(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025002264
(43)【公開日】2025-01-09
(54)【発明の名称】配送システム
(51)【国際特許分類】
B65G 61/00 20060101AFI20241226BHJP
B65G 1/137 20060101ALI20241226BHJP
【FI】
B65G61/00 550
B65G1/137 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023102317
(22)【出願日】2023-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】椿本 樹矢
(72)【発明者】
【氏名】小池 宇織
(72)【発明者】
【氏名】糸澤 祐太
(72)【発明者】
【氏名】泉 貴士
(72)【発明者】
【氏名】駒嶺 聡史
【テーマコード(参考)】
3F522
【Fターム(参考)】
3F522AA01
3F522BB01
3F522BB23
3F522BB35
3F522CC05
3F522CC07
3F522FF03
3F522FF06
3F522FF17
3F522FF23
3F522FF27
3F522FF33
3F522FF37
3F522GG07
3F522GG25
3F522GG44
3F522GG47
3F522JJ02
3F522KK05
3F522LL10
3F522LL11
(57)【要約】
【課題】効率良く荷物を配送することができる配送システムを提供すること。
【解決手段】本開示にかかる配送システム1は、格納場所に荷物を配送する移動ロボットと、格納場所の格納スペースに配置される容器と、荷物を収容している容器を格納スペースに受け渡す、又は格納スペースから前記荷物を収容している容器を受け取る移載機構と、格納スペースの空き状況に応じて、空きスペースを増やす動作を行う手段と、を備えている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
格納場所に荷物を配送する移動ロボットと、
前記格納場所の格納スペースに配置される容器と、
前記荷物を収容している容器を前記格納スペースに受け渡す、又は前記格納スペースから前記荷物を収容している前記容器を受け取る移載機構と、
前記格納スペースの空き状況に応じて、空きスペースを増やす動作を行う手段と、を備えた配送システム。
【請求項2】
前記格納スペースに空きスペースがない場合、又は前記格納スペースに空きスペースがなくなることが予測される場合に、前記手段が、前記空きスペースを増やす動作を行う請求項1に記載の配送システム。
【請求項3】
前記手段は、前記容器に収納されている前記荷物を他の収容済み容器に移すこと、又は前記空き容器を回収することで、空きスペースを増やす請求項1、又は2に記載の配送システム。
【請求項4】
前記手段が、前記格納場所に設けられたマニピュレータであり、前記マニピュレータが前記容器に収容された荷物を他の収容済み容器に移動させることで、空きスペースを増やす請求項3に記載の配送システム。
【請求項5】
前記移載機構が前記格納場所の最後の空きスペースに前記荷物を収容する容器を移載した場合に、前記移動ロボットに設けられたマニピュレータが前記容器に配置された荷物を他の収容済み容器に移動させる又は前記空き容器を回収する請求項3に記載の配送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、AGVなどの車両で荷物をエンドユーザーのロッカー(例えば、スマートポスト)に配送する(ラストワンマイル配送)際に荷物をロッカーに入れる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ロッカーが満杯であると、荷物にロッカーに入れることができない。したがって、ロッカーに空きが生じた後に、車両が荷物を再配送する必要が生じてしまう。このため、荷物を効率よく配送することができないおそれがある。
【0005】
本発明は、以上の背景に鑑みなされたものであり、効率良く荷物を配送することができる配送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る配送システムは、格納場所に荷物を配送する配送ロボットと、前記格納場所の格納スペースに配置される容器と、前記荷物を収容している容器を前記格納スペースに受け渡す、又は前記格納スペースから前記荷物を収容している前記容器を受け取る移載機構と、前記格納スペースの空き状況に応じて、空きスペースを増やす動作を行う手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、効率良く荷物を配送することができる配送システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】配送システムの構成を説明する機能ブロック図である。
【
図3】動作例1、2を説明するための模式図である。
【
図5】動作例4、5を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、
図1を参照して、配送システムとその方法について説明する。
図1は、配送システム1の概要を説明する概略斜視図である。配送システム1は、物流におけるラストワンマイル、すなわち、最終拠点からエンドユーザ(単にユーザともいう)への物流サービスに用いられる。例えば、配送システム1は、各ユーザの部屋や通路を有する施設で利用される。具体的には、配送システム1は、マンションなどの集合住宅、又はホテルなどの宿泊施設で利用される。
【0010】
配送システム1は、配送ロボット10と収納棚30を備える。1又は複数の配送ロボット10は、施設の通路を走行する。収納棚30は、例えば、ユーザが住む集合住宅の各部屋に設置される。収納棚30は、集合住宅の各住居に設置されている。収納棚30は、物品20を格納する格納場所となる。例えば、収納棚30はスマートポストや宅配ロッカーである。配送ロボット10がユーザに物品を手渡しする必要はなく、配送を完了することができる。例えば、ユーザがインターネット通販などで物品20を購入した場合、配送ロボット10が受取人であるユーザ(購入者)に物品20を配送する。
【0011】
配送ロボット10は、複数の収納棚30の前に順次移動し停車して、物品20を収納棚30に収納する。これは、配達とも呼ばれ得る。また、配送ロボット10は、複数の収納棚30の前に順次移動し停車し、収納棚30から物品20を取り出し、取り出した物品20を搬送する。これは、集荷とも呼ばれ得る。配送ロボット10(又は収納棚30)は、収納棚30との間で物品を受け渡しための機構を備える。配送ロボット10は、各種センサを備え、収納棚30、通路の障害物を検知し、自律的に移動可能である。配送ロボット10は、既知の物体認識技術を利用することができる。
【0012】
配送ロボット10は物品20を容器35に載せた状態で、物品20を配送する。容器35は、物品20が載せられるトレイである。つまり、配送ロボット10は容器35と共に物品20を収納棚30に移す。また、配送ロボット10は容器35と共に物品20を収納棚30から取り出す。なお、物品20が載せられた容器35を収容済み容器とし、物品が載せられてない容器35を空き容器とも称する。
【0013】
収納棚30は、物品20を収容可能な多段の棚板を含み得る。収納棚30は、例えば、建物や集合住宅の各部屋の通路側に設置されている。あるいは、収納棚は集合住宅の玄関周辺に配置されていてもよい。配送ロボット10は、通路側から収納棚30内にアクセスして、物品20を出し入れする。住民(ユーザ)が部屋の中から収納棚30内にアクセスし、物品20を出し入れする。収納棚30は、通路側及び部屋側に施錠可能な扉を備えていてもよい。例えば、ユーザUや配送ロボット10が、扉の施錠/解錠するようにしてもよい。これにより、物品20の盗難などを防ぐことができる。配送ロボット10は、扉の開閉を制御してもよい。
【0014】
収納棚30は1つ以上の格納スペース33を有している。収納棚30の両側の側面にガイドレール32が設けられている。ガイドレール32は、収納棚30の奥行き方向に沿って設けられている。ガイドレール32は容器35の両端を支持する。もちろん、容器35を支持する構成はガイドレール32に限らず、棚板、フック、又はガイド溝であってもよい。物品20は購入品が梱包された段ボール箱等である。格納スペース33は、物品20を載せた容器35を収容することができる。ここでは、収納棚30に三対のガイドレール32が設けられているため、収納棚30が、3段の格納スペース33に分けられている。それぞれの格納スペース33には、容器35とともに物品20が格納されうる。容器35が格納されていない格納スペース33を空きスペースとも称する。
【0015】
配送ロボット10は、物品20が載せられている容器35を格納スペース33に移載する。例えば、容器35の両端のつば部分がガイドレール32に載っている状態で、配送ロボット10は、容器35を収納棚30の奥行き方向にスライドさせる。これにより、配送ロボット10が、物品20を収納棚30の格納スペース33に移載することができる。ユーザは容器35から物品20のみを取り出す。容器35を用いることで、様々なサイズの物品20を容易に移載することができる。また、配送ロボット10は、物品20を集荷する場合、物品20が載せられている容器35を格納スペース33から取り出す。配送ロボット10は、物品20が載せられていない空き容器35を回収することができる。
【0016】
図1に示すように、配送ロボット10は、複数の車輪13を備えたベース部11(これらは、合わせて台車部130とも称され得る)と、ベース部11上に設けられ、多数の物品20を収納可能な収納部12と、ベース部11上に設けられ、物品20を載せた載置台15と、を備える。ベース部11は、略矩形の細長い板状部材であり得る。また、配送ロボット10の任意の場所(本例ではベース部11)には、配送ロボット10の全方位方向の物体等を検知又は撮影し、道路上の障害物の位置や収納棚の位置等を検知する1つ以上のセンサ18が設けられている。センサ18は、例えば、カメラやLiDAR(Light Detection And Ranging)であり得る。さらに、センサ18は、配送ロボット10や収納棚30の周辺に人がいることを検知するために設けられる。センサ18は、収納棚30の内部を撮像するカメラを有していてもよい。
【0017】
また、配送ロボット10は、配送ロボット10以外に設置されたセンサ218(
図2参照)からのデータを利用してもよい。センサ218は、施設に設置された監視カメラなどである。あるいは、施設において、2台以上のロボットが利用されている場合、センサ218は、他のロボットや収納棚30に設置されていてもよい。配送ロボット10は、無線ネットワークを介して、センサ218からのデータを受信する。
【0018】
載置台15は、収納部12から取り出された1つの物品20を載せて、当該物品20を、収納棚30の目的の一の格納スペース33に格納するための機構を備えている。また、載置台15は、鉛直方向に沿って昇降可能で、水平方向軸に伸縮可能な伸縮アーム(図示せず)を備えている。伸縮アームは、前後左右に移動可能に構成される。いくつかの実施形態では、載置台15は、鉛直軸周りに回転可能に構成され得る。また、載置台15は、物品20を載せて全方位(360°)に移動可能に構成され得る。ただし、
図1に示すように、ベース部11の片側には、収納部12が配置されているため、載置台15は、収納部12のある方向(本明細書では背面側とも呼ばれる)には移動できない。
【0019】
なお、配送システム1には、配送ロボット10の走行を制御する管理サーバ500(
図2参照)が備えられていてもよい。この場合、管理サーバ500は、配送ロボット10とネットワークを介して接続された制御部100(
図2参照)を備える。他の実施形態では、管理サーバの制御部と、配送ロボットの制御部が機能を分散して本開示を実現することができる。管理サーバ500が配送先や配送順を決定して、その結果を示すデータを配送ロボット10に送信してもよい。
【0020】
図2は、配送システム1の機能を説明するブロック図である。配送システム1は、制御部100を備えている。制御部100は、配送ロボット10又は管理サーバ500などに設けられうる。制御部100は、有線又は無線ネットワークで接続されたセンサ18、218からのセンサ信号を受け付けて、台車部130、昇降部151、および伸縮アーム152など配送ロボットを含む配送システムの通常動作を制御する。いくつかの実施形態では、制御部100は、収納棚前面の扉やその内部のマニピュレータの動作を制御することができる。
【0021】
台車部130は、ベース部11と、ベース部11に回転可能に設けられた駆動車輪13(
図1参照)と、各駆動車輪13を回転駆動するモータ1301とを有している。各モータ1301は、減速機などを介して、各駆動車輪13を回転させる。各モータ1301は、制御部100からの制御信号に応じて、各駆動車輪13を回転させる。各モータ1301は、制御部100からの制御信号に応じて、各駆動車輪13を回転及び停止させることで、ベース部11を任意の位置に移動及び停車することができる。なお、上記台車部130の構成は一例であり、これに限定されない。例えば、台車部130の駆動車輪および従動車輪の数は任意でよく、ベース部11を任意の位置に移動させることができれば任意の構成が適用可能である。
【0022】
昇降部151が鉛直軸に沿って伸縮することで、載置台15が昇降する。載置台15が昇降することで、異なる高さの格納スペース33に対する物品20の受け渡しが可能となる。昇降部151は、回転装置1511を備える。伸縮アーム152は、載置台15に取り付けられている。伸縮アーム152は、アーム本体および駆動装置1521を備えている。駆動装置1521は、載置台15の内部(不図示)に取り付けられており、アーム本体を水平方向に移動させる。駆動装置1521は、アーム本体を軸周りに回転させる機構をさらに有していてもよい。
【0023】
昇降部151が空きスペースの高さに載置台15を昇降した後、伸縮アーム152が容器35をガイドレール32に沿ってスライドさせる。これにより、配送ロボット10が物品20及び容器35を空きスペースに移載することができる。昇降部151が所望の格納スペース33の高さに載置台15を昇降した後、伸縮アーム152が格納スペース33から容器35を取り出す。これにより、配送ロボット10が容器35及び物品20を格納スペース33から取り出すことができる。
【0024】
センサ18は、台車部130等を含む配送ロボット10の任意の場所に設けられている。センサ18は、例えば、カメラであり、撮影画像を取得することができる。センサ18は、例えば、LiDAR(Light Detection And Ranging)であり得る。センサ18は、通路、障害物、人、収納棚等の存在を検知することができる。センサ18は、台車部130の移動を検出する移動検出センサや、載置台15の高さを検出する高さ検出センサを含んでもよい。
【0025】
配送ロボット10は、配送ロボット10以外に設置されたセンサ218からのデータを利用してもよい。センサ218は、収納棚30内、施設のエレベータ、階段、通路等に設置された監視カメラなどである。あるいは、施設において、2台以上のロボットが利用されている場合、センサ218は、他のロボットに設置されていてもよい。配送ロボット10は、無線ネットワークを介して、センサ218からのデータを受信する。
【0026】
制御部100は、台車部130、昇降部151、および伸縮アーム152など配送ロボットを含む配送システムの通常動作を制御する。制御部100は、台車部130の各モータ1301に制御信号を送信することで、各駆動車輪13の回転を制御し、ベース部11を任意の位置に移動させることができる。制御部100は、昇降部151の回転装置1511に対して制御信号を送信することで、載置台15の高さ位置を変更することができる。また、制御部100は、伸縮アーム152の駆動装置1521に制御信号を送信することでアーム本体の水平位置を変更できる。
【0027】
制御部100は、駆動車輪13に設けられた回転センサにより検出された駆動車輪13の回転情報などに基づいて、フィードバック制御、ロバスト制御等の周知の制御を行うことで、ベース部11の移動を制御してもよい。制御部100は、ベース部11に設けられたカメラや超音波センサなどの距離センサにより検出された距離情報、移動環境の地図情報などの情報に基づいて、台車部130、昇降部151、および伸縮アーム152の動作を制御してもよい。制御部100は、カメラにより検知された障害物の位置及び収納棚の位置に基づいて、収納棚に対する配送ロボットの停止位置及び停止向きを決定する。
【0028】
制御部100は、例えば、制御処理、演算処理等を行うCPU(Central Processing Unit)101によって実行される制御プログラム、演算プログラム等が記憶されたROM(Read Only Memory)からなるメモリ102、外部と信号の入出力を行うインタフェース部(I/F)103などからなるマイクロコンピュータを備える。CPU101、メモリ102、およびインタフェース部103は、データバスなどを介して相互に接続されている。
【0029】
判定部19は、センサ18又はセンサ218からのセンサデータ等に基づいて、収納棚内30の空き状況を判定することができる。例えば、判定部19は、収納棚30内を撮像した撮像画像に基づいて、格納場所に空きがある否かを判定する。1つ以上の格納スペース33に容器35がない場合、判定部19は空きがあると判定する。全ての格納スペース33に容器35がある場合、判定部19は空きがないと判定する。
【0030】
空き状況を判定するためのセンサデータは撮像画像に限られるものではない。センサ18、又は218としては、重量センサ、歪センサ、接触センサ、光センサ、赤外線センサ等の種々のセンサを用いることができる。センサデータを用いて、判定部19は格納スペース33毎に、容器35、及び物品20の有無をそれぞれ検知することができる。例えば、棚板やガイドレール32などに設けられた重量センサのセンサデータに基づいて判定部19が空き状況を判定してもよい。あるいは、収納棚30内に設けられた光センサや赤外線センサのセンサデータを用いて、空き状況を判定してもよい。
【0031】
さらに、判定部19は、配送予定及び集荷予定等に基づいて、空き状況を予測してもよい。例えば、配送が予定されている収納棚30については、配送後、受取人であるユーザが物品20を取り出すまで、空きスペースが減少する。また、集荷が予定されている収納棚30については、配送依頼者であるユーザが収納棚30に物品20を置いた後、配送ロボット10が物品20を集荷するまで、空きスペースが減少する。よって、配送や集荷のスケジュール情報に基づいて、判定部19が空き状況を予測してもよい。このようにすることで、判定部19は将来の空き状況の変動を高い精度で予測することができる。
【0032】
判定部19における処理の少なくとも一部は、管理サーバ500又は制御部100のプロセッサが行ってもよい。例えば、判定部19が配送ロボット10に搭載されているとする。配送ロボット10が、上位の管理サーバ500から集荷及び配送のスケジュール情報を受信する。判定部19は、集荷予定時間や配送予定時間等に基づいて、格納スペースの空き状況を予測することができる。
【0033】
マニピュレータ400は、収納棚30に空きスペースを増やす動作を行う手段の一例である。マニピュレータ400は物品20を保持して移載するロボットアーム機構を有していてもよい。マニピュレータ400は、収納棚30内に設置されていてもよく、配送ロボット10に設置されていてもよい。配送ロボット10以外の移動ロボットにマニピュレータ400が搭載されていてもよい。また、伸縮アーム152が空きスペースを増やすマニピュレータ400の少なくとも一部として機能してもよい。また、配送ロボット10は、伸縮アーム152とは別に、空きスペースを増やすマニピュレータ400を有していてもよい。
【0034】
判定部19で判定された空き状況に応じて、マニピュレータ400が空きスペースを増やす動作を行う。例えば、収納棚30に空きスペースがなくなった場合、マニピュレータ400が空きスペースを増やす。あるいは、収納棚30に空きスペースがなくなることが予測される場合、マニピュレータ400が空きスペースを増やす。マニピュレータ400が1つ以上の格納スペース33を空きスペースに増やす動作を行うことができる。
【0035】
例えは、配送ロボット10が収納棚30に物品20を移載する場合、判定部19は撮像画像に基づいて空きスペースがあるか否かを判定する。そして、空きスペースがない場合、マニピュレータ400が空きスペースを増やす動作をした後に、配送ロボット10が物品20及び容器35を移載する。あるいは、配送ロボット10が物品20及び容器35を最後の空きスペースに移載した後、マニピュレータ400が次の物品20を移載するために空きスペースを増やす動作を行う。格納スペース33の最後の空きスペースに、物品20を配送することが予約された場合に、マニピュレータ400が空きスペースを増やす動作を行うようにしてもよい。
【0036】
空きスペースを増やす動作は、物品20のソーティング又は容器35を回収する動作等である。物品20のソーティングは収納棚30内のある容器35にある物品20を別の容器35に移動する動作である。つまり、ソーティング動作は、2つ以上の物品20を1つの容器35にまとめるように、収納棚30内で物品20を移動する動作を示す。あるいは、空きスペースを増やす動作は、空き容器又は物品がある容器を回収する動作である。このようにすることで、空きスペースがない状況を解消することができるため、システムが物品20を効率よく配送することができる。以下、空きスペースを増やす動作のいくつかの例について説明する。
【0037】
動作例1
図3は、空きスペースを増やす動作例を説明するための模式図であり、収納棚30の内部構成を模式的に示す側面図である。
図3では、収納棚30には、上から順にガイドレール32a、32b、32cが設けられている。よって、収納棚30には、上から順に、格納スペース33a、33b、33cが設けられている。動作例1では、配送ロボット10が物品20を移載した後に、1つ以上の空き容器を回収している。
【0038】
格納スペース33aには、物品20aを収容した容器35aがあり。配送ロボット10が容器35b及び物品20bを格納スペース33bに移載するものとする。格納スペース33cには物品が載せられていない容器35cがある。配送ロボット10が格納スペース33bに物品20b及び容器35bを移載すると、配送ロボット10は、空き容器である容器35cを格納スペース33cから取り出す。あるいは、配送ロボット10は容器35cを回収した後に、容器35b及び物品20bを格納スペース33bに移載してもよい。なお、
図3では、格納スペース33cから取り出された容器35cが破線で示されている。これにより、格納スペース33cが次の物品20を格納することができる空きスペースとなる。よって、次の配送ロボット10が、物品20を載せた容器35を格納スペース33cに移載することができる。
【0039】
動作例2
図3を用いて動作例2について説明する。動作例2では、マニピュレータ400が収納棚30内に配置されている。収納棚30は棚板36a~36cを有している。棚板36a~36cの上に、容器35a~35cがそれぞれ配置されている。容器35a~35cは、それぞれ物品20a~20cを収容した収容済み容器となっている。マニピュレータ400は、格納スペース33にある物品20bを別の格納スペース33bに移動させる。マニピュレータ400が容器35bに載っている物品20bを容器35cに移載する。
【0040】
容器35bが複数の物品20a、20bを収容しているため、容器35cが空き容器となる。したがって、動作例1と同様に、配送ロボット10が収納棚30にある空き容器35cを回収することができる。この場合、配送ロボット10は、収納棚30内の物品20を別の容器に移載するマニピュレータを有していなくてもよい。収納棚30内にマニピュレータ400が物品20bを容器35cに移し替えると、マニピュレータ400などが配送ロボット10又はサーバに回収するための指令を送信する。例えば、マニピュレータ400は、配送ロボット10に対して、直接又は管理サーバ500を介して、指令を含む無線信号を送信する。そして、収納棚30の近くを移動する配送ロボット10が容器35の回収のために、収納棚30に立ち寄る。これにより、効率よく、配送することができる。
【0041】
なお、マニピュレータ400が空き容器35bの上に、別の容器35a又は容器35cを積み重ねることができるようになっていてもよい。つまり。複数の容器35が積み重ね可能になっている。1つの格納スペース33において、マニピュレータ400が、空き容器35の上に、別の容器35を重ねて置くことができる。この場合、配送ロボット10に容器35を回収するための指令を送信する必要がなくなる。つまり、次に集荷または配送ために、収納棚30に到着した配送ロボット10が空き容器を回収すればよい。よって、より効率良く配送することができる。
【0042】
動作例3
図4を用いて、動作例3について説明する。
図4は空きスペースを増やす動作例を説明するための模式図であり、収納棚30の内部構成を模式的に示す側面図である。動作例3では、配送ロボット10が最後の空きスペースに物品20を移載したときに、当該配送ロボット10が空き容器を回収できない状態となっている。例えば、スペースの制限から収納部12には、搭載可能な容器の数が決まっている。そして、収納部12には容器が満載さているため、空きがなく、新たに容器を35受け取ることができなくなっている。あるいは、配送ロボット10が、物品20を他の容器35に移すためのマニピュレータ400を有していないとする。あるいは、ユーザが最後の空きスペースに集荷するための物品20を載せたとする。
【0043】
このような場合、最後の空きスペースに容器35及び物品20が移載されると、配送ロボット10が他の配送ロボット10Bに、収納棚30に移動するように指令を送信する。配送ロボット10Bがマニピュレータ400を有しており、配送ロボット10Bの収納部12に空きがある。よって、他の収納棚30に向かっている配送ロボット10Bが指令に示された収納棚30に移動する。配送ロボット10Bのマニピュレータ400が物品20を他の容器に移載する。
【0044】
例えば、配送ロボット10が物品20を移載すると、当該配送ロボット10のセンサ18が収納棚30内部を撮像する。あるいは、ユーザが集荷すべき物品20を収納棚30に配置すると、収納棚30内に設けられたセンサ218が収納棚30内を撮像する。判定部19がその撮像画像に基づいて、空きスペースがないと判定する。すると、配送ロボット10、センサ218、管理サーバ500等が、マニピュレータ400を有する配送ロボット10Bに対して、収納棚30に移動するように指令を送信する。
【0045】
マニピュレータ400を有する配送ロボット10Bは、当該収納棚30に移動する。収納棚30に移動した配送ロボット10Bが空きスペースを増やすための動作を行う。つまり、配送ロボット10Bが容器35に収納されている物品20を他の容器35に移すこと、又は空き容器35を回収することで、空きスペースを増やす。ここでは、動作例3-1に示すように、配送ロボット10Bのマニピュレータ400が物品20bを容器35bから容器35cに移し替える。容器35cに物品20b、20cをまとめることで、容器35bが空き容器になるため、配送ロボット10Bが容器35bを回収する。
【0046】
このようにすることで、空きスペースがない状況を解消することができるため、配送効率を向上することができる。さらに、全ての配送ロボット10に、マニピュレータ400に設ける必要がなくなる。つまり、配送システム1が複数の配送ロボット10を運用している場合において、一部の配送ロボット10のみがマニピュレータ400を有していればよい。よって、マニピュレータ付きの配送ロボット10の数を減らすことができるため、導入コストを低減することができる。
【0047】
動作例4
動作例4では、配送ロボット10が空きスペースを増やすために、物品20を載せた容器35を収納棚30から離れた場所に搬送している。例えば、配送ロボット10は、物品20を容器に移すためのマニピュレータ400を有していないとする。また、収納棚30内にもマニピュレータ400が設けられていないとする。全ての格納スペース33に、物品20を載せた容器35が収納されている場合、配送ロボット10は、空きスペースを増やす動作を行うことができない。
【0048】
図5には、動作例4を説明するための上面図が示されている。配送ロボット10は、2つ以上の容器35を物品20とともに取り出す。そして、配送ロボット10は、2つ以上の容器35及び物品20を収納部12に収納して、作業場所Wに移動する。作業場所Wは、物品20を一時的に保管する保管場所である。作業場所Wには、マニピュレータ400が設けられている。マニピュレータ400は、2つの物品20を1つの容器35にまとめるためのロボットアーム機構を有している。あるいは、作業場所Wには、物品20を移し替える作業員などがいてもよい。マニピュレータ400又は作業員等が、2つ以上の物品20を1つの容器35にまとめる。そして、配送ロボット10は、2つ以上の物品20が載せられた容器35を収納部12に収容して、収納棚30まで移動する。配送ロボット10が1つの容器35を収納棚30に移載する。
【0049】
ここで容器35には2つの物品20が載せられている。よって、収納棚30は、3つの物品20を収容した状態であり、収納棚30の1つの格納スペース33が空きスペースとなる。このようにすることで、空きスペースがない状況を解消することができるため、配送効率を向上することができる。さらに、全ての配送ロボット10に、マニピュレータ400に設ける必要がなくなる。よって、マニピュレータ付きの配送ロボット10の数を減らすことができるため、導入コストを低減することができる。例えば、1フロアに複数の収納棚30がある場合、1フロアに1つの作業場所を設けておけばよい。
【0050】
動作例5
図5を用いて、動作例5について説明する。動作例5では、収納棚30を使用するユーザに応じて、動作の優先度が設定されている。例えば、ユーザUAが収納棚30Aを使用し、ユーザUBが収納棚30Bを使用するとする。ユーザUAは収納棚30Aのある部屋に住んでいる居住者であり、ユーザUBは収納棚30Bのある部屋に住んでいる居住者である。ユーザUAは不在期間が長いため、収納棚30内に物品20を取り出す頻度が低い。一方、ユーザUBは在宅期間が短いため、収納棚30内に物品20を取り出す頻度が高い。この場合、収納棚30Aに対する優先度を収納棚30Bに対する優先度よりも高くする。したがって、配送ロボット10は、収納棚30Aよりも前に収納棚30Bに移動して、空きスペースを増やす動作を行う。つまり、配送ロボット10は、収納棚30Bに対して、空きスペースを増やす動作を行った後、収納棚30Aに対して空きスペースを増やす動作を行う。
【0051】
制御部100はメモリ102などに収納棚30とユーザを予め紐づけたユーザデータを格納しておく。制御部100は、ユーザに応じた優先度を設定して、メモリ102に格納しておく。これにより、収納棚30に空きスペースが無い状態で、配送ロボット10が物品20を配送することを防ぐことができる。よって、配送システム1が、より効率良く配送を行うことができる。
【0052】
また、ユーザに対する動作の優先度は、ユーザの各種情報を用いて設定することが可能である。例えば、ユーザの在宅、不在を示す情報に基づいて、動作優先度を設定することができる。在宅中のユーザについては、配送後、ユーザが直ぐに物品を取り出すことができる。よって、動作の優先度が低く設定される。また、不在中のユーザについては、配送後、ユーザが直ぐに物品20を取り出すことができない。よって、次に物品が配送された場合、物品を格納することができなくなるおそれがあるため、優先度が高く設定される。このように、在宅、不在を示す情報や、不在時間、在宅時間などを示す情報に応じて、優先度が設定される。あるいは、ユーザの性格や生活パターンに応じて、優先度が設定される。
【0053】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。さらに、本開示は、配送システム1における制御処理の一部又は全部を、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサにコンピュータプログラムを実行させることにより実現することが可能である。例えば、制御部100等は、例えば、コンピュータの中央演算処理装置等のプログラムを実行可能な装置として実装可能である。そして、各種機能はプログラムにより実現することもできる。
【符号の説明】
【0054】
10 配送ロボット
20 物品(荷物)
30 収納棚(格納場所)
33 格納スペース
35 容器
400 マニピュレータ