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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025022382
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】質量分析装置
(51)【国際特許分類】
   H01J 49/06 20060101AFI20250206BHJP
【FI】
H01J49/06 700
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023126897
(22)【出願日】2023-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 剛史
(57)【要約】
【課題】レンズ光学系とフィードスルーコネクタとの着脱を簡素化することが可能な質量分析装置を提供すること。
【解決手段】質量分析装置置は、真空容器と、イオン源と、試料導入管と、レンズ光学系と、フィードスルーコネクタ700と、を備える。レンズ光学系の第1ユニットは、接続方向に沿って試料導入管に対して相対移動可能であり、第2ユニット及び第3ユニットは、直交方向に沿って第1ユニットに対して相対移動可能である。第1接続片411は、第1端子701を接続方向に付勢しながら第1端子に接触する第1付勢部411bを有する。第2接続片422は、第2端子を直交方向に付勢しながら第2端子に接触する第2付勢部422bを有する。第3接続片433は、第3端子を直交方向に付勢しながら第3端子に接触する第3付勢部433bを有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空容器と、
前記真空容器内に配置されており、試料ガスに含まれる試料分子をイオン化するイオン源と、
前記真空容器外から前記イオン源に前記試料ガスを導入する試料導入管と、
前記イオン源で生成されたイオンを前記イオン源外に引き出すレンズ光学系と、
前記真空容器外に設けられており前記レンズ光学系に電圧を印加する電圧印加部と、前記レンズ光学系と、を互いに接続するフィードスルーコネクタと、を備え、
前記レンズ光学系は、
第1レンズを含み、前記試料導入管に接続される第1ユニットと、
前記第1ユニットと前記フィードスルーコネクタとを接続する第1接続片と、
第2レンズを含む第2ユニットと、
前記第2ユニットと前記フィードスルーコネクタとを接続する第2接続片と、
第3レンズを含む第3ユニットと、
前記第3ユニットと前記フィードスルーコネクタとを接続する第3接続片と、を有し、
前記第1ユニットは、前記イオン源が前記試料導入管に接続される接続方向に沿って前記試料導入管に対して相対移動可能であり、
前記第2ユニット及び前記第3ユニットは、前記接続方向と直交する直交方向に沿って前記第1ユニットに対して相対移動可能であり、
前記フィードスルーコネクタは、
前記第1接続片と接触する第1端子と、
前記第2接続片と接触する第2端子と、
前記第3接続片と接触する第3端子と、を有し、
前記第1接続片は、前記第1端子を少なくとも前記接続方向に付勢しながら当該第1端子に接触する第1付勢部を有し、
前記第2接続片は、前記第2端子を少なくとも前記直交方向に付勢しながら当該第2端子に接触する第2付勢部を有し、
前記第3接続片は、前記第3端子を少なくとも前記直交方向に付勢しながら当該第3端子に接触する第3付勢部を有する、質量分析装置。
【請求項2】
前記第1接続片は、前記第1付勢部の先端につながった第1ガイド部をさらに有し、
前記第1ガイド部は、前記接続方向に延びる第1スリットを有し、
前記第2接続片は、前記第2付勢部の先端につながった第2ガイド部をさらに有し、
前記第2ガイド部は、前記直交方向に延びる第2スリットを有し、
前記第3接続片は、前記第3付勢部の先端につながった第3ガイド部をさらに有し、
前記第3ガイド部は、前記直交方向に延びる第3スリットを有する、請求項1に記載の質量分析装置。
【請求項3】
前記レンズ光学系の後段に配置された四重極質量フィルタをさらに備え、
前記四重極質量フィルタは、隔壁を有し、
前記第1ユニットは、前記イオン源に固定されており、かつ、前記イオン源とともに温度調整されており、
前記第2ユニット及び前記第3ユニットは、互いに固定されており、かつ、前記四重極質量フィルタの中心軸と同軸となるように前記隔壁に嵌合されている、請求項1又は2に記載の質量分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、質量分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許第4692627号公報に見られるような質量分析装置が公知である。この質量分析装置は、真空容器と、イオン源と、レンズ光学系と、四重極質量フィルタと、イオン検出器と、を備えている。レンズ光学系には、真空容器外に設けられた電圧印加部から電圧が印加される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4692627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許第4692627号公報に見られるような質量分析装置では、通常、電圧印加部とレンズ光学系との電気的接続のために、真空容器にフィードスルーコネクタが取り付けられ、フィードスルーコネクタにおける各端子とレンズ光学系とが配線により接続される。この場合、例えばレンズ光学系のメンテナンス時における配線の脱着作業が必要となる。
【0005】
本発明の目的は、レンズ光学系とフィードスルーコネクタとの着脱を簡素化することが可能な質量分析装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様は、真空容器と、前記真空容器内に配置されており、試料ガスに含まれる試料分子をイオン化するイオン源と、前記真空容器外から前記イオン源に前記試料ガスを導入する試料導入管と、前記イオン源で生成されたイオンを前記イオン源外に引き出すレンズ光学系と、前記真空容器外に設けられており前記レンズ光学系に電圧を印加する電圧印加部と、前記レンズ光学系と、を互いに接続するフィードスルーコネクタと、を備え、前記レンズ光学系は、第1レンズを含み、前記試料導入管に接続される第1ユニットと、前記第1ユニットと前記フィードスルーコネクタとを接続する第1接続片と、第2レンズを含む第2ユニットと、前記第2ユニットと前記フィードスルーコネクタとを接続する第2接続片と、第3レンズを含む第3ユニットと、前記第3ユニットと前記フィードスルーコネクタとを接続する第3接続片と、を有し、前記第1ユニットは、前記イオン源が前記試料導入管に接続される接続方向に沿って前記試料導入管に対して相対移動可能であり、前記第2ユニット及び前記第3ユニットは、前記接続方向と直交する直交方向に沿って前記第1ユニットに対して相対移動可能であり、前記フィードスルーコネクタは、前記第1接続片と接触する第1端子と、前記第2接続片と接触する第2端子と、前記第3接続片と接触する第3端子と、を有し、前記第1接続片は、前記第1端子を少なくとも前記接続方向に付勢しながら当該第1端子に接触する第1付勢部を有し、前記第2接続片は、前記第2端子を少なくとも前記直交方向に付勢しながら当該第2端子に接触する第2付勢部を有し、前記第3接続片は、前記第3端子を少なくとも前記直交方向に付勢しながら当該第3端子に接触する第3付勢部を有する、質量分析装置に関する。
【発明の効果】
【0007】
この質量分析装置では、レンズ光学系の各ユニットを真空容器内に配置する際、第1接続片の第1付勢部が接続方向に第1端子を付勢しながら第1端子に接触し、第2接続片の第2付勢部が直交方向に第2端子を付勢しながら第2端子に接触し、第3接続片の第3付勢部が直交方向に第3端子を付勢しながら第3端子に接触する。このため、従来のような配線の省略が可能となり、レンズ光学系とフィードスルーコネクタとの着脱作業が簡素化される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態における質量分析装置を概略的に示す図である。
図2】質量分析装置を概略的に示す正面図である。
図3】各接続片及びフィードスルーコネクタの斜視図である。
図4】第1接続片の斜視図である。
図5】第1ユニットの設置時における第1接続片の形状変化を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態における質量分析装置を概略的に示す図である。図2は、質量分析装置を概略的に示す正面図である。質量分析装置1は、試料分子や原子をイオン化することによって質量を分析する装置である。質量分析装置1は、ガスクロマトグラフ等に好ましく用いられる。
【0011】
図1及び図2に示されるように、質量分析装置1は、真空容器100と、イオン源200と、試料導入管300と、レンズ光学系400と、四重極質量フィルタ500と、イオン検出器600と、フィードスルーコネクタ700と、電圧印加部800と、を備えている。
【0012】
真空容器100には、当該真空容器100内を真空引きする真空ポンプ110が設けられている。真空容器100内には、イオン源200と、レンズ光学系400と、四重極質量フィルタ500と、イオン検出器600と、がイオン光軸C(図1を参照)に沿って配置されている。
【0013】
イオン源200は、試料ガスに含まれる試料分子をイオン化する。イオン源200は、イオン化室210、フィラメント220、トラップ電極230等を含んでいる。イオン化室210には、真空容器100外(ガスクロマトグラフ)から当該イオン化室210内に試料ガスを導入する試料導入管300が接続されている。
【0014】
イオン化室210において生成されたイオンは、レンズ光学系400によってイオン化室210外に導かれた後、レンズ光学系400の後段に配置された四重極質量フィルタ500において質量電荷比に応じて分離され、イオン検出器600で検出される。
【0015】
レンズ光学系400は、イオン源200の後段に配置されており、イオン化室210で生成されたイオンをイオン化室210外に引き出す。レンズ光学系400は、第1レンズを含む第1ユニット410と、第2レンズを含む第2ユニット420と、第3レンズを含む第3ユニット430と、第1接続片411と、第2接続片422と、第3接続片433と、を有している。
【0016】
第1ユニット410は、イオン化室210の後段に配置されており、第2ユニット420は、第1ユニット410の後段に配置されており、第3ユニット430は、第2ユニット420の後段に配置されている。各ユニット410~430におけるレンズは、イオンの通過経路(イオン光軸C)を規定している。
【0017】
第1レンズに試料由来の汚れが付着するのを抑制する観点から、第1ユニット410は、イオン化室210に固定されており、イオン化室210とともに温度調整されている。第1ユニット410は、イオン化室210とともに、試料導入管300の長手方向(図2における左右方向)に沿って試料導入管300に対して相対移動可能である。
【0018】
第2ユニット420及び第3ユニット430は、互いに固定されている。第2ユニット420及び第3ユニット430は、第1ユニット410が試料導入管300に接続される接続方向(図2における左右方向)と直交する直交方向(図2において紙面と直交する方向)に第1ユニット410に対して相対移動可能である。四重極質量フィルタ500は、円板状に形成された隔壁510(図1及び図2を参照)を有しており、第2ユニット420及び第3ユニット430は、四重極質量フィルタ500の中心軸と同軸となるように隔壁510の中央部に嵌合されている。なお、図2における紙面奥側(図3における右側)に四重極質量フィルタ500が配置されている。
【0019】
各ユニット410~430には、真空容器100外に設けられた電圧印加部800から電圧が印加される。具体的に、第1ユニット410及び第3ユニット430には、電圧印加部800におけるベース電圧発生部810からベース電圧が印加され、第2ユニット420には、電圧印加部800における調整電圧発生部820から調整電圧が印加される。ベース電圧は、イオン化室210からイオンを引き寄せる電圧であり、調整電圧は、イオンを遠ざける電圧(ベース電圧と逆の極性の電圧)である。
【0020】
第1接続片411は、第1ユニット410に溶接等によって接続されている。第1接続片411は、第1ユニット410とフィードスルーコネクタ700とを接続している。
【0021】
第2接続片422は、第2ユニット420に溶接等によって接続されている。第2接続片422は、第2ユニット420とフィードスルーコネクタ700とを接続する。
【0022】
第3接続片433は、第3ユニット430に溶接等によって接続されている。第3接続片433は、第3ユニット430とフィードスルーコネクタ700とを接続する。
【0023】
フィードスルーコネクタ700は、電圧印加部800とレンズ光学系400とを互いに接続する。フィードスルーコネクタ700は、真空容器100に接続されている。図3に示されるように、フィードスルーコネクタ700は、第1端子701と、第2端子702と、第3端子703と、を有している。
【0024】
第1端子701は、第1接続片411と接触している。第2端子702は、第2接続片422と接触している。第3端子703は、第3接続片433と接触している。第1端子701及び第3端子703は、ベース電圧発生部810に接続されており、第2端子702は、調整電圧発生部820に接続されている。
【0025】
図3及び図4に示されるように、第1接続片411は、第1基端部411aと、第1付勢部411bと、第1ガイド部411cと、を有している。
【0026】
第1基端部411aは、第1ユニット410に接続される部位である。第1基端部411aは、平板状に形成されている。
【0027】
第1付勢部411bは、第1基端部411aにつながっている。第1付勢部411bは、第1端子701を少なくとも前記接続方向に付勢しながら当該第1端子701に接触している。換言すれば、第1付勢部411bは、第1端子701を前記接続方向に付勢する成分を含む付勢力を第1端子701に作用させながら第1端子701に接触している。本実施形態では、第1付勢部411bは、第1端子701を前記接続方向と前記第1端子701の長手方向(図2における上下方向)との双方に付勢しながら第1端子701に接触している。第1付勢部411bは、前記接続方向に凸となるように屈曲している。
【0028】
第1ガイド部411cは、第1付勢部411bの先端につながっている。第1ガイド部411cは、第1ユニット410が試料導入管300に接続される際に第1端子701をガイドする。第1ガイド部411cは、第1付勢部411bが屈曲する向きとは反対向きに凸となるように屈曲している。第1ガイド部411cの先端には、第1端子701を受け入れる第1スリットS1が形成されている。第1スリットS1は、前記接続方向に延びている。図4に示されるように、第1ガイド部411cの先端部には、第1テーパ部411dが形成されている。第1テーパ部411dは、第1スリットS1の先端に向かうにしたがって次第に広がる形状を有している。
【0029】
本実施形態では、第1接続片411、第2接続片422及び第3接続片433は、互いに同じ形状に形成されている。すなわち、第2接続片422は、第2基端部422aと、第2付勢部422bと、第2ガイド部422cと、を有しており、第3接続片433は、第3基端部433aと、第3付勢部433bと、第3ガイド部433cと、を有している。
【0030】
図2及び図3に示されるように、第2付勢部422bが屈曲する向き、及び、第3付勢部433bが屈曲する向きは、第1付勢部411bが屈曲する向きと直交している。つまり、第2付勢部422bは、第2端子702を前記直交方向と第2端子702の長手方向との双方に付勢しながら当該第2端子702に接触しており、第3付勢部433bは、第3端子703を前記直交方向と第3端子703の長手方向との双方に付勢しながら当該第3端子703に接触している。また、第2ガイド部422cに形成された第2スリットS2の延びる向き、及び、第3ガイド部433cに形成された第3スリットS3の延びる向きは、第1スリットS1の延びる向きと直交している。
【0031】
以上に説明した質量分析装置1において、レンズ光学系400を真空容器100内に設置する際、第1ユニット410が第2ユニット420及び第3ユニット430から独立して移動することが可能であるため、第1ユニット410と一体的に移動するイオン源200を試料導入管300に気密的に接続する作業が容易になる。
【0032】
また、図5に示されるように、第1付勢部411bは、第1端子701に対して摺動しながら当該第1端子701に接触する。このため、第1端子701の端部による第1付勢部411bの表面のクリーニング作用が生じる。よって、異物(埃等)に起因する第1付勢部411b及び第1端子701間の接触不良が抑制される。なお、図5では、設置が完了する前の第1接続片411が破線で示されている。
【0033】
そして、第2ユニット420及び第3ユニット430については、第2ユニット420及び第3ユニット430を前記直交方向に沿って四重極質量フィルタ500側に押すことにより、第2付勢部422bが第2端子702を付勢する状態で第2接続片422が第2端子702に接触するとともに、第3付勢部433bが第3端子703を付勢する状態で第3接続片433が第3端子703に接触する。このとき、第2端子702及び第3端子703によるクリーニング作用が生じることは、第1端子701の場合と同様である。そして、第2ユニット420及び第3ユニット430は、隔壁510に嵌合することにより、四重極質量フィルタ500の中心軸と同軸となるように配置される。
【0034】
以上に説明したように、本実施形態における質量分析装置1では、レンズ光学系400の各ユニット410~430を真空容器100内に配置する際、第1接続片411の第1付勢部411bが接続方向に第1端子701を付勢しながら第1端子701に接触し、第2接続片422の第2付勢部422bが直交方向に第2端子702を付勢しながら第2端子702に接触し、第3接続片433の第3付勢部433bが直交方向に第3端子703を付勢しながら第3端子703に接触する。このため、従来のような配線の省略が可能となり、レンズ光学系400とフィードスルーコネクタ700との着脱作業が簡素化される。
【0035】
[態様]
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0036】
(第1項)一態様に係る前記質量分析装置は、
真空容器と、
前記真空容器内に配置されており、試料ガスに含まれる試料分子をイオン化するイオン源と、
前記真空容器外から前記イオン源に前記試料ガスを導入する試料導入管と、
前記イオン源で生成されたイオンを前記イオン源外に引き出すレンズ光学系と、
前記真空容器外に設けられており前記レンズ光学系に電圧を印加する電圧印加部と、前記レンズ光学系と、を互いに接続するフィードスルーコネクタと、を備え、
前記レンズ光学系は、
第1レンズを含み、前記試料導入管に接続される第1ユニットと、
前記第1ユニットと前記フィードスルーコネクタとを接続する第1接続片と、
第2レンズを含む第2ユニットと、
前記第2ユニットと前記フィードスルーコネクタとを接続する第2接続片と、
第3レンズを含む第3ユニットと、
前記第3ユニットと前記フィードスルーコネクタとを接続する第3接続片と、を有し、
前記第1ユニットは、前記イオン源が前記試料導入管に接続される接続方向に沿って前記試料導入管に対して相対移動可能であり、
前記第2ユニット及び前記第3ユニットは、前記接続方向と直交する直交方向に沿って前記第1ユニットに対して相対移動可能であり、
前記フィードスルーコネクタは、
前記第1接続片と接触する第1端子と、
前記第2接続片と接触する第2端子と、
前記第3接続片と接触する第3端子と、を有し、
前記第1接続片は、前記第1端子を少なくとも前記接続方向に付勢しながら当該第1端子に接触する第1付勢部を有し、
前記第2接続片は、前記第2端子を少なくとも前記直交方向に付勢しながら当該第2端子に接触する第2付勢部を有し、
前記第3接続片は、前記第3端子を少なくとも前記直交方向に付勢しながら当該第3端子に接触する第3付勢部を有する。
【0037】
この質量分析装置では、レンズ光学系の各ユニットを真空容器内に配置する際、第1接続片の第1付勢部が接続方向に第1端子を付勢しながら第1端子に接触し、第2接続片の第2付勢部が直交方向に第2端子を付勢しながら第2端子に接触し、第3接続片の第3付勢部が直交方向に第3端子を付勢しながら第3端子に接触する。このため、従来のような配線の省略が可能となり、レンズ光学系とフィードスルーコネクタとの着脱作業が簡素化される。
【0038】
さらに、第1ユニットを第2ユニット及び第3ユニットから独立して移動させることが可能であるため、各ユニットの位置決めが容易になる。
【0039】
(第2項)第1項に記載の質量分析装置1において、
前記第1接続片は、前記第1付勢部の先端につながった第1ガイド部をさらに有し、
前記第1ガイド部は、前記接続方向に延びる第1スリットを有し、
前記第2接続片は、前記第2付勢部の先端につながった第2ガイド部をさらに有し、
前記第2ガイド部は、前記直交方向に延びる第2スリットを有し、
前記第3接続片は、前記第3付勢部の先端につながった第3ガイド部をさらに有し、
前記第3ガイド部は、前記直交方向に延びる第3スリットを有することが好ましい。
【0040】
第2項に記載の質量分析装置によれば、第1ユニットが接続方向に設置される際に第1スリットが第1端子を受け入れ、第2ユニット及び第3ユニットが直交方向に設置される際に第2スリットが第2端子を受け入れるとともに第3スリットが第3端子を受け入れるため、各端子と各接続片との位置が有効に決定される。
【0041】
(第3項)第1項又は2項に記載の質量分析装置1において、
前記レンズ光学系の後段に配置された四重極質量フィルタをさらに備え、
前記四重極質量フィルタは、隔壁を有し、
前記第1ユニットは、前記イオン源に固定されており、かつ、前記イオン源とともに温度調整されており、
前記第2ユニット及び前記第3ユニットは、互いに固定されており、かつ、前記四重極質量フィルタの中心軸と同軸となるように前記隔壁に嵌合されていることが好ましい。
【0042】
第3項に記載の質量分析装置によれば、試料由来の汚れが第1レンズに付着することが抑制され、第2レンズ及び第3レンズが四重極質量フィルタの中心軸と同軸となるように配置される。
【0043】
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0044】
1 質量分析装置、100 真空容器、200 イオン源、300 試料導入管、400 レンズ光学系、410 第1ユニット、411 第1接続片、411a 第1基端部、411b 第1付勢部、411c 第1ガイド部、411d 第1テーパ部、420 第2ユニット、422 第2接続片、430 第3ユニット、433 第3接続片、500 四重極質量フィルタ、510 隔壁、600 イオン検出器、700 フィードスルーコネクタ、701 第1端子、702 第2端子、703 第3端子、800 電圧印加部、S1 第1スリット、S2 第2スリット、S3 第3スリット。
図1
図2
図3
図4
図5