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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002262
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】折り畳みルーム
(51)【国際特許分類】
   B60P 3/34 20060101AFI20241226BHJP
   B60P 3/025 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
B60P3/34
B60P3/025
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102313
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000107538
【氏名又は名称】株式会社UACJ
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】権藤 隆範
(72)【発明者】
【氏名】片庭 孝
(72)【発明者】
【氏名】石田 陽介
(72)【発明者】
【氏名】田垣内 孝夫
(72)【発明者】
【氏名】大上 亜弓
(72)【発明者】
【氏名】加納 伸晃
(72)【発明者】
【氏名】小高 菜穂子
(57)【要約】
【解決課題】より簡易な方法で折り畳んだり組み立てたりすることが可能な折り畳みルームを提供する。
【解決手段】折り畳みルームは、底部と、前記底部と対向する頂壁部と、前記底部と前記頂壁部とを接続するとともに、伸長した第1位置と、内側に折り畳まれた第2位置と、の間で変形可能な側壁部と、前記底部に対して回動可能に設けられる底壁部であって、前記頂壁部および前記側壁部で囲まれる内部空間と前記底部側の床下空間とを仕切った第3位置と、前記底部に対して起立して前記第2位置にある前記側壁部を前記第1位置まで持ち上げることが可能な第4位置と、の間で回動可能な底壁部と、前記床下空間に収納されるとともに前記底部に固定されるアクチュエータであって、前記底壁部を前記第1位置と前記第2位置との間で回動させるアクチュエータと、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と、
前記底部と対向する頂壁部と、
前記底部と前記頂壁部とを接続するとともに、伸長した第1位置と、内側に折り畳まれた第2位置と、の間で変形可能な側壁部と、
前記底部に対して回動可能に設けられる底壁部であって、前記頂壁部および前記側壁部で囲まれる内部空間と前記底部側の床下空間とを仕切った第3位置と、前記底部に対して起立して前記第2位置にある前記側壁部を前記第1位置まで持ち上げることが可能な第4位置と、の間で回動可能な底壁部と、
前記床下空間に収納されるとともに前記底部に固定されるアクチュエータであって、前記底壁部を前記第1位置と前記第2位置との間で回動させるアクチュエータと、
を備える折り畳みルーム。
【請求項2】
前記アクチュエータは、伸長および短縮制御可能に設けられた請求項1に記載の折り畳みルーム。
【請求項3】
人力による操作で前記頂壁部を上方に持ち上げて前記側壁部を前記第2位置から前記第1位置にするリフト機構を備える請求項1に記載の折り畳みルーム。
【請求項4】
前記底部は、前記リフト機構を着脱可能な取付部を有する請求項3に記載の折り畳みルーム。
【請求項5】
底部と、
前記底部と対向する頂壁部と、
前記底部と前記頂壁部とを接続するとともに、伸長した第1位置と、内側に折り畳まれた第2位置と、の間で変形可能な側壁部と、
前記頂壁部を昇降させる蛇腹状の伸縮部と、
前記伸縮部を伸長又は短縮させるためのハンドルと、
を備える折り畳みルーム。
【請求項6】
底部と、
前記底部と対向する頂壁部と、
前記底部と前記頂壁部とを接続するとともに、伸長した第1位置と、内側に折り畳まれた第2位置と、の間で変形可能な側壁部と、
前記頂壁部を持ち上げることが可能なハンドリフターと、
を備え、
前記ハンドリフターは、
土台部分と、
前記土台部分から起立した支柱部と、
前記支柱部に設けられた昇降ハンドルと、
前記頂壁部の下側に差し入れ可能で、前記昇降ハンドルの回転に伴い昇降するフォーク部分と、
を有する折り畳みルーム。
【請求項7】
前記底部は、差込穴を含む取付部を有し、
前記土台部分は、前記差込穴に差し込み可能な軸部を有する請求項6に記載の折り畳みルーム。
【請求項8】
底部と、
前記底部と対向する頂壁部と、
前記底部と前記頂壁部とを接続するとともに、伸長した第1位置と、内側に折り畳まれた第2位置と、の間で変形可能な側壁部と、
前記頂壁部の上側に設置される櫓と、
前記櫓に取り付けられ、前記頂壁部を持ち上げることが可能な手動式のホイストと、
を備える折り畳みルーム。
【請求項9】
前記底部は、差込穴を含む取付部を有し、
前記櫓は、前記差込穴に差し込み可能な軸部を有する請求項8に記載の折り畳みルーム。
【請求項10】
底部と、
前記底部と対向する頂壁部と、
前記底部と前記頂壁部とを接続するとともに、伸長した第1位置と、内側に折り畳まれた第2位置と、の間で変形可能な側壁部と、を有し、これら部材の連結部分の少なくとも1か所をギア付きヒンジで連結されてなることを特徴とする折り畳みルーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折り畳むことが可能な折り畳みルームに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、仮設事務所などに用いられる折り畳みハウスが知られている(例えば、特許文献1参照)。この折り畳みハウスは、床パネルの中央と屋根パネルの中央とにそれぞれ蝶番を設け、床パネルおよび屋根パネルをそれぞれ折り畳み可能に構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許出願公開昭61-211431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この折り畳みハウスでは、クレーンによって持ち上げる力を利用して、ハウスの折り畳みおよび組立を行うようにしている。一方、より簡易な方向でハウスの折り畳みおよび組立を行えるようにしたいというニーズがある。
【0005】
従って、本発明の目的は、より簡易な方法で折り畳んだり組み立てたりすることが可能な折り畳みルームを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(1)の折り畳みルームは、
底部と、
前記底部と対向する頂壁部と、
前記底部と前記頂壁部とを接続するとともに、伸長した第1位置と、内側に折り畳まれた第2位置と、の間で変形可能な側壁部と、
前記底部に対して回動可能に設けられる底壁部であって、前記頂壁部および前記側壁部で囲まれる内部空間と前記底部側の床下空間とを仕切った第3位置と、前記底部に対して起立して前記第2位置にある前記側壁部を前記第1位置まで持ち上げることが可能な第4位置と、の間で回動可能な底壁部と、
前記床下空間に収納されるとともに前記底部に固定されるアクチュエータであって、前記底壁部を前記第1位置と前記第2位置との間で回動させるアクチュエータと、
を備える。
【0007】
また、本発明(2)の折り畳みルームは、(1)記載の折り畳みルームであって、
前記アクチュエータは、伸長および短縮制御可能に設けられた。
【0008】
また、本発明(3)の折り畳みルームは、(1)記載の折り畳みルームであって、
人力による操作で前記頂壁部を上方に持ち上げて前記側壁部を前記第2位置から前記第1位置にするリフト機構を備える。
【0009】
また、本発明(4)の折り畳みルームは、(3)記載の折り畳みルームであって、
前記底部は、前記リフト機構を着脱可能な取付部を有する。
【0010】
また、本発明(5)の折り畳みルームは、
底部と、
前記底部と対向する頂壁部と、
前記底部と前記頂壁部とを接続するとともに、伸長した第1位置と、内側に折り畳まれた第2位置と、の間で変形可能な側壁部と、
前記頂壁部を昇降させる蛇腹状の伸縮部と、
前記伸縮部を伸長又は短縮させるためのハンドルと、
を備える。
【0011】
また、本発明(6)の折り畳みルームは、
底部と、
前記底部と対向する頂壁部と、
前記底部と前記頂壁部とを接続するとともに、伸長した第1位置と、内側に折り畳まれた第2位置と、の間で変形可能な側壁部と、
前記頂壁部を持ち上げることが可能なハンドリフターと、
を備え、
前記ハンドリフターは、
土台部分と、
前記土台部分から起立した支柱部と、
前記支柱部に設けられた昇降ハンドルと、
前記頂壁部の下側に差し入れ可能で、前記昇降ハンドルの回転に伴い昇降するフォーク部分と、
を有する。
【0012】
また、本発明(7)の折り畳みルームは、(6)記載の折り畳みルームであって、
前記底部は、差込穴を含む取付部を有し、
前記土台部分は、前記差込穴に差し込み可能な軸部を有する。
【0013】
また、本発明(8)の折り畳みルームは、
底部と、
前記底部と対向する頂壁部と、
前記底部と前記頂壁部とを接続するとともに、伸長した第1位置と、内側に折り畳まれた第2位置と、の間で変形可能な側壁部と、
前記頂壁部の上側に設置される櫓と、
前記櫓に取り付けられ、前記頂壁部を持ち上げることが可能な手動式のホイストと、
を備える。
【0014】
また、本発明(9)の折り畳みルームは、(8)記載の折り畳みルームであって、
前記底部は、差込穴を含む取付部を有し、
前記櫓は、前記差込穴に差し込み可能な軸部を有する。
【0015】
更に、本発明(10)の折り畳みルームは、
底部と、
前記底部と対向する頂壁部と、
前記底部と前記頂壁部とを接続するとともに、伸長した第1位置と、内側に折り畳まれた第2位置と、の間で変形可能な側壁部と、を有し、これら部材の連結部分の少なくとも1か所をギア付きヒンジで連結されてなることを特徴とする折り畳みルームである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、より簡易な方法で折り畳んだり組み立てたりすることが可能な折り畳みブースを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態の折り畳みルームを示す斜視図である。
図2図1に示す折り畳みルームの正面図である。
図3図1に示す折り畳みルームの背面図である。
図4図1に示す折り畳みルームの右側面図である。
図5図1に示す折り畳みルームの左側面図である。
図6図1に示す折り畳みルームの平面図である。
図7図1に示す折り畳みルームの底面図である。
図8図6に示す折り畳みブースの第1側壁部の第1パネルおよび第2パネルを連結する部分(第1ヒンジ部)を拡大して示す断面図であり、第1側壁部が第1位置にある状態を示す断面図である。
図9図2に示す第1ヒンジ部を示す断面図であり、第1側壁部が第2位置にある状態を示す断面図である。
図10図1に示す折り畳みルームの脚部を示す斜視図である。
図11図1に示す折り畳みルームにおいて、密閉壁およびドアを横倒位置にした状態を示す斜視図である。
図12図1に示す折り畳みルームを折り畳んで、車両(トラック)の荷台に重ね合わせて積載した状態を示す断面図である。
図13図1に示す折り畳みルームが折り畳まれた状態を示す断面図である。
図14図13に示す折り畳みルームで第1側壁部が第2位置から第1位置に移動する途中の状態、且つ、底壁部が第3位置から第4位置に移動する途中の状態を示した断面図である。
図15図13に示す折り畳みルームの第1側壁部が第1位置まで移動し、且つ、底壁部が第4位置に移動した状態を示した断面図である。
図16図15に示す折り畳みルームにおいて、底壁部が第4位置から第3位置に移動完了した状態を示した断面図である。
図17】第2実施形態の折り畳みルームを示す断面図である。
図18】第3実施形態の折り畳みルームとハンドリフターを示す側面図である。
図19】第3実施形態の折り畳みルームの変形例を示す斜視図である。
図20】第4実施形態の折り畳みルームに含まれる仮設クレーンを示す斜視図である。
図21】第4実施形態の折り畳みルームと仮設クレーンを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下図面を参照して、本発明の折り畳みルームの実施形態について説明する。本発明の折り畳みルームは、災害発生時に避難所等において更衣室などとして利用してプライバシーを守るために利用することができる。また、折り畳みルームは、イベントなどにおいて、屋台(仮設店舗)としても利用することができる。以下では、長手方向をL、長手方向と交差する短手方向をS、高さ方向Hとして説明を進める。
[第1実施形態]
【0019】
図1図16を参照して、第1実施形態の折り畳みルーム11について説明する。図1図3図13図16に示すように、折り畳みルーム11は、土台となる底部12と、底部12を支持する複数の脚部13と、底部12と対向する頂壁部14と、底部12と頂壁部14とを連結する側壁部15と、頂壁部14および側壁部15で囲まれる内部空間16と底部12側の床下空間17とを仕切る底壁部18と、床下空間17に収納されるアクチュエータユニット21と、アクチュエータユニット21の各アクチュエータを伸長または短縮させる制御するための制御盤22と、側壁部15の後述する第1側壁部31に設けられ出入口を構成するドア23と、側壁部15の後述する第1側壁部31に設けられる密閉壁24と、を備える。底部12、頂壁部14、側壁部15、底壁部18、ドア23、および密閉壁24は、それぞれ、例えばアルミニウム合金等で形成されることにより、軽量化を達成できるが、鉄、ステンレス、樹脂などを用いてもよく、これらの素材を組み合わせることにより、強度、耐久性、外部環境(湿気や温度環境による変化)、安全を考慮して折り畳みルーム11を形成することができる。
【0020】
図2図10に示すように、脚部13は、架台13Aと、折り畳みルーム11を移動させるためのキャスタ13Bと、底部12からの突出長さを調整可能なアジャスター付きの支柱13Cと、を有する。
【0021】
底部12は、平板状に形成されている。頂壁部14は、折り畳みルーム11の屋根を構成している。図1図5に示すように、側壁部15は、折り畳みルーム11の長手方向Lに延びる一対の第1側壁部31と、折り畳みルーム11の長手方向Lと直交する短手方向Sに延びる一対の第2側壁部32と、を有する。
【0022】
図1図3に示すように、第1側壁部31のそれぞれは、平板状に形成されている。第1側壁部31は、下側の第1パネル31Aと、上側の第2パネル31Bと、第1パネル31Aと第2パネル31Bとの間の設けられたギア付きの第1ヒンジ部31Cと、第1パネル31Aと底部12との間に設けられたギア付きの第2ヒンジ部31Dと、第2パネル31Bと頂壁部14との間に設けられたギア付きの第3ヒンジ部31Eと、を含んでいる。図16に示すように、第1ヒンジ部31Cは、内部空間16側とは反対の外側に設けられている。第2ヒンジ部31Dおよび第3ヒンジ部31Eは、内部空間16側に設けられている。
【0023】
第1パネル31Aおよび第2パネル31Bは、第1ヒンジ部31Cによって回転可能に連結されている。第1側壁部31は、図16に示すように伸長した第1位置P1と、図13に示すように内側に折り畳まれた第2位置P2と、の間で変形可能である。第1側壁部31は、さらに、第1パネル31Aおよび第2パネル31Bが第1位置P1から第2位置P2に移動してしまうことを阻止するように第1パネル31Aと第2パネル31Bとを固定する図示しない第1ロック機構を有していてもよい。
【0024】
図1図2に示すように、正面側の第1側壁部31は、一対のドア23を有する。正面側の第1側壁部31は、一対のドア23の間の位置に、第1パネル31Aおよび第2パネル31Bを有する。図1に示すように、一対のドア23のそれぞれは、ドア本体23Aと、ドア本体23Aを取り囲む枠状のドア枠23Bを有する。ドア本体23Aは、ドア枠23Bの第1パネル31Aおよび第2パネル31B側に設けられた枢軸を中心に開閉可能であり、これを開放した状態で、折り畳みルーム11内に人が出入りすることができる。ドア23は、底部12に対してヒンジを介して回転可能に構成されている。ドア23は、図1に示すように起立した状態で第1パネル31Aおよび第2パネル31Bに固定された起立位置S1と、図11に示すように底壁部18に対して折り重なるように横倒しされた横倒位置S2と、の間で回動できる。すなわち、ドア23は、折り畳みルーム11を折り畳みに先立ち、内部空間16内に向けて横倒しにすることができる。ドア23が横倒位置S2にあるときに、元のドア23があった箇所には開口部33が形成される。
【0025】
図3に示すように、背面側の第1側壁部31は、一対の密閉壁24を有する。背面側の第1側壁部31は、一対の密閉壁24の間の位置に、第1パネル31Aおよび第2パネル31Bを有する。密閉壁24は、上記のドア23とは異なり、開閉をすることができない。密閉壁24は、ドア23と同様に、底部12に対してヒンジを介して回転可能に構成されている。密閉壁24は、起立した状態で第1パネル31Aおよび第2パネル31Bに固定された起立位置S1と、底壁部18に対して折り重なるように横倒しされた横倒位置S2と、の間で回動できる。すなわち、折り畳みルーム11の折り畳みに先立ち、密閉壁24を内部空間16内に向けて横倒しにすることができる。密閉壁24が横倒位置S2にあるときに、元の密閉壁24があった箇所には開口部33が形成される。図11に示すように、この横倒し状態では、ドア23よりも下側に密閉壁24が配置されているが、ドア23よりも上側に密閉壁24が配置されていてもよい。
【0026】
図1図4図5に示すように、第2側壁部32のそれぞれは、平板状に形成されている。第2側壁部32は、下側の第3パネル32Aと、上側の第4パネル32Bと、第3パネル32Aと第4パネル32Bとの間の設けられたギア付きの第4ヒンジ部32Cと、第3パネル32Aと底部12との間に設けられたギア付きの第5ヒンジ部32Dと、第4パネル32Bと頂壁部14との間に設けられたギア付きの第6ヒンジ部32Eと、を含んでいる。第4ヒンジ部32Cは、内部空間16とは反対の外側に設けられている。第5ヒンジ部32Dおよび第6ヒンジ部32Eは、内部空間16側に設けられている。第3パネル32Aおよび第4パネル32Bは、第4ヒンジ部32Cによって回転可能に連結されている。第2側壁部32は、伸長した第1位置P1と、内側に折り畳まれた第2位置P2と、の間で変形可能である。第2側壁部32は、さらに、第3パネル32Aおよび第4パネル32Bが第1位置P1から第2位置P2に移動してしまうことを阻止するように第3パネル32Aと第4パネル32Bとを固定する図示しない第2ロック機構を有していてもよい。
【0027】
図1図2に示すように、第3パネル32Aは、第3パネル本体34と、第3パネル本体34の上部に設けられた軸を中心に水平方向に起こしたり鉛直方向に折り畳んだり可能なカウンターテーブル35と、を有する。第4パネル32Bは、第4パネル本体36と、第4パネル本体36の上部に設けられた軸を中心に水平方向に起こしたり鉛直方向に折り畳んだり可能な雨除け37と、を有する。
【0028】
第1~第6ヒンジ部32Eは、互いに同一の構成を有する。このため、以下では、第1ヒンジ部31Cを中心に説明する。図8に示すように、第1ヒンジ部31Cのそれぞれは、第1ギア41と、第1ギア41に取り付けられた第1取付部42と、第1ギア41を回転可能に支持する第1軸部43と、第1ギア41に噛み合う第2ギア44と、第2ギア44に取り付けられた第2取付部45と、第2ギア44を回転可能に支持する第2軸部46と、第1ギア41と第2ギア44を覆うカバー47と、を有する。カバー47は、断面C字状(箱状)に形成されており、第1軸部43および第2軸部46と一体的に設けられる。第1ヒンジ部31Cの各部材は、例えば、アルミニウム合金の押出材で構成され、軽量化している。第1取付部42は、第1パネル31Aに固定されている。第2取付部45は、第2パネル31Bに固定されている。なお、アルミニウム合金の代わりに、用途に応じて鉄、ステンレス、樹脂などを用いてもよく、これらの素材を組み合わせることにより、強度、耐久性、外部環境(湿気や温度環境による変化)、安全を考慮することができる。
【0029】
第2ヒンジ部31Dにおいて、第1取付部42は、底部12に固定される。第2ヒンジ部31Dにおいて、第2取付部45は、第1パネル31Aに固定されている。第3ヒンジ部31Eにおいて、第1取付部42は、第2パネル31Bに固定されている。第3ヒンジ部31Eにおいて、第2取付部45は、頂壁部14に固定されている。
【0030】
第4ヒンジ部32Cにおいて、第1取付部42は、第3パネル32Aに固定される。第4ヒンジ部32Cにおいて、第2取付部45は、第4パネル32Bに固定されている。第5ヒンジ部32Dにおいて、第1取付部42は、底部12に固定される。第5ヒンジ部32Dにおいて、第2取付部45は、第3パネル32Aに固定されている。第6ヒンジ部32Eにおいて、第1取付部42は、第4パネル32Bに固定されている。第6ヒンジ部32Eにおいて、第2取付部45は、頂壁部14に固定されている。
【0031】
このように、第1~第6ヒンジ部32Eをそれぞれギア付きヒンジで構成することにより、第1取付部42および第2取付部45の折り畳み(それらの回動角度)が同期してなされることとなる。これによって、第1側壁部31の折り畳み時に第2側壁部32の折り畳みが同期してなされ、折り畳みルーム11の側壁部15(第1側壁部31、第2側壁部32)の形態が安定して頂壁部14が略水平に保たれるので、折り畳みルーム11の折り畳みおよび組み立てをスムーズに行うことができる。
【0032】
図16に示すように、底壁部18は、折り畳みルーム11の短手方向Sに関して、2分割されて構成されている。すなわち、底壁部18は、第1隔壁18Aと、第2隔壁18Bと、第1隔壁18Aおよび第2隔壁18Bのいずれかを底部12に対して回転可能に連結する一対の第7ヒンジ部18Cと、を有する。第1隔壁18Aおよび第2隔壁18Bのそれぞれは、折り畳みルーム11の短手方向Sに関して、折り畳みルーム11内の内部空間16の床の半分の長さを有する。一方、第1隔壁18Aおよび第2隔壁18Bのそれぞれは、折り畳みルーム11の長手方向Lに関して、第1パネル31Aおよび第2パネル31Bと同幅に形成されている。第7ヒンジ部18Cは、内部空間16側に設けられている。第7ヒンジ部18Cは、ギア付きヒンジであり、その構成は、第1~第6ヒンジ部31C~32Eと同様である。
【0033】
図13図16に示すように、第1隔壁18Aおよび第2隔壁18Bは、折り畳みルーム11の短手方向Sの端部側(第1側壁部31側)において、第7ヒンジ部18Cを介して底部12に対して回転可能に連結されている。すなわち、底壁部18の第1隔壁18Aおよび第2隔壁18Bは、図16に示すように内部空間16と底部12側の床下空間17とを仕切った第3位置P3と、図15に示すように底部12に対して起立した第4位置P4と、の間で回動できる。
【0034】
アクチュエータユニット21は、軸方向に伸縮可能な複数のアクチュエータを含む。図7図13に示すように、アクチュエータユニット21は、第1隔壁18Aに対応して設けられた一対の第1アクチュエータ51と、第2隔壁18Bに対応して設けられた一対の第2アクチュエータ52と、を含む。一対の第1アクチュエータ51のそれぞれは、底部12の折り畳みルーム11の短手方向Sの端部側(第1側壁部31側)と、第1隔壁18Aの折り畳みルーム11の短手方向Sの中央側と、に亘るように設けられている。一対の第2アクチュエータ52のそれぞれは、底部12の折り畳みルーム11の短手方向Sの端部側(第1側壁部31側)と、第2隔壁18Bの折り畳みルーム11の短手方向Sの中央側と、に亘るように設けられている。
【0035】
第1アクチュエータ51および第2アクチュエータ52のそれぞれは、例えば、流体シリンダで構成されている。より具体的には第1アクチュエータ51および第2アクチュエータ52のそれぞれは、空気圧シリンダで構成されている。なお、第1アクチュエータ51および第2アクチュエータ52の構成は、空気圧シリンダに限られるものではなく、油圧シリンダ等であってもよい。
【0036】
第1アクチュエータ51および第2アクチュエータ52は、伸長することで、第1隔壁18Aおよび第2隔壁18Bを第3位置P3から第4位置P4に移動させることができる。また、第1アクチュエータ51および第2アクチュエータ52は、第1隔壁18Aおよび第2隔壁18Bが第4位置P4にある状態から短縮することで、第1隔壁18Aおよび第2隔壁18Bを第4位置P4から第3位置P3に移動させることができる。
【0037】
制御盤22は、例えば、底部12、頂壁部14、側壁部15のいずれかで、作業者が操作しやすい位置に取り付けられていることが望ましい。図13に示すように、制御盤22は、第1アクチュエータ51および第2アクチュエータ52に電力を供給する電源回路53と、第1アクチュエータ51および第2アクチュエータ52の伸長および短縮を制御する制御部54と、第1アクチュエータ51および第2アクチュエータ52の伸長を指示するための開スイッチ55と、を含んでいる。制御部54は、例えば、ワンチップマイコン、第1アクチュエータ51および第2アクチュエータ52を直接制御するドライバ、およびこれらを実装した制御回路等、で構成されている。ワンチップマイコンには、第1アクチュエータ51および第2アクチュエータ52を同期して伸長または短縮させる制御を行うソフトウェアがインストールされている。
【0038】
続いて、図11図16等を参照して、本実施形態の折り畳みルーム11の折り畳み動作および組み立て動作について説明する。図1に示すように、折り畳みルーム11が組み立て状態にある場合には、第1側壁部31および第2側壁部32は、いずれも伸長した第1位置P1にある。
【0039】
図11に示すように、ヒンジを介して、密閉壁24を起立位置S1から内部空間16内に向けて底部12に対して横倒しになった横倒位置S2にする。同様に、ヒンジを介して、ドア23を起立位置S1から内部空間16内に向けて底部12に対して横倒しになった横倒位置S2にすることで、この密閉壁24の上側にドア23を載置する。
【0040】
続いて、第1ロック機構および第2ロック機構を設けている場合には、折り畳みルーム11の折り畳み動作に先立ち、第1ロック機構および第2ロック機構を解除する。これによって、第1側壁部31および第2側壁部32の折り畳みが可能な状態となる。
【0041】
この状態で、作業者が側壁部15の第1側壁部31および第2側壁部32を内側(内部空間16側)に向けて押し込むことで、第1側壁部31および第2側壁部32が伸長した第1位置P1から、内側に折り畳まれた第2位置P2にまで徐々に移動する。その際、作業者が適宜に頂壁部14の一部を手で支持しながら折り畳みルーム11を折り畳むようにしてもよい。
【0042】
このとき、ギア付きの第1~第6ヒンジ部32Eの作用によって、第1側壁部31と第2側壁部32との間で、折り畳みが同期してなされる。このため、第1側壁部31に折り畳み程度に対して第2側壁部32の折り畳み程度が小さいというような不具合を生じない。
【0043】
第1側壁部31においては、ギア付きの第1~第3ヒンジ部31Eの作用によって水平面に対する第1パネル31Aと第2パネル31Bの傾き(回転角度)が均一になる。同様に、第2側壁部32においては、ギア付きの第4~第6ヒンジ部32Eの作用によって水平面に対する第3パネル32Aと第4パネル32Bの傾き(回転角度)が均一になる。
【0044】
これらによって、第1側壁部31および第2側壁部32が第1位置P1から第2位置P2に折り畳まれる途中の状態で、頂壁部14が略水平な状態に維持される。したがって、折り畳み動作の途中で、折り畳みルーム11の全体形状が不安定化することがない。
【0045】
折り畳みルーム11の折り畳みが完了すると、折り畳みルーム11は、扁平で省スペースの形態になる。この状態で、折り畳みルーム11は、例えば2~3個を重ね合わせて保管することもできる。或いは、折り畳みルーム11は、例えば、クレーン等で釣り上げられて、車両の荷台に対して、積み込むことができる。図12に示すように、折り畳みルーム11は、車両の荷台上でも、例えば2~3個を重ね合わせて積載されることができる。なお、図12では、脚部13を省略した折り畳みルーム11を示しており、脚部13を有する折り畳みルーム11を実際に2~3個重ね合わせた場合の高さは、図示のものよりも若干高くなるものの、車両の荷台に十分に設置できる高さである。
【0046】
一方、折り畳まれた状態の折り畳みルーム11を、使用できる状態に組み立てるには、アクチェータユニット21を用いることができる。まず、折り畳みルーム11を略水平で、フラットな床等に設置する。図13に示すように、この状態で、作業者が制御盤22の開スイッチ55を操作すると、制御盤22の制御部54は、電源回路53を制御して第1アクチュエータ51および第2アクチュエータ52に電力供給して、第1アクチュエータ51および第2アクチュエータ52を同期して伸長させる。
【0047】
第1アクチュエータ51および第2アクチュエータ52が同期して伸長すると、底壁部18の第1隔壁18Aおよび第2隔壁18Bは、第7ヒンジ部18Cを中心に同期して回転する。これによって、図14に示すように、第1隔壁18Aおよび第2隔壁18Bは、横倒し状態の第3位置P3から、起立状態の第4位置P4に移動する。その際、第1隔壁18Aおよび第2隔壁18Bは、第2位置P2にある第1側壁部31を一緒に持ち上げることができる。すなわち、第1隔壁18Aおよび第2隔壁18Bは、第1アクチュエータ51および第2アクチュエータ52の駆動力によって、第3位置P3から第4位置P4に移動することで、第1側壁部31を第2位置P2から図15に示す第1位置P1に移動させることができる。その際、第2側壁部32は、第1側壁部31と同期して第2位置P2から第1位置P1に移動する。このため、側壁部15(第1側壁部31および第2側壁部32)が第2位置P2から第1位置P1に移動する際に、頂壁部14は、略水平の状態を維持することができる。なお、本実施形態では、アクチェータユニット21によって第1側壁部31を第2位置P2から第1位置P1に移動するようにしているが、これに限られるものではなく、アクチェータユニット21によって第2側壁部33を第2位置P2から第1位置P1に移動するような構造を採用してもよい。
【0048】
さらに、図15図16に示すように、第1アクチュエータ51および第2アクチュエータ52は、制御部54からの制御により元の長さに短縮して、底壁部18の第1隔壁18Aおよび第2隔壁18Bが第4位置P4から第3位置P3に移動する。一方、側壁部15(第1側壁部31および第2側壁部32)は、第2位置P2の状態を維持する。作業者は、この状態で、第1ロック機構および第2ロック機構を固定状態にして、第1側壁部31および第2側壁部32が第1位置P1から第2位置P2に戻ってしまうことを阻止する。この状態で、折り畳みルーム11は、図11に示す状態となる。この状態では、底壁部18が略水平になり、利用者が室内空間を利用することができるようになる。
【0049】
作業者は、一対のドア23を横倒位置S2から起立位置S1に回動させて、第1パネル31Aおよび第2パネル31Bに対して一対のドア23を固定する。さらに作業者は、一対の密閉壁24を横倒位置S2から起立位置S1に回動させて、第1パネル31Aおよび第2パネル31Bに対して一対の密閉壁24を固定する。これによって、折り畳みルーム11は、図1に示す状態となり、組み立てが完了する。
【0050】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。折り畳みルーム11は、底部12と、底部12と対向する頂壁部14と、底部12と頂壁部14とを接続するとともに、伸長した第1位置P1と、内側に折り畳まれた第2位置P2と、の間で変形可能な側壁部15と、底部12に対して回動可能に設けられる底壁部18であって、頂壁部14および側壁部15で囲まれる内部空間16と底部12側の床下空間17とを仕切った第3位置P3と、底部12に対して起立して第2位置P2にある側壁部15を第1位置P1まで持ち上げることが可能な第4位置P4と、の間で回動可能な底壁部18と、床下空間17に収納されるとともに底部12に固定されるアクチュエータであって、底壁部18を第1位置P1と第2位置P2との間で回動させるアクチュエータと、を備える。
【0051】
この構成によれば、アクチュエータによって自動で折り畳みルーム11の折り畳みおよび組み立てを行うことができる。また、アクチュエータが床下空間17に収納されているため、内部空間16内にアクチュエータが露出されてしまうことがない。これによって、利用者がアクチュエータに足を引っかけてしまうなどの不具合を生じる恐れがなく、使い勝手の良好な折り畳みルーム11を実現できる。
【0052】
アクチュエータは、伸長したり短縮したり可能な電動又は流体などの公知の各種シリンダで構成される。この構成によれば、アクチュエータの構造を簡略化できるとともに、折り畳みルーム11の組み立てを短時間で行うことができる。また、アクチュエータを省スペースなもので実現でき、例えば、床下空間17にアクチュエータを収納することも可能になる。
【0053】
以下の実施形態では、主として上記実施形態と異なる部分について説明し、上記実施形態と共通する部分については、図示又は説明を省略する。
[第2実施形態]
【0054】
図17を参照して、第2実施形態の折り畳みルーム11について説明する。なお、図17では、架台13A以外の脚部13の図示を省略している。
【0055】
本実施形態では、作業者が手動で折り畳みルーム11を折り畳み状態から組み立てることができるようになっている。
【0056】
折り畳みルーム11は、アクチェータユニット21に加えて、手動で頂壁部14を持ち上げることが可能なエレベーターユニット61をさらに有する。このエレベーターユニット61は、震災などの非常時に電源が失われた際に、人力によって頂壁部14を持ちあげて折り畳みルーム11を組み立てることができるものである。エレベーターユニット61は、本発明にいうリフト機構の一例である。
【0057】
折り畳みルーム11の底部12は、このエレベーターユニット61を収納するための凹部62を有する。本実施形態では、アクチェータユニット21および底壁部18(第1隔壁18A、第2隔壁18B)は、この凹部62から外れた位置に設けられているが、第1実施形態と同一の構成を有する。
【0058】
エレベーターユニット61は、頂壁部14の底面に当接して頂壁部14を支持可能な昇降板63と、昇降板63を昇降させる蛇腹状の伸縮部64と、伸縮部64の下端をスライド移動可能に案内するレール65と、レール65に隣接して形成されたラック66と、伸縮部64の下端に回転可能に設けられラック66に係合するピニオン67と、ピニオン67を回転させるハンドル68と、を有する。ハンドル68は、例えば、ピニオン67と一体になるように溶接やろう付け等で固定されている。伸縮部64は、昇降板63を介して頂壁部14を昇降させることができる。ハンドル68は、作業者が人力で回転させることで、伸縮部64を伸長又は短縮させることができる。
【0059】
続いて、図17を参照して、本実施形態の折り畳みルーム11の組み立ておよび折り畳み作業について説明する。
【0060】
折り畳みルーム11が折り畳まれた状態において、昇降板63は、凹部62内に収納されている。この状態で昇降板63と周囲の底壁部18(第1隔壁18A、第2隔壁18B)は、面一になっている。
【0061】
作業者は、ハンドル68を矢印の方向に回転させることで、ピニオン67が回転してラック66上を走行する。これによって、伸縮部64の下端が移動して、伸縮部64が高さ方向に関して伸長する。このため、昇降板63が頂壁部14を持ち上げることができる。
【0062】
それに伴い、第1側壁部31および第2側壁部32が第2位置P2から第1位置P1まで移動する。この状態で、作業者は、第1ロック機構および第2ロック機構を作動させて第1側壁部31および第2側壁部32が再び第2位置P2に戻ってしまわないようにする。
【0063】
そして、作業者は、矢印で示す方向とは反対方向にハンドル68を回転させることで、ピニオン67が回転してラック66上を走行する。これによって、伸縮部64の下端が上記の移動方向とは逆方向に移動して、伸縮部64が高さ方向に関して短縮する。伸縮部64の短縮が完了すると、昇降板63が凹部62内に収納される。この状態では、凹部62内の昇降板63は、周囲の底壁部18(第1隔壁18A、第2隔壁18B)が面一となっており、利用者が折り畳みルーム11内部の内部空間16を利用できる状態となる。作業者は、ドア23を横倒位置S2から起立位置S1に移動させ、第1パネル31Aおよび第2パネル31Bに対してドア23を固定する。同様に、作業者は、密閉壁24を横倒位置S2から起立位置S1に移動させ、第1パネル31Aおよび第2パネル31Bに対して密閉壁24を固定する。これによって、折り畳みルーム11の組み立てが完了する。
【0064】
一方、折り畳みルーム11を折り畳む場合には、第1実施形態と同様の手法で折り畳むことができる。
【0065】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。折り畳みルーム11は、人力による操作で伸縮して頂壁部14を上方に持ち上げて側壁部15を第2位置P2から第1位置P1にするリフト機構を備える。
【0066】
また、折り畳みルーム11は、底部12と、底部12と対向する頂壁部14と、底部12と頂壁部14とを接続するとともに、伸長した第1位置P1と、内側に折り畳まれた第2位置P2と、の間で変形可能な側壁部15と、頂壁部14を昇降させる蛇腹状の伸縮部64と、伸縮部64を伸長又は短縮させるためのハンドル68と、を備える。
【0067】
これらの構成によれば、震災などの自然災害が発生して電力が得られない状況でも、人力でハンドル68を回転させることで折り畳みルーム11を組み立てることができる。
[第3実施形態]
【0068】
図18を参照して、第3実施形態の折り畳みルーム11について説明する。
【0069】
折り畳みルーム11は、アクチェータユニット21に加えて、手動で頂壁部14を持ち上げることが可能なハンドリフター71をさらに有する。このハンドリフター71は、震災などの非常時に電源が失われた際に、人力によって頂壁部14を持ちあげて折り畳みルーム11を組み立てることができるものである。ハンドリフター71は、本発明にいうリフト機構の一例である。
【0070】
ハンドリフター71は、底部12の下側に差し入れ可能な土台部分72と、土台部分72から起立した支柱部73と、支柱部73の中ほどに設けられた昇降ハンドル74と、支柱部73の上部に設けられた滑車75と、滑車75に巻きまわされた図示しないチェーンと、昇降ハンドル74の回転に伴い昇降するフォーク部分76と、土台部分72と支柱部73にそれぞれ設けられたキャスタ部分77と、を有する。このハンドリフター71では、作業者が昇降ハンドル74を一方向に回転することで、チェーンが巻き取られて牽引され、チェーンを介してフォーク部分76を滑車75の付近の高さまでに持ち上げることができる。また、作業者が上記一方向とは逆方向に回転することで、チェーンが送り出されて緩み、チェーンを介してフォーク部分76を滑車75から遠ざかる方向に下降させることができる。ハンドリフター71は、市販のものを用いることもできる。
【0071】
続いて、本実施形態の折り畳みルーム11の組み立て動作について説明する。図18に示すように、作業者は、ドア23に対応する開口部33および密閉壁24に対応する開口部33の少なくとも一方に、ハンドリフター71のフォーク部分76を差し込むようにする。このとき、土台部分72は、底部12の下側に入るようになる。なお、ハンドリフター71は、1台でもよいし、対角の位置に2台配置して両側から頂壁部14を持ち上げるようにしてもよい。
【0072】
作業者が昇降ハンドル74を一方向に回転してフォーク部分76を上昇させると、フォーク部分76が頂壁部14の下面に当接して、頂壁部14を上方に持ち上げる。これによって、側壁部15(第1側壁部31、第2側壁部32)が第2位置P2から第1位置P1まで移動する。この状態で、作業者は、第1ロック機構および第2ロック機構を作動させて第1側壁部31および第2側壁部32が再び第2位置P2に戻ってしまわないようにする。
【0073】
作業者は、ドア23を横倒位置S2から起立位置S1に移動させ、第1パネル31Aおよび第2パネル31Bに対してドア23を固定する。同様に、作業者は、密閉壁24を横倒位置S2から起立位置S1に移動させ、第1パネル31Aおよび第2パネル31Bに対して密閉壁24を固定する。これによって、折り畳みルーム11の組み立てが完了する。
【0074】
一方、折り畳みルーム11を折り畳む場合には、第1実施形態と同様の手法で折り畳むことができる。
【0075】
本実施形態によれば以下のことがいえる。折り畳みルーム11は、底部12と、底部12と対向する頂壁部14と、底部12と頂壁部14とを接続するとともに、伸長した第1位置P1と、内側に折り畳まれた第2位置P2と、の間で変形可能な側壁部15と、頂壁部14を持ち上げることが可能なハンドリフター71と、を備え、ハンドリフター71は、土台部分72と、土台部分72から起立した支柱部73と、支柱部73に設けられた昇降ハンドル74と、頂壁部14の下側に差し入れ可能で、昇降ハンドル74の回転に伴い昇降するフォーク部分76と、を有する。
【0076】
この構成によれば、震災などの自然災害が発生して電力が得られない状況でも、人力で昇降ハンドル74を回転することで折り畳みルーム11を組み立てることができる。
【0077】
続いて、図19を参照して、本実施形態の折り畳みルーム11の変形例について説明する。
【0078】
本変形例では、折り畳みルーム11の底部12には、図19に示すような差込穴81A(凹部)を有する取付部81が設けられている。ハンドリフター71の土台部分72は、キャスタ部分77を有しない代わりに、取付部81の差込穴81Aに差し込み可能な軸部82を有する。このため、この変形例では、底部12に対してハンドリフター71を固定することができる。本変形例によれば、作業者が昇降ハンドル74を操作する際に、ハンドリフター71がぐらつくことなく折り畳みルーム11の組み立て作業を円滑に行うことができる。
【0079】
図19を参照して、本実施形態の折り畳みルーム11の組み立ておよび折り畳み作業について説明する。
【0080】
本変形例では、折り畳みルーム11の組み立て作業に先立ち、ハンドリフター71のフォーク部分76をドア23に対応する開口部33又は密閉壁24に対応する開口部33に差し込みつつ、ハンドリフター71の軸部82を取付部81の差込穴81Aに差し込む。この状態で、作業者が昇降ハンドル74を一方向に回転させる。これによって頂壁部14が第2位置P2から第1位置P1まで移動する。以後の組み立て作業および折り畳み作業は、上記した変形前の形態と同様である。
【0081】
本変形例によれば、以下のことがいえる。底部12は、リフト機構を着脱可能な取付部81を有する。
また、底部12は、差込穴81Aを含む取付部81を有し、土台部分72は、差込穴81Aに差し込み可能な軸部82を有する。
【0082】
この構成によれば、リフト機構を人力で操作する際に、取付部81によってリフト機構の位置が安定する。これによって、折り畳みルーム11を組み立てる際にリフト機構がぐらつくことがなく、作業効率を向上することができる。
[第4実施形態]
【0083】
図20図21を参照して、第4実施形態の折り畳みルーム11について説明する。
【0084】
折り畳みルーム11は、アクチェータユニット21に加えて、手動で頂壁部14を持ち上げることが可能な仮設クレーン91をさらに有する。この仮設クレーン91は、震災などの非常時に電源が失われた際に、人力によって頂壁部14を持ちあげて折り畳みルーム11を組み立てることができるものである。仮設クレーン91は、本発明にいうリフト機構の一例である。
【0085】
仮設クレーン91は、折り畳みルーム11(頂壁部14)の上側に設置される櫓92と、櫓92に取り付けられた手動式のホイスト93(チェーンブロック)と、櫓92を移動可能に支持するキャスタ部分77と、を有する。図20において、ホイスト93を手動で操作するためのチェーンの図示を省略している。仮設クレーン91は、市販のものを用いることもできる。
【0086】
図21に示すように、折り畳みルーム11の頂壁部14は、ホイスト93のフック93Aを引っ掛けるための引掛部94を有する。
【0087】
続いて、本実施形態の折り畳みルーム11の組み立て動作について説明する。図21に示すように、作業者は、引掛部94に対してホイスト93のフック93Aを引っ掛ける。なお、図21は、取付部81を設けた後述の変形例に対応しているが、キャスタ部分77を有していてもよい。
【0088】
作業者がホイスト93のチェーンを引いてフック93Aを上昇させると、頂壁部14を上方に持ち上げることができる。これによって、側壁部15(第1側壁部31、第2側壁部32)が第2位置P2から第1位置P1まで移動する。この状態で、作業者は、第1ロック機構および第2ロック機構を作動させて第1側壁部31および第2側壁部32が再び第2位置P2に戻ってしまわないようにする。
【0089】
作業者は、ドア23を横倒位置S2から起立位置S1に移動させ、第1パネル31Aおよび第2パネル31Bに対してドア23を固定する。同様に、作業者は、密閉壁24を横倒位置S2から起立位置S1に移動させ、第1パネル31Aおよび第2パネル31Bに対して密閉壁24を固定する。さらに、作業者は、ホイスト93のフック93Aを引掛部94から取り外す。これによって、折り畳みルーム11の組み立てが完了する。
【0090】
一方、折り畳みルーム11を折り畳む場合には、第1実施形態と同様の手法で折り畳むことができる。
【0091】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。折り畳みルーム11は、底部12と、底部12と対向する頂壁部14と、底部12と頂壁部14とを接続するとともに、伸長した第1位置P1と、内側に折り畳まれた第2位置P2と、の間で変形可能な側壁部15と、頂壁部14の上側に設置される櫓92と、櫓92に取り付けられ、頂壁部14を持ち上げることが可能な手動式のホイスト93と、を備える。
【0092】
この構成によれば、震災などの自然災害が発生して電力が得られない状況でも、人力で手動式のホイスト93を操作することで折り畳みルーム11を組み立てることができる。
【0093】
本実施形態において、第3実施形態の変形例と同様に、折り畳みルーム11の底部12に差込穴81Aを有する取付部81を設け、且つ、キャスタ部分77に代えて、櫓92の下端に取付部81の差込穴81Aに差し込み可能な軸部82を設けてもよい(図21参照)。この変形例では、仮設クレーン91を底部12に取り付けることができ、ホイスト93を操作する際に仮設クレーン91がぐらつくことなく、折り畳みルーム11の組み立てを円滑に行うことができる。
【0094】
本変形例によれば、以下のことがいえる。底部12は、差込穴81Aを含む取付部81を有し、櫓は、差込穴81Aに差し込み可能な軸部82を有する。
【0095】
この構成によれば、リフト機構を人力で操作する際に、取付部81によってリフト機構の位置が安定する。これによって、折り畳みルーム11を組み立てる際の作業効率を向上することができる。
[第5実施形態]
【0096】
本発明の折り畳みルーム11は、第1実施形態の構成のアクチュエータユニット21がない構成にすることもできる。すなわち、底部12と、底部12と対向する頂壁部14と、底部12と頂壁部14とを接続するとともに、伸長した第1位置P1と、内側に折り畳まれた第2位置P2と、の間で変形可能な側壁部15と、を有し、これら部材の連結部分がギア付きヒンジで連結されてなることを特徴とする折り畳みルーム11とすることにより、底部12の軽量化が達成できる。
【0097】
上記した実施形態は、さらなる種々の置き換えや変形を加えて実施できる。また、各実施形態や変形例の構成を組み合わせて適宜に発明を構成することも当然にできる。また、上記第1~5実施形態において、ギア付きヒンジで構成される第1~第7ヒンジ部31C~18Cを、通常のヒンジ(ギアなしヒンジ)に変更することもできる。
【符号の説明】
【0098】
11 折り畳みルーム
12 底部
14 頂壁部
15 側壁部
16 内部空間
17 床下空間
18 底壁部
21 アクチュエータユニット
31 第1側壁部
32 第2側壁部
P1 第1位置
P2 第2位置
P3 第3位置
P4 第4位置
51 第1アクチュエータ
52 第2アクチュエータ
61 エレベーターユニット
71 ハンドリフター
81 取付部
82 軸部
91 仮設クレーン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21