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特開2025-22102足場ボルト付き電柱および電柱に用いられる足場ボルト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025022102
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】足場ボルト付き電柱および電柱に用いられる足場ボルト
(51)【国際特許分類】
   H02G 7/00 20060101AFI20250206BHJP
   F16B 35/00 20060101ALI20250206BHJP
   F16B 37/14 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
H02G7/00
F16B35/00 Q
F16B35/00 Y
F16B35/00 Z
F16B37/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023126364
(22)【出願日】2023-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 隆則
【テーマコード(参考)】
5G367
【Fターム(参考)】
5G367AA02
5G367AD07
5G367AD10
(57)【要約】
【課題】墜落防止器具の付け替えを忘れないように認識させる、足場ボルト付き電柱および電柱に用いられる足場ボルトの提供。
【解決手段】電柱本体と、電柱本体の高さ方向に所定間隔をおいて複数配置された足場ボルト3とを備え、足場ボルト3は、電柱本体側に連結された連結部31と、連結部31から電柱本体の外側に伸びて作業者が把持又は足掛けするボルト主部と、ボルト主部から電柱本体の外側に伸びる首部33と、首部33の外側に配置され首部33よりも大径に形成された頭部34とを備え、所定の高さと等しい又はその付近の足場ボルトの、首部33から頭部34のうちの少なくとも一部に、地上からの高さを示す高さ表示部5が設けられている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電柱本体と、前記電柱本体の高さ方向に所定間隔をおいて複数配置された足場ボルトとを備え、
前記足場ボルトは、前記電柱本体側に連結された連結部と、前記連結部から前記電柱本体の外側に伸びて作業者が把持又は足掛けするボルト主部と、前記ボルト主部から前記電柱本体の外側に伸びる首部と、前記首部の外側に配置され該首部よりも大径に形成された頭部と、を備え、
所定の高さと等しい又はその付近の前記足場ボルトの、前記首部から前記頭部のうちの少なくとも一部に、地上からの高さを示す高さ表示部が設けられた足場ボルト付き電柱。
【請求項2】
前記所定の高さの高さ表示部は、前記電柱本体から墜落した作業者が地上に撃突しないようにする墜落防止器具に対し、その取り扱いを変更する高さに設定された請求項1に記載の足場ボルト付き電柱。
【請求項3】
前記頭部は、前記首部の外側端から該首部の径外方向に突出するように設けた内面を備え、
前記高さ表示部は、前記頭部の前記内面を覆う内面部を備える請求項1又は請求項2に記載の足場ボルト付き電柱。
【請求項4】
前記高さ表示部は、前記首部の周囲を覆う首周部を備える請求項1又は請求項2に記載の足場ボルト付き電柱。
【請求項5】
電柱に用いられる足場ボルトであって、
前記電柱に連結された連結部と、前記連結部から前記電柱の外側に伸びて作業者が把持又は足掛けするボルト主部と、前記ボルト主部から前記電柱の外側に伸びる首部と、前記首部の外側に配置され該首部よりも大径に形成された頭部と、を備え、
所定の高さと等しい又はその付近に、前記首部から前記頭部のうちの少なくとも一部に地上からの高さを示す高さ表示部が設けられた電柱に用いられる足場ボルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足場ボルト付き電柱および電柱に用いられる足場ボルトに関する。
【背景技術】
【0002】
電柱において作業者が作業を行う場合、電柱から墜落しないために墜落防止器具(ランヤード)が用いられる。
【0003】
ところで、墜落防止器具は、地上からの所定の高さ以下と以上では、作業者による取り扱いが異なっている。具体的に、地上から5mを基準として、墜落防止器具により取り扱いが異る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-40944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、作業者が電柱を上ったり、あるいは作業に集中したりすることで、地上からの高さに対して墜落防止器具の取り扱いを誤る場合がある。
【0006】
そこで本発明は、墜落防止器具の取り扱いを誤らない、足場ボルト付き電柱および電柱に用いられる足場ボルトの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、電柱本体と、前記電柱本体の高さ方向に所定間隔をおいて複数配置された足場ボルトとを備え、前記足場ボルトは、前記電柱本体側に連結された連結部と、前記連結部から前記電柱本体の外側に伸びて作業者が把持又は足掛けするボルト主部と、前記ボルト主部から前記電柱本体の外側に伸びる首部と、前記首部の外側に配置され該首部よりも大径に形成された頭部と、を備え、所定の高さと等しい又はその付近の前記足場ボルトの、前記首部から前記頭部のうちの少なくとも一部に、地上からの高さを示す高さ表示部が設けられた足場ボルト付き電柱である。
【0008】
上記構成の足場ボルト付き電柱において、足場ボルトの、所定の高さと等しい又はその付近の足場ボルトの首部から頭部に、首部から頭部のうちの少なくとも一部に、地上からの高さを示す高さ表示部が設けられているので、電柱に上る作業者は、高さ表示部を視覚認識可能とすることで、地上からの高さを認識できる。
【0009】
本発明の足場ボルト付き電柱では、前記所定の高さの高さ表示部は、前記電柱本体から墜落した作業者が地上に撃突しないようにする墜落防止器具に対し、その取り扱いを変更する高さに設定されている。
【0010】
上記構成の足場ボルト付き電柱によれば、高さ表示部が所定の高さの足場ボルトの高さ表示部に設定されているので、作業者は高さ表示部を視覚認識可能とすることにより、墜落防止器具に対しその取り扱いを変更することができるから、作業者の安全を確保することができる。
【0011】
本発明の足場ボルト付き電柱では、前記頭部は、前記首部の外側端から該首部の径外方向に突出するように設けた内面を備え、前記高さ表示部は、前記頭部の前記内面を覆う内面部を備えた構成とすることもできる。
【0012】
上記構成の足場ボルト付き電柱によれば、高さ表示部が頭部の内面を覆う内面部を備えるので、作業者の視覚認識可能な範囲に内面部が入りやすい。
【0013】
本発明の足場ボルト付き電柱では、前記高さ表示部は、前記首部の周囲を覆う首周部を備えた構成とすることもできる。
【0014】
上記構成の足場ボルト付き電柱によれば、高さ表示部が首部の周囲を覆う首周部を備えるので、作業者の視覚認識可能な範囲に周囲部が入りやすい。
【0015】
本発明は、電柱に用いられる足場ボルトであって、前記電柱に連結された連結部と、前記連結部から前記電柱の外側に伸びて作業者が把持又は足掛けするボルト主部と、前記ボルト主部から前記電柱の外側に伸びる首部と、前記首部の外側に配置され該首部よりも大径に形成された頭部と、を備え、所定の高さと等しい又はその付近に、前記首部から前記頭部のうちの少なくとも一部に地上からの高さを示す高さ表示部が設けられた電柱に用いられる足場ボルトである。
【0016】
上記構成の電柱に用いられる足場ボルトによれば、所定の高さと等しい又はその付近に、首部から頭部のうちの少なくとも一部に地上からの高さを示す高さ表示部が設けられているので、作業者は、高さ表示部を視覚認識可能とすることで、地上からの高さを認識できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の足場ボルト付き電柱、および電柱に用いられる足場ボルトによれば、高さ表示部が設けられているので、電柱に上る作業者は、高さ表示部を視覚認識可能として、地上からの高さを認識できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、電柱の立設状態を表した説明図である。
図2図2は、足場ボルトの全体構成と、第一の実施形態の高さ表示部を表す正面図である。
図3図3は、足場ボルトの頭部に装着された高さ表示部の内面側からの斜視図である。
図4図4は、足場ボルトの頭部に装着された高さ表示部の内面側からの側面図である。
図5図5は、足場ボルトの頭部に装着された高さ表示部の正面断面図である。
図6図6は、足場ボルトの首部に装着された第二の実施形態の高さ表示部の内面側からの斜視図である。
図7図7は、足場ボルトの首部に装着された高さ表示部の内面からの側面図である。
図8図8は、足場ボルトの首部に装着された高さ表示部の断面図である。
図9図9は、足場ボルトの首部に装着された、第二の実施形態の別例を表す高さ表示部の内面からの側面図である。
図10図10(a)~(h)は、足場ボルトの首部から頭部に着色を施すようにした高さ表示部の具体例を表す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の一実施形態に係る電柱(電力柱)について、図1ないし図10を参照して説明する。図1に示すように、電柱1は、足場ボルト付き電柱であり、所定の場所に下部が埋設される電柱本体2と、高さ方向所定間隔毎に足場ボルト3(足場釘とか足場部材とも称する)が取付けられている。電柱本体2は架空線路4の支持体であり、一般的な構造のものが用いられている。
【0020】
足場ボルト3は規格からなるものであって一般的な構造のものが用いられており、図2に示すように、電柱本体2側に連結された連結部31と、連結部31から電柱本体2の外側に伸びる滑り止め部32と、滑り止め部32から電柱本体2の外側に伸びる首部33と、首部33の外側に突出された頭部34とを備える。
【0021】
本実施形態では、連結部31、滑り止め部32、および首部33は円柱状に形成され、頭部34は六角形状のボルト頭とされる。連結部31は電柱本体2に埋設されるよう構成されおり、外周面にはおねじ31aが切られ、電柱本体2に形成されためねじに螺合されている。滑り止め部32は、ボルト主部に滑り止め32aが形成されており、ボルト主部は、作業者が把持したり、足掛けをしたりする領域である。なお、滑り止め32aの構成は特に限定されるものではなく、一般的な構成が用いられており、この場合、滑り止め部32の外周表面に凹部と凸部(符号省略)が形成されている。首部33は、滑り止め部32と頭部34との間にあって、その表面には何も施されていない円形部分であり、円形に形成した首周部33aを有する。なお、滑り止め部32の滑り止め32aの直径は、首部33の首周部33aの直径より若干大きく形成されている。頭部34は、首部33の外側端から首部33の径外方向に突出するように設けた内面34aと、六角状の外周面34bと、内面34aに外側で対向する外面34cとを有する。
【0022】
なお、頭部34は六角形状とされたが、足場ボルト3の軸心3aに沿う多角柱状とすることもできる。この場合、内面34aと外面34cとは多角柱状の面とされ、外周面34bは、多角柱状の角数と同じ数の平面とされる。
【0023】
このような足場ボルト3は、図1に示すように、電柱本体2に対して所定間隔をあけて複数取付けられており、例えば、地上から1.8mより上であり、電柱本体2に45cm間隔で、連結部31(おねじ31a)により上下方向に取付けられている。
【0024】
これら足場ボルト3のうち、所定の高さと等しい又はその付近の首部33から頭部34に、地上からの高さを示す高さ表示部5が設けられている。換言すると、前記所定の高さは、電柱本体2から墜落した作業者が地上に撃突しないようにする墜落防止器具(ランヤード)の取り扱いを変更する高さに設定されているもので、このような所定高さの足場ボルト3に対し、高さ表示部5が設けられている。
【0025】
この場合、地上から1.8mより上で、電柱本体2に45cm間隔で複数の足場ボルト3が取付けられており、墜落防止器具の取り扱いを変更するのに地上から5mを基準にすると、図1に示すように、7本目の足場ボルト3に高さ表示部5が設けられている。あるいは、7本目を基準にその上下の足場ボルト3に高さ表示部5が設けられている。
【0026】
足場ボルト付き電柱における電柱1の構成と、基準に即した連結部31、滑り止め部32、首部33、および頭部34を備えた足場ボルト3の構成とを共通の概念として、以下、高さ表示部5について述べる。
【0027】
足場ボルト付き電柱、すなわち足場ボルト3に取付けられる第一の実施形態の高さ表示部3を、図2ないし図5を参照して説明する。第一の実施形態における高さ表示部5は、足場ボルト3とは別部材の構成であり、足場ボルト3の頭部34を覆うよう構成されている。具体的に、高さ表示部5は、図3図5に示すように、頭部34の外周面34bを覆う(外周面34bの周方向全周を覆う)六面体の表面被覆部6と、表面被覆部6に一体的に形成されて、頭部34の内面34aを覆う内面被覆部7(内面部に相当する)とを有している。
【0028】
表面被覆部6は、頭部34の外周面34bに沿うよう一体的に形成されている。表面被覆部6における足場ボルト3の軸心3aに沿う長さは、外周面34bの長さよりも若干長く形成されている。
【0029】
表面被覆部6と内面被覆部7とは、六角線状の折線部分8を介して折曲げ自在とされている。換言すると、折線部分8を介して表面被覆部6と内面被覆部7とを相対的に折曲げることが可能であり、外力(例えば人力)によって折線部分8を介して表面被覆部6と内面被覆部7とが折曲げられる。内面被覆部7は、表面被覆部6に対応して周方向全周に形成され、具体的には表面被覆部6の六面に対応して六箇所に形成されている。
【0030】
内面被覆部7における足場ボルト3の軸心3aに沿う長さは、折線部分8を介して折曲げられた際に、首部33の首周部33aに略一致する長さに形成されている。各内面被覆部7は、頭部34の内面34aを覆った際に、隣合う内面被覆部7と重ならないようにするするように構成されている。この場合、各内面被覆部7は、隣合う内面被覆部7と重ならないよう、折線部分8を含めて半円状に形成されている。なお、内面被覆部7は、折線部分8を基端として少なくとも先端部が、先端ほど幅が小さくなっている。
【0031】
図2図4では、折線部分8を含めて半円状に形成されたが、多角形とすることもでき、この場合、頭部34が六角形状あるいは多角柱状において、内面34aの一辺に対して1つずつ、全辺に対して設けることもできる。
【0032】
また、高さ表示部5の色彩、あるいは表面被覆部6と内面被覆部7の表面の色彩は、鮮明な「赤色」、「黄色」等が用いられて、視覚認識し易い色が使用されている。あるいは、深夜の作業を鑑みた場合、高さ表示部5として反射板を、表面被覆部6と内面被覆部7の表面に施こすこともできる。あるいは、高さ表示部5として蓄光板を用いることもできる。
【0033】
このような高さ表示部5を、前記所定の高さの足場ボルト3に設置する場合には、足場ボルト3を電柱本体2に取付けてから行う場合と、足場ボルト3を電柱本体2に取付ける前に行う場合とが考えられるが、双方の取付け方は同様である。
【0034】
すなわち、図2で示すように、高さ表示部5の内面被覆部7を折線部分8で折曲げることなく表面被覆部6と面一として、高さ表示部5を、頭部34の外側から連結部31の方向側へ移動させ、表面被覆部6を頭部34の外周面34bに沿わせるようにして表面被覆部6を頭部34に被せ、その後に、図3図5で示すように、折線部分8を利用して内面被覆部7を、内面34aに向けて折曲げる。この際、表面被覆部6は、頭部34の外周面34bに沿うよう一体的に形成されているため、表面被覆部6の外側面6aと、頭部34の外面34cとは略同一面となっている。
【0035】
このようにして、高さ表示部5を前記所定の高さの足場ボルト3に設置すると、作業者にとって、高さ表示部5を視覚認識可能とすることができる。つまり、地上からの高さを認識でき、墜落防止器具の取り扱いを変更することができるので、作業者の安全を確保することができる。また、高さ表示部5が頭部34の内面34aを覆う内面被覆部7を備えるので、作業者の視覚認識可能な範囲に内面被覆部7が入りやすい。さらに、高さ表示部5には視覚認識し易い色が使用されているので、いっそう視覚認識が容易となる。
【0036】
ところで、高さ表示部5の足場ボルト3の取付けは、足場ボルト3を電柱本体2に取付けてから行う場合と、足場ボルト3を電柱本体2に取付ける前に行う場合とが考えられるが、双方の取付け方は同様である。しかしながら、足場ボルト3を電柱本体2に取付ける前に行う場合では、高さ表示部5の内面被覆部7を折線部分8で予め折曲げて、各内面被覆部7で囲まれる空間を用いて、連結部31側から頭部34側へ移動させ、表面被覆部6を頭部34の外周面34bに沿わせるようにして表面被覆部6を頭部34に被せる、といった方法もあり得る。
【0037】
本発明の足場ボルト付き電柱、すなわち足場ボルト3に取付けられる高さ表示部5の、第二の実施形態を図6図9を参照して説明する。第二の実施形態の高さ表示部5は、第一の実施形態と同様に、足場ボルト3とは別部材の構成であり、図6に示すように、足場ボルト3の首部33における首周部33aを覆うよう構成されている。具体的に、第二の実施形態における高さ表示部5は、首部33全体を覆うように、中央に首部33と嵌合する隙間9を有した環状体10から構成されている。
【0038】
図6図8に示すように、環状体10の長さは、首周部33aにおける、足場ボルト3の軸心3aの略全体の長さに設定されており、図7で示すように、足場ボルト3の軸心3aに沿うヒンジ部10aを介して、一方環状体10Aと他方環状体10Bの二つ割れとして形成されている。また、一方環状体10Aと他方環状体10Bとの対向面には、それそれ面ファスナ10Cが設けられ、ヒンジ部10aを介して一方環状体10Aと他方環状体10Bとが開閉自在であり、一方環状体10Aと他方環状体10Bとは、面ファスナ10Cによって閉塞される。すなわち、環状体10は、複数の一方環状体10Aおよび他方環状体10Bが、環状に連結されたものである。なお、環状体10の直径Dは、足場ボルト3の頭部34よりも小さく設定される。また、第二の実施形態における高さ表示部5の色彩は、第一の実施形態における高さ表示部5と同様である。
【0039】
第二の実施形態の足場ボルト付き電柱における高さ表示部5は、図8に示すように、足場ボルト3の首部33における首周部33aを覆うものであり、ヒンジ部10aを介して一方環状体10Aと他方環状体10Bを開き、隙間9に首周部33aを嵌合して首周部33aに確りと嵌められるとともに、面ファスナ10Cを用いて一方環状体10Aと他方環状体10Bとを閉塞させて、首部33の首周部33aに設置する。
【0040】
この高さ表示部5によると、高さ表示部5が首部33の周囲を覆うように取付けられるので、作業者の視覚認識可能な範囲に高さ表示部5が入りやすい。また、前述したように、滑り止め部32の滑り止め32aの直径は、首部33の首周部33aの直径より若干大きく形成されている。このため、高さ表示部5が首部33にしっかり外嵌されているなら、例えば、作業者の足が、高さ表示部5の外周部に触れて滑り止め部32側に移動しても、高さ表示部5は滑り止め部32には移動しにくい。
【0041】
図9に、第二の実施形態の足場ボルト付き電柱における高さ表示部5の、別例を示す。上記実施形態では、一方環状体10Aと他方環状体10Bとは、面ファスナ10Cを閉塞させるよう構成された。しかしながら、別例では、面ファスナ10Cの代わりに、一方環状体10Aと他方環状体10Bの両端部に、円周方向で重なる段付き面11,12を介して噛み合う係止部13,14を形成している。この構成では、ヒンジ部10aを介して一方環状体10Aと他方環状体10Bとが開閉自在であり、一方環状体10Aと他方環状体10Bとは、係止部13,14によって閉塞される。他の構成は上記第二実施形態と同様である。
【0042】
本発明は上記第一および第二の実施形態に限定されない。例えば、第一の実施形態において、高さ表示部5は、頭部34の外周面34bを覆う六面体の表面被覆部6と、頭部34の内面34aを覆う内面被覆部7とを有していた。しかしながら、表面被覆部6と、内面被覆部7と、図示しない頭部34の外面34cを覆うものから構成することもできる。ここで、足場ボルト3の頭部34においては、少なくとも内面34aの一部または全部を覆う内面被覆部7を有するか、頭部34の外周面34bの一部または全部を覆う表面被覆部6を有しておればよい。
【0043】
第二の実施形態において、足場ボルト3の首部33における首周部33aを覆うよう、一方環状体10Aと他方環状体10Bの二つ割れとして形成されていた。しかしながら、一方環状体10Aと他方環状体10Bとのうち、いずれかの環状体のみで形成することもできる。但しこの場合、滑り止め部32に移動しない手段を設けることが好ましい。
【0044】
上記第一の実施形態と第二の実施形態では、足場ボルト3とは別部材の構成とした。しかしながら、首部33から頭部34に、地上からの高さを示す高さ表示部5を、足場ボルト3と一体的に形成することも可能である。この場合では、例えば、首部33から頭部34に着色を施すことが考えられる。
【0045】
ここで、着色をした高さ表示部5を、図10(a)~(h)に示す。図10(a)~(h)において、着色をした高さ表示部5は、図10において、線を太く表した部分である。図10(a)は、首部33の首周部33aの全周に着色が施されている例である。図10(b)は、頭部34の内面34aの全部に着色が施されている例である。図10(c)は、首部33の首周部33aの全周および頭部34の内面34aの全部に着色が施されている例である。図10(d)は、首部33の首周部33aの全周、頭部34の内面34aの全部、および頭部34の外周面34bの全周に着色が施されている例である。図10(e)は、首部33の首周部33aの全周、頭部34の内面34aの全部、頭部34の外周面34bの全周、および頭部34の外面34cの一部に着色が施されている例である。図10(f)は、頭部34の内面34aの全部、および頭部34の外周面34bの全周に着色が施されている例である。図10(g)は、頭部34の外周面34bの全周に着色が施されている例である。図10(h)は、頭部34の内面34aの全部、頭部34の外周面34bの全周、および頭部34の外面34cの一部に着色が施されている例である。これらの着色における色彩は、上記第一の実施形態の高さ表示部5と同様である。
【0046】
なお、着色をした高さ表示部5は、首部33の首周部33a、頭部34の内面34a、頭部34の外周面34bの全周に施す必要はなく、首部33の首周部33aの一部、頭部34の内面34aの一部、頭部34の外周面34bの一部であってもよい。
【0047】
上記各実施形態では、頭部34は六角形状であった。しかしながら、図示しないが頭部は四角形状や、円筒状(六角穴付きボルトの頭部など)であってもよい。この場合では、第一の実施形態における表面被覆部は、頭部の四角形状の外周面や円筒状の外周面を覆うよう構成され、各内面被覆部は、表面被覆部に対応して、折線部分を介して四箇所、あるいは所定箇所に形成される。
【符号の説明】
【0048】
1…電柱、2…電柱本体、3…足場ボルト、4…架空線路、5…表示部、6…表面被覆部、6a…外側面、7…内面被覆部、8…折線部分、31…連結部、32…滑り止め部、33…首部、33a…首周部、34…頭部、34a…内面、34b…外周面、34c…外面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10