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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025021992
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】鉄骨構造建築物の床構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 5/43 20060101AFI20250206BHJP
   E04B 1/30 20060101ALI20250206BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20250206BHJP
   E04C 3/16 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
E04B5/43 Z
E04B1/30 Z
E04B1/58 506L
E04B1/58 509E
E04B1/58 506T
E04C3/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023126161
(22)【出願日】2023-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】321002651
【氏名又は名称】ファーストウッド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100192212
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 貴明
(74)【代理人】
【識別番号】100200001
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 明彦
(72)【発明者】
【氏名】兼井 雅史
(72)【発明者】
【氏名】渡部 歩
(72)【発明者】
【氏名】安藤 耕作
【テーマコード(参考)】
2E125
2E163
【Fターム(参考)】
2E125AA04
2E125AA14
2E125AA15
2E125AA17
2E125AA35
2E125AA73
2E125AB01
2E125AB12
2E125AC15
2E125AC23
2E125AC24
2E125BA41
2E125BD01
2E125CA01
2E163FA12
2E163FC03
2E163FC23
2E163FC31
(57)【要約】
【課題】 水平ブレースやALC(軽量発泡コンクリート)パネル等を必要とすることなく、十分な耐久性が得られる鉄骨構造建築物の組床構造を提供する。
【解決手段】 この鉄骨構造建築物の組床構造100は、H形鋼を用いた鋼製梁2と角形鋼管を用いた鋼製柱1とからなるフレーム構造上に設けられており、H形鋼を用いた上記鋼製梁2の上側に載置固定された木製受材3と、上記鋼製梁2の間に架け渡され、上記木製受材3により保持される複数の組み立て木製床梁4とを備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼製柱間に架け渡される互いに平行な鋼製梁を備える鉄骨構造建築物の組床構造であって、
上記鋼製梁の上側に載置固定された木製受材と、
上記鋼製梁の間に架け渡され、上記木製受材により保持される複数の組み立て木製床梁と
を備え、
上記組み立て木製床梁は、
間隔をあけて一列に配置される複数のウエブ部材と
上記複数のウエブ部材の上辺側を挟み込んだ状態で上記複数のウエブ部材を連結固定する一対の板状部材からなる上部フランジ部材と
上記複数のウエブ部材の下辺側を挟み込んだ状態で上記複数のウエブ部材を連結固定する一対の板状部材からなる下部フランジ部材と
からなり、
上記上部フランジ部材の両端部が上記互いに平行な鋼製梁に載置固定された木製受材により保持されることを特徴とする鉄骨構造建築物の組床構造。
【請求項2】
上記木製受材は、上記鋼製梁の上側に載置された状態で固定手段により結合固定されていることを特徴とする請求項1に記載の鉄骨構造建築物の組床構造。
【請求項3】
上記木製受材は、上記上部フランジ部材の端部が嵌め込まれる嵌込用切欠部が複数設けられた角形木材であることを特徴とする請求項2に記載の鉄骨構造建築物の組床構造。
【請求項4】
上記組み立て木製床梁は、複数の単板積層材により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の鉄骨構造建築物の組床構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋼製柱間に架け渡される互いに平行な鋼製梁を備える鉄骨構造建築物の組床構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、木造建築物では、床組みとして、通常、木製の柱や梁、床板が組み合わされるのに対し、鉄骨構造建築物の組床構造では、高い強度と耐久性を持ち、大きな荷重に対しても安定性を保つことができる鉄骨フレームが床の骨組みとして使用され、鉄骨間にはALC(軽量発泡コンクリート)などの床版やコンクリートスラブなどが設置される。
【0003】
一般に角形断面の材木を柱・梁として組付けて木造軸組構造を構築する在来工法による木造建築物は、基礎にアンカーされた土台に柱を立て、梁をわたして柱梁軸組が形成され、床板を支える役割を果たす根太等が直角に交差した梁の上に敷かれ、構造用合板等の床板がその上に載せられる。柱梁軸組は筋交いを入れることにより軸組を剛にすることができる。また、ツーバイフォー工法とも呼ばれる木造枠組壁工法では、木材を使用した枠組に構造用合板(壁パネル)を打ち付けて壁及び床版を設けることにより、軸組の変形が大きくならないようにされる。
【0004】
鉄骨構造の建築物は、鉄骨構造部材を工場で加工、組立の後に工事現場で施工されることにより、精度が高く精密な剛構造の建築物として構築される。この鉄骨構造の建築物に取り付けられる床には、デッキプレートが用いられることが多く、デッキプレートとコンクリートとの合成スラブは、デッキプレートがコンクリート打込み時には型枠として、硬化後はコンクリートと一体になって引張鉄筋の働きをし、施工性・耐力にすぐれた合理的、経済的な床構造としてよく知られている (例えば、特許文献1,2参照)。
【0005】
また、鉄骨構造建築物の床構造としては、ALC(軽量発泡コンクリート)パネルを用いて、直接、梁(床梁)に直置きする場合が知られている(例えば、特許文献3,4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10-169066号公報
【特許文献2】特開2000-144996号公報
【特許文献3】特開2016-033299公報
【特許文献4】特開2022-144516公報
【特許文献5】特開2022-162430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、デッキプレートとコンクリートとの合成スラブを用いた床構造では、デッキプレートの敷施やコンクリートの打設が大変で、しかも、コンクリートの硬化・養生期間が必要であり、工期がかかる。
【0008】
また、湿式のデッキプレートとコンクリートとの合成スラブに対し、乾式のALCパネルを採用することにより養生期間などの問題は改善されるが、ALCパネルを床梁に直置きする床構造では、軽量発泡コンクリートからなるALCパネルの強度上の理由で、鉄骨梁を相応の間隔で配置する必要があり、多くの鉄骨を使い、施工が大変である。
【0009】
本件出願人は、それぞれ単板積層材により形成された複数の補強材を組み合わせて構成した横架材を先に提案している(例えば、特許文献5参照)。
【0010】
この横架材は、材料の体積の増加を回避しつつ十分な強度を確保することができる。
【0011】
本発明の目的は、上述の如き従来の実情に鑑み、鉄骨構造建築物の組床構造における床板を支える構造体の床梁部材として上記横架材を採用し、床板のみを受ける組み立て木製床梁として上記横架材を用いて、床の水平構面としての剛性を確保した鉄骨構造建築物の組床構造を提供することにある。
【0012】
本発明のさらに他の目的、本発明によって得られる具体的な利点は、以下において図面を参照して説明される実施の形態から一層明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明では、鋼製柱間に架け渡される互いに平行な鋼製梁を備える鉄骨構造建築物の組床構造において、合成スラブやALCパネルを用いることなく、間隔をあけて一列に配置される複数のウエブ部材、上記複数のウエブ部材の上辺側を挟み込んだ状態で上記複数のウエブ部材を連結固定する一対の板状部材からなる上部フランジ部材と、上記複数のウエブ部材の下辺側を挟み込んだ状態で上記複数のウエブ部材を連結固定する一対の板状部材からなる下部フランジ部材とからなる組み立て木製床梁を根太として複数配することにより、床の水平構面としての剛性を確保する。
【0014】
すなわち、本発明は、鋼製柱間に架け渡される互いに平行な鋼製梁を備える鉄骨構造建築物の組床構造であって、上記鋼製梁の上側に載置固定された木製受材と、上記鋼製梁の間に架け渡され、上記木製受材により保持される複数の組み立て木製床梁とを備え、上記組み立て木製床梁は、間隔をあけて一列に配置される複数のウエブ部材、上記複数のウエブ部材の上辺側を挟み込んだ状態で上記複数のウエブ部材を連結固定する一対の板状部材からなる上部フランジ部材と、上記複数のウエブ部材の下辺側を挟み込んだ状態で上記複数のウエブ部材を連結固定する一対の板状部材からなる下部フランジ部材とからなり、上記上部フランジ部材の両端部が上記互いに平行な鋼製梁に載置固定された木製受材により保持されることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る鉄骨構造建築物の組床構造において、上記木製受材は、上記鋼製梁の上側に載置された状態で固定手段により結合固定されているものとすることができる。
【0016】
また、本発明に係る鉄骨構造建築物の組床構造において、上記木製受材は、上記上部フランジ部材の端部が嵌め込まれる嵌込用切欠部が複数設けられた角形木材であるものとすることができる。
【0017】
また、本発明に係る鉄骨構造建築物の組床構造において、上記組み立て木製床梁は、複数の単板積層材により形成されているものとすることができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明に係る鉄骨構造建築物の組床構造では、間隔をあけて一列に配置される複数のウエブ部材、上記複数のウエブ部材の上辺側を挟み込んだ状態で上記複数のウエブ部材を連結固定する一対の板状部材からなる上部フランジ部材と、上記複数のウエブ部材の下辺側を挟み込んだ状態で上記複数のウエブ部材を連結固定する一対の板状部材からなる下部フランジ部材とからなる組み立て木製床梁を鉄骨構造建築物の床板を支える根太として複数配することにより、床の水平構面としての剛性を確保することができる。
【0019】
したがって、本発明によれば、本件出願人が先に提案している横架材を鉄骨構造建築物の組床構造における床板を支える構造体の床梁部材として採用し、床板のみを受ける組み立て木製床梁として上記横架材を用いて、床の水平構面としての剛性を確保した鉄骨構造建築物の組床構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、本発明の実施形態に係る鉄骨構造建築物の組床構造の斜視図である。
図2図2は、上記組床構造の平面図である。
図3図3は、上記組床構造に使用される組み立て木製床梁の斜視図である。
図4図4(a)は、上記組み立て木製床梁の正面図であり、図4(b)は、上記組み立て木製床梁の平面図であり、図4(c)は、上記組み立て木製床梁の模式的な側面図である。
図5図5は、上記組み立て木製床梁として準備されているスパンの異なる6種類の横架材を一覧表示した正面図である。
図6図6は、上記組床構造における上記鋼製梁の上側に載置された上記木製受材を固定する部分の要部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0022】
図1は、本発明の実施形態に係る鉄骨構造建築物の組床構造100の斜視図であり、図2は、上記組床構造100の平面図である。
【0023】
本発明が適用される鉄骨構造建築物は、基礎と、基礎に支持された構造材と、構造材に支持された部材を主に備え、複数の鋼製柱1と、鋼製柱1間に架け渡される互いに平行な複数の鋼製梁2とからなるフレーム構造を持っている。
【0024】
この鉄骨構造建築物の組床構造100は、H形鋼を用いた上記鋼製梁2と角形鋼管を用いた上記鋼製柱1とからなるフレーム構造上に設けられており、H形鋼を用いた上記鋼製梁2の上側に載置固定された木製受材3と、上記鋼製梁2の間に架け渡され、上記木製受材3により保持される複数の組み立て木製床梁4とを備える。
【0025】
7本の木製床梁4がH形鋼を用いた鋼製梁2の間に互いに平行に架け渡され、上記鋼製梁2の上側に載置固定された上記木製受材3により保持されることにより、組床構造100が構築されている。
【0026】
この鉄骨構造建築物の組床構造100は、パーティクルボードなどの木質板材から成る平面視正方形状の下地合板を施設し、さらにフローリング等の床仕上げ材で仕上げられる。
【0027】
この鉄骨構造建築物の組床構造100は、本件出願人が先に提案している特開2022-162430号公報に開示された横架材を鉄骨構造建築物の組床構造における床板を支える構造体の床梁部材として採用したものである。
【0028】
図3は、上記組床構造100に使用される組み立て木製床梁4の斜視図である。また、図4(a)は、組み立て木製床梁4の正面図であり、図4(b)は、組み立て木製床梁4の平面図であり、図4(c)は、組み立て木製床梁4の側面図である。
【0029】
この組み立て木製床梁4は、間隔をあけて一列に配置される複数のウエブ部材20(21~25)と、上記複数のウエブ部材20(21~25)の上辺側を挟み込んだ状態で上記複数のウエブ部材20(21~25)を連結固定する一対の板状部材からなる上部フランジ部材10U(11,12)と、上記複数のウエブ部材20の下辺側を挟み込んだ状態で上記複数のウエブ部材20を連結固定する一対の板状部材からなる下部フランジ部材10L(13,14)とからなる。以下においては、説明の便宜上、フランジ部材10(ボルト10U,10L)が延びる方向をX方向と規定し、フランジ部材10(10U,10L)の板厚方向をY方向と規定し、X方向及びY方向の双方に直交する方向をZ方向と規定する。なお、以下の説明では、各フランジ部材11~14を区別しない場合には、単にフランジ部材10(10U,10L)として説明し、各ウエブ部材21~25を区別しない場合には、単にウエブ部材20 として説明する。
【0030】
上記組み立て木製床梁4において、各フランジ部材11、12、13、14は、図3図4に示すように、正面視において直線状に形成された、X方向に延びる長尺状の板状部材である。フランジ部材11、12は、上記複数のウエブ部材20(21~25)の上辺側を挟み込んだ状態で上記複数のウエブ部材20(21~25)を連結固定する上部フランジ部材10Uであり、フランジ部材13 、14 は、上記複数のウエブ部材20(21~25)の下辺側を挟み込んだ状態で上記複数のウエブ部材20(21~25)を連結固定する下部フランジ部材10Uである。各フランジ部材11、12、13、14は、同じ長さであってもよいし、異なる長さであってもよい。上側に配置されたフランジ部材11、12と、下側に配置されたフランジ部材13、14は、ウエブ部材20を介して、上下に離間した状態で互いに平行に配置されている。フランジ部材10同士の間隔(Z方向における離間距離)は、特に限定されるものではない。
【0031】
すなわち、この組み立て木製床梁4における各フランジ部材10は、一対の板状部材10a、10b から構成されている。例えば、図4(b)に示すように、フランジ部材11は板状部材11a、11bから構成され、フランジ部材12 は板状部材12a、12bから構成されている。板状部材10a、10bは、それぞれ同形状に形成され、ウエブ部材20を挟んで互いに対向配置されている。なお、フランジ部材10は、長さの異なる板状部材10a、10bが、前後あるいは上下において互い違いに配置されていればよい。また、板状部材10a及び板状部材10bは、同じ木材から形成されてもよい。
【0032】
図4(a)に示すように、ウエブ部材20の高さ(Z方向における長さ)を変更することにより、組み立て木製床梁4の梁せいh(Z方向における寸法)を変更することができる。フランジ部材10の全長は、配置される場所に応じて決定される。上部フランジ部材10U(11、12)の長さは、下部フランジ部材10L(13、14)の長さよりも長く形成されている。このため、組み立て木製床梁4の両側における下方側にスペースが形成される。このスペースには、組み立て木製床梁4を下方側から支持する梁や柱等の部材等が配置される。
【0033】
フランジ部材10を構成する各板状部材10a、10bは、木材により形成され、例えばLVL(Laminated Veneer Lumber: 単板積層材)により形成されているが、これに限定されるものではなく、製材等の木材や鋼材により形成されていてもよい。LVLとは、単板が複数積層された層構造を有するものであり、例えば単板同士を熱圧接着することにより得られる。単板が複数積層されていることにより、フランジ部材10の強度を向上させ、長さ方向における反りや曲がりが発生することを抑制することができる。
【0034】
板状部材10a、10b(フランジ部材10)の素材は特に限定されるものではないが、フランジ部材10が杉等の比較的柔らかい木材等であってもよい。但し、杉等の木材に限られず、曲げヤング係数の値が、JAS規格の曲げヤング係数区分の60Eに規定される範囲にある素材であればいかなるも木材であってもよい。
【0035】
ウエブ部材20は、正面視四角形状に形成された板状の部材である。ウエブ部材20は、上下のフランジ部材10(上弦材と下弦材との間)に挟まれるように配置され、複数のフランジ部材10同士を連結する。具体的には、ウエブ部材20は、図3図4に示すように、第1ウエブ部材21、第2ウエブ部材22、第3ウエブ部材23、第4ウエブ部材24、第5ウエブ部材25により構成され、第1ウエブ部材21、第2ウエブ部材22 、第3ウエブ部材23、第4ウエブ部材24、第5ウエブ部材25がこの順でフランジ部材11及びフランジ部材12とフランジ部材13及びフランジ部材14との間に挟まれた状態でX方向に沿って等間隔に配置され、フランジ部材10同士を連結する。なお、ウエブ部材20同士の間隔は、等間隔に限定されない。また、ウエブ部材20の個数は、5個に限られず特に限定されるものではない。
【0036】
図4に示すように、各ウエブ部材20は、Y方向において一対の板状部材10a、10bに挟まれた状態で、X方向において一定の間隔を隔てて配置されている。なお、各ウエブ部材20は同じ大きさに形成されているが、一部のウエブ部材20の寸法が異なっていてもよい。例えば、組み立て木製床梁4の長手方向における両側に位置する第1ウエブ部材21及び第5ウエブ部材25のみが、第2ウエブ部材22、第3ウエブ部材23、第4ウエブ部材24 よりも幅が狭く形成されてもよい。
【0037】
ウエブ部材20の厚みは、板状部材10a、10bと同程度であればよく、組み立て木製床梁4に要求される強度に応じて、適宜変更すればよい。ウエブ部材20の高さ(Z方向における寸法)は、例えば20~40センチメートル程度であるが、組み立て木製床梁4が配置される場所を考慮して、適宜変更可能である。ウエブ部材20の高さが変わることに応じて、組み立て木製床梁4の梁せいhも変更される。ウエブ部材20は木材により形成され、フランジ部材10と同じ素材により形成されていてもよく、異なる素材により形成されていてもよい。
【0038】
ウエブ部材20の四隅には、フランジ部材10 をウエブ部材20に対して固定する固定部材30が配置されている。具体的には、ビス等の固定部材30は、ウエブ部材20の四隅近傍の位置で、板状部材10a側からウエブ部材20を貫通し、板状部材10bに至るまで差し込まれて固定される。なお、固定部材30は、板状部材10b側からウエブ部材20を貫通し、板状部材10aに至るまで差し込まれて固定されてもよい。
【0039】
このように、フランジ部材10がウエブ部材20の四隅に対して固定されることで、組み立て木製床梁4の強度を高めることができる。なお、固定部材30が配置される箇所はウエブ部材20の四隅に限られず、フランジ部材10がウエブ部材20に対して固定されるのであれば、いかなる場所であってもよい。また、固定部材30は、ビスに限られず、例えばボルトとナットの組合せ、釘、リベット等フランジ部材10とウエブ部材20とを固定する機能を有するのであればいかなる構成のものであってもよい。
【0040】
組み立て木製床梁4には、複数のフランジ部材10と複数のウエブ部材20とにより複数の開口40が形成されている。具体的には図3乃至図4に示すように、組み立て木製床梁4のX方向に沿って、貫通した複数の開口40が一列に形成されている。各開口40は、平面視四角形状に形成され、それぞれがほぼ同じ大きさに形成されている。図3及び図4(a)に示すように、開口40の幅は、ウエブ部材20の幅とほぼ同じ長さに形成されている。これは、ウエブ部材20が、X方向においてウエブ部材20の幅方向の寸法を隔てて等間隔に配置されているためである。なお、ウエブ部材20は、等間隔に配置されている必要はなく、開口40が形成される程度の間隔を隔てて配置されていればよい。
【0041】
このように、組み立て木製床梁4には、横方向に延びる複数のフランジ部材10と上下方向に延びる複数のウエブ部材20との組合せにより複数の開口40が形成される。即ち、組み立て木製床梁4が、縦方向及び横方向に板状の部材を組合せるとともに、板状の部材間に隙間が形成されたフィーレンディール(Vierendeel)梁状に形成されている。このため、隙間の分だけ材料の使用量を減らすことができ、組み立て木製床梁4 の軽量化を図ることができる。また、組み立て木製床梁4に隙間(開口40)が複数形成されていることにより、組み立て木製床梁4内に配管やパイプ等を通し易くすることができる。更に、ウエブ部材20が、一対の板状部材10a、10bに挟まれた状態で固定されるため、組み立て木製床梁4の素材が木材であっても、十分な強度を確保することができる。
【0042】
ここで、上記組み立て木製床梁4として用いられる横架材には、図5に示すように、1365mm~3640mmの範囲で異なる6種類の横架材4A~4F、すなわち、開口40が1つでスパンが1365mmの横架材4A 、開口40が2つでスパンが1820mmの横架材4B、開口40が2つでスパンが2275mmの横架材4C、開口40が3つでスパンが2730mmの横架材4D、開口40が3つでスパンが3185mmの横架材4E、開口40が4つでスパンが3640mmの横架材4Fが規格品として準備されている。
【0043】
この鉄骨構造建築物の組床構造100では、上記開口40が4つでスパンが3640mmの横架材4Fが組み立てとして用いられており、縦3640mm×横3640mmの鉄骨フレームのH形鋼を用いた鋼製梁2の間に木製床梁4が7本の平行に架け渡され、上記鋼製梁2の上側に載置固定された木製受材3により保持される。
【0044】
この鉄骨構造建築物の組床構造100における木製受材3は、上記組み立て木製床梁4の上部フランジ部材10Uの端部が嵌め込まれる嵌込用切欠部5が複数設けられた角形木材からなり、図6に示すように、H形鋼を用いた鋼製梁2の上側に載置された状態でボルトナットで結合固定されている。
【0045】
すなわち、木製受材3には、ボルト8の挿入孔6が複数の個設けられており、上記木製受材3は、H形鋼を用いた鋼製梁2の上側面の所定位置に溶接された複数のナット7が上記挿入孔6の底部に埋め込まれた状態となるように、鋼製梁2の上側に載置される。そして、上記挿入孔6にボルト8を挿入して締め付けることにより、上記木製受材3は、鋼製梁2に固定されている。
【0046】
ここで、木製受材3は、H形鋼を用いた鋼製梁2にボルトナットで結合固定されているものとしたが、上記鋼製梁2の上側に載置された状態で固定手段により結合固定されているものとすることができ、例えば、鋼製下地に下穴なしで留め付け可能な構造用ビスを用いて結合固定することもできる。なお、木製受材3を鋼製梁2に結合固定する固定手段とは、釘、ネジ、ボルト、ナット、接着剤等を含む概念である。
【0047】
図1図2に示した鉄骨構造建築物の組床構造100は、全長が3640mmのロングスパン横架材4Fを木製床梁4として用いて、複数の鋼製柱1と、鋼製柱1間に架け渡される互いに平行な複数の鋼製梁2とからなるフレーム構造の鉄骨構造建築物の組床構造100は、鉄骨造のフレームに設けられて、水平ブレースやALC(軽量発泡コンクリート)パネル等を必要とすることなく、十分な耐久性が得られる。鉄骨フレームのH形鋼を用いた鋼製梁2の間に木製床梁4が7本の平行に架け渡され、上記鋼製梁2の上側に載置固定された木製受材3により保持された縦3640mm×横3640mmを1単位とした組床構造100は、耐久性に優れ、全長Lが3640mmのロングスパン横架材4Fを木製床梁4として用いているので、複数単位の組床構造100を持つ実際の鉄骨構造建築物において、鋼製柱1と鋼製梁2との本数を激減することができる。
【0048】
なお、上記鉄骨構造建築物の組床構造100は、全長Lが3640mmのロングスパン横架材4Fを木製床梁4として用いているが、他の横架材4A~4Eを木製受材3として持いて鉄骨構造建築物の組床構造100を構築してもよく、また、上記規格品である横架材4A~4F以外の寸法の横架材を木製受材3として持いて鉄骨構造建築物の組床構造100を構築してもよい。
【0049】
1 鋼製柱、2 鋼製梁、3 木製受材と、4 組み立て木製床梁、4A~4F 横架材5 嵌込用切欠部、6 挿入孔、7 ナット、8 ボルト、10U(11,12) 上部フランジ部材、10L(13,14) 下部フランジ部材、10a、10b、11a、11b、12a、12b、13a、13b、14b、14b 板状部材 板状部材、
20(21~25) ウエブ部材、30 固定部材、40 開口、100 組床構造、
図1
図2
図3
図4
図5
図6