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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025022391
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】容器搬送設備
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/04 20060101AFI20250206BHJP
【FI】
B65G1/04 555Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023126917
(22)【出願日】2023-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】白石 徹
(72)【発明者】
【氏名】川本 真
(72)【発明者】
【氏名】秋鹿 正太
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022EE05
3F022FF01
3F022HH04
3F022JJ11
3F022KK14
3F022LL07
3F022MM11
(57)【要約】
【課題】搬送効率を向上させることが可能な容器搬送設備を実現する。
【解決手段】容器搬送設備Fは、上下方向に段積み可能に構成された容器を搬送する搬送車100と、容器を保管する保管棚8と、対象作業が行われる作業エリア9Aと、を備えている。作業エリア9A及び保管棚8とは別の場所に、保持エリア7Aが設けられている。保持エリア7Aは、段積み容器群6Gを保持する保持部70を備えている。保持部70は、搬送車100の第2移載装置により支持部との間で段積み容器群6Gの移載が可能に構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に段積み可能に構成された容器を搬送する搬送車と、前記容器を保管する保管棚と、前記容器からの物品の取出作業、及び、前記容器への物品の投入作業の少なくとも一方である対象作業が行われる作業エリアと、を備えた容器搬送設備であって、
前記保管棚は、それぞれに前記容器を支持する棚部を上下方向に複数段備え、複数の前記容器を互いに分離した状態で保管するように構成され、
前記搬送車は、
走行する走行体と、
前記走行体に搭載され、複数の前記容器を段積み状態の容器群である段積み容器群として支持する支持部と、
前記走行体に搭載され、前記保管棚と前記支持部に支持された前記段積み容器群との間での前記容器の移載を行う第1移載装置と、
前記走行体に搭載され、前記段積み容器群の移載を行う第2移載装置と、
を備え、
前記作業エリアには、前記支持部との間で前記段積み容器群の受け渡しが行われる受渡部が設けられ、
前記作業エリア及び前記保管棚とは別の場所に、保持エリアが設けられ、
前記保持エリアは、前記段積み容器群を保持する保持部を備え、
前記保持部は、前記第2移載装置により前記支持部との間で前記段積み容器群の移載が可能に構成されている、容器搬送設備。
【請求項2】
前記保管棚に沿って延びる前記搬送車の経路を棚領域内経路として、
前記保持エリアの前記保持部は、前記棚領域内経路と前記受渡部とを結ぶ接続経路に沿う位置に配置されている、請求項1に記載の容器搬送設備。
【請求項3】
前記搬送車の制御を行う制御システムを更に備え、
前記保持エリアは、前記保管棚と前記作業エリアとの間の領域に配置され、
前記制御システムは、複数の前記容器を、それぞれの前記容器に収容された物品の種類に基づいて、一般容器と、前記一般容器よりも前記作業エリアへ搬送される頻度が高い高頻度容器とに区分して管理するように構成され、
前記搬送車は、前記制御システムからの指令に基づいて、前記高頻度容器を少なくとも一部に含む前記段積み容器群を前記保持エリアへ搬送する、請求項1又は2に記載の容器搬送設備。
【請求項4】
前記制御システムは、前記一般容器と前記高頻度容器との区分の見直しを定期的に行い、
前記搬送車は、前記制御システムからの指令に基づいて、前記高頻度容器から前記一般容器に変更された前記容器を前記保持エリアから前記保管棚へ搬送し、又は、前記一般容器から前記高頻度容器に変更された前記容器を前記保管棚から前記保持エリアへ搬送する、請求項3に記載の容器搬送設備。
【請求項5】
前記制御システムは、前記高頻度容器の中で、前記作業エリアへ搬送される頻度が予め定められたしきい値以上である前記容器を超高頻度容器とし、
前記搬送車は、前記制御システムからの指令に基づいて、前記超高頻度容器のみで構成された前記段積み容器群を作成して当該段積み容器群を前記保持エリアへ搬送する、請求項3に記載の容器搬送設備。
【請求項6】
前記搬送車の制御を行う制御システムを更に備え、
前記搬送車は、前記制御システムからの指令に基づいて、前記作業エリアの前記受渡部から、前記保管棚と前記保持エリアとの双方を経由して前記受渡部へ戻る経路を走行する、請求項1又は2に記載の容器搬送設備。
【請求項7】
前記搬送車が前記支持部に支持できる上限の前記容器の数を支持上限数として、
前記搬送車は、前記保管棚と前記保持エリアとの双方で前記容器を受け取る場合に、前記保管棚から受け取って前記支持部に支持する前記容器の数を、前記支持上限数と前記保持エリアの前記保持部から受け取る前記段積み容器群に含まれる前記容器の数との差以下とする、請求項6に記載の容器搬送設備。
【請求項8】
前記搬送車は、前記走行体に搭載されて前記支持部に支持された前記段積み容器群の一部又は全部の前記容器を持ち上げ可能な持上げ装置を更に備え、
前記支持部に支持された前記段積み容器群のうち、前記持上げ装置により持ち上げられていない少なくとも1つの前記容器を残留容器群として、
前記第2移載装置は、前記支持部に支持された前記段積み容器群の前記保持部への移載、前記残留容器群の前記保持部への移載、及び、前記保持部に保持された前記段積み容器群の前記支持部への移載を行うことができるように構成されている、請求項1又は2に記載の容器搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上下方向に段積み可能に構成された容器を搬送する搬送車と、前記容器を保管する保管棚と、前記容器からの物品の取出作業、及び、前記容器への物品の投入作業の少なくとも一方である対象作業が行われる作業エリアと、を備えた容器搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような設備は、物流システムの一部を構成する。近年ますます需要の高まる物流システムでは、スムーズな物流を実現するため、様々な工夫が行われている。
【0003】
その工夫の1つとして、例えば特開2001-297140号公報(特許文献1)では、設備で取り扱う物品のうち入出庫頻度が高い物品を、入出庫頻度が低い物品よりも出庫し易い位置に格納するようにしている。これにより、設備内での搬送効率の向上が期待できる。しかしながら、特許文献1には、搬送効率を向上させるための具体的な構成の開示がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-297140号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記実状に鑑みて、搬送効率を向上させることが可能な容器搬送設備の実現が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上下方向に段積み可能に構成された容器を搬送する搬送車と、前記容器を保管する保管棚と、前記容器からの物品の取出作業、及び、前記容器への物品の投入作業の少なくとも一方である対象作業が行われる作業エリアと、を備えた容器搬送設備であって、
前記保管棚は、それぞれに前記容器を支持する棚部を上下方向に複数段備え、複数の前記容器を互いに分離した状態で保管するように構成され、
前記搬送車は、
走行する走行体と、
前記走行体に搭載され、複数の前記容器を段積み状態の容器群である段積み容器群として支持する支持部と、
前記走行体に搭載され、前記保管棚と前記支持部に支持された前記段積み容器群との間での前記容器の移載を行う第1移載装置と、
前記走行体に搭載され、前記段積み容器群の移載を行う第2移載装置と、
を備え、
前記作業エリアには、前記支持部との間で前記段積み容器群の受け渡しが行われる受渡部が設けられ、
前記作業エリア及び前記保管棚とは別の場所に、保持エリアが設けられ、
前記保持エリアは、前記段積み容器群を保持する保持部を備え、
前記保持部は、前記第2移載装置により前記支持部との間で前記段積み容器群の移載が可能に構成されている。
【0007】
本構成によれば、保持エリアに段積み容器群を保持させておくことができる。従って、例えば、作業エリアへの搬送の予定がある容器や作業エリアへの搬送の頻度が高い容器等、特定の容器を保持エリアに保持させておくことで、容器を保管棚に戻したり保管棚から容器を出したりするための搬送車の作業を少なく抑え、搬送車による容器の搬送効率を高め易い。また本構成によれば、搬送車と保持エリアとの間で段積み状態の複数の容器を一度に移載することができる。更に、作業エリアの受渡部でも、段積み容器群の受け渡しが行われる。従って、これらの点でも搬送車による容器の搬送効率を高め易い。また本構成によれば、保持エリアに複数の容器を段積み状態で保持させるため、保持エリアが占める床面積を小さく抑え易い。また本構成によれば、保管棚は複数段の棚部によって複数の容器を互いに分離した状態で保管するように構成されている。そのため、保管棚においては、搬送車との個別の容器の移載が容易な状態で、多数の容器を適切に保管することができる。
【0008】
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】容器搬送設備の平面図
図2】保管棚の正面図
図3】制御ブロック図
図4】搬送車の車体幅方向視図
図5】移載装置の第1姿勢と第2姿勢とを示す平面図
図6】段積み領域に対する移載動作を示す図
図7】段積み領域に対する移載動作を示す図
図8】段積み領域に対する移載動作を示す図
図9】保持エリアにおける保持部を示す図
図10】搬送車と保持部との間での段積み容器群の移載の様子を示す平面図
図11】搬送車と保持部との間での段積み容器群の移載の様子を示す側面図
図12】搬送車が段積み容器群を作成する様子を示す図
図13】支持上限数の説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、容器搬送設備の実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
図1に示すように、容器搬送設備Fは、容器60(図2参照)を搬送する搬送車100と、容器60を保管する保管棚8と、容器60からの物品(不図示)の取出作業、及び、容器60への物品の投入作業の少なくとも一方である対象作業が行われる作業エリア9Aと、を備えている。本実施形態では、容器搬送設備Fは、保管エリア8Aを備えている。保管エリア8Aには、複数の保管棚8が設けられている。また、容器搬送設備Fは、搬送車100の制御を行う制御装置Cを更に備えている。本明細書では、制御装置Cが「制御システム」に相当する。但し、制御装置Cは、制御システムの少なくとも一部を構成していればよい。制御装置Cは、複数の搬送車100のそれぞれに搭載された搬送車制御部(不図示)との間で通信を行うように構成されている(図3も参照)。
【0012】
容器60は、物品を収容可能に構成されている。容器60は、上側が開口した形状となっている。物品は、容器60の上側の開口部を介して、容器60の内部に投入され、又は、容器60の内部から取り出される。物品には、例えば、食料品や生活用品などの各種商品、又は、工場の生産ライン等において用いられる部品や仕掛品などが含まれる。1つの容器60は、同一種類の物品を収容するように構成されている。
【0013】
容器60は、その内部に物品を収容した状態で、上下方向に段積み可能に構成されている(図4図9参照)。複数の容器60が上下方向に段積みされることで、段積み容器群6Gが構成される。本例では、容器60の底部が、別の容器60の開口部に対して上方から嵌合することにより、2つの容器60が上下方向に段積みされる。
【0014】
作業エリア9Aには、搬送車100の支持部2(図4参照)との間で段積み容器群6Gの受け渡しが行われる受渡部90が設けられている。受渡部90では、容器60の搬入および搬出が行われる。搬送車100は、受渡部90に搬入された容器60を保管棚8へ搬送し、又は、保管棚8に保管されている容器60を搬出のために受渡部90へ搬送する。
【0015】
本実施形態では、作業エリア9Aには、段積み容器群6Gを構成する各容器60を分離させる分離装置91が設けられている。受渡部90に引き渡された段積み容器群6Gは、分離装置91によって複数の容器60に分離される。作業エリア9Aでは、分離された複数の容器60のそれぞれに対して、容器60からの物品の取出作業や容器60への物品の投入作業が行われる。但し、分離装置91は必須の構成ではない。段積み容器群6Gから各容器60を分離させるのは、人手によって行われてもよい。
【0016】
本実施形態では、複数の保管棚8が、規定の間隔を空けつつ互いに平行に配置されている。複数の保管棚8のそれぞれは少なくとも正面が開口しており、当該正面において容器60の出し入れが行われる。本例では、一対の保管棚8が、互いの背面を対向させて接近した状態で配置されている。そして、背面を互いに対向させた一対の保管棚8の組が、保管エリア8Aに複数組配置されている。
【0017】
複数の保管棚8のそれぞれに沿って延びるように、搬送車100の走行経路の一部が設定されている。本実施形態では、保管棚8に沿って延びる搬送車100の経路が棚領域内経路R8とされている。搬送車100は、棚領域内経路R8を走行可能であることにより、保管エリア8Aでの移動と、保管棚8に対する容器60の移載と、を行うことが可能となっている。本例では、棚領域内経路R8は、複数の保管棚8のそれぞれの正面(容器60の出し入れが行われる面)に沿って設けられている。正面を互いに対向させて配置されている一対の保管棚8の間では、1つの棚領域内経路R8が共有されている。
【0018】
図2に示すように、保管棚8は、それぞれに容器60を支持する棚部80を上下方向に複数段備え、複数の容器60を互いに分離した状態で保管するように構成されている。各段に、複数の棚部80が設けられている。複数の棚部80のそれぞれには、1つの容器60が保管可能となっている。
【0019】
図3に示すように、制御装置Cは、搬送車100と通信可能に構成されている。制御装置Cは、搬送対象の容器60と、当該容器60の搬送元及び搬送先と、を指定した搬送指令を搬送車100に行うように構成されている。制御装置Cは、例えば、マイクロコンピュータ等のプロセッサ、メモリ等の周辺回路等を備えている。そして、これらのハードウェアとコンピュータ等のプロセッサ上で実行されるプログラムとの協働により、各機能が実現される。
【0020】
制御装置Cは、容器搬送設備Fで取り扱われる複数の容器60を、一般容器61と高頻度容器62とに区分して管理するように構成されている。この区分は、各容器60の需要、換言すれば、作業エリア9Aにおいて対象作業(物品の取出作業または物品の投入作業)を行う必要性の高さに基づいて行われる。上記取出作業が行われる頻度の高い物品を収容した容器60は、高頻度容器62に区分され得る。また、物品を収容していない空の容器60であっても、上記投入作業が行われる必要性が高いため、高頻度容器62に区分され得る。
【0021】
本実施形態では、制御装置Cは、複数の容器60を、それぞれの容器60に収容された物品の種類に基づいて、一般容器61と、一般容器61よりも作業エリア9Aへ搬送される頻度が高い高頻度容器62とに区分して管理するように構成されている。上記の搬送される頻度は、搬送予定回数と言い換えることもできる。本例では、作業エリア9Aでの需要が比較的低い物品を収容した容器60は一般容器61に区分され、作業エリア9Aでの需要が比較的高い物品を収容した容器60は高頻度容器62に区分される。例えば、物品の需要が数値化されると共に基準値が設定され、制御装置Cは、基準値を下回る物品を収容した容器60を一般容器61と判定し、基準値を上回る物品を収容した容器60を高頻度容器62と判定するとよい。
【0022】
本実施形態では、制御装置Cは、一般容器61と高頻度容器62との区分の見直しを定期的に行うように構成されている。これにより、一般容器61と判定されていた容器60が、高頻度容器62に変更され得る。反対に、高頻度容器62と判定されていた容器60が、一般容器61に変更され得る。なお、区分の見直しを行う周期は、容器搬送設備Fの用途、能力、規模などに応じて適宜定められるとよい。
【0023】
本実施形態では、制御装置Cは、高頻度容器62の中で、作業エリア9Aへ搬送される頻度が予め定めれられたしきい値以上である容器60を超高頻度容器63とするように構成されている。換言すれば、制御装置Cは、搬送予定回数がしきい値以上である容器60を超高頻度容器63と判定するように構成されている。
【0024】
次に、搬送車100の構成について詳細に説明する。以下では、走行体10が走行する方向を「車体前後方向L」とし、上下方向視で車体前後方向Lに直交する方向を「車体幅方向W」とする。
【0025】
図4に示すように、搬送車100は、上下方向に段積み可能に構成された容器60を搬送するように構成されている。
【0026】
搬送車100は、走行する走行体10と、走行体10に搭載され、複数の容器60を段積み状態の容器群である段積み容器群6Gとして支持する支持部2と、走行体10に搭載され、保管棚8と支持部2に支持された段積み容器群6Gとの間での容器60の移載を行う第1移載装置4と、走行体10に搭載され、段積み容器群6Gの移載を行う第2移載装置22と、を備えている。本実施形態では、搬送車100は、走行体10に搭載されて支持部2に支持された段積み容器群6Gの一部又は全部の容器60を持ち上げ可能な持上げ装置3を更に備えている。
【0027】
走行体10は、床面を走行するように構成されている。走行体10は、複数の走行車輪11を備えている。複数の走行車輪11は、車体幅方向Wに離間して配置された一対の駆動輪11aと、複数の従動輪11bと、を含む。
【0028】
一対の駆動輪11aのそれぞれは、モータ等の車輪駆動源(不図示)によって独立して駆動される。例えば、一対の駆動輪11aのそれぞれが、互いに反対方向に回転駆動されることにより、走行体10はその場で上下軸心まわりに旋回することができる。
【0029】
複数の従動輪11bのそれぞれは、上下方向に沿う軸心まわりに回転自在に走行体10に支持されている。すなわち、各従動輪11bの回転軸が沿う方向は、水平面内において変更され得る。本例では、各従動輪11bは、キャスターとして構成されている。
【0030】
支持部2は、複数の容器60を段積み状態の段積み容器群6Gとして支持可能に構成されている。支持部2は、単一の容器60を支持することも可能である。本実施形態では、支持部2の上方には、段積み容器群6Gが配置される段積み領域2Aが規定されている。段積み領域2Aは、支持部2から上方に延在する立体的な仮想領域である。
【0031】
第2移載装置22は、支持部2に支持された段積み容器群6Gを車体幅方向Wに沿って移載するように構成されている。第2移載装置22は、コンベヤを用いて構成されている。このようなコンベヤとしては、ローラコンベヤ、チェーンコンベヤ、ベルトコンベヤなどの周知のコンベヤであってよい。本実施形態では、第2移載装置22と支持部2とは、一体的に構成されている。
【0032】
持上げ装置3は、走行体10から上方に立設された持上げ用マスト30と、持上げ用マスト30に連結された持上げ用昇降体30Bと、持上げ用昇降体30Bに連結されたフレーム部材31と、持上げ用昇降体30B及びフレーム部材31を持上げ用マスト30に沿って昇降させる持上げ用昇降体駆動部(不図示)と、を備えている。詳細な図示は省略するが、持上げ用昇降体駆動部は、例えば、ベルト等の無端体が巻回された回転体を回転駆動するためのモータとして構成されている。
【0033】
図6等に示すように、本実施形態では、持上げ装置3は、段積み領域2Aに段積みされた段積み容器群6Gの内の任意の高さの容器60を当該容器60の下に隣接する容器60に対して持ち上げる第1持上げ保持部311と、第1持上げ保持部311により持ち上げられた容器60よりも下方の容器60を当該容器60の下に隣接する容器60に対して持ち上げる第2持上げ保持部312と、を備えている。第1持上げ保持部311と第2持上げ保持部312とは、フレーム部材31に支持されている。
【0034】
本実施形態では、第1持上げ保持部311と第2持上げ保持部312とは、上下方向に離間して配置されている。これにより、第1持上げ保持部311によって持ち上げられた容器60と、第2持上げ保持部312によって持ち上げられた容器60との、上下方向の間にスペースを形成することが可能となっている。また、第2持上げ保持部312によって持ち上げられた容器60の下方にも、上下方向のスペースを形成することが可能となっている。
【0035】
図4に示すように、第1移載装置4は、走行体10に固定されると共に上下方向に沿うように配置された移載用マスト40と、移載用マスト40に沿って昇降する移載用昇降体40Bと、移載用昇降体40Bを移載用マスト40に沿って昇降させる移載用昇降体駆動部(不図示)と、を備えている。詳細な図示は省略するが、移載用昇降体駆動部は、例えば、ベルト等の無端体が巻回された回転体を回転駆動するためのモータとして構成されている。
【0036】
本実施形態では、第1移載装置4は、上側移載部41と、上側移載部41よりも下側に配置された下側移載部42と、旋回装置5と、を備えている。上側移載部41と下側移載部42と旋回装置5とは、移載用昇降体40Bに連結されている。上側移載部41と下側移載部42とは、移載用昇降体40Bの昇降により一体的に昇降し、旋回装置5により上下軸心まわりに一体的に旋回し、また、それぞれ単独で容器60を移載するように構成されている。
【0037】
本実施形態では、第1移載装置4は、上側移載部41と下側移載部42とによって、容器60を水平方向に沿って移載するように構成されている。第1移載装置4によって容器60が移載される方向を「移載方向X」とすると、図4に示す例では、移載方向Xは、車体前後方向Lと等しくなっている。
【0038】
図5に示すように、第1移載装置4は、旋回装置5によって上側移載部41と下側移載部42とを上下軸心まわりに旋回させることにより、移載方向Xを段積み領域2Aに向けた第1姿勢P1と保管棚8に向けた第2姿勢P2とに姿勢変更するように構成されている。このように本実施形態では、移載方向Xは、旋回装置5によって水平面内において変更され得る。
【0039】
本実施形態では、第1移載装置4は、移載対象箇所の位置に応じて姿勢を変更する。具体的には、第1移載装置4は、移載対象箇所が段積み領域2Aである場合に第1姿勢P1となり、移載対象箇所が保管棚8(棚部80)である場合に第2姿勢P2となる。図4に示すように、本例では、旋回装置5は、上側移載部41及び下側移載部42を支持する旋回台50と、移載用昇降体40Bに対して旋回台50を旋回自在に支持する旋回軸51と、旋回軸51を駆動する旋回駆動部(不図示)と、を備えている。
【0040】
次に、図6図8を参照して、第1移載装置4が段積み領域2Aとの間で容器60を移載する場合の移載動作について説明する。移載動作には、容器60を引き渡す引渡動作と、容器60を受け取る受取動作と、が含まれる。以下では、移載方向Xにおける一方側を「移載方向第1側X1」とし、他方側を「移載方向第2側X2」とする。
【0041】
本実施形態では、上側移載部41は、容器60の引渡動作を行う場合に容器60を移載方向第1側X1に向けて押圧する上側押圧部41aと、容器60の受取動作を行う場合に容器60に係止されて当該容器60を移載方向第2側X2へ向けて引き込む上側係止部41bと、を備えている。このように本実施形態では、上側移載部41は、いわゆるプッシュプル式に構成されている。但し、このような構成に限定されることなく、上側移載部41は、フォーク式に構成されていてもよい。
【0042】
同様に、下側移載部42は、容器60の引渡動作を行う場合に容器60を移載方向第1側X1に向けて押圧する下側押圧部42aと、容器60の受取動作を行う場合に容器60に係止されて当該容器60を移載方向第2側X2へ向けて引き込む下側係止部42bと、を備えている。このように本実施形態では、下側移載部42は、いわゆるプッシュプル式に構成されている。但し、このような構成に限定されることなく、下側移載部42は、フォーク式に構成されていてもよい。
【0043】
本実施形態では、上側係止部41b及び下側係止部42bのそれぞれは、不図示の駆動部により駆動されて、容器60に係止される係止姿勢と容器60に係止されない非係止姿勢とに姿勢変更可能に構成されている。
【0044】
図6図8は、段積み領域2Aに対する容器60の移載動作を示している。上述したように、本実施形態では、持上げ装置3によって、段積み領域2Aに段積みされた複数の容器60の上下方向の間にスペースを形成することが可能となっている。そして、第1移載装置4は、これらのスペースを利用して、段積み領域2Aに対する容器60の移載を行う。本実施形態では、第1移載装置4は、段積み領域2Aに対して、容器60の引渡動作および受取動作を行うように構成されている。第1移載装置4は、段積み領域2Aに対して、容器60の引き渡し及び受け取りを並行して行う並行動作を行うことが可能となっている。
【0045】
図6図8には、段積み領域2Aに、5段の容器60が段積み容器群6Gとして段積みされている例が示されている。図中では、下から上に向けて順番に、段積みされた各容器60に「1~5」の数字を付している。また、上側移載部41に保持された引渡対象の容器60に「α」の文字を付している。以下に示す例では、持上げ装置3によって5段目の容器60(容器「5」)と4段目の容器60(容器「4」)との上下方向の間に形成されたスペースを利用して、4段目の容器60(容器「4」)の上に引渡対象の容器60(容器「α」)を引き渡す。また、それに並行して、持上げ装置3によって4段目の容器60(容器「4」)の下方に形成されたスペースを利用して、3段目の容器60(容器「3」)を受け取る。
【0046】
図7に示すように、第1移載装置4は、係止姿勢の下側係止部42bを、容器60(容器「3」)に係止させた状態で移載方向第2側X2に移動させる。第1移載装置4は、これと並行して、上側移載部41に保持された容器60(容器「α」)を上側押圧部41aにより押圧した状態で、当該上側押圧部41aを移載方向第1側X1に移動させる。これにより、下側係止部42bが、受取対象の容器60(容器「3」)を移載方向第2側X2に引き込み、上側押圧部41aが、引渡対象の容器60(容器「α」)を移載方向第1側X1に押圧する。
【0047】
そして、下側移載部42が、下側係止部42bにより引き込まれる受取対象の容器60(容器「3」)を受け取ると共に、上側移載部41が、上側押圧部41aにより押圧される引渡対象の容器60(容器「α」)を第2持上げ保持部312により持ち上げられた容器60(容器「4」)の上方に配置して当該容器60(容器「4」)に嵌合させる。これにより、段積み領域2Aの段積み容器群6Gは、図8に示すような状態となる。すなわち、段積み領域2Aに配置された複数の容器60のうち一部の容器60(容器「3」)が、新たな容器60(容器「α」)と入れ替えられる。
【0048】
ここで、図1に示すように、本開示に係る容器搬送設備Fでは、作業エリア9A及び保管棚8とは別の場所に、保持エリア7Aが設けられている。保持エリア7Aは、複数の容器60を分離した状態で保管する保管棚8とは異なり、複数の容器60を段積み容器群6Gとして保持することが可能なエリアである。
【0049】
保持エリア7Aは、段積み容器群6Gを保持する保持部70を備えている。これにより、保持エリア7Aでは、段積み容器群6Gを保持しておくことが可能となっている。本実施形態では、保持部70は、複数の段積み容器群6Gを保持可能に構成されている(図9も参照)。保持エリア7Aは、このような保持部70を複数備えている。
【0050】
図9及び図10に示すように、保持部70は、搬送車100の第2移載装置22により支持部2との間で段積み容器群6Gの移載が可能に構成されている。本実施形態では、保持部70は、単数または複数の第3移載装置73を備えている。図示の例では、3つの第3移載装置73が、保持部70に備えられている。本例では、第3移載装置73は、コンベヤを用いて構成されている。このようなコンベヤとしては、ローラコンベヤ、チェーンコンベヤ、ベルトコンベヤなどの周知のコンベヤであってよい。
【0051】
保持部70の第3移載装置73と搬送車100の第2移載装置22とが、段積み容器群6Gを互いに受け渡すように構成されている。すなわち本実施形態では、搬送車100の第2移載装置22は、支持部2に支持された段積み容器群6Gの全体の保持部70への移載、及び、保持部70に保持された段積み容器群6Gの全体の支持部2への移載を行うことができるように構成されている。
【0052】
図10に示すように、搬送車100が保持部70に対して車体幅方向Wに隣接する位置で停止した状態で、移載対象の段積み容器群6Gが車体幅方向Wに沿って移載される。本実施形態では、搬送車100と保持部70とは、互いに通信可能に構成されており、協働して段積み容器群6Gを移載するように構成されている。例えば、搬送車100は、保持部70に対して車体幅方向Wに隣接する位置で停止した状態で、段積み容器群6Gを移載する旨の移載信号を保持部70に送信し、第2移載装置22を動作させる。当該移載信号を受信した保持部70は、第3移載装置73を動作させる。これにより、保持部70の第3移載装置73と搬送車100の第2移載装置22とは、段積み容器群6Gを互いに受け渡す。
【0053】
図1に示すように、保持エリア7Aは、保管棚8と作業エリア9Aとの間の領域に配置されている。本実施形態では、保持エリア7Aは、保管棚8が延在する方向、すなわち棚領域内経路R8が延在する方向における、保管棚8と作業エリア9Aとの間の領域に配置されている。
【0054】
本実施形態では、保持エリア7Aの保持部70は、棚領域内経路R8と作業エリア9Aの受渡部90とを結ぶ接続経路R7に沿う位置に配置されている。棚領域内経路R8と接続経路R7とは、直線的な形状となっている。本例では、保管棚8の数に応じて複数の棚領域内経路R8が設けられており、複数の棚領域内経路R8と同数の接続経路R7が設けられている。保持エリア7Aに設けられた複数の保持部70のそれぞれは、複数の接続経路R7のいずれかに沿う位置に配置されている。
【0055】
本実施形態では、搬送車100は、制御装置Cからの指令に基づいて、高頻度容器62(図9参照)を少なくとも一部に含む段積み容器群6Gを保持エリア7Aへ搬送する。これにより、高頻度容器62を、保管棚8とは別の場所にある保持エリア7Aに配置しておくことができ、一般容器61と高頻度容器62とを物理的に区分し易くなる。また、上述のように本実施形態では、保持エリア7Aは、保管棚8と作業エリア9Aとの間の領域に配置されている。そのため、作業エリア9Aに搬送する頻度が高い高頻度容器62を、保持エリア7Aに配置することで、作業エリア9Aに近い位置に配置しておくことができる。なお、保持エリア7Aにある全ての段積み容器群6Gは、高頻度容器62により構成されていると好適である。また、不要となった空の容器60を高頻度容器62として保持エリア7Aに溜めておくこともできる。この場合には、不要となった複数の空の容器60をまとめて保持エリア7Aの外部に移動させ易くなる。
【0056】
詳細な図示は省略するが、本実施形態では、搬送車100は、制御装置Cからの指令に基づいて、作業エリア9Aの受渡部90から、保管棚8と保持エリア7Aとの双方を経由して受渡部90へ戻る経路を走行する。保管棚8と保持エリア7Aとを経由する順は、いずれが先でもよい。これにより、保管棚8に保管された容器60と保持エリア7Aに保持された容器60との双方を作業エリア9Aへ搬送することができると共に、作業エリア9Aでの対象作業が完了した容器60を、保管棚8と保持エリア7Aとのいずれにも戻すことができる。
【0057】
ここで、上述のように、制御装置Cは、一般容器61と高頻度容器62との区分の見直しを定期的に行うように構成されている。この区分の見直しにより、高頻度容器62は一般容器61に変更される場合があり、一般容器61は高頻度容器62に変更される場合がある。本実施形態では、搬送車100は、制御装置Cからの指令に基づいて、高頻度容器62から一般容器61に変更された容器60を保持エリア7Aから保管棚8へ搬送し、又は、一般容器61から高頻度容器62に変更された容器60を保管棚8から保持エリア7Aへ搬送する。このような変更後の容器60の搬送は、設備の稼働時に行われてもよいし、夜間などの設備の非稼働時に行われてもよい。設備の稼働時に、変更後の容器60の搬送を行う場合には、複数の搬送車100のうち一部を、変更後の容器60の搬送専用としてもよい。
【0058】
上述のように、搬送車100の第2移載装置22は、支持部2に支持されている段積み容器群6Gを保持エリア7Aの保持部70へ移載することが可能に構成されている。本実施形態では、搬送車100は、支持部2に支持されている段積み容器群6Gを構成する複数の容器60のうち一部を、保持エリア7Aの保持部70へ移載することが可能に構成されている。搬送車100は、段積み容器群6Gの一部を、持上げ装置3(図6等参照)を用いて分離させることにより、保持エリア7Aの保持部70へ移載することが可能に構成されている。以下、図11を参照して説明する。なお、図11では、持上げ装置3や、説明に不要な要素は省略している。
【0059】
図11に示すように、搬送車100の支持部2に支持された段積み容器群6Gのうち、持上げ装置3により持ち上げられていない少なくとも1つの容器60を残留容器群6Gaとする。本実施形態では、搬送車100の第2移載装置22は、残留容器群6Gaの保持部70への移載を行うことができるように構成されている。図示の例では、搬送車100は、段積み容器群6Gを構成する複数の容器60から、複数又は単数の一般容器61と、複数又は単数の高頻度容器62とを、持上げ装置3によって分離させる。そして、搬送車100は、複数又は単数の高頻度容器62(残留容器群6Ga)を第2移載装置22によって保持部70へ引き渡す。これにより、搬送車100は、段積み容器群6Gが一般容器61と高頻度容器62とを含む場合であっても、高頻度容器62のみを保持部70へ引き渡すことができる。なお、搬送車100は、高頻度容器62に限らず、段積み容器群6Gを構成する複数の容器60のうち一部を選択して、選択された一部の容器60(複数又は単数の容器60)を保持部70へ引き渡すことができる。
【0060】
図12に示すように、本実施形態では、搬送車100は、制御装置Cからの指令に基づいて、高頻度容器62のみで構成された段積み容器群6Gを作成して当該段積み容器群6Gを保持エリア7Aへ搬送するように構成されている。本例では、搬送車100は、支持部2に支持された段積み容器群6Gのうち任意の一部の容器60を持上げ装置3(図12では省略)により持上げ、持ち上げられた容器60の下方に隣接する容器60を第1移載装置4により段積み容器群6Gから取り除くことで、取り除かれた容器60以外の複数の容器60を用いて新たな段積み容器群6Gを作成する。
【0061】
図12に示す例では、搬送車100の支持部2には、7つの容器60が段積み容器群6Gを構成している。7つの容器60のうち、上から3段目の容器60のみが一般容器61であり、他の容器60が高頻度容器62である。搬送車100は、持上げ装置3によって上から2段目以上の高頻度容器62を持ち上げる。これにより、元々は上から3段目に配置されていた一般容器61が、支持部2に支持されている複数の容器60の中で最上段に配置される。そして、搬送車100は、この一般容器61を第1移載装置4によって段積み容器群6Gから取り除く。最後に、搬送車100は、持上げ装置3によって持ち上げていた上から2段目以上の高頻度容器62を、支持部2に支持されている複数の高頻度容器62の上に載置する。これにより、高頻度容器62のみで構成された段積み容器群6Gが新たに作成される。
【0062】
なお、上記では、高頻度容器62のみで構成された段積み容器群6Gを作成する例について説明したが、超高頻度容器63(図3参照)のみで構成された段積み容器群6Gを作成することもできる。すなわち、搬送車100は、制御装置Cからの指令に基づいて、超高頻度容器63のみで構成された段積み容器群6Gを作成して当該段積み容器群6Gを保持エリア7Aへ搬送するように構成されていてもよい。
【0063】
図13に示すように、搬送車100が支持部2に支持できる上限の容器60の数を支持上限数Mとする。本実施形態では、搬送車100は、保管棚8と保持エリア7Aとの双方で容器60を受け取る場合に、保管棚8から受け取って支持部2に支持する容器60の数を、支持上限数Mと保持エリア7Aの保持部70から受け取る段積み容器群6Gに含まれる容器60の数との差以下とする。
【0064】
図13に示す例では、支持上限数Mが「10」とされており、搬送車100が保持エリア7Aの保持部70から受け取った段積み容器群6Gに含まれる容器60の数が「7」となっている。従って、これから搬送車100が保管棚8から受け取って支持部2に支持することができる容器60の数は、「3」以下である。これにより、搬送車100が保管棚8と保持エリア7Aとの双方で容器60を受け取る場合であっても、保持エリア7Aの保持部70に保持された段積み容器群6Gを、分離させることなくそのまま受け取って支持部2に支持させることができる。
【0065】
〔その他の実施形態〕
次に、その他の実施形態について説明する。
【0066】
(1)上記の実施形態では、第2移載装置22が、コンベヤを用いて構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第2移載装置22は、フォークを用いて構成されていてもよい。或いは、第2移載装置22は、ロボットアームを用いて構成されていてもよい。
【0067】
(2)上記の実施形態では、第3移載装置73が、コンベヤを用いて構成されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、第3移載装置73は、例えばロボットアームを用いて構成されていてもよい。
【0068】
(3)上記の実施形態では、保持エリア7Aが、保管棚8と作業エリア9Aとの間の領域に配置されている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、保持エリア7Aは、作業エリア9Aの一部を含むように広がっていてもよい。この場合、保持エリア7Aの保持部70は、作業エリア9Aの受渡部90に隣接して配置されているとよい。これにより、作業エリア9Aにおける対象作業の効率の向上が期待できる。このように作業エリア9Aと一部重複するように保持エリア7Aが設けられる形態も、「作業エリア9A及び保管棚8とは別の場所に、保持エリア7Aが設けられる」ことに含まれる。
【0069】
(4)上記の実施形態では、棚領域内経路R8と接続経路R7とが、直線的な形状となっている例について説明した。しかし、このような例に限定されることなく、棚領域内経路R8と接続経路R7との少なくとも一方は、曲線的な形状や屈曲した形状となっていてもよい。
【0070】
(5)なお、上述した実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0071】
〔本実施形態のまとめ〕
以下、本実施形態のまとめについて説明する。
【0072】
上下方向に段積み可能に構成された容器を搬送する搬送車と、前記容器を保管する保管棚と、前記容器からの物品の取出作業、及び、前記容器への物品の投入作業の少なくとも一方である対象作業が行われる作業エリアと、を備えた容器搬送設備であって、
前記保管棚は、それぞれに前記容器を支持する棚部を上下方向に複数段備え、複数の前記容器を互いに分離した状態で保管するように構成され、
前記搬送車は、
走行する走行体と、
前記走行体に搭載され、複数の前記容器を段積み状態の容器群である段積み容器群として支持する支持部と、
前記走行体に搭載され、前記保管棚と前記支持部に支持された前記段積み容器群との間での前記容器の移載を行う第1移載装置と、
前記走行体に搭載され、前記段積み容器群の移載を行う第2移載装置と、
を備え、
前記作業エリアには、前記支持部との間で前記段積み容器群の受け渡しが行われる受渡部が設けられ、
前記作業エリア及び前記保管棚とは別の場所に、保持エリアが設けられ、
前記保持エリアは、前記段積み容器群を保持する保持部を備え、
前記保持部は、前記第2移載装置により前記支持部との間で前記段積み容器群の移載が可能に構成されている。
【0073】
本構成によれば、保持エリアに段積み容器群を保持させておくことができる。従って、例えば、作業エリアへの搬送の予定がある容器や作業エリアへの搬送の頻度が高い容器等、特定の容器を保持エリアに保持させておくことで、容器を保管棚に戻したり保管棚から容器を出したりするための搬送車の作業を少なく抑え、搬送車による容器の搬送効率を高め易い。また本構成によれば、搬送車と保持エリアとの間で段積み状態の複数の容器を一度に移載することができる。更に、作業エリアの受渡部でも、段積み容器群の受け渡しが行われる。従って、これらの点でも搬送車による容器の搬送効率を高め易い。また本構成によれば、保持エリアに複数の容器を段積み状態で保持させるため、保持エリアが占める床面積を小さく抑え易い。また本構成によれば、保管棚は複数段の棚部によって複数の容器を互いに分離した状態で保管するように構成されている。そのため、保管棚においては、搬送車との個別の容器の移載が容易な状態で、多数の容器を適切に保管することができる。
【0074】
前記保管棚に沿って延びる前記搬送車の経路を棚領域内経路として、
前記保持エリアの前記保持部は、前記棚領域内経路と前記受渡部とを結ぶ接続経路に沿う位置に配置されている、と好適である。
【0075】
本構成によれば、保管棚と保持エリアと作業エリアとに亘って、搬送車を効率的に走行させ易い。従って、搬送車による容器の搬送効率を高め易い。
【0076】
前記搬送車の制御を行う制御システムを更に備え、
前記保持エリアは、前記保管棚と前記作業エリアとの間の領域に配置され、
前記制御システムは、複数の前記容器を、それぞれの前記容器に収容された物品の種類に基づいて、一般容器と、前記一般容器よりも前記作業エリアへ搬送される頻度が高い高頻度容器とに区分して管理するように構成され、
前記搬送車は、前記制御システムからの指令に基づいて、前記高頻度容器を少なくとも一部に含む前記段積み容器群を前記保持エリアへ搬送する、と好適である。
【0077】
本構成によれば、作業エリアに搬送する頻度が高い容器を、保管棚と作業エリアとの間の領域に配置された保持エリアの保持部に保持させることができる。そのため、搬送車が高頻度容器を搬送する場合における搬送車の走行距離を短く抑え易い。従って、全体としての搬送車の走行距離を短く抑え易く、延いては、搬送車による容器の搬送効率を高め易い。
【0078】
前記制御システムは、前記一般容器と前記高頻度容器との区分の見直しを定期的に行い、
前記搬送車は、前記制御システムからの指令に基づいて、前記高頻度容器から前記一般容器に変更された前記容器を前記保持エリアから前記保管棚へ搬送し、又は、前記一般容器から前記高頻度容器に変更された前記容器を前記保管棚から前記保持エリアへ搬送する、と好適である。
【0079】
本構成によれば、作業エリアに搬送する頻度が高い容器が保持エリアの保持部に保持された状態を長期間に亘って維持することができる。
【0080】
前記制御システムは、前記高頻度容器の中で、前記作業エリアへ搬送される頻度が予め定められたしきい値以上である前記容器を超高頻度容器とし、
前記搬送車は、前記制御システムからの指令に基づいて、前記超高頻度容器のみで構成された前記段積み容器群を作成して当該段積み容器群を前記保持エリアへ搬送する、と好適である。
【0081】
本構成によれば、作業エリアへ搬送される頻度が非常に高い超高頻度容器を、1つの段積み容器群にまとめて保持エリアに保持させておくことができる。従って、搬送車の走行距離を短く抑え易く、延いては、搬送車による容器の搬送効率を高め易い。
【0082】
前記搬送車の制御を行う制御システムを更に備え、
前記搬送車は、前記制御システムからの指令に基づいて、前記作業エリアの前記受渡部から、前記保管棚と前記保持エリアとの双方を経由して前記受渡部へ戻る経路を走行する、と好適である。
【0083】
本構成によれば、保管棚に保管された容器と保持エリアに保持された容器との双方を作業エリアへ搬送することができると共に、作業エリアでの対象作業が完了した容器を、保管棚と保持エリアとのいずれにも戻すことができる。
【0084】
前記搬送車が前記支持部に支持できる上限の前記容器の数を支持上限数として、
前記搬送車は、前記保管棚と前記保持エリアとの双方で前記容器を受け取る場合に、前記保管棚から受け取って前記支持部に支持する前記容器の数を、前記支持上限数と前記保持エリアの前記保持部から受け取る前記段積み容器群に含まれる前記容器の数との差以下とする、と好適である。
【0085】
本構成によれば、搬送車が保管棚と保持エリアとの双方で容器を受け取る場合であっても、保持エリアの保持部に保持された段積み容器群を、分離させることなくそのまま受け取って支持部に支持させることができる。従って、保持エリア及び搬送車の双方に、段積み容器群を分離させるための装置等を備える必要性を低減できる。
【0086】
前記搬送車は、前記走行体に搭載されて前記支持部に支持された前記段積み容器群の一部又は全部の前記容器を持ち上げ可能な持上げ装置を更に備え、
前記支持部に支持された前記段積み容器群のうち、前記持上げ装置により持ち上げられていない少なくとも1つの前記容器を残留容器群として、
前記第2移載装置は、前記支持部に支持された前記段積み容器群の前記保持部への移載、前記残留容器群の前記保持部への移載、及び、前記保持部に保持された前記段積み容器群の前記支持部への移載を行うことができるように構成されている、と好適である。
【0087】
本構成によれば、保持エリアの保持部と搬送車の支持部との間での段積み容器群の移載を適切に行うことができる。特に、本構成によれば、支持部に支持された段積み容器群の中から選択された一部の容器又は一部の段積み容器群を保持エリアの保持部へ移載することを容易に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本開示に係る技術は、上下方向に段積み可能に構成された容器を搬送する搬送車と、前記容器を保管する保管棚と、前記容器からの物品の取出作業、及び、前記容器への物品の投入作業の少なくとも一方である対象作業が行われる作業エリアと、を備えた容器搬送設備に利用することができる。
【符号の説明】
【0089】
F :容器搬送設備
100 :搬送車
10 :走行体
2 :支持部
22 :第2移載装置
3 :持上げ装置
4 :第1移載装置
6G :段積み容器群
6Ga :残留容器群
7A :保持エリア
70 :保持部
8 :保管棚
80 :棚部
9A :作業エリア
90 :受渡部
60 :容器
61 :一般容器
62 :高頻度容器
63 :超高頻度容器
M :支持上限数
R7 :接続経路
R8 :棚領域内経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13