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特開2025-22154キャップ付き容器、中栓付きキャップ、及びキャップ付き容器の組み立て方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025022154
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】キャップ付き容器、中栓付きキャップ、及びキャップ付き容器の組み立て方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/18 20060101AFI20250206BHJP
   B65D 47/12 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
B65D51/18
B65D47/12 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023126458
(22)【出願日】2023-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】尾花 敬和
(72)【発明者】
【氏名】高木 千枝
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB09
3E084BA03
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DC03
3E084EA02
3E084EB02
3E084EC03
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HB02
3E084HC03
3E084LA15
3E084LB02
3E084LC01
(57)【要約】
【課題】キャップ付き容器において、容器から中栓を取り外し可能であり、組み立て時の内容物充填後の工程の複雑化を防ぐ。
【解決手段】キャップ付き容器であって、容器3は、第1の雄ネジ15が外周面に設けられた小径口部14と、該小径口部14よりも下側で小径口部14よりも径が大きく、第2の雄ネジ17が外周面に設けられた大径口部16を含む口部13を有する容器本体1;及び内容物を吐出する吐出孔Oが形成され、内周面に雌ネジ26が設けられた取付筒25が設けられた中栓2;を備え、キャップ4は、内周面に雌ネジ44が設けられる係合筒43を有し、中栓2は容器本体1から取り外し可能であり、中栓2の雌ネジ26は、口部13の第1の雄ネジ15と係合し、キャップ4の雌ネジ44は、中栓2の下側で、口部13の第2の雄ネジ17と係合し、口部13の第1の雄ネジ15と第2の雄ネジ17は、ネジリードが同じである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップ付き容器であって、
容器は、
第1の雄ネジが外周面に設けられた小径口部と、該小径口部よりも下側で前記小径口部よりも径が大きく、第2の雄ネジが外周面に設けられた大径口部を含む口部を有する容器本体、及び
内容物を吐出する吐出孔が形成され、内周面に雌ネジが設けられた取付筒が設けられた中栓、を備え、
キャップは、内周面に雌ネジが設けられる係合筒を有し、
前記中栓は前記容器本体から取り外し可能であり、
前記中栓の前記雌ネジは、前記口部の前記第1の雄ネジと係合し、
前記キャップの前記雌ネジは、前記中栓の下側で、前記口部の前記第2の雄ネジと係合し、
前記口部の前記第1の雄ネジと前記第2の雄ネジは、ネジリードが同じである
キャップ付き容器。
【請求項2】
前記口部の前記第1の雄ネジと前記第2の雄ネジとの軸方向の距離は、前記キャップと前記中栓を正しく組付けた状態における、前記第1の雄ネジと嵌合する前記中栓の前記雌ネジのネジ溝と、前記第2の雄ネジと嵌合する前記キャップの前記雌ネジのネジ溝との距離が等しい
請求項1に記載のキャップ付き容器。
【請求項3】
前記中栓は、前記容器本体に対する回転止めは設けられておらず、
前記中栓を前記口部に対して回転させることで前記中栓を前記容器本体から取り外し可能である
請求項1に記載のキャップ付き容器。
【請求項4】
前記キャップは前記中栓とは螺合係合しない
請求項1に記載のキャップ付き容器。
【請求項5】
前記キャップは、前記係合筒よりも内側で、天面の裏面から垂下する、前記係合筒よりも小径の締込筒を有し、
前記中栓は、前記吐出孔よりも外側であって前記取付筒の上端と連接するように環状上面が設けられ、
前記キャップの前記締込筒の下端には環状に並んだ複数の下端段差が設けられ、
前記中栓の前記環状上面には、上面視で環状に並んだ複数の係止部が設けられ、
前記複数の下端段差と前記複数の係止部は、前記キャップが締まる方向にのみ互いに噛み合うように形成されていることで、
前記口部に対して、前記キャップが前記締まる方向のみ、前記キャップと前記中栓が供回り可能である
請求項2に記載のキャップ付き容器。
【請求項6】
前記キャップの前記下端段差の数と、前記中栓の前記係止部の数は、前記キャップの雌ネジのネジ条数と等しい
請求項5に記載のキャップ付き容器。
【請求項7】
前記中栓を前記キャップに組み付ける際、円周方向において位置を規定して前記中栓を前記キャップに対して押し込んだ後、最後まで回転させることで、前記キャップの複数の下端段差のそれぞれは、前記中栓の係止部がそれぞれと、正しい位置で噛み合った状態になり、
この状態で、前記第1の雄ネジと嵌合する前記中栓の前記雌ネジのネジ溝と、前記第2の雄ネジと嵌合する前記キャップの前記雌ネジのネジ溝との軸方向の距離は、前記口部の第1の雄ネジと第2の雄ネジとの軸方向の距離と等しくなる
請求項5に記載のキャップ付き容器。
【請求項8】
容器本体の口部に装着される中栓と、前記口部に装着されるキャップとを備える中栓付きキャップであって、
容器本体は、第1の雄ネジが外周面に設けられた小径口部と、該小径口部よりも下側で、第2の雄ネジが外周面に設けられた大径口部を含む口部を有し、
中栓は、内容物を吐出する吐出孔と、雌ネジが設けられた取付筒が形成され、
キャップは、内周面に雌ネジが設けられる係合筒を有し、
前記中栓は前記容器本体から取り外し可能であり、
前記中栓の前記雌ネジは、前記口部の前記第1の雄ネジと係合し、
前記キャップの雌ネジは、前記中栓の下側で、前記口部の前記第2の雄ネジと係合し、
前記中栓の雌ネジと、前記キャップの雌ネジは、ネジリードが同じである
中栓付きキャップ。
【請求項9】
キャップ付き容器の組み立て方法であって、
筒部の内周面に雌ネジが設けられたキャップの内側の所定の位置に、内周面に雌ネジが形成された取付筒を有する中栓を押し込んで回転させてキャップ内に中栓を装着する工程と、
第1の雄ネジが外周面に設けられた小径口部と、前記第1の雄ネジとネジリードが等しい第2の雄ネジが外周面に設けられた大径口部を含む口部を有する容器本体の、前記口部に、中栓が内部に装着されたキャップを載せる工程と、
前記容器本体に対して、前記キャップを回転させることで、前記中栓が供回りして、前記キャップの前記雌ネジが前記口部の前記第2の雄ネジと係合すると共に、前記中栓の前記雌ネジが前記口部の前記第1の雄ネジと係合する工程と、を有する
キャップ付き容器の組み立て方法。
【請求項10】
前記キャップは、前記筒部よりも内側で、天面の裏面から垂下する締込筒を有し、
前記中栓は、前記取付筒の上端と連接するように環状上面が設けられ、
前記キャップの前記締込筒の下端には環状に並んだ複数の下端段差が設けられ、
前記中栓の前記環状上面には、上面視で環状に並んだ複数の係止部が設けられ、
前記キャップ内に中栓を装着する工程において、円周方向において位置を規定する前記所定の位置で前記中栓を前記キャップに対して押し込んだ後、最後まで回転させることで、前記キャップの複数の下端段差のそれぞれは、前記中栓の係止部がそれぞれと、正しい位置で噛み合った状態になる
請求項9に記載のキャップ付き容器の組み立て方法。
【請求項11】
前記キャップ内に中栓を装着する工程において、前記キャップの複数の下端段差のそれぞれは、前記中栓の係止部のそれぞれと、正しい位置で噛み合った状態になると、前記第1の雄ネジと嵌合する前記中栓の前記雌ネジのネジ溝と、前記第2の雄ネジと嵌合する前記キャップの前記雌ネジのネジ溝との軸方向の距離は、前記口部の第1の雄ネジと第2の雄ネジとの軸方向の距離と等しくなる
請求項10に記載のキャップ付き容器の組み立て方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体と中栓を有する容器と該容器と係合可能なキャップを備えるキャップ付き容器、中栓付きキャップ、及びキャップ付き容器の組み立て方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、持続可能な社会をつくるための「SDGs(Sustainable Development Goals)」の認知度が急激に上がっており、化粧品の分野においても、繰り返し使用する部材を増やすため、蓋やケースを繰り返し使用できるように収容部をレフィル化したり、あるいは空になった収容部に対してキャップを外して、詰め替え用内容物を入れたりすることが増えている。
【0003】
また、特許文献1では、チューブ容器の広口の口部に対して栓体を着脱自在に嵌合する構成が提案されている。この構成では、容器の口部の外周が段形状であって、外側の螺旋ネジである雄ネジが2段に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5378136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、容器口部において、螺旋が2段階であると、製造時に、内容物充填後、径が異なる端閉鎖動作が2回必要になり、組み立て工程が複雑になってしまった。
【0006】
そこで、本発明は上記事情に鑑み、容器から中栓を取り外し可能であり、組み立て時の内容物充填後の工程の複雑化を防ぐことができるキャップ付き容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の一態様では、
キャップ付き容器であって、
容器は、
第1の雄ネジが外周面に設けられた小径口部と、該小径口部よりも下側で前記小径口部よりも径が大きく、第2の雄ネジが外周面に設けられた大径口部を含む口部を有する容器本体、及び
内容物を吐出する吐出孔が形成され、内周面に雌ネジが設けられた取付筒が設けられた中栓、を備え、
キャップは、内周面に雌ネジが設けられる係合筒を有し、
前記中栓は前記容器本体から取り外し可能であり、
前記中栓の前記雌ネジは、前記口部の前記第1の雄ネジと係合し、
前記キャップの前記雌ネジは、前記中栓の下側で、前記口部の前記第2の雄ネジと係合し、
前記口部の前記第1の雄ネジと前記第2の雄ネジは、ネジリードが同じである
キャップ付き容器、を提供する。
【発明の効果】
【0008】
一態様によれば、キャップ付き容器において、容器から中栓を取り外し可能であり、組み立て時の内容物充填後の工程の複雑化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係るキャップ付き容器の全体分解図。
図2】第1実施形態に係るキャップ付き容器の口部近傍の半分の断面拡大図。
図3】第1実施形態に係るキャップの断面図と、中栓の側面図。
図4】第1実施形態に係るキャップの下面図と、中栓の上面図。
図5】第1実施形態に係る中栓付きキャップの断面透視斜視図。
図6】中栓の変形例の説明図。
図7】第1実施形態に係る容器本体の口部透過拡大図。
図8】第1実施形態における、容器本体の口部の雄ネジの条数とネジ傾斜についての説明図。
図9】第1実施形態に係る中栓付きキャップの内側斜視図。
図10】ネジの位置関係を示す説明図。
図11】製造段階におけるキャップ付き容器組み立て時のフローチャート。
図12】第1実施形態に係るキャップ付き容器組み立て時の動作図。
図13】組み立て時の中栓付きキャップの雌ネジと口部の雄ネジの位置関係を示す図。
図14】本発明の第2実施形態に係るキャップ付き口部近傍の半断面拡大図。
図15】本発明の容器の第3実施形態に係るキャップ付き容器の口部近傍の半断面拡大図。
図16】本発明のキャップの第2構成例に係るキャップ付き容器の口部近傍の半断面拡大図。
図17】本発明のキャップの第3構成例に係るキャップ付き容器の口部近傍の半断面拡大図。
図18】本発明のキャップの第4構成例に係るキャップ付き容器の口部近傍の半断面拡大図。
図19】本発明のキャップの第5構成例に係るキャップ付き容器の口部近傍の半断面拡大図。
図20】本発明の中栓の回転終点の変形例に係るキャップ付き容器の口部近傍の半断面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。下記、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0011】
本発明は、キャップ付き容器、中栓、及び中栓付きキャップに関する。キャップ付き容器は、容器本体と中栓を有する容器と、容器と係合可能キャップを備える。中栓付きキャップは中栓及びキャップを備える。容器は、例えば、自立可能な、収容部が円柱形、楕円柱形、又は角柱形である容器である。あるいは、容器は、樹脂製、金属膜製、紙製などの可撓性のあるチューブ容器であってもよい。
【0012】
本発明の容器に収容される内容物は、美容液、日焼け止め等の化粧料や、糊、インク等の文房具など、1回使い切りではなく、何回かに分けて少量ずつ使用される液体、特に、30,000cs以下の液体であると好ましい。
【0013】
<全体構成>
まず、図1図2を用いて、第1実施形態のキャップ付き容器の構成について説明する。図1は、本発明の第1実施形態に係るキャップ付き容器の全体分解図である。図2は、第1実施形態に係るキャップ付き容器の口部近傍の半分の断面拡大図である。
【0014】
図1を参照して、キャップ付き容器5は、容器3とキャップ4とを有する。容器3は、容器本体1と、中栓2とを備える。
【0015】
図1図2を参照して、容器本体1は、上面視で楕円形の胴部10を有し、胴部10の下端は底部11であり、胴部10の上端は肩部12となっている。また、肩部12の中央から起立するように筒状の口部13が設けられている。肩部12の外縁近傍は、中央側よりも少し低い外縁段部12Sとなっている。
【0016】
口部13は、上端側の小径口部14と、下側の大径口部16と、最下端の口部根元部19の三段筒構造である。小径口部14の外周面には、螺旋突起である第1の雄ネジ15が設けられている。大径口部16の外周面には、螺旋突起である第2の雄ネジ17が設けられている。また、大径口部16において第2の雄ネジ17の下側の外周面には、環状突起18が設けられている。環状突起18のさらに下の口部根元部19には、回転止めフック対19Fが設けられている。
【0017】
なお口部根元部19は大径口部16と同じ太さであってもよく、口部13は、上端側の小径口部14と、下側の大径口部16の少なくとも二段以上の筒形状であればよい。
【0018】
図1図2を参照して、中栓2は、上からノズル21、環状上面22と三重構造の筒を有している。中栓2において、上側のノズル21及び環状上面22の下には、取付筒25、中間筒28、吸引筒29が同心円状に設けられている。
【0019】
ノズル21は先端(上端)に吐出孔Oが形成され、上側が細く、下側が広がったノズル筒である。ノズル21の中央の下部には、中間筒28よりも小径で、内容物を吐出孔Oへ運ぶ吸引筒29が設けられている。
【0020】
中栓2を外側からみて、ノズル21の下端の下側には、フランジ面である環状上面22が設けられている。環状上面22には、上面視で環状に並んだ複数の係止凹部23が設けられている。複数の係止凹部23の境界は上方に少し高くなっており、係止凹部23と同数の仕切り凸部24が設けられている。なお、仕切り凸部24は設けられていなくてもよい。
【0021】
中栓2の環状上面22の下側には、環状上面22の外縁から垂下するように、取付筒25が設けられている。取付筒25の内周面には雌ネジ26が設けられており、取付筒25の外周面は、複数のスリット27が設けられたギザギザ構造(ハトメ構造)となっている。なお、スリット27は設けられていなくてもよい。
【0022】
さらに、取付筒25の内側には、容器本体1の小径口部14を、取付筒25とともに内周側から挟み込む中間筒28が設けられている。本実施形態では、容器本体1の小径口部14を、取付筒25と中間筒28が挟み込むことで、容器本体1と中栓2の気密がとられている。なお、中間筒28は設けられていなくてもよい(図15参照)。
【0023】
このような構造の中栓2は、取付筒25が容器本体1の小径口部14を外周側から取り囲み、取付筒25の雌ネジ26が、小径口部14の第1の雄ネジ15と螺合係合する。通常使用時は、中栓2は、容器本体1の小径口部14に、常に取り付けられている。
【0024】
本実施形態では、キャップ4は、有天の三重筒構造であり、天面41と、同心円状の外周壁42、係合筒43、及び締込筒46を備えている。そして、天面41の下面中央には打栓突起48が設けられている。なお、キャップの係合筒43と締込筒46は、一部が一体化されていてもよく、その構成については、図17とともに詳述する。
【0025】
外周壁42は、最も外側の筒部で、外壁となる。係合筒43は、外周壁42よりも小径であって、内周面に雌ネジ(螺旋突起)44が設けられている筒部である。雌ネジ44において、下部が大径口部16の第2の雄ネジ17と係合用の雌ネジ44aであり、上部が中栓2との係合に使用されない雌ネジ44bとなる。
【0026】
また、キャップ4の天面41は楕円形であり、係合筒43の短軸方向に対向する位置には回転止め45A、45B(図3参照)が設けられている。
【0027】
締込筒46は、係合筒43よりも小径であって、締込筒46の下端は、環状に並んだ係止用の複数の下端段差47が設けられている。締込筒46は、中栓2と噛み合って回転させて締め込むための筒である。
【0028】
キャップ4を最後まで取り付けた状態では、係合筒43は、容器3の中栓2が係合した口部13を外周側から取り囲み、係合筒43の雌ネジ44は、大径口部16の第2の雄ネジ17と係合する。この際、大径口部16の環状突起18は、キャップ4の係合筒43の内側にかくれた状態になり、係合筒43下端の回転止め45A、45Bは2つの回転止めフック対19Fに挟み込まれて回転が停止する。
【0029】
次に、図3図4図5を用いて、キャップ4と、中栓2との構成及び係合について説明する。図3は第1実施形態に係るキャップ4の側面断面図と、中栓の側面図である。図4は第1実施形態に係るキャップ4の下面図と、中栓2の上面図である。図5は、第1実施形態に係る中栓付きキャップの断面透視斜視図である。係止構成を示すため、図5では、半分からオフセットした位置の切断面であり、中栓2は透過するように示している。
【0030】
(供回りのための噛合)
図3(a)に示すように、キャップ4の締込筒46の下端にある下端段差47は、ラチェット歯のように機能し、下方向に延びる複数の略直角三角形状の突起(三角突起)で構成され、各三角突起は、傾斜辺47aと垂直辺47bで構成されている。本実施形態では、図4(a)に示すように、下端段差47は、8個の下向き突起から成る。
【0031】
また、図4(b)、図5に示すように、中栓2の複数の係止凹部23は、環状上面の外縁近傍において、上面視で環状に並んだ複数の円弧状の凹部である。図4(b)に示すように、本構成例では、複数の係止凹部23は8個の凹部である。そして、図3(b)に示すように、複数の係止凹部23の各凹部の底面深さが周方向一方向に深くなるように形成されている。そのため、各係止凹部23の底面は、円周方向において傾斜面(傾斜底面)23aである。また、傾斜面23aに連接して、複数の仕切り凸部24との境界として、環状上面22から最も深くなった部分へ垂直に立ち下がる垂直面(凹部垂直壁)23bを有している。
【0032】
キャップ4が時計方向(締まる方向)に回転する時に、図3図5に示すように、締込筒46下端の垂直辺47bは、中栓2の環状上面22の凹部垂直壁23bと噛み合い、キャップ4と中栓2は一体となって回転する。一方、キャップ4が反時計方向(緩む方向)に回転する時には締込筒46の三角突起の傾斜辺47aと、中栓2の係止凹部23の傾斜底面23aが互いに干渉せずに離れていき、キャップ4と、中栓2は一体となって回転することはない。
【0033】
このように、キャップ4の複数の係止用の下端段差47の下向き突起と、中栓2の複数の係止凹部23は、キャップ4が締まる方向にのみ互いに噛み合う。
【0034】
なお、図4図5では、キャップ4の締込筒46の下端段差47には、2個の下向き突起が設けられ、中栓2の複数の係止凹部23は2つ形成されている例を示している。本発明では、キャップ4の下端段差47の下向き突起、係止部(係止凹部23)で構成されるキャップ4と中栓2の噛み合い構造の数は、キャップ4の雌ネジ44の数、即ち、大径口部16に設けられる雄ネジ17のネジ乗数の数と等しい。本例は、キャップ4の雌ネジ44が二条ネジであるため、噛み合い構造も周方向に2つである例を示したが、一条ネジの場合は、噛み合い構造は周方向に1つ、四条ネジの場合は噛み合い構造は周方向に4つ、…等となる。
【0035】
本構成では、キャップ4に設けられる雌ネジ44は二条ネジであるため、雌ネジ44の下端の、螺合係合の入り込みとなる端部は、図4(a)の矢印で示すように、周方向に2か所、設けられている。
【0036】
(キャップの雌ネジ構造)
また、図2のように、キャップ4が容器3に係合した状態、及び、図5のように中栓2とキャップ4が係合した状態(中栓付きキャップになった状態)では、キャップ4の係合筒43の雌ネジ44において、天面に近い上部の内周側は、中栓2によって隠れている。即ち、雌ネジ44において、図5図9のようにキャップ4の締込筒46の複数の下端段差47が、中栓2の上面の複数の係止凹部23と噛み合った状態で、中栓2の下端から下側に露出した部分が、第2の雄ネジ17とのネジ係合に用いる係合用の雌ネジ44aである。
【0037】
(中栓の変形例1)
図1図2図4(b)、図5では、キャップ4との噛み合いのための、中栓の複数の係止部は、係止凹部である例を示したが、締込筒46の下端段差と係止する中栓2の環状上面の係止部は凸部であってもよい。
【0038】
図6は、中栓の変形例の説明図であって、(a)は側面図であり、(b)は上面図である。本構成では、図6(b)に示すように、中栓2αの係止部は、環状上面22αの外縁近傍に設けられた円弧状の2つの係止凸部230である。
【0039】
本構成における、2つの係止凸部230の各凸部は、図6(a)に示すように上面は周方向一方向に高くなるように傾斜して形成されている傾斜面(傾斜上面)230aである。そして、係止凸部230は、環状上面22αと同一面から傾斜面230aの上端に向かって垂直に立ち上がる垂直面(凸部垂直壁)230bを有する。
【0040】
本構成の中栓2αの係止構造に対しても、図3(a)に示すキャップ4の締込筒46の下端段差47の場合と同様にして係止する。図3(a)のキャップ4が時計方向(締まる方向)に回転する時に、締込筒46下端の垂直辺47bは、図6の中栓2αの環状上面22αの凸部垂直壁230bと噛み合い、キャップ4と中栓2αは一体となって回転する。一方、キャップ4が反時計方向(緩む方向)に回転する時には締込筒46の三角突起の傾斜辺47aと、中栓2αの係止凸部230の傾斜上面230aが互いに干渉せずに離れていき、キャップ4と、中栓2αは一体となって回転することはない。
【0041】
このように、本構成でも、キャップ4の複数の係止用の下端段差47の下向き突起と、中栓2αの複数の係止凸部230は、キャップ4が締まる方向にのみ互いに噛み合う。なお、図6(b)では、中栓2αの複数の係止凸部230は2個の凸部である例を示したが、本構成における係止凸部230の数は、締込筒46の下向き突起と同数であって、かつ、キャップ4の雌ネジ44の条数と同じ数であれば、いくつであってもよい。
【0042】
なお、図3の中栓の2つの係止凹部23において、半周かけて斜面が傾斜して他の部分から凹んでいく構成を示したが、係止凹部23は、一部のみ傾斜して凹んでいてもよい。反対に、図6の変形例では、中栓の2つの係止凸部230において、周方向において1/8の区間で斜面が盛り上げる構成を示したが、係止凸部230は、半周かけて斜面が傾斜して盛り上がっていってもよい。
【0043】
(中栓の着脱)
中栓2は、容器本体1に対して取り外し可能である。ここで、中栓2に形成された吐出孔Oは小さいため、例えば、内容物の残量が少なくなって取り出しにくい場合、中栓2を取り外すことで容器本体1に残った内容物を最後まで取り出しやすくなる。
【0044】
さらに、容器本体1に対して、中栓2は着脱可能であることから、中栓2及びキャップ4に対して、容器本体1はレフィルとして交換可能である。即ち、容器本体1は、内容物ととともに交換可能な(外して差し替え可能な)レフィル(リフィルともいう)となる。一方、中栓2及びキャップ4は、レフィル交換後、再利用される。
【0045】
よって、空になった容器本体1を、同じ形状の新品のレフィルに付け替えて交換し、中栓2及びキャップ4を、繰り返し使用することができる。これにより廃棄される樹脂量を削減することができる。
【0046】
付け替え用の、レフィルとして取り替え可能な容器本体1は、小径口部14の上端を、フィルム、又は小径口部14を取り囲むカバーで上面を覆うことができる。これにより、レフィルである容器本体1は、単体で流通することができる。
【0047】
なお、レフィルを何回も買い換えて使用するリピーターが、中栓2やキャップ4に、看過できない汚れがついたり破損や劣化が生じたりした場合に、繰り返し使用部の方を交換できるように、中栓2や、キャップ4が単独で流通してもよい。さらに、図9のように、中栓2とキャップ4とが係合した状態の中栓付きキャップ6が、流通してもよい。
【0048】
あるいは、容器本体1に対して中栓2は着脱可能であることから、内容物がなくなった場合、容器本体1に対してパウチ等の注ぎ替え可能な容器から内容物を注ぎ替えてもよい。
【0049】
(ネジ構成)
ここで、ネジ突起の構成について、図7図8図9を用いて説明する。図7は、第1実施形態に係る容器本体1の口部拡大図である。図8は、第1実施形態における、容器本体の口部の雄ネジの条数とネジ傾斜についての説明図である。図9は、第1実施形態に係る中栓付きキャップの内側斜視図である。
【0050】
上述のように、中栓2を容器本体1の口部13に対して回転させることで中栓2を容器本体1から取り外し可能である。そのため、中栓2及び容器本体1において、中栓2の容器本体1に対する回転止めは設けられていない。
【0051】
そして、中栓2を容器本体1の口部13に対して係合する際は、中栓2の雌ネジ26は、口部13の上部に位置する小径口部14に設けられた第1の雄ネジ15と係合する。
【0052】
また、図2図5からもわかるように、キャップ4は中栓2とは螺合係合せず、側面方向においては、容器本体1の口部13とのみ螺合係合する。詳しくは、キャップ4の係合用の雌ネジ44aは、口部の下部に位置する大径口部16に設けられた第2の雄ネジ17と係合する。
【0053】
ここで、図7に示すように、容器本体1の口部13において、第1の雄ネジ15と第2の雄ネジ17は、ネジリードが同じである。即ち、螺旋突起である第1の雄ネジ15と第2の雄ネジ17は、「ねじのつる巻き線に沿って軸の周りを一周するとき、軸方向(上下方向)に進む距離」が等しい。
【0054】
詳しくは、図8において、(a)は容器本体の口部の小径部の外周面の展開図、(b)は容器本体の口部の大径部の外周面の展開図、(c)は容器本体の口部の側面図を示す。
【0055】
容器本体1の口部13のネジにおいて、図8(a)に示す上側の小径口部14の第1の雄ネジ15と、図8(b)に示す下側の大径口部16の第2の雄ネジ17の外周面における、軸方向に対する傾斜角度は同じである。そのため、キャップ4を口部13に対して一回転させたときと、中栓2を口部13に対して一回転させたときとでは、キャップ4及び中栓2が進む(沈むこむ又は浮き上がる)軸方向の距離(移動量)が等しくなる。
【0056】
本構成では、口部13において、図2に示すように第2の雄ネジ17のネジの高さ(ひっかかり高さ)は、第1の雄ネジ15のネジ高さよりも高い。また、図8(a)、図8(b)に示すように第2の雄ネジ17のネジ間のピッチは、第1の雄ネジ15のピッチの約3倍である。そして、第2の雄ネジ17が設けられた大径口部16の外周面の周回長さは、第1の雄ネジ15が設けられた小径口部14の外周面の周回長さの、2倍未満である。そのため、本例では、第1の雄ネジ15のネジ条数は、第2の雄ネジ17のネジ条数よりも多くなる。詳しくは、図7図8で示すように、第1の雄ネジ15は15-1、15-2、15-3、15-4の4つの傾斜する突起からなる四条ネジであり、第2の雄ネジ17は17-1、17-2の2つの傾斜する突起からなる二条ネジである。そのため、本構成では、ネジ係合先である、中栓2の雌ネジ26は四条ネジであり、キャップ4の雌ネジ44は二条ネジである。
【0057】
なお、口部13の第1の雄ネジ15と中栓2の雌ネジ26、及び第2の雄ネジ17とキャップ4の雌ネジ44は一条ネジであってもよいし、多条ネジであってもよい。
【0058】
このような関係から、図9に示す、中栓付きキャップ6となった状態でわかるように、キャップ4の係合筒43の雌ネジ44と、中栓2の取付筒25の雌ネジ26のネジリードが等しい。
【0059】
ここで、図10に、ネジの位置関係を示す説明図を示す。図10は容器、キャップ、及び中栓が全て組付けられた状態の部分拡大図であって、容器本体1は斜視図、キャップ4及び中栓2は、断面図を示している。また、図10(b)は図10(a)の組付け状態において、容器本体1の口部と、キャップ4及び中栓2を少し離間させた図である。
【0060】
図10(a)、図10(b)に示すように、容器本体1の口部13における第1の雄ネジ15と第2の雄ネジ17の軸方向の位置関係は、組付け状態における、中栓2における、第1の雄ネジ15と嵌合する雌ネジ26と、キャップ4の、第2の雄ネジ17と嵌合する下部の係合用の雌ネジ44aのネジ溝の位置関係と等しい。
【0061】
このような構成により、キャップ4の締込筒46の複数の下端段差47が、中栓2の上面の複数の係止凹部23と噛み合った状態では、キャップ4と中栓2を一緒に、ネジ係合の終端まで、容器本体1の口部13に対して供回りさせることができる。
【0062】
さらにこのようなネジ構成により、キャップ4の口部13に対する回転と、中栓2の口部13に対する回転が同じ回転角度で進むため、図5のような状態でキャップ4と一緒に中栓2が供回りする際に、軸方向に進む距離が同じとなる。
【0063】
なお、本実施形態では、容器本体1には、キャップ4に対する回転止めである回転止めフック対19Fが設けられており、キャップ4には回転止め45A、45Bが設けられている。そのため、本構成では、キャップ4と中栓2が供回りするとき、キャップ4が容器本体1に対して締め切った位置に来て回転止め45A、45Bが2つの回転止めフック対19Fによって止まるタイミングと、中栓2が容器本体1に対して締め切った位置に来るタイミングが等しい。
【0064】
(組み立て)
次に、図11図12図13を用いてキャップ付き容器の組み立てについて説明する。図11は製造段階におけるキャップ付き容器組み立て時のフローチャートである。図12は第1実施形態に係るキャップ付き容器組み立て時の動作図である。なお、図12(d)~図12(f)では、位置関係を示すため、キャップを透過して示している。図13は、組み立て時の中栓付きキャップの雌ネジと口部の雄ネジの位置関係を示す図である。
【0065】
図11のステップS1で、中栓2を、キャップ4に嵌め込む。詳しくは、中栓2をキャップ4内部の指定位置に押し込み、キャップ4に対して回転させることで、中栓2をキャップ4の内側にセットして中栓付きキャップ6にする(図12(a)→図12(b))。
【0066】
詳しくは、キャップ4に設けられた雌ネジ44が2条以上のネジの場合、キャップ4の中に中栓2をはめ込む際は、容器本体1に適切に組付けることができる状態(本来の位置)で、即ち、円周方向において位置を規定した所定の位置で、はめ込む必要がある。例えば、中栓2をキャップ4にはめ込む際に本来の位置からずれてはめ込まれると、容器3にキャップ4を取り付ける際に、中栓2の雌ネジ26のネジ溝の端と、容器本体1の第1の雄ネジ15の端が合わず、取り付けられなくなる。また、キャップ4と容器本体1のネジは合っていても、中栓2のネジと容器本体1のネジが合わず、キャップ4が締められなくなる。そのため、S1で、中栓2とキャップ4を、容器本体1に正しく取り付けることができる指定の位置に、中栓2を取り付ける必要があり、この際、2つの下端段差47のそれぞれは、2つの係止凹部23のそれぞれ決められた位置に嵌まることになる。そこで、図12(a)に示すように、キャップ4と中栓2において、組み立ての際に、噛み合いが適切な位置になる組付けの指定位置に、シールやマーカー等の目印を付していき、目印同士が合致するように、押し込むと好適である。
【0067】
その後、中栓2を最後まで回転させることで、図5に示したように、キャップ4の2つの係止用の下端段差47の下向き突起のそれぞれと、中栓2の2つの複数の係止凹部23のそれぞれが、適切なペアとなって当接し(噛み合い)、中栓2はキャップ4に対してキャップ4が締まる方向に回転が規制された状態となる。さらに詳しくは、中栓2を正しい位置からキャップ4に対して最後まで回転させて下端段差47と係止凹部23がそれぞれ正しい位置で噛み合った状態になると、図13に示すように、適切な中栓付きキャップ6の状態になる。図13に示す適切な中栓付きキャップ6の状態では、中栓2の雌ネジ26のネジ溝と、キャップ4の係合用の雌ネジ44aのネジ溝との軸方向の距離は、容器本体1の口部13の中栓2と嵌合する第1の雄ネジ15とキャップ4と嵌合する第2の雄ネジ17との軸方向の距離と、等しくなる。
【0068】
ステップS2で、内容物が充填された容器本体1の口部13へ、図13のように最後まで係合した中栓付きキャップ6を載置する(図12(c)→図12(d))。
【0069】
ステップS3で、容器本体1の口部13に対してキャップ4を回転させて中栓付きキャップ6を締める。この際、一緒に中栓2も口部に対して係合して締まる(図12(d)→図12(e))。詳しくは、容器本体1に対して、キャップ4と中栓2が供回り回転して、キャップ4の雌ネジ44が口部13(大径口部16)の第2の雄ネジ17と係合すると共に、中栓2の雌ネジ26が口部13(小径口部14)の第1の雄ネジ15と係合する。
【0070】
ステップS4で、キャップ4の回転完了とともに、中栓2の装着が完了して、組み立てが完了する(図12(e)→図12(f))。なお、キャップ4の回転終了時は、キャップ4の係合筒43下端の回転止め45A、45Bが、2つの回転止めフック対19Fに挟み込まれて回転が停止する。
【0071】
このように本発明では、組み立て工程において、中栓を予めキャップ側に組み込んでおき、さらにキャップ回転時に一緒に中栓を回転させることができるため、容器口部の螺合係合が2段階であっても、製造時に、内容物充填後の口部端閉鎖動作は1回だけで済み、組み立て工程の複雑化を防ぐことができる。
【0072】
(第2実施形態)
図14は、容器の第2実施形態に係るキャップ付き容器5Aの部分断面図である。上記実施形態では、中栓においてノズルは上方に突出している例を示したが、中栓における吐出孔は、上方に突出していなくてよい。
【0073】
本実施形態では、中栓2Aにおいて上方に突出するノズルは設けられておらず、吐出孔O1は、環状上面22Aと同じ又は近い高さに設けられている。そのため、本実施形態のキャップ4Aでは、外周壁42A、係合筒43A、及び締込筒46Aが、第1実施形態よりも短い。
【0074】
本実施形態における、中栓2Aの複数の係止凹部23及びキャップ4Aの下端段差47は、第1実施形態と同様の形状である。そのため、キャップ4Aの複数の係止用の下端段差47の下向き突起と、中栓2Aの複数の係止凹部23は、キャップ4Aが締まる方向にのみ互いに噛み合う。
【0075】
また、本実施形態においても、第1実施形態と同様に、容器本体1の口部13において、第1の雄ネジ15と第2の雄ネジ17は、ネジリードが同じである。また、キャップ4Aの係合筒43Aの雌ネジ44と、中栓2Aの取付筒25の雌ネジ26のネジリード及び螺旋突起44、26の傾きが等しい。そのため、キャップ4Aの口部13に対する回転と、中栓2Aの口部13に対する回転が同じ回転角度で進むため、キャップ4Aと中栓2Aが供回りする際に、回転速度が同じとなり、悪影響を与えない。
【0076】
さらに、本実施形態でも、キャップ4Aの複数の下端段差47のそれぞれは、中栓2Aの係止凹部23のそれぞれと、正しい位置で噛み合った状態になると、中栓2Aの雌ネジ26のネジ溝と、キャップ4Aの係合用の雌ネジ44aのネジ溝との軸方向の距離は、容器本体1の口部13の第1の雄ネジ15と第2の雄ネジ17との軸方向の距離と等しくなる。
【0077】
したがって、本実施形態においても、組み立ての際、中栓を予めキャップ側に適切な位置で組み込んでおくことで、中栓とキャップを一緒に締めることができるため、容器口部の螺旋が2段階であっても、内容物充填後、口部の端閉鎖の回転動作は1回だけで済み、組み立て工程をシンプルにすることができる。
【0078】
(第3実施形態)
図15は、本発明の容器の第3実施形態に係るキャップ付き容器5Bの口部近傍の半断面拡大図である。
【0079】
本実施形態では、容器3Bは、容器本体1の小径口部14の上端の上に設けられ、中栓2Bの環状上面22の下面から圧力を受ける、密封部材であるパッキン9をさらに有する。そして、中栓2Bには、取付筒25と吸引筒29との間に中間筒が設けられていない。容器本体1及びキャップ4のその他の構造は、第1実施形態のキャップ4と同様である。
【0080】
本実施形態では、容器本体1の小径口部14の上にパッキン9が設けられ、パッキン9が中栓2によって押し込まれることで、容器本体1と中栓2Bの気密がとられている。
【0081】
なお、本実施形態においても、中栓2の複数の係止凹部23と、キャップの締込筒46の下端段差47は、図3図5に示した第1実施形態と同様の形状であって、キャップ4Bの複数の係止用の下端段差87の下向き突起と、中栓2Bの複数の係止凹部23は、キャップ4Bが締まる方向にのみ互いに噛み合う。
【0082】
そして、容器本体1の第1の雄ネジ15と第2の雄ネジ17は、ネジリードが同じである。また、本実施形態でも、キャップ4の複数の下端段差47のそれぞれは、中栓2Bの係止凹部23のそれぞれと、正しい位置で噛み合った状態になると、中栓2Bの雌ネジ26のネジ溝と、キャップ4の係合用の雌ネジ44aのネジ溝との軸方向の距離は、容器本体1の口部13の第1の雄ネジ15と第2の雄ネジ17との軸方向の距離と等しくなる。
【0083】
したがって、本実施形態においても、組み立ての際、中栓を予めキャップ側に適切な位置で組み込んでおくことで、中栓とキャップを一緒に締めることができるため、容器口部の螺旋が2段階であっても、内容物充填後、口部の端閉鎖の回転動作は1回だけで済み、組み立て工程の複雑化を防ぐことができる。
【0084】
なお、図14図15に示す容器3A、3Bにおいても、中栓2A、2Bの環状上面22A、22の係止構造は、図6に示す係止凸部230が設けられる構造であってもよい。
【0085】
(キャップの第2構成例)
図16は本発明のキャップの第2構成例に係るキャップ付き容器5Cの口部近傍の半断面拡大図である。下記図16図19では、容器本体1、中栓2から成る容器3の構成は、第1実施形態と同様である。
【0086】
本構成例のキャップ4Cは、外周壁が設けられておらず、天面41Cが、係合筒43の外形と略等しい点が第1実施形態と異なるが、その他の構造は、第1実施形態のキャップ4と同様である。本実施形態では、キャップに外周壁が設けられていないため、その分キャップ成形時の樹脂の使用量を削減することができる。なお、本構成例では、外周壁がないため、キャップの上面視は、円形に限定される。
【0087】
(キャップの第3構成例)
図17は、本発明のキャップの第3構成例に係るキャップ付き容器5Dの口部近傍の半断面拡大図である。
【0088】
本構成例のキャップ4Dでは、係合筒43Dの根元部が太く、締込筒の外周は係合筒の内周と連接している。詳しくは、キャップにおいて、最も内径側に位置する締込筒は、係合筒よりも下方向に短い。そのため、本構成では、係合筒43Dの上部内側が段差形状になることで、締込筒46Dの外周は係合筒43Dの内周と連接している。
【0089】
なお、本構成では、キャップ4Dにおいて係合筒と締込筒が一体化しているため、例えば、中栓2の取付筒25がより薄くなっても対応することができる。
【0090】
(キャップの第4構成例)
図18は、本発明のキャップの第4構成例に係るキャップ付き容器5Eの口部近傍の半断面拡大図である。
【0091】
本構成例では、図17同様に、キャップ4Eの係合筒43Eの根元部が太く、締込筒46Eの外周は係合筒の内周と連接している。さらに、図16同様に、キャップ4Eには、外周壁が設けられていない。よって、本構成例では、外周壁がないため、キャップの上面視は、円形に限定される。
【0092】
なお、本構成ではキャップ4Eにおいて係合筒と締込筒が一体化しているため、例えば、中栓2の取付筒がより薄くなっても対応することができるとともに、図17の構成よりもキャップの樹脂量を削減することができる。
【0093】
(キャップの第5構成例)
図19は、本発明のキャップの第5構成例に係るキャップ付き容器5Fの口部近傍の半断面拡大図である。上記図1図18では、キャップが1つの部材で構成されている例を示したが、キャップは、2つ以上の部材で構成されていてもよい。
【0094】
本構成例のキャップ4Fは、外キャップ7と、内キャップ8の2つの部材で構成されている。外キャップ7は、天面71と、外周壁72を有している。外周壁72は、最も外側の筒部で、外壁となる。
【0095】
内キャップ8は、外キャップ7の内側に設けられ、天面85と、天面85から垂下する二重筒である係合筒83と、締込筒86を備えており、天面85の下面中央には打栓突起88が設けられている。さらに、内キャップ8には、外キャップ7の外周壁72の内側面に嵌まり込む、嵌合筒81が設けられ、嵌合筒81と、係合筒83の下端を接続するように、接続斜面82が設けられている。係合筒83の内周面には螺合突起(雌ネジ)84が設けられている。また、締込筒86の下端は、環状に並んだ係止用の複数の下端段差87が設けられている。
【0096】
本実施形態における、中栓2の複数の係止凹部23及びキャップ4Fの内キャップ8に設けられる下端段差87は、図3図5に示した第1実施形態と同様の形状である。そのため、キャップ4Fの複数の係止用の下端段差87の下向き突起と、中栓2の複数の係止凹部23は、キャップ4Fが締まる方向にのみ互いに噛み合う。
【0097】
また、図16図19のいずれのキャップでも、キャップ4C(4D、4E、4F)の複数の下端段差47のそれぞれは、中栓2の係止凹部23のそれぞれと、正しい位置で噛み合った状態になると、中栓2の雌ネジ26のネジ溝と、キャップ4C(4D、4E、4F)の係合用の雌ネジ44a(84a)のネジ溝との軸方向の距離は、容器本体1の口部13の第1の雄ネジ15と第2の雄ネジ17との軸方向の距離と等しくなる。
【0098】
したがって、いずれの構成でも、組み立ての際、中栓を予めキャップ側に適切な位置で組み込んでおくことで、中栓とキャップを一緒に締めることができるため、容器口部の螺旋が2段階であっても、内容物充填後、口部の端閉鎖の回転動作は1回だけで済み、組み立て工程の複雑化を防ぐことができる。
【0099】
なお、図16図19のキャップの第2~第5構成例では、中栓2の第1実施形態の構成に対して係合する例を示したが、図16図19のキャップを、図14図15に示す容器3A、容器3Bに適用してもよい。さらに、図16図19のキャップと係合する容器に装着される中栓は、係止部として、図6に示す係止凸部230が設けられる構造であってもよい。
【0100】
<キャップと口部の実施形態4>
上記実施形態では、キャップ及び容器本体の口部において、キャップの回転を止めるための回転止めが設けられる例を説明した。しかし、キャップの口部に対する回転位置を規定するための回転止めは、設けられていなくてもよい。キャップと口部に回転止めが設けられていない構成では、キャップが容器本体に対して締め切って止まるタイミングと、中栓が容器本体に対して締め切って止まるタイミングが若干ずれていてもよい。
【0101】
図20は、本発明の中栓の回転終点の変形例に係るキャップ付き容器の口部近傍の半断面説明図である。本実施形態では、弾性変形可能なパッキン9Gが容器本体1Gの小径口部14Gの上に設けられ、パッキン9Gが中栓2Gと接触することで、容器本体1Gと中栓2Gの気密がとられている。また、キャップ4Gの打栓突起48が中栓2Gの吐出孔Oと接触することで、キャップ4Gと中栓2Gの気密がとられている。
【0102】
本実施形態では、他の実施形態と比較して、キャップ4Gと容器本体1Gのサイズに対して、中栓2Gのノズル21Gの突出長さが短く、かつ、取付筒25Gが少し長く雌ネジ26Gの周回距離が長い。そのため、容器本体の口部13Gにおいて、他の実施形態よりも、第2の雄ネジ17に対して、第1の雄ネジ15Gの周回長さが長い。また、キャップ4Gにおいて、係合筒43及び外周壁42に対して、締込筒46Gが少し短い。そして、キャップ4Gと容器本体1Gとの回転止めのための機構は設けられていない。
【0103】
本実施形態においても、キャップ4Gの係合筒43の雌ネジ44と、中栓2Gの取付筒25Gの雌ネジ26Gのネジリードが等しい。
【0104】
さらに、本実施形態において、キャップ4Gの複数の下端段差47のそれぞれは、中栓2の係止凹部23Gのそれぞれと、正しい位置で噛み合った状態になると、図20(a)の矢印で示すように、中栓2の雌ネジ26Gのネジ溝と、キャップ4Gの係合用の雌ネジ44aのネジ溝との軸方向の距離は、容器本体1Gの口部13Gの第1の雄ネジ15Gと第2の雄ネジ17との軸方向の距離と等しくなる。このように、キャップ4Gの締込筒46Gの複数の下端段差47が、中栓2Gの上面の複数の係止凹部23Gと適切に噛み合った状態では、キャップ4Gと中栓2Gを、キャップ4Gと容器本体1Gのネジ係合の終端まで、一緒に容器本体1Gに対して供回りさせることができる。
【0105】
しかし、本実施形態では、回転止めがないため、キャップ4Gが締まり続けると、外周壁42がボトルの肩部12に当たって、又はネジ係合の終点で止まる。その時に、図20(a)に示すように、中栓2Gは、口部13Gに対して完全に締まり切っていなくてもよく、中栓2Gがパッキン9Gと接触することで中栓2Gと容器本体1Gとの気密がとれていれば成り立つ。即ち、本実施形態では、中栓2Gとキャップ4Gとの供回りによって、中栓2Gは完全に締まり切らない。
【0106】
そして、キャップ4Gを開けて、容器3Gを使用する際、図20(b)に示すように、使用者は、中栓2Gを単体で容器本体1Gに対して回転させて、さらに締め込むことができる。
【0107】
本実施形態では、中栓2Gを締め込んだ後にキャップ4Gを再度締めると、キャップ4Gが閉まり切った状態で、図20(c)に示すように、キャップ4Gの締込筒46Gの下端段差47と、中栓2Gの複数の係止凹部23Gによる回転規制が解除されたままの状態になる。この状態でも、キャップ4Gの打栓突起48が中栓2Gの吐出孔Oと接触することで、キャップ4Gと中栓2Gの気密がとられている。本実施形態では、製造時組み立て後、中味の詰め替えや容器本体1Gをレフィルとして交換する際に、中栓2Gを容器本体1Gから外す場合以外は、キャップ4Gが閉じた状態で下端段差47と複数の係止凹部23Gによる回転規制機構は接触していないが問題はない。
【0108】
本実施形態では、キャップと容器本体との位置関係を規制する回転止めが設けられていないため、周方向の位置決めが不要となるように、キャップの上面視は、円形となる。図20では、キャップに外周壁が設けられている構成を示したが、図16図18に示すように、キャップに外周壁が設けられていないことで、キャップの上面視が円形となる構成であってもよい。
【0109】
なお、図20の回転終点の変形例では、中栓2の第1実施形態の構成に対して係合する例を示したが、図20の回転終点を有するキャップ付き容器に適用される中栓は、係止部として、図6に示す係止凸部230が設けられる構造であってもよい。
【0110】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の実施形態の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0111】
1 容器本体
2、2A 中栓
3、3A 容器
4、4A、4B、4C、4D、4E、4F キャップ
5、5A、5B、5C、5D、5E、5F キャップ付き容器
6 中栓付きキャップ
7 外キャップ
8 内キャップ
9 パッキン(密閉部材)
13 口部
14 小径口部
15 第1の雄ネジ(螺旋突起)
16 大径口部
17 第2の雄ネジ(螺旋突起)
18 環状突起
19 口部根元部
19F 回転止めフック対(回転止め)
21、21G ノズル
23 係止凹部(係止部)
23a 傾斜面(傾斜底面)
23b 垂直面(凹部垂直壁)
230 係止凸部(係止部)
230a 傾斜面(傾斜上面)
230b 垂直面
24 仕切り凸部
240 仕切り凹部
25 取付筒
26 雌ネジ(内周螺旋突起)
27 スリット
28 中間筒
29 吸引筒
41 天面
42 外周壁
43 係合筒(筒部)
44 雌ネジ(内周螺旋突起)
45A、45B 回転止め
46、46A 締込筒
47 下端段差(三角突起、係止用の段差)
47a 傾斜辺
47b 垂直辺
48 打栓突起
図1
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