(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002227
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】開閉体用モータユニット
(51)【国際特許分類】
E05B 77/36 20140101AFI20241226BHJP
E05B 81/06 20140101ALI20241226BHJP
E05B 85/02 20140101ALI20241226BHJP
【FI】
E05B77/36
E05B81/06
E05B85/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102259
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000148896
【氏名又は名称】三井金属アクト株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003292
【氏名又は名称】弁理士法人三栄国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 陽介
(72)【発明者】
【氏名】赤川 辰巳
(72)【発明者】
【氏名】原 拓也
(72)【発明者】
【氏名】白石 善洋
(72)【発明者】
【氏名】門脇 武利
(72)【発明者】
【氏名】杉本 佳奈
(72)【発明者】
【氏名】森本 浩司
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250HH01
2E250JJ09
2E250KK02
2E250LL01
2E250PP06
2E250QQ10
2E250RR13
2E250RR43
(57)【要約】
【課題】車両ドアのドアロックを動作させる開閉体用モータユニットに関し、特に、モータユニット自体の作動音を低減させる開閉体用モータユニットを提供する。
【解決手段】車両ドアのドアロックを動作させる開閉体用モータユニットにおいて、前記開閉体用モータユニットの筐体は、ケースおよびカバーからなり、前記ケースには、モータ、およびウォムホイールを含む減速機構が配置され、前記モータ、および前記減速機構は、前記ケースに形成されたモータ用凹部、および減速機構用凹部にそれぞれ収容されるとともに、モータ軸芯方向と前記減速機構に連係する伝達部材の進退方向とが同一となる構成であって、前記ケースの外面において、前記減速機構用凹部とオーバーラップしない部分に補強用リブを設けることを特徴とする開閉体用モータユニット
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両ドアのドアロックを動作させる開閉体用モータユニットにおいて、前記開閉体用モータユニットの筐体は、ケースおよびカバーからなり、
前記ケースには、モータ、およびウォムホイールを含む減速機構が配置され、前記モータ、および前記減速機構は、前記ケースに形成されたモータ用凹部、および減速機構用凹部にそれぞれ収容されるとともに、モータ軸芯方向と前記減速機構に連係する伝達部材の進退方向とが同一となる構成であって、
前記ケースの外面において、前記減速機構用凹部とオーバーラップしない部分に補強用リブを設けることを特徴とする開閉体用モータユニット。
【請求項2】
前記ケースの外面に設けられる前記補強用リブは、前記筐体が車両パネルと締結する複数の車両パネル締結点の近傍同士、および/または前記車両パネル締結点の近傍と前記伝達部材の出口付近とを結んだ位置に設けられることを特徴とする請求項1記載の開閉体用モータユニット。
【請求項3】
車両ドアのドアロックを動作させる開閉体用モータユニットにおいて、前記開閉体用モータユニットの筐体は、ケースおよびカバーからなり、
前記ケースには、モータ、およびウォムホイールを含む減速機構が配置され、前記カバーには、前記モータを覆うためのモータ用凸部、および減速機構の回転軸を支持する要素である減速機構支持点中心を覆うための減速機構支持点中心用凸部が設けられるとともに、モータ軸芯方向と前記減速機構に連係する伝達部材の進退方向とが同一となる構成であって、
前記カバーの外面に設けられる補強用リブは、前記カバーの前記減速機構支持点中心用凸部から前記筐体が車両パネルと締結する複数の車両パネル締結点の近傍を結ぶように放射状に設けられ、および/または前記伝達部材の出口付近を通るように設けられることを特徴とする開閉体用モータユニット。
【請求項4】
前記減速機構および前記モータとオーバーラップしない位置に、前記ケースと締結する筐体締結点を前記カバー側に設け、前記カバーの外面において、前記筐体締結点を跨ぐように前記補強用リブを配置することを特徴とする請求項3記載の開閉体用モータユニット。
【請求項5】
前記ケースの外面に設けられる前記補強用リブの高さは、前記ケースの前記減速機構用凹部の高さを超えないように設定されることを特徴とする請求項1または2記載のドアラッチ用ストライカ。
【請求項6】
前記カバーの外面に設けられる前記補強用リブの高さは、前記カバーのモータ用凸部の高さを超えないように設定されることを特徴とする請求項3または4記載のドアラッチ用ストライカ。
【請求項7】
前記車両パネル締結点の周囲に緩衝部材を設け、前記緩衝部材は前記車両パネルとの接触面積を減らすために、前記車両パネル締結点から放射状に延びる車両パネル接触面を設けることを特徴とする請求項2記載の開閉体用モータユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両ドアのドアロックを動作させる開閉体用モータユニットに関し、特に、自体の作動音を低減させる開閉体用モータユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータユニットとして、特許文献1のように、乗り物用シートの巻き取り装置が開示されている。特許文献1では、ケース本体101およびカバー102内には、モータ110、第1ウォム120、第1ウォムホイール130、および第2ウォム140が収容されている。ただし、モータユニット自体の作動音を低減する対策はとられていない。
【0003】
更に、モータユニットとして、特許文献2のように、電動式駆動ユニット3が開示されている。特許文献2では、緩衝部材13によって、減速装置9からベース8への振動の伝達、すなわちスイングドア1への振動の伝達を阻止する構成が開示されている。ただし、特許文献1と同様に、モータユニット自体の作動音低減については対策がされているとは言い難い。
一方、開閉体の電動化が進む中で、ドアロックを動作させる開閉体用モータユニット自体の作動音の低減が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-120455号公報
【特許文献2】特開2000-080838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記課題に鑑み、車両ドアのドアロックを動作させる開閉体用モータユニットに関し、特に、自体の作動音を低減させる開閉体用モータユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1)第1の発明は、車両ドアのドアロックを動作させる開閉体用モータユニットにおいて、前記開閉体用モータユニットの筐体は、ケースおよびカバーからなり、
前記ケースには、モータ、およびウォムホイールを含む減速機構が配置され、前記モータ、および前記減速機構は、前記ケースに形成されたモータ用凹部、および減速機構用凹部にそれぞれ収容されるとともに、モータ軸芯方向と前記減速機構に連係する伝達部材の進退方向とが同一となる構成であって、
前記ケースの外面において、前記減速機構用凹部とオーバーラップしない部分に補強用リブを設けることを特徴とする開閉体用モータユニットである。
【0007】
モータの入力に対しては、ケースの平面部が大きく振れることになるが、ケースの外面において、減速機構用凹部以外の全体として平面部を構成している面に補強用リブを設けることで、剛性アップを図ることによって、筐体がモータと共振することを防止できるため、振動が有効に抑えられ開閉体用モータユニット自体の作動音が低減する。
【0008】
(2)第2の発明は、前記ケースの外面に設けられる前記補強用リブは、前記筐体が車両パネルと締結する複数の車両パネル締結点の近傍同士、および/または前記車両パネル締結点の近傍と前記伝達部材の出口付近とを結んだ位置に設けられることを特徴とする前記(1)に記載の開閉体用モータユニットである。
【0009】
固定点となる車両パネル締結点の近傍同士、および/または固定点となる車両パネル締結点近傍と、固定点のない伝達部材の出口付近を結んだ位置に補強用リブを配置することができるため、より振動が有効に抑えられる。
【0010】
(3)第3の発明は、車両ドアのドアロックを動作させる開閉体用モータユニットにおいて、前記開閉体用モータユニットの筐体は、ケースおよびカバーからなり、
前記ケースには、モータ、およびウォムホイールを含む減速機構が配置され、前記カバーには、前記モータを覆うためのモータ用凸部、および減速機構の回転軸を支持する要素である減速機構支持点中心を覆うための減速機構支持点中心用凸部が設けられるとともに、モータ軸芯方向と前記減速機構に連係する伝達部材の進退方向とが同一となる構成であって、
前記カバーの外面に設けられる補強用リブは、前記カバーの前記減速機構支持点中心用凸部から前記筐体が車両パネルと締結する複数の車両パネル締結点の近傍を結ぶように放射状に設けられ、および/または前記伝達部材の出口付近を通るように設けられることを特徴とする開閉体用モータユニットである。
【0011】
カバーは、減速機構支持点中心用凸部から変形するため、補強用リブを減速機構支持点中心用凸部から放射状に配置することで、カバーの剛性アップが図られ、より振動が有効に抑えられる。
【0012】
(4)第4の発明は、前記減速機構および前記モータとオーバーラップしない位置に、前記ケースと締結する筐体締結点を前記カバー側に設け、前記カバーの外面において、前記筐体締結点を跨ぐように前記補強用リブを配置することを特徴とする前記(3)に記載の開閉体用モータユニットである。
【0013】
カバーの外面において、減速機構およびモータとオーバーラップしない平面部に筐体締結点を設けるとともに、この筐体締結点を跨ぐように補強用リブを配置することで、より効果的にカバーの剛性をアップすることができる。
【0014】
(5)第5の発明は、前記ケースの外面に設けられる前記補強用リブの高さは、前記ケースの前記減速機構用凹部の高さを超えないように設定されることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の開閉体用モータユニットである。
【0015】
ケースの外面に設けられる補強用リブの高さをケースの減速機構用凹部の高さを越えないように設定することで、車載性を犠牲にすることなくケースの剛性をアップすることができる。
【0016】
(6)第6の発明は、前記カバーの外面に設けられる前記補強用リブの高さは、前記カバーのモータ用凸部の高さを超えないように設定されることを特徴とする前記(3)または(4)に記載の開閉体用モータユニットである。
【0017】
カバーの外面に設けられる補強用リブの高さをカバーのモータ用凸部の高さを越えないように設定することで、車載性を犠牲にすることなくカバーの剛性をアップすることができる。
【0018】
(7)第7の発明は、前記車両パネル締結点の周囲に緩衝部材を設け、前記緩衝部材は前記車両パネルとの接触面積を減らすために、前記車両パネル締結点から放射状に延びる車両パネル接触面を設けることを特徴とする前記(2)に記載の開閉体用モータユニットである。
【0019】
開閉体用モータユニットと車両パネルとの接触面積を減らすことで、車両パネルに伝わる音を減らすことができ車両パネルから発する音を減らすことができ静粛性が向上する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の開閉体用モータユニットによると、モータの入力に対しては、ケースの平面部が大きく振れることになるが、ケースの外面において、減速機構用凹部以外の平面部に補強用リブを設けることで、ケースの剛性アップを図られ、ケースがモータと共振することを防止できる。さらにカバーの外面において、減速機構支持点中心用凸部から変形するため、減速機構支持点中心用凸部から放射状に補強用リブを設けることで、カバーの剛性アップが図られ、カバーがモータと共振することを防止できる。こうして、ケースおよびカバーの振動が有効に抑えられ開閉体用モータユニット自体の作動音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】開閉体用モータユニットのケースを外しカバーに収まる状態の内部構成を示す図である。
【
図2】開閉体用モータユニットのカバーを外しケースに収まる状態の内部構成を示す図である。
【
図3】本発明に係る開閉体用モータユニットのケース側の補強用リブの一実施形態を示す図である。
【
図4】本発明に係る開閉体用モータユニットのカバー側の補強用リブの一実施形態を示す図である。
【
図5】
図3に示す補強用リブと減速機構用凹部との高さ関係を示す図である。
【
図6】
図4に示すカバー側の補強用リブとモータ用凸部との高さ関係を示す図である。
【
図7】ケース側の3か所の車両パネル締結点のうち、1か所の車両パネル締結点のブッシュマウントの内側にある緩衝部材および車両パネル接触面を示す図である。
【
図8】
図7に示す緩衝部材および車両パネル接触面と車両パネル側から装着させた締結部材との構成を示す縦断側面図である。
【
図9】従来技術の筐体内に設置されたモータおよび伝達部材とその周囲との接触状態を示す図である。
【
図10】
図2におけるB-B線断面図で、(a)は無負荷状態回転時の回転軸とその周囲との関係、(b)は負荷状態回転時の回転軸とその周囲との関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態により限定されるものではなく、以下の実施形態から当業者が自明の範囲内で適宜変更したものも含む。
【0023】
図1は、開閉体用モータユニット1のケース100を外しカバー200に収まる状態の内部構成を示しており、
図2は、開閉体用モータユニット1のカバー200を外しケース100に収まる状態の内部構成を示している。開閉体用モータユニット1は、ケース100およびカバー200が筐体を構成している。なお、ケース100およびカバー200は、樹脂材である。カバー200は、ケース100よりも軟質材が用いられる。ケース100は、例えばPBT(polybutyleneterephtalate)であり、カバー200は、例えばPP(polypropylene)である。
【0024】
ケース100は、やや硬質のPBTで形成されることにより、次に述べる減速機構(ウォム22、ウォムホイール23、中継ギア24、出力ギア25)を収納しており、これらを軸支する強度と、車両パネル締結点171、172、173を介して車両パネルに取り付ける強度とを有している。カバー200もギア類の支持をしているが、ケース100と比較して強度的には補助的な支持である。カバー200は、ケース100よりも軟質のPPで形成されることにより、振動や騒音を吸収することができる。また軽量化を図ることができる。
【0025】
ケース100とカバー200によって構成される筐体の内部には、モータ11、回転軸21、ウォム22、ウォムホイール23、中継ギア24、出力ギア25が設けられている。
図1は、ケース100を取り外した時の開閉体用モータユニット1の内部構成を示しているが、実際の組み立て時には、
図2に示すケース100に配置される。
【0026】
ウォムホイール23は、モータ11のウォム22によって駆動される。中継ギア24は、ウォムホイール23と同軸上にあり、ウォムホイール23と一体的に回転する。出力ギア25は、中継ギア24によって駆動される。伝達部材31は、出力ギア25に連係されており、出力ギア25の回転により、伝達部材31が進退方向に送り出され、または巻き取られる。伝達部材31の進退方向の移動は、モータ11の回転がウォムホイール23および出力ギア25で減速されて伝達されることで行われる。なお、
図1および
図2に示すように、モータ11の回転軸21の方向と出力ギア25に連係する伝達部材21の進退方向とが同一となる構成が採用されている。
【0027】
ここで、ケースとカバーによって構成される筐体の内部にモータを設置する際に本願にも採用される従来技術について説明する。
図9は、特開2021-195795号公報の
図7のケース34の内部構成を示している。特開2021-195795号公報の明細書の段落[0034]には、「本体収納室62および円弧状突起64は、カバー36(
図4参照)にも設けられている。ケース34およびカバー36の各本体収納室62は組み合わさって本体52の全体を収納する。ケース34およびカバー36の各円弧状突起64は、本体52における周面の広い範囲に当接し、該本体52が周方向に移動または振動することを防止する。また、各円弧状突起64によってケース34およびカバー36は剛性が向上し、モータ38または他の外力による振動および共振が防止される。」と記載されている。
【0028】
さらに、モータ38の回転軸54の支持に関して、特開2021-195795号公報の明細書の段落[0040]には、「ケース34には一対の第3支持片(軸先端支持部)72が一体成形されている。一対の第3支持片72は、それらの間の底部74aとともに回転軸54の先端部三方を支持する。一対の第3支持片72および底部74aは、回転軸54の周面に沿った円弧形状凹部としてもよい。第3支持片72および底部74aは、回転軸54に対して軽く接し、または微小な隙間が設けられている。」と記載されている。
【0029】
このように、ケースとカバーによって構成される筐体の内部にモータを設置する際の従来技術として、
図9の下部に示すように、モータ本体は、ケース34とカバー36とで構成される本体収納室62内で、側部は本体収納室62に当接し、上部および下部は本体収納室62に当接させないで、かつ、回転軸54は、第3支持片72および底部74aに当接させない構成とされていた。
なお、本願では
図10に示すとおり、モータ11および減速機構に負荷が掛からない無負荷状態回転時では、上述した特開2021-195795号公報と同様に、回転軸21は、第3支持片372および底部374aとは当接しない構成となっている。ただし、負荷が掛かる負荷状態回転では回転軸21を第3支持片372に当接させることで、ウォム22とウォムホイール23の歯に加わる力によって、回転軸21が撓むことで、ウォム22がウォムホイール23から逃げてしまうギア飛びが発生することを防止できる。
【0030】
図3は、本発明に係る開閉体用モータユニット1のケース100側の補強用リブの一実施形態を示している。本発明は、モータユニット自体の作動音を低減させる開閉体用モータユニット1を提供するために、ケース100の外面に補強用リブを設けることを提案する。
【0031】
ケース100の外面の形状は、中継ギア24および出力ギア25を収容するための減速機構用凹部121がケース100の外面に隆起しており、それ以外のケース100の外面は、モータ11を収容するためのモータ用凹部122がケース100の外面にやや隆起しているが、全体として平面部を構成している(
図5参照)。補強用リブは、減速機構用凹部121を除く平面部に設けられる。
【0032】
補強用リブをこの平面部に設けるのは、モータへ入力する際には、ケースの平面部が大きく振れるため、出力ギア25が収容される減速機構用凹部121以外の平面部に補強用リブを設けることで、平面部の剛性を増加させることによって、筐体がモータと共振することを防止できるためである。これにより、開閉体用モータユニット1の振動が有効に抑えられ作動音を低減することができる。
【0033】
ケース100におけるモータ軸芯方向A1と出力ギア25に連係する伝達部材31の進退方向A2とが同一となる構成において、補強用リブは、減速機構用凹部121とオーバーラップしていない平面部に設けられる。補強用リブの種類として、複数のケース側水平補強用リブ151および複数のケース側傾斜補強用リブ155、157に分けられる。
【0034】
ケース側水平補強用リブ151は、平面部に略等間隔で設けられる。水平補強用リブは、ケース全体を補強するために設けている。
【0035】
ケース側傾斜補強用リブ155は、車両パネル締結点171、173(固定点)の近傍同士を結んだ位置(ただし、減速機構用凹部121には設けない)に設けられる。ケース側傾斜補強用リブ157は、車両パネル締結点172(固定点)の近傍から固定点のない伝達部材31(
図1参照)の出口付近を結んで設けられる。傾斜補強用リブは、ケースの弱い部分を補強するために設けている。
【0036】
なお、
図5に示すように、ケース側の補強用リブの高さは、ケース100の減速機構用凹部121の高さを超えないように設定される。ケースの外面に設けられる補強用リブの高さを減速機構用凹部121の高さを越えないように設定することで、車載性を犠牲にすることなくケース100の剛性をアップすることができる。
【0037】
図4は、本発明に係る開閉体用モータユニット1のカバー200側の補強用リブの一実施形態を示している。本発明は、モータユニット自体の作動音を低減させる開閉体用モータユニット1を提供するために、カバー200側にも補強用リブを設けることを提案する。
【0038】
カバー200の外面の形状は、減速機構の一つとして構成される出力ギア25の回転軸を支持する要素としての減速機構支持点中心を覆う減速機構支持点中心用凸部221およびモータ11を覆うモータ用凸部222がカバー200の外面に隆起しており、それ以外のカバー200の外面は、全体として平面部を構成している(
図6参照)。補強用リブは、この平面部に設けられる。
【0039】
補強用リブをこの平面部に設けるのは、モータへ入力する際には、ケース100と同様に、カバーの平面部が大きく振れるため、減速機構支持点中心用凸部221およびモータ用凸部222以外の平面部に補強用リブを設けることで、平面部の剛性を増加させることによって、筐体がモータと共振することを防止できるためである。これにより、開閉体用モータユニット1の振動が有効に抑えられ作動音を低減することができる。
【0040】
ケース100側と同様に、カバー200におけるモータ軸芯方向A1と出力ギア25に連係する伝達部材31(
図2参照)の進退方向A2とが同一となる構成において、補強用リブは、減速機構支持点中心用凸部221から車両パネル締結点171、172、173の近傍を結ぶように放射状に設けられ、および/または伝達部材用の近傍を通るように設けられる。補強用リブの種類として、カバー側水平補強用リブ251およびカバー側傾斜補強用リブ255、256、257に分けられる。
【0041】
複数のカバー側水平補強用リブ251は、平面部に略等間隔で設けられる。水平補強用リブは、ケース全体を補強するために設けている。
【0042】
複数のカバー側傾斜補強用リブ256、257は、筐体締結点225またはその近傍を跨ぐように配置されている。筐体締結点225とは、カバー200における出力ギア25およびモータ11とオーバーラップしないカバー200の外面に設けるケース100との締結点をいう。筐体締結点225またはその近傍を跨ぐように斜補補強用リブを配置することで、より効果的にカバーの剛性を増加させることができる。なお、カバー側傾斜補強用リブ257は、固定点のない伝達部材31の近傍を通るように設けられており、カバーの弱い部分をより効果的に補強することができる。
【0043】
カバー側傾斜補強用リブ255は、減速機構支持点中心用凸部221からケース側の車両パネル締結点171、172、173の近傍を結ぶように放射状に設けられる複数の傾斜補強用リブである。カバー200は、ケース100が連結される減速機構支持中心221から変形するため、減速機構支持中心221から放射状に補強用リブを配置することで、カバーの剛性を増加させることができ、振動を有効に抑えることができる。
【0044】
なお、
図6に示すように、カバー側の補強用リブの高さは、カバー200のモータ用凸部222の高さを超えないように設定される。カバー200の外面に設けられる補強用リブの高さをカバー200のモータ用凸部222の高さを越えないように設定することで、車載性を犠牲にすることなくカバー200の剛性をアップすることができる。
【0045】
図7は、ケース100側の3か所の車両パネル締結点のうち、1か所の車両パネル締結点172のブッシュマウント181の内側にある緩衝部材182および車両パネル接触面183を示している。
図8は、
図7のブッシュマウント181、緩衝部材182および車両パネル接触面183と車両パネル2側から装着させた締結ネジ185との構成を示す縦断側面図である。ブッシュマウント181にはネジ切りがされており車両パネル2側から装着される締結ネジ185と螺合することで、開閉体用モータユニット1を車両パネル2に締結する。なお、緩衝部材182および車両パネル接触面183としては、弾性体であれば各種ゴム素材を用いることができる。
【0046】
車両パネル締結点の周囲に緩衝部材182を設けることで、開閉体用モータユニット1から車両パネル2への振動の伝達を阻止することができる。さらに、緩衝部材182は、車両パネル2に締結されるブシュマウント181との接触面積を減らすため緩衝部材182の表面に放射状に延びる車両パネル接触面183を設けている。
図7では、緩衝部材182の表面に放射状に延びる車両パネル接触面183を4か所設けている。車両パネル接触面183を設けることで、車両パネル2に締結されるブシュマウント181と緩衝部材182との接触面積を減らし、緩衝部材182が撓みやすくなることで、ばね定数の低減が図れることから、車両パネル2に伝わる音を減らすことができ、静粛性が向上する。
【0047】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、上記実施形態に対して、次のような種々の変形や変更及び組み合わせを施すことが可能である。
【0048】
ケース側、カバー側に設ける水平補強用リブの範囲と数を適宜変更する。例えば、水平補強用リブをケース、カバーの外面の上部のみに設ける、あるいは設置する間隔を広げる、または狭める。
【0049】
また、水平補強用リブに代えて、垂直補強用リブを採用する。あるいは、水平補強用リブと垂直補強用リブとを同時に採用する。
【0050】
傾斜補強用リブをケース側、カバー側に設ける範囲と数を適宜変更する。例えば、傾斜補強用リブをケース、カバーの外面の上部に多く設ける、あるいは設置する間隔を広げる、または狭める。
【0051】
水平補強用リブおよび傾斜補強用リブの高さを、ケース側では、減速機構用凹部の高さを超えない範囲で、カバー側では、モータ用凸部の高さを超えない範囲で、適宜変更する。また、補強用リブの高さをケース側で数種類採用し、カバー側でも数種類採用する。
【符号の説明】
【0052】
1 開閉体用モータユニット
2 車両パネル
11 モータ
21 回転軸
22 ウォム(減速機構)
23 ウォムホイール(減速機構)
24 中継ギア(減速機構)
25 出力ギア(減速機構)
31 伝達部材
100 ケース
121 減速機構用凹部
122 モータ用凹部
151 ケース側水平補強用リブ
155、157 ケース側傾斜補強用リブ
171、172、173 車両パネル締結点
181 ブッシュマウント
182 緩衝部材
183 車両パネル接触面
185 締結ネジ
200 カバー
221 減速機構支持点中心用凸部
222 モータ用凸部
225 筐体締結点
251 カバー側水平補強用リブ
255、256、257 カバー側傾斜補強用リブ
372 第3支持片
374a 底部
A1 モータ軸心方向
A2 伝達部材進退方向