(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025022572
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】アタッチメント
(51)【国際特許分類】
E05B 19/00 20060101AFI20250206BHJP
【FI】
E05B19/00 F
E05B19/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127270
(22)【出願日】2023-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】520039179
【氏名又は名称】NTTアノードエナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】若松 圭介
(57)【要約】
【課題】高圧絶縁保護具を着用した状態で鍵を扱いやすくするアタッチメントを提供する。
【解決手段】鍵70の取手部に取り付けられるアタッチメント10であって、絶縁性を有する材料を用いて表面である第1面と裏面である第2面25を有する板状に形成された本体21と、本体21の端部である第1端部22に設けられ、取手部が取り付けられる保持部31と、本体21における第1端部22とは反対側の第2端部23において、第1端部21から離れる方向に向かって第1面から第2面25側へ本体21が延びる立上部41と、本体21の第2面25に設けられ、外部の配置面に本体21を取り付け及び取り外し可能とする取付部51と、が設けられていることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍵の取手部に取り付けられるアタッチメントであって、
絶縁性を有する材料を用いて表面である第1面と裏面である第2面を有する板状に形成された本体と、
前記本体の端部である第1端部に設けられ、前記取手部が取り付けられる保持部と、
前記本体における前記第1端部とは反対側の第2端部において、前記第1端部から離れる方向に向かって前記第2面から前記第1面側へ前記本体が延びる立上部と、
前記本体の前記第2面に設けられ、外部の配置面に前記本体を取り付け及び取り外し可能とする取付部と、
が設けられていることを特徴とするアタッチメント。
【請求項2】
前記取付部には、前記第2面に形成された凹部と、前記凹部の内部に配置された磁性部と、が設けられていることを特徴とする請求項1記載のアタッチメント。
【請求項3】
前記凹部における深さ方向の寸法は、前記凹部に配置された状態における前記磁性部の高さ方向の寸法よりも大きいことを特徴とする請求項2記載のアタッチメント。
【請求項4】
前記本体には、ストラップが取り付けられる係止部が設けられていることを特徴とする請求項1記載のアタッチメント。
【請求項5】
前記係止部は前記鍵が取り付けられた状態の前記本体における重心位置よりも前記第1端部に近い領域に設けられていることを特徴とする請求項4記載のアタッチメント。
【請求項6】
前記保持部は前記本体と係合して前記鍵を保持する構成を有し、前記保持部は所定以上の力が加えられると前記本体との係合が解かれる構成を有することを特徴とする請求項1記載のアタッチメント。
【請求項7】
前記保持部は所定以上の力が加えられると折損して前記鍵が前記本体から外れる構成を有することを特徴とする請求項1記載のアタッチメント。
【請求項8】
前記本体は黄色と黒色が交互に配色された縞模様を有することを特徴とする請求項1記載のアタッチメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アタッチメントに関する。
【背景技術】
【0002】
高圧受電設備では、法定点検などの各種作業を行う際に断路器(以下DSとも表記する。)を開放して作業を行うことにより、安全性の確保が図られている。DSを開放したり投入したりする作業は、鍵やレバーなどを用いた操作により行われている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
更に、DSを開放したり投入したりする作業を含む各種作業では、作業員は高圧絶縁保護具を着用している。高圧絶縁保護具は絶縁材料であるゴムを用いた手袋であり、絶縁性を確保するために必要な厚さを有するゴムが用いられている。
【0005】
その一方で、DSを開放したり投入したりする作業に用いられる鍵は、高圧絶縁保護具を着用した状態で握られたり、操作したりすることを想定した構造を有していない。例えば、肉厚のゴム手袋である高圧絶縁保護具に対して鍵の大きさが小さい。
【0006】
そのため高圧絶縁保護具を着用した状態で鍵を握りにくかったり、鍵を鍵穴に抜き差ししたり、回転させたりする操作をしにくい(以下「鍵を扱いにくい」とも表記する。)という問題があった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、高圧絶縁保護具を着用した状態で鍵を扱いやすくするアタッチメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明のアタッチメントは、鍵の取手部に取り付けられるアタッチメントであって、絶縁性を有する材料を用いて表面である第1面と裏面である第2面を有する板状に形成された本体と、前記本体の端部である第1端部に設けられ、前記取手部が取り付けられる保持部と、前記本体における前記第1端部とは反対側の第2端部において、前記第1端部から離れる方向に向かって前記第2面から前記第1面側へ前記本体が延びる立上部と、前記本体の前記第2面に設けられ、外部の配置面に前記本体を取り付け及び取り外し可能とする取付部と、が設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明のアタッチメントによれば本体の保持部に鍵が取り付けられ、鍵のサイズが鍵とアタッチメントの両者を含む大きさとなる。鍵のサイズが大きくなることで、高圧絶縁防具を着用していても鍵を持ちやすくなる。また、鍵を見落としにくくなる。また、本体が絶縁性を有する材料から形成されているため、感電の防止を図りやすくなる。
【0010】
アタッチメントに取り付けられた配置面に配置しても、立上部は配置面にから離れる。そのため、配置面に配置した鍵を取りやすくなる。高圧絶縁防具を着用していても取りやすくなる。なお、配置面としては、机の面や壁面を例示することができる。
【0011】
取付部を設けることにより、アタッチメントを配置面に配置する場合、第2面が配置面に対向した姿勢で取り付けられる。この姿勢では立上部は配置面から離れる方向に向かって延びるため、配置面に配置した鍵を取りやすくなる。
【0012】
また、鍵の準備をしやすくなる。例えば、鍵を使用する対象の近傍の配置面に事前に配置することが可能となり、鍵を使用する作業者の手の届く範囲に事前に配置すること可能となる。また、作業者の近くであって視界に入りやすい位置に鍵を事前に配置することが可能となる。
【0013】
上記発明において前記取付部には、前記第2面に形成された凹部と、前記凹部の内部に配置された磁性部と、が設けられていることが好ましい。
このようにすることにより、鉄を成分に含む材料から形成された配置面に鍵を着脱可能に配置することができる。
【0014】
上記発明において前記凹部における深さ方向の寸法は、前記凹部に配置された状態における前記磁性部の高さ方向の寸法よりも大きいことが好ましい。
このようにすることにより、鍵を配置面に配置した際に磁性部と壁面の間に隙間が形成されやすくなる。言い換えると、磁性部が配置面に接触しにくくなり、配置面を傷つけにくくなる。
【0015】
上記発明において前記本体部には、ストラップが取り付けられる係止部が設けられていることが好ましい。
このようにすることにより、ストラップを作業者の手首にかけることができる。作業者の手から鍵が落下しても、鍵が床まで落下することを防ぎやすくなる。
【0016】
上記発明において前記係止部は前記鍵が取り付けられた状態の前記本体における重心位置よりも前記第1端部に近い領域に設けられていることが好ましい。
このようにすることにより、作業者の手から鍵が落下した際にアタッチメントは鍵が上方向に向く姿勢でぶら下がる。鍵が下方向に向く姿勢の場合と比較して、鍵が周囲と接触しにくくなる。例えば、鍵が通電部と接触しにくくなる。
【0017】
上記発明において前記保持部は前記本体と係合して前記鍵を保持する構成を有し、前記保持部は所定以上の力が加えられると前記本体との係合が解かれる構成を有することが好ましい。
【0018】
上記発明において前記保持部は所定以上の力が加えられると折損して前記鍵が前記本体から外れる構成を有することが好ましい。
このようにすることにより、鍵に所定上の力が加わった場合にアタッチメントから鍵が外れやすくなる。例えば、鍵や、鍵が差し込まれる対象物の破損を防止しやすくなる。
【0019】
上記発明において前記本体は黄色と黒色が交互に配色された縞模様を有することが好ましい。
このようにすることにより、アタッチメントを視認しやすくなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のアタッチメントによれば、板状に形成された本体と、鍵の取手部が取り付けられる保持部と、本体が第1面から第2面側へ延びる立上部と、が設けられることにより、高圧絶縁保護具を着用した状態で鍵を扱いやすくするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係るアタッチメントの構成を説明する斜視図である。
【
図2】
図1のアタッチメントの構成を説明する第2面側から見た図である。
【
図3】
図1のアタッチメントに取り付けられる鍵の構成を説明する模式図である。
【
図4】保持部における収納部の構成を説明する斜視図である。
【
図5】保持部における蓋部の構成を説明する斜視図である。
【
図7】
図7(a)は鍵が保持部により保持された状態を説明する模式図であり、
図7(b)は鍵が保持部による保持から解放された状態を説明する模式図である。
【
図8】アタッチメントがストラップにより吊り下げられた状態を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この発明の一実施形態に係るアタッチメント10について、
図1から
図8を参照しながら説明する。本実施形態のアタッチメント10は鍵70が取り付けられるものである。鍵70は、例えば、DSを開放したり投入したりする作業に用いられるものである。
【0023】
図1は、本実施形態のアタッチメント10の構成を説明する斜視図であり、
図2は、第2面25側からアタッチメント10を見た図である。
アタッチメント10には、
図1および
図2に示すように、本体21と、保持部31と、立上部41と、取付部51と、係止部61と、が設けられている。
【0024】
本体21は、絶縁性を有する材料を用いて板状に形成された部材である。絶縁性を有する材料には樹脂材料が含まれる。例えば、DSが用いられる高圧受電設備において求められる絶縁性能を有する樹脂材料が含まれる。本実施形態では、絶縁性能を有する樹脂材料であって、さらに、断面形状を積層して立体造形を行う3Dプリンタに用いられる樹脂材料を用いて形成された例に適用して説明する。
【0025】
本体21は、
図1および
図2に示すように互いに直交するX軸およびY軸から形成されるX-Y平面に沿って伸びる板状の形状を有する。本体21におけるX軸正方向側の端部は第1端部22であり、X軸負方向側の端部は第2端部23である。本体21において、X-Y平面に対して直交するZ軸の正方向側の面は表面である第1面24であり、Z軸負方向側の面は裏面である第2面25である。
【0026】
本実施形態では、本体21がZ軸方向からみて、X軸方向の寸法がY軸方向の寸法よりも長い長方形の形状を有する板状の部材であって、第1端部22の角が円弧状に形成された例に適用して説明する。また、本体21におけるZ軸方向の寸法は、鍵70を保持するのに必要な厚さであり、かつ、鍵70を用いてDSの開閉操作をする際に破損しない強度を確保できる厚さであればよい。
【0027】
本体21の第1面24には、黄色と黒色が交互に配色された縞模様が付されてもよい。縞模様は第1面24を塗装することにより付されてもよいし、縞模様が付されたシート状の部材を第1面24に配置することにより付されてもよい。このように黄色と黒色が交互に配色された縞模様を付することにより、アタッチメント10を視認しやすくなる。
【0028】
また、縞模様は、第1面24の他に第2面25に付されてもよいし、本体21における第1面24および第2面25以外の他の面に付されてもよい。縞模様を構成する色は、黄色と黒色の2色の組み合わせであってもよいし、他の2色の組み合わせであってもよい。さらに縞模様は3色以上の組み合わせであってもよい。
【0029】
保持部31は、鍵70の取手部72が取り付けられる構成を有する。保持部31は、本体21における第1端部22に設けられ、第1端部22におけるY軸方向の中央に設けられている。なお、鍵70には、
図3に示すように、DSに差し込まれる長尺形状を有する差込部71と、差込部71よりも幅が広い取手部72とが設けられている。
【0030】
保持部31には、
図4および
図5に示すように、本体21に設けられた取手部72が納められる凹みである収納部32と、収納部32の開口に配置され、本体21との間で取手部72を保持する蓋部35と、が設けられている。
【0031】
収納部32は、
図4に示すように、第2面25側および第1端部22側に向かって開く開口を有する凹み形状を有している。収納部32における凹み深さは、少なくとも鍵70が内部に収納できる深さである。Z軸負方向から見た収納部32の形状は、取手部72と同様な形状であってもよい。
【0032】
また収納部32におけるZ軸正方向側の面(底面とも表記する。)には、収納凸部33が設けられている。収納凸部33は底面からZ軸負方向に向かって突出し、底面のY軸方向の中央をX軸方向に沿って延びる畝状の形状を有している。
【0033】
収納凸部33におけるY軸方向の中央は、Y軸に沿う方向に延びる平面であり、当該平面に対してY軸方向に隣接する2つの面は、当該平面から離れるに伴いZ軸正方向に向かう傾斜面である。
【0034】
収納部32の周囲には、蓋部35が係止される段差状に形成された凹みである係止凹部34が設けられている。係止凹部34における凹み深さは、収納部32の凹み深さよりも浅く、蓋部35の厚さ程度である。係止凹部34は、Z軸負方向から見て、収納部32と相似する形状であってもよい。
【0035】
蓋部35は、
図2に示すように、収納部32における第2面25側に向かって開く開口を閉じる部材である。また、蓋部35は収納部32との間で鍵70を挟み、鍵70をアタッチメント10に固定する部材である。
【0036】
蓋部35は、
図5に示すように、板状に形成された部材である。蓋部35は、Z軸負方向から見て、係止凹部34と同じ形状であって、取付部51と重なる部分が切り欠いた形状を有している。蓋部35における収納部32と対向するZ軸正方向側の面には、蓋凸部36が設けられている。
【0037】
蓋凸部36は、蓋部35からZ軸正方向に向かって突出し、蓋部35のY軸方向の中央をX軸方向に沿って延びる畝状の形状を有している。蓋凸部36は、Y軸方向の中央が最もZ軸正方向に突出し、中央から離れるに伴いZ軸負方向に傾斜する形状を有している。
【0038】
立上部41は、
図1に示すように、本体21の第2端部23に設けられた構成である。立上部41は、板状に形成された本体21が第1面24方向に折れ曲がった形状を有している。具体的には、立上部41は、第1端部22から第2端部23に向かって、第2面25側から第1面24側に折れ曲がった形状を有している。言い換えると、立上部41は、X軸負方向に向かってZ軸正方向に延びるように折れ曲がった形状を有している。
【0039】
立上部41は、本体21から折れ曲がり平面形状を維持しながら延びる構成を有してもよい。立上部41が延びる方向は、Y-Z平面と交差する斜め方向であってもよいし、Y-Z平面と平行な垂直方向であってもよい。また、立上部41は、本体21から折れ曲がったのち、再度、X-Y平面と平行な本体21に沿う方向に折れ曲がって延びる構成を有してもよい。
【0040】
立上部41は、上述のように少なくとも1つの平面形状を用いて形成されてもよいし、少なくとも1つの曲面形状を用いて形成されてもよい。さらに立上部41は、平面形状および曲面形状の組み合わせ形状を用いて形成されてもよい。
【0041】
取付部51は、
図2に示すように、本体21の第2面25に設けられた構成である。例えば、第2面25におけるX軸方向の中央領域、Y軸方向の中央領域に設けられた構成である。取付部51は、壁面に着脱可能に配置する構成を有している。
【0042】
取付部51には、
図6に示すように、凹部52と、磁性部53と、が設けられている。凹部52は、第2面25に形成された凹み形状であり、内部に磁性部53が配置される。磁性部53は、凹部52の内部に配置される部材であり、鉄を成分に含む材料から形成された壁面に着脱可能に吸着する力を発生させる部材である。
【0043】
本実施形態では、磁性部53が円柱状の形状に形成され、凹部52が内部に磁性部53が配置される円柱状の凹み形状に形成された例に適用して説明する。凹部52の深さ方向の寸法52Dは、円柱状の磁性部53における高さ方向の寸法53Hよりも長い例に適用して説明する。
【0044】
なお、取付部51は壁面に対して着脱を可能とする部材であればよい。例えば、取付部51は上述の磁性部53を含む構成を有してもよいし、繰り返し着脱を可能とする粘着材料を含む構成を有してもよい。
【0045】
係止部61はアタッチメント10の落下を防止するストラップが取り付けられる構成を有している。例えば、係止部61は、ストラップの取り付け紐が挿通される貫通孔を有している。
【0046】
係止部61は、
図2に示すように、本体21に設けられる。係止部61は本体21の第2面25側に設けられている。また、係止部61は鍵70が取り付けられた状態の本体21における重心位置Gよりも第1端部22に近い領域に設けられることが好ましい。なお、係止部61は、重心位置Gよりも第2端部23に近い領域に設けられてもよい。
【0047】
本実施形態では、係止部61が本体21における重心位置GよりもX軸正方向の側であって、第2面25におけるY軸正方向側の角部に設けられている例に適用して説明する。なお、係止部61は第1面24におけるY軸正方向側の角部に設けられてもよい。
【0048】
次に、上記の構成からなるアタッチメント10における保持部31の解放動作について
図7を参照しながら説明する。まず、
図7(a)を参照しながら、保持部31における鍵70の保持について説明する。
【0049】
鍵70は、
図7(a)に示すように、保持部31の収納部32と蓋部35との間に挟まれた状態で保持される。具体的には、収納部32の収納凸部33と、蓋部35の蓋凸部36との間に挟まれた状態で保持される。鍵70は、収納凸部33におけるY軸方向中央に設けられX軸方向に延びる平面と当接し、蓋凸部36におけるX軸方向に延びる稜線と当接している。
【0050】
鍵70を挟んで保持する力は、収納部32が形成された本体21および蓋部35の少なくとも一方が変形することにより発生する。例えば、鍵70を間に挟んで収納部32に蓋部35が取り付けられると、本体21および蓋部35の少なくとも一方が変形する。この変形が元に戻ろうとすることにより、鍵70を挟み保持する力が発生する。
【0051】
アタッチメント10に加えられる鍵70を回転させる力、言い換えるとX軸まわりに回転させる力は、収納凸部33の平面を介して鍵70に伝えられる。収納凸部33の平面と鍵70との接触面積は、鍵70を回転させるために必要な力(トルクとも表記する。)、および、鍵70を挟み保持する力の大きさに基づいて定められる。
【0052】
当該力の大きさは、鍵70が差し込まれる錠(本実施形態ではDSに設けられた鍵70が差し込まれる部分に相当する。)を回転させる最低限必要な力の大きさ以上であることが好ましい。また、当該力の大きさは、鍵70が差し込まれる錠を回転させる最大限必要な力の大きさ未満であることがより好ましい。また、当該力の大きさは、鍵70または錠を破損させる最低限の力の大きさ未満であることが更に好ましい。ここでは、鍵70または錠を破損させる最低限の力を所定の力とも表記する。
【0053】
次に
図7(b)を参照しながら、保持部31から鍵70が解放される動作について説明する。
DSに設けられた鍵70が差し込まれる部分が故障したり、鍵70の回転可能な範囲を超えたりすると、鍵70を回転させる際の抵抗力が大きくなる。その結果、アタッチメント10に加えられる鍵70を回転させる力が所定の力以上になると、鍵70がアタッチメント10の回転に追従しなくなる。言い換えると、収納凸部33の平面と鍵70との接触による回転させる力の伝達ができなくなり、収納凸部33の平面と鍵70とが離間して、鍵70におけるY軸正方向の部分が収納凸部33の傾斜面と衝突する。
【0054】
アタッチメント10を基準として相対的に見ると、鍵70は蓋凸部36の稜線を支点として、アタッチメント10に対して相対的に回転する。鍵70におけるY軸正方向の部分が収納凸部33の傾斜面に近づいて衝突し、Y軸負方向の部分が蓋部35に近づく。
【0055】
アタッチメント10を回転させる作業者は、鍵70がアタッチメント10の回転に追従しなくなったことを、回転させる際の抵抗力の変化により知覚できてもよいし、鍵70におけるY軸正方向の部分が収納凸部33の傾斜面に衝突する音(例えば「カコッ」という音)により知覚できてもよい。
【0056】
この段階でアタッチメント10に加える力を弱めると、鍵70を挟み保持する力によって収納凸部33の平面と鍵70とが再び接触する。言い換えると、アタッチメント10が元に戻る方向に回転する。
【0057】
アタッチメント10を更に回転させると、鍵70におけるY軸負方向の部分が蓋部35に当接する。鍵70におけるY軸負方向の部分により蓋部35を押す力は、アタッチメント10を回転させるに伴い大きくなる。鍵70に押された蓋部35は、
図7(b)に示すように、変形量が閾値以上に大きくなると折損して係止凹部34から外れ、鍵70が保持部31から解放される。
【0058】
上記の構成のアタッチメント10によれば、
図2に示すように、本体21の保持部31に鍵70が取り付けられ、鍵70のサイズが、鍵70とアタッチメント10の両者を含む大きさとなる。鍵70のサイズが大きくなることで、高圧絶縁防具を着用していても鍵70を持ちやすくなる。また、鍵70を見落としにくくなる。また、本体21が絶縁性を有する材料から形成されているため、感電の防止を図りやすくなる。
【0059】
アタッチメント10に取り付けられた鍵70を配置面である机の上に置いたり、壁面に配置したりしても、立上部41は配置面から離れる。そのため、配置面に配置した鍵70を取りやすくなる。高圧絶縁防具を着用していても取りやすくなる。
【0060】
取付部51を設けることにより、アタッチメント10を配置面に配置する場合、第2面25が配置面に対向した姿勢で取り付けられる。この姿勢では立上部41は配置面から離れる方向に向かって延びるため、配置面に配置した鍵70を取りやすくなる。
【0061】
また、取付部51を設けることにより鍵70の準備をしやすくなる。例えば、鍵70を使用する対象であるDCの近傍の配置面である壁面に事前に配置することが可能となり、鍵70を使用する作業者の手の届く範囲に事前に配置すること可能となる。また、作業者の近くであって視界に入りやすい位置に鍵70を事前に配置することが可能となる。
【0062】
磁性部53を設けることにより、鉄を成分に含む材料から形成された配置面に鍵70を着脱可能に配置することができる。
【0063】
凹部52の深さ方向の寸法52Dを磁性部53の高さ方向の寸法53Hよりも長くすることにより、鍵70を配置面に配置した際に磁性部53と配置面の間に隙間が形成されやすくなる。言い換えると、磁性部53が配置面に接触しにくくなり、配置面を傷つけにくくなる。
【0064】
係止部61を設けることにより、ストラップSを作業者の手首にかけることができる。作業者の手から鍵70が落下しても、鍵70が床まで落下することを防ぎやすくなる。
【0065】
係止部61を重心位置Gよりも第1端部22に近い領域に設けることにより、作業者の手から鍵70が落下した際にアタッチメント10は鍵70が、
図8に示すように水平方向よりも上方向に向く姿勢でぶら下がる。鍵70が下方向に向く姿勢の場合と比較して、鍵70が周囲と接触しにくくなる。例えば、鍵70がDSの通電している部分と接触しにくくなる。
【0066】
このように収納部32の収納凸部33と、蓋部35の蓋凸部36との間に挟まれた状態で鍵70を保持することにより、所定上の力が加わった場合にアタッチメント10から鍵70が外れやすくなる。例えば、鍵70や、鍵70が差し込まれる対象物であるDSの破損を防止しやすくなる。
【0067】
なお、上述の実施形態では、所定上の力が加わった場合に蓋部35が折損してアタッチメント10から鍵70が外れる例に適用して説明したが、所定上の力が加わった場合に収納部32から蓋部35が外れてアタッチメント10から鍵70が外れてもよい。
【符号の説明】
【0068】
10…アタッチメント、 21…本体、 22…第1端部、 23…第2端部、 24…第1面、 25…第2面、 31…保持部、 41…立上部、 51…取付部、 52…凹部、 53…磁性部、 61…係止部、 70…鍵、 72…取手部、 G…重心位置