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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025022741
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】通信状態判定装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/08 20090101AFI20250206BHJP
【FI】
H04W24/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024081038
(22)【出願日】2024-05-17
(31)【優先権主張番号】P 2023125471
(32)【優先日】2023-08-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】富久 大成
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067EE02
5K067EE25
(57)【要約】
【課題】複数の設備機器の間の通信が将来に途絶する可能性の高さを決定できる通信状態判定装置を提供する。
【解決手段】通信状態判定装置21であって、第1設備機器12と第2設備機器17との間で行われた無線通信の結果を示す通信結果情報を受信する情報受信部22と、情報受信部22が受信した複数の通信結果情報を解析して、第1設備機器12と第2設備機器17との間で行われた無線通信の状態に関する通信状態情報を決定する情報解析部23と、蓄積された訓練データの機械学習の実行結果を用いて、情報解析部23が決定した通信状態情報に基づいて、第1設備機器12と第2設備機器17との間での通信が将来に途絶する可能性の高さについての予測結果を決定する通信状態決定部24とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同じ施設に第1設備機器と第2設備機器とが設置され、前記第1設備機器が前記第2設備機器を経由して前記施設の外部のサーバーと通信する通信システムに設けられる通信状態判定装置であって、
前記第1設備機器と前記第2設備機器との間で行われた無線通信の結果を示す通信結果情報を受信する情報受信部と、
前記情報受信部が受信した複数の前記通信結果情報を解析して、前記第1設備機器と前記第2設備機器との間で行われた前記無線通信の状態に関する通信状態情報を決定する情報解析部と、
蓄積された訓練データの機械学習の実行結果を用いて、前記情報解析部が決定した前記通信状態情報に基づいて、前記第1設備機器と前記第2設備機器との間での通信が将来に途絶する可能性の高さについての予測結果を決定する通信状態決定部とを備える通信状態判定装置。
【請求項2】
前記通信状態決定部は、前記第1設備機器と前記第2設備機器との間での通信が将来に途絶するか又は途絶しないかを前記予測結果として決定する請求項1に記載の通信状態判定装置。
【請求項3】
前記通信状態決定部は、前記第1設備機器と前記第2設備機器との間での通信が将来に途絶する可能性の高さに対応する予測値を前記予測結果として決定する請求項1に記載の通信状態判定装置。
【請求項4】
前記通信状態決定部は、前記予測値が所定値以上の場合に、前記第1設備機器と前記第2設備機器との間での通信が将来に途絶するという前記予測結果を決定する請求項3に記載の通信状態判定装置。
【請求項5】
前記通信結果情報は、前記第1設備機器と前記第2設備機器との間で前記無線通信が行われた日時についての日時情報を含み、
前記情報解析部は、前記第1設備機器と前記第2設備機器との間で行われた複数の前記無線通信のそれぞれの前記日時情報に基づいて、所定期間内に行われた前記無線通信の回数についての情報を含む前記通信状態情報を決定する請求項1~3の何れか一項に記載の通信状態判定装置。
【請求項6】
前記通信結果情報は、前記第1設備機器と前記第2設備機器との間で行われた前記無線通信の電波強度についての情報を更に含み、
前記情報解析部は、前記第1設備機器と前記第2設備機器との間で前記所定期間内に行われた複数の前記無線通信の電波強度の平均値、前記所定期間内に行われた複数の前記無線通信での最低電波強度、前記所定期間内に行われた複数の前記無線通信での最高電波強度、及び、前記所定期間内での前記無線通信の電波強度の更新回数の少なくとも一つを更に含む前記通信状態情報を決定する請求項5に記載の通信状態判定装置。
【請求項7】
前記通信結果情報は、前記第1設備機器と前記第2設備機器との間で行われた前記無線通信が予め定期的に行うことが定められた定期通信であるのか、又は、前記定期通信ではない不定期通信であるのかを示す通信種別についての情報を更に含み、
前記情報解析部は、前記第1設備機器と前記第2設備機器との間で前記所定期間内に行われた複数の前記無線通信に含まれる前記定期通信の回数及び前記不定期通信の回数の少なくとも一方を更に含む前記通信状態情報を決定する請求項5に記載の通信状態判定装置。
【請求項8】
前記通信結果情報は、前記第1設備機器と前記第2設備機器との間での前記無線通信が正常に完了しなかった履歴に関する通信不能履歴情報を含み、
前記情報解析部は、前記通信不能履歴情報を含む前記通信状態情報を決定する請求項5に記載の通信状態判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同じ施設に第1設備機器と第2設備機器とが設置され、第1設備機器が第2設備機器を経由して施設の外部のサーバーと通信する通信システムに設けられる通信状態判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
住戸や事業所などの施設に設けられる発電装置や熱源装置などに付随するリモコンや、施設に設けられる警報装置などの設備機器が、施設に設けられるルーターを介して、遠隔地にあるサーバーと通信可能に構成されたシステムがある。このようなシステムでは、それらの設備機器で収集されたデータなどを、設備機器からサーバーに送信することが行われる。また、設備機器で実行されるソフトウェアを更新するためのデータなどをサーバーから設備機器に送信することもできる。
【0003】
このようなシステムでは、施設では設備機器とルーターとの間の通信が無線通信によって行われることがある。そのため、施設において電波干渉などによる通信障害が発生して、設備機器とルーターとの間の通信状態が悪化し、それらの間での通信を正常に完了できない状況に陥ることもある。
【0004】
特許文献1(特許第5084373号公報)では、無線チャネル毎の干渉状況を予測し、干渉の少ないチャネルを選択することで、無線LAN利用時の通信障害を回避する方法が提案されている。
【0005】
特許文献2(特許第5637784号公報)では、光通信路内の劣化部位を早期に判定するシステムについて提案されている。
【0006】
特許文献3(国際公開第2015/194134号)では、予め設定されたパラメータを有する信号による通信において、通信エラーの発生を推定・判定する通信システムについて提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第5084373号公報
【特許文献2】特許第5637784号公報
【特許文献3】国際公開第2015/194134号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
設備機器には、ルーターと接続できない通信途絶が発生した場合に、その通信途絶の状態を表すLED表示機能などを有するものもある。しかし、そのような表示を行っても、その表示が利用者に気づかれず、通信途絶状態のまま放置されてしまうことがあり、結果的に利用者が設備機器の本来の機能を十分に活用できないという問題があった。
【0009】
設備機器とルーターとの間が通信途絶状態となった場合、設備機器からサーバーへの通信も途絶するため、サーバーはどの設備機器からの情報送信が途絶しているのかを判別することは可能である。しかし、それと同時にサーバーからその設備機器への情報送信も行うことができない状態になっているため、サーバーから設備機器にメッセージ等を送信することもできない。
【0010】
従って、設備機器とルーターとの間の通信が将来に途絶する可能性の高さが分かれば、設備機器の利用者に対して設備機器とルーターとの通信を確保することを促すことができる。
【0011】
しかし、特許文献1~3に記載されている何れの方法も、施設に既に設置されている複数の設備機器の間の通信が将来に途絶する可能性の高さについての予測結果を出力するものではない。
【0012】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の設備機器の間の通信が将来に途絶する可能性の高さを決定できる通信状態判定装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するための本発明に係る通信状態判定装置の特徴構成は、同じ施設に第1設備機器と第2設備機器とが設置され、前記第1設備機器が前記第2設備機器を経由して前記施設の外部のサーバーと通信する通信システムに設けられる通信状態判定装置であって、
前記第1設備機器と前記第2設備機器との間で行われた無線通信の結果を示す通信結果情報を受信する情報受信部と、
前記情報受信部が受信した複数の前記通信結果情報を解析して、前記第1設備機器と前記第2設備機器との間で行われた前記無線通信の状態に関する通信状態情報を決定する情報解析部と、
蓄積された訓練データの機械学習の実行結果を用いて、前記情報解析部が決定した前記通信状態情報に基づいて、前記第1設備機器と前記第2設備機器との間での通信が将来に途絶する可能性の高さについての予測結果を決定する通信状態決定部とを備える点にある。
【0014】
上記特徴構成によれば、情報解析部が、情報受信部が受信した複数の通信結果情報を解析して、第1設備機器と第2設備機器との間で行われた無線通信の状態に関する通信状態情報を決定し、通信状態決定部が、蓄積された訓練データの機械学習の実行結果を用いて、情報解析部が決定した通信状態情報に基づいて、第1設備機器と第2設備機器との間での通信が将来に途絶する可能性の高さについての予測結果を決定する。つまり、第1設備機器と第2設備機器との間で行われた無線通信の状態に基づいて、第1設備機器と第2設備機器との間での通信が将来に途絶する可能性の高さについての予測結果が決定される。
特に本特徴構成では、人間が第1設備機器と第2設備機器との間での通信が将来に途絶する可能性の高さについての予測結果を決定するのではなく、通信状態決定部が、蓄積された訓練データの機械学習の実行結果を用いて、第1設備機器と第2設備機器との間での通信が将来に途絶する可能性の高さについての予測結果を決定する。その結果、短時間で且つ一貫性のある予測結果を得ることができる。
従って、複数の設備機器の間の通信が将来に途絶する可能性の高さを決定できる通信状態判定装置を提供できる。
【0015】
本発明に係る通信状態判定装置の別の特徴構成は、前記通信状態決定部は、前記第1設備機器と前記第2設備機器との間での通信が将来に途絶するか又は途絶しないかを前記予測結果として決定する点にある。
【0016】
上記特徴構成によれば、通信状態決定部が、第1設備機器と第2設備機器との間での通信が将来に途絶するか又は途絶しないかを予測結果として決定できる。
【0017】
本発明に係る通信状態判定装置の別の特徴構成は、前記通信状態決定部は、前記第1設備機器と前記第2設備機器との間での通信が将来に途絶する可能性の高さに対応する予測値を前記予測結果として決定する点にある。
【0018】
上記特徴構成によれば、通信状態決定部が、第1設備機器と第2設備機器との間での通信が将来に途絶する可能性の高さに対応する予測値を予測結果として決定できる。
【0019】
本発明に係る通信状態判定装置の別の特徴構成は、前記通信状態決定部は、前記予測値が所定値以上の場合に、前記第1設備機器と前記第2設備機器との間での通信が将来に途絶するという前記予測結果を決定する点にある。
【0020】
上記特徴構成によれば、通信状態決定部は、予測値が所定値以上の場合に、第1設備機器と第2設備機器との間での通信が将来に途絶するという予測結果を決定できる。
【0021】
本発明に係る通信状態判定装置の別の特徴構成は、前記通信結果情報は、前記第1設備機器と前記第2設備機器との間で前記無線通信が行われた日時についての日時情報を含み、
前記情報解析部は、前記第1設備機器と前記第2設備機器との間で行われた複数の前記無線通信のそれぞれの前記日時情報に基づいて、所定期間内に行われた前記無線通信の回数についての情報を含む前記通信状態情報を決定する点にある。
【0022】
上記特徴構成によれば、通信状態決定部は、情報解析部が決定した、所定期間内に行われた無線通信の回数についての情報を含む通信状態情報に基づいて、第1設備機器と第2設備機器との間での通信が将来に途絶する可能性の高さについての予測結果を決定できる。
【0023】
本発明に係る通信状態判定装置の別の特徴構成は、前記通信結果情報は、前記第1設備機器と前記第2設備機器との間で行われた前記無線通信の電波強度についての情報を更に含み、
前記情報解析部は、前記第1設備機器と前記第2設備機器との間で前記所定期間内に行われた複数の前記無線通信の電波強度の平均値、前記所定期間内に行われた複数の前記無線通信での最低電波強度、前記所定期間内に行われた複数の前記無線通信での最高電波強度、及び、前記所定期間内での前記無線通信の電波強度の更新回数の少なくとも一つを更に含む前記通信状態情報を決定する点にある。
【0024】
上記特徴構成によれば、通信状態決定部は、情報解析部が決定した、第1設備機器と第2設備機器との間で所定期間内に行われた複数の無線通信の電波強度の平均値、所定期間内に行われた複数の無線通信での最低電波強度、所定期間内に行われた複数の無線通信での最高電波強度、及び、所定期間内での無線通信の電波強度の更新回数の少なくとも一つを更に含む通信状態情報に基づいて、第1設備機器と第2設備機器との間での通信が将来に途絶する可能性の高さについての予測結果を決定できる。
【0025】
本発明に係る通信状態判定装置の別の特徴構成は、前記通信結果情報は、前記第1設備機器と前記第2設備機器との間で行われた前記無線通信が予め定期的に行うことが定められた定期通信であるのか、又は、前記定期通信ではない不定期通信であるのかを示す通信種別についての情報を更に含み、
前記情報解析部は、前記第1設備機器と前記第2設備機器との間で前記所定期間内に行われた複数の前記無線通信に含まれる前記定期通信の回数及び前記不定期通信の回数の少なくとも一方を更に含む前記通信状態情報を決定する点にある。
【0026】
上記特徴構成によれば、通信状態決定部は、情報解析部が決定した、第1設備機器と第2設備機器との間で所定期間内に行われた複数の無線通信に含まれる定期通信の回数及び不定期通信の回数の少なくとも一方を更に含む通信状態情報に基づいて、第1設備機器と第2設備機器との間での通信が将来に途絶する可能性の高さについての予測結果を決定できる。
【0027】
本発明に係る通信状態判定装置の別の特徴構成は、前記通信結果情報は、前記第1設備機器と前記第2設備機器との間での前記無線通信が正常に完了しなかった履歴に関する通信不能履歴情報を含み、
前記情報解析部は、前記通信不能履歴情報を含む前記通信状態情報を決定する点にある。
【0028】
上記特徴構成によれば、通信状態決定部は、情報解析部が決定した、第1設備機器と第2設備機器との間での無線通信が正常に完了しなかった履歴に関する通信不能履歴情報を更に含む通信状態情報に基づいて、第1設備機器と第2設備機器との間での通信が将来に途絶する可能性の高さについての予測結果を決定できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】通信状態判定装置が設けられる通信システムの構成を示す図である。
図2】通信状態情報の例である。
図3】通信が途絶すると予測された場合での通信状態決定部が決定した予測値と、その予測の正解率との関係を示すグラフである。
図4】通信が途絶しないと予測された場合での通信状態決定部が決定した予測値と、その予測の正解率との関係を示すグラフである。
図5】通信が途絶すると予測された場合での通信状態決定部が決定した予測値と、その予測の正解率との関係を示すグラフである。
図6】通信が途絶しないと予測された場合での通信状態決定部が決定した予測値と、その予測の正解率との関係を示すグラフである。
図7】通信状態判定装置が設けられる通信システムの構成を示す図である。
図8】通信状態情報の例である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<第1実施形態>
以下に図面を参照して本発明の第1実施形態に係る通信状態判定装置21について説明する。
図1は、通信状態判定装置21が設けられる通信システムの構成を示す図である。図示するように、住戸や事業所などの複数の施設10がサーバー20と情報通信回線1を介して通信可能に構成されている。通信システムにおいて、同じ施設10には、第1設備機器としてのリモコン12と第2設備機器としてのルーター17とが設置され、リモコン12がルーター17を経由して施設10の外部のサーバー20と通信する。尚、図1には、3つの施設10を描いているが、サーバー20が通信する施設10の個数に制限はない。
【0031】
図1に示す施設10において、リモコン12とルーター17との間は施設10の内部のプライベートネットワーク18を用いて接続されている。また、リモコン12とルーター17との通信は無線通信によって行われる。そして、リモコン12は、ルーター17を介して外部のサーバー20と通信できる。
【0032】
図1に示す例では、リモコン12は、施設10に設けられる燃料電池装置11A及び熱源装置11Bなどの動作機器11に対する運転指令などを行い、燃料電池装置11A及び熱源装置11Bの動作状態の表示などを行う。熱源装置11Bは、例えば、浴室暖房乾燥装置、床暖房装置、給湯装置などに熱媒体や温水を供給する装置である。尚、動作機器11は、燃料電池装置11A及び熱源装置11Bとは別の装置であってもよい。
【0033】
リモコン12は、表示部13と入力受付部14と情報処理部15と記憶部16とを有する。記憶部16は、リモコン12で取り扱う情報を記憶する機能を有している。情報処理部15は、リモコン12で取り扱う情報の演算処理などを行う機能を有している。表示部13は、リモコン12で取り扱う情報を利用者に対して表示する機能を有している。入力受付部14は、利用者から燃料電池装置11A及び熱源装置11Bに対する運転指令などの入力を受け付ける機能を有する。リモコン12は、ルーター17を介して情報通信回線1に接続された状態で外部との情報通信を行う機能を有している通信機器でもある。そのため、リモコン12はMAC(Media Access Control)アドレスを有している。そして、リモコン12の記憶部16は、固有に付与されたリモコン12のMACアドレスを記憶している。後述するように、サーバー20はMACアドレスを用いて、複数の施設10のそれぞれに設けられるリモコン12を識別できる。
【0034】
リモコン12は、燃料電池装置11A及び熱源装置11Bなどの動作機器11から収集した情報を、ルーター17を介してサーバー20に送信する。
【0035】
リモコン12がサーバー20に送信する情報の内容に制限はなく、例えば燃料電池装置11Aの発電状態、床暖房装置や浴室暖房乾燥装置の動作状態などの状態値や、熱源装置11Bや燃料電池装置11Aの連続通電時間や累積運転時間や累積発電量などの作動履歴値、気温、湿度、機内入水温や電波強度などの機器が設置された環境値、端末経路内水量制御用モーターや排熱用ファンの回転数などの機器動作情報、機種コード、製造年コード、機器種別値などの機器個別の識別値、機器利用者の年齢や体重などの機器利用者入力値、端末検知温度、人感センサ値、水位センサ値などのセンサ情報、消費ガス体積量、電力消費量、給湯用熱量などのエネルギーデータなど、任意のものであってよい。
【0036】
サーバー20は、情報の演算処理機能及び情報の入出力機能及び情報の記憶機能などを備える1台又は複数台のコンピュータ装置などを用いて実現される。そして、サーバー20が備えるそれらの機能を用いて、情報受信部22と、情報解析部23と、通信状態決定部24と、記憶部25と、出力部26とを備える通信状態判定装置21が実現される。
【0037】
情報受信部22は、第1設備機器としてのリモコン12と第2設備機器としてのルーター17との間で行われた無線通信の結果を示す通信結果情報を受信する。本実施形態では、第1設備機器としてのリモコン12が第2設備機器としてのルーター17を経由してサーバー20と通信する構成となっているため、通信結果情報はルーター17から情報通信回線1を介してサーバー20に送信される。そして、通信結果情報は、サーバー20の記憶部25に記憶される。この場合、通信結果情報には、どのリモコン12から送信されてきた情報であるのかを識別可能な情報(例えば、リモコン12のMACアドレス等)が付随していることが好ましい。
【0038】
通信結果情報は、上述したようにリモコン12が燃料電池装置11A及び熱源装置11Bから収集した情報を含む。また、通信結果情報は、リモコン12とルーター17との間で無線通信が行われた日時についての日時情報を含む。
【0039】
そして、情報解析部23は、情報受信部22が受信した複数の通信結果情報を解析して、リモコン12とルーター17との間で行われた無線通信の状態に関する通信状態情報を決定する。図2は、通信状態情報の例である。
【0040】
例えば、通信結果情報が、リモコン12とルーター17との間で無線通信が行われた日時についての日時情報を含む場合、情報解析部23は、リモコン12とルーター17との間で行われた複数の無線通信のそれぞれの日時情報に基づいて、所定期間内に行われた無線通信の回数(図2の「全通信回数」)についての情報を含む通信状態情報を決定する。
図2に示す例では、過去の所定期間(4週間)の全通信回数は921回になっている。
【0041】
尚、本実施形態では、上記所定期間の例として4週間を採用しているが、その所定期間の長さは適宜設定可能である。
【0042】
また、通信結果情報が、リモコン12とルーター17との間で行われた無線通信の電波強度についての情報を更に含む場合、情報解析部23は、リモコン12とルーター17との間で所定期間内に行われた複数の無線通信の電波強度の平均値(図2の「電波強度平均値」)、所定期間内に行われた複数の無線通信での最低電波強度(図2の「最低電波強度」)、及び、所定期間内に行われた複数の無線通信での最高電波強度(図2の「最高電波強度」)の少なくとも一つを更に含む通信状態情報を決定する。図2に示す例では、過去の所定期間(4週間)において、電波強度平均値は66であり、最低電波強度は58であり、最高電波強度は75である。
【0043】
また、通信結果情報が、リモコン12とルーター17との間で行われた無線通信が予め定期的に行うことが定められた定期通信であるのか、又は、定期通信ではない不定期通信であるのかを示す通信種別についての情報を更に含むことがある。例えば、1日に1回などの所定のタイミングでリモコン12からルーター17を介してサーバー20に定期的な情報送信が行われることがあり、それが定期通信である。或いは、サーバー20からリモコン12に対して情報の送信要求があった場合、その送信要求に応じてリモコン12からルーター17を経由してサーバー20への通信が行われることがあり、それが不定期通信である。定期通信であるか或いは不定期通信であるかの通信種別は、リモコン12が送信する通信結果情報に含まれていてもよいし、情報解析部23が、リモコン12からの通信が行われたタイミングなどを参照してそれが定期通信であるか或いは不定期通信を判定してもよい。その場合、情報解析部23は、リモコン12とルーター17との間で所定期間内に行われた複数の無線通信に含まれる定期通信の回数(図2の「定期通信回数」)及び不定期通信の回数(図2の「不定期通信回数」)の少なくとも一方を更に含む通信状態情報を決定する。図2に示す例では、過去の所定期間(4週間)において、定期通信回数は12回であり、不定期通信回数は16回である。
【0044】
また、通信結果情報が、リモコン12とルーター17との間での無線通信が正常に完了しなかった履歴に関する通信不能履歴情報を含むことがある。例えば、リモコン12からルーター17を経由したサーバー20への情報の送信が正常に完了しなかった場合、リモコン12は記憶部16に、情報の送信が正常に完了しなかったことを示す通信不能履歴情報を記憶しておき、リモコン12は次にサーバー20への情報の送信が正常に完了した際に、その通信不能履歴情報をルーター17を経由してサーバー20に送信することがある。その場合、情報解析部23は、通信不能履歴情報(図2の「通信不能回数」)を含む通信状態情報を決定する。図2に示す例では、過去の所定期間(4週間)において、通信不能回数は22回である。
【0045】
また、通信結果情報が、所定期間内での、リモコン12とルーター17との間での無線通信の電波強度の更新回数についての情報を含むことがある。例えば、リモコン12からルーター17を経由したサーバー20へ、リモコン12とルーター17との間での無線通信の状態を示す情報として電波強度が送信される場合がある。その場合、情報解析部23は、前回の無線通信での電波強度から、今回の電波強度が変化していれば、電波強度の更新回数を1だけ増加させて記憶部25に記憶する。図2に示す例では、過去の所定期間(4週間)において、電波強度更新回数は281回である。
【0046】
そして、通信状態決定部24は、蓄積された訓練データの機械学習の実行結果を用いて、情報解析部23が決定した通信状態情報に基づいて、リモコン12とルーター17との間での通信が将来に途絶する可能性の高さについての予測結果を決定する。ここで、蓄積された訓練データの機械学習の実行結果というのは、情報解析部23が決定した通信状態情報が入力されると、リモコン12とルーター17との間での通信が将来に途絶する可能性の高さについての予測結果を決定するためのアルゴリズム(判定数式)である。
【0047】
具体的には、通信状態決定部24は、リモコン12とルーター17との間での通信が将来に途絶するか又は途絶しないかを予測結果として決定する。本実施形態のシステムは、通信が途絶するという判定結果を「1」という数値で示すように構成され、図2に示す例では判定結果が「1」になっている。尚、通信が途絶しないという判定結果の場合には「0」という数値で表される。
【0048】
また、通信状態決定部24は、蓄積された訓練データの機械学習の実行結果を用いて、情報解析部23が決定した通信状態情報に基づいて、リモコン12とルーター17との間での通信が将来に途絶する可能性の高さに対応する予測値を予測結果として決定してもよい。本実施形態では、予測値は0以上1以下の数値であり、予測値が1に近いほど、リモコン12とルーター17との間での通信が将来に途絶する可能性が高いと判定される。それに対して、予測値が0に近いほど、リモコン12とルーター17との間での通信が将来に途絶しない可能性が高いと判定される。図2に示す例では、予測値が「0.9584」という数値で表されている。そして、通信状態決定部24は、予測値が所定値以上の場合に、リモコン12とルーター17との間での通信が将来に途絶するという予測結果を決定してもよい。例えば、通信状態決定部24は、予測値が0.5以上の場合に、通信が途絶するという判定結果(「1」)を決定し、予測値が0.5未満の場合に、通信が途絶しないという判定結果(「0」)を決定してもよい。尚、上記所定値は0.5以外の数値でも良く、適宜変更可能である。
【0049】
図3は、通信が途絶すると予測された場合での通信状態決定部24が決定した予測値と、その予測の正解率との関係を示すグラフである。尚、図3に示すグラフでは予測値の小数点第二位以下を切り捨てており、予測値が0.5以上の場合に通信が途絶するという判定結果(「1」)になる。図4は、通信が途絶しないと予測された場合での通信状態決定部24が決定した予測値と、その予測の正解率との関係を示すグラフである。尚、図4に示すグラフでは予測値の小数点第二位以下を切り上げており、予測値が0.5以下の場合に通信が途絶しないという判定結果(「0」)になる。そして、実際に通信が途絶したか否かで、その判定結果が正解であったか否かを判定している。図3に示す例では、予測値が高くなるほど正解率が高くなっている。また、図4に示す例では、予測値が低くなるほど正解率が高くなっている。
【0050】
出力部26は、通信状態決定部24が決定した予測結果を出力する。例えば、出力部26は、通信結果情報を送信してきたリモコン12を特定して、例えば記憶部25に記憶しているそのリモコン12の宛先に対して予測結果を出力することで、リモコン12の表示部13にその予測結果を表示させることができる。或いは、例えば記憶部25に記憶している施設10の利用者が使用する端末装置2のアドレスに予測結果を出力(例えば、リモコン12に紐付けられたメールアドレスに送信する、リモコン12に紐付けられた端末装置2にインストールされているアプリケーションに対してプッシュ通知する等)できる。
【0051】
例えば、出力部26は、上述したような通信が途絶するという判定結果又は通信が途絶しないという判定結果を出力できる。或いは、出力部26は、上述したような通信が将来に途絶する可能性の高さに対応する予測値を出力できる。また或いは、出力部26は、それらの両方を出力できる。他には、出力部26は、予測値が0.5に近い値の所定範囲内にある場合(例えば、予測値が0.3以上且つ0.7以下である場合等)など、予測値の正解率が低いと判断される場合にその予測値を通信が途絶するという判定結果又は通信が途絶しないという判定結果と共に出力してもよい。
【0052】
次に機械学習について説明する。
上述したように、情報受信部22は、リモコン12とルーター17との間で行われた無線通信の結果を示す通信結果情報を受信する。そして、その通信結果情報は記憶部25に記憶される。次に、情報解析部23は、情報受信部22が受信した複数の通信結果情報を解析して、リモコン12とルーター17との間で行われた無線通信の状態に関する通信状態情報を決定する。例えば、情報解析部23は、通信状態情報として、リモコン12とルーター17との間で所定期間内に行われた全ての無線通信の回数、リモコン12とルーター17との間で所定期間内に行われた複数の無線通信の電波強度の平均値、所定期間内に行われた複数の無線通信での最低電波強度、所定期間内に行われた複数の無線通信での最高電波強度、リモコン12とルーター17との間で所定期間内に行われた複数の無線通信に含まれる定期通信の回数、リモコン12とルーター17との間で所定期間内に行われた複数の無線通信に含まれる不定期通信の回数、リモコン12とルーター17との間での無線通信が正常に完了しなかった履歴に関する通信不能履歴情報、電波強度更新回数などを含む。
【0053】
次に、通信状態決定部24は、情報解析部23が決定した通信状態情報と、その通信状態情報の場合に通信途絶が発生したか否かの情報との組み合わせで構成される訓練データを記憶部25に記憶し、その訓練データの機械学習を実行する。例えば、一つの通信状態情報に対して、その通信状態情報の場合に通信途絶が発生したか否かの正解データをラベル付けすることで、一つの訓練データが作成される。正解データのラベル付けは、記憶部25から取得した通信状態の履歴データから人的作業で行ってもよいし、情報解析部23で実行させてもよい。記憶部25には、このようにして作成した複数の訓練データが記憶される。
【0054】
本実施形態では、リモコン12とルーター17との間での通信が将来に途絶しなかった場合には「0」の正解値がラベル付けされ、途絶した場合には「1」の正解値がラベル付けされた複数の通信状態情報に基づいて機械学習を行い、リモコン12とルーター17との間での通信が将来に途絶する可能性の高さに対応する数値(上記予測値)と正解値(0又は1)との差異について、機械学習に用いたすべての通信状態情報の合計差異が最小となるアルゴリズム(判定数式)を得る。こうして機械学習の実行結果として取得したアルゴリズムを用いて、通信状態決定部24は、機械学習に利用されなかった通信状態情報に対して、リモコン12とルーター17との間での通信が将来に途絶する可能性の高さを0(途絶しない)~1(途絶する)の間の数値(予測値)で決定する。
【0055】
以下、具体的な実施例を示すが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0056】
(実施例1)
中~高頻度通信機器の通信途絶予兆判定例
サーバー20との通信機能を有するリモコン12のうち、1日の通信数が約70回の中頻度通信を行っていたリモコン12の過去4週間の通信状態情報のデータと、1日の通信数が約300回以上の高頻度通信を行っていたリモコン12の過去4週間の通信状態情報のデータとを用意した。それらのリモコン12には、5日以上の通信途絶状態となったリモコン12が792台含まれ、通信途絶が発生していないリモコン12が800台含まれる。更に、各通信状態情報のデータには、学習用ラベルとして、途絶機データには1という正解値を付与し、非途絶機データには0という正解値を付与し、機械学習用データとした。通信状態情報には、所定期間(過去4週間)での、全通信回数と、定期通信回数と、不定期通信回数と、通信不能回数と、電波強度平均値と、最低電波強度と、最高電波強度と、電波強度更新回数とが含まれる。
【0057】
この機械学習用データをランダムに混合し、約70%に相当する1114台のデータを学習用データとし、リモコン12とルーター17との間での通信が将来に途絶するか又は途絶しないかを予測結果として決定する(即ち、2値分類用の)通信途絶予兆判定用アルゴリズムを構築した。つまり、情報解析部23が決定した、所定期間(過去4週間)での、全通信回数と、定期通信回数と、不定期通信回数と、通信不能回数と、電波強度平均値と、最低電波強度と、最高電波強度と、電波強度更新回数とが入力されると、リモコン12とルーター17との間での通信が将来に途絶する可能性の高さについての予測結果を通信状態決定部24が決定するように通信途絶予兆判定用アルゴリズムが構築される。そして、得られた通信途絶予兆判定用アルゴリズムを用いて、学習に使用しなかった残りの478台のデータから学習用ラベル(即ち、正解値)を除去し、各リモコン12が途絶機であるか又は非途絶機であるか(即ち、通信が途絶するか又は途絶しないか)を判定させたところ、正解率は89.5%と良好なものであった。
【0058】
また、通信が途絶するか又は途絶しないかという各判定結果と共に出力された予測値が0.7以上又は予測値が0.3以下の429台のデータのみを用いてリモコン12が途絶機であるか又は非途絶機であるか(即ち、通信が途絶するか又は途絶しないか)を判定させたところ、正解率は92.3%に向上した。
【0059】
(実施例2)
低~中頻度通信機器の通信途絶予兆判定例
サーバー20との通信機能を有するリモコン12のうち、1日の通信数が約10回の低頻度通信を行っていたリモコン12の過去4週間の通信状態情報のデータと、1日の通信数が約100回以上の中頻度通信を行っていたリモコン12の過去4週間の通信状態情報のデータとを用意した。それらのリモコン12には、5日以上の通信途絶状態となったリモコン12が2454台含まれ、通信途絶が発生していないリモコン12が2499台含まれる。更に、各通信状態情報のデータには、学習用ラベルとして、途絶機データには1という正解値を付与し、非途絶機データには0という正解値を付与し、機械学習用データとした。通信状態情報には、所定期間(過去4週間)での、全通信回数と、定期通信回数と、不定期通信回数と、電波強度平均値と、最低電波強度と、最高電波強度と、電波強度更新回数とが含まれる。
【0060】
この機械学習用データをランダムに混合し、約70%に相当する3467台のデータを学習用データとし、リモコン12とルーター17との間での通信が将来に途絶するか又は途絶しないかを予測結果として決定する(即ち、2値分類用の)通信途絶予兆判定用アルゴリズムを構築した。つまり、情報解析部23が決定した、所定期間(過去4週間)での、所定期間(過去4週間)での、全通信回数と、定期通信回数と、不定期通信回数と、電波強度平均値と、最低電波強度と、最高電波強度と、電波強度更新回数とが入力されると、リモコン12とルーター17との間での通信が将来に途絶する可能性の高さについての予測結果を決定するように通信途絶予兆判定用アルゴリズムが構築される。得られた通信途絶予兆判定用アルゴリズムを用いて、学習に使用しなかった残りの1486台のデータから学習用ラベル(即ち、正解値)を除去し、各リモコン12が途絶機であるか又は非途絶機であるか(即ち、通信が途絶するか又は途絶しないか)を判定させたところ、正解率は68.8%であった。
【0061】
(実施例3)
中頻度通信機器の通信途絶予兆判定例
実施例2で用いた各通信状態情報のデータのうち、1日の通信数が約100回以上の中頻度通信を行っていたリモコン12の2061台(途絶機846台・非途絶機1215台)のデータを用いた。約70%に相当する1443台のデータを学習用データとし、リモコン12とルーター17との間での通信が将来に途絶するか又は途絶しないかを予測結果として決定する(即ち、2値分類用の)通信途絶予兆判定用アルゴリズムを構築した。得られた通信途絶予兆判定用アルゴリズムを用いて、学習に使用しなかった残りの618台のデータから学習用ラベル(即ち、正解値)を除去し、各リモコン12が途絶機であるか又は非途絶機であるか(即ち、通信が途絶するか又は途絶しないか)を判定させたところ、正解率は77.0%であった。
【0062】
また、通信が途絶するか又は途絶しないかという各判定結果と共に出力された予測値が0.7以上又は予測値が0.3以下の294台のデータのみを用いてリモコン12が途絶機であるか又は非途絶機であるか(即ち、通信が途絶するか又は途絶しないか)を判定させたところ、正解率は94.2%に向上した。
【0063】
(実施例4)
低頻度通信機器の通信途絶予兆判定例
実施例2で用いた各通信状態情報のデータのうち、1日の通信数が約10回の低頻度通信を行っていたリモコン12の2892台(途絶機1608台・非途絶機1284台)のデータを用いた。約70%に相当する2024台のデータを学習用データとし、リモコン12とルーター17との間での通信が将来に途絶するか又は途絶しないかを予測結果として決定する(即ち、2値分類用の)通信途絶予兆判定用アルゴリズムを構築した。得られた通信途絶予兆判定用アルゴリズムを用いて、学習に使用しなかった残りの868台のデータから学習用ラベル(即ち、正解値)を除去し、各リモコン12が途絶機であるか又は非途絶機であるか(即ち、通信が途絶するか又は途絶しないか)を判定させたところ、正解率は63.5%であった。
【0064】
また、通信が途絶するか又は途絶しないかという各判定結果と共に出力された予測値が0.7以上又は予測値が0.3以下の192台のデータのみを用いてリモコン12が途絶機であるか又は非途絶機であるか(即ち、通信が途絶するか又は途絶しないか)を判定させたところ、正解率は87.5%に向上した。
【0065】
尚、通信状態決定部24がリモコン12とルーター17との間での通信が将来に途絶する可能性の高さについての予測結果を決定するために、どのような通信状態情報を参照するのかは適宜変更可能である。例えば、通信状態決定部24が、所定期間内に行われた無線通信の回数のみを通信状態情報として参照して、リモコン12とルーター17との間での通信が将来に途絶する可能性の高さについての予測結果を決定してもよい。その場合、通信状態決定部24は、所定期間内に行われた無線通信の回数のみを通信状態情報として、上述したような機械学習の訓練データを作成すればよい。
【0066】
図5及び図6は、所定期間内に行われた無線通信の回数のみを通信状態情報として蓄積した訓練データの機械学習の実行結果を用いて、同じく所定期間内に行われた無線通信の回数のみを含む通信状態情報に基づいて、リモコン12とルーター17との間での通信が将来に途絶する可能性の高さについての予測結果を決定した場合の例である。
【0067】
具体的には、図5は、通信が途絶すると予測された場合での通信状態決定部24が決定した予測値と、その予測の正解率との関係を示すグラフである。尚、図5に示すグラフでは予測値の小数点第二位以下を切り捨てており、予測値が0.5以上の場合に通信が途絶するという判定結果(「1」)になる。図6は、通信が途絶しないと予測された場合での通信状態決定部24が決定した予測値と、その予測の正解率との関係を示すグラフである。尚、図6に示すグラフでは予測値の小数点第二位以下を切り上げており、予測値が0.5以下の場合に通信が途絶しないという判定結果(「0」)になる。そして、実際に通信が途絶したか否かで、その判定結果が正解であったか否かを判定している。図5に示す例では、予測値が高くなるほど正解率が高くなっている。また、図6に示す例では、予測値が低くなるほど正解率が高くなっている。
【0068】
このように、所定期間内に行われた無線通信の回数のみを含む通信状態情報に基づいて、リモコン12とルーター17との間での通信が将来に途絶する可能性の高さについての予測結果を決定した場合であっても、その予測結果は正解率が高いものとなっている。
【0069】
以上のように、本実施形態の通信状態判定装置21は、リモコン12とルーター17との間で行われた無線通信の状態に基づいて、リモコン12とルーター17との間での通信が将来に途絶する可能性の高さについての予測結果を決定できる。特に本実施形態の通信状態判定装置21では、人間がリモコン12とルーター17との間での通信が将来に途絶する可能性の高さについての予測結果を決定するのではなく、通信状態決定部24が、蓄積された訓練データの機械学習の実行結果を用いて、リモコン12とルーター17との間での通信が将来に途絶する可能性の高さについての予測結果を決定する。その結果、短時間で且つ一貫性のある予測結果を得ることができる。
【0070】
<第2実施形態>
上記第1実施形態では第1設備機器がリモコン12である例を説明したが、第1設備機器は他の装置であってもよい。第2実施形態では、第1設備機器が警報装置30である例を説明する。警報装置30は、例えば、ガス漏れ監視、CO(一酸化炭素)監視、火災監視などを行った結果に基づいて警報を発する装置である。
【0071】
図7は、通信状態判定装置21が設けられる通信システムの構成を示す図である。図示するように、住戸や事業所などの複数の施設10がサーバー20と情報通信回線1を介して通信可能に構成されている。通信システムにおいて、同じ施設10には、第1設備機器としての警報装置30と第2設備機器としてのルーター17とが設置され、警報装置30がルーター17を経由して施設10の外部のサーバー20と通信する。尚、図7には、3つの施設10を描いているが、サーバー20が通信する施設10の個数に制限はない。
【0072】
図7に示す施設10において、警報装置30とルーター17との間は施設10の内部のプライベートネットワーク18を用いて接続されている。また、警報装置30とルーター17との通信は無線通信によって行われる。そして、警報装置30は、ルーター17を介して外部のサーバー20と通信できる。
【0073】
図7に示す例では、警報装置30は、監視センサ部31と、情報出力部32と、情報処理部33と、記憶部34とを有する。監視センサ部31は、都市ガス等の炭化水素を含むガスを検出するガス漏れ監視センサ、CO(一酸化炭素)を検出するCO監視センサ、火災を検出する火災監視センサなどのセンサを有して構成される。監視センサ部31の監視結果は情報処理部33に伝達される。記憶部34は、警報装置30で取り扱う情報を記憶する機能を有している。情報処理部33は、警報装置30で取り扱う情報の演算処理などを行う機能を有している。情報出力部32は、警報装置30で取り扱う情報を利用者に対して音声情報、文字情報、光情報などで出力する機能を有している。警報装置30は、ルーター17を介して情報通信回線1に接続された状態で外部との情報通信を行う機能を有している通信機器でもある。そのため、警報装置30はMAC(Media Access Control)アドレスを有している。そして、警報装置30の記憶部34は、固有に付与された警報装置30のMACアドレスを記憶している。後述するように、サーバー20はMACアドレスを用いて、複数の施設10のそれぞれに設けられる警報装置30を識別できる。
【0074】
警報装置30は、所定のタイミングで、監視センサ部31の監視結果についての情報などを、ルーター17を介してサーバー20に送信する。尚、警報装置30がサーバー20に送信する情報の内容に制限はない。
【0075】
情報受信部22は、第1設備機器としての警報装置30と第2設備機器としてのルーター17との間で行われた無線通信の結果を示す通信結果情報を受信する。本実施形態では、第1設備機器としての警報装置30が第2設備機器としてのルーター17を経由してサーバー20と通信する構成となっているため、通信結果情報はルーター17から情報通信回線1を介してサーバー20に送信される。そして、通信結果情報は、サーバー20の記憶部25に記憶される。この場合、通信結果情報には、どの警報装置30から送信されてきた情報であるのかを識別可能な情報(例えば、警報装置30のMACアドレス等)が付随していることが好ましい。
【0076】
通信結果情報は、上述したように警報装置30の監視センサ部31の監視結果についての情報を含む。また、通信結果情報は、警報装置30とルーター17との間で無線通信が行われた日時についての日時情報を含む。
【0077】
そして、情報解析部23は、情報受信部22が受信した複数の通信結果情報を解析して、警報装置30とルーター17との間で行われた無線通信の状態に関する通信状態情報を決定する。図8は、通信状態情報の例であり、所定期間内に行われた無線通信の回数(図8の「全通信回数」)についての情報、所定期間内に行われた複数の無線通信での最低電波強度(図8の「最低電波強度」)についての情報、所定期間内に行われた複数の無線通信での最高電波強度(図8の「最高電波強度」)についての情報を含む。尚、本実施形態の警報装置30は、ルーター17との間で通信が行われる度に電波強度の交換が行われるため、全通信回数は、電波強度更新回数と同じになる。
【0078】
例えば、通信結果情報が、警報装置30とルーター17との間で無線通信が行われた日時についての日時情報を含む場合、情報解析部23は、警報装置30とルーター17との間で行われた複数の無線通信のそれぞれの日時情報に基づいて、所定期間内に行われた無線通信についてのそれらの情報を含む通信状態情報を決定する。
【0079】
図8に示す例では、現時点を基準として、過去の直近の4週間を上記所定期間としている。尚、図8では、その4週間を、過去の直近の1週間(図8の「0週前~1週前」)、それよりも前の1週間(図8の「1週前~2週前」)、更にそれよりも前の1週間(図8の「2週前~3週前」)、更にそれよりも前の1週間(図8の「3週前~4週前」)の各期間に分けて、それぞれの期間での情報を記載している。
尚、図8では4週間としている上記所定期間をどの程度の長さに設定するのかは適宜変更可能である。
【0080】
図8に示す例では、4週間という所定期間において、最低電波強度は0であり、最高電波強度は63であり、全通信回数は2247回である。また、「0週前~1週前」の1週間において、最低電波強度は46であり、最高電波強度は63であり、全通信回数は969回である。「1週前~2週前」の1週間において、最低電波強度は44であり、最高電波強度は52であり、全通信回数は996回である。「2週前~3週前」の1週間において、最低電波強度は46であり、最高電波強度は51であり、全通信回数は282回である。「3週前~4週前」の1週間において、最低電波強度は0であり、最高電波強度は0であり、全通信回数は0回である。
【0081】
そして、通信状態決定部24は、蓄積された訓練データの機械学習の実行結果を用いて、情報解析部23が決定した通信状態情報に基づいて、警報装置30とルーター17との間での通信が将来に途絶する可能性の高さについての予測結果を決定する。ここで、蓄積された訓練データの機械学習の実行結果というのは、情報解析部23が決定した通信状態情報が入力されると、警報装置30とルーター17との間での通信が将来に途絶する可能性の高さについての予測結果を決定するためのアルゴリズム(判定数式)である。
【0082】
具体的には、通信状態決定部24は、警報装置30とルーター17との間での通信が将来に途絶するか又は途絶しないかを予測結果として決定する。本実施形態のシステムは、通信が途絶するという判定結果を「1」という数値で示すように構成され、図8に示す例では判定結果が「1」になっている。尚、通信が途絶しないという判定結果の場合には「0」という数値で表される。
【0083】
また、通信状態決定部24は、後述するような蓄積された訓練データの機械学習の実行結果を用いて、情報解析部23が決定した通信状態情報に基づいて、警報装置30とルーター17との間での通信が将来に途絶する可能性の高さに対応する予測値を予測結果として決定してもよい。本実施形態では、予測値は0以上1以下の数値であり、予測値が1に近いほど、警報装置30とルーター17との間での通信が将来に途絶する可能性が高いと判定される。それに対して、予測値が0に近いほど、警報装置30とルーター17との間での通信が将来に途絶しない可能性が高いと判定される。図8に示す例では、予測値が「0.9985」という数値で表されている。そして、通信状態決定部24は、予測値が所定値以上の場合に、警報装置30とルーター17との間での通信が将来に途絶するという予測結果を決定してもよい。例えば、通信状態決定部24は、予測値が0.5以上の場合に、通信が途絶するという判定結果(「1」)を決定し、予測値が0.5未満の場合に、通信が途絶しないという判定結果(「0」)を決定してもよい。尚、上記所定値は0.5以外の数値でも良く、適宜変更可能である。
【0084】
出力部26は、通信状態決定部24が決定した予測結果を出力する。例えば、出力部26は、通信結果情報を送信してきた警報装置30を特定して、例えば記憶部25に記憶しているその警報装置30の宛先に対して予測結果を出力することで、警報装置30の情報出力部32からその予測結果を出力させることができる。或いは、例えば記憶部25に記憶している施設10の利用者が使用する端末装置2のアドレスに予測結果を出力(例えば、警報装置30に紐付けられたメールアドレスに送信する、警報装置30に紐付けられた端末装置2にインストールされているアプリケーションに対してプッシュ通知する等)できる。
【0085】
例えば、出力部26は、上述したような通信が途絶するという判定結果又は通信が途絶しないという判定結果を出力できる。或いは、出力部26は、上述したような通信が将来に途絶する可能性の高さに対応する予測値を出力できる。また或いは、出力部26は、それらの両方を出力できる。他には、出力部26は、予測値が0.5に近い値の所定範囲内にある場合(例えば、予測値が0.3以上且つ0.7以下である場合等)など、予測値の正解率が低いと判断される場合にその予測値を通信が途絶するという判定結果又は通信が途絶しないという判定結果と共に出力してもよい。
【0086】
次に機械学習について説明する。
上述したように、情報受信部22は、警報装置30とルーター17との間で行われた無線通信の結果を示す通信結果情報を受信する。そして、その通信結果情報は記憶部25に記憶される。次に、情報解析部23は、情報受信部22が受信した複数の通信結果情報を解析して、警報装置30とルーター17との間で行われた無線通信の状態に関する通信状態情報を決定する。例えば、情報解析部23は、通信状態情報として、警報装置30とルーター17との間で所定期間内に行われた全ての無線通信の回数、所定期間内に行われた複数の無線通信での最低電波強度、所定期間内に行われた複数の無線通信での最高電波強度を含む。
【0087】
次に、通信状態決定部24は、情報解析部23が決定した通信状態情報と、その通信状態情報の場合に通信途絶が発生したか否かの情報との組み合わせで構成される訓練データを記憶部25に記憶し、その訓練データの機械学習を実行する。例えば、一つの通信状態情報に対して、その通信状態情報の場合に通信途絶が発生したか否かの正解データをラベル付けすることで、一つの訓練データが作成される。正解データのラベル付けは、記憶部25から取得した通信状態の履歴データから人的作業で行ってもよいし、情報解析部23で実行させてもよい。記憶部25には、このようにして作成した複数の訓練データが記憶される。
【0088】
本実施形態では、警報装置30とルーター17との間での通信が将来に途絶しなかった場合には「0」の正解値がラベル付けされ、途絶した場合には「1」の正解値がラベル付けされた複数の通信状態情報に基づいて機械学習を行い、警報装置30とルーター17との間での通信が将来に途絶する可能性の高さに対応する数値(上記予測値)と正解値(0又は1)との差異について、機械学習に用いたすべての通信状態情報の合計差異が最小となるアルゴリズム(判定数式)を得る。こうして機械学習の実行結果として取得したアルゴリズムを用いて、通信状態決定部24は、機械学習に利用されなかった通信状態情報に対して、警報装置30とルーター17との間での通信が将来に途絶する可能性の高さを0(途絶しない)~1(途絶する)の間の数値(予測値)で決定する。
【0089】
以下、具体的な実施例を示すが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0090】
サーバー20との通信機能を有する警報装置30が、サーバー20に対して10分間隔で監視結果を無線送信する際に得られた過去4週間の全通信回数、最高電波強度、最低電波強度の情報を含む通信状態情報のデータを用意した。
それらの警報装置30には、その後に5日以上の通信途絶状態となった警報装置30が2323台含まれ、その後に通信途絶状態にならなかった警報装置30が2400台含まれる。更に、各通信状態情報のデータには、学習用ラベルとして、途絶機データには1という正解値を付与し、非途絶機データには0という正解値を付与し、機械学習用データとした。通信状態情報には、所定期間(過去4週間)での、全通信回数と、最低電波強度と、最高電波強度が含まれる。
【0091】
それらの機械学習用データをランダムに混合し、約70%に相当する3306台のデータを学習用データとし、警報装置30とルーター17との間での通信が将来に途絶するか又は途絶しないかを予測結果として決定する(即ち、2値分類用の)通信途絶予兆判定用アルゴリズムを構築した。つまり、情報解析部23が決定した、所定期間(過去4週間)での、通信回数と、最低電波強度と、最高電波強度とを含む通信状態情報が入力されると、警報装置30とルーター17との間での通信が将来に途絶する可能性の高さについての予測結果を通信状態決定部24が決定するように通信途絶予兆判定用アルゴリズムが構築される。そして、得られた通信途絶予兆判定用アルゴリズムを用いて、学習に使用しなかった残りの1417台のデータから学習用ラベル(即ち、正解値)を除去し、各警報装置30が途絶機であるか又は非途絶機であるか(即ち、通信が途絶するか又は途絶しないか)を判定させたところ、正解率は95.6%と良好なものであった。
【0092】
<別実施形態>
上記実施形態では、通信状態判定装置21の構成について具体例を挙げて説明したが、その構成は適宜変更可能である。
【0093】
上記実施形態では、第1設備機器がリモコン12又は警報装置30である例を説明したが、第1設備機器は他の装置であってもよい。
【0094】
上記実施形態において、情報受信部22がどのような情報を通信結果情報として受信するのか、情報解析部23がどのような情報を通信状態情報として決定するのかは適宜設定可能である。
【0095】
上記実施形態において、リモコン12とルーター17との間での通信が将来に途絶する可能性の高さについての予測結果を決定するためのアルゴリズムは、機械学習に用いる通信状態情報の内容に応じて予め複数種類用意しておいてもよい。例えば、上述した実施例1~実施例4に記載したような、高頻度通信を行っていたリモコン12の通信状態情報を機械学習用データとしたアルゴリズムや、中頻度通信を行っていたリモコン12の通信状態情報を機械学習用データとしたアルゴリズムなど、通信状態情報の属性に応じたアルゴリズムを作成しておいてもよい。
【0096】
上記実施形態において、通信状態決定部24が決定した、リモコン12とルーター17との間での通信が将来に途絶する可能性の高さについての予測結果についての情報は、記憶部25に記憶しておくことができる。その場合、同一のリモコン12についての上記予測結果についての情報が新たに決定される度に、その情報が記憶部25において逐次更新されて記憶されてもよいし、或いは、予測結果の履歴が分かる形態で記憶されてもよい。
そして、出力部26は、逐次更新された最新の予測結果を出力してもよいし、或いは、予測結果の履歴(例えば、過去の1週間分の予測結果の履歴など)を出力してもよい。
【0097】
上記実施形態において、通信状態判定装置21はサーバー20とは別に設けられていてもよい。例えば、通信状態判定装置21は施設10に設けられていてもよい。
【0098】
上記実施形態において、機械学習のアルゴリズムは、周知となっている種々のアルゴリズムを用いることができる。具体的には、サポートベクタマシンや決定木、線形回帰などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、複数の設備機器の間の通信が将来に途絶する可能性の高さを決定できる通信状態判定装置に利用できる。
【符号の説明】
【0101】
10 :施設
12 :リモコン(第1設備機器)
17 :ルーター(第2設備機器)
20 :サーバー
21 :通信状態判定装置
22 :情報受信部
23 :情報解析部
24 :通信状態決定部
30 :警報装置(第1設備機器)
図1
図2
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図8