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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025022163
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】放射線遮蔽構造
(51)【国際特許分類】
   G21F 3/00 20060101AFI20250206BHJP
   G21F 7/00 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
G21F3/00 L
G21F7/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023126476
(22)【出願日】2023-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小迫 和明
(72)【発明者】
【氏名】能任 琢真
(57)【要約】
【課題】出入口における漏洩線量を大幅に低減可能な放射線遮蔽構造を提供する。
【解決手段】迷路24は、放射線発生装置12から離れる側に向けて、迷路内壁22の側端部26と、放射線遮蔽壁14の間に形成された開口部28から迷路内壁20の厚さ方向に延びる通路である第1脚30と、この第1脚30に対して角度をつけて接続し、迷路内壁20および迷路外壁22に沿って延びる通路である第2脚32と、この第2脚32の出入口18に近い端部側に対して角度をつけて接続し、放射線発生装置12から離れる側に向けて、端部側から迷路外壁22の厚さ方向に延びる通路である第3脚34と有し、第3脚34の通路の長さL3は、第2脚32の通路の長さL2および形状と、放射線発生装置12の最大使用線量とに基づいて設定されているようにする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線発生装置を収容し、放射線遮蔽壁に囲まれた収容室と、前記放射線発生装置からの放射線が前記収容室の出入口に直接到達することを防ぐために前記放射線発生装置と前記出入口の間に設けられた迷路内壁と、前記迷路内壁の前記出入口側に対向配置された迷路外壁により区画形成され、前記出入口に接続した迷路とを備える放射線遮蔽構造であって、
前記迷路は、前記放射線発生装置から離れる側に向けて、前記迷路内壁の側端部と、前記放射線遮蔽壁の間に形成された開口部から前記迷路内壁の厚さ方向に延びる通路である第1脚と、この第1脚に対して角度をつけて接続し、前記迷路内壁および前記迷路外壁に沿って延びる通路である第2脚と、この第2脚の前記出入口に近い端部側に対して角度をつけて接続し、前記放射線発生装置から離れる側に向けて、前記端部側から前記迷路外壁の厚さ方向に延びる通路である第3脚と有し、
第3脚の通路の長さは、第2脚の通路の長さおよび形状と、前記放射線発生装置の最大使用線量とに基づいて設定されていることを特徴とする放射線遮蔽構造。
【請求項2】
放射線を遮蔽する遮蔽扉および遮蔽棚を前記出入口および前記迷路に有しないことを特徴とする請求項1に記載の放射線遮蔽構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば医療用放射線照射室のような出入口に迷路を備えた放射線遮蔽構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、医療用リニアック室などの放射線利用施設では、放射線を照射する照射室と出入口の間に放射線の外部漏洩を防ぐための迷路構造を設けて、出入口に遮蔽扉を設置している(例えば、特許文献1を参照)。リニアック室の迷路は多くの場合、2脚構造となっている。
【0003】
図5(1)、(2)に、従来の2脚構造の迷路を備えたリニアック室の一例を示す。これらの図に示すように、リニアック室1は、鉄板2を内蔵した放射線遮蔽壁3に囲まれた平面視で略矩形状の照射室4と、照射室4の出入口5に繋がる2脚構造の迷路6を有する。照射室4の略中央には、放射線を放出するリニアック装置7が設けられ、ここから利用線錘Cが形成される。迷路6は、第1脚Aと第2脚Bを有し、迷路内壁8に沿って設けられる。迷路内壁8は、照射室4と出入口5の間を仕切るように一方の放射線遮蔽壁3から対向する放射線遮蔽壁3に向けて突出した壁であり、迷路内壁8の突出端部と対向する放射線遮蔽壁3との間には、照射室4と迷路6とを連絡する開口部9が形成される。
【0004】
迷路6の第1脚Aは、照射室4に近い側に設けられ、第2脚Bは、出入口5に近い側に設けられる。第1脚Aは、第2脚Bを接続することが目的であるため長さは短い。図5の例では、第1脚Aの長さは、迷路内壁8の厚さと迷路幅の和と同程度である。第2脚Bは、第1脚Aから迷路内壁8に沿って直角または外側に少し角度を付けて設置され、照射室4の横幅と同程度の長さがある。第2脚Bの終端または終端近くの直角方向に出入口5が設置される。
【0005】
出入口5には、鉛とポリエチレンの2層の遮蔽板を内包する遮蔽扉5Aが設置される。出入口5の図示しない垂れ壁にダクト貫通孔がある場合には、出入口5に近い迷路6の上部に鉛とポリエチレンの2層の遮蔽板を内包する遮蔽棚が設置される。鉛とポリエチレンの厚さは、それぞれ1cmと10cm程度が標準的であるが、リニアック装置7のエネルギー、最大使用線量とリニアック室1の構造によって変動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2018-179851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
照射室4から迷路6の第1脚Aに進入する放射線は、大部分が第1脚Aの壁面と床面で散乱し、その一部が第2脚Bに進入する。散乱して第2脚Bに進入した放射線は、真っ直ぐな第2脚Bの壁面に沿ってコリメートされながら進行して出入口5に到達する。第2脚Bの終端付近では、放射線の線量が法令限度以下になっていないために、遮蔽扉5Aを設置して放射線を減衰することで法令限度以下にする必要があった。遮蔽扉5Aは重量物であるため、上吊り方式の高額の電動駆動装置が必要であった。さらに、擦り合わせ調整を含む定期的なメンテナンスや、停電・故障時には手動で開閉できる補助機能も必要であった。
【0008】
出入口5の垂れ壁などにダクトやスリーブ貫通孔がある場合は、これらを介して放射線が漏洩する。この場合、第2脚Bの終端付近の放射線の線量が法令限度以下になっていないために、遮蔽扉5Aと同等の遮蔽能を有する遮蔽棚を迷路6上部に設置して遮蔽する必要があった。また、重量物である遮蔽棚は、地震等で落下しないように、金具等でしっかりと固定する必要があった。
【0009】
出入口5における漏洩線量が法令限度以下であれば、遮蔽扉と遮蔽棚が不要となり、その製作費、設置費やメンテナンス費を削減することが可能である。このため、出入口における漏洩線量を大幅に低減可能な技術が求められていた。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、出入口における漏洩線量を大幅に低減可能な放射線遮蔽構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る放射線遮蔽構造は、放射線発生装置を収容し、放射線遮蔽壁に囲まれた収容室と、前記放射線発生装置からの放射線が前記収容室の出入口に直接到達することを防ぐために前記放射線発生装置と前記出入口の間に設けられた迷路内壁と、前記迷路内壁の前記出入口側に対向配置された迷路外壁により区画形成され、前記出入口に接続した迷路とを備える放射線遮蔽構造であって、前記迷路は、前記放射線発生装置から離れる側に向けて、前記迷路内壁の側端部と、前記放射線遮蔽壁の間に形成された開口部から前記迷路内壁の厚さ方向に延びる通路である第1脚と、この第1脚に対して角度をつけて接続し、前記迷路内壁および前記迷路外壁に沿って延びる通路である第2脚と、この第2脚の前記出入口に近い端部側に対して角度をつけて接続し、前記放射線発生装置から離れる側に向けて、前記端部側から前記迷路外壁の厚さ方向に延びる通路である第3脚と有し、第3脚の通路の長さは、第2脚の通路の長さおよび形状と、前記放射線発生装置の最大使用線量とに基づいて設定されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る他の放射線遮蔽構造は、上述した発明において、放射線を遮蔽する遮蔽扉および遮蔽棚を前記出入口および前記迷路に有しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る放射線遮蔽構造によれば、放射線発生装置を収容し、放射線遮蔽壁に囲まれた収容室と、前記放射線発生装置からの放射線が前記収容室の出入口に直接到達することを防ぐために前記放射線発生装置と前記出入口の間に設けられた迷路内壁と、前記迷路内壁の前記出入口側に対向配置された迷路外壁により区画形成され、前記出入口に接続した迷路とを備える放射線遮蔽構造であって、前記迷路は、前記放射線発生装置から離れる側に向けて、前記迷路内壁の側端部と、前記放射線遮蔽壁の間に形成された開口部から前記迷路内壁の厚さ方向に延びる通路である第1脚と、この第1脚に対して角度をつけて接続し、前記迷路内壁および前記迷路外壁に沿って延びる通路である第2脚と、この第2脚の前記出入口に近い端部側に対して角度をつけて接続し、前記放射線発生装置から離れる側に向けて、前記端部側から前記迷路外壁の厚さ方向に延びる通路である第3脚と有し、第3脚の通路の長さは、第2脚の通路の長さおよび形状と、前記放射線発生装置の最大使用線量とに基づいて設定されているので、出入口における漏洩線量を大幅に低減することができるという効果を奏する。
【0014】
また、本発明に係る他の放射線遮蔽構造によれば、放射線を遮蔽する遮蔽扉および遮蔽棚を前記出入口および前記迷路に有しないので、遮蔽扉および遮蔽棚の製作費、設置費やメンテナンス費を削減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明に係る放射線遮蔽構造の実施の形態を示す平断面図である。
図2図2は、漏洩線量(線量率)の計算結果の一例を示すコンター図である。
図3図3は、本発明に係る放射線遮蔽構造の寸法の説明図である。
図4図4は、漏洩線量(線量率)の計算結果の一例を示すコンター図である。
図5図5は、従来の放射線遮蔽構造の一例を示す平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る放射線遮蔽構造の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0017】
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る放射線遮蔽構造10は、放射線発生装置12を収容し、放射線遮蔽壁14に囲まれた収容室16と、放射線発生装置12からの放射線が収容室16の出入口18に直接到達することを防ぐために放射線発生装置12と出入口18の間に設けられた迷路内壁20と、迷路内壁20の出入口18側に対向配置された迷路外壁22により区画形成され、出入口18に接続した3脚構造の迷路24とを備える。出入口18には、放射線を遮蔽する機能を有する遮蔽扉は設置されていないが、設置してもよい。
【0018】
放射線遮蔽構造10は、リニアック室を想定している。放射線発生装置12は、放射線を放出して利用線錘Cを形成するリニアック装置であり、収容室16の略中央に設けられる。収容室16は、平面視で略矩形状の照射室である。放射線遮蔽壁14は、コンクリート製である収容室16の縦幅方向Zと、これに直交する横幅方向Yを含む位置に設けられる。
【0019】
迷路内壁20は、収容室16と出入口18の間を仕切るように、縦幅方向Zに延びる一方の放射線遮蔽壁14Aの端部から、対向する他方の放射線遮蔽壁14Bに向けて横幅方向Yに突出した壁であり、迷路内壁20の突出端部26(側端部)と対向する他方の放射線遮蔽壁14Bとの間には、収容室16と迷路24とを連絡する開口部28が形成される。開口部28には、図示しない垂れ壁などが設けられる。
【0020】
迷路外壁22は、他方の放射線遮蔽壁14Bの出入口18側の端部から迷路内壁20の外側に沿って横幅方向Yに延びる放射線遮蔽壁14により構成される。迷路外壁22の厚さは、放射線遮蔽壁14Bの厚さと同程度である。
【0021】
迷路24は、第1脚30と、第2脚32と、第3脚34を有し、迷路内壁20および迷路外壁22に沿って設けられる。
【0022】
第1脚30は、開口部28から迷路内壁20の厚さ方向(縦幅方向Z)に延びて、迷路外壁22に突き当たった通路である。第1脚30は、第2脚32を接続することが目的であるため長さは短い。第1脚30の通路の長さL1は、迷路内壁20の厚さと第2脚32の迷路幅の和と同じである。第1脚30の迷路幅は、一定である。
【0023】
第2脚32は、第1脚30の端部に対して平面視で第1脚30の通路方向に直角に接続し、迷路内壁20および迷路外壁22に沿って横幅方向Yに延びる通路である。第2脚32の通路の長さL2は、迷路内壁20の突出端部26を迷路外壁22に正射影した位置から第3脚34に面する迷路外壁22の端部36までの長さLと、第3脚34の迷路幅を足し合わせたものと同じである。第2脚32の迷路幅は、一定である。
【0024】
第3脚34は、第2脚32の出入口18に近い端部側に対して平面視で第2脚32の通路方向に直角に接続し、第2脚32の端部側から出入口18に向けて迷路外壁22の厚さ方向(縦幅方向Z)に延びる通路である。第3脚34は、第2脚32の出入口18に近い端部(終端部)に対して接続する場合に限るものではなく、第2脚32の終端部の付近に接続してもよい。第3脚34は、迷路外壁22の側端面38とこれに対向する放射線遮蔽壁40との間、および、放射線遮蔽壁42に沿って設けられる。放射線遮蔽壁42は、他の放射線遮蔽壁14よりも厚さが薄い放射線遮蔽壁であり、迷路外壁22の側端面38および放射線遮蔽壁40の内面に対してそれぞれ面一に繋がっており、出入口18に向けて縦幅方向Zに延びている。放射線遮蔽壁40は、第2脚32の端部から一定の厚さで縦幅方向Zに延びている。第3脚34の通路の長さL3は、迷路外壁22の側端面38のうち厚さ方向内側の端部36(隅角部)から出入口18までの長さである。第3脚34の迷路幅は、一定である。
【0025】
第3脚34の通路の長さL3は、第2脚32の通路の長さL2および配置形状と、放射線発生装置12の最大使用線量とに基づいて設定されている。長さL3を調整することにより、第3脚34の終端の出入口18からの漏洩線量を所望の線量に調整することができる。L3を短くすれば漏洩線量は高くなり、L3を長くすれば漏洩線量は低くなる。第3脚34の減衰率は長さL3[m]による1/(L3)則に従う。
【0026】
図2は、第2脚32の通路の長さL2(L)を変えて計算した漏洩線量のコンター図の一例である。図2(1)はL=270cm、(2)はL=300cmの場合である。この図に示すように、第2脚32に対して直角に設置した第3脚34に進入する放射線は、第2脚32の終端周辺の壁面で散乱したものが主体となるため、第2脚32の終端の放射線よりも相当少なくなることがわかる。
【0027】
第3脚34に面した放射線遮蔽壁42と天井壁のコンクリート厚は、30cm程度で十分であり、それ以上にする必要はない。したがって、放射線遮蔽壁42を厚くする必要はない。
【0028】
第2脚32と第3脚34の長さL2、L3を適切に設定すれば、第3脚34の終端の漏洩線量を法令限度以下にすることができる。このため、出入口18における漏洩線量を大幅に低減することができる。これにより、出入口18に、放射線を遮蔽する遮蔽扉および遮蔽棚を設置する必要がなくなる。遮蔽扉と遮蔽棚の設置を不要にできるので、遮蔽扉および遮蔽棚の製作費、設置費やメンテナンス費を削減することができる。出入口18に設置する扉は、一般的な内開き扉、内側片開き扉や引き戸などを使用可能である。第3脚34の終端付近に設けるダクトとスリーブは、放射線の漏洩対策をせずに自由に設置できる。また、出入口18がリニアック装置(放射線発生装置12)のターゲットから遠くなるため、迷路内壁20の厚さを薄くすることが可能となる。なお、標準的なリニアック装置の運転条件であれば、図2に示すように、遮蔽扉と遮蔽棚の設置を不要にできる第3脚34の長さL3は、300cm程度と考えられる。
【0029】
(実施例)
次に、本発明の実施例について説明する。本実施例で示すL3の値は、リニアック装置の最大使用線量が60000[Gy/3月]におけるものである。実際のリニアック装置の最大使用線量MDによりL3は変動するため、MD/60000の値をL3に乗じることでMDに対するL3を求めることができる。
【0030】
図3は、本実施例の迷路周辺の寸法説明図である。この図に示すように、第3脚34の終端の出入口18の漏洩線量を最も低減するには、第2脚32の長さL2を可能な限り最大にすることが重要である。その場合、第2脚32の終端部の壁厚は50cm以上あれば十分である。第2脚32の長さL2から第3脚34の開口幅(迷路幅)W3を減じることで第1脚30から第3脚34までの距離(長さ)Lが得られる。Lは150cm以上とすることが望ましい。このLにより第3脚34の長さL3を概略で決めることができる。また、第3脚34の延伸部分の放射線遮蔽壁42の長さL3aは、L3から迷路外壁22の厚さDmoを差し引くことで求められる。
【0031】
図4は、第2脚32の通路の長さL2のうち、Lを150~500cmに変えて計算した漏洩線量のコンター図の一例である。図4(1)はL=150cm、(2)はL=200cm、(3)はL=250cm、(4)はL=300cm、(5)はL=350cm、(6)はL=400cm、(7)はL=450cm、(8)はL=500cmの場合である。
【0032】
図4(1)~(6)に示すように、Lが150cm以上400cm以下の場合には、第3脚34の通路の長さL3の概略値は、600cmからLを差し引いた値により求めることができる。すなわち、L3≒600-L[cm]で決定することができる。
【0033】
また、図4(7)に示すように、Lが450cmの場合には、第3脚34の通路の長さL3の概略値は、630からLを差し引いた値により求めることができる。すなわち、L3≒630-L[cm]で決定することができる。
【0034】
また、図4(8)に示すように、Lが500cm以上の場合には、第3脚34の通路の長さL3の概略値は、150cmとすることができる。すなわち、L3≒150cmとして決定することができる。
【0035】
以上説明したように、本発明に係る放射線遮蔽構造によれば、放射線発生装置を収容し、放射線遮蔽壁に囲まれた収容室と、前記放射線発生装置からの放射線が前記収容室の出入口に直接到達することを防ぐために前記放射線発生装置と前記出入口の間に設けられた迷路内壁と、前記迷路内壁の前記出入口側に対向配置された迷路外壁により区画形成され、前記出入口に接続した迷路とを備える放射線遮蔽構造であって、前記迷路は、前記放射線発生装置から離れる側に向けて、前記迷路内壁の側端部と、前記放射線遮蔽壁の間に形成された開口部から前記迷路内壁の厚さ方向に延びる通路である第1脚と、この第1脚に対して角度をつけて接続し、前記迷路内壁および前記迷路外壁に沿って延びる通路である第2脚と、この第2脚の前記出入口に近い端部側に対して角度をつけて接続し、前記放射線発生装置から離れる側に向けて、前記端部側から前記迷路外壁の厚さ方向に延びる通路である第3脚と有し、第3脚の通路の長さは、第2脚の通路の長さおよび形状と、前記放射線発生装置の最大使用線量とに基づいて設定されているので、出入口における漏洩線量を大幅に低減することができる。
【0036】
また、本発明に係る他の放射線遮蔽構造によれば、放射線を遮蔽する遮蔽扉および遮蔽棚を前記出入口および前記迷路に有しないので、遮蔽扉および遮蔽棚の製作費、設置費やメンテナンス費を削減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上のように、本発明に係る放射線遮蔽構造は、医療用放射線照射室などの迷路を備える放射線利用施設に有用であり、特に、出入口における漏洩線量を大幅に低減するのに適している。
【符号の説明】
【0038】
10 放射線遮蔽構造
12 放射線発生装置
14,14A,14B,40,42 放射線遮蔽壁
16 収容室
18 出入口
20 迷路内壁
22 迷路外壁
24 迷路
26 突出端部(側端部)
28 開口部
30 第1脚
32 第2脚
34 第3脚
36 端部
38 側端面
Y 横幅方向
Z 縦幅方向
図1
図2
図3
図4
図5