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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002220
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】縦型洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/32 20200101AFI20241226BHJP
【FI】
D06F33/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102243
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(74)【代理人】
【識別番号】100135356
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100169694
【弁理士】
【氏名又は名称】荻野 彰広
(72)【発明者】
【氏名】間宮 春夫
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA11
3B167AA15
3B167AE01
3B167AE04
3B167AE05
3B167BA52
3B167BA58
3B167HA32
3B167LC03
3B167LD13
(57)【要約】
【課題】洗浄力を高める縦型洗濯機を提供する。
【解決手段】縦型洗濯機は、外槽3と、洗濯槽4と、回転翼5と、制御部とを備え、洗濯槽4及び外槽3の各々は、円筒形状の側壁と円板形状の底壁とを有する。洗濯槽4の底壁4B及び側壁4Aの外側面の周方向の一部分Aと、外槽3の底壁3B及び側壁3Aの内側面の周方向の一部分Bとの少なくとも一方には、リブ4R,3Rが配置されている。制御部は、リブ4R,3Rの下端よりも高くかつ上端よりも低い第1水位まで洗剤水を溜めた状態で、洗濯槽4を、同じ方向に連続回転させる第1槽回転処理と、洗い設定水位まで洗剤水を溜めた状態で、回転翼5を、正転及び反転を交互に繰り返す正反転駆動させる攪拌処理とを実行する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を溜める外槽と、
前記外槽内に回転可能に配置され、洗濯物を収容する洗濯槽と、
前記洗濯槽内の底部に設けられ、前記洗濯槽に収容された洗濯物を攪拌するための回転翼と、
前記洗濯槽内に給水をするための給水部と、
前記洗濯槽及び前記回転翼を回転させる駆動力を発生する駆動部と、
前記給水部及び前記駆動部を制御する制御部と、
を備え、
前記洗濯槽及び前記外槽の各々は、縦方向に延びる円筒形状の側壁と円板形状の底壁とを有し、
前記洗濯槽の前記外槽と対向する面を外側面とし、前記外槽の前記洗濯槽と対向する面を内側面とし、前記底壁の周縁及び前記側壁に沿う方向を周方向とし、
前記洗濯槽の前記底壁の前記側壁側の前記外側面、及び、前記洗濯槽の前記側壁の前記底壁側の前記外側面における前記周方向の少なくとも一部分を第1部分とし、前記外槽の前記底壁の前記側壁側の前記内側面、及び、前記外槽の前記側壁の前記底壁側の前記内側面における前記周方向の少なくとも一部分を第2部分とすると、
前記洗濯槽の前記底壁及び前記側壁の前記第1部分と、前記外槽の前記底壁及び前記側壁の前記第2部分との少なくとも一方には、前記縦方向に延びており、前記周方向に離間して並んだ複数のリブが配置されており、
前記制御部は、
前記給水部によって前記洗濯槽及び前記外槽内に、前記複数のリブの下端よりも高くかつ上端よりも低い第1水位まで洗剤水を溜めた状態で、前記駆動部によって前記洗濯槽を、同じ方向に連続回転させる第1槽回転処理と、
前記第1槽回転処理の後、前記給水部によって前記洗濯槽及び前記外槽内に、所定の洗い設定水位まで洗剤水を溜めた状態で、前記駆動部によって前記回転翼を、所定時間間隔で正転及び反転を交互に繰り返す正反転駆動させることにより、前記洗濯槽内の洗濯物を攪拌する攪拌処理と、
を実行する、
縦型洗濯機。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1槽回転処理の後であって前記攪拌処理の前に、前記給水部によって前記洗濯槽及び前記外槽内に、前記第1水位よりも高くかつ前記所定の洗い設定水位よりも低い第2水位まで洗剤水を溜めた状態で、前記駆動部によって前記洗濯槽を、同じ方向に連続回転させる第2槽回転処理を更に実行する、請求項1に記載の縦型洗濯機。
【請求項3】
前記外槽に配置された前記複数のリブの各々は、少なくとも1つの切り欠きを有する、請求項1又は2に記載の縦型洗濯機。
【請求項4】
前記外槽に配置された前記複数のリブの各々は、前記第1槽回転処理の回転方向に対して鋭角な角度を有する、請求項1又は2に記載の縦型洗濯機。
【請求項5】
前記制御部は、前記攪拌処理の後、前記洗濯槽及び前記外槽内の洗剤水を排水した状態で、前記駆動部によって前記洗濯槽を、同じ方向に連続回転させることにより、前記洗濯槽内の洗濯物を脱水する脱水処理を実行し、
前記脱水処理の回転方向は、前記第1槽回転処理の回転方向と反対である、
請求項4に記載の縦型洗濯機。
【請求項6】
水を溜める外槽と、
前記外槽内に回転可能に配置され、洗濯物を収容する洗濯槽と、
前記洗濯槽内の底部に設けられ、前記洗濯槽に収容された洗濯物を攪拌するための回転翼と、
前記洗濯槽内に給水をするための給水部と、
前記洗濯槽及び前記回転翼を回転させる駆動力を発生する駆動部と、
前記給水部及び前記駆動部を制御する制御部と、
を備え、
前記洗濯槽及び前記外槽の各々は、縦方向に延びる円筒形状の側壁と円板形状の底壁とを有し、
前記洗濯槽の前記外槽と対向する面を外側面とし、前記外槽の前記洗濯槽と対向する面を内側面とし、前記底壁の周縁及び前記側壁に沿う方向を周方向とし、
前記洗濯槽の前記底壁の前記側壁側の前記外側面、及び、前記洗濯槽の前記側壁の前記底壁側の前記外側面における前記周方向の少なくとも一部分を第1部分とし、前記外槽の前記底壁の前記側壁側の前記内側面、及び、前記外槽の前記側壁の前記底壁側の前記内側面における前記周方向の少なくとも一部分を第2部分とすると、
前記洗濯槽の前記底壁及び前記側壁の前記第1部分と、前記外槽の前記底壁及び前記側壁の前記第2部分との少なくとも一方には、前記縦方向に延びており、前記周方向に離間して並んだ複数のリブが配置されており、
前記制御部は、
前記給水部によって前記洗濯槽及び前記外槽内に、前記複数のリブの下端よりも高くかつ上端よりも低い第1水位まで洗剤水を溜めた状態で、前記駆動部によって前記洗濯槽を、正転及び反転を交互に繰り返す正反転駆動させる第1槽回転処理と、
前記第1槽回転処理の後、前記給水部によって前記洗濯槽及び前記外槽内に、所定の洗い設定水位まで洗剤水を溜めた状態で、前記駆動部によって前記回転翼を、正転及び反転を交互に繰り返す正反転駆動させることにより、前記洗濯槽内の洗濯物を攪拌する攪拌処理と、
を実行する、
縦型洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、縦型洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、縦型洗濯機が開示されている。この縦型洗濯機は、水を溜める外槽と、外槽内に回転可能に配置され、洗濯物を収容する洗濯槽と、洗濯槽内の底部に設けられ、洗濯槽に収容された洗濯物を攪拌するための回転翼と、洗濯槽内に給水をする給水部と、洗濯槽及び回転翼を回転させる駆動力を発生する駆動部と、給水部及び駆動部を制御する制御部とを備える。制御部は、洗い工程において、給水部によって洗濯槽内に洗剤水(洗剤が溶け込んだ水)を溜めた状態で、駆動部によって回転翼を回転させることにより、洗濯槽内の洗濯物を攪拌する攪拌処理と、洗剤水が溜まった洗濯槽を駆動部によって回転させることにより、外槽内の洗剤水を外槽と洗濯槽との間で上昇させて洗濯槽内の洗濯物に浴びせる槽回転処理とを実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-5794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者(ら)は、攪拌処理の前に槽回転処理を行い、槽回転処理では、攪拌処理において予め定める洗い設定水位よりも低い洗剤水の水位で、洗濯槽を同じ方向に連続回転させることを考案している。これにより、高濃度の洗剤水を洗濯物に浸透させ、洗浄力を高めることができる。
【0005】
本開示は、従来と比較して更に洗浄力を高めることができる縦型洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一般に、洗剤水による泡の発生によって、高濃度の界面活性剤を保持する泡が衣類に付着した汚れに浸透して、汚れをはがしやすくすることが知られている。この点に関し、従来の槽回転処理では、泡の発生量が少ない。そこで、本願発明者(ら)は、泡の発生量を増やすことを考案する。
【0007】
(1)本開示に係る縦型洗濯機は、水を溜める外槽と、前記外槽内に回転可能に配置され、洗濯物を収容する洗濯槽と、前記洗濯槽内の底部に設けられ、前記洗濯槽に収容された洗濯物を攪拌するための回転翼と、前記洗濯槽内に給水をするための給水部と、前記洗濯槽及び前記回転翼を回転させる駆動力を発生する駆動部と、前記給水部及び前記駆動部を制御する制御部とを備える。前記洗濯槽及び前記外槽の各々は、縦方向に延びる円筒形状の側壁と円板形状の底壁とを有する。前記洗濯槽の前記外槽と対向する面を外側面とし、前記外槽の前記洗濯槽と対向する面を内側面とし、前記底壁の周縁及び前記側壁に沿う方向を周方向とし、前記洗濯槽の前記底壁の前記側壁側の前記外側面、及び、前記洗濯槽の前記側壁の前記底壁側の前記外側面における前記周方向の少なくとも一部分を第1部分とし、前記外槽の前記底壁の前記側壁側の前記内側面、及び、前記外槽の前記側壁の前記底壁側の前記内側面における前記周方向の少なくとも一部分を第2部分とすると、前記洗濯槽の前記底壁及び前記側壁の前記第1部分と、前記外槽の前記底壁及び前記側壁の前記第2部分との少なくとも一方には、前記縦方向に延びており、前記周方向に離間して並んだ複数のリブが配置されている。前記制御部は、前記給水部によって前記洗濯槽及び前記外槽内に、前記複数のリブの下端よりも高くかつ上端よりも低い第1水位まで洗剤水を溜めた状態で、前記駆動部によって前記洗濯槽を、同じ方向に連続回転させる第1槽回転処理と、前記第1槽回転処理の後、前記給水部によって前記洗濯槽及び前記外槽内に、所定の洗い設定水位まで洗剤水を溜めた状態で、前記駆動部によって前記回転翼を、所定時間間隔で正転及び反転を交互に繰り返す正反転駆動させることにより、前記洗濯槽内の洗濯物を攪拌する攪拌処理とを実行する。
【0008】
本開示に係る縦型洗濯機によれば、洗濯槽及び外槽内に、複数のリブの下端よりも高くかつ上端よりも低い第1水位まで洗剤水を溜めた状態で、洗濯槽を同じ方向に連続回転させる第1槽回転処理を実行する。これにより、第1槽回転処理において、リブによって高濃度の洗剤水の水面の水流が乱れ、高濃度の洗剤水を、空気を取り込みつつかき混ぜ、洗濯槽と外槽との間の空間に、きめ細かい泡を発生させることができる。洗濯槽と外槽との間の空間に発生した泡は、洗濯槽の通水孔等を介して洗濯槽内に取り込まれる。
【0009】
このとき、洗濯物は洗濯槽内に取り込まれたきめ細かい泡で覆われることとなる。そのため、泡の洗剤成分(高濃度の界面活性剤成分)を洗濯物の繊維の奥まで浸透させ、洗濯物の洗浄力を高めることができる。
【0010】
(2)(1)に記載の縦型洗濯機において、前記制御部は、前記第1槽回転処理の後であって前記攪拌処理の前に、前記給水部によって前記洗濯槽及び前記外槽内に、前記第1水位よりも高くかつ前記所定の洗い設定水位よりも低い第2水位まで洗剤水を溜めた状態で、前記駆動部によって前記洗濯槽を、同じ方向に連続回転させる第2槽回転処理を更に実行してもよい。
【0011】
これによれば、第2槽回転処理において、遠心力によって、洗濯槽及び外槽内の洗剤水を外槽と洗濯槽との間で上昇させ、洗濯槽と外槽との間の空間に発生した泡を洗濯槽の通水孔等を介して洗濯槽内に更に取り込むことができる。
【0012】
(3)(1)又は(2)に記載の縦型洗濯機において、前記外槽に配置された前記複数のリブの各々は、少なくとも1つの切り欠きを有していてもよい。
【0013】
この構成によれば、第1槽回転処理において、高濃度の洗剤水をかき混ぜる際に、より多くの泡、及び、よりきめ細かい泡を発生させることができる。
【0014】
(4)(1)から(3)のいずれか1つに記載の縦型洗濯機において、前記外槽に配置された前記複数のリブの各々は、前記第1槽回転処理の回転方向に対して鋭角な角度を有していてもよい。
【0015】
この構成によれば、第1槽回転処理において、高濃度の洗剤水をかき混ぜる際に、より多くの泡、及び、よりきめ細かい泡を発生させることができる。
【0016】
(5)(4)に記載の縦型洗濯機において、前記制御部は、前記攪拌処理の後、前記洗濯槽及び前記外槽内の洗剤水を排水した状態で、前記駆動部によって前記洗濯槽を、同じ方向に連続回転させることにより、前記洗濯槽内の洗濯物を脱水する脱水処理を実行し、前記脱水処理の回転方向は、前記第1槽回転処理の回転方向と反対であってもよい。
【0017】
この構成によれば、脱水処理において、外槽の内側面における排水の流れが、外槽の内側面に配置されたリブによって妨げられることを抑制することができる。
【0018】
(6)本開示に係る別の縦型洗濯機は、水を溜める外槽と、前記外槽内に回転可能に配置され、洗濯物を収容する洗濯槽と、前記洗濯槽内の底部に設けられ、前記洗濯槽に収容された洗濯物を攪拌するための回転翼と、前記洗濯槽内に給水をするための給水部と、前記洗濯槽及び前記回転翼を回転させる駆動力を発生する駆動部と、前記給水部及び前記駆動部を制御する制御部とを備える。前記洗濯槽及び前記外槽の各々は、縦方向に延びる円筒形状の側壁と円板形状の底壁とを有する。前記洗濯槽の前記外槽と対向する面を外側面とし、前記外槽の前記洗濯槽と対向する面を内側面とし、前記底壁の周縁及び前記側壁に沿う方向を周方向とし、前記洗濯槽の前記底壁の前記側壁側の前記外側面、及び、前記洗濯槽の前記側壁の前記底壁側の前記外側面における前記周方向の少なくとも一部分を第1部分とし、前記外槽の前記底壁の前記側壁側の前記内側面、及び、前記外槽の前記側壁の前記底壁側の前記内側面における前記周方向の少なくとも一部分を第2部分とすると、前記洗濯槽の前記底壁及び前記側壁の前記第1部分と、前記外槽の前記底壁及び前記側壁の前記第2部分との少なくとも一方には、前記縦方向に延びており、前記周方向に離間して並んだ複数のリブが配置されている。前記制御部は、前記給水部によって前記洗濯槽及び前記外槽内に、前記複数のリブの下端よりも高くかつ上端よりも低い第1水位まで洗剤水を溜めた状態で、前記駆動部によって前記洗濯槽を、正転及び反転を交互に繰り返す正反転駆動させる第1槽回転処理と、前記第1槽回転処理の後、前記給水部によって前記洗濯槽及び前記外槽内に、前記所定の洗い設定水位まで洗剤水を溜めた状態で、前記駆動部によって前記回転翼を、正転及び反転を交互に繰り返す正反転駆動させることにより、前記洗濯槽内の洗濯物を攪拌する攪拌処理とを実行する。
【0019】
本開示に係る別の縦型洗濯機によれば、洗濯槽及び外槽内に、複数のリブの下端よりも高くかつ上端よりも低い第1水位まで洗剤水を溜めた状態で、洗濯槽を、正転及び反転を交互に繰り返す正反転駆動させる第1槽回転処理を実行する。これにより、第1槽回転処理において、リブによって高濃度の洗剤水の水面の水流が乱れ、高濃度の洗剤水を、空気を取り込みつつかき混ぜ、洗濯槽と外槽との間の空間に、きめ細かい泡を発生させることができる。洗濯槽と外槽との間の空間に発生した泡は、洗濯槽の通水孔等を介して洗濯槽内に取り込まれる。
【0020】
このとき、洗濯物は洗濯槽内に取り込まれたきめ細かい泡で覆われることとなる。そのため、泡の洗剤成分(高濃度の界面活性剤成分)を洗濯物の繊維の奥まで浸透させ、洗濯物の洗浄力を高めることができる。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、縦型洗濯機において、従来と比較して更に洗浄力を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本開示の一実施形態に係る縦型洗濯機の模式的な縦断面図である。
図2図1に示す縦型洗濯機の電気的構成を示すブロック図である。
図3図1に示す縦型洗濯機における洗濯槽及び外槽の概略構成を示す図である。
図4図3に示す洗濯槽の底壁を外側から示す図である。
図5図3に示す外槽の底壁を内側から示す図である。
図6】本実施形態に係る縦型洗濯機における洗い工程の内容を具体的に示す処理順序のブロック図である。
図7A】第1槽回転処理における洗濯槽及び外槽の概略構成を示す図である。
図7B】第2槽回転処理における洗濯槽及び外槽の概略構成を示す図である。
図8】本開示の変形例に係る縦型洗濯機における洗濯槽及び外槽の概略構成を示す図である。
図9】本開示の変形例に係る縦型洗濯機における洗濯槽及び外槽の概略構成を示す図である。
図10】本開示の変形例に係る縦型洗濯機における外槽の底壁を内側から示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照して本開示の実施形態の一例について説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0024】
(縦型洗濯機の構成)
図1は、本開示の一実施形態に係る縦型洗濯機1の模式的な縦断面図である。縦型洗濯機1は、筐体2と、外槽3と、洗濯槽4と、回転翼の一例としてのパルセータ5と、駆動部の一例としてのモータ6と、クラッチ7とを含む。
【0025】
筐体2は、例えば金属製であり、ボックス状に形成されている。筐体2の上面2Aには、筐体2の内外を連通させる開口2Bが形成されている。上面2Aには、開口2Bを開閉する扉10が設けられている。上面2Aにおける開口2Bの周囲には、液晶操作パネルなどで構成された表示操作部11が設けられていてもよい。縦型洗濯機1の使用者は、表示操作部11を操作することによって、縦型洗濯機1で実行される洗濯運転についての運転条件を選択したり、縦型洗濯機1に対して洗濯運転の開始や停止などを指示したりすることができる。表示操作部11には、使用者向けの情報が表示される。
【0026】
外槽3は、例えば樹脂製であり、有底円筒状に形成されている。外槽3は、上下方向に沿って配置された略円筒状の円周壁3Aと、円周壁3Aの中空部分を下側から塞いだ底壁3Bと、円周壁3Aの上端縁に沿って円周壁3Aの円中心側へ張り出したリング状の環状壁3Cとを有する。環状壁3Cの内側には、円周壁3Aの中空部分に上側から連通した出入口3Dが形成されている。出入口3Dは、筐体2の開口2Bに対して下側から対向して連通した状態にある。環状壁3Cには、出入口3Dを開閉する扉12が設けられている。環状壁3Cの下面には、出入口3Dを縁取りつつ斜め下側へ傾斜したガイド面3Eが設けられている。底壁3Bは、略水平に延びる円板状に形成され、底壁3Bの円中心位置には、底壁3Bを貫通した貫通孔3Fが形成されている。
【0027】
外槽3の環状壁3Cには、水道水の蛇口につながった給水路13が上側から接続されている。給水路13の途中には、給水弁14が設けられている。給水弁14は、例えば電磁弁によって構成されていてもよい。外槽3の底壁3Bには、排水路15が下側から接続されている。排水路15の途中には、排水弁16が介装されている。排水弁16は、例えばトルクモータ(図示せず)によって開閉される。排水弁16が閉じた状態で給水弁14が開くと、給水路13から洗濯槽4内に給水されることによって、洗濯槽4及び外槽3内に水が溜められる。給水弁14が閉じると、給水が停止する。排水弁16が開くと、外槽3内の水が排水路15から機外に排出される。
【0028】
外槽3の上部には、外槽3に所定の満水位以上の水が溜まったときに、その水を溢れ出させる溢水口30が設けられている。溢水口30は、溢水路31の上端に繋がり、溢水路31の下端は、排水弁16よりも下流側で、排水路15に合流している。
【0029】
洗濯槽4は、一例としてステンレス板等の金属製であり、外槽3よりも一回り小さい有底円筒状に形成され、内部に洗濯物Qを収容することができる。洗濯槽4は、外槽3内に同軸状で配置されている。外槽3内に収容された状態の洗濯槽4は、その中心軸をなして上下方向に延びる軸線Jを中心として回転可能である。洗濯槽4は、上下方向に沿って配置された略円筒状の円周壁4Aと、円周壁4Aの中空部分を下側から塞いだ底壁4Bと、円周壁4Aの上端縁に沿って軸線J側へ張り出したリング状の環状壁4Cとを有する。
【0030】
円周壁4Aの内周面は、洗濯槽4の内周面である。円周壁4Aは、外槽3の円周壁3Aによって取り囲まれた状態にある。底壁4Bは、洗濯槽4の下端に設けられている。環状壁4Cは、外槽3の環状壁3Cに対して下側から対向した状態にある。環状壁4Cの内側には、出入口4Dが形成されている。出入口4Dは、洗濯槽4の上端に位置し、円周壁4Aの中空部分を上側に露出させている。出入口4Dは、外槽3の出入口3Dに対して下側から対向して連通した状態にある。使用者は、開放された開口2B、出入口3D及び出入口4Dを介して、洗濯槽4に対して上側から洗濯物Qを出し入れする。
【0031】
洗濯槽4の円周壁4A及び底壁4Bには、例えばパンチング孔により形成された通水孔4Eが多数個形成され、外槽3内の水は、通水孔4Eを介して外槽3と洗濯槽4との間で行き来して、洗濯槽4内にも溜まる。そのため、外槽3内の水位と洗濯槽4内の水位とは、一致する。
【0032】
洗濯槽4の底壁4Bは、円板状に形成され、外槽3の底壁3Bに対して上側に間隔を隔てて略平行に延びる。底壁4Bにおいて軸線Jと一致する円中心位置には、底壁4Bを貫通した貫通孔4Fが形成されている。底壁4Bには、貫通孔4Fを取り囲みつつ軸線Jに沿って下側へ延び出た管状の支持軸17が設けられている。支持軸17は、外槽3の底壁3Bの貫通孔3Fに挿通されて、支持軸17の下端部は、底壁3Bよりも下側に位置する。
【0033】
パルセータ5は、軸線Jを円中心とする円盤状に形成され、洗濯槽4内において底壁4B上に配置されている。パルセータ5において洗濯槽4の出入口4Dを臨む上面には、放射状に配置された複数の羽根5Aが設けられている。パルセータ5には、その円中心から軸線Jに沿って下側へ延びる回転軸18が設けられている。回転軸18は、支持軸17の中空部分に挿通されて、回転軸18の下端部は、外槽3の底壁3Bよりも下側に位置する。
【0034】
モータ6は、インバータモータなどの電動モータである。モータ6は、筐体2内において、外槽3の下面に配置されていてもよい。モータ6は、軸線Jを中心として回転する出力軸19を有し、発生した駆動力を出力軸19から出力する。
【0035】
クラッチ7は、支持軸17及び回転軸18のそれぞれの下端部と、モータ6から上側に突出した出力軸19の上端部との間に介在されている。クラッチ7は、モータ6が出力軸19から出力する駆動力を、支持軸17及び回転軸18の一方又は両方に対して選択的に伝達する。モータ6からの駆動力が支持軸17に伝達されると、洗濯槽4が、モータ6の駆動力を受けて軸線Jまわりに回転する。モータ6からの駆動力が回転軸18に伝達されると、パルセータ5が、モータ6の駆動力を受けて軸線Jまわりに回転する。クラッチ7としては、公知の伝達機構が用いられる。前述したトルクモータ(図示せず)がクラッチ7を作動させてもよい。
【0036】
図2は、図1に示す縦型洗濯機1の電気的構成を示すブロック図である。縦型洗濯機1は、制御部の構成要素としてのマイクロコンピュータ21を含む。マイクロコンピュータ21は、例えば、CPU22と、ROMやRAMなどのメモリ23と、計時用のタイマ24とを含み、筐体2内に内蔵されている(図1参照)。
【0037】
前述したモータ6、クラッチ7、給水弁14及び排水弁16のそれぞれは、例えば駆動回路25を介してマイクロコンピュータ21に接続され、前述した表示操作部11もマイクロコンピュータ21に接続されている。マイクロコンピュータ21は、モータ6をONにして駆動させたり、OFFにして停止させたりする。マイクロコンピュータ21は、モータ6の回転方向を制御することもできる。そのため、モータ6は、正転したり反転したりすることができる。マイクロコンピュータ21は、クラッチ7を制御することによって、モータ6の駆動力の伝達先を洗濯槽4及びパルセータ5の一方又は両方へと切り替える。マイクロコンピュータ21は、給水弁14及び排水弁16の開閉を制御する。使用者が表示操作部11を操作して運転条件などについて選択すると、マイクロコンピュータ21は、その選択を受け付ける。マイクロコンピュータ21は、表示操作部11の表示内容を制御する。
【0038】
縦型洗濯機1は、マイクロコンピュータ21に接続されたブザー26、回転数読取装置27及び水位検出部28を更に含む。マイクロコンピュータ21は、所定の音をブザー26で発生させることによって、洗濯運転の開始や終了などを使用者に知らせる。
【0039】
回転数読取装置27は、モータ6の回転数、厳密には、モータ6における出力軸19の回転数を読み取る装置であり、例えばホールICで構成されていてもよい。回転数読取装置27が読み取った回転数は、リアルタイムでマイクロコンピュータ21に入力される。マイクロコンピュータ21は、入力された回転数に基づいて、モータ6に印加する電圧のデューティ比を制御することによって、所望の回転数で回転するようにモータ6を制御する。なお、洗濯槽4及びパルセータ5のそれぞれの回転数は、モータ6の回転数と同じであってもよいし、クラッチ7での減速比などの所定の定数をモータ6の回転数に乗じて得られる値であってもよい。
【0040】
水位検出部28は、外槽3内の水位つまり洗濯槽4内の水位を検出する水位センサである。水位検出部28の一例として、外槽3内の圧力に基づいて外槽3内の水位を検出する圧力式水位センサを採用できる。
【0041】
マイクロコンピュータ21は、モータ6、クラッチ7、給水弁14及び排水弁16の動作を制御することによって、洗濯運転を実行する。洗濯運転は、洗濯物Qを洗う洗い工程と、洗い工程後に洗濯物Qをすすぐすすぎ工程と、すすぎ工程の後に洗濯槽4を回転させて洗濯物Qを脱水する脱水工程とを有する。なお、縦型洗濯機1は、脱水工程の後に洗濯物Qを乾燥させる乾燥工程も実行する洗濯乾燥機であってもよい。
【0042】
洗い工程は、パルセータ5を回転させて洗濯物Qを攪拌する攪拌処理を含む。また、洗い工程は、攪拌処理の前に、洗濯槽4を回転させて洗剤水から泡を発生させる第1槽回転処理及び第2槽回転処理を含む。洗い工程における攪拌処理、第1槽回転処理及び第2槽回転処理の詳細は後述する。
【0043】
図3は、図1に示す縦型洗濯機1における洗濯槽4及び外槽3の概略構成を示す図であり、図4は、図3に示す洗濯槽4の底壁4Bを外側から示す図であり、図5は、図3に示す外槽3の底壁3Bを内側から示す図である。
【0044】
上述したように、洗濯槽4は、縦方向Zに延びる円筒形状の側壁(円周壁)4Aと円板形状の底壁4Bとを有する。外槽3は、縦方向Zに延びる円筒形状の側壁(円周壁)3Aと円板形状の底壁3Bとを有する。
【0045】
ここで、洗濯槽4の外槽3と対向する面を外側面とし、外槽3の洗濯槽4と対向する面を内側面とする。また、底壁3B,4Bの円板形状の周縁、及び、側壁3A,3Bの円筒形状に沿う方向を周方向Dとする。
【0046】
また、洗濯槽4の底壁4Bの側壁4A側の外側面、及び、洗濯槽4の側壁4Aの底壁4B側の外側面における周方向Dの全部分を第1部分Aとする。また、外槽3の底壁3Bの側壁3A側の内側面、及び、外槽3の側壁3Aの底壁3B側の内側面における周方向Dの略全部分(排水口15A付近を除く)を第2部分Bとする。
【0047】
洗濯槽4の底壁4B及び側壁4Aの外側面の第1部分Aには、複数のリブ4Rが配置されている。リブ4Rの各々は、略L字形状を有しており、縦方向Zに延びている。リブ4Rは、周方向Dに離間して等間隔に並んでいる。外槽3の底壁3B及び側壁3Aの内側面の第2部分Bには、複数のリブ3Rが配置されている。リブ3Rの各々は、略三角形状を有しており、縦方向Zに延びている。リブ3Rは、周方向Dに離間して等間隔に並んでいる。
【0048】
図3において、洗い設定水位Wは、洗い工程における攪拌処理のときの設定水位であり、溢水水位は、溢水口30から洗剤水が溢水する水位である。第1槽回転水位は、洗い工程における第1槽回転処理のときの設定水位である。第2槽回転水位は、洗い工程における第2槽回転処理のときの設定水位であり、第2槽回転上昇水位は、第2槽回転処理が行われているときの水位である。これらの洗い工程における各処理のときの水位の詳細は後述する。
【0049】
(縦型洗濯機の動作)
図6は、本実施形態に係る縦型洗濯機1における洗い工程の内容を具体的に示す処理順序のブロック図である。
【0050】
使用者が洗濯物Qを洗濯槽4内に投入して洗濯運転の開始を指示すると、マイクロコンピュータ21は、洗濯運転を開始する。なお、使用者は、洗濯物Qの投入に前後して、洗剤を洗濯槽4内に投入する。
【0051】
図6に示すように、まず、マイクロコンピュータ21は、洗濯槽4内の洗濯物Qの量、つまり負荷量を検出する(ステップS1)。負荷量検出の一例として、マイクロコンピュータ21は、洗濯槽4を低速で定常回転させたときのモータ6の回転数のばらつきによって負荷量を検出することができる。マイクロコンピュータ21は、これから給水して洗濯槽4内に溜める水の水位W(図1図3)を、検出した負荷量に基づいて決定する。水位Wと負荷量との関係は、実験などで予め求められてメモリ23に記憶されている。
【0052】
次に、マイクロコンピュータ21は、洗い工程の第1の給水処理として、給水弁14を連続的に開いて洗濯槽4及び外槽3内に給水(洗剤水)する(ステップS2)。排水弁16が閉じた状態にあるので、洗濯槽4内の水位が上昇する。洗濯槽4内の水位が、第1槽回転水位になると、マイクロコンピュータ21は、給水弁14を閉じることによって給水を停止する。これにより、給水処理が終了する。図3に示すように、第1槽回転水位は、洗濯槽4のリブ4Rの下端及び外槽3のリブ3Rの下端よりも高く、かつ、洗濯槽4のリブ4Rの上端及び外槽3のリブ3Rの上端よりも低い水位であり、予めメモリ23に記憶されている。
【0053】
次に、洗濯槽4及び外槽3内に第1槽回転水位まで洗剤水が溜まった状態で、マイクロコンピュータ21は、ほぐし処理を実行してもよい(ステップS3)。ほぐし処理では、マイクロコンピュータ21は、後述する攪拌処理とは異なる条件でモータ6を間欠駆動させることによってパルセータ5を正反転させてもよい。本実施形態では、一例として、パルセータ5は、攪拌処理のときよりも短い0.5秒の間隔で正転及び反転を交互に繰り返すように、攪拌処理のときよりも高い回転数で正反転する。これにより、洗濯槽4及び外槽3内の洗濯物Qが、正反転するパルセータ5によってほぐされる。そのため、洗濯物Qの偏りが解消される。洗濯物Qの偏りとは、洗濯槽4内における洗濯物Qの偏在のことであり、アンバランスとも呼ばれる。所定のほぐし時間が経過すると、マイクロコンピュータ21は、ほぐし処理を終了する。
【0054】
次に、洗濯槽4及び外槽3内に第1槽回転水位まで洗剤水が溜まった状態で、マイクロコンピュータ21は、第1槽回転処理を実行する(ステップS4)。具体的には、まず、マイクロコンピュータ21は、モータ6の駆動力がパルセータ5から洗濯槽4に伝達されるようにクラッチ7を切り替える。そして、第1槽回転処理では、マイクロコンピュータ21は、予め定める設定回転数(例えば約200rpm)で洗濯槽4が同じ方向に連続回転するように、モータ6を回転させる。
【0055】
図7Aは、第1槽回転処理における洗濯槽4及び外槽3の概略構成を示す図である。第1槽回転処理では、洗濯槽4のリブ4Rの下端及び外槽3のリブ3Rの下端よりも高く、かつ、洗濯槽4のリブ4Rの上端及び外槽3のリブ3Rの上端よりも低い第1槽回転水位まで洗剤水が溜まった状態で、洗濯槽4を同じ方向に連続回転させる。これにより、リブ4R,3Rによって高濃度の洗剤水の水面の水流が乱れ、高濃度の洗剤水を、空気を取り込みつつかき混ぜ、洗濯槽4と外槽3との間の空間に、きめ細かい泡を発生させることができる。洗濯槽4と外槽3との間の空間に発生した泡は、洗濯槽4の通水孔4E等を介して洗濯槽4内に取り込まれる。
【0056】
このとき、洗濯物は洗濯槽4内に取り込まれたきめ細かい泡で覆われることとなる。そのため、泡の洗剤成分(高濃度の界面活性剤成分)を洗濯物の繊維の奥まで浸透させ、洗濯物の洗浄力を高めることができる。
【0057】
マイクロコンピュータ21は、タイマ24によって時間を計測し、予め定める第1槽回転時間が経過するまでモータ6を回転させ、予め定める第1槽回転時間が経過したら、モータ6の回転を停止して、第1槽回転処理を終了する。
【0058】
次に、再び図6を参照し、マイクロコンピュータ21は、洗い工程の第2の給水処理として、給水弁14を連続的に開いて洗濯槽4及び外槽3内に給水してもよい(ステップS5)。洗濯槽4及び外槽3内の水位が、第2槽回転水位になると、マイクロコンピュータ21は、給水弁14を閉じることによって給水を停止してもよい。これにより、給水処理が終了する。図3に示すように、第2槽回転水位は、第1槽回転水位よりも高く、かつ、洗い設定水位Wよりも低い水位であり、予めメモリ23に記憶されている。
【0059】
次に、洗濯槽4及び外槽3内に第2槽回転水位まで洗剤水が溜まった状態で、マイクロコンピュータ21は、第2槽回転処理を実行してもよい(ステップS6)。第2槽回転処理では、マイクロコンピュータ21は、予め定める設定回転数(例えば約200rpm)で洗濯槽4が同じ方向に連続回転するように、モータ6を回転させる。これにより、図3に示すように、遠心力によって、水面は、中央部が低くなって外周部が高くなるようにU字状に湾曲する。すなわち、洗濯槽4と外槽3との間の水位が、第2槽回転上昇水位のように上昇する。なお、この第2槽回転上昇水位が溢水水位よりも低くなるように、第2槽回転水位が設定されてもよい。
【0060】
図7Bは、第2槽回転処理における洗濯槽4及び外槽3の概略構成を示す図である。第2槽回転処理では、第1槽回転水位よりも高い第2槽回転水位まで洗剤水が溜まった状態で、洗濯槽4を同じ方向に連続回転させる。これにより、上述したように、洗濯槽4と外槽3との間の水位を、第2槽回転上昇水位のように上昇させ、外槽3と洗濯槽4との間の空間に発生した泡を洗濯槽4の通水孔4E等を介して洗濯槽4内に更に取り込むことができる。
【0061】
このとき、洗濯物は洗濯槽4内に取り込まれたきめ細かい泡で更に覆われることとなる。そのため、泡の洗剤成分(高濃度の界面活性剤成分)を洗濯物の繊維の奥まで浸透させ、洗濯物の洗浄力を高めることができる。
【0062】
また、第2槽回転水位は、洗い設定水位Wよりも低い水位であるので、高濃度の洗剤水をかき混ぜ、更に泡を発生させることができる。
【0063】
マイクロコンピュータ21は、タイマ24によって時間を計測し、予め定める第2槽回転時間が経過するまでモータ6を回転させ、予め定める第2槽回転時間が経過したら、モータ6の回転を停止して、第2槽回転処理を終了する。
【0064】
次に、再び図6を参照し、マイクロコンピュータ21は、洗い工程の第3の給水処理として、給水弁14を連続的に開いて洗濯槽4及び外槽3内に給水する(ステップS7)。洗濯槽4及び外槽3内の水位が、負荷量検知(ステップS1)で決定した負荷量に基づく洗い設定水位W(図3)になると、マイクロコンピュータ21は、給水弁14を閉じることによって給水を停止する。これにより、給水処理が終了する。
【0065】
次に、洗濯槽4及び外槽3内に洗い設定水位Wまで洗剤水が溜まった状態で、マイクロコンピュータ21は、攪拌処理を実行する(ステップS8)。具体的には、マイクロコンピュータ21は、モータ6の駆動力がパルセータ5に伝達されるように必要に応じてクラッチ7を切り替えてから、モータ6を駆動させることによってパルセータ5を回転させる。パルセータ5は、同じ方向に連続回転してもよいが、本実施形態では、モータ6の間欠駆動によって、パルセータ5は、予め定めた時間間隔(例えば1秒~2秒の間隔)で正転及び反転を交互に繰り返すように、予め定めた回転数(例えば90rpm以上150rpm以下)で正反転する。攪拌処理では、洗濯槽4内の洗濯物Qが、正反転するパルセータ5によって攪拌洗いされる。なお、ステップS7での給水処理中においてもパルセータ5が回転してもよい。所定の攪拌時間が経過すると、マイクロコンピュータ21は、攪拌処理を終了する。
【0066】
攪拌処理後、マイクロコンピュータ21は、引き続き洗濯槽4及び外槽3内に洗剤水が溜まった状態で、ほぐし処理を実行してもよい(ステップS9)。ほぐし処理では、マイクロコンピュータ21は、攪拌処理とは異なる条件でモータ6を間欠駆動させることによってパルセータ5を正反転させてもよい。本実施形態では、一例として、パルセータ5は、攪拌処理のときよりも短い0.5秒の間隔で正転及び反転を交互に繰り返すように、攪拌処理のときよりも高い回転数で正反転する(ステップS3のほぐし処理と同等)。これにより、洗濯槽4及び外槽3内で水に浸かった洗濯物Qが、反転するパルセータ5によってほぐされる。そのため、洗濯物Qの偏りが解消される。洗濯物Qの偏りとは、洗濯槽4内における洗濯物Qの偏在のことであり、アンバランスとも呼ばれる。所定のほぐし時間が経過すると、マイクロコンピュータ21は、ほぐし処理を終了する。
【0067】
そして、ほぐし処理が終了すると、マイクロコンピュータ21は、排水弁16を開き、洗濯槽4及び外槽3に溜まった洗剤水を排水し(ステップS7)、洗い工程が終了する。
【0068】
なお、洗い工程終了後は、従来の洗濯機と同様に、中間脱水工程、シャワーすすぎ工程、すすぎ工程、脱水工程、乾燥工程等が行われてもよい。
【0069】
以上説明したように、本実施形態の縦型洗濯機1によれば、第1槽回転処理において、洗濯槽4のリブ4Rの下端及び外槽3のリブ3Rの下端よりも高く、かつ、洗濯槽4のリブ4Rの上端及び外槽3のリブ3Rの上端よりも低い第1槽回転水位まで洗剤水を溜めた状態で、洗濯槽4を同じ方向に連続回転させる。これにより、リブ4R,3Rによって高濃度の洗剤水の水面の水流が乱れ、高濃度の洗剤水を、空気を取り込みつつかき混ぜ、洗濯槽4と外槽3との間の空間に、きめ細かい泡を発生させることができる。洗濯槽4と外槽3との間の空間に発生した泡は、洗濯槽4の通水孔4E等を介して洗濯槽4内に取り込まれる。
【0070】
このとき、洗濯物は洗濯槽4内に取り込まれたきめ細かい泡で覆われることとなる。そのため、泡の洗剤成分(高濃度の界面活性剤成分)を洗濯物の繊維の奥まで浸透させ、洗濯物の洗浄力を高めることができる。
【0071】
また、本実施形態の縦型洗濯機1によれば、第2槽回転処理において、第1槽回転水位よりも高くかつ洗い設定水位Wよりも低い第2槽回転水位まで洗剤水を溜めた状態で、洗濯槽4を同じ方向に連続回転させる。これにより、遠心力によって、洗濯槽4及び外槽3内の洗剤水を外槽3と洗濯槽4との間で上昇させ、洗濯槽4と外槽3との間の空間に発生した泡を洗濯槽4の通水孔4E等を介して洗濯槽4内に更に取り込むことができる。
【0072】
このとき、洗濯物は洗濯槽4内に取り込まれたきめ細かい泡で更に覆われることとなる。そのため、泡の洗剤成分(高濃度の界面活性剤成分)を洗濯物の繊維の奥まで浸透させ、洗濯物の洗浄力を高めることができる。
【0073】
また、第2槽回転水位は、洗い設定水位Wよりも低い水位であるので、第2槽回転処理においても、高濃度の洗剤水をかき混ぜ、更に泡を発生させることができる。
【0074】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更及び変形が可能である。例えば、上述した実施形態では、洗濯槽4及び外槽3の両方にリブ4R,3Rが配置された形態を例示した。しかし、本開示はこれに限定されず、洗濯槽4及び外槽3の少なくとも一方にリブが配置される形態であってもよい。
【0075】
また、上述した実施形態では、洗濯槽4の周方向Dの全部分である第1部分Aにリブ4Rが配置された形態を例示した。しかし、本開示はこれに限定されず、洗濯槽4の周方向Dの少なくとも一部分である第1部分Aにリブ4Rが配置される形態であってもよい。
【0076】
また、上述した実施形態では、外槽3の周方向Dの全部分である第2部分Bにリブ3Rが配置された形態を例示した。しかし、本開示はこれに限定されず、外槽3の周方向Dの少なくとも一部分である第2部分Bにリブ3Rが配置される形態であってもよい。
【0077】
(変形例1)
図8は、本開示の変形例に係る縦型洗濯機1における洗濯槽4及び外槽3の概略構成を示す図である。図8に示すように、外槽3のリブ3Rの各々は、略L字形状を有していてもよい。この構成によれば、図3の三角形状のリブ3Rの場合と比較して、より多くの領域で、洗濯槽4のリブ4Rと外槽3のリブ3Rとの隙間を狭くすることができ、第1槽回転処理において、高濃度の洗剤水をかき混ぜる際に、より多くの泡、及び、よりきめ細かい泡を発生させることができる。
【0078】
(変形例2)
図9は、本開示の変形例に係る縦型洗濯機1における洗濯槽4及び外槽3の概略構成を示す図である。図9に示すように、外槽3のリブ3Rの各々は、少なくとも1つの切り欠き3RCを有していてよい。具体的には、外槽3のリブ3Rの各々は、凹凸構造を有していてもよい。この構成によれば、第1槽回転処理において、高濃度の洗剤水をかき混ぜる際に、より多くの泡、及び、よりきめ細かい泡を発生させることができる。
【0079】
(変形例3)
図10は、本開示の変形例に係る縦型洗濯機1における外槽3の底壁3Bを内側から示す図である。図10に示すように、外槽3のリブ3Rの各々は、第1槽回転処理のときの洗濯槽4の回転方向D1に対して鋭角な角度を有していてもよい。具体的には、外槽3の底壁3Bの周縁の接線に対してリブ3Rが成す角度のうち、洗濯槽4の回転方向D1に対する側の角度θが鋭角であってもよい。これによれば、第1槽回転処理において、高濃度の洗剤水をかき混ぜる際に、より多くの泡、及び、よりきめ細かい泡を発生させることができる。
【0080】
この場合、脱水処理のときの洗濯槽4の回転方向D2は、第1槽回転処理のときの洗濯槽4の回転方向D1とは反対であってもよい。なお、脱水処理では、洗濯槽4及び外槽3内の洗剤水を排水した状態で、洗濯槽4を同じ方向に連続回転させる。これによれば、脱水処理において、外槽3の内側面における排水の流れが、外槽3の内側面に配置されたリブ3Rによって妨げられることを抑制することができる。
【0081】
また、上述した実施形態では、第1槽回転処理において(図6のステップS4)、マイクロコンピュータ21は、予め定める設定回転数(例えば約200rpm)で洗濯槽4が同じ方向に連続回転するように、モータ6を回転させる形態を例示した。しかし、本開示はこれに限定されず、第1槽回転処理において、マイクロコンピュータ21は、モータ6を間欠駆動させることによって洗濯槽4を正反転させてもよい。例えば、洗濯槽4は、正転及び反転を交互に繰り返すように、予め定める設定回転数で正反転すればよい。正転及び反転の時間間隔は、攪拌処理のときよりも短い間隔(例えば0.5秒の間隔)であってもよいし、攪拌処理のときと同じ間隔(例えば1秒~2秒の間隔)であってもよいし、攪拌処理のときよりも長い間隔(例えば2秒~5秒の間隔)であってもよい。また、予め定める設定回転数は、同じ方向に連続回転するときよりも低い回転数(例えば50rpm~180rpm、好ましくは約100rpm)であってもよい。
【0082】
この第1槽回転処理でも、洗濯槽4のリブ4Rの下端及び外槽3のリブ3Rの下端よりも高く、かつ、洗濯槽4のリブ4Rの上端及び外槽3のリブ3Rの上端よりも低い第1槽回転水位まで洗剤水が溜まった状態で、洗濯槽4を正転及び反転させる。これにより、リブ4R,3Rによって高濃度の洗剤水の水面の水流が乱れ、高濃度の洗剤水を、空気を取り込みつつかき混ぜ、洗濯槽4と外槽3との間の空間に、きめ細かい泡を発生させることができる。
【0083】
なお、洗濯槽4は比較的に重いため、第1槽回転処理において洗濯槽4を正転及び反転させると、比較的に大きな動力が必要となる。これに対して、上述した実施形態のように、第1槽回転処理において洗濯槽4を同じ方向に連続回転させると、比較的に小さな動力で済む。
【符号の説明】
【0084】
1 縦型洗濯機
3 外槽
3A 側壁
3B 底壁
3R リブ
4 洗濯槽
4A 側壁
4B 底壁
4E 通水孔
4R リブ
5 パルセータ(回転翼)
6 モータ(駆動部)
14 給水弁(給水部)
15A 排水口
16 排水弁
21 マイクロコンピュータ(制御部)
30 溢水口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10