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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025022519
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】アクセルペダル装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 26/02 20060101AFI20250206BHJP
   G05G 1/30 20080401ALI20250206BHJP
   G05G 1/60 20080401ALI20250206BHJP
   G05G 5/06 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
B60K26/02
G05G1/30 E
G05G1/60
G05G5/06 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127182
(22)【出願日】2023-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本田 篤史
(72)【発明者】
【氏名】北 卓人
【テーマコード(参考)】
3D037
3J070
【Fターム(参考)】
3D037EA01
3D037EA03
3D037EB02
3J070AA32
3J070BA03
3J070BA51
3J070CB01
3J070CB37
3J070CC71
3J070CD02
3J070CD03
3J070CD06
3J070CE04
3J070DA01
(57)【要約】
【課題】アクセル操作時の反力不感帯を無くし、フットレスト使用時の運転者の快適感を向上できるアクセルペダル装置を提供する。
【解決手段】アクセル操作機能とフットレスト機能を有するアクセルペダル装置は、ペダルパッド10、駆動部30、第1動力伝達部31、第2動力伝達部32、クラッチ機構33、被ロック部40、ロックピン42および制御装置110を備える。制御装置110は、駆動部30の駆動を制御することにより、アクセル操作機能の実行時に、被ロック部40とロックピン42とが当接しない非当接位置に被ロック部40を移動する。また、制御装置110は、フットレスト機能の実行時に、被ロック部40とロックピン42とがペダルパッド10が任意のフットレスト位置にあるときに当接する当接位置に被ロック部40を移動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセル操作機能とフットレスト機能を有するアクセルペダル装置において、
前記アクセル操作機能の実行時において運転者の踏力が印加されていないときに全閉位置となり、前記運転者の踏力の増加により全開位置まで移動するペダルパッド(10)と、
通電により駆動する駆動部(30)と、
前記駆動部から動力が伝達されて駆動する第1動力伝達部(31)と、
前記第1動力伝達部から伝達される動力および前記ペダルパッドから伝達される前記運転者の踏力により駆動可能であると共に、前記第1動力伝達部から伝達される動力を前記ペダルパッドに伝達可能な第2動力伝達部(32)と、
前記第1動力伝達部と前記第2動力伝達部との間の動力の伝達および遮断を切り替えるクラッチ機構(33)と、
前記第1動力伝達部と共に移動する被ロック部(40)と、
前記被ロック部に当接すると前記被ロック部の移動および前記第1動力伝達部の駆動を規制可能なロックピン(42)と、
前記駆動部の駆動を制御することにより、前記アクセル操作機能の実行時に、前記被ロック部と前記ロックピンとが当接しない非当接位置に前記被ロック部を移動し、前記フットレスト機能の実行時に、前記被ロック部と前記ロックピンとが前記ペダルパッドが任意のフットレスト位置にあるときに当接する当接位置に前記被ロック部を移動する制御装置(110)と、を備えるアクセルペダル装置。
【請求項2】
前記アクセル操作機能から前記フットレスト機能に切り替えるフットレスト化時において、前記クラッチ機構は、前記第1動力伝達部と前記第2動力伝達部との間の動力の伝達を遮断し、前記駆動部は、前記第1動力伝達部を駆動して前記被ロック部を前記非当接位置から前記当接位置に移動し、
前記フットレスト機能の実行時において、前記クラッチ機構は、前記第1動力伝達部と前記第2動力伝達部との間の動力を伝達し、前記駆動部は、駆動を停止し、
前記フットレスト機能から前記アクセル操作機能に切り替えるフットレスト解除時において、前記クラッチ機構は、前記第1動力伝達部と前記第2動力伝達部との間の動力の伝達を遮断し、前記駆動部は、前記第1動力伝達部を駆動して前記被ロック部を前記当接位置から前記非当接位置に移動し、
前記アクセル操作機能の実行時において、前記クラッチ機構は、前記第1動力伝達部と前記第2動力伝達部との間の動力を伝達し、前記駆動部は任意の動力を前記第1動力伝達部から前記クラッチ機構および前記第2動力伝達部を経由して前記ペダルパッドに印加可能である、請求項1に記載のアクセルペダル装置。
【請求項3】
前記ロックピンの変位を所定の弾性力で規制するロック弾性部材(43)をさらに備え、
前記フットレスト機能の実行中に、前記ペダルパッドから前記第2動力伝達部、前記クラッチ機構、前記第1動力伝達部および前記被ロック部を経由して前記ロックピンに伝わる前記運転者の踏力が所定の解除踏力より大きくなると、前記ロック弾性部材の弾性力に抗して前記ロックピンが変位し、前記ペダルパッドを前記フットレスト位置より前記全開位置側に踏込むことが可能に構成されている、請求項1または2に記載のアクセルペダル装置。
【請求項4】
前記被ロック部の位置または前記第1動力伝達部の角度を検出可能な回転位置センサ(5)をさらに備え、
前記制御装置は、前記回転位置センサの検出信号に基づいて前記駆動部の駆動を制御し、前記被ロック部を移動する、請求項1または2に記載のアクセルペダル装置。
【請求項5】
前記アクセル操作機能から前記フットレスト機能に切り替えるフットレスト化を実行する際、前記制御装置は、前記ペダルパッドが前記フットレスト位置よりも前記全閉位置側にあるときに前記駆動部を駆動して前記被ロック部を前記非当接位置から前記当接位置に移動する、請求項1または2に記載のアクセルペダル装置。
【請求項6】
前記被ロック部の位置または前記第1動力伝達部の角度を検出可能な回転位置センサ(5)をさらに備え、
前記制御装置は、前記アクセル操作機能の実行中、前記回転位置センサの検出信号に基づき、前記被ロック部が前記非当接位置内に設定した所定の範囲内から逸脱したことを検知すると、前記ペダルパッドが前記全閉位置にあるとき、前記クラッチ機構を空転させ、前記駆動部を駆動して前記被ロック部を前記所定の範囲内に移動する、請求項1または2に記載のアクセルペダル装置。
【請求項7】
前記制御装置は、予め定めたタイミングで前記駆動部を駆動し、前記被ロック部を前記非当接位置内に設定した所定の範囲内、または前記所定の範囲内に設定した初期位置に移動する、請求項1または2に記載のアクセルペダル装置。
【請求項8】
前記クラッチ機構は、ワンウェイクラッチ(38)であり、
前記ペダルパッドが前記全開位置側へ踏込操作されることに伴う前記第2動力伝達部の駆動に対し前記第1動力伝達部が抗する方向において、前記第1動力伝達部と前記第2動力伝達部を常に結合し、
前記ペダルパッドが前記全閉位置側へ踏戻し操作されることに伴う前記第2動力伝達部の駆動に対し前記第1動力伝達部が抗する方向において、前記第1動力伝達部と前記第2動力伝達部とを相対回転させるトルクが所定のトルク閾値より小さい場合、前記第1動力伝達部と前記第2動力伝達部とを結合し、
前記ペダルパッドが前記全閉位置側へ踏戻し操作されることに伴う前記第2動力伝達部の駆動に対し前記第1動力伝達部が抗する方向において、前記第1動力伝達部と前記第2動力伝達部とを相対回転させるトルクが前記所定のトルク閾値より大きい場合、前記第1動力伝達部と前記第2動力伝達部とを空転させる、請求項1または2に記載のアクセルペダル装置。
【請求項9】
前記所定のトルク閾値は、前記駆動部のモータディテントトルクと、前記駆動部と前記第1動力伝達部との摺動抵抗との和よりも大きく設定される、請求項8に記載のアクセルペダル装置。
【請求項10】
前記クラッチ機構は、前記第1動力伝達部と前記第2動力伝達部との間の動力の伝達および遮断を任意に切り替え可能な電磁クラッチである、請求項1または2に記載のアクセルペダル装置。
【請求項11】
前記電磁クラッチは、通電時に前記第1動力伝達部と前記第2動力伝達部との間の動力の伝達を遮断し、無通電時に前記第1動力伝達部と前記第2動力伝達部との間の動力を伝達する構成である、請求項10に記載のアクセルペダル装置。
【請求項12】
前記ロックピンの変位を所定の弾性力で規制するロック弾性部材(43)と、
前記被ロック部、前記第1動力伝達部または前記駆動部の位置または角度を検出可能な回転位置センサ(5)と、
前記ペダルパッドの開度を検出可能なペダル開度センサ(6)と、をさらに備え、
前記制御装置は、前記フットレスト機能の実行中に、前記回転位置センサまたは前記ペダル開度センサの検出信号に基づいて、前記ペダルパッドが前記フットレスト位置よりも前記全開位置側に踏込まれたことが検知されると、前記駆動部を駆動して前記被ロック部を前記非当接位置に移動する、請求項1または2に記載のアクセルペダル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アクセル操作機能とフットレスト機能を有するアクセルペダル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のアクセルペダル装置は、ペダルパッド、第1動力伝達部、第2動力伝達部、駆動部、被ロック部およびロックピンなどを備えている。ペダルパッドは、運転者に踏込操作され、運転者の踏力が印加されていないときに全閉位置となり、運転者の踏力の増加により全開位置まで移動する。第1動力伝達部と第2動力伝達部とは同軸に設けられる。第1動力伝達部は、駆動部により駆動され、第2動力伝達部は、ペダルパッドと共に駆動する。ロックピンは、第1動力伝達部に設けられた被ロック部を係止可能である。
【0003】
このアクセルペダル装置は、アクセル操作機能を実行するとき、運転者がペダルパッドを操作すると、ペダルパッドが全閉位置から全開位置に向かう途中で、第1動力伝達部に設けられた第1ストッパと第2動力伝達部に設けられた第2ストッパとが当接する。これにより、駆動部が出力するトルクを第1動力伝達部から第2動力部を経由してペダルパッドに伝えることが可能となる。そのため、そのトルクの調整により、運転者がペダルパッドに印加する踏力に対する反力を付与できる。
【0004】
また、このアクセルペダル装置は、フットレスト機能を実行するとき、ペダルパッドが全閉位置にあるときに、駆動部により第1動力伝達部を駆動し、被ロック部をロックピンに係止される位置に移動可能である。そのとき、第1ストッパは第2ストッパに隣接する位置に移動する。その状態で、運転者がペダルパッドに足を置くと、足の重みでペダルパッドが開方向に僅かに移動して第1ストッパと第2ストッパとが当接し、第1動力伝達部と第2動力伝達部の動作が規制される。これにより、駆動部に無通電で、ペダルパッドをフットレスト化できる。
【0005】
なお、このアクセルペダル装置は、フットレスト機能の実行中、緊急時などに、運転者がペダルパッドを強く踏込むと、被ロック部とロックピンとの係止状態が解除され、運転者はアクセル操作を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2023-62895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のアクセルペダル装置は、アクセル操作機能の実行時において、ペダルパッドの踏込み開始から第1ストッパと第2ストッパが当接するまでの間、駆動部の出力するトルクをペダルパッドに伝えることできない反力不感帯が存在する。
【0008】
また、このアクセルペダル装置は、フットレスト機能の実行時において、ペダルパッドをフットレスト化できる位置が全閉位置付近に限られる。一般に、ペダルパッドの全閉位置は、運転者が足の踵に対して足指を車両上方に立てた状態でペダルパッドに足を置く状態となるので、フットレスト使用時の運転者の快適感が低下することが懸念される。
【0009】
本開示は上記点に鑑みて、アクセル操作時の反力不感帯を無くし、フットレスト使用時の運転者の快適感を向上できるアクセルペダル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の1つの観点によると、アクセル操作機能とフットレスト機能を有するアクセルペダル装置は、
アクセル操作機能の実行時において運転者の踏力が印加されていないときに全閉位置となり、運転者の踏力の増加により全開位置まで移動するペダルパッド(10)と、
通電により駆動する駆動部(30)と、
駆動部から動力が伝達されて駆動する第1動力伝達部(31)と、
第1動力伝達部から伝達される動力およびペダルパッドから伝達される運転者の踏力により駆動可能であると共に、第1動力伝達部から伝達される動力をペダルパッドに伝達可能な第2動力伝達部(32)と、
第1動力伝達部と第2動力伝達部との間の動力の伝達および遮断を切り替えるクラッチ機構(33)と、
第1動力伝達部と共に移動する被ロック部(40)と、
被ロック部に当接すると被ロック部の移動および第1動力伝達部の駆動を規制可能なロックピン(42)と、
駆動部の駆動を制御することにより、アクセル操作機能の実行時に、被ロック部とロックピンとが当接しない非当接位置に被ロック部を移動し、フットレスト機能の実行時に、被ロック部とロックピンとがペダルパッドが任意のフットレスト位置にあるときに当接する当接位置に被ロック部を移動する制御装置(110)と、を備える。
【0011】
これによれば、アクセル操作機能の実行時において、制御装置は被ロック部を非当接位置に移動する。そのため、クラッチ機構が第1動力伝達部と第2動力伝達部を結合すると、駆動部の動力を第1動力伝達部からクラッチ機構および第2動力伝達部を経由してペダルパッドに伝達可能となる。したがって、アクセル操作機能の実行時に、ペダルパッドが全閉位置から全開位置の全領域において駆動部の動力をペダルパッドに伝達でき、上記特許文献1のような反力不感帯を生ずることが無い。
また、フットレスト機能の実行時において、制御装置は被ロック部を当接位置に移動する。そのため、クラッチ機構が第1動力伝達部と第2動力伝達部を結合すると、運転者がペダルパッドを任意のフットレスト位置まで踏込んだとき、ロックピンと被ロック部とが当接し、ペダルパッドの開方向の移動が規制される。したがって、ペダルパッドを任意の角度でフットレスト化できるので、フットレスト使用時の運転者の快適感を向上できる。
なお、フットレスト位置とは、ペダルパッドの踏込みによりロックピンと被ロック部とが当接してペダルパッドの開方向への移動が規制される位置であり、ペダルパッドの全閉位置から全開位置までの間の任意の位置に設定される。
【0012】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係るアクセルペダル装置において、アクセル操作機能の実行時にペダルパッドが全閉位置にある状態を示す概略図である。
図2】第1実施形態に係るアクセルペダル装置の制御ブロック図である。
図3】第1実施形態に係るアクセルペダル装置において、アクセル操作機能の実行時にペダルパッドが全開位置にある状態を示す概略図である。
図4】第1実施形態に係るアクセルペダル装置において、フットレスト化時の状態を示す概略図である。
図5】第1実施形態に係るアクセルペダル装置において、フットレスト機能の実行時の状態を示す概略図である。
図6】第1実施形態に係るアクセルペダル装置において、フットレスト自動解除時の状態を示す概略図である。
図7】第1実施形態に係るアクセルペダル装置において、フットレスト踏込み解除時の状態を示す概略図である。
図8】第1実施形態に係るアクセルペダル装置が備える各構成の作動を示すタイムチャートである。
図9】第1実施形態に係るアクセルペダル装置が備える各構成の作動を示すタイムチャートである。
図10】第1実施形態に係るアクセルペダル装置において、フットレスト化時の制御処理を説明するためのフローチャートである。
図11】第2実施形態に係るアクセルペダル装置において、アクセル操作機能の実行時の制御処理を説明するためのフローチャートである。
図12】第2実施形態に係るアクセルペダル装置において、被ロック部の初期位置および位置ずれ閾値等を説明するための説明図である。
図13】第3実施形態に係るアクセルペダル装置において、アクセル操作機能の実行時にペダルパッドが全閉位置にある状態を示す概略図である。
図14】第3実施形態に係るアクセルペダル装置が備える各構成の作動を示すタイムチャートである。
図15】第4実施形態に係るアクセルペダル装置において、アクセル操作機能の実行時にペダルパッドが全閉位置にある状態を示す概略図である。
図16】第4実施形態に係るアクセルペダル装置において、フットレスト機能の実行時の状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0015】
(第1実施形態)
第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。第1実施形態のアクセルペダル装置は、アクセル操作機能とフットレスト機能を有するものである。具体的に、アクセルペダル装置は、運転者が車両に加速を指示するアクセル操作機能を実行する際、運転者がペダルパッド10に印加する踏力に対して適切な反力を付与することが可能である。また、このアクセルペダル装置は、車両の自動運転時などにフットレスト機能を実行する際、ペダルパッド10を任意のフットレスト位置で固定してフットレスト化することが可能である。
【0016】
第1実施形態では、オルガン型のアクセルペダル装置を例にして説明する。オルガン型のアクセルペダル装置とは、ペダルパッド10のうち運転者が踏力を印加する部位が、ペダルパッド10の回転の軸心(即ち、第1支点部材15)よりも車両上下方向上側に配置されるものをいう。
【0017】
<アクセルペダル装置の構成>
図1および図2に示すように、アクセルペダル装置は、ペダルレバー1、ハウジング2、動力伝達機構3、ロック機構4、回転位置センサ5、ペダル開度センサ6、モータ制御装置7およびクラッチ制御装置8などを備えている。
【0018】
ハウジング2は、車体に取り付けられ、ペダルレバー1、動力伝達機構3およびロック機構4などの支持部となるものである。
【0019】
ペダルレバー1は、ペダルパッド10、連結部11、同期可動部12およびペダル付勢部材13などを有している。ペダルパッド10は、運転者の足で踏まれる部位であり、車両のフロア14側のハウジング2に設けられる第1支点部材15により回転可能に支持されている。連結部11は、一方の端部16がペダルパッド10に回転可能に接続され、他方の端部17が同期可動部12に回転可能に接続されている。同期可動部12は、ペダルパッド10に対しフロア14側に設けられ、フロア14側のハウジング2に設けられる第2支点部材18により回転可能に支持されている。ペダル付勢部材13は、同期可動部12に対しフロア14側に設けられ、同期可動部12をペダルパッド10側へ付勢している。これにより、運転者がペダルパッド10に踏力を印加すると、ペダルパッド10と連結部11と同期可動部12は一体で駆動する。
【0020】
アクセル操作機能の実行時において、運転者の踏力が印加されていないときのペダルパッド10の位置を全閉位置といい、運転者の踏力の印加によりペダルパッド10が最大に移動した位置を全開位置という。ペダルパッド10の全閉位置は、不図示の全閉ストッパにより規定され、ペダルパッド10の全開位置は、不図示の全開ストッパにより規定されている。ペダル付勢部材13は、ペダルパッド10を、全閉位置の方向(以下、「閉方向」という)へ付勢している。
【0021】
動力伝達機構3は、駆動部30、第1動力伝達部31、第2動力伝達部32およびクラッチ機構33などを有している。駆動部30は、モータおよび不図示の減速機などで構成されている。駆動部30は、通電により駆動し、第1動力伝達部31にトルクを印加する。
【0022】
第1動力伝達部31は、円盤状に形成され、駆動部30から印加されるトルクにより軸心CLを中心として回転駆動する。また、第1動力伝達部31は、第2動力伝達部32からクラッチ機構33を経由して伝達されるトルクによっても回転駆動する。
【0023】
第2動力伝達部32は、円盤状に形成され、第1動力伝達部31と図の紙面奥行方向に重なるように配置されている。第2動力伝達部32には、アクチュエータレバー34が接続されている。アクチュエータレバー34は、一方の端部35が第2動力伝達部32に固定され、他方の端部36がペダルパッド10の裏面(即ち、ペダルパッド10のうちフロア14側の面)に当接する。これにより、運転者の踏力の増加によりペダルパッド10が全閉位置から全開位置の方向(以下、「開方向」という)に移動すると、アクチュエータレバー34を経由して第2動力伝達部32に踏力が伝達され、第2動力伝達部32は回転駆動する。また、第2動力伝達部32は、第1動力伝達部31からクラッチ機構33を経由して印加されるトルクによっても回転駆動する。
【0024】
アクチュエータレバー付勢部材37は、ペダルパッド10の開方向への移動に伴ってアクチュエータレバー34が移動する方向とは反対方向へアクチュエータレバー34を付勢している。これにより、アクチュエータレバー34のうちペダルパッド10側の端部36は、ペダルパッド10の裏面に当接する。
【0025】
クラッチ機構33は、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32との間の動力の伝達および遮断を切り替える。第1実施形態では、クラッチ機構33として電磁クラッチが採用されている。電磁クラッチは、通電と無通電との切り替えにより、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32との間の動力の伝達および遮断を任意に切り替え可能である。詳細には、この電磁クラッチは、通電時に第1動力伝達部31と第2動力伝達部32との間の動力の伝達を遮断し、無通電時に第1動力伝達部31と第2動力伝達部32との間の動力を伝達する構成である。以下の説明では、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32との間の動力の伝達が遮断された状態を「空転状態」といい、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32との間の動力が伝達される状態を「結合状態」という。
【0026】
アクセル操作機能の実行時に、クラッチ機構33を結合状態とすると、ペダルパッド10に印加された運転者の踏力は、アクチュエータレバー34、第2動力伝達部32、クラッチ機構33、第1動力伝達部31を経由して駆動部30に伝わる。一方、駆動部30の出力する動力は、第1動力伝達部31、クラッチ機構33、第2動力伝達部32、アクチュエータレバー34を経由してペダルパッド10に伝わる。したがって、駆動部30は、ペダルパッド10に印加される運転者の踏力に対する反力をペダルパッド10に付与することが可能である。
【0027】
ロック機構4は、被ロック部40、収容部41、ロックピンnおよびロック弾性部材43などを有している。被ロック部40は、第1動力伝達部31に固定され、第1動力伝達部31の回転と共に移動する。具体的に、被ロック部40は、第1動力伝達部31のうち径方向外側の外壁に固定されている。ここで、第1動力伝達部31の回転の軸心CLと被ロック部40の中心とを結ぶ仮想線を第1仮想線VL1という。被ロック部40のうち第1動力伝達部31の回転方向を向く面は、第1動力伝達部31の径方向内側から径方向外側に向かう方向において第1仮想線VL1側に近づくように傾斜する傾斜面44となっている。
【0028】
収容部41は、ハウジング2に設けられている。収容部41は、その内側にロックピン42とロック弾性部材43を収容している。ロックピン42の一部は、収容部41に設けられた開口から、第1動力伝達部31に向かって突出している。ここで、ロックピン42の中心を通りロックピン42の移動方向に延びる仮想線を第2仮想線VL2という。ロックピン42のうち第1動力伝達部31の回転方向を向く面は、ロック弾性部材43側から第1動力伝達部31側に向かう方向において第2仮想線VL2側に近づくように傾斜する傾斜面45となっている。
【0029】
ロック弾性部材43は、ロックピン42を第1動力伝達部31側へ付勢している。したがって、ロック弾性部材43は、ロックピン42が収容部41内に入り込む方向に変位することを所定の弾性力で規制している。この構成により、図5に示すように、ロックピン42と被ロック部40とが当接すると、ロックピン42は、被ロック部40および第1動力伝達部31の開方向への回転を所定の解除踏力により規制することが可能である。なお、被ロック部40および第1動力伝達部31の開方向とは、ペダルパッド10の開方向への回転に伴い第2動力伝達部32とクラッチ機構33を介して結合した第1動力伝達部31が回転する方向である。所定の解除踏力については後述する。
【0030】
図2に示すように、回転位置センサ5は、被ロック部40の位置、または、第1動力伝達部31の角度を検出する。ペダル開度センサ6は、ペダルパッド10の開度を検出する。入力部9は、運転者がフットレスト化の指令、および、フットレスト解除の指令を入力可能な機構である。入力部9は、例えば、運転者が操作可能なスイッチ、タッチパネルまたは音声入力用マイクなどでもよい。
【0031】
制御システム100は、車両に搭載される車両制御装置101、モータ制御装置7およびクラッチ制御装置8を含んで構成されている。制御システム100を構成する各制御装置7、8、101と、回転位置センサ5と、ペダル開度センサ6と、入力部9は、例えばCAN通信などによる車内LAN、またはワイヤーハーネス等を通じて接続されている。そのため、回転位置センサ5の検出信号と、ペダル開度センサ6の検出信号と、入力部9の信号は、それぞれ制御システム100を構成する車両制御装置101、モータ制御装置7およびクラッチ制御装置8に伝送される。
【0032】
車両制御装置101、モータ制御装置7およびクラッチ制御装置8はいずれも、プロセッサと、ROM、RAM等のメモリーとを含むマイクロコンピュータ、および、その周辺回路を有する電子制御装置である。メモリーは、非遷移的実体的記憶媒体である。電子制御装置は、プロセッサがメモリーに格納されたプログラムを実行することで各部の制御を実行する。具体的に、車両制御装置101は、車両の走行状態等を制御する。モータ制御装置7は、駆動部30を構成するモータへの通電を制御することで、駆動部30の駆動を制御する。クラッチ制御装置8は、クラッチ機構33を構成する電磁クラッチへの通電を制御することで、クラッチ機構33の駆動を制御する。なお、モータ制御装置7とクラッチ制御装置8は、アクセルペダル装置の制御装置110として一体に構成されていてもよい。以下、モータ制御装置7とクラッチ制御装置8を纏めて「制御装置110」という。
【0033】
<アクセルペダル装置の各動作>
次に、第1実施形態のアクセルペダル装置が実行するアクセル操作機能、フットレスト機能と、それらの機能の切り替え動作について説明する。
【0034】
<アクセル操作機能の実行時>
図1は、アクセル操作機能の実行時にペダルパッド10が全閉位置にある状態を示している。ペダルパッド10は、ペダル付勢部材13の付勢力により全閉位置で保持されている。アクチュエータレバー34は、アクチュエータレバー付勢部材37の付勢力により、ペダルパッド10の裏面に当接している。このとき、被ロック部40は、アクセル操作機能の実行時にペダルパッド10が全閉位置から全開位置に移動しても被ロック部40と当接することの無い「非当接位置」にある。図1では、非当接位置の範囲を一点鎖線の矢印αで示している。
【0035】
クラッチ制御装置8は、クラッチ機構33への通電をオフする。そのため、クラッチ機構33は、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32を結合状態として、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32との間の動力を伝達する。これにより、駆動部30は、運転者の踏力に対する反力を、第1動力伝達部31、クラッチ機構33、第2動力伝達部32およびアクチュエータレバー34を経由してペダルパッド10に印加することが可能である。
【0036】
図3は、アクセル操作機能の実行時に運転者がペダルパッド10を全開位置まで踏込んだ状態を示している。なお、図3では、ペダルパッド10の全閉位置を破線10aで示し、ペダルパッド10が全閉位置にあるときの被ロック部40の位置を破線40aで示している。ペダルパッド10が踏込まれると、それに伴って、第2動力伝達部32と第1動力伝達部31が回転する。第1動力伝達部31の回転に伴って、被ロック部40は、第1動力伝達部31の回転方向に移動する。この場合でも、被ロック部40は非当接位置の範囲内にある。
【0037】
<フットレスト化時>
図4は、アクセル操作機能からフットレスト機能に切り替えるフットレスト化時の状態を示している。運転者が入力部9に対しフットレスト化の指令を入力することで、フットレスト化が開始される。このとき、クラッチ制御装置8は、クラッチ機構33への通電をオンする。そのため、クラッチ機構33は、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32を空転状態として、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32との間の動力の伝達を遮断する。
【0038】
図4の破線R1、R2に示すように、モータ制御装置7は、駆動部30を駆動して第1動力伝達部31を回転させ、回転位置センサ5の検出信号に基づき、被ロック部40を非当接位置から当接位置に移動する。なお、被ロック部40と駆動部30とは、図の紙面奥行方向にずれた位置に配置されている。そのため、被ロック部40と駆動部30とが干渉することはない。
【0039】
図4では、当接位置の範囲を矢印βで示している。当接位置は、フットレスト機能の実行時にペダルパッド10が任意のフットレスト位置にあるときに被ロック部40がロックピン42と当接する位置である。フットレスト位置は、ペダルパッド10の踏込みによりロックピン42と被ロック部40とが当接してペダルパッド10の開方向への移動が規制される位置であり、ペダルパッド10の全閉位置から全開位置までの間の任意の位置に設定される。本実施形態では、フットレスト位置は、ペダルパッド10が全閉位置よりも全開位置側に所定角度踏込まれた位置に設定されている。
【0040】
制御装置110は、ペダルパッド10がフットレスト位置よりも全閉位置側にあるときに駆動部30を駆動し、被ロック部40を非当接位置から当接位置に移動する。なお、制御装置110は、ペダルパッド10が全閉位置にあるときに駆動部30を駆動してもよい。
【0041】
<フットレスト機能の実行時>
図5は、フットレスト機能の実行時の状態を示している。このとき、クラッチ制御装置8は、クラッチ機構33への通電をオフする。クラッチ機構33は、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32を結合状態として、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32との間の動力を伝達する。モータ制御装置7も、駆動部30への通電を停止する。運転者がペダルパッド10に足を置き、その重みでペダルパッド10が開方向へ移動すると、ペダルパッド10の動作に伴って第2動力伝達部32と第1動力伝達部31が回転し、被ロック部40が第1動力伝達部31の回転方向に移動する。ペダルパッド10が任意のフットレスト位置まで踏込まれると、被ロック部40とロックピン42が当接し、ペダルパッド10の開方向の移動が規制される。これにより、ペダルパッド10を任意の角度でフットレスト化できる。
【0042】
<フットレスト解除_自動解除時>
図6は、フットレスト機能からアクセル操作機能に切り替えるフットレスト解除のうち、運転者によるフットレスト機能の解除指令によるフットレスト機能の「自動解除」を実行する状態を示している。運転者が入力部9に対しフットレスト機能の解除指令をすると、クラッチ制御装置8は、ペダルパッド10が全閉状態に戻されていることを確認した後、クラッチ機構33への通電をオンする。これにより、クラッチ機構33は、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32を空転状態として、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32との間の動力の伝達を遮断する。そして、図6の破線R3、R4に示すように、モータ制御装置7は、駆動部30を駆動して第1動力伝達部31を回転させ、回転位置センサ5の検出信号に基づき、被ロック部40を当接位置から非当接位置に移動する。このとき、モータ制御装置7は、駆動部30を駆動し、被ロック部40がロックピン42を乗り越えない方向へ第1動力伝達部31を回転させる。これにより、ペダルパッド10の開方向の移動の規制が解除され、運転者がペダルパッド10を踏込操作できるようになる。
【0043】
<フットレスト解除_踏込み解除時>
図7は、フットレスト解除のうち、運転者がペダルパッド10を強く踏込んでフットレスト機能からアクセル操作機能に切り替える「踏込み解除」を実行する状態を示している。フットレスト機能の実行中に運転者がペダルパッド10に印加する踏力を大きくすると、その踏力は、ペダルパッド10からアクチュエータレバー34、第2動力伝達部32、クラッチ機構33、第1動力伝達部31および被ロック部40を経由してロックピン42に伝わる。被ロック部40からロックピン42に伝わる運転者の踏力が、予め設定された所定の解除踏力より大きくなると、被ロック部40に押圧されたロックピン42はロック弾性部材43の弾性力に抗して収容部41の内側に入り込むように変位する。これにより、被ロック部40がロックピン42を乗り越えて移動するので、運転者はペダルパッド10をフットレスト位置よりも全開位置側へ踏込むことが可能である。なお、図7では、ペダルパッド10のフットレスト位置を破線10bで示している。
【0044】
運転者は、フットレスト機能の実行中であっても、緊急時には、ペダルパッド10を強く踏み込んでフットレスト機能を踏込み解除し、アクセル操作を行うことができる。なお、運転者がフットレストを踏込み解除するときに必要な所定の解除踏力は、ロック弾性部材43の弾性力、および、ロックピン42の有する傾斜面45の角度などにより設定されている。
【0045】
制御装置110は、フットレスト機能の実行中にペダルパッド10がフットレスト位置よりも全開位置側に踏込まれ、フットレスト機能が解除されたことを、回転位置センサ5またはペダル開度センサ6の検出信号に基づいて検出可能である。このとき、クラッチ制御装置8は、クラッチ機構33への通電をオンする。そのため、クラッチ機構33は、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32を空転状態とする。そして、モータ制御装置7は、駆動部30を駆動して第1動力伝達部31を回転させ、被ロック部40を非当接位置に移動する。これにより、フットレスト機能からアクセル操作機能に切り替わり、その後、運転者がペダルパッド10を踏込操作しても、被ロック部40がロックピン42に干渉してアクチュエータレバー34とペダルパットとが離間するといったことが防がれる。
【0046】
<アクセルペダル装置の各部の作動>
続いて、第1実施形態のアクセルペダル装置の各部の作動について説明する。
図8は、アクセル操作機能の実行時、フットレスト化時、フットレスト機能の実行時、およびフットレスト自動解除時において、アクセルペダル装置の各部の作動を示したタイムチャートである。
【0047】
図8の時刻T1から時刻T2は、アクセル操作機能が実行され、且つ、駆動部30からペダルパッド10へ反力が付与されない状態を示している。このとき、入力部9から制御装置110に対しフットレスト化の指令(即ち、フットレスト信号)はオフされている。モータ制御装置7は駆動部30(即ち、モータ)への通電をオフする。クラッチ制御装置8は、クラッチ機構33(即ち、電磁クラッチ)への通電をオフする。被ロック部40は、ペダルパッド10の開度に応じて非当接位置の範囲内で移動する。運転者がペダルパッド10に印加するペダル踏力は、ペダル付勢部材13の付勢力に対応したものとなる。
【0048】
時刻T2から時刻T3は、アクセル操作機能が実行され、且つ、駆動部30からペダルパッド10へ反力が付与される状態を示している。このときも、入力部9から制御装置110に対しフットレスト化の指令はオフされている。モータ制御装置7は、駆動部30への通電をオンする。クラッチ制御装置8は、クラッチ機構33への通電をオフする。被ロック部40は、ペダルパッド10の開度に応じて非当接位置の範囲内で移動する。ペダル踏力は、ペダル付勢部材13の付勢力と、駆動部30の出力するトルクとの和に対応したものとなる。駆動部30への通電制御により、反力の強弱の変化や、断続的な反力付与を行うことも可能である。
【0049】
時刻T3から時刻T4は、ペダルパッド10が全閉位置にある状態を示している。この状態は、例えば、運転者がブレーキペダルを操作しているとき、車両が停止しているとき、または、運転者がペダルパッド10から足を離し、車両が自動運転を実行しているときなどである。この状態で、次のフットレス化を実行可能である。
【0050】
時刻T4から時刻T5は、フットレスト化が実行される状態を示している。時刻T4で入力部9から制御装置110にフットレスト化の指令(即ち、フットレスト信号オン)が入力されると、制御装置110はペダルパッド10が全閉位置にあることを確認した後、フットレスト化を実行する。具体的に、クラッチ制御装置8は、クラッチ機構33への通電をオンし、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32を空転状態とする。モータ制御装置7は、駆動部30を駆動して第1動力伝達部31を回転させ、被ロック部40を非当接位置から当接位置に移動する。時刻T5でフットレスト化が完了すると、クラッチ制御装置8は、クラッチ機構33への通電をオフし、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32を結合状態とする。モータ制御装置7は、駆動部30への通電をオフする。
【0051】
時刻T5から時刻T7は、フットレスト機能が実行される状態を示している。時刻T5でフットレスト化が完了した後、運転者がペダルパッド10に足を置き、ペダルパッド10を任意のフットレスト位置まで踏込むと、時刻T6で被ロック部40とロックピン42とが当接し、ペダルパッド10の開方向の移動が規制される。これにより、フットレスト機能が実行される。
【0052】
時刻T7から時刻T8は、フットレストが自動解除される状態を示している。時刻T7で入力部9から制御装置110にフットレストの解除指令(即ち、フットレスト信号オフ)が入力されると、制御装置110はペダルパッド10が全閉位置に戻されていることを確認した後、フットレストの自動解除を実行する。具体的に、クラッチ制御装置8は、クラッチ機構33への通電をオンし、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32を空転状態とする。モータ制御装置7は、駆動部30を駆動して第1動力伝達部31を回転させ、被ロック部40を当接位置から非当接位置に移動する。時刻T8でフットレストの自動解除が完了すると、クラッチ制御装置8は、クラッチ機構33への通電をオフし、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32を結合状態とする。モータ制御装置7は、駆動部30への通電をオフする。なお、時刻T8以降は、アクセル操作機能が実行される。
【0053】
次に、図9は、アクセル操作機能の実行時、フットレスト化時、フットレスト機能の実行時、およびフットレスト踏込み解除時において、アクセルペダル装置の各部の作動を示したタイムチャートである。
【0054】
図9の時刻T11から時刻T16までは、図8のT1から時刻T6におけるアクセルペダル装置の各部の作動と同じである。
【0055】
時刻T17から時刻T18で運転者がペダルパッド10に印加するペダル踏力を増加すると、その踏力は被ロック部40を経由してロックピン42に伝わる。時刻T18で、ペダル踏力が解除踏力以上になると、被ロック部40に押圧されてロックピン42はロック弾性部材43の弾性力に抗して収容部41の内側へ入り込むように変位する。これにより、被ロック部40がロックピン42を乗り越えて移動する。そのため、ペダルパッド10がフットレスト位置よりも開方向へ踏込まれ、ペダル開度がフットレスト時よりも開方向へ大きくなる。
【0056】
時刻T18で制御装置110は、回転位置センサ5またはペダル開度センサ6の検出信号に基づいて、フットレスト機能が解除されたことを判定し、フットレスト化の指令を自らオフする。時刻T18から時刻T19で、クラッチ制御装置8は、クラッチ機構33への通電をオンし、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32を空転状態とする。それと同時に、モータ制御装置7は、駆動部30を駆動して第1動力伝達部31を回転させ、被ロック部40を非当接位置(具体的には、初期位置)に移動する。時刻T19でフットレストの踏込み解除が完了すると、クラッチ制御装置8は、クラッチ機構33への通電をオフし、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32を結合状態とする。モータ制御装置7は、駆動部30への通電をオフする。なお、時刻T19以降は、アクセル操作機能が実行される。
【0057】
続いて、制御装置110がフットレスト化時に実行する制御処理について、図10のフローチャートを参照して説明する。
なお、以下の説明およびフローチャートでは、ステップを単に「S」と表記する。
【0058】
S100で制御装置110は、入力部9から運転者によるフットレスト化の指令が伝送されると、処理をS101に進める。
【0059】
S101で制御装置110は、ペダル開度センサ6の検出信号に基づいて、アクセル開度が全閉か否か、即ち、ペダルパッド10が全閉位置にあるか否かを判定する。制御装置110は、ペダルパッド10が全閉位置にない場合、処理をS102に移行し、運転者に対し、ペダルパッド10を全閉位置に戻すよう通知を行う。その通知は、例えば、音声、ランプまたはディスプレイ表示などにより行うことが可能である。
【0060】
一方、S101で制御装置110は、ペダルパッド10が全閉位置にあることを検知すると、処理をS103に進め、上述したフットレスト化を実行する。
【0061】
なお、上記S101で制御装置110は、ペダルパッド10が全閉位置にあるか否かを判定したが、制御装置110の実行する処理はこれに限らない。例えば、制御装置110は、ペダルパッド10がフットレスト位置よりも全閉位置側にあるか否かを判定してもよい。
【0062】
以上説明した第1実施形態のアクセルペダル装置は、次の作用効果を奏するものである。
(1)第1実施形態では、アクセルペダル装置の備える制御装置110は、アクセル操作機能の実行時において、被ロック部40を非当接位置に移動する。また、制御装置110は、フットレスト機能の実行時において、被ロック部40を当接位置に移動する。
【0063】
これによれば、アクセル操作機能の実行時において、制御装置110は、被ロック部40を非当接位置に移動する。そのため、クラッチ機構33が第1動力伝達部31と第2動力伝達部32を結合すると、駆動部30の動力を第1動力伝達部31からクラッチ機構33および第2動力伝達部32を経由してペダルパッド10に伝達可能となる。したがって、アクセル操作機能の実行時に、ペダルパッド10が全閉位置から全開位置の全領域において駆動部30の動力をペダルパッド10に伝達でき、上記特許文献1のような反力不感帯を生ずることが無い。
また、フットレスト機能の実行時において、制御装置110は、被ロック部40を当接位置に移動する。そのため、クラッチ機構33が第1動力伝達部31と第2動力伝達部32を結合すると、運転者がペダルパッド10を任意のフットレスト位置まで踏込んだとき、ロックピン42と被ロック部40とが当接し、ペダルパッド10の開方向の移動が規制される。したがって、ペダルパッド10を任意の角度でフットレスト化できるので、フットレスト使用時の運転者の快適感を向上できる。
【0064】
(2)第1実施形態では、フットレスト化時において、クラッチ機構33は、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32との間の動力の伝達を遮断し、空転状態とする。また、駆動部30は、第1動力伝達部31を駆動して被ロック部40を非当接位置から当接位置に移動する。
フットレスト機能の実行時において、クラッチ機構33は、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32との間の動力を伝達し、結合状態とする。また、駆動部30は、駆動を停止する。
フットレスト解除時において、クラッチ機構33は、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32との間の動力の伝達を遮断し、空転状態とする。また、駆動部30は、第1動力伝達部31を駆動して被ロック部40を当接位置から非当接位置に移動する。
アクセル操作機能の実行時において、クラッチ機構33は、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32との間の動力を伝達し、結合状態とする。また、駆動部30は任意の動力を第1動力伝達部31からクラッチ機構33および第2動力伝達部32を経由してペダルパッド10に印加可能である。
これによれば、アクセルペダル装置は、アクセル操作機能の実行時に、ペダルパッド10が全閉位置から全開位置の全領域で駆動部30の動力をペダルパッド10に伝達でき、反力不感帯を生ずることが無い。
また、アクセルペダル装置は、フットレスト機能の実行時に、駆動部30への通電を停止し、且つ、ペダルパッド10を任意のフットレスト位置まで踏込んだ状態でフットレスト化できる。
【0065】
(3)第1実施形態では、フットレスト機能の実行中に、ペダルパッド10から第2動力伝達部32、クラッチ機構33、第1動力伝達部31および被ロック部40を経由してロックピン42に伝わる運転者の踏力が所定の解除踏力より大きくなると、フットレスト機能が解除される。
これによれば、フットレスト機能の実行時においても、緊急時には、運転者がペダルパッド10を強く踏込むことでフットレスト機能を解除し、アクセル操作を実行できる。
【0066】
(4)第1実施形態では、制御装置110は、回転位置センサ5の検出信号に基づいて駆動部30の駆動を制御し、被ロック部40を移動する。
これによれば、制御装置110は被ロック部40を所望の位置に移動可能となり、フットレスト位置を運転者が快適な任意のペダル角度に調整できる。
【0067】
(5)第1実施形態では、フットレスト化を実行する際、制御装置110は、ペダルパッド10がフットレスト位置よりも全閉位置側にあるときに駆動部30を駆動して被ロック部40を非当接位置から当接位置に移動する。
これによれば、仮に、ペダルパッド10がフットレスト位置よりも全開位置側にあるときに被ロック部40を当接位置に移動すると、被ロック部40とロックピン42とがペダル戻り方向(即ち、閉方向)で当接し、フットレスト化が出来なくなる恐れがある。それに対し、ペダルパッド10がフットレスト位置よりも全閉位置側にあるときに駆動部30を駆動して被ロック部40を当接位置に移動することで、ペダルパッド10を確実にフットレスト化できる。
【0068】
(6)第1実施形態では、クラッチ機構33は、電磁クラッチである。
これによれば、アクセル操作機能の実行時において、電磁クラッチは、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32との間の動力を常に伝達すればよい。そのため、後述の第3実施形態で説明するワンウェイクラッチに必要とされる所定のトルク閾値を設定する必要がない。
また、フットレスト機能からアクセル操作機能に切り替えるフットレスト解除時において、駆動部30は、被ロック部40がロックピン42を乗り越える方向とは逆方向に第1動力伝達部31を駆動して、被ロック部40を非当接位置に移動させることが可能となる。したがって、クラッチ機構33として電磁クラッチを使用することで、後述の第3実施形態で説明するワンウェイクラッチを使用する場合に比べて、フットレスト化時に必要な駆動部30の出力トルクを低減できる。また、駆動部30の最大出力トルクに制限されること無く、ロックピン42の解除踏力を設定できる。例えば、駆動部30の最大出力トルクよりも、ロックピン42の解除踏力を大きく設定してもよい。
【0069】
(7)第1実施形態では、電磁クラッチは、通電時に第1動力伝達部31と第2動力伝達部32との間の動力の伝達を遮断し、無通電時に第1動力伝達部31と第2動力伝達部32との間の動力を伝達する構成である。
これによれば、電磁クラッチへの通電はフットレスト化時とフットレスト解除時に限られ、アクセル操作機能の実行時とフットレスト機能の実行時には電磁クラッチへの通電を停止できるので、省電力化できる。
【0070】
(8)第1実施形態では、制御装置110は、フットレスト機能の実行中に、回転位置センサ5またはペダル開度センサ6の検出信号に基づいて、フットレスト機能が解除されたことが検知されると、駆動部30を駆動して被ロック部40を非当接位置に移動する。
これによれば、運転者がフットレスト機能を踏込み解除すると、制御装置110は、駆動部30を駆動し、被ロック部40を非当接位置に移動する。そのため、フットレスト機能からアクセル操作機能に切り替わり、運転者がアクセル操作を行う際に、被ロック部40とロックピン42とが当接することを防ぐことができる。
【0071】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態に対し、アクセル操作機能の実行中における制御装置110の制御を追加するものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0072】
まず、第2実施形態の課題について説明する。
上記第1実施形態では、アクセル操作機能の実行時、クラッチ機構33は、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32を結合状態とした。その際、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32とが完全に一体で駆動することが理想である。仮に、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32とが一体で駆動できずに滑ると、第2動力伝達部32に対する被ロック部40の位置ずれが生じる。被ロック部40の位置ずれが大きくなり、被ロック部40が当接位置まで移動すると、ペダルパッド10を全閉位置から全開位置に踏込む途中で、被ロック部40とロックピン42とが当接してしまう。その場合、第1動力伝達部31および第2動力伝達部32の回転範囲が制限され、ペダルパッド10の踏込操作を阻害する恐れがある。
【0073】
そのような課題に鑑みて、第2実施形態のアクセルペダル装置が備える制御装置110は、次の制御処理を実行する。その制御処理を、図11のフローチャートおよび図12の説明図を参照して説明する。
【0074】
図11のフローチャートに示す制御処理は、アクセル操作機能の実行中に所定の制御周期ごとに繰り返し実行される。
【0075】
まず、図11のS201で、制御装置110は、回転位置センサ5の検出信号に基づき、被ロック部40の位置を検出し、その被ロック部40の位置が所定の範囲内にあるか否かを判定する。その所定の範囲内について、図12を参照して説明する。
【0076】
図12に示すように、被ロック部40は、「初期位置ずれの最大許容範囲A」の略中央に設定された「初期位置」に配置される。「初期位置ずれの最大許容範囲A」は、ペダルパッド10を全閉位置から全開位置まで移動した時にも、ロックピン42と被ロック部40とが接触しない範囲であり、即ち、非当接位置である。その「初期位置ずれの最大許容範囲A」の内側に「位置ずれ閾値B」が設定される。即ち、「位置ずれ閾値B」は、「初期位置ずれの最大許容範囲A」に対し、被ロック部40の位置が多少ずれてもロックピン42と接触しないように余裕を持たせた範囲である。
【0077】
図11に戻り、S201の処理では、そのように設定された所定の範囲内、即ち「位置ずれ閾値B」の範囲内に被ロック部40の位置があるか否かが判定される。「位置ずれ閾値B」の範囲内に被ロック部40の位置がある場合、処理は終了する。一方、「位置ずれ閾値B」の範囲内に被ロック部40の位置が無い場合、処理はS202に進む。
【0078】
S202で制御装置110は、運転者がブレーキペダルを操作しているか否か、または、車両が停止しているか否か判定する。運転者がブレーキペダルを操作しているとき、または、車両が停止しているときは、運転者はアクセルペダル装置が備えるペダルパッド10を操作していないと言える。
【0079】
S202の判定が否定判定の場合、即ち、運転者がアクセルペダル装置を操作している場合、S202の処理を繰り返し実行する。即ち、運転者がアクセルペダル装置の操作をしなくなるまで待つ。
【0080】
S202の判定が肯定判定の場合、即ち、運転者がアクセルペダル装置を操作していない場合、処理はS203に進む。
【0081】
S203で制御装置110は、クラッチ機構33を空転させ、さらに、駆動部30を駆動し第1動力伝達部31を回転させて被ロック部40を初期位置に移動する。これにより、アクセル操作機能の実行中に被ロック部40とロックピン42とが当接してペダルパッド10の踏込操作が阻害されることを防ぐことができる。
【0082】
以上説明した第2実施形態では、制御装置110は、アクセル操作機能の実行中、回転位置センサ5の検出信号に基づき、被ロック部40が非当接位置内に設定した所定の範囲内、即ち「位置ずれ閾値B」から逸脱したか否かを判定する。そして、被ロック部40が所定の範囲内から逸脱したことを検知すると、ペダルパッド10が全閉位置にあるとき、クラッチ機構33を空転させ、駆動部30を駆動して被ロック部40を所定の範囲内(具体的には初期位置)に移動する。
これによれば、アクセル操作機能の実行中、仮に、クラッチ機構33が滑るなどして被ロック部40が当接位置に移動すると、運転者がペダル操作をする際に被ロック部40がロックピン42に干渉し、ペダルパッド10の操作量が制限される恐れがある。それに対し、制御装置110は、アクセル操作機能の実行中、回転位置センサ5の検出信号に基づき、被ロック部40の位置を常に監視することで、ペダルパッド10の踏込操作が阻害されることを防ぐことができる。
【0083】
(第2実施形態の変形例)
第2実施形態の変形例について説明する。上記第2実施形態では、制御装置110は、被ロック部40が所定の範囲内から逸脱したことを検知すると、被ロック部40を所定の範囲内(具体的には初期位置)に移動した。それに対し、第2実施形態の変形例は、制御装置110は、被ロック部40が所定の範囲内から逸脱したか否かに関わらず、予め定めたタイミングで被ロック部40を所定の範囲内または初期位置に移動する制御を実行する。即ち、制御装置110は、アクセル操作機能の実行中に被ロック部40が所定の範囲内から逸脱していなくても、被ロック部40を所定の範囲内、即ち「位置ずれ閾値B」の範囲内、または初期位置に移動する制御を定期的に実行する。なお、制御装置110は、その制御を、運転者によるペダルパッド10の操作がされてないときに実行する。これにより、アクセル操作機能の実行中、クラッチ機構33が滑ることに対する余裕を確保でき、意図せず被ロック部40とロックピン42とが接触することを防止できる。なお、予め定めたタイミングは、例えば、車両の毎始動時または停車時とすることが可能である。
【0084】
また、制御装置110は、被ロック部40を所定の範囲内に移動した際、その位置を初期位置として記憶してもよい。
或いは、制御装置110は、回転位置センサ5の検出信号を用いず、機械的な構成より被ロック部40を所定の範囲内または初期位置に移動してもよい。
或いは、制御装置110は、被ロック部40の相対的な位置変化の積算に基づき、被ロック部40を所定の範囲内または初期位置に移動してもよい。
【0085】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1実施形態等に対してクラッチ機構33の構成を変更したものであり、その他については第1実施形態等と同様であるため、第1実施形態等と異なる部分についてのみ説明する。
【0086】
<アクセルペダル装置の構成>
図13に示すように、第3実施形態のアクセルペダル装置も、ハウジング2、ペダルレバー1、動力伝達機構3、ロック機構4などを備えている。動力伝達機構3は、駆動部30、第1動力伝達部31、第2動力伝達部32、クラッチ機構33などを有している。ただし、第3実施形態では、クラッチ機構33として、ワンウェイクラッチ38が採用される。
【0087】
以下の説明では、ワンウェイクラッチ38の機能を説明する上で、ペダルパッド10が全開位置側へ踏込操作されることに伴う第2動力伝達部32の駆動に対し第1動力伝達部31が抗する方向を「動力伝達部の踏込操作方向」という。また、ペダルパッド10が全閉位置側へ踏戻し操作されることに伴う第2動力伝達部32の駆動に対し第1動力伝達部31が抗する方向を「動力伝達部の踏戻し操作方向」という。
【0088】
ワンウェイクラッチ38は、動力伝達部の踏込操作方向において、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32を常に結合し、動力の伝達を行う構成である。
【0089】
また、ワンウェイクラッチ38は、動力伝達部の踏戻し操作方向において、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32とを相対回転させるトルクに応じて、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32との結合、空転を切り替える構成である。詳細には、ワンウェイクラッチ38は、動力伝達部の踏戻し操作方向において、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32とを相対回転させるトルクが所定のトルク閾値より小さい場合、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32とを結合させる。一方、ワンウェイクラッチ38は、動力伝達部の踏戻し操作方向において、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32とを相対回転させるトルクが所定のトルク閾値より大きい場合、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32とを空転させる。ここで、所定のトルク閾値は、駆動部30のモータディテントトルクと、駆動部30と第1動力伝達部31との摺動抵抗(具体的には、ギア摺動トルク)との和よりも大きく設定されたものである。また、所定のトルク閾値は、アクチュエータレバー付勢部材37の付勢力よりも小さく設定されたものである。
【0090】
<アクセルペダル装置の各部の作動>
続いて、第3実施形態のアクセルペダル装置の各部の作動について説明する。
図14は、アクセル操作機能の実行時、フットレスト化時、フットレスト機能の実行時、およびフットレスト自動解除時において、アクセルペダル装置の各部の作動を示したタイムチャートである。
【0091】
図14の時刻T21から時刻T23は、アクセル操作機能が実行されている状態を示している。このとき、入力部9から制御装置110に対しフットレスト化の指令はオフされている。時刻T21から時刻T22の間、モータ制御装置7は駆動部30への通電をオフしている。そのため、ペダル踏力は、ペダル付勢部材13の付勢力に対応したものとなる。時刻T22から時刻T23の間、モータ制御装置7は駆動部30への通電をオンしている。そのため、ペダル踏力は、ペダル付勢部材13の付勢力と、駆動部30の出力するトルクとの和に対応したものとなる。
【0092】
ここで、上述したように、ワンウェイクラッチ38は、動力伝達部の踏込操作方向において、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32を常に結合する。そのため、運転者がペダルパッド10に印加する踏力を増加してペダルパッド10を踏込操作するとき、ワンウェイクラッチ38は、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32を常に結合する。そのため、アクセル操作機能を反力不感帯なく実行できる。
【0093】
また、上述したように、ワンウェイクラッチ38は、動力伝達部の踏戻し操作方向において、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32とを相対回転させるトルクが所定のトルク閾値より小さい場合、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32とを結合させる。その所定のトルク閾値は、駆動部30のモータディテントトルクと、駆動部30と第1動力伝達部31との摺動抵抗との和よりも大きく設定されている。そのため、運転者がペダルパッド10に印加する踏力を減少してペダルパッド10の踏戻し操作をするとき、ワンウェイクラッチ38は、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32とを結合する。そのため、第1動力伝達部31に設けられた被ロック部40と第2動力伝達部32との相対位置関係が維持される。したがって、被ロック部40が意図せず当接位置に移動することを防止できる。なお、図13では、非当接位置の範囲を矢印αで示し、当接位置の範囲を矢印βで示している。
【0094】
時刻T23から時刻T24は、ペダルパッド10が全閉位置にある状態を示している。この状態は、例えば、運転者がブレーキペダルを操作しているとき、車両が停止しているとき、或いは、運転者がペダルパッド10から足を離し、車両が自動運転を実行しているときなどである。この状態で、次のフットレス化を実行可能である。
【0095】
時刻T24から時刻T25は、フットレスト化が実行される状態を示している。時刻T24で入力部9から制御装置110に対しフットレスト化の指令(即ち、フットレスト信号オン)が入力されると、モータ制御装置7はペダルパッド10が全閉位置にあることを確認した後、フットレスト化を実行する。具体的に、モータ制御装置7は、駆動部30を駆動して第1動力伝達部31を回転させ、被ロック部40を非当接位置から当接位置に移動する。
【0096】
ここで、上述したように、ワンウェイクラッチ38は、動力伝達部の踏戻し操作方向において、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32とを相対回転させるトルクが所定のトルク閾値より大きい場合、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32とを空転させる。これにより、アクチュエータレバー付勢部材37等でアクチュエータレバー34を係止して第2動力伝達部32の位置を保った状態で、駆動部30により第1動力伝達部31および被ロック部40を駆動し、フットレスト化を実行できる。なお、アクチュエータレバー付勢部材37の付勢力は、所定のトルク閾値より大きく設定されている。
時刻T25でフットレスト化が完了すると、モータ制御装置7は、駆動部30への通電をオフする。
【0097】
時刻T25から時刻T27は、フットレスト機能が実行される状態を示している。時刻T25でフットレスト化が完了した後、運転者がペダルパッド10に足を置き、ペダルパッド10を任意のフットレスト位置まで踏込むと、時刻T26で被ロック部40とロックピン42とが当接し、ペダルパッド10の開方向の移動が規制される。これにより、フットレスト機能が実行される。
【0098】
時刻T27から時刻T28は、フットレストが自動解除される状態を示している。時刻T27で入力部9から制御装置110に対しフットレストの解除指令(即ち、フットレスト信号オフ)が入力されると、モータ制御装置7はペダルパッド10が全閉位置に戻されていることを確認した後、フットレストの自動解除を実行する。モータ制御装置7は、駆動部30を駆動して第1動力伝達部31を回転させ、被ロック部40を当接位置から非当接位置に移動する。このとき、駆動部30は、ワンウェイクラッチ38を空転させるため、被ロック部40がロックピン42を乗り越える方向に第1動力伝達部31を駆動して、被ロック部40を非当接位置に移動させる。時刻T28でフットレストの自動解除が完了すると、モータ制御装置7は、駆動部30への通電をオフする。なお、時刻T28以降は、アクセル操作機能が実行される。
【0099】
なお、第3実施形態のアクセルペダル装置において、フットレスト機能の踏込み解除に関しては、ワンウェイクラッチ38への通電が不要なことを除き、第1実施形態で説明したものと実質的に同一であるので説明を省略する。
【0100】
以上説明した第3実施形態のアクセルペダル装置も、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0101】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。第4実施形態は、第1実施形態等に対して動力伝達機構3の構成を変更したものであり、その他については第1実施形態等と同様であるため、第1実施形態等と異なる部分についてのみ説明する。
【0102】
図15に示すように、第4実施形態のアクセルペダル装置も、ハウジング2、ペダルレバー1、動力伝達機構3、ロック機構4などを備えている。動力伝達機構3は、駆動部30、第1動力伝達部31、第2動力伝達部32、クラッチ機構33などを有している。第4実施形態では、第1動力伝達部31、第2動力伝達部32、クラッチ機構33は、直線状に形成されている。なお、クラッチ機構33は、電磁クラッチが採用される。
【0103】
図15は、アクセル操作機能の実行時の状態を示している。クラッチ機構33は、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32を結合状態とする。そのため、駆動部30は、運転者の踏力に対する反力をペダルパッド10に印加することが可能である。
【0104】
フットレスト化を実行する際、クラッチ機構33は、第1動力伝達部31と第2動力伝達部32を空転状態とする。そして、駆動部30は、第1動力伝達部31を駆動し、被ロック部40がロックピン42を乗り越えるように移動させる。
【0105】
図16は、フットレスト機能の実行時の状態を示している。クラッチ機構33は第1動力伝達部31と第2動力伝達部32を結合状態とする。運転者がペダルパッド10に足を置き、ペダルパッド10を任意のフットレスト位置まで踏込むと、被ロック部40とロックピン42とが当接し、ペダルパッド10の開方向の移動が規制される。これにより、ペダルパッド10を任意の角度でフットレスト化できる。
【0106】
以上説明した第4実施形態のアクセルペダル装置も、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。なお、第4実施形態に比べて、上記第1~第3実施形態は、動力伝達機構3を小型化できる。
【0107】
(他の実施形態)
(1)上記各実施形態では、アクセルペダル装置はオルガン型のものについて説明したが、それに限らず、例えば、ペンダント型のものでもよい。ペンダント型のアクセルペダル装置とは、ペダルパッド10のうち運転者が踏力を印加する部位が、ペダルパッド10の回転の軸心よりも車両上下方向下側に配置されるものをいう。
【0108】
(2)上記各実施形態では、第1動力伝達部31、第2動力伝達部32、クラッチ機構33を同軸に配置した構成について説明したが、それに限らず、例えば、第1動力伝達部31、第2動力伝達部32、クラッチ機構33を径方向に並べて配置してもよい。
【0109】
(3)上記各実施形態では、第2動力伝達部32とアクチュエータレバー34とを固定した構成について説明したが、それに限らず、例えば、第2動力伝達部32とアクチュエータレバー34とはギアにより接続してもよい。その場合、ペダルパッド10の踏込み操作、踏戻し操作に対する第1動力伝達部31、第2動力伝達部32、駆動部30それぞれの回転方向は、ギアの数に応じて、上記各実施形態で説明したものと逆になることがある。
【0110】
(4)上記各実施形態では、電磁クラッチは、通電時に第1動力伝達部31と第2動力伝達部32とを空転させ、無通電時に第1動力伝達部31と第2動力伝達部32とを結合するものについて説明したが、それに限らない。電磁クラッチは、通電時に第1動力伝達部31と第2動力伝達部32とを結合し、無通電時に第1動力伝達部31と第2動力伝達部32とを空転させる構成でもよい。その場合、アクセル操作機能の実行時に駆動部30の動力をペダルパッド10に付与しないとき、電磁クラッチを無通電として第1動力伝達部31と第2動力伝達部32とを空転させてもよい。
【0111】
(5)上記各実施形態では、被ロック部40は、第1動力伝達部31の外壁から径方向外側に突出する凸部として説明したが、それに限らず、例えば、第1動力伝達部31の外壁から径方向内側に凹む凹部としてもよい。
【0112】
(6)上記各実施形態では、第2動力伝達部32とペダルパッド10は、アクチュエータレバー34を介して動力が伝達される構成について説明したが、それに限らず、例えば、第2動力伝達部32とペダルパッド10は、動力が直接伝達される構成としてもよい。
【0113】
本開示は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態およびその一部は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0114】
本開示に記載の制御装置110及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御装置110及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御装置110及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0115】
(本開示の観点)
上記した本開示については、例えば以下に示す観点として把握することができる。
[第1の観点]
アクセル操作機能とフットレスト機能を有するアクセルペダル装置において、
前記アクセル操作機能の実行時において運転者の踏力が印加されていないときに全閉位置となり、前記運転者の踏力の増加により全開位置まで移動するペダルパッド(10)と、
通電により駆動する駆動部(30)と、
前記駆動部から動力が伝達されて駆動する第1動力伝達部(31)と、
前記第1動力伝達部から伝達される動力および前記ペダルパッドから伝達される前記運転者の踏力により駆動可能であると共に、前記第1動力伝達部から伝達される動力を前記ペダルパッドに伝達可能な第2動力伝達部(32)と、
前記第1動力伝達部と前記第2動力伝達部との間の動力の伝達および遮断を切り替えるクラッチ機構(33)と、
前記第1動力伝達部と共に移動する被ロック部(40)と、
前記被ロック部に当接すると前記被ロック部の移動および前記第1動力伝達部の駆動を規制可能なロックピン(42)と、
前記駆動部の駆動を制御することにより、前記アクセル操作機能の実行時に、前記被ロック部と前記ロックピンとが当接しない非当接位置に前記被ロック部を移動し、前記フットレスト機能の実行時に、前記被ロック部と前記ロックピンとが前記ペダルパッドが任意のフットレスト位置にあるときに当接する当接位置に前記被ロック部を移動する制御装置(110)と、を備えるアクセルペダル装置。
[第2の観点]
前記アクセル操作機能から前記フットレスト機能に切り替えるフットレスト化時において、前記クラッチ機構は、前記第1動力伝達部と前記第2動力伝達部との間の動力の伝達を遮断し、前記駆動部は、前記第1動力伝達部を駆動して前記被ロック部を前記非当接位置から前記当接位置に移動し、
前記フットレスト機能の実行時において、前記クラッチ機構は、前記第1動力伝達部と前記第2動力伝達部との間の動力を伝達し、前記駆動部は、駆動を停止し、
前記フットレスト機能から前記アクセル操作機能に切り替えるフットレスト解除時において、前記クラッチ機構は、前記第1動力伝達部と前記第2動力伝達部との間の動力の伝達を遮断し、前記駆動部は、前記第1動力伝達部を駆動して前記被ロック部を前記当接位置から前記非当接位置に移動し、
前記アクセル操作機能の実行時において、前記クラッチ機構は、前記第1動力伝達部と前記第2動力伝達部との間の動力を伝達し、前記駆動部は任意の動力を前記第1動力伝達部から前記クラッチ機構および前記第2動力伝達部を経由して前記ペダルパッドに印加可能である、第1の観点に記載のアクセルペダル装置。
[第3の観点]
前記ロックピンの変位を所定の弾性力で規制するロック弾性部材(43)をさらに備え、
前記フットレスト機能の実行中に、前記ペダルパッドから前記第2動力伝達部、前記クラッチ機構、前記第1動力伝達部および前記被ロック部を経由して前記ロックピンに伝わる前記運転者の踏力が所定の解除踏力より大きくなると、前記ロック弾性部材の弾性力に抗して前記ロックピンが変位し、前記ペダルパッドを前記フットレスト位置より前記全開位置側に踏込むことが可能に構成されている、第1または第2の観点に記載のアクセルペダル装置。
[第4の観点]
前記被ロック部の位置または前記第1動力伝達部の角度を検出可能な回転位置センサ(5)をさらに備え、
前記制御装置は、前記回転位置センサの検出信号に基づいて前記駆動部の駆動を制御し、前記被ロック部を移動する、第1ないし第3の観点のいずれか1つに記載のアクセルペダル装置。
[第5の観点]
前記アクセル操作機能から前記フットレスト機能に切り替えるフットレスト化を実行する際、前記制御装置は、前記ペダルパッドが前記フットレスト位置よりも前記全閉位置側にあるときに前記駆動部を駆動して前記被ロック部を前記非当接位置から前記当接位置に移動する、第1ないし第4の観点のいずれか1つに記載のアクセルペダル装置。
[第6の観点]
前記被ロック部の位置または前記第1動力伝達部の角度を検出可能な回転位置センサ(5)をさらに備え、
前記制御装置は、前記アクセル操作機能の実行中、前記回転位置センサの検出信号に基づき、前記被ロック部が前記非当接位置内に設定した所定の範囲内から逸脱したことを検知すると、前記ペダルパッドが前記全閉位置にあるとき、前記クラッチ機構を空転させ、前記駆動部を駆動して前記被ロック部を前記所定の範囲内に移動する、第1ないし第5の観点のいずれか1つに記載のアクセルペダル装置。
[第7の観点]
前記制御装置は、予め定めたタイミングで前記駆動部を駆動し、前記被ロック部を前記非当接位置内に設定した所定の範囲内、または前記所定の範囲内に設定した初期位置に移動する、第1ないし第6の観点のいずれか1つに記載のアクセルペダル装置。
[第8の観点]
前記クラッチ機構は、ワンウェイクラッチ(38)であり、
前記ペダルパッドが前記全開位置側へ踏込操作されることに伴う前記第2動力伝達部の駆動に対し前記第1動力伝達部が抗する方向において、前記第1動力伝達部と前記第2動力伝達部を常に結合し、
前記ペダルパッドが前記全閉位置側へ踏戻し操作されることに伴う前記第2動力伝達部の駆動に対し前記第1動力伝達部が抗する方向において、前記第1動力伝達部と前記第2動力伝達部とを相対回転させるトルクが所定のトルク閾値より小さい場合、前記第1動力伝達部と前記第2動力伝達部とを結合し、
前記ペダルパッドが前記全閉位置側へ踏戻し操作されることに伴う前記第2動力伝達部の駆動に対し前記第1動力伝達部が抗する方向において、前記第1動力伝達部と前記第2動力伝達部とを相対回転させるトルクが前記所定のトルク閾値より大きい場合、前記第1動力伝達部と前記第2動力伝達部とを空転させる、第1ないし第7の観点のいずれか1つに記載のアクセルペダル装置。
[第9の観点]
前記所定のトルク閾値は、前記駆動部のモータディテントトルクと、前記駆動部と前記第1動力伝達部との摺動抵抗との和よりも大きく設定される、第8の観点に記載のアクセルペダル装置。
[第10の観点]
前記クラッチ機構は、前記第1動力伝達部と前記第2動力伝達部との間の動力の伝達および遮断を任意に切り替え可能な電磁クラッチである、第1ないし第7の観点のいずれか1つに記載のアクセルペダル装置。
[第11の観点]
前記電磁クラッチは、通電時に前記第1動力伝達部と前記第2動力伝達部との間の動力の伝達を遮断し、無通電時に前記第1動力伝達部と前記第2動力伝達部との間の動力を伝達する構成である、第10の観点に記載のアクセルペダル装置。
[第12の観点]
前記ロックピンの変位を所定の弾性力で規制するロック弾性部材(43)と、
前記被ロック部、前記第1動力伝達部または前記駆動部の位置または角度を検出可能な回転位置センサ(5)と、
前記ペダルパッドの開度を検出可能なペダル開度センサ(6)と、をさらに備え、
前記制御装置は、前記フットレスト機能の実行中に、前記回転位置センサまたは前記ペダル開度センサの検出信号に基づいて、前記ペダルパッドが前記フットレスト位置よりも前記全開位置側に踏込まれたことが検知されると、前記駆動部を駆動して前記被ロック部を前記非当接位置に移動する、第1ないし第11の観点のいずれか1つに記載のアクセルペダル装置。
【符号の説明】
【0116】
7 モータ制御装置(制御装置)
8 クラッチ制御装置(制御装置)
10 ペダルパッド
30 駆動部
31 第1動力伝達部
32 第2動力伝達部
33 クラッチ機構
40 被ロック部
42 ロックピン
110 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16