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特開2025-22366卵殻膜成分と豆苗エキスを含む育毛促進用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025022366
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】卵殻膜成分と豆苗エキスを含む育毛促進用組成物
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/10 20160101AFI20250206BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20250206BHJP
   A23L 33/17 20160101ALI20250206BHJP
   A23L 33/115 20160101ALI20250206BHJP
   A23L 33/16 20160101ALI20250206BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
A23L33/10
A23L33/105
A23L33/17
A23L33/115
A23L33/16
A23L2/52
A23L2/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023126847
(22)【出願日】2023-08-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 株式会社アルマード、プレスリリース、2022年9月21日
(71)【出願人】
【識別番号】501303046
【氏名又は名称】株式会社 アルマード
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(74)【代理人】
【識別番号】100159178
【弁理士】
【氏名又は名称】榛葉 貴宏
(74)【代理人】
【識別番号】100206689
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 恵理子
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 由紀夫
【テーマコード(参考)】
4B018
4B117
【Fターム(参考)】
4B018LB08
4B018LE01
4B018LE02
4B018LE05
4B018MD04
4B018MD16
4B018MD20
4B018MD57
4B018MD72
4B018ME14
4B117LC04
4B117LG11
4B117LK01
4B117LK10
4B117LK15
4B117LK19
4B117LP01
(57)【要約】
【課題】育毛促進効果が高く、飲食品、サプリメントとして利用することのできる安全な経口用の育毛促進用組成物を提供する。
【解決手段】卵殻膜成分と豆苗エキスを含有する本発明の育毛促進用組成物は、人体や皮膚に対する安全性が高く、卵殻膜成分と豆苗エキスとが相乗的に機能して、毛髪にハリやコシを与えて艶を増し、毛髪自体の成長を促進して健康な毛髪の数を増やすことのできる、優れた育毛促進効果を発揮する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
卵殻膜成分および豆苗エキスを含有することを特徴とする、育毛促進用組成物。
【請求項2】
前記卵殻膜成分が加水分解卵殻膜成分を含み、前記豆苗エキスが豆苗エキス末である、請求項1に記載の育毛促進用組成物。
【請求項3】
卵白粉末および/または卵白ペプチドである卵白成分を含む、請求項1に記載の育毛促進用組成物。
【請求項4】
さらに、卵黄油および/または卵殻カルシウムを含む、請求項3に記載の育毛促進用組成物。
【請求項5】
経口用である、請求項1ないし4のいずれかに記載の育毛促進用組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の育毛促進用組成物を含む、飲食品またはサプリメント。
【請求項7】
顆粒剤、錠剤、カプセル剤、液剤、またはドリンク剤である、請求項6に記載の飲食品またはサプリメント。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、育毛・発毛を促し脱毛を防ぐ、育毛促進のための組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪の質や量には個人差があり、生まれつき、または若いときから、毛髪の本数が少ない、毛髪が細いなどの理由で外見上髪が薄い場合がある。また、加齢とともに、毛髪が細くなったり、早期に抜け易くなったりして、年齢が上がると髪が薄くなる場合がある。さらに、ストレスや薬剤の副作用などの医学的な原因により、頭髪全体又は一部の髪が抜けたり、細くなったり、発毛が低減したりすることもある。
【0003】
この問題を解決するために、育毛および脱毛抑制果を有するペプチドを有効成分とする育毛剤(特許文献1、2)や、血行促進作用、免疫抑制作用などを有する各種の植物エキスを有効成分とするもの等、様々な育毛、発毛促進剤が開発されているが、安定して十分な効果が得られるものは数少なく、また、人によっては発赤、かゆみ、かぶれなどの症状を生じる場合もある。
【0004】
卵殻膜は、鶏卵などの鳥類の卵の卵殻の内側にある膜で、内外2枚からなり、外卵殻膜は卵殻内面に密着し、内卵殻膜は卵白を包んでおり、抗菌性を有し、発生中の胚を感染から保護している。卵殻膜は、I型、V型およびX型コラーゲン、グルコサミン、デスモシンおよびヒアルロン酸を主成分とした強靭な繊維性のタンパク質等からなる網目状の構造を有し、これらのタンパク質はシスチンを含むものが多く、酸、アルカリ、プロテアーゼに対して比較的安定で、水に不溶性である。皮膚の再生を促進する効果が知られており、化粧品や栄養剤として実用化されている。
【0005】
不溶性の卵殻膜を水に可溶化して卵殻膜成分の消化吸収効率を高めるために、卵殻膜タンパク質を酸またはアルカリ水溶液中で加水分解したり、タンパク質分解酵素で加水分解すること(特許文献3)により、可溶性の加水分解卵殻膜成分が製造され、サプリメントや化粧品の原料として使用されている。また、卵殻膜成分の育毛促進効果には、特に酵素分解による加水分解卵殻膜成分の育毛促進効果が高いことが、特許文献4に記載されている。
【0006】
また、卵殻膜に包まれている卵白は低脂肪、高タンパク質という理想的な栄養価の食物であり、含まれる卵白タンパク質は、他の植物性や動物性タンパク質に比べて栄養価が高い優れたタンパク質である。産卵後の卵は21日間温められることにより、卵からひよこが誕生するが、その間栄養分の補給はない。ひよこは生まれた瞬間に羽毛100%で誕生するから、鶏卵には発毛に必要な全ての成分が含まれており、毛髪の原料となる優良なタンパク質である卵白とシスチンの豊富な卵殻膜による育毛促進機能(特許文献5)が報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009-57328号公報
【特許文献2】特許第6393772号公報
【特許文献3】特公平7-110210号公報
【特許文献4】特開2019-137619号公報
【特許文献5】特開2022-134216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、育毛促進効果が高く、安全で飲食品およびサプリメントとして利用できる育毛促進用組成物を提供することを課題とする。
本発明は、毛髪にハリやコシを与えて艶を増し、毛髪自体の成長を促進して健康な毛髪の数を増やすことのできる、優れた育毛、発毛促進効果を発揮する経口用の育毛促進用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
鶏卵にはひよこの発毛に必要な全ての成分が含まれており、この毛髪の原料となる優良なタンパク質である卵白とシスチンの豊富な卵殻膜による育毛促進機能を、さらに増強できる成分について鋭意開発を進めた結果、発芽野菜の一種である豆苗のエキスがこれら卵由来成分による育毛効果を顕著に増強できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明は、以下(1)~(5)の育毛促進用組成物に関するものである。
(1)卵殻膜成分および豆苗エキスを含有することを特徴とする、育毛促進用組成物。
(2)前記卵殻膜成分が加水分解卵殻膜成分を含み、前記豆苗エキスが豆苗エキス末である、上記(1)に記載の育毛促進用組成物。
(3)卵白粉末および/または卵白ペプチドである卵白成分を含む、上記(1)に記載の育毛促進用組成物。
(4)さらに、卵黄油および/または卵殻カルシウムを含む、上記(3)に記載の育毛促進用組成物。
(5)経口用である、上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の育毛促進用組成物。
【0011】
また、本発明は、以下(6)、(7)の飲食品またはサプリメントに関する。
(6)上記(5)に記載の育毛促進用組成物を含む、飲食品またはサプリメント。
(7)顆粒剤、錠剤、カプセル剤、液剤、またはドリンク剤である、上記(6)に記載の飲食品またはサプリメント。
【発明の効果】
【0012】
卵殻膜成分のうち、加水分解卵殻膜成分にはシスチン含量が卵殻膜成分の20倍以上に高められたものもあり、この加水分解卵殻膜成分にさらに、含硫アミノ酸であるシスチンやシステイン含量の高い卵白タンパク質を含む卵白成分を併用することで、毛髪に必要なシスチン含量がより高められる。さらに卵黄成分である卵黄油や卵殻カルシウムを併用すれば、鶏卵の全ての成分とエネルギー源を活用できる。
本発明は、これらの卵由来成分に加えて発芽野菜(スプラウト)の一種であり育毛発毛効果が知られている豆苗のエキスを併用することで、相乗作用により育毛促進効果が顕著に向上し、摂取者が効果を実感できる育毛効果が得られるものである。
【0013】
本発明の組成物は、日常的に簡単に摂取できる経口用組成物として、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、液剤またはドリンク剤の形態の飲食品、サプリメントとして摂取できる。
また、卵由来成分と豆苗エキスという天然物由来の人体に対する安全性の高いものを使用するため、飲食品またはサプリメントの製造時に多量に配合しても健康に悪影響がない。刺激性がなく様々な形態で各種育毛、発毛成分と併用できるので、より高い育毛効果を発揮できるだけでなく、卵由来成分の元来有する美肌や健康を促進する効果も奏される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の育毛促進用組成物は、卵殻膜成分と豆苗エキスを含むことを特徴とする。
本明細書において「育毛」、「育毛促進」という場合、結果として毛髪の量(本数、太さなど)を増大させる養毛作用や、伸長速度の増大や毛髪の健全化をもたらす作用であり、たとえば、毛髪の成長促進もしくは発毛促進、または脱毛の低減もしくは予防などのいずれか一つ以上の作用を指す。本発明の育毛促進とは、発毛促進、養毛、抗脱毛を含む作用である。
【0015】
卵殻膜は、陸生の卵生動物すべての卵、特に鳥類の卵の卵殻の内側にある膜であればいずれも使用でき、特に鶏卵の卵殻膜が入手の容易性、コストの点から好ましい。
本発明の卵殻膜成分は、少なくとも卵殻膜を含む粉末形態のものが好ましく、たとえば剥離された卵殻膜等の卵殻膜含有原料を、公知のブレンダー、ミキサー、ミル、粉砕機で粉末化した卵殻膜粉末や、市販の卵殻膜含有粉末が使用できる。
【0016】
加水分解卵殻膜成分は、卵殻膜あるいは卵殻膜含有粉末を、酸水溶液、アルカリ水溶液、アルカリ性有機溶媒溶液、またはタンパク質分解酵素含有液などのタンパク質の分解作用を有する液中で加水分解することによって得られる、可溶性の卵殻膜成分である。
本発明で使用される加水分解卵殻膜成分は,いずれの方法によって製造された加水分解卵殻膜成分を用いることができるが、アルカリ加水分解および/または酵素加水分解のものが好ましい。水溶液、エキスとしても使用できるが、取扱性や保存安定性のため、噴霧乾燥、凍結乾燥等の乾燥手段により得られる粉末形態のものが好ましい。
【0017】
本発明の卵白成分としては、卵白液、卵白粉末、卵白タンパク質、卵白ペプチドを用いることができ、低分子化されている卵白ペプチドが好ましく用いられる。
卵白に含まれる卵白タンパク質は、低脂肪の高タンパク質であり、含硫アミノ酸であるシスチン、システイン、メチオニンや、分岐鎖アミノ酸の含有量が高い。また、消化~吸収~体内利用において、他の乳タンパク質などの動物性タンパク質や大豆タンパク質などの植物性タンパク質に比べて、消化吸収がよく栄養価が高い。
卵白ペプチドは、卵白タンパク質を酵素で低分子化したもので、卵白タンパク質のアミノ酸バランスをそのまま保持しながら、卵白タンパク質に比べ消化、吸収スピードが高められている。卵白特有の硫黄臭が低減されている平均分子量が200~1500、特に600~1000のものが好ましく用いられる。
【0018】
卵黄油とは、卵黄をエタノール等の低級アルコールで、レシチン等の脂質その他の油脂成分を抽出した卵黄の低級アルコール抽出物であり、卵黄に由来する卵黄レシチン等の油脂成分が含まれていて濃厚で栄養価が高い。卵黄油としては、低級アルコール抽出液をそのまま使用してもよく、また必要に応じて抽出液を乾燥・固化したものを使用でき、市販品も使用できる。
また、卵殻カルシウムは、鶏卵などの鳥類の卵の殻を粉砕・乾燥した微粉末であり、多孔質のポーラス構造を有するため、カルシウム成分が体内に吸収されやすい。また、錠剤に配合すると、含まれる成分の変質や分解を防止し、かつ、錠剤表面の耐傷つき性を向上させることができる。
【0019】
卵殻膜成分に加え、含硫アミノ酸であるシスチンやシステイン含量の高い卵白タンパク質を含む卵白成分を併用すると、毛髪に必要なシスチン含量がより高められ、さらに卵黄油や卵殻カルシウムを併用すれば、鶏卵の全ての成分とエネルギー源を含む、生命力の溢れる卵のパワーを活用できる。
【0020】
本発明の豆苗エキスの原料の豆苗は、マメ科のエンドウ豆の発芽野菜(スプラウト)で、一般にモヤシと言われる野菜であり、エンドウ豆の種子を人為的に暗所で発芽させ、徒長させたものである。一般にスプラウトには、成長するための凝縮された生命力があるといわれている。
豆苗エキスは、豆苗からの水溶性抽出物であり、たとえば生の豆苗を裁断してから加水し、常圧で100℃30分程度加熱して得ることができ、粉末化してもよい。
【0021】
本発明で使用する豆苗エキス末としては特に、オーガニックエンドウ豆から発芽させた新芽を使用した商品名アナゲイン(エイチ・ホルスタイン株式会社)が、経口及び経皮の臨床試験によって、有効量100mg/日で発毛及び育毛の促進が証明されており、好ましく用いられる。
【0022】
本発明の育毛促進用組成物において、卵殻膜成分および豆苗エキス末のそれぞれの含有量は特に限定されない。豆苗エキス末の有効量は100mg/日であることから、本発明の育毛促進用組成物の使用形態に応じて、その有効量を摂取できる含有量とし、卵殻膜成分は乾物換算で1~50重量%含むことが好ましい。
また、卵白成分、卵黄油、または卵殻カルシウムのそれぞれの重量比は特に限定されないが、卵黄油は油脂成分であることから。他の成分の1/5程度以下であることが好ましい。
本発明の育毛促進用組成物には、必要に応じて他の育毛有効成分や、保存性または分散性などを改良するための各種成分を配合してもよい。
【0023】
本発明の育毛促進用組成物は、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、ドリンク剤などの経口用組成物とすることができる。刺激性がないために剤型に特に制限はなく、種々の剤型の経口用組成物を製造するための各種成分および製造法は、サプリメント、医薬品等の製造分野で公知な成分から適宜選択することができる。保存、流通に適し、服用時に変形、崩壊が生じず、経口で簡単に服用できる観点から錠剤が好ましい。
【0024】
本実施形態の顆粒剤、カプセル剤、または錠剤には、顆粒剤、カプセル剤、または錠剤を形成するための各種の公知の添加剤を添加することができ、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、その他の栄養素等を添加することができる。
賦形剤としては、公知の賦形剤が適宜使用できるが、化工澱粉および乳糖の少なくとも1種を、賦形性の観点から卵殻膜成分の重量に対して0.3~3倍用いることが好ましく、1~2.5倍であることがより好ましい。化工澱粉としては、焙焼デキストリンなどのデキストリン、酸化澱粉、低粘性変性澱粉などの1種または2種以上を用いることができる。
【0025】
結合剤としては、公知の結合剤が適宜使用できるが、たとえば、デンプン糊、アラビアゴム糊、ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。
崩壊剤としては、公知の崩壊剤が適宜使用できるが、たとえば、結晶セルロース等のセルロース類、などを用いることができる。
滑沢剤としては、公知の滑沢剤が適宜使用できるが、たとえば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、ワックス類、タルク、ビタミンCなどが挙げられる。
【0026】
また、錠剤には、錠剤の硬度を高くして変形や傷つきを防止し、取扱性を向上させるため、硬度向上剤として卵殻カルシウムを含有することができる。卵殻カルシウムは、鶏卵などの鳥類の卵の殻を粉砕・乾燥した微粉末である。また、錠剤中に含まれる成分の変質や分解を防止し、かつ、錠剤表面の耐傷つき性を向上させるため、コーティング皮膜で覆うことが好ましい。
本実施形態の錠剤の大きさは特に制限されないが、一般には直径が約7~10mm程度の円形や楕円形とするのが、取扱性、服用のし易さから好ましい。錠剤の1個の重さは、350~600mg程度であり、有効成分が好ましくは10~240mg、より好ましは20~150mg含まれるようにする。
【0027】
本発明の経口用の液剤(水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤等)、ドリンク剤は、有効成分を一般的に用いられる希釈剤(精製水、エタノール又はそれらの混液等)に溶解、懸濁又は乳化して製造される。さらにこの液剤は、乳化剤、懸濁化剤、湿潤剤、甘味剤、芳香剤、保存剤等を含有していてもよい。
【0028】
本発明の育毛促進用組成物には、他の育毛有効成分等を配合することができる。
たとえば、髪の主成分であるケラチン加水分解物、シルク加水分解物やL-シスチンなどのシスチン源、ガニアシ粉末、亜鉛含有酵母などが好ましく用いられる。また、ビタミン類としては、いずれのビタミンを用いることができ、特に皮膚や粘膜の健康維持を助けるビタミンB2が有効である。
【0029】
さらに、本発明の経口用組成物は、菓子類、飲料、健康食品、保存食品、加工食品などの食品添加剤とすることができる。ここで、「飲食品」や「サプリメント」の対象はヒトに限定されるのもではなく、ペットや家畜のような哺乳動物用の飼料も包含する。また、「飲食品」「サプリメント」の概念には、通常の飲食品の他、経腸栄養食品、栄養機能食品、機能性表示食品、特定保健用食品などが包含される。
【0030】
以下に、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0031】
[実施例1]錠剤の製造
加水分解卵殻膜含有粉末として商品名「ESMプロテイン」(株式会社アルマード)を40重量部と豆苗エキス末として商品名「アナゲイン」(登録商標、エイチ・ホルスタイン株式会社製)40重量部に対して、卵白ペプチド 商品名「卵白ペプタイドEP-1」(キユーピー株式会社)40重量部、卵黄油 商品名「卵黄レシチンPL-30S」(キユーピー株式会社)3重量部、卵殻カルシウム 商品名「カルホープ」(キユーピー株式会社製)10重量部を混合した。さらに、ケラチン加水分解物、シルク加水分解物、L-シスチン、ガニアシ粉末、亜鉛含有酵母、ビタミンB2を添加して、V型混合機を用いて混合することにより、原料混合物を調製した。この原料混合物93重量部に対して、エチルアルコール15重量部を混合し、得られた混合物を湿式造粒装置を用いて造粒してから、温度50℃で約16時間乾燥して、打錠用の顆粒を製造した。
【0032】
打錠用の顆粒100重量部に対して、ビタミンCを9重量部およびショ糖脂肪酸エステルを1重量部の割合で混合し、得られた混合物を打錠装置を使用して、1粒が350mgの裸錠を製造した。裸錠の表面に、コーティング装置を使用して商品名「セラック」(岐阜セラック株式会社)の水溶液を塗布し、温度40℃で2時間乾燥して保護コーティングされた錠剤を得た。艶出し処理を行った錠剤を選別して不良品を除き、製品検査後に計量し、乾燥剤を同封した二重袋で包装した。錠剤は十分な硬度および形状保形性を有しており、選別、検査、包装時に変形したり崩壊することはなく、取扱性に優れていた。
得られた錠剤1個の重量は400mgであり、錠剤1個当たり卵殻膜成分を50mg、豆苗エキス末を50mg含有していた。
【0033】
[実施例2]経口試験
年齢が45歳から65歳までの女性24名は、いずれも頭部の毛髪が以前に比べて薄くなり、髪にハリ、コシがなく細くなり、全体として毛髪量が減りボリュームが小さくなったことを実感している被験者であった。
試験開始から4ヶ月間、実施例1で製造した錠剤を1日2錠継続して服用した。
【0034】
服用開始から4ヶ月後の髪の状態について、改善を実感した項目(1)抜け毛が減った、(2)髪にハリ、コシ、艶が出た、(3)全体に髪の毛が増えてボリュームがでた、(4)分け目が気にならなくなった、(5)その他(髪がきれいになったなど)という、(1)~(5)を複数回答してもらった。結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
【0036】
また、アンケートに個人的感想を任意で記載してもらったところ、たとえば「シャンプー後の抜け毛の量が本当に少ない。たまたまかと思ったが毎日少ない。これまで飲んでいたヘアケアサプリのどれよりも効いている。」、「髪の毛が元気になってきたように思う。立ち上がりも良くなり、艶も出てきた。」、「ここのところ、シャンプー時の抜け毛も少なく、髪には勿論だがお肌にも素晴らしい効果」、「髪がしっかりしてコシが出て、そのため髪にボリュームがでた。」などの感想の記載が多数あった。
【0037】
本発明の育毛促進用組成物を摂取することにより、副作用がなく安全に短期間で頭皮の状態が改善して育毛が促進され、毛髪のハリ、コシ、艶、太さ、本数などが改善されるという効果が得られることが示された。