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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025022600
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】衣服
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/05 20060101AFI20250206BHJP
   A41D 13/00 20060101ALI20250206BHJP
   A41D 1/06 20060101ALI20250206BHJP
   A41C 1/00 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
A41D13/05 143
A41D13/00 102
A41D1/06 501D
A41C1/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023127321
(22)【出願日】2023-08-03
(71)【出願人】
【識別番号】517170052
【氏名又は名称】デサントジャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】藤谷 拓実
(72)【発明者】
【氏名】田中 悌二
【テーマコード(参考)】
3B131
3B211
【Fターム(参考)】
3B131AA08
3B131AB13
3B131AB14
3B131BA41
3B131BB34
3B131CA11
3B211AA05
3B211AA12
3B211AA13
3B211AC17
(57)【要約】      (修正有)
【課題】着用者の関節を運動させる際に、デザイン自由度を損なうことなく、着用者の関節の動きを阻害しにくい衣服を提供する。
【解決手段】衣服1は、着用者の体を覆う衣服の少なくとも一部には、着用者の関節を運動させる場合に、前記関節を運動させやすい方向に前記衣服がずれることを促進する、または、前記関節を運動させやすい方向に前記衣服がずれることが阻害されるのを抑制する、ずれ促進部26が設けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の体を覆う衣服の少なくとも一部には、着用者の関節を運動させる場合に、前記関節を運動させやすい方向に前記衣服がずれるのを促進する、または、前記関節を運動させやすい方向に前記衣服がずれることが阻害されるのを抑制する、ずれ促進部が設けられている衣服。
【請求項2】
前記衣服は、着用者の正面に位置する前身頃生地と背面に位置する後ろ身頃生地を有する下衣であって、
前記ずれ促進部は、前記前身頃生地と前記後ろ身頃生地が縫合されると共に、側方視において下方に向かって後方に傾斜する脇縫合線で構成されている、
請求項1に記載の衣服。
【請求項3】
前記ずれ促進部は、前記前身頃生地と前記後ろ身頃生地が縫合されると共に、内側からの側方視において下方に向かって前方に傾斜する内股縫合線をさらに備える、
請求項2に記載の衣服。
【請求項4】
着用者の膝部に対応する位置に配置されて前記膝部の周りで周方向に延びる膝線と、平置き状態で幅方向外側に形成されて上下方向に延びる脇折れ線とを備えると共に、着用者の脚部を覆う股下筒部をさらに有し、
前記脇縫合線と前記膝線との交点と、前記脇折れ線と前記膝線との交点との離間距離は、前記膝線における股下筒部の周長の3.57%以上17.9%以下の長さに設定されている、
請求項2に記載の衣服。
【請求項5】
着用者の膝部に対応する位置に配置されて前記膝部の周りで周方向に延びる膝線と、平置き状態で幅方向内側に形成されて上下方向に延びる内股折れ線とを備えると共に、着用者の脚部を覆う股下筒部をさらに有し、
前記内股縫合線と前記膝線との交点と、前記内股折れ線と前記膝線との交点との離間距離は、前記膝線における股下筒部の周長の2.38%以上21.43%以下の長さに設定されている、
請求項3に記載の衣服。
【請求項6】
着用者の幅方向一方側に位置すると共に、一方側綾織組織が形成された一方側身頃生地と、
着用者の幅方向他方側に位置するともに、他方側綾織組織が形成された他方側身頃生地と、を有し、
前記一方側綾織組織と前記他方側綾織組織とは、線対称であって、
前記ずれ促進部は、前記一方側身頃生地および前記他方側身頃生地の着用者側に位置する裏面に前記一方側綾織組織と前記他方側綾織組織とを設けることによって構成されている
請求項1に記載の衣服。
【請求項7】
前記衣服は、着用者の正面に位置する前身頃生地を有する下衣であって、
前記ずれ促進部は、前記前身頃生地の着用者側に位置する裏面において、着用者の左側に位置する左前身頃生地に形成されて、幅方向外側から内側に向かって右上がりの右綾目で構成される第1綾織組織と、前記前身頃生地の着用者の右側に位置する右前身頃生地に形成されて、幅方向外側から内側に向かって左上がりの左綾目で構成される第2綾織組織とによって構成されている、
請求項6に記載の衣服。
【請求項8】
前記衣服は、着用者の背面に位置する後ろ身頃生地を有する下衣であって、
前記ずれ促進部は、前記後ろ身頃生地の着用者側に位置する裏面において、着用者の左側に位置する左後ろ身頃生地に形成されて、幅方向外側から内側に向かって左上りの左綾目と、前記後ろ身頃生地の着用者の右側に位置する右後ろ身頃生地に形成されて、幅方向外側から内側に向かって右上りの右綾目とによって構成されている、
請求項6に記載の衣服。
【請求項9】
前記右綾目および前記左綾目の綾目傾斜角度は、30度以上60度以下に設定されている、
請求項7又は8に記載の衣服。
【請求項10】
前記一方側身頃生地および前記他方側身頃生地を構成する、経糸または緯糸のいずれか一方の糸は、他方の糸よりも線径が大きく、前記一方の糸によって前記右綾目及び前記左綾目が形成されている、
請求項7又は8に記載の衣服。
【請求項11】
前記衣服は、非ストレッチ性生地で構成されている、
請求項1又は2に記載の衣服。
【請求項12】
前記脇縫合線の臀部に対応する位置には、いせ込み縫合部が設けられている、
請求項2に記載の衣服。
【請求項13】
前記請求項6に記載の衣服の製造方法であって、
幅方向の一方側と他方側で線対称となる綾織構造を備えた生地を用意し、
前記生地を染色加工して染色生地を得て、
前記染色生地の一方側に位置する一方側生地部から一方側身頃生地を裁断し、他方側に位置する他方側生地部から他方側身頃生地を裁断し、
前記一方側身頃生地と前記他方側身頃生地を縫合することで製造される、
衣服の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、股関節や膝関節等の関節を、例えば、屈曲等のように運動させる際、臀部や膝部の皮膚は、屈曲前よりも伸びることが知られている。衣服としてのパンツは、着用者の脚部を覆う左右一対の筒部を有している。臀部や膝部の屈曲の際、着用者の臀部ないし膝部は、筒部の内側空間と臀部や膝部との間の隙間を筒部の内表面に近づくように移動しながら伸びる。
【0003】
このとき、筒部の内側空間と臀部や膝部との間の隙間の余裕代によっては、臀部や膝部が、筒部の内表面に当接して、当接時点からさらに臀部や膝部を屈曲させようとすると、筒部の生地の膝部と臀部との当接点間に、張力が作用する。これにより、臀部や膝部に引きつれが生じて、パンツによって臀部や膝部の屈曲が阻害されたり、不快感が生じたりする。
【0004】
特許文献1には、臀部や膝部の屈曲に追従するような伸縮性を有する生地で構成されたパンツが開示されている。
【0005】
特許文献2には、伸縮性の低い生地で構成されると共に、臀溝外側部分に設けられて脇線に対して後方に傾斜する切れ目と、膝部前面の膝上付近で大腿部の前面から膝の内側ないし外側にかけて設けられた切れ目とによって、脚を外側に上げた際に生じる引きつれを抑制したパンツが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012-167379号
【特許文献2】国際公開番号2014-125609号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のパンツは、前身頃と後ろ身頃とを幅方向外側で縫合する脇縫合線を有し、脇縫合線の部分においては、他の部分に比べて伸縮性が低く、臀部や膝部の屈曲等の動きを阻害する場合がある。
【0008】
特許文献2のパンツは、切れ目、および/または、切れ目に加えて切れ目を覆う伸縮性生地を配置するため、衣服のデザイン自由度が損なわれやすい。
【0009】
本発明は、着用者の関節を運動させる際に、デザイン自由度を損なうことなく、着用者の関節の動きを阻害しにくい衣服を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、着用者の体を覆う衣服の少なくとも一部には、着用者の関節を運動させる場合に、前記関節を運動させやすい方向に前記衣服がずれるのを促進する、または、前記関節を運動させやすい方向に前記衣服がずれることが阻害されるのを抑制する、ずれ促進部が設けられている衣服を提供する。
【0011】
本発明によれば、衣服の少なくとも一部に設けられたずれ促進部によって、着用者の関節を運動させたときに、関節に対して衣服がずれることで、着用者の関節の動きを阻害しにくい衣服を提供することができる。例えば、ずれ促進部を有する衣服をパンツに適用した場合、運動の際に屈曲した臀部や膝部が、パンツの筒部の内面に当接した時点からさらに屈曲させると、ずれ促進部によって筒部が膝部や臀部に対してずれる。これにより、筒部がずれることなく固定される場合のように当接点間に張力が作用することを抑制できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、着用者の関節を運動させる際に、デザイン自由度を損なうことなく、着用者の関節の動きを阻害しにくい衣服を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る衣服としてのパンツを平置きした状態の正面図。
図2】本実施形態のパンツを平置きした状態の背面図。
図3】本実施形態のパンツを平置きした状態の脇縫合線側の側面図。
図4図3におけるIV-IV線に沿った断面を模式的に示す模式図。
図5図3におけるV-V線に沿った断面を模式的に示す模式図。
図6】本実施形態のパンツを平置きした状態の内股縫合線側の側面図。
図7】本実施形態のパンツの前身頃生地と後ろ身頃生地とに用いられる非ストレッチ性生地の着用者側に位置させる裏面を模式的に示す模式図。
図8】前身頃生地が裁断される前の非ストレッチ性生地を模式的に示す模式図。
図9】後ろ身頃生地が裁断される前の非ストレッチ性生地を模式的に示す模式図。
図10】本実施形態のパンツを着用者が膝を伸ばした立位姿勢で着用した状態を模式的に示す左側面図。
図11】本実施形態のパンツを着用者が屈伸開脚した運動姿勢で着用した状態を模式的に示す左側面斜視図。
図12】本実施形態の綾織組織の第1変形例を模式的に示す模式図。
図13】本実施形態の綾織組織の第2変形例を模式的に示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態は、衣服としてのパンツ1に関するものである。このパンツ1は、少なくとも一部にずれ促進部を備え、ずれ促進部によって、着用者の関節を運動させたときに、関節に対してパンツ1がずれることで、着用者の関節の動きを阻害しにくいという効果を得るものである。以下、本発明の一実施形態に係るパンツ1を図面に従って説明する。
【0015】
図1には、本発明の一実施形態に係る衣服としての下衣(以下、「パンツ」ともいう)1を平置きした状態の正面図が示されている。以下、パンツ1についてパンツ1を着用した着用者が直立した状態を基準にパンツ1の上下、左右、及び前後を定める。また、生地の厚み方向の外表面から内表面に向かう方向を内側、その逆を外側とし、身幅方向において外側に向かう方向を外側、中央側に向かう方向を内側とする。
【0016】
図1および図2に示すように、本実施形態のパンツ1は、着用者の腰部から足首まで延びる長ズボンである。パンツ1は、臀部から足首に配置されるパンツ本体10と、腰部に配置されるウエストベルト部20とを有する。
【0017】
パンツ本体10は、腰部や臀部を覆う筒状の股上筒部10aと、股上筒部10aよりも下側に配置されて、二股に分かれて左右の脚部を覆う筒状の股下筒部10bとを有する。
【0018】
図1および図2に示すように、パンツ本体10は、着用者の腹側を覆う前身頃生地11と、着用者の臀部側を覆う後ろ身頃生地12とを有する。前身頃生地11は、着用者の左側に位置する左前身頃生地11aと、着用者の右側に位置する右前身頃生地11bとを有する。後ろ身頃生地12は、着用者の左側に位置する左後ろ身頃生地12aと、着用者の右側に位置する右後ろ身頃生地12bとを有する。
【0019】
パンツ本体10は、前身頃生地11と後ろ身頃生地12とが、幅方向外側および幅方向内側で縫合されることで、股上筒部10aと、左右一対の股下筒部10bとが形成されている。
【0020】
パンツ本体10は、前股上縫合線24と、後股上縫合線25と、左右一対の脇縫合線26、および、左右一対の内股縫合線27とを有する。前股上縫合線24および後股上縫合線25は、股上筒部10aに形成されている。各股上縫合線24,25は、着用者の股部に位置するクロッチ部23からウエスト部21まで上下方向に延びている。
【0021】
前股上縫合線24は、左前身頃生地11aと右前身頃生地11bとが幅方向内側で縫合されて形成されている。本実施形態において、左前身頃生地11aと右前身頃生地11bとの間には、係合部(ファスナ部)が設けられており、前股上縫合線24を形成しているが、係合部材が設けられていなくてもよい。後股上縫合線25は、左後ろ身頃生地12aの幅方向内側の端部と右後ろ身頃生地12bの幅方向内側の端部とが縫合されることで形成されている。
【0022】
図3は、図1に示すようにパンツ1を平置きした状態で幅方向外側に形成される各脇折れ線71と、幅方向内側に形成される各内股折れ線72とが重なるように配置したパンツ1を左側の脇縫合線26側から見た側面図である。本実施形態における平置き状態とは、図1に示すように、パンツ1を前股上縫合線24と後股上縫合線25との幅方向位置を合わせて、股上筒部10aと股下筒部10bが概ね皺なく延ばされた状態とする。図3に示す側面図のパンツ1は、ウエスト部21で左右一対の脇縫合線26の前後方向位置を合わせ、クロッチ部23で左右一対の内股線27の前後方向位置を合わせ、かつ、裾部22で左右一対の脇縫合線26および左右一対の内股縫合線27それぞれの前後方向位置を合わせて配置されてもよい。
【0023】
図3に示すように、左右一対の脇縫合線26は、股上筒部10aから股下筒部10bにかけて形成されている。各脇縫合線26は、ウエスト部21から各裾部22まで上下方向に延びている。各脇縫合線26は、前身頃生地11の幅方向外側の端部と後ろ身頃生地12の幅方向外側の端部とが縫合されることで形成されている。各脇縫合線26は、左右で同様の構成を有しているので、本実施形態では、左側の脇縫合線26についてのみ説明する。
【0024】
図3に示すように、各脇縫合線26は、全体として、下方に向かうに連れて後方に傾斜している。各脇縫合線26は、上下方向の中間部において、各脇折れ線71と交差している。図1に示すように、各脇折れ線71は、平置きした場合にパンツ1の外端を形成する部分であって、左右対称となる。
【0025】
脇縫合線26は、股上筒部10aに位置する第1脇縫合線26aと、股下筒部10bの上側部分に位置する第2脇縫合線26bと、股下筒部10bの下側部分に位置する第3脇縫合線26cとを有する。第1脇縫合線26aは、ウエスト部21から渡り線61まで延びている。第2脇縫合線26bは、渡り線61から膝線62まで延びている。第3脇縫合線26cは、膝線62から裾部22まで延びている。
【0026】
本実施形態で、渡り線61は、例えば図1に二点鎖線示されるように、クロッチ部23において前股上縫合線24と後股上縫合線25と左右一対の内股縫合線27とが十字状に交差する点Pを通って幅方向外側に延びると共に、脇折れ線71に対して概ね直交する直線とする。
【0027】
本実施形態で、膝線62は、例えば図1に二点鎖線示されるように、脇折れ線71上において、股下丈を上下方向に二等分した位置から6cm上で、脇折れ線71に直交する直線とする。膝線62は、着用者の膝部近傍で、本実施形態においては、所定のマネキン(株式会社七彩製のMD-20A(メンズMサイズ))に着せ付けたときの膝の頂点に対応する位置に配置されている。本実施形態では、膝線62と股下丈を上下方向に二等分した位置との離間距離は、股下丈Z(例えば、73.5cm)を基準としたときに6cmに設定され、この時の股下丈を基準股下丈とする。異なるサイズを設定するために、例えば、股下丈を基準股下丈よりも長いZ1に設定する場合、離間距離は、基準股下丈との差の半分の長さ((Z1-Z)/2)を6cmに加えた値に設定される。一方、股下丈を基準股下丈よりも短いZ2に設定する場合、離間距離は、基準股下丈との差の半分の長さ((Z-Z2)/2)を6cmから除いた値に設定される。
【0028】
図3に示すように、第1脇縫合線26aは、脇折れ線71よりも前方に位置している。第1脇縫合線26aは、ウエスト部21から渡り線61の間で脇折れ線71に概ね平行に延びている。第1脇縫合線26aの渡り線61上での脇折れ線71からの離間距離D1は、例えば、1.5cmに設定される。
【0029】
第2脇縫合線26bは、第1脇縫合線26aの下端から下方に向かって連続する。第2脇縫合線26bは、下方に向かって後方に傾斜している。第2脇縫合線26bの脇折れ線71に対する脇傾斜角α1は、5度以上15度以下に設定されることが好ましい。本実施形態では、脇傾斜角α1は、12度に設定されている。
【0030】
第2脇縫合線26bは、上下方向の中間部において脇折れ線71に交差している。第2脇縫合線26bと脇折れ線71との交点P1は、渡り線61と脇折れ線71が交差する第1交点P2と、膝線62と脇折れ線71が交差する第2交点P3との間の距離L1に対して、第2交点P3よりも50%以上57%以下だけ上方に位置することがこのましい。本実施形態では、交点P1は、距離L1に対して50%だけ第2交点P3よりも上方に位置する。交点P1の位置が、距離L1に対して第2交点P3よりも50%未満で上方に位置する場合、傾斜角度α1を一定とすると、着用者の膝と第2脇縫合線26bとの離間距離D2が短くなり、屈伸時等に第2脇縫合線2bが膝に当接しやすく、パンツ1のずれが促進されにくい。傾斜角度α1を大きくすると、第2脇縫合線26bの傾斜が大きくなって、デザイン自由度が低下する場合がある。交点P1の位置が、距離L1に対して第2交点P3よりも57%を超過して上方に位置する場合、第2脇縫合線26bが脇折れ線71よりも後側に配置される傾向となるので、屈伸時にゆとりが必要とされる大腿部および臀部側の後ろ身頃生地12のゆとりがなくなりやすい。
【0031】
図4は、図3におけるIV-IV線に沿った断面で、股下筒部10bを円筒状に配置させた状態を模式的に示す模式図である。図3及び図4に示すように、第2脇縫合線26bと膝線62の第3交点P4と、第2交点P3と、の離間距離D2は、膝線62における股下筒部10bの周長D3の3.57%以上17.9%以下の長さに設定されていることが好ましい。本実施形態では、離間距離D2は、例えば、周長D3に対して4.76%の長さに設定されている。本実施形態では、周長D3が42cmに設定されているので、離間距離D2は、1.5cm以上7.5cm以下に設定されていてもよく、例えば、2cmに設定されている。離間距離D2は、0.5cmの製造誤差を有する場合があるが、このような製造誤差を有する場合においても着用者の関節の動きを阻害しにくいという効果を発揮することができる。離間距離D2が7.5cmを超過すると、脇縫合線26が後方側に位置するため、脇折れ線71よりも前側の前身頃生地11にゆとりが生じやすく、非運動姿勢(立ち姿勢)において、前身頃生地11がたるんでしわになりやすく、見栄えが悪くなる場合がある。
【0032】
図3に示すように、第3脇縫合線26cは、脇折れ線71よりも後方に位置している。第3脇縫合線26cは、第2脇縫合線26bに連続すると共に、下方に向かって僅かに後方に傾斜している。第3脇縫合線26cは、脇折れ線71に概ね平行で上下方向に延びていてもよい。
【0033】
図5は、図3におけるV-V線に沿った断面で、股下筒部10bを円筒状に配置させた状態を模式的に示す模式図である。図3および図5に示すように、第3脇縫合線26cと裾部22とが交差する第4交点P5と、脇折れ線71と裾部22とが交差する第5交点P6との離間距離D4は、裾部22における股下筒部10bの周長D5の2.7%以上16.2%以下の長さに設定されていることが好ましい。本実施形態では、離間距離D4は、周長D5に対して8.1%の長さに設定されている。本実施形態では、周長D5が37cmに設定されているので、離間距離D4は、1cm以上6cm以下に設定されていてもよく、例えば、3cmに設定されている。
【0034】
図1に示すように、左右一対の内股縫合線27は、股下筒部10bに形成されている。各内股縫合線27は、クロッチ部23から各裾部22まで上下方向に延びている。各内股縫合線27は、前身頃生地11の幅方向内側の端部と後ろ身頃生地12の幅方向内側の端部とが縫合されることで形成されている。各内股縫合線27は、左右で同様の構成を有しているので、本実施形態では、右側の内股縫合線27についてのみ説明する。
【0035】
図6は、各脇折れ線71と各内股折れ線72とが重なるように配置したパンツ1を右側の内股縫合線27側から見た側面図である。図6に示すように、各内股縫合線27は、上方から下方に向かうに連れて、前方に傾斜している。各内股縫合線27は、パンツ1を平置きした状態で幅方向内側に形成される各内股折れ線72よりも前方に位置している。
【0036】
内股縫合線27は、股下筒部10bの上側部分に位置する第1内股縫合線27aと、股下筒部10bの下側部分に位置する第2内股縫合線27bとを有する。第1内股縫合線27aは、渡り線61から膝線62まで延びている。第2内股縫合線27bは、膝線62から裾部22まで延びている。
【0037】
第1内股縫合線27aの上端の内股折れ線72からの離間距離D6は、1mm以上9mm以下に設定されていればよく、例えば、6cmに設定されている。第1内股縫合線27aは、内股折れ線72に概ね平行で上下方向に延びている。
【0038】
第2内股縫合線27bは、第1内股縫合線27aの下端から下方に向かって連続する。第2内股縫合線27bは、下方に向かって前方に傾斜してもよい。第2内股縫合線27bの内股折れ線72に対する内股傾斜角α2は、本実施形態では、1度に設定されている。
【0039】
図4及び図6に示すように、第1内股縫合線27aと膝線62との第6交点P7と、内股折れ線72と膝線62との第7交点P8との離間距離D7は、膝線62における股下筒部10bの周長D3の2.38%以上21.43%以下の長さに設定されていることが好ましい。本実施形態では、離間距離D7は、例えば、周長D3に対して11.9%の長さに設定されている。本実施形態では、周長D3が42cmに設定されているので、離間距離D7は、1cm以上9cm以下に設定されていてもよく、例えば、4cmに設定されている。離間距離D7が1cm未満の場合、膝部に対する生地のずれが得られにくく、9cmを超過すると、立ち姿勢(非運動姿勢)で、内股縫合線27が正面側に位置するため、見栄えが悪くなる場合がある。
【0040】
図5及び図6に示すように、第2内股縫合線27bと裾部22との第8交点P9と、内股折れ線72と裾部22との第9交点P10との離間距離D8は、裾部22における股下筒部10bの周長D5の2.7%以上24.3%以下の長さに設定されていることが好ましい。本実施形態では、離間距離D8は、例えば、周長D5に対して12.2%の長さに設定されている。本実施形態では、周長D5が37cmに設定されているので、離間距離D8は、1cm以上9cm以下に設定されていてもよく、例えば、4.5cmに設定されている。
【0041】
図3に示すように、脇縫合線26には、前身頃生地11に対して後ろ身頃生地12がいせ込まれたいせ込み縫合部28が形成されている。いせ込み縫合部28によって、後ろ身頃生地12が丸みを帯びた形状となるので、股上筒部10aの臀部側の空間を広げることができる。
【0042】
より詳しくは、縫合前の状態の脇縫合線26において、前身頃生地11のヒップライン63から渡り線61までの前側いせ込み縫合部28aの距離よりも後ろ身頃生地12のヒップライン63から渡り線61までの後側いせ込み縫合部28bの距離が長く設定されている。前側いせ込み縫合部28aと後側いせ込み縫合部28bは、後側いせ込み縫合部28bを縮めて、前側いせ込み縫合部28aに合わせて縫合されている。後側いせ込み縫合部28bは、前側いせ込み縫合部28aよりも0.5cm以上1.0cm以下長くなるように設定されていればよく、例えば、1cmに設定されている。なお、いせ込みに代えて、ダーツを形成してもよく、この場合、後側いせ込み縫合部28bは、前側いせ込み縫合部28aよりも2.5cm長くなるように設定されていればよい。
【0043】
本明細書において、「いせ込み」とは、互いに縫合される一方の生地の縫合部分よりも他方の生地の縫合部分を長く設定し、長い方の生地の縫合部分を縮めて短い方に合わせ、長い方にふくらみを持たせる技法である。長い方の生地は縫合部分だけが縮んでおり、それ以外は元のままであるので、縫合部分から立体的に広がるような膨らみができる。
【0044】
本実施形態で、ヒップライン63は、着用者の臀部の最も後ろ側に突出する部分に対応する位置で、例えば図3に二点鎖線示されるように、ウエスト部21と渡り線61との間に位置し、脇折れ線71に直交する直線である。
【0045】
図1および図2を参照すると、本実施形態において、パンツ1は、織物で構成される非ストレッチ性生地9で、着用者に密着せずに着用されることが想定されている。非ストレッチ性生地9は、体長方向(経方向)の30%伸長時の応力が46.6N以上308.7N以下であることが好ましく、本実施形態では、例えば、308.7Nである。非ストレッチ性生地は、身幅方向(緯方向)の30%伸長時の応力が13.9N以上64.7N以下であることが好ましく、本実施形態では、例えば、64.7Nである。非ストレッチ性生地9の上下限値については、実施例で詳細を説明する。
【0046】
非ストレッチ性生地9の体長方向および身幅方向それぞれの伸長時の応力の測定は、幅50mm、長さ200mmの経緯各1枚ずつの生地片を用意し、つかみ幅を上下65mmずつ設け、つかみ間隔が100mmになるように、引張り試験機(島津製作所社:オートグラフAGS-X)に固定し、引張速度200mm/分で伸張し、伸長率が30%のときの応力を読み取ることで測定した。引張応力の測定を行った伸縮性生地は、着用者の正面側に位置すると共に大腿部を覆う生地に相当し、より詳しくは、図1にaおよびbで示される領域の試験片を切り取ったものに相当する。
【0047】
図7は、パンツ1の前身頃生地11と後ろ身頃生地12とに用いられる非ストレッチ性生地9の着用者側に位置させる裏面を模式的に示す模式図である。図7に示すように、非ストレッチ性生地9は、綾織組織90を有している。綾織組織90とは、経糸と緯糸の交差が斜めの線として現れて畝のように見える組織である。綾織組織90は、経糸92と緯糸93が交互ではなく、経糸92または緯糸93のうち一方の糸が、複数の他方の糸をまたぎ、矢印Wの方向に規則的にずらして織られることで形成される。本明細書では、綾織組織90を構成する斜めの畝を綾目91という。
【0048】
本実施形態では、綾織組織90は、緯糸93が、2本の経糸92の上を通過した後、1本の経糸92の下を通過することを繰り返して織られる。緯糸93が経糸92の下を通過せずに、上を通過する部分は、緯糸93が経糸92の下を通過する部分よりも凸となって(浮き出て)、綾目91を形成する。これにより、綾目91は、着用者に接触しやすくなっている。言い換えると、経糸と緯糸が交互に織られる平織組織等のように、生地全体が着用者に接触する場合に比べて、接触面積が小さくなっている。
【0049】
綾織組織90の綾目91の角度である綾目傾斜角度θ1は、30度以上60度以下に設定されていればよく、より好ましくは、30度以上45度以下で、本実施形態では、例えば、40度に設定されている。綾目傾斜角度θ1は、経糸92と綾目91が延びる方向とが成す角度である。
【0050】
本実施形態において、経糸92および緯糸93は、ポリエステル、ポリエステルおよびナイロン等の混合糸、綿素材等で構成されており、ウレタンを除くことが好ましい。緯糸93の線径は、経糸92の線径よりも大きく設定されている。経糸92と緯糸93とが同じ線径の場合に比べて、緯糸93がより着用者側に凸となるので、経糸92で構成される部分の着用者に対する接触がより抑制されやすい。
【0051】
図8は、前身頃生地11が裁断される前の非ストレッチ性生地9を模式的に示す模式図である。図9は、後ろ身頃生地12が裁断される前の非ストレッチ性生地9を模式的に示す模式図である。図8および図9は、綾目91が凸となる側で、前身頃生地11および後ろ身頃生地12の着用者側の面(裏面)が見える状態で配置された非ストレッチ性生地9を示す。図8及び図9では、経糸および緯糸を省略すると共に、綾目91の方向のみが模式的に示されている。
【0052】
図8に示すように、左前身頃生地11aの裏面に形成された第1綾織組織90aと、右前身頃生地11bの裏面に形成された第2綾織組織90bとは、綾目91の方向が異なる。本実施形態では、第1綾織組織90aと第2綾織組織90bとは、線対称である。より詳しくは、第1綾織組織90aの第1綾目91aの方向は、内股縫合線27側から左側の脇縫合線26に向かうに連れて下方に傾斜する。第2綾織組織90bの第2綾目91bの方向は、内股縫合線27側から右側の脇縫合線26側に向かうに連れて下方に傾斜する。生地9を裏面から見た状態で、第1綾目91aは、右上りに傾斜し、第2綾目91bは左上がりに傾斜している。
【0053】
図9に示すように、左後ろ身頃生地12aの裏面に形成された第3綾織組織90cと、右後ろ身頃生地12bの裏面に形成された第4綾織組織90dとは、綾目91の方向が異なる。本実施形態では、第3綾織組織90cと第4綾織組織90dとは、線対称である。より詳しくは、第3綾織組織90cの第3綾目91cの方向は、内股縫合線27側から左側の脇縫合線26側に向かうに連れて下方に傾斜する。第4綾織組織90dの第4綾目91dの方向は、内股縫合線27側から右側の脇縫合線26側に向かうに連れて下方に傾斜する。生地9を裏面から見た状態で、第3綾目91cは、右上りであって、第4綾目91dは左上がりである。
【0054】
次に、パンツ1の製造方法について説明する。
【0055】
図8および図9に示すように、裏側に綾織組織90を備えた非ストレッチ性生地(以下、「生地」ともいう)9を用意する。生地9は、生地9の幅方向の中心線Cを挟んで一方側(図8および9の左側)に位置して一方側綾織組織9cを備えた一方側生地9aと、他方側(図8および9の右側)に位置して他方側綾織組織9dを備えた他方側生地9bとを有する。一方側綾織組織9cと他方側綾織組織9dとは、線対称である。
【0056】
一方側綾織組織9cは、中心線Cから一方側に向かって下方に傾斜する右上がりの右綾目d1を有する。他方側綾織組織9dは、中心線Cから他方側に向かって下方に傾斜する左上りの左綾目d2を有する。生地9は、右綾目d1と左綾目d2とで構成される逆V字状の綾織組織90を有する。
【0057】
逆V字状の綾織組織90を有する生地9を、染料や顔料を使用して所定の色に着色する染色加工する。染色加工では、例えば、生地を染液に浸して染める浸染を行って、染色加工済みの染色生地9を得る。染色生地9の一方側生地9aから左前身頃生地11aおよび左後ろ身頃生地12aを裁断し、他方側生地9bから右前身頃生地11bおよび右後ろ身頃生地12bを裁断する。
【0058】
図8に示すように、左前身頃生地11aの裁断のため、一方側生地9aに左前身頃パターン31を配置する。左前身頃パターン31は、展開した状態の左前身頃生地11aである。左前身頃生地11aは、左身頃パターン31aを、ウエスト部21を上側に向けて配置し、内股縫合線27を中心線C側に配置し、裾部22および膝線62を生地9の長手方向に直交させて配置した状態で裁断することで得られる。
【0059】
右前身頃生地11bの裁断のため、他方側生地9bに右前身頃パターン32を配置する。右前身頃パターン32は、展開した状態の右前身頃生地11bである。右前身頃生地11bは、右前身頃パターン32を、ウエスト部21を上側に向けて配置し、内股縫合線27を中心線C側に配置し、裾部22および膝線62を生地9の長手方向に直交させて配置した状態で裁断することで得られる。
【0060】
図9に示すように、左後ろ身頃生地12aの裁断のため、一方側生地9aに左後ろ身頃パターン33を配置する。左後ろ身頃パターン33は、展開した状態の左後ろ身頃生地12aである。左後ろ身頃生地12aは、左後ろ身頃パターン33を、裾部22を上に向けて配置し、内股縫合線27を中心線C側に配置し、裾部22および膝線62を生地9の長手方向に直交させて配置した状態で裁断することで得られる。
【0061】
右後ろ身頃生地12bの裁断のため、他方側生地9bに右後ろ身頃パターン34を配置する。右後ろ身頃パターン34は、展開した状態の右後ろ身頃生地12bである。右後ろ身頃生地12bは、右後ろ身頃パターン34を、裾部22を上に向けて配置し、内股縫合線27を中心線C側に配置し、裾部22および膝線62を生地9の長手方向に直交させて配置した状態で裁断することで得られる。
【0062】
以上のように裁断されることで、図8及び図9に示すように、第1綾目91aを有する左前身頃生地11a、第2綾目91bを有する右前身頃生地11b、第3綾目91cを有する左後ろ身頃生地12a、および、第4綾目91dを有する右後ろ身頃生地12bが得られる。本実施形態においては、一方側生地9aの右綾目d1は、第1綾目91aと第3綾目91cを構成し、他方側生地9bの左綾目d2は、第2綾目91bと第4綾目91dを構成する。
【0063】
左前身頃生地11aと右前身頃生地11bの前股上縫合線24を縫合して、前身頃生地11が形成される。左後ろ身頃生地12aと右後ろ身頃生地12bの後股上縫合線25を縫合して、後ろ身頃生地12が形成される。前身頃生地11と後ろ身頃生地12とを中表に重ね合わせて、内股縫合線27および脇縫合線26を縫合し、裏返すことで、パンツ1が形成される。
【0064】
図10は、パンツ1を着用者が膝を伸ばした立位姿勢で着用した状態を模式的に示す左側面図である。図11は、パンツ1を着用者が屈伸開脚した運動姿勢で着用した状態を模式的に示す左側面斜視図である。図11のパンツ1には、図10の立位姿勢での膝部Kの基準姿勢での位置がK1で示され、運動姿勢での膝部Kの位置がK2で示されている。
【0065】
図11の矢印Aで示されるように、着用者が屈伸しながら開脚すると、膝部Kは、基準位置K1から運動位置K2まで、パンツ1の股下筒部10bの内側空間を下方に移動しながら、幅方向外側に移動する。屈伸によって、膝部Kは、股下筒部10bの内部空間を下方に移動する。開脚によって、膝部Kは、股下筒部10bの内部空間を幅方向外側に移動する。股下筒部10bの内部空間には限りがあるため、所定の膝部Kの幅方向外側へ移動すると、膝部Kは股下筒部10bの内表面に当接する。膝部Kが股下筒部10bに当接すると、股下筒部10bは、膝部Kに対して幅方向内側に向かって回転する(ずれる)。言い換えると、股下筒部10bは、全体として膝部Kに対して、上方かつ内側(矢印Aと逆方向)に向かって回転する。
【0066】
膝部Kに対する股下筒部10bの回転によって、図10の基準姿勢では、幅方向外側(外腿側)に位置していた脇縫合線26は、図11に示すように運動姿勢では、膝部Kの前面側に移動する。膝部Kの前面側に移動した脇縫合線26が、膝部Kに当接すると、股下筒部10bの回転が止まって膝部Kに対してずれなくなり、膝部Kの動きが阻害されやすくなる。
【0067】
これに対して、本実施形態に係るパンツ1は、次の効果を奏する。
【0068】
(1)パンツ1は、着用者の体を覆う衣服の少なくとも一部には、着用者の関節を運動させる場合に、関節を運動させやすい方向にパンツ1がずれるのを促進する、または、関節を運動させやすい方向にパンツ1がずれることが阻害されるのを抑制する、ずれ促進部としての脇縫合線26、内股縫合線27、および/または、綾織組織90を有する。本構成によれば、パンツ1の少なくとも一部に設けられたずれ促進部によって、着用者の関節を運動させたときに、関節に対してパンツ1がずれることで、着用者の関節の動きを阻害しにくいパンツ1を提供することができる。具体的には、屈曲した臀部や膝部Kが、パンツ1の股上筒部10aないし股下筒部10bの内面に当接した時点からさらに屈曲させるときに、股上筒部10aないし股下筒部10bが臀部や膝部Kに対してずれる。これにより、股上筒部10aないし股下筒部10bが、臀部や膝部Kに対してずれることなく固定される場合のように、当接点間に張力が作用することを抑制できる。
【0069】
(2)着用者の正面に位置する前身頃生地11と背面に位置する後ろ身頃生地12を有するパンツ1は、ずれ促進部が、側方視において、前身頃生地11と後ろ身頃生地12とが縫合されると共に、側方視において下方に向かって後方に傾斜する脇縫合線26で構成されている。
【0070】
本構成によれば、開脚しつつ屈伸する場合、例えば、パンツ1は、屈伸によって上側にずれ、開脚によって幅方向内側に向かってずれる。このずれによって、脇縫合線26が膝部Kに近づくが、脇縫合線26が下方に向かって後方に傾斜しているので、図8に二点鎖線で示されるように概ね体長方向に沿って延びた脇縫合線126と膝部Kとの離間距離X1に比べて、脇縫合線26と膝部Kとの離間距離X2を長くすることができる。したがって、脇縫合線26が膝部Kまでずれるための余裕代を大きくでき、脇縫合線26が膝部Kに当接して膝部Kの動きを阻害することを抑制できる。
【0071】
(3)ずれ促進部は、前身頃生地11と後ろ身頃生地12が縫合されると共に、内側からの側方視において下方に向かって前方に傾斜する内股縫合線27をさらに備える。本構成によれば、後方にずらした脇縫合線に合わせて内股縫合線を前側にずらすことで、屈曲および開脚した後の膝部Kを、脇縫合線と内股縫合線との間に配置することができる。屈曲および開脚した後の膝部Kが、脇縫合線と内股縫合線とに当接することによる、膝部Kの運動の阻害を抑制できる。
【0072】
(4)脇縫合線26と膝線62との交点(第3交点)P4と、脇折れ線71と膝線62との交点(第2交点)P3との離間距離D2は、膝線62における股下筒部10bの周長D3の3.57%以上17.9%以下の長さに設定されている。本構成によれば、膝部Kと脇縫合線26とを適切に離間させることができるので、運動姿勢において脇縫合線26が膝部Kに当接することによる膝部Kの動きを阻害することが、より効果的に抑制できる。離間距離D2が、周長D3の3.57%未満の長さの場合、運動姿勢の途中で脇縫合線26が膝部Kに当接し、その時点で膝部Kの運動が阻害されやすくなって、滑り感が感じにくくなる。離間距離D2が、周長D3の17.9%を超過すると、脇縫合線26が脇折れ線71よりも後方側に離間するため、脇折れ線71よりも前側の前身頃生地11にゆとりが生じやすく、非運動姿勢(立ち姿勢)において、前身頃生地11がたるんでしわになりやすく、見栄えが悪くなる場合がある。
【0073】
(5)内股縫合線27と膝線62との交点(第6交点)P7と、内股折れ線72と膝線62との交点(第7交点)P8との離間距離D7は、膝線62における股下筒部10bの周長D3の2.38%以上21.43%以下の長さに設定されている。本構成によれば、内股縫合線27を脇縫合線26に合わせてずらすことができるので、膝部Kの運動を阻害することがより効果的に抑制できる。離間距離D7が、周長D3の2.38%未満の長さの場合、内股折れ線72に近づくため、前身頃生地11にゆとりが生じやすく、非運動姿勢(立ち姿勢)において、前身頃生地11がたるんでしわになりやすく、見栄えが悪くなる場合がある。離間距離D7が、周長D3の21.43%を超過すると、内股縫合線27が脇縫合線26に近づくため、運動姿勢において内股縫合線27と脇縫合線26との周方向の中間位置に膝部Kを配置させづらく、つっぱりが生じる場合がある。また、立ち姿勢では、内股縫合線27が正面側に位置するため、見栄えが悪くなる場合がある。
【0074】
(6)着用者の幅方向一方側に位置すると共に、一方側綾織組織9cが形成された一方側身頃生地(左前身頃生地11a、左後ろ身頃生地12a)と、着用者の幅方向他方側に位置するともに、他方側綾織組織9dが形成された他方側身頃生地(右前身頃生地11b、右後ろ身頃生地12b)と、を有し、一方側綾織組織9cと他方側綾織組織9dとは、線対称であって、ずれ促進部は、一方側身頃生地および他方側身頃生地の着用者側に位置する裏面に一方側綾織組織9cと他方側綾織組織9dとを設けることによって構成されている。本構成によれば、生地を構成する経糸と緯糸が交互に織られる平織組織等のように、生地全体が着用者に接触する場合に比べて、接触面積を小さくすることができ、着用者に対して生地がずれやすい。
【0075】
(7)着用者の正面に位置する前身頃生地11を有するパンツ1は、ずれ促進部が、着用者側に位置する裏面において、着用者の左側に位置する左前身頃生地11aに形成されて、幅方向外側から内側に向かって右上がりの右綾目d1と、着用者の右側に位置する右前身頃生地11bに形成されて幅方向外側から内側に向かって左上りの左綾目d2とによって構成されている。
【0076】
本構成によれば、左前身頃生地11aおよび右前身頃生地11bそれぞれに設けられた右綾目d1および左綾目d2によって、例えば、平織組織で構成された生地よりも、着用者への接触面積を低減するので、パンツ1と着用者との間の摩擦が低減されてパンツ1の回転が阻害されにくい。運動時にパンツ1が着用者に対してずれにくく、運動が阻害されることを抑制できる。
【0077】
左前身頃生地11aおよび右前身頃生地11bそれぞれに設けられた右綾目d1および左綾目d2の方向によって、基準姿勢から運動姿勢に変化する際の膝部Kに対するパンツ1のずれを、促進させることができる。より詳しくは、膝部Kに対して、上方かつ内側(矢印Aと逆方向)に向かって回転する生地の移動方向と、綾目の方向が一致するので、綾目の方向が生地の移動方向とが異なる場合よりも、綾目の方向に沿って生地を回転させやすい。
【0078】
(8)着用者の背面に位置する後ろ身頃生地12を有するパンツ1は、ずれ促進部が、着用者側に位置する裏面において、着用者の左側に位置する左後ろ身頃生地12aに形成されて、幅方向外側から内側に向かって左上がりの左綾目d2と、着用者の右側に位置する右後ろ身頃生地12bに形成されて、幅方向外側から内側に向かって右上りの右綾目d1とによって構成されている。
【0079】
本構成によれば、左後ろ身頃生地12aおよび右後ろ身頃生地12bそれぞれに設けられた右綾目d1および左綾目d2によって、例えば、平織組織で構成された生地よりも、着用者への接触面積を低減するので、パンツ1と着用者との間の摩擦が低減されてパンツ1の回転が阻害されにくい。運動時にパンツ1が着用者に対してずれにくく、運動が阻害されることを抑制できる。
【0080】
(9)右綾目d1および左綾目d2の綾目傾斜角度θ1は、30度以上60度以下に設定されているので、右綾目d1および左綾目d2の綾目傾斜角度θ1を着用者に対する生地の移動方向に沿って、適切に設定することができる。綾目傾斜角度θ1が30度未満の場合は、上方向の生地の移動が促進されにくい。綾目傾斜角度θ1が60度を超過すると、生地の幅方向内側への移動が促進されにくい。
【0081】
(10)一方側身頃生地および他方側身頃生地を構成する、経糸92または緯糸93のいずれか一方の糸は、他方の糸よりも線径が大きく、一方の糸によって綾目が形成されている。本構成によれば、綾目を構成する一方の糸の線径が大きく設定されているので、他方の糸と着用者とを離間させやすく、より効果的に生地の着用者に対する接触面積を低減しやすい。
【0082】
(11)パンツ1は、非ストレッチ性生地9で構成されているので、伸縮性を有する生地に比べて、体の動きに追従しにくく、ひきつりが起こりやすいが、ずれ促進部によって、関節に対して生地をずらすことでひきつりを抑制できる。
【0083】
(12)脇縫合線26の臀部に対応する位置には、いせ込み縫合部28が設けられているので、着用者の臀部側の空間が広がって、運動姿勢において臀部がパンツに当接するまでの余裕代を拡大することができ、臀部におけるパンツの引きつりを抑制することができるので、臀部の動きを阻害しにくい。
【0084】
(13)パンツ1の製造方法であって、パンツ1は、幅方向の一方側と他方側で線対称となる綾織構造を備えた生地を用意し、生地を染色加工して染色生地を得て、染色生地の一方側に位置する一方側生地部から一方側身頃生地を裁断し、他方側に位置する他方側生地部から他方側身頃生地を裁断し、前記一方側身頃生地と前記他方側身頃生地を縫合することで製造される。
【0085】
本構成によれば、一方側身頃生地と他方側身頃生地とは、一枚の生地から裁断される。例えば、一方側身頃生地と他方側身頃生地とが別体の生地から裁断される場合、染色時のロット違いによって一方側身頃生地と他方側身頃生地との間で色むらが生じる。これに比べて、線対称の一方側綾目と他方側綾目とを備えながら、一方側身頃生地と他方側身頃生地との間の染色時のロット違いによる色むらが抑制されたパンツを製造することができる。
【実施例0086】
比較例および実施例のパンツについて、伸縮性および官能評価の評価試験を行った。これらの評価試験結果を表1に示す。
【0087】
比較例1は、従来のストレッチ性を有するウレタンを含む織物生地で構成されるパンツである。実施例1は、ウレタンを含まない、ポリエステル100%の糸で平織りされた非ストレッチ性生地で構成されるパンツである。実施例2は、ウレタンを含まない、ポリエステル100%の糸で綾織された、実施例1よりも伸縮性の低い非ストレッチ性生地で構成されるパンツである。
【0088】
伸縮性の評価は、30%伸長時の応力を測定した。官能評価は、比較例1、実施例1、および、実施例2のパンツを着用した着用者の開脚屈伸運動のしやすさを評価した。具体的には、開脚屈伸運動時のつっぱり感および滑り感の有無について評価した。「つっぱり感」とは、生地と膝部に対してずれが生じず、膝部の屈曲によって生地が伸ばされる場合をつっぱり感が有る(×)として評価した。「滑り感」とは、生地が膝部に対してずれる際の生地の移動がない場合を滑り感無し(×)として評価した。
【0089】
【表1】
【0090】
表1から明らかなように、比較例1のように、ウレタンを含む従来のストレッチ性生地では、開脚屈伸運動時に生地の伸縮性によって、生地が膝部に対してずれずに、膝部の屈曲によって生地が伸ばされ、つっぱり感が生じる。また、生地の膝部に対するずれが生じないため、生地が膝部に対してずれる際の生地の移動も生じにくいため、滑り感が得られない。実施例1では、比較例1に比べて、30%伸長時の応力が高く、伸縮性が低いため、開脚屈伸運動時に生地が膝部に対してずれやすくなっている。また、生地の膝部に対するずれが生じるので、滑り感も得られる。実施例2では、実施例1よりもさらに30%伸長時の応力が高く、伸縮性が低いため、開脚屈伸運動時に生地が膝部に対してずれやすくなっている。また、生地の膝部に対するずれが生じやすいので、良好な滑り感も得られる。さらに、実施例2では、織組織が綾織組織を有するため、生地の膝部に対するずれがさらに促進されている。表1の結果から、パンツ1の生地の体長方向(経方向)の30%伸長時の応力の上下限値は、46.6N以上308.7N以下に設定され、身幅方向(緯方向)の30%伸長時の応力の上下限値は、13.9N以上64.7N以下に設定されることが好ましい。
【0091】
本実施形態において、パンツ1は、非ストレッチ性生地9で構成されている例について説明したが、パンツ1は伸縮性生地で構成されていてもよい。
【0092】
本実施形態では、綾織組織90は、緯糸93が、2本の経糸92の上を通過した後、1本の経糸92の下を通過することを繰り返して織られる構成について説明したが、これに限られるものではなく、図12に示す第1変形例ように、綾織組織190は、経糸192および緯糸193が2/2ツイルで構成されていてもよいし、図13に示す第2変形例ように、綾織組織290は、経糸292および緯糸293が2/1/1/1ツイルで構成されていてもよい。
【0093】
本実施形態において、パンツ1は、織物で構成される例について説明したが、編み物であってもよい。
【0094】
本実施形態において、すべり促進部として、脇縫合線26および綾織組織90を備える例について説明したが、すべり促進部は、脇縫合線26と綾織組織90のうちどちらか一方で構成されていてもよい。
【0095】
本実施形態において、すべり促進部を備えた衣服をパンツ1に適用する例について説明したが、これに限られるものではなく、衣服は、膝下まで裾部が延びているパンツ(例えば、ひざ下丈、七分丈等の短い長さのパンツ)であればよく、ゆとりがあるものやタイトなもの等にも適用することができ、本発明と同様の効果を得ることができる。
【0096】
本実施形態において、すべり促進部を備えた衣服をパンツ1に適用する例について説明したが、衣服は、上衣に適用されてもよい。
【0097】
なお、本発明の衣服は、上述の実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0098】
[付記]本開示は以下の態様を包含する。
【0099】
[態様1]
着用者の体を覆う衣服の少なくとも一部には、着用者の関節を運動させる場合に、前記関節を運動させやすい方向に前記衣服がずれるのを促進する、または、前記関節を運動させやすい方向に前記衣服がずれることが阻害されるのを抑制する、ずれ促進部が設けられている衣服。
【0100】
[態様2]
前記衣服は、着用者の正面に位置する前身頃生地と背面に位置する後ろ身頃生地を有する下衣であって、
前記ずれ促進部は、前記前身頃生地と前記後ろ身頃生地が縫合されると共に、側方視において下方に向かって後方に傾斜する脇縫合線で構成されている、
態様1に記載の衣服。
【0101】
[態様3]
前記ずれ促進部は、前記前身頃生地と前記後ろ身頃生地が縫合されると共に、内側からの側方視において下方に向かって前方に傾斜する内股縫合線をさらに備える、
態様1又は2に記載の衣服。
【0102】
[態様4]
着用者の膝部に対応する位置に配置されて前記膝部の周りで周方向に延びる膝線と、平置き状態で幅方向外側に形成されて上下方向に延びる脇折れ線とを備えると共に、着用者の脚部を覆う股下筒部をさらに有し、
前記脇縫合線と前記膝線との交点と、前記脇折れ線と前記膝線との交点との離間距離は、前記膝線における股下筒部の周長の3.57%以上17.9%以下の長さに設定されている、
態様1から3のいずれか1つに記載の衣服。
【0103】
[態様5]
着用者の膝部に対応する位置に配置されて前記膝部の周りで周方向に延びる膝線と、平置き状態で幅方向内側に形成されて上下方向に延びる内股折れ線とを備えると共に、着用者の脚部を覆う股下筒部をさらに有し、
前記内股縫合線と前記膝線との交点と、前記内股折れ線と前記膝線との交点との離間距離は、前記膝線における股下筒部の周長の2.38%以上21.43%以下の長さに設定されている、
態様3に記載の衣服。
【0104】
[態様6]
着用者の幅方向一方側に位置すると共に、一方側綾織組織が形成された一方側身頃生地と、
着用者の幅方向他方側に位置するともに、他方側綾織組織が形成された他方側身頃生地と、を有し、
前記一方側綾織組織と前記他方側綾織組織とは、線対称であって、
前記ずれ促進部は、前記一方側身頃生地および前記他方側身頃生地の着用者側に位置する裏面に前記一方側綾織組織と前記他方側綾織組織とを設けることによって構成されている
態様1から5のいずれか1つに記載の衣服。
【0105】
[態様7]
前記衣服は、着用者の正面に位置する前身頃生地を有する下衣であって、
前記ずれ促進部は、前記前身頃生地の着用者側に位置する裏面において、着用者の左側に位置する左前身頃生地に形成されて、幅方向外側から内側に向かって右上がりの右綾目で構成される第1綾織組織と、前記前身頃生地の着用者の右側に位置する右前身頃生地に形成されて、幅方向外側から内側に向かって左上がりの左綾目で構成される第2綾織組織とによって構成されている、
態様6に記載の衣服。
【0106】
[態様8]
前記衣服は、着用者の背面に位置する後ろ身頃生地を有する下衣であって、
前記ずれ促進部は、前記後ろ身頃生地の着用者側に位置する裏面において、着用者の左側に位置する左後ろ身頃生地に形成されて、幅方向外側から内側に向かって左上りの左綾目と、前記後ろ身頃生地の着用者の右側に位置する右後ろ身頃生地に形成されて、幅方向外側から内側に向かって右上りの右綾目とによって構成されている、
態様6又は7に記載の衣服。
【0107】
[態様9]
前記右綾目および前記左綾目の綾目傾斜角度は、30度以上60度以下に設定されている、
態様7又は8に記載の衣服。
【0108】
[態様10]
前記一方側身頃生地および前記他方側身頃生地を構成する、経糸または緯糸のいずれか一方の糸は、他方の糸よりも線径が大きく、前記一方の糸によって前記右綾目及び前記左綾目が形成されている、
態様7又は8に記載の衣服。
【0109】
[態様11]
前記衣服は、非ストレッチ性生地で構成されている、
態様1から態様5のいずれか1つに記載の衣服。
【0110】
[態様12]
前記脇縫合線の臀部に対応する位置には、いせ込み縫合部が設けられている、
態様1から態様11のいずれか1つに記載の衣服。
【0111】
[態様13]
前記態様6に記載の衣服の製造方法であって、
幅方向の一方側と他方側で線対称となる綾織構造を備えた生地を用意し、
前記生地を染色加工して染色生地を得て、
前記染色生地の一方側に位置する一方側生地部から一方側身頃生地を裁断し、他方側に位置する他方側生地部から他方側身頃生地を裁断し、
前記一方側身頃生地と前記他方側身頃生地を縫合することで製造される、
衣服の製造方法。
【符号の説明】
【0112】
1 パンツ(衣服)
9 非ストレッチ性生地
9c 一方側綾織組織
9d 他方側綾織組織
10b 股下筒部
11 前身頃生地
11a 左前身頃生地(一方側身頃生地)
11b 右前身頃生地(他方側身頃生地)
12 後ろ身頃生地
12a 左後ろ身頃生地(一方側身頃生地)
12b 右後ろ身頃生地(他方側身頃生地)
26 脇縫合線(ずれ促進部)
27 内股縫合線(ずれ促進部)
28 いせ込み縫合部
62 膝線
71 脇折れ線
72 内股折れ線
90a 第1綾織組織
90b 第2綾織組織
92 経糸
93 緯糸
d1 右綾目
d2 左綾目
D2 離間距離
D3 周長
D7 離間距離
P4 第3交点(交点)
P3 第2交点(交点)
P7 第6交点(交点)
P8 第7交点(交点)
θ1 綾目傾斜角度
図1
図2
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図13