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  • 特開-嗜好品を内蔵した紙コップ 図1
  • 特開-嗜好品を内蔵した紙コップ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2025022748
(43)【公開日】2025-02-14
(54)【発明の名称】嗜好品を内蔵した紙コップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/804 20060101AFI20250206BHJP
   A47J 31/18 20060101ALI20250206BHJP
   B65D 3/06 20060101ALI20250206BHJP
   A47G 19/22 20060101ALI20250206BHJP
【FI】
B65D85/804 100
A47J31/18
B65D3/06 B
A47G19/22 N
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2024088392
(22)【出願日】2024-05-02
【基礎とした実用新案登録】
【原出願日】2023-08-02
(71)【出願人】
【識別番号】597162123
【氏名又は名称】神杉 行夫
(72)【発明者】
【氏名】神杉 行夫
【テーマコード(参考)】
3B001
4B104
【Fターム(参考)】
3B001AA02
3B001CC32
4B104AA08
4B104BA43
4B104BA66
4B104EA19
4B104EA39
(57)【要約】
【課題】本発明は、熱圧着設備等を必要とせずに簡単に製造することができ、お湯等を注ぐだけで手軽に楽しめる嗜好品原料を内蔵した紙コップに関するものである。
【解決手段】全体が逆円錐台形状で上方に向けて開口した上部開口部を備える紙コップ本体に、前記紙コップ本体とほぼ同一の逆円錐台形状で前記紙コップ本体の底部を除いた高さ寸法に構成され、かつ、筒状に形成された内部筒状部材10を嵌合しており、内部筒状部材10の下部開口部に設置されたオブラート15及びフィルター16と前記紙コップ本体の底板2との間の嗜好品収納部に嗜好品原料5を封入した構成となっている。この紙コップ本体の上部開口部からお湯等を注ぐことにより、封入した嗜好品原料からの抽出されるお茶やコーヒー等を楽しむことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体が逆円錐台形状を成し、上方に向けて開口した上部開口部を備える紙コップ本体と、
前記紙コップ本体内部に嵌合可能であって、前記紙コップ本体とほぼ同一の逆円錐台形状を成しており、前記紙コップ本体の底部を除いた高さ寸法に構成されており、全体が前記紙コップ本体と同一の材質から成り、かつ、筒状に形成された内部筒状部材と、
前記内部筒状部材の下部開口部分全面を覆うことが可能な大きさを有し、かつ、前記内部筒状部材の下部開口部に設置されるオブラートと、
前記内部筒状部材の下部開口部分全面を覆うことが可能な大きさを有し、かつ、前記内部筒状部材の下部開口部に、前記オブラートに重ねて設置されるフィルターと、
前記紙コップ本体に対して、下部開口部に前記オブラート及び前記フィルターを設置した前記内部筒状部材を嵌合した状態で、紙コップ本体底部と前記オブラート及びフィルターとの間に、封入された嗜好品原料と、
から構成されたことを特徴とする嗜好品を内蔵した紙コップ。
【請求項2】
前記オブラートは、その外周部分に、前記内部筒状部材の下部開口部の外周側面に重なる外周縁部を備えており、
前記フィルターは、その外周部分に、前記内部筒状部材の下部開口部の外周側面に重なる外周縁部を備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の嗜好品を内蔵した紙コップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑茶、紅茶、コーヒー等の嗜好品を内蔵し、お湯等を注ぐだけで手軽にこれらを楽しむことができる嗜好品を内蔵した紙コップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
緑茶、紅茶、コーヒーを手軽に楽しむ方法としては、紙コップに茶葉、嗜好品粉末或いはティーバッグ等を入れ、熱湯を注いで飲用することが広く行われている。このような前記嗜好品の楽しみ方においては、紙コップと嗜好品原料である緑茶、紅茶等の茶葉、或いは、インスタントコーヒー粉末等を準備する必要がある。このように紙コップと嗜好品原料を個別に準備する必要があるため、紙コップ自体に嗜好品原料を封入した商品が望まれている。
【0003】
手軽に前記嗜好品を楽しめるものとして、特許文献1に、ティーカップ茶葉室に一定量の茶葉を入れてあり、ティーカップ上部よりお湯を注ぐことにより、茶葉室にてお茶を抽出して楽しむことができるものが紹介されている。この構成においては、蜂の巣フィルターで茶葉の上部室への移動を防止する構造となっている。この特許文献1においては、前記蜂の巣フィルターをティーカップに設置する具体的な構造が示されておらず、実現性に疑問がある。
【0004】
また、非特許文献1には、紙コップの内部下層に、フィルターと茶葉をセットし、お湯を注ぐだけで、日本茶が味わえる茶葉入り紙コップが紹介されている。この紙コップにおいて、前記フィルターは、ティーバックにも使用されている透明性の高いフィルムを熱圧着、接着剤不使用で取付け、安全性が高く、茶葉の風味を損なわないと、紹介されている。
しかしながら、紙コップ内に茶葉をセットし、前記フィルターを紙コップ内面に熱圧着により取付けるためには、熱圧着を行う加工設備が必要であり、簡単に製造することは困難と思われる。また、前記茶葉は、前記ファイルターのみで覆われているため、同フィルターを通して湿気等が侵入して茶葉自体の風味を損なうことが懸念される。
【先行技術文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3123428号公報
【非特許文献1】https://shop.yoshimura-pack.co.jp/user_data/campaign/2021/01/ltc
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、これらの課題を解決し、紙コップに内蔵した茶葉等の嗜好品原料の風味を損なうことなく、また、その製造過程において熱圧着設備等を用いることなく製造可能であって、お湯等を注ぐだけで手軽に楽しむことができる嗜好品を内蔵した紙コップを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、全体が逆円錐台形状を成し、上方に向けて開口した上部開口部を備える紙コップ本体と、前記紙コップ本体内部に嵌合可能であって、前記紙コップ本体とほぼ同一の逆円錐台形状を成しており、前記紙コップ本体の底部を除いた高さ寸法に構成されており、全体が前記紙コップ本体と同一の材質から成り、かつ、筒状に形成された内部筒状部材と、前記内部筒状部材の下部開口部分全面を覆うことが可能な大きさを有し、かつ、前記内部筒状部材の下部開口部に設置されるオブラートと、前記内部筒状部材の下部開口部分全面を覆うことが可能な大きさを有し、かつ、前記内部筒状部材の下部開口部に、前記オブラートに重ねて設置されるフィルターと、前記紙コップ本体に対して、下部開口部に前記オブラート及び前記フィルターを設置した前記内部筒状部材を嵌合した状態で、紙コップ本体底部と前記オブラート及びフィルターとの間に、封入された嗜好品原料と、から構成されたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明による嗜好品を内蔵した紙コップによれば、内蔵された嗜好品原料が紙コップ本体の底部と内部筒状部材に設置されたオブラートによって湿気等の侵入を防止して風味の劣化を防止し、オブラート及びファイルターを紙コップ本体と内部筒状部材とで保持する構造であり、熱圧着設備等を用いくことなく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明における嗜好品原料を内蔵した紙コップの一実施例を示しており、(a)に全体斜視図、(b)に紙コップ本体及び内部筒状部材の一部を切除した状態でオブラート、フィルター及び底板の配置を示した斜視図を示している。
図2図1に示した嗜好品原料を内蔵した紙コップの一実施例であって、(a)に内部筒状部材の斜視図、(b)にオブラート及びフィルターの斜視図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明による嗜好品原料を内蔵した紙コップの一実施例について、図1及び図2により説明する。は、紙コップ本体で、全体が逆円錐台形状を成しており、上方に向けて開口した上部開口部を備えている。また、紙コップ本体の底部には、底板2をブランク3の下辺に取付け、かつ、上端部縁にはカーリング4が形成されている。紙コップ本体は、100%パルプの原料紙にポリエチレン等をラミネートした原紙から構成されている。
【0012】
10は、紙コップ本体とほぼ同一の大きさで、かつ、同一の逆円錐台に形成され、全体が筒状に形成された内部筒状部材である。また、内部筒状部材10は、紙コップ本体と同じ材質で構成されており、紙コップ本体1の内側に嵌合可能な形状に構成されている。内部筒状部材10の上端部縁には、カーリング14が形成されている。内部筒状部材10の高さ寸法は、紙コップ本体よりも短く、その下端部と紙コップ本体1の底板2との間に、嗜好品原料5を収納する収納室を形成可能な寸法に形成されている。前記収納室の高さ寸法は、一例として約1cm~1.5cm程度とするのが望ましい。内部筒状部材10の下端部分には、オブラート15及びフィルター16が設置されている。オブラート15は、内部筒状部材10の下部開口部全体を覆う大きさであって、かつ、その外周部には、内部筒状部材10の下部開口部の外周面に重なる外周縁部が形成されている。オブラート15自体は、外周縁部が内部筒状部材10の下部開口部の外周面に沿うように、立ち上がった形状を成しており、全体として浅いカップ状に形成された形状となっている。
【0013】
フィルター16は、オブラート15とほぼ同様な形状に構成されており、オブラート15に重ねて、内部筒状部材10に取付けられる。フィルター16は、比較的目の細かいガーゼ素材、或いは、不織布などにより構成されている。オブラート15及びフィルター16は、両者を少量の食用糊で一体に構成することも考えられる。又は、オブラート15を内部筒状部材10に取付け、その後、フィルター16を取付けてもよい。取付けにあたっては、少量の食用糊を使用することも考えられる。
【0014】
内部筒状部材10は、それ自体を製造することも考えられる。即ち、紙コップ製造工程において、ブランク製造時に、紙コップ本体よりも高さ寸法が底部及び嗜好品原料を収納する収納室に相当する部分を除いた長さのブランク13を形成し、このブランク13を使用して胴部巻き付け及び接着を行って内部筒状部材10を製造可能である。また、内部筒状部材10の上端部縁には、カーリング14も形成されている。
なお、前記内部筒状部材10の製造に代えて、前記紙コップ本体1の底板部分及び嗜好品原料収納室に相当する部分を切除して構成することも考えられる。
【0015】
内部筒状部材10の高さ寸法は、紙コップ本体よりも短く構成されている。即ち、内部筒状部材10は、紙コップ本体に内部筒状部材10を嵌合した状態において、紙コップ本体の内側下部に、紙コップ本体の底板2と内部筒状部材10の下端部に設置されたオブラート15及びフィルター16との間に嗜好品原料収納室を構成可能な高さ寸法に構成されている。更に、内部筒状部材10は、紙コップ本体に内部筒状部材10を嵌合した状態において、内部筒状部材10のカーリング14の僅かに下方に紙コップ本体のカーリング4が位置する高さ寸法に構成されている。なお、前記紙コップ本体に内部筒状部材10を嵌合した状態において、紙コップ本体の内周面と内部筒状部材10の外周面とは、ほぼ密着した状態となっている。
【0016】
紙コップ本体を準備し、同紙コップ本体の内側下部の嗜好品原料収納室に嗜好品原料5である茶葉或いはコーヒー粉末等を入れる。次に、内部筒状部材10の下端部にオブラート15及びフィルター16を設置した状態で、同内部筒状体10を紙コップ本体の内側に嵌合することにより、嗜好品原料を内蔵した紙コップが完成する。前記オブラート15及びフィルター16を予め重ねて接合しておいて、所定の剛性を確保したものを準備すれば、これらの内部筒状体10への取付け時に食用糊を使用しなくてもよい。即ち、前記オブラート15及びフィルター16の外周縁部は、紙コップ本体に内部筒状部材10を重ねた際に、それぞれのブランク部分が密着して前記外周縁部を固定することが可能である。
【0017】
このようにして構成された嗜好品原料を内蔵した紙コップに、お湯を注げば、オブラート15は溶け、嗜好品原料5の茶葉或いはコーヒー豆粉から主要成分を抽出してお茶、或いは、コーヒーを楽しむことができる。なお、フィルター16によって、茶葉或いはコーヒー豆粉は、分離され、口に運ばれることはない。
なお、この嗜好品原料を内蔵した紙コップは、紙コップの原料、嗜好品原料、オブラート15及びフィルター16から構成されており、飲み終わった後は、そのまま廃棄することが可能である。
【0018】
この嗜好品原料を内蔵した紙コップは、複数個を防湿性樹脂から成るチャック付収納袋に収納して販売することが考えられる。この収納袋から、必要な数量を取り出して楽しむことができる。
【0019】
本発明による前記一実施例においては、嗜好品原料として茶葉或いはコーヒー粉末を用いた事例を説明したが、これに代えて、昆布、鰹節、椎茸等の乾燥した出汁原料及び味噌、醤油等の乾燥調味料を組合せて封入することも考えられる。これらの出汁原料及び調味料を内蔵した紙コップに、お湯又は水を注いで、前記出汁及び調味料からの旨味成分を抽出してスープとして楽しむことも考えられる。
なお、前記一実施例においても、茶葉或いはコーヒー粉末を内蔵した紙コップに水を注いでお茶やコーヒーを抽出し、氷を浮かべて冷やして味わうことも考えられる。
【0020】
本発明による嗜好品原料を内蔵した紙コップの他の実施例としては、全体が逆円錐台形状を成し、上方に向けて開口した上部開口部を備える紙コップ本体と、前記紙コップ本体内部に嵌合可能であって、前記紙コップ本体とほぼ同一の逆円錐台形状を成しており、前記紙コップ本体の底部を除いた高さ寸法に構成されており、全体が前記紙コップ本体と同一の材質から成り、かつ、筒状に形成された内部筒状部材と、前記内部筒状部材の下部開口部分全面を覆うことが可能な大きさを有し、かつ、前記内部筒状部材の下部開口部に設置されるオブラートと、前記内部筒状部材の下部開口部分全面を覆うことが可能な大きさを有し、かつ、前記内部筒状部材の下部開口部に、前記オブラートに重ねて設置されるフィルターと、前記紙コップ本体に対して、下部開口部に前記オブラート及び前記フィルターを設置した前記内部筒状部材を嵌合した状態で、紙コップ本体底部と前記オブラート及びフィルターとの間に封入された出汁原料及び調味料と、からなる出汁原料等を内蔵した紙コップが考えられる。
【符号の説明】
【0021】
・・・紙コップ本体
2・・・底板
3・・・ブランク
4・・・カーリング
5・・・嗜好品原料
14・・・カーリング
10・・・内部筒状部材
15・・・オブラート
16・・・フィルター
図1
図2