(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025022369
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】ラベルおよびラベルが装着された容器
(51)【国際特許分類】
G09F 3/10 20060101AFI20250206BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20250206BHJP
C09J 7/35 20180101ALI20250206BHJP
C09J 109/06 20060101ALI20250206BHJP
C09J 191/06 20060101ALI20250206BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20250206BHJP
B65D 23/00 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
G09F3/10 C
C09J7/38
C09J7/35
C09J109/06
C09J191/06
C09J11/06
B65D23/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023126850
(22)【出願日】2023-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(72)【発明者】
【氏名】石黒 秀之
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 洋一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一平
【テーマコード(参考)】
3E062
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
3E062AA09
3E062AB02
3E062AC02
3E062DA01
3E062DA02
3E062DA07
4J004AA05
4J004AA17
4J004AB01
4J004AB03
4J004CA04
4J004CE01
4J004FA01
4J040BA182
4J040CA081
4J040JA09
4J040JB01
4J040JB09
4J040KA26
4J040KA31
4J040LA08
4J040MA10
4J040MA11
4J040NA06
(57)【要約】
【課題】
十分な接着力を有し、加熱時ボトルの膨張によるラベルのずれに対するホットメルトの抵抗力と追従性が高く、高温保管した際にラベルがずれにくく、かつ、低温保管した際にもラベルがずれにくく、熱アルカリ水溶液により容器から接着物を容易且つ糊残りなく剥がすことのできる、アルカリ分散性に優れたラベルの提供。
【解決手段】
基材フィルムの一方の端部(I)およびもう一方の端部(II)にそれぞれ特定の粘着剤層(イ)および粘着剤層(ロ)を有する、容器の外周に巻き付けて装着するラベルにより解決される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムの一方の端部(I)およびもう一方の端部(II)にそれぞれ粘着剤層(イ)および粘着剤層(ロ)を有する、容器の外周に巻き付けて装着するラベルであって、
端部(I)は基材フィルムと容器との接合部であり、端部(II)は巻き付け後に基材フィルム同士が接合する固定部であり、
粘着剤層(イ)は、軟化点が90℃以下のアルカリ分散型ホットメルト粘着剤(a)により形成され、
粘着剤層(ロ)は、軟化点が90℃よりも高いホットメルト粘着剤(b)により形成されることを特徴とするラベル。
【請求項2】
軟化点が90℃よりも高いホットメルト粘着剤(b)100質量%中に、スチレン含有率が25~50質量%の熱可塑性エラストマー(A1)5~35質量%を含有することを特徴とする請求項1記載のラベル。
【請求項3】
さらに、軟化点が90℃よりも高いホットメルト粘着剤(b)100質量%中に、スチレン含有率が5質量%以上25質量%未満の熱可塑性エラストマー(A2)を、0質量%を超えて20質量%以下含むことを特徴とする請求項2記載のラベル。
【請求項4】
さらに、軟化点が90℃よりも高いホットメルト粘着剤(b)100質量%中に、ポリブテン(D)及び/又はプロセスオイル(E)を合計で5~40質量%含有することを特徴とする請求項2記載のラベル。
【請求項5】
さらに、軟化点が90℃よりも高いホットメルト粘着剤(b)100質量%中に、固体粘着付与剤(B)20~70質量%と、ワックス(C)1~20質量%とを含有することを特徴とする請求項2記載のラベル。
【請求項6】
前記熱可塑性エラストマー(A1)の25質量%トルエン溶液の25℃における粘度が100~50,000mPa・sであることを特徴とする請求項2記載のラベル。
【請求項7】
前記ワックス(C)の融点が、90~160℃であることを特徴とする請求項5記載のラベル。
【請求項8】
請求項1~7いずれか1項記載のラベルが装着された容器。
【請求項9】
請求項1~7いずれか1項記載のラベルが胴巻きラベルであることを特徴とする容器。
【請求項10】
請求項8記載の容器の材質がポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする容器。
【請求項11】
請求項10記載の容器がホット飲料用であることを特徴とする容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清涼飲料水、調味料、洗剤、シャンプー、食用油、化粧品、医薬品などに使用されているガラス瓶、PET(ポリエチレンテレフタレート)容器などに好適に用いられるラベルおよびラベルが装着された容器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという) ボトルの生産量と共に飲料用としてのPETボトルの使用量も伸びている。PETボトルの胴部外周は、商品名などを表示するためのプラスチックラベルが付けられているのが通常である。PETボトルの胴部外周にプラスチックラベルを付ける方法には、「ロールラベル方式」、「シュリンクラベル方式」等がある。
【0003】
いずれの方式の場合も、使用されたPETボトルが回収され、原料としてリサイクルできることが求められる。例えば、PETボトルリサイクル推進協議会が出している「指定PET ボトルの自主規制ガイドライン」は以下の指標を掲げている。即ち、ラベル付きのボトルをカッティングして作ったペレットを、85℃の1.5%水酸化ナトリウム水溶液中にペレット濃度10%(重量比)で浸漬し、15分間攪拌した場合に、PETのペレットからラベルが剥離し、印刷インキ、接着剤等がPET のペレットに残らない、という指標である。リサイクル工程においてラベルを剥離させる(アルカリ分散型)ため、PETボトルなどの容器のラベル用粘着剤としてアルカリ分散型のホットメルト粘着剤組成物が開発、使用されている(特許文献1~4)。
【0004】
「ロールラベル方式」に使用されるラベルの厚みは、「シュリンクラベル方式」と比較して薄くでき、ラベリング時に大量の蒸気を使用する「シュリンクラベル方式」よりも二酸化炭素の発生量を大きく削減できる為近年普及が進んでいる。
【0005】
しかしながら、「ロールラベル方式」に使用されるホットメルト粘着剤は、90℃の1.5%水酸化ナトリウム水溶液中でホットメルト粘着剤が分散し易くする為に軟化点を90℃以下のホットメルト粘着剤を使用している為、「ロールラベル方式」は、冬場などホットベンダーなどで容器ごと飲料を温めると、ラベルが一部剥がれてしまうので使用されていなかった。
【0006】
特許文献1には、コポリエステルを含む水分散性のホットメルト接着剤組成物が開示されている。しかし、特許文献1記載のコポリエステルは、耐熱性が悪いために一部熱分解してしまい、接着剤組成物の接着強度が安定しないという問題があった。
【0007】
特許文献2には、熱可塑性エラストマー(A)、酸価が100~300mgKOH/gであるロジン系粘着付与剤(B)、テルペンフェノール樹脂(C)、プロセスオイル(D)および無水マレイン酸をグラフト重合させたポリプロピレンワックス(E)を含むホットメルト接着剤が開示されている。
【0008】
特許文献3には、熱可塑性エラストマー(A)、酸価が100~300mgKOH/gであるロジン系粘着付与剤(B)、プロセスオイル(C)、25℃の針入度が10dmm 以下であるワックス(D)および数平均分子量が1000以上のポリエチレングリコール(E)を含むホットメルト接着剤が開示されている。
【0009】
特許文献4 には、熱可塑性エラストマー(A) 、酸価が100~300mgKOH/gである固体粘着付与剤(B)、液状粘着付与剤(C)、ワックス(D)および特定のノニオン系界面活性剤(E)を含むホットメルト接着剤が開示されている。
【0010】
引用文献1~4に開示されるホットメルト接着剤を用いたラベルは、アルカリ分散型、プラスチックフィルム同士の接着強度、および保持力は十分に大きいが、容器を加熱した場合接着力が著しく低下し、さらにはボトル膨張によるラベルのずれに対するホットメルト粘着剤組成物の抵抗力と追従性が失われ、ラベルが剥がれてしまい、耐熱性に問題があった。また、耐熱性を改善させると、低温保管したPETボトルを落下させてもラベルが剥離するという問題もあった。
【0011】
即ち、十分な接着力を有し、加熱時ボトルの膨張によるラベルのずれに対するホットメルトの抵抗力と追従性が高く、高温保管した際にラベルがずれにくく、かつ、低温保管した際にもラベルがずれにくく、熱アルカリ水溶液により容器から接着物を容易且つ糊残りなく剥がすことのできる、アルカリ分散性に優れたラベルが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特表平11-512134号公報
【特許文献2】特開2010-90185号公報
【特許文献3】特開2010-280878号公報
【特許文献4】特開2012-1624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
十分な接着力を有し、加熱時ボトルの膨張によるラベルのずれに対するホットメルトの抵抗力と追従性が高く、高温保管した際にラベルがずれにくく、かつ、低温保管した際にもラベルがずれにくく、落下させてもラベルは剥離せず、熱アルカリ水溶液により容器から接着物を容易且つ糊残りなく剥がすことのできる、アルカリ分散性に優れたラベルおよび、当該ラベルが装着された容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示は、以下のラベルおよび該ラベルが装着された容器を提供する。
[1]:基材フィルムの一方の端部(I)およびもう一方の端部(II)にそれぞれ粘着剤層(イ)および(ロ)を有する、容器の外周に巻き付けて装着するラベルであって、
端部(I)は基材フィルムと容器との接合部であり、端部(II)は巻き付け後に基材フィルム同士が接合する固定部であり、
粘着剤層(イ)は、軟化点が90℃以下のアルカリ分散型ホットメルト粘着剤(a)にを含み、粘着剤層(ロ)は、軟化点が90℃よりも高いホットメルト粘着剤(b)を含むことを特徴とするラベル。
[2]軟化点が90℃よりも高いホットメルト粘着剤(b)100質量%中に、スチレン含有率が25~50質量%の熱可塑性エラストマー(A1)5~35質量%を含有することを特徴とする[1]記載のラベル。
[3]:さらに、軟化点が90℃よりも高いホットメルト粘着剤(b)100質量%中に、スチレン含有率が5質量%以上25質量%未満の熱可塑性エラストマー(A2)を、0質量%を超えて20質量%以下含有することを特徴とする[2]記載のラベル。
[4]:さらに、軟化点が90℃よりも高いホットメルト粘着剤(b)100質量%中に、ポリブテン(D)及び/又はプロセスオイル(E)を合計で5~40質量%含有することを特徴とする[2]または[3]記載のラベル。
[5]:さらに、軟化点が90℃よりも高いホットメルト粘着剤(b)100質量%中に、固体粘着付与剤(B)20~70質量%と、ワックス(C)1~20質量%とを含有することを特徴とする[2]~[4]いずれか記載のラベル。
[6]:
前記熱可塑性エラストマー(A1)の25質量%トルエン溶液の25℃における粘度が100~50,000mPa・sであることを特徴とする[1]~[5]いずれか記載のラベル。
[7]:前記ワックス(C)の融点が、90~160℃であることを特徴とする[5]または[6]記載のラベル。
[8]:[1]~[7]いずれか記載のラベルが装着された容器。
[9]:[8]記載の容器の材質がポリエチレンテレフタレートであることを特徴とする容器。
[10]:[8]または[9]記載の容器がホット飲料用であることを特徴とする容器。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、十分な接着力を有し、ボトルの膨張によるラベルのずれに対するホットメルトの抵抗力ならびに追従性が高く、特にボトルを温めて保管した際にラベルが剥がれ又は、ずれにくいことに加え、低温保管した際にもラベルがずれにくく、熱アルカリ水溶液に漬けると容器などから簡単にラベルが糊残りなく剥離し、再付着することもない、アルカリ分散性に優れたラベルおよびラベルが装着された容器を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示について詳細に説明する。なお、本発明の趣旨に合致する限り、他の実施形態も本発明の範疇に含まれることは言うまでもない。
【0017】
本明細書において「~」を用いて特定される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値および上限値の範囲として含むものとする。なお、本明細書中に出てくる各種成分は特に注釈しない限り、それぞれ独立に一種単独でも二種以上を併用してもよい。また、「部」および「%」は、特に断りのない限り、それぞれ「質量部」および「質量%」を表す。
【0018】
本明細書において、「軟化点」は、JIS K6863(ホットメルト接着剤の軟化点試験方法)によって測定した。
本明細書において、「熱可塑性エラストマーの25質量%トルエン溶液の25℃における粘度」は、ブルックフィールド(Brookfoeld)粘度計を用いて、適切なスピンドルおよび回転速度条件において、25℃で測定した固形分25質量%の熱可塑性エラストマーのトルエン溶液の粘度である。本明細書において、「熱可塑性エラストマー(A1)の重量平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により分析を行い、ポリスチレン換算による分子量分布を測定した。溶離液は、テトラヒドロフラン(THF)を用いた。
本明細書において、「ワックスの融点」は、示差走査熱量測定装置(島津社製自動示差熱量計DSC-60A Plus)で測定した値である。
【0019】
また、本明細書においては軟化点が90℃以下であるアルカリ分散型ホットメルト粘着剤(a)を「アルカリ分散型ホットメルト粘着剤(a)」と略記する場合がある。また、軟化点が90℃よりも高いホットメルト粘着剤(b)を「ホットメルト粘着剤(b)」と略記する場合がある。「ホットメルト」とは、常温で固体あるいは粘稠な状態にあり、加熱により溶融して軟化、流動状体あるいは液状となる性質をいう。
なお、アルカリ分散型とは、リサイクル工程においてアルカリ処理液でラベルを剥離させることが可能な性質を意味する。
【0020】
≪ラベル≫
本発明のラベルは、基材フィルムの一方の端部(I)およびもう一方の端部(II)にそれぞれ粘着剤層(イ)および(ロ)を有する、容器の外周に巻き付けて装着するラベルであって、端部(I)は基材フィルムと容器との接合部であり、端部(II)は巻き付け後に基材フィルム同士が接合する固定部であり、粘着剤層(イ)が、軟化点が90℃以下であるアルカリ分散型ホットメルト粘着剤(a)を含み、粘着剤層(ロ)が、軟化点が90℃よりも高いホットメルト粘着剤(b)を含む。
【0021】
軟化点が90℃以下であるアルカリ分散型ホットメルト粘着剤(a)と軟化点が90℃よりも高いホットメルト粘着剤(b)をラベルに同時に使用することで、耐熱性に優れ、リサイクル性(「指定PET ボトルの自主規制ガイドライン」に適合した)を両立したラベル付き容器を提供することができる。
【0022】
<基材フィルム>
基材フィルムとしては、通常、二軸延伸ポリプロピレン(OPP) 、ポリエチレン(PE) 、PETさらには紙なども用いられている。また、ラベルとしては、ホットメルト粘着剤が塗布される面と反対側、すなわちラベルの表面に、あるいはアルカリ分散型ホットメルト粘着剤が塗布される面、すなわちラベルの裏面に適宜印刷などが施されたものが用いられている。本発明においてアルカリ分散型ホットメルト粘着剤物は、印刷が施されたラベル印刷面に塗布することもできるし、勿論印刷が施されていないものに塗布されてもよく、いずれの場合にも、所定の接着性、剥離性と熱アルカリ水溶解性を示す。また、印刷は、ラベル裏面の全面が印刷されたものであってもよいし、面の一部が印刷されたものであってもよい。印刷は、グラビア印刷、UV印刷など、従来知られた印刷法の何れの方法により行われたものでもよい。
【0023】
粘着剤層を形成するためのアルカリ分散型ホットメルト粘着剤(a)およびホットメルト粘着剤(b)に使用する材料について、以下に説明する。
【0024】
[熱可塑性エラストマー(A)]
熱可塑性エラストマーとは、常温では加硫ゴムと同様な性質を持ち、弾性のある材料をいい、高温では普通の熱可塑性樹脂と同じく、既存の成形機をそのまま使用できる高分子材料である。熱可塑性エラストマーは、分子中に弾性を持つゴム成分(ソフトセグメント:軟質相)と塑性変形を防止するための分子拘束成分(ハードセグメント:硬質相)との両方を持っているためゴムとプラスチックの中間の性質を持つ。
熱可塑性エラストマーは、一般的にポリスチレンブロックとゴム中間ブロックとを有し、ポリスチレン部分が物理的架橋(ドメイン)を形成して橋掛け点となり、中間のゴムブロックは製品にゴム弾性を与える。中間のソフトセグメントにはポリブタジエン(B)、ポリイソプレン(I)およびポリオレフィンエラストマー(エチレン・プロピレン(EP)、エチレン・ブチレン(EB)、ブチレン・ブタジエン(BB)) があり、ハードセグメントのポリスチレン(S)との配列の様式によって、直鎖型(リニアタイプ)および分岐型(ラジアルタイプ)とに分かれる。
【0025】
熱可塑性エラストマーとしては、スチレン-ブタジエン-スチレンブロックコポリマー(以下SBSと略記することもある)、スチレン-エチレン・ブチレン-スチレンブロックコポリマー(以下SEBSと略記することもある)、スチレン-エチレン・プロピレン-スチレンブロックコポリマー(以下SEPSと略記することもある)、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマー(以下SISと略記することもある)、スチレン-ブチレン・ブタジエン-スチレンブロックコポリマー(以下SBBSと略記することもある)等のスチレン系エラストマー、メタクリル酸メチル-アクリル酸ブチル-メタクリル酸メチル、メタクリル酸メチル-アクリル酸ブチル・アクリル酸メチル-メタクリル酸メチルなどのトリブロックブロックポリマーおよびそれらのジブロックポリマー等が挙げられる。本発明の熱可塑性エラストマー(A)としては、スチレン-エチレン・ブチレン-スチレンブロックコポリマー(SEBS)などのスチレン系エラストマーが好ましい。
【0026】
熱可塑性エラストマーは、スチレン含有率が25質量%以上50質量%未満の熱可塑性エラストマー(A1)と、スチレン含有率が5質量%以上25質量%未満の熱可塑性エラストマー(A2)と、その他熱可塑性エラストマー(A3)に大別される。
スチレン含有率とは、熱可塑性エラストマーの全質量中のスチレン含有率を指す。
【0027】
[固体粘着付与剤(B)]
本発明で用いられる固体粘着付与剤(B)は、常温(23℃)で固体であれば特に限定されない。固体粘着付与剤(B)は、酸価が100~300mgKOH/gである固体粘着付与剤(B1)と、(B1)以外のその他固体粘着付与剤(B2)に分けられる。
【0028】
酸価が100~300mgKOH/gである固体粘着付与剤(B1)としては、特に限定されない。一例としてロジン系粘着付与剤が挙げられる。
ロジン系粘着付与剤としては、変性処理されていない未水添ロジン 、変性処理されていない水添ロジン、(メタ)アクリル酸変性ロジン、水添(メタ)アクリル酸変性ロジン、マレイン酸変性ロジン、水添マレイン酸変性ロジン、フマル酸変性ロジン、水添フマル酸変性ロジン等が挙げられる。
【0029】
(B2)は、酸価が、100mgKOH/g未満または300mgKOH/gを超える固体粘着剤であれば特に限定されないが、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、キシレンフェノール樹脂、シクロペンタジエン-フェノール樹脂、キシレン樹脂、脂肪族系、脂環族系、芳香族系等の石油樹脂、水素添加された脂肪族系、脂環族系、芳香族系等の石油樹脂、フェノール-変性石油樹脂、ロジンエステル樹脂、水素化ロジン、酸変性ロジン、水素添加されたロジンエステル樹脂、低分子量ポリスチレン系樹脂、テルペン樹脂、水素添加されたテルペン樹脂などが挙げられる。
なお、酸価は、試料1gを中和するに要する水酸化カリウム(KOH)のミリグラム数であり、JIS K5601-2-1酸価(滴定法)に準拠して測定した値である。酸価の測定方法は、実施例の欄で詳細を記載する。
【0030】
[ワックス(C)]
ワックス(C)は、天然ワックス(動物系ワックス(蜜蝋など)、植物系ワックス(木蝋、米糠蝋など)、鉱物系ワックス(オゾケライトなど)、石油系ワックス(パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなど))と、合成ワックス(フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンおよび酸などの変性ワックスなど)に大別される。ワックス(C)は単独もしくは2種類以上を組み合わせて使用される。ワックス(C)は、接着強度および耐衝撃性の観点から合成ワックスが好ましい。更に好ましくは、接着力(密着性)の点から、ポリプロピレンワックスおよびその酸変性ワックスである。
【0031】
[ポリブテン(D)]
ポリブテン(D)は、イソブテンを主モノマーとし、副モノマーとしてノルマルブテンが一部反応した長鎖の共重合体である。かかるポリブテンのモノマー(原料)には、精製イソブチレンを主モノマーとする低分子量ポリイソブチレンと異なり、ナフサ分解で生成するC4留分からブタジエンを抽出した残りの留分をそのまま用いることができる。なお、ポリブテンは、若干のブテン-1が共重合した液状ポリマーであってもよい。
【0032】
[プロセスオイル(E)]
プロセスオイル(E)は、ゴムや熱可塑性エラストマー等の可塑剤として一般的に使用されるオイル、いわゆる石油精製等において生産されるプロセスオイルであり、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイルに大別される。アルカリ分散性の観点からナフテン系オイルが好ましい。
プロセスオイルは、芳香族環・ナフテン環・パラフィン鎖の混合物であるが、本願におけるナフテン系プロセスオイルは、プロセスオイルの全炭素中のナフテン環炭素が35~46質量%のものを指す。また、全炭素中の芳香族炭素が30質量%以上のものを芳香族系プロセスオイル、全炭素中のパラフィン鎖炭素が50質量%以上のものをパラフィン系とプロセスオイルと分類する。
【0033】
<軟化点が90℃以下であるアルカリ分散型ホットメルト粘着剤(a)>
アルカリ分散型ホットメルト粘着剤(a)としては、例えばPETボトルリサイクル推進協議会が出している「指定PET ボトルの自主規制ガイドライン」に適合した粘着剤である。即ち、ラベル付きのボトルをカッティングして作ったペレットを、90℃の1.5%水酸化ナトリウム水溶液中にペレット濃度10%(重量比)で浸漬し、15分間攪拌した場合に、PETのペレットからラベルが剥離し、印刷インキ、接着剤等がPETのペレットに残らない粘着剤である。
アルカリ分散型ホットメルト粘着剤(a)の接着力(密着力)は、容器とラベルを仮止めが出来ればよい。
【0034】
軟化点が90℃以下であるアルカリ分散型ホットメルト粘着剤(a)は、熱可塑性エラストマー(A)と、酸価が100~300mgKOH/gである固体粘着付与剤(B1)と、ポリブテン(D)および/又はプロセスオイル(E)とを含有することが好ましく、更にワックス(C)を含むことがより好ましい。
酸価が100~300mgKOH/gの固体粘着付与剤(B1)を含むことによって、十分なアルカリ分散性を発揮し、相溶性に優れるため溶融粘度を抑制して塗工性が良好となり、さらに接着力(密着力)にも優れるアルカリ分散型ホットメルト粘着剤が得られる。
【0035】
アルカリ分散型ホットメルト粘着剤(a)100質量%中の熱可塑性エラストマー(A)の含有率は、アルカリ分散性および凝集力の観点から5~40質量%が好ましく、10~30質量%がより好ましい。
アルカリ分散型ホットメルト粘着剤(a)100質量%中の熱可塑性エラストマー(A)は、熱可塑性エラストマー(A1)、(A2)および(A3)いずれの熱可塑性エラストマーを使用してもよく、2種類以上使用しても差し支えない。
【0036】
アルカリ分散型ホットメルト粘着剤(a)100質量%中の酸価が100~300mgKOH/gの固体粘着付与剤(B1)の含有率は、20~70質量%が好ましく、30~60質量%がより好ましく、40~55質量%がさらに好ましい。上記範囲で酸価が100~300mgKOH/gの固体粘着付与剤(B1)を含有することで、アルカリ分散性と接着性(接着性)を両立できるため、好ましい。
【0037】
アルカリ分散型ホットメルト粘着剤(a)100質量%中のワックス(C)の含有率は、接着性(保持力)の観点から0~20質量%が好ましく、3~15質量%がより好ましく、5~10質量%がさらに好ましい。
【0038】
アルカリ分散型ホットメルト粘着剤(a)100質量%中のポリブテン(D)およびプロセスオイル(E)の合計含有率は、アルカリ分散性および密着性の観点で、25~75質量%が好ましく、30~70質量%がより好ましい。
【0039】
(アルカリ分散型ホットメルト粘着剤(a)の製造方法)
本発明の軟化点が90℃以下であるアルカリ分散型ホットメルト粘着剤(a)は、例えば、撹拌機を備えた溶融釜でワックス(C)、ポリブテン(D)およびプロセスオイル(E)を溶融したものに熱可塑性エラストマー(A)を混合分散し、さらに酸価が100~300mgKOH/gである固体粘着付与剤(B1)を添加し、混合することにより製造することができる。
【0040】
アルカリ分散型ホットメルト粘着剤(a)は配合成分を混合し、所望の形状に成形したものを用いてもよい。所望の形状として、顆粒状、ペレット状、面状、あるいはブロック状が例示できる。これらの方法は、公知の方法を制限なく利用することができる。
【0041】
<軟化点が90℃よりも高いホットメルト粘着剤(b)>
軟化点が90℃よりも高いホットメルト粘着剤(b)は、ホットメルト粘着剤(b)100質量%中にスチレン含有率が25質量%以上50質量%未満の熱可塑性エラストマー(A1)5~35質量%を含むことが好ましい。熱可塑性エラストマー(A1)の含有率を5~35質量%とすることにより接着性(凝集力)を良好に保つことができる。より好ましくは10~30質量%であり、さらに好ましくは15~25質量%ある。
【0042】
熱可塑性エラストマー(A1)の25℃の25質量%トルエン溶液粘度は、100~50,000mPa・sであることが好ましい。より好ましくは150~10,000mPa・s、さらに好ましくは250~5,000mPa・sである。前記範囲であることで、耐熱性と塗工時の糸曳き性を両立できる。
【0043】
軟化点が90℃よりも高いホットメルト粘着剤(b)は、更にスチレン含有率が5質量%以上25質量%未満の熱可塑性エラストマー(A2)を含むことが好ましい。
熱可塑性エラストマー(A1)および(A2)を併用することにより、ラベルを容器に装着した時容器を加熱した時の優れた接着性(密着力)およびホットメルト粘着剤(b)をラベルに塗工する時に糸曳きが低減させることが可能となる。但し、ラベルに塗工する時に糸曳き性は、ホットメルト粘着剤をラベルに塗工するラベラーの種類により低減させることもできる。
【0044】
軟化点が90℃よりも高いホットメルト粘着剤(b)は、熱可塑性エラストマー(A1)に加えて、ホットメルト粘着剤(b)100質量%中に、スチレン含有率が5質量%以上25質量%未満の熱可塑性エラストマー(A2)を、0質量%を超えて20質量%以下含むことが好ましい。熱可塑性エラストマー(A2)の含有率を、0質量%を超えて20質量%以下とすることにより接着性(密着性)を良好に保つことができる。より好ましくは5~15質量%である。
【0045】
また、軟化点が90℃よりも高いホットメルト粘着剤(b)は、熱可塑性エラストマー(A1)に加えて、ホットメルト粘着剤(b)100質量%中に、固体粘着付与剤(B)を20~70質量%含有することが好ましい。固体粘着付与剤(B)の含有率を20~70質量%とすることにより接着性(密着性)を良好に保つことができる。30~60質量%がより好ましく、40~55質量%がさらに好ましい。
【0046】
固体粘着付与剤(B)は、前記(B1)であることが好ましい。軟化点が90℃よりも高いホットメルト粘着剤(b)はアルカリ分散性の機能がなくても問題ないが、固体粘着付与剤(B1)を用いることで、熱アルカリ水溶液でラベルと容器を分離させる際に再付着を防止する為にアルカリ分散性を付与することができる。
【0047】
また、軟化点が90℃よりも高いホットメルト粘着剤(b)は、熱可塑性エラストマー(A1)に加えて、ワックス(C)を1~20質量%含有することが好ましいワックス(C)の含有率を1~20質量%とすることにより凝集力を良好に保つことができる。3~15質量%がより好ましく、5~10質量%がさらに好ましい。
【0048】
ホットメルト粘着剤(b)に含まれるワックス(C)は、示差熱走査熱量計(DSC)により測定した融点が90~160℃の範囲であるワックス(C1)が好ましい。融点が90℃以上であることで耐熱性および接着性(凝集力)が良好となり、160℃以下であることによりホットメルト粘着剤の塗工性およびアルカリ分散性が良好となる。ワックス(C1)の融点は、120~150℃以下であることがより好ましく、更に好ましくは130~150℃であり、特に好ましくは、140~150℃である。
【0049】
また、軟化点が90℃よりも高いホットメルト粘着剤(b)は、熱可塑性エラストマー(A1)に加えて、ホットメルト粘着剤(b)100質量%中に、ポリブテン(D)及び/又はプロセスオイル(E)を合計で5~40質量%含有することが好ましい。ポリブテン(D)及び/又はプロセスオイル(E)の合計含有率を5~40質量%とすることにより、耐熱性と耐寒性が良好にすることができる。ポリブテン(D)の含有率が10~25質量%であることがより好ましく、15~20質量%がさらに好ましい。
【0050】
ホットメルト粘着剤(b)に含まれるポリブテン(D)は、100℃におけるの動粘度(JIS K2283)が70~1000mm2/sの範囲であるポリブテン(D)が好ましい。100℃における動粘度が70mm2/s以上であることにより、ラベルの接着力(保持力)が強くなり、1000mm2/s以下であることにより、熱アルカリ水溶液中でラベルを剥離性が良好になる。ポリブテン(D)の100℃における動粘度は、より好ましくは100~600mm2/sで、更に好ましくは、150~300mm2/sである。なお、動粘度の測定方法は実施例の欄に記載する。
【0051】
ホットメルト粘着剤(b)に含まれるプロセスオイル(E)は、40℃におけるの動粘度(JIS K2283)が20~350mm2/sの範囲が好ましい。40℃における動粘度が20mm2/s以上であることにより、ラベルの接着力(保持力)が強くなり、350mm2/s以下であることにより、熱アルカリ水溶液中でラベルを剥離性が良好に(ラベルの再付着が少なく)なる。
【0052】
以下の態様に限定されるものではないが、軟化点が90℃よりも高いホットメルト粘着剤(b)は、熱可塑性エラストマー(A1)と、固体粘着付与剤(B)と、ワックス(C)と、ポリブテン(D)及び/又はプロセスオイル(E)とを含有することが好ましく、さらに熱可塑性エラストマー(A2)を含むことが好ましい。
【0053】
(軟化点が90℃以上のホットメルト粘着剤(b)の製造)
本発明のホットメルト粘着剤(b)は、例えば、撹拌機を備えた溶融釜でワックス(C)、ポリブテン(D)を溶融したものに熱可塑性エラストマー(A)を混合分散し、さらに固体粘着付与剤(B)を添加し混合することにより製造することができる。
【0054】
ホットメルト粘着剤(b)は配合成分を混合し、所望の形状に成形したものを用いてもよい。所望の形状として、顆粒状、ペレット状、面状、あるいはブロック状が例示できる。これらの方法は、公知の方法を制限なく利用することができる。
【0055】
本発明のホットメルト粘着剤(a)および(b)は、本発明の効果を損なわない範囲で更にその他成分を含有してもよい。その他成分としては、例えば、着色剤、ブロッキング防止剤、無機フィラー、酸化防止剤、難燃剤、可塑剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、重金属不活性化剤、蛍光増白剤などが挙げられる。これらの成分は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0056】
前記着色剤は、赤、青、緑、黄などの慣用公知の着色剤を使用することができる。着色剤としては、顔料、染料、色素のいずれでもよく、例えば、モノアゾ系、ジズアゾ系、アゾレーキ系、ベンズイミダゾロン系、ペリレン系、ジケトピロロピロール系、縮合アゾ系、アントラキノン系、キナクリドン系、フタロシアニン系、アントラキノン系があり、顔料系はピグメント、ペリレン系、モノアゾ系、縮合アゾ系、イソインドリノン系、酸化チタン、カーボンなどが挙げられる。
【0057】
前記ブロッキング防止剤としてはシリコーン、ステアリン酸アマイド、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、オレイン酸アミドおよびベヘン酸アマイドなどの不飽和脂肪酸アマイドなどが挙げられる。
【0058】
前記無機フィラーとしては、金属、金属酸化物および金属水酸化物など粒子、繊維状などが挙げられる。具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、珪酸カルシウム、チタン酸カルシウム、ホウ酸アルミニウム繊維、フレーク状ガラス、タルク、カオリン、マイカ、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸一水素カルシウム、ワラストナイト、シリカ、ゼオライト、アルミナ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、アルミナ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、カーボンナノチーブ、グラファイト、銅、銀、アルミニウム、ニッケル、鉄、フッ化カルシウム、雲母、モンモリナイト、アパタイトなどが挙げられる。
【0059】
前記酸化防止剤としては、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ジエチル〔[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル〕ホスフォネート、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-t-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル]プロピオネート、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、ビス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト等が挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0060】
前記難燃剤としては、燐含有化合物系難燃剤、ハロゲン含有化合物系難燃剤、スルホン酸金属塩系難燃剤、珪素含有化合物系難燃剤等が挙げられる。
【0061】
前記可塑剤としては、フタル酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤、脂肪族一塩基酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑剤、テトラヒドロフタル酸エステル系可塑剤、グリコール系可塑剤、およびビスフェノールAアルキレンオキサイド誘導体などが挙げられる。
【0062】
前記帯電防止剤としては、プラスチックの帯電防止剤として汎用されているものでよく、具体的には、非イオン界面活性剤(例えば、多価アルコールの脂肪酸エステル、アルキルアミンのエチレンオキサイド付加物、およびアルキルアミンのエチレンオキサイド付加物の脂肪酸エステルなど)、陰イオン界面活性剤(例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩など)、陽イオン界面活性剤(例えば、脂肪族アミン塩、4級アンモニウム塩など)、両性界面活性剤(例えばイミダゾリン型、ベタイン型など)が挙げられる。
【0063】
前記光安定剤としては、ヒンダードアミン系化合物およびベンゾエイト系化合物などが挙げられる。
【0064】
前記紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤などが挙げられる。
【0065】
前記重金属不活性化剤としては、サリチル酸誘導体、ヒドラジド誘導体又はシュウ酸アミド誘導体などが挙げられる。
【0066】
前記 蛍光増白剤としては、スチルベン系、クマリン系、オキサゾール系、ナフタルイミド系が挙げられる。
【0067】
軟化点が90℃以下であるホットメルト粘着剤(a)および軟化点が90℃よりも高いホットメルト粘着剤(b)中の、前記その他成分の含有量は、それぞれ独立に、軟化点が90℃以下であるホットメルト粘着剤(a)、軟化点が90℃よりも高いホットメルト粘着剤(b)100質量%中に0~40質量%であることが好ましい。より好ましくは0~30質量%であり、0~20質量%が更に好ましい。
【0068】
(容器)
本発明における容器は、アルカリ分散性ホットメルト粘着剤(a)およびホットメルト粘着剤(b)を用いた本発明のラベルが装着されたものを指す。容器の材質としてはガラス、プラスチック、紙などが挙げられるが、特に限定されない。また、その形状は丸型であっても角型等の非丸型であっても良い。
【0069】
PETボトルにおいては、PETボトルの胴周りの一部にラベルが貼着されたものの他、ボトルの胴周りを周状に覆うように巻きまわされたロールラベルとして利用されている。このようなロールラベルとしてはOPPフィルムが多用されている。本発明のラベルについても、裏面に印刷がなされているものも、印刷がなされていないものも同様に、良好な接着を行うことができる。本発明において、アルカリ分散型ホットメルト粘着剤(a)およびホットメルト粘着剤(b)は、ラベル裏面の一部に塗工されている。塗布方式としては、オープンホイール方式、クローズガン方式、ダイレクトコート方式などがある。剥がしたときにPETボトルなどに糊が残らない方式としては、オープンホイール方式、ダイレクトコート方式が好ましい。
【0070】
本発明の容器に貼り付けられるラベルのアルカリ分散型ホットメルト粘着剤(a)およびホットメルト粘着剤(b)の塗工量は、10~300g/m2が好ましい。塗工量が10~300g/m2であることにより、接着性(密着性)などの点で優れた効果を発揮する。
【実施例0071】
以下、本発明を実施例および比較例を挙げてさらに具体的に説明する。しかし、本発明
は、以下の実施例に限定されるものではない。例中、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を示し、「%」は「質量%」を示す。
【0072】
[固体粘着剤の酸価の測定方法]
酸価の測定は、JIS K5601-2-1酸価(滴定法)に準拠して行った。具体的には、試料1gを精密に量り、250mlのフラスコに入れ、トルエン/エタノール=2/1の混合溶媒50mlを加え、加温して溶かし、時々振り混ぜながら0 .1N水酸化カリウム液で滴定した(指示薬:フェノールフタレイン)。滴定の終点は、液の淡紅色が30秒残存する点とした。次いで、同様の方法で空試験を行って補正し、次の式から酸価の値を求めた。
酸価=〔0.1N水酸化カリウム液の消費量(ml)×5.611〕/〔〔試料量(g)〕
【0073】
[ワックス(C)の融点の測定方法]
ワックス(C)の融点は、示差走査熱量測定装置(島津自動示差熱量計DSC-60A Plus)で測定を行った。約5mgのサンプルを取り、0℃に冷却した後昇温速度10℃/分で170℃まで加熱を行い、次に-20℃/分の冷却速度で0℃まで冷却を行った。0℃1分間保持した後10℃/分の昇温速度で再び加熱を行い、170℃に加熱した時の発熱吸熱量を測定した。ワックスが溶ける時の融解ピークを融点とした。
【0074】
[ポリブテン(D)の動粘度の測定方法]
ポリブテンの動粘度は、JIS K2283に準拠して測定した。なお、ポリブテン(D)の動粘度は100℃で測定した。
【0075】
アルカリ分散型ホットメルト粘着剤(a)およびホットメルト粘着剤(b)に用いた原料を以下に示す。
【0076】
[熱可塑性エラストマー(A)]
(熱可塑性エラストマーA1)
クレイトンG1650(クレイトンポリマー社製)、スチレン含有率:30質量%、25℃での固形分25質量%トルエン溶液の粘度:8,000mPa・s、SEBS
クレイトンG1651(クレイトンポリマー社製)、スチレン含有率:33質量%、25℃での固形分25質量%トルエン溶液の粘度:50,000mPa・s以上、SEBS
クレイトンG1652(クレイトンポリマー社製)、スチレン含有率:30質量%、25℃での固形分25質量%トルエン溶液の粘度:1,800mPa・s、SEBS
クレイトンG1726(クレイトンポリマー社製)、スチレン含有率:30質量%、25℃での固形分25質量%トルエン溶液の粘度:200mPa・s、SEBS
クレイトンD1102(クレイトンポリマー社製)、スチレン含有率:28質量%、25℃での固形分25質量%トルエン溶液の粘度:1,100mPa・s、SBS
クレイトンD1162(クレイトンポリマー社製)、スチレン含有率:43質量%、25℃での固形分25質量%トルエン溶液の粘度:120mPa・s、SIS
(熱可塑性エラストマーA2)
クレイトンG1645(クレイトンポリマー社製)、スチレン含有率:13質量%、25℃での固形分25質量%トルエン溶液の粘度:120mPa・s以下、SEBS
クレイトンD1161(クレイトンポリマー社製)、スチレン含有率:15質量%、25℃での固形分25質量%トルエン溶液の粘度:1,200mPa・s、SIS
クレイトンG1643(クレイトンポリマー社製)、スチレン含有率:19質量%、25℃での固形分25質量%トルエン溶液の粘度:200mPa・s、SEBS
クレイトンD1111(クレイトンポリマー社製)、スチレン含有率:22質量%、25℃での固形分25質量%トルエン溶液の粘度:1,100mPa・s、SIS
(熱可塑性エラストマーA3)
クレイトンA1535(クレイトンポリマー社製)、スチレン含有率:58質量%、25℃での固形分25質量%トルエン溶液の粘度:トルエンに溶解せず測定不可、SEBS
【0077】
[固体粘着付与剤(B)]
(酸価が100~300mgKOH/gの固体粘着付与剤(B1))
RHR-301(中国 Wuzhou Sun Shine Forestry & Chemicals Co.,LTD of Guangxi社製)、水添ロジン、酸価:165mgKOH/g
KE-604B:パインクッリスタルKE-604B(荒川化学社製)、アクリル変性ロジン、酸価:246mgKOH/g
ハリタックAQ-90A(ハリマ化成社製)、変性ロジン、酸価:105mgKOH/g
【0078】
[その他固体粘着付与剤(B2)]
アルコンP-70(荒川化学社製)、脂環族飽和炭化水素樹脂、酸価0mgKOH/g、軟化点:70℃
アルコンP-90(荒川化学社製)、脂環族飽和炭化水素樹脂、酸価0mgKOH/g、軟化点:90℃
アルコンP-100(荒川化学社製)、脂環族飽和炭化水素樹脂、酸価0mgKOH/g、軟化点:100℃
アルコンP-125(荒川化学社製)、脂環族飽和炭化水素樹脂、酸価0mgKOH/g、軟化点:125℃
【0079】
[ワックス(C)]
NP805:ハイワックスNP805(三井化学社製)、ポリプロピレンワックス、融点145℃
NP056:ハイワックスNP056(三井化学社製)、ポリプロピレンワックス、融点124℃
PPMA6252:リコセンPPMA6252(クライアントケミカルズ社製)、酸変性ポリプロピレンワックス、融点:140℃
ビスコール660P(三洋化成社製)、ポリエチレンワックス、融点:136℃
【0080】
[ポリブテン(D)]
HV-35(ENEOS社製)100℃動粘度:85mm2/s
HV-50(ENEOS社製)100℃動粘度:110mm2/s
HV-100(ENEOS社製)100℃動粘度:220mm2/s
HV-300(ENEOS社製)100℃動粘度:590mm2/s
【0081】
[プロセスオイル(E)]
PW-32:ダイアナプロセスオイルPW-32(出光興産社製)、40℃動粘度:31mm2/s
PW-90:ダイアナプロセスオイルPW-90(出光興産社製)、40℃動粘度:95mm2/s
PW-150:ダイアナプロセスオイルPW-150(出光興産社製)、40℃動粘度:145mm2/s
PW-380:ダイアナプロセスオイルPW-380(出光興産社製)、40℃動粘度:381mm2/s
PS-430:ダイアナプロセスオイルPS-430(出光興産社製)、40℃動粘度:438mm2/s
【0082】
[酸化防止剤]
IRG1010:イルガノックス1010(BASF社製)、ペンタエリスリトール=テトラキス[3-(3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオナート]
【0083】
<軟化点が90℃以下であるアルカリ分散型ホットメルト粘着剤(a)の製造>
(製造例a-1)
攪拌機を備えたステンレスビーカーに、プロセスオイル(E):PW-90を30部およびその他成分:IRG1010を0.5部投入し、加熱して溶融した。加熱は内容物が130~150℃になるように注意して行った。溶融後攪拌を行い、均一溶融溶液とした後、130~150℃の温度を保ちながら、かつ攪拌を続けながら、この溶融物に熱可塑性エラストマー(A1):クレイトンG1651を5部、徐々に加え、添加終了後、130~150℃の温度で加熱撹拌し、熱可塑性エラストマー(A1)を完全に溶融させた。その後、固体粘着付与剤(B):RHR-301を65部添加して、溶融均一混合物とし、冷却して軟化点が90℃以下であるアルカリ分散型ホットメルト粘着剤を製造した。
【0084】
(製造例a-2)
攪拌機を備えたステンレスビーカーに、プロセスオイル(E):PW-150を25部およびその他成分:IRG1010を0.5部投入し、加熱して溶融した。加熱は内容物が130~150℃になるように注意して行った。溶融後攪拌を行い、均一溶融溶液とした後、130~150℃の温度を保ちながら、かつ攪拌を続けながら、この溶融物に熱可塑性エラストマー(A1):クレイトンD1162を35部、を徐々に加え、添加終了後、130~150℃の温度で加熱撹拌し、熱可塑性エラストマー(A1)を完全に溶融させた。その後、固体粘着付与剤(B):RHR-301を40部添加して、溶融均一混合物とし、冷却して軟化点が90℃以下であるアルカリ分散型ホットメルト粘着剤を製造した。
【0085】
(製造例a-3)
攪拌機を備えたステンレスビーカーに、ワックス(C):HNP-11を18部、プロセスオイル(E):PW-32を32部およびその他成分:IRG1010を0.5部投入し、加熱して溶融した。加熱は内容物が130~150℃になるように注意して行った。溶融後攪拌を行い、均一溶融溶液とした後、130~150℃の温度を保ちながら、かつ攪拌を続けながら、この溶融物に熱可塑性エラストマー(A1):クレイトンD1102を15部および(A2):クレイトンG1161を15部、徐々に加え、添加終了後、130~150℃の温度で加熱撹拌し、熱可塑性エラストマー(A)を完全に溶融させた。その後、固体粘着付与剤(B):RHR-301を20部添加して、溶融均一混合物とし、冷却して軟化点が90℃以下であるアルカリ分散型ホットメルト粘着剤を製造した。
【0086】
(製造例a-4)
攪拌機を備えたステンレスビーカーに、ワックス(C):POLYWAX655を5部、ポリブテン(D):HV-100を20部、プロセスオイル(E):PW-380を10部およびその他成分:IRG1010を0.5部投入し、加熱して溶融した。加熱は内容物が130~150℃になるように注意して行った。溶融後攪拌を行い、均一溶融溶液とした後、130~150℃の温度を保ちながら、かつ攪拌を続けながら、この溶融物に熱可塑性エラストマー(A1):クレイトンD1652を10部および熱可塑性エラストマー(A2):クレイトンG1643を10部、を徐々に加え、添加終了後、130~150℃の温度で加熱撹拌し、熱可塑性エラストマー(A)を完全に溶融させた。その後、固体粘着付与剤(B):RHR-301を45部添加して、溶融均一混合物とし、冷却して軟化点が90℃以下であるアルカリ分散型ホットメルト粘着剤を製造した。
【0087】
(製造例a-5)
攪拌機を備えたステンレスビーカーに、ポリブテン(D):HV-300を25部、固体粘着付与剤(B):RHR-301を30部およびその他成分:IRG1010を0.5部投入し、加熱して溶融した。加熱は内容物が130~150℃になるように注意して行った。溶融後攪拌を行い、均一溶融溶液とした後、130~150℃の温度を保ちながら、かつ攪拌を続けながら、この溶融物に熱可塑性エラストマー(A1):クレイトンG1726を20部、徐々に加え、添加終了後、130~150℃の温度で加熱撹拌し、熱可塑性エラストマー(A1)を完全に溶融させた。その後、固体粘着付与剤(B):RHR-301を20部およびKE-604Bを5部、添加して、溶融均一混合物とし、冷却して軟化点が90℃以下であるアルカリ分散型ホットメルト粘着剤を製造した。
【0088】
(製造例a-6)>
攪拌機を備えたステンレスビーカーに、ポリブテン(D):HV-100を30部、プロセスオイル(E):PW-32を35部およびその他成分:IRG1010を0.5部投入し、加熱して溶融した。加熱は内容物が130~150℃になるように注意して行った。溶融後攪拌を行い、均一溶融溶液とした後、130~150℃の温度を保ちながら、かつ攪拌を続けながら、この溶融物に熱可塑性エラストマー(A1):クレイトンG1650を15部、徐々に加え、添加終了後、130~150℃の温度で加熱撹拌し、熱可塑性エラストマー(A1)を完全に溶融させた。その後、固体粘着付与剤(B):RHR-301を20部添加して、溶融均一混合物とし、冷却して軟化点が90℃以下であるアルカリ分散型ホットメルト粘着剤を製造した。
【0089】
(製造例a-7)
攪拌機を備えたステンレスビーカーに、ポリブテン(D):HV-50を5部、ワックス(C):PPMA6252を10部、プロセスオイル(E):PW-90を25部およびその他成分:IRG1010を0.5部投入し、加熱して溶融した。加熱は内容物が130~150℃になるように注意して行った。溶融後攪拌を行い、均一溶融溶液とした後、130~150℃の温度を保ちながら、かつ攪拌を続けながら、この溶融物に熱可塑性エラストマー(A2):クレイトンD1111を20部、を徐々に加え、添加終了後、130~150℃の温度で加熱撹拌し、熱可塑性エラストマー(A2)を完全に溶融させた。その後、固体粘着付与剤(B):ハリタックAQ-90Aを40部添加して、溶融均一混合物とし、冷却して軟化点が90℃以下であるアルカリ分散型ホットメルト粘着剤を製造した。
【0090】
(製造例a-8)
攪拌機を備えたステンレスビーカーに、ポリブテン(D):HV-35を5部、プロセスオイル(E):PW-90を35部およびその他成分:IRG1010を0.5部投入し、加熱して溶融した。加熱は内容物が130~150℃になるように注意して行った。溶融後攪拌を行い、均一溶融溶液とした後、130~150℃の温度を保ちながら、かつ攪拌を続けながら、この溶融物に熱可塑性エラストマー(A1):クレイトンG1652を20部、を徐々に加え、添加終了後、130~150℃の温度で加熱撹拌し、熱可塑性エラストマー(A1)を完全に溶融させた。その後、固体粘着付与剤(B):RHR-301を40部添加して、溶融均一混合物とし、冷却して軟化点が90℃以下であるアルカリ分散型ホットメルト粘着剤を製造した。
【0091】
【0092】
<軟化点が90℃以上であるホットメルト粘着剤の製造>
(製造例b-1)
攪拌機を備えたステンレスビーカーに、ワックス(C):PPMA6252を1部およびビスコール660Pを8部、ポリブテン(D):HV-100を5部、プロセスオイル(E):PW-380を30部およびその他成分:IRG1010を0.5部投入し、加熱して溶融した。加熱は内容物が130~150℃になるように注意して行った。溶融後攪拌を行い、均一溶融溶液とした後、130~150℃の温度を保ちながら、かつ攪拌を続けながら、この溶融物に熱可塑性エラストマー(A1):クレイトンG1651を7部徐々に加え、添加終了後、130~150℃の温度で加熱撹拌し、熱可塑性エラストマー(A)を完全に溶融させた。その後、固体粘着付与剤(B):RHR-301を49部添加して、溶融均一混合物とし、冷却して軟化点が90℃以下であるアルカリ分散型ホットメルト粘着剤を製造した。
【0093】
(製造例b-2~b-6、34)
表2に記載の材料、配合量に変更した以外は、製造例b-1と同様にして、アルカリ分散型ホットメルト粘着剤を製造した。
【0094】
(製造例b-7)
攪拌機を備えたステンレスビーカーに、ワックス(C):PPMA6252を5部、ポリブテン(D):HV-100を10部、プロセスオイル(E):PW-380を25部およびその他成分:IRG1010を0.5部投入し、加熱して溶融した。加熱は内容物が130~150℃になるように注意して行った。溶融後攪拌を行い、均一溶融溶液とした後、130~150℃の温度を保ちながら、かつ攪拌を続けながら、この溶融物に熱可塑性エラストマー(A1):クレイトンG1726を5部および熱可塑性エラストマー(A2):クレイトンG1645を35部、を徐々に加え、添加終了後、130~150℃の温度で加熱撹拌し、熱可塑性エラストマー(A)を完全に溶融させた。その後、固体粘着付与剤(B1):RHR-30を20部、を添加して、溶融均一混合物とし、冷却して軟化点が90℃以下であるアルカリ分散型ホットメルト粘着剤を製造した。
【0095】
(製造例b-8、9、29、32)
表2に記載の材料、配合量に変更した以外は、製造例b-7と同様にして、アルカリ分散型ホットメルト粘着剤を製造した。
【0096】
(製造例b-10)
攪拌機を備えたステンレスビーカーに、ワックス(C):PPMA6252を5部、ポリブテン(D):HV-100を10部、プロセスオイル(E):PW-380を20部およびその他成分:IRG1010を0.5部投入し、加熱して溶融した。加熱は内容物が130~150℃になるように注意して行った。溶融後攪拌を行い、均一溶融溶液とした後、130~150℃の温度を保ちながら、かつ攪拌を続けながら、この溶融物に熱可塑性エラストマー(A1):クレイトンG1652を10部および熱可塑性エラストマー(A2):クレイトンD1161を10部、を徐々に加え、添加終了後、130~150℃の温度で加熱撹拌し、熱可塑性エラストマー(A)を完全に溶融させた。その後、固体粘着付与剤(B1):RHR-301を30部及び固体粘着付与剤(B2):アルコンP-125を15重量部添加して、溶融均一混合物とし、冷却して軟化点が90℃以下であるアルカリ分散型ホットメルト粘着剤を作製した。
【0097】
(製造例b-11、13、15、17~24、33)
表2に記載の材料、配合量に変更した以外は、製造例b-10と同様にして、アルカリ分散型ホットメルト粘着剤を製造した。
【0098】
(製造例b-12)
攪拌機を備えたステンレスビーカーに、ワックス(C):ビスコール660Pを5部、ポリブテン(D):HV-100を10部、固体粘着付与剤(B2):アルコンP-125を25部およびその他成分:IRG1010を0.5部投入し、加熱して溶融した。加熱は内容物が130~150℃になるように注意して行った。溶融後攪拌を行い、均一溶融溶液とした後、130~150℃の温度を保ちながら、かつ攪拌を続けながら、この溶融物に熱可塑性エラストマー(A1):クレイトンG1650を10部および熱可塑性エラストマー(A2):クレイトンD1161を10部、を徐々に加え、添加終了後、130~150℃の温度で加熱撹拌し、熱可塑性エラストマー(A)を完全に溶融させた。その後、固体粘着付与剤(B):RHR-301を40部添加して、溶融均一混合物とし、冷却して軟化点が90℃以下であるアルカリ分散型ホットメルト粘着剤を製造した。
【0099】
(製造例b-14)
攪拌機を備えたステンレスビーカーに、ポリブテン(D):HV-100を5部、プロセスオイル(E):PW-150を15部、固体粘着付与剤(B2):アルコンP-100を25部およびその他成分:IRG1010を0.5部投入し、加熱して溶融した。加熱は内容物が130~150℃になるように注意して行った。溶融後攪拌を行い、均一溶融溶液とした後、130~150℃の温度を保ちながら、かつ攪拌を続けながら、この溶融物に熱可塑性エラストマー(A1):クレイトンG1652を10部および熱可塑性エラストマー(A2):クレイトンG1643を10部徐々に加え、添加終了後、130~150℃の温度で加熱撹拌し、熱可塑性エラストマー(A)を完全に溶融させた。その後、固体粘着付与剤(B1):RHR-301を30部およびKE-604Bを5部、を添加して、溶融均一混合物とし、冷却して軟化点が90℃以下であるアルカリ分散型ホットメルト粘着剤を製造した。
【0100】
(製造例b-31)
表3に記載の材料、配合量に変更した以外は、製造例b-14と同様にして、アルカリ分散型ホットメルト粘着剤を製造した。
【0101】
(製造例b-16)
攪拌機を備えたステンレスビーカーに、ワックス(C):NP056を5部、ポリブテン(D):HV-100を25部、プロセスオイル(E):PW-380を20部およびその他成分:IRG1010を0.5部投入し、加熱して溶融した。加熱は内容物が130~150℃になるように注意して行った。溶融後攪拌を行い、均一溶融溶液とした後、130~150℃の温度を保ちながら、かつ攪拌を続けながら、この溶融物に熱可塑性エラストマー(A1):クレイトンG1652を10部および熱可塑性エラストマー(A2):クレイトンD1161を10部、を徐々に加え、添加終了後、130~150℃の温度で加熱撹拌し、熱可塑性エラストマー(A)を完全に溶融させた。その後、固体粘着付与剤(B1):RHR-301を30部を添加して、溶融均一混合物とし、冷却して軟化点が90℃以下であるアルカリ分散型ホットメルト粘着剤を作製した。
【0102】
(製造例b-25)
攪拌機を備えたステンレスビーカーに、ワックス(C):PPMA6252を5部、プロセスオイル(E):PW-380を20部、固体粘着付与剤(B2):アルコンP-125を25部およびその他成分:IRG1010を0.5部投入し、加熱して溶融した。加熱は内容物が130~150℃になるように注意して行った。溶融後攪拌を行い、均一溶融溶液とした後、130~150℃の温度を保ちながら、かつ攪拌を続けながら、この溶融物に熱可塑性エラストマー(A1):クレイトンG1652を10部および熱可塑性エラストマー(A2):クレイトンD1161を10部徐々に加え、添加終了後、130~150℃の温度で加熱撹拌し、熱可塑性エラストマー(A)を完全に溶融させた。その後、固体粘着付与剤(B1):RHR-301を30部、を添加して、溶融均一混合物とし、冷却して軟化点が90℃以下であるアルカリ分散型ホットメルト粘着剤を製造した。
【0103】
(製造例b-26、27)
表3に記載の材料、配合量に変更した以外は、製造例b-26と同様にして、アルカリ分散型ホットメルト粘着剤を製造した。
【0104】
(製造例b-28)
攪拌機を備えたステンレスビーカーに、ワックス(C):NP056を10部、プロセスオイル(E):PW-380を3部およびその他成分:IRG1010を0.5部投入し、加熱して溶融した。加熱は内容物が130~150℃になるように注意して行った。溶融後攪拌を行い、均一溶融溶液とした後、130~150℃の温度を保ちながら、かつ攪拌を続けながら、この溶融物に熱可塑性エラストマー(A1):クレイトンG1726を20部および熱可塑性エラストマー(A2):クレイトンD1161を10部、を徐々に加え、添加終了後、130~150℃の温度で加熱撹拌し、熱可塑性エラストマー(A)を完全に溶融させた。その後、固体粘着付与剤(B1):RHR-301を42部及び固体粘着付与剤(B2):アルコンP-125を15重量部、を添加して、溶融均一混合物とし、冷却して軟化点が90℃以下であるアルカリ分散型ホットメルト粘着剤を作製した。
【0105】
(製造例b-30)
攪拌機を備えたステンレスビーカーに、固体粘着付与剤(B-2):アルコンP-125を22重量部、ワックス(C):NP056を5部、ポリブテン(D):HV-100を10部、プロセスオイル(E):PW-380を8部およびその他成分:IRG1010を0.5部投入し、加熱して溶融した。加熱は内容物が130~150℃になるように注意して行った。溶融後攪拌を行い、均一溶融溶液とした後、130~150℃の温度を保ちながら、かつ攪拌を続けながら、この溶融物に熱可塑性エラストマー(A1):クレイトンG1650を5部および熱可塑性エラストマー(A2):クレイトンD1161を10部、を徐々に加え、添加終了後、130~150℃の温度で加熱撹拌し、熱可塑性エラストマー(A)を完全に溶融させた。その後、固体粘着付与剤(B1):RHR-301を50部、を添加して、溶融均一混合物とし、冷却して軟化点が90℃以下であるアルカリ分散型ホットメルト粘着剤を作製した。
【0106】
【0107】
【0108】
(実施例1)
幅50mmの厚さ30μmの片面に印刷を施したOPPの片末端(I)印刷面にホットメルト粘着剤(a-1)を塗工量約20g/m2になるようにハンドアプリケーターを用いて塗工(粘着剤の温度:150℃)して、もう片末端(II)に印刷面にホットメルト粘着剤(b-10)を塗工量約20g/m2になるようにハンドアプリケーターを用いて塗工(粘着剤の温度:150℃)してラベルを作成した。
【0109】
(実施例2~41、比較例1~3)
ホットメルト粘着剤(a)および(b)を表4~8に記載の物に変更した以外は、実施例1と同様にしてラベルを作成した。
【0110】
[ボトル巻き付けたラベルの評価]
<耐寒性評価>
(サンプル作製)
作成したラベルをPETボトル(キリン社製午後の紅茶ストレートティー500ml角PETボトル)にホットメルト粘着剤(a)をPETボトルに接着し、ラベルをPETボトルに巻き付け、ホットメルト粘着剤(b)が作成したラベルの印刷していない面に接着するように接着した。ホットメルト粘着剤(a)および(b)をPETボトルおよびラベルにしっかり貼り付くようにラベルの上からよく指で押しつけてラベル付きPETボトルを作製した。
(試験方法)
耐寒性の試験方法は、作製したサンプルを5℃の冷凍機に24時間以上保存してよく冷却した後、約1mの高さから塩ビ床材にPETボトルの底が当たるように落下させてラベルを剥離する回数を測定して評価した。
ラベルが剥離しない回数が多い方が良好であり、評価結果2~5を合格、評価結果1を不合格とした。
(評価基準)
5:10回落下しても剥離しなかった。非常に良好。
4:6~10回目で剥離した。良好。
3:4~5回目で剥離した。やや良好。
2:2~3回目で剥離した。実用可。
1:1回目で剥離した。実用不可。
【0111】
<耐熱性評価>
(サンプル作製)
耐寒性評価で作製した同様の方法で作製した。
(試験方法)
耐熱性の試験方法は、接着面積15mm×15mmの保持力で評価を行った。
測定温度:50℃
荷重:200g
測定時間:24時間
ラベルが剥離しない評価結果2~5を合格、ラベルが剥離した評価結果1を不合格とした。
(評価基準)
5:落下せず。非常に良好。
4:12時間以上24時間未満で落下。良好。
3:6時間以上12時間未満で落下。やや良好。
2:2時間以上6時間未満で落下。実用可。
1:2時間未満で落下。実用不可。
【0112】
<アルカリ分散性>
(評価用サンプル作製)
耐寒性評価と同様にしてPETボトルにラベルを貼り付けたサンプルを作製し、ホットメルト粘着剤(a)および(b)が接着した部分をPETボトルごとハサミで切り取り、更に約8mm×8mm角に裁断して、評価用サンプル(ペレット)を作製した。
(試験方法)
1000ml丸型フラスコに、85~90℃の2.0質量%水酸化ナトリウム水溶液180gと前記ペレット20gを入れて、120rpmで攪拌(攪拌羽:プロペラ)した。10分後フィルターで濾過し、PETのペレットに残った粘着剤の残存率(面積%)を目視で観察して、評価した。ラベルがPETのペレットから剥がれ、ホットメルト粘着剤が少ない方がよく、評価結果2以上を合格とし、ラベルがPETのペレットに残存する評価結果1を不合格とした。
(評価基準)
5:ホットメルト粘着剤付きラベルが全てPETから剥離し、ホットメルト粘着剤がPETのペレットに残存しない。非常に良好。
4:ホットメルト粘着剤付きラベルが全てPETから剥離するが、ホットメルト粘着剤がPETのペレットに30%未満残る。良好。
3:ホットメルト粘着剤付きラベルが全てPETから剥離するが、ホットメルト粘着剤がPETのペレットに30%以上50%未満残る。やや良好。
2:ホットメルト粘着剤付きラベルが全てPETから剥離するが、ホットメルト粘着剤がPETのペレットに50%以上残る実用可。
1:ホットメルト粘着剤付きラベルがPETから剥離しない。実用不可。
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
【0118】
表4~7から、前記2種類のホットメルト粘着剤を用いたラベルは、耐熱性、耐寒性およびアルカリ剥離性を有する。一方、比較例1~3(表8)は、耐熱性、耐寒性およびアルカリ剥離性を満たす結果は得られなかった。
以上説明したとおり、本発明のラベルにより、使用後の容器をリサイクルする時に熱アルカリ水溶液に浸漬することにより簡単に分別することが可能になる。PETボトルなどの容器に用いた場合ベンダーおよび店頭などで加熱してもラベルが剥離することがない。また、PETボトルに限らずガラス容器でも同様な性能を発揮することが判っており、ガラス容器のリサイクルにも適したラベルである。