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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025022512
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】収穫機
(51)【国際特許分類】
   A01D 17/08 20060101AFI20250206BHJP
   A01D 17/06 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
A01D17/08
A01D17/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127167
(22)【出願日】2023-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000188009
【氏名又は名称】松山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】小畑 真人
(72)【発明者】
【氏名】小林 信也
【テーマコード(参考)】
2B072
【Fターム(参考)】
2B072AA10
2B072BA02
2B072CA03
2B072CA16
2B072CA18
2B072CB06
2B072CB10
(57)【要約】
【課題】案内部が破損するのを防止できる収穫機を提供する。
【解決手段】収穫機は、圃場の土中の収穫物を掘り取る掘取部51と、この掘取部51からの収穫物を案内する可動式の案内部52と、この案内部52からの収穫物を搬送する回行可能な搬送部とを備える。案内部52は、掘取部51に上下方向に回動可能に設ける。そして、案内部52は、掘取部51に対して上下方向に回動可能な複数の案内部材72,82を有し、この各案内部材72,82は後端部である自由端部を搬送部上に載置する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収穫物を掘り取る掘取部と、
前記掘取部に可動可能に設けられ、前記掘取部からの収穫物を案内する可動式の案内部と、
前記案内部からの収穫物を搬送する搬送部と
を備えることを特徴とする収穫機。
【請求項2】
案内部は、掘取部に上下動可能に設けられている
ことを特徴とする請求項1記載の収穫機。
【請求項3】
掘取部は、軸保持部材を有し、
案内部は、
前記軸保持部材によって回動可能に保持された軸部材と、
前記軸部材に前端側が固着され、後端側が昇降するように前記軸部材を中心として上下方向に回動可能な複数の案内部材を有し、
前記案内部材は、後端部である自由端部が搬送部上に載置され、当該搬送部の回行に基づいて上下方向に回動する
ことを特徴とする請求項1記載の収穫機。
【請求項4】
案内部は、
掘取部の左右方向中央側に上下方向に回動可能に設けられた中央側案内体と、
前記掘取部の左右方向両端側に上下方向に回動可能に設けられた左右の端側案内体とを有する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の収穫機。
【請求項5】
中央側案内体の回動角度は、端側案内体の回動角度よりも大きい
ことを特徴とする請求項4記載の収穫機。
【請求項6】
搬送部は、形状が異なる少なくとも2種類以上の複数の搬送部材を有し、
案内部の可動パターンは、前記搬送部材の配置パターンによって決まる
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収穫物を収穫するための収穫機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記の特許文献1に記載された収穫機が知られている。
【0003】
この従来の収穫機は、例えば圃場を走行可能な自走式収穫装置であって、圃場の土中の収穫物(例えば馬鈴薯等)を掘り取る掘取部と、この掘取部に溶接等により固設され、当該掘取部によって掘り取られた収穫物を案内する固定式の案内部と、この案内部からの収穫物を搬送する搬送部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-45072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の収穫機では、案内部が掘取部に固設されているため、例えば圃場の土中の石等の異物との接触により案内部が破損するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明の課題の一つは、案内部が破損するのを防止できる収穫機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態に係る収穫機は、収穫物を掘り取る掘取部と、前記掘取部に可動可能に設けられ、前記掘取部からの収穫物を案内する可動式の案内部と、前記案内部からの収穫物を搬送する搬送部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施形態によれば、案内部が破損するのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一の実施形態に係る収穫機の側面図である。
図2】同上収穫機の平面図である。
図3】同上収穫機の搬送部を示す図である。
図4】同上収穫機の要部平面図である。
図5】同上収穫機の要部分解斜視図である。
図6】同上収穫機の要部後面図である。
図7図4におけるA-A断面略図である。
図8】同上収穫機の案内部が上動した状態のA-A断面略図である。
図9】同上案内部の動作説明図である。
図10図9に続く動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一の実施形態について図1ないし図10を参照して説明する。
【0011】
図1及び図2において、1は農作業機である収穫機で、この収穫機1は、圃場を走行可能なもので、圃場の収穫物(例えば農作物)の収穫作業を行うための自走式収穫装置(自走式根菜類収穫機)である。収穫物は、例えば圃場の土中に生育した略球形状の馬鈴薯である。なお、収穫物は、馬鈴薯以外に、例えば薩摩芋、玉葱、人参等でもよい。
【0012】
収穫機1は、エンジン2と、このエンジン2からの動力に基づいて作動する走行手段であるクローラ3と、掘取後の収穫物を搬送する搬送手段であるコンベヤ5と、このコンベヤ5の搬送部6を上下方向に振動させるための振動手段7と、コンベヤ5の搬送部6からの収穫物を受け取って搬送する選別コンベヤ8と、ゲージ輪11及び調整ハンドル12を有したゲージ輪手段13とを備えている。
【0013】
なお、長手状のコンベヤ5は、展開及び折り畳み可能なもので、前側部分5aが後側部分5bに対して上下方向に回動可能となっているが、例えば折り畳み不可能な構成等でもよい。また、選別コンベヤ8は、例えば収穫物を搬送する搬送ベルト9を有したベルト式の搬送装置であるが、このような選別コンベヤ8を備えない構成等でもよい。
【0014】
また、収穫機1は、作業者が座る複数の座席16と、この各座席16の近傍に設けられたステップ17と、作業者が操作可能な操作手段18と、コンテナ(収穫物が収納される容器)が載置される複数のコンテナ台19及び昇降コンテナ台20とを備えている。
【0015】
コンベヤ5は、後述する可動式の案内部(回動案内部)52からの収穫物(圃場の土中から掘り上げられた収穫物)を、搬送部6で受け取って斜め上後方(搬送方向)に向けて搬送するバー式の搬送装置である。つまり、コンベヤ5は、前方側の案内部52から収穫物とともに搬入された圃場の土を土落下開口(隣り合う両搬送バー間の間隙)10から落下させながら収穫物を斜め上後方に向けて搬送する回行可能な無端状の搬送部6を有している。
【0016】
搬送部6は、前側の従動ローラ21及び後側の駆動ローラ22に回行可能に巻き掛けられている。そして、搬送部6は、エンジン2からの動力に基づく駆動ローラ22の駆動回転に応じて所定方向に回行する。また、搬送部6は、複数の土落下開口10から土を落下させながら収穫物を搬送する往路面23を上側に有し、この往路面23が振動手段7の振動付与用のローラとの当接(接触)によって上下振動する。なお、左右の各従動ローラ21は、コンベヤ5のコンベヤ側板25に取り付けられている(図4参照)。
【0017】
ここで、搬送部6は、図3に示すように、所定方向に回行する左右対をなす帯状の無端部材である無端ベルト31と、これら両無端ベルト31間に架設され、当該無端ベルト31とともに回行して収穫物を搬送する左右方向長手状の複数の搬送部材である搬送バー33を有している。
【0018】
なお、搬送方向に互いに隣り合う両搬送バー(搬送杆)33間には、圃場に向けて土を落下させるための土落下開口10が存在している。また、各搬送バー33は無端ベルト31に着脱可能に取り付けられており、これら無端ベルト31及び搬送バー33にはボルト等の取付具が挿入される取付用孔34,35がそれぞれ形成されている。
【0019】
搬送方向に間隔をおいて並ぶ複数本の搬送バー33は、最下位置(振動付与用のローラとの当接位置である下端位置)の高さがそれぞれ異なる少なくとも2種類以上、すなわち例えば形状が異なる3種類の搬送バー33(33a,33b,33c)によって構成されている。つまり、搬送部6は、形状が異なる少なくとも2種類以上の複数の搬送部材(搬送杆)として、例えば第1搬送バー33a、第2搬送バー33b及び第3搬送バー33cを有している。
【0020】
第1搬送バー33aは、図3(a)に示すように、無端ベルト31に着脱可能に取り付けられた取付板部39と、この取付板部39に一体に設けられた肩部36と、この肩部36に傾斜部37を介して連設された水平状で左右方向長手状の腹部38とを有している。
【0021】
第2搬送バー33bは、図3(b)に示すように、無端ベルト31に着脱可能に取り付けられた取付板部40と、この取付板部40に一体に設けられた肩部41と、この肩部41に傾斜部42を介して連設された水平状で左右方向長手状の腹部43とを有している。なお、第2搬送バー33bの傾斜部42は、第1搬送バー33aの傾斜部37によりも短い。それゆえ、無端ベルト31に対する第2搬送バー33bの下方突出量は、無端ベルト31に対する第1搬送バー33aの下方突出量よりも小さい。
【0022】
第3搬送バー33cは、図3(c)に示すように、斜め下前方側への収穫物の転がりを防止するための水平状で左右方向長手状のゴム製の転がり防止部45と、この転がり防止部45の両端部下側に設けられた取付板部44とを有し、この取付板部44が無端ベルト31に着脱可能に取り付けられている。なお、上方突出状の転がり防止部45は、無端ベルト31よりも上方側に位置する。つまり、無端ベルト31に対する第3搬送バー33cの上方突出量は、無端ベルト31に対する他の搬送バー33a,33bの上方突出量よりも大きい。
【0023】
また、図3(d)に示すように、搬送部6は、搬送方向に並ぶ複数の搬送バー群46を有し、この各搬送バー群46は、例えば3種類の5本の搬送バー33、すなわち2本の第1搬送バー33aと、2本の第2搬送バー33bと、1本の第3搬送バー33cとでそれぞれ構成されている。
【0024】
そして、振動手段7による搬送部6の振動パターン(振動リズム)は、形状が異なる少なくとも2種類以上(図示した例では3種類であるが2種類でもよく4種類以上でもよい)の複数の搬送部材である搬送バー33の配置パターン(並べ方)によって決まる。
【0025】
また同様に、後述する案内部52の回動パターン(案内部材の回動パターン)も、形状が異なる少なくとも2種類以上の複数の搬送部材である搬送バー33の配置パターンによって決まる。このため、搬送バー33の配置パターンの変更により、土質等の圃場条件に応じて振動パターンや回動パターンを適宜変更することが可能である。
【0026】
また一方、収穫機1は、図4ないし図10に示すように、圃場の土中の収穫物をその土中から掘り取ってコンベヤ5の搬送部6上まで案内する掘取案内手段である掘取案内ユニット50を備えており、この掘取案内ユニット50は、コンベヤ5のコンベヤ側板25の前端部に着脱可能に装着されている。
【0027】
そして、掘取案内ユニット(先金部)50は、圃場の土中の収穫物をその土中から掘り取る掘取部51と、この掘取部51に上下動可能、すなわち例えば上下方向に回動可能(可動可能)に設けられ、その掘取部51によって圃場の土中から掘り取られた掘取後の収穫物を斜め上後方(案内方向)に向けて搬送部6の搬送始端部上まで案内する可動式の案内部52とを備えている。
【0028】
掘取部51は、略V字状のベース板55を有し、このベース板55の左右方向両端部には側板56が固着され、この各側板56はコンベヤ側板25の前端部に着脱可能に取り付けられている。また、ベース板55には複数の軸保持部材57が固着され、この各軸保持部材57には上方に向かって開口する凹状部58が形成されている。さらに、ベース板55には、ねじ溝を有するねじ孔部59が複数形成されている。
【0029】
また、掘取部51は、刃付け面60が先端部下面に形成された板状で略V字状の掘取刃(先金)61を有し、この掘取刃61にはザグリ加工が施された貫通孔部62がベース板55のねじ孔部59に対応するように複数形成されている。そして、取付具である皿ボルト63がその貫通孔部62からねじ孔部59に螺合されることにより、掘取刃61がベース板55の上面に着脱可能に取り付けられている。なお、皿ボルト63の上面は、掘取刃61の上面と略同一面上に位置する。また、掘取刃61の後部には、板状の複数の軸規制部材64が固着されている。
【0030】
案内部52は、掘取部51の左右方向中央側に前端側の回動支点である左右方向の回動中心軸線X1を中心として上下方向に回動可能に設けられた複数(例えば2つ)の中央側案内体66と、掘取部51の左右方向両端側に前端側の回動支点である左右方向の回動中心軸線X2を中心として上下方向に回動可能に設けられた左右の端側案内体(左側案内体及び右側案内体)67とを有している。
【0031】
つまり、この案内部52は、掘取部51からの収穫物を案内するものであって、掘取部51に対して上下方向に回動可能(上下動可能)な4つの案内体(2つの内側案内体及び2つの外側案内体)66,67で構成されている。なお、平面視において、内側の中央側案内体66の回動中心である回動中心軸線X1は、外側の端側案内体67の回動中心である回動中心軸線X2よりも前方に位置する。
【0032】
中央側案内体66は、掘取部51の複数、すなわち例えば2つの軸保持部材57の凹状部58によって回動可能に保持されかつ軸規制部材64にて上動が規制されて凹状部58内への挿入状態が維持された左右方向長手状の丸軸状の軸部材71と、この軸部材71に前端側が固着されかつ後端側が昇降するように軸部材(この軸部材の軸芯を通る回動中心軸線X1)71を中心として上下方向に回動可能な平面視で前後方向長手状をなす丸軸状の複数の案内部材72とを有している。
【0033】
そして、左右方向に間隔をおいて並ぶ複数の案内部材(案内バー)72は、後端部である自由端部が搬送部6の搬送始端部上に載置され、搬送部6の回行に基づいて当該搬送部6の段差(搬送バーの形状の相違に基づく段差である高低差)に追従するように上下方向に回動する。
【0034】
すなわち例えば、内側である中央側の案内部材(内ガイドバー)72は、第1搬送バー33aの腹部38、第2搬送バー33bの腹部43又は第3搬送バー33cの転がり防止部45との接触により、回動中心軸線X1を中心として上下方向に回動して揺動する。
【0035】
なお、互いに隣り合う両案内部材72間には、圃場に向けて土を落下させるための土落下開口73が存在している。また、軸部材71には、軸保持部材57の側面との接触により軸部材71の左右方向への移動を規制する板状の規制部材74が固着されている。
【0036】
端側案内体67は、上記した中央側案内体66と同様、掘取部51の複数、すなわち例えば2つの軸保持部材57の凹状部58によって回動可能に保持されかつ軸規制部材64にて上動が規制されて凹状部58内への挿入状態が維持された左右方向長手状の丸軸状の軸部材81と、この軸部材81に前端側が固着されかつ後端側が昇降するように軸部材(この軸部材の軸芯を通る回動中心軸線X2)81を中心として上下方向に回動可能な平面視で前後方向長手状をなす丸軸状の複数の案内部材82とを有している。
【0037】
そして、左右方向に間隔をおいて並ぶ複数の案内部材(案内バー)82は、後端部である自由端部が搬送部6の搬送始端部上に載置され、搬送部6の回行に基づいて当該搬送部6の段差(搬送バーの形状の相違に基づく段差である高低差)に追従するように上下方向に回動する。
【0038】
すなわち例えば、外側である左右端側の案内部材(外ガイドバー)82は、上記した中央側の案内部材72とは異なり、第1搬送バー33aの肩部36、第2搬送バー33bの肩部41又は第3搬送バー33cの転がり防止部45との接触により、回動中心軸線X2を中心として上下方向に回動して揺動する。それゆえ、両案内部材72,82の回動パターンは同一ではなく互いに異なるものであり、両者の揺動量である回動角度(回動範囲)も異なる。
【0039】
なお、互いに隣り合う両案内部材82間には、圃場に向けて土を落下させるための土落下開口83が存在している。また、軸部材81には、軸保持部材57の側面との接触により軸部材81の左右方向への移動を規制する板状の規制部材84が固着されている。
【0040】
次に、上述した収穫機1の作用等を説明する。
【0041】
圃場において、クローラ4の作動により収穫機1を前方(図1に示す進行方向)に移動させると、圃場の畝の土中の収穫物は、掘取部51の掘取刃61にて圃場の土中から掘り取られて持ち上げられる。
【0042】
その掘取後の収穫物は、続いて案内部52にて案内されて当該案内部52上からコンベヤ5の搬送部6上に乗り移り、その搬送部6にて搬送される。
【0043】
そして、座席16に座った作業者は、コンベヤ5の搬送部6の搬送バー33上や選別コンベヤ8の搬送ベルト9上から、掘取後の収穫物を手作業で拾い上げてコンテナ内に投入して収納する。
【0044】
このような収穫作業時において、例えば圃場の土中の石等の異物が互いに隣り合う両搬送バー33間に挟まった場合でも、案内部52は可動式であるため、案内部52が異物との接触により破損するような事態は生じない。
【0045】
すなわち例えば、図7及び図8に示すように、中央側案内体66の案内部材72は、掘取部51に対して回動中心軸線X1を中心として上下方向に回動可能なものであるから、両搬送バー33b,33c間に土中の異物(例えば石)90が挟まったとしても、その異物90との接触(衝突)によって上方へ回動する。
【0046】
このため、案内部材72には異物90との接触に基づく大きな外力が作用せず、案内部材72の破損が防止(抑制)され、例えば棒状の案内部材72が異物90との衝突で折れたり曲がったりするようなことが抑制される。なお図示しないが、端側案内体67の案内部材82についても同様である。
【0047】
またここで、収穫作業時において、中央側案内体66の案内部材72及び端側案内体67の案内部材82は、それぞれ搬送部6の回行に基づいて搬送バー33との接触により上下方向に回動するが、中央側案内体66の案内部材72の回動角度は、端側案内体67の案内部材82の回動角度よりも大きい。
【0048】
すなわち例えば、図9及び図10に示すように、中央側案内体66の案内部材72の回動角度は、例えば「11°」(最大42°、最小31°)であるのに対し、端側案内体67の案内部材82の回動角度は、例えば「8°」(最大45°、最小37°)であり、両者の角度差は「3°」である。つまり、この図示した例では、中央側の案内部材72の回動角度は、端側の案内部材82の回動角度に比べて、予め設定された設定角度、例えば少なくとも「3°」(これ以上でもよい)だけ大きい。
【0049】
なお、図9及び図10において、P1は中央側の案内部材72と搬送バー33(33a,33b,33c)との接触点であり、P2は端側の案内部材82と搬送バー33(33a,33b,33c)との接触点である。
【0050】
そして、このような収穫機1によれば、収穫物を掘り取る掘取部51と、この掘取部51に上下方向に回動可能に設けられ、掘取部51によって掘り取られた収穫物を搬送部6の搬送始端部上の位置まで案内する可動式の案内部52と、所定方向に回行しながら案内部52からの収穫物を受け取って搬送する回行可能な搬送部6とを備えるため、例えば圃場の土中の石等の異物との接触により案内部52が破損するのを防止(抑制)でき、しかも、案内部52が回動(可動)することで掘取部51と搬送部6との間での土の呑み込みが良くなり、案内部52上に残存する土が減少するため、収穫物が残存土に押されて側方へこぼれ落ちるのを防止(抑制)でき、よって収穫ロスを減少でき、適切な収穫作業を効率的に行うことができる。
【0051】
また、案内部(中央側案内体、左右の端側案内体)52は、掘取部51の軸保持部材57によって回動可能に保持された軸部材71,81と、この軸部材71,81に前端側が固着され、後端側が昇降するように軸部材71,81を中心として上下方向に回動可能な複数の案内部材72,82とを有し、この各案内部材72,82はその後端部である自由端部が搬送部6上に載置され、当該搬送部6の回行に基づいて上下方向に回動するため、案内部材72,82の破損を適切に防止できるとともに、案内部材72,82上の残存土による収穫物の側方へのこぼれ落ちを適切に防止できる。
【0052】
さらに、案内部52は、掘取部51の左右方向中央側に上下方向に回動可能に設けられた中央側案内体66と、掘取部51の左右方向両端側に上下方向に回動可能に設けられた左右の端側案内体67とを有し、中央側案内体66の回動角度は端側案内体67の回動角度よりも大きいため、収穫物の側方へのこぼれ落ちをより一層適切に防止できる。
【0053】
つまり、中央側案内体66の回動角度が端側案内体67の回動角度よりも大きいことから、中央側案内体66における互いに隣り合う両案内部材72間の土落下開口73から圃場へ落下する土量が、端側案内体67における互いに隣り合う両案内部材82間の土落下開口83から圃場へ落下する土量よりも多いので、中央側の案内部材72上の残存土が左右端側の案内部材82上の残存土よりも少なくなり、その結果、左右両側の残存土のみが盛り上がった状態となるため、収穫物の左右の側方へのこぼれ落ちをより一層適切に防止でき、収穫ロスを効果的に減少できる。
【0054】
また、中央側案内体66は、端側案内体67に比べて水平方向に対する傾斜角度が常に小さくなるように設けられているため、このことからも収穫物の側方へのこぼれ落ちを適切に防止できる。
【0055】
さらに、掘取部51に対して上下方向に回動可能な可動式の案内部52の回動パターン(可動パターン)は、コンベヤ5の搬送部6の搬送バー3の配置パターンによって決まるため、搬送バー3の配置パターンの変更により回動パターンを容易に変更でき、よって土質等の圃場条件に容易に対応できる。
【0056】
なお、収穫機の可動式の案内部は、掘取部に対して上下方向に回動可能(上下動可能)なものには限定されず、互いに隣り合う両搬送部材間に挟まった石等の異物との当接で破損しないように可動するものであればよく、例えば昇降可能な構成や側方側に移動可能な構成等でもよい。
【0057】
また、案内部は、それぞれ個別に可動する複数の可動式の案内体(中央側案内体、端側案内体)からなるものには限定されず、例えば単一の可動式の案内体からなるものでもよい。
【0058】
さらに、コンベヤの搬送部を構成する複数の搬送バー群の各々は、少なくとも形状が異なる3種類の5本の搬送バーからなるものには限定されず、例えば3種類の7本の搬送バーからなるものや、2種類の5本の搬送バーからなるもの等、その組合せは任意である。
【符号の説明】
【0059】
1 収穫機
6 搬送部
33 搬送部材である搬送バー
51 掘取部
52 可動式の案内部
57 軸保持部材
66 中央側案内体
67 端側案内体
71,81 軸部材
72,82 案内部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10