(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025022581
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】リーダライタ用ホルダ
(51)【国際特許分類】
G06K 7/015 20060101AFI20250206BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
G06K7/015
G06K7/10 248
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127288
(22)【出願日】2023-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099634
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 安雄
(72)【発明者】
【氏名】速水 浩治
(72)【発明者】
【氏名】八尋 伸紀
(57)【要約】
【課題】 書類等の情報記録媒体におけるRFタグとリーダライタとの位置関係を適切に設定して、リーダライタによる情報の読み取りや書き込みを確実に行えるようにする、リーダライタ用ホルダを提供する。
【解決手段】 RFタグが配設される情報記録媒体を、フレーム部11に保持されるリーダライタ20に対し拘束部で拘束可能とし、拘束された情報記録媒体におけるRFタグをリーダライタ20と通信可能となる箇所に位置させて、リーダライタ20で情報記録媒体のRFタグに対する読み書きを行える状態が得られることから、RFタグを配設した情報記録媒体とリーダライタ20の大きさが異なっていても、拘束された情報記録媒体はリーダライタ20に対しずれにくく、リーダライタ20による読み取りや書き込みの信頼性を高められる。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
RFタグに対し記録された情報の読み取りと情報の書き込みの少なくとも一方を実行可能な略板状のリーダライタを保持するリーダライタ用ホルダにおいて、
前記リーダライタを取り囲む状態で内側に保持可能に形成される略矩形枠状のフレーム部と、
所定のシート体にRFタグが一体に配設されてなる情報記録媒体を拘束可能とされて、前記フレーム部における第一の枠辺に取り付けられる一又は複数の拘束部とを備え、
前記フレーム部が、対向する位置関係となる第二及び第三の各枠辺における縁に、高低差のある起伏部を形成され、
前記拘束部が、前記フレーム部の第一の枠辺から枠内方に突出して前記リーダライタに対向可能とされるクリップ状とされ、フレーム部における前記起伏部のある側に設けられ、
前記フレーム部で前記リーダライタを保持した状態で、前記情報記録媒体を前記拘束部とリーダライタ表面との間に挟むと共にフレーム部の前記起伏部に当接させて拘束することを
特徴とするリーダライタ用ホルダ。
【請求項2】
前記請求項1に記載のリーダライタ用ホルダにおいて、
前記起伏部が、少なくとも一つの高位部と、少なくとも一つの低位部とを有し、
前記高位部が、前記拘束部における前記リーダライタ表面に最も近付く最接近部位より、リーダライタ表面に対し遠位側となる位置に設定されることを
特徴とするリーダライタ用ホルダ。
【請求項3】
前記請求項2に記載のリーダライタ用ホルダにおいて、
前記起伏部における高位部の少なくとも一つが、前記拘束部における前記最接近部位の位置より、前記第一の枠辺に対し遠位側となる所定箇所に設けられると共に、当該所定箇所に設けられる高位部の、第一の枠辺に対し近位側となる側に、前記低位部の少なくとも一つが配置されることを
特徴とするリーダライタ用ホルダ。
【請求項4】
前記請求項2に記載のリーダライタ用ホルダにおいて、
前記起伏部における高位部が、前記第一の枠辺に対する離隔度合いの異なる二箇所に少なくとも設けられ、
当該二箇所の高位部の間に、前記低位部が介在することを
特徴とするリーダライタ用ホルダ。
【請求項5】
前記請求項2に記載のリーダライタ用ホルダにおいて、
前記起伏部における高位部が、前記拘束部における前記最接近部位の位置より、前記第一の枠辺に対し遠位側となる箇所と、前記第一の枠辺に対し近位側となる箇所の、少なくとも一方に設けられることを
特徴とするリーダライタ用ホルダ。
【請求項6】
前記請求項2に記載のリーダライタ用ホルダにおいて、
前記起伏部における所定の一つの低位部が、前記第一の枠辺に対する離隔度合いを、前記拘束部における前記最接近部位の、第一の枠辺に対する離隔度合いと、同じとされることを
特徴とするリーダライタ用ホルダ。
【請求項7】
前記請求項2に記載のリーダライタ用ホルダにおいて、
前記起伏部が、前記第一の枠辺に対し最も遠位側に位置する一の高位部の隣りに、当該高位部より前記第一の枠辺に対し遠位側となる一の低位部を有すると共に、前記一の高位部から前記一の低位部にかけて連続する一の斜面を設けられてなり、
前記拘束部が、先端部の第一の枠辺からの距離を、第一の枠辺から前記一の斜面における任意位置までの距離と一致する所定値とするように、設けられることを
特徴とするリーダライタ用ホルダ。
【請求項8】
前記請求項2に記載のリーダライタ用ホルダにおいて、
前記起伏部における所定の高位部から、当該高位部より前記第一の枠辺に対し遠位となる側で隣り合う一の低位部にかけて、連続する一の斜面が設けられると共に、前記高位部から、当該高位部より前記第一の枠辺に対し近位となる側で隣り合う他の低位部にかけて、連続する他の斜面が設けられ、
当該他の斜面が、勾配を前記一の斜面の勾配より大きくして形成されることを
特徴とするリーダライタ用ホルダ。
【請求項9】
前記請求項1に記載のリーダライタ用ホルダにおいて、
前記フレーム部における所定の枠辺から枠内方に突出して前記リーダライタに対向可能とされるクリップ状、又は、フレーム部における所定の枠辺から突出して当該枠辺と並行するクリップ状とされ、フレーム部における前記起伏部のある側とは反対側に設けられる他の拘束部を備えることを
特徴とするリーダライタ用ホルダ。
【請求項10】
前記請求項9に記載のリーダライタ用ホルダにおいて、
前記他の拘束部が、前記フレーム部で前記リーダライタを保持した状態で、少なくとも前記拘束部に対しリーダライタを挟んで重ならない配置として、フレーム部に設けられることを
特徴とするリーダライタ用ホルダ。
【請求項11】
前記請求項9に記載のリーダライタ用ホルダにおいて、
前記他の拘束部が、フレーム部に対し、前記拘束部の前記第一の枠辺から突出する方向とは逆の方向に向かって、枠内方に突出する、又は枠辺と並行する形状とされることを
特徴とするリーダライタ用ホルダ。
【請求項12】
前記請求項2に記載のリーダライタ用ホルダにおいて、
前記起伏部における所定の高位部から、当該高位部より前記第一の枠辺に対し遠位となる側で隣り合う低位部にかけて、連続する一の斜面を設け、
前記高位部及び一の斜面が、前記フレーム部の枠内方に突出して形成されると共に、一の斜面が、枠内方への突出量を前記低位部に近付くほど小さくされ、斜面幅が徐々に狭まる先細状に形成されることを
特徴とするリーダライタ用ホルダ。
【請求項13】
RFタグに対し記録された情報の読み取りと情報の書き込みの少なくとも一方を実行可能な略板状のリーダライタを保持するリーダライタ用ホルダにおいて、
前記リーダライタを取り囲む状態で内側に保持可能に形成される略矩形枠状のフレーム部と、
所定のシート体にRFタグが一体に配設されてなる情報記録媒体を拘束可能とされて、前記フレーム部における第一の枠辺に取り付けられる一又は複数の拘束部とを備え、
前記拘束部が、前記フレーム部の第一の枠辺から枠内方に突出して前記リーダライタに対向可能とされるクリップ状とされ、
前記リーダライタが、前記フレーム部に保持された状態で、前記拘束部を挟む位置関係となる表面の二箇所に、高低差のある起伏部を有する表面形状とされ、
前記フレーム部で前記リーダライタを保持した状態で、前記情報記録媒体を前記拘束部とリーダライタ表面との間に挟むと共に前記起伏部に当接させて拘束することを
特徴とするリーダライタ用ホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFタグに対し情報の読み書きを行うリーダライタを保持して、同時に拘束する情報記録媒体に配設されたRFタグに対し、リーダライタでの情報の読み書きを行えるようにする、リーダライタ用ホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
証明書類については、近年、記載事項を視認可能な従来同様の書面としての機能を残しつつ、別途記録された記載事項の情報(データ)を外部から読み取り可能として、こうした情報を証明書類が必要な手続の迅速化などに活用する事例が増えている。こうした読み取り可能な情報を書面と併存させる手法としては、書類をICカードとして発行したり、紙書面である書類にRFタグを配設することなどが挙げられる。
【0003】
一方、書類であるICカードや、書類に配設されたRFタグに記録された情報を読み取ったり、逆に情報を書き込んだりするためには、こうしたICカードやRFタグに対応したリーダライタが用いられる。
【0004】
従来のリーダライタは、ICカードやRFタグを、リーダライタに重ねるなど、リーダライタの通信可能範囲にICカードやRFタグを位置させることで、情報を正しく読み取ったり書き込んだりすることができるものとなっている。
こうした従来のリーダライタの例として、特開2006-113727号公報に開示されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のリーダライタは、前記特許文献に示される構成とされており、一般的なICカードに対応するものとして、ICカードに近いサイズとされるなど小型化されている。
このため、紙書面にRFタグを配設した書類など、ICカードサイズより大きく、リーダライタより大きくなる書類の場合、従来のリーダライタでは、机上等に設置したリーダライタを覆うようにして書類がリーダライタ上に載置される状態で、書類のRFタグの読み書きを行うこととなる。
【0007】
この時、書類は、単純にリーダライタ上に重なっただけの状態となっているため、書類がリーダライタに対し不用意にずれて、書類のRFタグとリーダライタの読み書き位置とのずれが生じやすいという課題を有していた。また、書類のRFタグを下側のリーダライタで読み書きできるように書類を位置合わせするにあたり、書類におけるRFタグの位置によっては、リーダライタが書類で完全に覆われる状態で行う必要があるため、位置合わせが適切に行えず、書類のRFタグとリーダライタの読み書き位置がずれるおそれがあった。
【0008】
仮に書類のRFタグとリーダライタの読み書き位置がずれた場合には、リーダライタで記録情報を正しく読み取ることができない他、読み書きが不安定な状態にかかわらず実行された書き込みが途中で失敗し、RFタグにおける記録情報を壊す事態に繋がるおそれがある。
【0009】
この他、書類におけるRFタグは、通常、紙書面の全体の大きさに比べて小さいことから、RFタグの位置が書類に明記されていない場合や、使用者が書類におけるRFタグの位置をあらかじめ把握していない場合には、リーダライタに対しRFタグを正しく位置合せするのに手間がかかることも予想される。
【0010】
本発明は前記課題を解消するためになされたもので、書類等の情報記録媒体におけるRFタグとリーダライタとの位置関係を適切に設定して、リーダライタによる情報の読み取りや書き込みを確実に行えるようにする、リーダライタ用ホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の開示に係るリーダライタ用ホルダは、RFタグに対し記録された情報の読み取りと情報の書き込みの少なくとも一方を実行可能な略板状のリーダライタを保持するリーダライタ用ホルダにおいて、前記リーダライタを取り囲む状態で内側に保持可能に形成される略矩形枠状のフレーム部と、所定のシート体にRFタグが一体に配設されてなる情報記録媒体を拘束可能とされて、前記フレーム部における第一の枠辺に取り付けられる一又は複数の拘束部とを備え、前記フレーム部が、対向する位置関係となる第二及び第三の各枠辺における縁に、高低差のある起伏部を形成され、前記拘束部が、前記フレーム部の第一の枠辺から枠内方に突出して前記リーダライタに対向可能とされるクリップ状とされ、フレーム部における前記起伏部のある側に設けられ、前記フレーム部で前記リーダライタを保持した状態で、前記情報記録媒体を前記拘束部とリーダライタ表面との間に挟むと共にフレーム部の前記起伏部に当接させて拘束するものである。
【0012】
このように本発明の開示によれば、RFタグが配設される情報記録媒体を、フレーム部に保持されるリーダライタに対し拘束部を用いて拘束可能とし、拘束された情報記録媒体におけるRFタグをリーダライタと通信可能となる箇所に位置させて、リーダライタで情報記録媒体のRFタグに対する読み書きを行える状態が得られることにより、RFタグを配設した情報記録媒体とリーダライタの大きさが異なっていても、拘束された情報記録媒体はリーダライタに対しずれにくく、リーダライタによる読み取りや書き込みの信頼性を高められる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るリーダライタ用ホルダの平面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係るリーダライタ用ホルダの側面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係るリーダライタ用ホルダの正面図である。
【
図4】本発明の第1の実施形態に係るリーダライタ用ホルダの斜視図である。
【
図5】本発明の第1の実施形態に係るリーダライタ用ホルダへのリーダライタ嵌め込み状態説明図である。
【
図6】本発明の第1の実施形態に係るリーダライタ用ホルダのリーダライタ保持状態の斜視図である。
【
図7】本発明の第1の実施形態に係るリーダライタ用ホルダにおける拘束部と起伏部の位置関係説明図である。
【
図8】本発明の第1の実施形態に係るリーダライタ用ホルダにおける書類拘束状態説明図である。
【
図9】本発明の第1の実施形態に係るリーダライタ用ホルダにおけるICカード拘束状態説明図である。
【
図10】本発明の第1の実施形態に係るリーダライタ用ホルダにおける拘束部の第一の他例の概略説明図である。
【
図11】本発明の第1の実施形態に係るリーダライタ用ホルダにおける拘束部の第二の他例の概略説明図である。
【
図12】本発明の第1の実施形態に係るリーダライタ用ホルダにおける起伏部の他例の概略説明図である。
【
図13】本発明の第2の実施形態に係るリーダライタ用ホルダの概略側面図である。
【
図14】本発明の第1の実施形態に係るリーダライタ用ホルダの外観六面図、及び斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(本発明の第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係るリーダライタ用ホルダを前記
図1ないし
図9に基づいて説明する。本実施形態においては、リーダライタを保持するホルダであって、情報記録媒体としての書類として自動車検査証(車検証)を拘束し、これに配設されたRFタグに対し、保持したリーダライタにより情報の読み取り及び書き込みを行えるようにするホルダの例について説明する。
【0015】
前記各図において本実施形態に係るホルダ10は、公知のリーダライタ20を保持可能な略枠状のフレーム部11と、このフレーム部11で保持されたリーダライタ20の近傍に、RFタグ52付きの書類50を拘束可能な拘束部12とを備える構成である。
【0016】
本実施形態に係るホルダ10でリーダライタ20に対し拘束される書類50は、シート体にRFタグが一体に配設されてなる情報記録媒体の一種であり、詳細には、所定の情報が文字列や画像、図表、二次元コード等として視認可能に記載されたシート体としての台紙51に、この台紙51への記載事項に関連する情報を記録したRFタグ52が一体に配設されたものである。この書類50は、具体的には、電子化対応仕様としてRFタグ52を備えた自動車検査証である。
【0017】
ホルダ10は、書類50の代わりにICカード60を拘束することもできる。ICカード60が拘束されている場合には、リーダライタ20はICカード60と通信を行い、情報の読み取り及び情報の書き込みを実行可能とされる。
【0018】
本実施形態に係るホルダ10で保持されるリーダライタ20は、RFタグ52に対し記録された情報の読み取り及び情報の書き込みを非接触で実行可能な公知の装置である。
リーダライタ20は、略矩形の板状に形成され、ホルダ10に保持された状態で、ホルダ10により拘束された書類50のRFタグ52を、情報の読み書きの対象とするものである。
【0019】
このリーダライタ20における、RFタグ52やICカード60に対し記録された情報の読み取り及び情報の書き込みを非接触で実行する仕組みについては、ICカードやRFタグと無線通信を行うと共に電力供給を行い、これらに搭載されたICチップに対し情報の読み書きを実行する、NFC(近距離無線通信)技術を採用した公知のリーダライタと同様のものであり、詳細な説明を省略する。
【0020】
また、リーダライタ20は、コンピュータ等の情報処理装置(図示を省略)と、例えばIEEE 802.15シリーズ(Bluetooth(登録商標) Low Energy等)やIEEE 802.11シリーズ(無線LAN等)の規格方式による無線通信により通信接続され、書類50のRFタグ52又はICカード60から読み取った情報や、RFタグ52又はICカード60に書き込む情報を、情報処理装置とやり取りする点についても、公知のリーダライタと同様であり、詳細な説明を省略する。
【0021】
リーダライタ20は、機能部、具体的には、電源スイッチ21a等の操作部21や、動作状態を示す表示部22、充電装置等を接続するためのコネクタ部23を、各側面に配置される構成である。このうち、一部の操作部(例えば、電源スイッチ21aなど)21、表示部22、及び、コネクタ部23は、リーダライタ20における一方の短辺側の側面(第一側面25)に集中的に設けられる。
【0022】
表示部22は、リーダライタ20の第一側面25に、一又は複数色で発光可能な、電源ランプ22aと通信状態確認ランプ22bとを配置される構成である。
コネクタ部23は、リーダライタ20に内蔵される電池に対し充電を行うための、充電装置(図示を省略)自体、又は充電装置に繋がったケーブル等を、電気的に接続可能とするためのものである。
【0023】
リーダライタ20は、RFタグ52又はICカード60から読み取った情報やRFタグ52又はICカード60に書き込む情報を処理する情報処理装置と、無線通信により通信接続されるものとしているが、これに限られるものではなく、ホルダ10で保持された状態で、情報処理装置との接続用のケーブルを介して、情報処理装置と有線接続されて通信を行うようにしてもかまわない。
【0024】
なお、リーダライタ20は、公知の無線通信タイプのリーダライタと同様に、内蔵される電池から電力を供給されて作動する構成とされるが、これに限らず、ケーブルを介して接続された情報処理装置から電力を供給される構成としたり、直接若しくはACアダプタ等を介して接続される商用電源を、電源として電力を供給される構成としてもかまわない。
【0025】
なお、ホルダ10については、便宜上、リーダライタ20がホルダ10で保持された状態において、略矩形の板状であるリーダライタ20の板厚方向に対応する向きをホルダ10の上下方向、リーダライタ20の矩形長辺方向に対応する向きをホルダ10の前後方向、リーダライタ20の矩形短辺方向に対応する向きをホルダ10の左右方向と、それぞれ実際の机上等への設置状態における向きとは関わりなく呼称する。そして、ホルダ10におけるフレーム部11に対し拘束部12のある側が上、拘束部12におけるフレーム部11との連結部分に対し先端部12cのある側が前とし、ホルダ10の左右はホルダ10を前方から見た状態での左右に一致するものとする。
【0026】
前記フレーム部11は、透明又は半透明とされる、アクリル樹脂(PMMA)やポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)等のプラスチック製であって、リーダライタ20を内側に嵌め込んで保持可能な略矩形枠状に形成される構成である。このフレーム部11は、矩形の四辺に対応する四つの枠辺11a、11l、11m、11nを有する。
【0027】
フレーム部11は、保持状態のリーダライタ20における、機能部としての操作部21や表示部22等の集まる第一側面25に重なる後端側の部位を、大きく切り欠いた開放状態として形成される。
【0028】
このフレーム部11の後端側は、リーダライタ20の第一側面25に重なる部位を開放状態とする代わりに、リーダライタ20の上側に重なるように横架配設された板状体が第一の枠辺11aとされる構成である。所定幅の板状体が後端側の第一の枠辺11aとして、フレーム部11左右の第二の枠辺11l及び第三の枠辺11mと一体に連結していることで、ホルダ10にリーダライタ20を保持させる際等においてフレーム部11に不要な変形を生じさせないようにすることができる。なお、第一の枠辺としての板状体以外のフレーム部各部が十分な強度を有して、外力が加わっても変形しにくいものである場合には、板状体等の後端側の枠辺を省略した有端枠状とされたフレーム部が、リーダライタを左右と前側の三方からのみ囲んで保持する構成とすることもできる。
【0029】
また、このフレーム部11における、保持状態のリーダライタ20の第一側面25に対応する開放部分の左右両側には、第一側面25の一部に重なることで、フレーム部11の長手方向(前後方向)へのリーダライタ20のずれを防止する係止部11bが形成される。
【0030】
一方、フレーム部11のうち、保持状態のリーダライタ20における第一側面25以外の各側面に重なる枠辺11l、11m、11nのうち、リーダライタ20の第一側面25以外の各側面に設けられた操作部21(例えば、モードスイッチ21b)や表示部22、コネクタ部23等に対応する箇所には、切欠き11dを設けられる。なお、切欠き11dに代えて孔を設けるようにしてもよい。
【0031】
こうしてフレーム部11に、リーダライタ20の側面に設けられた操作部21や表示部22、コネクタ部23等に対応する箇所に切欠き又は孔を設けられることで、操作部21への操作や、表示部22の視認、コネクタ部23への接続等が、ホルダ10によるリーダライタ20保持状態でも問題なく行える。
【0032】
特に、リーダライタ20の表示部22はフレーム部11の開放部分に位置し、ホルダ10による保持状態でも常に視認可能となることに加え、ホルダ10に拘束された状態の書類50とも重ならず、視認可能に露出することとなる。
【0033】
また、フレーム部11においては、リーダライタ20の第一側面25に対応する開放部分の左右両側に係止部11bが形成されると共に、リーダライタ20の他側面の操作部21に対応する切欠き11dの縁には、外側へ突出するリブ11eが所定の配置で設けられており、操作部21に物が接触しにくい構造となっている。これにより、操作部21に物が当たってリーダライタ20が誤作動する事態を未然に防げる仕組みである。なお、切欠き11dの縁に設けられるリブ11eは、切欠き11dの縁で連続して、この切欠き11dを取り囲むように配置される構成に限られるものではなく、操作部への物の接触を阻止できる程度に配置されていれば、断続的に配置されていてもかまわない。また、切欠き11dに代えて孔を設ける場合も、切欠き同様に孔縁にリブを連続的又は断続的に設けるようにしてよい。
【0034】
こうしたリブは、機能部としての操作部21や表示部22、コネクタ部23等を保護するだけでなく、リブの近傍に、機能部が存在することを使用者に認識させる一種の喚起手段としての役割を果たすこともできる。
【0035】
フレーム部11の側面の切欠き又は孔は、リーダライタ20をフレーム部11に対し表裏(上下)を逆向きにして取り付けた場合における、前記操作部21や表示部22、コネクタ部23等に対応する箇所にも設けるようにしてもよい。このように切欠きや孔を設けた場合は、リーダライタ20をフレーム部11に対し表裏(上下)を逆向きにして取り付けて使用できる。仮にリーダライタ20が逆向きであっても、書類50やICカード60をホルダ10で拘束した状態では、ホルダ10に保持されたリーダライタ20の通信可能範囲にこれらが位置することで、問題なく情報を読み書き可能である。
【0036】
また、逆に、フレーム部11において、リーダライタ20をフレーム部11に対し表裏(上下)を逆向きにして取り付けた場合における、前記操作部21や表示部22、コネクタ部23等に対応する箇所が塞がれる構造として、ホルダ10に対しリーダライタ20を正しい向きとは表裏を逆にして取り付けた状態を使用者に示せるようにしてもよい。
【0037】
この他、フレーム部11に設けた切欠き又は孔に、前記操作部21や表示部22、コネクタ部23等を合わせるような向きで、リーダライタ20をフレーム部11に嵌め込んでホルダ10に保持させるよう促す案内表示を、ホルダ10のいずれかの箇所に設けるようにしてもよい。
【0038】
一方、フレーム部11の開放部分の反対側となる端部(前端側の第四の枠辺11n)には、突出部分が形成され、この突出部分に、ストラップ取付け用の孔部11jが設けられる。
このフレーム部11の前端側には、リーダライタ20の下側に重なるように横架された所定幅の下板部11hが設けられる構成である。そして、この下板部11hがフレーム部11左右の枠辺11l、11m及び前端側の枠辺11nと一体に連結していることで、上側に配置される板状の枠辺11a同様、ホルダ10にリーダライタ20を保持させる際等においてフレーム部11に不要な変形を生じさせないようにすることができる。
【0039】
フレーム部11における左右の第二の枠辺11l及び第三の枠辺11mのうち、拘束部12の左右側方に位置する上縁部分は、高低差のある起伏部13とされる。この起伏部13は、複数の高位部13a、13bと、複数の低位部13c、13dとを有する構成である。また、起伏部13は、高位部と低位部の間に位置する斜面を有し、高位部等一部を枠内方に突出させる構成である。
【0040】
高位部13a、13bは、フレーム部11でリーダライタ20を保持した状態で、拘束部12におけるリーダライタ20表面に最も近付く最接近部位(後述する中央部12b)より、リーダライタ20表面に対し遠位側となる位置、すなわち、より上方の位置となるように設定される。高位部13a、13bは、低位部13c、13dを基準とすると、ホルダ10の左右側方から見た状態で、凸状に盛り上がった部分の最上部であり、平面同士もしくは平面と曲面の交差部、曲面、又は所定の大きさの平坦面、として現れる。
【0041】
一方、低位部13c、13dは、拘束部12におけるリーダライタ20への最接近部位(中央部12b)より下方に位置する。また、低位部13c、13dは、フレーム部11でリーダライタ20を保持した状態で、リーダライタ20表面(上面)と同じか、より下側に位置するようにされる。よって、上下方向において、低位部13c、13dの位置と高位部13a、13bの位置との間に、拘束部12の前記最接近部位とリーダライタ20の表面が位置することとなる。より詳細には、拘束部12の前記最接近部位と低位部13c、13dとの高低差S
1、及び、拘束部12の前記最接近部位とリーダライタ20の表面との高低差S
2が、いずれも起伏部13における高位部13a、13bと低位部13c、13dとの高低差Hの1/2未満となるよう設定される(
図7参照)。
【0042】
起伏部13における高位部13a、13bは、第一の枠辺11aに対する離隔度合いの異なる二箇所、すなわち、前後方向にずれた二箇所に設けられる。具体的には、高位部13a、13bは、拘束部11における前記最接近部位(中央部12b)の位置より、第一の枠辺11aに対し遠位側となる箇所(前側の箇所)と、第一の枠辺11aに対し近位側となる箇所(後側の箇所)とにそれぞれ設けられる。これら二箇所の高位部13a、13bの間に、低位部13cが介在する。この低位部13cは、第一の枠辺11aに対する離隔度合いを、拘束部12における前記最接近部位(中央部12b)の、第一の枠辺11aに対する離隔度合いと同じとされる、すなわち、前記最接近部位と前後方向の配設位置を一致させるようにされる。
【0043】
こうして配置された高位部13a、13bや低位部13c、13dからなる起伏部13の上面形状は、ホルダ10の左右側面視において、拘束部12のリーダライタ20寄りとなる下面の形状にほぼ倣った表面形状となっている。
【0044】
このように起伏部13の高位部13a、13b及び低位部13c、13dが配置されることで、拘束部12とリーダライタ20との間に情報記録媒体としての書類50を挟んだ状態で、起伏部13も書類50に当接する。これらにより、書類50をいずれの方向にもずれないように拘束することができると共に、書類50の曲がりや凹みなどの変形が過度に大きくならず、RFタグ52に不具合発生に繋がるような過大な力が加わることを防止できる。
【0045】
なお、起伏部は、高低差を有していれば、一つの高位部と、一つの低位部とを有するものでもかまわない。また、高位部は、その少なくとも一つが、拘束部12における前記最接近部位の位置より、第一の枠辺11aに対し遠位側となる所定箇所(前側の箇所)に設けられるようにすればよい。そして、この所定箇所に設けられる高位部の、第一の枠辺11aに対し近位側となる側、すなわち後側に、低位部の少なくとも一つが配置されるようにすればよい。こうした高位部の配設位置は、拘束部12における前記最接近部位の位置より、前側の箇所か、後側の箇所とされ、拘束部12の前記最接近部位の位置とは重ならないようにされる。
【0046】
こうした左右の各枠辺11l、11mにおける起伏部13同士の、左右方向の最小間隔は、リーダライタ20の読み書き対象となるICカード60の短手方向寸法よりわずかに大きくされ、左右の起伏部13間にICカード60を位置させられる仕組みである。
【0047】
そして、起伏部13は、リーダライタ20の読み書き対象となる書類50やICカード60を、拘束部12とリーダライタ20との間に挿入して拘束する際に、こうした書類50やICカード60を適切な位置に案内する役割を果たすこととなる。
【0048】
これら起伏部13における枠内方への突出部分は、フレーム部11の前後方向については断続的に配置されており、フレーム部11と同様にホルダ10の左右方向の端部寄りに位置していることと合わせて、ホルダ10に保持されたリーダライタ20の表面(上面)を大きく開放された状態とする(
図6参照)。
【0049】
このため、書類50やICカード60を拘束する際に指を掛けられる領域を広く確保でき、拘束に係る操作を行いやすい。また、仮に起伏部が連続的に配置される場合には、拘束部との対向部分に書類等の拘束に係る負荷が集中するおそれがあるものの、起伏部が各方向に分断されていることで、負荷の分散が図れることとなる。
【0050】
起伏部13におけるホルダ10前端寄り部分は、ホルダ10の前端に近付くほど下がる斜面状に形成される。
詳細には、起伏部13は、第一の枠辺11aに対し遠位側に位置する、すなわち、ホルダ10の前端寄りに位置する一の高位部13aの隣りに、この高位部13aよりホルダ10の前端寄りとなる一の低位部13cを有する。そして、一の高位部13aから一の低位部13cにかけて連続する第一の斜面13eが設けられる。
このように、起伏部13におけるホルダ前端寄り部分に第一の斜面13eが形成され、拘束部12の先端に対し、起伏部13の斜面13eの傾斜で拘束部先端と起伏部13前端との上下方向の間隔を広げることで、書類50を起伏部13の斜面13eに沿わせて拘束部12とリーダライタ20との間に挿入するようにすれば、書類50の端部が拘束部の先端に当たって挿入が妨げられる状態が生じにくく、書類50をスムーズに挿入して拘束することができる。
【0051】
図1、
図4、及び
図6に示すように、各起伏部13におけるホルダ10前端寄りの高位部13a及び第一の斜面13eは、フレーム部11の枠内方に突出して形成される。このうち、第一の斜面13eは、低位部13cに近付くほど、枠内方への突出量を小さくされて、斜面幅が徐々に狭まる先細状に形成される。これに伴い、フレーム部11の枠内の開放部分のうち、左右の起伏部13の先細状に形成された第一の斜面13eに挟まれた中間部分は、ホルダ10の前端に近付くほど広がる拡開状とされる。これにより、ICカード60を拘束部12とリーダライタ20との間に挿入する際に、ICカード60を左右いずれかの起伏部13の斜面13eに沿わせるように挿入すれば、左右の起伏部13間の中心に適切に案内して、ICカード60をリーダライタ20中央の上側に位置させることができ、リーダライタ20でICカード60の読み書きを適切に行える状態が容易に得られることとなる。
【0052】
また、起伏部13の高位部のうち、ホルダ10の後端寄りに位置する他の高位部13bから、この高位部13bよりも第一の枠辺11aに対し遠位となる側、すなわち、ホルダ10の前端寄りとなる側で隣り合う他の低位部13dにかけて、連続する第二の斜面13fが設けられる。他の高位部13b及び第二の斜面13fも、フレーム部11の枠内方に突出して形成されるが、このうち第二の斜面13fは、第一の斜面13e同様、低位部13dに近付くほど、枠内方への突出量を小さくされて、斜面幅が徐々に狭まる先細状に形成される。
【0053】
こうして起伏部13において高位部13bと共にフレーム部11の枠内方に突出する第二の斜面13fが、低位部13dに近付くほど枠内方への突出量を小さくされることに伴って先細形状とされ、枠内方の開放部分に突出する斜面の角部を生じさせないこととなる。これにより、第二の斜面13fの低位部13d側の端部に段差が生じにくくなり、情報記録媒体である書類50を拘束部12とリーダライタ20との間に挿入する際に、第二の斜面13fに書類50の端部を案内させるようにしてスムーズに挿入でき、書類50の端部が斜面端部の段差部分に当たって挿入しにくくなる事態の発生を防止できる。よって、書類50を拘束部12とリーダライタ20との間に無理なく拘束しつつ、RFタグ52に対する確実な読み書きが可能なリーダライタ20上の適切な位置まで到達させることができる。
【0054】
さらに、起伏部13では、一の高位部13aから、この高位部13aより第一の枠辺11aに対し近位となる側、すなわち後側で高位部13aと隣り合う他の低位部13dにかけて、連続する第三の斜面13gが設けられる。この第三の斜面13gは、その勾配を第一及び第二の斜面13e、13fの勾配より大きくして形成される構成である。
【0055】
このような勾配の設定により、書類50が起伏部13に沿って第二及び第三の枠辺11l、11mの連続する方向に動こうとする場合に、書類50の動く向きによって起伏部13から加わる抵抗が異なるようになる。例えば、拘束部12とリーダライタ20間に対し、拘束部12の先端部側から第一の枠辺11a側へ書類50を動かす挿入の場合は、書類50と接触する可能性のある斜面13e、13fの抵抗が相対的に小さいことで、挿入しやすくなる。一方、拘束部12とリーダライタ20間に位置する書類50が、拘束部12における第一の枠辺11aに近い基端側から先端部側へ動いて外れようとする場合は、書類50と接触する可能性のある斜面13gの抵抗が相対的に大きいことで、書類50を容易に外れない状態にすることができる。
【0056】
なお、起伏部13におけるホルダ10の後端寄りに位置する他の高位部13bとこれに連なる第二の斜面13fは、拘束部12とリーダライタ20との間に挿入される書類50の端部を案内する以外の役割を有するようにしてもよい。例えば、書類50を拘束部12とリーダライタ20との間に挿入する一方で、拘束部12の最奥部(拘束部12の第一の枠辺11aとの連結部分)まで到達させずにリーダライタ20上で位置決めする場合に、書類50の移動に抵抗を与えて位置決めの目安とする一種の規制部分として、これら高位部13b及び第二の斜面13fを機能させるようにしてもよい。
【0057】
また、起伏部13における各斜面13e、13f、13gは、高位部から低位部にかけて設けられる関係上、その傾斜が左右の枠辺11l、11mの連続方向に沿って上り又は下りとなる形状とされているが、これに限らず、より複雑な傾斜状態、例えば、枠内方に向かうほど下がるなど、左右方向の傾斜も重なった斜面形状であってもかまわない。
また、起伏部13は、高低差のある高位部13a、13bと低位部13c、13d以外に、斜面13e、13f、13gを設けられる構成としているが、こうした斜面以外にも、高位部と低位部との高低差の範囲内に含まれる任意形状部分、いわば中位部、を有していてもよい。
さらに、起伏部13は、その高位部から低位部にかけて連続する斜面13e、13f、13gをそれぞれ設けられる構成としているが、これに限られるものではなく、起伏部の高位部と低位部の間に斜面が存在せず、高位部と低位部がその高低差に相当する一又は複数の段差を挟んで隣り合う構成であってもかまわない。
【0058】
この他、フレーム部11における左右枠辺11l、11mの内側下部には、フレーム部11に嵌め込まれたリーダライタ20の脱落を防ぐ爪部11fが、枠内方に突出形成される。
【0059】
このフレーム部11における左右枠辺11l、11mのうち、ホルダ10の左右両端の外側部となる、枠辺外側面には、ホルダ10の前後方向に連続するリブ11gを設けて、強度を高めるようにすることもできる。
また、フレーム部11のうち、ホルダ10の前端側の枠辺11n外側部に、ホルダ10の左右方向に連続するリブを設けて、強度を高めるようにすることもできる。
【0060】
前記拘束部12は、フレーム部11に対しRFタグ52付きの書類50を所定の拘束状態で支持可能な構成である。拘束部12は、フレーム部11における第一の枠辺11aに取り付けられ、この第一の枠辺11aから枠内方に突出してリーダライタ20に対向可能とされるクリップ状とされる。そして、拘束部12は、フレーム部11における起伏部13のある上側に設けられて、左右の二つの枠辺11l、11mの起伏部13間に位置することとなる。
拘束部12は、フレーム部11同様、透明又は半透明とされる、アクリル樹脂(PMMA)やポリカーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)等のプラスチック製であって、フレーム部11と一体に連結する舌片状に形成される構成である。この拘束部12は、フレーム部11の厚さより薄く形成される。拘束部12の厚さは、例えば、起伏部13における高位部と低位部との高低差(H)以下で、低位部13dと拘束部12におけるリーダライタ20への最接近部位との高低差(S1)より大きくされるのが好ましい。
【0061】
拘束部12は、フレーム部11の第一の枠辺11aに連結する基部12aと、この基部12aから離れた先端部12cと、これら基部12aと先端部12cに挟まれた中央部12bとを含む。拘束部12は、基部12aと先端部12cに対し、中央部12bを、この拘束部12におけるリーダライタ20表面に最も近付く最接近部位として、保持状態のリーダライタ20寄りに位置させるよう下方へ屈曲(突出)させた形状として形成される。これにより、拘束部12とリーダライタ20表面との間に挟持させた書類50等に対する、拘束部12の弾性力による保持を強力なものとすることができる。
ただし、拘束部12における、リーダライタ20表面への最接近部位となる中央部12bの下面は、その上下方向の位置を起伏部13の高位部13a、13bと低位部13c、13dとの間とするようにされており、挟まれた書類50を拘束部12と各起伏部13との間で変形させ、書類50を拘束部12と各起伏部13の並ぶ左右方向にずれにくい状態としつつ、書類50をリーダライタ20表面に過剰に押し付けないようにしている。
【0062】
こうした拘束部12に対し、拘束部12の左右側方に位置するフレーム部11の起伏部13は、その上面形状を拘束部12のリーダライタ20寄りとなる下面の形状にほぼ倣った形状とされる。特に、拘束部12の中央部12bの下面形状に、起伏部13の低位部13dが対応すると共に、拘束部12における中央部12bの前後方向に位置する傾斜面部分に、それぞれ起伏部13の低位部13dを挟む斜面13f、13gの上面形状が対応するようにされる。これにより、拘束部12とリーダライタ20表面とで挟持した書類50を、起伏部13上においても拘束部12の下面同様の形状に沿った変形状態に留められ、書類50に内蔵されるRFタグ52の過剰な変形を抑制できる。
【0063】
また、拘束部12の下面は、この拘束部12の左右側方に位置する、起伏部13の高位部13a、13bに対し、ホルダ上下方向の位置がほぼ同じか、よりリーダライタ20寄りとなる下側に位置するように配置される構成である。このため、拘束部12とリーダライタ20表面とで挟持した書類50を、拘束部12側方の起伏部13表面でも支えてより確実に保持できる。
【0064】
この場合、拘束部12の下面位置を、過度に下側に配置すると、書類50を強固に保持できる一方で、書類50における拘束部12との当接箇所に大きく負荷がかかり、書類50の変形を招くおそれがある。これに対し、拘束部12で書類50をリーダライタ20に接するまで押し下げず、書類50を拘束部12と左右の起伏部13とによって支持(3点支持)するようにすれば、書類50の脱落やズレがなく、且つ、拘束部12とその表面形状に倣った起伏部13とで高い保持強度を得た状態で、書類50の変形を防止することができる。
【0065】
なお、こうして情報記録媒体である書類50と接触し得る、拘束部12の下面や、起伏部13をはじめとするフレーム部11の各枠辺11l、11m、11n上縁部の表面を、粗面や凹凸面として、これらと接触した書類50を横にずれにくくし、書類50の保持拘束性能を向上させるようにすることもできる。
【0066】
拘束部12は、凹んだ中央部12bに対し先端部12cを上向きに傾いた形状とされる。また、拘束部12の先端位置を、ホルダ10の前後方向において、フレーム部11左右の起伏部13におけるホルダ前端寄りの高位部13aや斜面13eが存在する範囲に一致するように設けられる。こうして拘束部12の上向きに傾いた先端部12cが、起伏部13の高位部13aや斜面13eに対応する位置まで前方に進出した分、拘束部12先端と起伏部13前端との上下方向の間隔をより一層広げられ、書類を拘束部12とリーダライタ20との間に容易に挿入して拘束することができる。
ただし、拘束部12の先端下部と起伏部13との上下方向の間隔は、起伏部13における高位部と低位部との高低差より小さくされ、ホルダ10において拘束部12が上方に過剰に突出しないようにされる。
【0067】
なお、ホルダ10の前後方向において、フレーム部11における起伏部13の前記斜面13eの存在する範囲内に、拘束部12の先端を位置させると共に、ホルダ10の上下方向において拘束部12先端と起伏部13とが所定の間隔を有し、拘束部12の先端部12cと起伏部13との上下の間隔がホルダ前端寄りになるほど広がる、末広がり状態となる配置としていれば、拘束部12の先端部12cは上向きに傾いた形状に限られず、水平(リーダライタ20表面と平行)や下向きとなる形状としてもかまわない。
また、拘束部12の先端部12cは、中央部12bとの連結部分以外で屈曲のない平坦形状とされているが、これに限らず、先端部12cと起伏部13との上下の間隔がホルダ前端寄りになるほど広がる状態となるようにしていれば、先端部を一又は複数段階で屈曲させた形状としてもかまわない。
【0068】
拘束部12の基部12aが連結される、フレーム部11における後端側の枠辺11aの前面位置は、拘束部12とリーダライタ20との間に挿入されたICカード60等の後方への進行を規制する規制面となっている。この枠辺11aの前面位置に対し、拘束部12のフレーム部11との連結部分、すなわち、枠辺11aとの連結部分における前面位置は、枠辺11aの前面位置とホルダ10の前後方向にほぼ一致するように設定される。これにより、拘束部12とリーダライタ20との間に挿入されたICカード60等が過度に奥方に進行してリーダライタ20に対する適切な位置からずれることを防止できる。
【0069】
この他、枠辺11aの前面位置に対し、拘束部12の基部12aが枠辺11aと連結する位置をよりホルダ後端側として、ICカード60を枠辺11aとフレーム部11の前端側の枠辺11nとに載せて支持可能とし、且つ基部12aの枠辺11aとの連結部分における前面位置を、ICカード60等の後方進行に対する規制面とすることもできる。この場合、ICカード60をリーダライタ20に接触させない配置で支持する構成とすれば、フレーム部11にリーダライタ20が保持されていなくてもICカード60を支持できる。そして、拘束部12における基部12aのうち、枠辺11aとの連結部分における前面位置は、書類50等の情報記録媒体についても、その後方進行に対する規制面として機能することとなる。
【0070】
拘束部12とリーダライタ20との間にICカード60を挿入して拘束した状態では、ホルダ10からICカード60が前方にはみ出すように、ICカード60の規制状態が設定される。ホルダ10の前方にはみ出すICカード60の端部は、フレーム部11の前端の枠辺11n外側面とそこから突出する突出部分における孔部11j位置との間に位置する。
【0071】
拘束部12には、書類やICカードの挿入方向を示す案内表示部12fが形成される。案内表示部12fは、その周囲部分(拘束部の他部分)に対し陥没した凹部とされて段差が生じることで識別可能とされるものである。ただし、これに限られるものではなく、案内表示部として、拘束部の他部分に対し凸状に突出させることで段差を生じさせたり、色や模様、表面加工(例えば、平滑面に対するシボ加工面、ヘアライン面など)、表面性状の差異を与えられることで識別可能とされてもよい。
【0072】
次に、本実施形態に係るリーダライタ用ホルダの使用状態について説明する。まず、ホルダ10によるリーダライタ20の保持について説明する。
まず、ホルダ10に対し、リーダライタ20を、操作部21等とそれらに対応する切欠き又は孔が合うような向きとする。
【0073】
そして、ホルダ10の拘束部12がない開放側(下側)から、ホルダ10の前端部におけるフレーム部11の各枠辺11l、11m、11nに囲まれたスペースにリーダライタ20の第一側面25とは反対側の端部を斜めに差し込む(
図5参照)。
【0074】
フレーム部11の左右の爪部11f間を広げるようにして、リーダライタ20にフレーム部11から加わる抵抗力を弱めながら、同時に、リーダライタ20がフレーム部11の内側に嵌まり込むように、リーダライタ20をフレーム部11寄りに押し傾けると共にホルダ10前端側に押す。
リーダライタ20が爪部11f位置を越えてフレーム部11の内側に嵌まり込めば、ホルダ10による保持は完了となる。
【0075】
続いて、ホルダ10で保持したリーダライタ20による、情報記録媒体としての書類50に対する情報の読み書きについて説明する。
前提として、リーダライタ20は、フレーム部11の内側に嵌め込まれてホルダ10に保持され、リーダライタ20は情報処理装置に通信接続されており、リーダライタ20は内部電源から作動に必要な電力の供給を受け、電源ランプ22aを点灯させているものとする。
【0076】
デスク天面等の被設置面90等に置かれたホルダ10に対し、ホルダ10に保持されたリーダライタ20と拘束部12との間に、読み書き対象の書類50をホルダ10の前方から起伏部13の斜面部分に沿って挿入して、拘束部12とリーダライタ20との間に書類50が挟まれるようにする(
図8参照)。
【0077】
その場合、ホルダ10に対し書類50を常に一定の位置関係で配置する必要はなく、RFタグ52をリーダライタ20で読み書き可能な位置としていれば、ホルダ10に対する書類50の位置や向きは任意に設定できる。
【0078】
書類50を拘束部12とリーダライタ20との間に位置させると、書類50は拘束部12とフレーム部11の起伏部等による拘束を受けて、使用者の操作でホルダ10に対し動かされる場合以外では容易に動かない状態となる。
【0079】
この書類50の拘束状態では、書類50に配設されたRFタグ52が、ホルダ10に保持されているリーダライタ20の正面に位置しており、リーダライタ20がRFタグ52と通信可能となっている。また、書類50の支持状態では、直接、又は透明な拘束部12を介して、書類50表面の記載事項を使用者が視認可能となっている。なお、拘束部においては、レンズ部を設けたり、拘束部全体がレンズをなす構成として、書類50の拘束部に重なる箇所の記載事項を拡大等により明瞭に視認可能な状態を得るようにしてもよい。
【0080】
リーダライタ20は、この書類50の拘束状態に際して既に作動可能となっている場合には、通信可能範囲内にあるRFタグ52との通信を問題なく成立させ、例えば表示部22の通信状態確認ランプ22bを点灯させるなどして、RFタグ52と正常に通信可能であることを示す。
【0081】
こうした表示部22の表示等から、リーダライタ20が正常に作動可能な状態にあることを確認した上で、使用者がガイダンスに従って情報処理装置を通じた操作を行うと、リーダライタ20がRFタグ52と通信を行って情報の読み書きを実行する。この他、リーダライタ20がRFタグ52との通信を成立させたら、直ちに、使用者による何らかの操作を要することなく自動的に、リーダライタ20がRFタグ52と通信を行って情報の読み書きを実行するようにしてもよい。
【0082】
読み取りの場合は、リーダライタ20で読み取った情報のデータがリーダライタ20から情報処理装置に送られて所定の処理が行われる。
また、書き込みの場合は、あらかじめ情報処理装置で書き込み用に調整処理された書き込み対象の情報のデータがリーダライタ20に送られ、リーダライタ20によりRFタグ52に情報の書き込みが行われる。
こうした読み取りや書き込みの実行中は、リーダライタ20における表示部22の通信状態確認ランプ22bが点灯又は点滅状態となることで、使用者は実行を認識できる。
【0083】
そして、リーダライタ20における読み取りや書き込みの完了は、表示部22の通信状態確認ランプ22bにおける読み取りや書き込みの実行を示していた点灯又は点滅状態を終了させたり、通信状態確認ランプ22bをそれまでとは異なる点灯又は点滅状態に移行させたり、表示部以外の別の報知手段による報知、例えば、ブザー等の音出力部から完了を示す音を出力することで使用者に示すことができる。この他、情報処理装置の表示手段による状況表示等で、リーダライタ20における読み取りや書き込みの完了を使用者に通知するようにしてもよい。
【0084】
使用者は、リーダライタ20における表示部22の表示や、情報処理装置における表示等から、リーダライタ20によるRFタグ52への書き込みの終了を確認したり、書類50から直接視認可能な情報及びリーダライタ20で読み取った情報の利活用、例えば、リーダライタ20で読み取られたRFタグ52に記録されている情報と、書類50表面に記載された情報との照合、確認を、情報処理装置の表示手段による表示出力の目視や、情報処理装置の音声読み上げ出力の聴取などの手法を用いて実行する作業、が完了したら、ホルダ10上に拘束されている書類50を、拘束部12とリーダライタ20との間から抜き取って回収する。
リーダライタ20による情報の読み書きを含む作業を要する同様の書類50が複数ある場合は、ホルダ10で拘束する書類50を入れ替えつつ上記手順が繰り返されることとなる。
【0085】
さらに、他の使用状態として、ICカード60に対し情報の読み書きを行う場合について説明する。なお、リーダライタ20による情報の読み書きの対象となるICカード60は、例えば、ICカード型の運転免許証や個人番号カード(マイナンバーカード)など、カードの規格ISO/IEC7810における「ID-1」に相当するものである。こうした読み書き対象のICカードとしては、他に、健康保険被保険者証(保険証)、在留カード、特別永住者証明書等、NFC(近距離無線通信)技術を採用した公知のリーダライタで読み書き可能なICカードであれば、いずれも対象とすることができる。
【0086】
このICカード60に対する情報の読み書きを行うにあたり、ホルダ10の拘束部12とリーダライタ20との間に、書類50(RFタグ52)が存在している場合には、この拘束部12とリーダライタ20との間から書類50を抜脱して、リーダライタ20上に書類50がない状態としておく。
【0087】
被設置面90等に置かれたホルダ10に対し、拘束部12とリーダライタ20との間に、読み書き対象のICカード60をホルダ10の前方から起伏部13の先細部分に沿って挿入する(
図9参照)。
この場合、ホルダ10に対しICカード60を一定の向きで挿入する必要はなく、ICカード60の向きを、その前後方向や表裏方向について、逆にして挿入してもかまわない。
【0088】
ICカード60を拘束部12とリーダライタ20との間に位置させると、ICカード60は、拘束部12とフレーム部11の起伏部等による拘束を受けて、使用者の操作でホルダ10に対し前後に動かされる場合以外では容易に動かない状態となる。
【0089】
拘束部12の付け根部分にICカード60の端部が接して、ICカード60がホルダ10上に正しく拘束支持された状態とすると、ICカード60が、リーダライタ20の正面に位置して、リーダライタ20がICカード60と通信可能となる。
【0090】
リーダライタ20は、ICカード60の支持状態に際して既に作動可能となっている場合には、通信可能範囲内にあるICカード60との通信を問題なく成立させ、例えば表示部22の通信状態確認ランプ22bを点灯させるなどして、ICカード60と正常に通信可能であることを示す。
【0091】
こうした表示部22の表示等から、リーダライタ20が正常に作動可能な状態にあることを確認した上で、使用者がガイダンスに従って情報処理装置を通じた操作を行うと、リーダライタ20がICカード60と通信を行って情報の読み書きを実行する。この他、リーダライタ20がICカード60との通信を成立させたら、直ちに、使用者による何らかの操作を要することなく自動的に、リーダライタ20がICカード60と通信を行って情報の読み書きを実行するようにしてもよい。
【0092】
読み取りの場合は、リーダライタ20でICカード60から読み取った情報のデータがリーダライタ20から情報処理装置に送られて所定の処理が行われる。
また、書き込みの場合は、あらかじめ情報処理装置で書き込み用に調整処理された書き込み対象の情報のデータがリーダライタ20に送られ、リーダライタ20によりICカード60に情報の書き込みが行われる。
【0093】
使用者は、リーダライタ20における表示部22の表示や、情報処理装置における表示等から、リーダライタ20によるICカード60への書き込みの終了を確認したり、リーダライタ20で読み取った情報の利活用、例えば、リーダライタ20で読み取られて情報処理装置の表示手段に表示された、ICカード60に記録されている情報の目視確認などの作業、が完了したら、ホルダ10上のICカード60を、拘束部12とリーダライタ20との間から抜き取って回収する。
【0094】
リーダライタ20による情報の読み書きを必要とする同様のICカード60が複数ある場合は、ホルダ10で拘束支持するICカード60を置き換えつつ上記手順が繰り返されることとなる。
【0095】
このように、本実施形態に係るリーダライタ用ホルダは、RFタグ52が配設される書類50を、フレーム部11に保持されるリーダライタ20に対し拘束部12で拘束可能とし、拘束された書類50におけるRFタグ52をリーダライタ20と通信可能となる箇所に位置させて、リーダライタ20で書類50のRFタグ52に対する読み書きを行える状態が得られることから、RFタグ52のある書類50とリーダライタ20の大きさが異なっていても、拘束された書類50はリーダライタ20に対しずれにくく、リーダライタ20による読み取りや書き込みの信頼性を高められる。
【0096】
また、略枠状のフレーム部11でリーダライタ20を周囲から支えるようにして、リーダライタ20を保持することで、リーダライタ20を保持した状態では、リーダライタ20がフレーム部11内側から外れることなく安定した保持状態が得られることとなり、拘束された書類50に対しリーダライタ20が読み取りや書き込みを安定的に実行できる。
【0097】
さらに、クリップ状の拘束部12とリーダライタ20との間に書類50を挟むと共に、起伏部13を書類50に当接させるようにして、書類50の拘束を実現することにより、拘束部12を間に挟む配置となる二つの起伏部13で書類50の変形を促して書類50の適切な拘束を図りつつ、拘束に複雑な操作を要さず、書類50を速やかに拘束してリーダライタ20による読み取りや書き込みを実行でき、書類50に対する情報の読み書きを効率よく行わせることができる。
【0098】
なお、前記実施形態に係るリーダライタ用ホルダにおいては、ホルダ10のフレーム部11と拘束部12を同一の透明又は半透明のプラスチックで一体に形成する構成としているが、書類の台紙に記載されている視認可能な情報を、書類を拘束した拘束部の重なる位置でも、拘束部を通して見られるようにする必要性がない場合には、フレーム部と拘束部を不透明材質、例えば、光をあまり透過しない色調(白色又は乳白色など)のプラスチック製、としてもかまわない。また、フレーム部と拘束部との連結強度を確保できれば、フレーム部と拘束部を互いに別の材質製としてもかまわない。その場合、フレーム部は不透明材質、例えば、光をあまり透過しない色調(白色又は乳白色など)とされる、アクリル樹脂(PMMA)やポリプロピレン(PP)等のプラスチック製とすることができる。
【0099】
また、前記実施形態に係るリーダライタ用ホルダにおいては、リーダライタ20の読み書き対象となる情報記録媒体として、文字等の情報が台紙51に視認可能に記載された書類50を取り扱う構成としているが、これに限られるものではなく、書類以外の情報記録媒体として、視認可能な情報が記載されていない台紙等のシート体にRFタグが一体に配設されたものを、拘束部で拘束し、そのRFタグに対しリーダライタによる情報の読み書きを可能とする構成としてもかまわない。この場合、ホルダの拘束部は、透明や半透明の材質以外の、支持された情報記録媒体が拘束部を通して見えないような材質で形成されていてもかまわない。
【0100】
また、前記実施形態に係るリーダライタ用ホルダにおいては、リーダライタ20の読み書き対象となる書類として、自動車検査証(車検証)の例を説明しているが、これに限られるものではなく、ICカードとは異なる大きさの他の情報記録媒体、例えば、パスポート等、を対象とすることもできる。さらに、ICカードについても、通常の読み書き状態とは異なる向き、すなわち、ICカードの短手方向をリーダライタの長手方向に一致させる向き、として、ICカードがホルダの左右の起伏部の間に入り込まない状態で、書類同様に拘束部で拘束し、リーダライタによる情報の読み書きを行うようにしてもよい。
【0101】
また、前記実施形態に係るリーダライタ用ホルダにおいては、フレーム部11はリーダライタ20を取り囲む枠の内側が上下に開放し、拘束部12のある上側からリーダライタ20を直接視認可能であり、ホルダ10で拘束する書類50やICカード60がリーダライタ20に直接接触可能な形状とされるが、これに限らず、リーダライタによる読み書きが可能な範囲で、フレーム部内に嵌め込まれたリーダライタと拘束部との間に介在して枠の内側を閉塞する閉塞板をフレーム部と一体に設け、この閉塞板でホルダに拘束された書類やICカードがリーダライタに直接接触できず隔離される構成とすることもできる。この場合、フレーム部の枠の開口部分の一方を閉塞することで、フレーム部の強度を高められると共に、閉塞板上に拘束部の他、書類やICカードを案内したり、これらの配置を規制する部材をさらに設けることができる。
【0102】
また、前記実施形態に係るリーダライタ用ホルダにおいて、拘束部12は、第一の枠辺11aから枠内方に突出するクリップ状とされ、且つ、第一の枠辺11aに連結する基部12aと、この基部12aから離れた先端部12cに対し、これら基部12aと先端部12cに挟まれた中央部12bを、リーダライタ20への最接近部位として下方へ屈曲させた形状とされる構成としているが、これに限られるものではない。フレーム部に保持されたリーダライタと拘束部との間に書類等の情報記録媒体を挟持拘束できるものであれば、拘束部はどのような形状であってもかまわない。例えば、
図10に示すように、拘束部14を、フレーム部11の第一の枠辺11aから枠内方に突出する細長い板状体とすると共に、その長手方向(前後方向)の中央部を下方に凸状に突出させ、リーダライタ20への最接近部位とすることで、中央部の前後に屈曲部分のない形状として形成する構成としてもよい。
【0103】
また、拘束部12は、その先端部12cがホルダ10の前後方向でその前端近くの、起伏部13の斜面13eの存在する範囲にまで達する大きさとして形成され、長手方向(前後方向)の中央部をリーダライタ20への最接近部位とされる構成としているが、これに限られず、書類等の情報記録媒体を挟持拘束できる範囲で、より短く形成される構成とすることもできる。例えば、
図11に示すように、拘束部15が、その先端を、フレーム部11に保持されたリーダライタ20の中央付近まで到達する程度の大きさとされると共に、先端から所定範囲を他より下方に位置させてリーダライタ20への最接近部位とされる構成としてもかまわない。この場合、書類等の情報記録媒体を拘束部15とリーダライタ20との間に挿入する際に、拘束部15の先端を上方に動かしてこの先端とリーダライタ20やフレーム部11の起伏部13との間隔を広げ、挿入を容易にする操作を行えるようにする、凸状の取っ手部15aを拘束部15に設けるのが望ましい。
こうして拘束部の長さを短く形成する構成を採用する場合も、拘束部はどのような形状であってもよい。例えば、
図10に示した形状において、下方への凸状突出部分より先端側の部分を省略した形状に相当する、細長い板状体の長手方向(前後方向)の先端部分を下方に凸状に突出させ、リーダライタ20への最接近部位とするような形状として拘束部を形成する構成としてもかまわない。
【0104】
また、前記実施形態に係るリーダライタ用ホルダにおいて、フレーム部11は、起伏部13における低位部13c、13dの上下方向の位置を、フレーム部11で保持したリーダライタ20表面(上面)と同じか、より下側とする構成としているが、これに限られるものではなく、低位部13c、13dの位置を、フレーム部11で保持したリーダライタ20表面(上面)より上側にする構成とすることもできる。その場合、拘束部におけるリーダライタへの最接近部位の上下方向位置が、拘束部とリーダライタとの間に挟持した書類等の情報記録媒体の拘束を確実に行うために、低位部より下側となってもかまわない。
【0105】
また、前記実施形態に係るリーダライタ用ホルダにおいて、フレーム部11の起伏部13における高位部13a、13bは、各枠辺11l、11m上で、ホルダ10の前後方向に並ぶように配置される構成としているが、これに限られるものではない。例えば、
図12に示すように、ホルダ10の前後方向にずれた二箇所に設けられる各高位部13h、13iが、互いに左右方向にずらして配置される構成とすることもできる。この場合、一方の高位部13hの枠内方への突出量が、他方の高位部13iの枠内方への突出量より大きくされることで、高位部13h、13i間の左右方向における配置の差異を生じさせている。
各枠辺11l、11mにおける起伏部13の枠内方への突出部分(高位部や斜面)は、拘束部で拘束されたICカード60に左右から接して、ICカード60を左右方向にずらせないようにするために、こうした突出部分同士の左右方向の間隔を、ICカード60の短手方向寸法に対応する大きさに設定される。起伏部13の各高位部13h、13iが、互いに左右方向にずらして配置される場合においては、後側の高位部13iを含む突出部分同士の間隔をICカード60の短手方向寸法に対応させる構成と、前側の高位部13hを含む突出部分同士の間隔をICカード60の短手方向寸法に対応させる構成のいずれを採用してもよい。ただし、後者の構成の場合には、高位部13hを含む突出部分のうち、高位部13hより下側で且つ枠辺11l、11mにより近い箇所に、ICカード60への接触部位となる起立面を形成することが望ましい。この場合、左右の起立面同士の間隔をICカード60の短手方向寸法に対応させる一方、こうした起立面より上側で且つ枠辺11l、11mから遠い側にある高位部13hは、ICカード60の上方に張り出して重なる状態となる。
【0106】
また、前記実施形態に係るリーダライタ用ホルダにおいては、書類50のRFタグ52やICカード60に対し、記録された情報の読み取り及び情報の書き込みを実行可能なリーダライタ20を保持する構成としているが、この他、RFタグ52やICカード60に対し、記録された情報の読み取りのみ実行できるリーダを保持する構成とすることもできる。加えて、ホルダ10は、略矩形枠状のフレーム部11を有して、略矩形板状のリーダライタ20を保持可能な構成とされるが、これに限られるものではなく、他の形状のリーダライタ、例えば、立方体や直方体、円柱状体などの形状とされたり、基板モジュール型とされるものを保持対象とし、こうした対象の形状に対応した枠形状のフレーム部を有する構成としてもかまわない。
【0107】
また、前記実施形態に係るリーダライタ用ホルダにおいては、リーダライタ20の読み書き対象となる書類50とICカード60のいずれか一方のみを、選択的に拘束状態として、リーダライタ20による情報の読み書きを実行させる構成としているが、これに限られるものではなく、ホルダ10に書類50とICカード60を共に拘束させるようにしてもよい。この場合、リーダライタ20が複数のタグに対応可能な衝突防止機能を有していれば、問題なく書類50とICカード60のそれぞれと通信可能となる。
衝突防止機能を有しなくても、書類50とICカード60の一方をリーダライタ20の通信可能範囲に位置させつつ、他方を通信可能範囲外に位置させるようにしたり、リーダライタ20が通信対象を切り替える機能を有して、スイッチ操作等で書類50とICカード60のどちらに対し情報の読み書きを実行するかを選択できるようにしたり、書類50とICカード60の一方をホルダ10で拘束し、リーダライタ20と通信可能な状態に移行した後、他方をさらにホルダ10で拘束するようにすれば、コリジョン(衝突)を回避可能となる。この他、リーダライタ20が、ホルダ10に共に拘束された書類50とICカード60のうち、先に通信を確立した方に対し、情報の読み書きを実行可能な仕組みであれば、衝突の問題は回避できる。
【0108】
また、前記実施形態に係るリーダライタ用ホルダにおいて、保持対象のリーダライタ20は、NFC(近距離無線通信)により、RFタグ52やICカード60に対し、記録された情報の読み取り及び情報の書き込みを非接触で実行する非接触タイプのリーダライタとされる構成としているが、これに限られるものではない。保持対象のリーダライタとして、接触式ICカードに対応した公知の接触タイプのリーダライタを、ホルダで保持する構成としてもよい。この場合、ICカード(接触式)は、リーダライタにおける通信接続用の接点が設けられたスロット部に抜脱可能に挿入されて拘束され、情報の読み書きが実行される。RFタグに対する読み書きは行えないものの、書類等の任意の物品をホルダの拘束部を用いてホルダに拘束状態とすることができる。
【0109】
リーダライタは、非接触タイプと接触タイプの両方の機能を備えるものであってもよく、接触式ICカードは接触による電気的接続状態で、書類のRFタグや非接触式ICカードは非接触の無線通信で、それぞれ情報の読み書きを実行することができる。こうしたリーダライタをホルダで保持した状態では、リーダライタのスロット部で接触式ICカードを支持できる他、ホルダの拘束部により書類や非接触式ICカードを拘束支持でき、複数の情報記録媒体(拘束部で書類とICカードを共に拘束する場合は三つ)を拘束し、これらに対し情報の読み書きを行える状態が得られることとなる。
【0110】
さらに、前記実施形態に係るリーダライタ用ホルダにおいて、保持対象のリーダライタ20は、略矩形の板状に形成され、ホルダ10に保持された状態で、拘束部12に面する平坦な表面(上面)と拘束部12との間に書類等の情報記録媒体を配置される構成としているが、これに限られるものではない。例えば、リーダライタ20が、その上面に、フレーム部11の起伏部13に代えて、又はフレーム部11の起伏部13と並列するようにして、高低差のある起伏部を設けられる構成とすることもできる。この場合、リーダライタ20は、フレーム部11に保持された状態で、拘束部12を挟む位置関係となる表面の箇所(二箇所)に、高低差のある起伏部を有する表面形状とされる。そして、リーダライタ20は、その表面と拘束部12との間に書類等の情報記録媒体を挟むと共に、情報記録媒体に起伏部を当接させて、適切に拘束できることで、前記実施形態で用いられるリーダライタと同様に、情報記録媒体に対し記録された情報の読み取り及び情報の書き込みを安定して行えることとなる。
【0111】
(本発明の第2の実施形態)
前記第1の実施形態に係るリーダライタ用ホルダにおいて、フレーム部11における拘束部12としては、情報記録媒体である書類50やICカード60の拘束を目的としたものを、一方の側(起伏部13と同じ側)にのみ設けられる構成としているが、これに限られるものではない。例えば、
図13に示すように、フレーム部11における所定の枠辺から枠内方に突出してリーダライタ20に対向可能とされるクリップ状とされる他の拘束部17を、フレーム部11における一方の側(一の拘束部12や起伏部13のある側)とは反対側に設ける構成とすることもできる。
【0112】
この場合、フレーム部11でリーダライタ20を保持した状態で、フレーム部11の一の拘束部12及び起伏部13のある側とは反対側に設けられた他の拘束部17とリーダライタ20との間に、所定の物品を挟んで拘束できる。これにより、この他の拘束部17を、一の拘束部12で拘束する情報記録媒体とは別の情報記録媒体のリーダライタ20に対する拘束に使用できる。また、他の拘束部17を、リーダライタ20を含むホルダ全体の他の物品(例えば、コンピュータ、タブレット、スマートフォン等の情報端末や、ディスプレイ等の据置き型機器、あるいは使用者の身に付けた衣類やバッグ等の器具)への取付け、拘束に使用できる。さらに、情報記録媒体を各拘束部12、17で挟持拘束しない間は、リーダライタ20を一の拘束部12と他の拘束部17とで表裏から挟んだ状態として、より安定的に支持できる。
【0113】
こうした他の拘束部17は、フレーム部11における所定の枠辺から突出してこの枠辺と並行するクリップ状とされて、フレーム部11における起伏部13のある側とは反対側に設けられるものでもよい。この場合も、他の拘束部17とフレーム部11の枠辺との間に、所定の物品を挟んで拘束でき、別の情報記録媒体の拘束や、ホルダ全体の他の物品への取付け、拘束に使用できることとなる。
【0114】
なお、他の拘束部17は、フレーム部11でリーダライタ20を保持した状態で、少なくとも一の拘束部12に対しリーダライタ20を挟んで重ならない配置として、フレーム部11に設けられることが好ましい。このように、他の拘束部17が、一の拘束部12とはリーダライタ20を挟んで重ならない配置とされることで、例えばホルダ10を樹脂で成形する場合に、成形用の金型のうち、成形されて生じた樹脂の重なり部分の間に位置する一部を抜脱させるために、金型を複雑な構造とする必要がなくなり、成形が無理なくスムーズに行えると共に、金型をはじめとするホルダ製造に係るコストを抑えられる。
【0115】
また、他の拘束部17は、フレーム部11に対し、一の拘束部12の第一の枠辺11aから突出する方向とは逆の方向に向かって、枠内方に突出する、又は枠辺と並行する形状とされることが好ましい。この場合、フレーム部11でリーダライタ20を保持した状態で、他の拘束部17とリーダライタ20との間、又は、他の拘束部17とフレーム部枠辺との間に、所定の物品を挟んで拘束する向きを、一の拘束部12とリーダライタ20との間に情報記録媒体を挟んで拘束する向きと異ならせることとなる。これにより、リーダライタ20を含むホルダ10全体を支持する前記他の物品としての、情報端末や据置き型機器、衣類、バッグ等器具などの一部が、他の拘束部17とリーダライタ20との間、又は、他の拘束部17とフレーム部枠辺との間に相対的に挟まれるようにして、ホルダ10全体をこうした他の物品に支持させた状態でも、拘束のために情報記録媒体が一の拘束部12とリーダライタ20との間に挿入される向きを適切なものとすることができ、容易且つ効率よく情報記録媒体を拘束して情報の読み書き状態に移行できる。
【0116】
前記第1及び第2の実施形態で具体的に示した、本発明の開示に係るリーダライタ用ホルダは、国際連合で定められた「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)」で示される17の目標のうち、例えば、「9:産業と技術革新の基盤をつくろう(強靱なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る)」や「12:つくる責任つかう責任(持続可能な生産消費形態を確保する)」といった一部の目標の達成に寄与することが期待できる。
【0117】
本発明の開示に係るリーダライタ用ホルダのうち、第1の実施形態に係るリーダライタ用ホルダについて、その外観六面図及び斜視図を
図14に示す。リーダライタ用ホルダを実施する場合には、
図14に示す形態で実施するのが好ましい。
【0118】
本発明の開示に係るリーダライタ用ホルダの採りうる形態について、あらためて付記する。
【0119】
本発明の開示に係るリーダライタ用ホルダは、RFタグに対し記録された情報の読み取りと情報の書き込みの少なくとも一方を実行可能な略板状のリーダライタを保持するリーダライタ用ホルダにおいて、前記リーダライタを取り囲む状態で内側に保持可能に形成される略矩形枠状のフレーム部と、所定のシート体にRFタグが一体に配設されてなる情報記録媒体を拘束可能とされて、前記フレーム部における第一の枠辺に取り付けられる一又は複数の拘束部とを備え、前記フレーム部が、対向する位置関係となる第二及び第三の各枠辺における縁に、高低差のある起伏部を形成され、前記拘束部が、前記フレーム部の第一の枠辺から枠内方に突出して前記リーダライタに対向可能とされるクリップ状とされ、フレーム部における前記起伏部のある側に設けられ、前記フレーム部で前記リーダライタを保持した状態で、前記情報記録媒体を前記拘束部とリーダライタ表面との間に挟むと共にフレーム部の前記起伏部に当接させて拘束するものである。
【0120】
このように本発明の開示によれば、RFタグが配設される情報記録媒体を、フレーム部に保持されるリーダライタに対し拘束部を用いて拘束可能とし、拘束された情報記録媒体におけるRFタグをリーダライタと通信可能となる箇所に位置させて、リーダライタで情報記録媒体のRFタグに対する読み書きを行える状態が得られることにより、RFタグを配設した情報記録媒体とリーダライタの大きさが異なっていても、拘束された情報記録媒体はリーダライタに対しずれにくく、リーダライタによる読み取りや書き込みの信頼性を高められる。
【0121】
また、クリップ状の拘束部とリーダライタ及び起伏部との間に情報記録媒体を挟むようにして、情報記録媒体の拘束を実現することにより、拘束部を間に挟む配置となる二つの起伏部で情報記録媒体の変形を促して情報記録媒体の適切な拘束を図りつつ、拘束に複雑な操作を要さず、情報記録媒体を速やかに拘束してリーダライタによる読み取りや書き込みを実行でき、情報記録媒体に対する情報の読み書きを効率よく行わせることができる。
【0122】
また、本発明の開示に係るリーダライタ用ホルダは必要に応じて、前記起伏部が、少なくとも一つの高位部と、少なくとも一つの低位部とを有し、前記高位部が、前記拘束部における前記リーダライタ表面に最も近付く最接近部位より、リーダライタ表面に対し遠位側となる位置に設定されるものである。
【0123】
このように本発明の開示によれば、起伏部の高位部を、リーダライタ表面に対し、拘束部のリーダライタ表面への最接近部位より遠位側に位置させ、拘束部とリーダライタとの間に情報記録媒体を挟んだ状態で、挟まれた情報記録媒体を拘束部と各起伏部との間で変形させられることにより、拘束部とその両側の起伏部にそれぞれ接する情報記録媒体が一様な形状とならず、拘束部と各起伏部とが並ぶ向きに情報記録媒体がずれにくい状態とすることができる。
【0124】
また、本発明の開示に係るリーダライタ用ホルダは必要に応じて、前記起伏部における高位部の少なくとも一つが、前記拘束部における前記最接近部位の位置より、前記第一の枠辺に対し遠位側となる所定箇所に設けられると共に、当該所定箇所に設けられる高位部の、第一の枠辺に対し近位側となる側に、前記低位部の少なくとも一つが配置されるものである。
【0125】
このように本発明の開示によれば、起伏部の高位部が、第一の枠辺に対して拘束部の最接近部位より遠位側に位置して、隣り合う低位部と高低差を生じさせ、拘束部とリーダライタとの間に情報記録媒体を挟んだ状態で、挟まれた情報記録媒体の変形度合いを拘束部の連続する方向の各位置で異ならせられることにより、拘束部の連続する方向でも情報記録媒体が一様な形状となるのを防いで、拘束部の連続する方向に情報記録媒体がずれにくい状態とすることができる。
【0126】
また、本発明の開示に係るリーダライタ用ホルダは必要に応じて、前記起伏部における高位部が、前記第一の枠辺に対する離隔度合いの異なる二箇所に少なくとも設けられ、当該二箇所の高位部の間に、前記低位部が介在するものである。
【0127】
このように本発明の開示によれば、起伏部の高位部が、第一の枠辺に対する離隔度合いの異なる二箇所に設けられ、高位部ごとに拘束部の最接近部位との位置関係を異ならせ、拘束部とリーダライタとの間に情報記録媒体を挟んだ状態で、挟まれた情報記録媒体の変形度合いを拘束部の最接近部位を中心として各方向で異なるようにすることにより、情報記録媒体を単調な変形状態に留めず、情報記録媒体をいずれの方向にもずれにくい状態に拘束することができる。
【0128】
また、本発明の開示に係るリーダライタ用ホルダは必要に応じて、前記起伏部における高位部が、前記拘束部における前記最接近部位の位置より、前記第一の枠辺に対し遠位側となる箇所と、前記第一の枠辺に対し近位側となる箇所の、少なくとも一方に設けられるものである。
【0129】
このように本発明の開示によれば、起伏部の高位部が、拘束部における最接近部位の位置より、第一の枠辺に対し遠位側又は近位側となる箇所に設けられ、第一の枠辺に対する離隔度合いを拘束部の最接近部位とは異ならせる、すなわち、拘束部の最接近部位の側方に起伏部の高位部が設けられないようにすることにより、情報記録媒体をリーダライタ表面に押し付ける状態となる、拘束部の最接近部位に対し、情報記録媒体をリーダライタ表面から離す側に相対的に押し上げることとなる、起伏部の高位部の位置を離すことができ、情報記録媒体における変形の方向が異なる部位が互いに近付くことで情報記録媒体の変形が過度に大きくなる事態を防止でき、情報記録媒体におけるRFタグの過剰な変形を阻止してRFタグに加わる応力を小さく抑えられ、RFタグにおける不具合発生を防止できる。
【0130】
また、本発明の開示に係るリーダライタ用ホルダは必要に応じて、前記起伏部における所定の一つの低位部が、前記第一の枠辺に対する離隔度合いを、前記拘束部における前記最接近部位の、第一の枠辺に対する離隔度合いと、同じとされるものである。
【0131】
このように本発明の開示によれば、起伏部の低位部の一つが、その第一の枠辺に対する離隔度合いを、拘束部の最接近部位と同様とされて、起伏部の表面を拘束部のリーダライタに対向する側の表面形状に倣うような形状とし、拘束部とリーダライタとの間に拘束された情報記録媒体における、起伏部に接する部位を、拘束部に接する部位に近い変形状態とすることにより、拘束された情報記録媒体を、拘束部の形状に沿った一様で簡略な変形状態に留めることができ、情報記録媒体が各位置ごとに変形度合いの異なる複雑な変形状態となるのを防いで、情報記録媒体におけるRFタグの過剰な変形を抑制でき、RFタグにおける不具合発生を防止できる。
【0132】
また、本発明の開示に係るリーダライタ用ホルダは必要に応じて、前記起伏部が、前記第一の枠辺に対し最も遠位側に位置する一の高位部の隣りに、当該高位部より前記第一の枠辺に対し遠位側となる一の低位部を有すると共に、前記一の高位部から前記一の低位部にかけて連続する一の斜面を設けられてなり、前記拘束部が、先端部の第一の枠辺からの距離を、第一の枠辺から前記一の斜面における任意位置までの距離と一致する所定値とするように、設けられるものである。
【0133】
このように本発明の開示によれば、第一の枠辺に対し最も遠位側に位置する起伏部の一の高位部とこれに隣り合う一の低位部の間に、一の斜面が設けられると共に、拘束部の先端部の位置を、その第一の枠辺からの距離が、第一の枠辺から一の斜面の任意位置までの距離と一致するように設定されて、拘束部の先端部の側方に一の斜面が存在する状態とされることにより、拘束部とリーダライタ表面及び起伏部との間に情報記録媒体を挟んで拘束する際に、情報記録媒体を起伏部の一の斜面に沿わせて拘束部とリーダライタとの間に挿入するようにすれば、情報記録媒体が拘束部の先端部に当たりにくくスムーズに挿入されることとなり、情報記録媒体を容易且つ速やかに拘束状態に移行させられる。
【0134】
また、本発明の開示に係るリーダライタ用ホルダは必要に応じて、前記起伏部における所定の高位部から、当該高位部より前記第一の枠辺に対し遠位となる側で隣り合う一の低位部にかけて、連続する一の斜面が設けられると共に、前記高位部から、当該高位部より前記第一の枠辺に対し近位となる側で隣り合う他の低位部にかけて、連続する他の斜面が設けられ、当該他の斜面が、勾配を前記一の斜面の勾配より大きくして形成されるものである。
【0135】
このように本発明の開示によれば、起伏部の所定の高位部とこれに隣り合う二つの低位部との間にそれぞれ設けられる一の斜面と他の斜面のうち、高位部より第一の枠辺に対し近位側となる他の斜面で、一の斜面より大きい勾配を設定し、情報記録媒体が起伏部に沿って第二及び第三の枠辺の連続する方向に動こうとする場合に、情報記録媒体の動く向きによって起伏部から加わる抵抗が異なるようにすることにより、拘束部とリーダライタ間に対し、拘束部先端部側から第一の枠辺側へ情報記録媒体を動かして挿入する場合は、起伏部の斜面の抵抗が相対的に小さく、挿入しやすい一方、拘束部とリーダライタ間に位置する情報記録媒体が拘束部における第一の枠辺側から先端部側へ動いて外れようとする場合は、起伏部の抵抗が相対的に大きくなり、情報記録媒体を容易に外れない状態にできる。
【0136】
また、本発明の開示に係るリーダライタ用ホルダは必要に応じて、前記フレーム部における所定の枠辺から枠内方に突出して前記リーダライタに対向可能とされるクリップ状、又は、フレーム部における所定の枠辺から突出して当該枠辺と並行するクリップ状とされ、フレーム部における前記起伏部のある側とは反対側に設けられる他の拘束部を備えるものである。
【0137】
このように本発明の開示によれば、フレーム部の拘束部及び起伏部のある側とは反対側に他の拘束部が設けられ、フレーム部でリーダライタを保持した状態で、この他の拘束部とリーダライタとの間、又は、他の拘束部とフレーム部枠辺との間に、所定の物品を挟んで拘束可能とすることにより、この他の拘束部を、拘束部で拘束する情報記録媒体とは別の情報記録媒体のリーダライタに対する拘束や、リーダライタを含むホルダ全体の他の物品への取付け、拘束に使用できる。また、情報記録媒体を各拘束部で挟持拘束しない間は、リーダライタを拘束部と他の拘束部とで表裏から挟んだ状態として、より安定的に支持できる。
【0138】
また、本発明の開示に係るリーダライタ用ホルダは必要に応じて、前記他の拘束部が、前記フレーム部で前記リーダライタを保持した状態で、少なくとも前記拘束部に対しリーダライタを挟んで重ならない配置として、フレーム部に設けられるものである。
【0139】
このように本発明の開示によれば、フレーム部の拘束部のある側とは反対側に設けられる他の拘束部が、フレーム部でリーダライタを保持した状態で、拘束部とはリーダライタを挟んで重ならない配置とされることにより、例えばホルダを樹脂で成形する場合に、成形用の金型のうち、成形されて生じた樹脂の重なり部分の間に位置する一部を抜脱させるために、金型を複雑な構造とする必要がなくなり、成形が無理なくスムーズに行えると共に、金型をはじめとするホルダ製造に係るコストを抑えられる。
【0140】
また、本発明の開示に係るリーダライタ用ホルダは必要に応じて、前記他の拘束部が、フレーム部に対し、前記拘束部の前記第一の枠辺から突出する方向とは逆の方向に向かって、枠内方に突出する、又は枠辺と並行する形状とされるものである。
【0141】
このように本発明の開示によれば、フレーム部の拘束部のある側とは反対側に設けられる他の拘束部が、拘束部の突出方向とは逆向きとなるように、枠内方に突出する、又は、枠辺と並行する形状として設けられ、フレーム部でリーダライタを保持した状態で、この他の拘束部とリーダライタとの間、又は、他の拘束部とフレーム部枠辺との間に、所定の物品を挟んで拘束する向きを、拘束部とリーダライタとの間に情報記録媒体を挟んで拘束する向きと異ならせることにより、リーダライタを含むホルダ全体を支持する所定の支持部材が、他の拘束部とリーダライタとの間、又は、他の拘束部とフレーム部枠辺との間に相対的に挟まれるようにして、ホルダ全体を支持部材に支持させた状態でも、拘束のために情報記録媒体が拘束部とリーダライタとの間に挿入される向きを適切なものとすることができ、容易且つ効率よく情報記録媒体を拘束して情報の読み書き状態に移行できる。
【0142】
また、本発明の開示に係るリーダライタ用ホルダは必要に応じて、前記起伏部における所定の高位部から、当該高位部より前記第一の枠辺に対し遠位となる側で隣り合う低位部にかけて、連続する一の斜面を設け、前記高位部及び一の斜面が、前記フレーム部の枠内方に突出して形成されると共に、一の斜面が、枠内方への突出量を前記低位部に近付くほど小さくされ、斜面幅が徐々に狭まる先細状に形成されものである。
【0143】
このように本発明の開示によれば、フレーム部の起伏部における高位部から低位部にかけて一の斜面が設けられると共に、高位部と共にフレーム部の枠内方に突出する一の斜面が、低位部に近付くほど枠内方への突出量を小さくされることに伴って、斜面幅を徐々に狭める先細形状とされ、枠内方の開放部分に突出する斜面の角部を生じさせないことにより、一の斜面の低位部側の端部に段差が生じにくくなり、情報記録媒体を拘束部とリーダライタとの間に挿入する際に、起伏部の一の斜面に情報記録媒体を案内させるようにしてスムーズに挿入でき、情報記録媒体の端部が斜面端部の段差部分に当たって挿入しにくくなる事態の発生を防止でき、情報記録媒体を拘束部とリーダライタとの間に無理なく拘束しつつ、リーダライタ上の適切な位置まで到達させることができ、リーダライタで情報記録媒体のRFタグに対する読み書きを適切に行える状態が容易に得られることとなる。
【0144】
また、本発明の開示に係るリーダライタ用ホルダは、RFタグに対し記録された情報の読み取りと情報の書き込みの少なくとも一方を実行可能な略板状のリーダライタを保持するリーダライタ用ホルダにおいて、前記リーダライタを取り囲む状態で内側に保持可能に形成される略矩形枠状のフレーム部と、所定のシート体にRFタグが一体に配設されてなる情報記録媒体を拘束可能とされて、前記フレーム部における第一の枠辺に取り付けられる一又は複数の拘束部とを備え、前記拘束部が、前記フレーム部の第一の枠辺から枠内方に突出して前記リーダライタに対向可能とされるクリップ状とされ、前記リーダライタが、前記フレーム部に保持された状態で、前記拘束部を挟む位置関係となる表面の二箇所に、高低差のある起伏部を有する表面形状とされ、前記フレーム部で前記リーダライタを保持した状態で、前記情報記録媒体を前記拘束部とリーダライタ表面との間に挟むと共に前記起伏部に当接させて拘束するものである。
【0145】
このように本発明の開示によれば、RFタグが配設される情報記録媒体を、フレーム部に保持されるリーダライタに対し拘束して読み取り可能とするにあたり、クリップ状の拘束部を設けて、この拘束部とリーダライタ表面との間に情報記録媒体を挟むと共に、情報記録媒体にリーダライタの起伏部を当接させるようにして、情報記録媒体の拘束を実現することにより、拘束部を間に挟む配置となるリーダライタの二つの起伏部で情報記録媒体の変形を促して情報記録媒体の適切な拘束を図りつつ、拘束に複雑な操作を要さず、情報記録媒体を速やかに拘束してリーダライタによる読み取りや書き込みを実行でき、情報記録媒体に対する情報の読み書きを効率よく行わせることができる。
【符号の説明】
【0146】
10 ホルダ
11 フレーム部
11a 枠辺
11b 係止部
11d 切欠き部
11e リブ
11f 爪部
11g リブ
11h 下板部
11j 孔部
11l 枠辺
11m 枠辺
11n 枠辺
12 拘束部
12a 基部
12b 中央部
12c 先端部
12f 案内表示部
13 起伏部
13a、13b 高位部
13c、13d 低位部
13e、13f 斜面
13g 斜面
13h、13i 高位部
14、15 拘束部
15a 取っ手部
17 拘束部
20 リーダライタ
21 操作部
21a 電源スイッチ
21b モードスイッチ
22 表示部
22a 電源ランプ
22b 通信状態確認ランプ
23 コネクタ部
25 第一側面
50 書類
51 台紙
52 RFタグ
60 ICカード