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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025022520
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】アクセルペダル装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 26/02 20060101AFI20250206BHJP
   G05G 1/30 20080401ALI20250206BHJP
   G05G 1/60 20080401ALI20250206BHJP
   G05G 5/06 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
B60K26/02
G05G1/30 E
G05G1/60
G05G5/06 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127183
(22)【出願日】2023-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】本田 篤史
(72)【発明者】
【氏名】北 卓人
【テーマコード(参考)】
3D037
3J070
【Fターム(参考)】
3D037EA01
3D037EA03
3D037EB02
3J070AA32
3J070BA03
3J070BA51
3J070CB01
3J070CB37
3J070CC71
3J070CD03
3J070CD06
3J070CE04
3J070DA01
(57)【要約】
【課題】アクセル操作時の反力不感帯を無くし、フットレスト使用時の運転者の快適感を向上できるアクセルペダル装置を提供する。
【解決手段】アクセル操作機能とフットレスト機能を有するアクセルペダル装置は、ペダルパッド10、駆動部30、動力伝達部31、被ロック部40、ロックピン42、ロックピン移動機構50および制御装置110を備える。制御装置110は、アクセル操作機能の実行時に、ロックピン移動機構50の駆動を制御し、ロックピン42を被ロック部40に当接しない非当接位置に移動する。また、制御装置110は、フットレスト機能の実行時に、ロックピン移動機構50の駆動を制御し、ロックピン42を被ロック部40に当接する当接位置に移動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクセル操作機能とフットレスト機能を有するアクセルペダル装置において、
前記アクセル操作機能の実行時において運転者の踏力が印加されていないときに全閉位置となり、前記運転者の踏力の増加により全開位置まで移動するペダルパッド(10)と、
通電により駆動する駆動部(30)と、
前記駆動部から伝達される動力、および、前記ペダルパッドから伝達される前記運転者の踏力により駆動可能であると共に、前記駆動部から伝達される動力を前記ペダルパッドに伝達可能な動力伝達部(31)と、
前記動力伝達部と共に移動する被ロック部(40)と、
前記ペダルパッドが前記全閉位置と前記全開位置との間の任意のフットレスト位置にあるときに前記被ロック部に当接可能であり、前記被ロック部に当接すると前記被ロック部の移動および前記動力伝達部の駆動を規制するロックピン(42)と、
前記ロックピンを前記被ロック部に当接する当接位置と、前記被ロック部に当接しない非当接位置に移動可能なロックピン移動機構(50)と、
前記ロックピン移動機構の駆動を制御することにより、前記アクセル操作機能の実行時に前記ロックピンを前記非当接位置に移動し、前記フットレスト機能の実行時に前記ロックピンを前記当接位置に移動する制御装置(110)と、を備えるアクセルペダル装置。
【請求項2】
前記フットレスト位置は、前記ペダルパッドが前記全閉位置よりも前記全開位置側に踏込まれた位置に設定されている、請求項1に記載のアクセルペダル装置。
【請求項3】
前記ロックピン移動機構は、前記フットレスト機能の実行時に前記ロックピンを前記当接位置に移動した後、前記ロックピンを前記当接位置に無通電で保持可能な構成である、請求項1または2に記載のアクセルペダル装置。
【請求項4】
前記ロックピンの変位を所定の弾性力で規制するロック弾性部材(43)をさらに備え、
前記フットレスト機能の実行中に、前記ペダルパッドから前記動力伝達部および前記被ロック部を経由して前記ロックピンに伝わる前記運転者の踏力が所定の解除踏力より大きくなると、前記ロック弾性部材の弾性力に抗して前記ロックピンが変位し、前記ペダルパッドを前記フットレスト位置より前記全開位置側に踏込むことが可能であり、
前記ロックピン移動機構が前記ロックピンを前記当接位置に無通電で保持する保持力は、前記所定の解除踏力よりも大きく設定されている、請求項3に記載のアクセルペダル装置。
【請求項5】
前記アクセル操作機能から前記フットレスト機能に切り替えるフットレスト化を実行する際、前記制御装置は、前記ペダルパッドが前記フットレスト位置よりも前記全閉位置側にあるときに前記ロックピン移動機構を駆動し、前記ロックピンを前記非当接位置から前記当接位置に移動する、請求項1または2に記載のアクセルペダル装置。
【請求項6】
前記ロックピンの変位を所定の弾性力で規制するロック弾性部材(43)と、
前記ペダルパッドの開度を検出可能なペダル開度センサ(6)と、をさらに備え、
前記制御装置は、前記フットレスト機能の実行中に、前記ペダル開度センサの検出信号に基づいて、前記ペダルパッドが前記フットレスト位置よりも前記全開位置側に踏込まれたことが検知されると、前記ロックピン移動機構を駆動し、前記ロックピンを前記非当接位置に移動する、請求項1または2に記載のアクセルペダル装置。
【請求項7】
前記ロックピンの位置を検出するロックピン位置センサ(5)をさらに備え、
前記制御装置は、前記アクセル操作機能の実行中に、前記ロックピン位置センサの信号に基づいて前記ロックピンが前記当接位置にあることが検知されると、前記ロックピン移動機構を駆動し、前記ロックピンを前記非当接位置に移動する、請求項1または2に記載のアクセルペダル装置。
【請求項8】
前記ロックピンの変位を所定の弾性力で規制するロック弾性部材(43)をさらに備え、
前記フットレスト機能の実行中に、前記ペダルパッドから前記動力伝達部および前記被ロック部を経由して前記ロックピンに伝わる前記運転者の踏力が所定の解除踏力より大きくなると、前記ロック弾性部材の弾性力に抗して前記ロックピンが変位し、前記ペダルパッドを前記フットレスト位置より前記全開位置側に踏込むことが可能であり、
前記ロックピン移動機構は、前記ロックピンの位置調整、および、前記ロック弾性部材の軸長の変更により、前記所定の解除踏力を変更することの可能な解除踏力可変機構として機能する、請求項1または2に記載のアクセルペダル装置。
【請求項9】
前記ロックピン移動機構は、前記被ロック部が前記動力伝達部と共に移動する方向に前記ロックピンを移動して前記当接位置を変更することが可能である、請求項1または2に記載のアクセルペダル装置。
【請求項10】
前記被ロック部は、前記動力伝達部の複数個所に設けられ、
前記アクセル操作機能から前記フットレスト機能に切り替えるフットレスト化時において、前記制御装置は、前記駆動部を駆動して前記ペダルパッドを任意の角度に調整した後、前記ロックピン移動機構を駆動して前記ロックピンを前記非当接位置から前記当接位置に移動する、請求項1または2に記載のアクセルペダル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アクセル操作機能とフットレスト機能を有するアクセルペダル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のアクセルペダル装置は、ペダルパッド、第1動力伝達部、第2動力伝達部、駆動部、被ロック部およびロックピンなどを備えている。ペダルパッドは、運転者に踏込操作され、運転者の踏力が印加されていないときに全閉位置となり、運転者の踏力の増加により全開位置まで移動する。第1動力伝達部と第2動力伝達部とは同軸に設けられる。第1動力伝達部は、駆動部により駆動され、第2動力伝達部は、ペダルパッドと共に駆動する。ロックピンは、第1動力伝達部に設けられた被ロック部を係止可能である。
【0003】
このアクセルペダル装置は、アクセル操作機能を実行するとき、運転者がペダルパッドを操作すると、ペダルパッドが全閉位置から全開位置に向かう途中で、第1動力伝達部に設けられた第1ストッパと第2動力伝達部に設けられた第2ストッパとが当接する。これにより、駆動部が出力するトルクを第1動力伝達部から第2動力部を経由してペダルパッドに伝えることが可能となる。そのため、そのトルクの調整により、運転者がペダルパッドに印加する踏力に対する反力を付与できる。
【0004】
また、このアクセルペダル装置は、フットレスト機能を実行するとき、ペダルパッドが全閉位置にあるときに、駆動部により第1動力伝達部を駆動し、被ロック部をロックピンに係止される位置に移動可能である。そのとき、第1ストッパは第2ストッパに隣接する位置に移動する。その状態で、運転者がペダルパッドに足を置くと、足の重みでペダルパッドが開方向に僅かに移動して第1ストッパと第2ストッパとが当接し、第1動力伝達部と第2動力伝達部の動作が規制される。これにより、駆動部に無通電で、ペダルパッドをフットレスト化できる。
【0005】
なお、このアクセルペダル装置は、フットレスト機能の実行中、緊急時などに、運転者がペダルパッドを強く踏込むと、被ロック部とロックピンとの係止状態が解除され、運転者はアクセル操作を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2023-62895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のアクセルペダル装置は、アクセル操作機能の実行時において、ペダルパッドの踏込み開始から第1ストッパと第2ストッパが当接するまでの間、駆動部の出力するトルクをペダルパッドに伝えることできない反力不感帯が存在する。
【0008】
また、このアクセルペダル装置は、フットレスト機能の実行時において、ペダルパッドをフットレスト化できる位置が全閉位置付近に限られる。一般に、ペダルパッドの全閉位置は、運転者が足の踵に対して足指を車両上方に立てた状態でペダルパッドに足を置く状態となるので、フットレストの使用時の快適感が低下することが懸念される。
【0009】
本開示は上記点に鑑みて、アクセル操作時の反力不感帯を無くし、フットレスト使用時の運転者の快適感を向上できるアクセルペダル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の1つの観点によると、アクセル操作機能とフットレスト機能を有するアクセルペダル装置は、
アクセル操作機能の実行時において運転者の踏力が印加されていないときに全閉位置となり、運転者の踏力の増加により全開位置まで移動するペダルパッド(10)と、
通電により駆動する駆動部(30)と、
駆動部から伝達される動力、および、ペダルパッドから伝達される運転者の踏力により駆動可能であると共に、駆動部から伝達される動力をペダルパッドに伝達可能な動力伝達部(31)と、
動力伝達部と共に移動する被ロック部(40)と、
ペダルパッドが全閉位置と全開位置との間の任意のフットレスト位置にあるときに被ロック部に当接可能であり、被ロック部に当接すると被ロック部の移動および動力伝達部の駆動を規制するロックピン(42)と、
ロックピンを被ロック部に当接する当接位置と、被ロック部に当接しない非当接位置に移動可能なロックピン移動機構(50)と、
ロックピン移動機構の駆動を制御することにより、アクセル操作機能の実行時にロックピンを非当接位置に移動し、フットレスト機能の実行時にロックピンを当接位置に移動する制御装置(110)と、を備える。
【0011】
これによれば、アクセル操作機能の実行時において、ロックピンを非当接位置にすると、ペダルパッドが全閉位置から全開位置の全領域において、駆動部の動力を動力伝達部からペダルパッドに伝達可能となる。したがって、アクセル操作時の実行時に、駆動部の動力をペダルパッドに伝達できないといった反力不感帯を生ずることが無い。
また、フットレスト機能の実行時において、ロックピンを当接位置にすると、運転者がペダルパッドを任意のフットレスト位置まで踏込んだとき、ロックピンと被ロックピンとが当接する。そのため、被ロック部と動力伝達部を経由して、ペダルパッドの開方向の移動が規制される。したがって、ペダルパッドを任意の角度でフットレスト化できるので、フットレストの使用時の快適感を向上できる。
なお、フットレスト位置とは、ペダルパッドの踏込みにより、踏力がペダルパッドから動力伝達部を経由して被ロックピンに伝わり、ロックピンと被ロックピンとが当接してペダルパッドの開方向への移動が規制される位置である。
【0012】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態に係るアクセルペダル装置において、アクセル操作機能の実行時にペダルパッドが全閉位置にある状態を示す概略図である。
図2】第1実施形態に係るアクセルペダル装置の制御ブロック図である。
図3】第1実施形態に係るアクセルペダル装置が備えるロックピンとロックピン移動機構の一例を示す概略図である。
図4】第1実施形態に係るアクセルペダル装置が備えるロックピン移動機構の作動を説明するための説明図である。
図5】第1実施形態に係るアクセルペダル装置が備えるロックピン移動機構の作動を説明するための説明図である。
図6】第1実施形態に係るアクセルペダル装置において、アクセル操作機能の実行時にペダルパッドが全開位置にある状態を示す概略図である。
図7】第1実施形態に係るアクセルペダル装置において、フットレス化時の状態を示す概略図である。
図8】第1実施形態に係るアクセルペダル装置において、フットレスト機能の実行時の状態を示す概略図である。
図9】第1実施形態に係るアクセルペダル装置において、フットレスト自動解除時の状態を示す概略図である。
図10】第1実施形態に係るアクセルペダル装置において、フットレスト踏込み解除時の状態を示す概略図である。
図11】第1実施形態に係るアクセルペダル装置が備える各構成の作動を示すタイムチャートである。
図12】第1実施形態に係るアクセルペダル装置が備える各構成の作動を示すタイムチャートである。
図13】第1実施形態に係るアクセルペダル装置において、フットレス化時の制御処理を説明するためのフローチャートである。
図14】第2実施形態に係るアクセルペダル装置において、フットレス化時の状態を示す概略図である。
図15】第3実施形態に係るアクセルペダル装置を示す概略図である。
図16】第3実施形態に係るアクセルペダル装置が備えるロックピン移動機構の作動を説明するための説明図である。
図17】第3実施形態に係るアクセルペダル装置が備えるロックピン移動機構の作動を説明するための説明図である。
図18】第3実施形態に係るアクセルペダル装置が備えるロックピン移動機構の作動を説明するための説明図である。
図19】第3実施形態に係るアクセルペダル装置が備えるロックピン移動機構の作動を説明するための説明図である。
図20】第3実施形態に係るアクセルペダル装置が備えるロックピン移動機構の作動を説明するための説明図である。
図21】第4実施形態に係るアクセルペダル装置を示す概略図である。
図22】第5実施形態に係るアクセルペダル装置を示す概略図である。
図23】第6実施形態に係るアクセルペダル装置において、アクセル操作機能の実行時にペダルパッドが全閉位置にある状態を示す概略図である。
図24】第6実施形態に係るアクセルペダル装置において、フットレスト機能の実行時の状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0015】
(第1実施形態)
第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。第1実施形態のアクセルペダル装置は、アクセル操作機能とフットレスト機能を有するものである。具体的に、アクセルペダル装置は、運転者が車両に加速を指示するアクセル操作機能を実行する際、運転者がペダルパッド10に印加する踏力に対して適切な反力を付与することが可能である。また、このアクセルペダル装置は、車両の自動運転時などにフットレスト機能を実行する際、ペダルパッド10を任意のフットレスト位置で固定してフットレスト化することが可能である。
【0016】
第1実施形態では、オルガン型のアクセルペダル装置を例にして説明する。オルガン型のアクセルペダル装置とは、ペダルパッド10のうち運転者が踏力を印加する部位が、ペダルパッド10の回転の軸心(即ち、第1支点部材15)よりも車両上下方向上側に配置されるものをいう。
【0017】
<アクセルペダル装置の構成>
図1および図2に示すように、アクセルペダル装置は、ペダルレバー1、ハウジング2、動力伝達機構3、ロック機構4、ロックピン位置センサ5、ペダル開度センサ6、モータ制御装置7およびロックピン移動機構制御装置8などを備えている。
【0018】
ハウジング2は、車体に取り付けられ、ペダルレバー1、動力伝達機構3およびロック機構4などの支持部となるものである。
【0019】
ペダルレバー1は、ペダルパッド10、連結部11、同期可動部12およびペダル付勢部材13などを有している。ペダルパッド10は、運転者の足で踏まれる部位であり、車両のフロア14側のハウジング2に設けられる第1支点部材15により回転可能に支持されている。連結部11は、一方の端部16がペダルパッド10に回転可能に接続され、他方の端部17が同期可動部12に回転可能に接続されている。同期可動部12は、ペダルパッド10に対しフロア14側に設けられ、フロア14側のハウジング2に設けられる第2支点部材18により回転可能に支持されている。ペダル付勢部材13は、同期可動部12に対しフロア14側に設けられ、同期可動部12をペダルパッド10側へ付勢している。これにより、運転者がペダルパッド10に踏力を印加すると、ペダルパッド10と連結部11と同期可動部12は一体で駆動する。
【0020】
アクセル操作機能の実行時において、運転者の踏力が印加されていないときのペダルパッド10の位置を全閉位置といい、運転者の踏力の印加によりペダルパッド10が最大に移動した位置を全開位置という。ペダルパッド10の全閉位置は、不図示の全閉ストッパにより規定され、ペダルパッド10の全開位置は、不図示の全開ストッパにより規定されている。ペダル付勢部材13は、ペダルパッド10を、全閉位置の方向(以下、「閉方向」という)へ付勢している。
【0021】
動力伝達機構3は、駆動部30および動力伝達部31などを有している。駆動部30は、モータおよび不図示の減速機などで構成されている。駆動部30は、通電により駆動し、動力伝達部31にトルクを印加する。
【0022】
動力伝達部31は、円盤状に形成され、駆動部30から印加されるトルクにより軸心CLを中心として回転駆動する。動力伝達部31には、アクチュエータレバー34が接続されている。アクチュエータレバー34は、一方の端部35が動力伝達部31に固定され、他方の端部36がペダルパッド10の裏面(即ち、ペダルパッド10のうちフロア14側の面)に当接する。したがって、動力伝達部31は、駆動部30から印加されるトルクを、アクチュエータレバー34を経由してペダルパッド10に伝達可能である。一方、運転者の踏力の増加によりペダルパッド10が全閉位置から全開位置の方向(以下、「開方向」という)に移動すると、アクチュエータレバー34を経由して動力伝達部31に踏力が伝達される。そのため、動力伝達部31は、ペダルパッド10からアクチュエータレバー34を経由して伝達される運転者の踏力によっても回転駆動する。
【0023】
アクチュエータレバー付勢部材37は、ペダルパッド10の開方向への移動に伴ってアクチュエータレバー34が移動する方向とは反対方向へアクチュエータレバー34を付勢している。これにより、アクチュエータレバー34のうちペダルパッド10側の端部36は、ペダルパッド10の裏面に当接する。
【0024】
ロック機構4は、被ロック部40、収容部41、ロックピン42、ロック弾性部材43およびロックピン移動機構50などを有している。被ロック部40は、動力伝達部31に固定され、動力伝達部31の回転と共に移動する。具体的に、被ロック部40は、動力伝達部31のうち径方向外側の外壁に固定されている。ここで、動力伝達部31の回転の軸心CLと被ロック部40の中心とを結ぶ仮想線を第1仮想線VL1という。被ロック部40のうち動力伝達部31の回転方向を向く面は、動力伝達部31の径方向内側から径方向外側に向かう方向において第1仮想線VL1側に近づくように傾斜する傾斜面44となっている。
【0025】
収容部41は、ロックピン移動機構50が有するシャフト51の端部に設けられている。収容部41は、その内側にロックピン42とロック弾性部材43を収容している。ロックピン42の一部は、収容部41に設けられた開口から、動力伝達部31に向かって突出している。ここで、ロックピン42の中心を通りロックピン42の移動方向に延びる仮想線を第2仮想線VL2という。ロックピン42のうち動力伝達部31の回転方向を向く面は、ロック弾性部材43側から動力伝達部31側に向かう方向において第2仮想線VL2側に近づくように傾斜する傾斜面45となっている。
【0026】
ロック弾性部材43は、ロックピン42を動力伝達部31側へ付勢している。したがって、ロック弾性部材43は、ロックピン42が収容部41内に入り込む方向に変位することを所定の弾性力で規制している。この構成により、図8に示すように、ロックピン42と被ロック部40とが当接すると、ロックピン42は、被ロック部40および動力伝達部31の開方向への回転を所定の解除踏力により規制することが可能である。なお、被ロック部40および動力伝達部31の開方向とは、ペダルパッド10の開方向への回転に伴い動力伝達部31が回転する方向である。所定の解除踏力については後述する。
【0027】
ロックピン移動機構50は、ハウジング2に設けられている。ロックピン移動機構50は、収容部41、ロック弾性部材43およびロックピン42を一体で動力伝達部31に近付ける動作と、それらを一体で動力伝達部31から遠ざける動作を行うことが可能である。図8に示すように、ロックピン移動機構50がロックピン42等を動力伝達部31に近付けると、ペダルパッド10が任意のフットレスト位置にあるときに、ロックピン42は被ロック部40に当接可能となる。そのロックピン42の位置を「当接位置」または「ロック位置」という。
なお、フットレスト位置とは、ペダルパッド10の踏込みによりロックピン42と被ロック部40とが当接してペダルパッド10の開方向への移動が規制される位置であり、ペダルパッド10の全閉位置から全開位置までの任意の位置に設定される。第1実施形態では、フットレスト位置は、ペダルパッド10が全閉位置よりも全開位置側に所定角度踏込まれた位置に設定されている。
【0028】
一方、図1に示すように、ロックピン移動機構50がロックピン42を動力伝達部31から遠ざけると、ペダルパッド10が全閉位置から全開位置まで移動する際に、ロックピン42は被ロック部40に当接しない。そのロックピン42の位置を「非当接位置」または「解除位置」という。このように、ロックピン移動機構50は、ロックピン42を当接位置(即ち、ロック位置)と、非当接位置(即ち、解除位置)とに移動可能である。
【0029】
ロックピン移動機構50は、ロックピン42を当接位置と非当接位置に無通電で保持可能な構成である。ロックピン移動機構50の一例を図3図5に示す。
【0030】
図3に示すように、ロックピン移動機構50は、シャフト51、ケース52、ソレノイドコイル53および永久磁石54などを備えている。ケース52は、磁性体で形成され、その内側に、シャフト51の一部、ソレノイドコイル53および永久磁石54などを収容している。シャフト51は、磁性体で形成され、ケース52に対し、シャフト51の軸心が延びる方向(以下、「シャフト51の軸心方向」という)に往復移動可能に設けられている。シャフト51のうち、ケース52から外側に突出する部位に収容部41、ロックピン42およびロック弾性部材43が設けられる。以下の説明では、シャフト51の軸心方向において収容部41等が配置される側を一方側といい、それとは反対側を他方側という。
【0031】
ソレノイドコイル53と永久磁石54は、筒状に形成され、ケース52の内側でシャフト51の軸心方向に並べて配置されている。永久磁石54は、シャフト51の軸心方向の一方側と他方側に磁極を有している。なお、ソレノイドコイル53と永久磁石54との間には非磁性体55が設けられている。永久磁石54に対しソレノイドコイル53とは反対側にも非磁性体56が設けられている。
【0032】
シャフト51のうちケース52の内側の部位に突起部57が設けられている。突起部57は、磁性体で形成されている。ケース52の内側において、突起部57に対しシャフト51の軸心方向の一方側と他方側にはそれぞれ、シャフト51の突起部57を磁気吸引するための吸引部58、59が設けられている。以下の説明では、吸引部のうち一方側(即ち、ロックピン42側)に設けられたものを第1吸引部58と呼び、吸引部のうち他方側(即ち、ロックピン42とは反対側)に設けられたものを第2吸引部59と呼ぶ。
【0033】
図3は、ソレノイドコイル53に対し無通電の状態の一例を示している。この状態で、永久磁石54が生じる磁界(以下、「永久磁石54の磁界」という)により、突起部57は第2吸引部59に磁気吸引され、シャフト51は他方側に移動している。
【0034】
図4は、ソレノイドコイル53に対し所定の方向に電流が流れるように通電した状態を示している。このとき、ソレノイドコイル53から生じる磁界と永久磁石54の磁界により、第2吸引部59側の磁気吸引力が相殺され、第1吸引部58側の磁気吸引力が強化される。そのため、矢印Aに示すように、突起部57が第1吸引部58に磁気吸引され、シャフト51は一方側に移動する。シャフト51が一方側に移動した後、ソレノイドコイル53に対する通電を停止しても、永久磁石54の磁界により、突起部57は第1吸引部58に磁気吸引された状態を保つ。したがって、ロックピン移動機構50は、ロックピン42を当接位置に無通電で保持可能である。なお、ロックピン移動機構50がロックピン42を当接位置に無通電で保持する保持力は、後述するロックピン42の解除踏力よりも大きく設定される。
【0035】
続いて、図5は、ソレノイドコイル53に対し、図4とは逆方向に電流が流れるように通電した状態を示している。このとき、ソレノイドコイル53から生じる磁界と永久磁石54の磁界により、第1吸引部58側の磁気吸引力が相殺され、第2吸引部59側の磁気吸引力が強化される。そのため、矢印Bに示すように、突起部57は第2吸引部59に磁気吸引され、シャフト51は他方側に移動する。シャフト51が他方側に移動した後、ソレノイドコイル53に対する通電を停止しても、永久磁石54の磁界により、突起部57は第2吸引部59に磁気吸引された状態を保つ。したがって、ロックピン移動機構50は、ロックピン42を非当接位置に無通電で保持可能である。
【0036】
図2に示すように、ロックピン位置センサ5は、ロックピン42の位置を検出する。ペダル開度センサ6は、ペダルパッド10の開度を検出する。入力部9は、運転者がフットレスト化の指令、および、フットレスト解除の指令を入力可能な機構である。入力部9は、例えば、運転者が操作可能なスイッチ、タッチパネルまたは音声入力用マイクなどでもよい。
【0037】
制御システム100は、車両に搭載される車両制御装置101、モータ制御装置7およびロックピン移動機構制御装置8を含んで構成されている。制御システム100を構成する各制御装置7、8、101と、ロックピン位置センサ5と、ペダル開度センサ6と、入力部9は、例えばCAN通信などによる車内LAN、またはワイヤーハーネス等を通じて接続されている。そのため、ロックピン位置センサ5の検出信号と、ペダル開度センサ6の検出信号と、入力部9の信号は、それぞれ制御システム100を構成する車両制御装置101、モータ制御装置7およびロックピン移動機構制御装置8に伝送される。
【0038】
車両制御装置101、モータ制御装置7およびロックピン移動機構制御装置8はいずれも、プロセッサと、ROM、RAM等のメモリーとを含むマイクロコンピュータ、および、その周辺回路を有する電子制御装置である。メモリーは、非遷移的実体的記憶媒体である。電子制御装置は、プロセッサがメモリーに格納されたプログラムを実行することで各部の制御を実行する。具体的に、車両制御装置101は、車両の走行状態等を制御する。モータ制御装置7は、駆動部30を構成するモータへの通電を制御することで、駆動部30の駆動を制御する。ロックピン移動機構制御装置8は、ロックピン移動機構50の有するソレノイドコイル53への通電を制御することで、ロックピン移動機構50の駆動を制御する。なお、モータ制御装置7とロックピン移動機構制御装置8は、アクセルペダル装置の制御装置110として一体に構成されていてもよい。以下の説明では、モータ制御装置7とロックピン移動機構制御装置8を纏めて「制御装置110」という。
【0039】
<アクセルペダル装置の各動作>
次に、第1実施形態のアクセルペダル装置が実行するアクセル操作機能、フットレスト機能と、それらの機能の切り替え動作について説明する。
【0040】
<アクセル操作機能の実行時>
図1は、アクセル操作機能の実行時にペダルパッド10が全閉位置にある状態を示している。ペダルパッド10は、ペダル付勢部材13の付勢力により全閉位置で保持されている。アクチュエータレバー34は、アクチュエータレバー付勢部材37の付勢力により、ペダルパッド10の裏面に当接している。このとき、ロックピン移動機構制御装置8は、ロックピン移動機構50の駆動を制御し、ロックピン42を非当接位置に移動している。
【0041】
図6は、アクセル操作機能の実行時に運転者がペダルパッド10を全開位置まで踏込んだ状態を示している。なお、図6では、ペダルパッド10の全閉位置を破線10aで示し、ペダルパッド10が全閉位置にあったときの被ロック部40の位置を破線40aで示している。ペダルパッド10が踏込まれると、それに伴って、動力伝達部31が回転する。動力伝達部31の回転に伴って、被ロック部40は、その動力伝達部31の回転方向に移動する。ロックピン42は非当接位置に移動しているので、ロックピン42と被ロック部40が当接することはない。駆動部30は、運転者の踏力に対する反力を、動力伝達機構3およびアクチュエータレバー34を経由してペダルパッド10に印加することが可能である。
【0042】
なお、制御装置110は、ロックピン位置センサ5の検出信号により、ロックピン42の位置を検出可能である。ロックピン移動機構制御装置8は、アクセル操作機能の実行中にロックピン42の位置を常に監視する。そして、ロックピン移動機構制御装置8は、ロックピン移動機構50の誤動作等によりロックピン42が当接位置にあることが検知されると、ロックピン移動機構50を駆動してロックピン42を非当接位置に移動する。これにより、ロックピン42と被ロック部40との干渉が防がれ、運転者のペダル操作の悪化を防ぐことができる。
【0043】
<フットレスト化時>
図7は、アクセル操作機能からフットレスト機能に切り替えるフットレスト化時の状態を示している。運転者が入力部9に対しフットレスト化の指令を入力することで、フットレスト化が開始される。このとき、ロックピン移動機構制御装置8は、ペダルパッド10がフットレスト位置よりも全閉位置側にあるときにロックピン移動機構50の駆動を制御し、矢印M1に示すように、ロックピン42を非当接位置から当接位置に移動する。なお、ロックピン移動機構制御装置8は、ペダルパッド10が全閉位置にあるときに駆動部30を駆動してもよい。ロックピン移動機構制御装置8は、ロックピン42を当接位置に移動した後、ロックピン移動機構50への通電を停止する。
【0044】
<フットレスト機能の実行時>
図8は、フットレスト機能の実行時の状態を示している。ロックピン移動機構50により、ロックピン42は当接位置で保持されている。運転者がペダルパッド10に足を置き、その重みでペダルパッド10が開方向へ移動すると、ペダルパッド10の動作に伴って動力伝達部31が回転し、それと共に被ロック部40がその動力伝達部31の回転方向に移動する。ペダルパッド10が任意のフットレスト位置まで踏込まれると、被ロック部40とロックピン42とが当接し、ペダルパッド10の開方向の移動が規制される。これにより、ペダルパッド10を任意の角度でフットレスト化できる。
【0045】
<フットレスト解除_自動解除時>
図9は、フットレスト機能からアクセル操作機能に切り替えるフットレスト解除のうち、運転者によるフットレスト機能の解除指令により、フットレスト機能の「自動解除」を実行する状態を示している。運転者が入力部9に対しフットレスト機能の解除指令をすると、ロックピン移動機構制御装置8は、ペダルパッド10が全閉状態に戻されていることを確認した後、ロックピン移動機構50の駆動を制御し、矢印M2に示すように、ロックピン42を当接位置から非当接位置に移動する。これにより、ペダルパッド10の開方向の移動の規制、即ち、フットレスト機能が解除され、運転者がペダルパッド10を踏込操作できるようになる。なお、ロックピン移動機構制御装置8は、ロックピン42を非当接位置に移動した後、ロックピン移動機構50への通電を停止する。
【0046】
<フットレスト解除_踏込み解除時>
図10は、フットレスト解除のうち、運転者がペダルパッド10を強く踏込んでフットレスト機能からアクセル操作機能に切り替える「踏込み解除」を実行する状態を示している。フットレスト機能の実行中に運転者がペダルパッド10に印加する踏力を大きくすると、その踏力は、ペダルパッド10からアクチュエータレバー34、動力伝達部31および被ロック部40を経由してロックピン42に伝わる。被ロック部40からロックピン42に伝わる運転者の踏力が、予め設定された所定の解除踏力より大きくなると、被ロック部40に押圧されたロックピン42はロック弾性部材43の弾性力に抗して収容部41の内側に入り込むように変位する。これにより、被ロック部40がロックピン42を乗り越えて移動するので、運転者はペダルパッド10をフットレスト位置よりも全開位置側へ踏込むことが可能である。なお、図10では、ペダルパッド10のフットレスト位置を破線10bで示している。
【0047】
運転者は、フットレスト機能の実行中であっても、緊急時には、ペダルパッド10を強く踏み込んでフットレスト機能を踏込み解除し、アクセル操作を行うことができる。なお、運転者がフットレストを踏込み解除するときに必要な所定の解除踏力は、ロック弾性部材43の弾性力、および、ロックピン42の有する傾斜面45の角度などにより設定されている。また、上述したように、ロックピン移動機構50がロックピン42を当接位置に無通電で保持する保持力は、解除踏力よりも大きく設定される。仮に、ロックピン移動機構50の保持力によって解除踏力を設定する場合、永久磁石54の温度特性などにより解除踏力を精密に設定することが困難になる。それに対し、ロックピン移動機構50の保持力を解除踏力よりも大きく設定することで、ロック弾性部材43の弾性力により解除踏力を精密に設定することが可能である。
【0048】
制御装置110は、フットレスト機能の実行中にペダルパッド10がフットレスト位置よりも全開位置側に踏込まれ、フットレスト機能が解除されたことを、ペダル開度センサ6の検出信号に基づいて検出可能である。このとき、ロックピン移動機構制御装置8は、ロックピン移動機構50の駆動を制御し、ロックピン42を当接位置から非当接位置に移動する。これにより、フットレスト機能からアクセル操作機能に切り替わり、その後、運転者がペダルパッド10を踏込操作しても、被ロック部40がロックピン42に干渉してアクチュエータレバー34とペダルパッド10とが離間して反力不感帯が生じるといったことが防がれる。
【0049】
<アクセルペダル装置の各部の作動>
続いて、第1実施形態のアクセルペダル装置の各部の作動について説明する。
図11は、アクセル操作機能の実行時、フットレスト化時、フットレスト機能の実行時、およびフットレスト自動解除時において、アクセルペダル装置の各部の作動を示したタイムチャートである。
【0050】
図11の時刻T1から時刻T2は、アクセル操作機能が実行され、且つ、駆動部30からペダルパッド10へ反力が付与されない状態を示している。このとき、入力部9から制御装置110に対しフットレスト化の指令(即ち、フットレスト信号)はオフされている。モータ制御装置7は駆動部30(即ち、モータ)への通電をオフする。ロックピン移動機構50への通電はオフされ、ロックピン42は非当接位置で保持されている。運転者がペダルパッド10に印加するペダル踏力は、ペダル付勢部材13の付勢力に対応したものとなる。
【0051】
時刻T2から時刻T3は、アクセル操作機能が実行され、且つ、駆動部30からペダルパッド10へ反力が付与される状態を示している。このときも、入力部9から制御装置110に対しフットレスト化の指令はオフされている。モータ制御装置7は、駆動部30への通電をオンする。ロックピン移動機構50への通電はオフされ、ロックピン42は非当接位置で保持されている。ペダル踏力は、ペダル付勢部材13の付勢力と、駆動部30の出力するトルクとの和に対応したものとなる。駆動部30への通電制御により、反力の強弱の変化や、断続的な反力付与を行うことも可能である。
【0052】
時刻T3から時刻T4は、ペダルパッド10が全閉位置にある状態を示している。この状態は、例えば、運転者がブレーキペダルを操作しているとき、車両が停止しているとき、または、運転者がペダルパッド10から足を離し、車両が自動運転を実行しているときなどである。この状態で、次のフットレス化を実行可能である。
【0053】
時刻T4から時刻T5は、フットレスト化が実行される状態を示している。時刻T4で入力部9から制御装置110にフットレスト化の指令(即ち、フットレスト信号オン)が入力されると、制御装置110はペダルパッド10が全閉位置にあることを確認した後、フットレスト化を実行する。具体的に、ロックピン移動機構制御装置8は、ロックピン移動機構50の駆動を制御し、ロックピン42を非当接位置から当接位置に移動する。時刻T5でフットレスト化が完了すると、ロックピン移動機構制御装置8は、ロックピン移動機構50への通電をオフする。
【0054】
時刻T5から時刻T7は、フットレスト機能が実行される状態を示している。時刻T5でフットレスト化が完了した後、運転者がペダルパッド10に足を置き、ペダルパッド10を任意のフットレスト位置まで踏込むと、時刻T6で被ロック部40とロックピン42とが当接し、ペダルパッド10の開方向の移動が規制される。これにより、フットレスト機能が実行される。
【0055】
時刻T7から時刻T8は、フットレストが自動解除される状態を示している。時刻T7で入力部9から制御装置110にフットレストの解除指令(即ち、フットレスト信号オフ)が入力されると、制御装置110はペダルパッド10が全閉位置に戻されていることを確認した後、フットレストの自動解除を実行する。具体的に、ロックピン移動機構制御装置8は、ロックピン移動機構50の駆動を制御し、ロックピン42を当接位置から非当接位置に移動する。時刻T8でフットレストの自動解除が完了すると、ロックピン移動機構制御装置8は、ロックピン移動機構50への通電をオフする。なお、時刻T8以降は、アクセル操作機能が実行される。
【0056】
次に、図12は、アクセル操作機能の実行時、フットレスト化時、フットレスト機能の実行時、およびフットレスト踏込み解除時において、アクセルペダル装置の各部の作動を示したタイムチャートである。
【0057】
図12の時刻T11から時刻T16までは、図11のT1から時刻T6におけるアクセルペダル装置の各部の作動と同じである。
【0058】
時刻T17から時刻T18で運転者がペダルパッド10に印加するペダル踏力を増加すると、その踏力は被ロック部40を経由してロックピン42に伝わる。時刻T18で、ペダル踏力が解除踏力以上になると、被ロック部40に押圧されてロックピン42はロック弾性部材43の弾性力に抗して収容部41の内側へ入り込むように変位する。これにより、被ロック部40がロックピン42を乗り越えて移動する。そのため、ペダルパッド10がフットレスト位置よりも開方向へ踏込まれ、ペダル開度がフットレスト時よりも開方向へ大きくなる。
【0059】
時刻T18で制御装置110は、ペダル開度センサ6の検出信号に基づいて、フットレスト機能が解除されたことを判定し、フットレスト化の指令を自らオフする。時刻T19から時刻T20で、ロックピン移動機構制御装置8は、ロックピン移動機構50の駆動を制御し、ロックピン42を当接位置から非当接位置に移動する。時刻T20でフットレストの踏込み解除が完了すると、ロックピン移動機構制御装置8は、ロックピン移動機構50への通電をオフする。なお、時刻T20以降は、アクセル操作機能が実行される。
【0060】
続いて、制御装置110がフットレスト化時に実行する制御処理について、図13のフローチャートを参照して説明する。
なお、以下の説明およびフローチャートでは、ステップを単に「S」と表記する。
【0061】
S100で制御装置110は、入力部9から運転者によるフットレスト化の指令が伝送されると、処理をS101に進める。
【0062】
S101で制御装置110は、ペダル開度センサ6の検出信号に基づいて、アクセル開度が全閉か否か、即ち、ペダルパッド10が全閉位置にあるか否かを判定する。制御装置110は、ペダルパッド10が全閉位置にない場合、処理をS102に移行し、運転者に対し、ペダルパッド10を全閉位置に戻すよう通知を行う。その通知は、例えば、音声、ランプまたはディスプレイ表示などにより行うことが可能である。
【0063】
一方、S101で制御装置110は、ペダルパッド10が全閉位置にあることを検知すると、処理をS103に進め、上述したフットレスト化を実行する。
【0064】
なお、上記S101で制御装置110は、ペダルパッド10が全閉位置にあるか否かを判定したが、制御装置110の実行する処理はこれに限らない。例えば、制御装置110は、ペダルパッド10がフットレスト位置よりも全閉位置側にあるか否かを判定してもよい。
【0065】
以上説明した第1実施形態のアクセルペダル装置は、次の作用効果を奏するものである。
(1)第1実施形態では、アクセルペダル装置の備えるロックピン移動機構制御装置8はロックピン移動機構50を駆動し、アクセル操作機能の実行時にロックピン42を非当接位置に移動し、フットレスト機能の実行時にロックピン42を当接位置に移動する。
これによれば、アクセル操作機能の実行時において、ロックピン移動機構50によりロックピン42を非当接位置にすると、ペダルパッド10が全閉位置から全開位置の全領域において、駆動部30の動力を動力伝達部31からペダルパッド10に伝達可能となる。したがって、アクセル操作時の実行時に、駆動部30の動力をペダルパッド10に伝達できないといった反力不感帯を生ずることが無い。
また、フットレスト機能の実行時において、ロックピン移動機構50によりロックピン42を当接位置にすると、運転者がペダルパッド10を任意のフットレスト位置まで踏込んだとき、ロックピン42と被ロック部40とが当接する。そのため、被ロック部40と動力伝達部31を経由して、ペダルパッド10の開方向の移動が規制される。したがって、ペダルパッド10を任意の角度でフットレスト化できるので、フットレストの使用時の快適感を向上できる。
【0066】
(2)第1実施形態では、フットレスト位置は、ペダルパッド10が全閉位置よりも全開位置側に踏込まれた位置に設定されている。
これによれば、仮に、フットレスト位置を全閉位置に設定すると、ロックピン42の取り付け位置がずれている場合、ロックピン42を非当接位置から当接位置に移動するときにロックピン42と被ロック部40が干渉する恐れがある。これにより、ロックピン42と被ロック部40に拘束力が発生し、さらに、アクセルペダル装置の各部に意図しない応力が作用することが懸念される。
それに対し、フットレスト位置をペダルパッド10が全閉位置よりも全開位置側に踏込まれた位置に設定することで、仮にロックピン42の取り付け位置がずれている場合でも、ロックピン42と被ロック部40との干渉による意図しない応力の発生を防ぐことが可能である。したがって、ロックピン42の取り付け位置の精度要求を緩和し、容易に製造できる。
また、フットレスト位置をペダルパッド10が全閉位置よりも全開位置側に踏込まれた位置に設定することで、フットレスト使用時の運転者の快適感を向上できる。
なお、本開示は、後述する第2実施形態で説明するように、フットレスト位置を全閉位置に設定することを排除するものではない。
【0067】
(3)第1実施形態では、ロックピン移動機構50は、フットレスト機能の実行時にロックピン42を当接位置に移動した後、ロックピン42を当接位置に無通電で保持可能な構成である。
これによれば、フットレスト機能の実行時にロックピン移動機構50への通電が不要となるので、省電力化できる。なお、本実施形態では、ロックピン移動機構50への通電は、フットレスト化時とフットレスト解除時に限られるので、より省電力化できる。
【0068】
(4)第1実施形態では、ロック弾性部材43は、ロックピン42の変位を所定の弾性力で規制する。そして、ロックピン移動機構50がロックピン42を当接位置に無通電で保持する保持力は、所定の解除踏力よりも大きく設定されている。
これによれば、仮に、ロックピン移動機構50の保持力によって解除踏力を設定する場合、解除踏力を精密に設定することが困難になる。それに対し、ロックピン移動機構50の保持力を解除踏力よりも大きく設定することで、ロック弾性部材43の弾性力によって解除踏力を精密に設定できる。
なお、上記特許文献1に記載のアクセルペダル装置は、フットレス化時に駆動部が動力伝達機構を駆動して被ロック部がロックピンを乗り越える動作をする必要があった。そのため、解除踏力、即ちロック弾性部材の弾性力を、駆動部の最大出力トルクよりも小さく設定する必要があった。言い換えれば、ロックピンの解除踏力よりも、駆動部の最大出力トルクを大きくする必要があった。それに対し、本実施形態では、駆動部30の最大出力トルクに制限されること無く、ロックピン42の解除踏力を設定できる。例えば、駆動部30の最大出力トルクよりも、ロックピン42の解除踏力を大きく設定してもよい。
【0069】
(5)第1実施形態では、フットレスト化を実行する際、ロックピン移動機構制御装置8は、ペダルパッド10がフットレスト位置よりも全閉位置側にあるときにロックピン移動機構50を駆動し、ロックピン42を非当接位置から当接位置に移動する。
これによれば、仮に、ペダルパッド10がフットレスト位置よりも全開位置側にあるときにロックピン42を当接位置に移動すると、被ロック部40とロックピン42とがペダル戻り方向(即ち、閉方向)で当接し、フットレスト化が出来なくなる恐れがある。それに対し、ペダルパッド10がフットレスト位置よりも全閉位置側にあるときにロックピン42を当接位置に移動することで、ペダルパッド10を確実にフットレスト化できる。
【0070】
(6)第1実施形態では、制御装置110は、フットレスト機能の実行中に、ペダル開度センサ6の検出信号に基づいて、フットレスト機能が解除されたことが検知されると、ロックピン移動機構50を駆動し、ロックピン42を非当接位置に移動する。
これによれば、運転者がフットレスト機能を踏込み解除すると、制御装置110は、ロックピン移動機構50を駆動し、ロックピン42を非当接位置に移動する。そのため、フットレスト機能からアクセル操作機能に切り替わり、運転者がアクセル操作を行う際に、被ロック部40とロックピン42とが当接することを防ぐことができる。
【0071】
(7)第1実施形態では、制御装置110は、アクセル操作機能の実行中に、ロックピン位置センサ5の信号に基づいてロックピン42が当接位置にあることを検知すると、ロックピン移動機構50を駆動し、ロックピン42を非当接位置に移動する。
これによれば、アクセル操作機能の実行中、仮に、ロックピン移動機構50の誤作動などによりロックピン42が当接位置に移動すると、運転者がペダル操作をする際に被ロック部40がロックピン42に干渉し、ペダルパッド10の操作量が制限される恐れがある。それに対し、制御装置110は、アクセル操作機能の実行中、ロックピン位置センサ5の検出信号に基づき、ロックピン42の位置を常に監視することで、運転者のペダル操作の悪化を防ぐことができる。
【0072】
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。第2実施形態は、第1実施形態に対してフットレスト位置の設定を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0073】
図14は、第2実施形態のアクセルペダル装置において、フットレスト機能の実行時の状態を示したものである。第2実施形態では、フットレスト位置は、ペダルパッド10の全閉位置に設定されている。そのため、被ロック部40は、動力伝達部31の外壁において、ペダルパッド10が全閉位置にあるときにロックピン42と当接する位置に設けられている。したがって、第2実施形態では、フットレスト化を実行する際、ペダルパッド10が全閉位置にあるとき、ロックピン移動機構50がロックピン42を非当接位置から当接位置に移動すると、ロックピン42と被ロック部40とが当接する。これにより、運転者がペダルパッド10を踏み込むことなく、ペダルパッド10をフットレスト化できる。
【0074】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1実施形態に対してロックピン移動機構50の構成を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0075】
図15に示すように、第3実施形態では、ロックピン移動機構50は、ウォームギアを含んで構成されている。具体的には、ロックピン移動機構50は、ウォームギアケース61、ウォーム62、ウォーム歯車63およびシャフト64を備えている。ウォームギアケース61は、ハウジング2に設けられ、ウォーム62、ウォーム歯車63、およびシャフト64の一部を収容している。ウォーム62とウォーム歯車63とは噛み合っている。シャフト64はウォーム62に固定されている。シャフト64のうちウォームギアケース61から外側に突出した部位に、収容部41、ロックピン42およびロック弾性部材43が設けられている。
【0076】
ロックピン移動機構制御装置8は、不図示のモータへ通電することでウォーム歯車63を回転駆動する。ウォーム歯車63が正方向および逆方向へ回転すると、ウォーム62はシャフト64の軸心方向の一方および他方へ移動する。一方、ロックピン移動機構制御装置8が不図示のモータへの通電を停止すると、ウォーム歯車63の回転が止まり、ウォーム62とシャフト64の移動が停止する。したがって、第3実施形態のロックピン移動機構50も、第1実施形態と同様に、ロックピン42を当接位置と非当接位置とに移動可能であると共に、ロックピン42を当接位置と非当接位置に無通電で保持可能な構成である。
【0077】
さらに、図16図20に示すように、第3実施形態のロックピン移動機構50は、ロックピン42の位置調整、および、ロック弾性部材43の軸長の変更により、解除踏力を変更することの可能な解除踏力可変機構として機能する。
【0078】
図16は、ロックピン移動機構50がロックピン42を非当接位置に保持している状態を示している。即ち、ロックピン42と被ロック部40とは離れた位置にある。なお、ロックピン42と被ロック部40との間には、壁部67が設けられている。
【0079】
また、ロックピン移動機構50の有するシャフト64の端部には、第1当接部65と第2当接部66が設けられている。第1当接部65と第2当接部66とは所定距離離れて設けられており、その間に、収容部41のうち被ロック部40とは反対側の底部411が嵌合している。第1当接部65は、収容部41の内側(具体的には、底部411よりロックピン42側)に配置されており、第2当接部66は、収容部41の外側(具体的には、底部411よりウォームギアケース61側)に配置されている。図16に示した状態では、ロック弾性部材43の付勢力により、収容部41の底部411の内壁と第1当接部65とが当接している。
【0080】
次に、図17図20はいずれも、ロックピン移動機構50がシャフト64を図16に示した状態よりも被ロック部40側へ移動し、ロックピン42を当接位置に保持している状態を示している。ロックピン42は、壁部67に設けられた穴を挿通し、被ロック部40と当接可能な位置にある。また、図17図20では、ロックピン移動機構50が解除踏力可変機構として機能し、ロックピン42の位置や、ロック弾性部材43の軸長を変更することで、ロックピン42の解除踏力を調整する様子を示している。
【0081】
図17は、ロックピン42の解除踏力を弱く設定した状態を示している。具体的には、ロックピン42は傾斜面45全体の半分以下の領域で被ロック部40と当接している。そのため、運転者は、ロック弾性部材43の少ない変形量でフットレストの踏込み解除を実行できる。
【0082】
図18は、ロックピン42の解除踏力を中程度に設定した状態を示している。具体的には、ロックピン移動機構50はシャフト64を図17に示した状態よりも被ロック部40側へ移動している。これにより、ロックピン42は傾斜面45全体の半分以上の領域で被ロック部40と当接している。そのため、運転者は、ロック弾性部材43の通常の変形量でフットレストの踏込み解除を実行できる。
【0083】
図19は、ロックピン42の解除踏力を強く設定した状態を示している。具体的には、ロックピン移動機構50はシャフト64を図18に示した状態よりも被ロック部40側へ移動している。ロックピン42は傾斜面45全体の半分以下の領域で被ロック部40と当接している。さらに、収容部41と壁部67とが当接し、第1当接部65は収容部41の底部411の内壁から離れて壁部67側へ移動し、ロック弾性部材43の軸長を短く変形させている。これにより、ロック弾性部材43の弾性力が強くなる。そのため、運転者は、ロック弾性部材43を強い力で変形させてフットレストの踏込み解除を実行できる。
【0084】
図20は、ロックピン42の解除踏力を最強に設定した状態を示している。具体的には、ロックピン移動機構50は、第2当接部66が収容部41の底部411の外壁に当接するまで、シャフト64を図19に示した状態よりも被ロック部40側へ移動している。ロックピン42は傾斜面45全体の半分以下の領域で被ロック部40と当接している。さらに、収容部41と壁部67とが当接し、第2当接部66が収容部41の底部411の外壁に当接し、第1当接部65は収容部41の底部411の内壁から大きく離れて壁部67側へ移動し、ロック弾性部材43の軸長をより短く変形させている。これにより、ロック弾性部材43の弾性力がより強くなる。そのため、運転者は、ロック弾性部材43をより強い力で変形させてフットレストの踏込み解除を実行できる。
【0085】
以上説明した第3実施形態のアクセルペダル装置が備えるロックピン移動機構50は、ロックピン42の位置調整、および、ロック弾性部材43の軸長の変更により、解除踏力を変更することの可能な解除踏力可変機構として機能する。
これによれば、アクセルペダル装置は、運転者の体格や趣向等に応じて解除踏力を変更できる。
【0086】
(第4実施形態)
第4実施形態について説明する。第4実施形態も、第1実施形態に対してロックピン移動機構50の構成を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0087】
図21に示すように、第4実施形態では、ロックピン移動機構50は、被ロック部40が動力伝達部31と共に移動する方向にロックピン42を移動可能な構成である。そのため、ロックピン移動機構50は、ロックピン42と被ロック部40とが当接する当接位置を変更できる。具体的には、ロックピン移動機構50は、動力伝達部31の外周に沿って設けられたレール68を、ロックピン42の収容部41が移動する構成である。移動手段として、ウォームギア69、ラックアンドピニオン等を用いることができる。
【0088】
以上説明した第4実施形態では、ロックピン移動機構50がロックピン42を移動して当接位置を変更することで、運転者の体格や趣向等に応じてフットレスト位置を変更できる。
【0089】
(第5実施形態)
第5実施形態について説明する。第5実施形態は、第1実施形態に対して被ロック部40の構成を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0090】
図22に示すように、第5実施形態では、被ロック部40は、動力伝達部31の複数個所に設けられている。第5実施形態では、フットレスト化を実行する際、運転者が入力部9に対しフットレスト化の指令を入力すると、まず、モータ制御装置7が駆動部30を駆動し、ペダルパッド10を任意の角度に調整する。或いは、運転者が自らペダルパッド10を任意の角度に調整してもよい。なお、任意の角度は、被ロック部40同士の間のいずれかにロックピン42を挿入可能な角度である。その後、ロックピン移動機構制御装置8がロックピン移動機構50を駆動し、ロックピン42を非当接位置から当接位置に移動する。これにより、複数の被ロック部40のうち任意の被ロック部40がロックピン42と当接し、フットレス化が実行される。
【0091】
以上説明した第5実施形態では、動力伝達部31の複数個所に被ロック部40を設けたことで、運転者の体格や趣向等に応じてフットレスト位置を変更できる。
【0092】
(第6実施形態)
第6実施形態について説明する。第6実施形態は、第1実施形態に対して動力伝達部31の構成を変更したものであり、その他については第1実施形態と同様であるため、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0093】
図23に示すように、第6実施形態のアクセルペダル装置も、ペダルレバー1、ハウジング2、動力伝達機構3およびロック機構4などを備えている。動力伝達機構3は、駆動部30および動力伝達部31を有している。第6実施形態では、動力伝達部31は、直線状に形成されている。
【0094】
図23は、アクセル操作機能の実行時の状態を示している。ロックピン移動機構50はロックピン42を非当接位置に保持している。これにより、駆動部30は、運転者の踏力に対する反力をペダルパッド10に印加することが可能である。
【0095】
フットレスト化を実行する際、ロックピン移動機構制御装置8は、ペダルパッド10が全閉位置にあるときにロックピン移動機構50を駆動し、ロックピン42を非当接位置から当接位置に移動する。
【0096】
図24は、フットレスト機能の実行時の状態を示している。運転者がペダルパッド10に足を置き、ペダルパッド10を任意のフットレスト位置まで踏込むと、被ロック部40とロックピン42とが当接し、ペダルパッド10の開方向の移動が規制される。これにより、ペダルパッド10を任意の角度でフットレスト化できる。
【0097】
以上説明した第6実施形態のアクセルペダル装置も、第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。なお、第6実施形態に比べて、上記第1~第5実施形態は、動力伝達機構3を小型化できる。
【0098】
(他の実施形態)
(1)上記各実施形態では、アクセルペダル装置はオルガン型のものについて説明したが、それに限らず、例えば、ペンダント型のものでもよい。ペンダント型のアクセルペダル装置とは、ペダルパッド10のうち運転者が踏力を印加する部位が、ペダルパッド10の回転の軸心よりも車両上下方向下側に配置されるものをいう。
【0099】
(2)上記各実施形態では、動力伝達部31とアクチュエータレバー34とを固定した構成について説明したが、それに限らず、例えば、動力伝達部31とアクチュエータレバー34とはギアにより接続してもよい。その場合、ペダルパッド10の踏込み操作、踏戻し操作に対する動力伝達部31の回転方向は、ギアの数に応じて、上記各実施形態で説明したものと逆になることがある。
【0100】
(3)上記各実施形態では、被ロック部40は、動力伝達部31の外壁から径方向外側に突出する凸部として説明したが、それに限らず、例えば、動力伝達部31の外壁から径方向内側に凹む凹部としてもよい。
【0101】
(4)上記各実施形態では、動力伝達部31とペダルパッド10は、アクチュエータレバー34を介して動力が伝達される構成について説明したが、それに限らず、例えば、動力伝達部31とペダルパッド10は、動力が直接伝達される構成としてもよい。
【0102】
(5)上記第1実施形態では、ロックピン移動機構50は、ケース52、シャフト51、ソレノイドコイル53、永久磁石54などで構成した例について説明したが、それに限らない。例えば、永久磁石54は1個に限らず、ソレノイドコイル53に対しシャフト51の軸心方向の一方側と他方側にそれぞれ設けてれもよい。また、永久磁石54は、ケース52側では無く、シャフト51に設けてもよい。
【0103】
本開示は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。また、上記各実施形態およびその一部は、互いに無関係なものではなく、組み合わせが明らかに不可な場合を除き、適宜組み合わせが可能である。また、上記各実施形態において、実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、上記各実施形態において、実施形態の構成要素の個数、数値、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではない。また、上記各実施形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に特定の形状、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、位置関係等に限定されるものではない。
【0104】
本開示に記載の制御装置110及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御装置110及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御装置110及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリーと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0105】
(本開示の観点)
上記した本開示については、例えば以下に示す観点として把握することができる。
[第1の観点]
アクセル操作機能とフットレスト機能を有するアクセルペダル装置において、
前記アクセル操作機能の実行時において運転者の踏力が印加されていないときに全閉位置となり、前記運転者の踏力の増加により全開位置まで移動するペダルパッド(10)と、
通電により駆動する駆動部(30)と、
前記駆動部から伝達される動力、および、前記ペダルパッドから伝達される前記運転者の踏力により駆動可能であると共に、前記駆動部から伝達される動力を前記ペダルパッドに伝達可能な動力伝達部(31)と、
前記動力伝達部と共に移動する被ロック部(40)と、
前記ペダルパッドが前記全閉位置と前記全開位置との間の任意のフットレスト位置にあるときに前記被ロック部に当接可能であり、前記被ロック部に当接すると前記被ロック部の移動および前記動力伝達部の駆動を規制するロックピン(42)と、
前記ロックピンを前記被ロック部に当接する当接位置と、前記被ロック部に当接しない非当接位置に移動可能なロックピン移動機構(50)と、
前記ロックピン移動機構の駆動を制御することにより、前記アクセル操作機能の実行時に前記ロックピンを前記非当接位置に移動し、前記フットレスト機能の実行時に前記ロックピンを前記当接位置に移動する制御装置(110)と、を備えるアクセルペダル装置。
[第2の観点]
前記フットレスト位置は、前記ペダルパッドが前記全閉位置よりも前記全開位置側に踏込まれた位置に設定されている、第1の観点に記載のアクセルペダル装置。
[第3の観点]
前記ロックピン移動機構は、前記フットレスト機能の実行時に前記ロックピンを前記当接位置に移動した後、前記ロックピンを前記当接位置に無通電で保持可能な構成である、第1または第2の観点に記載のアクセルペダル装置。
[第4の観点]
前記ロックピンの変位を所定の弾性力で規制するロック弾性部材(43)をさらに備え、
前記フットレスト機能の実行中に、前記ペダルパッドから前記動力伝達部および前記被ロック部を経由して前記ロックピンに伝わる前記運転者の踏力が所定の解除踏力より大きくなると、前記ロック弾性部材の弾性力に抗して前記ロックピンが変位し、前記ペダルパッドを前記フットレスト位置より前記全開位置側に踏込むことが可能であり、
前記ロックピン移動機構が前記ロックピンを前記当接位置に無通電で保持する保持力は、前記所定の解除踏力よりも大きく設定されている、第3の観点に記載のアクセルペダル装置。
[第5の観点]
前記アクセル操作機能から前記フットレスト機能に切り替えるフットレスト化を実行する際、前記制御装置は、前記ペダルパッドが前記フットレスト位置よりも前記全閉位置側にあるときに前記ロックピン移動機構を駆動し、前記ロックピンを前記非当接位置から前記当接位置に移動する、第1ないし第4の観点のいずれか1つに記載のアクセルペダル装置。
[第6の観点]
前記ロックピンの変位を所定の弾性力で規制するロック弾性部材(43)と、
前記ペダルパッドの開度を検出可能なペダル開度センサ(6)と、をさらに備え、
前記制御装置は、前記フットレスト機能の実行中に、前記ペダル開度センサの検出信号に基づいて、前記ペダルパッドが前記フットレスト位置よりも前記全開位置側に踏込まれたことが検知されると、前記ロックピン移動機構を駆動し、前記ロックピンを前記非当接位置に移動する、第1ないし第5の観点のいずれか1つに記載のアクセルペダル装置。
[第7の観点]
前記ロックピンの位置を検出するロックピン位置センサ(5)をさらに備え、
前記制御装置は、前記アクセル操作機能の実行中に、前記ロックピン位置センサの信号に基づいて前記ロックピンが前記当接位置にあることが検知されると、前記ロックピン移動機構を駆動し、前記ロックピンを前記非当接位置に移動する、第1ないし第6の観点のいずれか1つに記載のアクセルペダル装置。
[第8の観点]
前記ロックピンの変位を所定の弾性力で規制するロック弾性部材(43)をさらに備え、
前記フットレスト機能の実行中に、前記ペダルパッドから前記動力伝達部および前記被ロック部を経由して前記ロックピンに伝わる前記運転者の踏力が所定の解除踏力より大きくなると、前記ロック弾性部材の弾性力に抗して前記ロックピンが変位し、前記ペダルパッドを前記フットレスト位置より前記全開位置側に踏込むことが可能であり、
前記ロックピン移動機構は、前記ロックピンの位置調整、および、前記ロック弾性部材の軸長の変更により、前記所定の解除踏力を変更することの可能な解除踏力可変機構として機能する、第1ないし第7の観点のいずれか1つに記載のアクセルペダル装置。
[第9の観点]
前記ロックピン移動機構は、前記被ロック部が前記動力伝達部と共に移動する方向に前記ロックピンを移動して前記当接位置を変更することが可能である、第1ないし第7の観点のいずれか1つに記載のアクセルペダル装置。
[第10の観点]
前記被ロック部は、前記動力伝達部の複数個所に設けられ、
前記アクセル操作機能から前記フットレスト機能に切り替えるフットレスト化時において、前記制御装置は、前記駆動部を駆動して前記ペダルパッドを任意の角度に調整した後、前記ロックピン移動機構を駆動して前記ロックピンを前記非当接位置から前記当接位置に移動する、第1ないし第8の観点のいずれか1つに記載のアクセルペダル装置。
【符号の説明】
【0106】
7 モータ制御装置(制御装置)
8 ロックピン移動機構制御装置(制御装置)
10 ペダルパッド
30 駆動部
31 動力伝達部
40 被ロック部
42 ロックピン
50 ロックピン移動機構
110 制御装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24