い。従来例Gの3点曲げ強度は6N/cmであり、実施例Cよりも強度が低い。以上の結果から、実施例と従来例とを比較すると、液体バインダー5を使用する方が、3点曲げ強度が高いことがわかる。
【0044】
次に、比較例と従来例とを比較する。比較例と従来例とは、バインダー繊維4又は液体バインダー5のいずれか一方のみを使用した場合の比較である。比較例Dと従来例Fとの間、及び比較例Eと従来例Gとの間は、それぞれ使用した粉砕材21の質量とサイズが同じである。この比較結果によれば、バインダー繊維4のみを使用する場合に比べ、液体バインダー5のみを使用する場合の方が3点曲げ強度が高いことがわかる。
【0045】
以上説明した比較結果により、本発明のポリウレタン製造方法によって製造されたポリウレタン成形体1は、比較例及び従来例と比べて強度が高い。よって、再生材を利用したポリウレタン成形体1は、住宅用断熱材その他の建材として適したものである。
【符号の説明】
【0046】
1 ポリウレタン成形体
2 断片
3 第一バインダー
4 バインダー繊維
13 第一樹脂
14 第二樹脂
24、25 型

図1
図2
図3
図4
図5