(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025022095
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 25/04 20230101AFI20250206BHJP
H01L 23/29 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
H01L25/04 Z
H01L23/36 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023126355
(22)【出願日】2023-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大崎 滉二
【テーマコード(参考)】
5F136
【Fターム(参考)】
5F136BA30
5F136DA07
5F136DA41
5F136EA36
(57)【要約】 (修正有)
【課題】半導体モジュールの冷却効率向上を図る。
【解決手段】半導体モジュール300は、ヒートシンク260と、ヒートシンクの上方に設けられた第1半導体モジュールセル200aと、ヒートシンクの上方に設けられ、第1半導体モジュールセルと接する第2半導体モジュールセル200bと、ヒートシンクに連結され、第1、第2半導体モジュールセルを収容するケース部210と、を含む。第1半導体モジュールセルは、第1積層基板150aと、第1積層基板上に載置された第1半導体チップ100aと、第1半導体チップを覆う第1封止部220aと、を有し、第2半導体モジュールセルは、第2積層基板150bと、第2積層基板上に載置された第2半導体チップ100bと、第2半導体チップを覆う第2封止部220bと、を有し、押圧部215が第1、第2封止部の上面を押圧する。第1、第2封止部は、側面同士が接触する接所部225aを有する。
【選択図】
図3B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートシンクと、
前記ヒートシンクの上方に設けられた第1半導体モジュールセルと、
前記ヒートシンクの上方に設けられ、前記第1半導体モジュールセルと接して設けられた第2半導体モジュールセルと、
前記ヒートシンクに連結され、前記第1半導体モジュールセルおよび前記第2半導体モジュールセルを収容するケース部と、
を備え、
前記第1半導体モジュールセルは
第1積層基板と、
前記第1積層基板上に載置された第1半導体チップと、
前記第1半導体チップを覆う第1封止部と、
を有し、
前記第2半導体モジュールセルは
第2積層基板と、
前記第2積層基板上に載置された第2半導体チップと、
前記第2半導体チップを覆う第2封止部と、
を有し、
前記第1封止部および前記第2封止部の上面を押圧するための押圧部を備え、
前記第1封止部および前記第2封止部は、側面同士が接触する
半導体装置。
【請求項2】
前記第1封止部および前記第2封止部は、傾斜した側面同士が接触する1または複数の接触面を有する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1積層基板および前記第2積層基板の積層方向に対する、前記1または複数の接触面のうちいずれかの接触面の角度は、10°以上、90°以下である
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記1または複数の接触面は、
前記第1積層基板および前記第2積層基板の積層方向に対する角度が10°以上、90°以下である第1傾斜部分と、
前記第1積層基板および前記第2積層基板の積層方向に対する角度が-90°以上、-10°以下である第2傾斜部分と、
を含む
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1傾斜部分と前記第2傾斜部分との角度の絶対値が同一である
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1封止部および前記第2封止部は、相互に分離可能な状態で、側面同士が接触するように設けられる
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記ケース部は、前記ヒートシンクと連結するための複数の連結部を有する
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記ケース部は、前記第1積層基板および前記第2積層基板から分離されている
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記ヒートシンクの上面に設けられた有機絶縁性の介在部を備える
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1半導体モジュールセルおよび前記第2半導体モジュールセルは、共通の前記介在部の上方に設けられる
請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
第3積層基板と、
前記第3積層基板上に載置された第3半導体チップと、
前記第3半導体チップを覆う第3封止部と、
を有する第3半導体モジュールセルを備える
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第3封止部の側壁は、前記第1封止部の側壁および前記第2封止部の側壁の少なくとも一方と接している
請求項11に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記押圧部は、前記ケース部の内壁であり、
前記ケース部の内壁は、前記第1封止部の上面および前記第2封止部の上面と接する
請求項1から12のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記押圧部は、前記ケース部と前記第1封止部および前記第2封止部との間に設けられたバネ部である
請求項1から12のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項15】
半導体装置の製造方法であって、
第1積層基板と、前記第1積層基板の上方に設けられた第1半導体チップと、前記第1半導体チップを覆うように形成された第1封止部と、を有する第1半導体モジュールセルを取得する段階と、
第2積層基板と、前記第2積層基板の上方に設けられた第2半導体チップと、前記第2半導体チップを覆うように形成された第2封止部と、を有する第2半導体モジュールセルを取得する段階と、
ヒートシンクの上面に前記第1半導体モジュールセルおよび前記第2半導体モジュールセルを互いに接するように載置する段階と、
前記第1半導体モジュールセルおよび前記第2半導体モジュールセルを覆うように、ケース部を前記ヒートシンクに連結し、前記ケース部の押圧部により前記第1半導体モジュールセルおよび前記第2半導体モジュールセルを前記ヒートシンクに押圧する段階と
を備える、半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記ヒートシンクの上面に、有機絶縁性の介在部を設ける段階を備える
請求項15に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記第1半導体モジュールセルを取得する段階は、
前記第1積層基板の上方に前記第1半導体チップを設ける段階と、
前記第1積層基板および前記第1半導体チップを電気的に接続する段階と、
前記第1半導体チップを覆うように前記第1封止部を充填する段階と、
前記第1封止部の短手方向における端部の少なくとも一部を切断する段階と、
を含み、
前記第2半導体モジュールセルを取得する段階は、
前記第2積層基板の上方に前記第2半導体チップを設ける段階と、
前記第2積層基板および前記第2半導体チップを電気的に接続する段階と、
前記第2半導体チップを覆うように前記第2封止部を充填する段階と、
前記第2封止部の短手方向における端部の少なくとも一部を切断する段階と、
を含み、
前記第1封止部および前記第2封止部は、傾斜した側面同士が接触する1または複数の接触面を有する
請求項15または16に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「筐体122と、筐体122に収められたモジュール本体MDとを有する」半導体モジュールが記載されている。特許文献2には「横に並べて設けられた第1絶縁基板102と第2絶縁基板110」を備え、「金属パターン16には、はんだ20によって半導体素子22が固定」され、「金属パターン114には、はんだ120により半導体素子122が固定」されている半導体モジュールが記載されている。特許文献3には「各半導体モジュール30,31,32の上部」に、「板バネ60が配置」される構成が記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2015-170786号公報
[特許文献2] 特開2015-216349号公報
[特許文献3] 特開2014-225571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
半導体モジュールを構成する複数の半導体モジュールセルに印加される押圧を均一化し、半導体モジュールの冷却効率を向上させることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様においては、ヒートシンクと、前記ヒートシンクの上方に設けられた第1半導体モジュールセルと、前記ヒートシンクの上方に設けられ、前記第1半導体モジュールセルと接して設けられた第2半導体モジュールセルと、前記ヒートシンクに連結され、前記第1半導体モジュールセルおよび前記第2半導体モジュールセルを収容するケース部と、を備え、前記第1半導体モジュールセルは第1積層基板と、前記第1積層基板上に載置された第1半導体チップと、前記第1半導体チップを覆う第1封止部と、を有し、前記第2半導体モジュールセルは第2積層基板と、前記第2積層基板上に載置された第2半導体チップと、前記第2半導体チップを覆う第2封止部と、を有し、前記第1封止部および前記第2封止部の上面を押圧するための押圧部を備え、前記第1封止部および前記第2封止部は、側面同士が接触する半導体装置を提供する。
【0005】
上記半導体装置において、前記第1封止部および前記第2封止部は、傾斜した側面同士が接触する1または複数の接触面を有してよい。
【0006】
上記いずれかの半導体装置において、前記第1積層基板および前記第2積層基板の積層方向に対する、前記1または複数の接触面のうちいずれかの接触面の角度は、10°以上、90°以下であってよい。
【0007】
上記いずれかの半導体装置において、前記1または複数の接触面は、前記第1積層基板および前記第2積層基板の積層方向に対する角度が10°以上、90°以下である第1傾斜部分と、前記第1積層基板および前記第2積層基板の積層方向に対する角度が-90°以上、-10°以下である第2傾斜部分と、を含んでよい。
【0008】
上記いずれかの半導体装置において、前記第1傾斜部分と前記第2傾斜部分との角度の絶対値が同一であってよい。
【0009】
上記いずれかの半導体装置において、前記第1封止部および前記第2封止部は、相互に分離可能な状態で、側面同士が接触するように設けられてよい。
【0010】
上記いずれかの半導体装置において、前記ケース部は、前記ヒートシンクと連結するための複数の連結部を有してよい。
【0011】
上記いずれかの半導体装置において、前記ケース部は、前記第1積層基板および前記第2積層基板から分離されていてよい。
【0012】
上記いずれかの半導体装置において、前記ヒートシンクの上面に設けられた有機絶縁性の介在部を備えてよい。
【0013】
上記いずれかの半導体装置において、前記第1半導体モジュールセルおよび前記第2半導体モジュールセルは、共通の前記介在部の上方に設けられてよい。
【0014】
上記いずれかの半導体装置において、第3積層基板と、前記第3積層基板上に載置された第3半導体チップと、前記第3半導体チップを覆う第3封止部と、を有する第3半導体モジュールセルを備えてよい。
【0015】
上記いずれかの半導体装置において、前記第3封止部の側壁は、前記第1封止部の側壁および前記第2封止部の側壁の少なくとも一方と接していてよい。
【0016】
上記いずれかの半導体装置において、前記押圧部は、前記ケース部の内壁であってよい。前記ケース部の内壁は、前記第1封止部の上面および前記第2封止部の上面と接してよい。
【0017】
上記いずれかの半導体装置において、前記押圧部は、前記ケース部と前記第1封止部および前記第2封止部との間に設けられたバネ部であってよい。
【0018】
本発明の第2の態様においては、半導体装置の製造方法であって、第1積層基板と、前記第1積層基板の上方に設けられた第1半導体チップと、前記第1半導体チップを覆うように形成された第1封止部と、を有する第1半導体モジュールセルを取得する段階と、第2積層基板と、前記第2積層基板の上方に設けられた第2半導体チップと、前記第2半導体チップを覆うように形成された第2封止部と、を有する第2半導体モジュールセルを取得する段階と、ヒートシンクの上面に前記第1半導体モジュールセルおよび前記第2半導体モジュールセルを互いに接するように載置する段階と、前記第1半導体モジュールセルおよび前記第2半導体モジュールセルを覆うように、ケース部を前記ヒートシンクに連結し、前記ケース部の押圧部により前記第1半導体モジュールセルおよび前記第2半導体モジュールセルを前記ヒートシンクに押圧する段階とを備える、半導体装置の製造方法を提供する。
【0019】
上記半導体装置の製造方法において、前記ヒートシンクの上面に、有機絶縁性の介在部を設ける段階を備えてよい。
【0020】
上記いずれかの半導体装置の製造方法において、前記第1半導体モジュールセルを取得する段階は、前記第1積層基板の上方に前記第1半導体チップを設ける段階と、前記第1積層基板および前記第1半導体チップを電気的に接続する段階と、前記第1半導体チップを覆うように前記第1封止部を充填する段階と、前記第1封止部の短手方向における端部の少なくとも一部を切断する段階と、を含んでよい。上記いずれかの半導体装置の製造方法において、前記第2半導体モジュールセルを取得する段階は、前記第2積層基板の上方に前記第2半導体チップを設ける段階と、前記第2積層基板および前記第2半導体チップを電気的に接続する段階と、前記第2半導体チップを覆うように前記第2封止部を充填する段階と、前記第2封止部の短手方向における端部の少なくとも一部を切断する段階と、を含んでよい。上記いずれかの半導体装置の製造方法において、前記第1封止部および前記第2封止部は、傾斜した側面同士が接触する1または複数の接触面を有してよい。
【0021】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1A】半導体モジュール300の構成の概要を示す。
【
図1B】半導体モジュール300の構成の変形例を示す。
【
図1C】半導体モジュール300の構成の変形例を示す。
【
図2】半導体モジュールセル200の構成の一例を示す。
【
図3A】半導体モジュール300の構成の一例を示す。
【
図3B】半導体モジュール300の構成の変形例を示す。
【
図4A】接触部225を有する封止部220の上面図の一例を示す。
【
図5A】ヒートシンク260の上面に作用する垂直方向の応力分散s
2を算出する際の模式図を示す。
【
図5B】接触面226の個数と垂直方向の応力分散s
2との関係を示す。
【
図5C】接触面226の角度と垂直方向の応力分散s
2との関係を示す。
【
図6A】半導体モジュール300の構成の変形例を示す。
【
図6B】半導体モジュール300の構成の変形例を示す。
【
図7A】半導体モジュール300の製造方法のフローチャートを示す。
【
図7B】半導体モジュールセル200の製造方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0024】
本明細書においては、半導体チップ100の厚み方向における一方の側を「上」、他方の側を「下」と称する。素子、基板、層、膜またはその他の部材の2つの主面のうち、一方の面を上面、他方の面を下面と称する。「上」、「下」の方向は重力方向に限定されない。本例では、上下方向をZ軸方向、Z軸方向と垂直な面内において直交する2つの方向をX軸方向およびY軸方向と称する。XYZ軸は右手系を構成する。上面視とは、半導体チップ100をZ軸正方向から見た場合をいう。
【0025】
各実施例においては、第1導電型をN型、第2導電型をP型とした例を示しているが、第1導電型をP型、第2導電型をN型としてもよい。この場合、各実施例における基板、層、領域等の導電型は、それぞれ逆の極性となる。NまたはPを冠記した層および領域では、それぞれ電子または正孔が多数キャリアであることを意味する。また、NおよびPに付す+および-は、それぞれ、それが付されていない層または領域よりも高ドーピング濃度および低ドーピング濃度であることを意味する。
【0026】
図1Aは、半導体モジュール300の構成の概要を示す。半導体モジュール300は、複数の半導体モジュールセル200を備える。本例の半導体モジュールセル200は、3つの半導体モジュールセル200a~半導体モジュールセル200cを備えるが、これに限定されない。本例の半導体モジュール300は、外部端子として、出力端子110、ゲート外部端子112、補助ソース外部端子114、ゲート外部端子122、補助ソース外部端子124、正極端子142および負極端子144を備える。
【0027】
半導体モジュール300は、インバータ回路を構成するパワーモジュール等の電力変換装置に適用されてよい。例えば、半導体モジュール300が三相インバータ回路を構成する場合、半導体モジュールセル200a~半導体モジュールセル200cは、三相インバータ回路のU相、V相およびW相にそれぞれ対応してよい。
【0028】
半導体モジュールセル200は、後述する半導体チップ100を有してよい。半導体モジュールセル200の詳細は後述する。半導体モジュールセル200は、半導体モジュール300のケース部210に収容されている。隣接する複数の半導体モジュールセル200は、側壁同士が接触してよい。
【0029】
出力端子110は、半導体モジュール300の外部に設けられた負荷と電気的に接続するための外部端子である。本例の出力端子110は、U相~W相にそれぞれ対応して、出力端子110U、出力端子110Vおよび出力端子110Wの3つの外部端子を有する。出力端子110は、半導体モジュール300の予め定められた一辺に設けられる。本例の出力端子110は、半導体モジュール300の4辺のうち、X軸方向の正側において、Y軸方向に延伸する辺に設けられる。本例の出力端子110は、Y軸方向に延伸した第1配置領域181に設けられる。複数の出力端子110は、第1配置領域181において、Y軸方向に配列されている。
【0030】
3つの出力端子110U~出力端子110Wは、半導体モジュールセル200a~半導体モジュールセル200cにそれぞれ対向するように、Y軸方向に配列されている。なお、出力端子110の個数および配列方法はこれに限定されない。
【0031】
ゲート外部端子112、補助ソース外部端子114、ゲート外部端子122および補助ソース外部端子124は、半導体モジュール300の動作を制御するための制御端子の一例である。本例の制御端子は、出力端子110が設けられた辺と対向する辺に設けられる。本例の制御端子は、半導体モジュール300のX軸方向の負側において、Y軸方向に延伸する辺に設けられる。
【0032】
ゲート外部端子112は、半導体モジュールセル200a~半導体モジュールセル200cに対応して、3つのゲート外部端子112a~ゲート外部端子112cを有する。補助ソース外部端子114は、半導体モジュールセル200a~半導体モジュールセル200cに対応して、3つの補助ソース外部端子114a~補助ソース外部端子114cを有する。本例の複数のゲート外部端子112は、Y軸方向に延伸した第2配置領域182に設けられる。本例の複数の補助ソース外部端子114は、Y軸方向に延伸した第2配置領域182に設けられる。
【0033】
同様に、ゲート外部端子122は、半導体モジュールセル200a~半導体モジュールセル200cに対応して、3つのゲート外部端子122a~ゲート外部端子122cを有する。補助ソース外部端子124は、半導体モジュールセル200a~半導体モジュールセル200cに対応して、3つの補助ソース外部端子124a~補助ソース外部端子124cを有する。本例の複数のゲート外部端子122は、Y軸方向に延伸した第2配置領域182に設けられる。本例の複数の補助ソース外部端子124は、Y軸方向に延伸した第2配置領域182に設けられる。
【0034】
正極端子142および負極端子144は、半導体モジュール300の予め定められた一辺に設けられる。本例の正極端子142および負極端子144は、出力端子110が設けられた辺と直交する辺に設けられる。正極端子142および負極端子144は、ゲート外部端子112などの制御端子が設けられた辺と直交する辺に設けられてよい。本例の正極端子142および負極端子144は、半導体モジュール300のY軸方向の正側において、X軸方向に延伸する辺に設けられる。
【0035】
正極端子142および負極端子144は、Y軸方向の負側において、X軸方向に延伸する辺に設けられてもよい。本例の正極端子142および負極端子144は、X軸方向に延伸した第3配置領域183に設けられる。第3配置領域183は、Y軸方向において、複数のレグと並んで配置されてよい。即ち、第3配置領域183は、Y軸方向において、複数のレグと対向して設けられてよい。正極端子142および負極端子144は、第3配置領域183において、X軸方向に配列されている。
【0036】
図1Bは、半導体モジュール300の構成の変形例を示す。
図1Bでは、ゲート外部端子112等の制御端子、正極端子142および負極端子144の配置が、
図1Aに示した例と異なる。
【0037】
正極端子142および負極端子144は、半導体モジュール300の予め定められた一辺に設けられる。本例の正極端子142および負極端子144は、出力端子110が設けられた辺と対向する辺に設けられる。正極端子142および負極端子144は、ゲート外部端子112などの制御端子が設けられた辺と直交する辺に設けられてよい。正極端子142および負極端子144は、半導体モジュール300のX軸方向の負側において、Y軸方向に延伸する辺に設けられる。
【0038】
正極端子142は、半導体モジュールセル200a~半導体モジュールセル200cに対応して、3つの正極端子142a~142cを有する。負極端子144は、半導体モジュールセル200a~半導体モジュールセル200cに対応して、3つの負極端子144a~144cを有する。本例の正極端子142および負極端子144は、Y軸方向に延伸した第2配置領域182に設けられる。なお、正極端子142および負極端子144の個数および配列方法はこれに限定されない。
【0039】
ゲート外部端子112、補助ソース外部端子114、ゲート外部端子122および補助ソース外部端子124は、半導体モジュール300の動作を制御するための制御端子の一例である。本例の制御端子は、出力端子110が設けられた辺と直交する辺に設けられる。本例の制御端子は、半導体モジュール300のY軸方向の正側において、X軸方向に延伸する辺に設けられる。
【0040】
ゲート外部端子112は、複数の半導体モジュールセル200に対応して、複数設けられてよい。ゲート外部端子112は、半導体モジュールセル200a~半導体モジュールセル200cに対応して、3つのゲート外部端子112a~ゲート外部端子112cを有する。補助ソース外部端子114は、複数の半導体モジュールセル200に対応して、複数設けられてよい。補助ソース外部端子114は、半導体モジュールセル200a~半導体モジュールセル200cに対応して、3つの補助ソース外部端子114a~補助ソース外部端子114cを有する。本例の複数のゲート外部端子112は、X軸方向に延伸した第3配置領域183に設けられる。本例の複数の補助ソース外部端子114は、X軸方向に延伸した第3配置領域183に設けられる。
【0041】
同様に、ゲート外部端子122は、半導体モジュールセル200a~半導体モジュールセル200cに対応して、3つのゲート外部端子122a~ゲート外部端子122cを有する。補助ソース外部端子124は、半導体モジュールセル200a~半導体モジュールセル200cに対応して、3つの補助ソース外部端子124a~補助ソース外部端子124cを有する。本例の複数のゲート外部端子122は、X軸方向に延伸した第3配置領域183に設けられる。本例の複数の補助ソース外部端子124は、X軸方向に延伸した第3配置領域183に設けられる。
【0042】
図1Cは、半導体モジュール300の構成の変形例を示す。
図1Cでは、ゲート外部端子112等の制御端子の配置が、
図1Bに示した例と異なる。
【0043】
本例の制御端子は、出力端子110が設けられた辺と同一の辺に設けられる。即ち、ゲート外部端子112、補助ソース外部端子114、ゲート外部端子122および補助ソース外部端子124は、第1配置領域181に設けられる。各制御端子が半導体モジュールセル200a~半導体モジュールセル200cに対応して3つずつ設けられてよい点は、
図1Aを用いて説明した通りである。
【0044】
制御端子は、出力端子110が設けられた辺と対向する辺に設けられてよい。即ち、ゲート外部端子112、補助ソース外部端子114、ゲート外部端子122および補助ソース外部端子124は、正極端子142および負極端子144が設けられた第2配置領域182に設けられてもよい。全ての外部接続端子を半導体モジュール300の長辺側に配置することにより、半導体モジュールセル200が故障した際の取り換えが容易となる。
【0045】
図2は、半導体モジュールセル200の構成の一例を示す。本例の半導体モジュールセル200は、半導体チップ100と、積層基板150と、封止部220と、リードフレーム230とを備える。
【0046】
積層基板150は、DCB(Direct Copper Bonding)基板またはAMB(Active Metal Brazing)基板であってよい。積層基板150上には、複数の半導体チップ100が設けられてよい。積層基板150は、第1金属層151、絶縁板152および第2金属層153を備える。
【0047】
絶縁板152は、アルミナ(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ケイ素(Si3N4)等のセラミックス等の絶縁材料で形成される。第1金属層151は、絶縁板152の下面に設けられ、結合部材160を介して基板ベースの上面に固定されてよい。
【0048】
第2金属層153は、絶縁板152の上面に設けられた導電性の部材である。第2金属層153は、金属配線またはパッド等を含んでよい。第1金属層151および第2金属層153は、銅および銅合金などの金属材料を含む板で形成されてよい。第2金属層153の材料は、第1金属層151の材料と同一であってよく、異なっていてよい。第1金属層151および第2金属層153は、半田およびロウ等によって絶縁板152の表面に固定されてもよい。第2金属層153は、結合部材160により半導体チップ100と電気的に接続されている。
【0049】
結合部材160は、第2金属層153に含まれるパッドと、半導体チップ100のコレクタ電極24とを接続する。例えば、結合部材160の材料は、Sn-Cu系またはSn-Sb系の半田である。
【0050】
リードフレーム230は、半導体チップ100と外部の制御装置等とを電気的に接続する。リードフレーム230は、半導体モジュール300に組み込まれた際、ケース部210を貫通して、外部端子と接続されるよう設けられる。
【0051】
封止部220は、半導体チップ100を覆うように設けられる。封止部220は、絶縁性の材料で構成される。これにより、半導体モジュールセル200における導電性の構成要素間の絶縁不良を回避できる。一例では、封止部220は、シリコーンゲル材料またはフッ素ゲル材料を含む。
【0052】
封止部220は、リードフレーム230の上面を覆う位置まで設けられる。封止部220の下面から上面までの膜厚は、後述する接触部225を形成した場合に、封止部220の内部に封止された各素子が露出しない程度の膜厚であってよい。
【0053】
図3Aは、本例の半導体モジュール300の構成の一例を示す。本例の半導体モジュール300は、2つの半導体モジュールセル200を備える。半導体モジュール300は、第1半導体モジュールセル200aと、第2半導体モジュールセル200bとを備えてよい。本例の半導体モジュール300は、複数の半導体モジュールセル200と、ケース部210と、連結部240と、介在部250と、ヒートシンク260とを備える。
【0054】
第1半導体モジュールセル200aは、ヒートシンク260の上方に設けられる。第1半導体モジュールセル200aは、第1積層基板150aと、第1積層基板150a上に載置された第1半導体チップ100aと、第1半導体チップ100aを覆う第1封止部220aとを有してよい。第1半導体モジュールセル200aの構成の詳細は、
図2で説明した半導体モジュールセル200と同一であってよい。
【0055】
第2半導体モジュールセル200bは、ヒートシンク260の上方において、第1半導体モジュールセル200aと接して設けられる。第2半導体モジュールセル200bは、第2積層基板150bと、第2積層基板150b上に載置された第2半導体チップ100bと、第2半導体チップ100bを覆う第2封止部220bとを有してよい。第2半導体モジュールセル200bの構成の詳細は、第1半導体モジュールセル200aの構成と同一であってよく、異なっていてよい。
【0056】
複数の半導体モジュールセル200は、側面同士が接触してよい。本例において、第1封止部220aの側面は、第2封止部220bの側面と接触している。これにより、半導体モジュールセル200の接触面に摩擦力が作用し、半導体モジュールセル200がヒートシンク260に均一に押圧され、半導体モジュール300全体の冷却バラツキが低減される。
【0057】
ケース部210は、半導体モジュールセル200を収容する。ケース部210は、第1半導体モジュールセル200aおよび第2半導体モジュールセル200bを収容してよい。ケース部210は、ヒートシンク260に連結されてよい。ケース部210をヒートシンク260に連結するとは、ねじ等を用いてヒートシンク260に固定することであってよく、接着剤等を用いてヒートシンク260に固着することであってよい。
【0058】
ケース部210は、連結部240を取り付けるための取り付け部を有してよい。本例のケース部210は、連結部240が貫通するための孔部を有する。
【0059】
ケース部210は、積層基板150から分離して設けられる。本例のケース部210は、第1積層基板150aおよび第2積層基板150bから分離されて設けられる。ケース部210と積層基板150との間には、封止部220が設けられてよい。ケース部210を積層基板150から分離して設け、封止部220を介在させることにより、半導体モジュールセル200に印加する押圧を均一化できる。
【0060】
押圧部215は、封止部220の上面を押圧する。押圧部215は、第1封止部220aおよび第2封止部220bの上面を押圧してよい。押圧部215が封止部220の上面を押圧することにより、半導体モジュールセル200がヒートシンク260に押し付けられ、冷却効率が向上する。本例の押圧部は、ケース部210の内壁である。即ち、ケース部210の内壁は、第1封止部220aの上面および第2封止部220b上面と接してよい。
【0061】
複数の封止部220は、相互に分離可能な状態で、側面同士が接触するように設けられてよい。本例において、第1封止部220aおよび第2封止部220bは、相互に分離可能な状態で、側面同士が接触するように設けられる。複数の封止部220は一体成型されず、個別成形されてよい。
【0062】
複数の封止部220は、側面同士が接触する1または複数の接触面からなる接触部225を有する。本例の第1封止部220aおよび第2封止部220bは、側面同士が接触する領域に接触部225を有する。複数の封止部220が接触部225を有することにより、隣接する封止部220同士において摩擦力が働き、一方の封止部220に印加された押圧が他方の封止部220にも印加され、各封止部220に印加される押圧が均一化される。
【0063】
連結部240は、ケース部210をヒートシンク260に連結する。ケース部210は、複数の連結部240を有していてよい。複数の連結部240は、ケース部210の対称な位置に設けられてよい。本例の複数の連結部240は、ケース部210の四隅に設けられる。連結部240を対称な位置に設けることにより、押圧部215が封止部220に印加する押圧を均一化し、半導体モジュールセル200に印加される押圧を均一化できる。
【0064】
介在部250は、ヒートシンク260の上面に設けられる。介在部250は、ヒートシンク260の上面と、積層基板150の下面との間に設けられてよい。介在部250は、有機絶縁性の材料で構成されてよい。介在部250は、TIM(Thermal Interface Materical)であってよい。これにより、半導体モジュール300の冷却効率が向上する。
【0065】
介在部250は、一例としてグリースである。グリースは、シリコーングリースであってよく、オイルコンパウンドであってよい。介在部250をグリースで構成することにより、半導体モジュールセル200が故障した場合などにおいて、取り換え容易性が向上する。
【0066】
介在部250は、接着剤であってよく、樹脂シートであってよい。これにより、半導体モジュールセル200をヒートシンク260の上面に固定できる。
【0067】
複数の半導体モジュールセル200は、共通の介在部250の上方に設けられてよい。本例の第1半導体モジュールセル200aおよび第2半導体モジュールセル200bは、共通の介在部250の上方に設けられている。これにより、半導体モジュール300全体の冷却バラツキが低減される。
【0068】
ヒートシンク260は、半導体モジュールセル200を冷却する。ヒートシンク260は、熱伝達効率の高い材料で構成されてよい。一例では、ヒートシンク260は、ステンレスで構成される。ヒートシンク260は、外部の図示しない冷却装置に接続され、冷却されてよい。
【0069】
図3Bは、本例の半導体モジュール300の構成の変形例を示す。本例の半導体モジュール300は、3つの半導体モジュールセル200を備える。半導体モジュール300は、第1半導体モジュールセル200aと、第2半導体モジュールセル200bと、第3半導体モジュールセル200cとを備えてよい。
【0070】
第3半導体モジュールセル200cは、第3積層基板150cと、第3積層基板150c上に載置された第3半導体チップ100cと、第3半導体チップ100cを覆う第3封止部220cとを有してよい。第3半導体モジュールセル200cの構成の詳細は、第1半導体モジュールセル200aおよび第2半導体モジュールセル200bの構成と同一であってよく、異なっていてよい。
【0071】
接触部225を形成する側面は、傾斜した側面を含んでよい。本例の複数の封止部220は、傾斜した側面同士が接触する1または複数の接触面226を含む、接触部225を有する。接触部225が傾斜した側面を含むことにより、隣接する封止部220同士において、一方の封止部220に印加された押圧をより効率的に他方の封止部220に印加できる。
【0072】
本例の第1封止部220aおよび第2封止部220bは、傾斜した側面同士が接触する1または複数の接触面を含む、接触部225aを有する。これにより、第1半導体モジュールセル200aに印加された押圧の一部が第2半導体モジュールセル200bにも印加され、第1半導体モジュールセル200aおよび第2半導体モジュールセル200bがヒートシンク260に均一に押圧されるので、半導体モジュール300全体の冷却バラツキが低減される。
【0073】
本例の第2封止部220bおよび第3封止部220cは、傾斜した側面同士が接触する1または複数の接触面を含む、接触部225bを有する。第3封止部220cの側壁は、第1封止部220aの側壁および第2封止部220bの側壁の少なくとも一方と接してよい。これにより、第1半導体モジュールセル200a、第2半導体モジュールセル200bおよび第3半導体モジュールセル200cがヒートシンク260に均一に押圧され、半導体モジュール300全体の冷却バラツキが低減される。
【0074】
図4Aは、接触部225を有する封止部220の上面図の一例である。接触部225は、複数の接触面226を有してよい。本例の第1封止部220aおよび第2封止部220bにおける接触部225aは、第1接触面226-1aおよび第2接触面226-2aを有する。本例の第2封止部220bおよび第3封止部220cにおける接触部225bは、第1接触面226-1bおよび第2接触面226-2bを有する。
【0075】
接触面226は、積層基板150の積層方向に対して傾斜した側面である傾斜部分227と、積層方向に平行な側面である垂直部分228の少なくとも一方を含んでよい。
図3Aに示した例において、接触面226は垂直部分228を含み、傾斜部分227を含まない。
図3Bに示した例において、接触面226は、傾斜部分227および垂直部分228の両方を含む。傾斜部分227および垂直部分228については後述する。
【0076】
本例の接触部225は、2つの接触面226を有する。接触部225は、1つの接触面226を有してよく、3つ以上の接触面226を有してよい。第1封止部220aおよび第2封止部220bにおける接触部225aが有する接触面226の個数と、第2封止部220bおよび第3封止部220cにおける接触部225bが有する接触面226の個数とは、同一であってよく、異なっていてよい。
【0077】
本明細書において、接触部225が有する接触面226の個数とは、接触部225において、隣接する封止部220の傾斜した側面同士が異なる角度で接触している領域の個数であってよく、異なる形状で接触している領域の個数であってよい。接触面226が傾斜部分227を有さない場合は、接触部225が有する接触面226の個数は1つである。本例において、接触部225aは、第2封止部220bが第1封止部220aの上方に延伸することで形成された第1接触面226-1aと、第1封止部220aが第2封止部220bの上方に延伸することで形成された第2接触面226-2aとの2つの接触面226を有している。
【0078】
図4Bは、
図4Aにおけるb-b'断面の一例を示す図である。b-b'断面は、第1封止部220aおよび第2封止部220bの境界であって、第1接触面226-1aを通る断面である。
【0079】
傾斜した側面同士が接触する1または複数の接触面は、第1接触面226-1aを有してよい。第1接触面226-1aは、第1封止部220aの有する傾斜した側面と、第2封止部220bの有する傾斜した側面とで構成される第1傾斜部分227-1a、および、第1封止部220aの有する垂直面と、第2封止部220bの有する垂直面とで構成される第1垂直部分228-1aを含む。
【0080】
第1積層基板150aおよび第2積層基板150bの積層方向に対する、第1封止部220aの有する傾斜した側面の角度と、第2封止部220bの有する傾斜した側面の角度とは、同一であってよく、異なっていてよい。本例における第1封止部220aの有する傾斜した側面の角度と、第2封止部220bの有する傾斜した側面の角度とは、同一である。
【0081】
第1接触面226-1aを構成する第1傾斜部分227-1aは、第1積層基板150aおよび第2積層基板150bの積層方向に対して、予め定められた角度を有してよい。本例の第1傾斜部分227-1aは、第1積層基板150aおよび第2積層基板150bの積層方向に対して、予め定められた角度αを有する。本明細書において、第1接触面226-1aの角度とは、第1傾斜部分227-1aが有する予め定められた角度αのことであってよい。予め定められた角度αは、10°以上であってよく、90°以下であってよい。予め定められた角度αは、90°以上であってよく、180°以下であってよい。
【0082】
第1傾斜部分227-1aは、平面であってよく、曲面であってよい。第1傾斜部分227-1aのYZ断面における形状は、直線形状であってよく、折れ線形状であってよく、曲線形状であってよい。第1傾斜部分227-1aの形状がいずれの形状である場合でも、第2封止部220bの上面に印加される押圧を第1封止部220aに印加でき、押圧を分散できる。
【0083】
図4Cは、
図4Aにおけるc-c'断面の一例を示す図である。c-c'断面は、第1封止部220aおよび第2封止部220bの境界であって、第2接触面226-2aを通る断面である。第2接触面226-2aは、第1封止部220aの有する傾斜した側面と、第2封止部220bの有する傾斜した側面とで構成される第2傾斜部分227-2a、および、第1封止部220aの有する垂直面と、第2封止部220bの有する垂直面とで構成される第2垂直部分228-2aを含む。
【0084】
傾斜した側面同士が接触する1または複数の接触面は、第2接触面226-2aを有してよい。第2接触面226-2aを構成する第2傾斜部分227-2aは、第1積層基板150aおよび第2積層基板150bの積層方向に対して、予め定められた角度を有してよい。本例の第2傾斜部分227-2aは、第1積層基板150aおよび第2積層基板150bの積層方向に対して、予め定められた角度βを有する。本明細書において、第2接触面226-2aの角度とは、第2傾斜部分227-2aが有する予め定められた角度βのことであってよい。予め定められた角度βは、-90°以上であってよく、-10°以下であってよい。予め定められた角度βは、-180°以上であってよく、-90°以下であってよい。
【0085】
第2傾斜部分227-2aは、平面であってよく、曲面であってよい。第2傾斜部分227-2aのYZ断面における形状は、直線形状であってよく、折れ線形状であってよく、曲線形状であってよい。第2傾斜部分227-2aの形状がいずれの形状である場合でも、第1封止部220aの上面に印加される押圧を第2封止部220bに印加でき、押圧を分散できる。
【0086】
第1傾斜部分227-1aの有する予め定められた角度αと、第2傾斜部分227-2aの有する予め定められた角度βとは、絶対値が同一であってよく、異なっていてよい。本例において、第1傾斜部分227-1aと第2傾斜部分227-2aとの角度の絶対値は、同一である。
【0087】
図5Aは、ヒートシンク260の上面に作用する垂直方向の応力分散s
2を算出する際のモデル図である。ヒートシンク260の上面に3つの半導体モジュールセル200を収容したケース部210を載置し、ケース部210の四隅に連結部240を介して垂直方向の荷重負荷を印加した。その後、ヒートシンク260の上面における領域を、260-1、260-2、260-3の順に、260-nまでのn個の領域に分割し、分割された各領域における垂直方向の応力を算出した。ここで、nはシミュレーション規模およびシミュレーション時間に応じて決定される任意の自然数である。そして、得られた各応力の値から、以下の数1に記載の式を用いて垂直方向の応力分散s
2を算出した。式中、σ
nは各領域260-nにおける垂直方向の応力の大きさを、σ
avgは垂直方向の応力の平均値を示す。
【数1】
【0088】
図5Bは、接触部225が有する接触面226の個数と、ヒートシンク260の上面に作用する垂直方向の応力の分散との関係を表す図である。横軸に、接触部225が有する接触面226の個数を、縦軸に、ヒートシンク260の上面に作用する垂直方向の応力の分散を取り、プロットしている。
【0089】
接触部225が傾斜部分227を1つ以上有する場合、傾斜部分227を有さない場合よりも分散が小さくなることが分かる。接触部225が傾斜部分227を有することにより、複数の半導体モジュールセル200に印加される押圧を均一化できる。
【0090】
図5Cは、接触部225が有する接触面226の角度と、ヒートシンク260の上面に作用する垂直方向の応力の分散との関係を表す図である。横軸に、接触部225が有する接触面226の角度を、縦軸に、ヒートシンク260の上面に作用する垂直方向の応力の分散を取り、プロットしている。本例において接触面226の角度とは、
図4Bおよび
図4Cで示した予め定められた角度αおよびβのことをいう。なお、応力分散の算出過程において、αとβは同一であるものとして計算している。
【0091】
接触部225が有する接触面226の角度が10°、20°、40°および90°のとき、接触面226の角度が0°の場合よりも分散が小さくなることが分かる。接触部225が有する接触面226の角度を10°以上、90°以下とすることにより、複数の半導体モジュールセル200に印加される押圧を均一化できる。
【0092】
図6Aは、本例の半導体モジュール300の構成の変形例を示す。本例の半導体モジュール300は、3つの半導体モジュールセル200を備える。半導体モジュール300は、ケース部210と封止部220との間にバネ部270を有してよい。本例の半導体モジュール300は、押圧部215として、ケース部210と第1封止部220a、第2封止部220bおよび第3封止部220cとの間に設けられたバネ部270を有する。
【0093】
バネ部270は、ケース部210の内壁からの押圧を、封止部220に印加する。バネ部270は板バネであってよい。バネ部270は、ケース部210の内壁からの押圧を封止部220に印加可能な弾性材料で構成される。バネ部270の材料は、炭素鋼、ステンレス、ニッケル合金およびチタン合金等の金属材料であってよく、天然ゴム、プラスチックおよびセラミック等の非金属材料であってよい。バネ部270を設けることにより、封止部220に印加される押圧を均一化できる。
【0094】
図6Bは、
図6Aに示した変形例の上面図の一例を示す。簡単のため、ケース部210を省略している。
【0095】
バネ部270は、複数の封止部220のそれぞれについて共通に設けられてよく、個別に設けられてよい。本例のバネ部270は、第1封止部220a、第2封止部220bおよび第3封止部220cについて共通に設けられている。バネ部270が複数の封止部220のそれぞれについて共通に設けられるとは、半導体モジュール300において、複数の封止部220のそれぞれを押圧するための単一のバネ部270が設けられることであってよい。
【0096】
バネ部270は、上面視で、複数の封止部220のそれぞれについて略十字型の形状を有するように構成されてよい。これにより、ケース部210から印加される押圧を均一に封止部220に印加することができる。
【0097】
図7Aは、半導体モジュール300の製造方法のフローチャートを示す。本例の半導体モジュール300の製造方法は、第1半導体モジュールセル200aを取得する段階S100と、第2半導体モジュールセル200bを取得する段階S200とを備える。本例の半導体モジュール300の製造方法は、ヒートシンク260の上面に有機絶縁性の介在部250を設ける段階S300を備えてよい。本例の半導体モジュール300の製造方法は、第1半導体モジュールセル200aおよび第2半導体モジュールセル200bを載置する段階S400を備える。本例の半導体モジュール300の製造方法は、ケース部210をヒートシンク260に連結し、ケース部210の押圧部215により第1半導体モジュールセル200aおよび第2半導体モジュールセル200bをヒートシンク260に押圧する段階S500を備える。
【0098】
第1半導体モジュールセル200aを取得する段階S100は、第1半導体モジュールセル200aを製造する段階を含んでよい。第2半導体モジュールセル200bを取得する段階S200は、第2半導体モジュールセル200bを製造する段階を含んでよい。第1半導体モジュールセル200aおよび第2半導体モジュールセル200bを製造する行為主体は、本例の半導体モジュール300を製造する行為主体と同一であってよく、異なっていてよい。
【0099】
段階S100において取得される第1半導体モジュールセル200aは、第1積層基板150aと、第1積層基板150a上に載置された第1半導体チップ100aと、第1半導体チップ100aを覆う第1封止部220aとを有する。同様に、段階S200において取得される第2半導体モジュールセル200bは、第2積層基板150bと、第2積層基板150b上に載置された第2半導体チップ100bと、第2半導体チップ100bを覆う第2封止部220bとを有する。
【0100】
段階S300において、ヒートシンク260の上面に有機絶縁性の介在部250が設けられる。これにより、半導体モジュールセル200とヒートシンク260との間の熱伝達効率が向上し、半導体モジュール300の冷却効率が向上する。段階S300は、省略されてもよい。
【0101】
段階S400において、第1半導体モジュールセル200aおよび第2半導体モジュールセル200bがヒートシンク260の上面に載置される。第1半導体モジュールセル200aおよび第2半導体モジュールセル200bは、側面同士が互いに接するように載置される。これにより、第1半導体モジュールセル200aおよび第2半導体モジュールセル200bの間に摩擦力が作用し、第1半導体モジュールセル200aおよび第2半導体モジュールセル200bに印加される押圧が均一化される。
【0102】
段階S500において、第1半導体モジュールセル200aおよび第2半導体モジュールセル200bを覆うように、ケース部210がヒートシンク260に連結される。これにより、ケース部210の押圧部215が第1半導体モジュールセル200aおよび第2半導体モジュールセル200bの上面に押圧を印加し、半導体モジュール300の冷却効率が向上する。
【0103】
図7Bは、半導体モジュールセル200の製造方法のフローチャートを示す。半導体モジュールセル200の製造方法は、第1半導体モジュールセル200aを取得する段階S100の一例であってよく、第2半導体モジュールセル200bを取得する段階S200の一例であってよい。
【0104】
半導体モジュールセル200の製造方法は、積層基板150を設ける段階S110と、半導体チップ100を設ける段階S120と、積層基板150および半導体チップ100を接続する段階S130と、封止部220を充填する段階S140とを備える。半導体モジュールセル200の製造方法は、封止部220を切断する段階S150を備えてよい。積層基板150を設ける段階S110については、当業者であれば理解しうる通常の方法で行われてよいので、本明細書では説明を省略する。
【0105】
段階S120において、積層基板150の上方に半導体チップ100が設けられる。半導体チップ100は、積層基板150の上方に1つ載置されてよく、2つ以上載置されてよい。一例として、半導体チップ100は、半導体モジュールセル200の上アームおよび下アームを形成するように、積層基板150の上方に載置される。積層基板150と半導体チップ100との間には、半田等で構成された結合部材160が設けられてよい。
【0106】
段階S130において、積層基板150および半導体チップ100が電気的に接続される。積層基板150および半導体チップ100の接続は、リードフレーム230を介して行われてよく、ボンディングワイヤ等を介して行われてよく、結合部材160を介して行われてよい。
【0107】
段階S140において、半導体チップ100が封止部220により覆われる。封止部220の充填は、半導体チップ100および積層基板150が完全に内部に収容されるまで行われてよい。封止部220の充填は、鋳型を用いて行なわれてよい。
【0108】
段階S150において、封止部220の短手方向における端部の少なくとも一部が切断される。本例の封止部220は、他の封止部と傾斜した側面同士が接触する1または複数の接触面を有する。封止部220の傾斜した側面は、段階S150において、封止部220の少なくとも一部が切断されることにより形成されてよい。
【0109】
封止部220の傾斜した側面は、封止部220の少なくとも一部を切断する段階S150以外の方法で形成されてもよい。一例では、封止部220の傾斜した側面は、段階S140において、封止部220を充填する際の鋳型に傾斜を設けることで形成される。
【0110】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0111】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0112】
100・・・半導体チップ、110・・・出力端子、112・・・ゲート外部端子、114・・・補助ソース外部端子、122・・・ゲート外部端子、124・・・補助ソース外部端子、142・・・正極端子、144・・・負極端子、150・・・積層基板、151・・・第1金属層、152・・・絶縁板、153・・・第2金属層、160・・・結合部材、181・・・第1配置領域、182・・・第2配置領域、183・・・第3配置領域、200・・・半導体モジュールセル、210・・・ケース部、215・・・押圧部、220・・・封止部、225・・・接触部、226・・・接触面、227・・・傾斜部分、228・・・垂直部分、230・・・リードフレーム、240・・・連結部、250・・・介在部、260・・・ヒートシンク、270・・・バネ部、300・・・半導体モジュール