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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025022363
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】シリカ除去装置及び吸着剤の再生方法
(51)【国際特許分類】
   C02F 1/28 20230101AFI20250206BHJP
   B01J 20/34 20060101ALI20250206BHJP
   B01J 20/08 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
C02F1/28 F
C02F1/28 E
B01J20/34 H
B01J20/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023126843
(22)【出願日】2023-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000169499
【氏名又は名称】高砂熱学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 峰彦
【テーマコード(参考)】
4D624
4G066
【Fターム(参考)】
4D624AA01
4D624AB14
4D624BA13
4D624BB01
4D624BC01
4D624DA07
4D624DA08
4G066AA20B
4G066BA12
4G066BA36
4G066CA21
4G066DA07
4G066GA01
4G066GA18
4G066GA32
(57)【要約】
【課題】より低廉なランニングコストで運用できるシリカ除去装置及び吸着剤の再生方法を提供する。
【解決手段】本シリカ除去装置は、水が導入される容器と、上記容器内に配置され、上記水に含まれるシリカを除去する活性アルミナ及び水酸化酸化アルミニウムの少なくとも一方を含む吸着剤と、上記吸着剤によって上記水から上記シリカが除去された処理水を上記容器の外部に供給する供給路と、上記吸着剤を加熱する加熱部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が導入される容器と、
前記容器内に配置され、前記水に含まれるシリカを除去する活性アルミナ及び水酸化酸化アルミニウムの少なくとも一方を含む吸着剤と、
前記吸着剤によって前記水から前記シリカが除去された処理水を前記容器の外部に供給する供給路と、
前記吸着剤を加熱する加熱部と、を備える、
シリカ除去装置。
【請求項2】
前記加熱部は、前記吸着剤を40℃以上に加熱する、
請求項1に記載のシリカ除去装置。
【請求項3】
前記加熱部による加熱後に、前記容器内に貯留された前記水を排水する排水路と、
前記加熱部による加熱後に前記処理水を前記容器に供給し、供給した前記処理水を前記排水路から排水する処理水供給部と、をさらに備える、
請求項1に記載のシリカ除去装置。
【請求項4】
前記容器は、第1容器及び第2容器を含み、
前記第1容器及び上記第2容器の何れか一方の容器内に配置された前記吸着剤を前記加熱部が加熱する間は、何れか他方の容器内の前記吸着剤によって前記水から前記シリカが除去される、
請求項1に記載のシリカ除去装置。
【請求項5】
前記容器内には、攪拌羽根が配置されており、
前記攪拌羽は所定間隔で駆動されて前記容器内の前記水を攪拌する、
請求項1に記載のシリカ除去装置。
【請求項6】
前記容器内には、超音波発生装置が配置されており、
前記超音波発生装置は所定間隔で超音波を発生させる、
請求項1に記載のシリカ除去装置。
【請求項7】
前記吸着剤は、メッシュ地の袋に小分けされて前記容器内に配置される、
請求項1から6のいずれか一項に記載のシリカ除去装置。
【請求項8】
水に含まれるシリカを活性アルミナ及び水酸化酸化アルミニウムの少なくとも一方を含む吸着剤に吸着させる処理を停止する吸着停止工程と、
前記シリカを吸着した前記吸着剤を加熱する加熱工程と、を含む、
吸着剤の再生方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリカ除去装置及び吸着剤の再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空調設備の冷水系や冷却水系、ボイラーの給水系、プラントの冷却水系、その他各種の水の循環系統においては、スケール(水垢)の付着、蓄積の問題が存在する。スケールが配管に付着・蓄積すると循環系統が詰まったり、熱交換機の伝熱面に付着・蓄積すると熱交換効率の悪化を招いたりする。スケールの主な原因の一つに水中のシリカ(二酸化ケイ素)のイオンがある。このようなシリカを水から除去する技術としては、活性アルミナ(γ-Al3)によってシリカを吸着する技術が提案されている(非特許文献1-3)
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】W. Bouguerra、外3名、“Equilibrium and kinetic studies of adsorption of silica onto activated alumina”、[online]、2006年1月31日、Science Direct、[令和5年5月18日検索]、インターネット<https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0011916406014081?via%3Dihub>
【非特許文献2】A.S.BEHRMAN、他1名、“Removal of Silica from Water”、[online]、1940年4月1日、ACS Publications[令和5年8月16日検索]、インターネット<https://pubs.acs.org/doi/10.1021/ie50364a006>
【非特許文献3】Ruben Miranda、外2名、“Silica Removal from a Paper Mill Effluent by Adsorption on Pseudoboehmite and γ-Al2O3”、[online]、2021年6月29日、MDPI、[令和5年5月18日検索]、インターネット<https://www.mdpi.com/2073-4441/13/15/2031>
【非特許文献4】P. Sanciolo、外4名、“Silica scale mitigation for high recovery reverse osmosis of groundwater for a mining process”、[online]、2013年12月17日、Science Direct、[令和5年5月18日検索]、インターネット<https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0011916414000897?via%3Dihub>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明者らは、活性アルミナと同様に水酸化酸化アルミニウムにもシリカを吸着できる特性があることを発見した。しかしながら、活性アルミナ及び水酸化酸化アルミニウムによるシリカ吸着量には限界がある。そのため、活性アルミナ及び水酸化酸化アルミニウムの少なくとも一方を含む吸着剤を用いて原水からシリカを除去するシリカ除去装置において、吸着剤を定期的に交換するとランニングコストが高価になる。
【0005】
開示の技術の1つの側面は、より低廉なランニングコストで運用できるシリカ除去装置及び吸着剤の再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の技術の1つの側面は、次のようなシリカ除去装置によって例示される。本シリカ除去装置は、水が導入される容器と、上記容器内に配置され、上記水に含まれるシリカを除去する活性アルミナ及び水酸化酸化アルミニウムの少なくとも一方を含む吸着剤と、上記吸着剤によって上記水から上記シリカが除去された処理水を上記容器の外部に供給する供給路と、上記吸着剤を加熱する加熱部と、を備える。
【0007】
上記シリカ除去装置によれば、シリカを吸着した吸着剤を加熱することによって再生し、再生した吸着剤によってふたたびシリカを吸着できる。シリカを吸着させた吸着剤を新しい吸着剤に入れ替えることなく水からシリカの除去を継続できるため、より低廉なランニングコストでシリカ除去装置を運用できる。
【0008】
上記シリカ除去装置は、次の特徴を備えてもよい。上記加熱部は、上記吸着剤を40℃以上に加熱する。活性アルミナ及び水酸化酸化アルミニウムの少なくとも一方を含む吸着剤は、40℃以上に加熱されることで、加熱再生後におけるシリカ吸着量を高めることができる。そのため、加熱再生後の吸着剤を用いたシリカ除去の効率低下を可及的に抑制できる。
【0009】
上記シリカ除去装置は、次の特徴を備えてもよい。上記加熱部による加熱後に、上記容器内に貯留された上記水を排水する排水路と、上記加熱部による加熱後に上記処理水を上記容器に供給し、供給した上記処理水を上記排水路から排水する処理水供給部と、をさらに備える。このような特徴を備えるシリカ除去装置であれば、加熱後に容器に残留したシリカを上記処理水によって上記容器から洗い流すことができるため、加熱後の吸着剤に対する余計なシリカ除去を抑制できる。
【0010】
上記シリカ除去装置は、次の特徴を備えてもよい。上記容器は、第1容器及び第2容器を含み、上記第1容器と上記第2容器の何れか一方の容器内に配置された上記吸着剤を上記加熱部が加熱する間は、何れか他方の容器内の上記吸着剤によって上記水から上記シリカが除去される。このような特徴を備えるシリカ除去装置であれば、第1容器内の吸着剤を加熱する間は第2容器によって水からのシリカ除去が実行され、第2容器内の吸着剤を加熱する間は第1容器によって水からのシリカ除去が実行される。すなわち、本シリカ除去装置であれば、吸着剤の加熱中であっても水からのシリカ除去を継続できる。
【0011】
上記シリカ除去装置は、次の特徴を備えてもよい。上記容器内には、攪拌羽根が配置されており、上記攪拌羽は所定間隔で駆動されて上記容器内の上記水を攪拌する。上記容器内に水が貯留された状態で上記攪拌羽根が回転することで、上記容器内の水が攪拌されて、吸着剤に付着した気泡が除去される。通水に伴い吸着剤には気泡が付着することが考えられ、気泡の付着によって吸着剤によるシリカ除去性能が低下する虞がある。このような特徴を備えるシリカ除去装置であれば、吸着剤に付着した気泡を除去できるため、シリカ除去装置のシリカ除去能力が低下が抑制される。なお、吸着剤に付着した気泡の除去は、上記容器内に超音波発生装置が配置し、上記超音波発生装置よって所定間隔で超音波を発生させることで実現されてもよい。
【0012】
上記シリカ除去装置は、次の特徴を備えてもよい。上記吸着剤は、メッシュ地の袋に小分けされて上記容器内に配置される。このような特徴を備えるシリカ除去装置であれば、メッシュ自体がフィルターとなり、上記水中の懸濁物が除去される。また、吸着剤を複数の容器に小分けした場合、上記容器内における水の流れがメッシュ間の隙間で整流されて均一な流れになるとともに、より早期に寿命に達すると考えられる上流側の吸着剤を優先して入れ替えることもできる。
【0013】
開示の技術は、吸着剤の再生方法の側面から把握することも可能である。
【発明の効果】
【0014】
開示の技術によれば、より低廉なランニングコストで運用できるシリカ除去装置及び吸着剤の再生方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態に係るシリカ除去装置の一例を示す図である。
図2図2は、吸着塔の断面の一例を示す図である。
図3図3は、シリカを吸着する性能について行った検証の検証結果の一例を示す図である。
図4図4は、活性アルミナによるシリカの吸着の検証結果を例示する図である。
図5図5は、実施形態に係るシリカ除去装置による原水からのシリカ除去の処理の流れの一例を示す図である。
図6図6は、第1変形例に係るシリカ除去装置の一例を示す図である。
図7図7は、第1変形例に係るシリカ除去装置による原水からのシリカ除去の処理の流れの一例を示す図である。
図8図8は、第2変形例に係るシリカ除去装置の一例を示す図である。
図9図9は、第2変形例に係るシリカ除去装置による原水からのシリカ除去の処理の流れの一例を示す図である。
図10図10は、第3変形例に係る活性アルミナの加熱システムの一例を示す図である。
図11図11は、第4変形例において、攪拌羽根を設けた吸着塔の一例を示す図である。
図12図12は、第4変形例において、超音波発生装置を設けた吸着塔の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態>
図1は、実施形態に係るシリカ除去装置1の一例を示す図である。シリカ除去装置1は、吸着塔2、3、原水供給管4、処理水供給管5、排水管6、バルブ7、7A、8、8A、加熱装置21、31、接続管41、42、51、52、61、62を備える。
【0017】
原水供給管4は、接続管41によって吸着塔2に接続されるとともに、接続管42によって吸着塔3に接続される配管である。原水供給管4は、水道水や井戸水等の原水を接続管41、42を介して吸着塔2、3に供給する。接続管41、42には、バルブ7、8が夫々設けられる。シリカ除去装置1は、バルブ7、8の開閉によって吸着塔2、3のいずれに原水を供給するかを選択できる。
【0018】
吸着塔2、3は、原水中のシリカを活性アルミナ(γ-Al、γアルミナ)及び水酸化酸化アルミニウム(AlOOH)の少なくとも一方を含む吸着剤に吸着させる。なお、α-Alも活性アルミナと称されることがあるが、本明細書においては活性アルミナはα-Alではなくγ-Alであるものとする。吸着剤は、例えば、粒状に形成される。図2は、吸着塔2の断面の一例を示す図である。図2では吸着塔2の断面の一例を例示するが、吸着塔3の断面も同様である。吸着塔2の内部には、粒状に形成された水酸化酸化アルミニウム22が充填される。本実施形態では、吸着剤として水酸化酸化アルミニウム22を採用する構成について説明するが、上述の通り、吸着剤は水酸化酸化アルミニウム22及び活性アルミナの少なくとも一方を含めばよい。吸着塔2の内部に粒状の水酸化酸化アルミニウム22が充填されると、吸着塔2の内部に隙間23が形成される。原水供給管4から供給された原水が隙間23を通過することで、原水内のシリカが水酸化酸化アルミニウム22に吸着される。吸着塔2、3でシリカが吸着された処理水は、接続管51、52を介して処理水供給管5に送水される。吸着塔2、3は、「容器」の一例である。吸着塔2は、「第1容器」の一例である。吸着塔3は、「第2容器」の一例である。
【0019】
処理水供給管5は、接続管51によって吸着塔2に接続されるとともに、接続管52に
よって吸着塔3に接続される配管である。処理水供給管5は、吸着塔2、3によってシリカが吸着された処理水を、例えば、空調設備の冷水系や冷却水系、ボイラーの給水系、プラントの冷却水系、その他各種の水の循環系統等の外部の設備に供給する。接続管51にはバルブ7Bが設けられ、接続管52にはバルブ8Bが設けられる。バルブ7B、8Bの開閉によって、吸着塔2、3のいずれから処理水を処理水供給管5に流すかを選択できる。処理水供給管5は、「供給路」の一例である。
【0020】
排水管6は、接続管61によって吸着塔2に接続されるとともに、接続管62によって吸着塔3に接続される配管である。接続管61、62には、バルブ7A、8Aが夫々設けられる。バルブ7A、8Aの開閉によって、吸着塔2、3から排水するか否かを選択できる。排水管6は、吸着塔2、3に貯留された水を排水する。排水管6は、「排水路」の一例である。
【0021】
加熱装置21、31は、吸着塔2、3の側面に接するように配置される。加熱装置21、31は、吸着塔2、3を加熱することで、吸着塔2、3内の水酸化酸化アルミニウム22を加熱するヒーターである。加熱装置21、31の加熱方式に限定は無く、例えば、火による加熱、通電したニクロム線による加熱、電磁誘導による加熱等、様々な手段を採用できる。図1では加熱装置21、31は吸着塔2、3の側面に接することで、吸着塔2、3の外側から加熱するよう図示されているが、加熱装置21、31は吸着塔2、3の内部に配置されてもよい。加熱装置21、31は、「加熱部」の一例である。
【0022】
<水酸化酸化アルミニウム22の製造方法>
水酸化酸化アルミニウム22は、例えば、以下の(1)から(2)の工程で製造される。
(1)Al+2OH+3HOをNaHO溶液に溶解し、ろ過した後に冷却することで、下記反応によりAl(OH)を生成。
Al+2OH+3HO→2Al(OH)+H
(2)Al(OH)を中性から弱塩基性の水溶液中で150℃から300℃に加熱することで下記反応によりAlO(OH)を生成。
Al(OH)→AlO(OH)+H
【0023】
<活性アルミナの製造方法>
活性アルミナは、例えば、以下の(1)から(3)の工程で製造される。
(1)Al+2OH+3HOをNaHO溶液に溶解し、ろ過した後に冷却することで、下記反応によりAl(OH)を生成。
Al+2OH+3HO→2Al(OH)+H
(2)Al(OH)を中性から弱塩基性の水溶液中で150℃から300℃に加熱することで下記反応によりAlO(OH)を生成。
Al(OH)→AlO(OH)+H
(3)AlO(OH)を500℃に加熱することで、下記反応により活性アルミナ(γ-Al)を生成。なお、AlO(OH)を1000℃以上に加熱するとα-Alが生成される。
2AlO(OH)→Al+H
【0024】
ここで、水酸化酸化アルミニウム22と活性アルミナのシリカを吸着する性能について検証する。本検証は、以下の手順で行われる。
(1)検証対象とするサンプル0.1gを16mg-si/gのケイ酸ナトリウム水溶液または水道水に入れる。
(2)水温20℃で24時間サンプルを浸漬する。
(3)5Cろ紙でろ過し、ろ液中のケイ素濃度を測定する。
【0025】
図3は、シリカを吸着する性能について行った検証の検証結果の一例を示す図である。図3では、水酸化酸化アルミニウム22及び活性アルミナの他に、水酸化アルミニウム(Al(OH))及びαアルミナ(α‐Al)についての結果も比較として例示される。図3を参照すると、水酸化アルミニウム及びαアルミナに対して、水酸化酸化アルミニウム22及び活性アルミナは、いずれも高いシリカ除去能力を有することが理解できる。また、用意した4つのサンプルの中では水酸化酸化アルミニウム22が最もシリカ除去能力が高いことが理解できる。
【0026】
<シリカを吸着した水酸化酸化アルミニウム22の加熱再生>
シリカ吸着済みの水酸化酸化アルミニウム22に対する加熱再生について検証したので、図面を参照して説明する。図4は、水酸化酸化アルミニウム22によるシリカの吸着の検証結果を例示する図である。以下、図4を参照して、検証結果について説明する。
【0027】
(第1検証)
第1検証では、水酸化酸化アルミニウム22によるシリカ吸着量と水酸化酸化アルミニウム22を加熱する温度との関係を検証した。第1検証では、以下の第1工程から第3工程の各工程が行われた。
【0028】
(第1工程)シリカ濃度「a mg/L」の水「50ml」中に水酸化酸化アルミニウム22を「1g」、1時間浸漬した。浸漬後に水酸化酸化アルミニウム22と水とを分離し、分離した水のシリカ濃度「b mg/L」を調査した。水酸化酸化アルミニウム22が吸着したシリカ量は、「{(a-b)[mg/L]×0.05[L]}/1[g]」によって算出される。なお、初めてシリカを吸着させたときにおける水酸化酸化アルミニウム22によるシリカの吸着量は「2.4mg-si/g」であった。
【0029】
(第2工程)第1工程においてシリカを吸着させた水酸化酸化アルミニウム22を加温した超純水50ml中に24時間浸漬させることで水酸化酸化アルミニウム22を加熱し、水酸化酸化アルミニウム22を加熱再生する。浸漬後、水酸化酸化アルミニウム22と超純水とを分離する。
【0030】
(第3工程)第2工程で超純水から分離した水酸化酸化アルミニウム22を用いて、再度第1工程のシリカ吸着を実施する。
【0031】
図4Aは、第1検証において、加温した超純水の温度と水酸化酸化アルミニウム22によるシリカ吸着量の関係を例示する図である。図4Aの縦軸は第3工程における水酸化酸化アルミニウム22によるシリカの吸着量(mg-si/g)を例示し、横軸は上記第2工程における超純水の温度(℃)を例示する。図4Aを参照すると、第2工程で用いる超純水の温度が高いほど、再生した水酸化酸化アルミニウム22によるシリカの吸着量が多いことが理解できる。第2工程における超純水の温度は、例えば、40℃以上が好ましい。
【0032】
図4Bは、第1検証において、超純水を80℃に加温した状態で超純水に水酸化酸化アルミニウム22を浸漬させる浸漬時間と水酸化酸化アルミニウム22によるシリカ吸着量の関係を例示する図である。また、図4Cは、第1検証において、超純水を60℃に加温した状態で超純水に水酸化酸化アルミニウム22を浸漬させる浸漬時間と水酸化酸化アルミニウム22によるシリカ吸着量の関係を例示する図である。図4B及び図4Cを参照すると、浸漬時間が長いほど、再生した水酸化酸化アルミニウム22によるシリカの吸着量が多いことが理解できる。また、浸漬時間は30秒程度でも水酸化酸化アルミニウム22によるシリカの吸着量が回復傾向になることが理解できる。また、図4Bを参照すると、
80℃の超純水に水酸化酸化アルミニウム22を24時間浸漬させることで、初めてシリカを吸着させたときと同程度の「2.2mg-si/g」まで水酸化酸化アルミニウム22によるシリカ吸着量を回復させることができることが理解できる。
【0033】
(第2検証)
第2検証では、第1検証における第1工程から第3工程を繰り返し実施し、水酸化酸化アルミニウム22によるシリカ吸着量の変化を検証した。なお、第2検証では、第2工程において超純水を80℃に加温し、超純水に水酸化酸化アルミニウム22を浸漬する時間は24時間に設定された。図4Dは、第2検証の結果を例示する図である。図4Dの縦軸は水酸化酸化アルミニウム22によるシリカの吸着量(mg-si/g)を例示し、横軸は第1工程から第3工程を繰り返した回数を例示する。
【0034】
図4Dを参照すると、加熱することによる水酸化酸化アルミニウム22の再生を繰り返し実施しても、水酸化酸化アルミニウム22によるシリカの吸着量は「1.5mg-si/g」程度は維持できることが理解できる。すなわち、加熱による水酸化酸化アルミニウム22の再生は繰り返し実行できることが理解できる。なお、図4Aから図4Dを参照して水酸化酸化アルミニウム22によるシリカの吸着について説明したが、活性アルミナについても水酸化酸化アルミニウム22と略同様の結果となる。
【0035】
<シリカ除去の流れ>
図5は、実施形態に係るシリカ除去装置1による原水からのシリカ除去の処理の流れの一例を示す図である。図5では、吸着塔2を第1吸着塔、吸着塔3を第2吸着塔、バルブ7を第1バルブ、バルブ8を第2バルブ、バルブ7Aを第3バルブ、バルブ8Aを第4バルブ、加熱装置21を第1加熱装置、加熱装置31を第2加熱装置と記載される。以下、図5を参照して、シリカ除去装置1による原水からのシリカ除去の処理の流れの一例について説明する。
【0036】
ステップS1では、バルブ7、7Bが開放されるとともに、バルブ7A、8、8A、8Bは閉塞される。その結果、原水供給管4及び接続管41を介して原水は吸着塔2に流入し、吸着塔2でシリカが除去された処理水は接続管51及び処理水供給管5を介して外部の設備に供給されるようになる。
【0037】
ステップS2では、吸着塔2において原水に含まれるシリカが吸着塔2内の水酸化酸化アルミニウム22に吸着されて除去される。吸着塔2によってシリカが除去された処理水は、接続管51及び処理水供給管5を介して外部の設備に供給される。
【0038】
ステップS3では、バルブ8、8Bが開放され、バルブ7、7Bが閉塞される。その結果、原水供給管4及び接続管42を介して原水が吸着塔3に流入し、吸着塔3でシリカが除去された処理水は接続管52及び処理水供給管5を介して外部の設備に供給されるようになる。
【0039】
ステップS4では、吸着塔3において原水に含まれるシリカが吸着塔3内の水酸化酸化アルミニウム22に吸着されて除去される。吸着塔3によってシリカが除去された処理水は、接続管52及び処理水供給管5を介して外部の設備に供給される。また、加熱装置21によって吸着塔2内の水酸化酸化アルミニウム22が加熱される。水酸化酸化アルミニウム22が加熱されることで、水酸化酸化アルミニウム22は再度シリカを吸着できるようになる。水酸化酸化アルミニウム22の加熱後、バルブ7Aが開放されて吸着塔2内に貯留された水が接続管61を介して排水管6から排水される。
【0040】
ステップS5では、バルブ7、7Bが開放されるとともに、バルブ7A、8、8A、8
Bは閉塞される。その結果、供給される原水は、原水供給管4及び接続管41を介して吸着塔2に流入するようになる。
【0041】
ステップS6では、吸着塔2において原水に含まれるシリカが吸着塔2内の水酸化酸化アルミニウム22に吸着されて除去される。吸着塔2によってシリカが除去された処理水は、接続管51及び処理水供給管5を介して外部の設備に供給される。また、加熱装置31によって吸着塔3内の水酸化酸化アルミニウム22が加熱される。水酸化酸化アルミニウム22が加熱されることで、水酸化酸化アルミニウム22は再度シリカを吸着できるようになる。水酸化酸化アルミニウム22の加熱後、バルブ8Aが開放されて吸着塔3内に貯留された水が接続管62を介して排水管6から排水される。
【0042】
<実施形態の作用効果>
本実施形態によれば、シリカを吸着した水酸化酸化アルミニウム22を加熱再生し、加熱再生した水酸化酸化アルミニウム22によってシリカを吸着できる。すなわち、本実施形態によれば、シリカを吸着させた水酸化酸化アルミニウム22を新しい水酸化酸化アルミニウム22に入れ替えることなく水からシリカの除去を継続できる。そのため、本実施形態によれば、水酸化酸化アルミニウム22による原水からのシリカ除去のランニングコストを低減できる。
【0043】
本実施形態によれば、吸着塔2内の水酸化酸化アルミニウム22を再生する間は吸着塔3によって原水からのシリカ除去が実行され、吸着塔3内の水酸化酸化アルミニウム22を再生する間は吸着塔2によって原水からのシリカ除去が実行される。すなわち、本実施形態によれば、水酸化酸化アルミニウム22の再生中であっても原水からのシリカ除去を継続できる。
【0044】
本実施形態によれば、水酸化酸化アルミニウム22の加熱後、吸着塔2、3内に貯留された水は接続管61、62を介して排水管6から排水される。そのため、加熱によって再生された水酸化酸化アルミニウム22への貯留された水に含まれるシリカの吸着が抑制される。
【0045】
<第1変形例>
以上説明した実施形態では、吸着塔2、3内の水酸化酸化アルミニウム22を加熱して再生した後、吸着塔2、3内の洗浄を行わなかった。第1変形例では、吸着塔2、3内の水酸化酸化アルミニウム22を加熱して再生した後に吸着塔2、3内を洗浄する変形例について説明する。実施形態と同一の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。以下、図面を参照して第1変形例について説明する。
【0046】
図6は、第1変形例に係るシリカ除去装置1Aの一例を示す図である。シリカ除去装置1Aは、吸着塔2に洗浄水供給管9が接続され、吸着塔3に洗浄水供給管10が接続される点で、実施形態に係るシリカ除去装置1とは異なる。洗浄水供給管9、10には、バルブ7C、8Cが夫々設けられる。
【0047】
洗浄水供給管9は、吸着塔2内を洗浄する洗浄水を吸着塔2に供給する配管である。吸着塔2に供給された洗浄水は、接続管61を介して排水管6から排水される。洗浄水供給管10は、吸着塔3内を洗浄する洗浄水を吸着塔3に供給する配管である。吸着塔3に供給された洗浄水は、接続管62を介して排水管6から排水される。洗浄水としては、例えば、吸着塔2、3によってシリカが除去された処理水や超純水を用いることができる。洗浄水供給管9、10は、「処理水供給部」の一例である。
【0048】
図7は、第1変形例に係るシリカ除去装置1Aによる原水からのシリカ除去の処理の流
れの一例を示す図である。以下、図7を参照して、シリカ除去装置1Aによる原水からのシリカ除去の処理の流れの一例について説明する。
【0049】
ステップS1Aでは、バルブ7、7Bが開放されるとともに、バルブ7A、7C、8、8A、8B、8Cは閉塞される。ステップS3Aでは、バルブ8、8Bが開放され、バルブ7、7Bが閉塞される。
【0050】
ステップS41では、バルブ7A、7Cが開放されてから洗浄水供給管9を介して吸着塔2に洗浄水が供給される。吸着塔2に供給された洗浄水は、接続管61を介して排水管6から排水される。その後、バルブ7A、7Cは閉塞される。
【0051】
ステップS42では、バルブ8A、8Cが開放されてから洗浄水供給管10を介して吸着塔3に洗浄水が供給される。吸着塔3に供給された洗浄水は、接続管62を介して排水管6から排水される。その後、バルブ8A、8Cは閉塞される。
【0052】
第1変形例では、加熱によって水酸化酸化アルミニウム22が再生された後に洗浄水によって吸着塔2、3内が洗浄される。この洗浄によって吸着塔2、3内に残留したシリカが洗い流されるため、残留したシリカが水酸化酸化アルミニウム22に吸着されることによる、原水からのシリカ除去量低下が抑制される。
【0053】
<第2変形例>
以上説明した実施形態では、吸着塔2、3の夫々に設けられた加熱装置21、31によって吸着塔2、3が加熱されることで、水酸化酸化アルミニウム22が加熱された。第2変形例では、温水を吸着塔2、3に供給することで水酸化酸化アルミニウム22を加熱する構成について説明する。
【0054】
図8は、第2変形例に係るシリカ除去装置1Bの一例を示す図である。シリカ除去装置1Bは、加熱装置21に代えて温水槽71が温水供給管72及び温水排水管73によって吸着塔2に接続されるとともに、加熱装置31に代えて温水槽81が温水供給管82及び温水排水管83によって吸着塔3に接続される点で、実施形態に係るシリカ除去装置1とは異なる。温水供給管72及び温水排水管73には、バルブ7D、7Eが夫々設けられる。温水供給管82及び温水排水管83には、バルブ8D、8Eが夫々設けられる。
【0055】
温水槽71、81は、処理水供給管から供給される処理水の一部を貯留する水槽である。温水槽71、81は、その内部にヒーターを備え、温水槽71、81内に貯留した処理水を当該ヒーターで加熱することで、例えば、80℃の温水とする。温水槽71は、加熱した温水を温水供給管72を介して吸着塔2に供給し、温水の熱によって水酸化酸化アルミニウム22を加熱して再生する。また、水酸化酸化アルミニウム22によって熱を奪われた温水は、温水排水管73を介して温水槽71に戻される。温水槽71に戻された温水は、温水槽71内のヒーターによって加熱されて温水供給管72を介して吸着塔2に供給される。
【0056】
図9は、第2変形例に係るシリカ除去装置1Bによる原水からのシリカ除去の処理の流れの一例を示す図である。以下、図9を参照して、シリカ除去装置1Bによる原水からのシリカ除去の処理の流れの一例について説明する。
【0057】
ステップS1Aでは、バルブ7、7Bが開放されるとともに、バルブ7A、7D、7E、8、8A、8B、8D、8Eは閉塞される。
【0058】
ステップS4Aでは、吸着塔3において原水に含まれるシリカが吸着塔3内の水酸化酸
化アルミニウム22に吸着されて除去される。吸着塔3によってシリカが除去された処理水は、接続管52及び処理水供給管5を介して外部の設備に供給される。また、バルブ7D、7Eが開放されるとともに、バルブ7、7A、7Bが閉塞される。その結果、温水槽71からの温水が温水供給管72を介して吸着塔2に供給されるとともに、吸着塔2内の水酸化酸化アルミニウム22によって熱を奪われた温水は、温水排水管73を介して温水槽71に戻される。水酸化酸化アルミニウム22が加熱されることで、水酸化酸化アルミニウム22は再度シリカを吸着できるようになる。水酸化酸化アルミニウム22の加熱後、バルブ7Aが開放されて吸着塔2内に貯留された温水が接続管61を介して排水管6から排水される。その後、バルブ7A、7D、7Eは閉塞される。
【0059】
ステップS6Aでは、吸着塔2において原水に含まれるシリカが吸着塔2内の水酸化酸化アルミニウム22に吸着されて除去される。吸着塔2によってシリカが除去された処理水は、接続管51及び処理水供給管5を介して外部の設備に供給される。また、バルブ8D、8Eが開放されるとともに、バルブ8、8A、8Bが閉塞される。その結果、温水槽81からの温水が温水供給管82を介して吸着塔3に供給されるとともに、吸着塔3内の水酸化酸化アルミニウム22によって熱を奪われた温水は、温水排水管83を介して温水槽81に戻される。水酸化酸化アルミニウム22が加熱されることで、水酸化酸化アルミニウム22は再度シリカを吸着できるようになる。水酸化酸化アルミニウム22の加熱後、バルブ8Aが開放されて吸着塔3内に貯留された温水が接続管62を介して排水管6から排水される。その後、バルブ8A、8D、8Eは閉塞される。
【0060】
第2変形例では、温水によって水酸化酸化アルミニウム22を加熱することで、第1変形例と同様に、水酸化酸化アルミニウム22を加熱再生できる。なお、第2変形例における加熱再生中において、水酸化酸化アルミニウム22から溶出したシリカを含む水を吸着塔2、3から排水し、排水した分の水(例えば、処理水)を吸着塔2、3に補充することで、吸着塔2、3内の水を入れ替えてもよい。このような水の入れ替えが行われることで、少ない水でも効率的に加熱再生が行われる。
【0061】
<第3変形例>
以上説明した実施形態及び第2変形例では、吸着塔2、3内で水酸化酸化アルミニウム22が加熱された。第3変形例では、吸着塔2、3の外で水酸化酸化アルミニウム22が加熱される構成について説明する。
【0062】
図10は、第3変形例に係る水酸化酸化アルミニウム22の加熱システム200の一例を示す図である。加熱システム200は、再生容器201、加熱装置202、循環装置203及び接続管211、212、213を備える。再生容器201と加熱装置202とは接続管211によって接続される。加熱装置202と循環装置203とは接続管212によって接続される。循環装置203と再生容器201とは接続管213によって接続される。なお、図10においては、バルブの図示は省略する。
【0063】
再生容器201には、吸着塔2、3においてシリカの吸着に用いられた水酸化酸化アルミニウム22が吸着塔2、3から取り出されて格納される。また、再生容器201には水が貯留される。再生容器201に貯留される水はシリカが除去された処理水が好ましいが、水道水であってもよい。
【0064】
循環装置203は、ポンプを有し、当該ポンプを駆動することで再生容器201に貯留された水を接続管211を介して加熱装置202に送水し、加熱装置202に送水された水を接続管212、循環装置203及び接続管213を介して再生容器201に送水する。すなわち、循環装置203は、再生容器201と加熱装置202との間に水を循環させる。
【0065】
加熱装置202は、水を加熱するヒーターを有し、当該ヒーターによって再生容器201から送水された水を加熱する。加熱装置202によって加熱された水は、上記の通り、循環装置203によって再生容器201に送水される。
【0066】
第3変形例に係る加熱システム200では、加熱装置202によって加熱された水が再生容器201に供給されることで再生容器201内の水酸化酸化アルミニウム22が加熱される。水酸化酸化アルミニウム22を加熱することで熱が奪われた水は、循環装置203によって加熱装置202に送水されて再加熱され、再び再生容器201へと送水される。そのため、第3変形例によれば、吸着塔2、3から取り出された水酸化酸化アルミニウム22を加熱再生できる。
【0067】
なお、加熱システム200によって加熱再生した水酸化酸化アルミニウム22は、水による洗浄によって表面に残留したシリカを除去した後、吸着塔2、3に戻される。また、加熱システム200における加熱再生中において、水酸化酸化アルミニウム22から溶出したシリカを含む水を再生容器201から排水し、排水した分の水(例えば、処理水)を再生容器201に補充することで、再生容器201内の水を入れ替えてもよい。このような水の入れ替えが行われることで、少ない水でも効率的に加熱再生が行われる。
【0068】
<第4変形例>
吸着塔2、3に格納された水酸化酸化アルミニウム22には、原水の通水に伴い気泡が付着することがある。気泡が付着した箇所には原水が流れにくくなるため、吸着塔2、3によるシリカ除去能力が低下する虞がある。第3変形例では、水酸化酸化アルミニウム22に付着した気泡の除去について説明する。
【0069】
気泡の除去には、例えば、吸着塔2、3の内部に攪拌羽根を設けることが考えられる。図11は、第3変形例において、攪拌羽根91を設けた吸着塔2の一例を示す図である。図11では簡単のため、水酸化酸化アルミニウム22の図示は省略している。攪拌羽根91は、例えば、吸着塔2の底部に設けられるが、吸着塔2の上部に設けられてもよい。吸着塔2内に水が貯留された状態で攪拌羽根91が回転することで、吸着塔2内の水が攪拌されて、水酸化酸化アルミニウム22に付着した気泡が除去される。なお、攪拌羽根91は、例えば、所定時間毎に回転させることで、気泡を定期的に除去できるため好ましい。吸着塔3についても同様である。
【0070】
図12は、第4変形例において、超音波発生装置92を設けた吸着塔2の一例を示す図である。超音波発生装置92は、吸着塔2内の水や水酸化酸化アルミニウム22を超音波によって振動させることで、水酸化酸化アルミニウム22に付着した気泡を除去する。なお、超音波発生装置92は、例えば、所定時間毎に超音波を発生させることで、気泡を定期的に除去できるため好ましい。吸着塔3についても同様である。
【0071】
水酸化酸化アルミニウム22に付着した気泡を除去する他の方法としては、例えば、吸着塔2、3の間で水を循環させる方法が挙げられる。また、吸着塔2、3に原水を供給する通水速度を急激に変化(所定の閾値以上の加速度で通水速度を変化)させることでも、水酸化酸化アルミニウム22に付着した気泡を除去し得る。また、吸着塔2、3内に気体を送気することで泡を生成し(バブリング)、当該泡で水酸化酸化アルミニウム22に付着した気泡を除去してもよい。
【0072】
第3変形例によれば、水酸化酸化アルミニウム22に付着した気泡が除去されるため、水酸化酸化アルミニウム22への気泡付着による吸着塔2、3によるシリカ除去能力が低下が抑制される。
【0073】
<第4変形例>
図4Dを参照して説明したように、水酸化酸化アルミニウム22の加熱再生が多数回繰り返されても、水酸化酸化アルミニウム22によるシリカ除去の性能はある程度保たれる。しかしながら、水酸化酸化アルミニウム22を繰り返し加熱再生すると、吸着塔2、3が所望のシリカ除去能力が低下することも考えられる。シリカ除去能力が所望の能力以下となった場合、吸着塔2、3内の水酸化酸化アルミニウム22を新しい水酸化酸化アルミニウム22に入れ替えた方が良いと考えられる。第4変形例では、水酸化酸化アルミニウム22の交換時期の判定について説明する。
【0074】
加熱再生した水酸化酸化アルミニウム22を用いたシリカの除去性能は、例えば、吸着塔2、3によってシリカが除去された処理水に対して、シリカ濃度を測定することで判定できる。シリカの濃度測定方法としてはモリブデンを用いる方法、ICP発光分光分析法、原子吸光光度法等を挙げることができるが、いずれも処理水を連続的に分析したり簡易に分析したりすることには向いていないと考えられる。
【0075】
そこで、第4変形例では、水酸化酸化アルミニウム22の加熱再生の回数に回数閾値を設け、水酸化酸化アルミニウム22の加熱再生の回数が回数閾値以上となった場合には水酸化酸化アルミニウム22の寿命と判定し、吸着塔2、3内の水酸化酸化アルミニウム22を新しい水酸化酸化アルミニウム22に入れ替えることが考えられる。
【0076】
また、第4変形例では、吸着塔2、3によってシリカを除去する原水の処理量に処理量閾値を設け、吸着塔2、3によって処理された原水の処理量が処理量閾値以上となった場合には水酸化酸化アルミニウム22の寿命と判定し、吸着塔2、3内の水酸化酸化アルミニウム22を新しい水酸化酸化アルミニウム22に入れ替えることも考えられる。回数閾値及び処理量閾値は、例えば、事前に試験等によって設定されればよい。
【0077】
なお、入れ替え時における吸着塔2、3への水酸化酸化アルミニウム22の格納の方法として、吸着塔2、3内における水流の乱れを抑制するように吸着塔2、3内に邪魔板を配置し、粒状の水酸化酸化アルミニウム22を吸着塔2、3内への格納する方法が挙げられる。
【0078】
また、入れ替え時における吸着塔2、3への水酸化酸化アルミニウム22の格納の別法として、例えば、水酸化酸化アルミニウム22を通水性のある入れ物(例えば、メッシュ地の袋)に充填し、当該入れ物を吸着塔2、3に格納してもよい。この際、水酸化酸化アルミニウム22をひとつの入れ物に充填して吸着塔2、3に格納してもよい。また、水酸化酸化アルミニウム22を複数の入れ物に小分けして充填して吸着塔2、3に格納してもよい。
【0079】
メッシュ地の袋に水酸化酸化アルミニウム22を充填することで、メッシュ自体がフィルターとなり、原水中の懸濁物が除去される。また、水酸化酸化アルミニウム22を複数の容器に小分けした場合、吸着塔2、3内における原水の流れがメッシュ間の隙間で整流されて均一な流れになるとともに、より早期に寿命に達すると考えられる上流側の水酸化酸化アルミニウム22を優先して入れ替えることもできる。
【0080】
第4変形例によれば、シリカ除去能力が低下した水酸化酸化アルミニウム22が新しい水酸化酸化アルミニウム22に入れ替えられるため、吸着塔2、3を長期間継続運用しても、吸着塔2、3によるシリカ除去能力低下が抑制される。
【0081】
<その他の変形>
実施形態では2つの吸着塔2、3を用いることで、吸着塔2、3の一方において水酸化酸化アルミニウム22の再生が行われている間も吸着塔2、3の他方で原水からのシリカ除去が継続される。しかしながら、シリカ除去装置1はひとつの吸着塔2を備えるものとしてもよい。この場合、吸着塔2において水酸化酸化アルミニウム22の再生が行われている間は原水からのシリカ除去を停止すればよい。吸着塔2をひとつ備える構成とすることで、実施形態に係るシリカ除去装置1よりもシンプルな構成で原水からのシリカ除去を実現できる。
【0082】
また、吸着塔2、3内に水酸化酸化アルミニウム22を攪拌する攪拌装置が設けられてもよい。加熱装置21、31による加熱時に水酸化酸化アルミニウム22が攪拌されることで、より効率的に水酸化酸化アルミニウム22が加熱される。
【0083】
さらに、吸着塔2、3内の水酸化酸化アルミニウム22よりも下流側にはメッシュ状の部材を配置してもよい。このような部材が配置されるすることで、粒状の水酸化酸化アルミニウム22が吸着塔2、3よりも下流に流出することが抑制される。
【0084】
以上で開示した実施形態や変形例はそれぞれ組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0085】
1・・シリカ除去装置
1A・・シリカ除去装置
1B・・シリカ除去装置
2・・吸着塔
3・・吸着塔
4・・原水供給管
5・・処理水供給管
6・・排水管
7・・バルブ
7A・・バルブ
7B・・バルブ
7C・・バルブ
7D・・バルブ
7E・・バルブ
8・・バルブ
8A・・バルブ
8B・・バルブ
8C・・バルブ
8D・・バルブ
8E・・バルブ
9・・洗浄水供給管
10・・洗浄水供給管
21・・加熱装置
22・・水酸化酸化アルミニウム
23・・隙間
31・・加熱装置
41・・接続管
42・・接続管
51・・接続管
52・・接続管
61・・接続管
62・・接続管
71・・温水槽
72・・温水供給管
73・・温水排水管
81・・温水槽
82・・温水供給管
83・・温水排水管
91・・攪拌羽根
92・・超音波発生装置
200・・加熱システム
201・・再生容器
202・・加熱装置
203・・循環装置
211・・接続管
212・・接続管
213・・接続管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12