(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025022582
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】タイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 19/08 20060101AFI20250206BHJP
B60C 9/06 20060101ALI20250206BHJP
B60C 9/20 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
B60C19/08
B60C9/06 A
B60C9/20 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127289
(22)【出願日】2023-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100186015
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100164448
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 雄輔
(72)【発明者】
【氏名】菱ヶ江 明
(72)【発明者】
【氏名】蛭田 祥平
【テーマコード(参考)】
3D131
【Fターム(参考)】
3D131AA33
3D131AA34
3D131AA39
3D131BA05
3D131BA09
3D131BB01
3D131BB03
3D131BB09
3D131BC02
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3D131BC51
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3D131DA43
3D131DA54
3D131HA45
3D131HA46
3D131KA02
3D131KA04
3D131KA05
3D131KA06
3D131LA15
3D131LA20
3D131LA28
(57)【要約】
【課題】本発明は、タイヤの転がり抵抗を低減しつつも、導電経路を確保した、タイヤを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のタイヤでは、カーカスは、カーカスコードが層間で互いに交差する、第1のカーカスプライ及び第2のカーカスプライからなる2枚のカーカスプライを備え、前記カーカスプライの被覆ゴムは、60℃における損失正接tanδが0.1以下であり、前記カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に、導電ゴム部材が配置されている。第1のカーカス折り返し部の端及び第1の折り返し部の端は、前記導電ゴム部材のタイヤ径方向内側端よりも、タイヤ径方向外側に位置し、あるいは、第1のカーカス折り返し部の端及び第1の折り返し部の端は、前記導電ゴム部材のタイヤ幅方向外側端よりも、タイヤ幅方向内側に位置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のビード部の各々に埋設されたビードコアと、
前記一対のビードコア間をトロイダル状に跨るカーカスと、を備えたタイヤであって、
前記カーカスは、カーカスコードが層間で互いに交差する、第1のカーカスプライ及び第2のカーカスプライからなる2枚のカーカスプライを備え、
前記カーカスプライの被覆ゴムは、60℃における損失正接tanδが0.1以下であり、
前記第1のカーカスプライは、前記一対のビード部間をトロイダル状に跨る第1のカーカス本体部と、前記第1のカーカス本体部から延びて前記ビードコアの周りで折り返されてなる第1のカーカス折り返し部と、からなり、
前記第1のカーカスプライに沿って、第1の導電部材が配置され、
前記第1の導電部材は、前記一対のビード部間をトロイダル状に跨る第1の本体部と、前記第1の本体部から延びて前記ビードコアの周りで折り返されてなる第1の折り返し部と、からなり、
前記カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に、導電ゴム部材が配置され、
前記第1のカーカス折り返し部の端及び前記第1の折り返し部の端は、前記導電ゴム部材のタイヤ径方向内側端よりも、タイヤ径方向外側に位置することを特徴とする、タイヤ。
【請求項2】
一対のビード部の各々に埋設されたビードコアと、
前記一対のビードコア間をトロイダル状に跨るカーカスと、を備えたタイヤであって、
前記カーカスは、カーカスコードが層間で互いに交差する、第1のカーカスプライ及び第2のカーカスプライからなる2枚のカーカスプライを備え、
前記カーカスプライの被覆ゴムは、60℃における損失正接tanδが0.1以下であり、
前記第1のカーカスプライは、前記一対のビード部間をトロイダル状に跨る第1のカーカス本体部と、前記第1のカーカス本体部から延びて前記ビードコアの周りで折り返されてなる第1のカーカス折り返し部と、からなり、
前記第1のカーカスプライに沿って、第1の導電部材が配置され、
前記第1の導電部材は、前記一対のビード部間をトロイダル状に跨る第1の本体部と、前記第1の本体部から延びて前記ビードコアの周りで折り返されてなる第1の折り返し部と、からなり、
前記カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に、導電ゴム部材が配置され、
前記第1のカーカス折り返し部の端及び前記第1の折り返し部の端は、前記導電ゴム部材のタイヤ幅方向外側端よりも、タイヤ幅方向内側に位置することを特徴とする、タイヤ。
【請求項3】
前記タイヤの前記カーカスプライのカーカスコードは、タイヤ周方向に対して80°~88°の角度で傾斜してなる、請求項1又は2に記載のタイヤ。
【請求項4】
前記導電ゴム部材は、体積固有抵抗が1.0×109Ω・cm以下である、請求項1又は2に記載のタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、タイヤに導電部材を配置して、車体から路面への導電経路を形成し、静電気を車体から路面へと逃がすタイヤ構造が提案されている(例えば、特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-203631号公報
【特許文献2】特開2021-000892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、サーキット走行等の高速走行に適したタイヤとして、2枚のカーカスプライをカーカスコードが交差するように配置したタイヤ構造も提案されている。加えて、近年ではタイヤの転がり抵抗の低減のためにカーカスプライの被覆ゴムに低転がり抵抗のゴムが用いられることが求められている。
【0005】
しかしながら、一般的に低転がり抵抗のゴムは電気抵抗率が大きく、上記のようなカーカス構造のカーカスプライに低転がり抵抗の被覆ゴムを採用した場合、車体から路面への導電経路が確保できない可能性があった。
【0006】
そこで、本発明は、タイヤの転がり抵抗を低減しつつも、導電経路を確保した、タイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の要旨構成は、以下の通りである。
(1)一対のビード部の各々に埋設されたビードコアと、
前記一対のビードコア間をトロイダル状に跨るカーカスと、を備えたタイヤであって、
前記カーカスは、カーカスコードが層間で互いに交差する、第1のカーカスプライ及び第2のカーカスプライからなる2枚のカーカスプライを備え、
前記カーカスプライの被覆ゴムは、60℃における損失正接tanδが0.1以下であり、
前記第1のカーカスプライは、前記一対のビード部間をトロイダル状に跨る第1のカーカス本体部と、前記第1のカーカス本体部から延びて前記ビードコアの周りで折り返されてなる第1のカーカス折り返し部と、からなり、
前記第1のカーカスプライに沿って、第1の導電部材が配置され、
前記第1の導電部材は、前記一対のビード部間をトロイダル状に跨る第1の本体部と、前記第1の本体部から延びて前記ビードコアの周りで折り返されてなる第1の折り返し部と、からなり、
前記カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に、導電ゴム部材が配置され、
前記第1のカーカス折り返し部の端及び前記第1の折り返し部の端は、前記導電ゴム部材のタイヤ径方向内側端よりも、タイヤ径方向外側に位置することを特徴とする、タイヤ。
ここで、「60℃における損失正接tanδ」とは、スペクトロメーターを用い、雰囲気温度60℃、動歪2%、周波数52Hzの条件で測定される、損失正接を指す。
【0008】
(2)一対のビード部の各々に埋設されたビードコアと、
前記一対のビードコア間をトロイダル状に跨るカーカスと、を備えたタイヤであって、
前記カーカスは、カーカスコードが層間で互いに交差する、第1のカーカスプライ及び第2のカーカスプライからなる2枚のカーカスプライを備え、
前記カーカスプライの被覆ゴムは、60℃における損失正接tanδが0.1以下であり、
前記第1のカーカスプライは、前記一対のビード部間をトロイダル状に跨る第1のカーカス本体部と、前記第1のカーカス本体部から延びて前記ビードコアの周りで折り返されてなる第1のカーカス折り返し部と、からなり、
前記第1のカーカスプライに沿って、第1の導電部材が配置され、
前記第1の導電部材は、前記一対のビード部間をトロイダル状に跨る第1の本体部と、前記第1の本体部から延びて前記ビードコアの周りで折り返されてなる第1の折り返し部と、からなり、
前記カーカスのクラウン部のタイヤ径方向外側に、導電ゴム部材が配置され、
前記第1のカーカス折り返し部の端及び前記第1の折り返し部の端は、前記導電ゴム部材のタイヤ幅方向外側端よりも、タイヤ幅方向内側に位置することを特徴とする、タイヤ。
【0009】
(3)前記タイヤの前記カーカスプライのカーカスコードは、タイヤ周方向に対して80°~88°の角度で傾斜してなる、前記(1)又は(2)に記載のタイヤ。
【0010】
(4)前記導電ゴム部材は、体積固有抵抗が1.0×109Ω・cm以下である、前記(1)~(3)のいずれか1つに記載のタイヤ。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、タイヤの転がり抵抗を低減しつつも、導電経路を確保したタイヤを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】タイヤ構造の第1の例を模式的に示す図である。
【
図2】タイヤ構造の第2の例を模式的に示す図である。
【
図3】RFIDの配置について説明するための図である。
【
図4】RFIDの配置について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に例示説明する。
【0014】
本発明の一実施形態にかかるタイヤについて説明する。
図1は、タイヤ構造の第1の例を模式的に示す図である。模式図においては、タイヤ赤道面を境界とするタイヤ幅方向の一方の半部のみを示しているが、他方の半部についても同様の構成である。
【0015】
図1に示すように、このタイヤ1は、一対のビード部2と、一対のビード部2に連なる一対のサイドウォール部(図示せず)と、一対のサイドウォール部間に連なるトレッド3と、を備えている。
【0016】
一対のビード部2の各々には、ビードコア2aが埋設されている。なお、図示を省略しているが、ビードコア2aのタイヤ径方向外側には、ビードフィラーを配置することができる。トレッド3は、図示例では、キャップゴム3aとキャップゴムのタイヤ径方向内側に位置するベースゴム3bとからなる。一方で、トレッド3を単層とすることもできる。
【0017】
タイヤ1は、一対のビード部2間をトロイダル状に跨るカーカス4をさらに備えている。カーカス4は、カーカスコードが層間で互いに交差する、第1のカーカスプライ4a及び第2のカーカスプライ4bからなる2枚のカーカスプライを備える。カーカスプライ4a、4bは、カーカスコードが被覆ゴムにより被覆されてなる。カーカスコードは、特には限定されないが、例えば、有機繊維コードとすることができる。カーカスコードは、タイヤ周方向に対して80°~88°の角度で傾斜してなることが好ましい。このように、タイヤ周方向に対して高角度に傾斜するカーカスコードが層間で互いに交差する構成とすることにより、タイヤの回転方向に対する剛性を向上させて、タイヤのグリップ性能を向上させることができる。カーカスプライの被覆ゴムは、60℃における損失正接tanδが0.1以下である。カーカスプライの被覆ゴムの60℃における損失正接tanδを0.1以下とすることにより、タイヤの転がり抵抗を低減することができる。一方で、耐破壊性確保の観点から、カーカスプライの被覆ゴムの60℃における損失正接tanδは、0.05以上とすることが好ましい。クラウン部においてタイヤ径方向内側に位置するカーカスプライ4aは、一対のビード部2間をトロイダル状に跨る第1のカーカス本体部4a1と、第1のカーカス本体部4a1から延びてビードコア2aの周りで折り返されてなる第1のカーカス折り返し部4a2と、からなる。同様に、クラウン部においてタイヤ径方向外側に位置するカーカスプライ4bは、一対のビード部2間をトロイダル状に跨る第2のカーカス本体部4b1と、第2のカーカス本体部4b1から延びてビードコア2aの周りで折り返されてなる第2のカーカス折り返し部4b2と、からなる。タイヤサイドウォール部の剛性を向上させる観点からは、第1及び第2のカーカス折り返し部4a2、4b2の端は、ビードフィラーのタイヤ径方向外側端よりもタイヤ径方向外側に位置することが好ましい。
【0018】
また、このタイヤ1では、第1のカーカスプライ4aに沿って、第1の導電部材(本例では、導電性の繊維部材)11aが配置されている。第1の導電部材11aは、一対のビード部2間をトロイダル状に跨る第1の本体部11a1と、第1の本体部11a1から延びてビードコア2aの周りで折り返されてなる第1の折り返し部11a2と、からなる。この例では、第1のカーカスプライ4aの延在長さと第1の導電部材11aの延在長さは、略同じである。また、このタイヤ1では、第2のカーカスプライ4bに沿って、第2の導電部材(本例では、導電性の繊維部材)11bが配置されている。第2の導電部材11bは、一対のビード部2間をトロイダル状に跨る第2の本体部11b1と、第2の本体部11b1から延びてビードコア2aの周りで折り返されてなる第2の折り返し部11b2と、からなる。この例では、第2のカーカスプライ4bの延在長さと第2の導電部材11bの延在長さは、略同じである。第1の導電部材11a及び第2の導電部材11bの体積固有抵抗は、例えば、1.0×108Ω・cm以下とすることができる。
【0019】
図示例では、タイヤ1は、カーカス4のクラウン部のタイヤ径方向外側に、ベルト5を備えている。ベルト5は、2層のベルト層5a、5bからなる。各ベルト層5a、5bは、ベルトプライからなり、ベルトプライは、ベルトコードがベルト被覆ゴムにより被覆されてなる。ベルトコードは、特には限定されないが、例えばタイヤ周方向に対して20~40°の傾斜角度で傾斜するものとすることができる。また、ベルトコードは、層間で互いに交差することが好ましい。ベルト被覆ゴムの60℃における損失正接tanδは、0.12~0.2とすることが好ましい。ベルト被覆ゴムの60℃における損失正接tanδを0.12以上とすることにより、耐破壊性を確保することができ、一方で、ベルト被覆ゴムの60℃における損失正接tanδを0.2以下とすることにより、転がり抵抗を低減することができるからである。ベルト被覆ゴムの体積固有抵抗は、1.0×109Ω・cm以下とすることが好ましい。図示例では、タイヤ径方向内側のベルト層5aのタイヤ幅方向の幅は、タイヤ径方向外側のベルト層5bのタイヤ幅方向の幅よりも大きい。一方で、ベルト層の層数、ベルトコードの傾斜角度、ベルト層のタイヤ幅方向の幅等のベルト構造は、様々なものとすることができ、この例に限定されることはない。
【0020】
図示例では、タイヤ1は、ベルト5のタイヤ径方向外側に、図示例で1層の、ベルト補強層6を備えている。ベルト補強層6は、ベルト補強層プライからなり、ベルト補強層プライは、ベルト補強層コードがベルト補強層被覆ゴムにより被覆されてなる。ベルト補強層コードは、特には限定されないが、例えばタイヤ周方向に延びるものとすることができる。また、ベルト補強層被覆ゴムの60℃における損失正接tanδは、0.12~0.2とすることが好ましい。ベルト補強層被覆ゴムの60℃における損失正接tanδを0.12以上とすることにより、耐破壊性を確保することができ、一方で、ベルト補強層被覆ゴムの60℃における損失正接tanδを0.2以下とすることにより、転がり抵抗を低減することができるからである。ベルト補強層被覆ゴムの体積固有抵抗は、1.0×109Ω・cm以下とすることが好ましい。図示例では、ベルト補強層6のタイヤ幅方向の幅は、ベルト層5a、5bのタイヤ幅方向の幅よりも大きい。一方で、ベルト補強層の層数、ベルト補強層コードの傾斜角度、ベルト補強層のタイヤ幅方向の幅等の補強層構造は、様々なものとすることができ、この例に限定されることはない。
【0021】
図1に示すように、このタイヤ1は、カーカス4のクラウン部のタイヤ径方向外側、且つ、ベルト5のタイヤ径方向内側に、導電ゴム部材7をさらに備えている。導電ゴム部材7の体積固有抵抗は、1.0×10
9Ω・cm以下とすることが好ましい。導電性を高めて導電経路を通じてより確実に静電気を路面へと逃がすことができるからである。一方で、なるべく転がり抵抗を低減する観点からは、導電ゴム部材7の60℃における損失正接tanδは、0.2以下とすることが好ましい。
【0022】
また、このタイヤ1は、ビードコア2aの周り(カーカス4の外周側)に、カーカスチェーファ8をさらに備えている。ビードコア2aの周り(ビードコア2a周りでのカーカス4の内周側)には、(本例では導電ゴム部材7と同種(同一)の)導電ゴム部材12が配置されている。ビードコア2aのタイヤ径方向内側の領域では、製造工程において導電ゴム部材12の一部がカーカスプライ4aおよび4bのコード間を流動することにより染み出し、カーカスプライ4aと4bとの間の領域9aおよびカーカスプライ4aとカーカスチェーファ8との間の領域9bに配置されている。
【0023】
このタイヤ1では、導電ゴム部材7は、カーカス4のクラウン部のタイヤ径方向外側にてタイヤ幅方向に延在する部分と、当該部分のタイヤ幅方向端からタイヤ径方向内側に延びる部分とからなる。また、このタイヤ1では、第1のカーカス折り返し部4a2の端及び第1の折り返し部11a2の端は、導電ゴム部材7のタイヤ径方向内側端よりも、タイヤ径方向外側に位置している。導電ゴム部材7の延在範囲をなるべく小さくして部材を低減する観点からは、導電ゴム部材7のタイヤ径方向内側端は、第2のカーカス折り返し部4b2の端及び第2の折り返し部11b2の端よりもタイヤ径方向外側に位置することが好ましい。
以下、第1の例のタイヤの作用効果について説明する。
【0024】
第1の例のタイヤでは、まず、カーカスコードが層間で互いに交差する、2枚のカーカスプライ4a、4bを備え、カーカスプライの被覆ゴムは、60℃における損失正接tanδが0.1以下である。このため、上述した通り、タイヤのグリップ性能を向上させつつ、転がり抵抗も低減することができる。
一方で、第1の例において、カーカスプライの被覆ゴムの60℃における損失正接tanδが0.1以下であり導電性が低い。
これに対し、第1の例のタイヤでは、カーカス4のクラウン部のタイヤ径方向外側に、導電ゴム部材7が配置され、第1のカーカス折り返し部4a2の端及び第1の折り返し部の端11a2は、導電ゴム部材7のタイヤ径方向内側端よりも、タイヤ径方向外側に位置している。
これにより、
図1に示すように、ガムチェーファーゴム10、(本例では、カーカスチェーファ―8)、製造工程においてその一部が領域9bに染み出した導電ゴム部材12、第1の導電部材11aの第1の折り返し部11a2、導電ゴム部材7、ベルト5のベルト被覆ゴム、及びトレッド3の順の導電経路が確立されるため、車体からの静電気を路面へと逃がすことができる。
以上のように、第1の例のタイヤによれば、タイヤの転がり抵抗を低減しつつも、導電経路を確保することができる。
また、
図1の領域R1において導電ゴム部材7が存在している必要はなく、また、カーカスチェーファ―8も必要に応じて無くすことができ、部材の削減によるコスト減やタイヤの軽量化に有利である。
【0025】
図2は、タイヤ構造の第2の例を模式的に示す図である。以下、
図1のタイヤ構造と相違する点について説明し、
図1のタイヤ構造と同様の構成については再度の説明を省略する。
【0026】
図2の例では、第1のカーカス折り返し部4a2の端及び第1の折り返し部11a2の端は、ベルト層5a、5bの端よりもタイヤ幅方向内側に位置している。また、導電ゴム部材7は、カーカス4のクラウン部のタイヤ径方向外側のみに位置しており、タイヤ幅方向に延在している。導電ゴム部材7のタイヤ幅方向端は、図示例では、ベルト層5aの端とベルト層5bの端との間に位置しているが、この場合に限られない。また、第1のカーカス折り返し部4a2の端及び第1の折り返し部11a2の端は、導電ゴム部材7のタイヤ幅方向外側端よりもタイヤ幅方向内側に位置している。
以下、
図2の例のタイヤの作用効果について説明する。
【0027】
図2の例のタイヤでは、まず、カーカスコードが層間で互いに交差する、2枚のカーカスプライ4a、4bを備え、カーカスプライの被覆ゴムは、60℃における損失正接tanδが0.1以下である。このため、上述した通り、タイヤのグリップ性能を向上させつつ、転がり抵抗も低減することができる。
一方で、
図2の例において、カーカスプライの被覆ゴムのカーカスプライの被覆ゴムは、60℃における損失正接tanδが0.1以下であり導電性が低い。
これに対し、
図2の例のタイヤでは、カーカス4のクラウン部のタイヤ径方向外側に、導電ゴム部材7が配置され、第1のカーカス折り返し部4a2の端及び第1の折り返し部の端11a2は、導電ゴム部材7のタイヤ幅方向外側端よりも、タイヤ幅方向内側に位置している。
これにより、
図2示すように、ガムチェーファーゴム10、(本例では、カーカスチェーファ―8)、製造工程においてその一部が領域9bに染み出した導電ゴム部材12、第1の導電部材11aの第1の折り返し部11a2、導電ゴム部材7、ベルト5のベルト被覆ゴム、及びトレッド3の順の導電経路が確立されるため、車体からの静電気を路面へと逃がすことができる。
以上のように、
図2の例のタイヤによれば、タイヤの転がり抵抗を低減しつつも、導電経路を確保することができる。
また、
図1の領域R2において導電ゴム部材7が存在している必要はなく、また、カーカスチェーファ―8も必要に応じて無くすことができ、部材の削減によるコスト減やタイヤの軽量化に有利である。
【0028】
ここで、タイヤのカーカスプライのカーカスコードは、タイヤ周方向に対して80°~88°の角度で傾斜してなることが好ましい。タイヤの回転方向に対する剛性を高めてグリップ性能を向上させることができるからである。
また、導電ゴム部材は、体積固有抵抗が1.0×109Ω・cm以下であることが好ましい。導電性を高めて導電経路を通じてより確実に静電気を路面へと逃がすことができるからである。
【0029】
タイヤは、通信装置としてのRFタグ91、92を備えてよい。RFタグは、ICチップとアンテナとを備える。RFタグは、例えば、タイヤを構成する同種又は異種の複数の部材の間の位置に挟み込まれて配置されてよい。このようにすることで、タイヤ生産時にRFタグを取り付け易く、RFタグを備えるタイヤの生産性を向上させることができる。本例では、RFタグは、例えば、ビードフィラーと、ビードフィラーに隣接するその他の部材と、の間に挟み込まれて配置されてよい。RFタグは、タイヤを構成するいずれかの部材内に埋設されていてもよい。このようにすることで、タイヤを構成する複数の部材の間の位置に挟み込まれて配置される場合と比較して、RFタグに加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグの耐久性を向上させることができる。本例では、RFタグは、例えば、トレッドゴム、サイドゴム等のゴム部材内に埋設されてよい。RFタグは、タイヤ幅方向断面視でのタイヤ外面に沿う方向であるペリフェリ長さ方向において、剛性の異なる部材の境界となる位置に、配置されないことが好ましい。このようにすることで、RFタグは、剛性段差に基づき歪みが集中し易い位置に、配置されない。そのため、RFタグに加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグの耐久性を向上させることができる。本例では、RFタグは、例えば、タイヤ幅方向断面視でカーカスの端部と、このカーカスの端部に隣接する部材(例えばサイドゴム等)と、の境界となる位置に配置されないことが好ましい。RFタグの数は特に限定されない。タイヤは、1個のみのRFタグを備えてもよく、2個以上のRFタグを備えてもよい。ここでは、通信装置の一例として、RFタグを例示説明しているが、RFタグとは異なる通信装置であってもよい。
【0030】
RFタグは、例えば、タイヤのトレッド部に配置されてよい。このようにすることで、RFタグは、タイヤのサイドカットにより損傷しない。RFタグは、例えば、タイヤ幅方向において、トレッド中央部に配置されてよい。トレッド中央部は、トレッド部において撓みが集中し難い位置である。このようにすることで、RFタグに加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグの耐久性を向上させることができる。また、タイヤ幅方向でのタイヤの両外側からのRFタグとの通信性に差が生じることを抑制できる。本例では、RFタグは、例えば、タイヤ幅方向において、タイヤ赤道面を中心としてトレッド幅の1/2の範囲内に配置されてよい。RFタグは、例えば、タイヤ幅方向において、トレッド端部に配置されてもよい。RFタグと通信するリーダーの位置が予め決まっている場合には、RFタグは、例えば、このリーダーに近い一方側のトレッド端部に配置されてよい。本例では、RFタグは、例えば、タイヤ幅方向において、トレッド端を外端とする、トレッド幅の1/4の範囲内に配置されてよい。
【0031】
RFタグは、例えば、ビード部間に跨る、1枚以上のカーカスプライを含むカーカスより、タイヤ内腔側に配置されてよい。このようにすることで、タイヤの外部から加わる衝撃や、サイドカットや釘刺さりなどの損傷に対して、RFタグが損傷し難くなる。一例として、RFタグは、カーカスのタイヤ内腔側の面に密着して配置されてよい。別の一例として、カーカスよりタイヤ内腔側に別の部材がある場合に、RFタグは、例えば、カーカスと、このカーカスよりタイヤ内腔側に位置する別の部材と、の間に配置されてもよい。カーカスよりタイヤ内腔側に位置する別の部材としては、例えば、タイヤ内面を形成するインナーライナーが挙げられる。別の一例として、RFタグは、タイヤ内腔に面するタイヤ内面に取り付けられていてもよい。RFタグが、タイヤ内面に取り付けられる構成とすることで、RFタグのタイヤへの取り付け、及び、RFタグの点検・交換が行い易い。つまり、RFタグの取り付け性及びメンテナンス性を向上させることができる。また、RFタグが、タイヤ内面に取り付けられることで、RFタグをタイヤ内に埋設する構成と比較して、RFタグがタイヤ故障の核となることを防ぐことができる。また、カーカスが、複数枚のカーカスプライを備え、複数枚のカーカスプライが重ねられている位置がある場合に、RFタグは、重ねられているカーカスプライの間に配置されていてもよい。
【0032】
RFタグは、例えば、タイヤのトレッド部で、1枚以上のベルトプライを含むベルトより、タイヤ径方向の外側に配置されてよい。一例として、RFタグは、ベルトに対してタイヤ径方向の外側で、当該ベルトに密着して配置されてよい。また、別の一例として、補強ベルト層を備える場合、当該補強ベルト層に対してタイヤ径方向の外側で、当該補強ベルト層に密着して配置されてよい。また、別の一例として、RFタグは、ベルトよりタイヤ径方向の外側で、トレッドゴム内に埋設されていてもよい。RFタグが、タイヤのトレッド部で、ベルトよりタイヤ径方向の外側に配置されることで、タイヤ径方向でのタイヤの外側からのRFタグとの通信が、ベルトにより阻害され難い。そのため、タイヤ径方向でのタイヤの外側からのRFタグとの通信性を向上させることができる。また、RFタグは、例えば、タイヤのトレッド部で、ベルトよりタイヤ径方向の内側に配置されていてもよい。このようにすることで、RFタグのタイヤ径方向の外側がベルトに覆われるため、RFタグは、トレッド面からの衝撃や釘刺さりなどに対して損傷し難くなる。この一例として、RFタグは、タイヤのトレッド部で、ベルトと、当該ベルトよりタイヤ径方向の内側に位置するカーカスと、の間に配置されてよい。また、ベルトが、複数枚のベルトプライを備える場合に、RFタグは、タイヤのトレッド部で、任意の2枚のベルトプライの間に配置されてよい。このようにすることで、RFタグのタイヤ径方向の外側が1枚以上のベルトプライに覆われるため、RFタグは、トレッド面からの衝撃や釘刺さりなどに対して損傷し難くなる。
【0033】
トラック・バス用タイヤの場合、RFタグは、例えば、クッションゴムと、トレッドゴムとの間やクッションゴムと、サイドゴムと、の間に挟み込まれて配置されてよい。このようにすることで、RFタグへの衝撃を、クッションゴムにより緩和できる。そのため、RFタグの耐久性を向上させることができる。また、RFタグは、例えば、クッションゴム内に埋設されていてもよい。更に、クッションゴムは、隣接する同種又は異種の複数のゴム部材から構成されてよい。かかる場合に、RFタグは、クッションゴムを構成する複数のゴム部材の間に挟み込まれて配置されてもよい。
【0034】
RFタグは、例えば、タイヤのサイドウォール部又はビード部の位置に配置されてよい。RFタグは、例えば、RFタグと通信可能なリーダーに対して近い一方側のサイドウォール部又は一方側のビード部に配置されてよい。このようにすることで、RFタグとリーダーとの通信性を高めることができる。一例として、RFタグは、カーカスと、サイドゴムと、の間やトレッドゴムとサイドゴムと、の間に配置されてよい。RFタグは、例えば、タイヤ径方向において、タイヤ最大幅となる位置と、トレッド面の位置と、の間に配置されてよい。このようにすることで、RFタグがタイヤ最大幅となる位置よりタイヤ径方向の内側に配置される構成と比較して、タイヤ径方向でのタイヤの外側からのRFタグとの通信性を高めることができる。RFタグは、例えば、タイヤ最大幅となる位置よりタイヤ径方向の内側に配置されていてもよい。このようにすることで、RFタグは、剛性の高いビード部近傍に配置される。そのため、RFタグに加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグの耐久性を向上させることができる。一例として、RFタグは、ビードコアとタイヤ径方向又はタイヤ幅方向で隣接する位置に配置されてよい。ビードコア近傍は歪みが集中し難い。そのため、RFタグに加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグの耐久性を向上させることができる。特に、RFタグは、タイヤ最大幅となる位置よりタイヤ径方向の内側であって、かつ、ビード部のビードコアよりタイヤ径方向の外側の位置に配置されることが好ましい。このようにすることで、RFタグの耐久性を向上させることができるとともに、RFタグとリーダーとの通信が、ビードコアにより阻害され難く、RFタグの通信性を高めることができる。また、サイドゴムがタイヤ径方向に隣接する同種又は異種の複数のゴム部材から構成されている場合に、RFタグは、サイドゴムを構成する複数のゴム部材の間に挟み込まれて配置されていてもよい。
【0035】
乗用車用タイヤの場合、RFタグは、ビードフィラーと、このビードフィラーに隣接する部材と、の間に挟み込まれて配置されてよい。このようにすることで、ビードフィラーを配置することにより歪みが集中し難くなった位置に、RFタグを配置することができる。そのため、RFタグに加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグの耐久性を向上させることができる。RFタグは、例えば、ビードフィラーと、カーカスと、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。カーカスのうちビードフィラーと共にRFタグを挟み込む部分は、ビードフィラーに対してタイヤ幅方向の外側に位置してもよく、タイヤ幅方向の内側に位置してもよい。カーカスのうちビードフィラーと共にRFタグを挟み込む部分が、ビードフィラーに対してタイヤ幅方向の外側に位置する場合には、タイヤ幅方向のタイヤの外側からの衝撃や損傷により、RFタグに加わる負荷を、より低減できる。これにより、RFタグの耐久性を、より向上させることができる。また、ビードフィラーは、サイドゴムと隣接して配置されている部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグは、ビードフィラーと、サイドゴムと、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。更に、ビードフィラーは、ゴムチェーファーと隣接して配置されている部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグは、ビードフィラーと、ゴムチェーファーと、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。
【0036】
トラック・バス用タイヤの場合、RFタグは、スティフナーと、このスティフナーに隣接する部材と、の間に挟み込まれて配置されてよい。このようにすることで、スティフナーを配置することにより歪みが集中し難くなった位置に、RFタグを配置することができる。そのため、RFタグに加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグの耐久性を向上させることができる。RFタグは、例えば、スティフナーと、サイドゴムと、の間に挟み込まれて配置されてよい。また、RFタグは、例えば、スティフナーと、カーカスと、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。カーカスのうちスティフナーと共にRFタグを挟み込む部分は、スティフナーに対してタイヤ幅方向の外側に位置してもよく、タイヤ幅方向の内側に位置してもよい。カーカスのうちスティフナーと共にRFタグを挟み込む部分が、スティフナーに対してタイヤ幅方向の外側に位置する場合には、タイヤ幅方向のタイヤの外側からの衝撃や損傷により、RFタグに加わる負荷を、より低減できる。これにより、RFタグの耐久性を、より向上させることができる。スティフナーは、ゴムチェーファーと隣接して配置されている部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグは、スティフナーと、ゴムチェーファーと、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。スティフナーは、タイヤ幅方向の外側でハットゴムに隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグは、スティフナーと、ハットゴムと、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。スティフナーは、硬さの異なる複数のゴム部材から構成されてよい。かかる場合に、RFタグは、スティフナーを構成する複数のゴム部材の間に挟み込まれて配置されていてもよい。RFタグは、ハットゴムと、このハットゴムに隣接する部材と、の間に挟み込まれて配置されてよい。RFタグは、例えば、ハットゴムと、カーカスプライと、の間に挟み込まれて配置されてよい。このようにすることで、RFタグへの衝撃を、ハットゴムにより緩和できる。そのため、RFタグの耐久性を向上させることができる。
【0037】
RFタグは、例えば、ゴムチェーファーと、サイドゴムと、の間に挟み込まれて配置されてよい。このようにすることで、ゴムチェーファーを配置することにより歪みが集中し難くなった位置に、RFタグを配置することができる。そのため、RFタグに加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグの耐久性を向上させることができる。RFタグは、例えば、ゴムチェーファーと、カーカスと、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。このようにすることで、リムから加わる衝撃や損傷により、RFタグに加わる負荷を低減できる。そのため、RFタグの耐久性を向上させることができる。
【0038】
トラック・バス用タイヤの場合、RFタグは、ナイロンチェーファーと、このナイロンチェーファーのタイヤ幅方向の外側又は内側で隣接する別の部材と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。このようにすることで、タイヤ変形時に、RFタグの位置が変動し難くなる。そのため、タイヤ変形時にRFタグに加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグの耐久性を向上させることができる。ナイロンチェーファーは、例えば、タイヤ幅方向外側で、ゴムチェーファーと隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグは、ナイロンチェーファーと、ゴムチェーファーと、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。ナイロンチェーファーは、例えば、タイヤ幅方向外側で、サイドゴムと隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグは、ナイロンチェーファーと、サイドゴムと、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。ナイロンチェーファーは、例えば、タイヤ幅方向内側で、スティフナーと隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグは、ナイロンチェーファーと、スティフナーと、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。また、ナイロンチェーファーは、例えば、タイヤ幅方向内側で、ハットゴムと隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグは、ナイロンチェーファーと、ハットゴムと、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。更に、ナイロンチェーファーは、例えば、タイヤ幅方向内側で、カーカスと隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグは、ナイロンチェーファーと、カーカスと、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。更に、ナイロンチェーファーは、例えば、タイヤ幅方向内側で、ワイヤーチェーファーと隣接する部分を備えてもよい。かかる場合に、RFタグは、ナイロンチェーファーと、ワイヤーチェーファーと、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。このように、RFタグは、ナイロンチェーファーと、このナイロンチェーファーのタイヤ幅方向の外側又は内側で隣接する別の部材と、の間に挟み込まれて配置されていてよい。特に、RFタグのタイヤ幅方向外側が、ナイロンチェーファーに覆われることで、タイヤ幅方向でのタイヤの外側からの衝撃や損傷により、RFタグに加わる負荷を、より低減できる。そのため、RFタグの耐久性を、より向上させることができる。
【0039】
RFタグは、ワイヤーチェーファーと、このワイヤーチェーファーのタイヤ幅方向の内側又は外側で隣接する別の部材と、の間に挟み込まれて配置されていてもよい。このようにすることで、タイヤ変形時に、RFタグの位置が変動し難くなる。そのため、タイヤ変形時にRFタグに加わる負荷を低減できる。これにより、RFタグの耐久性を向上させることができる。ワイヤーチェーファーがタイヤ幅方向の内側又は外側で隣接する別の部材は、例えば、ゴムチェーファーなどのゴム部材であってよい。また、ワイヤーチェーファーがタイヤ幅方向の内側又は外側で隣接する別の部材は、例えば、カーカスであってもよい。
【0040】
乗用車用タイヤの場合、ベルトの半径方向外側にベルト補強層をさらに備えてもよい。例えば、ベルト補強層はポリエチレンテレフタレートからなるコードをタイヤ周方向に連続して螺旋状に巻回してなってもよい。ここでコードは、6.9×10-2N/tex以上の張力をかけて接着剤処理を施してなり、160℃で測定した29.4N荷重時の弾性率が2.5 mN/dtex・%以上であってもよい。さらにベルト補強層はベルト全体を覆うように配置されていてもベルトの両端部のみを覆うように配置されていてもよい。さらにベルト補強層の単位幅あたりの巻き回し密度が幅方向位置で異なっていてもよい。このようにすることで、高速耐久性を低下させることなくロードノイズおよびフラットスポットを低減させることができる。
【0041】
[国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)への貢献]
持続可能な社会の実現に向けて、SDGsが提唱されている。本発明の一実施形態は「No.7_エネルギーをみんなに。そしてクリーンに」および「No.13_気候変動に具体的な対策を」などに貢献する技術となり得ると考えられる。
【符号の説明】
【0042】
1:タイヤ、
2:ビード部、 2a:ビードコア、 3:トレッド部、
4:カーカス、 4a、4b:カーカスプライ、
5:ベルト、 5a、5b:ベルト層、 6:ベルト補強層、
7:導電ゴム部材、 7a:導電ゴム部材本体部、 7b:導電ゴム部材折り返し部、
8:カーカスチェーファ―、
9a、9b:導電ゴム部材12が染み出した領域、
10:ガムチェーファ―ゴム、 11a:第1の導電部材、 11b:第2の導電部材、
12: 導電ゴム部材、 91、92:通信装置、
100:タイヤ成型ドラム、 200:第1のカーカス部材、
201:第1のカーカス部材のカーカスコード、
300:第2のカーカス部材、 301:第2のカーカス部材のカーカスコード、
400:導電ゴム部材