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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025022113
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】灯器及び航空標識灯
(51)【国際特許分類】
   H05B 47/19 20200101AFI20250206BHJP
【FI】
H05B47/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023126380
(22)【出願日】2023-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】石田 康史
(72)【発明者】
【氏名】小林 健二
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA06
3K273QA38
3K273RA15
3K273RA16
3K273SA11
3K273SA19
3K273SA35
3K273SA36
3K273SA58
3K273SA60
3K273TA28
3K273TA54
3K273TA66
3K273UA15
3K273UA22
3K273UA29
3K273VA01
3K273VA02
3K273VA05
(57)【要約】
【課題】メンテナンスが行われている灯器について、メンテナンスの前に取付けられていた固定機材の位置に関する情報を容易に取得可能にする灯器を提供すること。
【解決手段】実施形態では、航空標識灯において路盤に固定される固定機材に取外し可能に取付けられる灯器が提供され、灯器は、記憶媒体、通信部及び処理部を備える。記憶媒体は、情報を記憶可能であり、通信部は、灯器が固定機材に取付けられている状態において、リアルタイムで取付けられている固定機材の位置に関する機材位置情報を受信する。処理部は、機材位置情報を通信部が受信したことに対応させて、受信した機材位置情報を記憶媒体に記憶させることにより、記憶媒体に記憶される情報を更新する。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空標識灯において路盤に固定される固定機材に取外し可能に取付けられる灯器であって、
情報を記憶可能な記憶媒体と;
前記固定機材に取付けられている状態において、リアルタイムで取付けられている前記固定機材の位置に関する機材位置情報を受信する通信部と;
前記機材位置情報を前記通信部が受信したことに対応させて、受信した前記機材位置情報を前記記憶媒体に記憶させることにより、前記記憶媒体に記憶される情報を更新する処理部と;
を具備する、灯器。
【請求項2】
前記通信部は、前記リアルタイムで取付けられている前記固定機材に設置される通信モジュールから、前記機材位置情報を受信する、請求項1の灯器。
【請求項3】
路盤に固定される固定機材と;
前記固定機材に設置され、設置される前記固定機材の位置に関する機材位置情報を送信する通信モジュールと;
情報を記憶可能な記憶媒体を備え、前記固定機材に取外し可能に取付けられる灯器と;
前記灯器に設けられ、前記灯器が前記固定機材に取付けられている状態において、前記機材位置情報を前記通信モジュールから受信する通信部と;
前記灯器に設けられ、前記機材位置情報を前記通信部が受信したことに対応させて、受信した前記機材位置情報を前記記憶媒体に記憶させることにより、前記記憶媒体に記憶される情報を更新する処理部と;
を具備する、航空標識灯。
【請求項4】
前記通信部は、前記記憶媒体に記憶されている情報を前記通信モジュールへ送信することにより、送信した前記情報を前記通信モジュールにおいて記憶させる、請求項3の航空標識灯。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、灯器及び航空標識灯に関する。
【背景技術】
【0002】
空港の誘導路及び滑走路等の航空機通路では、航空標識灯が用いられ、航空標識灯は、固定機材及び灯器を備える。固定機材は、基台を備え、航空機通路において路盤に固定される。そして、灯器は、路盤に固定された固定機材に、取外し可能に取付けられる。航空標識灯では、灯器のメンテナンスが定期的に行われる。灯器のメンテナンスでは、固定機材からメンテナンス対象となる灯器を取外し、メンテナンス済みの別の灯器を固定機材に新たに取付ける。そして、固定機材から取外された灯器は、空港のバックヤード等に搬送され、バックヤード等において点検及び整備等のメンテナンスが行われる。
【0003】
航空機通路では、互いに対して異なる位置に、複数の固定機材が設置される。このため、前述のように灯器のメンテナンスが行われることにより、メンテナンスが行われた灯器は、メンテナンスの前に取付けられていた固定機材とは異なる位置の固定機材に、取付けられることがある。すなわち、灯器が取付けられる固定機材は、必ずしも1つの固定機材に限定されず、メンテナンスの度に取付けられる固定機材が異なる可能性がある。
【0004】
ここで、航空機通路では、灯器が取付けられる位置が灯器の故障等に与える影響が、大きい。このため、灯器が取付けられる位置が灯器の故障等に与える影響について、傾向観察が行われている。前述した傾向観察では、バックヤード等においてメンテナンスが行われている灯器について、メンテナンスの直前に取付けられていた固定機材の位置に関する情報を容易に取得可能なことが、求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-85264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、メンテナンスが行われている灯器について、メンテナンスの前に取付けられていた固定機材の位置に関する情報を容易に取得可能にする灯器及び航空標識灯を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態では、航空標識灯において路盤に固定される固定機材に取外し可能に取付けられる灯器が提供され、灯器は、記憶媒体、通信部及び処理部を備える。記憶媒体は、情報を記憶可能であり、通信部は、灯器が固定機材に取付けられている状態において、リアルタイムで取付けられている固定機材の位置に関する機材位置情報を受信する。処理部は、機材位置情報を通信部が受信したことに対応させて、受信した機材位置情報を記憶媒体に記憶させることにより、記憶媒体に記憶される情報を更新する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、メンテナンスが行われている灯器について、メンテナンスの前に取付けられていた固定機材の位置に関する情報を容易に取得可能にする灯器及び航空標識灯を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態に係る航空標識灯を概略的に示す断面図である。
図2図2は、第1の実施形態において、固定機材に設置される通信モジュールと灯器の通信モジュールとの間の通信系統の一例を概略的に示すブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態において、灯器のメンテナンスの際に、灯器が使用される現場である航空機通路で行われる作業を説明する概略図である。
図4図4は、第1の実施形態において、固定機材に設置される通信モジュール、及び、固定機材に取付けられている灯器の通信モジュールによって行われる処理の一例を概略的に示すフローチャートである。
図5図5は、第1の実施形態において、ある灯器の通信モジュールで、受信した機材位置情報を記憶させることによる、記憶媒体に記憶される情報の更新の一例を示す概略図である。
図6図6は、第1の実施形態において、灯器データベースでの情報の更新の一例を示す概略図である。
図7図7は、ある変形例において、固定機材に設置される通信モジュール、及び、固定機材に取付けられている灯器の通信モジュールによって、図4の一例の処理とは別に行われる処理の一例を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
実施形態では、航空標識灯(1)において路盤(2)に固定される固定機材(10)に取外し可能に取付けられる灯器(11)が提供され、灯器(11)は、記憶媒体(33)、通信部(31)及び処理部(32)を備える。記憶媒体(33)は、情報を記憶可能であり、通信部(31)は、灯器(11)が固定機材(10)に取付けられている状態において、リアルタイムで取付けられている固定機材(10)の位置に関する機材位置情報(25)を受信する。処理部(32)は、機材位置情報(25)を通信部(31)が受信したことに対応させて、受信した機材位置情報(25)を記憶媒体(33)に記憶させることにより、記憶媒体(33)に記憶される情報を更新する。これにより、メンテナンスが行われている灯器(11)について、メンテナンスの前に取付けられていた固定機材(10)の位置に関する情報を、容易に取得可能となる。
【0011】
実施形態の灯器(11)では、通信部(31)は、リアルタイムで取付けられている固定機材(10)に設置される通信モジュール(20)から、機材位置情報(25)を受信する。これにより、固定機材(10)に設置される通信モジュール(20)、及び、灯器(11)の通信構成とは別に端末等の通信機器を設けることなく、灯器(11)の記憶媒体(33)に機材位置情報(25)を記憶させることが、可能となる。
【0012】
実施形態の航空標識灯(1)は、固定機材(10)、通信モジュール(20)及び灯器(11)を備え、灯器(11)は、記憶媒体(33)、通信部(31)及び処理部(32)を備える。固定機材(10)は、路盤(2)に固定され、灯器(11)は、固定機材(10)に取外し可能に取付けられる。通信モジュール(20)は、固定機材(10)に設置され、設置される固定機材(10)の位置に関する機材位置情報(25)を送信する。灯器(11)では、記憶媒体(33)は、情報を記憶可能であり、通信部(31)は、灯器(11)が固定機材(10)に取付けられている状態において、機材位置情報(25)を通信モジュール(20)から受信する。灯器(11)では、処理部(32)は、機材位置情報(25)を通信部(31)が受信したことに対応させて、受信した機材位置情報(25)を記憶媒体(33)に記憶させることにより、記憶媒体(33)に記憶される情報を更新する。これにより、メンテナンスが行われている灯器(11)について、メンテナンスの前に取付けられていた固定機材(10)の位置に関する情報を、容易に取得可能となる。
【0013】
実施形態の航空標識灯(1)では、灯器(11)の通信部(31)は、記憶媒体(33)に記憶されている情報を通信モジュール(20)へ送信することにより、送信した情報を通信モジュール(20)において記憶させる。これにより、固定機材(10)に設置される通信モジュール(20)から記憶される情報を読取ることにより、固定機材(10)に取付けられてきた灯器(11)の時間履歴を、取得可能となる。そして、通信モジュール(20)から記憶される情報を読取ることにより、固定機材(10)にリアルタイムで取付けられている灯器(11)について、メンテナンス情報(35)等を取得可能となる。
【0014】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
まず、実施形態の一例として、第1の実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態に係る航空標識灯1を示す。図1では、鉛直方向に対して平行又は略平行な断面が、示される。航空標識灯1は、空港において、誘導路及び滑走路等の航空機通路で、用いられる。ここで、誘導路等の航空機通路では、航空機通路の全体に渡って、路床(図示しない)が形成される。そして、航空機通路では、路床の鉛直上側に、複数の路盤2が配置され、複数の路盤2によって、路面(通路表面)3が形成される。路盤2は、アスファルト・コンクリート又は砕石セメント等から形成される。なお、図1では、路盤2を1つのみ示す。
【0016】
図1に示すように、航空標識灯1は、固定機材10及び灯器11を備え、図1の一例では、航空標識灯1は、固定機材10として、基台12、調整リング13及び間座15を備える。航空機通路の路盤2には、路面3から鉛直下側へ凹む穴5が形成される。固定機材10は、穴5の内部に設置され、路盤2に固定される。そして、固定機材10は、路盤2の内部に埋込まれる。また、基台12及び間座15は、路面3から鉛直上側に突出せず、路面3において露出しない。航空標識灯1では、灯器11は、穴5の内部に設置された固定機材10に、鉛直上側から取付けられる。灯器11は、路盤2に固定された固定機材10に対して、取外し可能に取付けられる。
【0017】
図1の一例では、穴5の底部に、基台12が設置され、間座15が、基台12に鉛直上側から取付けられる。そして、調整リング13が、間座15に鉛直上側から取付けられる。そして、灯器11は、調整リング13に鉛直上側から設置され、調整リング13及び間座15を間に介して、基台12に取付けられる。なお、ある一例では、固定機材10として、間座15が設けられず、基台12及び調整リング13によって、固定機材10が構成される。この場合、調整リング13は、鉛直上側から基台12に直接的に取付けられる。そして、灯器11は、調整リング13のみを間に介して、基台12に取付けられる。
【0018】
前述のようにして灯器11が固定機材10に取付けられた状態では、灯器11の少なくとも一部は、路面3から鉛直上側に突出し、灯器11の一部は、路面3において露出する。灯器11は、光源部(図示しない)を備え、光源部は、灯器11の内部に配置される。光源部は、発光素子を備える。光源部に設けられる発光素子は、LED(light emitting diode)で、あってもよく、LED以外の発光素子であってもよい。光源部は、電力が供給されることにより、発光素子を用いて発光動作を行い、可視光等の光を出射する。そして、光源部からの光は、灯器11の外部に照射される。灯器11が固定機材10に取付けられた状態では、誘導路等の航空機通路において航空機に対して、灯器11の光源部からの光が照射される。なお、灯器11の光源部からの光は、地上(路面等)に対して照射されてもよい。
【0019】
路盤2の内部では、電力線16が延設され、誘導路等の航空機通路では、電力線16が路盤2に埋込まれる。電力線16は、灯器11に接続可能である。電力線16が灯器11に接続されることにより、電力線16を通して灯器11に電力が供給される。灯器11の光源部は、電力線16を通して電力が供給されることにより、発光動作を行い、前述のようにして光を照射する。
【0020】
また、本実施形態では、路盤2に埋込まれる固定機材10に、通信モジュール(機材側通信モジュール)20が設置される。通信モジュール20は、穴5に配置され、固定機材10と一緒に路盤2の内部に埋込まれる。そして、通信モジュール20は、固定機材10と一緒に路盤2に固定される固定側通信モジュールとなる。図1の一例では、通信モジュール20は、基台12に取付けられる。ある一例では、通信モジュール20は、調整リング13に取付けられる。また、別のある一例では、固定機材10として間座15が設けられ、通信モジュール20は、間座15に取付けられる。ただし、いずれの例でも、通信モジュール20は、穴5に配置される。そして、固定機材10に灯器11が取付けられた状態では、通信モジュール20は、灯器11に対して、鉛直下側に位置する。
【0021】
また、灯器11は、通信モジュール(灯器側通信モジュール)30を備え、通信モジュール30は、灯器11の内部に設置される。灯器11が固定機材10に取付けられている状態では、灯器11の通信モジュール30は、固定機材10に設置される通信モジュール20と無線通信をする。通信モジュール20,30の間での無線通信の通信方式は、特に限定されるものではない。ある一例では、Wi-Fi、BlueTooth(登録商標)及びWi-SUN等の既存の通信技術を用いて、又は、既存の通信技術を組み合わせて、通信モジュール20,30の間で無線通信が行われる。別のある一例では、赤外線又は紫外線を用いて、通信モジュール20,30の間で無線通信が行われる。なお、灯器11の通信モジュール30は、灯器11の表面(例えば、下部表面等)に取付けられてもよい。この場合、通信モジュール30は、灯器11から着脱可能に構成されていてもよい。
【0022】
図1の一例では、通信モジュール30は、電力線16を通して供給される電力によって、通信動作等の動作を行う。また、図1の一例では、固定機材10に、バッテリ17が設置され、バッテリ17は、穴5の内部に配置される。固定機材10に灯器11が取付けられた状態では、バッテリ17は、灯器11に対して、鉛直下側に位置する。図1の一例では、固定機材10に設置される通信モジュール20は、バッテリ17からの電力によって、通信動作等の動作を行う。なお、ある一例では、バッテリ17が設けられず、電力線16が、灯器11に加えて、通信モジュール20にも接続可能である。この場合、固定機材10に設置される通信モジュール20は、電力線16を通して供給される電力によって、通信動作等の動作を行う。
【0023】
図2は、固定機材10に設置される通信モジュール20と灯器11の通信モジュール30との間の通信系統の一例を、ブロック図で概略的に示す。図2に示すように、通信モジュール20は、通信部21、処理部22及び記憶媒体23を備え、通信モジュール30は、通信部31、処理部32及び記憶媒体33を備える。通信部21は、“機材側通信部”及び“固定側通信部”とも称し、処理部22は、“機材側処理部”及び“固定側処理部”とも称する。同様に、記憶媒体23は、“機材側記憶媒体”及び“固定側記憶媒体”とも称する。また、通信部31は、“灯器側通信部”及び“移動側通信部”とも称し、処理部32は、“灯器側処理部”及び“移動側処理部”とも称する。同様に、記憶媒体33は、“灯器側記憶媒体”及び“移動側記憶媒体”とも称する。
【0024】
通信部21,31のそれぞれは、例えば、通信回路等から構成される。通信モジュール20は、固定機材10に取付けられている灯器11の通信モジュール30と、通信部21を介して無線通信する。また、灯器11が固定機材10に取付けられている状態では、通信モジュール30は、通信部31を介して、通信モジュール20と無線通信する。なお、通信モジュール20と、通信モジュール30と、は有線接続されて、有線通信する構成であってもよい。
【0025】
処理部22,32のそれぞれは、プロセッサ又は集積回路から構成される。処理部22,32のそれぞれを構成するプロセッサ又は集積回路は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、マイコン、FPGA(Field Programmable Gate Array)、及び、DSP(Digital Signal processor)等のいずれかを含む。処理部22,32のそれぞれは、集積回路等を1つのみ備えてもよく、集積回路等を複数備えてもよい。記憶媒体23,33のそれぞれは、例えば、メモリ等から構成される。
【0026】
固定側通信モジュールである通信モジュール20では、記憶媒体23に、設置される固定機材10の位置に関する機材位置情報25が、記憶される。機材位置情報25では、例えば、通信モジュール20が設置される固定機材10の位置座標が、示される。固定機材10の位置座標は、GPS(Global Positioning System)に基づく位置座標等の絶対位置で示されてもよく、空港における基準位置を基準とする相対位置で示されてもよい。
【0027】
ある一例では、通信モジュール20は、GPS衛星(図示しない)からの電波を用いて、GPSと無線通信可能である。例えば、通信モジュール20は、固定機材10から灯器11が取外れた状態において、GPS衛星と通信可能に構成される。そして、通信モジュール20は、設置される固定機材10の位置においてGPS衛星と無線通信することにより、設置される固定機材10の位置座標を、GPSに基づく位置座標で計測する。そして、通信モジュール20の処理部22は、計測した位置座標を示す機材位置情報25を、記憶媒体23に書込む。
【0028】
別のある一例では、通信モジュール20とは別の端末(図示しない)が、通信モジュール20が設置される固定機材10の位置において、GPS衛星と無線通信する。そして、端末は、GPS衛星との無線通信によって、通信モジュール20が設置される固定機材10の位置座標を、GPSに基づく位置座標で計測する。そして、端末は、計測した位置座標を示す機材位置情報25を通信モジュール20に送信することにより、記憶媒体23に機材位置情報25を書き込む。
【0029】
なお、機材位置情報25において、固定機材10の位置座標が基準位置を基準とする相対位置で示される場合、例えば、基準位置に電波発信体が配置される。そして、通信モジュール20又は端末は、基準位置に配置される電波発信体と無線通信することにより、通信モジュール20が設置される固定機材10の位置座標を、基準位置を基準とする相対位置で計測する。そして、前述した例のいずれかと同様にして、位置座標を示す機材位置情報25が、記憶媒体23に書込まれる。
【0030】
また、ある一例では、機材位置情報25では、固定機材10の位置座標の代わりに、通信モジュール20が設置される固定機材10の基台番号又は管理記号等の固定機材10の識別子が、示される。この場合、航空機通路に設置されている固定機材10のそれぞれについて、空港の管理システム等を用いて、路盤2に設置(固定)されている位置を、基台番号又は管理記号等の識別子から特定可能である。本一例では、例えば、端末等によって、識別子を示す機材位置情報25を通信モジュール20に送信することにより、記憶媒体23に機材位置情報25を書き込む。
【0031】
また、図2の一例では、灯器側通信モジュールである通信モジュール30において、記憶媒体33に、灯器11のメンテナンスに関するメンテナンス情報35が、記憶される。メンテナンス情報35では、灯器11について過去に行われたメンテナンスの内容が、示される。メンテナンスの内容としては、メンテナンスが行われた日、部品の交換の有無が示されるとともに、部品の交換が行われた場合は、交換した部品についての情報が示される。
【0032】
ここで、航空標識灯1では、灯器11のメンテナンスが定期的に行われ、例えば、半年又は1年の周期で、灯器11のメンテナンスが行われる。図3は、灯器11のメンテナンスにおいて、灯器11が使用される現場である航空機通路において行われる作業を、説明する。図3等に示すように、航空機通路では、互いに対して異なる位置に、複数の固定機材10が設置される。そして、航空機通路では、路盤2に固定された複数の固定機材10が、配列される。複数の固定機材10は、航空機通路に沿って配列されてもよく、航空機通路に対して交差する(直交又は略直交する)方向に沿って配列されてもよい。そして、航空機通路では、路盤2に固定された複数の固定機材10のそれぞれに、灯器11が取外し可能に取付けられる。
【0033】
灯器11のメンテナンスでは、固定機材10からメンテナンス対象となる灯器11(灯器11A)を取外す。そして、灯器11が取外された固定機材10に、メンテナンス済みの別の灯器11(灯器11B)を新たに取付ける。図3の一例では、路盤2に固定される複数の固定機材10のそれぞれから、灯器11Aが取外される。そして、灯器11Aとは別のメンテナンス済みの灯器11Bが、固定機材10のそれぞれに、新たに取付けられる。
【0034】
また、灯器11のメンテナンスでは、固定機材10から取外された灯器11(11A)は、空港のバックヤード等に搬送され、バックヤード等において、灯器11の点検及び整備等のメンテナンスが行われる。また、図2の一例等のように記憶媒体33にメンテナンス情報35が記憶される場合、バックヤード等において、灯器11のメンテナンスが行われると、行ったメンテナンスの内容に関する情報を、記憶媒体33に書込む。この際、例えば、端末等を用いて、行ったメンテナンスの内容に関する情報を通信モジュール30に送信する等して、行ったメンテナンスの内容に関する情報を、記憶媒体33に書込む。これにより、記憶媒体33に記憶されるメンテナンス情報35が、更新される。
【0035】
前述のように灯器11のメンテナンスが行われることにより、メンテナンスが行われた灯器11は、メンテナンスの前に取付けられていた固定機材10とは異なる位置の固定機材10に、取付けられることがある。すなわち、灯器11が取付けられる固定機材10は、必ずしも1つの固定機材10に限定されず、メンテナンスの度に取付けられる固定機材10が異なる可能性がある。ある一例では、ある1つの灯器11は、位置P1,P2,P3の固定機材10に取付け可能である。そして、位置P1、位置P2及び位置P3の順番で、灯器11のメンテナンスの度に、灯器11が取付けられる固定機材10が変化する。
【0036】
図4は、固定機材10に設置される通信モジュール20、及び、固定機材10に取付けられている灯器11の通信モジュール30によって行われる処理の一例を、フローチャートで概略的に示す。図4の一例の処理は、メンテナンス対象となる灯器11(例えば11A)が固定機材10から取外された状態から開始され、固定機材10に灯器11が取付けられていない状態から開始される。
【0037】
図4の一例の処理を開始すると、固定側通信モジュールである通信モジュール20の処理部22は、固定機材10に新たに灯器11(例えば11B)が取付けられたか否かを、判定する(S51)。ある一例では、穴5の内部に、明るさセンサ(図示しない)が配置され、明るさセンサは、穴5における明るさを検知する。そして、処理部22は、明るさセンサでの検知結果に基づいて、固定機材10に新たに灯器11が取付けられたか否かを、判定する。ここで、灯器11が固定機材10に取付けられることにより、光等の穴5への入射量が減少する。このため、灯器11が固定機材10に取付けられた状態では、灯器11が固定機材10に取付けられていない状態に比べて、穴5の内部は暗くなる。したがって、穴5での明るさについての検知結果に基づいて、固定機材10に灯器11が取付けられたか否かを、判定可能である。また、ある一例では、通信モジュール20と、通信モジュール30と、の接続が確立されることで、固定機材10に新たに灯器11(例えば11B)が取付けられたか否かを判定する。
【0038】
固定機材10に灯器11が取付けられていない場合は(S51-No)、処理は、S51に戻る。このため、固定機材10に灯器11が取付けられるまで、S51で待機する。一方、固定機材10に灯器11が新たに取付けられた場合は(S51-Yes)、通信モジュール20の処理部22は、記憶媒体23に記憶されている機材位置情報25を、通信部21から送信させる(S52)。このとき、新たに灯器11が取付けられたと判断された直後の1回のみ機材位置情報25を送信してもよいし、新たに灯器11が取付けられたと判断された後は、定期的に機材位置情報25を送信してもよい。
【0039】
そして、固定機材10に新たに取付けられた灯器11の通信モジュール30、すなわち、灯器側通信モジュールでは、通信部31が、通信モジュール20から送信された機材位置情報25を、受信する(S53)。機材位置情報25は、灯器11がリアルタイムで取付けられている固定機材10の位置に関する情報として、受信される。そして、通信モジュール30の処理部32は、通信部31が受信した機材位置情報25を、記憶媒体33に書込む等して、記憶媒体33に記憶させる(S54)。これにより、記憶媒体33に記憶される情報が、更新される。
【0040】
なお、ある一例では、通信モジュール20は、固定機材10に取付けられている灯器11の通信モジュール30や外部装置(例えば、電力線16や、電力線16と並列して設置された通信線を介して接続される管理装置、または、人が操作する端末装置)から、機材位置情報25の送信を通信モジュール20に要求する指令信号を受信する。このように構成することで、所望のタイミングで機材位置情報25の送信を行うことが可能となる。そして、通信モジュール20は、指令信号を受信したことに対応させて、指令信号を送信した通信モジュール30へ、機材位置情報25を送信する。これにより、固定機材10に取付けられている灯器11の通信モジュール30は、機材位置情報25を受信し、受信した機材位置情報25を記憶媒体33に記憶させる。この場合、図4に示すステップS51は省略可能である。
【0041】
図5は、ある灯器11の通信モジュール30において、受信した機材位置情報25を記憶させることによる、記憶媒体33に記憶される情報の更新の一例を示す。図5の一例では、位置P1及び位置P2の順番で固定機材10に取付けられてきた灯器11が、位置P3の固定機材10に新たに取付けられる場合について、説明する。また、図5の一例では、灯器11が取付けられてきた固定機材10の位置の履歴である取付け位置履歴が、通信モジュール30の記憶媒体33に記憶される。
【0042】
図5の一例では、リアルタイムで灯器11が取付けられている固定機材10についての機材位置情報25を、記憶媒体33に記憶させることにより、記憶媒体33において、取付け位置履歴が更新される。実際に、更新前の取付け位置履歴では、位置P1及び位置P2の順番で固定機材10に灯器11が取付けられてきたことのみが、示される。そして、更新後の取付け位置履歴では、位置P1及び位置P2の順番で固定機材10に灯器11が取付けられた後、位置P3の固定機材10に灯器11が取付けられていることが、示される。
【0043】
なお、ある一例では、灯器11の通信モジュール30において、前述した取付け位置履歴が、記憶媒体33に記憶されない。この場合、通信モジュール30は、受信した機材位置情報25を記憶媒体33にそのまま記憶させる等して、記憶媒体33に記憶される情報を更新する。本一例では、記憶媒体33に記憶される情報が更新されることにより、リアルタイムで灯器11が取付けられている固定機材10の位置に関する機材位置情報25が、記憶される情報として追加される。
【0044】
前述のように、本実施形態では、灯器11が固定機材10に取付けられている状態において、灯器11の通信モジュール30の通信部31は、灯器11がリアルタイムで取付けられている固定機材10の位置に関する機材位置情報25を受信する。そして、通信モジュール30の処理部32は、機材位置情報25を通信部31が受信したことに対応させて、受信した機材位置情報25を記憶媒体33に記憶させることにより、記憶媒体33に記憶される情報を更新する。これにより、固定機材10から灯器11を取外し、バックヤード等において灯器11のメンテナンスが行われている状態では、メンテナンスの直前に取付けられていた固定機材10の位置に関する情報が、灯器11の記憶媒体33に記憶される。
【0045】
このため、メンテナンスが行われている灯器11については、記憶媒体33に記憶されている情報を読出すことにより、メンテナンスの直前に灯器11が取付けられていた固定機材10の位置に関する情報が、取得される。したがって、メンテナンスが行われている灯器11について、メンテナンスの直前に取付けられていた固定機材10の位置に関する情報を、容易に取得可能となる。
【0046】
また、図5の一例等では、灯器11が取付けられてきた固定機材10の位置の履歴である取付け位置履歴が、通信モジュール30の記憶媒体33に記憶される。そして、リアルタイムで灯器11が取付けられている固定機材10についての機材位置情報25を、記憶媒体33に記憶させることにより、記憶媒体33において、取付け位置履歴が更新される。この場合、メンテナンスが行われている灯器11について、記憶媒体33に記憶されている情報を読出すことにより、メンテナンスの直前に灯器11が取付けられていた固定機材10の位置に関する情報を含む取付け位置履歴が、取得される。したがって、メンテナンスが行われている灯器11について、取付けられてきた固定機材10の位置の履歴である取付け位置履歴を、容易に取得可能となる。
【0047】
また、本実施形態では、灯器11の通信モジュール30は、リアルタイムで灯器11が取付けられている固定機材10に設置される通信モジュール20から、機材位置情報25を受信する。このため、固定機材10に設置される通信モジュール20、及び、灯器11の通信モジュール30とは別に端末等の通信機器を設けることなく、灯器11の記憶媒体33に機材位置情報25を記憶させることが、可能となる。
【0048】
ここで、航空機通路では、灯器11が取付けられる位置が灯器11の故障等に与える影響が、大きい。このため、灯器11が取付けられる位置が灯器11の故障等に与える影響について、傾向観察が行われている。ある一例では、空港のコンピュータシステム等に、航空機通路で用いられる複数の灯器11についての情報が示される灯器データベースが、格納される。そして、灯器11が取付けられる位置が灯器11の故障等に与える影響についての傾向観察は、灯器データベースで示される情報に基づいて、行われる。
【0049】
灯器データベースを用いて傾向観察が行われる場合、灯器データベースでは、複数の灯器11のそれぞれについて、すなわち、1つの灯器11ごとに、識別子、及び、取付けられてきた固定機材10の位置の履歴である取付け位置履歴が示される。そして、灯器データベースでは、複数の灯器11のそれぞれについて、故障の発生の有無、すなわち、使用の開始時点から故障が発生したことがあるか否かについての情報が、示される。
【0050】
灯器データベースでは、バックヤード等においてメンテナンスが行われている灯器11についての情報が、その灯器11の記憶媒体33に記憶されている情報に基づいて、更新される。例えば、メンテナンスが行われている灯器11については、メンテナンスの直前に取付けられていた固定機材10の位置に関する情報が、記憶媒体33から読出される。このため、灯器データベースでは、メンテナンスが行われている灯器11について、記憶媒体33から読出した情報に基づいて、取付け位置履歴等が更新される。また、メンテナンスにおいて故障等が発見された灯器11については、故障の発生の有無等が、灯器データベースにおいて、更新される。
【0051】
図6は、灯器データベースでの情報の更新の一例を示す。図6の一例では、灯器データベースにおいて、識別子α1,α2,α3,α4の灯器11のそれぞれについての情報が、示される。情報の更新前に灯器データベースでは、前回のメンテナンスが行われる前において、識別子α1の灯器11が、位置P1及び位置P2の順番で、識別子α2の灯器11が、位置P2及び位置P3の順番で、識別子α3の灯器11が、位置P3及び位置P4の順番で、識別子α4の灯器11が、位置P4及び位置P1の順番で、それぞれ、取付けられてきた固定機材10が変化したことが、示される。そして、情報の更新前に灯器データベースでは、前回のメンテナンスの終了時までは、識別子α2,α3の灯器11において故障が発生し、かつ、識別子α1,α4の灯器11において、故障が発生していないことが、示される。
【0052】
図6の一例では、前回のメンテナンスからリアルタイムで行われているメンテナンスの間において、識別子α1の灯器11が位置P3の固定機材10に、識別子α2の灯器11が位置P4の固定機材10に、識別子α3の灯器11が位置P1の固定機材10に、識別子α4の灯器11が位置P2の固定機材10に、それぞれ、取付けられる。そして、リアルタイムで行われているメンテナンスでは、識別子α1~α4の灯器11のそれぞれについて、記憶媒体33から記憶されている情報を読出すことにより、メンテナンスの直前に取付けられていた固定機材10の位置に関する情報を、取得する。そして、灯器データベースでは、識別子α1~α4の灯器11について、メンテナンスの直前に取付けられていた固定機材10の位置に関する情報が追加され、取付け位置履歴が更新される。
【0053】
また、図6の一例では、リアルタイムで行われているメンテナンスにおいて、識別子α1の灯器11での故障の発生が、発見される。そして、灯器データベースでは、識別子α1の灯器11について、故障の発生の有無が、“無”から“有”に変更され、故障の発生の有無についての情報が、更新される。
【0054】
また、図6の一例の灯器データベースを用いて、前述した傾向観察を行った場合、故障が発生したことがある識別子α1~α3の灯器11は、いずれも位置P3の固定機材10に取付けられていたことが、確認される。そして、故障が発生していない識別子α4の灯器11は、位置P3の固定機材10に取付けられていないことが、確認される。このため、位置P3の固定機材10に取付けられた場合、位置P1,P2,P4のそれぞれの固定機材10に取付けられた場合に比べて、灯器11の故障が発生し易いことが、確認される。
【0055】
本実施形態では、前述のように、メンテナンスが行われている灯器11について、メンテナンスの直前に取付けられていた固定機材10の位置に関する情報を、容易に取得可能である。このため、灯器11が取付けられる位置が灯器11の故障等に与える影響について、前述した灯器データベースを用いて、傾向観察を行う場合、灯器データベースの情報を更新する手間等が、低減される。
【0056】
なお、ある変形例では、前述の実施形態等と同様に、通信モジュール30は、リアルタイムで灯器11が取付けられている固定機材10の位置に関する機材位置情報25を受信し、受信した機材位置情報25を記憶媒体33に記憶させる。
【0057】
また、本変形例では、灯器11が固定機材10に取付けられている状態において、灯器11の通信モジュール30は、記憶媒体33に記憶されている情報を、固定機材10に設置される通信モジュール20へ送信する。そして、通信モジュール20は、灯器11の通信モジュール30から受信した情報を、記憶媒体23に記憶させる。このため、本変形例では、灯器11の記憶媒体33に記憶されている情報を、固定側通信モジュールである通信モジュール20の記憶媒体23にも、記憶させることが可能となる。すなわち、通信モジュール30の通信部31は、記憶媒体33に記憶されている情報を通信モジュール20へ送信することにより、送信した情報を通信モジュール20において記憶させることが、可能となる。
【0058】
図7は、本変形例において、固定機材10に設置される通信モジュール20、及び、固定機材10に取付けられている灯器11の通信モジュール30によって、図4の一例の処理とは別に行われる処理の一例を、フローチャートで概略的に示す。図7の一例の処理は、メンテナンス対象となる灯器11(例えば11A)が固定機材10から取外された後、固定機材10に新たに灯器11(例えば11B)が取付けられた状態で、開始される。
【0059】
図7の一例の処理を開始すると、灯器側通信モジュールである通信モジュール30の処理部32は、メンテナンス情報35等の記憶媒体33に記憶されている情報を、通信部31を介して送信させる(S61)。そして、固定機材10に設置される固定側通信モジュールである通信モジュール20では、通信部21が、メンテナンス情報35等の通信モジュール30から送信された情報を、受信する(S62)。メンテナンス情報35等は、固定機材10にリアルタイムで取付けられている灯器11に関する情報として、受信される。そして、通信モジュール20の処理部22は、通信モジュール30から通信部21が受信した情報を、記憶媒体23に書込む等して、記憶媒体23に記憶させる(S63)。これにより、記憶媒体23に記憶される情報が、更新される。
【0060】
本変形例でも、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。また、本変形例では、固定機材10にリアルタイムで取付けられている灯器11についての情報が、灯器11の通信モジュール30から通信モジュール20に送信され、通信モジュール20では、通信モジュール30から受信した情報が、記憶媒体23に記憶される。このため、固定機材10に設置される通信モジュール20の記憶媒体23に記憶される情報を読取ることにより、固定機材10に取付けられてきた灯器11の時間履歴(時間変化)を、取得可能となる。すなわち、固定機材10においていずれの期間にいずれの灯器11が取付けられていたかを示す情報を、取得可能となる。また、通信モジュール20の記憶媒体23に記憶される情報を読取ることにより、固定機材10にリアルタイムで取付けられている灯器11について、メンテナンス情報35等を取得可能となる。
【0061】
また、前述の実施形態では、通信モジュール20,30の間での無線通信によって、固定機材10に設置される通信モジュール20から、固定機材10に取付けられている灯器11の通信モジュール30に機材位置情報25が送信されるが、これに限るものではない。ある変形例では、通信モジュール20,30の間で無線通信が行われない。そして、通信モジュール20,30とは別の端末を用いて、通信モジュール20の記憶媒体23に記憶されている機材位置情報25を、通信モジュール30の記憶媒体33に記憶させる。この場合、まず、通信モジュール20から端末に、機材位置情報25が送信される。そして、端末は、通信モジュール20から受信した機材位置情報25を、通信モジュール30に送信する。そして、通信モジュール30では、端末から受信した機材位置情報25が、記憶媒体33に記憶される。
【0062】
また、固定機材10に設置される通信モジュール20がバッテリ17からの電力によって通信動作を行う場合、バッテリ17の残容量がゼロになると、通信モジュール20から機材位置情報25を送信不可能となる。このため、バッテリ17の残容量がゼロになった状況等では、予備端末を用いて、固定機材10に取付けられている通信モジュール30の記憶媒体33に、機材位置情報25を記憶させる。
【0063】
ここで、航空機通路において、メンテナンスのために灯器11を固定機材10から取外す場所等は、予め計画されている。このため、メンテナンスのために灯器11を取外す固定機材10については、基台番号及び管理記号等の識別子は、予め周知である。したがって、機材位置情報25として固定機材10の識別子を、記憶媒体33に記憶させる場合は、作業者等は、予備端末を用いて、機材位置情報25を通信モジュール30の記憶媒体33に書込み可能である。
【0064】
また、灯器11を固定機材10から取外す現場へ、作業者等は、車両等によって移動する。そして、固定機材10の識別子についての情報が更新された場合は、車両に用意されている機器、又は、車両から離れた基地局との間での予備端末の通信等によって、予備端末における情報を更新する。したがって、バッテリ17の残容量がゼロになった状況等でも、予備端末によって、取外される灯器11の記憶媒体33に、機材位置情報25を記憶させることが可能となる。
【0065】
これら少なくとも一つの実施形態によれば、灯器の通信部は、灯器が固定機材に取付けられている状態において、リアルタイムで取付けられている固定機材の位置に関する機材位置情報を受信する。そして、灯器の処理部は、機材位置情報を通信部が受信したことに対応させて、受信した機材位置情報を灯器の記憶媒体に記憶させることにより、記憶媒体に記憶される情報を更新する。これにより、メンテナンスが行われている灯器について、メンテナンスの前に取付けられていた固定機材の位置に関する情報を容易に取得可能にする灯器及び航空標識灯を提供することができる。
【0066】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0067】
1…航空標識灯、2…路盤、5…穴、10…固定機材、11…灯器、20…通信モジュール(固定側通信モジュール)、30…通信モジュール(灯器側通信モジュール)、31…通信部(灯器側通信部)、32…処理部(灯器側処理部)、33…記憶媒体(灯器側記憶媒体)。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7