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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002225
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】車両用ドア開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/643 20150101AFI20241226BHJP
   E05F 15/655 20150101ALI20241226BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20241226BHJP
   B60J 5/06 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
E05F15/643
E05F15/655
B60J5/04 C
B60J5/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102257
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003292
【氏名又は名称】弁理士法人三栄国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 直也
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 宏
(72)【発明者】
【氏名】原 拓也
(72)【発明者】
【氏名】時松 英樹
(72)【発明者】
【氏名】濱 宏平
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052CA06
2E052DA04
2E052DB04
2E052EA16
2E052EB01
2E052EC01
2E052KA15
2E052KA16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】車両用ドア開閉装置におけるセンターローラとベルトブラケットとの組付け作業性を向上させることができる車両用ドア開閉装置を提供する。
【解決手段】モータと、スライドドアの開閉方向に沿うように車体に固定されるガイド手段の長手方向の一端部および他端部にそれぞれ掛け回されると共に、モータの駆動に伴って、ガイド手段の長手方向に沿って循環移動可能なベルト12と、スライドドアに組付けられるセンターローラ5と、ベルト12に連結されると共に、センターローラ5に締結されるベルトブラケット13を備える。センターローラ5の上面には平坦な基準面51Sを設け、ベルトブラケット13のセンターローラ5と対向する面の少なくとも一部には、センターローラ5の基準面51Sと当接する規制面13Dsとが当接した状態にて、車両後方から締結部材13Dbによって締結可能な複数の締結部13Daを設ける。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
スライドドアの開閉方向に沿うように車体に固定されるガイド手段と、
前記ガイド手段における長手方向の一端部および他端部にそれぞれ掛け回されると共に、前記モータの駆動に伴って、前記ガイド手段の長手方向に沿って循環移動可能なベルトと、
前記スライドドアに組付けられるセンターローラと、
前記ベルトに連結されると共に、前記センターローラに締結されるベルトブラケットと、を備え、
前記センターローラと前記ベルトブラケットとの締結構造において、前記センターローラの上面には平坦な基準面を設け、前記ベルトブラケットの前記センターローラと対向する面の少なくとも一部には、前記センターローラの前記基準面と当接する規制面を設け、前記基準面と前記規制面とが当接した状態にて、車両後方から締結部材によって締結可能な複数の締結部を設けることを特徴とする車両用ドア開閉装置。
【請求項2】
前記センターローラおよび前記ベルトブラケットに設けられる前記締結部は、車両前方側に設けられ前記基準面に対して垂直な第1取付部と、車両後方側に位置し、前記基準面に対する角度が90°より大きく、かつ先端が斜め下方を向く第2取付部を形成することを特徴とする請求項1記載の車両用ドア開閉装置。
【請求項3】
前記ベルトブラケットは、前記ガイド手段の長手方向に沿って循環移動可能な前記ベルトに接続され、
前記ガイド手段は、前記ベルトブラケットが前記センターローラに未接続の状態にて、前記ベルトを捩じれた状態として、前記ベルトブラケットを前記ガイド手段の所定位置に着脱自在であって仮保持位置に保持する保持部を有することを特徴とする請求項1または2記載の車両用ドア開閉装置。
【請求項4】
前記ガイド手段の保持手段は、長手方向へ所定の長さを有する係合孔と、前記係合孔の上部にあって、下方へ突出する案内突起部と、前記係合孔の下部にあって、車外側へ突出する受け部と、を有し、ベルトブラケットは、前記係合孔に嵌合し、長手方向への移動により、予め定めた前記仮保持位置から解除位置、およびその逆へ移動可能な被保持部と、前記案内突起部に対して長手方向に移動可能で、かつ車内外方向に移動不能に嵌合する案内凹部と、前記受け部に下側から支持される被受け部と、を有することを特徴とする請求項3記載の車両用ドア開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のスライドドアを自動開閉させるための車両用ドア開閉装置に関し、特に、車両用ドア開閉装置におけるセンターローラとベルトブラケットとの組付け作業性を向上させることができる車両用ドア開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、センターローラガイドユニット5に対し、ベルト接続具13を組付ける構造が開示されている。図16および図17に示すようにガイドローラユニット5へのベルト接続具13の取り付けは、ガイドローラ5aの枢軸5cに対し、車外側から連結部材13Dの第1溝部13Daを嵌合させる。その後、ベルト接続具13を車内側に向かって回転させることで、車両後方側のガイドローラ5aの枢軸5cに対し、連結部材13Dの第2溝部13Dbを嵌合させた後、連結部5eと締結部13Dcとをボルト131により締結することで締結が完了する。
ただし、作業自体はドア3と車体との間での狭いスペースでの作業となるため、特許文献1の構造では一連の作業を進めるうえでは、作業性を改善する必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-095761号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記課題に鑑み、車両用ドア開閉装置におけるセンターローラとベルトブラケットとの締結構造において、組付け作業性を向上させる締結構造を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)第1の発明は、モータと、スライドドアの開閉方向に沿うように車体に固定されるガイド手段と、前記ガイド手段における長手方向の一端部および他端部にそれぞれ掛け回されると共に、前記モータの駆動に伴って、前記ガイド手段の前記長手方向に沿って循環移動可能なベルトと、前記スライドドアに組付けられるセンターローラと、前記ベルトに連結されると共に、前記センターローラに締結されるベルトブラケットと、を備え、
前記センターローラと前記ベルトブラケットとの締結構造において、前記センターローラの上面には平坦な基準面を設け、前記ベルトブラケットの前記センターローラと対向する面の少なくとも一部には、前記センターローラの前記基準面と当接する規制面を設け、前記基準面と前記規制面とが当接した状態にて、車両後方から締結部材によって締結可能な複数の締結部を設けることを特徴とする車両用ドア開閉装置である。
【0006】
複数の締結部を設定する場合、センターローラの基準面とベルトブラケットの対向面とを面接触させると、面ひずみ等の影響から位置調整が難しくなるが、ベルトブラケットに位置を規制する規制面を設けることで、車両上下方向および車幅方における向面ひずみによる位置ずれがなく、組付け作業性が向上する。
【0007】
(2)第2の発明は、前記センターローラおよび前記ベルトブラケットに設けられる前記締結部は、車両前方側に設けられ前記基準面に対して垂直な第1取付部と、車両後方側に位置し、前記基準面に対する角度が90°より大きく、かつ先端が斜め下方を向く第2取付部を形成することを特徴とする前記(1)に記載の車両用ドア開閉装置である。
【0008】
第1取付部を基準として位置決めしたときに、センターローラおよびベルトブラケットの第2取付部は、基準面に対して90°より大きい角度で、かつ先端が斜め下方を向くように形成されるため、直角となる場合に比べ、センターローラの第2取付部に対し、ベルトブラケットの第2取付部が滑りながら重なることで、センターローラの第2取付部に対してベルトブラケットの第2取付部が接触し易くなることから、組付け作業性がより向上する。
【0009】
(3)第3の発明は、前記ベルトブラケットは、前記ガイド手段の前記長手方向に沿って循環移動可能な前記ベルトに接続され、前記ガイド手段は、前記ベルトブラケットが前記センターローラに未接続の状態にて、前記ベルトを捩じれた状態として、前記ベルトブラケットを前記ガイド手段の所定位置に着脱自在であって仮保持位置に保持する保持部を有することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の車両用ドア開閉装置である。
【0010】
ベルトに固着されたベルトブラケットは、ベルトを所定角度捩った状態でガイド手段の保持部に着脱自在に保持されるため、ベルトの弛みを捩じれ部により吸収して、ベルトのガタ付きを抑止して、ベルトブラケットを保持部に確実に保持でき、車両用ドア開閉装置のハンドリング性の向上を図ることができる。
【0011】
(4)第4の発明は、前記ガイド手段の保持手段は、前記長手方向へ所定の長さを有する係合孔と、前記係合孔の上部にあって、下方へ突出する案内突起部と、前記係合孔の下部にあって、車外側へ突出する受け部と、を有し、ベルトブラケットは、前記係合孔に嵌合し、前記長手方向への移動により、予め定めた前記仮保持位置から解除位置、およびその逆へ移動可能な被保持部と、前記案内突起部に対して前記長手方向に移動可能で、かつ車内外方向に移動不能に嵌合する案内凹部と、前記受け部に下側から支持される被受け部と、を有することを特徴とする請求項3記載の車両用ドア開閉装置である。
【0012】
接続部材を車外側上斜め方向に傾いた仮保持姿勢でガイド手段に設けた保持手段に着脱自在に保持したことによって、車両用開閉体駆動装置のハンドリング性の向上を図ることができると共に、ベルトブラケットのガイド手段から出っ張り量が小さくなることから、車体パネルに対する組付性向上を図ることがきる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の車両用ドア開閉装置におけるセンターローラとベルトブラケットとの締結構造において、複数の締結部を設定する場合、センターローラの基準面とベルトブラケットの対向面とを面接触させると、面ひずみ等の影響から位置調整が難しくなるが、ベルトブラケットに位置を規制する規制面を設けることで、車両上下方向および車幅方における向面ひずみによる位置ずれがなく、組付け作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態の車両用ドア開閉装置を装着した車両の側面図である。
図2】本発明の一実施形態の車両用ドア開閉装置の斜め前方から見た斜視図である。
図3】本発明の一実施形態のセンターローラおよびベルトブラケット周りの拡大斜視図である。
図4】本発明の一実施形態のセンターローラおよびベルトブラケットの車外側から見た図である。
図5】本発明の一実施形態のセンターローラおよびベルトブラケットの斜め後方から見た分解斜視図である。
図6】本発明の一実施形態のベルトブラケットが仮保持位置にあるときの要部の側面図である。
図7図7におけるA-A線縦断面図である。
図8】本発明のベルトブラケットの仮保持姿勢の第2実施形態としてのベルトブラケットが仮保持姿勢にある状態の要部の斜め後方から見た拡大斜視図である。
図9図8の保持部周りを斜め後方から見た拡大斜視図である。
図10】本発明のベルトブラケットの仮保持姿勢の第2実施形態としてのベルトブラケットが仮保持位置にあるときの要部の縦断面図である。
図11】本発明のベルトブラケットの仮保持姿勢の第3実施形態としてのベルトブラケットおよびガイド手段をそれぞれ異なる方向から見た斜視図である。
図12】本発明のベルトブラケットの仮保持姿勢の第3実施形態としてのベルトブラケットおよびガイド手段を車内側から見た斜視図である。
図13】本発明のベルトブラケットの仮保持姿勢の第3実施形態としてのベルトブラケットが仮保持位置にあるときのガイド手段との状態を示す図である。
図14】本発明のベルトブラケットの仮保持姿勢の第3実施形態としてのベルトブラケットが仮保持位置にあるときの要部の縦断面図である。
図15】本発明のベルトブラケットの仮保持姿勢の第3実施形態としてのベルトブラケットが解除位置にあるときのガイド手段との状態を示す図である。
図16】特許文献1の車両用ドア開閉装置の上側から見た平面図である。
図17】特許文献1の車両用ドア開閉装置のベルトブラケットをセンターローラに締結した部分を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態により限定されるものではなく、以下の実施形態から当業者が自明の範囲内で適宜変更したものも含む。
【0016】
図1に示すように、本実施形態に係る車両用ドア開閉装置1は、小型ワゴンタイプの車両2に搭載され、後部ドアであるスライドドア3を自動開閉させるものである。以下の車両用ドア開閉装置1の説明では断りのない限り、方位は車両2を基準とした前方、後方、左右方向(車内外方向)、車外側および車内側を指す。
【0017】
スライドドア3は、自体の上前部に取り付けられたアッパーローラ6の図示略のガイドローラ、自体の中央後部に取り付けられたセンターローラ5の後述のガイドローラ5a、5bおよび自体の下前部に取り付けられたロアローラ7の図示略のガイドローラが、車体に固定された前後方向を向くアッパーレール4A、センターレール4Bおよびロアレール4Cによりそれぞれ前後方向に移動自在に装着されることにより、前後方向に開閉自在に支持され、車体の一部である車体パネル4に取り付けられる車両用ドア開閉装置1により自動開閉する。
【0018】
車両用ドア開閉装置1は、車両2に搭載された状態において、外側から車体パネル4と同色のフィニッシャー4Dにより覆われることで、外側から実質的に見えることはない。センターレール4Bは、一般的に、給油口4Eとタイヤハウス4Fとの間の高さに設けられる。
【0019】
図2を用いて車両用ドア開閉装置1について説明する。センターレール4Bは、鋼材で形成され、縦断面形状が車外側に開口する角形の略C字形状を呈して、車体パネル4の外側面に固定されると共に、前後方向へ直線状の直線部4Baと、当該直線部4Baの前部から連続的に車内側へ湾曲する湾曲部4Bbとを有する。アッパーレール4Aおよびロアレール4Cについては、本発明に直接関係しないので説明は省略する。
【0020】
スライドドア3の上下中央後部に取り付けられるセンターローラ5は、スライドドア3にボルト等の締結部材で固定されるベース部51と、ベース部51に上下方向の軸廻りに回転自在に枢支された前後2個のガイドローラ5a(図5参照)と、ベース部51に左右方向の軸廻りに回転自在に枢支されたガイドローラ5b(図5参照)を有し、ガイドローラ5a、5bがセンターレール4B内に長手方向へ転動自在に装着されることで、スライドドア3の上下中央部を前後方向にスライド自在に支持する。
【0021】
図2に示すように、車両用ドア開閉装置1は、センターレール4Bの上部に配置される合成樹脂製のガイド手段11、当該ガイド手段11にその長手方向(前後方向)にガイドされて循環移動するゴム製で環状のベルト12、およびベルト12を介してスライドドア3を自動開閉させるための動力を出力するモータ31等を含んで構成されるモータモジュール30、ベルト12をセンターローラ5に接続するベルトブラケット13と、を備える。
【0022】
ガイド手段11は、センターレール4Bの長手方向に沿った形状を呈し、前端部11aに上下方向を向く枢軸141により枢支し、後端部11bに上下方向を向く枢軸151により枢支すると共に、前端部11aに設けた前ブラケット16および後端部11bに設けた後ブラケット17により車体パネル4に固定される(図3参照)。
【0023】
前ブラケット16は、金属製であって、ボルト161により車体パネル4に締結されることによりガイド手段11の前端部11aを車体パネル4に固定する。後ブラケット17は、金属製であって、ボルト171により車体パネル4に締結されることによりガイド手段11の後端部11bを車体パネル4に固定する(図3参照)。
【0024】
保持手段20は、スライドドア3に取り付けられた各ローラの各ガイドローラを各レール4A、4B、4Cに装着する作業を行う際、ベルト12に接続されたベルトブラケット13がスライドドア3の取り付けに対して邪魔にならないように、ベルトブラケット13を図7に示す保持位置に保持するためのものであって、ガイド手段11の後端寄りの上面に設けられる。
【0025】
好ましくは、保持手段20は、ベルトブラケット13を車外側から差込可能なように車外側が開口するコ字状とし、かつベルトブラケット13を保持位置に確実に保持し得るように、上部および車内側が開口する開口部20aを設けると共に、開口部20aの底部に上方へ若干突出する係合部20bを前後方向に沿って設ける(図3参照)。さらには、保持手段20は、スライドドア3が全開位置にあるときのセンターローラ5の位置に対応する位置に設けられる。
【0026】
ベルト12は、ベルトブラケット13およびセンターローラ5を介してスライドドア3に接続される。これにより、スライドドア3は、ベルト12がモータ31の動力により循環移動することにより自動開閉する。
【0027】
ベルトブラケット13は、自体の上部がベルト12の車外側を移動する部分に接続され、下部がセンターローラ5のベース部51に接続されることによって、ベルト12とセンターローラ5とを互いに接続する。
【0028】
好ましくは、図5に示すように、ベルトブラケット13は、ベルト12を厚み方向から挟み込む車外側の第1ベルトブラケット13Aおよび室内側の第2ベルトブラケット13Bと、リベット等の締結部材13Cにより第1ベルトブラケット13Aおよび第2ベルトブラケット13Bに共締めされる共に、センターローラ5に接続される連結部材13Dと、を有する。
【0029】
第2ベルトブラケット13Bは、ベルト12の内面(歯が形成されている面)に対向する面に歯部13Baを有し、当該歯部13Baがベルト12の歯部に噛み合うことで、第1ベルトブラケット13Aと協動してベルト12に確実に接続される。連結部材13Dは、自体の上部が第1ベルトブラケット13Aおよび第2ベルトブラケット13Bに締結部材13Cにより接続され、自体の下部がセンターローラ5に締結部材13Dcにより接続される。
【0030】
ここで、ベルトブラケット13とセンターローラ5との締結について説明する。図3に示すように、センターローラ5は、ベルトブラケット13が固定されるベース部51を備えており、ベース部51の上面に平坦な基準面51Sが設けられ、この基準面51Sに近接して複数の締結部51A、51Bが設けられる。同様に、ベース部51に固定されるベルトブラケット13の連結部材13Dには、ベース部51の締結部51A、51Bと接続する複数の締結部13Da、13Dbが設けられ、さらにベース部51と対向する面である連結部材13Dには、少なくともその一部に基準面51Sと当接する規制面13Dsが設けられる(図4参照)。
【0031】
センターローラ5の締結部51A、51Bとベルトブラケット13の締結部13Da、13Dbとは、基準面51Sと規制面13Dsとが当接した状態で締結可能となるように構成される。図5に示すように、センターローラ5の締結部51A、51Bとベルトブラケット13の締結部13Da、13Dbとの締結作業は、車両後方から締結部材13Dcを用いて行われる。
【0032】
複数の締結部を設定する場合、センターローラ5の基準面とベルトブラケット13の対向面とを面接触させると、面ひずみ等の影響から位置調整が難しくなるが、ベルトブラケット13に位置を規制する規制面13Dsを設けることで、車両上下方向および車幅方向における面ひずみによる位置ずれがなく、組付け作業性が向上する。なお、規制面13Dsは、締結部に近接して設けることが好ましい(図4参照)。
【0033】
図3に示すように、複数の締結部を設定する場合、車両前方側に設けられる締結部は、基準面に対して垂直である第1取付部51Aとし、車両後方側に設けられる締結部は、基準面に対する角度が90°より大きく、かつ先端が斜め下方を向く第2取付部51Bを形成する。すなわち、センターローラ5側の締結部は、基準面に対して垂直である第1取付部51Aと基準面に対する角度が90°より大きく、かつ先端が斜め下方を向く第2取付部51Bを形成し、ベルトブラケット13側の締結部は、基準面に対して垂直である第1取付部13Daと基準面に対する角度が90°より大きく、かつ先端が斜め下方を向く第2取付部13Dbを形成する。この場合、規制面13Dsは、第1取付部51Aに近接して設けることが好ましい(図4参照)。
【0034】
さらに、規制面13Dsがセンターローラ5に当接することで、ベルトブラケット13をセンターローラ5に締結する際に、ベルト12を中心にベルトブラケット13が回転してしまうことを防止できる。
【0035】
第1取付部を基準として位置決めしたときに、センターローラ5およびベルトブラケット13の第2取付部は、基準面に対して90°より大きい角度で、かつ先端が斜め下方を向くように形成されるため、直角となる場合に比べ、センターローラ5の第2取付部51Bに対し、ベルトブラケットの第2取付部13Dbが滑りながら重なることで、センターローラ5の第2取付部51Bに対してベルトブラケット13の第2取付部13Dbが接触し易くなることから、組付け作業性がより向上する。
【0036】
ベルト12に接続されたベルトブラケット13は、スライドドア3を各レール4A、4B、4Cに取り付ける作業を行う際にセンターレール4Bへのセンターローラ5の挿入を邪魔しないように、図6図7に示すように、ガイド手段11の保持手段20に車外側から差し込まれた保持位置に保持される。ベルトブラケット13は、保持位置に保持されているときは、センターレール4Bにより案内されるセンターローラ5の移動軌跡外に退避した位置にあり、各レール4A、4B、4Cに対するスライドドア3の取り付けが完了して、センターローラ5に対して接続する作業を行うときに、保持手段20から外されてセンターローラ5に接続可能とする連結位置に作業者により移動させられる。
【0037】
上述のように、ベルトブラケット13を保持手段20に差し込んで、ベルトブラケット13およびベルト12が動かないように保持することで、車両用ドア開閉装置1の搬送および車体パネル4への車両用ドア開閉装置1の取り付け作業を容易に行うことができる
【0038】
好ましくは、ベルトブラケット13の上部(第1ベルトブラケット13A及び第2ベルトブラケット13B)の前後幅を、ベルトブラケット13を保持位置に保持する際、ベルトブラケット13の上部が保持手段20の開口部20aに対して前後方向に嵌り込むように、開口部20aの前後幅よりも僅かに小さくする。さらには、図7に示すように、ベルトブラケット13を保持位置に確実に保持するため、ベルトブラケット13の車内側を向く面(第2ベルトブラケット13Bの面)に、保持手段20の係合部20bに引っ掛かり可能な段差部13Bbを設ける。
【0039】
(ベルトブラケットの仮保持姿勢の第2実施形態)
第2実施形態では、ベルトブラケット13は、第1ベルトブラケット23A、第2ベルトブラケット23Bおよび連結部材13Dより構成され、第1ベルトブラケット23Aおよび第2ベルトブラケット23Bの形状に特徴を有している。ガイド手段11の後部側面には、特に、図8、9、10に示すように、ベルトブラケット13をガイド手段11に着脱自在に仮保持するための保持部203が設けられる。
【0040】
保持部203は、特に図9に示すように、ガイド手段11における上下方向を向く側壁部200aを左右方向(車内外方向)に貫通し、前後方向に所定の開口幅を有する矩形状の開口孔により形成される。保持部203には、ベルト12をセンターローラ5に連結するまでの期間、ベルト12に予め固着されたベルトブラケット13が仮保持される。ベルトブラケット13は、保持部203に一部が差し込まれて係合することによりガイド手段11に着脱自在に仮保持される。
【0041】
特に、図9図10に示すように、ガイド手段11における保持部203の下位には、上方へ突出するストッパ部203aが設けられる。ストッパ部203aは、ベルトブラケット13を保持部203に確実に仮保持するように、第2ベルトブラケット23Bの先端部の角部分が当接することで、保持部203に対するベルトブラケット13の進入量を規制する。
【0042】
図10に示すように、第2ベルトブラケット23Bは、ベルトブラケット13の仮保持姿勢において、斜め上方へ突出する爪部23Baを有する。ベルトブラケット13が仮保持姿勢に保持された状態においては、第2ベルトブラケット23Bの先端部は、ベルトブラケット13の前後方向への移動を規制するように、保持部203の開口に対して幅方向(前後方向)に係合する。爪部23Baは、ベルトブラケット13が保持部203から容易に抜け出ないように、保持部203の開口の上縁に車内側から係合する。そして、ベルトブラケット13には、ベルト12に形成された捩じれ部12aによる復帰力(ベルト12が正規姿勢に戻ろうとする力であって、図10において、時計方向への力)が作用している。
【0043】
ベルトブラケット13は、仮保持姿勢にある場合には、センターローラ5の移動軌跡外に退避した位置にある。これにより、車両用ドア開閉装置1を車体パネル4に組付けた後、センターローラ5をセンターレール4Bに組み付ける際、センターローラ5がベルトブラケット13に干渉しないので、センターローラ5をセンターレール4Bに容易に組み付けることができる。
【0044】
ベルトブラケット13をガイド手段11の保持部203に仮保持するには、図10に示すように、ベルトブラケット13を2点鎖線で示す正規姿勢から上方へ略120度回転させた姿勢として、この状態で、第2ベルトブラケット23Bを車外側から保持部203に差し込んで係合する。これにより、ベルトブラケット13は、特に、図10に実線で示すように、車外側へ上斜め方向に略30度に傾いた仮保持姿勢で仮保持される。ベルトブラケット13を保持部203から外す場合は、図10において、ベルトブラケット13を上方へ若干回転させた状態で、車外方向へ引き抜く。これにより、ベルトブラケット13を保持部203から簡単に外すことができる。この後、ベルトブラケット13は、センターレール4Bに組付けられたセンターローラ5に連結される。
【0045】
ベルトブラケット13は、保持部203に仮保持された状態においては、特に、図8図10に示すように、車外側へ上斜め方向に略30度に傾いた仮保持姿勢でガイド手段11に仮保持される。したがって、ベルトブラケット13が仮保持姿勢に保持された状態においては、ベルト12は、厚み方向が車内外方向を向く正規姿勢から所定角度捩れた状態にある。したがって、ベルトブラケット13が仮保持姿勢に保持されている状態においては、ベルトブラケット13の前側および後側には、ベルト12の捩じれ部12aが形成される。捩じれ部12aにより、ベルト12の弛みを吸収して、ベルト12のガタ付きを抑えて、車両用ドア開閉装置1の搬送時、車体パネル4への組付け時におけるハンドリング性の向上を図ることができる。
【0046】
(ベルトブラケットの仮保持姿勢の第3実施形態)
保持手段20は、特に図11図12に示すように、保持手段20の側壁部200aを車内外方向(左右方向)へ貫通し、前後方向(開閉方向)へ所定の開口幅を有する矩形状の係合孔205と、係合孔205の下部に設けられる受け部206、位置合わせ突部207および逃げ部208と、係合孔205の上部に設けられる案内突起部209および上抑え部210と、係合孔205の下部にあって、上方へ所定量突出する下抑え部211、212とを有する。
【0047】
受け部206は、係合孔205の前寄り側にあって、係合孔205の下部から車外方向へ所定量突出すると共に、車内側を向く面に車外斜め上方向へ向けて傾斜する傾斜面206sを有する。
【0048】
逃げ部208は、係合孔205の下部で、かつ受け部206の後側にあって、受け部206よりも車内側に凹むと共に、前後方向に所定の長さを有する。逃げ部208の前後方向の長さは、ベルトブラケット13の後述の被保持部131の前後方向の幅よりも若干大きく形成される。
【0049】
位置合わせ突部207は、逃げ部208の前後方向略中央部にあって、逃げ部208の側端面から車外側へ向けて突出するように設けられる。下抑え部211、212は、係合孔205の下部にあって、受け部206および位置合わせ突部207よりも車内側寄り側に設けられる。
【0050】
案内突起部209は、係合孔205における前後方向の略中央上部から下方へ突出するように設けられる。上抑え部210は、案内突起部209の車外側を向く側面に設けられ、案内突起部209よりも車外側へ突出するように設けられる。なお、上抑え部210の下端は、案内突起部209の下端よりも上方に位置するように設けられる。
【0051】
ベルトブラケット13は、上部がベルト12の車外側を移動する領域の一部に連結されると共に、上部にあって、ベルト12に固着される被保持部131と、被保持部131の上端(仮保持姿勢にあっては車内側を向く端)に設けられる爪部132と、被保持部131の車外側を向く側面(仮保持姿勢にあっては上面)にあって、かつ爪部132の下方(仮保持姿勢にあっては車外側)に設けられる案内凹部133と、被保持部131の上端に設けられる位置合わせ凹部134とを有し、センターローラ5に連結されるまでの期間、保持手段20に嵌合して車外側へ上斜め方向に略30度に傾いた仮保持姿勢で着脱自在に保持され、センターローラ5に連結する場合には、保持手段20から取り外される。
【0052】
被保持部131は、ベルトブラケット13の上部にあって、ベルト12を厚み方向から挟み込むことで、ベルト12に固着される。本実施形態においては、被保持部131の前後方向の幅は、保持手段20における係合孔205の前後方向の開口幅の約2/3で、かつ逃げ部208の前後方向の幅よりも若干小さくなるように形成される。これにより、ベルトブラケット13は、被保持部131が係合孔205に嵌合した状態で前後方向に所定量移動可能であって、かつ例えば、図13に示すように、被保持部131の前端が係合孔205の前端に当接した仮保持位置から、例えば、図15に示すように、被保持部131の後端が係合孔205の後端に当接した解除位置、およびその逆へ移動可能である。ベルトブラケット13が解除位置にある場合には、被保持部131は、逃げ部208に合致する。これにより、被保持部131を、逃げ部208を通して下方へ移動させることで、保持手段20から取り外し可能となる。
【0053】
被保持部131の車外側を向く側面(ガイド手段11の仮保持姿勢においては、上面)は、特に図14に示すように、ベルトブラケット13の仮保持姿勢において、保持手段20の上抑え部210に対して下側から当接可能な被上抑え部135を形成する。上抑え部210は、被上抑え部135に対して上側から当接することにより、ベルトブラケット13における仮保持姿勢からの上方への動きを阻止する。
【0054】
被保持部131の車内側を向く側面(ガイド手段11の仮保持姿勢においては、下面)は、特に図14に示すように、ベルトブラケット13の仮保持姿勢において、保持手段20の受け部206の傾斜面206sに対して乗り上げ可能な被受け部136を形成する。被受け部136は、受け部206の傾斜面206sに乗り上げることで、ベルトブラケット13を車外側が上斜め方向へ向いた仮保持姿勢に確実に支持する。
【0055】
爪部132は、被保持部131の上端にあって、車外側(ガイド手段11の仮保持姿勢においては、上側)向けて突出するように形成されることで、特に図14に示すように、ベルトブラケット13の仮保持姿勢において、保持手段20における案内突起部209に対して車内側から当接する。これにより、ベルトブラケット13は、仮保持姿勢にある場合、車外方向(抜け方向)への移動が阻止される。
【0056】
案内凹部133は、被保持部131の車外側を向く側面に設けられ、車内側(ガイド手段11の仮保持姿勢においては、下側)へ向けて凹み、かつ前後方向へ所定の長さを有するように形成されることで、特に図15に示すように、ベルトブラケット13の仮保持位置において、保持手段20における案内突起部209に対して前後方向へ相対移動可能で、かつ車内外方向に相対移動不能に嵌合し、正規姿勢にある場合には、案内突起部209から外れる。
【0057】
位置合わせ凹部134は、被保持部131における前後方向の幅中央部にあって、かつ位置合わせ突部207の前後幅よりも若干拡幅に形成されると共に、ベルトブラケット13の解除位置において、位置合わせ突部207の位置に合致することで、被保持部131の逃げ部208からの下方への移動を可能にする。ベルトブラケット13は、位置合わせ凹部134が位置合わせ突部207に合致しない位置、すなわち解除位置以外にある場合には、被保持部131の一部が位置合わせ突部207に対して当接することで、被保持部131の係合孔205から取り外しを阻止する。
【0058】
以上、本発明の種々の実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、上記実施形態に対して、次のような種々の変形や変更および組み合わせを施すことが可能である。
【0059】
ベルトブラケット13をセンターローラ5に締結する場合、図3において締結部は、51Aと13Daおよび51Bと13Dbの2か所であるが、3か所以上とする。
【0060】
締結部51Aは、センターローラ5と別に製作され、締結部材51Aaにより2か所でベース部51に固定されているが、締結部材51Bのようにセンターローラ5と一体として製作する。
【0061】
ベルトブラケット13の仮保持姿勢を、車外側斜め下方または車外側斜め上方に代えて、車外側垂直方向とする。
【0062】
保持部203を矩形状の開口孔に代えて、円形又は楕円形の開口孔とする。
【符号の説明】
【0063】
1 車両用ドア開閉装置
2 車両
3 スライドドア
4 車体パネル
4A アッパーレール
4B センターレール
4Ba 直線部
4Bb 湾曲部
4C ロアレール
4D フィニッシャー
4E 給油口
4F タイヤハウス
5 センターローラ
5a、5b ガイドローラ
51 ベース部
51A 締結部(第1取付部)
51Aa 締結部材
51B 締結部(第2取付部)
51S 基準面
6 アッパーローラ
7 ロアローラ
11 ガイド手段
11a 前端部
11b 後端部
12 ベルト
12a 捩じれ部
13 ベルトブラケット
13A 第1ベルトブラケット
13B 第2ベルトブラケット
13Ba 歯部
13Bb 段差部
13C 締結部材
13D 連結部材
13Da 締結部(第1取付部)
13Db 締結部(第2取付部)
13Dc 締結部材
13Ds 規制面
131 被保持部
132 爪部
133 案内凹部
134 位置合わせ凹部
135 被上抑え部
136 被受け部
14 前反転プーリ
141 枢軸
15 後反転プーリ
151 枢軸
16 前ブラケット
161 ボルト
17 後ブラケット
171 ボルト
20 保持手段
20a 開口部
20b 係合部
200a 側壁部
203 保持部
203a ストッパ部
205 係合孔
206 受け部
206s 傾斜面
207 位置合わせ突部
208 逃げ部
209 案内突起部
210 上抑え部
211 下抑え部
212 下抑え部
23A 第1ベルトブラケット
23B 第2ベルトブラケット
23Ba 爪部
30 モータモジュール
31 モータ
33A 第1ベルトブラケット
33B 第2ベルトブラケット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17