(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025022671
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】撮像モジュール、内視鏡、および、撮像モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/04 20060101AFI20250206BHJP
【FI】
A61B1/04 530
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023201870
(22)【出願日】2023-11-29
(31)【優先権主張番号】63/530,538
(32)【優先日】2023-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 七生
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF45
4C161JJ03
4C161JJ06
4C161LL02
4C161NN01
4C161PP08
4C161UU03
(57)【要約】
【課題】信頼性が高く、かつ、製造が容易な撮像モジュール1を提供する。
【解決手段】
撮像モジュール1は、裏面10SBに外部電極11が配設されたイメージャー10と、第1の主面20SAに接合電極21が配設されており、第2の主面20SBは凹H20の底面であり、前記凹H20の第1の壁22Aに切り欠きC20がある配線板20と、前記第2の主面20SBに実装されている電子部品50と、前記外部電極11と前記接合電極21とを接合している半田40と、前記裏面10SBと前記第1の主面20SAとの間に配設されている第1の樹脂30Aと、前記切り欠きC20に配設されている第2の樹脂30Bと、前記凹H20に配設されている、第3の樹脂30Cと、を具備し、前記第1の樹脂30Aと前記第2の樹脂30Bと前記第3の樹脂30Cとは、間に界面を有していない一体の同一の樹脂30である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光面と、前記受光面の反対側の裏面と、を有し、イメージャーを含み、前記裏面に複数の外部電極が配設された半導体パッケージと、
第1の主面と、第2の主面と、を有し、前記第1の主面に複数の接合電極が配設されており、前記第2の主面は、複数の壁に囲まれた凹の底面であり、前記複数の壁のうちの第1の壁に前記第1の主面に連通する切り欠きがある配線板と、
前記第2の主面に実装されている複数の電子部品と、
前記複数の外部電極のそれぞれと、前記複数の接合電極のそれぞれと、をそれぞれが接合している複数の接合部材と、
前記裏面と前記第1の主面との間に配設されている第1の樹脂と、
前記切り欠きに配設されている第2の樹脂と、
前記凹に配設されている第3の樹脂と、を具備し、
前記第1の樹脂と前記第2の樹脂と前記第3の樹脂とは、間に界面を有していない一体の同一の樹脂であることを特徴とする撮像モジュール。
【請求項2】
前記第2の主面は、前記第1の主面に直交する側面であることを特徴とする請求項1に記載の撮像モジュール。
【請求項3】
前記配線板は、複数の配線層と複数の絶縁層とが積層された積層配線板であり、
前記複数の絶縁層のうちの第1の絶縁層によって、前記複数の壁は構成されており、
前記複数の配線層のうちの第1の配線層によって、前記第2の主面は構成されていることを特徴とする請求項1に記載の撮像モジュール。
【請求項4】
前記切り欠きの深さは、前記第1の絶縁層の厚さと同じであることを特徴とする請求項3に記載の撮像モジュール。
【請求項5】
前記切り欠きは、前記第1の壁の端に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の撮像モジュール。
【請求項6】
前記裏面と前記第1の主面との間の第1の間隔、および、前記切り欠きの幅は、0.5mm未満であることを特徴とする請求項1に記載の撮像モジュール。
【請求項7】
前記切り欠きの深さは、前記複数の接合電極のうちの前記切り欠きに最も近接している接合電極の中央から前記第1の壁の上面までの距離と、同じであることを特徴とする請求項1に記載の撮像モジュール。
【請求項8】
前記第2の主面は、前記第1の主面の反対側の後面であることを特徴とする請求項1に記載の撮像モジュール。
【請求項9】
挿入部の先端部に撮像モジュールを有し、
前記撮像モジュールは、
受光面と、前記受光面の反対側の裏面と、を有し、イメージャーを含み、前記裏面に複数の外部電極が配設された半導体パッケージと、
第1の主面と、第2の主面と、を有し、前記第1の主面に複数の接合電極が配設されており、前記第2の主面は、複数の壁に囲まれた凹の底面であり、前記複数の壁のうちの第1の壁に前記第1の主面に連通する切り欠きがある配線板と、
前記第2の主面に実装されている複数の電子部品と、
前記複数の外部電極のそれぞれと、前記複数の接合電極のそれぞれと、をそれぞれが接合している複数の接合部材と、
前記裏面と前記第1の主面との間に配設されている第1の樹脂と、
前記切り欠きに配設されている第2の樹脂と、
前記凹に配設されている第3の樹脂と、を具備し、
前記第1の樹脂と前記第2の樹脂と前記第3の樹脂とは、間に界面を有していない一体の同一の樹脂であることを特徴とする内視鏡。
【請求項10】
受光面と、前記受光面の反対側の裏面とを有し、イメージャーを含み、前記裏面に複数の外部電極を有する半導体パッケージと、
第1の主面と、第2の主面と、を有し、前記第1の主面に複数の接合電極が配設されており、前記第2の主面は、複数の壁に囲まれた凹の底面であり、前記第2の主面に複数の電子部品が実装されており、前記複数の壁のうち第1の壁に前記第1の主面に連通している切り欠きがある配線板と、を作製し、
複数の外部電極のそれぞれと複数の接合電極のそれぞれとを、複数の接合部材のそれぞれを用いて接合し、
前記切り欠き、または、前記凹から、液体状の樹脂を注入し、前記裏面と前記第1の主面との間、前記切り欠き、および、前記凹に広がった前記樹脂を硬化処理することを特徴とする撮像モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品が配線板に実装された撮像モジュール、電子部品が配線板に実装された撮像モジュールを含む内視鏡、および、電子部品が配線板に実装された撮像モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2022/244133号には、イメージャーと、イメージャーと接合された、額縁状の土手を有する立体配線板と、土手の中に収容された複数の電子部品と、土手の中に配設されたアンダーフィル樹脂と、を具備する撮像モジュールが開示されている。すなわち、立体配線板は、側面に額縁状の土手を有し、土手によって形成されている凹の底面に複数の電子部品が実装されている。土手は、アンダーフィル樹脂が周囲に広がることを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
国際公開第2022/244133号の撮像モジュールでは、土手には、アンダーフィル樹脂を土手の中に充填するためのくぼみである切り欠きが設けられている。なお、アンダーフィル樹脂は、イメージャーと立体配線板との間の接合部に配設される封止樹脂とは区別されている。
【0005】
本発明は、信頼性が高く、かつ、製造が容易な撮像モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の撮像モジュールは、受光面と、前記受光面の反対側の裏面と、を有し、イメージャーを含み、前記裏面に複数の外部電極が配設された半導体パッケージと、第1の主面と、第2の主面と、を有し、前記第1の主面に複数の接合電極が配設されており、前記第2の主面は、複数の壁に囲まれた凹の底面であり、前記複数の壁のうちの第1の壁に前記第1の主面に連通する切り欠きがある配線板と、前記第2の主面に実装されている複数の電子部品と、前記複数の外部電極のそれぞれと、前記複数の接合電極のそれぞれと、をそれぞれが接合している複数の接合部材と、前記裏面と前記第1の主面との間に配設されている第1の樹脂と、前記切り欠きに配設されている第2の樹脂と、前記凹に配設されている第3の樹脂と、を具備し、前記第1の樹脂と前記第2の樹脂と前記第3の樹脂とは、間に界面を有していない一体の同一の樹脂である。
【0007】
実施形態の内視鏡は、挿入部の先端部に撮像モジュールを有し、前記撮像モジュールは、受光面と、前記受光面の反対側の裏面と、を有し、イメージャーを含み、前記裏面に複数の外部電極が配設された半導体パッケージと、第1の主面と、第2の主面と、を有し、前記第1の主面に複数の接合電極が配設されており、前記第2の主面は、複数の壁に囲まれた凹の底面であり、前記複数の壁のうちの第1の壁に前記第1の主面に連通する切り欠きがある配線板と、前記第2の主面に実装されている複数の電子部品と、前記複数の外部電極のそれぞれと、前記複数の接合電極のそれぞれと、をそれぞれが接合している複数の接合部材と、前記裏面と前記第1の主面との間に配設されている第1の樹脂と、前記切り欠きに配設されている第2の樹脂と、前記凹に配設されている第3の樹脂と、を具備し、前記第1の樹脂と前記第2の樹脂と前記第3の樹脂とは、間に界面を有していない一体の同一の樹脂である。
【0008】
実施形態の撮像モジュールの製造方法は、受光面と、前記受光面の反対側の裏面とを有し、イメージャーを含み、前記裏面に複数の外部電極を有する半導体パッケージと、第1の主面と、第2の主面と、を有し、前記第1の主面に複数の接合電極が配設されており、前記第2の主面は、複数の壁に囲まれた凹の底面であり、前記第2の主面に複数の電子部品が実装されており、前記複数の壁のうち第1の壁に前記第1の主面に連通している切り欠きがある配線板と、を作製し、複数の外部電極のそれぞれと複数の接合電極のそれぞれとを、複数の接合部材のそれぞれを用いて接合し、前記切り欠き、または、前記凹から、液体状の樹脂を注入し、前記裏面と前記第1の主面との間、前記切り欠き、および、前記凹に広がった前記樹脂を硬化処理する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、信頼性が高く、かつ、製造が容易な撮像モジュールが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1実施形態の撮像モジュールの斜視図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の撮像モジュールの断面図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態の撮像モジュールの上面図である。
【
図4A】
図4Aは、第1実施形態の撮像モジュールのイメージャーの裏面の平面図である。
【
図4B】
図4Bは、第1実施形態の撮像モジュールの配線板の第1の主面の平面図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態の撮像モジュールの製造方法のフローチャートである。
【
図6】
図6は、第1実施形態の撮像モジュールの製造方法を説明するための上面図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態の撮像モジュールのイメージャーの裏面の平面図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態の変形例1の撮像モジュールの上面図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態の変形例1の撮像モジュールの配線板の第1の主面の平面図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態の変形例1の撮像モジュールの製造方法を説明するための上面図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態の変形例1の撮像モジュールのイメージャーの裏面の平面図である。
【
図12】
図12は、第2実施形態の撮像モジュールの斜視図である。
【
図13】
図13は、第2実施形態の変形例1の撮像モジュールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1実施形態>
図1、
図2、および、
図3に、本実施形態の撮像モジュール1を示す。撮像モジュール1は、半導体パッケージであるイメージャー10と、配線板20と、樹脂30と、接合部材である半田40と、電子部品50と、ケーブル60と、を具備する。
【0012】
なお、以下の説明において、実施形態に基づく図面は、模式的なものである。それぞれの部分の厚みと幅との関係、それぞれの部分の厚みの比率などは現実のものとは異なる。図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。また、一部の構成要素の図示、符号の付与を省略する。なお、図において、3軸直交座標系のX軸の値が増加する方向を「前」といい、X軸の値が減少する方向を「後」という。Z軸の値が増加する方向を「上」という。
【0013】
イメージャー10は、受光面10SAと、受光面10SAの反対側の裏面10SBと、を有する。裏面10SBには、複数の外部電極11が配設されている。イメージャー10は、光軸O方向の被写体を撮像する、CMOSイメージセンサ、CCDイメージセンサ等のイメージセンサを有する。
【0014】
半導体パッケージは、イメージャー10の受光面10SAにカバーガラスが接着されていてもよい。半導体パッケージは、イメージャー10の裏面に、撮像信号を処理する1以上の半導体素子が積層されており、半導体素子の裏面10SBに外部電極11が配設されていてもよい。
【0015】
配線板20は、第1の主面20SAと、第1の主面20SAに直交する側面である第2の主面20SBとを有する。第1の主面20SAには、複数の接合電極21が配設されている。第2の主面20SBは、額縁状に配置されている複数の壁22に囲まれた凹H20の底面である。額縁状に配置されている4つの壁22のうち、第1の壁22Aには、第1の主面20SAに連通する切り欠きC20がある。切り欠きC20は、第1の壁22Aの端に設けられている。
【0016】
配線板20は、複数の配線層23と複数の絶縁層24とが積層された積層配線板である。例えば、それぞれが、配線層23と絶縁層24とを有するグリーンシートが積層され、焼成されることによって、配線板20は製造される。
【0017】
複数の絶縁層24のうちの最も上の第1の絶縁層24Aが、複数の壁22を構成している。このため、第1の主面20SAに連通している切り欠きC20の深さDC20は、第1の絶縁層24Aの厚さT24と、同じである。
【0018】
複数の電子部品50は、第2の主面20SBに実装されている。複数の配線層23のうち最も上の第1の配線層23Aが第2の主面20SBを構成している。すなわち、電子部品50が半田接合されているランド(不図示)は、第1の配線層23Aによって構成されている。電子部品50は、例えばキャパシタ、インダクタ、ICである。
【0019】
配線板20の後方の、配線層23が露出している側面には、ケーブル60が半田接合されるランド61が配設されている。ランド61は、配線層23によって構成されている。ランドには、例えば、ニッケル層と金層とからなる2層めっき膜が配設されていてもよい。
【0020】
複数の外部電極11のそれぞれと、複数の接合電極21のそれぞれと、は、複数の接合部材のそれぞれによって接合されている。接合部材は、半田40である。
図4Aおよび
図4Bに示すように、複数の外部電極11の配置および間隔G11は、複数の接合電極G21の配置および間隔G21と、対応している。
【0021】
樹脂30は、第1の樹脂30Aと、第2の樹脂30Bと、第3の樹脂30Cと、を有する。第1の樹脂30Aは、イメージャー10の裏面10SBと配線板20の第1の主面20SAとの間に配設されている。半田40による接合部が、第1の樹脂30Aによって封止されているため、撮像モジュール1は信頼性が高い。
【0022】
第2の樹脂30Bは、配線板20の切り欠きC20に配設されている。第3の樹脂30Cは、配線板20の凹H20に配設されている。電子部品50の接合部は第3の樹脂30Cによって封止されているため、撮像モジュール1は信頼性が高い。なお、第3の樹脂30Cは、電子部品50の接合部を覆っていればよく、壁22の上面にまで達していなくてもよい。
【0023】
第1の樹脂30Aと第2の樹脂30Bとは、間に界面を有していない。第2の樹脂30Bと第3の樹脂30Cとは間に界面を有していない。第1の樹脂30Aと、第2の樹脂30Bと、第3の樹脂30Cとは、一体の同一の樹脂30である。言い替えれば、第1の樹脂30Aと第3の樹脂30Cとは、第2の樹脂30Bによってつながっている。
【0024】
樹脂30は、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂またはポリビニル樹脂等の熱硬化性樹脂である。熱硬化性樹脂は、硬化前は液状である。
【0025】
後述するように、第1の樹脂30Aと第2の樹脂30Bと第3の樹脂30Cとは、同時に配設される同一の樹脂であるため、間に気泡が残存することがなく、接合部を隙間なく封止できるため、撮像モジュール1は、信頼性が高く、かつ、製造が容易である。
【0026】
<撮像モジュールの製造方法>
図5のフローチャートにそって撮像モジュールの製造方法を説明する。
【0027】
<ステップS10>半導体パッケージ作製、配線板作製
公知の半導体製造方法によって、それぞれがCMOS受光素子等を有する複数の撮像回路を含む撮像ウエハが作製される。撮像ウエハにガラスウエハが接着される。ガラスウエハが接着された撮像ウエハを切断することによって、受光面10SAと裏面10SBとを有し、裏面10SBに複数の外部電極11を有する半導体パッケージであるイメージャー10が作製される。複数の外部電極11のそれぞれには、半田バンプを構成している半田40が配設されている。
【0028】
複数の配線シートを積層し、焼成することによって、配線板20が作製される。配線シートは、一般的にグリーンシートと呼ばれる未焼成の部材であり、所定の表面配線および貫通配線を有する。配線板20は、複数の樹脂層と複数の配線層とが積層された多層配線板でもよい。配線板20は、成形回路デバイス(MID:Molded Interconnect Device)でもよい。
【0029】
<ステップS20>電子部品実装
配線板20の第2の主面20SBである、壁22に囲まれた凹H20の底面に、複数の電子部品50が実装される。すなわち、第1の配線層23Aのランド(不図示)に電子部品50が半田接合される。
【0030】
<ステップS30>半導体パッケージと配線板とを接合
半導体パッケージであるイメージャー10の裏面10SBの外部電極11と、配線板20の第1の主面20SAの接合電極21とが、半田40を用いて接合される。
【0031】
<ステップS40>樹脂配設
図6に示すように、未硬化で液体の樹脂が、ディスペンサのノズル8から、凹H20に注入される。液体の樹脂30は、粘度(25℃)が、例えば、40Pa・sである。凹H20に注入された液体の樹脂30は、切り欠きC20を経由して、イメージャー10の裏面10SBと配線板20の第1の主面20SAとの間、すなわち、半田40による接合部まで、広がっていく。
【0032】
1箇所から注入された樹脂30が、広がっていくため、イメージャー10の裏面10SBと配線板20の第1の主面20SAとの間の第1の樹脂30Aと、切り欠きC20の第2の樹脂30Bと、凹H20の第3の樹脂30Cと、は、一体の同一の樹脂30からなる。このため、第1の樹脂30Aと、第2の樹脂30Bと、第3の樹脂30Cとは、間に界面を有しておらず、気泡が残存することはない。
【0033】
凹H20に注入された液体の樹脂を効率良く半田40による接合部まで流れ広げるためには、界面張力を用いる。このため、
図6に示すように、イメージャー10の裏面10SBと配線板20の第1の主面20SAとの間の距離である第1の間隔G1、および、切り欠きC20の幅G22は、0.5mm未満であることが好ましい。
【0034】
樹脂30を、より確実に半田40による接合部まで流れ広げるためには、
図7に示すように、切り欠きC20の深さDC20(壁22の高さH22)は、切り欠きC20に最も近接している接合電極21Aの中央から第1の壁22Aの上面22ASAまでの距離L21Aが略同じであることが好ましい。例えば、深さDC20は、距離L21Aの90%超110%未満である。
【0035】
さらに、ノズル8の先端が配置される位置に最も近い電子部品50Aと壁22との距離L1、L2、電子部品50の間隔L3、電子部品50A以外の電子部品50と壁22との距離L4、切り欠きC20の幅G22、切り欠きC20と切り欠きC20に最も近い接合電極21Aとの距離L5、および、接合電極21の間隔G21は、以下の式1を満たすことが好ましい。
【0036】
<式1>
L1、L2≧L3≧L4≧G22≧L5≧G21
【0037】
<ステップS50>樹脂硬化
熱処理が行われ、液状の樹脂30が固体の樹脂30となる。熱処理の初期において、温度が上昇すると、液状の樹脂30の粘度は常温における粘度よりも低下するため、樹脂30は界面張力によって、さらに広がる。
【0038】
<ステップS60>ケーブル接合
配線板20のランド61にケーブル60が接合される。
【0039】
以上の説明のように、本実施形態の撮像モジュールの製造方法は、半導体パッケージであるイメージャー10と配線板20とが接合部材である半田40を用いて接合される。そして、裏面10SBと第1の主面20SAとの間、切り欠きC20、および、凹H20に、樹脂30が配設される。樹脂30の配設においては、凹H20から、液体状の樹脂30が注入される。裏面10SBと第1の主面20SAとの間、前記切り欠きC20、および、凹H20に広がった樹脂30が硬化処理される。
【0040】
本実施形態の撮像モジュールの製造方法によれば、複数の接合部を確実にかつ容易に樹脂封止することができる。すなわち、本実施形態の撮像モジュールの製造方法によれば、信頼性の高い撮像モジュールを容易に製造できる。
【0041】
<第1実施形態の変形例>
第1実施形態の変形例の撮像モジュール1Aは、実施形態の撮像モジュール1に類似しており、撮像モジュール1と同じ効果を有する。このため、以下の説明において、撮像モジュール1の構成と同じ構成には、同じ符号を付し説明は省略する。
【0042】
図8―
図11に示すように、撮像モジュール1Aは、配線板20Aの壁22の切り欠きC20Aの幅G22Aが、撮像モジュール1の切り欠きC20の幅G22よりも大きい。
【0043】
切り欠きC20Aは、第1の壁22Aだけでなく、第1の壁22Aと直交する第2の壁22Bも切り欠いている。
【0044】
図10に示すように、撮像モジュール1Aの製造時に、樹脂30は切り欠きC20Aから注入される。すなわち、切り欠きC20Aにノズル8の先端が配置され、樹脂30が注入される。
【0045】
撮像モジュール1Aでは、切り欠きC20Aと切り欠きC20Aに最も近い接合電極21Aとの距離L5、接合電極21の間隔G21、切り欠きC20Aに最も近い電子部品50Bと壁22との距離L6、電子部品50B以外の電子部品50と壁22との距離L7、は、以下の式2を満たすことが好ましい。
【0046】
<式2>
L5≧G21、L6≧L7
【0047】
<第2実施形態>
第2実施形態の撮像モジュール1Bおよび第2実施形態の変形例の撮像モジュール1Cは、撮像モジュール1、1Aに類似しており、撮像モジュール1、1Aと同じ効果を有する。このため、以下の説明において、撮像モジュール1、1Aの構成と同じ構成には、同じ符号を付し説明は省略する。
【0048】
図12に示す撮像モジュール1Bでは、配線板20Bの電子部品50が実装されている第2の主面20SBは、第1の主面20SAの反対側の後面である。切り欠きC20Bは、第1の主面20SAと連通している。
【0049】
図示しないが、ケーブル60は、壁22の外面のランドに接合される。
【0050】
撮像モジュール1Bは、撮像モジュール1よりも、光軸方向の長さが短く、小型である。
【0051】
<第2実施形態の変形例>
図13に示す撮像モジュール1Cは、撮像モジュール1Aと同じように、切り欠きC20Cが、第1の壁22Aだけでなく、第2の壁22Bまで切り欠いている。
【0052】
<第3実施形態>
図14に示す本実施形態の内視鏡9は、挿入部91と、操作部92と、ユニバーサルコード93と、コネクタ94と、を具備する。
【0053】
細長管形状の挿入部91は、生体の体腔内に挿入される。挿入部91は、先端側から順に先端部91A、湾曲部91B、可撓管91Cが連設されており、全体として可撓性を備えている。先端部91Aは、内部に撮像モジュール1(1A-1C)が配置されている。湾曲部91Bは、湾曲操作を行うための操作部92の湾曲ノブの回動操作に応じて、上下左右方向へと湾曲する。
【0054】
可撓管91Cは、受動的に可撓自在である柔軟性を有する管状部材である。可撓管91Cの内部には、処置具チャンネル、信号線、ファイバー束等が挿通されている。信号線は、先端部91Aの撮像モジュール1(1A-1C)から操作部92を経てユニバーサルコード93へと延設される。ファイバー束は、外部機器である光源装置からの光を先端部91Aの先端面へと導光する。
【0055】
操作部92は、挿入部91の基端部に連設されており、複数の操作部材等を有する。ユニバーサルコード93は、操作部92から延出する。コネクタ94は、ユニバーサルコード93と、外部機器とを接続するための接続部材である。
【0056】
すでに説明したように、撮像モジュール1は、信頼性が高いため、内視鏡9は信頼性が高い。撮像モジュール1A-1Cを含む内視鏡9が、撮像モジュール1A-1Cが有する効果を有することは言うまでも無い。
【0057】
実施形態の内視鏡9は、挿入部91が軟性の軟性鏡でも、挿入部91が硬性の硬性鏡でもよい。また内視鏡9の用途は、医療用でも工業用でもよい。
【0058】
本発明は、上述した実施形態等に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、組み合わせおよび応用が可能である。
【符号の説明】
【0059】
1、1A-1C… 撮像モジュール
8… ノズル
9… 内視鏡
10… イメージャー
20… 配線板
21… 接合電極
22… 壁
22A… 第1の壁
22B… 第2の壁
23… 配線層
23A… 第1の配線層
24… 絶縁層
24A… 第1の絶縁層
30… 樹脂
30A… 第1の樹脂
30B… 第2の樹脂
30C… 第3の樹脂
40… 半田
50、50A、50B… 電子部品
60… ケーブル
61… ランド
91… 挿入部
91A… 先端部