(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025022494
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】ゴルフボール
(51)【国際特許分類】
A63B 37/00 20060101AFI20250206BHJP
【FI】
A63B37/00 144
A63B37/00 618
A63B37/00 512
A63B37/00 136
A63B37/00 538
A63B37/00 534
A63B37/00 536
A63B37/00 418
A63B37/00 328
A63B37/00 314
A63B37/00 412
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127131
(22)【出願日】2023-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125184
【弁理士】
【氏名又は名称】二口 治
(74)【代理人】
【識別番号】100188488
【弁理士】
【氏名又は名称】原谷 英之
(72)【発明者】
【氏名】井上 英高
(72)【発明者】
【氏名】佐嶌 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】深尾 海太
(57)【要約】
【課題】ロングアイアンショットのゴルフボールの転がり距離を小さくして、飛距離のコントロール性に優れるゴルフボールを提供する。
【解決手段】本発明のゴルフボールは、球状コアと中間層と最外層カバーとを有し、前記球状コアは、ゴム成分、共架橋剤、架橋開始剤を含有するゴム組成物から形成されたものであり、共架橋剤は、メタクリル酸および/またはその金属塩を含み、複数のディンプルの下部総容積Vi(mm3)が、365mm3未満であり、ディンプルの占有率が、75%以上である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
球状コアと前記球状コアの外側に位置する一層以上の中間層と、
前記中間層の外側に配置された複数のディンプルが設けられた最外層カバーとを有するゴルフボールであって、
前記球状コアは、ゴム成分、共架橋剤、架橋開始剤を含有するゴム組成物から形成されたものであり、
前記共架橋剤は、メタクリル酸および/またはその金属塩を含み、
複数のディンプルの下部総容積Vi(mm3)が、365mm3未満であり、
下記式で定義されるディンプルの占有率が、75%以上であることを特徴とするゴルフボール。
ディンプルの占有率(%)=100×全てのディンプルの総面積/ゴルフボール表面にディンプルが存在しないと仮定した仮想球の表面積
【請求項2】
前記下部総容積Vi(mm3)は、300mm3未満である請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項3】
前記球状コアの中心硬度(ショアC硬度)、前記球状コアの中心から表面に向かって、2.5mm、5mm、7.5mm、10mm、12.5mm、15mm地点の硬度(ショアC硬度)、前記球状コアの表面硬度(ショアC硬度)をそれぞれH0、H2.5、H5、H7.5、H10、H12.5、H15、HSとしたとき、下記の関係式(1)~(7)を満たす請求項1に記載のゴルフボール。
(H2.5-H0)≦5 (1)
(H5-H2.5)≦5 (2)
(H7.5-H5)≦5 (3)
(H10-H7.5)≦5 (4)
(H12.5-H10)≦5 (5)
(H15-H12.5)≦5 (6)
(HS-H15)≦5 (7)
【請求項4】
(HS-H0)が、20以下である請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項5】
前記球状コアの表面硬度HSが、ショアC硬度で80以下であり、前記球状コアの中心硬度H0が、ショアC硬度で60以下である請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項6】
前記中間層の材料硬度Hmが、前記カバーの材料硬度Hcよりも大きい請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項7】
前記中間層の材料硬度Hmは、ショアD硬度で50以上である請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項8】
前記カバーの材料硬度Hcは、ショアD硬度で40以下である請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項9】
前記ゴム成分は、ポリブタジエンゴムと、ブチルゴムおよび/またはポリイソプレンゴムとの混合物である請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項10】
前記中間層は、樹脂成分として、アイオノマー樹脂を含有する請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項11】
前記カバーは、樹脂成分として、ポリウレタンを含有する請求項1に記載のゴルフボール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフボールに関するものであり、ロングアイアンショットで止まりやすいゴルフボールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ゴルフボールは、一般に、球状コアとカバーとから構成される。前記球状コアは、基材ゴムと、共架橋剤とを有するゴム組成物から形成され、硬度分布を有している。
【0003】
特許文献1には、コアとカバーとからなり、該コアが、基材ゴム、共架橋剤、架橋開始剤及び金属酸化物を含有するゴム組成物にて形成されるゴルフボールであって、上記共架橋剤がメタクリル酸であり、上記金属酸化物が酸化亜鉛であり、上記ゴム組成物には有機硫黄化合物が含まれると共に、上記架橋開始剤の配合量が上記基材ゴム100質量部に対し、1.2~5質量部であり、ボール製品の初速度が74.3m/s以上であることを特徴とするゴルフボールが開示されている。
【0004】
特許文献2には、コアとカバーとからなり、該コアが、基材ゴム、共架橋剤、架橋開始剤、及び金属酸化物を含有するゴム組成物にて形成されるゴルフボールであって、基材ゴムとして、ポリブタジエンとスチレンブタジエンゴムとの混合物を用い、スチレンブタジエンゴムに占めるスチレン結合量が35質量%以下であると共に、共架橋剤としてメタクリル酸を用い、コアを初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)にそれぞれ負荷したときのたわみ量(CH)が2.5~7.0mmであり、更に、ディンプルの縁に囲まれた平面から下方に形成されるディンプル空間体積の合計が、ボール表面にディンプルが存在しないと仮定した仮想球の体積に占める比率(VR)が0.95~1.7であることを特徴とするソリッドゴルフボールが開示されている。
【0005】
特許文献3には、コアとカバーとからなり、該コアが、基材ゴム、共架橋剤、架橋開始剤、及び金属酸化物を含有するゴム組成物にて形成される練習用ゴルフボールであって、基材ゴムとして、ポリブタジエンと、スチレンブタジエンゴム及び/又はイソプレンゴムとの混合物を用いると共に、共架橋剤としてメタクリル酸を用い、コアを初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)にそれぞれ負荷したときのたわみ量CHが2.5~7.0mmであり、ボールの初速度が70m/s以下であり、更に、ディンプルの縁に囲まれた平面から下方に形成されるディンプル空間体積の合計が、ボール表面にディンプルが存在しないと仮定した仮想球の体積に占める比率(VR)が0.95~1.7であることを特徴とする練習用ゴルフボールが開示されている。
【0006】
特許文献4には、コアとカバーとからなり、該コアが、基材ゴム、共架橋剤、架橋開始剤、及び金属酸化物を含有するゴム組成物にて形成される練習用ゴルフボールであって、共架橋剤としてメタクリル酸を用い、金属酸化物として酸化亜鉛を用いると共に、コアの硬度分布において、コア表面のJIS-C硬度を(A)、コア表面から2mm内側の部位のJIS-C硬度を(B)、コア表面から5mm内側の部位のJIS-C硬度を(C)、コア表面から10mm内側の部位のJIS-C硬度を(D)、コア表面から15mm内側の部位のJIS-C硬度を(E)、及びコア中心のJIS-C硬度を(F)とするとき、(A)が65~77、(B)が59~70、(C)が61~74、(D)が59~75、(E)が61~70、及び(F)が57~67であり、且つ、(A)>(B)<(C)≧(D)>(E)>(F)の硬度関係を満たし、且つ(A)-(F)の値が19以下であり、(A)から(F)のうち(A)が最も硬く形成されるものであり、(A)-(C)の値が0~8であり、コア比重が1.05~1.2であり、カバーの樹脂成分がポリウレタンを主材とするものであり、カバーの厚さが0.3~1.9mm、カバーの材料硬度がショアD硬度で30~48であり、更に、コア及びボールを初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)にそれぞれ負荷したとき、該コア及びボールのたわみ量をそれぞれ(CH)及び(BH1)とするとき、(CH)が2.8~7.0mmであり、且つ(CH)/(BH1)の値が0.95~1.1であり、更に、ディンプルの縁に囲まれた平面から下方に形成されるディンプル空間体積の合計が、ボール表面にディンプルが存在しないと仮定した仮想球の体積に占める比率(VR)が0.95~1.7であることを特徴とする練習用ゴルフボールが開示されている。
【0007】
特許文献5には、コアとカバーとからなり、該コアが、基材ゴム、共架橋剤、架橋開始剤、及び金属酸化物を含有するゴム組成物にて形成される練習用ゴルフボールであって、共架橋剤としてメタクリル酸を用い、コアの硬度分布において、コア表面のJIS-C硬度を(A)、コア表面から2mm内側の部位のJIS-C硬度を(B)、コア表面から5mm内側の部位のJIS-C硬度を(C)、コア表面から10mm内側の部位のJIS-C硬度を(D)、コア表面から15mm内側の部位のJIS-C硬度を(E)、及びコア中心のJIS-C硬度を(F)とするとき、(A)が70~88、(B)が64~83、(C)が66~85、(D)が64~80、(E)が61~75、及び(F)が58~72であり、且つ、(A)>(B)<(C)≧(D)>(E)>(F)の硬度関係を満たし、且つ(A)-(F)の値が19以下であり、(A)から(F)のうち(A)が最も硬く形成されるものであり、(A)-(C)の値が1~8であり、コア比重が1.05~1.2であり、カバーの樹脂成分がポリウレタンを主材とするものであり、カバーの厚さが0.3~1.9mm、カバーの材料硬度がショアD硬度で30~57であり、更に、コア及びボールを初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)にそれぞれ負荷したとき、該コア及びボールのたわみ量をそれぞれ(CH)及び(BH1)とするとき、(CH)が2.0~4.0mmであり、且つ(CH)/(BH1)の値が0.95~1.1であることを特徴とする練習用ゴルフボールが開示されている。
【0008】
特許文献6には、コアとカバーと透明なペイント層とからなり、該コアが、基材ゴム、共架橋剤、架橋開始剤及び金属酸化物を含有するゴム組成物にて形成される練習用ゴルフボールであって、共架橋剤としてメタクリル酸を用いると共に、カバーを形成する樹脂材料の破断強度が20~80MPa、伸度が150~600%であり、ボ-ルの初速度(BV)が76m/s以下であることを特徴とする練習用ゴルフボールが開示されている。
【0009】
特許文献7には、コアとカバーとからなり、該コアが、基材ゴム、共架橋剤、架橋開始剤及び金属酸化物を含有するゴム組成物にて形成される練習用ゴルフボールであって、共架橋剤としてメタクリル酸を用いると共に、コア及びボールを初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)にそれぞれ負荷したとき、該コア及びボールのたわみ量をそれぞれ(CH)及び(BH1)とするとき、(CH)/(BH1)の値が0.95~1.1であることを特徴とする練習用ゴルフボールが開示されている。
【0010】
特許文献8には、コアとカバーとからなり、ボールの、初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)に負荷したときの該ボールのたわみ量BHが2.0~4.5mmの範囲であり、且つ、ドライバー(W#1)として、ブリヂストンスポーツ社製TourStage X-DRIVE701(ロフト角:9°)を打撃ロボットに取り付け、ヘッドスピード(HS)52m/sにて、該ボールを打撃した時のキャリーCを予め設定し、下記式(1)
C=A-33×BH ・・・・・ (1)
(但し、295≦A≦325)
を満足するように、該ボールのたわみ量BHが調整されることを特徴とする練習用ゴルフボールが開示されている。
【0011】
特許文献9には、コアとカバーとからなるゴルフボールにおいて、ボールを最初に測定した時の、初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)に負荷したときのボールのたわみ量をBH1(mm)、及び該ボ-ルの初速度をBV1(m/s)とすると共に、ボールを最初に測定してから350日放置した後、初期荷重98N(10kgf)から終荷重1,275N(130kgf)に負荷したときのボールのたわみ量をBH2(mm)、及び該ボ-ルの初速度をBV1(m/s)とするとき、BH2-BH1の差が0.2mm以内であり、且つBV2-BV1の差が0.3m/s以内であることを特徴とする練習用ゴルフボール。
【0012】
特許文献10には、コアとカバーとからなり、該コアが、基材ゴム、共架橋剤、架橋開始剤及び金属酸化物を含有するゴム組成物にて形成される練習用ゴルフボールであって、共架橋剤としてメタクリル酸を用いると共に、カバーの樹脂材料の破断強度が20~80MPa、伸度が150~600%であることを特徴とする練習用ゴルフボールが開示されている。
【0013】
特許文献11には、コアとカバーとからなり、該コアが、基材ゴム及び共架橋剤を含有するゴム組成物にて形成される練習用ゴルフボールであって、共架橋剤としてメタクリル酸を用いると共に、ボールの初速度が76m/s以下であることを特徴とする練習用ゴルフボールが開示されている。
【0014】
特許文献12には、コアとカバーとからなり、カバーの材料硬度がショアD硬度で30~57であり、更に、コアの初速度をCV(m/s)とボールの初速度をBV1(m/s)としたとき、CV-BV1の値が下記式(1)を満足することを特徴とする練習用ゴルフボールが開示されています。
(CV-BV1)=0.7×(カバー厚)-b (1)
(但し、0.1≦b≦1.0)
【0015】
特許文献13には、基材ゴム100重量部に対し低反発特性ゴム3~35重量部、メタクリル酸20~30重聞部、およびメタクリル酸に金属塩を形成し得る金属化合物20~50重量部を含有する組成物を加硫して得られる練習場用ゴルフボールが開示されている。
【0016】
特許文献14には、コアと該コア上に形成されたカバーから成るソリッドゴルフボールにおいて、該コアが、基材ゴム100重量部に対して、メタクリル酸20~40重量部、亜鉛華20~40重量部を配合し、ゴム中で主成分として塩基性メタクリル酸亜鉛を生成させ、その組成物に有機過酸化物0.1~3.0重量部、有機硫黄化合物0.1~3.0重量部を反応させたゴム組成物から得られることを特徴とするソリッドゴルフボールが開示されている。
【0017】
特許文献15には、コア、中間層及びカバーを具備するマルチピースソリッドゴルフボールであって、上記コアは基材ゴムを主材として形成され、その直径が32mm以上であり、上記中間層,カバーの各層は樹脂材料により形成され、上記コアの内部硬度について、コア中心のショアC硬度をCc、コア中心から2mmの位置のショアC硬度をC2、コア中心から4mmの位置のショアC硬度をC4、コア中心から6mmの位置のショアC硬度をC6、コア中心から8mmの位置のショアC硬度をC8、コア中心から10mmの位置のショアC硬度をC10、コア中心から12mmの位置のショアC硬度をC12、コア中心から14mmの位置のショアC硬度をC14、コア中心から16mmの位置のショアC硬度をC16、コア表面のショアC硬度をCs、コア表面から3mm内側の位置のショアC硬度をCs-3、及びコア表面とコア中心の中間位置の硬度をCmとしたとき、C8-C6の値、C6-C4の値、C4-C2の値、C2-Ccの値がいずれも4.0以内であり、C16-C14の値、C14-C12の値、C12-C10の値、C10-C8の値がいずれも5.5以内であると共に、下記式(1)(2)及び(3)
Cs-Cc≧22 ・・・(1)
(Cs-Cm)/(C4-Cc)≧4.0 ・・・(2)
Cs-Cs-3≦5.0 ・・・(3)
を満たすものであり、且つ、上記コアを中間層で被覆した球体(中間層被覆球体)の表面硬度とボールの表面硬度とが、下記式
ボール表面硬度<中間層被覆球体の表面硬度 ・・・(4)
(但し、上記の各層の硬度はショアC硬度の値を意味する。)
を満たすことを特徴とするマルチピースソリッドゴルフボールが開示されている。
【0018】
特許文献16には、コアとカバーとの間に中間層を介在させたマルチピースソリッドゴルフボールにおいて、上記コア、該コアの周囲に中間層が被覆された球体(中間層被覆球体)及びボールの表面硬度がショアD硬度で、ボール表面硬度≦中間層被覆球体の表面硬度≧コアの表面硬度の関係を満たし、中間層の厚さ及びカバーの厚さが、(中間層の厚さ-カバー厚さ)≧0の関係を満たし、コア硬度分布において、JIS-C硬度で、22≦コア表面硬度(Cs)-コア中心硬度(Cc)、5≧[コア中心から5mmの位置の硬度(C5)-コア中心硬度(Cc)]>0、[コア表面硬度(Cs)-コア中心硬度(Cc)]/[コアの表面と中心の中間位置の硬度(Cm)-コア中心硬度(Cc)]≧4の関係を満たすことを特徴とするマルチピースソリッドゴルフボールが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】特開2014-050696号公報
【特許文献2】特開2014-069045号公報
【特許文献3】特開2012-228470 号公報
【特許文献4】特開2012-228468号公報
【特許文献5】特開2012-228465号公報
【特許文献6】特開2012-228461号公報
【特許文献7】特開2012-228458号公報
【特許文献8】特開2012-228457号公報
【特許文献9】特開2012-228456号公報
【特許文献10】特開2012-228452号公報
【特許文献11】特開2012-228448号公報
【特許文献12】特開2012-228447号公報
【特許文献13】特開昭60-92780号公報
【特許文献14】特開平10-192446号公報
【特許文献15】特開2021-62036号公報
【特許文献16】特開2016-112308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
ゴルフのスコアメイクには、ドライバーショットの飛距離だけではなく、セカンドショット以降のゴルフボールの飛距離の安定性も重要である。グリーンを狙うアイアンショットにおいて、狙った飛距離通りにゴルフボールを止めることが特に重要である。しかし、ロングアイアンのショットでは、ボール初速が速く、スピン量が少ないために着地後のゴルフボールが転がる距離が大きく、狙い通りの飛距離にゴルフボールを止めることが難しいという問題がある。
【0021】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、ロングアイアンショットのゴルフボールの転がり距離を小さくして、飛距離のコントロール性に優れるゴルフボールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記課題を解決した本発明のゴルフボールは、球状コアと前記球状コアの外側に位置する一層以上の中間層と、
前記中間層の外側に配置された複数のディンプルが設けられた最外層カバーとを有するゴルフボールであって、
前記球状コアは、ゴム成分、共架橋剤、架橋開始剤を含有するゴム組成物から形成されたものであり、
前記共架橋剤は、メタクリル酸および/またはその金属塩を含み、
複数のディンプルの下部総容積Vi(mm3)が、365mm3未満であり、
下記式で定義されるディンプルの占有率が、75%以上であることを特徴とするゴルフボール。
ディンプルの占有率(%)=100×全てのディンプルの総面積/ゴルフボール表面にディンプルが存在しないと仮定した仮想球の表面積
【0023】
本発明のゴルフボールは、上記のように構成されることにより、ロングアイアンショットのボール速度が低下するとともに、地面への落下角度が大きくなる。その結果、着地後のゴルフボールの転がる距離を制御する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ロングアイアンショットのゴルフボールの転がり距離を小さくして、飛距離のコントロール性に優れるゴルフボールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態に係るゴルフボールが示された一部切り欠き断面図。
【
図2】最外層カバーに形成されたディンプルパターンの一例の正面図である。
【
図3】最外層カバーに形成されたディンプルパターンの一例の平面図である。
【
図4】最外層カバーに形成されたディンプルの拡大断面図である。
【
図5】最外層カバーに形成されたディンプルパターンの一例の正面図である。
【
図6】最外層カバーに形成されたディンプルパターンの一例の平面図である。
【
図7】最外層カバーに形成されたディンプルパターンの一例の正面図である。
【
図8】最外層カバーに形成されたディンプルパターンの一例の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明のゴルフボールは、球状コアと前記球状コアの外側に位置する一層以上の中間層と、
前記中間層の外側に配置された複数のディンプルが設けられた最外層カバーとを有するゴルフボールであって、
前記球状コアは、ゴム成分、共架橋剤、架橋開始剤を含有するゴム組成物から形成されたものであり、
前記共架橋剤は、メタクリル酸および/またはその金属塩を含み、
複数のディンプルの下部総容積Vi(mm3)が、365mm3未満であり、
下記式で定義されるディンプルの占有率が、75%以上であることを特徴とするゴルフボール。
ディンプルの占有率(%)=100×全てのディンプルの総面積/ゴルフボール表面にディンプルが存在しないと仮定した仮想球の表面積
【0027】
(ゴルフボールの構造)
本発明のゴルフボールは、球状コアと前記球状コアの外側に配置された一層以上の中間層と前記一層以上の中間層の外側に配置された複数のディンプルが設けられた最外層カバーとを有する。
【0028】
本発明のゴルフボールとしては、例えば、球状コアと前記球状コアを被覆するように配設された単層の中間層と、前記中間層を被覆する単層の最外層カバーとからなるスリーピースゴルフボール;球状コアと、前記球状コアを被覆するように配設された一層以上の中間層と、前記中間層を被覆するように配設された最外層カバーとを有するマルチピースゴルフボール(スリーピースゴルフボールを含む)などを挙げることができる。上記いずれの構造のゴルフボールにも本発明を好適に利用できる。
【0029】
前記球状コアの構造は、単層構造と多層構造のいずれもよいが、単層構造であることが好ましい。前記中間層は、一層以上であればよく、単層または二層以上であてもよい。前記中間層は、ゴルフボールの構造に基づいて、外層コアあるいは内層カバーと言われる場合がある。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボールが示された一部切り欠き断面図である。
図1に示されたゴルフボール2は、球状のコア4と、このコア4を被覆する中間層6と、前記中間層6の外側に位置する最外層カバー8とを有している。このゴルフボール2は、その表面に複数のディンプル10を有している。ゴルフボール2の表面のうちディンプル10以外の部分は、ランド12である。このゴルフボール2は、最外層カバー8の外側にペイント層及びマーク層を備えているが、これらの層の図示は省略されている。
【0031】
(球状コア)
まず、本発明のゴルフボールが有する球状コアについて説明する。前記球状コアの直径は、34.8mm以上が好ましく、より好ましくは36.8mm以上、さらに好ましくは38.0mm以上であり、42.2mm以下が好ましく、41.8mm以下がより好ましく、さらに好ましくは41.2mm以下であり、最も好ましくは40.8mm以下である。前記球状コアの直径が34.8mm以上であれば、カバーの厚みが厚くなり過ぎず、打球感がより良好となる。一方、球状コアの直径が42.2mm以下であれば、カバーが薄くなり過ぎず、カバーの機能がより発揮される。
【0032】
前記球状コアの中心硬度(ショアC硬度)、球状コアの中心から表面に向かって、2.5mm、5mm、7.5mm、10mm、12.5mm、15mm地点の硬度(ショアC硬度)、球状コアの表面硬度(ショアC硬度)をそれぞれH0、H2.5、H5、H7.5、H10、H12.5、H15、HSとしたとき、下記の関係式(1)~(7)を満たすことが好ましい。
(H2.5-H0)≦5 (1)
(H5-H2.5)≦5 (2)
(H7.5-H5)≦5 (3)
(H10-H7.5)≦5 (4)
(H12.5-H10)≦5 (5)
(H15-H12.5)≦5 (6)
(HS-H15)≦5 (7)
【0033】
上記関係式(1)~(7)を満足する球状コアは、コア全体の変形がスムーズになり各番手での打球感が良好になるからである。
【0034】
球状コアの中心硬度(ショアC硬度)、球状コアの中心から表面に向かって、2.5mm、5mm、7.5mm、10mm、12.5mm、15mm地点の硬度(ショアC硬度)は、球状コアを、球状コアの中心を通る平面に沿って切断し、切断面の中心、および、中心から半径方向の所定の距離の地点で測定した硬度である。球状コアの表面硬度は、球状コアの表面で測定した硬度である。
【0035】
球状コアの中心から2.5mm地点の硬度(H2.5)と球状コアの中心との硬度差(H2.5-H0)は、ショアC硬度で、5以下であることが好ましく、4.5以下であることがより好ましく、4以下であることがさらに好ましい。また、前記硬度差(H2.5-H0)の下限は特に限定されないが、ショアC硬度で、0以上であることが好ましく、1以上であることがより好ましく、1.5以上であることがさらに好ましい。硬度差(H2.5-H0)が前記範囲内であれば、ドライバーショット時のスピン量が低下するからである。
【0036】
球状コアの中心から7.5mm地点の硬度(H7.5)と球状コアの中心から5mm地点の硬度(H5)との硬度差(H7.5-H5)は、ショアC硬度で、5以下であることが好ましく、4.8以下であることがより好ましく、4.5以下であることがさらに好ましく、0以上であることが好ましく、1以上であることがより好ましく、2以上であることがさらに好ましい。硬度差(H7.5-H5)が、前記範囲内であれば、ドライバーショット時の打球感が良好なるからである。
【0037】
球状コアの中心から10mm地点の硬度(H10)と球状コアの中心から7.5mm地点の硬度(H7.5)との硬度差(H10-H7.5)は、ショアC硬度で、5以下であることが好ましく、4.8以下であることがより好ましく、4.5以下であることがさらに好ましく、0以上であることが好ましく、1以上であることがより好ましく、2以上であることがさらに好ましい。硬度差(H10-H7.5)が、前記範囲内であれば、アイアンショット時の打球感が良好になるからである。
【0038】
球状コアの中心から15mm地点の硬度(H15)と球状コアの中心から12.5mm地点の硬度(H12.5)との硬度差(H15-H12.5)は、ショアC硬度で、5以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましく、3以下であることがさらに好ましく、0以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましく、0.5以上であることがさらに好ましい。硬度差(H15-H12.5)が、前記範囲内であれば、アイアンショット時の打球感が良好になるからである。
【0039】
球状コアの表面硬度HSと球状コアの中心から15mm地点の硬度(H15)との硬度差(HS-H15)は、ショアC硬度で、5以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましく、3以下であることがさらに好ましく、0以上であることが好ましく、0.3以上であることがより好ましく、0.5以上であることがさらに好ましい。硬度差(HS-H15)が、前記範囲内であれば、パターの打撃時に良好な打球感が得られるからである。
【0040】
球状コアの表面硬度(HS)と中心硬度(H0)との硬度差(HS-H0)は、ショアC硬度で、20以下であることが好ましく、19以下であることがより好ましく、18以下であることがさらに好ましく、5以上であることが好ましく、6以上であることがより好ましく、7以上であることがさらに好ましい。硬度差(Hs-H0)が前記範囲内であれば、ショートアイアンでのショットでスピン性能が良好になり、打球感が良好になるからである。
【0041】
前記球状コアの表面硬度(HS)は、特に限定されないが、ショアC硬度で70以上であることが好ましく、71以上であることがより好ましく、72以上であることがさらに好ましく、80以下であることが好ましく、79以下であることがより好ましく、78以下であることがさらに好ましい。前記表面硬度(HS)が前記範囲内であれば、パター打撃時に良好な打球感が得られるからである。
【0042】
前記球状コアの中心硬度(H0)は、特に限定されないが、ショアC硬度で、48以上であることが好ましく、49以上であることがより好ましく、50以上であることがさらに好ましく、60以下であることが好ましく、59以下であることがより好ましく、58以下であることがさらに好ましい。球状コアの中心硬度(H0)が、前記範囲内であれば、ロングショット打撃時に良好な打球感が得られるからである。
【0043】
前記球状コアは、直径34.8mm~42.2mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときまでの圧縮変形量(圧縮方向に球状コアが縮む量)が、2.0mm以上が好ましく、より好ましくは2.5mm以上、さらに好ましくは3.0mm以上であり、5.0mm以下が好ましく、より好ましくは4.5mm以下、さらに好ましくは4.0mm以下である。前記圧縮変形量が2.0mm以上であれば、ドライバーショットの打球感がより良好となり、5.0mm以下であれば、耐久性がより良好となる。
【0044】
(中間層)
本発明のゴルフボールは、球状コアの外側に配置された一層以上の中間層を有する。前記中間層は、単層、または、二以上の層であってもよい。ゴルフボールの構造により、前記中間層は、外層コアまたは内層カバーと称される場合がある。
【0045】
前記中間層を構成する中間層用組成物の材料硬度Hmは、ショアD硬度で、50以上が好ましく、より好ましくは53以上、さらに好ましくは55以上であり、75以下が好ましく、より好ましくは73以下、さらに好ましくは71以下である。前記材料硬度Hmが50以上であればドライバーショットでの低スピン化により飛距離が良好となり、75以下であれば、ドライバーショットの打球感が良好になるからである。なお、中間層を複数有する場合、材料硬度Hmは、最外層中間層を構成する中間層用組成物の材料硬度とする。
【0046】
前記中間層の厚さTmは0.8mm以上が好ましく、より好ましくは0.9mm以上、さらに好ましくは1.0mm以上であり、3.0mm以下が好ましく、より好ましくは2.6mm以下、さらに好ましくは2.2mm以下である。前記厚さTmが、0.8mm以上であれば耐久性が良好になり、3.0mm以下であれば、ドライバーショット時に良好な打球感が得られるためである。なお、中間層を複数有する場合、全ての中間層の合計厚さを中間層の厚さTmとする。
【0047】
(最外層カバー)
本発明のゴルフボールは、中間層の外側に配置された最外層カバーを有する。最外層カバーの表面には、複数のディンプルが設けられている。ディンプルは、最外層カバーに設けられた凹部である。
【0048】
図2及び3に示されるように、ゴルフボール2の最外層カバーには、その表面に多数のディンプル10が設けられている。それぞれのディンプル10の輪郭は円である。
【0049】
図4には、ディンプル10の中心及びゴルフボール2の中心を通過する平面に沿った、ゴルフボール2の断面が示されている。
図4における上下方向は、ディンプル10の深さ方向である。
図4において二点鎖線14で示されているのは、仮想球である。仮想球14の表面は、ディンプル10が存在しないと仮定されたときのゴルフボール2の表面である。仮想球14の直径は、ゴルフボール2の直径と同一である。ディンプル10は、仮想球14の表面から凹陥している。ランド12は、仮想球14の表面と一致している。本実施形態では、ディンプル10の断面形状は、実質的に円弧である。この円弧の曲率半径が、
図4において符号CRで示されている。
【0050】
図4において矢印Dmで示されているのは、ディンプル10の直径である。この直径Dmは、ディンプル10の両側に共通する接線Tgが画かれたときの、一方の接点Edと他方の接点Edとの最長距離である。接点Edは、ディンプル10のエッジでもある。エッジEdは、ディンプル10の輪郭を画定する。
【0051】
本発明において「ディンプルの下部容積」とは、ディンプルのエッジEdでゴルフボールに接する平面とディンプル10の表面とに囲まれたディンプル下部の容積である。「ディンプルの下部総容積Vi」は、すべてのディンプルの下部容積の合計である。
【0052】
本発明のゴルフボールは、前記複数のディンプルの下部総容積Viが、365mm3未満であることが好ましく、350mm3以下であることがより好ましく、335mm3以下であることがさらに好ましい。前記下部総容積Viが365mm3未満であれば、ショット時に作用する揚力がより大きくなり高弾道となるからである。前記下部総容積Viは、220mm3以上であることが好ましく、230mm3以上であることがより好ましく、240mm3以上であることがさらに好ましい。前記下部総容積Viが220mm3以上であれば、吹け上がりすぎない弾道となるからである。
【0053】
前記ディンプル10の直径Dmは、2.0mm以上が好ましく、より好ましくは2.5mm以上、さらに好ましくは2.8mm以上であり、6.0mm以下が好ましく、より好ましくは5.5mm以下、さらに好ましくは5.0mm以下である。前記直径Dmが2.0mm以上であれば、ディンプルによる乱流化に寄与しやすく、6.0mm以下であれば実質的に球体であるゴルフボールの本質を維持できるからである。
【0054】
前記複数のディンプルは、単一の直径を有するディンプルを複数形成してもよいし、複数種類の直径のディンプルを組み合わせてもよい。
図2及び3に示されたゴルフボール2は、直径が4.400mmであるディンプルAと、直径が4.285mmであるディンプルBと、直径が4.150mmであるディンプルCと、直径が3.875mmであるディンプルDと、直径が3.000mmであるディンプルEとの5種類のディンプルを備えている。
【0055】
図4において両矢印Dp1で示されているのは、ディンプル10の第一深さである。この第一深さDp1は、ディンプル10の最深部と仮想球14の表面との距離である。
前記第一深さDp1は0.15mm以上が好ましく、より好ましくは0.17mm以上、さらに好ましくは0.20mm以上であり、0.45mm以下が好ましく、より好ましくは0.43mm以下、さらに好ましくは0.40mm以下である。前記第一深さDp1が0.15mm以上であればディンプルによって得られる揚力を十分に発生させ、0.45mm以下であれば実質的に球体であるゴルフボールの本質を維持できるからである。
【0056】
図4において両矢印Dp2で示されているのは、ディンプル10の第二深さである。この第二深さDp2は、ディンプル10の最深部と接線Tgとの距離である。
前記第二深さDp2は0.08mm以上が好ましく、より好ましくは0.10mm以上、さらに好ましくは0.12mm以上であり、0.30mm以下が好ましく、より好ましくは0.28mm以下、さらに好ましくは0.26mm以下である。前記第二深さDp2が0.08mm以上であればディンプルによる乱流化に寄与しやすく、0.30mm以下であればディンプルによって得られる揚力が大きすぎず、ドライバーショット時に飛距離性能が良好になるからである。
【0057】
ディンプル10の面積Aは、無限遠からゴルフボール2の中心を見た場合の、ディンプル10の輪郭に囲まれた領域の面積である。円形であるディンプル10の場合、面積Aは下記数式によって算出される。
A=π×(Dm/2)2
【0058】
図2及び3に示されたゴルフボール2では、ディンプルAの面積は15.21mm
2であり、ディンプルBの面積は14.42mm
2であり、ディンプルCの面積は13.53mm
2であり、ディンプルDの面積は11.79mm
2であり、ディンプルEの面積は7.07mm
2である。
【0059】
本発明のゴルフボールのディンプルの占有率は、75%以上が好ましく、より好ましくは78%以上、さらに好ましくは81%以上であり、95%以下が好ましく、92%以下がより好ましく、90%以下がさらに好ましい。前記占有率が上記範囲内であれば、ディンプルによる乱流化の効果がより大きくなる。
ディンプルの占有率は、下記式で定義される。
ディンプルの占有率(%)=100×全てのディンプルの総面積/ゴルフボール表面にディンプルが存在しないと仮定した仮想球の表面積
【0060】
前記ディンプルの個数は、ディンプルの直径や占有率に応じて適宜調節すればよい。なお、占有率や個々のディンプルによる作用を考慮すると、ディンプル10の総数は250個以上が好ましく、より好ましくは280個以上、さらに好ましくは300個以上であり、450個以下が好ましく、より好ましくは410個以下、さらに好ましくは390個以下である。
【0061】
前記最外層カバーを構成するカバー用組成物の材料硬度Hcは、ショアD硬度で、20以上が好ましく、より好ましくは22以上、さらに好ましくは24以上であり、40以下が好ましく、より好ましくは38以下、さらに好ましくは36以下である。前記材料硬度Hcが20以上であれば、ドライバーショット時のスピン量が多くなりすぎず、飛距離性能が良好となり、40以下であれば、アプローチショットでのスピン性能が一層良好となるからである。
【0062】
前記最外層カバーの厚さTcは、0.4mm以上が好ましく、より好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは0.6mm以上であり、1.0mm以下が好ましく、より好ましくは0.9mm以下、さらに好ましくは0.8mm以下である。前記厚さTcが0.4mm以上であれば、アプローチショットでのスピン性能が一層良好となり、1.0mm以下であれば、ドライバーショット時のスピン量が多くなりすぎず、飛距離性能が良好となるからである。
【0063】
前記中間層の材料硬度Hmは、カバーの材料硬度Hcよりも大きいことが好ましい。前記中間層の材料硬度Hmとカバーの材料硬度Hcとの硬度差(Hm-Hc)は、ショアD硬度で、20以上であることが好ましく、22以上であることがより好ましく、24以上であることがさらに好ましく、40以下であることが好ましく、39以下であることがより好ましく、38以下であることがさらに好ましい。前記硬度差(Hm-Hc)が、前記範囲内であれば、ドライバーショット時の打球感が良好になるからである。
【0064】
本発明のゴルフボールの直径は、40mmから45mmが好ましい。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされるとの観点から、直径は42.67mm以上が特に好ましい。空気抵抗抑制の観点から、直径は44mm以下がより好ましく、42.80mm以下が特に好ましい。また、本発明のゴルフボールの質量は、40g以上50g以下が好ましい。大きな慣性が得られるとの観点から、質量は44g以上がより好ましく、45.00g以上が特に好ましい。USGAの規格が満たされるとの観点から、質量は45.93g以下が特に好ましい。
【0065】
本発明のゴルフボールは、直径40mm~45mmの場合、初期荷重98Nを負荷した状態から終荷重1275Nを負荷したときの圧縮変形量(圧縮方向にゴルフボールの縮む量)は、2.0mm以上であることが好ましく、より好ましくは2.2mm以上、さらに好ましくは2.4mm以上であり、3.5mm以下であることが好ましく、より好ましくは3.3mm以下、さらに好ましくは3.1mm以下であり、特に好ましくは3.0mm以下である。前記圧縮変形量が2.0mm以上のゴルフボールは、硬くなり過ぎず、ドライバーショットの打球感が良い。一方、圧縮変形量を3.5mm以下にすることにより、耐久性が良くなる。
【0066】
以下、本発明のゴルフボールを構成する材料について説明する。
【0067】
(球状コア)
本発明のゴルフボールの球状コアは、(a)ゴム成分、(b)共架橋剤、および(c)架橋開始剤を含有するゴム組成物(以下、「コア用ゴム組成物」という場合がある。)から形成されることが好ましい。
【0068】
(a)ゴム成分としては、天然ゴムおよび/または合成ゴムを使用することができ、例えば、ポリブタジエンゴム、天然ゴム、ブチルゴム、ポリイソプレンゴム、スチレンポリブタジエンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)などを使用できる。これらは単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、特に、加工性に有利なシス-1,4-結合を、40質量%以上、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上有するハイシスポリブタジエンが好適である。
【0069】
前記ハイシスポリブタジエンは、1,2-ビニル結合の含有量が2質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1.7質量%以下、さらに好ましくは1.5質量%以下である。1,2-ビニル結合の含有量が2質量%以下であれば、加工性が良好であり均質なゴム組成物となる。
【0070】
前記ハイシスポリブタジエンは、希土類元素系触媒で合成されたものが好適であり、特に、ランタン系列希土類元素化合物であるネオジム化合物を用いたネオジム系触媒の使用が、1,4-シス結合が高含量、1,2-ビニル結合が低含量のポリブタジエンゴムを優れた重合活性で得られるので好ましい。
【0071】
前記ハイシスポリブタジエンは、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))が、30以上であることが好ましく、より好ましくは32以上、さらに好ましくは35以上であり、140以下が好ましく、より好ましくは120以下、さらに好ましくは100以下、最も好ましくは80以下である。なお、本発明でいうムーニー粘度(ML1+4(100℃))とは、JIS K6300に準じて、Lローターを使用し、予備加熱時間1分間、ローターの回転時間4分間、100℃の条件下にて測定した値である。
【0072】
前記ハイシスポリブタジエンとしては、分子量分布Mw/Mn(Mw:重量平均分子量、Mn:数平均分子量)が、2.0以上であることが好ましく、より好ましくは2.2以上、さらに好ましくは2.4以上、最も好ましくは2.6以上であり、6.0以下であることが好ましく、より好ましくは5.0以下、さらに好ましくは4.0以下、最も好ましくは3.4以下である。ハイシスポリブタジエンの分子量分布(Mw/Mn)が2.0以上であれば、作業性がよくなり、6.0以下であれば加工性が高くなる。なお、分子量分布は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(東ソー社製、「HLC-8120GPC」)により、検知器として示差屈折計を用いて、カラム:GMHHXL(東ソー社製)、カラム温度:40℃、移動相:テトラヒドロフランの条件で測定し、標準ポリスチレン換算値として算出した値である。
【0073】
前記コア用ゴム組成物は、ゴム成分として、ポリブタジエンゴムと、(ブチルゴムおよび/またはポリイソプレンゴム)とを含有することが好ましい。すなわち、前記コア用ゴム組成物は、ゴム成分として、ポリブタジエンゴムとブチルゴムとを含有する態様、ポリブタジエンゴムとポリイソプレンゴムとを含有する態様、および、ポリブタジエンゴムとブチルゴムとポリイソプレンゴムとを含有する態様を挙げることができる。前記ゴム成分が、ポリブタジエンゴムに加えて、ブチルゴムおよび/またはポリイソプレンゴムを含有することにより、ゴルフボールの反発性能の調整が容易となり所望の反発性能を達成しうるものとなるからである。
【0074】
ポリブタジエンゴムと(ブチルゴムおよび/またはポリイソプレンゴム)との含有比率[ポリブタジエンゴム/(ブチルゴムおよび/またはポリイソプレンゴム)]は、質量比で30/70以上が好ましく、40/60以上がより好ましく、50/50以上がさらに好ましく、95/5以下が好ましく、90/10以下がより好ましく、85/15以下がさらに好ましい。ポリブタジエンゴムと(ブチルゴムおよび/またはポリイソプレンゴム)との含有比率が、前記範囲内であれば、ゴムの均一性が担保でき品質が安定するからである。
【0075】
本発明で使用するコア用ゴム組成物は、(b)共架橋剤を含有する。(b)共架橋剤は、ゴム成分にグラフト重合することによって、ゴム分子を架橋する作用を有する。本発明で使用するコア用ゴム組成物は、(b)共架橋剤としてメタクリル酸および/またはその金属塩を含有する。(b)共架橋剤として、メタクリル酸および/またはその金属塩を含有することにより、緩やかな硬度勾配がつきやすく、アプローチショット時のコントロール性が良好となるからである。
【0076】
メタクリル酸の金属塩を構成する金属イオンとしては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどの1価の金属イオン;マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの二価の金属イオン;アルミニウムなどの3価の金属イオン;錫、ジルコニウムなどのその他のイオンが挙げられる。前記金属成分は、単独または2種以上の混合物として使用することもできる。
【0077】
本発明では、(b)共架橋剤として、メタクリル酸を使用することが好ましい。
【0078】
(b)共架橋剤の含有量は、(a)ゴム成分100質量部に対して、10質量部以上が好ましく、15質量部以上がより好ましく、20質量部以上がさらに好ましく、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、30質量部以下がさらに好ましい。(b)共架橋剤の含有量が10質量部以上であれば、形成されるコアが適当な硬さを有し、ゴルフボールの耐久性が良くなる。一方、(b)共架橋剤の含有量が50質量部以下であれば、形成されるコアが硬くなりすぎない。
【0079】
前記(b)共架橋剤は、メタクリル酸および/またはその金属塩に加えて、炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸(メタクリル酸を除く)および/またはその金属塩を含有してもよい。
【0080】
前記炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸(メタクリル酸を除く)としては、例えば、アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等を挙げることができる。
【0081】
炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸(メタクリル酸を除く)の金属塩を構成する金属としては、ナトリウム、カリウム、リチウムなどの1価の金属イオン;マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの二価の金属イオン;アルミニウムなどの3価の金属イオン;錫、ジルコニウムなどのその他のイオンが挙げられる。前記金属成分は、単独または2種以上の混合物として使用することもできる。これらの中でも、前記金属成分としては、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウムなどの二価の金属が好ましい。炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸の二価の金属塩を用いることにより、ゴム分子間に金属架橋が生じやすくなるからである。
【0082】
(b)共架橋剤が、メタクリル酸および/またはその金属塩に加えて、炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸(メタクリル酸を除く)および/またはその金属塩を含有する場合、(b)共架橋剤成分中のメタクリル酸および/またはその金属塩の含有率は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましく、99質量%以下であることが好ましく、98質量%以下であることがより好ましく、97質量%以下であることがさらに好ましい。メタクリル酸および/またはその金属塩の含有率が、前記範囲内であれば、ゴム中での反応性が均一となり品質が安定するからである。(b)共架橋剤として、メタクリル酸および/またはその金属塩のみを含有することも好ましく、メタクリル酸のみを含有することがさらに好ましい。
【0083】
(c)架橋開始剤は、(a)ゴム成分を架橋するために配合されるものである。(c)架橋開始剤としては、有機過酸化物が好適である。前記有機過酸化物は、具体的には、ジクミルパーオキサイド、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t―ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ-t-ブチルパーオキサイドなどの有機過酸化物が挙げられる。これらの有機過酸化物は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でもジクミルパーオキサイドが好ましく用いられる。
【0084】
(c)架橋開始剤の含有量は、(a)ゴム成分100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、より好ましくは0.4質量部以上、さらに好ましくは0.6質量部以上であって、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは2.5質量部以下であり、さらに好ましくは1.0質量部以下である。(c)架橋開始剤の含有量が、前記範囲内であれば、形成されるコアの硬度が適度になり、ゴルフボールの耐久性が良好になる。
【0085】
前記ゴム組成物は、さらに(d)金属化合物を含有することが好ましい。前記(d)金属化合物としては、例えば、ゴム組成物中において(b)共架橋剤を中和するため、あるいは、ゴム組成物の質量を調整するために使用することができる。
【0086】
前記(d)金属化合物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化銅などの金属水酸化物;酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化銅などの金属酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウムなどの金属炭酸化物が挙げられる。前記(d)金属化合物として好ましいのは、二価金属化合物であり、より好ましくは亜鉛化合物である。二価金属化合物は、炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸と反応して、金属架橋を形成するからである。また、亜鉛化合物を用いることにより、耐久性の良いゴルフボールが得られる。これらの(d)金属化合物は単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0087】
前記ゴム組成物は、さらに(e)有機硫黄化合物を含有してもよい。(e)有機硫黄化合物としては、分子内に硫黄原子を有する有機化合物であれば、特に限定されず、例えば、チオール基(-SH)、または、硫黄数が2~4のポリスルフィド結合(-S-S-、-S-S-S-、または、-S-S-S-S-)を有する有機化合物、あるいはこれらの金属塩(-SM、-S-M-S-など、Mは金属原子)を挙げることができる。前記(e)有機硫黄化合物としては、例えば、チオフェノール類、チオナフトール類、ポリスルフィド類、チウラム類、チオカルボン酸類、ジチオカルボン酸類、スルフェンアミド類、ジチオカルバミン酸塩類、または、チアゾール類に属する化合物を挙げることができる。
【0088】
前記チオフェノール類としては、例えば、チオフェノール;4-フルオロチオフェノール、2,4-ジフルオロチオフェノール、2,5-ジフルオロチオフェノール、2,6-ジフルオロチオフェノール、2,4,5-トリフルオロチオフェノール、2,4,5,6-テトラフルオロチオフェノール、ペンタフルオロチオフェノールなどのフルオロ基で置換されたチオフェノール類;2-クロロチオフェノール、4-クロロチオフェノール、2,4-ジクロロチオフェノール、2,5-ジクロロチオフェノール、2,6-ジクロロチオフェノール、2,4,5-トリクロロチオフェノール、2,4,5,6-テトラクロロチオフェノール、ペンタクロロチオフェノールなどのクロロ基で置換されたチオフェノール類;4-ブロモチオフェノール、2,4-ジブロモチオフェノール、2,5-ジブロモチオフェノール、2,6-ジブロモチオフェノール、2,4,5-トリブロモチオフェノール、2,4,5,6-テトラブロモチオフェノール、ペンタブロモチオフェノールなどのブロモ基で置換されたチオフェノール類;4-ヨードチオフェノール、2,4-ジヨードチオフェノール、2,5-ジヨードチオフェノール、2,6-ジヨードチオフェノール、2,4,5-トリヨードチオフェノール、2,4,5,6-テトラヨードチオフェノール、ペンタヨードチオフェノールなどのヨード基で置換されたチオフェノール類;または、これらの金属塩が挙げられる。
【0089】
前記チオナフトール類(ナフタレンチオール類)としては、2-チオナフトール、1-チオナフトール、1-クロロ-2-チオナフトール、2-クロロ-1-チオナフトール、1-ブロモ-2-チオナフトール、2-ブロモ-1-チオナフトール、1-フルオロ-2-チオナフトール、2-フルオロ-1-チオナフトール、1-シアノ-2-チオナフトール、2-シアノ-1-チオナフトール、1-アセチル-2-チオナフトール、2-アセチル-1-チオナフトール、またはこれらの金属塩を挙げることができる。
【0090】
ポリスルフィド類とは、ポリスルフィド結合を有する有機硫黄化合物であり、例えば、ジスルフィド類、トリスルフィド類、テトラスルフィド類が挙げられる。前記ポリスルフィド類としては、ジフェニルポリスルフィド類が好ましい。
【0091】
ジフェニルポリスルフィド類としては、ジフェニルジスルフィドの他;ビス(4-フルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5-ジフルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6-ジフルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5-トリフルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5,6-テトラフルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(ペンタフルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(4-クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5-ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6-ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5-トリクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5,6-テトラクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(ペンタクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(4-ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5-ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6-ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5-トリブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5,6-テトラブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(4-ヨードフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5-ジヨードフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6-ジヨードフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5-トリヨードフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5,6-テトラヨードフェニル)ジスルフィド、ビス(ペンタヨードフェニル)ジスルフィド等のハロゲン基で置換されたジフェニルジスルフィド類;ビス(4-メチルフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5-トリメチルフェニル)ジスルフィド、ビス(ペンタメチルフェニル)ジスルフィド、ビス(4-t-ブチルフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,5-トリ-t-ブチルフェニル)ジスルフィド、ビス(ペンタ-t-ブチルフェニル)ジスルフィド等のアルキル基で置換されたジフェニルジスルフィド類;などが挙げられる。
【0092】
チウラム類としては、例えば、テトラメチルチウラムモノスルフィドなどのチウラムモノスルフィド類、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィドなどのチウラムジスルフィド類、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィドなどのチウラムテトラスルフィド類が挙げられる。チオカルボン酸類としては、例えば、ナフタレンチオカルボン酸が挙げられる。ジチオカルボン酸類としては、例えば、ナフタレンジチオカルボン酸が挙げられる。スルフェンアミド類としては、例えば、N-シクロへキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミドが挙げられる。
【0093】
前記(e)有機硫黄化合物は、単独もしくは二種以上を混合して使用することができる。
【0094】
前記(e)有機硫黄化合物の含有量は、(a)ゴム成分100質量部に対して、0.05質量部以上が好ましく、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.2質量部以上であって、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは3.0質量部以下、さらに好ましくは2.0質量部以下である。(e)有機硫黄化合物の含有量が、前記範囲内であれば、加工性が良好でありゴム組成物が均質になる。
【0095】
前記ゴム組成物は、さらに(f)カルボン酸および/またはその金属塩を含有してもよい。(f)カルボン酸および/またはその金属塩としては、炭素数が1~30のカルボン酸および/またはその塩が好ましい。前記カルボン酸としては、脂肪族カルボン酸(飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸)、芳香族カルボン酸(安息香酸など)のいずれも使用できる。前記(f)カルボン酸および/またはその金属塩の配合量は、ゴム成分100質量部に対して、1質量部以上、40質量部以下であることが好ましい。
【0096】
前記ゴム組成物は、必要に応じて、質量調整などのための充填剤、老化防止剤、しゃく解剤、軟化剤などの添加剤を含有してもよい。
【0097】
ゴム組成物に用いる充填剤としては、主として最終製品として得られるゴルフボールの質量を調整するための質量調整剤として配合されるものであり、必要に応じて配合すれば良い。前記充填剤としては、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、タングステン粉末、モリブデン粉末などの無機充填剤を挙げることができる。前記充填剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上であって、30質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。充填剤の含有量が、0.5質量部以上であれば、質量調整が容易になり、30質量部以下であれば、ゴム成分の重量分率が大きくなり耐久性が良くなる傾向があるからである。
【0098】
前記老化防止剤の含有量は、(a)ゴム成分100質量部に対して、0.1質量部以上、1質量部以下であることが好ましい。また、しゃく解剤の含有量は、(a)ゴム成分100質量部に対して、0.1質量部以上、5質量部以下であることが好ましい。
【0099】
(中間層用組成物、カバー用組成物)
本発明のゴルフボールの中間層は、樹脂成分を含有する中間層用組成物から形成されることが好ましい。本発明のゴルフボールの最外層カバーは、樹脂成分を含有するカバー用組成物から形成されることが好ましい。
【0100】
最外層カバーおよび中間層を形成する樹脂組成物に用いる樹脂成分としては、例えば、アイオノマー樹脂、ポリウレタン(熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱硬化性ポリウレタンエラストマー)、熱可塑性スチレンエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー、熱可塑性ポリエステルエラストマーなどが挙げられる。
【0101】
前記アイオノマー樹脂としては、例えば、オレフィンと炭素数3~8個のα,β-不飽和カルボン酸との二元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和した二元系アイオノマー樹脂、オレフィンと炭素数3~8個のα,β-不飽和カルボン酸とα,β-不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和した三元系アイオノマー樹脂、あるいは、これらの混合物を挙げることができる。
【0102】
前記二元系アイオノマー樹脂としては、ハイミラン(登録商標)1555(Na)、1557(Zn)、1605(Na)、1706(Zn)、1707(Na)、AM7311(Mg)、AM7329(Zn)、AM7337(三井・ダウ・ポリケミカル社製);サーリン(登録商標)8945(Na)、9945(Zn)、8140(Na)、8150(Na)、9120(Zn)、9150(Zn)、6910(Mg)、6120(Mg)、7930(Li)、7940(Li)、AD8546(Li)(デュポン社製);アイオテック(登録商標)8000(Na)、8030(Na)、7010(Zn)、7030(Zn)(エクソンモービル化学社製)などが挙げられる。
【0103】
前記三元系アイオノマー樹脂としては、ハイミランAM7327(Zn)、1855(Zn)、1856(Na)、AM7331(Na)(三井・ダウ・ポリケミカル社製);サーリン6320(Mg)、8120(Na)、8320(Na)、9320(Zn)、9320W(Zn)、HPF1000(Mg)、HPF2000(Mg)(デュポン社製);アイオテック7510(Zn)、7520(Zn)(エクソンモービル化学社製)などが挙げられる。なお、前記アイオノマー樹脂の商品名の後の括弧内に記載したNa、Zn、Li、Mgなどは、これらの中和金属イオンの金属種を示している。
【0104】
前記熱可塑性ポリウレタンエラストマーは、分子内にウレタン結合を有する。このウレタン結合は、ポリオールとポリイソシアネートとの反応によって形成され得る。ウレタン結合の原料である前記ポリオールは、複数のヒドロキシル基を有し、低分子量ポリオール及び高分子量ポリオールが用いられうる。
【0105】
前記熱可塑性ポリウレタンエラストマーの具体例としては、エラストラン(登録商標)NY80A、NY84A、NY88A、NY95A、ET885、ET890(BASFジャパン社製)などが挙げられる。
【0106】
前記熱可塑性スチレン系エラストマーとしては、スチレンブロックを含有する熱可塑性エラストマーを好適に使用できる。前記スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとしてのポリスチレンブロックと、ソフトセグメントとを備えている。
【0107】
前記スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーには、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-イソプレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SIBS)、SBSの水添物、SISの水添物及びSIBSの水添物が含まれる。SBSの水添物としては、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)が挙げられる。SISの水添物としては、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)が挙げられる。SIBSの水添物としては、スチレン-エチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEEPS)が挙げられる。
【0108】
前記熱可塑性スチレン系エラストマーとしては、テファブロックT3221C、T3339C、SJ4400N、SJ5400N、SJ6400N、SJ7400N、SJ8400N、SJ9400N、SR04(三菱ケミカル社製)が挙げられる。
【0109】
前記カバーを構成するカバー用組成物は、樹脂成分としてポリウレタンおよび/またはアイオノマー樹脂を含有することが好ましく、特にポリウレタンを含有することが好ましい。カバーが樹脂成分としてポリウレタンを含有すると、アプローチーショット時に最外層カバーのクラブフェースへの食いつきが大きくなり、スピン量が大きくなりやすい。
【0110】
前記カバー用組成物が、樹脂成分としてポリウレタンを含有する場合、樹脂成分中のポリウレタンの含有率は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。前記カバー用組成物が、樹脂成分として、ポリウレタン(好ましくは熱可塑性ポリウレタンエラストマー)のみを含有してもよい。
【0111】
前記カバー用組成物が、樹脂成分としてアイオノマー樹脂を含有する場合、樹脂成分中のアイオノマー樹脂の含有率は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。アイオノマー樹脂を含有する場合には、熱可塑性スチレンエラストマーを併用することも好ましい。
【0112】
前記中間層用組成物は、樹脂成分として、アイオノマー樹脂を含有することが好ましい。アイオノマー樹脂を含有する場合には、熱可塑性スチレンエラストマーを併用することも好ましい。中間層用組成物の基材樹脂中のアイオノマー樹脂の含有率は、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましい。
【0113】
前記カバー用組成物および中間層用組成物は、上述した樹脂成分のほか、白色顔料(例えば、酸化チタン)、青色顔料、赤色顔料などの顔料成分、酸化亜鉛、炭酸カルシウムや硫酸バリウムなどの重量調整剤、分散剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光材料または蛍光増白剤などを含有してもよい。
【0114】
前記白色顔料(例えば、酸化チタン)の含有量は、最外層カバーを構成する基材樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上が好ましく、より好ましくは1質量部以上であって、10質量部以下が好ましく、より好ましくは8質量部以下である。白色顔料の含有量を0.5質量部以上とすることによって、カバーに隠蔽性を付与することができる。また、白色顔料の含有量が10質量部以下であれば、得られるカバーの耐久性が良好となる。
【0115】
(ゴルフボールの製造方法)
本発明のゴルフボールの球状コアは、上述したコア用ゴム組成物から形成される。前記コア用ゴム組成物は、(a)ゴム成分、(b)共架橋剤、(c)架橋開始剤、および、必要に応じて配合するその他の成分を混練することにより得られる。混練の方法は、特に限定されず、例えば、混練ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどの公知の混練機を用いて行えばよい。
【0116】
前記球状コアは、例えば、コア用ゴム組成物を加熱プレスすることにより成形することができる。前記コア用ゴム組成物の加熱プレス成型条件は、ゴム組成に応じて適宜設定すればよいが、通常、130℃~200℃で10分間~60分間加熱するか、あるいは130℃~150℃で20分間~40分間加熱した後、160℃~180℃で5分間~15分間と2段階加熱することが好ましい。
【0117】
本発明のゴルフボールの中間層を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、中間層用組成物を予め半球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いて球状コアを包み、加圧成形する方法、または、中間層用組成物を直接球状コア上に射出成形する方法などを挙げることができる。
【0118】
本発明のゴルフボールの最外層カバーを成形する方法としては、例えば、カバー用組成物から中空殻状のシェルを成形し、中間層が形成された球体を複数のシェルで被覆して圧縮成形する方法(好ましくは、カバー用組成物から中空殻状のハーフシェルを成形し、球体を2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法)、あるいは、カバー用組成物を中間層が形成された球体上に直接射出成形する方法を挙げることができる。
【0119】
前記カバーが成形されたゴルフボール本体は、金型から取り出し、必要に応じて、バリ取り、洗浄、サンドブラストなどの表面処理を行うことが好ましい。
【0120】
また、所望により、塗膜やマークを形成することもできる。前記塗膜の膜厚は、特に限定されないが、5μm以上が好ましく、6μm以上がより好ましく、7μm以上がさらに好ましく、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。膜厚が5μm以上であれば継続的に使用しても塗膜が摩耗消失しにくくなり、膜厚が50μm以下であればディンプルの効果が十分に得られる。なお、塗膜は厚さが非常に薄いため、本発明の効果を損なわない。
【実施例0121】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0122】
[評価方法]
(1)圧縮変形量(mm)
圧縮変形量の測定には、YAMADA式コンプレッションテスター「SCH」を用いた。このテスターでは、ゴルフボールまたはコアが金属製の剛板の上に置かれる。このゴルフボールまたはコアに向かって金属製の円柱が徐々に降下する。この円柱の底面と剛板との間に挟まれたゴルフボールまたはコアは変形する。ゴルフボールまたはコアに98Nの初荷重がかかった状態から1275Nの終荷重がかかった状態までの円柱の移動距離を測定した。圧縮変形量(mm)は、この移動距離である。初荷重がかかるまでの円柱の移動速度は、0.83mm/sである。初荷重がかかってから終荷重がかかるまでの円柱の移動速度は、1.67mm/sである。
【0123】
(2)材料(スラブ)硬度(ショアD硬度)
中間層用組成物またはカバー用組成物を用いて、射出成形により、厚み約2mmのシートを作製し、23℃で2週間保存した。このシートを、測定基板などの影響が出ないように、3枚以上重ねた状態で、自動硬度計(H.バーレイス社製、デジテストII)を用いて硬度を測定した。検出器は、「Shore D」を用いた。
【0124】
(3)コア硬度分布(ショアC硬度)
自動硬度計(H.バーレイス社製、デジテストII)、検出器は、「Shore C」を用いて、球状コアの表面部において測定したショアC硬度を球状コア表面硬度とした。また、球状コアを、球状コアの中心を通る平面に沿って半球状に切断し、切断面の中心、および、中心から半径方向の所定距離において硬度を測定した。なお、各硬度は、4点で硬度を測定して、これらを平均することにより算出した。
【0125】
(4)ロングアイアン試験
ゴルフラボラトリー社のスイングマシンに、5番アイアン(I#5)(住友ゴム工業社、「SRIXON ZX7」、シャフト硬度:X、ロフト角:25°)を装着した。打点はフェースセンターに設定した。ヘッド速度41m/secでゴルフボールを打撃して、打撃直後のボール速度(m/s)、スピン速度(rpm)、および、転がり距離(m)(着地地点から停止地点までの距離)を測定した。ボール速度およびスピン速度は打撃された直後のゴルフボールの連続写真撮影により測定した。測定は、各ゴルフボールについて12回ずつ行って、その平均値をそのゴルフボールの測定値とした。ボール速度、スピン速度、および、転がり距離は、ゴルフボールNo.13との差で示した。ボール速度および転がり距離は、ゴルフボールNo.13と比べて小さい値が好ましい。
【0126】
[ゴルフボールの作製]
(1)コア用組成物の調製
表1に示す配合となるように各原料を混練ロールにより混練し、コア用組成物を得た。
【0127】
【0128】
表1で用いた材料は下記の通りである。
ポリブタジエン:JSR社製「BR―730」
ブチルゴム:日本ブチル社製「Butyl268」
イソプレンゴム:日本ゼオン社製「IR―2200」
メタクリル酸:三菱ガス化学社製
アクリル酸亜鉛:日触テクノファインケミカル社製、「ZN-DA90S」
酸化亜鉛:東邦亜鉛社製、「銀嶺R」
硫酸バリウム:堺化学社製、「硫酸バリウムBD」
安息香酸:東京化成工業社製(純度98%以上)
ビス(ペンタブロモフェニル)ジスルフィド:川口化学工業社製
ジフェニルジスルフィド:住友精化社製
ジクミルパーオキサイド:日油社製、「パークミル(登録商標)D」
【0129】
(2)中間層用組成物の調製
表2に示した配合となるように原料を、二軸混練型押出機により押し出して、ペレット状の中間層用組成物を調製した。
【0130】
【表2】
サーリン(登録商標)8150:デュポン社製、ナトリウムイオン中和エチレン-メタクリル酸共重合体アイオノマー樹脂
ハイミラン(登録商標)1605::三井・ダウ・ポリケミカル社製、ナリウムイオン中和エチレン-メタクリル酸共重合体系アイオノマー樹脂
ハイミラン(登録商標)AM7329:三井・ダウ・ポリケミカル社製、ナトリウムイオン中和エチレン-メタクリル酸共重合体アイオノマー樹脂
ハイミラン(登録商標)1555:三井・ダウ・ポリケミカル社製、ナトリウムイオン中和エチレン-メタクリル酸共重合体アイオノマー樹脂
ハイミラン(登録商標)1557:三井・ダウ・ポリケミカル社製、亜鉛イオン中和エチレン-メタクリル酸共重合体アイオノマー樹脂
テファブロックT3221C:三菱ケミカル社製、熱可塑性スチレン系エラストマー
二酸化チタン:石原産業社製、A-220
【0131】
(3)カバー用組成物の調製
表2,3に示した配合となるように原料を、二軸混練型押出機により押し出して、ペレット状のカバー用組成物を調製した。
【0132】
【表3】
エラストラン(登録商標)NY80A:BASFジャパン社製、熱可塑性ポリウレタンエラストマー
エラストラン(登録商標)NY84A:BASFジャパン社製、熱可塑性ポリウレタンエラストマー
エラストラン(登録商標)NY88A:BASFジャパン社製、熱可塑性ポリウレタンエラストマー
エラストラン(登録商標)NY95A:BASFジャパン社製、熱可塑性ポリウレタンエラストマー
チヌビン(登録商標)770:BASFジャパン社製、ヒンダードアミン系光安定剤
二酸化チタン:石原産業社製、A-220
【0133】
(4)球状コアの作製
表1に示したコア用組成物を、半球状キャビティを有する上下金型内で、加熱プレスすることにより球状コアを得た。なお、硫酸バリウムは、得られるゴルフボールの質量が、45.3gとなるように適量加えた。
【0134】
(5)中間層、カバーの形成
前記中間層用組成物を球状コア上に射出成形して、中間層被覆球体を得た。得られた中間層被覆球体を、キャビティ面に多数のディンプルを備えたファイナル金型に投入した。前記カバー用組成物から圧縮成形法にてハーフシェルを得た。ハーフシェル2枚をファイナル金型に投入した中間層被覆球体上に被覆し、最外層カバーにキャビティ面のピンプルの形状が反転した形状のディンプルが多数形成されたゴルフボールを得た。最外層カバーに形成したディンプルの仕様について表4~6および
図2~3,5~8に示した。得られたゴルフボールについて評価した結果を表7~表10に示した。
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
【0139】
【0140】
【0141】
【0142】
表7~表10の結果から、球状コアと前記球状コアの外側に位置する一層以上の中間層と、前記中間層の外側に配置された複数のディンプルが設けられた最外層カバーとを有するゴルフボールであって、前記球状コアは、ゴム成分、共架橋剤、架橋開始剤を含有するゴム組成物から形成されたものであり、前記共架橋剤は、メタクリル酸および/またはその金属塩を含み、複数のディンプルの下部総容積Vi(mm3)が、365mm3未満であり、下記式で定義されるディンプルの占有率が、75%以上である本発明のゴルフボールは、ロングアイアンショットのゴルフボールの転がり距離が小さく、飛距離のコントロール性に優れることが分かる。
ディンプルの占有率(%)=100×全てのディンプルの総面積/ゴルフボール表面にディンプルが存在しないと仮定した仮想球の表面積
本発明の好ましい態様(3)は、前記球状コアの中心硬度(ショアC硬度)、球状コアの中心から表面に向かって、2.5mm、5mm、7.5mm、10mm、12.5mm、15mm地点の硬度(ショアC硬度)、球状コアの表面硬度(ショアC硬度)をそれぞれH0、H2.5、H5、H7.5、H10、H12.5、H15、HSとしたとき、下記の関係式(1)~(7)を満たす態様(1)または(2)のゴルフボールである。
(H2.5-H0)≦5 (1)
(H5-H2.5)≦5 (2)
(H7.5-H5)≦5 (3)
(H10-H7.5)≦5 (4)
(H12.5-H10)≦5 (5)
(H15-H12.5)≦5 (6)
(HS-H15)≦5 (7)
本発明の好ましい態様(9)は、前記ゴム成分は、ポリブタジエンと、ブチルゴムおよび/またはイソプレンゴムとの混合物である態様(1)~(8)のいずれか一つのゴルフボールである。