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  • 特開-車両用センサ取付構造 図1
  • 特開-車両用センサ取付構造 図2
  • 特開-車両用センサ取付構造 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002243
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】車両用センサ取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20241226BHJP
【FI】
B60R11/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102291
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】八尾 崇
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020BA13
3D020BA20
3D020BB01
3D020BC18
3D020BD01
3D020BD05
(57)【要約】
【課題】車両の衝突時にかかる荷重の大小にそれぞれ対応して、ルーフにセンサを搭載するときに用いるボルトを保護する車両用センサ取付構造を実現する。
【解決手段】車両用センサ取付構造は、ルーフ12の上方に設けられ、車両10の外部環境を検出するセンサ14と、前記ルーフ12に固定されるルーフ固定部22と、前記センサ14にボルト20によって締結されるボルト締結部24と、を有するブラケット16と、を備え、前記ブラケット16は、前記ボルト締結部24から車両前後方向において前方へ向かうにつれて車幅方向に広がる形状であり、前記ボルト締結部24よりも前記車幅方向の内側において前端から後方へ向けて延びる切欠部26を有する、ことを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ルーフの上方に設けられ、車両の外部環境を検出するセンサと、
前記ルーフに固定されるルーフ固定部と、前記センサにボルトによって締結されるボルト締結部と、を有するブラケットと、
を備え、
前記ブラケットは、
前記ボルト締結部から車両前後方向において前方へ向かうにつれて車幅方向に広がる形状であり、
前記ボルト締結部よりも前記車幅方向の内側において前端から後方へ向けて延びる切欠部を有する、
ことを特徴とする車両用センサ取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるセンサの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のルーフに外部環境を検出するセンサを取り付ける構造においては、車両の衝突時のルーフの変形やセンサのルーフからの脱落が防止でき、さらに、センサの検出精度も低下させないような構造が必要となる。そこで、従来から、センサの取付位置や取付構造に関する様々な技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、可動機構によってセンサをルーフの端部側に移動させることができる車両用センサ装置が開示されている。この車両用センサ装置は、センサにおいて死角が生じるのを抑制しつつ、車両の走行状態に応じた領域が検出可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2023-063682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、重量物であるセンサをルーフの上方に搭載する場合において、例えば、車両が前面衝突した時(以下、適宜、「前突時」と称する。)には、センサの慣性力が車両前方に向けて発生するため、センサがルーフから脱落することがある。特に、車両に大きな衝撃が加わるような衝突である場合(以下、適宜、「大衝突時」と称する。)には、センサがルーフから脱落し、さらには、車両の再利用が困難となることもある。ここで、当該脱落を防ぐために、センサを締結する締結箇所を増やす、センサを締結するボルトの本数を増やす、などの対処法がある。しかし、かかる対処によって、材料コストおよび質量の増加につながることがある。
【0006】
また、センサがルーフから脱落することを防ぐために、センサに締結されるボルトを保護する構造もある。例えば、車両の衝突時にボルトが破断しないように(すなわち、ボルトに加わる衝突時の荷重を軽減させるように)、センサをルーフに取り付けるときに用いるブラケットを先に変形させて衝撃を吸収させる構造がある。しかし、かかる構成を取り入れる場合であっても、ブラケットには一定の剛性は必要である。特に、車両が低速で走行している場合などに発生する衝突においては、車両に加わる衝撃は比較的小さいため(以下、適宜、「小衝突時」と称する。)、ブラケットを変形させることなく、ブラケットの剛性により衝撃を吸収できる方がよい。すなわち、車両の衝突時にかかる荷重の大小にそれぞれ応じて、ルーフにセンサを搭載するときに用いるボルトの保護の方法が適切なものとなる構造が望まれる。
【0007】
そこで、本明細書では、車両の衝突時にかかる荷重の大小にそれぞれ対応して、ルーフにセンサを搭載するときに用いるボルトを保護する車両用センサ取付構造を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書で開示する車両用センサ取付構造は、ルーフの上方に設けられ、車両の外部環境を検出するセンサと、前記ルーフに固定されるルーフ固定部と、前記センサにボルトによって締結されるボルト締結部と、を有するブラケットと、を備え、前記ブラケットは、前記ボルト締結部から車両前後方向において前方へ向かうにつれて車幅方向に広がる形状であり、前記ボルト締結部よりも前記車幅方向の内側において前端から後方へ向けて延びる切欠部を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本明細書で開示の車両用センサ取付構造によれば、ブラケットが前方へ向かうにつれて車幅方向に広がる形状であるため、前突時かつ小衝突時などにおいて、当該広がった部分で衝撃を受け止めることができる。また、車両の斜め衝突時かつ小衝突時などにおいては、車両の外側に荷重が集中するが、ブラケットの切欠きのない部位および前部の車幅方向に広がる形状の部分で当該外側での衝撃を受け止めることができる。すなわち、ブラケットは、小衝突時に入力荷重に耐え得る剛性が確保できる。
【0010】
さらに、前突時かつ大衝突時などにおいては、ブラケットの切欠部に応力を集中させることができるため、ボルトが破断するより前にブラケットが変形する。すなわち、センサに締結されるボルトを保護でき、その結果、センサのルーフからの脱落を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る車両用センサ取付構造を適用した車両の概略平面図である。
図2図1の概略側面図である。
図3】ブラケットの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して車両用センサ取付構造について説明する。なお、各図において、「Fr」、「Up」、および、「Rh」は、それぞれ、車両前方、上方、および、右側方を示している。
【0013】
図1は、実施形態に係る車両用センサ取付構造を適用した車両の概略平面図である。より具体的には、図1は、車両10のルーフ12の上面の前方部分を概略的に示した図である。本例においては、実施形態に係る車両用センサ取付構造が適用される車両10は、自動運転車両である。車両10には、車室の上に設けられるルーフ12の上方に、センサ14が取り付けられる。詳細な図示は省略するが、センサ14は、センサカバーと、センサカバーの内側に自動運転用のセンサ群と、を有する。当該センサ群は、車両10の外部環境を検出する複数のセンサから構成される。そして、車両10が有する制御装置(図示なし)が、センサ群により検出された各種の情報を用いて運転を制御することにより、自動運転が実行される。
【0014】
図1に示すように、車両10には、センサ14の下方にブラケット16が配置される。本例においては、4つのブラケット16を隠れ線として破線で示しているが、数はこれに限らない。このブラケット16を含めた実施形態に係る車両用センサ取付構造について、図2を参照してさらに説明する。
【0015】
図2は、図1の概略側面図である。図2は、左側から見た車両10の一部の側面図である。図2には、ルーフ12に固定され、かつ、センサ14に締結される4つのブラケット16の内の左側の2つのブラケット16を示している。センサ14は、その下面に固定された架台18によって支持されている。すなわち、図2に示すように、センサ14は、架台18が有する略長方形の板状の本体部と、その本体部の4つの角部から突出する柱部と、によって支持されている。架台18の本体部には、ボルト20を貫通させる貫通孔(図示なし)が形成される。そして、ボルト20が、センサ14に固定された架台18およびブラケット16の一部を貫通することで、センサ14とブラケット16とが締結される。
【0016】
次に、図3を参照して、ブラケット16の詳細、および、ブラケット16を用いたセンサ14のルーフ12への取り付けについて説明する。図3は、ブラケットの平面図である。また、図3の二点鎖線で囲んだ部分は、図3に示すブラケット16のA-A断面図である。ブラケット16は、ルーフ12に固定されるルーフ固定部22と、センサ14にボルト20によって締結されるボルト締結部24と、を有する。より詳しくは、図3に示すように、ブラケット16は、ボルト締結部24が設けられる略長方形の板状の中央部分と、当該中央部分の前後に斜め下方に向けて延びて端部近傍において屈曲してルーフ固定部22を形成する前部および後部と、で構成される。
【0017】
ブラケット16は、ボルト締結部24から前方に向かうにつれて車幅方向に広がる形状である。また、ブラケット16は、ボルト締結部24よりも車幅方向の内側において、ブラケット16の前端から後方に向けて延びる切欠部26を有する。前方に向かうにつれて幅が広くなっていることで、ブラケット16の前方部分においてルーフ12に固定する面積を大きくすることができる。このため、ブラケット16は、小衝突時に入力荷重に耐え得る剛性が確保できる。また、ブラケット16は、前突時かつ大衝突時などにおいては、切欠部26に応力を集中させることができる。このため、ボルト20に荷重が入力されるより前に(すなわち、破断するほどの荷重がボルト20に加えられる前に)、ブラケット16は切欠部26が開くように変形する。すなわち、センサ14に締結されるボルト20を保護でき、その結果、センサ14のルーフ12からの脱落を防ぐことができる。
【0018】
なお、これまでの説明は一例であり、本明細書で開示する車両用センサ取付構造においては、ルーフに固定され、かつ、センサにボルトによって締結されるブラケットが、前方へ向かうにつれて車幅方向に広がる形状であり、ボルト締結部よりも車幅方向の内側において前端から後方へ向けて延びる切欠部を有する構成であればよい。したがって、車両用センサ取付構造のその他の構成は、適宜、変更されてもよい。
【符号の説明】
【0019】
10 車両、12 ルーフ、14 センサ、16 ブラケット、18 架台、20 ボルト、22 ルーフ固定部、24 ボルト締結部、26 切欠部。
図1
図2
図3