(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002214
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】電源システム
(51)【国際特許分類】
B60R 16/02 20060101AFI20241226BHJP
E05B 77/02 20140101ALI20241226BHJP
E05B 81/80 20140101ALI20241226BHJP
B60R 16/033 20060101ALI20241226BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20241226BHJP
H02J 7/34 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
B60R16/02 645D
E05B77/02
E05B81/80
B60R16/033 C
H02J1/00 304H
H02J7/34 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102235
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高橋 健介
【テーマコード(参考)】
2E250
5G165
5G503
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250JJ31
2E250JJ48
2E250LL01
5G165DA01
5G165EA02
5G165EA04
5G165FA01
5G165LA07
5G165NA06
5G165NA10
5G503AA04
5G503AA07
5G503BA01
5G503BA02
5G503BB02
5G503DA05
5G503DA16
5G503DA17
5G503DA18
5G503GA15
5G503GB03
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】サイズの大型化、部品点数の増大、およびコストの増大などを抑制することができる電源システムを提供する。
【解決手段】第1電源のバックアップ用に設けられた第2電源から複数の車載機器への電力供給を制御する車両用の電源システムであって、第2電源と第1車載機器との間に挿入されるリレーを備え、第2電源による第1電源のバックアップ動作中に車両の衝突が検出されると、第2電源から第2車載機器に供給する電力を、リレーを介して第1車載機器に並列的に供給することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電源のバックアップ用に設けられた第2電源から複数の車載機器への電力供給を制御する車両用の電源システムであって、
前記第2電源と第1車載機器との間に挿入されるリレーを備え、
前記第2電源による前記第1電源のバックアップ動作中に車両の衝突が検出されると、前記第2電源から第2車載機器に供給する電力を、前記リレーを介して前記第1車載機器に並列的に供給する、
電源システム。
【請求項2】
前記リレーは、励磁式メカニカルリレーであり、車両の衝突が検出されたことに応じてコイル部に励磁電流を流して接点を導通状態に制御することによって、前記第2電源から前記第1車載機器への電力供給を行う、
請求項1に記載の電源システム。
【請求項3】
前記第1車載機器は、車両のドアの施錠/解錠の制御をモーターアクチュエーターによって行う機器であり、
前記第2車載機器は、車両のドアの施錠/解錠の制御をラッチ機構によって行う機器である、
請求項1または2に記載の電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、メイン電源のバックアップ用に設けられたサブ電源から複数の車載機器への電力供給を制御する車両用の電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、サブバッテリとしてのコンデンサと、コンデンサの充電経路に設けられ降圧動作を行う充電回路と、コンデンサの出力経路に設けられた昇圧回路と、昇圧回路に接続されたドアロック解除出力端子とを有する、バックアップ電源装置が開示されている。この特許文献1に記載されたバックアップ電源装置は、事故などでメインバッテリが損傷するなどの緊急時に、モーターを使用してドアを施錠/解錠するドアロック(メカドア)システムのバックアップを、コンデンサを用いて実施するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、上述のドアロックシステムと、ラッチ機構を使用してドアを施錠/解錠するEラッチシステムとの、両方が搭載されている車両が存在する。このようなドアロックシステムとEラッチシステムとの両方を搭載した車両において各システムのバックアップ処理を実現させようとした場合、各々のシステムのドアアンロック制御が異なることから、バックアップに必要なサブバッテリが個別に必要となる。そこで、サブバッテリを1つにすべく2つのシステムのバックアップ機能を1つに統合しようとしても、制御の変更をする必要が生じたり(制御の複雑化)、サブバッテリ以外の部品の点数が増加してしまったり、するおそれがあり、容易なものではない。
【0005】
このように、ドアロックシステムとEラッチシステムとの両方を緊急時にバックアップ処理できる電源システムについては、サイズの大型化、部品点数の増加、およびコスト増大の点で、さらなる検討の余地がある。
【0006】
本開示は、上記課題を鑑みてなされたものであり、サイズの大型化、部品点数の増大、およびコストの増大などを抑制することができる、電源システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示技術の一態様は、第1電源のバックアップ用に設けられた第2電源から複数の車載機器への電力供給を制御する車両用の電源システムであって、第2電源と第1車載機器との間に挿入されるリレーを備え、第2電源による第1電源のバックアップ動作中に車両の衝突が検出されると、第2電源から第2車載機器に供給する電力を、リレーを介して第1車載機器に並列的に供給することを特徴とする、電源システムである。
【発明の効果】
【0008】
上記本開示の電源システムによれば、サイズの大型化、部品点数の増大、およびコストの増大などを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態に係る電源システムとその周辺部の機能ブロック図
【
図2】電源システムが実行する電力供給制御の処理フローチャート
【
図3】本開示の一実施形態に係る電源システムの変形例とその周辺部の機能ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示による電源システムは、サブ電源とメカドアシステムとの間にリレーを設けて、サブ電源によるメイン電源のバックアップ動作中に車両の衝突が検出されると、サブ電源からEラッチシステムに供給する電力を、リレーを介してメカドアシステムにも並列的に供給する。これにより、1つのサブ電源からの単出力でメカドアシステムおよびEラッチシステムの両方をバックアップ給電することができる(バックアップ機能の統合)。
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
<実施形態>
[構成]
図1は、本開示の一実施形態に係る電源システム100とその周辺部の機能ブロック図である。
図1に例示した機能ブロックは、電源システム100と、SBW210、ボデーECU220、メカドア230、Eラッチ240、およびブレーキ250を含む複数のシステムと、第1電源300と、を備えている。この電源システム100、SBW210、ボデーECU220、メカドア230、Eラッチ240、ブレーキ250、および第1電源300は、車両に搭載され得る。
【0012】
第1電源300は、SBW210、ボデーECU220、メカドア230、Eラッチ240、およびブレーキ250などの複数のシステムに電力を供給する、電力供給源(+B電源)である。この第1電源300としては、発電を行うオルタネーターおよび発電電力を所定の電圧に変換するDCDCコンバーターなどを含む発電機や、リチウムイオン電池や鉛蓄電池などの充放電可能に構成された二次電池(バッテリー)など、所定の電源構成を例示することができる。
【0013】
SBW210、ボデーECU220、メカドア230、Eラッチ240、およびブレーキ250などの複数のシステムは、車両に関する所定の機能を実現するための車載機器であり、特に冗長的な電源構成を必要とするシステムとすることができる。これら複数のシステムは、第1電源300から電源システム100を介さずに電力の供給をそれぞれ受けることができ、また電源システム100から第1電源300に基づいたバックアップ電力の供給を受けることができるように、それぞれ接続および構成されている。なお、車両に搭載される複数のシステムは、
図1に示したものに限られない。
【0014】
SBW210は、変速機(図示せず)のギア段変更を電気信号で行うことができるシフトバイワイヤ制御を行うシステムである。このSBW210には、ドライバーのシフト操作を電気信号に変換する電子制御ユニットであるSBW-ECUや、このSBW-ECUから指示される電気信号に基づいてギア段を変更するアクチュエーターであるSBW-ACTなど、が含まれる。SBW210は、後述する統合型サブバッテリ110から給電可能にSW115の出力(A出力)と接続されている。
【0015】
ボデーECU220は、車両に搭載される機器である電子制御ユニットの1つであり、いわゆる車両のボデー系に関する制御を行う。本実施形態のボデーECU220は、車両の衝突が発生したことを検知することができ、車両の衝突を検知した場合には所定のTRG信号を電源システム100に出力する。このTRG信号は、例えば、車両の衝突を検知しなければHighレベルに、車両の衝突を検知すればLowレベルになる信号とすることができる。ボデーECU220は、後述する統合型サブバッテリ110から給電可能にSW116の出力(B1出力)と接続されている。
【0016】
メカドア230は、車両のドアの施錠/解錠を行うことができるドアロック制御を行うシステムである。このメカドア230には、ドライバーの施解錠操作を電気信号に変換する電子制御ユニットであるドアアンロックECUや、このドアアンロックECUから指示される電気信号に基づいて車両のドアの施錠状態および解錠状態を変更するモーターアクチュエーターであるドアアンロックACTなど、が含まれる。メカドア230としては、車速感応オートドアシステムを例示できる。
【0017】
Eラッチ240は、メカドア230と同様、車両のドアの施錠/解錠を行うことができるドアロック制御を行う他のシステムである。このEラッチ240は、モーター駆動のためのメカニカルリレーによる電源切り替えが不要な電気式のラッチ機構を有する。Eラッチ240は、後述する統合型サブバッテリ110から給電可能にSW117の出力(B2出力)と接続されている。
【0018】
ブレーキ250は、車両に制動力を発生させることが可能なブレーキ制御を行うシステムである。このブレーキ250には、ドライバーのブレーキ操作を電気信号に変換する電子制御ユニットであるブレーキECUや、このブレーキECUから指示される電気信号に基づいて制動力を発生させるアクチュエーターであるブレーキACTなど、が含まれる。ブレーキ250は、後述する統合型サブバッテリ110から給電可能にSW118の出力(C出力)と接続されている。
【0019】
電源システム100は、メイン電源である第1電源300の電源失陥などによって、第1電源300からSBW210、ボデーECU220、メカドア230、Eラッチ240、およびブレーキ250への電力供給に異常が生じたときに、SBW210、ボデーECU220、メカドア230、Eラッチ240、およびブレーキ250に電力をバックアップ供給するためのサブ電源として機能する構成である。
【0020】
図1に例示した電源システム100は、第2電源111、DDC112、衝突判定部113、制御部114、および複数のSW115~118を含む統合型サブバッテリ110と、リレー121と、ダイオード122と、を備えている。
【0021】
第2電源111は、例えば充放電可能に構成されたリチウムイオン電池などの二次電池(バッテリー)やキャパシタなどの蓄電素子で構成される、電力供給源である。この第2電源111は、メイン電力供給源である第1電源300を緊急時などにバックアップするためのサブ電力供給源として設けられている。第2電源111は、第1電源300の電力を充電可能に、また自らが蓄えた電力(バックアップ電力)をSBW210、ボデーECU220、メカドア230、Eラッチ240、およびブレーキ250に放電可能に、DDC112と接続されている。
【0022】
DDC112は、第2電源111の電力を充放電するためのDCDCコンバーター(昇降圧タイプ)である。このDDC112は、制御部114の指示(電圧指令値など)に基づいて、第1電源300から入力する電力を所定の電圧の電力に変換して第2電源111に出力したり、第2電源111に蓄えられた電力を所定の電圧の電力に変換して複数のSW115~118を介してSBW210、ボデーECU220、メカドア230、Eラッチ240、およびブレーキ250に出力したり、することができる。
【0023】
衝突判定部113は、ボデーECU220からTRG信号を入力し、このTRG信号に基づいて車両の衝突が発生したか否かを判定するための構成である。具体的には、衝突判定部113は、LowレベルのTRG信号を入力した場合には、車両の衝突が発生したと判定する。衝突判定部113によって車両の衝突ありと判定されると、その判定に関する情報が制御部114に通知される。
【0024】
制御部114は、第1電源300の給電状態および衝突判定部113から入力される判定に関する情報に基づいて、DDC112の動作制御および複数のSW115~118の切り替え制御を行うための構成である。制御部114は、第1電源300の給電状態を、第1電源300から直接または第1電源300を監視/制御するECUなど(図示せず)から間接的に取得することができる。この制御部114は、何らかの原因(例えば、第1電源300の異常、配線の断線や地絡など)によって第1電源300の電源失陥が生じた場合および衝突判定部113において車両の衝突ありと判定された場合に、複数のSW115~118の接続状態(導通/遮断)を適切に切り替えて、第2電源111からSBW210、ボデーECU220、メカドア230、Eラッチ240、およびブレーキ250へのバックアップ給電を好適に制御する。この制御部114によるバックアップ給電制御の詳細については、後述する。
【0025】
複数のSW115~118は、第2電源111からSBW210、ボデーECU220、メカドア230、Eラッチ240、およびブレーキ250に対する、電力供給の状態(供給/非供給)を切り替えるための構成である。SW115は、DDC112とSBW210との間に設けられる。SW116は、DDC112とボデーECU220との間に設けられる。SW117は、DDC112とEラッチ240との間に設けられる。SW118は、DDC112とブレーキ250との間に設けられる。これらのSW115~118には、制御部114の指示に基づいて動作するメカニカルスイッチや半導体スイッチなどのスイッチ素子が用いられる。
【0026】
リレー121は、メカドア230へのバックアップ給電を制御するための構成であり、統合型サブバッテリ110とメカドア230との間に設けられる。このリレー121には、例えば単極単投型の励磁式メカニカルリレーが用いられる。励磁式メカニカルリレーにおいて、コイル部はSW116の出力(B1出力)とボデーECU220が出力するTRG信号が流れる配線との間に接続され、接点部はSW117の出力(B2出力)とメカドア230(の電源ライン)との間に接続される。なお、
図1に例示する構成では、リレー121のコイル部の電源として、ボデーECU220用のSW116のB1出力を使用しているが、
図3に示す構成のように、Eラッチ240用のSW117のB2出力をリレー121のコイル部の電源に使用してもよい。この接続によって、バックアップが必要なときには、Eラッチ240に対しては統合型サブバッテリ110から直接電源供給を、メカドア230に対しては統合型サブバッテリ110からリレー121を介して電源供給を行う構成が構築される。
【0027】
ダイオード122は、リレー121のコイル部端とTRG信号の配線との間に、コイル部端からTRG信号の配線への方向を順方向として、挿入される。このダイオード122は、TRG信号がHighレベルである場合(衝突検知がない通常時)に、リレー121のコイル部を介してSW116やボデーECU220に意図しない電流が流れること(TRG信号からB1出力への電流逆流)を防止するために設けられる。このダイオード122によって、電流逆流に起因する統合型サブバッテリ110の故障検知誤作動を防ぐことができる。
【0028】
[制御]
次に、
図2をさらに参照して、本開示の一実施形態に係る電源システム100の動作を説明する。
図2は、電源システム100が実行するバックアップ電力供給制御の処理手順を説明するフローチャートである。この
図2に示したバックアップ電力供給制御は、例えば車両のイグニッションリレーがオン(IGR-ON)されると開始される。
【0029】
(ステップS201)
電源システム100は、第2電源111における必要な充電を完了させる。この充電完了によって、第1電源300の電源失陥が発生した場合などに、第2電源111を用いたSBW210、ボデーECU220、メカドア230、Eラッチ240、およびブレーキ250へのバックアップ給電が可能な状態となる。第2電源111への必要な充電が完了すると、ステップS202に処理が進む。
【0030】
(ステップS202)
電源システム100は、第1電源300の電源失陥が発生したか否かを判断する。第1電源300の電源失陥とは、例えば第1電源300の異常や故障、電力供給ラインの断線や地絡など、第1電源300からSBW210、ボデーECU220、メカドア230、Eラッチ240、およびブレーキ250へ、正常に電力が供給できなくなる状態が含まれる。電源システム100が、第1電源300の電源失陥が発生したと判断した場合は(ステップS202、はい)、ステップS203に処理が進む。一方、電源システム100が、第1電源300の電源失陥が発生していないと判断した場合は(ステップS202、いいえ)、本バックアップ電力供給制御が終了する。
【0031】
(ステップS203)
電源システム100は、統合型サブバッテリ110から、SBW210、ボデーECU220、およびブレーキ250へバックアップ電力が供給できるように、制御部114によってSW115~118の状態をそれぞれ切り替える。具体的には、電源システム100は、SW115を導通状態に制御してA出力の供給をオンにし、SW116を導通状態に制御してB1出力の供給をオンにし、SW117を遮断状態に制御してB2出力の供給をオフにし、およびSW118を導通状態に制御してC出力の供給をオンにする。SBW210、ボデーECU220、およびブレーキ250へのバックアップ給電が可能な状態にSW115~118がそれぞれ制御されると、ステップS204に処理が進む。
【0032】
(ステップS204)
電源システム100は、衝突判定部113によって車両の衝突が発生したと判定されたか否かを判断する。この判定は、ボデーECU220が車両の衝突を検知したことに応じて変化させるTRG信号のLowレベルを検出することで行われる。車両の衝突が発生したと判定された場合は(ステップS204、はい)、ステップS205に処理が進む。一方、車両の衝突が発生したと判定されない場合は(ステップS204、いいえ)、B2出力の供給をオフにしたままの状態で本バックアップ電力供給制御が終了する。
【0033】
(ステップS205)
電源システム100は、制御部114によってSW117を導通状態に制御して、B2出力を供給オフから供給オンに切り替える。B2出力が供給オンに制御されると、ステップS206に処理が進む。
【0034】
(ステップS206)
電源システム100は、SW117の導通状態への切り替えによって、統合型サブバッテリ110からEラッチ240へバックアップ電力の供給が可能な状態となる(バックアップ給電)。Eラッチ240へのバックアップ給電が可能な状態になると、ステップS207に処理が進む。
【0035】
(ステップS207)
電源システム100は、B2出力を供給オンに制御することによって、リレー121を介した統合型サブバッテリ110からの電力供給を開始する(リレー供給オン)。上記ステップS204においてボデーECU220が車両の衝突を検知したことに応じてTRG信号がLowレベルになっており、リレー121のコイル部に励磁電流が流れて接点部がすでに導通状態になっている。このため、B2出力が供給オンにされることで、それに伴ってリレー供給がオン状態に遷移する。リレー供給がオンされると、ステップS208に処理が進む。
【0036】
(ステップS208)
電源システム100は、リレー供給のオンによって、統合型サブバッテリ110からメカドア230へのバックアップ給電が可能な状態にする。メカドア230へのバックアップ給電が可能な状態にリレー121が制御されると、本バックアップ電力供給制御が終了する。
【0037】
<作用・効果>
以上のように、本開示の一実施形態に係る電源システム(電源システム100)によれば、メイン電力供給源(第1電源300)のバックアップ用に設けられたサブ電力供給源(第2電源111)と予め定めた第1車載機器(メカドア230)との間にリレー回路(リレー121、ダイオード122)を設ける。そして、本実施形態の電源システムは、サブ電力供給源によるメイン電力供給源のバックアップ動作中に車両の衝突が検出されると、サブ電力供給源から予め定めた第2車載機器(Eラッチ240)に供給する電力を、リレー回路を介して第1車載機器にも並列的に供給する制御を行う。
【0038】
このリレー回路を用いた制御によって、システム制御が異なる第1車載機器および第2車載機器の個々に対してバックアップに必要なサブバッテリをそれぞれ設けることなく、1つのサブバッテリを用いて第1車載機器および第2車載機器の2つのバックアップ機能を1つに統合することができる。したがって、電源システム100のサイズが大型化してしまうことや、部品の点数が増大してしまうことや、システムコストが増大してしまうことなどを、抑制できることが期待できる。
【0039】
以上、本開示技術の一実施形態を説明したが、本開示は、電源システムだけでなく、電源システムが行う制御方法、その制御方法のプログラム、そのプログラムを記憶したコンピューター読み取り可能な非一時的記憶媒体、電源システムを備えた車両などとして捉えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本開示の電源システムは、統合型サブバッテリを用いてSBW/ボデー/ドアアンロック(メカドア、Eラッチ)/ブレーキといった複数の車載機器にバックアップ電力を供給するためのシステムとして利用可能である。
【符号の説明】
【0041】
100 電源システム
110 統合型サブバッテリ
111 第2電源
112 DDC
113 衝突判定部
114 制御部
115~118 SW
121 リレー
122 ダイオード
210 SBW
220 ボデーECU
230 メカドア
240 Eラッチ
250 ブレーキ
300 第1電源