(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021947
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】遠心クラッチおよび遠心クラッチにおけるクラッチ特性の再生または変更方法
(51)【国際特許分類】
F16D 43/18 20060101AFI20250206BHJP
【FI】
F16D43/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023126075
(22)【出願日】2023-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000128175
【氏名又は名称】株式会社エフ・シー・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100136674
【弁理士】
【氏名又は名称】居藤 洋之
(72)【発明者】
【氏名】渡会 雅人
(72)【発明者】
【氏名】永名 悟一
(72)【発明者】
【氏名】横道 友太
【テーマコード(参考)】
3J068
【Fターム(参考)】
3J068AA01
3J068AA05
3J068BA14
3J068BB08
3J068CA03
3J068CC00
3J068DD17
(57)【要約】
【課題】アシストカム体の交換作業または遠心クラッチの組み立て作業を簡単化することができる遠心クラッチおよび遠心クラッチにおけるクラッチ特性の再生または変更方法を提供する。
【解決手段】遠心クラッチ200は、エンジンの駆動力によって回転駆動するドライブプレート210にクラッチウエイト240およびアシストカム体220を備える。クラッチウエイト240は、クラッチアウター250側に回転変位するとともにアシストカム体220に乗り上げるウエイト側従動部245が形成されている。アシストカム体220は、平面視で略方形状に形成されており、4つの側面にウエイト側従動部245に選択的に摺動する第1カム面221、第2カム面222、第3カム面223および第4カム面224を有している。また、アシストカム体220は、取付孔225がアシストカム体における横断面において偏心した位置に形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源からの駆動力を受けて回転駆動するドライブプレートと、
前記ドライブプレートの回転による遠心力でクラッチアウターの円筒面に接触または離隔するように変位する複数のクラッチウエイトと、
カム面を有して前記ドライブプレート上で回転自在に設けられたアシストカム体と、
前記クラッチウエイトに設けられて前記クラッチウエイトの変位の際に前記アシストカム体における前記カム面で押圧されるウエイト側従動部とを備え、
前記アシストカム体は、
前記カム面が複数形成されているとともに、これらの複数のカム面のうちの1つが前記ウエイト側従動部を押圧していることを特徴とする遠心クラッチ。
【請求項2】
請求項1に記載した遠心クラッチにおいて、
前記アシストカム体は、
前記複数のカム面のうちの少なくとも1つが平面で構成されており、
前記ウエイト側従動部は、
前記平面で構成された前記カム面に対して面接触する平面で構成されていることを特徴とする遠心クラッチ。
【請求項3】
請求項1に記載した遠心クラッチにおいて、
前記アシストカム体は、
前記複数のカム面のうちの少なくとも1つが曲面で構成されており、
前記ウエイト側従動部は、
前記曲面で構成された前記カム面に対して面接触または線接触する曲面で構成されていることを特徴とする遠心クラッチ。
【請求項4】
請求項1に記載した遠心クラッチにおいて、
前記アシストカム体は、
前記複数のカム面のうちの少なくとも2つの前記カム面における前記アシストカム体の回転中心軸に平行な方向の長さが互いに異なる長さに形成されていることを特徴とする遠心クラッチ。
【請求項5】
請求項1に記載した遠心クラッチにおいて、
前記アシストカム体は、
前記複数のカム面のうちの少なくとも2つの前記カム面における前記アシストカム体の回転中心軸に対する距離が互いに異なる距離に形成されていることを特徴とする遠心クラッチ。
【請求項6】
請求項1に記載した遠心クラッチにおいて、
前記アシストカム体は、
平面視で略方形に形成されて前記カム面が2つ以上かつ4つ以下で形成されていることを特徴とする遠心クラッチ。
【請求項7】
請求項1に記載した遠心クラッチにおいて、
前記アシストカム体は、
平面視で略三角形に形成されて前記カム面が2つ以上かつ3つ以下で形成されていることを特徴とする遠心クラッチ。
【請求項8】
請求項1に記載した遠心クラッチにおいて、
前記アシストカム体は、
前記複数のカム面のうちの少なくとも2つの前記カム面における表面粗さが互いに異なっていることを特徴とする遠心クラッチ。
【請求項9】
駆動源からの駆動力を受けて回転駆動するドライブプレートと、
前記ドライブプレートの回転による遠心力でクラッチアウターの円筒面に接触または離隔するように変位する複数のクラッチウエイトと、
カム面を有して前記ドライブプレート上で回転自在に設けられたアシストカム体と、
前記クラッチウエイトに設けられて前記クラッチウエイトの変位の際に前記アシストカム体における前記カム面で押圧されるウエイト側従動部とを備え、
前記アシストカム体は、
前記カム面が複数形成されているとともに、これらの複数のカム面のうちの1つが前記ウエイト側従動部を押圧している遠心クラッチにおけるクラッチ特性の再生または変更方法であって、
前記アシストカム体を構成する前記複数のカム面のうちの少なくとも2つの前記カム面のカム特性が互いに同じまたは異なるように形成しておき、前記カム特性が同じまたは異なる前記カム面を前記ウエイト側従動部に押圧させるように前記アシストカム体の前記カム面を変更することを特徴とする遠心クラッチにおけるクラッチ特性の再生または変更方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
エンジンが所定の回転数に達するまでの間は回転駆動力の従動側への伝達を遮断するとともに、エンジンが所定の回転数に達したときに回転駆動力を従動側に伝達する遠心クラッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、二輪自動車や刈払機などにおいては、エンジンが所定の回転数に達したときに回転駆動力を従動側に伝達する遠心クラッチが用いられている。例えば、下記特許文献1には、エンジンからの回転駆動力によって回転駆動するドライブプレートとこのドライブプレートに回転自在に支持されてドライブプレートの回転駆動によって径方向外側に開いてクラッチアウターに押し付けられるクラッチウエイトとを備えた遠心クラッチが開示されている。この場合、遠心クラッチは、ドライブプレートとクラッチウエイトとの間に一対のカムを構成する突起体(以降、「アシストカム体」という)および従動部をそれぞれ備えており、この一対のカムによってクラッチウエイトを迅速かつ強力にクラッチアウターに押し付けることができるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された遠心クラッチにおいては、ローラ状に構成されたアシストカム体の交換作業時または遠心クラッチの組み立て作業時にアシストカム体の用意が煩雑であるという問題がある。
【0005】
例えば、従来の遠心クラッチにおいては、アシストカム体が摩耗または損傷などの交換を要した場合においては新たなアシストカム体を用意しなければならないとともに、遠心クラッチのクラッチ特性をアシストカム体と従動部とによるカム特性によって変更したい場合においても所望するカム特性を発揮する新たなアシストカム体を別途用意しなければならない。また、カム特性(クラッチ特性)が異なる複数種類の遠心クラッチを組み立てる工程においては、所望するカム特性ごとにアシストカム体を用意しなければならない。
【0006】
本発明は上記問題に対処するためなされたもので、その目的は、アシストカム体の交換作業または遠心クラッチの組み立て作業を簡単化することができる遠心クラッチおよび遠心クラッチにおけるクラッチ特性の再生または変更方法を提供することにある。
【発明の概要】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、駆動源からの駆動力を受けて回転駆動するドライブプレートと、ドライブプレートの回転による遠心力でクラッチアウターの円筒面に接触または離隔するように変位する複数のクラッチウエイトと、カム面を有してドライブプレート上で回転自在に設けられたアシストカム体と、クラッチウエイトに設けられてクラッチウエイトの変位の際にアシストカム体におけるカム面で押圧されるウエイト側従動部とを備え、アシストカム体は、カム面が複数形成されているとともに、これらの複数のカム面のうちの1つがウエイト側従動部を押圧していることにある。
【0008】
これによれば、遠心クラッチは、アシストカム体にカム面が複数形成されているため、所望するカム面をウエイト側従動部に対向するようにドライブプレートに取り付けることで所望するカム特性を得ることができアシストカム体の交換作業または遠心クラッチの組み立て作業を簡単化することができる。この場合、遠心クラッチは、アシストカム体を構成する複数のカム面を互いに同じ形状に形成することでカム特性の維持または変化したカム特性を再生させることができるとともに、複数のカム面を互いに異なる形状に形成することでカム特性を変化させることができる。
【0009】
また、本発明の他の特徴は、前記遠心クラッチにおいて、アシストカム体は、複数のカム面のうちの少なくとも1つが平面で構成されており、ウエイト側従動部は、平面で構成されたカム面に対して面接触する平面で構成されていることにある。
【0010】
これによれば、遠心クラッチは、アシストカム体とウエイト側従動部とが面接触していることで面圧を下げてアシストカム体およびウエイト側従動部の劣化または損傷を抑えて長期間に亘って安定したカム特性を発揮させることができる。
【0011】
また、本発明の他の特徴は、前記遠心クラッチにおいて、アシストカム体は、複数のカム面のうちの少なくとも1つが曲面で構成されており、ウエイト側従動部は、曲面で構成されたカム面に対して面接触または線接触する曲面で構成されていることにある。
【0012】
これによれば、遠心クラッチは、アシストカム体が凸状または凹状の曲面に形成されているため、ウエイト側従動部の形状次第で両者を面接触で構成または線接触で構成することができる。すなわち、本発明に係る遠心クラッチにおいては、曲面状に形成されたアシストカム体を面接触が必要なウエイト側従動部を有する遠心クラッチと線接触が必要なウエイト側従動部を有する遠心クラッチとに共通して使用することができる。
【0013】
また、本発明の他の特徴は、前記遠心クラッチにおいて、アシストカム体は、複数のカム面のうちの少なくとも2つのカム面におけるアシストカム体の回転中心軸に平行な方向の長さが互いに異なる長さに形成されていることにある。
【0014】
これによれば、遠心クラッチは、アシストカム体を構成する複数のカム面のうちの少なくとも2つのカム面におけるアシストカム体の回転中心軸に平行な方向の長さが互いに異なる長さに形成されているため(つまり、互いに異なる形状に形成されている)、ウエイト側従動部に対するカム面が変更されることでカム特性、すなわち、クラッチ特性を変化させることができる。
【0015】
また、本発明の他の特徴は、前記遠心クラッチにおいて、アシストカム体は、複数のカム面のうちの少なくとも2つのカム面におけるアシストカム体の回転中心軸に対する距離が互いに異なる距離に形成されていることにある。
【0016】
これによれば、遠心クラッチは、アシストカム体を構成する複数のカム面のうちの少なくとも2つのカム面におけるアシストカム体の回転中心軸に対する距離が互いに異なる距離に形成されている。ここで、アシストカム体の回転中心軸に対する2つのカム面の各距離とは、2つのカム面において互いに対応した位置同士での回転中心軸までの距離であり、例えば、アシストカム体の回転中心軸に対して2つのカム面におけるそれぞれ最も近い部分までの距離(最短距離)である。すなわち、アシストカム体は、アシストカム体の回転中心軸方向に直交する横断面においてカム面を含む外表面に対して回転中心軸が偏心した位置に存在している。これにより、遠心クラッチは、ウエイト側従動部に対するカム面を変更することで面圧(換言すれば、カム推力)が変更されてカム特性、すなわち、クラッチ特性を変化させることができる。
【0017】
また、本発明の他の特徴は、前記遠心クラッチにおいて、アシストカム体は、平面視で略方形に形成されてカム面が2つ以上かつ4つ以下で形成されていることにある。
【0018】
これによれば、遠心クラッチは、アシストカム体が平面視で略方形に形成されてカム面が2つ以上かつ4つ以下で形成されているため、1つのアシストカム体において最大で4つのカム特性を発揮させることができる。なお、アシストカム体の平面視で略方形とは、厳密な四角形状のみばかりでなく、角部または辺が厳密には曲面であっても実質的に正方形または長方形などの各種方形状に形成されていることを意味するものである。
【0019】
また、本発明の他の特徴は、前記遠心クラッチにおいて、アシストカム体は、平面視で略三角形に形成されてカム面が2つ以上かつ3つ以下で形成されていることにある。
【0020】
これによれば、遠心クラッチは、アシストカム体が平面視で略三角形に形成されてカム面が2つまたは3つ形成されているため、1つのアシストカム体において最大で3つのカム特性を発揮させることができる。なお、アシストカム体の平面視で略三角形とは、厳密な三角形状のみばかりでなく、角部または辺が厳密には曲面であっても実質的に正三角形、二等辺三角形または直角三角形などの各種三角形状に形成されていることを意味するものである。
【0021】
また、本発明の他の特徴は、前記遠心クラッチにおいて、アシストカム体は、複数のカム面のうちの少なくとも2つのカム面における表面粗さが互いに異なっていることにある。
【0022】
これによれば、遠心クラッチは、アシストカム体を構成する複数のカム面のうちの少なくとも2つのカム面における表面粗さが互いに異なって形成されて結果として互いに異なる形状に形成されているため、ウエイト側従動部に対するカム面を変更することでカム特性、すなわち、クラッチ特性を変化させることができる。
【0023】
また、本発明は、遠心クラッチの発明として実施できるばかりでなく、遠心クラッチにおけるクラッチ特性の再生または変更方法の発明としても実施できるものである。
【0024】
具体的には、遠心クラッチにおけるクラッチ特性の再生または変更方法は、駆動源からの駆動力を受けて回転駆動するドライブプレートと、ドライブプレートの回転による遠心力でクラッチアウターの円筒面に接触または離隔するように変位する複数のクラッチウエイトと、カム面を有してドライブプレート上で回転自在に設けられたアシストカム体と、クラッチウエイトに設けられてクラッチウエイトの変位の際にアシストカム体におけるカム面で押圧されるウエイト側従動部とを備え、アシストカム体は、カム面が複数形成されているとともに、これらの複数のカム面のうちの1つがウエイト側従動部を押圧している遠心クラッチにおけるクラッチ特性の再生または変更方法であって、アシストカム体を構成する複数のカム面のうちの少なくとも2つのカム面のカム特性が互いに同じまたは異なるように形成しておき、カム特性が同じまたは異なるカム面をウエイト側従動部に押圧させるようにアシストカム体のカム面を変更するようにすればよい。これによれば、遠心クラッチにおけるクラッチ特性の再生または変更方法は、上記した遠心クラッチと同様の作用効果を期待することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明に係る遠心クラッチを備えた動力伝達機構の構成を概略的に示す平面断面図である。
【
図2】
図1に示す2-2線から見た遠心クラッチの側面図である。
【
図3】
図1および
図2にそれぞれ示す遠心クラッチにおけるドライブプレートにアシストカム体を組み付ける様子を示す斜視図である。
【
図4】
図1および
図2にそれぞれ示す遠心クラッチにおけるドライブプレートにクラッチウエイトを組み付ける様子を示す斜視図である。
【
図5】
図2に示す遠心クラッチについてクラッチシューがクラッチアウターに接触しないクラッチオフ状態で示す部分拡大図である。
【
図6】
図5に示す遠心クラッチにおけるクラッチシューがクラッチアウターに押し付けられたクラッチオン状態を示した部分拡大図である。
【
図7】
図6に示す遠心クラッチにおけるクラッチウエイトがドライブプレートの径方向内側に回転する状態を示した部分拡大図である。
【
図8】
図5に示す遠心クラッチについてアシストカム体の第1カム面がクラッチウエイトのウエイト側従動部に摺動する際のカム角を説明するための部分拡大図である。
【
図9】
図5に示す遠心クラッチについてアシストカム体の第3カム面がクラッチウエイトのウエイト側従動部に摺動する際のカム角を説明するための部分拡大図である。
【
図10】本発明の変形例に係るアシストカム体の外観構成の概略を示す平面図である。
【
図11】(A)~(C)は本発明の他の変形例に係るアシストカム体の外観構成の概略をそれぞれ示しており、(A)は平面視で長方形状のアシストカム体の平面図であり、(B)はカム面に円弧曲面を含むアシストカム体の平面図であり、(C)は取付孔が横断面において偏心した位置に形成されているアシストカム体の平面図である。
【
図12】(A)~(C)は本発明の他の変形例に係るアシストカム体の外観構成の概略をそれぞれ示しており、(A)は平面視で正三角形状のアシストカム体の平面図であり、(B)はカム面が円弧曲面に形成されたアシストカム体の平面図であり、(C)は取付孔が横断面において偏心した位置に形成されているアシストカム体の平面図である。
【
図13】本発明の他の変形例に係るアシストカム体の外観構成の概略を示す平面図である。
【
図14】(A),(B)は本発明の他の変形例に係るアシストカム体の外観構成の概略をそれぞれ示しており、(A)は平面視で楕円形状のアシストカム体の平面図であり、(B)は取付孔が横断面において偏心した位置に形成されているアシストカム体の平面図である。
【
図15】本発明の他の変形例に係るアシストカム体の外観構成の概略を示す斜視図である。
【
図16】本発明の他の変形例に係るアシストカム体をドライブプレートに取り付ける様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る遠心クラッチの一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る遠心クラッチ200を備えた動力伝達機構100の構成を概略的に示す平面断面図である。また、
図2は、
図1に示す2-2線から見た遠心クラッチ200の側面図である。この場合、
図1は、遠心クラッチ200における上側半分の図が可動ドリブンプレート134が固定ドリブンプレート131に最接近した状態を示すとともに、下側半分の図が可動ドリブンプレート134が固定ドリブンプレート131に対して最も離隔した状態を示している。
【0027】
この遠心クラッチ200を備えた動力伝達機構100は、主としてスクータなどの自動二輪車両において、エンジンと駆動輪である後輪との間に設けられてエンジンの回転数に対する減速比を自動的に変更しながら回転駆動力を後輪に伝達または遮断する機械装置である。具体的には、遠心クラッチ200は、エンジンが所定の回転数に達するまでの間は回転駆動力の従動側への伝達を遮断するとともに、エンジンが所定の回転数に達したときに回転駆動力を従動側に伝達する機械装置である。
【0028】
(遠心クラッチ200の構成)
この動力伝達機構100は、主として、変速機101および遠心クラッチ200をそれぞれ備えている。変速機101は、図示しないエンジンからの回転駆動力を無段階で減速して遠心クラッチ200に伝達する機械装置であり、主として、ドライブプーリ110、Vベルト120およびドリブンプーリ130をそれぞれ備えて構成されている。これらのうち、ドライブプーリ110は、エンジンから延びるクランク軸111上に設けられてエンジンの回転駆動力によって直接回転駆動する機械装置であり、主として、固定ドライブプレート112および可動ドライブプレート113をそれぞれ備えて構成されている。
【0029】
固定ドライブプレート112は、可動ドライブプレート113とともにVベルト120を挟んで保持した状態で回転駆動する部品であり、金属材料を円錐筒状に形成して構成されている。この固定ドライブプレート112は、凸側の面が可動ドライブプレート113側(エンジン側)に向いた状態でクランク軸111上に固定的に取り付けられている。すなわち、固定ドライブプレート112は、常にクランク軸111と一体的に回転駆動する。また、固定ドライブプレート112における凹側の面上には、複数の放熱フィン112aがクランク軸111の軸線を中心として放射状に設けられている。
【0030】
可動ドライブプレート113は、固定ドライブプレート112とともにVベルト120を挟んで保持した状態で回転駆動する部品であり、アルミニウム材などの金属材料を円錐筒状に形成して構成されている。この可動ドライブプレート113は、凸側の面が固定ドライブプレート112に対向する向きでクランク軸111に取り付けられている。この場合、可動ドライブプレート113は、クランク軸111に対して固定的に嵌合するスリーブ軸受114上に含浸ブッシュを介して取り付けられており、スリーブ軸受114に対して軸方向および周方向にそれぞれ摺動自在に取り付けられている。
【0031】
一方、可動ドライブプレート113の凹側の面には、複数のローラウエイト115がランププレート116によって押圧された状態で設けられている。ローラウエイト115は、可動ドライブプレート113の回転数の増加に応じて径方向外側に変位することによってランププレート116と協働して可動ドライブプレート113を固定ドライブプレート112側に押圧するための部品であり、アルミニウム材などの金属材料を筒状に形成して構成されている。また、ランププレート116は、ローラウエイト115を可動ドライブプレート113側に押圧する部品であり、アルミニウム材などの金属板を可動ドライブプレート113側に屈曲させて構成されている。
【0032】
Vベルト120は、ドライブプーリ110の回転駆動力をドリブンプーリ130に伝達するための部品であり、芯線をゴム材などの弾性材料で覆った無端のリング状に形成されている。このVベルト120は、固定ドライブプレート112と可動ドライブプレート113との間およびドリブンプーリ130における固定ドリブンプレート131と可動ドリブンプレート134との間に配置されてドライブプーリ110とドリブンプーリ130との間に架設されている。
【0033】
ドリブンプーリ130は、ドライブプーリ110およびVベルト120をそれぞれ介して伝達されるエンジンからの回転駆動力によって回転駆動する機械装置であり、主として、固定ドリブンプレート131および可動ドリブンプレート134をそれぞれ備えて構成されている。
【0034】
固定ドリブンプレート131は、可動ドリブンプレート134とともにVベルト120を挟んで保持した状態で回転駆動する部品であり、アルミニウム材などの金属材料を円錐筒状に形成して構成されている。この固定ドリブンプレート131は、凸側の面が可動ドリブンプレート134側に向いた状態でドリブンスリーブ132上に固定的に取り付けられている。
【0035】
ドリブンスリーブ132は、固定ドリブンプレート131と一体的に回転駆動する金属製(例えば、アルミニウム材など)の筒状部品であり、ドライブシャフト133に対してベアリングを介して相対回転自在に取り付けられている。ドライブシャフト133は、この動力伝達機構100が搭載される自動二輪車両の後輪を図示しないトランスミッションを介して駆動するための金属製(例えば、鋼製など)の回転軸体である。この場合、自動二輪車両の後輪は、ドライブシャフト133における一方(図示右側)の端部に取り付けられている。
【0036】
可動ドリブンプレート134は、固定ドリブンプレート131とともにVベルト120を挟んで保持した状態で回転駆動する部品であり、アルミニウム材などの金属材料を円錐筒状に形成して構成されている。この可動ドリブンプレート134は、凸側の面が固定ドリブンプレート131に対向する向きでドリブンスリーブ132に対して軸方向に摺動自在な状態で嵌合している。
【0037】
一方、可動ドリブンプレート134の凹側の面には、遠心クラッチ200におけるドライブプレート210との間にトルクスプリング135が設けられている。トルクスプリング135は、可動ドリブンプレート134を固定ドリブンプレート131側に弾性的に押圧するコイルスプリングである。すなわち、この変速機101は、固定ドライブプレート112と可動ドライブプレート113との間隔で規定されるVベルト120を挟む直径と、固定ドリブンプレート131と可動ドリブンプレート134との間隔で規定されるVベルト120を挟む直径との大小関係によってエンジンの回転数を無段階で変速する。そして、ドリブンスリーブ132およびドライブシャフト133における各先端部側には遠心クラッチ200が設けられている。
【0038】
遠心クラッチ200は、変速機101を介して伝達されたエンジンの回転駆動力をドライブシャフト133に伝達または遮断する機械装置であり、主として、ドライブプレート210、3つのクラッチウエイト240およびクラッチアウター250をそれぞれ備えて構成されている。
【0039】
ドライブプレート210は、ドリブンスリーブ132と一体的に回転駆動する部品であり、アルミニウム材などの金属材料を段付きの円板状に形成して構成されている。より具体的には、ドライブプレート210は、
図3および
図4にそれぞれ示すように、平板状の底部211の中央部にドリブンスリーブ132が貫通する貫通孔211aが形成されているとともに、この底部211の周囲に起立した筒部212の先端部にフランジ状に張り出した鍔部213が形成されて構成されている。鍔部213には、周方向に沿ってそれぞれ3つずつの揺動支持ピン214、カム体支持ピン217およびダンパー受けピン230がそれぞれ周方向に等間隔で設けられている。
【0040】
揺動支持ピン214は、後述するクラッチウエイト240における一方の端部側を回転可能に支持して他方の端部側を揺動させるための部品であり、金属製の段付きの棒体で構成されている。この場合、揺動支持ピン214は、取付ボルト214aによって鍔部213に固定的に取り付けられている。この揺動支持ピン214は、外周部に支点側摺動部材215を介してクラッチウエイト240のピン摺動孔241内を貫通した状態でクラッチウエイト240を支持している。この場合、揺動支持ピン214は、ピン摺動孔241を貫通して突出する先端部にサイドプレート216がEリング214bによって取り付けられており、取付ボルト214aとサイドプレート216とでクラッチウエイト240を挟んだ状態で支持している。
【0041】
支点側摺動部材215は、揺動支持ピン214とピン摺動孔241との間に配置されて両者の摺動性を向上させるための部品であり、樹脂材料を円筒状に形成して構成されている。この支点側摺動部材215は、揺動支持ピン214およびピン摺動孔241に対してそれぞれ回転摺動可能な内径および外径、すなわち、揺動支持ピン214およびピン摺動孔241に対してそれぞれ隙間ばめとなる寸法公差に形成されている。
【0042】
また、支点側摺動部材215を構成する樹脂材料としては、耐熱性および耐摩耗性を有する熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を用いることができ、エンジニアリングプラスチックまたはスーパーエンジニアリングプラスチックが好適である。具体的には、熱可塑性樹脂としては、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリアミドイミド樹脂(PAI)、フッ素樹脂(PTFE)またはポリイミド樹脂(PI)を用いることができ、熱硬化性樹脂としては、ジアリルフタレート樹脂(PDAP)、エポキシ樹脂(EP)またはシリコン樹脂(SI)を用いることができる。
【0043】
サイドプレート216は、3つのクラッチウエイト240が各揺動支持ピン214から抜けることを防止するための部品であり、金属材料をリング状に形成して構成されている。このサイドプレート216は、3つのクラッチウエイト240に対してドライブプレート210とは反対側で各クラッチウエイト240にそれぞれ面した状態で配置されている。
【0044】
カム体支持ピン217は、アシストカム体220を回転自在な状態で支持するための部品であり、金属製の段付きの棒体で構成されている。このカム体支持ピン217は、クラッチウエイト240におけるピン摺動孔241よりもクラッチウエイト240の先端部側の部分に対向する鍔部213上に取付ボルト217aによって固定的に取り付けられる。
【0045】
アシストカム体220は、クラッチウエイト240をクラッチアウター250側に押圧するカム推力を発生させるための部品であり、樹脂材料を平面視で略方形の筒状に形成して構成されている。より具体的には、アシストカム体220は、前記支点側摺動部材215と同様の樹脂材料で構成されており、第1カム面221、第2カム面222、第3カム面223、第4カム面224および取付孔225をそれぞれ備えて構成されている。
【0046】
第1カム面221、第2カム面222、第3カム面223、第4カム面224は、クラッチウエイト240におけるウエイト側従動部245が押し付けられて摺動することでクラッチウエイト240に対する押圧力であるカム推力を発生させる部分である。これらの第1カム面221、第2カム面222、第3カム面223、第4カム面224は、平面視で略正方形の筒状に形成されたアシストカム体220における4つの側面をそれぞれ構成している。ここで、略方形または略正方形における「略」とは、厳密な方形または正方形のほか、実質的に方形または正方形を含む意味であり、以降の「略」も同義である。
【0047】
本実施形態においては、第1カム面221と第3カム面223とが互いに反対側の側面を構成して互いに平行に延びて形成されており、第2カム面222と第4カム面224とが第1カム面221および第3カム面223にそれぞれ直交する方向に互いに平行に延びて互いに反対側の側面を構成している。この場合、第1カム面221、第2カム面222、第3カム面223、第4カム面224は、互いに同じ形状および同じ表面粗さで形成されている。また、アシストカム体220は、4つの角部が凸状の円弧曲面にそれぞれ形成されている。
【0048】
取付孔225は、ドライブプレート210に設けられたカム体支持ピン217が回転摺動可能な状態で貫通する貫通孔であり、カム体支持ピン217に対して回転摺動可能な内径、すなわち、カム体支持ピン217に対して所謂隙間ばめとなる寸法公差で形成されている。この取付孔225は、アシストカム体220の平面視で重心位置からずれた位置、すなわち、偏心した位置に形成されている。具体的には、取付孔225は、第1カム面221と第3カム面223との間において第3カム面223側に偏った位置で、かつ第2カム面222と第4カム面224との間における中央位置を円筒の中心として形成されている。
【0049】
ダンパー受けピン230は、ダンパー231を支持するための部品であり、金属製の棒体で構成されている。ダンパー231は、クラッチウエイト240における前記他方の端部側をクラッチアウター250に対して接近または離隔させる揺動運動を案内するとともに離隔時における緩衝材となる部品であり、ゴム材またはエラストマ材などの弾性体を円筒状に形成して構成されている。このダンパー231は、ダンパー受けピン230の外周面上に固定的に嵌合している。
【0050】
3つのクラッチウエイト240は、それぞれドライブプレート210の回転数に応じてクラッチアウター250に対してクラッチシュー243を介して接触または離隔することによってエンジンからの回転駆動力をドライブシャフト133に伝達または遮断するための部品であり、金属材料(例えば、亜鉛材)をドライブプレート210の周方向に沿って延びる湾曲した形状に形成して構成されている。
【0051】
これらのクラッチウエイト240は、それぞれ一方の端部側がピン摺動孔241を貫通する支点側摺動部材215および揺動支持ピン214によって回転自在に支持された状態で、他方の端部側が互いに隣接するクラッチウエイト240に金属製のコイルバネからなる連結スプリング242によって連結されてドライブプレート210の内側方向に向かって引っ張られている。すなわち、クラッチウエイト240は、前記他方の端部側の外周部がクラッチシュー243を介してクラッチアウター250に対して揺動自在な状態でドライブプレート210上に揺動支持ピン214、支点側摺動部材215およびピン摺動孔241をそれぞれ介して支持されている。
【0052】
なお、
図2においては、クラッチウエイト240の構成を分かり易くするため、3つのクラッチウエイト240のうちの1つのクラッチウエイト240における2か所をそれぞれ異なる厚さ方向の面で破断して示している。また、
図2においては、遠心クラッチ200におけるドライブプレート210、クラッチアウター250の回転駆動方向をそれぞれ破線矢印で示している。
【0053】
ピン摺動孔241は、前記ドライブプレート210における揺動支持ピン214に回転自在かつ摺動自在に嵌合する部分であり、クラッチウエイト240の厚さ方向に貫通する貫通孔によって構成されている。このピン摺動孔241は、クラッチシュー243がクラッチアウター250に接触した際にクラッチウエイト240における前記一方の端部側がドライブプレート210の回転駆動方向の後方側に変位するように長孔状に形成されている。本実施形態においては、ピン摺動孔241は、ドライブプレート210の回転駆動方向の前方側に円弧状に延びて形成されている。
【0054】
クラッチシュー243は、クラッチアウター250の内周面に対する摩擦力を増大させるための部品であり、摩擦材を円弧状に延びる板状に形成して構成されている。このクラッチシュー243は、各クラッチウエイト240におけるピン摺動孔241とは反対側の
先端部側の外周面に設けられている。
【0055】
また、各クラッチウエイト240におけるドライブプレート210に対向する面には、アシストカム体220を覆うように凹状に窪んだ形状でアシストカム体収容部244がそれぞれ形成されているとともに、ダンパー231を覆うように凹状に窪んだ形状でダンパー溝246がそれぞれ形成されている。
【0056】
アシストカム体収容部244は、アシストカム体220に乗り上げるウエイト側従動部245が形成される部分であり、クラッチウエイト240の内周面に開口して径方向外側に延びる溝状に形成されるとともに最奥部がアシストカム体220に接触しないように凹状に形成されている。
【0057】
ウエイト側従動部245は、アシストカム体220と協働してクラッチウエイト240をクラッチアウター250側に変位させるための部分であり、ドライブプレート210の回転駆動方向の後方側に面する滑らかな平面で構成されている。より具体的には、ウエイト側従動部245は、アシストカム体220の第1カム面221~第4カム面224のうちの1つのカム面に面接触で押し付けられる摺動面がドライブプレート210の回転駆動方向の後方かつ外側に向かって直線状に延びる平坦な面に形成されている。
【0058】
ダンパー溝246は、ダンパー231を挟んだ状態で収容する部分であり、クラッチウエイト240の内周面に開口するとともにして同クラッチウエイト240がクラッチアウター250に対して接近または離隔する回転変位方向に沿って湾曲しつつ延びる溝状に形成されている。
【0059】
クラッチアウター250は、ドライブシャフト133と一体的に回転駆動する部品であり、金属材料をドライブプレート210からクラッチウエイト240の外周面を覆うカップ状に形成して構成されている。すなわち、クラッチアウター250は、ドライブプレート210の外周側に変位したクラッチウエイト240のクラッチシュー243に摩擦接触する円筒面251を有して構成されている。
【0060】
(遠心クラッチ200の組み立て)
次に、上記のように構成した遠心クラッチ200の組み立て作業について説明する。この遠心クラッチ200の組み立て作業については本発明に直接関わる部分、すなわち、アシストカム体220を組み付ける前後の作業のみについて説明する。
【0061】
作業者は、1つのドライブプレート210に対して3つのアシストカム体220を用意する。この場合、ドライブプレート210には、鍔部213上にそれぞれ揺動支持ピン214、カム体支持ピン217およびダンパー受けピン230がそれぞれ3つずつきりつした状態で設けられている(
図3参照)。
【0062】
次に、作業者は、3つのカム体支持ピン217にアシストカム体220をそれぞれ装着する。具体的には、作業者は、カム体支持ピン217にアシストカム体220における取付孔225を貫通させる。この場合、作業者は、クラッチウエイト240のウエイト側従動部245に摺動させるアシストカム体220の第1カム面221~第4カム面224のうちのいずれか1つのカム面をウエイト側従動部245に対向する向きでカム体支持ピン217にアシストカム体220を嵌合させる。本実施形態においては、作業者は、アシストカム体220の第1カム面221をクラッチウエイト240のウエイト側従動部245に対向する向きでカム体支持ピン217にアシストカム体220を嵌合させる(
図4参照)。
【0063】
次に、作業者は、支点側摺動部材215およびダンパー231をそれぞれ3つずつ用意して各揺動支持ピン214に支点側摺動部材215をそれぞれ嵌合させるとともに、各ダンパー受けピン230にダンパー231をそれぞれ嵌合させる。次に、作業者は、クラッチウエイト240および連結スプリング242をそれぞれ3つずつ用意して3つのクラッチウエイト240を連結スプリング242によって円環状に連結する。
【0064】
次に、作業者は、3つのクラッチウエイト240を連結スプリング242によって円環状に連結した連結体をドライブプレート210に取り付ける。具体的には、作業者は、ドライブプレート210の揺動支持ピン214にクラッチウエイト240における各ピン摺動孔241をそれぞれ貫通させて3つのクラッチウエイト240をドライブプレート210上に載置する。この場合、各クラッチウエイト240における各アシストカム体収容部244内にカム体支持ピン217に嵌合するアシストカム体220がそれぞれ位置するとともに、各ダンパー溝246内にダンパー受けピン230に嵌合するダンパー231がそれぞれ位置する。
【0065】
次に、作業者は、1つのサイドプレート216および3つのEリング214bをそれぞれ用意してサイドプレート216を3つのクラッチウエイト240を覆うように配置する。この場合、作業者は、各揺動支持ピン214がサイドプレート216を貫通するようにサイドプレート216を配置するとともに、サイドプレート216をそれぞれ貫通した各揺動支持ピン214の先端部にEリング214bを嵌め込んでサイドプレート216をクラッチウエイト240上に固定する。これにより、作業者は、遠心クラッチ200の主要部を組み立てることができる。
【0066】
(遠心クラッチ200の作動)
次に、上記のように構成した遠心クラッチ200の作動について
図5~
図7を用いて説明する。なお、この
図5~
図7においては、Eリング214b、サイドプレート216および連結スプリング242を省略している。また、
図6,
図7においては、遠心クラッチ200におけるドライブプレート210、クラッチアウター250の回転駆動方向をそれぞれ太い破線矢印で示している。また、
図7おいては、アシストカム体220の回転方向をそれぞれ細い破線矢印で示している。
【0067】
この遠心クラッチ200は、自動二輪車車両(例えば、スクータ)におけるエンジンと駆動輪となる後輪との間に配置された動力伝達機構100の一部を構成して機能する。まず、遠心クラッチ200は、エンジンがアイドリング状態においては、
図5に示すように、エンジンとドライブシャフト133との間の駆動力の伝達を遮断する。具体的には、遠心クラッチ200は、変速機101を介して伝達されるエンジンの回転駆動力によってドライブプレート210が回転駆動してクラッチウエイト240が回転駆動する。
【0068】
しかし、この場合、遠心クラッチ200は、クラッチウエイト240に作用する遠心力が連結スプリング242の弾性力(引張力)よりも小さいため、クラッチシュー243がクラッチアウター250の円筒面251に接触せずエンジンの回転駆動力がドライブシャフト133に伝達されないクラッチオフ状態となっている。このクラッチオフ状態においては、ウエイト側従動部245は、連結スプリング242の弾性力(引張力)によってアシストカム体220における第1カム面221に押し付けられて接触した状態を維持している。
【0069】
また、このクラッチオフ状態においては、クラッチウエイト240は、連結されている2つの連結スプリング242のうちの揺動支持ピン214に対してより遠い位置から引っ張る連結スプリング242(ウエイト側従動部245に隣接した位置に引っ掛けられている連結スプリング242)の引張力によって引っ張られる。この場合、クラッチウエイト240は、ピン摺動孔241が長孔状に形成されているため、ウエイト側従動部245に隣接した位置に引っ掛けられている連結スプリング242側に変位する。これにより、揺動支持ピン214は、ピン摺動孔241におけるドライブプレート210の回転駆動方向の後方側端部に位置することになる(
図5参照)。
【0070】
次に、遠心クラッチ200は、自動二輪車両における運転者のアクセル操作によるエンジンの回転数の増加に応じてエンジンの回転駆動力をドライブシャフト133に伝達する。具体的には、遠心クラッチ200は、エンジンの回転数が増加するに従ってクラッチウエイト240に作用する遠心力が連結スプリング242の弾性力(引張力)よりも大きくなってクラッチウエイト240が揺動支持ピン214を中心として径方向外側に向かって回転変位する。すなわち、遠心クラッチ200は、
図6に示すように、エンジンの回転数が増加するに従ってクラッチウエイト240が連結スプリング242の弾性力およびダンパー231とダンパー溝246との間の摺動抵抗にそれぞれ抗しながらクラッチアウター250の円筒面251側に回転変位する結果、クラッチシュー243が円筒面251に接触する。
【0071】
クラッチシュー243が円筒面251に接触した場合、クラッチウエイト240は、クラッチシュー243を介して回転駆動方向とは反対方向の反力を受ける。この場合、ピン摺動孔241は、ドライブプレート210の周方向に沿う長孔状に形成されているとともに、揺動支持ピン214がピン摺動孔241におけるドライブプレート210の回転駆動方向の後方側端部に位置している。すなわち、クラッチウエイト240は、ドライブプレート210の回転駆動方向の後方側への変位が許容された状態にあるため、クラッチシュー243を介して受ける反力によってドライブプレート210の回転駆動方向とは反対方向に相対変位する。
【0072】
これらにより、クラッチウエイト240に形成されたウエイト側従動部245は、
図7に示すように、アシストカム体220に強く押し付けられる。この場合、アシストカム体220は、カム体支持ピン217に対して回転自在に支持されているため、ウエイト側従動部245による押し付けによって図示反時計回りに回転する(
図7の細い破線矢印参照)。これにより、クラッチウエイト240は、ウエイト側従動部245がアシストカム体220を回転させながらアシストカム体220上に乗り上がるに従って径方向外側のクラッチアウター250側に押されてクラッチシュー243が同円筒面251に押し付けられる。
【0073】
この結果、遠心クラッチ200は、クラッチシュー243がクラッチアウター250の円筒面251に接触した後、極めて短時間(換言すれば、瞬間的)にクラッチシュー243が円筒面251に押し付けられてクラッチウエイト240がアシストカム体220とクラッチアウター250との間に楔状に入り込んだ状態となる。これにより、遠心クラッチ200は、エンジンの回転駆動力を完全にドライブシャフト133に伝達するクラッチオン状態となる。
【0074】
このクラッチオン状態において遠心クラッチ200は、クラッチシュー243がクラッチアウター250の円筒面251に押し付けられた状態を維持するため、ドライブプレート210とクラッチアウター250とは一体的に回転駆動する。これにより、自動二輪車両は、エンジンの回転駆動力によって後輪が回転駆動して走行することができる。
【0075】
一方、エンジンの回転数が減少していく場合においては、遠心クラッチ200は、エンジンの回転駆動力のドライブシャフト133への伝達を遮断する。具体的には、遠心クラッチ200は、エンジンの回転数が減少するに従ってクラッチウエイト240に作用する遠心力が連結スプリング242の弾性力(引張力)よりも小さくなってクラッチウエイト240が揺動支持ピン214を中心として径方向内側に向かって回転する。
【0076】
この場合、ピン摺動孔241は、ドライブプレート210の周方向に沿う長孔状に形成されているとともに、揺動支持ピン214がピン摺動孔241におけるドライブプレート210の回転駆動方向の後方側の端部より若干前方側に位置している。すなわち、クラッチウエイト240は、ドライブプレート210の回転駆動方向の前方側への変位が許容された状態にあるため、連結スプリング242の弾性力(引張力)によってドライブプレート210の回転駆動方向の前方に向かってドライブプレート210に対して相対的に回転する。
【0077】
これにより、クラッチウエイト240は、ウエイト側従動部245がアシストカム体220を図示時計回りに回転させながらドライブプレート210の回転駆動方向の前方側および径方向内側にそれぞれ回転変位して元の位置(前記アイドリング時の位置)に復帰する(
図5参照)。すなわち、遠心クラッチ200は、クラッチシュー243がクラッチアウター250に接触せず回転駆動力を伝達しないクラッチオフ状態となる。
【0078】
次に、アシストカム体220のカム面の変更について説明する。この遠心クラッチ200は、遠心クラッチ200に組み込まれているアシストカム体220の向きを変えてウエイト側従動部245を押圧するカム面(第1カム面221、第2カム面222、第3カム面223および第4カム面224)を変更することでカム特性の再生または変更を行うことができる。
【0079】
具体的には、作業者は、遠心クラッチ200が組み込まれている自動二輪車車両から遠心クラッチ200を取り出した後、サイドプレート216を取り外す。次に、作業者は、連結スプリング242によって連結された3つのクラッチウエイト240をドライブプレート210から取り外す。これにより、ドライブプレート210上に3つのアシストカム体220が露出する(
図3、
図4参照)。
【0080】
次に、作業者は、カム体支持ピン217に保持されているアシストカム体220をカム体支持ピン217の軸周りで回転させる。この場合、作業者は、第2カム面222、第3カム面223および第4カム面224のうちのいずれか1つをクラッチウエイト240のウエイト側従動部245に対向する向きにアシストカム体220を回転させる。ここで、第2カム面222、第3カム面223および第4カム面224は、第1カム面221に対して回転中心軸O(取付孔225の中心軸)に対する形成位置が異なっているためカム特性を変更することができる。なお、作業者は、カム体支持ピン217に保持されているアシストカム体220を取り外して向きを変えて再びカム体支持ピン217に保持させてもよいことは当然である。
【0081】
本実施形態においては、作業者は、第3カム面223をクラッチウエイト240のウエイト側従動部245に対向する向きにアシストカム体220をカム体支持ピン217の軸周りで回転させる。この場合、作業者は、3つのアシストカム体220について全て同じカム面がウエイト側従動部245に対向するように回転させる。そして、作業者は、前記した遠心クラッチ200の組み付け作業と同様にしてクラッチウエイト240およびサイドプレート216を取り付けて遠心クラッチ200を完成させた後、この遠心クラッチ200を再び自動二輪車車両内に組み込む。
【0082】
これにより、作業者は、遠心クラッチ200におけるカム特性を変更することでクラッチ特性を変更することができる。具体的には、遠心クラッチ200は、
図8および
図9にそれぞれ示すように、ウエイト側従動部245に第1カム面221を対向するようにアシストカム体220をセット(向き決め)した場合には、ウエイト側従動部245に第1カム面221を対向するようにアシストカム体220をセット(向き決め)した場合に比べてカム角が大きくなってカム推力が減少することでクラッチウエイト240がクラッチアウター250を押圧する押圧力を低減させることができる。すなわち、第1カム面221、第2カム面222、第3カム面223および第4カム面224が本発明に係るカム面に相当する。
【0083】
ここで、カム角度とは、アシストカム体220とウエイト側従動部245とが互いに接触する摺動部分とドライブプレート210の回転駆動中心とを通る直線に対する法線と前記摺動部分における摺動方向線との角度である。この場合、前記摺動部分が面接触である場合には摺動方向における摺動部分の長さの中央位置である。また、摺動方向線は、アシストカム体220およびウエイト側従動部245のうちの少なくとも一方が曲面である場合には、摺動部分における前記曲面の接線である。そして、このカム角度は、大きいほどアシスト推力が小さくなるとともに、カム角度が小さくなるほどアシスト推力が大きくなる。
【0084】
なお、本実施形態においては、アシストカム体220における第1カム面221を第3カム面223に変更した。これにより、アシストカム体220とウエイト側従動部245との間で発生するカム特性を変更することができる。しかし、アシストカム体220は、第2カム面222と第4カム面224とは、同じ形状で回転中心軸O(取付孔225の中心軸)に対する形成位置が同じに形成されている。したがって、アシストカム体220は、第2カム面222と第4カム面224との間で変更することで同じカム特性を維持または再生することができる。
【0085】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、遠心クラッチ200は、アシストカム体220にカム面が第1カム面221~第4カム面224まで複数形成されているため、所望するカム面をウエイト側従動部245に対向するようにドライブプレート210にセット(向き決め)することで所望するカム特性を得ることができアシストカム体220の交換作業または遠心クラッチ200の組み立て作業を簡単化することができる。
【0086】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。なお、各変形例の説明においては、上記実施形態と同様の部分については同じ符号を付して重複する説明は省略する。
【0087】
例えば、上記実施形態においては、アシストカム体220は、アシストカム体220の回転中心軸Oとなる取付孔225を平面視で第1カム面221と第3カム面223との間における第3カム面223側に偏った位置で、かつ第2カム面222と第4カム面224との間における中央位置に形成した。しかし、アシストカム体220は、アシストカム体220の回転中心軸Oとなる取付孔225を平面視で第1カム面221と第3カム面223との間における中央位置で、かつ第2カム面222と第4カム面224との間における一方に偏った位置に形成することもできる。
【0088】
すなわち、遠心クラッチ200は、アシストカム体220を構成する複数のカム面のうちの少なくとも2つのカム面におけるアシストカム体220の回転中心軸Oに対する距離が互いに異なる距離に形成することができる。換言すれば、遠心クラッチ200は、アシストカム体220の回転中心軸Oがアシストカム体220における回転中心軸Oに直交する断面における重心位置とは異なる位置を通るように構成することができる。したがって、アシストカム体220は、アシストカム体220の回転中心軸Oとなる取付孔225を平面視で第1カム面221と第3カム面223との間における一方に偏った位置で、かつ第2カム面222と第4カム面224との間における一方に偏った位置に形成することもできる。
【0089】
一方、遠心クラッチ200は、アシストカム体220を構成する複数の各カム面におけるアシストカム体220の回転中心軸Oに対する距離が互いに同じ距離に形成することもできる。すなわち、遠心クラッチ200は、アシストカム体220の回転中心軸Oがアシストカム体220における回転中心軸Oに直交する断面における重心位置を通るように構成することができる。具体的には、アシストカム体220は、
図10に示すように、第1カム面221、第2カム面222、第3カム面223および第4カム面224に対して等距離の位置に取付孔225を設けることもできる。これによれば、アシストカム体220は、同じカム特性を有する4つのカム面(第1カム面221、第2カム面222、第3カム面223および第4カム面224)を有して構成することができる。
【0090】
また、上記実施形態においては、アシストカム体220は、第1カム面221~第4カム面224をそれぞれ備えて平面視で略正方形に形成した。すなわち、アシストカム体220は、4つのカム面を備えて平面視で略方形に形成した。しかし、アシストカム体220は、複数(少なくとも2つ)のカム面を備えて構成されていればよい。したがって、アシストカム体220は、平面視で略正方形以外の長方形などの略方形、三角形または五角形などの略多角形状、略楕円形状または異形形状などの種々の形状で構成することができる。
【0091】
具体的には、アシストカム体220は、
図11(A)~(C)にそれぞれ示すように、平面視で略長方形に形成することができる。この場合、第1カム面221、第2カム面222、第3カム面223および第4カム面224は、
図11(A)に示すように直線状に延びる平坦な平面で形成することができるとともに、
図11(B)に示すように一部または全部のカム面を凸状(または凹状)に湾曲する曲面で形成することもできる。また、アシストカム体220は、
図11(C)に示すように、回転中心となる取付孔225をアシストカム体220の横断面(回転中心軸Oに直交する断面)において偏心した位置に形成することもできる。
【0092】
また、例えば、アシストカム体220は、
図12(A)~(C)にそれぞれ示すように、平面視で略三角形状に形成することができる。この場合、第1カム面221、第2カム面222および第3カム面223は、
図12(A)に示すように直線状に延びる平坦な平面で形成することができるとともに、
図12(B)に示すように一部または全部のカム面を凸状(または凹状)に湾曲する曲面で形成することもできる。また、アシストカム体220は、平面視で正三角形のほか、二等辺三角形または直角三角形に形成することもできる。また、アシストカム体220は、
図12(C)に示すように、回転中心となる取付孔225をアシストカム体220の横断面(回転中心軸Oに直交する断面)において偏心した位置に形成することもできる。
【0093】
また、例えば、アシストカム体220は、
図13に示すように、平面視で略五角形などの多角形状に形成することができる。この場合、第1カム面221、第2カム面222、第3カム面223、第4カム面224および第5カム面226は、直線状に延びる平坦面または凸状(または凹状)に湾曲する曲面で形成することができる。また、アシストカム体220は、回転中心となる取付孔225をアシストカム体220の横断面(回転中心軸Oに直交する断面)において偏心した位置に形成することもできる。
【0094】
また、例えば、アシストカム体220は、
図14(A)に示すように、楕円形に形成することもできる。この場合、アシストカム体220は、
図14(B)に示すように、回転中心となる取付孔225をアシストカム体220の横断面(回転中心軸Oに直交する断面)において偏心した位置に形成することもできる。
【0095】
また、上記実施形態においては、アシストカム体220は、第1カム面221、第2カム面222、第3カム面223および第4カム面224における回転中心軸Oと平行な方向の各長さを互いに同一に構成した。しかし、アシストカム体220は、第1カム面221、第2カム面222、第3カム面223および第4カム面224などの複数のカム面のうちの少なくとも2つのカム面における回転中心軸Oに平行な方向の長さを互いに異なる長さに形成することもできる。
【0096】
例えば、アシストカム体220は、
図15に示すように、第4カム面224における取付孔225の軸方向の長さを他のカム面の長さよりも短く形成することができる。これにより、遠心クラッチ200は、前記2つのカム面との間で互いに異なる形状に形成されることになるため、ウエイト側従動部245に対するカム面が変更されることでカム特性、すなわち、クラッチ特性を変化させることができる。
【0097】
また、上記実施形態においては、アシストカム体220は、第1カム面221、第2カム面222、第3カム面223および第4カム面224における各表面粗さを全て同一に形成した。しかし、アシストカム体220は、第1カム面221、第2カム面222、第3カム面223および第4カム面224などの複数のカム面のうちの少なくとも2つのカム面における表面粗さを互いに異なって形成することもできる。これにより、遠心クラッチ200は、前記2つのカム面との間で表面粗さが異なっているため、ウエイト側従動部245に対するカム面を変更することでカム特性、すなわち、クラッチ特性を変化させることができる。
【0098】
また、上記実施形態においては、アシストカム体220は、ドライブプレート210上に起立するカム体支持ピン217に回転自在に保持されるように構成した。しかし、アシストカム体220は、ドライブプレート210上で回転自在に支持されていればよい。したがって、アシストカム体220は、例えば、
図16に示すように、アシストカム体220における下面からカム体支持ピン217に相当する軸部227を突出させて形成しておき、この軸部227をドライブプレート210に形成した取付孔218に対して回転自在に取り付けるように構成することができる。
【0099】
また、上記実施形態においては、アシストカム体220は、ドライブプレート210に対し360°を越えて自由に回転するように回転自在に支持されている。しかし、アシストカム体220は、クラッチウエイト240との間でカムとして作動する範囲、すなわち、360°以下の範囲で揺動するように回転自在に支持されていてもよい。つまり、アシストカム体220における回転には、ドライブプレート210上で360°以上の角度で正逆転する回転と、360°未満の角度範囲で正逆転する回転とを含むものである。
【0100】
また、上記実施形態においては、遠心クラッチ200は、内燃機関であるエンジンが出力する駆動力によって駆動するように構成した。しかし、遠心クラッチ200は、エンジン以外の駆動源、例えば、電動モータが出力する駆動力によって駆動するように構成することもできる。
【0101】
また、上記実施形態においては、遠心クラッチ200は、エンジンが出力する回転駆動力を変速機101を介して入力するように構成した。しかし、遠心クラッチ200は、変速機101を介することなく駆動力を入力することもできる。例えば、遠心クラッチ200は、駆動源から直接駆動力を受けてドライブプレート210を回転駆動させる入力部材(例えば、ドリブンプーリ130などのプーリまたは歯車などの機械要素)を介して駆動するように構成することもできる。つまり、遠心クラッチ200は、駆動源から直接的または間接的に駆動力を受けて駆動するように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0102】
O…アシストカム体の回転中心軸、
100…動力伝達機構、101…変速機、
110…ドライブプーリ、111…クランク軸、112…固定ドライブプレート、112a…放熱フィン、113…可動ドライブプレート、114…スリーブ軸受、115…ローラウエイト、116…ランププレート、
120…Vベルト、
130…ドリブンプーリ、131…固定ドリブンプレート、132…ドリブンスリーブ、133…ドライブシャフト、134…可動ドリブンプレート、135…トルクスプリング、
200…遠心クラッチ、
210…ドライブプレート、211…底部、211a…貫通孔、212…筒部、213…鍔部、214…揺動支持ピン、214a…取付ボルト、214b…Eリング、215…支点側摺動部材、216…サイドプレート、217…カム体支持ピン、217a…取付ボルト、218…取付孔、
220…アシストカム体、221…第1カム面、222…第2カム面、223…第3カム面、224…第4カム面、225…取付孔、226…第5カム面、227…軸部、
230…ダンパー受けピン、231…ダンパー、
240…クラッチウエイト、241…ピン摺動孔、242…連結スプリング、243…クラッチシュー、244…アシストカム体収容部、245…ウエイト側従動部、246…ダンパー溝、
250…クラッチアウター、251…円筒面。