(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025022182
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】太陽光発電装置
(51)【国際特許分類】
H02S 50/00 20140101AFI20250206BHJP
H02S 40/30 20140101ALI20250206BHJP
E06B 5/00 20060101ALI20250206BHJP
E06B 9/264 20060101ALI20250206BHJP
E06B 9/42 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
H02S50/00
H02S40/30
E06B5/00 A
E06B9/264 B
E06B9/42 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023126527
(22)【出願日】2023-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】000128175
【氏名又は名称】株式会社エフ・シー・シー
(74)【代理人】
【識別番号】100095614
【弁理士】
【氏名又は名称】越川 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】大橋 達之
(72)【発明者】
【氏名】永濱 龍也
(72)【発明者】
【氏名】池戸 裕美
【テーマコード(参考)】
2E043
2E239
5F251
【Fターム(参考)】
2E043AA01
2E043DB05
2E239AA01
5F251BA05
5F251JA08
5F251JA14
5F251JA30
5F251KA03
5F251KA08
(57)【要約】
【課題】太陽電池アレイを並列に接続して構成された太陽電池パネルであっても故障した太陽電池モジュールに対応する発光ダイオードを発光させることができ、故障した太陽電池モジュールを確実且つ容易に特定することができる太陽光発電装置を提供する。
【解決手段】太陽電池アレイ1を並列に接続した太陽電池パネル2と、太陽電池モジュールTが故障した状態で発光可能な発光ダイオード3と、発電電力を出力可能な電力変換装置4と、PV電圧を制御する電圧制御手段7と、太陽電池モジュールTの故障診断の実行を指示する故障診断指示手段8とを具備した太陽光発電装置であって、故障診断指示手段8により故障診断の実行が指示されたとき、電圧制御手段7により太陽電池パネル2のPV電圧が低下するように制御して、故障した太陽電池モジュールTに対して並列に接続された発光ダイオード3を発光させるものである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光を受けて発電を行う太陽電池モジュールが直列に接続された太陽電池アレイと、
前記太陽電池アレイを並列に接続した太陽電池パネルと、
前記太陽電池モジュールに対して並列に接続され、前記太陽電池モジュールが故障した状態で発光可能な発光ダイオードと、
前記太陽電池パネルの発電電力を出力可能な電力変換装置と、
前記太陽電池パネルのPV電圧を制御する電圧制御手段と、
前記太陽電池モジュールの故障診断の実行を指示する故障診断指示手段と、
を具備した太陽光発電装置であって、
前記故障診断指示手段により故障診断の実行が指示されたとき、前記電圧制御手段により前記太陽電池パネルのPV電圧が低下するように制御して、故障した前記太陽電池モジュールに対して並列に接続された前記発光ダイオードを発光させることを特徴とする太陽光発電装置。
【請求項2】
前記故障診断指示手段により故障診断の実行が指示されたとき、PV電圧を前記太陽電池モジュールの開放電圧未満の所定値に設定する電圧設定手段を具備するとともに、前記電圧制御手段は、PV電圧が前記電圧設定手段で設定された所定値となるよう制御して、故障した前記太陽電池モジュールに対して並列に接続された前記発光ダイオードを発光させることを特徴とする請求項1記載の太陽光発電装置。
【請求項3】
前記発光ダイオードに対して抵抗が直列に接続された第1回路と、
前記第1回路に対して並列に抵抗を接続した第2回路と、
前記第1回路及び第2回路に対して直列にダイオードを接続した第3回路と、
を有した発光回路を具備し、前記太陽電池モジュールに対して前記発光回路が並列に接続されたことを特徴とする請求項1記載の太陽光発電装置。
【請求項4】
前記発光ダイオードに対して定電流素子が直列に接続された第1回路と、
前記第1回路に対して並列に抵抗を接続した第2回路と、
前記第1回路及び第2回路に対して直列にダイオードを接続した第3回路と、
を有した発光回路を具備し、前記太陽電池モジュールに対して前記発光回路が並列に接続されたことを特徴とする請求項1記載の太陽光発電装置。
【請求項5】
前記太陽電池アレイは、前記太陽電池モジュールを交換可能に保持する保持手段を有することを特徴とする請求項1記載の太陽光発電装置。
【請求項6】
開状態と閉状態とを任意に切り替え可能な日よけ手段を具備し、前記太陽電池パネルは、前記日よけ手段に取り付けられたことを特徴とする請求項1記載の太陽光発電装置。
【請求項7】
前記日よけ手段は、ブラインド、カーテンまたはオーニングであることを特徴とする請求項6記載の太陽光発電装置。
【請求項8】
前記電力変換装置は、前記太陽電池パネルから発電電力を出力する際、最大電力点追従制御を行うことを特徴とする請求項1記載の太陽光発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光を受けて発電を行うための太陽光発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽電池は、光起電力効果を利用して光エネルギを電気エネルギ(電力)に変換するもので、太陽光から直接に電力を得ることができることから、近時において、環境にやさしい発電手段として普及しつつある。かかる太陽電池を利用した太陽光発電装置は、太陽電池の最小単位であるセルを組み合わせて機能化した太陽電池モジュールを具備し、モジュールが直列又は並列に接続されたアレイを複数並べて太陽電池パネルを構成している。
【0003】
このような太陽光発電装置の故障を診断するため、従来、太陽光を受けて発電を行う太陽電池モジュールが直列に接続された太陽電池アレイにおいて、各太陽電池モジュールに対して並列に発光ダイオードを接続することにより、故障した太陽電池モジュールに対応した発光ダイオードが発光する技術が提案されている(特許文献1参照)。これにより、複数の太陽電池モジュールのうち故障した太陽電池パネルを容易に特定することができ、新たな太陽電池モジュールに迅速に交換することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術においては、太陽電池アレイを並列に接続して構成された太陽電池パネルの場合、故障した太陽電池モジュールを有する太陽電池アレイは、解放電圧が低くなるため電流が流れないので、故障した太陽電池モジュールに対応する発光ダイオードを発光させることができないという課題がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、太陽電池アレイを並列に接続して構成された太陽電池パネルであっても故障した太陽電池モジュールに対応する発光ダイオードを発光させることができ、故障した太陽電池モジュールを確実且つ容易に特定することができる太陽光発電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、太陽光を受けて発電を行う太陽電池モジュールが直列に接続された太陽電池アレイと、前記太陽電池アレイを並列に接続した太陽電池パネルと、前記太陽電池モジュールに対して並列に接続され、前記太陽電池モジュールが故障した状態で発光可能な発光ダイオードと、前記太陽電池パネルの発電電力を出力可能な電力変換装置と、前記太陽電池パネルのPV電圧を制御する電圧制御手段と、前記太陽電池モジュールの故障診断の実行を指示する故障診断指示手段とを具備した太陽光発電装置であって、前記故障診断指示手段により故障診断の実行が指示されたとき、前記電圧制御手段により前記太陽電池パネルのPV電圧が低下するように制御して、故障した前記太陽電池モジュールに対して並列に接続された前記発光ダイオードを発光させることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の太陽光発電装置において、前記故障診断指示手段により故障診断の実行が指示されたとき、PV電圧を前記太陽電池モジュールの開放電圧未満の所定値に設定する電圧設定手段を具備するとともに、前記電圧制御手段は、PV電圧が前記電圧設定手段で設定された所定値となるよう制御して、故障した前記太陽電池モジュールに対して並列に接続された前記発光ダイオードを発光させることを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の太陽光発電装置において、前記発光ダイオードに対して抵抗が直列に接続された第1回路と、前記第1回路に対して並列に抵抗を接続した第2回路と、前記第1回路及び第2回路に対して直列にダイオードを接続した第3回路とを有した発光回路を具備し、前記太陽電池モジュールに対して前記発光回路が並列に接続されたことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の太陽光発電装置において、前記発光ダイオードに対して定電流素子が直列に接続された第1回路と、前記第1回路に対して並列に抵抗を接続した第2回路と、前記第1回路及び第2回路に対して直列にダイオードを接続した第3回路とを有した発光回路を具備し、前記太陽電池モジュールに対して前記発光回路が並列に接続されたことを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の太陽光発電装置において、前記太陽電池アレイは、前記太陽電池モジュールを交換可能に保持する保持手段を有することを特徴とする。
【0012】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の太陽光発電装置において、開状態と閉状態とを任意に切り替え可能な日よけ手段を具備し、前記太陽電池パネルは、前記日よけ手段に取り付けられたことを特徴とする。
【0013】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の太陽光発電装置において、前記日よけ手段は、ブラインド、カーテンまたはオーニングであることを特徴とする。
【0014】
請求項8記載の発明は、請求項1記載の太陽光発電装置において、前記電力変換装置は、前記太陽電池パネルから発電電力を出力する際、最大電力点追従制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、故障診断指示手段により故障診断の実行が指示されたとき、電圧制御手段により太陽電池パネルのPV電圧が低下するように制御して、故障した太陽電池モジュールに対して並列に接続された発光ダイオードを発光させるので、太陽電池アレイを並列に接続して構成された太陽電池パネルであっても故障した太陽電池モジュールに対応する発光ダイオードを発光させることができ、故障した太陽電池モジュールを確実且つ容易に特定することができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、故障診断指示手段により故障診断の実行が指示されたとき、PV電圧を太陽電池モジュールの開放電圧未満の所定値に設定する電圧設定手段を具備するとともに、電圧制御手段は、PV電圧が電圧設定手段で設定された所定値となるよう制御して、故障した太陽電池モジュールに対して並列に接続された発光ダイオードを発光させるので、例えば、同じ太陽電池アレイの中に、正常な太陽電池モジュールが1個あり、残りの太陽電池モジュールが故障した場合であっても、故障した太陽電池モジュールをより確実且つ容易に特定することができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、発光ダイオードに対して抵抗が直列に接続された第1回路と、第1回路に対して並列に抵抗を接続した第2回路と、第1回路及び第2回路に対して直列にダイオードを接続した第3回路とを有した発光回路を具備し、太陽電池モジュールに対して発光回路が並列に接続されたので、第1回路及び第2回路の抵抗並びにダイオードによって、発電時に発光ダイオードに対して付与される逆方向の電圧を抑制することができ、発光ダイオードの破損を防止することができる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、発光ダイオードに対して定電流素子が直列に接続された第1回路と、第1回路に対して並列に抵抗を接続した第2回路と、第1回路及び第2回路に対して直列にダイオードを接続した第3回路とを有した発光回路を具備し、太陽電池モジュールに対して発光回路が並列に接続されたので、第1回路の定電流素子及び第2回路の抵抗並びにダイオードによって、発電時に発光ダイオードに対して付与される逆方向の電圧を抑制することができ、発光ダイオードの破損を防止することができる。
【0019】
請求項5記載の発明は、太陽電池アレイは、太陽電池モジュールを交換可能に保持する保持手段を有するので、太陽電池モジュール毎の交換を容易とすることができる。
【0020】
請求項6記載の発明は、開状態と閉状態とを任意に切り替え可能な日よけ手段を具備し、太陽電池パネルは、日よけ手段に取り付けられたので、日よけ手段が閉状態のとき太陽パネルの発電電力を出力させるとともに、日よけ手段が開状態のとき太陽光を室内に取り込むことができる。
【0021】
請求項7記載の発明は、日よけ手段は、ブラインド、カーテンまたはオーニングであるので、汎用的な日よけ手段を流用することができ、太陽光発電装置の設置コストを低減することができる。
【0022】
請求項8記載の発明は、電力変換装置は、太陽電池パネルから発電電力を出力する際、最大電力点追従制御(MPPT)を行うので、安定して発電電力を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施形態に係る太陽光発電装置を示すブロック図
【
図2】同太陽光発電装置における太陽電池アレイを説明するための模式図
【
図3】同太陽光発電装置における太陽電池モジュールを説明するための模式図
【
図4】同太陽光発電装置の故障診断におけるPV電圧の制御を示すグラフ
【
図5】同太陽光発電装置の制御内容(メインフロー)を示すフローチャート
【
図6】同太陽光発電装置の太陽電池アレイが有する保持手段(太陽電池モジュールを保持した状態)を示す斜視図
【
図7】同太陽光発電装置の太陽電池アレイが有する保持手段(太陽電池モジュールを取り外した状態)を示す斜視図
【
図8】本発明の他の実施形態に係る太陽光発電装置の太陽電池アレイを示す模式図
【
図9】本発明の更に他の実施形態に係る太陽光発電装置の太陽電池アレイを示す模式図
【
図10】本発明の実施形態に係る太陽光発電装置を日よけ手段としてのブラインドに適用した場合を示す模式図
【
図11】本発明の実施形態に係る太陽光発電装置を日よけ手段としてのカーテンまたはオーニングに適用した場合を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る太陽光発電装置は、太陽光を受けて発電を行うためのもので、
図1、2に示すように、太陽電池アレイ1と、太陽電池パネル2と、電力検出装置5、電圧設定手段6および電圧制御手段7を有した電力変換装置4と、故障診断指示手段8とを具備している。
【0025】
太陽電池アレイ1は、
図2に示すように、太陽光を受けて発電を行う複数の太陽電池モジュールTが直列に接続されるとともに、各太陽電池モジュールTに対して並列に接続され、太陽電池モジュールTが故障した状態で発光可能な発光ダイオード3を有するものである。発光ダイオード3は、太陽電池モジュールTが故障した状態で発光可能とされたもので、太陽電池アレイ1における各太陽電池モジュールTに対応させて並列接続されている。
【0026】
太陽電池モジュールTは、
図3に示すように、太陽電池の最小の単位である複数の太陽電池セルCが耐候性パッケージに封入されて成るもので、
図2に示すように、それら複数の太陽電池モジュールTが直列に接続されて太陽電池アレイ1を構成している。また、各太陽電池アレイ1には、逆流防止のためダイオードgが接続されている。
【0027】
さらに、本実施形態における太陽電池アレイ1は、
図6、7に示すように、太陽電池モジュールTを交換可能に保持する保持手段Hを有している。かかる保持手段Hは、太陽電池モジュールTを脱着可能とされており、太陽電池モジュールTを保持すると、
図2で示すように、その太陽電池モジュールTが直列に接続されるとともに、対応する発光ダイオード3と接続されるようになっている。このように、太陽電池アレイ1は、太陽電池モジュールTを交換可能に保持する保持手段Hを有するので、太陽電池モジュールT毎の交換を容易とすることができる。
【0028】
太陽電池パネル2は、
図1に示すように、太陽電池アレイ1を並列に接続したもので、太陽電池パネル2を構成する複数の太陽電池アレイ1がそれぞれ太陽光を受けて発電可能とされている。電力変換装置4は、各太陽電池アレイ1と接続されるとともに、太陽電池パネル2の発電電力を外部の負荷F(例えば、蓄電池、パソコンまたはディスプレイ等)に出力可能とされている。
【0029】
さらに、本実施形態に係る電力変換装置4は、太陽電池パネル2から発電電力(PV)を出力する際、最大電力点追従制御を行うものとされている。最大電力点追従制御(MPPT:Maximum Power Point Tracking)とは、太陽電池が発電する時に出力を最大化できる最適な電流×電圧の値(最大電力点、あるいは最適動作点)を自動で求める制御をいい、気象条件等の変化で常に変動する最適動作点に追従しながら動作することができる。
【0030】
例えば、最大電力点追従制御のうち例えば登り法なる制御においては、電圧と電力とをグラフ化したP-V曲線において電圧を一方向(増加または減少)に変化させていき、電力が増加から減少に転換すると電圧を変化させる方向を逆方向にするよう制御される。そして、これを繰り返すことにより、常に電力が最大となる最適動作点に制御することができる。このように、本実施形態に係る電力変換装置4は、太陽電池パネル2から発電電力を出力する際、最大電力点追従制御を行うので、安定して発電電力を出力することができる。
【0031】
また、本実施形態に係る電力変換装置4は、太陽電池モジュールTの故障診断の実行を指示する故障診断指示手段8と接続されている。すなわち、故障診断指示手段8を操作することにより、電力変換装置4にて故障診断を任意に実行させることができるのである。故障診断指示手段8は、有線又は無線にて電力変換装置4に接続されたもので、ユーザが入力操作することにより故障診断の実行を指示することができる。
【0032】
ここで、本実施形態に係る電力変換装置4は、故障診断指示手段8により故障診断の実行が指示されたとき、電圧制御手段7により太陽電池パネル2のPV電圧が低下するように制御して、故障した太陽電池モジュールTに対して並列に接続された発光ダイオード3を発光させるよう構成されたものであり、
図1に示すように、電力検出装置5、電圧設定手段6及び電圧制御手段7を有して構成されている。なお、PV電圧とは、太陽電池パネル2が光を受けて発電する際の出力特性を表すグラフ(P-V曲線)の軸にあたる電圧を指すものである。
【0033】
電力検出装置5は、太陽電池パネル2の発電電力を検出するもので、この検出された発電電力に基づいて電圧制御手段7による制御が行われるようになっている。電圧設定手段6は、故障診断指示手段8により故障診断の実行が指示されたとき、PV電圧を太陽電池モジュールTの開放電圧未満の所定値に設定するものである。太陽電池モジュールTの開放電圧とは、太陽電池モジュールTの出力端子に何も接続していないときの出力端子の電圧をいう。
【0034】
電圧制御手段7は、太陽電池パネル2のPV電圧を制御するもので、PV電圧が電圧設定手段6で設定された所定値となるよう制御して、故障した太陽電池モジュールTに対して並列に接続された発光ダイオード3を発光させるようになっている。すなわち、電圧制御手段7は、
図4で示すように、太陽電池パネル2から発電電力を出力する際、PV電圧が最大電力点追従制御(MPPT)の制御値となるよう制御するとともに、故障診断指示手段8から故障診断の指示があると、PV電圧が所定値まで低下(本実施形態においては、太陽電池モジュールTの開放電圧未満に低下)するよう制御するのである。
【0035】
次に、本実施形態に係る太陽光発電装置の制御方法(メインフロー)について、
図5のフローチャートに基づいて説明する。
まず、S1にて故障診断指示手段8による故障診断指示の有無について判定し、故障診断指示がない場合は、S2にて最大電力点追従制御(MPPT)により発電量が最大になるPV電圧を決定した後、S3に進むとともに、故障診断指示がある場合は、S5にて電圧設定手段6がPV電圧を所定値(太陽電池モジュールTの開放電圧未満の所定値)に設定した後、S3に進む。S3においては、電圧制御手段7により、S2で決定されたPV電圧、またはS5で設定された所定値になるよう制御されるとともに、S4にて負荷Fに応じて電力変換装置4の出力電圧が制御される。
【0036】
本実施形態によれば、故障診断指示手段8により故障診断の実行が指示されたとき、電圧制御手段7により太陽電池パネル2のPV電圧が低下するように制御して、故障した太陽電池モジュールTに対して並列に接続された発光ダイオード3を発光させるので、太陽電池アレイ1を並列に接続して構成された太陽電池パネル2であっても故障した太陽電池モジュールTに対応する発光ダイオード3を発光させることができ、故障した太陽電池モジュールTを確実且つ容易に特定することができる。
【0037】
また、本実施形態によれば、故障診断指示手段8により故障診断の実行が指示されたとき、PV電圧を太陽電池モジュールTの開放電圧未満の所定値に設定する電圧設定手段6を具備するとともに、電圧制御手段7は、PV電圧が電圧設定手段6で設定された所定値となるよう制御して、故障した太陽電池モジュールTに対して並列に接続された発光ダイオード3を発光させるので、例えば、同じ太陽電池アレイ1の中に、正常な太陽電池モジュールTが1個あり、残りの太陽電池モジュールTが故障した場合であっても、故障した太陽電池モジュールTをより確実且つ容易に特定することができる。
【0038】
しかるに、太陽電池アレイ1は、
図2で示すものに限らず、例えば
図8に示すように、発光ダイオード3に対して抵抗r1が直列に接続された第1回路L1と、第1回路L1に対して並列に抵抗r2を接続した第2回路L2と、第1回路L1及び第2回路L2に対して直列にダイオードgを接続した第3回路L3とを有した発光回路を具備し、太陽電池モジュールTに対して発光回路が並列に接続されたものとしてもよい。このような太陽電池アレイ1によれば、第1回路L1及び第2回路L2の抵抗(r1、r2)並びにダイオードgによって、発電時に発光ダイオード3に対して付与される逆方向の電圧を抑制することができ、発光ダイオード3の破損を防止することができる。
【0039】
また、太陽電池アレイ1は、例えば
図9に示すように、発光ダイオード3に対して定電流素子Aが直列に接続された第1回路L1と、第1回路L1に対して並列に抵抗r2を接続した第2回路L2と、第1回路L1及び第2回路L2に対して直列にダイオードgを接続した第3回路L3とを有した発光回路を具備し、太陽電池モジュールTに対して発光回路が並列に接続されたものとしてもよい。このような太陽電池アレイ1によれば、第1回路L1の定電流素子A及び第2回路L2の抵抗r2並びにダイオードgによって、発電時に発光ダイオード3に対して付与される逆方向の電圧を抑制することができ、発光ダイオード3の破損を防止することができる。
【0040】
本実施形態に係る太陽光発電装置は、開状態と閉状態とを任意に切り替え可能な日よけ手段を具備し、太陽電池パネル2が日よけ手段に取り付けられたものとすることができる。これにより、日よけ手段が閉状態のとき太陽電池パネル2の発電電力を出力させるとともに、日よけ手段が開状態のとき太陽光を室内に取り込むことができる。また、日よけ手段は、
図10に示すようなブラインド9、或いは
図11に示すようなカーテンまたはオーニングから成る開閉手段10とすることができる。
【0041】
例えば、
図10に示すように、開閉可能なスラット9aと本体部9bとを有したブラインド9に適用した場合、左右方向に延びる複数のスラット9aのそれぞれに太陽電池アレイ1を取り付けることができる。また、
図11に示すように、開閉可能な遮光部10aと本体部10bとを有した開閉手段10としてカーテンまたはオーニングに適用した場合、遮光部10aの左右方向に太陽電池アレイ1を取り付けることができる。これにより、汎用的な日よけ手段を流用することができ、太陽光発電装置の設置コストを低減することができる。
【0042】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば他の開閉可能な日よけ手段に太陽電池パネル2が取り付けられた太陽光発電装置としてもよく、さらには日よけ手段に限らず、他の部位や場所に太陽電池パネル2が取り付けられた太陽光発電装置とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明と同様の趣旨であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 太陽電池アレイ
2 太陽電池パネル
3 発光ダイオード
4 電力変換装置
5 電力検出装置
6 電圧設定手段
7 電圧制御手段
8 故障診断指示手段
9 ブラインド(日よけ手段)
9a スラット
9b 本体部
10 カーテンまたはオーニング(日よけ手段)
10a 遮光部
10b 本体部
T 太陽電池モジュール
C 太陽電池セル
g ダイオード
F 負荷
H 保持手段
r1、r2 抵抗
A 定電流素子
L1 第1回路
L2 第2回路
L3 第3回路